説明

情報処理システム、プログラムおよびゲームキャラクタ移動制御方法

【課題】 カメラで撮影したプレイヤの画像を入力インタフェースとして用いる情報処理システムにおいて、よりゲーム性を高めるための技術を提供する。
【解決手段】 プレイヤを含む鏡面動画像からプレイヤが占める領域を抽出する領域抽出手段と、ゲームキャラクタを含むコンピュータ画像を生成する制御手段と、前記鏡面動画像と、前記コンピュータ画像とを重ねた重畳動画像を表示装置に表示させる表示制御手段とを備え、前記制御手段は、前記重畳動画像における前記プレイヤが占める領域にしたがって前記ゲームキャラクタを移動させることを特徴とする情報処理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラで撮影したプレイヤの画像を用いてゲームシナリオを進行させる情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラで撮影したプレイヤの画像をコマンド等を入力するための入力インタフェースとして利用した情報処理システムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、プレイヤを写した鏡面動画像とメニュー画像等のコンピュータ画像との合成動画像を生成し、画像に表示されるプレイヤの手をポインティングデバイスに見立ててメニューの選択等の指示を受け付ける画像処理装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−196855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている入力インタフェースは、プレイヤの動作と画像処理装置に対する操作とが直接的に対応しているため、万人にわかりやすい操作性を有している。このため、特に、ユーザの年齢層が幅広いエンタテインメントシステムの分野での応用が期待される。一方、エンタテインメントシステムの分野での応用には、よりゲーム性を高めた工夫が要求される。
【0006】
本発明は、カメラで撮影したプレイヤの画像を入力インタフェースとして用いる情報処理システムにおいて、よりゲーム性を高めるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明によれば、
プレイヤを含む鏡面動画像からプレイヤが占める領域を抽出する領域抽出手段と、
ゲームキャラクタを含むコンピュータ画像を生成する制御手段と、
前記鏡面動画像と、前記コンピュータ画像とを重ねた重畳動画像を表示装置に表示させる表示制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記重畳動画像における前記プレイヤが占める領域にしたがって前記ゲームキャラクタを移動させることを特徴とする情報処理システムが提供される。
【0008】
なお、撮影装置でプレイヤを撮影したプレイヤ動画像の入力を受け付けるプレイヤ動画像受付手段と、
前記プレイヤ動画像を鏡面処理する鏡面動画像処理手段とをさらに備えるようにしてもよい。
【0009】
ここで、前記領域抽出手段は、あらかじめ取得したプレイヤが含まれない画像とプレイヤ動画像との差分に基づいてプレイヤが占める領域を抽出することができる。
【0010】
このとき、前記表示制御手段は、前記プレイヤが含まれない画像を取得するために、前記撮影装置の撮影範囲外に出るようにプレイヤに促す画像を前記表示装置に表示させることが望ましい。
【0011】
また、前記制御手段は、前記ゲームキャラクタを画面片側に設けた1または複数のスタート地点から登場させ、他方の片側に設けた1または複数のゴールに向けて移動させることにより、ゲーム性を一層高めることができる。
【0012】
また、前記制御手段は、前記ゲームキャラクタの進行方向前面の領域および前記ゲームキャラクタの下面の領域において前記プレイヤが占める領域があるかどうかを判断し、前記ゲームキャラクタの下面に前記プレイヤが占める領域がない場合には、前記ゲームキャラクタを落下させ、前記ゲームキャラクタの前面に前記プレイヤが占める領域がある場合には、前記ゲームキャラクタを進行方向斜め上方に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【0014】
