説明

押圧力を制御するブラシボックス洗浄装置

本発明の実施形態は、基板を、スクラバーブラシを使用して洗浄する装置及び方法に関するものである。本発明の1つの実施形態は、基板洗浄装置を提供し、この基板洗浄装置は、処理容積部内に移動可能に配置される2つのスクラバーブラシアセンブリを備える。これらの2つのスクラバーブラシアセンブリは、前記処理容積部内に配置される基板の両面に接触し、そして両面を洗浄するように構成される。前記基板洗浄装置は更に、これらの2つのスクラバーブラシアセンブリの位置を同時に調整するように構成される位置決めアセンブリを備え、前記位置決めアセンブリは、略同じ量の調整を前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリに対して鏡面対称に行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は概して、半導体基板を処理する装置及び方法に関するものである。更に具体的には、本発明の実施形態は、半導体基板を洗浄する装置及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造する過程では、酸化膜、銅層のような種々の層を平坦化して段または起伏を次の層を形成する前に除去する必要がある。平坦化は通常、半導体基板の素子形成面を、研磨材スラリー等の研磨液を含ませた研磨パッドに押し当てることにより、そして研磨パッドを半導体基板に対して回転させることにより、機械的に、化学的に、そして/または電気的に行なわれる。多くの研磨工程が普通、異なる研磨パッド及び研磨液を使用して行なわれることにより、所望の平坦性及び平滑性を素子形成面で実現する。
【0003】
平坦化プロセスの後には、洗浄プロセスが続き、この洗浄プロセスでは、研磨により残留する研磨液及び/又はパーティクルを除去する。従来の洗浄プロセスでは普通、基板表面を機械式スクラブ装置で、ポリビニルアセテート(PVA)のような多孔質材料またはスポンジ状材料により作製されるブラシを使用して、またはナイロン剛毛で作製されるブラシを使用してスクラブする。スクラバーブラシで洗浄する場合、スクラバーブラシは普通、基板に、表面と対向する方向、及び裏面と対向する方向の両方の方向から接近して基板に接触し、そしてブラシ圧を基板に加える。洗浄中に基板に加わる押圧力をモニタリングし、そして制御して、基板へのダメージを防止することが望ましい。しかしながら、従来のブラシ洗浄装置は、スクラバーブラシの移動、及び結果的に洗浄中に基板に加わる押圧力に対する制御を改善する必要がある。
【0004】
従って、基板をスクラブブラシで、動き及び押圧力を制御しながら洗浄する装置及び方法が必要になる。
【発明の概要】
【0005】
本発明は概して、基板を研磨プロセス後に洗浄する方法及び装置に関するものである。具体的には、本発明の実施形態は、基板を、スクラバーブラシを使用して洗浄する装置及び方法に関するものである。
【0006】
1つの実施形態は、基板洗浄装置を提供し、この基板洗浄装置は、処理容積部を画定し、かつ基板の搬送を可能にするように構成される上面開口部を有するチャンバボディと、前記処理容積部内に移動可能に配置され、かつ前記処理容積部内に配置される基板の両面に接触し、そして両面を洗浄するように構成される第1及び第2スクラバーブラシアセンブリと、そして前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリの位置を同時に調整するように構成される位置決めアセンブリを備え、前記位置決めアセンブリは、略同じ量の調整を前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリに対して鏡面対称に行なう。
【0007】
別の実施形態は、基板洗浄装置を提供し、この基板洗浄装置は、処理容積部を画定し、かつ基板の進入及び退出を可能にするように構成される上面開口部を有するチャンバボディと、前記処理システムの下側部分に配置され、かつ基板を載せて、前記基板を垂直な姿勢で回転させるように構成される第1及び第2基板ローラと、前記処理容積部内に配置され、かつ前記第1及び第2基板ローラにより支持される前記基板の両面に接触し、両面を洗浄するように構成される前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリと、前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリの位置を互いに対して調整するように構成され、かつ前記第1スクラバーブラシアセンブリに接続される第1端部と、前記第2スクラバーブラシアセンブリに接続される第2端部を有するアクチュエータを含む位置決めアセンブリと、更に前記アクチュエータの前記第1端部と前記第2端部との間に接続され、かつ略同じ量の調整を前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリに対して鏡面対称に行なうように構成される拘束アセンブリを備える。
