説明

押込式の管結合システム

【課題】2つのパイプの端部をパイプ自体を回転させずに結合するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】2つのパイプの端部を結合するための押込式パイプアセンブリを開示する。一方のパイプの端部は、特別な外形をなす外面を有し、もう一方のパイプの端部は、特別な外形をなす嵌め合わせ内面を有する。特別な外形をなす面はそれぞれ、その内側端部から外側端部にかけて交互に逆向きのテーパが付けられた一連のヘリカルスプラインウェッジが交互に配置され、それによってヘリカルスプラインウェッジが、パイプの各開口部から見ると、一連のランドと溝とを交互に形成するようにする。組み立て中に一方のパイプの端部をもう一方のパイプの端部の方へ押して、互いに対向する位置に配置された2つのパイプの端部が嵌合及び係合するようにし、一方のパイプがもう一方のパイプに対してほとんど回転しないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、パイプの端部を結合するための方法及び装置に関する。より詳しくは、パイプを回転させずにパイプの端部を結合するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプの端部を結合するときに、結合されるそれぞれのパイプ自体を回転させないことが望ましいような例は多数ある。一例としては、石油産業、特に、海洋石油生産現場におけるものがある。掘削リグの場合、一方のパイプの端部をもう一方のパイプの端部に対して回転させるために、一般的に、専門の作業者による操作が必要な油圧式のパワートング、又は掘削リグのメインウインチのキャプスタンから軟質のロープを引く構成を含むより基礎的な「ロープテクニック」のどちらかが用いられる。最終的なメークアップ(締め付け)トルクは、メカニカルなトングを用いて得られている。そのようなメカニカルなトング/キャットヘッドチェーンアセンブリの1ストロークでなされる最大回転量は、約4分の1回転乃至3分の1回転であり、前記アセンブリを手動により逆回転させてリセットする必要がない。一方で、生産用パイプラインは従来、しばしば溶接により結合されてきた。
【0003】
適切な押込結合は、例えば、海底の結合部の締め付け及び分離を遠隔的に行うことができるという能力を提供することにより、沖合での使用に有利であり得る。また、押込結合は、実装しやすいものであり、沖合での作業の1時間当たりのコストが高いために場合によっては非常に高額な費用がかかる溶接作業を行う必要がない。
【0004】
石油産業において、しっかりとしたパイプの結合、特に、沖合におけるケーシングとチュービングとの結合を創出するという課題を解決するために試みられた1つの方法は、改変されたA.P.I.ネジを用いて特殊型ネジコネクタを導入するというものであった。これらのネジコネクタは、締め付けのための回転に関する一般要件が最低2.5回転であるにもかかわらず、例えば、24インチ(60.96センチメートル)より小さい寸法において現在も依然として広く使用されている。
【0005】
大口径のケーシングのために、スナップリングにより結合する種類の機構をベースにしたネジなしコネクタも従来使用されてきた。これらの「スナップリング」型のコネクタは、迅速な締め付けを提供するが、小さい重量容量比を提供することもなければ、所与の容量に対するネジコネクタの完全性や価格競争力を提供することもない。
【0006】
放射状のかみあい部(radial dogs)を特徴とする別の種類のコネクタが、掘削ライザの結合のための機械的な構造において、また油井頭部の結合のための油圧式の構造において、フランジ結合に代わるものとして導入された。近年、かみあい型のコネクタの使用は、沖合のプラットフォームを固定するパイルの結合にまで広がっているが、そのコネクタのデザイン及び製作に必要とされる部品の数及び比較的重いセクションの数が多いことに起因するそのコストの高さにより、その成果は限定されている。
【0007】
石油産業のほかにも、管状パイプの端部を結合するための例は多数ある。例えば、管状パイプの結合は、土木工事で様々な用途に用いられており、それを利用したものとしては、建設現場で構造支持体を提供しているものなどがある。管状パイプのそのような使用例の1つを、地下トンネルの建設において見ることができる。具体的には、管状パイプが、道路や他の輸送手段として一般的に使用される大きな地下トンネルに対する支持を提供する。輸送用途のための大規模な地下トンネルの建設は、ヨーロッパ、日本及びその他の場所で現在行われている。
