説明

感光性組成物、及びマイクロレンズ

【課題】屈折率、可視領域での透明性、及び耐熱性に優れる硬化物(硬化塗膜)となり得る感光性組成物を提供する。
【解決手段】式(I)で表される構成単位を有する重合体(A)、感光性化合物(B)、硬化剤(C)、及び溶剤(D)を含有することを特徴とする感光性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性組成物、該感光性組成物を用いて形成されるパターンやマイクロレンズ、及び該パターンやマイクロレンズの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサに代表される固体撮像素子の需要が急速に拡大している。これらの固体撮像素子には、受光感度を高くするためにマイクロレンズが用いられており、該マイクロレンズには高い屈折率が求められている。
【0003】
マイクロレンズの形成材料としては、ヒドロキシスチレンとメチルメタクリレートとの共重合体を含有する感光性組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−158232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたヒドロキシスチレンとメチルメタクリレートとの共重合体を含有する感光性組成物を用いて形成されたマイクロレンズは、熱により着色し透明性の低下を招くことがある。従って本発明の目的は、熱着色し難い硬化物(例えばマイクロレンズ)を提供することにある。また、このような硬化物を与え得る感光性組成物を提供することにある。
【0005】
さらにマイクロレンズは、その使用目的から明らかなように、屈折率、透明性などに優れていることが求められる場合がある。従って本発明の好ましい目的は、屈折率、透明性などを劣化させることなく、熱着色し難い硬化物(例えばマイクロレンズ)を提供することにある。また、このような硬化物を与え得る感光性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記の課題を解決し得る新たな感光性組成物について鋭意検討した結果、特定の重合体を含有して構成される感光性組成物が、屈折率、透明性などに悪影響を与えることなく、硬化物の熱着色を防止できることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、上記課題を解決することができた本発明の感光性組成物は、式(I)で表される構成単位を有する重合体(A)、感光性化合物(B)、硬化剤(C)、及び溶剤(D)を含有することを特徴とする。
【0008】
【化1】


[式(I)中、ユニットXは
【0009】
【化2】

で表され、ユニットYは
【0010】
【化3】


で表され、ユニットZは
【0011】
【化4】


で表される。
【0012】
ここで、式(I)中、mは0〜10の整数を示し(mが2〜10の整数を示す場合、異なる繰り返し単位中のR1〜R5は、それぞれ同一でも異なってもよい。)、
1はアルキレン基を示し、
2及びR2'はmに応じて異なっていてもよく、これらはそれぞれ独立に水素原子;−C(=O)−C(=O)OH基;又はカルボニル基とカルボキシル基とを有し、さらにヒドロキシ基、不飽和基、芳香族基、ハロゲン基を有していてもよいC1-20の炭化水素基を示し、
3及びR4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子で置換されてもよいC1-12の炭化水素基(例えば、鎖式アルキル基など);C7-12のアラルキル基を示し、
pは0〜5の整数を示し、
5は単結合;又はヒドロキシ基、不飽和基、芳香族基、ハロゲン基を有していてもよいC1-20の炭化水素基を示し、
6は不飽和基を有し、エステル結合、環状炭化水素、ヒドロキシ基を有してもよいC2-10の有機基を示し、
Wは単結合、または式(W−1)から(W−8)
【0013】
【化5】


のいずれかで示される2価の基を示す。]
【0014】
本発明において、感光性化合物(B)は、好ましくはキノンジアジド化合物である。また、前記硬化剤(C)は、好ましくはメラミン化合物である。
【0015】
本発明には、上記感光性組成物を用いて形成されるパターン、及びマイクロレンズが包含される。
【0016】
本発明にかかるパターン、及びマイクロレンズは、以下の工程を有する方法によって製造される。
(1)式(I)で表される構成単位を有する重合体(A)、感光性化合物(B)、硬化剤(C)、及び溶剤(D)を含有する感光性組成物を支持体上に塗布する工程
(2)溶剤(D)を除去する工程
(3)塗布により得られた被膜に目的のパターンに対応するマスクパターンを介して露光する工程
(4)現像工程
(5)得られたパターンに紫外線を照射する工程
(6)パターンを加熱する工程
【0017】
【化6】