【0008】
更に別の実施形態は、基板を洗浄する方法を提供し、前記方法は、前記基板を洗浄チャンバに搬送する工程と、前記基板を、前記洗浄チャンバの処理容積部内に配置される2つの基板ローラに前記基板が載るように位置決めする工程と、前記基板を、前記基板が略垂直な姿勢になっている状態で、前記2つの基板ローラを使用して回転させる工程と、第1及び第2スクラバーブラシアセンブリを前記基板に向かって、前記基板の両面と対向する方向から移動させる工程であって、前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリが対称に移動する、前記移動させる工程と、前記基板を前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリに接触させる工程と、前記基板を、前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリを回転させることにより洗浄する工程を含む。
【0009】
本発明に関して上に列挙した特徴が実現する過程を詳細に理解することができるように、上に簡単に要約した本発明に関する更に詳細な説明は、添付の図面に幾つかが示されている実施形態を参照しながら行なわれる。しかしながら、これらの添付の図面は本発明の代表的な実施形態を示しているに過ぎず、従って、本発明が他の同様に効果的な実施形態を包含することができるので、本発明の範囲を限定するものであると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の1つの実施形態による研磨システムの模式平面図である。
【図2】図2は、本発明の1つの実施形態によるブラシボックスアセンブリの模式斜視図である。
【図3】図3は、本発明の1つの実施形態によるブラシボックスモジュールの模式側部断面図である。
【図4A】図4Aは、図3のブラシボックスモジュールの模式上面図である。
【図4B】図4Bは、スクラバーブラシが洗浄位置にある状態の図3のブラシボックスモジュールの模式上面図である。
【図5A】図5Aは、図3のブラシボックスモジュールの模式部分側面図である。
【図5B】図5Bは、図3のブラシボックスモジュールの模式部分側面図であり、位置決めアセンブリが移動する様子を示している。
【0011】
理解を容易にするために、同じ参照番号を出来る限り使用して、複数の図に共通する同じ構成要素を指すようにしている。1つの実施形態において開示される構成要素群は、特別に説明することなく他の実施形態において利用することができるので好都合であると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は概して、半導体基板を研磨プロセス後に洗浄する装置及び方法に関するものである。具体的には、本発明の実施形態は、基板を、スクラバーブラシを使用して洗浄する装置及び方法に関するものである。本発明の1つの実施形態は、処理容積部内に移動可能に配置される2つのスクラブブラシアセンブリを備える基板洗浄装置を提供する。2つのスクラバーブラシアセンブリは、処理容積部内に載置される基板の両面に接触し、そして両面を洗浄するように構成される。基板洗浄装置は更に、2つのスクラブブラシアセンブリの位置を同時に調整するように構成される位置決めアセンブリを備え、この位置決めアセンブリは、略同じ量の調整を第1及び第2スクラバーブラシアセンブリに対して対称に行なう。これらのスクラバーブラシアセンブリが対称移動することにより、略対称な押圧力を基板の両面に加えることができるので、基板へのダメージを低減することができる。
【0013】
図1は、本発明の1つの実施形態による研磨システム100の模式平面図である。研磨システム100は普通、ファクトリインターフェース102と、洗浄モジュール104と、そして研磨モジュール106を含む。ウェットロボット108を設けて基板170をファクトリインターフェース102と研磨モジュール106との間で搬送する。ウェットロボット108は更に、基板を研磨モジュール106と洗浄モジュール104との間で搬送するように構成することができる。1つの動作モードでは、研磨システム100を通過する半導体ウェハまたは他の被加工部材のような基板の流れは、矢印160で示される。
【0014】
