説明

接合部材の製造方法及び接合部材製造装置

【課題】比較的大きな部材を接合する場合でも接合に要する時間が過度に長くなることを抑制すること。
【解決手段】接合部材製造装置は、第1の部材Dを把持する第1の把持具11と、第2の部材Eを把持する第2の把持具12と、第1の接合面Dfに媒介物質Gを塗布する塗布装置40と、第1の把持具11及び/又は第2の把持具12を移動させる移動装置20と、制御装置とを備える。制御装置は、第1の拡大平面Deと第2の拡大平面Eeとを互いに平行になるように対向させつつ、厚さの方向に見て第1の接合面Dfと第2の接合面Efとが重なる範囲が所定の範囲以下となるように配置し、第1の拡大平面Deと第2の拡大平面Eeとの間隔を維持しながら、厚さの方向に見て第1の接合面Dfと第2の接合面Efとが重なる範囲が次第に大きくなる方向へ、第1の部材Dを第2の部材Eに対して相対的に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接合部材の製造方法及び接合部材製造装置に関し、特に接合に要する時間が長くなることを抑制する接合部材の製造方法及び接合部材製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶パネルと保護ガラスとを貼り合わせる場合のように、2つの矩形の板状部材を接着剤を介して気泡の混入なしに貼り合わせたいという要請がある。一般に、円形の板状部材を貼り合わせる際には中心付近に滴下した接着剤を高速でスピンさせて展延させることが多いが、矩形の板状部材を貼り合わせる際には、円形部材と同様な手法で板状部材を高速でスピンさせて接着剤を適切に展延することが難しい。そのため、矩形の板状部材を貼り合わせる際に、接着剤を、矩形の重心を通り長手方向に長い矩形状に塗布された主要部と、矩形状の主要部の4つの角のそれぞれから矩形の板状部材の最も近い角に向かってそれぞれ線状に伸びる4つの誘導部とを有するように塗布し、2つの板状部材の貼り合わせ面を対向させ、一方の板状部材に塗布された接着剤を他方の板状部材に気泡が入らないように接触させた後、両方の板状部材を互いに接近させて挟まれた接着剤を展延させる技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−024321号公報(段落0043、図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように、両方の板状部材を互いに接近させて挟まれた接着剤を展延させる場合は、板状部材のサイズが大きくなるにつれて、接着剤の展延時間が著しく(例えば累乗近似で)長くなり、接合処理に多大の時間がかかってしまっていた。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、比較的大きな部材を接合する場合でも接合に要する時間が過度に長くなることを抑制することができる接合部材の製造方法及び接合部材製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る接合部材の製造方法は、例えば図3及び図4に示すように、平坦な第1の接合面Dfが形成された第1の部材Dと、平坦な第2の接合面Efが形成された第2の部材Eと、が流動性を失った媒介物質GL(例えば図2参照)を所定の厚さで介して接合された接合部材C(例えば図2参照)を製造する方法であって;第1の接合面Df及び第1の接合面Dfと同一平面上に存在する第1の仮想平面Dsを含む第1の拡大平面Deと、第2の接合面Ef及び第2の接合面Efと同一平面上に存在する第2の仮想平面Esを含む第2の拡大平面Eeと、を互いに平行になるように対向させつつ、厚さの方向Tdに見て第1の接合面Dfと第2の接合面Efとが重なる範囲が所定の範囲以下となるように配置する配置工程(図3(c)参照)と;第1の接合面Dfに流動性を有する媒介物質Gを塗布する第1の塗布工程(図4(a)参照)と;媒介物質Gが塗布された第1の部材Dを、第1の拡大平面Deと第2の拡大平面Eeとの間隔を維持しながら、厚さの方向Tdに見て第1の接合面Dfと第2の接合面Efとが重なる範囲が次第に大きくなるように、第2の部材Eに対して相対的に移動させる移動工程(図4(a)〜(b)参照)とを備える。ここで「平坦」とは、典型的には、全体的に平坦と見ることができれば足り、例えば移動工程を阻害しない程度で凹凸やスリット等が形成されているものも含まれる。また、「所定の範囲」とは、典型的には、第1の部材と第2の部材とに挟まれた媒介物質中に気泡が閉じ込められることがない最大の重なる範囲である。