本実施例に係るエンタテインメントシステムの構成の一例を図1に示す。このエンタテインメントシステムは、ディスプレイ装置3に向き合った位置にいるプレイヤ4をアナログまたはデジタルのビデオカメラ1が撮影し、これにより得られた動画像をエンタテインメント装置2が連続的に連続に取り込んで、エンタテインメント装置2が生成したコンピュータ画像(CG)と、ビデオカメラ1から取り込んだ動画像の鏡面動画像とを重ね合わせた重畳画像をディスプレイ装置3上にリアルタイムに表示させるものである。したがって、重畳画像ではプレイヤ4の動作がリアルタイムに反映されていて、この重畳画像でプレイヤ4はプレイを楽しむことができる。鏡面動画像は、ビデオカメラ1から取り込んだ動画像をエンタテインメント装置2で鏡面処理(画像の左右反転処理)することにより生成することができるが、他の方法であってもよい。例えば、ビデオカメラ1において鏡面処理を行なうようにしてもよい。
【0015】
エンタテインメント装置2は、コンピュータプログラムにより所要の機能を形成する情報処理装置により実現される。この実施形態によるエンタテインメント装置2は、例えば図2にそのハードウエア構成を示すように、それぞれ固有の機能を有する複数の半導体デバイスが接続されたメインバスB1とサブバスB2の2本のバスを有している。これらのバスB1、B2は、バスインタフェースINTを介して互いに接続され又は切り離されるようになっている。
【0016】
メインバスB1には、主たる半導体デバイスであるメインCPU310と、RAMで構成されるメインメモリ311と、メインDMAC(Direct Memory Access Controller)312と、MPEG(Moving Picture Experts Group)デコーダ(MDEC)313と、描画用メモリとなるフレームメモリ315を内蔵する描画処理装置(Graphic Processing Unit、以下、「GPU」)314が接続される。GPU314には、フレームメモリ315に描画されたデータをディスプレイ装置3で表示できるようにするためのビデオ信号を生成するCRTC(CRT Controller)316が接続される。
【0017】
メインCPU310は、コンピュータの起動時にサブバスB2上のROM323から、バスインタフェースINTを介して起動プログラムを読み込み、その起動プログラムを実行してオペレーティングシステムを動作させる。また、メディアドライブ327を制御するとともに、このメディアドライブ327に装着されたメディア328からアプリケーションプログラムやデータを読み出し、これをメインメモリ311に記憶させる。さらに、メディア328から読み出した各種データ、例えば複数の基本図形(ポリゴン)で構成された3次元オブジェクトデータ(ポリゴンの頂点(代表点)の座標値など)に対して、オブジェクトの形状や動き等を表現するためのジオメトリ処理(座標値演算処理)を行い、そして、ジオメトリ処理によるポリゴン定義情報(使用するポリゴンの形状およびその描画位置、ポリゴンを構成する素材の種類、色調、質感等の指定)をその内容とするディスプレイリストを生成する。
【0018】
GPU314は、描画コンテクスト(ポリゴン素材を含む描画用のデータ)を保持しており、メインCPU310から通知されるディスプレイリストにしたがって必要な描画コンテクストを読み出してレンダリング処理(描画処理)を行い、フレームメモリ315にポリゴンを描画する機能を有する半導体デバイスである。フレームメモリ315は、これをテクスチャメモリとしても使用できる。そのため、フレームメモリ315上のピクセルイメージをテクスチャとして、描画するポリゴンに貼り付けることができる。
【0019】
メインDMAC312は、メインバスB1に接続されている各回路を対象としてDMA転送制御を行うとともに、バスインタフェースINTの状態に応じて、サブバスB2に接続されている各回路を対象としてDMA転送制御を行う半導体デバイスであり、MDEC313は、メインCPU310と並列に動作し、MPEG(Moving Picture Experts Group)方式あるいはJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式等で圧縮されたデータを伸張する機能を有する半導体デバイスである。
【0020】
サブバスB2には、マイクロプロセッサなどで構成されるサブCPU320、RAMで構成されるサブメモリ321、サブDMAC322、オペレーティングシステムなどの制御プログラムが記憶されているROM323、サウンドメモリ325に蓄積された音データを読み出してオーディオ出力として出力する音声処理用半導体デバイス(SPU(Sound Processing Unit))324、図示しないネットワークを介して外部装置と情報の送受信を行う通信制御部(ATM)326、CD−ROMやDVD−ROMなどのメディア328を装着するためのメディアドライブ327および入力部331が接続されている。
【0021】