【0008】
地下トンネルを建設するための典型的な手順では、1本の大径パイプ、又は場合によっては複数本の大径パイプがボーリングマシンによって敷設され、メインのトンネルを形成する。次に、追加的な構造支持体を提供するために、比較的小径の曲線状のパイプがボーリングマシンによって前記メインのトンネルの周囲に敷設される。これら小径の曲線状のパイプは、一般に、例えば、32インチ(81.28センチメートル)の外径を有する10フィート(3.05メートル)のセクションとして作成されている。次に、これらの個々のセクションを結合して、地下の前記メインのトンネルに隣接する1本の長い曲線状のパイプを提供する必要がある。このプロセスを繰り返し、これらの結合されたパイプセクションを、前記メインのトンネルに沿って所望の長さにわたって互いに平行に配置し、実質的に前記メインのトンネルの周囲に「鯨骨」構造を形成する。そして、前記パイプの内部及び周囲の空間にはコンクリートが詰められる。例えば上方へ12マイル(19.31キロメートル)に及ぶ地下車道の例では、メインのパイプの周辺領域を適切に広げるように十分な支持体を提供するために個々のパイプセクションを結合するには、約80,000の結合を行う必要があるであろう。
【0009】
現在、パイプセクション自体を回転させることができない場合に、トンネルのこれら個々の曲線状のパイプセクションを結合するための様々な技術が提供されている。石油産業の海洋石油生産現場における場合と同様に、多くの状況で現在使用されている1つの技術は、これらのパイプセクションのうち2つ以上のパイプセクションを、溶接(手溶接又は半自動溶接プロセスのどちらか)によって結合するというものである。溶接は、最善を尽くしても時間のかかる作業である。また、溶接不良の可能性や、金属の加熱が原因で結果として得られる材料の加工性が悪い可能性がある。低温では、予熱などの対策が必要である。一般に、溶接プロセスは、トンネルのパイプセクションのための1つの結合部を溶接するために、結合部のサイズや複雑さに応じて凡そ2時間乃至5時間かかる場合がある。このことを考慮すると、検討中の種類の何千ものパイプセクションを含む大規模なプロジェクトでは、時間的な制約により、事実上、各カップリングを溶接するということは現実的ではない。
【0010】
パイプセクション自体を回転させることができない場合に、パイプの端部を結合するために提案された別の技術には、通称「接着ジョイント」を使用するというものがある。この方法は、ジョイントの間隔の隙間に、例えば、アクリル系接着剤を注入し、その後ポスト−ラインチューブを挿入するものである。この方法は、溶接法よりも短時間で建造作業を実施することができるが、接着剤が均一に塗布されないことがあるため、結果として所要の強度を有する結合を得られない場合がある。接着剤は、塗布しづらい場合があり、いくつかの結合の例において所要の強度を提供することができないことがある。
【0011】
特許文献1は、回転防止カップリングを開示している。同様のピッチ及び外形を有しているが、反対向きにネジ切りされたエンド部を備える2つのカップリングが提供され、回転防止部材(例えば、隆起部(tongue)と溝、或いは穿孔とダウエルピン)が組み合わせられる。特許文献1は、しかしながら、結合を形成し、パイプが回転しないように保持することを主として考慮していると考えられる。
【0012】
特許文献2は、2つのパイプの端部を結合するために、パイプの端部を回転させずに該2つのパイプの端部を結合するための管状コネクタシステムを開示している。第1のパイプの端部には雄ネジが設けられ、第2のパイプの端部には複数のネジリードのエントリが設けられている。一方の端部に雌ネジが設けられ、もう一方の端部に複数の雌ネジリードのエントリが設けられた管状の特殊コネクタも開示されている。管状コネクタは、まず、第1のパイプに通される。次に、第2のパイプは、前記管状コネクタの第2の端部に差し込まれ、その後、前記管状コネクタと前記第2のパイプが完全に嵌め合わせられるように、前記管状コネクタが前記第2のパイプに対して1回転未満回転させられる。前記コネクタは、第1のパイプの端部の端までねじ込まれ、その後、第2のパイプが(1回転未満回転されて)ねじ込まれるのに伴い、わずかな量の「後退」をするようである。しかしながら、このわずかな量の回転でさえ、上述した例の多くにおいて許容されないであろう。
【0013】
従って、管状パイプの端部を結合するための改良された方法及び装置が必要とされている。その方法は、一方のパイプセクションをもう一方のパイプセクションに対して回転させる必要のないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4,487,433号明細書
