情報出力装置、プログラム及び情報出力システム
【課題】背景画像に対して状態が変化する物体を明確に区別し、ユーザが指示する箇所の検出精度を高めること。
【解決手段】カメラより入力される第1の取込み画像と、第1の取込み画像より所定のフレーム数だけ遅れて入力する第2の取込み画像を比較し、撮像範囲の内部で状態が変化する物体の所定のフレーム数における第1及び第2の取込み画像の差分を、差分領域検出部12で検出する。そして検出した物体の差分領域の一部が、撮像範囲に予め設けられた検知領域に重なった場合に、その重なった検知領域に関連付けられる提供情報を提供情報データベース14から読出し、提供情報を重ねた背景画像を画像出力部17に出力する。その後、背景画像に重ねられた提供情報の位置及び形状を差分領域検出部12に知らせて、差分領域検出部12が提供情報の差分を検出しないように、提供情報無効化部15で提供情報を無効化する。
【解決手段】カメラより入力される第1の取込み画像と、第1の取込み画像より所定のフレーム数だけ遅れて入力する第2の取込み画像を比較し、撮像範囲の内部で状態が変化する物体の所定のフレーム数における第1及び第2の取込み画像の差分を、差分領域検出部12で検出する。そして検出した物体の差分領域の一部が、撮像範囲に予め設けられた検知領域に重なった場合に、その重なった検知領域に関連付けられる提供情報を提供情報データベース14から読出し、提供情報を重ねた背景画像を画像出力部17に出力する。その後、背景画像に重ねられた提供情報の位置及び形状を差分領域検出部12に知らせて、差分領域検出部12が提供情報の差分を検出しないように、提供情報無効化部15で提供情報を無効化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、デジタルサイネージ(電子看板)として、物体毎に異なる情報を提供する場合に適用して好適な情報出力装置、プログラム及び情報出力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、街角や電車内等に液晶ディスプレイが設定され、時間によって様々な情報を乗客等に提供するデジタルサイネージが一般に知られるようになった。デジタルサイネージは、静止画だけでなく、動画についても多くの印象的なコンテンツが提供されるようになっている。
【0003】
デジタルサイネージの一種に、壁面に沿って移動する通行人の移動速度に合わせて、通行人毎に個別の情報を提供する情報出力システムがある。この情報出力システムは、通行人を含めて壁面を撮影するカメラと、カメラが取り込んだ映像から通行人が含まれる箇所を検出する情報出力装置と、壁面に「提供情報」を表示するプロジェクタ装置と、を備えて構成される。そして、情報提供システムは、検出した通行人の移動速度に合わせて個別の映像を「提供情報」として再生するため、通行人毎にそれぞれ内容が異なる情報を提示することが可能である。
【0004】
特許文献1には、プラスチックスクリーンの背面を撮影して、人間の手によって赤外光が遮光された領域を検出し、この遮光領域の中心座標をスクリーン上でのタッチ位置として検出する技術が開示されている。
【0005】
また、従来、カメラが撮像した複数のフレーム毎に被写体のフレーム間差分を検出して、複数のフレーム間に渡って画面内における位置座標が変わる「移動体」を検出するフレーム間差分検知方法が知られている。ここで、複数のフレーム間に渡って移動体として検出されない部分を「静止体」と呼ぶ。
このフレーム間差分検知方法は、複数のフレーム間における物体の差分(色も含む。)が生じた箇所を検知することによって、移動体と静止体を区別する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−299434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のフレーム間差分検知方法では、物体が移動した結果、壁面に表示される個別の提供情報(再生される映像)についても移動体として誤認識することがあった。このため、情報出力装置が、壁面に投影される提供情報を移動体であると認識すると、誤認識したそれぞれの提供情報について新たに別の提供情報を壁面に表示させる可能性があり、ユーザにとって自身に向けられた提供情報がどれであるのか認識しづらいという問題があった。
【0008】
また、特許文献1に記載された技術では、スクリーンの背面に遮光領域を検出するための空間が必要であり、設置する場所が限られていた。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、背景画像に対して状態が変化する物体を明確に区別し、ユーザが指示する箇所の検出精度を高めることができる情報出力装置、プログラム及び情報出力システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明情報出力装置では、所定の大きさの表示領域に背景画像を表示する表示部に前記背景画像を出力する画像出力部を設ける。この表示される背景画像の内、所定の大きさの撮像範囲を被写体としてカメラで撮像して第1の取込み画像を得るとともに、この第1の取込み画像より所定のフレーム数だけ遅れて同じ撮像範囲の被写体をカメラで撮像した第2の取込み画像を得る。そして、この第1の取込み画像と第2の取込み画像を比較し、上述の撮像範囲の内部で状態が変化する物体の所定のフレーム数における第1の取込み画像と第2の取込み画像の差分を差分領域検出部で検出する。この第1の取込み画像と第2の取込み画像の差分が所定の閾値を超えたときに、差分領域検出部は差分領域があると判定する。
【0011】
また、撮像範囲の中には予め設けられたいくつかの検知領域が設けられており、この検知領域の一部が、第1の取込み画像と第2の取込み画像の差分が閾値を超えた差分領域と重なった場合に、この検知領域に関連付けられる提供情報を提供情報データベースから読出し、提供情報を重ねた背景画像を表示部に出力する。
そして、背景画像に重ねられた提供情報の位置及び形状を差分領域検出部に知らせることによって、差分領域検出部が提供情報を差分として(つまり、被写体の動きとして)検出しないように提供情報を無効化する。
【0012】
本発明のプログラムは、上記情報出力装置の各機能をコンピュータで実現させるために、コンピュータにインストールするプログラムである。
なお、本発明の情報出力システムは、上記情報出力装置の構成に所定の大きさの表示領域に背景画像を表示する表示部を加えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示画面の検知領域に状態が変化する物体(被写体)が入ると、その変化を差分領域として検出し、この検知領域に差分領域の一部が重なったことをトリガーとして、検知領域に関連づけられる提供情報を出力する。このとき、背景画像に重ねられた提供情報の位置及び形状を差分領域検出部に知らせることによって、差分領域検出部が提供情報の差分を検出しないようにしたため、差分領域の検出の際に、提供情報の影響が及ばないようにしている。これにより、状態が変化して差分領域として認識される物体を、背景画像に対して明確に区別することが可能となり、ユーザが指示する検知領域の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態における情報出力システムの外部構成例を示す外観図である。
【図2】本発明の一実施の形態における情報出力システムの内部構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態における情報出力システムが用いる各テーブルの構成例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態における画面内に物体が入らない場合における操作画面の表示例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態における画面内に物体が入る場合における操作画面の表示例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態における提供情報を表示領域に出力する場合における操作画面の表示例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態における提供情報無効化処理(マスク機能)の実行時における操作画面の表示例を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態における提供情報無効化処理(マスク機能)の詳細な動作例を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態における映像処理回路の処理例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施の形態における輝度変化に対応する情報出力システムの外部構成例を示す外観図である。
【図11】本発明の他の実施の形態における検知領域のバリエーションの例を示す外観図である。
【図12】本発明の他の実施の形態における情報出力システムの外部構成例を示す外観図である。
【図13】本発明の他の実施の形態における情報出力システムの外部構成例を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図9を参照して説明する。本実施の形態では、壁又はスクリーン等に映像を提示する情報出力システム1に適用した例(以下、「本例」という。)について説明する。
【0016】
図1は、本例の情報出力システム1の外観構成例を示す。
情報出力システム1は、映像が投影される表示領域5aの前を通過する物体(歩行者)の様子を表示領域5aと共にビデオ撮影するカメラ2と、カメラ2から受け取った映像に対して所定の処理を加える情報出力装置3と、情報出力装置3が出力する映像信号より、表示領域5aに向かって映像を投影する表示装置としてプロジェクタ装置4と、を備える。情報出力装置3には、例えば、パーソナルコンピュータ装置(PC:Personal Computer)が用いられる。表示領域5aには、例えば、スクリーン又は壁面が用いられる。
【0017】
情報出力装置3は、表示領域5aに対する物体の位置座標をリアルタイムで演算し、物体の動きに合わせて画像やメッセージ等をプロジェクタ装置4に投影させる機能を有する。カメラ2とプロジェクタ装置4は、表示領域5aに対向する壁面に取付けられる。また、カメラ2とプロジェクタ装置4は、カメラ2が撮像可能な範囲と、プロジェクタ装置4が映像を投影可能な範囲がほぼ等しくなるような位置に設置される。