サブCPU320は、ROM323に記憶されている制御プログラムにしたがって各種動作を行う。サブDMAC322は、バスインタフェースINTがメインバスB1とサブバスB2を切り離している状態においてのみ、サブバスB2に接続されている各回路を対象としてDMA転送などの制御を行う半導体デバイスである。入力部331は、操作装置335からの入力信号が入力される接続端子332、ビデオカメラ1からの画像信号が入力される接続端子333、およびビデオカメラ1等からの音声信号が入力される接続端子334を備える。なお、本明細書では、画像についてのみ説明を行い、便宜上、音声についての説明は省略する。
【0022】
このように構成されるコンピュータは、メインCPU310、サブCPU320、GPU314が、ROM323およびメディア328等の記録媒体から所要のコンピュータプログラムを読み込んで実行することにより、エンタテインメント装置2として動作する。
【0023】
このエンタテインメント装置2の機能ブロック図を図3に示す。すなわち、エンタテインメント装置2には、ビデオ画像入力部101と、画像反転部102と、領域抽出部103と、主制御部104と、CG生成部105と、重畳画像生成部106と、表示制御部107とが形成される。
【0024】
ビデオ画像入力部101は、ビデオカメラ1で撮影されたビデオ画像を取り込む。ビデオ画像は動画像であり、ビデオ画像入力部101はビデオカメラ1から送られてくる画像を連続的に取り込む。
【0025】
画像反転部102は、ビデオ画像入力部101が取り込んだビデオ画像に対して鏡面処理、すなわち左右反転処理を行う。プレイヤを撮影した鏡面処理されたビデオ画像200の一例を図4(a)に示す。本図には、鏡面処理されたプレイヤの画像5が含まれている。これ以降の処理は、鏡面処理がされたビデオ画像に対して行われる。なお、ビデオ画像の鏡面処理をビデオカメラ1で行なうようにした場合には、画像反転部102は省くことができる。
【0026】
領域抽出部103は、画像反転部102が反転したビデオ画像からプレイヤが写っている領域を抽出する処理を行なう。
【0027】
本実施例では、領域抽出部103は、あらかじめプレイヤの写っていない状態のビデオ画像の1フレーム分を基準画像103aとして記憶しておく。図4(a)に対応する基準画像103aの一例を図4(b)に示す。そして、その基準画像とビデオ画像との差分に基づいてプレイヤ5が写っている領域を抽出する。図4(a)、(b)に対応するプレイヤ5が写っている領域を図4(c)に示す。本図には、図4(a)と図4(b)の差分で得られる領域6が示されている。
【0028】
このため、エンタテインメント装置2は、プレイヤの写っていない状態の画像を撮影するために、プレイヤに対して、画面の外に出るように促し、その後、領域抽出部103は、画像反転部102が反転したビデオ画像の1フレームを抽出して基準画像103aとして記憶する。
【0029】
具体的には、プレイヤからの指示に基づいてエンタテインメント装置2でのプレイが開始される前に、画面の外に出ることを促す表示を行ない、所定の時間経過後にビデオ画像の1フレームを抽出するようにする。この際、プレイヤに撮影のタイミングを知らしめるために、カウントダウンの表示を行なうことが望ましい。
【0030】
ただし、ビデオ画像からプレイヤが写っている領域を抽出する方法は、これに限られない。例えば、プレイヤの動作に基づいて、前後のフレームの差分を検出したり、パターン認識等を用いて、ビデオ画像からプレイヤが写っている領域を抽出するようにしてもよい。
【0031】
領域抽出部103によるプレイヤが写っている領域を抽出する処理は、連続的に、リアルタイムに行なわれる。すなわち、プレイヤの動作にしたがって、図4(c)に示した領域は逐次変化する。
【0032】
主制御部104は、エンタテインメントシステム全体の制御を行う。例えば、エンタテインメント装置2がゲームプログラムを実行しているときは、主制御部104がそのプログラムにしたがってゲームのストーリーなどを決定する。また、主制御部104がストーリーを決定するときに、判定部103の判定結果を参照する場合がある。この詳細については後述する。すなわち、エンタテインメント装置2は、DVD−ROM、CD−ROM等の記録媒体に記録されたプログラムを実行することで、図3に示したような機能ブロックを構成し、本実施例における各種処理を行なう。
【0033】
CG生成部105は、主制御部104の指示にしたがって、ゲームのストーリーに沿った種々のコンピュータ画像を生成する。本実施例では、図5に示すようなキャラクタ10を所定の規則にしたがって、画面上に表示する。キャラクタ10は、主制御部104の制御により画面上を移動する。このとき、CG生成部105は、移動の態様、例えば、通常の歩行、登り、落下等によってキャラクタ10の表示態様を変更することが望ましい。本例では、キャラクタ10は、帽子をかぶったヒトを模したデザインとなっているが、これに限られない。例えば、動物、乗り物等であってもかまわない。