【特許文献2】米国特許第4,846,508号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、管状パイプセクション自体を回転させずに該管状パイプセクションを結合するための装置及び方法を効果的に提供するものであり、それによって、従来技術に関して検討された様々な問題が解消されることは、以下の詳細な説明より当業者には明らかであろう。
【0016】
本発明のコネクタシステムは、2つのパイプセクションを結合するために、パイプセクションを回転させずに該2つのパイプセクションを結合するための押込式カップリングを含む。前記カップリングは、第1のテーパ付エンド部及び第2のテーパ付エンド部を有し、且つ前記第1及び第2のテーパ付エンド部がそれぞれの内側端部にて結合されたカップリング本体部を含む。前記第1及び第2のテーパ付エンド部はそれぞれ、その内側端部から外側端部にかけて内向きに傾斜しており、それによって前記本体部に各開口部が形成される。
【0017】
本発明のコネクタシステムの一形態では、カップリング本体部の第1及び第2のテーパ付エンド部はそれぞれ、特別な外形をなす外面を有している。その外面は、複数のヘリカルスプラインウェッジからなる。前記ヘリカルスプラインウェッジはそれぞれ、その内側端部から外側端部にかけて幅方向に交互に逆向きのテーパが付けられ、それによって前記ヘリカルスプラインウェッジが、各開口部から見ると、前記本体部の外面上に一連の複数のランドと溝とを交互に形成するようにしている。一方のパイプをもう一方のパイプに対して軸線方向に動かすことによって各パイプの端部が係合するように、前記カップリング本体部の前記第1及び第2のテーパ付エンド部は、結合される2つのパイプセクションのそれぞれの端部に形成された嵌め合わせ面で受容されるように大きさが決められる。
【0018】
前記ヘリカルスプラインウェッジは、前記カップリングの外面上に主軸線に沿って配置される。前記主軸線は、ヘリカルというよりもむしろ長さ方向又は軸方向の軸線である。組立力が前記カップリング及び前記各パイプの端部に加えられる。前記カップリングは、前記パイプが完全に結合される前に、前記組立力により360度未満回転させられる。結合される前記パイプは、組み立て時に、典型的な石油及びガスパイプライン又は沖合いのパイプライン若しくはライザのように比較的直線的な形状をなすように配置され得る。或いは、パイプセクションは、組み立て時に、地下トンネルの支持構造体の場合のように曲線状の軸線に沿って配置され得る。前記カップリングの外面は、粗面仕上げのような特別な処理を施されることもあり、結合は所要の大きさの力で形成されるが、結合部の嵌め合わせ面に係合する前記特別な処理がなされた面の作用によりその結合が外れないようにする。
【0019】
本発明のコネクタシステムの別の形態では、カップリングの特別な外形をなす面と、結合される2つのパイプセクションの各端部の特別な外形をなす面とが、実質的に逆に形成されている。即ち、前記カップリングは、第1及び第2のテーパ付エンド部の内面に特別な外形をなす面を有する。同様に、結合されるパイプの端部は、特別な外形をなす嵌め合わせ外面を有する「ピン」端部である。
【0020】
上述した押込式カップリングは、2つのパイプの端部を結合するための管状コネクタシステムの一部として用いることができ、この場合、第1のパイプの端部は、上述のソケット端部(box end)又はピン端部を有するように提供され、第2のパイプの端部は、同様に上述のソケット端部又はピン端部を有するように提供される。前記カップリングの第1及び第2のテーパ付エンド部は、一方のパイプをもう一方のパイプに対して軸線方向に動かすことによって各パイプの端部が係合するように、互いに対向する位置に配置されたそれぞれのパイプの端部に形成された特別な機械加工がなされた表面と嵌め合わされるように形状が決められる。
【0021】
本発明のパイプの結合を形成するための方法では、結合される第1及び第2のパイプの端部は上述したようなものとして提供される。カップリングが前記第1のパイプの端部上に支持されるまで、前記カップリングの第1のエンド部を前記第1のパイプの端部とネジ係合させる。次に、前記第2のパイプの端部を、前記カップリングの第2のエンド部に係合させ、前記第2のパイプを前記カップリング及び前記第1のパイプに対して軸線方向に押し、それによって前記カップリングが前記各パイプの端部に対して回転して、前記パイプの端部を結合させる。
