説明

情報処理装置、出力処理システム、及びコンピュータのプログラム

【課題】出力情報の所有者の代理人が、全ての出力情報を出力できてしまう不都合を防ぐ。
【解決手段】プリントサーバ10は、クライアント装置20から受信した印刷情報を格納し、利用者毎に、各利用者を代理する利用者を記憶し、格納される印刷情報を所有する利用者と、該利用者に関連づけて記憶される該利用者を代理する利用者のそれぞれに対して、印刷情報の出力を許可するか否かを記憶し、少なくとも1人の利用者を識別する識別情報とともに、格納される印刷情報を出力する要求をプリンタ30から受信する場合に、格納される印刷情報の中から、該識別情報により識別される利用者に対して出力が許可された印刷情報を検索し、検索された印刷情報をプリンタ30に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、出力処理システム、及びコンピュータのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷ジョブ等の印刷出力情報をプリントサーバに一旦蓄積し、プリンタでユーザが認証されると、そのユーザが所有する印刷出力情報をまとめてプリンタサーバからプリンタに転送して出力することがある。
【0003】
そして、印刷出力情報の所有者と、プリンタで印刷出力を受け取る者とが同一ではない場合にも対応するために、所有者の代理人を予め設定し、その予め定められた代理人にも印刷出力情報の出力を許可するという技術が提案されている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2006−4047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出力する情報の所有者と所有者の代理人を設定し、その予め定められた代理人にも情報の出力を許可する場合、所有者の代理人が全ての情報を出力できてしまうため不都合が生じることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の情報処理装置の発明は、処理される情報を格納する格納手段と、利用者毎に、該利用者を代理する利用者を関連づけて記憶する代理人記憶手段と、前記格納手段に格納される情報毎に、該情報を所有する利用者と該利用者に関連づけて前記代理人記憶手段に記憶される該利用者を代理する利用者とのそれぞれに対して、該情報の出力を許可するか否かを示す許可情報を記憶する許可情報記憶手段と、利用者を識別する利用者識別情報とともに、前記格納手段に格納される情報を出力する要求を所定の装置から受信する場合に、該利用者識別情報と前記許可情報とに基づき出力が許可される情報を検索する検索手段と、前記検索手段により検索された情報を前記所定の装置に転送する転送手段と、を含むことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記許可情報記憶手段は、前記利用者のそれぞれに対して、利用時の状況に応じて前記情報の出力を許可する状況許可情報をさらに記憶し、前記検索手段は、利用者を識別する利用者識別情報とともに、前記格納手段に格納される情報を出力する要求を所定の装置から受信する場合に、該利用者識別情報と前記許可情報と前記状況許可情報とに基づき出力が許可される情報を検索する、ことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の情報処理装置において、前記状況許可情報は、前記利用者のそれぞれに対して、期間に応じて前記情報の出力を許可する情報である、ことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の情報処理装置において、前記状況許可情報は、前記利用者が不在か否かに応じて前記情報の出力を許可する情報である、ことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の情報処理装置において、前記格納手段に格納される情報は、端末装置から受信した情報であり、前記状況許可情報は、前記情報を前記端末装置から受信してからの経過時間に応じて前記情報の出力を許可する情報である、ことを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置において、前記許可情報記憶手段に記憶される前記利用者のそれぞれに対して、前記情報の出力を許可するか否かを変更する許可情報変更手段、をさらに含む、ことを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載のコンピュータのプログラムの発明は、処理される情報を格納する格納手段、利用者毎に、該利用者を代理する利用者を関連づけて記憶する代理人記憶手段、前記格納手段に格納される