【0034】
また、CG生成部105は、キャラクタ10のスタートとなる入口のコンピュータ画像と、キャラクタ10のゴールとなる出口のコンピュータ画像とを生成する。入口と出口とは固定画像として扱ってよい。また、それぞれ複数個設けるようにすることができる。本実施例では、画面の右端に入口を2個、画面の左端に出口を2個、それぞれ、上下に分けて配置するものとする。
【0035】
重畳画像生成部106は、画像反転部102で鏡面処理されたビデオ画像とCG生成部105で生成されたコンピュータ画像とを重ね合わせた重畳画像を生成する。例えば、重畳画像生成部106が図4(a)のビデオ画像200と図5のキャラクタ10と、入口21および出口22の固定画像とを重畳すると、図6の重畳画像400が生成される。なお、わかりやすくするため、図6では、鏡面処理されたビデオ画像におけるプレイヤ5の後ろの風景は省略している。
【0036】
図6においてプレイヤ5の写っている領域は、領域抽出部103が抽出した領域6(図4(c)参照)と一致することになる。すなわち、主制御部104は、画面におけるプレイヤ5の写っている領域をリアルタイムで把握することができる。
【0037】
表示制御部107は、重畳画像生成部106で生成された重畳画像をディスプレイ装置3に表示させる。すなわち、プレイヤは、自身の鏡面動画像とコンピュータ画像との重ね合わせ画像を見ながら、エンタテインメントシステムに対する種々の操作を行なうことができる。
【0038】
つぎに、主制御部104が行なう、キャラクタ10の移動の制御について説明する。本実施例において、キャラクタ10は、領域抽出部103が抽出したプレイヤの領域にしたがって、具体的には、プレイヤの領域を通行路と見なして移動するものとする。
【0039】
すなわち、図6に示すように、入口21a、21bから登場したキャラクタ10は、プレイヤ5の領域を通行路と見なして、出口22a、22bに向かって右から左に移動していく。このとき、通行路がない場合にはキャラクタ10は落下していく。なお、以下では画面の水平方向をX軸とし、垂直方向をY軸として説明する。
【0040】
ここで、主制御部104は、リアルタイムにプレイヤの領域を把握できるため、プレイヤの動作による通行路の変化に対応して、キャラクタ10の行動を随時制御する。このようにすることで、あたかも、プレイヤに沿ってキャラクタ10が移動していくように見える。
【0041】
一方、プレイヤは、画面に映る自身の姿勢を変化させることで、キャラクタ10の通行路を規定することができ、この結果、それぞれのキャラクタ10の移動先をリアルタイムでコントロールすることができる。例えば、入口21aから登場したキャラクタ10を腕に乗せるような姿勢をとることで、腕を渡ってキャラクタ10が移動するように表示される。また、入口21bから登場したキャラクタ10に対して何も施さなければ、そのキャラクタ10は落下してしまうことになる。
【0042】
主制御部104は、ゲームシナリオに応じて、キャラクタ10ごとに目的となる出口22を設定したり、種々のタイプのキャラクタを登場させたり、プレイヤのコントロールに応じて得点を与えること等により、エンタテインメント装置2におけるゲーム性を一層高めることができる。
【0043】
つぎに、本実施例のキャラクタ10の移動制御の具体例について説明する。図7(a)に示すようにキャラクタ10は、水平方向については、基本的に、右から左へと一方向に進むものとする。一方、垂直方向については、前方に壁のような通行路がある場合にはそれを登るように斜め上方に移動し、また、下面に通行路がない場合には下方に落下する。ただし、落下の途中に通行路に落ちた場合には、再度、水平方向の移動を開始する。これは、例えば、落下しているキャラクタ10をプレイヤがすくい上げる動作、キャラクタ10が斜面を滑り落ちる動き等に対応する。
【0044】
キャラクタ10の移動は、プレイヤの領域抽出処理等とともにリアルタイムで行なう必要があるため、キャラクタ10の移動制御は簡易な処理で行なうことが望ましい。
【0045】
このため、本実施例では、キャラクタの前面と下面との通行路の状況を判断することで、次の移動方向を定めるものとする。すなわち、図7(a)に示すようにキャラクタ10の進行方向前面に前方検知領域11を設け、下面に下方検知領域12を設けるようにする。いずれの検知領域11、12とも、多少キャラクタ10が占める領域と重ならせるようにすることが望ましい。
【0046】
