説明

投写型映像表示装置

【課題】充電池が過放電状態となるのを効果的に抑制でき、これにより、アラーム機能を適正に発揮させ得る投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】投写型映像表示装置は、外部電源からの電力を供給する電源ユニット30と、電源ユニット30によって充電池42を充電する充電回路41と、アラーム音を出力するためのアラーム基板45と、アラーム基板45を制御するアラームマイコン46と、電源ユニット30からの電力と充電池42からの電力の何れか一方をアラーム基板45とアラームマイコン46に供給する切替回路44と、充電池42からの電圧が閾値未満になったときに切替回路44に対する給電を遮断する遮断回路43とを備える。充電池42からの電圧が閾値未満になると、アラーム基板45とアラームマイコン46に対する給電が遮断される。よって、充電池の電力が無駄に消費されるのを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル等の光変調素子によって変調された光を被投写面上に拡大投写する投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶パネル等に描画された画像を被投写面(スクリーン等)上に拡大投写する投写型映像表示装置(以下、「プロジェクタ」という)が商品化され広く普及している。この種のプロジェクタは、持ち運び可能であり、かつ、比較的高価なことから、何らかの盗難防止策を講じる必要がある。
【0003】
かかる盗難防止策として、パスワードの設定やPCカード等を使用することによってプロジェクタ自体に盗難防止機能を持たせる方法と、プロジェクタに対して盗難防止装置を取り付ける方法とがある。このうち、後者の方法として、たとえば、プロジェクタに振動センサを設置してプロジェクタが運搬状態にあるかを検知し、この検知結果に応じてアラーム装置を作動させる構成を用いることができる(たとえば、特許文献1)。
【0004】
この構成では、プロジェクタに2次電池(充電池)が内蔵されており、プロジェクタがAC電源(外部電源)に接続されていない場合には、充電池からアラーム装置に電力が供給される。盗難発生時には、充電池からアラーム装置に電力が供給されてアラーム音が出力される。これにより、盗難の発生が報知される。
【特許文献1】特開平2008−97352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の構成では、プロジェクタがAC電源(外部電源)に接続されていない状態が長く続くと、充電池の電力が、待機状態にあるアラーム装置によって消費され、充電池が過放電状態となる惧れがある。他方、アラーム装置には、正常に作動するに必要な電圧の範囲があり、この範囲よりも低いレベルの電圧が供給されても適正に作動しない。したがって、充電池から供給される電圧がこの範囲の下限値を下回った後でもさらにアラーム装置に電力が供給されると、充電池の電力がアラーム装置によって無駄に消費される結果となる。
【0006】
かかる無駄な消費によって充電池が過放電状態になってしまうと、充電池が劣化し、最悪の場合、充電池に充電を行えない状態(充電不可状態)となってしまう。こうなると、もはやアラーム装置を作動できなくなり、いざ盗難が発生したときに、アラーム音が報知されなくなってしまう。
【0007】
本発明は、かかる問題を解消するためになされたものであり、充電池が過放電状態となるのを効果的に抑制でき、これにより、アラーム機能を適正に発揮させ得る投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み本発明の投写型映像表示装置は、外部電源からの電力を供給する電力供給手段と、前記電力供給手段によって充電池を充電する充電手段と、アラーム音を出力するためのアラーム手段と、前記電力供給手段からの電力と前記充電池からの電力の何れか一方を前記アラーム手段に供給する切替手段と、前記充電池の充電量が閾値未満になったときに前記アラーム手段に対する給電を遮断する遮断手段とを備える。
【0009】
本発明に係る投写型映像表示装置によれば、充電池の充電量が閾値未満になると、アラーム手段に対する給電が遮断される。よって、アラーム手段によって充電池の電力が無駄に消費されるのを抑制でき、充電池の過放電状態を効果的に抑制することができる。