[式(I)中、X、Y、Z、及びmは上記と同様のものである。]
【0018】
本明細書においてCa-bの表記は、炭素数がa以上b以下であることを意味する。また、(メタ)アクリルの記載は、アクリル、メタクリル、およびそれらの混合を意味する。
【0019】
また、R5を含むユニットYを構成しうる多価カルボン酸(後述する)が非対称化合物(HOOC−A−B−COOH)であれば、同一の非対称多価カルボン酸を用いてもユニットYには二つの態様が存在する。すなわち非対称多価カルボン酸をHOOC−A−B−COOHと記載した場合、この非対象多価カルボン酸を基に形成されるユニットYは、−OOC−A−B−COO−と−OOC−B−A−COO−の2通り存在し得るが、本明細書においてはこれらの−A−B−及び−B−A−をまとめて「R5」と表記する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、屈折率、可視領域での透明性、及び耐熱性(熱着色性)に優れた硬化物(例えばマイクロレンズ)を与え得る感光性組成物を提供できる。また本発明の感光性組成物を用いて得られる硬化物(硬化塗膜)は、平坦化特性にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の感光性組成物は、式(I)で表される構成単位(以下、単に「構成単位(I)」と称する場合がある。)を有する重合体(A)、感光性化合物(B)、硬化剤(C)、及び溶剤(D)を含有している。初めに構成単位(I)について、詳細に説明する。
【0022】
本発明で用いる構成単位(I)は、
【0023】
【化7】


で表される。
[式中mは0〜10の整数を示す(mが2〜10の整数を示す場合、異なる繰り返し単位中のR1〜R5(後述する)は、それぞれ同一でも異なってもよい)。]
【0024】
式(I)中、ユニットXは、
【0025】
【化8】

で表される。
[式中pは0〜5の整数を示す。]
【0026】
上記ユニットXにおいて、R1はアルキレン基である。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などのC1-10程度のアルキレン基が挙げられる。また、このアルキレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えばヒドロキシ基;ハロゲン原子;ヒドロキシ基を有していてもよいC1-10のアルキル基;C1-10のアルコキシル基;C6-15のアリール基;C7-15のアラルキル基;C2-10のアルケニル基;C2-10のアシルオキシ基などが挙げられる。
【0027】
ここで、ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。C1-10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられ、ヒドロキシ基で置換されている場合のアルキル基としては、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。C1-10のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。C6-15のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。C7-15のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などが挙げられる。C2-10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられる。C2-10のアシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。
【0028】
2及びR2'はそれぞれ独立に、水素原子;−C(=O)−C(=O)OH基;またはカルボニル基とカルボキシル基とを有するC1-20の炭化水素基を示す。このC1-20の炭化水素基は、さらに置換基(例えば、ヒドロキシ基、不飽和基、芳香族基、ハロゲン原子など)を有していてもよい。
【0029】
置換基を有していてもよいC1-20の炭化水素基は、具体的には、多価カルボン酸からOH基を除いた残基と考えることができる。なお、多価カルボン酸そのものを反応させることは少なく、多価カルボン酸を活性化(例えば、アシルハライド化、酸無水物化など)してから反応させることが多い。多価カルボン酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸;リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロレンド酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸などの不飽和カルボン酸;フタル酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸およびビフェニルエーテルテトラカルボン酸などの芳香族カルボン酸などのカルボン酸の無水物が挙げられる。好ましくはテトラヒドロフタル酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。これらの酸無水物はそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なおR2及びR2’は、上述した様にmに応じて異なっていてもよい。すなわち、m=n番目の繰り返し単位X−YでのR2及びR2’と、m=n+1番目の繰り返し単位X−YでのR2及びR2’とは、互いに異なっていてもよい。通常、R2及びR2’は、2つの基から選ばれる。
【0030】
3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子で置換されてもよいC1-12の炭化水素基;C7-12のアラルキル基を示す。ハロゲン原子で置換されてもよいC1-12の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などのC1-5の直鎖状あるいは分岐鎖状アルキル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。C7-12のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられ、好ましくはベンジル基である。
【0031】
Wは単結合、または式(W−1)から(W−8)
【0032】
【化9】