【0022】
更なる目的、特徴及び利点は、以下の記述において明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の管状コネクタシステムで用いられるカップリングの斜視図である。
【図2】互いに対向する位置に配置された2つのパイプのソケット端部を結合するために用いられる図1のカップリングの部分概略図であり、図をわかりやすくするために前記パイプの端部が部分的に透視法で図示されている概略図である。
【図3】結合される2つのパイプのピン端部の特別な外形をなす外面と嵌め合わせるための、そのテーパ付エンド部の内側に特別な外形をなす面を有する本発明のカップリングの別の形態の分解図である。
【図4】ネジ山に対するスプラインの定義を示す管状本体部のネジ山の簡略図である。
【図5】半アーチ状の構造で端部が結合された管状パイプセグメントからなる補強用の鯨骨状の上部構造体を用いた輸送用地下トンネルの簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照すると、符号11で全体が示される本発明の押込式カップリングが図示されている。前記カップリングは、2つのパイプセクション、例えば図2において互いに対向する位置に配置された、ソケット端部を備えるパイプ13、15で示されるセクションを結合するために用いられる。図1で示されるように、カップリング本体部は、第1のテーパ付エンド部17及び第2のテーパ付エンド部19を有する。前記第1のテーパ付エンド部17と第2のテーパ付エンド部19は、それぞれの内側端部21にて結合されている。テーパ付エンド部17、19はそれぞれ、その内側端部21から外側端部23、25にかけて内向きに傾斜しており、それによって前記本体部に開口部(例えば、開口部27)がそれぞれ形成されている。
【0025】
図1及び図2で図示される本発明の形態では、第1及び第2のテーパ付エンド部17、19はそれぞれ、特別な外形をなす外面を有する。その外面は、図1で示されるウェッジ29、31、33のような複数の「ヘリカルスプラインウェッジ」から構成される。これらの特別なデザインの「ウェッジ」は、部分的にネジの形をとり、部分的にスプラインの形をとる。前記各ウェッジは、その内側端部35から外側端部37にかけて交互に逆向きのテーパが付けられ、それによって前記ヘリカルスプラインウェッジが、各開口部27から見ると、カップリング本体部の外面上に一連の複数のランド39と溝41とを交互に形成するようにしている。
【0026】
カップリング11の特別な外形をなす外面は、ランド39と溝41とが交互に形成されているという点で「スプライン」と類似する。また、カップリング11の特別な外形をなす外面は、各ウェッジ29、31、33が、主軸線43に沿ってカップリング11の外面上に配置されているという点でスプラインと類似する。主軸線43は、一般的なネジの場合のようなヘリカルな軸線というよりも、むしろ長さ方向又は軸方向の軸線である。逆に、しかしながら、ウェッジが主に長さ方向の軸線43に沿って整列されているとしても、後述するように、パイプ結合の締め付け中に動径方向成分の動きがある。
【0027】
図2で図示されるように、カップリング11の第1及び第2のテーパ付エンド部17、19は、結合される2つのパイプセクション13、15のソケット端部のそれぞれに備えられた嵌め合わせ内面45、47で略受容されるように大きさ又は形状が決められる。図2に関してわかるように、2つのパイプセクション13、15間の結合を形成するために、カップリング11に対して組立力を加えなければならない。カップリング11は、端部13、15が完全に結合される前に、その組立力により360度未満回転させられる。パイプの端部が完全に結合される前に組立力により回転させられるカップリングの回転は、90度未満の回転であることが好ましく、45度未満の回転であることが最も好ましい。
【0028】
図4は、本発明のヘリカルスプラインウェッジにおける組み合わせられたスプライン/ネジ山の特徴を更に説明するための簡略図である。上述したように、ウェッジの表面には、カップリングを主に長さ方向又は軸線方向の移動経路に沿って移動させる組立力が作用する。パイプ結合の典型的なネジ形状の場合、主軸線は通常ヘリカルな軸線である。また、本発明の特別なヘリカルスプラインウェッジは、通常のネジ形状と比較して、1インチ(2.54センチメートル)当たりの回転量が少ない。図4は、管状結合部のネジ形状の簡略表現を意図したものである。従って図4に関して、角度αは約45度である。角度αが概ね約45度未満の場合、より多くの押込結合がなされる。角度αが45度より大きい場合、より多くのトルクによる力での結合がなされる。角度αが0度である場合、純粋なスプライン結合がなされる。