【0007】
このように構成すると、厚さの方向で見て第1の接合面と第2の接合面との重なる範囲が所定の範囲以下から接合部材となったときの重なった状態までスライドさせる時間で接合させることができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る接合部材の製造方法は、例えば図3(b)に示すように、上記本発明の第1の態様に係る接合部材の製造方法において、移動工程(例えば図4(a)参照)に先立って又は移動工程と並行して、第2の接合面Efに媒介物質Gpを塗布する第2の塗布工程(図3(b)参照)を備える。
【0009】
このように構成すると、第1の接合面と第2の接合面との間に空隙が生じることを防ぐことができ、接合部材となったときに第1の接合面と第2の接合面との間に気泡が混入することを抑制することができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係る接合部材の製造方法は、例えば図4(a)に示すように、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る接合部材の製造方法において、第1の塗布工程が、移動工程と並行して行われる。
【0011】
このように構成すると、処理時間を短縮させることができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る接合部材の製造方法は、例えば図4(a)を参照して示すと、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る接合部材の製造方法において、第1の塗布工程中に、第1の接合面Dfを振動させる。
【0013】
このように構成すると、良好な塗布状態を得ることができる。
【0014】
また、本発明の第5の態様に係る接合部材の製造方法は、例えば図5に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係る接合部材の製造方法において、前記移動工程において、前記第1の塗布工程で塗布された媒介物質Gの厚みを整えるフィルムアプリケーター61が用いられる。
【0015】
このように構成すると、媒介物質を第1の接合面と第2の接合面との間に円滑に導くことができる。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の第6の態様に係る接合部材製造装置は、例えば図1、図3及び図4に示すように、平坦な第1の接合面Dfが形成された第1の部材Dと、平坦な第2の接合面Efが形成された第2の部材Eと、を媒介物質を所定の厚さで介して接合する装置であって;第1の部材Dを把持する第1の把持具11と;第2の部材Eを把持する第2の把持具12と;第1の接合面Dfに流動性を有する媒介物質Gを塗布する塗布装置40と;第1の把持具11及び第2の把持具12の少なくとも一方を移動させる移動装置20と;第1の接合面Df及び第1の接合面Dfと同一平面上に存在する第1の仮想平面Ds(例えば図3(c)参照)を含む第1の拡大平面De(例えば図3(c)参照)と、第2の接合面Ef及び第2の接合面Efと同一平面上に存在する第2の仮想平面Es(例えば図3(c)参照)を含む第2の拡大平面Ee(例えば図3(c)参照)と、を互いに平行になるように対向させつつ、厚さの方向に見て第1の接合面Dfと第2の接合面Efとが重なる範囲が所定の範囲以下となるように配置した後に、第1の拡大平面Deと第2の拡大平面Eeとの間隔を維持しながら、厚さの方向に見て第1の接合面Dfと第2の接合面Efとが重なる範囲が次第に大きくなる方向へ、第1の部材Dを第2の部材Eに対して相対的に移動させる(例えば図4(a)〜(b)参照)ように、第1の把持具11及び第2の把持具12並びに移動装置20を制御する制御装置50とを備える。
【0017】