【0018】
図2は、情報出力装置3の内部構成例を示す。
情報出力装置3は、カメラ2から取得した画像に各種の処理を施す映像処理回路6と、カメラ2から取得した画像や映像処理回路6が処理中の画像を表示する表示部7と、情報出力装置3に動作の指示を与える操作部8と、を備える。表示部7には、液晶ディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等が用いられる。また、操作部8には、キーボード、タッチパッド、コネクタ接続したマウス等が用いられる。
【0019】
映像処理回路6は、カメラ2から画像を取得する画像取得部11と、数フレーム間における画像を比較して画像の差分を検出する差分領域検出部12と、を備える。また、ユーザに提供する画像等の情報を記録する提供情報データベース14から提供情報を読み出して、後述する画像出力部17を介してプロジェクタ装置4に提供情報を出力する提供情報出力部13と、を備える。
【0020】
また、映像処理回路6は、提供情報出力部13から受け取った提供情報より、差分領域検出部12が検出する差分領域で無効化する箇所を特定する提供情報無効化部15を備える。また、映像処理回路6は、表示領域5aに表示される背景画像を記録する背景画像データベース16と、背景画像データベース16から読み出した背景画像をプロジェクタ装置4に出力する画像出力部17と、を備える。
【0021】
次に、各処理ブロックの動作を説明する。
画像取得部11は、カメラ2から受け取った映像を所定のフレーム数で取り込む処理(キャプチャ処理)を行う。ここで、カメラ2の撮像フレーム数と情報出力装置3が処理する映像の処理フレーム数は異なっていても、画像取得部11のキャプチャ処理によりフレーム数の差による影響は除かれる。また、画像取得部11は、映像に含まれる被写体の輪郭を強調する処理等を行うことにより、後段の処理ブロックが円滑に処理を行えるようにしている。
【0022】
差分領域検出部12は、表示領域5aに表示される背景画像5bの内、所定の大きさの撮像範囲を被写体として撮像するカメラ2から入力される第1の取込み画像を得るとともに、及び第1の取込み画像より所定のフレーム数だけ遅れてカメラ2から入力される入力する第2の取込み画像を得て、第1の取込み画像と第2の取込み画像を比較する。そして、撮像範囲で状態が変化する物体の所定のフレーム数における第1及び第2の取込み画像の差分が所定の閾値を超えたときに、物体の差分領域として検出する。
【0023】
提供情報出力部13は、撮像範囲に予め検知領域が設けられ、この検知領域に差分領域の一部が重なった場合に、差分領域の一部が重なった検知領域に関連付けられる提供情報を提供情報データベース14から読出す。提供情報データベース14は、内部テーブル(後述する図3参照)により実体関連モデル(Entity-Relationship Model)を構成する。そして、提供情報出力部13は、読み出した提供情報を画像出力部17に出力する。
【0024】
提供情報無効化部15は、背景画像5bに重ねられた提供情報の位置及び形状を差分領域検出部12に知らせることによって、差分領域検出部12が提供情報の差分を検出しないように提供情報を無効化する。これにより、動きのある提供情報が表示領域5aに投影されても、差分領域検出部12は、この提供情報の動きを差分領域として誤検出しなくなる。
【0025】
画像出力部17は、所定の大きさの表示領域5aに背景画像を表示するプロジェクタ装置4に背景画像を出力する。このとき、画像出力部17は、背景画像データベース16から背景画像を読み出し、提供情報出力部13から受け取った提供情報を重ねた背景画像をプロジェクタ装置4に出力する。
【0026】
図3は、提供情報データベース14における各テーブルの構成例を示す。
提供情報データベース14は、検知領域を個別に管理する検知領域テーブル14aと、提供情報データを個別に管理する提供情報テーブル14bを備える。検知領域テーブル14aは、背景画像5b内に設定される検知領域を個別に識別する検知領域IDフィールドと、背景画像5b内における検知領域の位置座標を格納する検知領域座標フィールドを備える。
【0027】
提供情報テーブル14bは、提供情報を個別に識別する提供情報IDフィールドと、提供情報IDに一意に関連づけられる提供情報データを格納する提供情報データフィールドと、どの検知領域IDに提供情報が関連づけられるかを指定する外部キーとしての検知領域IDフィールドを備える。これらのテーブルにより、検知領域には、提供情報が、1対1、1対多、又は多対1又は、多対多のうち、いずれかで関連付けられることとなる。
【0028】
次に、表示領域5aに表示される映像の例について図4〜図7を参照して説明する。図4〜図7に示される操作画面20は、情報出力装置3が備える表示部7に表示されるユーザ・インタフェースである。
【0029】
図4は、移動する物体が画面内に入らない場合における操作画面20の表示例を示す。
操作画面20には、画面中央から上部にかけてカメラ2が表示領域5aを撮像した背景画像5bと、この背景画像5bに設定される各種の領域、情報を可視化する表示領域21が表示される。そして、画面下部に各種の操作パラメータを入力する操作領域30が表示される。図4と図5の時点において、提供情報23は、背景画像5bの一部として表示領域5aに表示される。
【0030】
始めに、図2に示す映像処理回路6は、カメラ2が撮像した現在の表示領域5aに表示される画像を取り込み、背景画像5bとして操作画面20内に表示する。背景画像5bの四隅にはマーカ24が表示される。マーカ24は、背景画像5bと提供情報23が表示される範囲を指定するために用いられる。必要であれば背景画像5bの台形補正を行い、表示領域21内で背景画像5bが長方形で表示されるようにする。
【0031】
背景画像5bには、移動体として認識される差分領域が重なると提供情報23を表示領域5aに投影するトリガーとして機能する検知領域22a,22bと、ユーザに対して動画像等を示す提供情報23が含まれる。本例では、多数の検知領域が存在するものの、説明を簡単にするため、2つの検知領域22a,22bについて説明する。
【0032】
映像処理回路6は、カメラ2から画像を取り込んで背景画像5bとして表示すると共に、カメラ2で撮像している範囲内に検知領域22a,22bを設定する。また、検知領域22a,22bの大きさ、形状(長方形、円形、楕円形、不定形等)は、予め決定しておく。検知領域22a,22bは、実際に表示領域5aに投影される背景画像5bでは不図示としてあり、オペレータが操作画面20を介して表示部7に表示する場合以外では視認できない。
【0033】
提供情報23は、差分領域検出部12が差分領域を検出しない場合、背景画像5bの一部として表示領域5aに表示され続ける。しかし、検出された差分領域が検知領域22bに重なると、検知領域22bに関連づけられた提供情報23が背景画像5b内で所定の動作を行う。本例では、提供情報23として示されるロケットが背景画像5b内を斜め右方向に飛ぶような表示が行われる。
【0034】
操作領域30は、差分領域を検出するために取込み画像のフレーム間隔を表す処理間隔を定める処理間隔指定部31と、提供情報23を表示する処理の開始又は終了を指示する指示領域32と、を備える。また、操作画面20とは異なる外部エディタを起動する起動指示部33と、差分領域を二階調化して表示する二階調化表示部34と、背景画像5b内に含まれる提供情報23を白黒反転して表示する背景認識表示部35と、を備える。
【0035】
処理間隔指定部31は、フレーム間隔として、例えば43フレームを指定する。このフレーム間隔は自由に変えることができるため、移動速度が早い物体を移動体として検出する場合には、フレーム間隔を数十フレームから数フレームに狭める操作をすることが可能である。一方、フレーム間隔を広くすることによって、飛ぶ虫や鳥等を移動体として誤検出する可能性を小さくすることができる。
【0036】
指示領域32は、表示領域5aに背景画像5bと提供情報5cを投影する動作の開始又は終了をプロジェクタ装置4に指示する。また、電源オフを指示することにより、プロジェクタ装置4が行う背景画像5bと提供情報5cの投影を終えることもできる。
【0037】
起動指示部33は、操作画面20とは別のウィンドウ画面を表示し、各種の設定を行うことができる。起動指示部33には、背景画像5bと提供情報23を表示領域5aに表示する起動日時を指定するスケジューラ、提供情報23として表示される図形の種類、大きさ等の編集を行う提供情報エディタ、検知領域22a,22bの位置、大きさの編集を行うスイッチエディタが表示される。
【0038】
二階調化表示部34は、後述する二階調化処理によって得られた差分領域の画像を白黒で表示する。本例では、差分領域として検出される部分を白で表示し、差分領域として検出されない部分や動きが少ない部分を黒で表示するが、逆の色であってもよいし、他の二色を使ってもよい。二階調化表示部34で指定する「しきい値」は、任意に変えることが可能である。例えば、しきい値を低い値にすると、物体のわずかな動きであっても二階調化表示部34が差分領域を表示するが、しきい値を高い値にすると、物体が大きく動かなければ二階調化表示部34が差分領域を表示しない。
【0039】
背景認識表示部35は、差分領域が検知領域22bに重なって動き出す提供情報23を除いた背景画像5bを黒色で塗りつぶして表示する。このとき、状態が変化する提供情報23は白色で二階調化表示される。背景認識表示部35においても、塗りつぶされる白と黒の色は逆色であってもよいし、他の二色を使ってもよい。背景認識表示部35で指定する「ぼかし値」は、任意に変えることが可能である。ここで、ボールや虫等の小さな物体が移動体として誤検出されることを防ぐため、所定の画素領域より小さな領域で示される差分領域については、ぼかす処理を行うことにより、差分領域として認識しないようにしている。
【0040】
図5は、背景画像5b内に入った物体の表示例を示す。
ここでは、複数の画像を比較して差分を検出する処理について説明する。
まず、オペレータが指示領域32内の開始ボタンを押すことにより、キャプチャ処理を開始する(後述する図9におけるステップS4〜S9)。カメラ2は、表示領域5aに投影される背景画像5bと物体(本例では、人)を撮像する。情報出力装置3は、所定のフレーム間隔でカメラ2から取り込んだ第1及び第2の取込み画像を比較して差分領域25を検出し、この差分領域25を二階調化して二階調化表示部34に表示する。
【0041】
図6は、差分領域25が検知領域22bに重なって提供情報23を表示領域に出力する場合の表示例を示す。