これらの検知領域11、12は、その領域内に通行路と認められる領域がどの程度含まれているかを検出するための領域である。それぞれの検出結果は、例えば、40%等の比率で表わすことができる。この場合、検知領域の内、通行路と認められる領域が40%含まれていることを示している。この検出結果は、例えば、検知領域11、12を所定の大きさのマトリックスに分割し、それぞれのマトリックスが通行路に対応するか否かを判断し、通行路に対応するマトリクスの比率を算出することで得ることができる。
【0047】
図7(b)は、通行路13にキャラクタ10aとキャラクタ10bとが通行している例を示している。このとき、キャラクタ10aについては、前方検知領域11a、下方検知領域12aとも50%程度と検知され、キャラクタ10bについては、前方検知領域11bは5%程度であり、下方検知領域12bは50%程度と検知されることになる。
【0048】
このような検知領域11、12における通行路の検出の結果に基づいて、主制御部104は、図8に示すようなフロー図にしたがってキャラクタ10の移動を制御する。なお、主制御部104は、画面上に複数のキャラクタ10を登場させることができ、図8に示すフロー図をキャラクタ10ごとに繰り返し実行することで、プレイヤの動作に基づいて、各キャラクタ10を連続的に、リアルタイムにそれぞれ独立して移動させる。
【0049】
本フロー図において、変数Jを用いているが、これは下面に通行路がない場合、つまり、プレイヤがキャラクタ10に対して通行路を与えていない場合に、すぐにキャラクタ10を落下させずに、ある程度の時間経過後に落下を開始させるために用いる変数である。
【0050】
主制御部104は、キャラクタ10をいずれかのスタート地点(入口21)から登場させ、以下の制御を行なうようにする。なお、ゲームシナリオにしたがって、キャラクタ10を歩かせたり、走らせたりすることができる。
【0051】
まず、変数Jを0で初期化する(S101)。
【0052】
そして、現在位置がゴール(出口22)かどうかを判断する(S102)。その結果、ゴールに達している場合(S102:Y)には、ゲームシナリオにしたがったゴール処理を行なう(S103)。ここで、ゴール処理は、例えば、そのキャラクタ10を画面上から消去し、あらかじめ定めた規則にしたがって、プレイヤに加点する。
【0053】
一方、キャラクタ10がゴールに達していない場合(S102:N)には、前方検知領域11の検出結果に基づいて、前面に通行路が存在しているかどうかを判断する(S104)。前面に通行路が存在しているかどうかは、例えば、前方検知領域11に占める通行路の割合が、所定の値、例えば、30%以上の場合に前面に通行路が存在していると判断するようにすることができる。
【0054】
この結果、前面に通行路が存在していると判断した場合(S104:Y)には、通行路が登り坂であると見なして、Jをリセットし(S105)、登り処理を行なう(S106)。
【0055】
登り処理では、図9(a)に示すように、キャラクタ10を、主にY軸移動量を上方向に大きめに、X軸を左方向に通常の水平移動より少なめにとった移動を行なわせる。移動させる量は、ゲームシナリオにしたがった値とする。そして、処理(S102)に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0056】
前面に通行路が存在しないと判断した場合(S104:N)には、下方検知領域12の検出結果に基づいて、下面に通行路が存在しているかどうかを判断する(S107)。下面に通行路が存在しているかどうかは、例えば、下方検知領域12に占める通行路の割合が、所定の値、例えば、10%以上の場合に前面に通行路が存在していると判断するようにすることができる。
【0057】
この結果、下面に通行路が存在していると判断した場合(S107:Y)には、通行路が水平であると見なして、Jをリセットする(S108)。
【0058】
そして、さらに、下方検知領域12に占める通行路の割合が所定の基準値、例えば、90%以上であるかを判断する(S109)。これは、図9(b)に示すように、キャラクタ10が通行路に埋まっているような状態であるかどうかを判断するためである。すなわち、下方検知領域12に占める通行路の割合が所定の基準値を超えている場合には、キャラクタ10が通行路に埋まっているような状態であると判断する。
【0059】
その結果、下方検知領域12に占める通行路の割合が、所定の割合以上でない場合(S109:N)には、図9(c)に示すように、通常の水平移動として、キャラクタ10をX軸について左方向に移動させる(S110)。移動させる量は、ゲームシナリオにしたがった値とする。例えば、キャラクタが走っている場合には、歩いている場合よりも移動量を多くさせる。この際、ゲームシナリオにしたがい、キャラクタ10について、歩く、スキップする等の表示をさせることが望ましい。
【0060】