のいずれかで示される2価の基を示す。特に、式(W−1)で示される2価の基であることが好ましい。
【0033】
特に、ユニットXの中でも、mに応じて異なるR2及びR2'の集合の一部が水素原子で、残りがテトラヒドロフタル酸無水物残基であり、R3およびR4が水素原子であり、p=0であり、WがR3、R4で置換されたベンゼン環上の酸素原子に対して4位にあって、式(W−1)で示される2価の基である化合物;mに応じて異なるR2及びR2'の集合の一部が水素原子で、残りがテトラヒドロフタル酸無水物残基であり、R3がメチル基であり、R4が水素原子であり、p=0であり、WがR3、R4で置換されたベンゼン環上の酸素原子に対して4位にあって、式(W−1)で示される2価の基である化合物;R1がエチレン基であり、mに応じて異なるR2及びR2'の集合の一部が水素原子で、残りがテトラヒドロフタル酸無水物残基であり、R3およびR4が水素原子であり、WがR3、R4で置換されたベンゼン環上の酸素原子に対して4位にあって、式(W−1)で示される2価の基である化合物;R1が−C(CH)H−CH−で示されるアルキレン基であり、mに応じて異なるR2及びR2'の集合の一部が水素原子で、残りがテトラヒドロフタル酸無水物残基であり、R3およびR4が水素原子であり、WがR3、R4で置換されたベンゼン環上の酸素原子に対して4位にあって、式(W−1)で示される2価の基である化合物;R1がエチレン基であり、mに応じて異なるR2及びR2'の集合の一部が水素原子で、残りがテトラヒドロフタル酸無水物残基であり、R3がメチル基であり、R4が水素原子であり、WがR3、R4で置換されたベンゼン環上の酸素原子に対して4位にあって、式(W−1)で示される2価の基である化合物などが好ましい。
【0034】
式(I)中、ユニットYは、
【0035】
【化10】


で表される。
【0036】
5は単結合、又はC1-20の炭化水素基を示す。このC1-20の炭化水素基は、さらに置換基(ヒドロキシ基、不飽和基、芳香族基、ハロゲン原子など)を有していてもよい。かかるR5を含んで構成されるユニットYは、多価カルボン酸から2つの酸性水素原子を除いた残基と考えることができる。好ましい多価カルボン酸は、一分子中に少なくとも2個のカルボン酸基を有する化合物であり、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸;リンゴ酸などのヒドロキシカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸などの不飽和カルボン酸;フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸などの芳香族カルボン酸が挙げられ、好ましくはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、クロレンド酸などの不飽和カルボン酸が挙げられる。これらの多価カルボン酸は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
式(I)中、ユニットZは、
【0038】
【化11】


で表される。
【0039】
6は不飽和基を有するC2-10の有機基である。このC2-10の有機基は、例えば、炭化水素基、又はエステル結合で連結された炭化水素基などである。前記炭化水素基は、環状炭化水素基、鎖状炭化水素基、環状炭化水素基と鎖状炭化水素基とが結合した基のいずれであってもよく、また炭化水素基にはヒドロキシル基が結合していてもよい。このR6を含んで構成されるユニットZは、不飽和基含有モノカルボン酸から酸性水素原子を除いた残基と考えることができる。好ましい不飽和基含有モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β−スチリルアクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸、桂皮酸;飽和又は不飽和二塩基酸無水物と、1分子中に1個のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート誘導体との反応物である半エステル類(半エステル類1);飽和または不飽和二塩基酸と、不飽和基含有モノグリシジル化合物との反応物である半エステル類(半エステル類2)が挙げられる。
【0040】
半エステル類1を構成する飽和又は不飽和二塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。半エステル類1を構成する(メタ)アクリレート誘導体としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等が挙げられる。飽和又は不飽和二塩基酸無水物と(メタ)アクリレート誘導体は、通常、等モルで反応させて半エステル類1を製造する。
【0041】
半エステル類2を構成する飽和または不飽和二塩基酸には、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、イタコン酸、フマル酸等が含まれる。半エステル類2を構成する不飽和基含有モノグリシジル化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、式(II−1)〜(II−4)で表される化合物等が挙げられる。これら飽和または不飽和二塩基酸と不飽和基含有モノグリシジル化合物は、通常、等モル比で反応させて半エステル2を製造する。
【0042】
【化12】