【0010】
本発明に係る投写型映像表示装置において、前記遮断手段は、前記充電池と前記切替手段の間に配置することができる。こうすると、アラーム手段以外の周辺回路による放電を抑制することができ、充電池の無駄な放電をより効果的に抑制することができる。
【0011】
また、本発明に係る投写型映像表示装置において、前記閾値は、前記アラーム手段が正常に動作可能な電圧範囲の下限値に設定することができる。こうすると、アラーム手段による充電池の無駄な放電を最も適切に抑制することができる。
【0012】
この他、前記閾値は、前記充電池の放電を停止すべきとして予め設定された電圧値に設定することができる。こうすると、充電池が過放電状態となる前に、充電池の放電を中止させることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり本発明によれば、充電池が過放電状態となるのを効果的に抑制でき、これにより、アラーム機能を適正に発揮させ得る投写型映像表示装置を提供することができる、
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものによって何ら制限されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、実施の形態に係るプロジェクタの構成を説明する。
【0015】
図1は、プロジェクタの概観を示す斜視図である。
【0016】
プロジェクタの外部キャビネット1は、第1キャビネット1aと、第1キャビネット1から側方に飛び出した第2キャビネット1bからなっている。第1キャビネット1aの前面側には、映像信号によって変調された光を投写するための窓2が配されており、窓2の近傍から、リモコン受信部90が外部に臨んでいる。また、第1キャビネット1aの右側面からは、AV端子部50の各端子およびACインレット60が外部に臨んでおり、さらに、投写画像のフォーカス調整を行うためのツマミ22が、Z軸方向に変位可能に配されている。
【0017】
なお、AV端子部50には、アラーム操作入力用の操作ボタン部51が含まれている。また、第2キャビネット1bからは、バッテリ残量の低下を報知するためのLED451(後述)が外部に臨んでいる。
【0018】
プロジェクタを床等の載置面に載置する場合には、アダプタが用いられる。
【0019】
図2は、アダプタの構成および装着方法を説明する図である。同図(a)は、アダプタとしてスタンド3を用いる場合を示し、同図(b)は、アダプタとしてアーム部材4を用いる場合を示す。
【0020】
図2(a)を参照して、スタンド3は、第1キャビネット1aと第2キャビネット1bの底面に装着される。すなわち、第1キャビネット1aと第2キャビネット1bの底面をスタンド3の上面に載せた状態で、ネジ4によってスタンド3を第1キャビネット1aにネジ止めする。
【0021】
図3(a)、(b)は、それぞれ、スタンド3を装着したときのプロジェクタの使用状態を示す右側面図および裏面図である。この場合、映像信号によって変調された光は、プロジェクタが載置される面(載置面)に投写される。
【0022】
図2(b)を参照して、アーム部材5は、第1キャビネット1aと第2キャビネット1bの裏面に装着される。すなわち、第1キャビネット1aと第2キャビネット1bの裏面に配されたネジ孔にアーム部材5の孔を合わせた状態で、ネジ6によってアーム部材5を第1キャビネット1aにネジ止めする。
【0023】
図4は、アーム部材5を装着したときのプロジェクタの使用状態を示す右側面図である。この場合、映像信号によって変調された光は、プロジェクタが載置される面(載置面)とは異なる面(壁やスクリーン等)に投写される。なお、アーム部材5に配された調節ネジ5aを回すことにより、光の投写方向を微調節することができ、被投写面に対する画像の投写状態を調節することができる。
【0024】
図5および図6は、外部キャビネット1を省略した状態のプロジェクタの構成を示す外観斜視図および上面図である。なお、図6には、メイン基板40が取り外された状態が示されている。
【0025】
図6および図7を参照して、プロジェクタは、光学エンジン10と、投写光学系20と、電源ユニット30と、メイン基板40と、AV端子部50と、ACインレット60を備えている。なお、80aは前面側キャビネットからのボス、80bは裏面側キャビネットからのボス、80cは振動吸収用のブッシュである。