情報出力装置3は、物体が左方向に移動してロケットの画像に触れる動作を行うと、触れる動作を行った腕の部分を撮像範囲の内部で状態が変化する物体を示す差分領域として検出する。
【0042】
そして、情報出力装置3は、差分領域と検知領域22bが重なったことを認識する。このとき、情報出力装置3は、表示領域5aに提供情報23として表示される提供情報データ(本例では、ロケット)を提供情報データベース14から読み出し、検知領域22bに対応した提供情報23を表示領域5aに出力する。そして、二階調化表示部34は、物体の差分画像を表示し、背景認識表示部35は、提供情報23として動き始めるロケット部分を除いた領域を背景として表示する。
【0043】
図7は、提供情報無効化処理(マスク機能)を実行した場合の表示例を示す。
背景画像5b内を提供情報23が動く場合に、提供情報23を誤って移動体として認識しないようにするため、情報出力装置3は、提供情報無効化処理を行うことにより、提供情報23をマスクする。
【0044】
提供情報無効化部15は、背景画像5bを黒色とし、検知領域22bに対応して出力される提供情報23(再生される映像)を白色とする二階調化処理を行う。そして、白色とした提供情報23を黒色に反転させた上で、黒色とした背景画像5bに反転した提供情報23を重ね合わることにより、提供情報23を無効化する。こうして、情報出力装置3は、背景画像5b内を提供情報23が移動して、差分領域として誤認識したり、この誤認識した差分領域が検知領域と重なって新たな提供情報を出力したりすることを防ぐ。このため、情報出力装置3は、プロジェクタ装置4で再生される映像と、実体をもった移動体を区別して検知することが可能となる。
【0045】
図8は、提供情報無効化処理(マスク機能)の詳細な動作例を示す。
図8Aは、背景画像5bの表示例を示す。
ここでは、既に物体が検知領域に重なって、ロケットとして表される提供情報23が動き出している瞬間を表している。
【0046】
図8Bは、物体と提供情報23を混合した状態を示す。
何ら処理を施さないと、提供情報23が画面内を移動することにより移動体として誤認識され、誤認識された移動体が他の検知領域に重なると、別の提供情報が表示される可能性があるため、マスク機能を有効にする。
【0047】
図8Cは、提供情報23を二階調化した表示例を示す。
図8Dは、二階調化された提供情報23を白黒反転して表示する例を示す。
提供情報無効化部15は、提供情報23を白色で表し、他の部分を黒色で表す二階調化処理を行う。そして、提供情報無効化部15は、二階調化された提供情報23を白黒反転する処理を行う。
【0048】
図8Eは、図8Cと図8Dに示した二階調化された提供情報23を足し合わせた例を示す。
提供情報無効化部15は、図8Cと図8Dに示した二階調化された提供情報23を足し合わせることにより、提供情報23を無効化する。
【0049】
図8Fは、提供情報無効化処理(マスク機能)が行われた場合における差分領域検出部12の認識例を示す。
差分領域検出部12は、提供情報無効化部15から無効化された提供情報23と背景画像5bとを受け取る。これにより、差分領域検出部12は、提供情報23を移動体として認識せず、物体が動いた部分だけを差分領域として検出することが可能となる。
【0050】
<拡大処理>
ここで、提供情報無効化部15が行う提供情報23の拡大処理例について説明する。
映像処理回路6が、背景画像5bを取り込んで提供情報23の無効化処理を行う際には、複数の機能ブロックを経由するため、タイムラグが発生する。このため、実際にプロジェクタ装置4が表示領域5aに表示する提供情報23と、取り込んだ画像との間に提供情報23の位置のずれを考慮する必要がある。
【0051】
提供情報無効化部15は、提供情報23の位置のずれによる影響を抑えるため、図8Cで示される二階調化処理に際して、白く表示される提供情報23を数画素分だけ拡大する処理を行う。この拡大処理によりタイムラグを擬似的に補正することができ、提供情報23を白黒反転して背景画像と合わせ込む際に、提供情報23(特に、提供情報23の周縁部)が移動体として誤認識される可能性を低めている。なお、提供情報23を拡大する処理は、白黒反転した後、この反転部分を拡大して行ってもよい。
【0052】
また、提供情報無効化部15は、ガウシアンフィルタを用いることによって、提供情報23の周縁部をぼかす処理を行うことも可能である。これにより、提供情報23の出力時と取込み時にタイムラグが生じた場合であっても、提供情報無効化部15は、確実に提供情報23だけを無効化することができる。
【0053】
図9は、情報出力装置3が搭載する映像処理回路6の処理例を示す。
映像処理回路6は、大きく以下の処理を行っている。
<検知領域の設定>
カメラ2にて表示領域5aを撮像し、この撮像した領域を、物体が動いたことを検知する検知領域として設定する。検知領域は複数箇所を設定することが可能であり、検知領域の大きさは、予め決定しておくことが望ましい。
<移動体の検出>
映像処理回路6は、設定した検知領域におけるフレーム間差分で移動体を検知する。現在のフレームにおける取込み画像と、所定フレーム前における取込み画像を比較し、各取込み画像の相違部分を検知する。この相違部分を「移動体」として検出する。
<マスク機能>
映像処理回路6の検知領域に対応した提供情報(再生される映像)を、白色と黒色に二階調化する。次に、二階調化した画像と反転させた提供情報を足し合わせ、再生映像を打ち消すマスク機能を実現する。マスク機能により、プロジェクタ装置4が再生する映像に対して、実体をもった移動体を検知することが可能となる。
【0054】
次に、映像処理回路6の詳細な処理例について説明する。
始めに、画像取得部11は、カメラ2から表示領域5aに現在表示されている画像を取り込み(ステップS1)、取り込んだ画像の台形補正を行う(ステップS2)。この台形補正は、背景画像5bに対する提供情報23や差分領域25の位置精度を高めるために行われる。次に、画像取得部11は、検知領域を設定することにより(ステップS3)、画像をキャプチャ処理するための初期設定を完了する。
【0055】
次に、差分領域検出部12は、取り込んだ画像から画像のキャプチャ処理を行い(ステップS4)、取り込んだ画像を所定のフレーム数毎に比較する(ステップS5)。ここでは、第1及び第2の取込み画像の差分を比較する処理が行われる。
【0056】
次に、差分領域検出部12は、第1及び第2の取込み画像に差分があるか否かを判断する(ステップS6)。差分がない場合、ステップS4に処理を移し、画像の差分比較処理を続ける。差分がある場合、提供情報出力部13は、検出した差分領域が検知領域に重なったか否かを判断する(ステップS7)。差分領域が検知領域に重なっていない場合、ステップS4に処理を移し、画像の差分比較処理を続ける。
【0057】
差分領域が検知領域に重なっている場合、提供情報出力部13は、提供情報データベース14から検知領域に対応する提供情報データを読み出し(ステップS8)、検知領域に対応する提供情報を画像出力部17に出力する(ステップS9)。そして、画像出力部17は、提供情報を重ねた背景画像をプロジェクタ装置4に出力し、プロジェクタ装置4が表示領域5aに背景画像を表示する。これらステップS4〜S9までの処理を「キャプチャ処理」と呼ぶ。
【0058】
次に、提供情報無効化部15は、提供情報出力部13が出力する提供情報を二階調化し(ステップS10)、二階調化した白黒情報を反転する(ステップS11)。そして、提供情報無効化部15は、反転した白黒情報を差分領域検出部12に出力する。
【0059】
差分領域検出部12は、提供情報無効化部15から受け取る反転した白黒情報を、取り込んだ背景画像に重ね合わせることにより、提供情報を無効化する(ステップS12)。これらステップS10〜S12までの処理を「提供情報無効化処理」と呼ぶ。
【0060】
以上説明した一実施の形態に係る情報出力システム1によれば、状態が変化する物体を差分領域として検出し、検知領域に差分領域の一部が重なったことをトリガーとして、検知領域に関連づけられる提供情報を出力する。このとき、背景画像に重ねられた提供情報の位置及び形状を差分領域検出部に知らせることによって、差分領域検出部が提供情報の差分を検出しないようにしたため、差分領域の検出時における提供情報の影響が及ばない。これにより、差分領域として認識される状態が変化する物体を背景画像に対して明確に区別することが可能となり、ユーザが指示する箇所の検出精度を高めることができる。
【0061】
このように、情報出力装置3は、カメラ2から取り込んだ情報を利用するのではなく、情報出力装置3の内部で再生する提供情報を利用して、カメラ2が撮像した画像に含まれる提供情報を打ち消すことができる。このとき、提供情報を二階調化した上で、その提供情報を反転し、二階調化した背景画像と足しあわせる事により、提供情報を打ち消している。これにより、提供情報(再生される映像)と移動体、及び静止体を区別して認識することが可能となった。
【0062】
また、検知領域は背景画像5bに合わせて任意の箇所に指定することができ、提供情報についても任意の個数で検知領域に関連づけることができる。このため、ユーザへの提供情報の提示に際して、様々なバリエーションをとることが可能となる。
【0063】
<変形例>
なお、上述した実施の形態に係る情報出力システム1は、背景画像と提供情報を投影する箇所として表示領域5aを用いたが、建築物の天井や床面、またホールにおける座席面を設定することもできる。このように提供情報の表示箇所を壁面やスクリーンに限らないことによって、より柔軟な運用が可能となる。
【0064】
<提供情報のバリエーション>
また、提供情報は、アニメーション等の図形・文字・記号等をプロジェクタ装置4やFPD等の映像表示機器で表示しているが、映像表示機器以外にも、他デバイスを連携させるようにしてもよい。例えば、アクチュエータ、電球、スピーカー、モーター、ソレノイド、ペルチェ素子等の電子制御が可能な動力部を持つものを用いて、ユーザが行う所定の動作により、照明機器、電動玩具、自動ドア等の動作を制御するようにしてもよい。
【0065】
<物体の状態変化のバリエーション>
また、物体が移動するだけでなく、物体の輝度変化を状態変化と認識して提供情報を出力するトリガーとすることもできる。ここで、外光が照射するような環境における外的要因によって意図しない輝度変化を物体の状態変化として誤認識しないようにするため、図10を参照して以下の3パターンについて対応策を示す。
【0066】
図10Aは、カメラ2と同じ場所に赤外線カメラ41を配置した例である。