情報毎に、該情報を所有する利用者と該利用者に関連づけて前記代理人記憶手段に記憶される該利用者を代理する利用者とのそれぞれに対して、該情報の出力を許可するか否かを示す許可情報を記憶する許可情報記憶手段、利用者を識別する利用者識別情報とともに、前記格納手段に格納される情報を出力する要求を所定の装置から受信する場合に、該利用者識別情報と前記許可情報とに基づき出力が許可される情報を、前記許可情報記憶手段から検索する検索手段、及び、前記検索手段により検索された情報を前記所定の装置に転送する転送手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の出力処理システムの発明は、端末装置と、出力処理装置と、出力装置とを含み、前記端末装置は、出力情報を前記出力処理装置に送信する送信手段、を含み、前記出力処理装置は、前記送信手段により送信された出力情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された出力情報を格納する格納手段と、前記格納手段に格納される出力情報毎に、該出力情報を所有する利用者と該利用者に関連づけて前記代理人記憶手段に記憶される該利用者を代理する利用者とのそれぞれに対して、前記出力情報の出力を許可するか否かを示す許可情報を記憶する許可情報記憶手段と、を含み、前記出力装置は、前記出力処理装置に、利用者を識別する利用者識別情報を送信するとともに、前記格納手段に格納される出力情報の出力を要求する要求手段、を含み、前記出力処理装置は、さらに、前記要求手段による要求とともに送信された前記利用者識別情報と前記許可情報とに基づき出力が許可される出力情報を検索する検索手段と、前記検索手段により検索された出力情報を前記出力装置に転送する転送手段と、を含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、所有者の代理人が全ての情報を出力できてしまう不都合を防ぐことが可能となる。
【0014】
請求項2の発明によれば、情報の所有者及びその代理人に対して、利用時の状況に応じた情報の出力権限を制御できる。
【0015】
請求項3の発明によれば、期間に応じて、情報の所有者及びその代理人に対して、情報の出力権限を変更できる。
【0016】
請求項4の発明によれば、情報の所有者が不在か否かに応じて、情報の所有者及びその代理人に対して、情報の出力権限を変更できる。
【0017】
請求項5の発明によれば、情報を受信してからの経過時間に応じて、情報の所有者及びその代理人に対して、情報の出力権限を変更できる。
【0018】
請求項6の発明によれば、情報が蓄積された後でも、情報の所有者や代理人に対して付与された情報の出力権限を変更することができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、所有者の代理人が全ての情報を出力できてしまう不都合を防ぐように、コンピュータを機能させることができる。
【0020】
請求項8の発明によれば、所有者の代理人が全ての出力情報を出力できてしまう不都合を防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の実施の形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0022】
図1には、本実施形態に係るプリントシステム1のシステム構成図を示す。図1に示されるように、プリントシステム1は、クライアント装置20、プリントサーバ10、プリンタ30、及び認証サーバ40を含む。クライアント装置20、プリントサーバ10、プリンタ30、及び認証サーバ40は、それぞれネットワーク50を介して相互に通信する。
【0023】
クライアント装置20は、ユーザにより操作される端末装置である。そして、クライアント装置20は、ユーザによる印刷指示に応じて、アプリケーションデータ等から印刷データを生成する。そして、クライアント装置20は、生成した印刷データをプリントサーバ10に送信する。
【0024】
プリントサーバ10は、プリントシステム1における印刷処理対象の情報の処理を行う印刷処理装置である。プリントサーバ10は、クライアント装置20から受信した印刷データを、その印刷データの所有者であるユーザ、及び所有者の代理人であるユーザの情報とともに管理する。そして、プリントサーバ10では、管理される印刷データについて、その所有者及び代理人のそれぞれに対して、プリンタ30での出力を許可するか否かの情報を記憶する。なお、この代理人、及び印刷データの情報管理の詳細に関しては、後述する。
【0025】
プリントサーバ10は、プリンタ30から、認証されたユーザの情報とともに印刷データの転送要求を受けると、そのユーザが所有者又は代理人となっている印刷データで、そのユーザに出力が許可されているものを検索する。そして、プリントサーバ10は、検索された印刷データをプリンタ30に転送する。