ファクトリインターフェース102は普通、ドライロボット110を含み、このドライロボット110は、基板170を1つ以上のカセット114と1つ以上の搬送プラットフォーム116との間で搬送するように構成される。1つの実施形態では、ドライロボット110は走行レール112に取り付けられる。
【0015】
ウェットロボット108は普通、基板170をファクトリインターフェース102から被処理面を上に向けた水平な姿勢で取り出し、基板170をひっくり返して被処理面を下に向けた水平な姿勢にして研磨モジュール106に搬送し、そして基板170を回転させて垂直な姿勢にして洗浄モジュール104に搬送するように構成される。1つの実施形態では、ウェットロボット108は、ウェットロボット108の直線並進移動を容易にする走行レール120に取り付けられる。
【0016】
研磨モジュール106は普通、基板170を保持するように構成される複数の研磨ヘッド126と、基板170をウェットロボット108から受け入れ、基板170を研磨ヘッド126に搬送するように構成されるロードカップ122と、基板170を研磨ヘッド126で研磨するように構成される2つ以上の研磨ステーション124を備える。
【0017】
1つの実施形態では、これらの研磨ヘッド126は、頭上式走行レール128に接続される。頭上式走行レール128は、研磨ヘッド126を搬送し、研磨ヘッド126を研磨ステーション124及びロードカップ122の上に選択的に位置決めするように構成される。この実施形態では、頭上式走行レール128は円形構造を有し、この円形構造によって、これらの研磨ヘッド126を選択的に、ロードカップ122及び研磨ステーション124の上で回転させ、及び/またはロードカップ122及び研磨ステーション124から遠ざけることができる。頭上式走行レール128が、楕円形、長円形、直線形、または他の適切な方向的特徴を含む他の構造を有する構成が想到される。
【0018】
処理中、基板170はカセット114から搬送プラットフォーム116にドライロボット110によって搬送される。次に、これらの基板170は、ウェットロボット108によってピックアップされ、ロードキャップ122に搬送される。図1に戻ってこの図を参照すると、処理済み基板を研磨モジュール106のロードキャップ122に戻して、ウェットロボット108によって洗浄装置104に搬送する。洗浄装置104は普通、シャトル140と、1つ以上の洗浄モジュール144を含む。シャトル140は、搬送機構142を含み、この搬送機構142によって、処理済み基板をウェットロボット108から1つ以上の洗浄モジュール144に容易に渡すことができる。
【0019】
処理済み基板は、頭上搬送機構(図示せず)により、シャトル140から1つ以上の洗浄モジュール144を経て搬送される。図1に示す実施形態では、2つの洗浄モジュール144が平行に並んで配置される様子が示されている。これらの洗浄モジュール144の各々は普通、1つ以上のメガソニック洗浄装置と、1つ以上のブラシボックスと、1つ以上のスプレージェットボックスと、1つ以上の乾燥機を含む。図1に示す実施形態では、これらの洗浄モジュール144の各々は、1つのメガソニック洗浄装置146と、2つのブラシボックスモジュール148と、1つのジェット洗浄モジュール150と、1つの乾燥機152を含む。乾燥機152から出て行く乾燥済み基板は、回転させて水平な姿勢にしてドライロボット110によって取り出され、このドライロボット110が乾燥済み基板170を、ウェハ収納カセット群114のうちの1つのカセットの空スロットに戻す。本発明の利点を生かすように適合させることができる洗浄モジュールの実施形態は、カリフォルニア州サンタクララ市にあるアプライドマテリアルズ社から市販されているDESCIA(登録商標)洗浄装置とすることができる。
【0020】
1つの実施形態では、搬送装置(図示せず)を使用して、洗浄モジュール144を通過する基板170を、順番に取り出して次に進める、すなわちメガソニック洗浄装置146から取り出してブラシボックスモジュール148に、次にジェット洗浄モジュール150及び乾燥機152に進める。各モジュール146,148,150は、異なる洗浄機能を集中的に発揮して、所望の洗浄効果を達成する。
【0021】
メガソニック洗浄装置146は、効率的な洗浄工程を、メガソニックエネルギーを利用して実行するように構成される。メガソニック洗浄装置の実施形態については、「シンクディスクの外周縁を洗浄する方法及び装置」と題する米国特許第6119708号明細書を参照することができる。
【0022】
ジェット洗浄モジュール150は、洗浄工程を、加圧液体を利用して実行するように構成される。
【0023】