【0026】
投写光学系20は、鍔部がブッシュ80cを介してボス80a、80b間に挟持されることによりキャビネット内に装着される。このように、投写光学系20は、振動吸収用のブッシュ80cを介して挟持されているため、外部キャビネット1からの衝撃が投写光学系20に伝わり難くなっている。また、投写光学系20は、振動吸収用のブッシュ80cを介して前面側キャビネットからのボス80aおよび裏面側キャビネットからのボス80bにより支持されているため、支持強度が向上している。
【0027】
投写光学系20の投写レンズ部分からは、図6に示す如く、フォーカス調整用のレバー21が突出されている。このレバー21をX−Z平面の面内方向に回動させることにより投写画像のフォーカスが調節される。フォーカスレバー21の先端に上記フォーカス調整用のツマミ22が装着され、このツマミ22が、第1キャビネット1aの右側面から外部に臨んでいる(図4参照)。
【0028】
光学エンジン10は、光源101からの白色光を青色波長帯、緑色波長帯および赤色波長帯の光に分離するとともに各波長帯の光を表示素子(液晶パネル)で変調し、さらに、変調後の各波長帯の光をダイクロイックプリズムで色合成し、合成後の光を投写光学系20に出射する。図7に示すように、光源101は、X軸方向に光を照射するよう配置され、投写光学系20は光軸がY軸方向となるよう配置されている。
【0029】
電源ユニット30は、光源101およびメイン基板40に電源を供給する。電源ユニット30には、ACインレット60を介してAC電圧が入力される。メイン基板40は、プロジェクタを駆動および制御するための回路である。図5に示す如く、メイン基板40を保持する回路基板は、光学エンジン10の一部を覆うようにして配置されている。また、メイン基板40には、AV端子部50を介してAV(Audio Visual)信号が入力される。また、AV端子部50には、上記の如く、アラーム操作入力用の操作ボタン部51が含まれている。
【0030】
なお、本実施の形態では、メイン基板40にアラーム回路が配されている。アラーム回路およびその周辺回路の詳細については、追って、図7ないし図9を参照して説明する。
【0031】
光学エンジン10の裏面側には3つの吸気ファン71が配されている。これら吸気ファン71によって吸気されたエアーは、光学エンジン10の左側面側に配された排気ファン72および背面側に配された排気ファン72によって排気される。このように吸気ファン71と排気ファン72を配置することにより、吸気ファン71によって吸気されたエアーは、光学エンジン10の光学系、光源101および電源ユニット30を通過するよう流れる。また、吸気されたエアーは、ダクト73を介して光源101の側面に導かれ、光源101の側面から排気ファン72に向かって流れる。かかるエアーの流れによって、これら部材に発生する熱が取り除かれる。
【0032】
次に、図7を参照して、上記メイン基板40に配されたアラーム回路とその周辺回路の構成について説明する。なお、同図には、便宜上、電源ユニット30が併せて図示されている。電源ユニット30は、ACインレット60を介して入力されたAC電圧を整流して直流電圧を生成し、生成した直流電圧を充電回路41、切替回路43およびシステムコントローラ47に供給する。
【0033】
充電回路41は、電源ユニット30から供給された直流電圧を用いて充電池42を充電する。充電池42は、ニッケル水素電池であり、充電した直流電圧を遮断回路43に供給する。遮断回路43は、リセットICを備え、充電値42から供給される直流電圧が閾値Vs1を下回っている場合に、切替回路44に対する充電池42の直流電圧の供給を遮断する。
【0034】
なお、閾値Vs1は、たとえば、アラーム基板45上の各回路とアラームマイコン46が正常に動作可能な電圧範囲の下限値に設定される。この他、充電池42における推奨電圧値(その電圧以下では放電を停止すべきとされる電圧値)を閾値Vs1としても良く、あるいは、上記下限値と推奨電圧値の両方を考慮して閾値Vs1を設定しても良い。
【0035】
図8(a)は、遮断回路43の構成を示す図である。
【0036】