【0026】
プリンタ30は、印刷データに基づいて画像を形成して出力する装置である。プリンタ30は、入力されたユーザ情報に基づき認証サーバ40にユーザ認証を要求する。そして、認証サーバ40により正しいユーザとして認証されると、プリンタ30は、認証されたユーザが出力できる印刷データをプリントサーバ10に問い合わせる。そして、プリンタ30は、上記の問い合わせに応じてプリントサーバ10から転送された印刷データを受信する。そして、プリンタ30は、受信した印刷データに基づいて、印刷用紙に画像を形成して出力する。
【0027】
上記の処理を実現するために、プリントサーバ10が備える構成の一例を以下に説明する。
【0028】
図2には、プリントサーバ10の機能ブロック図を示す。図2に示されるように、プリントサーバ10は、機能的な構成として、通信部100、ユーザ情報記憶部102、印刷データ記憶部104、許可情報設定部106、及び印刷データ検索部108を含む。各部は、CPU(中央処理装置)、メモリ、ネットワークインターフェース(NIC)等のコンピュータシステムを構成する一般的なハードウェアにより実現されるものである。
【0029】
例えば、通信部100は、NICにより実現されるものであり、他の情報通信機器とTCP/IPのプロトコルにより通信を行うものとしてよい。また、ユーザ情報記憶部102、印刷データ記憶部104は、それぞれメモリ(RAM,ROM等を含む)やハードディスク等の記憶手段により実現されるものとしてよい。そして、許可情報設定部106、及び印刷データ検索部108は、CPUがメモリやハードディスク等に格納されるプログラムに含まれる命令に従ってプリントサーバ10の各部を制御することで実現されるものとしてよい。また、上記のプログラムは、CD−ROM、DVD−ROM、フラッシュメモリ又はその他あらゆる形態の情報記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよい。その場合には、プリントサーバ10に接続された媒体読取装置により、情報記憶媒体からプログラムが読み込まれる。また、上記のプログラムは、ネットワークを介してダウンロードされるものとしても構わない。
【0030】
通信部100では、クライアント装置20、及びプリンタ30との情報の送受信が行われる。上述したように、通信部100は、例えば、ネットワークインターフェースにより実現される。
【0031】
ユーザ情報記憶部102では、ユーザ毎の代理人が記憶される。ユーザの代理人には、そのユーザが所有する印刷データをプリンタ30において出力する権限を付与することができる。ユーザが所有する印刷データとは、そのユーザが操作するクライアント装置20により生成され、プリントサーバ10に送信された印刷データである。以下、印刷データを所有するユーザを、印刷データの所有者とする。印刷データの所有者情報は、印刷データのヘッダ部に格納される。
【0032】
図3には、ユーザ情報記憶部102で記憶される代理人設定テーブルの一例を示す。代理人設定テーブルとは、ユーザに関連づけて、そのユーザについて設定された代理人を記憶した情報テーブルのことである。
【0033】
図3に示されるように、代理人設定テーブルには、印刷データの所有者のユーザ名と、その所有者に対して当該印刷データの出力を許可するか否かを示す許可情報が関連づけて記憶される。通常は、所有者に対して、印刷データの出力は許可されるが、状況に応じては印刷データが出力できないようにすることも可能である。なお、許可情報は、例えば、1ビットの真偽値により、「True」ならば許可、「False」ならば拒否と対応付けて表してもよい。
【0034】
また、図3に示されるように、代理人設定テーブルには、印刷データの所有者の代理人についても、その代理人のユーザ名と、その代理人に対して当該印刷データの出力を許可するか否かを示す許可情報が関連づけて記憶される。代理人設定テーブルに記憶される代理人の数は、1人に限られず、複数人であってもよい。また、ユーザについて代理人を設定しないこととしても構わない。このように、代理人設定テーブルは、ユーザ毎に設定される。そして、各々の代理人設定テーブルは、ユーザ情報記憶部102において記憶される。
【0035】
印刷データ記憶部104では、印刷データと、各印刷データの所有者及び所有者の代理人の情報が記憶される。図4には、印刷データ記憶部104に記憶される印刷情報テーブルの一例を示す。印刷情報テーブルとは、印刷データ毎に、その印刷データの所有者、所有者の代理人の情報、及び所有者と代理人のそれぞれに対する許可情報を関連づけて記憶した情報テーブルである。
【0036】