【0029】
結合部を締め付けるために、まずカップリングの選択されたエンド部19が、嵌め合わせるパイプの端部15の中に凡そ中間まで挿入される。そのカップリングは、接触するウェッジのランド及び溝から抵抗を受ける凡そ中間地点までは概ね自由に差し込まれる。好適な設計では、そのランド及び溝が最初に接触し、その後それぞれ49、51が接触する。第2のパイプの端部13は、次に、油圧工具などにより第1のパイプの端部の方向に押される。図1で図示される10のスタート(突起部)を有するカップリングの場合、組み立て中に、パイプの外側端部53、55同士が接触する前に、カップリングは半径方向に約36度回転する。パイプの外側端部53、55同士の接触及びカップリングとの係合は、各パイプの端部13、15の回転又はトルクが何もなくても達成される。
【0030】
図3は、カップリング12の特別な外形をなす面と、互いに対向する位置に配置されたパイプの端部14、16の特別な外形をなす面とが実質的に逆にされた本発明の結合システムの別の形態を図示する。即ち、カップリング12のヘリカルスプラインウェッジ面18、20は、第1及び第2のテーパ付エンド部の内面にある。同様に、互いに対向する位置に配置された結合されるパイプの端部14、16はそれぞれ、特別な外形をなすヘリカルスプラインウェッジの外面22、24を有する「ピン」端部である。結合部の締め付けは、その他の点に関しては上述したものと同じである。
【0031】
図5は、現場打ちコンクリートによるトンネルセグメント57、59を含むトンネルシステムの簡略図である。トンネルセグメント59は、管状パイプセグメント61、63の「鯨骨」配置からなる上部支持構造体を有する。図5で図示する例では、各パイプセグメント61、63は、約10フィート(3.05メートル)の長さを有し、約32インチ(81.28センチメートル)の外径(OD)を有する。各「鯨骨」セクションを作るために、上述したように、パイプセグメントは端部同士が結合される。そのパイプの内部及び周囲の空間には、その後、一般的にコンクリートが詰められる。本発明の改良された押込式カップリングは、上述のトンネルのセグメントを迅速且つ効率良く組み立てるために用いることができる。
【0032】
本発明は様々な有利な点を提供する。本発明の押込結合は、2つのパイプセクションを結合するために、パイプセクションを回転させずにその2つのパイプセクションを結合することができる。これは、地上のラインパイプの結合、海底のパイプシステム、トンネルの上部構造の支持体などでの利用に特に有利である。本発明のカップリングは、比較的シンプルなデザインであり、製作するのにかかる費用を節約することができる。パイプの端部の溶接を必要とした従来の結合方式は、1つの結合部につき、約5時間を要していたが、本発明の結合方式は、約5分以内で完了することができる。カップリングの特別な外形をなす面を形成する複数のウェッジセグメントは、互いに対向する位置に配置されたパイプの端部が不意に外れることがないように保持するのを助ける。即ち、複数のウェッジ面が結合に用いられるという点で、ネジ山がパイプの端部の外端まで達するような通常のネジ結合とは異なる。接触する領域が増すことにより、全体にわたってより強固な結合がもたらされる。
【0033】
本発明をその様々な形態の内の1つだけを用いて開示してきたが、本発明は、それに限定されるわけではなく、本発明の精神から逸脱することなく様々な変更及び変形が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのパイプセクションを回転させずに結合するための押込式カップリングであって、
第1のテーパ付エンド部及び第2のテーパ付エンド部を有し、且つ前記第1及び第2のテーパ付エンド部がそれぞれの内側端部にて結合されたカップリング本体部を備え、
前記第1及び第2のテーパ付エンド部はそれぞれ、その前記内側端部から外側端部にかけて内向きに傾斜し、それによって前記本体部の各開口部が形成され、
前記第1及び第2のテーパ付エンド部はそれぞれ、特別な外形をなす面を有し、前記面は、複数のヘリカルスプラインウェッジからなり、前記ヘリカルスプラインウェッジはそれぞれ、その内側端部から外側端部にかけて幅方向に交互に逆向きのテーパが付けられ、それによって前記ヘリカルスプラインウェッジが、前記各開口部から見ると、前記本体部の前記面上に一連のランドと溝とを交互に形成するようにし、