充電池42からの直流電圧は抵抗43aを介してリセットIC43bに入力される。リセットIC43bは、充電池42から供給された直流電圧が閾値Vs1以上であるときに、1番端子からの出力信号をハイレベルに立ち上げる。この信号は抵抗43cを介してトランジスタ43dのベースに供給され、これによりトランジスタ43dがONされる。こうしてトランジスタ43dがONされると、充電池42から抵抗43f、43dおよびトランジスタ43dを介して電流が流れ、FET43gのソースとゲートの間に電位差が生じる。これにより、FET43gがONされ、充電池42からの直流電圧が切替回路44に供給される。
【0037】
一方、充電池42から供給された直流電圧が閾値Vs1未満の場合、リセットIC43bは、1番端子からの出力信号をローレベルに立ち下げる。これによりトランジスタ43dがOFFされ、充電池42から抵抗43f、43eおよびトランジスタ43dを介して電流が流れなくなる。この場合、FET43gのソースとゲートの間には電位差が生じず、このためFET43gがOFFされる。こうして、充電池42からの直流電圧が切替回路44に供給されなくなる。
【0038】
図7に戻り、切替回路43は、電源ユニット30から供給される直流電圧と、遮断回路43を介して充電池42から供給される直流電圧の何れか一方を、アラーム基板45とアラームマイコン46に供給する。
【0039】
図8(b)は、切替回路44の構成を示す図である。
【0040】
電源ユニット30からの直流電圧は、抵抗44aを介してダイオード44bおよびコンデンサ44cと、ダイオード44cに供給される。このとき、同時に、抵抗44e〜44fを介して、電源ユニット30からの直流電圧がFET44hのゲートに印加され、これにより、FET44hがOFFとされる。なお、FET44hには、ゲートにハイレベルの信号が印加されるとOFF状態となるFETが用いられている。
【0041】
このようにFET44hがOFFされると、遮断回路43からの直流電圧、すなわち、充電池42からの直流電圧がFET44hによって遮断される。よって、この場合には、電源ユニット30からダイオード44b、44dを介して印加される直流電圧が、アラーム基板45とアラームマイコン46に供給される直流電圧(Vcc、Vc)とされる。
【0042】
一方、ACインレット60に対するコンセント(外部電源)の接続が外され、電源ユニット30から切替回路44に直流電圧が印加されなくなると、FET44hのゲートがグランドに接続されて、FET44hがON状態に切り替わる。これにより、遮断回路43からの直流電圧、すなわち、充電池42からの直流電圧がFET44hを導通し、抵抗44i、44kを介してダイオード44j、44Lに印加される。よって、この場合には、遮断回路43から供給される直流電圧、すなわち、充電池42からの直流電圧が、アラーム基板45とアラームマイコン46に供給される直流電圧(Vcc、Vc)とされる。
【0043】
このように、切替回路44は、電源ユニット30から直流電圧が供給されている場合にはこの直流電圧を、また、電源ユニット30から直流電圧が供給されていない場合には遮断回路43を介して充電池42から供給される直流電圧を、アラーム基板45とアラームマイコン46に供給する。
【0044】
図7に戻り、アラーム基板45は、LED(Light Emitting Device)451と、ブザー452と、ブザー回路453と、振動センサ454を備える。このうち、ブザー回路453は、アラームマイコン46からの制御信号に従って、LED451とブザー452を駆動する。振動センサ454は、検出結果(振動信号)をアラームマイコン46に出力する。
【0045】
アラームマイコン46は、振動センサ454から入力された振動信号と切替回路44から供給された直流電圧を参照してブザー回路453を駆動制御する。なお、アラームマイコン46における制御処理については、追って、図9を参照して説明する。
【0046】
システムコントローラ47は、アラームマイコン46に対して、アラーム(ブザー)の音量、振動の検出感度、アラーム出力の継続時間等に関するパラメータ値をアラームマイコン46に供給する。これらのパラメータ値は、ユーザメニュー中のアラーム設定項目をユーザが選択することによって適宜変更される。また、システムコントローラ47は、電源ユニット30から電源供給があるか、すなわち、ACインレット60がコンセント(外部電源)に接続されているかを示す信号(以下、「AC表示信号」という)をアラームマイコン46に供給する。アラームマイコン46は、システムコントローラ47から供給されたパラメータ値とAC表示信号をもとに、ブザー回路453を駆動制御する。