乾燥機152は、基板を、洗浄して浴残留物を除去した後に迅速に乾燥させ、そして蒸発させることによって筋、斑点が発生するのを防止するように構成される。乾燥機に関する記載については、「スピン−リンス−乾燥機」と題する米国特許第6516816号明細書を参照することができる。
【0024】
ブラシボックスモジュール148は、洗浄工程を、スクラブ動作のような機械的接触を利用して実行するように構成される。ブラシボックスモジュールの実施形態については更に、本出願の図2〜4を用いて記載される。
【0025】
図2は、本発明の1つの実施形態によるブラシボックスアセンブリ200の模式斜視図である。ブラシボックスアセンブリ200は、支持フレーム201に固定される2つのブラシボックスモジュール202を備える。各ブラシボックスモジュール202は、基板を垂直な姿勢で受け入れ、そしてスクラバーブラシを使用して洗浄するように構成される。1つ以上のブラシボックスアセンブリ200は、2つの基板を並列に洗浄する、例えば図1の洗浄モジュール104内のブラシボックスモジュール148と同じ方法で洗浄するように構成されるシステムにおいて使用することができる。
【0026】
2つのブラシボックスモジュール202の各々は、ボディ204の上面207のような表面に形成される開口部205を有する。開口部205は、基板の通過を可能にするように構成される。処理中、基板をブラシボックスアセンブリ200の上方に搬送し、次に降下させてブラシボックスモジュール202内に収容して洗浄し、そして図1のウェットロボット108のような基板ハンドラー(図示せず)によって、洗浄後にピックアップする。
【0027】
洗浄中、開口部205を摺動蓋203で閉じて、洗浄液が飛び出すのを防止し、そして外部からパーティクルがブラシボックスモジュール202に進入するのを防止することができる。1つの実施形態では、摺動蓋203は、両方のブラシボックスモジュール202の開口部205に蓋をするように構成される。1つの実施形態では、アクチュエータ206が摺動蓋203に接続され、そしてこれらの開口部205を容易に開け、そして閉じるように構成される。
【0028】
図3は、本発明の1つの実施形態によるブラシボックスモジュール202の模式側部断面図である。図4Aは、図3のブラシボックスモジュール202の模式上面図である。図5Aは、図3のブラシボックスモジュール202の概略部分側面図である。
【0029】
ブラシボックスモジュール202のボディ204は処理容積部222を画定し、この処理容積部222は、基板209を当該処理容積部内で保持し、処理するように構成される。基板209は、上面207の開口部205を通って処理容積部222に進入し、そして処理容積部222から退出していくことができる。排出口217は処理容積部222と流体連通する。ブラシボックスモジュール202は、処理容積部222の下側部分に配置される2つの基板ローラ210,211を含む。各基板ローラ210,211は、凹部210a,211aを有し、これらの凹部210a,211aはそれぞれ、基板209の外周縁部近傍を収容するように構成される。1つの実施形態では、基板ローラ210,211は、駆動軸210b,211bにそれぞれ接続される。
【0030】
駆動軸210b,211bは、駆動機構に接続されて基板ローラ210,211をそれぞれ回転させる。駆動軸210b,211bは、異なるモータによって回転させることができる、または同じモータを共有することができる。1つの実施形態では、駆動軸210bがモータ223に直接連結され、そして駆動軸211bがモータ223にベルトアセンブリ225を介して連結される。処理中、基板ローラ210,211は、略同じ速度で回転し、そして基板209を駆動して摩擦回転させる。
【0031】
1つの実施形態では、ブラシボックスモジュール202は、処理中に基板209との接触を行なう位置に配置されるセンサホイール216を含む。センサホイール216は、基板209と一緒に受動的に回転し、基板209の回転速度を回転センサ226に伝えるように構成される。1つの実施形態では、センサホイール216を処理容積部222の下側部分に配置して、基板209がセンサホイール216に載るようにする。回転センサ226が更に、システムコントローラ232に接続される。
【0032】
ブラシボックスモジュール202は、処理容積部222内の基板ローラ210,211の上方に配置されるスクラバーブラシアセンブリペア240を備える。これらのスクラバーブラシアセンブリ240は、基板209の両方の面に沿って延在するように配置され、かつ基板209に洗浄中に移動可能に接触するように構成される。
【0033】