前記第1及び第2のテーパ付エンド部は、結合される前記2つのパイプセクションの各端部に形成された嵌め合わせ面と係合するように大きさが決められることを特徴とする押込式カップリング。
【請求項2】
前記カップリングの前記特別な外形をなす面は、前記第1及び第2のテーパ付エンド部の外面に形成され、
結合される前記各パイプの端部はソケット端部であることを特徴とする請求項1に記載の押込式カップリング。
【請求項3】
前記カップリングの前記特別な外形をなす面は、前記第1及び第2のテーパ付エンド部の内面に形成され、
結合される前記各パイプの端部はピン端部であることを特徴とする請求項1に記載の押込式カップリング。
【請求項4】
2つのパイプセクション間の結合を形成するために前記カップリングに対して組立力が加えられ、
前記カップリングは、前記パイプが完全に結合される前に、前記組立力により360度未満回転させられることを特徴とする請求項1に記載の押込式カップリング。
【請求項5】
前記ヘリカルスプラインウェッジは、前記カップリングの前記特別な外形をなす面上に主軸線に沿って配置され、
前記主軸線は、ヘリカルというよりもむしろ長さ方向の軸線であることを特徴とする請求項1に記載の押込式カップリング。
【請求項6】
前記パイプセクションは、組み立て時に、比較的直線的な形状をなすようにしたことを特徴とする請求項1に記載の押込式カップリング。
【請求項7】
前記パイプセクションは、組み立て時に、曲線状の軸線に沿って配置されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の押込式カップリング。
【請求項8】
前記カップリングの前記特別な外形をなす面の内の少なくとも選択された1つの面に特別な処理が施され、
前記結合は、所定の大きさの力で形成されるが、他の面と係合する前記特別な処理が施された面の働きにより前記結合が外れないようにしたことを特徴とする請求項1に記載の押込式カップリング。
【請求項9】
前記特別な処理が施された面は、粗面仕上げされており、
前記結合が外れないようにする力が摩擦力であることを特徴とする請求項8に記載の押込式カップリング。
【請求項10】
前記特別な処理が施された面は、組み立て中に嵌め合わせ面に対して所与の方向に傾斜される複数の突起を有し、
前記複数の突起は、組み立て中に前記カップリングと前記パイプの端部との反対方向への相対的な動きに抵抗することを特徴とする請求項8に記載の押込式カップリング。
【請求項11】
2つのパイプの端部を結合するための管状コネクタシステムであって、
特別な機械加工がなされた内面を備えるソケット端部を有する第1のパイプと、
特別な機械加工がなされた内面を備えるソケット端部を有する第2のパイプと、
第1のテーパ付エンド部及び第2のテーパ付エンド部を有し、且つ前記第1及び第2のテーパ付エンド部がそれぞれの内側端部にて結合されたカップリング本体部とを含み、
前記第1及び第2のテーパ付エンド部はそれぞれ、その前記内側端部から外側端部にかけて内向きに傾斜し、それによって前記本体部の各開口部が形成され、
前記第1及び第2のテーパ付エンド部はそれぞれ、特別な外形をなす外面を有し、前記外面は、複数のヘリカルスプラインウェッジからなり、前記ヘリカルスプラインウェッジはそれぞれ、その内側端部から外側端部にかけて幅方向に交互に逆向きのテーパが付けられ、それによって前記ヘリカルスプラインウェッジが、前記各開口部から見ると、前記本体部の前記外面上に一連のランドと溝とを交互に形成するようにし、
前記第1及び第2のテーパ付エンド部はそれぞれ、一方のパイプをもう一方のパイプに対して軸線方向に動かすことによって前記各パイプの端部が係合するように、前記第1及び第2のパイプのソケット端部の内側に形成された前記特別な機械加工がなされた面のそれぞれと嵌め合わせられるように形状が決められることを特徴とする管状コネクタシステム。
【請求項12】
2つのパイプの端部を結合するための管状コネクタシステムであって、
特別な機械加工がなされた外面を備えるピン端部を有する第1のパイプと、
特別な機械加工がなされた外面を備えるピン端部を有する第2のパイプと、
第1のテーパ付エンド部及び第2のテーパ付エンド部を有し、且つ前記第1及び第2のテーパ付エンド部がそれぞれの内側端部にて結合されたカップリング本体部とを含み、
前記第1及び第2のテーパ付エンド部はそれぞれ、その前記内側端部から外側端部にかけて内向きに傾斜し、それによって前記本体部の各開口部が形成され、