【0043】
これらの不飽和基含有モノカルボン酸は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
本発明で用いる重合体(A)の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、特開2004−45595号公報に記載の方法によって製造することができる。
【0045】
本発明の感光性組成物に含まれる感光性化合物(B)としては、一般に感光剤と称されており、公知のものを使用できる。代表的な感光性化合物(B)は、キノンジアジド化合物(特にナフトキノンジアジド化合物)である。好ましいナフトキノンジアジド化合物は、o−ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物(例えばo−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸など)と、多価フェノール(好ましくはフェノール性水酸基を3つ以上有する多価フェノール)とのエステルである。
【0046】
多価フェノールとしては、例えば、(i)1つ又はそれ以上の水酸基を有するベンゼン環(以下「水酸基含有ベンゼン環」と略称する。)がカルボニル基を介して結合されている化合物、(ii)水酸基含有ベンゼン環がアルキレン基(好ましくはメチレン基)を介して結合されている化合物、及び(iii)ジヒドロピラン環と第一の水素基含有ベンゼン環とが縮環し、さらにこの縮環のジヒドロピラン環部分に第2の水素基含有ベンゼン環が結合している化合物が挙げられる。
【0047】
上記(i)の多価フェノールとして、例えばジ、トリ、テトラまたはペンタヒドロキシベンゾフェノン(好ましくは2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなど)が挙げられる。
【0048】
上記(ii)の多価フェノールとして、例えば、式(III−1)〜(III−7)で表される化合物が挙げられる。
【0049】
【化13】

【0050】
上記(iii)の多価フェノールとして、例えば式(III−8)〜(III−11)で表される化合物が挙げられる。
【0051】
【化14】

【0052】
多価フェノールとして、上記(iii)に分類したものが好ましく、それらの中でも化合物(III−10)がより好ましい。
【0053】
本発明の感光性組成物に含まれる硬化剤(C)としては、熱硬化作用を有する化合物を用いることができ、例えば、メラミン化合物が挙げられる。好ましいメラミン化合物は、例えば、式(IV)で表される。
【0054】
【化15】

【0055】
[式(IV)中、R700〜R705は、それぞれ独立に、水素原子;直鎖状C1-10のアルキル基又は分岐鎖状C3-10のアルキル基を示す。但し、R700〜R705のうち水素原子の合計は、4個以下である。]
【0056】
直鎖状C1-10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などの直鎖状C1-6のアルキル基が挙げられる。
【0057】
分岐鎖状C3-10のアルキル基としては、例えば、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチル−n−ヘキシル基などが挙げられ、好ましくはイソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの分岐鎖状C3-5のアルキル基が挙げられる。
【0058】
式(IV)で表されるメラミン化合物としては、好ましくは、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミンなどが挙げられ、好ましくはヘキサメトキシメチルメラミン(ヘキサメトキシメチロールメラミンともいう)、ヘキサエトキシメチルメラミンが挙げられる。
【0059】
また前記硬化剤(C)は、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、テトラエトキシメチルベンゾグアナミン、テトラプロポキシメチルベンゾグアナミン、テトラブトキシメチルベンゾグアナミンなどのグアナミン化合物、及び式(V−1)〜(V−6)で表される化合物などであってもよい。
【0060】
【化16】