このように構成すると、厚さの方向で見て第1の接合面と第2の接合面との重なる範囲が所定の範囲以下から接合部材となったときの重なった状態までスライドさせる時間で接合させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、厚さの方向で見て第1の接合面と第2の接合面との重なる範囲が所定の範囲以下から接合部材となったときの重なった状態までスライドさせる時間で接合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る接合部材製造装置の概略構成を示す図である。(a)は斜視図、(b)は吐出ヘッドの部分拡大斜視図である。
【図2】接合部材の構成を例示する側面図である。
【図3】接合部材の製造過程の前半部分における接合部材製造装置の状態を説明する図である。
【図4】接合部材の製造過程の後半部分における接合部材製造装置の状態を説明する図である。
【図5】フィルムアプリケーターの適用状況を説明する側面図である。
【図6】部材への接着剤の塗布の変形例を示す側面図である。(a)は両方の接合面に対して吐出ヘッドから接着剤を供給する態様を示す図、(b)は両方の接合面に対して接着剤のプレコーティングを形成する態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る接合部材製造装置1を説明する。図1は、接合部材製造装置1の概略構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は吐出ヘッドの部分斜視図である。接合部材製造装置1は、第1の部材としての下部材Dを把持する第1の把持具としての下吸着ステージ11と、第2の部材としての上部材Eを把持する第2の把持具としての上吸着ステージ12と、下吸着ステージ11を移動させる移動装置20と、媒介物質としての接着剤G(図1(b)参照)を吐出する塗布装置としての吐出ヘッド40と、接合部材製造装置1の動作を制御する制御装置50とを備えている。ここで、接合部材製造装置1の詳細な説明に先立って、接合部材製造装置1で製造される接合部材の構成を例示する。
【0022】
図2は、接合部材Cの構成を例示する側面図である。接合部材Cは、下部材Dと上部材Eとが所定の厚さTの接着剤Gの層(接着剤層GL)を挟んで構成された部品である。本実施の形態では、下部材Dが液晶パネルであり、上部材Eが保護ガラスであるが、これら以外の部材であってもよい。所定の厚さTは、製品あるいは中間製品としての接合部材C中の接着剤層GLの設計上の厚さである。接着剤層GLは、吐出ヘッド40(図1参照)から吐出された時点では流動性を有していた接着剤Gが、粘度が増加することにより流動性を失って形成されたものであり、典型的には接着剤Gが硬化して形成されている。本実施の形態では、接着剤Gは、合成樹脂などの高分子固形分が溶媒に溶け込んだ液体状の物質で、高分子物質の一形態であり、紫外線が照射されると紫外線の強度に応じて粘度が増加して流動性を失うように構成されている。接着剤層GLは、下部材Dと上部材Eとを貼り付けると共に、硬化した際には下部材Dと上部材Eとの間隔を所定の間隔(所定の厚さTに相当する距離)に保持する中間層の役割をするものである。
【0023】
下部材Dは、矩形板状に形成されている。下部材Dの板状の面の1つが、接着剤Gに接する第1の接合面としての下接合面Dfとなっている。上部材Eは、矩形板状に形成されている。上部材Eの板状の面の1つが、接着剤Gに接する第2の接合面としての上接合面Efとなっている。下接合面Df及び上接合面Efは、共に平坦に形成されている。ここでいう平坦とは、対向する下接合面Df及び上接合面Efを、所定の厚さTに相当する距離だけ離して両接合面Df、Efに平行に下部材D及び/又は上部材Eを動かしたときにその動きが阻害されない程度に凹凸やスリット等が形成されているものを含む概念である。また、下接合面Df及び上接合面Efは、それぞれ下部材D及び上部材Eと一体に形成されているものに限られない。例えば下接合面Dfで説明すれば、下部材Dの1つの面(平坦であるか否かは問わない)に他の部材(接着剤Gが硬化したものも含む)が適用されて平坦な面が形成されたものでもよく、つまり、下接合面Dfが形成された下部材Dは、複数の部材が合わさっていても全体として1つの下部材Dとみなすことができるものであればよい。なお、下部材D及び上部材Eは、別体であり、典型的には材質が異なるものであるが、同じ材質であってもよい。
【0024】