一方、下方検知領域12に占める通行路の割合が、所定の割合以上の場合(S109:Y)には、図9(d)に示すように、上述の水平移動に加え、Y軸についても、多少上方に移動させる(S111)。これは、通行路に埋まって移動するように見えるのを避けるためである。
【0061】
下面に通行路が存在していないと判断した場合(S107:N)には、Jに1を加算する(S112)。そして、Jが所定の値に達したかどうかを判断する(S113)。すなわち、下面に通行路が存在していない状態が継続しているかどうかを判断する。
【0062】
その結果、Jが所定の値に達していない場合(S113:Y)には、処理(S102)に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0063】
一方、Jが所定の値に達した場合(S113:N)には、落下処理を行なう(S114)。落下処理では、所定の速度で、キャラクタ10を下方に移動させる。この際、落下している表示を行なうことが望ましい。
【0064】
なお、落下後のキャラクタ10に対しては、以下の処理を行なう。すなわち、落下して画面の外に出た場合には、そのキャラクタ10を制御対象から取り除く。また、落下の間も方検知領域12による下面の検知を行ない(S115)、下面に通行路が検出された場合(S115:Y)には、処理(S108)に戻って、水平方向の移動を再開する。例えば、キャラクタ10は、プレイヤの頭部分の左側で下面を検出しなくなるため落下を開始する。そして、肩部分まで落ちた段階で下面の通行路を検出し、再度水平移動が開始されることになる。また、下り斜面では落下と水平移動とが短い周期で繰り返され、階段状に下っていくことになる。
【0065】
なお、キャラクタ10の具体的な移動規則については、上記の例に限られず、種々の方法を用いることができる。また、キャラクタ10の通行路もプレイヤの写っている領域に限られない。例えば、プレイヤが操作する棒等のアイテムを通行路と見なして、キャラクタ10を移動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンタテインメントシステムの全体構成図である。
【図2】エンタテインメント装置の構成図である。
【図3】エンタテインメント装置の機能構成図である。
【図4】プレイヤの鏡面画像および領域を示す図である。
【図5】キャラクタのコンピュータ画像を示す図である。
【図6】重畳画像の例を示す図である。
【図7】キャラクタの検知領域を示す図である。
【図8】キャラクタの移動の制御を示すフロー図である。
【図9】キャラクタの移動を説明する図である。
【符号の説明】
【0067】
1…ビデオカメラ、2…エンタテインメント装置、3…ディスプレイ装置、101…ビデオ画像入力部、102…画像反転部、103…領域抽出部、104…主制御部、105…CG生成部、106…重畳画像生成部、107…表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤを含む鏡面動画像からプレイヤが占める領域を抽出する領域抽出手段と、
ゲームキャラクタを含むコンピュータ画像を生成する制御手段と、
前記鏡面動画像と、前記コンピュータ画像とを重ねた重畳動画像を表示装置に表示させる表示制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記重畳動画像における前記プレイヤが占める領域にしたがって前記ゲームキャラクタを移動させることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
撮影装置でプレイヤを撮影したプレイヤ動画像の入力を受け付けるプレイヤ動画像受付手段と、
前記プレイヤ動画像を鏡面処理する鏡面動画像処理手段とをさらに備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記領域抽出手段は、あらかじめ取得したプレイヤが含まれない画像とプレイヤ動画像との差分に基づいてプレイヤが占める領域を抽出することを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムであって、
前記表示制御手段は、前記プレイヤが含まれない画像を取得するために、前記撮影装置の撮影範囲外に出るようにプレイヤに促す画像を前記表示装置に表示させることを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記制御手段は、前記ゲームキャラクタを画面片側に設けた1または複数のスタート地点から登場させ、他方の片側に設けた1または複数のゴールに向けて移動させることを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理システムであって、