赤外線カメラ41を用いて表示領域5aを撮影することによって、物体の温度変化等を状態変化として認識し、提供情報を出力することが可能である。
【0067】
図10Bは、カメラ2と同じ場所に照度計42を配置した例である
照度計42やその他の輝度センサ等を用いることによって、表示領域5aに表示される背景画像の輝度をモニタリングし、物体の輝度変化を状態変化として認識する。そして、輝度が所定のしきい値を超えた場合に、提供情報を出力するように処理を行う。
【0068】
<検知領域のバリエーション>
また、上述した実施の形態では、検知領域は提供情報を出力するためのトリガーとして用いたが、検知領域自体を可視化した上で、検知領域をディレクトリ化し、階層性を持たせるようにしてもよい。このときの検知領域の繊維例について図11を参照して説明する。
【0069】
図11Aは、複数の提供情報から1つの提供情報を選択する例を示す。
表示領域5aには、「中華」、「和食」、「洋食」のメニューを示す映像が提供情報として表示される。この場合、最初から明示的に全ての提供情報が表示されるのではなく、ユーザが一つの提供情報を選択する動作を行うことをトリガーとして、新たに別の提供情報が表示される。
【0070】
図11Bは、図11Aにおいて「洋食」が選択された場合に表示される提供情報を選択する例を示す。
本例では、「洋食」の下位階層である「ハンバーグ」、「カレーライス」、「パスタ」、「ドリンク」といったメニューが提供情報として横一列に可視表示される。このとき、ユーザが「パスタ」を選んだら、「パスタ」に関連するアニメーション表示を行うようにすればよい。このように、ユーザ・インタフェース部分を改良することで、ユーザビリティが向上する。
【0071】
<情報出力システムのバリエーション>
また、上述した実施の形態に係る情報出力システム1を図1に示した形態以外の場所に設置することも可能である。
図12は、情報出力システム1の設置場所に関する変形例を示す。
【0072】
図12Aは、表示領域5aに映像が透過するスクリーンを用いた場合における情報出力システムの構成例を示す。
このとき、プロジェクタ装置4は、表示領域5aの背面に設置され、カメラ2は、表示領域5aの上側に設置される。そして、カメラ2が上方から撮影した物体と背景画像5bは情報出力装置3に供給され、プロジェクタ装置4が物体の動きに合わせた提供情報を表示領域5aに出力する。
【0073】
図12Bは、表示領域5aに映像を自身で表示するプラズマディスプレイパネルを有する表示装置における情報出力システムの構成例を示す。
このとき、プロジェクタ装置4の代わりに、表示領域5aが情報出力装置3から受け取った映像を直接表示する。なお、複数台のプラズマディスプレイパネルを同期して映像出力を行うため、提供情報を出力する情報出力装置3とは別に、プラズマディスプレイパネルの表示制御を行うための制御コンピュータ9を備えるものとする。
【0074】
図13は、表示領域5aに映像を自身で表示する液晶ディスプレイパネルを有する表示装置を用いた情報出力システムの構成例を示す。
【0075】
図13Aは、カメラ2の手前に偏光フィルタ43を取付けた例を示す。
ここでは、液晶ディスプレイ装置やPC用のモニタ等が備える液晶ディスプレイパネルを表示領域5aとした例を示している。そして、表示装置とカメラ2の間に特定の振動方向の光を透過させる偏光素子として偏光フィルタ43を設置している。
【0076】
図13Bは、液晶ディスプレイパネルの内部構成例を示す。
液晶ディスプレイパネルは、垂直方向の偏光フィルタ51と、画素毎に個別電極が埋め込まれたガラス基板52と、配向層に挟まれた液晶53と、画素に共通して電力を供給する共通電極が埋め込まれたガラス基板54と、水平方向の偏光フィルタ55と、面光源として発光する光源56と、を備える。
【0077】
光源56は、様々な方向に振幅成分を持つ光を放射し、液晶ディスプレイパネルは、光源56が発する光の一部又は全体を遮ることにより映像を表示し、映像光を放射する。偏光フィルタ43は、特定方向の振幅成分を持つ光だけを通過させ、残りの光を吸収する機能を有する。本例では、カメラ2のレンズ部分に取付けられる円形に切り取られた偏光フィルタ43の方向を適宜変える。この回転する偏光フィルタ43によって、液晶ディスプレイパネルからカメラ2に入射する映像光の光量を増減することができる。
【0078】
偏光フィルタ43がカメラ2に入射する映像光を遮ると、カメラ2は、表示領域5aに表示される映像を撮影せず、表示領域5aの手前にいる物体だけを撮影する。つまり、カメラ2は、表示装置(本例では、液晶ディスプレイパネル)が表示する背景画像や提供情報を撮像しない。このため、情報出力装置3は、提供情報の動きを移動体と誤認識することがなく、状態が変化する物体だけを確実に差分領域として認識し、提供情報に差分情報を重ねた背景画像を表示装置に出力することができる。
【0079】
<差分領域検出のバリエーション>
また、差分領域検出部12は、第1及び第2の取込み画像に解像度を下げるぼかし処理を施して、差分領域の検出精度を低めてもよい。また、差分領域検出部12は、複数の物体が近接して状態が変化する場合に、複数の物体の差分領域を合わせて一つの差分領域として検出してもよい。
【0080】
また、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0081】
1…情報出力システム、2…カメラ、3…情報出力装置、4…プロジェクタ装置、5a…表示領域、5b…背景画像、5c…提供情報、6…映像処理回路、7…表示部、8…操作部、9…制御コンピュータ、11…画像取得部、12…差分領域検出部、13…提供情報出力部、14…提供情報データベース、14a…検知領域テーブル、14b…提供情報テーブル、15…提供情報無効化部、16…背景画像データベース、17…画像出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、デジタルサイネージ(電子看板)として、物体毎に異なる情報を提供する場合に適用して好適な情報出力装置、プログラム及び情報出力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、街角や電車内等に液晶ディスプレイが設定され、時間によって様々な情報を乗客等に提供するデジタルサイネージが一般に知られるようになった。デジタルサイネージは、静止画だけでなく、動画についても多くの印象的なコンテンツが提供されるようになっている。
【0003】
デジタルサイネージの一種に、壁面に沿って移動する通行人の移動速度に合わせて、通行人毎に個別の情報を提供する情報出力システムがある。この情報出力システムは、通行人を含めて壁面を撮影するカメラと、カメラが取り込んだ映像から通行人が含まれる箇所を検出する情報出力装置と、壁面に「提供情報」を表示するプロジェクタ装置と、を備えて構成される。そして、情報提供システムは、検出した通行人の移動速度に合わせて個別の映像を「提供情報」として再生するため、通行人毎にそれぞれ内容が異なる情報を提示することが可能である。
【0004】
特許文献1には、プラスチックスクリーンの背面を撮影して、人間の手によって赤外光が遮光された領域を検出し、この遮光領域の中心座標をスクリーン上でのタッチ位置として検出する技術が開示されている。
【0005】
また、従来、カメラが撮像した複数のフレーム毎に被写体のフレーム間差分を検出して、複数のフレーム間に渡って画面内における位置座標が変わる「移動体」を検出するフレーム間差分検知方法が知られている。ここで、複数のフレーム間に渡って移動体として検出されない部分を「静止体」と呼ぶ。
このフレーム間差分検知方法は、複数のフレーム間における物体の差分(色も含む。)が生じた箇所を検知することによって、移動体と静止体を区別する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−299434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のフレーム間差分検知方法では、物体が移動した結果、壁面に表示される個別の提供情報(再生される映像)についても移動体として誤認識することがあった。このため、情報出力装置が、壁面に投影される提供情報を移動体であると認識すると、誤認識したそれぞれの提供情報について新たに別の提供情報を壁面に表示させる可能性があり、ユーザにとって自身に向けられた提供情報がどれであるのか認識しづらいという問題があった。
【0008】
また、特許文献1に記載された技術では、スクリーンの背面に遮光領域を検出するための空間が必要であり、設置する場所が限られていた。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、背景画像に対して状態が変化する物体を明確に区別し、ユーザが指示する箇所の検出精度を高めることができる情報出力装置、プログラム及び情報出力システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明情報出力装置では、所定の大きさの表示領域に背景画像を表示する表示部に前記背景画像を出力する画像出力部を設ける。この表示される背景画像の内、所定の大きさの撮像範囲を被写体としてカメラで撮像して第1の取込み画像を得るとともに、この第1の取込み画像より所定のフレーム数だけ遅れて同じ撮像範囲の被写体をカメラで撮像した第2の取込み画像を得る。そして、この第1の取込み画像と第2の取込み画像を比較し、上述の撮像範囲の内部で状態が変化する物体の所定のフレーム数における第1の取込み画像と第2の取込み画像の差分を差分領域検出部で検出する。この第1の取込み画像と第2の取込み画像の差分が所定の閾値を超えたときに、差分領域検出部は差分領域があると判定する。
【0011】
また、撮像範囲の中には予め設けられたいくつかの検知領域が設けられており、この検知領域の一部が、第1の取込み画像と第2の取込み画像の差分が閾値を超えた差分領域と重なった場合に、この検知領域に関連付けられる提供情報を提供情報データベースから読出し、提供情報を重ねた背景画像を表示部に出力する。
そして、背景画像に重ねられた提供情報の位置及び形状を差分領域検出部に知らせることによって、差分領域検出部が提供情報を差分として(つまり、被写体の動きとして)検出しないように提供情報を無効化する。
【0012】
本発明のプログラムは、上記情報出力装置の各機能をコンピュータで実現させるために、コンピュータにインストールするプログラムである。