再び図1に戻って接合部材製造装置1の説明を続ける。下吸着ステージ11は、下部材Dの下接合面Dfの裏面を真空吸着することにより、下部材Dを把持することができるように構成されている。下吸着ステージ11は、本実施の形態では、下接合面Dfよりもやや大きい面を持つ矩形板状の外形を呈している。下吸着ステージ11の下部材Dと接する吸着面11bには複数の通気孔11hが形成されており、通気孔11hは真空ポンプ(不図示)に連通している。下吸着ステージ11は、真空ポンプ(不図示)の作動により下部材Dを真空吸着できるように構成されている。下吸着ステージ11は、吸着面11bの裏側の中央に、下吸着ステージ11を支持する直方体形状の下支持体11sが取り付けられている。
【0025】
上吸着ステージ12は、上部材Eの上接合面Ef(図2参照)の裏面を真空吸着することにより、上部材Eを把持することができるように構成されている。上吸着ステージ12は、下吸着ステージ11と同様に構成されており、矩形板状の外形を呈し、真空ポンプ(不図示)に連通する複数の通気孔(不図示)が上部材Eと接する吸着面に形成されており、真空ポンプ(不図示)の作動により上部材Eを真空吸着できるように構成されている。また、上吸着ステージ12は、吸着面の裏側の中央に、上吸着ステージ12を支持する直方体形状の上支持体12sが取り付けられている。下吸着ステージ11及び/又は上吸着ステージ12は、把持する下部材D及び/又は上部材Eのずれを防止する観点から、下部材D及び/又は上部材Eが滑らないようにするガイド(不図示)を有する構成としてもよい。また、下部材D及び/又は上部材Eを把持するステージが多孔質プレートで構成されていてもよい。
【0026】
移動装置20は、可動軸21と、駆動源22と、案内レール23とを含んで構成されている。可動軸21は、下支持体11sと駆動源22とを仲介する棒状の部材であり、水平に延びるように設けられている。可動軸21は、その一端が吸着面11bに直交する下支持体11sの面の1つに接続されており、他端は駆動源22に嵌挿されている。駆動源22は、可動軸21をその軸方向に(水平方向に)往復動させる装置である。駆動源22は、電力を入力し、入力した電力を機械仕事に変換するように構成されている。案内レール23は、下吸着ステージ11の移動方向を制限するための部材であり、下吸着ステージ11を特定の一直線上で往復動させるように、直線状に敷設されている。上述のように構成された移動装置20は、可動軸21(ひいては下吸着ステージ11)を移動させる距離を調節できる位置制御機能を有しており、典型的にはサーボあるいはステッピングモータを用いたパルス制御が用いられる。
【0027】
上吸着ステージ12には、反転装置30が接続されている。反転装置30は、上吸着ステージ12に把持された上部材Eを天地反転させる装置である。反転装置30は、回転軸31と、モータ32とを有している。回転軸31は、上支持体12sとモータ32とを仲介する棒状の部材であり、水平に延びるように設けられている。回転軸31は、上部材Eを把持した上吸着ステージ12の重量が先端にかかっても撓むことがないような剛性を持つヤング率及び断面形状を有している。回転軸31は、その一端が上吸着ステージ12の吸着面に直交する上支持体12sの面の1つに接続されており、他端はモータ32に接続されている。モータ32は、回転軸31をその軸線まわりに回転させる装置であり、入力した電力を用いて回転軸31を正逆両方向に回転させることができるように構成されている。反転装置30は、本実施の形態では、接合部材製造装置1のフレーム(不図示)に固定されている。
【0028】
吐出ヘッド40は、下部材Dの案内レール23に直交する辺の長さ40Lを有している。図1(b)の部分詳細図に示すように、吐出ヘッド40は、長さ40Lに渡って、接着剤Gを吐出するスリット40sが形成されている。吐出ヘッド40は、スリット40sが形成されていることにより、接着剤Gを長さ40Lに渡って帯状に滴下することができるようになっている。吐出ヘッド40は、別途接着剤Gが貯留されている接着剤槽(不図示)とチューブ(不図示)を介して接続されており、接着剤圧送装置(不図示)の作動により、接着剤槽(不図示)から適切なタイミングで接着剤Gが圧送されてくることにより、接着剤Gが吐出されるように構成されている。吐出ヘッド40は、スリット40sが案内レール23に直交するように、下吸着ステージ11側の上吸着ステージ12の辺に近接して配置されている。