これらのスクラバーブラシアセンブリ240の各々は、基板209に接触するように構成される円筒状スクラバーブラシ241を含む。円筒状スクラバーブラシ241は、外側表面から突出する複数の隆起部(図示せず)を有する。円筒状スクラバーブラシ241は、マンドレルアセンブリ242に装着される。マンドレルアセンブリ242は更に、取り付けシャフト245の両端部に取り付けられる。一方の取り付けシャフト245は、円筒状スクラバーブラシ241を回転させるように構成されるモータ244の駆動シャフト248に連結される。別の取り付けシャフト245は、洗浄液供給部249に接続される。
【0034】
1つの実施形態では、マンドレルアセンブリ242は、長さ方向に延在する内側容積部243を有する。複数の開口部243aが、マンドレルアセンブリ242を貫通して形成される。内側容積部243は、洗浄液供給部249と流体連通し、洗浄液を円筒状スクラバーブラシ241に複数の開口部243aを通って供給するように構成される。
【0035】
これらのスクラバーブラシアセンブリ240は、ボディ204に形成される開口部246を通って処理容積部222内に収納される。これらの開口部246は、これらのスクラバーブラシアセンブリ240の外径よりもずっと大きい。膜シール部247が、これらのスクラバーブラシアセンブリ240と各開口部246との間に接続される。これらの膜シール部247によって、これらのスクラバーブラシアセンブリ240を、これらの開口部246内を横方向に移動させて、基板209を洗浄中に押圧する、または解放することができるようにしている。
【0036】
モータ244は、これらのスクラバーブラシ241を、選択された回転速度で駆動するように構成される。1つの実施形態では、モータ244は、スクラバーブラシ241を、約50〜700RPMの回転速度で回転させるように構成される。
【0037】
ブラシボックスモジュール202は更に、これらのスクラバーブラシアセンブリ240を基板209に対して移動させるように構成される位置決めアセンブリ250を含む。図4Aは、これらのスクラバーブラシアセンブリ240を基板209から遠ざけるように移動させる場合のブラシボックスモジュール202を模式的に示している。図4Bは、これらのスクラバーブラシアセンブリ240を基板209に向かって移動させ、そして基板209に接触する場合のブラシボックスモジュール202を模式的に示しており、基板209に接触しているこの状態が普通、基板209が洗浄されている場合である。図5Aは、位置決めアセンブリ250の模式側面図である。
【0038】
図3を参照すると、各スクラバーブラシアセンブリ240は、処理容積部222内に配置され、膜シール部247を貫通して延出し、そして2つの回動プレート251に両端部で接続される。これらの回動プレート251は、支持フレーム201に固定される取り付けブロック254に移動可能に接続される。各回動プレート251は、回動ジョイント部258の回りを回動することができる。各スクラバーブラシアセンブリ240に接続される2つの回動プレート251は、互いに対して、2つの回動プレート251の動きを同期させるように構成される同期棒259を介して連結される。
【0039】
図5Aを参照すると、各回動プレート251は作動棒252に接続される。アクチュエータ253が、ボディ204の一方の側に配置される2つの作動棒252の間に接続される。アクチュエータ253は、これらの作動棒252を互いに対して移動させるように構成される。摺動ブロック256が更に、2つの作動棒252の間に接続される。各作動棒252は、摺動ブロック256にリンク257を介して接続される。垂直走行レール255が取り付けブロック254に接続される。摺動ブロック256は、垂直走行レール255に沿って垂直に摺動することができる。
【0040】
作動状態では、アクチュエータ253は突出することにより、または後退することにより、これらの作動棒252を互いに対して移動させる。これらの作動棒252の動きは、リンク群257及び摺動ブロック256によって拘束され、従って、これらの動きは、略対称である。これらの作動棒252が動くことにより、これらの回動プレート251が回動ジョイント部258の回りを回動するようになるので、これらのスクラバーブラシアセンブリ240が対称に移動する。同時に、これらの同期棒259が、これらの回動ジョイント部258の回りを回動して、これらの回動プレート251の動きをボディ204の一方の側から他方の側に伝達し、そしてこれらのスクラバーブラシアセンブリ240の両端部の動きを同期させる。図5Bは、位置決めアセンブリ250によって、これらのスクラバーブラシアセンブリ240を外側位置(実線で示す)から内側位置(破線で示す)に移動させる様子を示している。図5Bに示すように、これらのスクラバーブラシアセンブリ240は、処理対象の基板209に対して略鏡面対称に移動する。