前記制御手段は、前記ゲームキャラクタの進行方向前面の領域および前記ゲームキャラクタの下面の領域において前記プレイヤが占める領域があるかどうかを判断することを特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理システムであって、
前記制御手段は、前記ゲームキャラクタの下面に前記プレイヤが占める領域がない場合には、前記ゲームキャラクタを落下させることを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
請求項6に記載の情報処理システムであって、
前記制御手段は、前記ゲームキャラクタの前面に前記プレイヤが占める領域がある場合には、前記ゲームキャラクタを進行方向斜め上方に移動させることを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
撮影装置と表示装置とが接続される情報処理装置で実行可能なプログラムであって、
前記撮影装置で撮影したプレイヤを含む動画像に基づく鏡面動画像からプレイヤが占める領域を抽出する領域抽出手段と、
ゲームキャラクタを含むコンピュータ画像を生成する制御手段と、
前記鏡面動画像と、前記コンピュータ画像とを重ねた重畳動画像を表示装置に表示させる表示制御手段として情報処理装置を機能させ、
前記制御手段は、前記重畳動画像における前記プレイヤが占める領域にしたがって前記ゲームキャラクタを移動させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムであって、
前記撮影装置でプレイヤを撮影したプレイヤ動画像の入力を受け付けるプレイヤ動画像受付手段と、
前記プレイヤ動画像を鏡面処理する鏡面動画像処理手段として情報処理装置をさらに機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項9に記載のプログラムであって、
前記領域抽出手段は、あらかじめ取得したプレイヤが含まれない画像とプレイヤ動画像との差分に基づいてプレイヤが占める領域を抽出することを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムであって、
前記表示制御手段は、前記プレイヤが含まれない画像を取得するために、前記撮影装置の撮影範囲外に出るようにプレイヤに促す画像を前記表示装置に表示させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項9に記載のプログラムであって、
前記制御手段は、前記ゲームキャラクタを画面片側に設けた1または複数のスタート地点から登場させ、他方の片側に設けた1または複数のゴールに向けて移動させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムであって、
前記制御手段は、前記ゲームキャラクタの進行方向前面の領域および前記ゲームキャラクタの下面の領域において前記プレイヤが占める領域があるかどうかを判断することを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項13に記載のプログラムであって、
前記制御手段は、前記ゲームキャラクタの下面に前記プレイヤが占める領域がない場合には、前記ゲームキャラクタを落下させることを特徴とするプログラム。
【請求項16】
請求項13に記載のプログラムであって、
前記制御手段は、前記ゲームキャラクタの前面に前記プレイヤが占める領域がある場合には、前記ゲームキャラクタを進行方向斜め上方に移動させることを特徴とする情報処理システム。
【請求項17】
請求項9〜16のいずれか一項に記載されたプログラムを記録した情報処理装置読み取り可能な記録媒体。
【請求項18】
撮影装置と表示装置とが接続される情報処理装置におけるゲームキャラクタ移動制御方法であって、
前記撮影装置で撮影したプレイヤを含む動画像に基づく鏡面動画像からプレイヤが占める領域を抽出する領域抽出処理と、
ゲームキャラクタを含むコンピュータ画像を生成する制御処理と、
前記鏡面動画像と、前記コンピュータ画像とを重ねた重畳動画像を表示装置に表示させ、前記重畳動画像における前記プレイヤが占める領域を通行路と見なして前記ゲームキャラクタを移動させる移動制御処理とを含むことを特徴とするゲームキャラクタ移動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−14874(P2006−14874A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194814(P2004−194814)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】