【0029】
制御装置50は、下吸着ステージ11の吸着面11bに形成された複数の通気孔11hに連通する真空ポンプ(不図示)及び上吸着ステージ12の吸着面に形成された複数の通気孔に連通する真空ポンプ(不図示)とそれぞれ信号ケーブルで接続されており、下部材D及び上部材Eの真空吸着の有無をそれぞれ制御することができるように構成されている。また、制御装置50は、移動装置20と信号ケーブルで接続されており、可動軸21の移動距離及び移動タイミングを制御することができるように構成されている。また、制御装置50は、反転装置30と信号ケーブルで接続されており、回転軸31の回転動作を制御することができるように構成されている。また、制御装置50は、接着剤圧送装置(不図示)と信号ケーブルで接続されており、吐出ヘッド40からの接着剤Gの吐出量(吐出の有無も含む)を制御することができるように構成されている。また、接合部材製造装置1は紫外線を照射するUV照射器(図1において不図示)を有しており、制御装置50は、UV照射器(不図示)と信号ケーブルで接続されて、紫外線の照射の有無を制御することができるように構成されている。
【0030】
引き続き図3及び図4を参照して、接合部材製造装置1の作用を説明する。図3は、接合部材Cの製造過程の前半部分における接合部材製造装置1の状態を説明する図、図4は、接合部材Cの製造過程の後半部分における接合部材製造装置1の状態を説明する図である。接合部材製造装置1によって接合部材Cが製造される過程は、接合部材の製造方法が具現された本発明の1つの実施の形態である。以下の説明において、接合部材製造装置1の構成あるいは接合部材Cの構造について言及しているときは、適宜図1及び図2を参照することとする。接合部材Cの製造を開始する準備として、上吸着ステージ12の吸着面を上方に向けておく。なお、下支持体11sに接続されている可動軸21は、本実施の形態では軸回りの回動を行わないので、下吸着ステージ11の吸着面11bは常に上方を向いていることとなる。
【0031】
上吸着ステージ12の吸着面が上方を向いていることを確認したら、前工程で準備された下部材Dが収容されているトレー(不図示)内の1つの下部材Dをロボット(不図示)がつかみ、下接合面Dfを上方に向けて吸着面11b上に載置する。制御装置50は、下部材Dが吸着面11bに載置されたら複数の通気孔11hに連通する真空ポンプ(不図示)を作動させ、下部材Dを吸着面11bで吸着保持させる。他方、前工程で準備された上部材Eが収容されているトレー(不図示)内の1つの上部材Eをロボット(不図示)がつかみ、上接合面Efを上方に向けて上吸着ステージ12の吸着面上に載置する。制御装置50は、上部材Eが上吸着ステージ12の吸着面に載置されたらその吸着面に形成された複数の通気孔に連通する真空ポンプ(不図示)を作動させ、上部材Eを上吸着ステージ12の吸着面で吸着保持させる(図3(a)参照)。
【0032】
上部材Eが上吸着ステージ12に吸着保持されたら、下部材Dとの接合に先立って、上接合面Efの全面に液状の接着剤G(以下、接合面に事前に塗布した接着剤Gを符号「Gp」で表して区別することもある)を塗布してコーティングを形成する(第2の塗布工程、図3(b)参照)。コーティングは、塗布の一形態である。上接合面Efに事前に塗布(プレコート)される接着剤Gpは、所定の厚さTよりも薄く、上接合面Efを下方に向けても垂れない程度で、後に行われる下部材Dとの接合が円滑に行われる程度とするとよい。コーティングGpは、典型的にはダイコーティングにより形成される。上接合面Efにプレコートされた接着剤Gpは、流動性を有しており、後に下接合面Dfに塗布される接着剤Gと一体となるので、上部材Eの一部とはならず、したがって、上部材Eの接着剤Gpに接する界面が上接合面Efであることに変わりはない。コーティングGpの形成が終了したら、制御装置50は反転装置30の回転軸31を回転させ、上接合面Efが下方を向くように上部材Eを反転させる。この反転により、下接合面Dfと上接合面Efとは、水平方向(両接合面Df、Efに平行な方向)にずれているものの、平行に向き合っている(配置工程、図3(c)参照)。
【0033】