【0061】
感光性組成物中の重合体(A)、感光性化合物(B)及び硬化剤(C)の含有量(重合体(A)、感光性化合物(B)及び硬化剤(C)の合計100質量部に対する量)は、それぞれ以下の通りである。
重合体(A):好ましくは30〜70質量部程度、より好ましくは40〜60質量部程度。
感光性化合物(B):好ましくは10〜60質量部程度、より好ましくは20〜50質量部程度。
硬化剤(C):好ましくは5〜30質量部程度、より好ましくは10〜20質量部程度。
【0062】
重合体(A)の量が上記範囲内であれば、現像液に対する溶解度が充分であり、また現像工程での膜減りを生じにくく、フォトリソグラフィでパターンを形成する際の露光量が少なくなり好ましい。
【0063】
感光性化合物(B)の量を上記範囲内にすることで、パターン形成時の現像工程での膜減りを小さくでき、またフォトリソグラフィでパターンを形成する際の露光時間を短くできる。
【0064】
硬化剤(C)の量が上記範囲内であれば、フォトリソグラフィでパターンを形成する際の露光量を少なくできる。また現像後のパターンの形状が良好であり、該パターンを加熱して硬化させた後のパターンの機械的強度も充分である。
【0065】
本発明の感光性組成物に含まれる溶剤(D)は、重合体(A)、感光性化合物(B)、及び硬化剤(C)などの溶解度や塗布性によって、適宜選択される。
【0066】
溶剤(D)としては、例えば、エチレングリコール類(メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルなど)、プロピレングリコール類(プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ケトン類(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(別名ジアセトンアルコール)、シクロヘキサノンなど)、カルボン酸エステル類(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ピルビン酸エチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチルなど)などが挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
【0067】
溶剤(D)の含有量は、感光性組成物全体に対して、例えば40〜95質量%程度、好ましくは70〜90質量%程度である。溶剤量が上記範囲であれば、感光性組成物は良好な塗布性を示し、均一な塗膜が形成される。
【0068】
本発明の感光性組成物は、重合体(A)以外の他の重合体成分を含んで構成されてもよい。かかる他の重合体成分としては、例えば、カルボキシル基を有し、かつアルカリ可溶性の重合体が用いられる。このようなカルボキシル基を有するアルカリ可溶性の共重合体の具体例としては、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)/スチレン/アリル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体等を挙げることができる。これらの他の重合体成分は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
本発明の感光性組成物は、必要に応じて、界面活性剤なども含有していてもよい。界面活性剤には、シリコーン系界面活性剤[例えば、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同29SHPA、同SH30PA、ポリエーテル変性シリコーンオイルSH8400(以上はトーレシリコーン(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(以上は信越シリコーン製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(以上はジーイー東芝シリコーン(株)製)などのシロキサン結合を有する界面活性剤など];フッ素系界面活性剤[例えば、フロラードFC430、同FC431(以上は住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同R30(以上は大日本インキ化学工業(株)製)、エフトップEF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上は新秋田化成(株)製)、サーフロンS381、同S382、同SC101、同SC105(以上は旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM−1000、BM−1100(以上はBM Chemie社製)などのフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤など];フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤[メガファックR08、同BL20、同F475、同F477、同F443(以上は大日本インキ化学工業(株)製)などのシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤など]が含まれる。これらの界面活性剤は、単独でも2種類以上を組合せて用いてもよい。
【0070】
界面活性剤を用いる場合、その使用量は、感光性組成物全体を100質量%としたとき、例えば、0.0005質量%〜0.6質量%程度、好ましくは0.001質量%〜0.5質量%程度である。界面活性剤の使用量が前記の範囲であると、感光性組成物の塗布時における平坦性がさらに良好になる。
【0071】
さらに本発明にかかる感光性組成物は、本発明の効果を損なわない程度で、種々の添加成分(エポキシ系樹脂、オキセタン化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、キレート剤など)を含んでいてもよい。
【0072】
本発明の感光性組成物は、溶剤中で各成分を混合することにより調製できる。この調製された感光性組成物は、通常、ポアサイズが0.2μm以下程度のフィルタでろ過する。ろ過により、感光性組成物を塗布する際の均一性が向上する。