なお、本発明の情報出力システムは、上記情報出力装置の構成に所定の大きさの表示領域に背景画像を表示する表示部を加えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示画面の検知領域に状態が変化する物体(被写体)が入ると、その変化を差分領域として検出し、この検知領域に差分領域の一部が重なったことをトリガーとして、検知領域に関連づけられる提供情報を出力する。このとき、背景画像に重ねられた提供情報の位置及び形状を差分領域検出部に知らせることによって、差分領域検出部が提供情報の差分を検出しないようにしたため、差分領域の検出の際に、提供情報の影響が及ばないようにしている。これにより、状態が変化して差分領域として認識される物体を、背景画像に対して明確に区別することが可能となり、ユーザが指示する検知領域の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態における情報出力システムの外部構成例を示す外観図である。
【図2】本発明の一実施の形態における情報出力システムの内部構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態における情報出力システムが用いる各テーブルの構成例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態における画面内に物体が入らない場合における操作画面の表示例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態における画面内に物体が入る場合における操作画面の表示例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態における提供情報を表示領域に出力する場合における操作画面の表示例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態における提供情報無効化処理(マスク機能)の実行時における操作画面の表示例を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態における提供情報無効化処理(マスク機能)の詳細な動作例を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態における映像処理回路の処理例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施の形態における輝度変化に対応する情報出力システムの外部構成例を示す外観図である。
【図11】本発明の他の実施の形態における検知領域のバリエーションの例を示す外観図である。
【図12】本発明の他の実施の形態における情報出力システムの外部構成例を示す外観図である。
【図13】本発明の他の実施の形態における情報出力システムの外部構成例を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図9を参照して説明する。本実施の形態では、壁又はスクリーン等に映像を提示する情報出力システム1に適用した例(以下、「本例」という。)について説明する。
【0016】
図1は、本例の情報出力システム1の外観構成例を示す。
情報出力システム1は、映像が投影される表示領域5aの前を通過する物体(歩行者)の様子を表示領域5aと共にビデオ撮影するカメラ2と、カメラ2から受け取った映像に対して所定の処理を加える情報出力装置3と、情報出力装置3が出力する映像信号より、表示領域5aに向かって映像を投影する表示装置としてプロジェクタ装置4と、を備える。情報出力装置3には、例えば、パーソナルコンピュータ装置(PC:Personal Computer)が用いられる。表示領域5aには、例えば、スクリーン又は壁面が用いられる。
【0017】
情報出力装置3は、表示領域5aに対する物体の位置座標をリアルタイムで演算し、物体の動きに合わせて画像やメッセージ等をプロジェクタ装置4に投影させる機能を有する。カメラ2とプロジェクタ装置4は、表示領域5aに対向する壁面に取付けられる。また、カメラ2とプロジェクタ装置4は、カメラ2が撮像可能な範囲と、プロジェクタ装置4が映像を投影可能な範囲がほぼ等しくなるような位置に設置される。
【0018】
図2は、情報出力装置3の内部構成例を示す。
情報出力装置3は、カメラ2から取得した画像に各種の処理を施す映像処理回路6と、カメラ2から取得した画像や映像処理回路6が処理中の画像を表示する表示部7と、情報出力装置3に動作の指示を与える操作部8と、を備える。表示部7には、液晶ディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等が用いられる。また、操作部8には、キーボード、タッチパッド、コネクタ接続したマウス等が用いられる。
【0019】
映像処理回路6は、カメラ2から画像を取得する画像取得部11と、数フレーム間における画像を比較して画像の差分を検出する差分領域検出部12と、を備える。また、ユーザに提供する画像等の情報を記録する提供情報データベース14から提供情報を読み出して、後述する画像出力部17を介してプロジェクタ装置4に提供情報を出力する提供情報出力部13と、を備える。
【0020】
また、映像処理回路6は、提供情報出力部13から受け取った提供情報より、差分領域検出部12が検出する差分領域で無効化する箇所を特定する提供情報無効化部15を備える。また、映像処理回路6は、表示領域5aに表示される背景画像を記録する背景画像データベース16と、背景画像データベース16から読み出した背景画像をプロジェクタ装置4に出力する画像出力部17と、を備える。
【0021】
次に、各処理ブロックの動作を説明する。
画像取得部11は、カメラ2から受け取った映像を所定のフレーム数で取り込む処理(キャプチャ処理)を行う。ここで、カメラ2の撮像フレーム数と情報出力装置3が処理する映像の処理フレーム数は異なっていても、画像取得部11のキャプチャ処理によりフレーム数の差による影響は除かれる。また、画像取得部11は、映像に含まれる被写体の輪郭を強調する処理等を行うことにより、後段の処理ブロックが円滑に処理を行えるようにしている。
【0022】
差分領域検出部12は、表示領域5aに表示される背景画像5bの内、所定の大きさの撮像範囲を被写体として撮像するカメラ2から入力される第1の取込み画像を得るとともに、及び第1の取込み画像より所定のフレーム数だけ遅れてカメラ2から入力される入力する第2の取込み画像を得て、第1の取込み画像と第2の取込み画像を比較する。そして、撮像範囲で状態が変化する物体の所定のフレーム数における第1及び第2の取込み画像の差分が所定の閾値を超えたときに、物体の差分領域として検出する。
【0023】
提供情報出力部13は、撮像範囲に予め検知領域が設けられ、この検知領域に差分領域の一部が重なった場合に、差分領域の一部が重なった検知領域に関連付けられる提供情報を提供情報データベース14から読出す。提供情報データベース14は、内部テーブル(後述する図3参照)により実体関連モデル(Entity-Relationship Model)を構成する。そして、提供情報出力部13は、読み出した提供情報を画像出力部17に出力する。
【0024】
提供情報無効化部15は、背景画像5bに重ねられた提供情報の位置及び形状を差分領域検出部12に知らせることによって、差分領域検出部12が提供情報の差分を検出しないように提供情報を無効化する。これにより、動きのある提供情報が表示領域5aに投影されても、差分領域検出部12は、この提供情報の動きを差分領域として誤検出しなくなる。
【0025】
画像出力部17は、所定の大きさの表示領域5aに背景画像を表示するプロジェクタ装置4に背景画像を出力する。このとき、画像出力部17は、背景画像データベース16から背景画像を読み出し、提供情報出力部13から受け取った提供情報を重ねた背景画像をプロジェクタ装置4に出力する。
【0026】
図3は、提供情報データベース14における各テーブルの構成例を示す。
提供情報データベース14は、検知領域を個別に管理する検知領域テーブル14aと、提供情報データを個別に管理する提供情報テーブル14bを備える。検知領域テーブル14aは、背景画像5b内に設定される検知領域を個別に識別する検知領域IDフィールドと、背景画像5b内における検知領域の位置座標を格納する検知領域座標フィールドを備える。
【0027】
提供情報テーブル14bは、提供情報を個別に識別する提供情報IDフィールドと、提供情報IDに一意に関連づけられる提供情報データを格納する提供情報データフィールドと、どの検知領域IDに提供情報が関連づけられるかを指定する外部キーとしての検知領域IDフィールドを備える。これらのテーブルにより、検知領域には、提供情報が、1対1、1対多、又は多対1又は、多対多のうち、いずれかで関連付けられることとなる。
【0028】
次に、表示領域5aに表示される映像の例について図4〜図7を参照して説明する。図4〜図7に示される操作画面20は、情報出力装置3が備える表示部7に表示されるユーザ・インタフェースである。
【0029】
図4は、移動する物体が画面内に入らない場合における操作画面20の表示例を示す。
操作画面20には、画面中央から上部にかけてカメラ2が表示領域5aを撮像した背景画像5bと、この背景画像5bに設定される各種の領域、情報を可視化する表示領域21が表示される。そして、画面下部に各種の操作パラメータを入力する操作領域30が表示される。図4と図5の時点において、提供情報23は、背景画像5bの一部として表示領域5aに表示される。
【0030】
始めに、図2に示す映像処理回路6は、カメラ2が撮像した現在の表示領域5aに表示される画像を取り込み、背景画像5bとして操作画面20内に表示する。背景画像5bの四隅にはマーカ24が表示される。マーカ24は、背景画像5bと提供情報23が表示される範囲を指定するために用いられる。必要であれば背景画像5bの台形補正を行い、表示領域21内で背景画像5bが長方形で表示されるようにする。
【0031】
背景画像5bには、移動体として認識される差分領域が重なると提供情報23を表示領域5aに投影するトリガーとして機能する検知領域22a,22bと、ユーザに対して動画像等を示す提供情報23が含まれる。本例では、多数の検知領域が存在するものの、説明を簡単にするため、2つの検知領域22a,22bについて説明する。
【0032】
映像処理回路6は、カメラ2から画像を取り込んで背景画像5bとして表示すると共に、カメラ2で撮像している範囲内に検知領域22a,22bを設定する。また、検知領域22a,22bの大きさ、形状(長方形、円形、楕円形、不定形等)は、予め決定しておく。検知領域22a,22bは、実際に表示領域5aに投影される背景画像5bでは不図示としてあり、オペレータが操作画面20を介して表示部7に表示する場合以外では視認できない。