【0041】
1つの実施形態では、基板209とスクラバーブラシ241との間の押圧力をモニタリングして、洗浄中の基板209へのダメージを防止する。1つの実施形態では、基板209とスクラバーブラシ241との間の押圧力は、アクチュエータ253の1つ以上の動作パラメータを測定することによりモニタリングされる。1つの実施形態では、アクチュエータ253は直線シリンダを含み、そしてアクチュエータ253の動作パラメータのモニタリングでは、直線シリンダの圧力をモニタリングする。1つの実施形態では、圧力センサが、アクチュエータ253及びシステムコントローラ232に接続される。システムコントローラ232は、アクチュエータ253によって、これらのスクラバーブラシアセンブリ240が基板209に向かって移動するときのアクチュエータ253の行程の終点を決定する。
【0042】
ブラシボックスモジュール202は更に、処理容積部222内に配置される洗浄液噴射バー220を含む。1つの実施形態では、2つの洗浄液噴射バー220は、処理容積部222の両側に、かつこれらのスクラバーブラシアセンブリ240の上方に配置され、そして洗浄液を基板209の両面に向けて洗浄中に誘導するように構成される。1つの実施形態では、これらの洗浄液噴射バー220の各々は、長さ方向に配置される複数のノズル220aを有する。複数のノズル220aは、洗浄液を基板209に向けて誘導するように構成される。1つの実施形態では、複数のノズル220aは、これらの洗浄液噴射バー220の各々に沿ってそれぞれ均一に分布させる。
【0043】
ブラシボックスモジュール202は更に、これらの洗浄液噴射バー220の上方に配置される水噴射バー219を含む。これらの水噴射バー219の各々は、長さに沿って配置される複数の噴射ノズル219aを有する。1つの実施形態では、これらの水噴射バー219は、基板209が処理容積部222に搬入されているときに、または処理容積部222から搬出されているときに、DI(脱イオン)水を基板209に向けて噴射するように構成される。1つの実施形態では、これらの水噴射バー219を使用して、基板209を洗浄前に濡らす。
【0044】
ブラシボックスモジュールアセンブリ200を使用する例示的な洗浄プロセスは次の通りとすることができる。摺動蓋203が、戻る方向に摺動して、ブラシボックスモジュール202の開口部205を露出させる。アクチュエータ253が突出して、回動プレート251を外に向かって回動させ、これらのスクラバーブラシアセンブリ240を処理容積部222の両方の側面に向かって移動させる。基板ハンドラーが2つの基板209を、これらの開口部205の上に搬送し、次に、基板209を降下させて、基板209をスクラバーブラシアセンブリ240に接触させることなく処理容積部222内に収容する。次に、基板ハンドラーが処理容積部222から出て行き、摺動蓋203が移動してこれらの開口部205を閉鎖する。
【0045】
これらの水噴射バー219は、これらの基板209を処理容積部222内に降下させながら、水を基板209に向かって噴射して、基板209を各ブラシボックスモジュール202内で濡らす。基板ローラ210,211に基板209を載せ、そして基板ハンドラーが処理容積部222から出て行く。基板209を基板ローラ210,211により回転させる。センサホイール216は、基板209と一緒に受動的に回転し、そして回転センサ226が回転信号をシステムコントローラ232に送信し、このシステムコントローラ232が基板ローラ210を、回転センサ226からの信号に従って制御して、選択された回転速度を確保する。
【0046】
次に、モータ244によってこれらのスクラバーブラシ241が回転し、かつ洗浄液がこれらのスクラバーブラシ241に洗浄液供給部249からマンドレルアセンブリ242を通って供給されている状態で、アクチュエータ253が後退して、これらのスクラバーブラシアセンブリ240を基板209に向かって内側に移動させる。システムコントローラ232は、アクチュエータ253の1つ以上の動作パラメータをモニタリングして、基板209にこれらのスクラバーブラシアセンブリ240から加わる押圧力を求める。1つの実施形態では、システムコントローラ232は、一旦、これらのモニタリング済みの動作パラメータが臨界値に達すると、アクチュエータ253を停止する。1つの実施形態では、これらのモニタリング済みの動作パラメータは、アクチュエータ253の直線シリンダの圧力を含む。これらのスクラバーブラシ241は、基板209を押圧しながら回転して、洗浄工程を、スクラブ動作を行ないながら実行する。洗浄工程は普通、プロセスレシピに従って行なわれる。1つの実施形態では、洗浄液が更に、洗浄液噴射バー220を通って基板209に供給される。