【0073】
本発明におけるパターン、及びマイクロレンズの製造方法は、以下の工程を有する。
(1)式(I)で表される構成単位を有する重合体(A)、感光性化合物(B)、硬化剤(C)、及び溶剤(D)を含有する感光性組成物を支持体上に塗布する工程
(2)溶剤(D)を除去する工程
(3)塗布により得られた被膜に目的のパターンに対応するマスクパターンを介して露光する工程
(4)現像工程
(5)得られたパターンに紫外線を照射する工程
(6)パターンを加熱する工程
【0074】
感光性組成物が塗布される支持体としては、公知のものが使用でき、例えばCCDやCMOSなどの固体撮像素子などイメージセンサが形成されたシリコンウエハ、透明なガラス板、石英ウエハなどが使用できる。
【0075】
支持体上に感光性組成物の被膜を形成する方法は特に限定されず、スピンコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、ディップ法、流延塗布法、ロール塗布法、スリット&スピンコート法、スリットコート法などの通常の塗布方法を適宜採用できる。
【0076】
本発明の感光性組成物を支持体上に塗布した後、溶剤などの揮発成分を加熱(例えば70〜120℃の加熱)などによって除去することにより、被膜を形成できる。
【0077】
被膜を露光する際には、目的のパターンに対応するマスクパターンを介して、被膜に光線を照射する。光線としては、例えば、g線、h線、i線などを用いることができ、これらにはg線ステッパー、h線ステッパー、i線ステッパーなどの露光機を利用すればよい。照射領域における光線の照射量は、重合体(A)、感光性化合物(B)、硬化剤(C)の種類及び含有量などによって適宜選択される。また、こうして作成した被膜は加熱してもよい。加熱することで、硬化剤(C)が硬化して、被膜の機械的強度が向上する。加熱する場合の加熱温度は、例えば80〜150℃程度である。
【0078】
現像では、通常の感光性組成物を用いた場合と同様に、被膜が設けられた支持体を通常の現像液に接触させればよい。現像液としては、特に制限は無いが、例えばアルカリ水溶液などが用いられ、必要に応じて界面活性剤を混合してもよい。現像液を振り切り、次いで水洗して現像液を除去することにより、パターンを形成する。なお現像液を振り切った後、リンス液でリンスをしてから、水洗する場合もある。このリンスにより、現像時に支持体上に残った感光性組成物の残渣を取り除くことができる。こうして、被膜からパターンが形成される。
【0079】
得られたパターンには、紫外線が照射される。紫外線照射により、パターン中に残存する感光成分が分解される。
【0080】
ついで、パターンへの紫外線照射後にパターンは加熱される。この加熱によってパターンの機械的強度を向上させることができる。またマイクロレンズを形成する場合には、この加熱によってパターンを曲面化して、マイクロレンズの形状を付与することができる。この加熱温度は、通常、100〜160℃程度である。またマイクロレンズを形成する場合には、通常、160℃〜220℃程度である。加熱温度が前記範囲内にあると、硬化が充分に進行する。
【0081】
上記のようにして得られるマイクロレンズの厚みは、例えば0.4〜3.0μm程度である。また各マイクロレンズの縦及び横の長さは、それぞれ独立に1.0〜20μm程度の範囲で設定できる。
【0082】
本発明のマイクロレンズは、固体撮像素子(CCDやCMOSイメージセンサなど)や液晶表示素子などの素子上に形成でき、入射光の集光効率を上げるのに有用である。
【0083】
なお本発明の感光性組成物は、支持体に塗布した後、パターニングすることなく硬化(光硬化及び/又は特に、熱硬化)してもよい。このようにして得られる塗膜は、塗布面の段差を解消する特性(平坦化特性)に優れており、平坦化膜や保護膜として使用できる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。以下の成分量における「%」及び「部」は、特記されない限り、質量%及び質量部である。
【0085】
合成例1
容量300mLの四つ口フラスコ中に、エポキシ化合物としてビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル46.3gと、多価カルボン酸としてイタコン酸8.7gと、触媒としてトリエチルベンジルアンモニウムクロライド0.09g、及びテトラエチルアンモニウムブロマイド0.18gと、重合防止剤としてメトキノン0.02gと、希釈剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55gとを仕込み、加熱撹拌下、120℃で4時間反応させ、透明な淡黄色の粘稠液体を得た。得られた粘稠液体に、更に希釈剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4.8g、及び不飽和基含有モノカルボン酸としてアクリル酸4.8gを加え、120℃で8時間反応させて反応物を得た。
【0086】
次に、得られた反応物55gに、酸無水物としてテトラヒドロフタル酸無水物10.2gと、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.2gとを仕込み、120℃で加熱撹拌下に2時間反応させ、淡黄色透明の重合体(A)を得た。
【0087】
実施例1、及び比較例1
表1のように、重合体(A)又はパラビニルフェノール樹脂(「マルカリンカー(登録商標)CMM」、丸善石油化学(株)製)と、式(III−10)で表されるフェノール化合物とo−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸とのエステル(感光性化合物(B))と、ヘキサメトキシメチロールメラミン(硬化剤(C))と、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(溶剤(D))とを、それぞれ所定量混合した後、孔径0.2μmのメンブランフィルタでろ過して感光性組成物(感光性組成物)1及び2を得た。
【0088】
【化17】