【0033】
提供情報23は、差分領域検出部12が差分領域を検出しない場合、背景画像5bの一部として表示領域5aに表示され続ける。しかし、検出された差分領域が検知領域22bに重なると、検知領域22bに関連づけられた提供情報23が背景画像5b内で所定の動作を行う。本例では、提供情報23として示されるロケットが背景画像5b内を斜め右方向に飛ぶような表示が行われる。
【0034】
操作領域30は、差分領域を検出するために取込み画像のフレーム間隔を表す処理間隔を定める処理間隔指定部31と、提供情報23を表示する処理の開始又は終了を指示する指示領域32と、を備える。また、操作画面20とは異なる外部エディタを起動する起動指示部33と、差分領域を二階調化して表示する二階調化表示部34と、背景画像5b内に含まれる提供情報23を白黒反転して表示する背景認識表示部35と、を備える。
【0035】
処理間隔指定部31は、フレーム間隔として、例えば43フレームを指定する。このフレーム間隔は自由に変えることができるため、移動速度が早い物体を移動体として検出する場合には、フレーム間隔を数十フレームから数フレームに狭める操作をすることが可能である。一方、フレーム間隔を広くすることによって、飛ぶ虫や鳥等を移動体として誤検出する可能性を小さくすることができる。
【0036】
指示領域32は、表示領域5aに背景画像5bと提供情報5cを投影する動作の開始又は終了をプロジェクタ装置4に指示する。また、電源オフを指示することにより、プロジェクタ装置4が行う背景画像5bと提供情報5cの投影を終えることもできる。
【0037】
起動指示部33は、操作画面20とは別のウィンドウ画面を表示し、各種の設定を行うことができる。起動指示部33には、背景画像5bと提供情報23を表示領域5aに表示する起動日時を指定するスケジューラ、提供情報23として表示される図形の種類、大きさ等の編集を行う提供情報エディタ、検知領域22a,22bの位置、大きさの編集を行うスイッチエディタが表示される。
【0038】
二階調化表示部34は、後述する二階調化処理によって得られた差分領域の画像を白黒で表示する。本例では、差分領域として検出される部分を白で表示し、差分領域として検出されない部分や動きが少ない部分を黒で表示するが、逆の色であってもよいし、他の二色を使ってもよい。二階調化表示部34で指定する「しきい値」は、任意に変えることが可能である。例えば、しきい値を低い値にすると、物体のわずかな動きであっても二階調化表示部34が差分領域を表示するが、しきい値を高い値にすると、物体が大きく動かなければ二階調化表示部34が差分領域を表示しない。
【0039】
背景認識表示部35は、差分領域が検知領域22bに重なって動き出す提供情報23を除いた背景画像5bを黒色で塗りつぶして表示する。このとき、状態が変化する提供情報23は白色で二階調化表示される。背景認識表示部35においても、塗りつぶされる白と黒の色は逆色であってもよいし、他の二色を使ってもよい。背景認識表示部35で指定する「ぼかし値」は、任意に変えることが可能である。ここで、ボールや虫等の小さな物体が移動体として誤検出されることを防ぐため、所定の画素領域より小さな領域で示される差分領域については、ぼかす処理を行うことにより、差分領域として認識しないようにしている。
【0040】
図5は、背景画像5b内に入った物体の表示例を示す。
ここでは、複数の画像を比較して差分を検出する処理について説明する。
まず、オペレータが指示領域32内の開始ボタンを押すことにより、キャプチャ処理を開始する(後述する図9におけるステップS4〜S9)。カメラ2は、表示領域5aに投影される背景画像5bと物体(本例では、人)を撮像する。情報出力装置3は、所定のフレーム間隔でカメラ2から取り込んだ第1及び第2の取込み画像を比較して差分領域25を検出し、この差分領域25を二階調化して二階調化表示部34に表示する。
【0041】
図6は、差分領域25が検知領域22bに重なって提供情報23を表示領域に出力する場合の表示例を示す。
情報出力装置3は、物体が左方向に移動してロケットの画像に触れる動作を行うと、触れる動作を行った腕の部分を撮像範囲の内部で状態が変化する物体を示す差分領域として検出する。
【0042】
そして、情報出力装置3は、差分領域と検知領域22bが重なったことを認識する。このとき、情報出力装置3は、表示領域5aに提供情報23として表示される提供情報データ(本例では、ロケット)を提供情報データベース14から読み出し、検知領域22bに対応した提供情報23を表示領域5aに出力する。そして、二階調化表示部34は、物体の差分画像を表示し、背景認識表示部35は、提供情報23として動き始めるロケット部分を除いた領域を背景として表示する。
【0043】
図7は、提供情報無効化処理(マスク機能)を実行した場合の表示例を示す。
背景画像5b内を提供情報23が動く場合に、提供情報23を誤って移動体として認識しないようにするため、情報出力装置3は、提供情報無効化処理を行うことにより、提供情報23をマスクする。
【0044】
提供情報無効化部15は、背景画像5bを黒色とし、検知領域22bに対応して出力される提供情報23(再生される映像)を白色とする二階調化処理を行う。そして、白色とした提供情報23を黒色に反転させた上で、黒色とした背景画像5bに反転した提供情報23を重ね合わることにより、提供情報23を無効化する。こうして、情報出力装置3は、背景画像5b内を提供情報23が移動して、差分領域として誤認識したり、この誤認識した差分領域が検知領域と重なって新たな提供情報を出力したりすることを防ぐ。このため、情報出力装置3は、プロジェクタ装置4で再生される映像と、実体をもった移動体を区別して検知することが可能となる。
【0045】
図8は、提供情報無効化処理(マスク機能)の詳細な動作例を示す。
図8Aは、背景画像5bの表示例を示す。
ここでは、既に物体が検知領域に重なって、ロケットとして表される提供情報23が動き出している瞬間を表している。
【0046】
図8Bは、物体と提供情報23を混合した状態を示す。
何ら処理を施さないと、提供情報23が画面内を移動することにより移動体として誤認識され、誤認識された移動体が他の検知領域に重なると、別の提供情報が表示される可能性があるため、マスク機能を有効にする。
【0047】
図8Cは、提供情報23を二階調化した表示例を示す。
図8Dは、二階調化された提供情報23を白黒反転して表示する例を示す。
提供情報無効化部15は、提供情報23を白色で表し、他の部分を黒色で表す二階調化処理を行う。そして、提供情報無効化部15は、二階調化された提供情報23を白黒反転する処理を行う。
【0048】
図8Eは、図8Cと図8Dに示した二階調化された提供情報23を足し合わせた例を示す。
提供情報無効化部15は、図8Cと図8Dに示した二階調化された提供情報23を足し合わせることにより、提供情報23を無効化する。
【0049】
図8Fは、提供情報無効化処理(マスク機能)が行われた場合における差分領域検出部12の認識例を示す。
差分領域検出部12は、提供情報無効化部15から無効化された提供情報23と背景画像5bとを受け取る。これにより、差分領域検出部12は、提供情報23を移動体として認識せず、物体が動いた部分だけを差分領域として検出することが可能となる。
【0050】
<拡大処理>
ここで、提供情報無効化部15が行う提供情報23の拡大処理例について説明する。
映像処理回路6が、背景画像5bを取り込んで提供情報23の無効化処理を行う際には、複数の機能ブロックを経由するため、タイムラグが発生する。このため、実際にプロジェクタ装置4が表示領域5aに表示する提供情報23と、取り込んだ画像との間に提供情報23の位置のずれを考慮する必要がある。
【0051】
提供情報無効化部15は、提供情報23の位置のずれによる影響を抑えるため、図8Cで示される二階調化処理に際して、白く表示される提供情報23を数画素分だけ拡大する処理を行う。この拡大処理によりタイムラグを擬似的に補正することができ、提供情報23を白黒反転して背景画像と合わせ込む際に、提供情報23(特に、提供情報23の周縁部)が移動体として誤認識される可能性を低めている。なお、提供情報23を拡大する処理は、白黒反転した後、この反転部分を拡大して行ってもよい。
【0052】
また、提供情報無効化部15は、ガウシアンフィルタを用いることによって、提供情報23の周縁部をぼかす処理を行うことも可能である。これにより、提供情報23の出力時と取込み時にタイムラグが生じた場合であっても、提供情報無効化部15は、確実に提供情報23だけを無効化することができる。
【0053】
図9は、情報出力装置3が搭載する映像処理回路6の処理例を示す。
映像処理回路6は、大きく以下の処理を行っている。
<検知領域の設定>
カメラ2にて表示領域5aを撮像し、この撮像した領域を、物体が動いたことを検知する検知領域として設定する。検知領域は複数箇所を設定することが可能であり、検知領域の大きさは、予め決定しておくことが望ましい。
<移動体の検出>
映像処理回路6は、設定した検知領域におけるフレーム間差分で移動体を検知する。現在のフレームにおける取込み画像と、所定フレーム前における取込み画像を比較し、各取込み画像の相違部分を検知する。この相違部分を「移動体」として検出する。
<マスク機能>
映像処理回路6の検知領域に対応した提供情報(再生される映像)を、白色と黒色に二階調化する。次に、二階調化した画像と反転させた提供情報を足し合わせ、再生映像を打ち消すマスク機能を実現する。マスク機能により、プロジェクタ装置4が再生する映像に対して、実体をもった移動体を検知することが可能となる。
【0054】
次に、映像処理回路6の詳細な処理例について説明する。
始めに、画像取得部11は、カメラ2から表示領域5aに現在表示されている画像を取り込み(ステップS1)、取り込んだ画像の台形補正を行う(ステップS2)。この台形補正は、背景画像5bに対する提供情報23や差分領域25の位置精度を高めるために行われる。次に、画像取得部11は、検知領域を設定することにより(ステップS3)、画像をキャプチャ処理するための初期設定を完了する。
【0055】
次に、差分領域検出部12は、取り込んだ画像から画像のキャプチャ処理を行い(ステップS4)、取り込んだ画像を所定のフレーム数毎に比較する(ステップS5)。ここでは、第1及び第2の取込み画像の差分を比較する処理が行われる。
【0056】