図4に示されるように、印刷情報テーブルには、処理される情報である印刷データを識別する印刷データIDと、印刷データの所有者及び代理人のそれぞれのユーザ名と、各ユーザに対してその印刷データの出力を許可するか否かを示す許可情報が関連づけられて記憶される。
【0037】
印刷データ記憶部104に記憶される印刷情報テーブルは、ユーザ情報記憶部102に記憶される代理人設定テーブルのデータに基づいて生成される。すなわち、印刷情報テーブルに格納される値の初期値は、代理人設定テーブルに記憶される値に基づいて生成される。例えば、「ユーザA」の操作するクライアント装置20で生成された印刷データが、プリントサーバ10に送信されたとする。プリントサーバ10では、印刷データのヘッダ部を参照して、受信した印刷データの所有者が「ユーザA」であることを特定する。そして、プリントサーバ10では、特定された「ユーザA」についての代理人設定テーブルを参照し、「ユーザB」及び「ユーザC」を、「ユーザA」の代理人として設定し、印刷情報テーブルを生成する。
【0038】
印刷情報テーブルに格納される各値は、その後変更されることとしてよい。図4(B)には、図4(A)に示される印刷情報テーブルのうち印刷データ「0001」について情報を更新した一例を示す。図4(B)に示される印刷情報テーブルの印刷データ「0001」に関して、「ユーザB」の許可情報が変更され、さらに、代理人の欄に「ユーザD」が追加されている。印刷情報テーブルの値の変更は、以下に説明する許可情報設定部106により行われる。
【0039】
許可情報設定部106では、印刷情報テーブルに格納されるデータが更新される。許可情報設定部106では、クライアント装置20からアクセスされると、印刷情報テーブルに記憶されるデータを閲覧可能とした表示データを、通信部100により返信する。表示データは、例えば、HTML等の公知の言語を用いて生成することとしてよい。また、上記の表示データは、クライアント装置20が所定のユーザ認証を通過した場合に、そのユーザが所有する印刷データに関する印刷情報テーブルのみを返信することとしてもよい。
【0040】
そして、クライアント装置20では、表示された印刷情報テーブルのデータの中から値を更新するものを選択する。そして、クライアント装置20では、ユーザの入力に応じて、選択された代理人のユーザ名や、所有者又は代理人に対する印刷データの許可情報を更新する。また、印刷情報テーブルには、代理人を新たに追加することとしてもよい。
【0041】
印刷データ検索部108では、プリンタ30に入力されたユーザ情報に基づき認証サーバ40で認証されたユーザ名とともに、印刷データをプリンタ30に転送する要求を通信部100により受信すると、受信されたユーザ名を検索キーとして、印刷データ記憶部104に記憶される印刷情報テーブルを検索する。この検索は、受信したユーザ名に関連づけて出力が許可されている印刷データを検索することで行われる。本実施形態における印刷データの検索処理の一例を以下に説明する。
【0042】
印刷データ検索部108では、印刷データ記憶部104に記憶される各印刷データの印刷情報テーブルが参照される。そして、印刷データ検索部108は、参照した印刷情報テーブルにおいて、受信したユーザ名に対して、印刷出力が許可されている印刷データのIDを検索する。そして、印刷データ検索部108は、検索された印刷データのIDに基づいて、印刷データ記憶部104に記憶されている印刷データの実体データを読み込む。そして、プリントサーバ10は、印刷データ検索部108で検索され、読み込まれた印刷データを、通信部100を介してプリンタ30に転送する。
【0043】
以下、図5に示されるシーケンス図を参照しながら、プリントシステム1における印刷データの出力処理の流れを説明する。
【0044】
クライアント装置20が、プリントサーバ10にアクセスし、ユーザの代理人情報を登録する(S101)。本実施形態では、クライアント装置20を操作するユーザが、そのユーザについての代理人をプリントサーバ10に入力する。
【0045】
プリントサーバ10は、クライアント装置20から入力された代理人情報に基づいて、ユーザの代理人設定テーブルを生成する(S102)。生成された代理人設定テーブルは、ユーザ情報記憶部102に記憶される。
【0046】
クライアント装置20は、ユーザから印刷要求を受けると、アプリケーションデータ等に基づいて印刷データを生成する。そして、クライアント装置20は、生成した印刷データをプリントサーバ10に送信する(S103)。
【0047】
プリントサーバ10は、クライアント装置20により送信された印刷データを受信する。そして、プリントサーバ10は、受信した印刷データと、ユーザ情報記憶部102に記憶されている代理人設定テーブルと、に基づいて、印刷情報テーブルを生成する(S104)。印刷情報テーブルは、印刷データの所有者、代理人設定テーブルに所有者に関連づけて記憶される代理人の情報に従って生成される。