【0089】
【表1】

【0090】
<マイクロレンズの形成>
イメージセンサが形成されたシリコン基板上に、感光性組成物1及び2をスピンコート法で膜厚が1μmとなるよう塗布し、90℃で1分間加熱して揮発成分を除去して塗布膜を形成した。
【0091】
次いでi線ステッパー[Nikon NSR2005i9C;(株)ニコン製;NA=0.50]を用いて2.0μmの市松模様のマスクパターンを介して、露光量を25〜475mJ/cm2の範囲で段階的に変化させて、パターンを露光した。
【0092】
次いで得られた露光後の塗布膜を、現像液[実施例1は0.1質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液、比較例1は2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を用いた。]に60秒間浸漬して現像した。
【0093】
現像後、水洗し、乾燥後、波長300〜450nmの紫外線(紫外光)200mJ/cm2を照射し、180℃で3分間加熱し、線幅2.0μm、厚み0.9μmのマイクロレンズを得た。
【0094】
<屈折率測定>
シリコンウエハ上にスピンコート法で、後述の180℃での加熱工程後に膜厚が1.0μmとなるように、感光性組成物1及び2を塗布し、90℃で1分間加熱して揮発成分を除去して被膜を形成した。
【0095】
次いで、得られた被膜に波長300〜450nmの紫外線(紫外光)200mJ/cm2を照射し、180℃で3分間加熱し、得られた被膜を、分光エリプソメータ(M−220;日本分光(株)製)を用いて、550nmにおける屈折率を測定した。屈折率は、高いほどレンズ材として好ましい。
【0096】
<透明性>
石英ウエハ上にスピンコート法で膜厚が1.0μmとなるように、感光性組成物1及び2を塗布し、90℃で1分間加熱して揮発成分を除去して被膜を形成した。
【0097】
次いで、得られた被膜に、波長300〜450nmの紫外線(紫外光)200mJ/cm2を照射後、180℃で3分間加熱し、得られた180℃3分間加熱後の塗膜を、分光光度計(DU−640;BECKMAN社製)を用いて、その可視領域(400〜700nm)の透過率を測定し、平均透過率(T0)値を算出した。平均透過率が高いほど透明性に優れることを意味し、レンズ材として好ましい。
【0098】
<耐熱性>
石英ウエハ上にスピンコート法で膜厚が1.0μmとなるように、感光性組成物1及び2を塗布し、90℃で1分間加熱して揮発成分を除去して被膜を形成した。
【0099】
次いで、波長300〜450nmの紫外線(紫外光)200mJ/cm2を照射し、180℃で3分間加熱し、得られた被膜の400〜700nmにおける透過率を分光光度計を用いて測定し、平均透過率(T0)を算出した。
【0100】
次いで、前記の180℃3分間加熱後の被膜を、さらにオーブン中で240℃で30分間加熱した。得られた240℃30分間加熱後の被膜の可視領域(400〜700nm)における透過率を分光光度計を用いて測定し、平均透過率(Ta)を算出し、TaからT0を差し引いた値を耐熱性とした。耐熱性は、前記の数値が小さいほど加熱前後の変化が少ないことを意味し、好ましい。
【0101】
<平坦化特性>
シリコンウエハ上に、0.4μm間隔で、幅0.4μm、高さ0.4μmのラインパターンをパターニングした段差基板に、スピンコート法によりポストベーク後の膜厚が3μmとなるように感光性組成物1及び2を塗布し、90℃で1分間加熱して揮発成分を除去して被膜を形成した。
【0102】
次いで、波長300〜450nmの紫外線(紫外光)200mJ/cm2照射し、180℃で3分間加熱し、走査型電子顕微鏡を用いて、段差上(LINE)と非段差上(SPACE)の膜厚を測定し、平坦化特性(非段差上膜厚/[段差上膜厚+ライン高さ])を算出した。1に近いほど平坦化特性に優れることを示す。
【0103】
本発明の感光性組成物1及び2を用いて得られる硬化物の上記各物性を、表2に示す。
【0104】
【表2】