【0047】
次に、図9を参照して、アラームマイコン46における制御処理について説明する。なお、同図に示す処理フローは、操作ボタン部51を介してユーザからアラームモードがセットされたときに実行される。
【0048】
アラームマイコン46は、システムコントローラ30から供給されるAC表示信号をもとに電源ユニット30から直流電圧が供給されているかを判別する(S101)。ここで、電源ユニット30から直流電圧が供給されていなければ(S101:YES)、
現在供給されている直流電圧が充電池42からのものであるとして、次に、振動センサ454にて検出された振動度Adが閾値Asを上回ったかを判定する(S102)。
【0049】
S102の判別においてAd>Asでなければ(S102:NO)、アラームマイコン46は、切替回路44から供給された充電池42からの直流電圧Viが閾値Vs2(Vs2>Vs1)を下回ったかを判定する(S103)。ここで、Vi<Vs2であれば(S103:YES)、切替回路44を介して供給された充電池42からの直流電圧Viが低下したとして、ブザー回路453に対し、LED451とブザー452を一定間隔で駆動させるための制御信号を出力する(S104)。これにより、LDE451が一定間隔で点灯するとともに、アラーム音が一定間隔で出力される。かかる報知出力により、ユーザは、充電池42の充電残量が低下していることを知ることができる。
【0050】
こうしてLED451の点灯とアラーム音の出力がなされている間に、ACインレット60がコンセントに接続され、電源ユニット30から直流電圧が供給され始めると、その旨を表示するAC表示信号がシステムコントローラ47からアラームマイコン46に供給される。かかる表示信号を受けて(S101:NO)、アラームマイコン46は、ブザー回路453に対して、LED451とブザー452の駆動を中止させる(S105)。
【0051】
一方、アラームマイコン46は、S102における判別がAd>Asであれば(S102:YES)、プロジェクタ本体が移動された(大きく振動した)として、ブザー回路453に対し、ブザー452を駆動させるための制御信号を出力する(S106)。これにより、プロジェクタからアラーム音が出力される。
【0052】
なお、プロジェクタの移動を検出する際の検出感度は、閾値Asによって決まる。ここで、閾値Asは、上記システムコントローラ47から供給されるパラメータ値のうち、振動の検出感度の設定値に基づいて設定される。また、S106におけるアラーム音の音量と出力継続時間も、上記システムコントローラ47から供給されるパラメータの設定値に基づいて設定される。
【0053】
S106においてブザー452が一旦駆動されると、アラームマイコン46は、システムコントローラ47からセットされた出力継続時間が経過するか(S109:YES)、ACインレット60がコンセントに接続されたことを示すAC表示信号をシステムコントローラ47から受信する(S110:YES)まで、アラーム音を出力させ続ける。なお、アラームマイコン46は、かかるアラーム出力の際にも、充電池42からの直流電圧Viが閾値Vs2を下回ったかを随時モニタし(S107)、直流電圧Viが閾値Vs2を下回ったことに応じて(S107:YES)、LED451を一定間隔で点灯させる(S108)。
【0054】
こうして、アラーム出力がなされた後に、アラームの出力継続時間が経過し(S109:YES)またはACインレット60がコンセントに接続されると(S110:YES)、アラームマイコン46は、アラーム音の出力を中止させる(S111)。ACインレット60がコンセントに接続されることによってアラーム出力が中止された場合(S110:YES→S111)には、その後、ACインレット60がコンセントから外されるまで(S101:YES)、LED451とブザー452に駆動が中止される(S105)。一方、アラーム出力の継続時間が経過することによってアラーム出力が中止された場合(S109:YES→S111)には、その後、ACインレット60がコンセントに接続されるまで(S101:NO)、S102以降の処理が実行され、上記のように、適宜、LED451とブザー452の駆動が行われる。