前記第1及び第2のテーパ付エンド部はそれぞれ、特別な外形をなす内面を有し、前記内面は、複数のヘリカルスプラインウェッジからなり、前記ヘリカルスプラインウェッジはそれぞれ、その内側端部から外側端部にかけて幅方向に交互に逆向きのテーパが付けられ、それによって前記ヘリカルスプラインウェッジが、前記各開口部から見ると、前記本体部の前記内面に一連のランドと溝とを交互に形成するようにし、
前記第1及び第2のテーパ付エンド部はそれぞれ、一方のパイプをもう一方のパイプに対して軸線方向に動かすことによって前記各パイプの端部が係合するように、前記第1及び第2のパイプの前記ピン端部に形成された前記特別な機械加工がなされた面と嵌め合わせられるように形状が決められることを特徴とする管状コネクタシステム。
【請求項13】
2つのパイプの端部を回転させずに結合するための方法であって、
特別な機械加工がなされた嵌め合わせ面を有する第1のパイプを供給するステップと、
特別な機械加工がなされた嵌め合わせ面を有する第2のパイプを供給するステップと、
第1のテーパ付エンド部及び第2のテーパ付エンド部を有し、且つ前記第1及び第2のテーパ付エンド部がそれぞれの内側端部にて結合されたカップリング本体部を供給するステップであって、
前記第1及び第2のテーパ付エンド部はそれぞれ、その前記内側端部から外側端部にかけて内向きに傾斜し、それによって前記本体部の各開口部が形成され、
前記第1及び第2のテーパ付エンド部はそれぞれ、特別な外形をなす嵌め合わせ面を有し、前記嵌め合わせ面は、複数のヘリカルスプラインウェッジからなり、前記ヘリカルスプラインウェッジはそれぞれ、その内側端部から外側端部にかけて幅方向に交互に逆向きのテーパが付けられ、それによって前記ヘリカルスプラインウェッジが、前記各開口部から見ると、前記本体部に一連のランドと溝とを交互に形成するようにし、
前記第1及び第2のテーパ付エンド部はそれぞれ、一方のパイプをもう一方のパイプに対して軸線方向に動かすことによって前記各パイプの端部を係合するように、前記第1及び第2のパイプに形成された前記特別な機械加工がなされた嵌め合わせ面のそれぞれと嵌め合わせられるように形状が決められる、該ステップと、
前記カップリングが前記第1のパイプの端部に支持されるまで、前記カップリングの前記第1のエンド部を前記第1のパイプの端部に差し込むステップと、
前記第2のパイプの端部を前記カップリングの前記第2のエンド部に取り付け、前記第2のパイプを前記カップリング及び前記第1のパイプに対して軸線方向に押し、それによって前記カップリングが前記各パイプの端部に対して回転して、前記パイプの端部を結合させるステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記2つのパイプセクション間の結合を形成するために前記カップリングに対して組立力が加えられ、
前記カップリングは、前記パイプが完全に結合される前に、前記組立力により360度未満回転させられることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記2つのパイプセクション間の結合を形成するために前記カップリングに対して組立力が加えられ、
前記カップリングは、前記パイプが完全に結合される前に、前記組み立て力により45度未満回転させられることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
結合される前記パイプは、地下トンネルの支持構造体の一部であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記パイプは、組み立て時に、曲線状の軸線に沿って配置されるようにしたことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
結合される前記パイプは、油田用の管状物であることを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−505076(P2010−505076A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530365(P2009−530365)
【出願日】平成19年9月17日(2007.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/020098
【国際公開番号】WO2008/042106
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(509085973)ガンディ テクノロジーズ コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】