【0048】
次に、ユーザがプリンタ30を操作して、印刷出力を要求する際の処理について説明する。
【0049】
ユーザが、プリンタ30にユーザ情報を入力しプリンタ30が認証サーバ40に対し入力されたユーザ情報に基づき認証を行い(S105)、プリントサーバ10に蓄積されている印刷データの出力を要求する。ユーザ認証は、パスワード認証、生体認証やICカードを利用した認証等の様々な形態の認証方式のいずれか、又は、それらを組み合わせたものであってもよい。そして、プリンタ30は、ユーザ認証を通過したユーザのユーザ名をプリントサーバ10に送信する(S106)。
【0050】
プリントサーバ10は、プリンタ30により送信されたユーザ名を受信する。そして、プリントサーバ10は、受信したユーザ名を検索キーとして、印刷データ記憶部104に記憶される印刷情報テーブルの中から、当該ユーザ名について印刷出力が許可された印刷データを検索する(S107)。ここで検索されるのは、当該ユーザが所有者又は代理人として出力が許可されている印刷データである。
【0051】
プリントサーバ10は、検索された印刷データを、プリンタ30に転送する(S108)。ここで、印刷データが複数検索された場合には、その複数の印刷データを一括して、又は順次プリンタ30に送信する。
【0052】
プリンタ30は、プリントサーバ10から転送された印刷データを受信する。そして、プリンタ30は、受信した印刷データに基づいて生成されるイメージを印刷用紙に形成し出力する(S109)。
【0053】
以下、本実施形態の変形例について説明する。
【0054】
ユーザ情報記憶部102に記憶される代理人設定テーブルや、印刷データ記憶部104に記憶される印刷データ毎の印刷情報テーブルは、クライアント装置20からプリントサーバ10にアクセスして情報を入力することで直接に更新できる。また、各テーブルの情報は、直接に更新する以外にも、以下のようにして更新することとしてもよい。
【0055】
プリントサーバ10は、各ユーザに対する許可情報と、時間や日付又は期間に応じた状況許可情報とに基づいて出力許否の判断を行ってもよい。状況許可情報とは、ユーザのそれぞれに対して、状況に応じて、情報の出力を許可(又は拒否)するか否かを決定するために用いられる情報である。以下、図6(A)を参照しつつ説明する。
【0056】
図6(A)に示されるように、印刷情報テーブルに、各代理人に対して出力を許可する時間帯を関連づけて記憶する。そして、プリントサーバ10は、所有者または代理人が利用する際に、印刷情報テーブルに記憶される時間帯の情報と各ユーザに対する許可情報とに基づいて、各代理人に対する印刷データの出力許否を判断する。例えば、図6(A)において、印刷データの所有者である「ユーザA」に対しては、「ユーザA」がどの時間に出力要求が行われても出力を許可する。また、代理人である「ユーザB」の出力要求に対しては、9:00−12:00の時間帯にのみ出力要求が行われた際に印刷データの出力を許可する。そして、それ以外の時間帯においては、印刷データの出力を拒否するように制御する。そして、代理人である「ユーザC」に対しては、13:00−17:00までの間は許可される旨の情報が記述されているが、許可情報が「×(False)」であり許可されていないので、たとえ13:00−17:00の間に出力要求が行われても、「ユーザC」に対しては印刷データの出力が許可されないように制御する。また、印刷情報テーブルにおいて、所有者及び各代理人に対して出力を許可する時間等の指定は、上記の時間帯による指定に限らず、曜日、日付等により指定することとしてもよい。
【0057】
また、プリントサーバ10は、各ユーザに対する許可情報と、ユーザが不在か否かに応じた状況許可情報とに基づいて、印刷データの出力を要求するユーザに対する出力の許否を制御することとしてもよい。図6(B)には、上記の状況許可情報が格納された印刷情報テーブルの一例を示す。ここで、ユーザが不在であるとは、ユーザが外出する等により、プリンタ30から出力される印刷物を取得できない状態にあることをいう。
【0058】
ユーザが不在であるか否かの情報は、入退室管理サーバにより管理されるユーザの入退室情報に基づいて判断することとしてよい。入退室管理サーバは、オフィスへの入室時、及び退室時に読み取られるユーザのICカードの情報に基づいて、各ユーザの入退室情報を管理するデータベースを保有する。そして、プリントサーバ10は、入退室管理サーバにアクセスして、入退室管理サーバが保有するデータベースからユーザの入退室情報を取得する。そして、プリントサーバ10は、取得したユーザの入退室情報が「退室」を示す場合に、そのユーザが所有する印刷データの印刷情報テーブルに指定された少なくとも一部の代理人に印刷出力を許可するようにしてもよい。そして、プリントサーバ10は、取得したユーザの入退室情報が再び「入室」に戻った場合には、そのユーザが所有する印刷データの印刷情報テーブルに指定された代理人に印刷出力を許可しないように制御するようにしてもよい。