【0047】
基板209を洗浄した後、アクチュエータ253が突出して基板209を解放する。摺動蓋203が移動して、これらの開口部205を露出させ、そして基板ハンドラーが降下して処理容積部222内に移動して、これらの基板209をピックアップする。
【0048】
これまでの記述は、本発明の実施形態に関して行なわれてきたが、本発明の他の実施形態及び別の実施形態を、本発明の基本的範囲から逸脱しない範囲で想到することができ、そして本発明の範囲は以下の請求項により定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容積部を画定し、かつ基板の通過を可能にするように構成される上部開口部を有するチャンバボディと;
前記処理容積部内に移動可能に配置され、かつ前記処理容積部内に配置される基板の両面に接触し、そして両面を洗浄するように構成される第1及び第2スクラバーブラシアセンブリと;
前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリの位置を同時に調整するように構成される位置決めアセンブリを備え、前記位置決めアセンブリは、略同じ量の調整を前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリに対して鏡面対称に行なう、基板洗浄装置。
【請求項2】
更に:
第1回動ジョイント部の回りを回動する第1回動プレートであって、前記第1スクラバーブラシアセンブリの第1端部がこの第1回動プレートに取り付けられる、前記第1回動プレートと;
第2回動ジョイント部の回りを回動する第2回動プレートであって、前記第2スクラバーブラシアセンブリの第1端部がこの第2回動プレートに取り付けられる、前記第2回動プレートを備え、前記第1及び第2回動プレートは、略対称に配置され、前記位置決めアセンブリは、前記第1回動プレートと前記第2回動プレートとの間に接続される、
請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記位置決めアセンブリは更に:
前記第1及び第2回動プレートを互いに対して対称に移動させるように構成されるアクチュエータを含む、
請求項2に記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記位置決めアセンブリは更に、前記アクチュエータの動作パラメータを測定するように構成されるセンサを含み、前記動作パラメータを使用して、前記スクラバーブラシアセンブリから前記基板に加わる押圧力を求める、請求項3に記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
前記位置決めアセンブリは更に:
前記アクチュエータに接続され、かつ前記第1回動プレートに接続される第1作動棒と;
前記アクチュエータに接続され、かつ前記第2回動プレートに接続される第2作動棒であって、前記アクチュエータが前記第1及び第2作動棒を互いに対して移動させる、前記第2作動棒と;
前記ボディに接続される走行レールに沿って摺動するように構成される摺動ブロックであって、前記第1及び第2回動プレートが前記走行レールを基準にして略対称に配置される、前記摺動ブロックと;
第1リンクであって、前記第1リンクの第1端部が前記摺動ブロックに接続され、かつ前記第1リンクの第2端部が前記第1作動棒に接続される、前記第1リンクと;
第2リンクであって、前記第2リンクの第1端部が前記摺動ブロックに接続され、かつ前記第2リンクの第2端部が前記第2作動棒に接続され、更に、前記第1及び第2リンク、及び前記摺動ブロックによって、前記第1及び第2作動棒の動きが略対称になるように拘束される、前記第2リンク
を含む、請求項3に記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記第1作動棒と前記第2作動棒との間に接続される直線シリンダを含む、請求項5に記載の基板洗浄装置。
【請求項7】
前記位置決めアセンブリは更に、前記直線シリンダの圧力を測定するように構成される圧力センサを含み、前記直線シリンダの前記圧力を使用して、前記スクラバーブラシアセンブリから前記基板に加わる押圧力を求める、請求項6に記載の基板洗浄装置。
【請求項8】
更に:
第3回動プレートであって、前記第1及び第3回動プレートが前記チャンバボディの両方の側面の側に配置され、そして前記第1スクラバーブラシアセンブリの第2端部が前記第3回動プレートに取り付けられる、前記第3回動プレートと;
前記第1回動プレートと前記第3回動プレートとの間に接続され、かつ確実に、前記第1回動プレートの動きと前記第3回動プレートの動きを同期させるように構成される第1同期棒と;