次に、差分領域検出部12は、第1及び第2の取込み画像に差分があるか否かを判断する(ステップS6)。差分がない場合、ステップS4に処理を移し、画像の差分比較処理を続ける。差分がある場合、提供情報出力部13は、検出した差分領域が検知領域に重なったか否かを判断する(ステップS7)。差分領域が検知領域に重なっていない場合、ステップS4に処理を移し、画像の差分比較処理を続ける。
【0057】
差分領域が検知領域に重なっている場合、提供情報出力部13は、提供情報データベース14から検知領域に対応する提供情報データを読み出し(ステップS8)、検知領域に対応する提供情報を画像出力部17に出力する(ステップS9)。そして、画像出力部17は、提供情報を重ねた背景画像をプロジェクタ装置4に出力し、プロジェクタ装置4が表示領域5aに背景画像を表示する。これらステップS4〜S9までの処理を「キャプチャ処理」と呼ぶ。
【0058】
次に、提供情報無効化部15は、提供情報出力部13が出力する提供情報を二階調化し(ステップS10)、二階調化した白黒情報を反転する(ステップS11)。そして、提供情報無効化部15は、反転した白黒情報を差分領域検出部12に出力する。
【0059】
差分領域検出部12は、提供情報無効化部15から受け取る反転した白黒情報を、取り込んだ背景画像に重ね合わせることにより、提供情報を無効化する(ステップS12)。これらステップS10〜S12までの処理を「提供情報無効化処理」と呼ぶ。
【0060】
以上説明した一実施の形態に係る情報出力システム1によれば、状態が変化する物体を差分領域として検出し、検知領域に差分領域の一部が重なったことをトリガーとして、検知領域に関連づけられる提供情報を出力する。このとき、背景画像に重ねられた提供情報の位置及び形状を差分領域検出部に知らせることによって、差分領域検出部が提供情報の差分を検出しないようにしたため、差分領域の検出時における提供情報の影響が及ばない。これにより、差分領域として認識される状態が変化する物体を背景画像に対して明確に区別することが可能となり、ユーザが指示する箇所の検出精度を高めることができる。
【0061】
このように、情報出力装置3は、カメラ2から取り込んだ情報を利用するのではなく、情報出力装置3の内部で再生する提供情報を利用して、カメラ2が撮像した画像に含まれる提供情報を打ち消すことができる。このとき、提供情報を二階調化した上で、その提供情報を反転し、二階調化した背景画像と足しあわせる事により、提供情報を打ち消している。これにより、提供情報(再生される映像)と移動体、及び静止体を区別して認識することが可能となった。
【0062】
また、検知領域は背景画像5bに合わせて任意の箇所に指定することができ、提供情報についても任意の個数で検知領域に関連づけることができる。このため、ユーザへの提供情報の提示に際して、様々なバリエーションをとることが可能となる。
【0063】
<変形例>
なお、上述した実施の形態に係る情報出力システム1は、背景画像と提供情報を投影する箇所として表示領域5aを用いたが、建築物の天井や床面、またホールにおける座席面を設定することもできる。このように提供情報の表示箇所を壁面やスクリーンに限らないことによって、より柔軟な運用が可能となる。
【0064】
<提供情報のバリエーション>
また、提供情報は、アニメーション等の図形・文字・記号等をプロジェクタ装置4やFPD等の映像表示機器で表示しているが、映像表示機器以外にも、他デバイスを連携させるようにしてもよい。例えば、アクチュエータ、電球、スピーカー、モーター、ソレノイド、ペルチェ素子等の電子制御が可能な動力部を持つものを用いて、ユーザが行う所定の動作により、照明機器、電動玩具、自動ドア等の動作を制御するようにしてもよい。
【0065】
<物体の状態変化のバリエーション>
また、物体が移動するだけでなく、物体の輝度変化を状態変化と認識して提供情報を出力するトリガーとすることもできる。ここで、外光が照射するような環境における外的要因によって意図しない輝度変化を物体の状態変化として誤認識しないようにするため、図10を参照して以下の3パターンについて対応策を示す。
【0066】
図10Aは、カメラ2と同じ場所に赤外線カメラ41を配置した例である。
赤外線カメラ41を用いて表示領域5aを撮影することによって、物体の温度変化等を状態変化として認識し、提供情報を出力することが可能である。
【0067】
図10Bは、カメラ2と同じ場所に照度計42を配置した例である
照度計42やその他の輝度センサ等を用いることによって、表示領域5aに表示される背景画像の輝度をモニタリングし、物体の輝度変化を状態変化として認識する。そして、輝度が所定のしきい値を超えた場合に、提供情報を出力するように処理を行う。
【0068】
<検知領域のバリエーション>
また、上述した実施の形態では、検知領域は提供情報を出力するためのトリガーとして用いたが、検知領域自体を可視化した上で、検知領域をディレクトリ化し、階層性を持たせるようにしてもよい。このときの検知領域の繊維例について図11を参照して説明する。
【0069】
図11Aは、複数の提供情報から1つの提供情報を選択する例を示す。
表示領域5aには、「中華」、「和食」、「洋食」のメニューを示す映像が提供情報として表示される。この場合、最初から明示的に全ての提供情報が表示されるのではなく、ユーザが一つの提供情報を選択する動作を行うことをトリガーとして、新たに別の提供情報が表示される。
【0070】
図11Bは、図11Aにおいて「洋食」が選択された場合に表示される提供情報を選択する例を示す。
本例では、「洋食」の下位階層である「ハンバーグ」、「カレーライス」、「パスタ」、「ドリンク」といったメニューが提供情報として横一列に可視表示される。このとき、ユーザが「パスタ」を選んだら、「パスタ」に関連するアニメーション表示を行うようにすればよい。このように、ユーザ・インタフェース部分を改良することで、ユーザビリティが向上する。
【0071】
<情報出力システムのバリエーション>
また、上述した実施の形態に係る情報出力システム1を図1に示した形態以外の場所に設置することも可能である。
図12は、情報出力システム1の設置場所に関する変形例を示す。
【0072】
図12Aは、表示領域5aに映像が透過するスクリーンを用いた場合における情報出力システムの構成例を示す。
このとき、プロジェクタ装置4は、表示領域5aの背面に設置され、カメラ2は、表示領域5aの上側に設置される。そして、カメラ2が上方から撮影した物体と背景画像5bは情報出力装置3に供給され、プロジェクタ装置4が物体の動きに合わせた提供情報を表示領域5aに出力する。
【0073】
図12Bは、表示領域5aに映像を自身で表示するプラズマディスプレイパネルを有する表示装置における情報出力システムの構成例を示す。
このとき、プロジェクタ装置4の代わりに、表示領域5aが情報出力装置3から受け取った映像を直接表示する。なお、複数台のプラズマディスプレイパネルを同期して映像出力を行うため、提供情報を出力する情報出力装置3とは別に、プラズマディスプレイパネルの表示制御を行うための制御コンピュータ9を備えるものとする。
【0074】
図13は、表示領域5aに映像を自身で表示する液晶ディスプレイパネルを有する表示装置を用いた情報出力システムの構成例を示す。
【0075】
図13Aは、カメラ2の手前に偏光フィルタ43を取付けた例を示す。
ここでは、液晶ディスプレイ装置やPC用のモニタ等が備える液晶ディスプレイパネルを表示領域5aとした例を示している。そして、表示装置とカメラ2の間に特定の振動方向の光を透過させる偏光素子として偏光フィルタ43を設置している。
【0076】
図13Bは、液晶ディスプレイパネルの内部構成例を示す。
液晶ディスプレイパネルは、垂直方向の偏光フィルタ51と、画素毎に個別電極が埋め込まれたガラス基板52と、配向層に挟まれた液晶53と、画素に共通して電力を供給する共通電極が埋め込まれたガラス基板54と、水平方向の偏光フィルタ55と、面光源として発光する光源56と、を備える。
【0077】
光源56は、様々な方向に振幅成分を持つ光を放射し、液晶ディスプレイパネルは、光源56が発する光の一部又は全体を遮ることにより映像を表示し、映像光を放射する。偏光フィルタ43は、特定方向の振幅成分を持つ光だけを通過させ、残りの光を吸収する機能を有する。本例では、カメラ2のレンズ部分に取付けられる円形に切り取られた偏光フィルタ43の方向を適宜変える。この回転する偏光フィルタ43によって、液晶ディスプレイパネルからカメラ2に入射する映像光の光量を増減することができる。
【0078】
偏光フィルタ43がカメラ2に入射する映像光を遮ると、カメラ2は、表示領域5aに表示される映像を撮影せず、表示領域5aの手前にいる物体だけを撮影する。つまり、カメラ2は、表示装置(本例では、液晶ディスプレイパネル)が表示する背景画像や提供情報を撮像しない。このため、情報出力装置3は、提供情報の動きを移動体と誤認識することがなく、状態が変化する物体だけを確実に差分領域として認識し、提供情報に差分情報を重ねた背景画像を表示装置に出力することができる。
【0079】
<差分領域検出のバリエーション>
また、差分領域検出部12は、第1及び第2の取込み画像に解像度を下げるぼかし処理を施して、差分領域の検出精度を低めてもよい。また、差分領域検出部12は、複数の物体が近接して状態が変化する場合に、複数の物体の差分領域を合わせて一つの差分領域として検出してもよい。
【0080】
また、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0081】
1…情報出力システム、2…カメラ、3…情報出力装置、4…プロジェクタ装置、5a…表示領域、5b…背景画像、5c…提供情報、6…映像処理回路、7…表示部、8…操作部、9…制御コンピュータ、11…画像取得部、12…差分領域検出部、13…提供情報出力部、14…提供情報データベース、14a…検知領域テーブル、14b…提供情報テーブル、15…提供情報無効化部、16…背景画像データベース、17…画像出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の大きさの表示領域に背景画像を表示する表示部に前記背景画像を出力する画像出力部と、
前記表示領域に表示される前記背景画像の内、所定の大きさの撮像範囲を被写体として撮像するカメラから入力される第1の取込み画像を得るとともに、前記第1の取込み画像より所定のフレーム数だけ遅れて前記カメラから入力される第2の取込み画像を得て、前記第1の取込み画像と前記第2の取込み画像を比較し、前記撮像範囲で状態が変化する物体の前記所定のフレーム数における前記第1及び第2の取込み画像の差分が所定の閾値を超えたときに、前記物体の差分領域として検出する差分領域検出部と、