【0105】
表2の結果から明らかなように、本発明の感光性組成物1を用いて得られる硬化物は、重合体(A)以外の重合体を用いて得られる感光性組成物2を用いて得られる硬化物に比べて、屈折率、透明性などが劣化することなく、耐熱性が向上している。また本発明の感光性組成物を用いて得られる硬化物は、平坦化特性にも優れている。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明によれば、屈折率、可視領域での透明性、及び耐熱性に優れる感光性組成物、パターン、マイクロレンズを提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される構成単位を有する重合体(A)、感光性化合物(B)、硬化剤(C)、及び溶剤(D)を含有することを特徴とする感光性組成物。
【化1】


[式(I)中、ユニットXは
【化2】

で表され、ユニットYは
【化3】


で表され、ユニットZは
【化4】


で表される。
式(I)中、mは0〜10の整数を示し(mが2〜10の整数を示す場合、異なる繰り返し単位中のR1〜R5は、それぞれ同一でも異なってもよい。)、
1はアルキレン基を示し、
2及びR2'は、それぞれ独立に水素原子;−C(=O)−C(=O)OH基;又はカルボニル基とカルボキシル基とを有するC1〜20の炭化水素基を示し、
3及びR4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子で置換されてもよいC1-12の炭化水素基;C7-12のアラルキル基を示し、
pは0〜5の整数を示し、
5は単結合、又はC1-20の炭化水素基を示し、
6は不飽和基を有するC2-10の有機基を示し、
Wは単結合、または式(W−1)から(W−8)
【化5】


のいずれかで示される2価の基を示す。]
【請求項2】
前記感光性化合物(B)が、キノンジアジド化合物である請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記硬化剤(C)がメラミン化合物である請求項1または2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の感光性組成物から形成されることを特徴とするパターン。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の感光性組成物から形成されることを特徴とするマイクロレンズ。
【請求項6】
以下の工程を有するマイクロレンズの製造方法。
(1)式(I)で表される構成単位を有する重合体(A)、感光性化合物(B)、硬化剤(C)、及び溶剤(D)を含有する感光性組成物を支持体上に塗布する工程
(2)溶剤(D)を除去する工程
(3)塗布により得られた被膜に目的のパターンに対応するマスクパターンを介して露光する工程
(4)現像工程
(5)得られたパターンに紫外線を照射する工程
(6)パターンを加熱する工程
【化6】


[式(I)中、X、Y、Z、及びmは上記と同様のものである。]

【公開番号】特開2009−251536(P2009−251536A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102947(P2008−102947)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】