上記の下接合面Dfと上接合面Efとが平行に向き合っている状態(図3(c))をさらに詳しく説明する。下部材Dについて、下接合面Dfと同一平面上で上部材E側に、下接合面Dfに隣接した想像上の平面である下仮想面Ds(第1の仮想平面)を設け、下接合面Dfと下仮想面Dsとを合わせて下拡大面De(第1の拡大平面)とする。他方、上部材Eについて、上接合面Efと同一平面上で下部材D側に、上接合面Efに隣接した想像上の平面である上仮想面Es(第2の仮想平面)を設け、上接合面Efと上仮想面Esとを合わせて上拡大面Ee(第2の拡大平面)とする。図3(c)に示す下接合面Dfと上接合面Efとが水平方向にずれているものの平行に向き合っている状態は、下拡大面Deと上拡大面Eeとが平行に対向している状態であり、本実施の形態では、下接合面Dfと上仮想面Esとが平行に対向し、上接合面Efと下仮想面Dsとが平行に対向した状態になっている。このとき、厚さの方向Tdで見て、換言すれば下接合面Dfに直交する方向で見て(本実施の形態では平面視となる)、下接合面Dfと上接合面Efとが重ならない状態になっている。
【0034】
なお、本実施の形態では、反転装置30の構成上、上部材Eを反転させるときに上部材Eが一時的に下仮想面Dsよりも下方を通過するため、下部材Dと上部材Eとが干渉することを回避するべく、厚さの方向Tdで見て下接合面Dfと上接合面Efとが重ならない状態で配置することとしている。しかし、下部材D及び上部材Eが干渉する等の不都合が生じない場合は、厚さの方向Tdで見て、下接合面Dfと上接合面Efとが所定の範囲以下で重なるように配置することとしてもよい。ここで「所定の範囲」とは、下接合面Dfと上接合面Efとの間に、気泡が混入されることなく適切に接着剤Gを供給することができる範囲の上限である。適切に接着剤Gを供給するとは、典型的には、接合部材Cとなったときに、下部材Dと上部材Eとの間の接着剤Gが不足することなく、かつ、気泡が混入されていない状態となるように供給することである。厚さの方向Tdで見て下接合面Dfと上接合面Efとが所定の範囲以下で重なる例として、接着剤Gが塗布された下接合面Dfと接着剤Gpがプレコートされた上接合面Efとが気泡の混入がないように線で重なる場合や、接着剤Gが塗布されていない下接合面Dfと接着剤Gpがプレコートされた上接合面Efとの間に形成された隙間に供給された接着剤Gが気泡を取り込まずに毛細管現象で行き渡る程度の重なりとする場合が挙げられる。厚さの方向Tdで見て下接合面Dfと上接合面Efとが重なることとすると、下接合面Dfと上接合面Efとを一旦接触させた後に離すことで両接合面Df、Ef間の距離を設定しやすくなるという利点がある。
【0035】
また、本実施の形態における配置工程では、下拡大面Deと上拡大面Eeとの間隔が、接合部材Cとなったときの接着剤層GLの厚さTと等しくなるように設定されている。さらに、案内レール23が延びる方向の矢視(図3(c)に示されているのが正面視とした場合の側面視)では、上部材Eと下部材Dとがそれぞれ鉛直上下に位置する配置となっている。上述のように下部材D及び上部材Eが配置されると、図3(c)に示すように、吐出ヘッド40が、上部材Eの上仮想面Es側の辺に対して、長手方向が沿うように隣接して配置される。このとき、吐出ヘッド40の下端が下部材Dに接触しないように配置される。
【0036】
吐出ヘッド40が配置されたら、制御装置50は、移動装置20の可動軸21を稼働させ、下部材Dを上部材Eへ向けて案内レール23に沿って移動させる(移動工程の開始)。そして、吐出ヘッド40のスリット40sの真下に下接合面Dfが来たときに、制御装置50は、吐出ヘッド40から液状の接着剤Gを吐出させて下接合面Dfへの接着剤Gの供給を開始させる(第1の塗布工程の開始)。下接合面Dfへの接着剤Gの供給は塗布の一形態である。下接合面Dfに線状に供給された接着剤Gは、下部材Dの移動により上接合面Efの下方に位置すると、下接合面Dfと上接合面Efとの間に形成された隙間に充填されることとなる。このとき、上接合面Efにあらかじめ液状の接着剤Gpがプレコートされているので、下接合面Dfに供給された接着剤Gが上接合面Efにプレコートされた接着剤Gpに接する範囲が、点状から線状を介して面状に迅速に拡散してゆく。プレコートされた接着剤Gpは、下接合面Dfに供給された接着剤Gと接すると混じり合って渾然一体となり、両者の区別はなくなる。下部材Dの移動は、接合部材Cとなったときの下部材Dと上部材Eとの位置関係になるまで継続され、吐出ヘッド40からの液状の接着剤Gの吐出は、スリット40sの真下に下接合面Dfが存在しなくなるまで継続される(図4(a)〜(b)参照)。移動工程の間、下拡大面Deと上拡大面Eeとの間隔は、配置工程で設定された厚さTに相当する間隔が維持される。このようにして、厚さ方向Tdで見て下接合面Dfと上接合面Efとが重なる範囲が次第に大きくなる。これにより、下部材Dと上部材Eとが接着剤Gを介して気泡を取り込むことなく接合されることとなる。