前記撮像範囲には、予め設けられた検知領域が設けられており、該検知領域に前記差分領域の一部が重なった場合に、前記差分領域の一部が重なった前記検知領域に関連付けられる提供情報を提供情報データベースから読出し、前記提供情報を重ねた前記背景画像を前記画像出力部に出力させる提供情報出力部と、
前記背景画像に重ねられた前記提供情報の位置及び形状を前記差分領域検出部に知らせることによって、前記差分領域検出部が前記提供情報の差分を検出しないように前記提供情報を無効化する提供情報無効化部と、を備える
情報出力装置。
【請求項2】
前記差分領域検出部は、前記物体の差分領域を特定の色とし、前記物体の差分領域が含まれない箇所の画像を前記特定の色以外の色とする二階調に変換し、
前記提供情報無効化部は、前記撮像範囲の内、前記提供情報が含まれる箇所の画像を前記特定の色以外の色とし、前記提供情報が含まれない箇所の画像を前記特定の色とする二階調に変換し、前記特定の色以外の色とされた前記提供情報が含まれる箇所の画像を前記差分領域に重ね合わせて前記提供情報を無効化する
請求項1記載の情報出力装置。
【請求項3】
前記検知領域には、前記提供情報が、1対1、1対多、多対1又は、多対多のうち、いずれかで関連付けられる
請求項1又は2記載の情報出力装置。
【請求項4】
前記物体の状態変化は、前記物体が移動すること、前記物体が輝点である場合に、前記輝点の輝度が変化すること、又は前記物体の温度が変化することのうち、いずれかである
請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報出力装置。
【請求項5】
所定の大きさの表示領域に背景画像を表示する表示部に前記背景画像を出力する手順と、
表示される前記背景画像の内、所定の大きさの撮像範囲を被写体として撮像するカメラから入力される第1の取込み画像を得るとともに、前記第1の取込み画像より所定のフレーム数だけ遅れて前記カメラから入力される第2の取込み画像を得て、前記第1の取込み画像と前記第2の取込み画像を比較し、前記撮像範囲で状態が変化する物体の前記所定のフレーム数における前記第1及び第2の取込み画像の差分を、差分領域検出部により前記物体の差分領域として検出する手順と、
前記撮像範囲には、予め設けられた検知領域が設けられており、該検知領域に前記差分領域の一部が重なった場合に、前記差分領域の一部が重なった前記検知領域に関連付けられる提供情報を提供情報データベースから読出し、前記提供情報を重ねた前記背景画像を、前記表示部に前記背景画像を出力する画像出力部に出力させる手順と、
前記背景画像に重ねられた前記提供情報の位置及び形状を前記差分領域検出部に知らせることによって、前記差分領域検出部が前記提供情報の差分を検出しないように前記提供情報を無効化する手順と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
所定の大きさの表示領域に背景画像を表示する表示部と、
前記表示部に前記背景画像を出力する画像出力部と、
前記表示領域に表示される前記背景画像の内、所定の大きさの撮像範囲を被写体として撮像するカメラと、
前記カメラから入力される第1の取込み画像を得るとともに、前記第1の取込み画像より所定のフレーム数だけ遅れて前記カメラから入力される第2の取込み画像を得て、前記第1の取込み画像と前記第2の取込み画像を比較し、前記撮像範囲で状態が変化する物体の前記所定のフレーム数における前記第1及び第2の取込み画像の差分を、前記物体の差分領域として検出する差分領域検出部と、
前記撮像範囲には、予め設けられた検知領域が設けられており、該検知領域に前記差分領域の一部が重なった場合に、前記差分領域の一部が重なった前記検知領域に関連付けられる提供情報を提供情報データベースから読出し、前記提供情報を重ねた前記背景画像を前記画像出力部に出力させる提供情報出力部と、
前記背景画像に重ねられた前記提供情報の位置及び形状を前記差分領域検出部に知らせることによって、前記差分領域検出部が前記提供情報の差分を検出しないように前記提供情報を無効化する提供情報無効化部と、を備える
情報出力システム。
【請求項7】
前記表示部が液晶ディスプレイパネルを備える液晶ディスプレイ装置である場合に、前記表示部及び前記カメラの間に特定の振動方向の光を透過させる偏光素子を備え、
前記液晶ディスプレイパネルから放射される偏光した映像光に対して、前記偏光素子の方向を変えることによって、前記偏光素子を通過して前記カメラに入射する前記映像光の光量を増減する
請求項6記載の情報出力システム。
【請求項1】
所定の大きさの表示領域に背景画像を表示する表示部に前記背景画像を出力する画像出力部と、
前記表示領域に表示される前記背景画像の内、所定の大きさの撮像範囲を被写体として撮像するカメラから入力される第1の取込み画像を得るとともに、前記第1の取込み画像より所定のフレーム数だけ遅れて前記カメラから入力される第2の取込み画像を得て、前記第1の取込み画像と前記第2の取込み画像を比較し、前記撮像範囲で状態が変化する物体の前記所定のフレーム数における前記第1及び第2の取込み画像の差分が所定の閾値を超えたときに、前記物体の差分領域として検出する差分領域検出部と、
前記撮像範囲には、予め設けられた検知領域が設けられており、該検知領域に前記差分領域の一部が重なった場合に、前記差分領域の一部が重なった前記検知領域に関連付けられる提供情報を提供情報データベースから読出し、前記提供情報を重ねた前記背景画像を前記画像出力部に出力させる提供情報出力部と、
前記背景画像に重ねられた前記提供情報の位置及び形状を前記差分領域検出部に知らせることによって、前記差分領域検出部が前記提供情報の差分を検出しないように前記提供情報を無効化する提供情報無効化部と、を備える
情報出力装置。
【請求項2】
前記差分領域検出部は、前記物体の差分領域を特定の色とし、前記物体の差分領域が含まれない箇所の画像を前記特定の色以外の色とする二階調に変換し、
前記提供情報無効化部は、前記撮像範囲の内、前記提供情報が含まれる箇所の画像を前記特定の色以外の色とし、前記提供情報が含まれない箇所の画像を前記特定の色とする二階調に変換し、前記特定の色以外の色とされた前記提供情報が含まれる箇所の画像を前記差分領域に重ね合わせて前記提供情報を無効化する
請求項1記載の情報出力装置。
【請求項3】
前記検知領域には、前記提供情報が、1対1、1対多、多対1又は、多対多のうち、いずれかで関連付けられる
請求項1又は2記載の情報出力装置。
【請求項4】
前記物体の状態変化は、前記物体が移動すること、前記物体が輝点である場合に、前記輝点の輝度が変化すること、又は前記物体の温度が変化することのうち、いずれかである
請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報出力装置。
【請求項5】
所定の大きさの表示領域に背景画像を表示する表示部に前記背景画像を出力する手順と、
表示される前記背景画像の内、所定の大きさの撮像範囲を被写体として撮像するカメラから入力される第1の取込み画像を得るとともに、前記第1の取込み画像より所定のフレーム数だけ遅れて前記カメラから入力される第2の取込み画像を得て、前記第1の取込み画像と前記第2の取込み画像を比較し、前記撮像範囲で状態が変化する物体の前記所定のフレーム数における前記第1及び第2の取込み画像の差分を、差分領域検出部により前記物体の差分領域として検出する手順と、
前記撮像範囲には、予め設けられた検知領域が設けられており、該検知領域に前記差分領域の一部が重なった場合に、前記差分領域の一部が重なった前記検知領域に関連付けられる提供情報を提供情報データベースから読出し、前記提供情報を重ねた前記背景画像を、前記表示部に前記背景画像を出力する画像出力部に出力させる手順と、
前記背景画像に重ねられた前記提供情報の位置及び形状を前記差分領域検出部に知らせることによって、前記差分領域検出部が前記提供情報の差分を検出しないように前記提供情報を無効化する手順と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
所定の大きさの表示領域に背景画像を表示する表示部と、
前記表示部に前記背景画像を出力する画像出力部と、
前記表示領域に表示される前記背景画像の内、所定の大きさの撮像範囲を被写体として撮像するカメラと、
前記カメラから入力される第1の取込み画像を得るとともに、前記第1の取込み画像より所定のフレーム数だけ遅れて前記カメラから入力される第2の取込み画像を得て、前記第1の取込み画像と前記第2の取込み画像を比較し、前記撮像範囲で状態が変化する物体の前記所定のフレーム数における前記第1及び第2の取込み画像の差分を、前記物体の差分領域として検出する差分領域検出部と、
前記撮像範囲には、予め設けられた検知領域が設けられており、該検知領域に前記差分領域の一部が重なった場合に、前記差分領域の一部が重なった前記検知領域に関連付けられる提供情報を提供情報データベースから読出し、前記提供情報を重ねた前記背景画像を前記画像出力部に出力させる提供情報出力部と、
前記背景画像に重ねられた前記提供情報の位置及び形状を前記差分領域検出部に知らせることによって、前記差分領域検出部が前記提供情報の差分を検出しないように前記提供情報を無効化する提供情報無効化部と、を備える
情報出力システム。
【請求項7】
前記表示部が液晶ディスプレイパネルを備える液晶ディスプレイ装置である場合に、前記表示部及び前記カメラの間に特定の振動方向の光を透過させる偏光素子を備え、
前記液晶ディスプレイパネルから放射される偏光した映像光に対して、前記偏光素子の方向を変えることによって、前記偏光素子を通過して前記カメラに入射する前記映像光の光量を増減する
請求項6記載の情報出力システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−129590(P2012−129590A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276643(P2010−276643)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(508345634)移動体付随情報表示装置株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(508345634)移動体付随情報表示装置株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]