【0059】
印刷データの所有者が「退室」の間のみ、他の代理人に印刷データの出力を許可するとした場合には、以下のように印刷データの出力要求が処理される。すなわち、図6(B)に示されるように、印刷データ「0001」の所有者である「ユーザA」が「退室」しているので、代理人である「ユーザB」からの印刷データ「0001」の出力要求は許可するようにプリントサーバ10が制御される。ここで、「ユーザA」が「入室」の状態に変更されると、「ユーザB」からの印刷データ「0001」の出力要求は許可しないようにプリントサーバ10が制御される。また、ユーザのうち「退室」しているものには、たとえ許可情報が「○(True)」となっていても、出力を許可しないようにプリントサーバ10を制御するようにしてもよい。
【0060】
また、ユーザが不在であるか否かの情報は、ユーザがコンピュータシステムへログインしているか否かに基づいて判断してもよい。すなわち、プリントサーバ10は、ユーザのコンピュータシステムへのログイン情報に応じて、当該ユーザの代理人に対する許可情報を更新してもよい。この場合、プリントサーバ10は、コンピュータシステムへのログインを管理する管理サーバにアクセスする。そして、ユーザがコンピュータシステムにログインしていない場合には、そのユーザが所有する印刷データの印刷情報テーブルに指定された少なくとも一部の代理人に印刷出力を許可するようにしてもよい。そして、ユーザがログインした場合には、そのユーザが所有する印刷データの印刷情報テーブルに指定された代理人に対して印刷出力を許可しないように情報を更新するようにしてもよい。
【0061】
また、プリントサーバ10は、印刷データを受信してからの経過時間に応じて、印刷情報テーブルの利用者に対する出力許否を制御するようにしてもよい。すなわち、クライアント装置20から送信された印刷データの受信時刻をプリンタサーバ10が記憶しておき、利用者がプリントサーバ10に任意の印刷データの出力要求を行った場合、前記記憶された受信時刻からの経過時間が所定の時間を経過した場合に、印刷情報テーブルに指定された少なくとも一部の代理人に対して、印刷出力を許可するようにしてもよい。この場合には、印刷データ毎に、所定の時間をそれぞれ設定するようにしてもよい。また、経過時間には、クライアント装置20が印刷データを送信してからの経過時間を用いてもよい。
【0062】
また、印刷情報テーブルに、印刷データの所有者や各代理人に、印刷データの出力を許可する回数をさらに記憶するようにしてもよい。そして、許可される回数を超過した際には、その印刷データについては、プリントサーバ10からプリンタ30に転送しないように処理するようにしてもよい。
【0063】
上記の本実施形態では、プリンタ30と認証サーバ40がネットワーク50を介して接続されるそれぞれ別個の構成として説明したが、認証サーバ40のユーザ認証機能をプリンタ30に備えさせることにより、認証サーバを不要とする構成としてもよい。
【0064】
また、上記の本実施形態では、クライアント装置20から印刷データをプリントサーバ10に送信し、プリンタ30または認証サーバ40においてユーザまたはその代理人として認証されることにより前記プリントサーバ10に管理される印刷データをプリンタ30に印刷させる一連の処理について説明したが、これに限られるものではない。本発明は、クライアント装置からネットワークを介して接続されたサーバ装置に文書情報を送信し、ネットワークを介して接続される他の装置において、前記文書情報の所有者であるユーザまたはその代理人として認証されると前記他の装置で前記文書情報を電子的に取得できるようなシステムに広く適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】プリントシステムのシステム構成図である。
【図2】プリントサーバの機能ブロック図である。
【図3】代理人設定テーブルの一例を示す図である。
【図4】印刷情報テーブルの一例を示す図である。
【図5】プリントシステムにおける印刷データの出力処理のシーケンス図である。
【図6】印刷情報テーブル、及びユーザの入退室情報の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 プリントシステム、10 プリントサーバ、20 クライアント装置、30 プリンタ、40 認証サーバ、50 ネットワーク、100 通信部、102 ユーザ情報記憶部、104 印刷データ記憶部、106 許可情報設定部、108 印刷データ検索部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理される情報を格納する格納手段と、