第4回動プレートであって、前記第2及び第4回動プレートが前記チャンバボディの両方の側面の側に配置され、前記第2スクラバーブラシアセンブリの第2端部が前記第4回動プレートに取り付けられる、前記第4回動プレートと;
前記第2回動プレートと前記第4回動プレートとの間に接続され、かつ確実に、前記第2回動プレートの動きと前記第4回動プレートの動きを同期させるように構成される第2同期棒
を備える、請求項3に記載の基板洗浄装置。
【請求項9】
前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリの各々は:
複数の表面突起を有する円筒形スクラバーブラシと;
前記円筒形スクラバーブラシを支持し、かつ内側容積部と、長さ方向に分布する複数の開口部を有するマンドレルと;
前記マンドレルの両端部に接続され、かつ前記位置決めアセンブリに接続される2つの取り付けシャフトと;
前記円筒形スクラバーブラシを長軸に沿って回転させるように構成される回転モータ
を含む、請求項2に記載の基板洗浄装置。
【請求項10】
更に、前記処理容積部内に配置される1つ以上の洗浄液噴射バーを備え、前記1つ以上の洗浄液噴射バーは、処理中に流体を前記基板に向けて誘導するように構成される、請求項2に記載の基板洗浄装置。
【請求項11】
更に、前記処理容積部の下側部分に配置される第1及び第2基板ローラを備え、前記第1及び第2基板ローラは基板を載せ、前記基板を垂直な姿勢で回転させるように構成される、請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項12】
基板を洗浄する方法であって:
前記基板を洗浄チャンバに搬送する工程と;
前記基板を、前記洗浄チャンバの処理容積部内に配置される2つの基板ローラに位置決めする工程と;
前記基板を、前記基板が略垂直な姿勢になっている状態で、前記2つの基板ローラを使用して回転させる工程と;
第1及び第2スクラバーブラシアセンブリを前記基板に向かって、前記基板の両面と対向する方向から移動させる工程であって、前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリが鏡面対称に移動する、前記移動させる工程と;
前記基板を前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリに接触させる工程と;
前記基板を、前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリを回転させることにより洗浄する工程
を含む、方法。
【請求項13】
前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリを前記基板に向かって移動させる前記工程は;
直線アクチュエータを後退させる工程を含み、前記直線アクチュエータの第1端部は、前記第1スクラバーブラシアセンブリに接続され、前記直線アクチュエータの第2端部は、前記第2スクラバーブラシアセンブリに接続され、そして拘束アセンブリが、前記直線アクチュエータの前記第1端部と前記第2端部との間に接続される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記拘束アセンブリは:
前記アクチュエータの前記第1端部に接続される第1リンクと;
前記アクチュエータの前記第2端部に接続される第2リンクと;
走行レールに沿って摺動するように構成される摺動ブロックを含み、前記第1及び第2リンクは、前記摺動ブロックに接続される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
更に:
前記直線アクチュエータの圧力を測定して、前記基板に前記第1及び第2スクラバーブラシアセンブリから加わる押圧力をモニタリングする工程と;
前記直線アクチュエータを、前記押圧力が臨界値に達するときに停止する工程
を含む、請求項13に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate


【公表番号】特表2012−504869(P2012−504869A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530091(P2011−530091)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/056686
【国際公開番号】WO2010/039410
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】