【0055】
なお、図9の処理フローでは、アラーム出力継続時間の経過状態(S109)とACインレット60の接続状態によってアラーム出力を解除するようにしたが、この他、パスワードの入力によってアラームの出力を解除するようにしても良い。この場合、パスワードは、たとえば、本体キャビネットに配されたアラーム操作入力用の操作ボタン部51から入力される。
【0056】
また、アラームの出力は、上記のように継続時間を設定せずに、ACインレット60がコンセントに接続されるまで継続させても良い。この場合、ACインレット60がコンセントに接続されなければ、図10の動作フローに従って充電池42の電力供給が遮断されるまでアラーム出力が継続される。
【0057】
さらに、充電池42が取り外され、あるいは、取り外されつつある状態では、ACインレット60がコンセントに接続されて電源ユニット30から直流電圧が供給されている状態においても、アラーム音を出力させ、アラーム出力を解除できないようにしても良い。この場合、たとえば、充電池42の有無をセンサにより検出し、その検出信号がシステムコントローラ42に入力される。システムコントローラ42は、この検出信号をもとに充電池が取り外されたと判定すると、これを表示する信号をアラームマイコン46に供給する。この信号を受けて、アラームマイコン46は、ブザー回路453にブザー452を駆動させ、電源ユニット30から直流電圧の電力供給があることを示すAC表示信号がシステムコントローラ46から入力されても、ブザー452の駆動を継続させる。
【0058】
次に、図10を参照して、アラーム基板45とアラームマイコン46に対する直流電圧の供給動作について説明する。
【0059】
ACインレット60がコンセントに接続され、電源ユニット30から直流電圧が供給されている場合(S201:NO)、切替回路44は、電源ユニット30から入力された直流電圧をアラーム基板45とアラームマイコン46に供給する(S202)。他方、電源ユニット30から直流電圧が入力されていなければ(S201:YES)、電源ユニット30から入力された直流電圧に替えて、遮断回路43を介して充電池42から供給された直流電圧をアラーム基板45とアラームマイコン46に供給する(S203)。
【0060】
充電池42からの直流電圧がアラーム基板45とアラームマイコン46に供給されている際に、充電池42からの直流電圧Vbが閾値Vs1(Vs1<Vs2)を下回ると(S204:YES)、切替回路44に対する充電値42からの直流電圧の供給が、遮断回路43によって遮断される(S205)。これにより、その後は、アラーム基板45とアラームマイコン46による充電池42の電力消費が回避される。よって、充電池42が過放電状態となる事態が回避され、充電池42の劣化および充電能力の低下が阻止される。
【0061】
しかる後、ACインレット60がコンセントに接続され、電源ユニット30からの電力供給が再開されると(S201:NO)、切替回路44は、電源ユニット30から入力された直流電圧をアラーム基板45とアラームマイコン46に供給する(S202)。その後、充電池42に対する充電が進み、充電池42からの直流電圧Vbが閾値Vs1以上になると(S204:NO)、再び、充電池42からの直流電圧Vbが遮断回路43を介して切替回路44に供給され始める。よって、その後、電源ユニット30からの電力供給がなくなっても(S201:YES)、充電池42からの直流電圧Vbがアラーム基板45とアラームマイコン46に供給されるようになる(S204:NO)。
【0062】
以上、本実施の形態によれば、充電池42からアラーム基板45とアラームマイコン46に電力供給がなされている際に、充電池42からの直流電圧Vbが閾値Vs1を下回ると、充電値42からの直流電圧の供給が遮断され、その後は、アラーム基板45とアラームマイコン46による充電池42の電力消費が回避される。よって、充電池42が過放電状態となる事態を回避することができ、結果、充電池42が劣化しあるいは充電不能状態となるのを阻止することができる。
【0063】
本発明は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0064】
たとえば、上記実施の形態では、遮断回路43を充電池42と切替回路44の間に配置したが、遮断回路43は充電池42とアラームマイコン46の間のその他の位置に配置することも可能である。