利用者毎に、該利用者を代理する利用者を関連づけて記憶する代理人記憶手段と、
前記格納手段に格納される情報毎に、該情報を所有する利用者と該利用者に関連づけて前記代理人記憶手段に記憶される該利用者を代理する利用者とのそれぞれに対して、該情報の出力を許可するか否かを示す許可情報を記憶する許可情報記憶手段と、
利用者を識別する利用者識別情報とともに、前記格納手段に格納される情報を出力する要求を所定の装置から受信する場合に、該利用者識別情報と前記許可情報とに基づき出力が許可される情報を検索する検索手段と、
前記検索手段により検索された情報を前記所定の装置に転送する転送手段と、
を含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記許可情報記憶手段は、
前記利用者のそれぞれに対して、利用時の状況に応じて前記情報の出力を許可する状況許可情報をさらに記憶し、
前記検索手段は、
利用者を識別する利用者識別情報とともに、前記格納手段に格納される情報を出力する要求を所定の装置から受信する場合に、該利用者識別情報と前記許可情報と前記状況許可情報とに基づき出力が許可される情報を検索する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記状況許可情報は、前記利用者のそれぞれに対して、期間に応じて前記情報の出力を許可する情報である、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記状況許可情報は、前記利用者が不在か否かに応じて前記情報の出力を許可する情報である、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記格納手段に格納される情報は、端末装置から受信した情報であり、
前記状況許可情報は、前記情報を前記端末装置から受信してからの経過時間に応じて前記情報の出力を許可する情報である、
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記許可情報記憶手段に記憶される前記利用者のそれぞれに対して、前記情報の出力を許可するか否かを変更する許可情報変更手段、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
処理される情報を格納する格納手段、
利用者毎に、該利用者を代理する利用者を関連づけて記憶する代理人記憶手段、
前記格納手段に格納される情報毎に、該情報を所有する利用者と該利用者に関連づけて前記代理人記憶手段に記憶される該利用者を代理する利用者とのそれぞれに対して、該情報の出力を許可するか否かを示す許可情報を記憶する許可情報記憶手段、
利用者を識別する利用者識別情報とともに、前記格納手段に格納される情報を出力する要求を所定の装置から受信する場合に、該利用者識別情報と前記許可情報とに基づき出力が許可される情報を、前記許可情報記憶手段から検索する検索手段、及び、
前記検索手段により検索された情報を前記所定の装置に転送する転送手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項8】
端末装置と、出力処理装置と、出力装置とを含み、
前記端末装置は、
出力情報を前記出力処理装置に送信する送信手段、を含み、
前記出力処理装置は、
前記送信手段により送信された出力情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された出力情報を格納する格納手段と、
前記格納手段に格納される出力情報毎に、該出力情報を所有する利用者と該利用者に関連づけて前記代理人記憶手段に記憶される該利用者を代理する利用者とのそれぞれに対して、前記出力情報の出力を許可するか否かを示す許可情報を記憶する許可情報記憶手段と、を含み、
前記出力装置は、
前記出力処理装置に、利用者を識別する利用者識別情報を送信するとともに、前記格納手段に格納される出力情報の出力を要求する要求手段、を含み、
前記出力処理装置は、さらに、
前記要求手段による要求とともに送信された前記利用者識別情報と前記許可情報とに基づき出力が許可される出力情報を検索する検索手段と、
前記検索手段により検索された出力情報を前記出力装置に転送する転送手段と、を含む、
ことを特徴とする出力処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−158611(P2008−158611A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343884(P2006−343884)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】