【0065】
図11は、遮断回路43を切替回路44の直後に配置する場合の構成例である。この構成例においても、充電池42の使用時に充電池42からの直流電圧Vbが閾値Vs1を下回ると、遮断回路43によって、アラーム基板45とアラームマイコン46に対する給電が遮断される。よって、充電池42が過放電状態となる事態を回避することができ、充電池42が劣化しあるいは充電不能状態となるのを阻止することができる。
【0066】
図12は、遮断回路43をアラームマイコン46の直前に配置する場合の構成例である。この構成例では、充電池42の使用時に充電池42からの直流電圧Vbが閾値Vs1を下回ると、遮断回路43によって、アラームマイコン46に対する給電が遮断される。この場合、充電池42からの電力はアラーム基板45に接続される。しかし、充電池42からの直流電圧Vbが閾値Vs1を下回ると、アラームマイコン46に対する給電が遮断され、アラームマイコン46がOFF状態となるため、その後、ブザー回路453が作動することはない。よって、この場合も、充電池42が過放電状態となる事態を回避することができ、充電池42が劣化しあるいは充電不能状態となるのを阻止することができる。
【0067】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲にされた範囲において適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施の形態に係るプロジェクタの外観構成を示す図(斜視図)
【図2】実施の形態に係るアダプタとアダプタの設置方法を説明する図
【図3】実施の形態に係るプロジェクタの使用形態を示す図
【図4】実施の形態に係るプロジェクタの使用形態を示す図
【図5】実施の形態に係るプロジェクタの内部構成を示す図(斜視)
【図6】実施の形態に係るプロジェクタの内部構成を示す図(上面図)
【図7】実施の形態に係るプロジェクタの回路構成を示す図
【図8】実施の形態に係る遮断回路と切替回路の回路構成を示す図
【図9】実施の形態に係るブザー回路の制御処理を示す図
【図10】実施の形態に係るアラームマイコンとアラーム基板に対する直流電圧の供給動作を示す図
【図11】実施の形態に係るプロジェクタの回路構成の変更例を示す図
【図12】実施の形態に係るプロジェクタの回路構成の他の変更例を示す図
【符号の説明】
【0069】
41 … 充電回路
42 … 充電池
43 … 遮断回路
44 … 切替回路
45 … アラーム基板
46 … アラームマイコン
452 … ブザー
453 … ブザー回路
454 … 振動センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源からの電力を供給する電力供給手段と、
前記電力供給手段によって充電池を充電する充電手段と、
アラーム音を出力するためのアラーム手段と、
前記電力供給手段からの電力と前記充電池からの電力の何れか一方を前記アラーム手段に供給する切替手段と、
前記充電池の充電量が閾値未満になったときに前記アラーム手段に対する給電を遮断する遮断手段と、
を有することを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投写型映像表示装置において、
前記遮断手段は、前記充電池と前記切替手段の間に配置されている、
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の投写型映像表示装置において、
前記閾値は、前記アラーム手段が正常に動作可能な電圧範囲の下限値に設定されている、
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の投写型映像表示装置において、
前記閾値は、前記充電池の放電を停止すべきとして予め設定された電圧値に設定されている、
ことを特徴とする投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−55394(P2010−55394A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219975(P2008−219975)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】