【0037】
このとき、下接合面Dfと上接合面Efとの間に接着剤Gを充填させるのに要する時間は、下部材Dをスライドさせるのに要する時間で足りる。この時間は、本実施の形態では、下部材Dを移動させる速度が一定であれば、移動方向における部材の長さに概ね比例することとなる。これを、従来の両部材を押圧して接着剤Gを展延させる場合(押圧展延手法)と比較して見ると、従来の押圧展延手法では、接合する部材の接合面の、表面粗さが大きいほど、あるいは液状接着剤に対する接触角が大きいほど、接着剤の展延に時間を要することとなり、部材サイズの拡大に応じて累乗近似あるいは指数近似で増大してしまっていた。本実施の形態では、所要時間が部材のサイズに比例して増大するだけなので、従来の押圧展延手法に比べ、特に部材のサイズが大きくなるほど部材の接合に要する時間の短縮率が顕著となる。
【0038】
下部材Dの移動が完了したら、制御装置50は、上吸着ステージ12による上部材Eの吸着保持を解除し、下吸着ステージ11を移動工程開始前の位置に移動させる。そして、下部材Dと上部材Eとの間に存在する接着剤Gに、UV照射器80から紫外線を照射させる(図4(c)参照)。接着剤Gは、紫外線が照射されることにより流動性を失い、硬化する。これにより、下部材Dと上部材Eとが接着剤層GLを介して接合されることとなり、接合部材Cとなる。接合部材Cが製造されたら、制御装置50は、下吸着ステージ11による下部材D(接合部材C)の吸着保持を解除する。下部材D(接合部材C)の吸着保持が解除されたら、ロボット(不図示)が接合部材Cをつかんで次工程へ搬送する。以上で1つの接合部材Cの製造が完了し、以降、上述の作用を繰り返す。
【0039】
なお、上述の第1の塗布工程において、接着剤Gが供給される面である下接合面Df(下部材D)を振動させることとしてもよい。接着剤Gが供給される際に下接合面Dfを振動させることで、接着剤Gの拡散を促進させることができ、より円滑で良好な塗布状態を得ることができる。振動は、下接合面Dfに平行な方向、特に下部材Dが移動する方向(案内レール23が延びる方向)で行わせることとしてもよい。振動を発生させる構成として、下吸着ステージ11に超音波振動子を設けておき、下部材Dを超音波振動させることとしてもよい。また、下部材Dを上部材Eに対して平行に移動させるための駆動力は、接着剤Gの粘性による下部材Dと接着剤Gとの界面の摩擦力(せん断力)に比例すると考えられるが、振動により摩擦力が小さくなり、所要駆動力を小さくすることができる。
【0040】
また、図5に示すように、移動工程において、下接合面Dfに滴下された液体状の接着剤Gを、下部材Dと上部材Eとの間に適切に充填させるため、滴下された接着剤Gの厚みを整えるフィルムアプリケーター61を用いてもよい。図5(a)に示す例は、水平方向における下部材D側の上部材Eの辺及び上吸着ステージ12の辺が揃っている場合に適用したものである。この場合、フィルムアプリケーター61は、下部材D側の上部材Eの端辺に、下接合面Dfに対向する面(接着剤Gを均す面)が上部材Eから離れるにつれて下接合面Df(接着剤Gが滴下されている面)から離れるように取り付けられる。他方、図5(b)に示す例は、水平方向における下部材D側で、上部材Eよりも上吸着ステージ12が突き出ているものである。この場合、フィルムアプリケーター61は、下部材D側の上吸着ステージ12の端辺に取り付けられる。フィルムアプリケーター61の、図5(a)に示す取り付け態様及び図5(b)に示す取り付け態様のいずれの場合も、下端が上接合面Efに一致するように取り付けられているが、下端が下部材Dに接触しないように取り付けられていればよい。しかしながら、フィルムアプリケーター61で均された、下接合面Dfに塗布された接着剤Gを、上接合面Efにプレコートされた接着剤Gpに接触させる観点から、フィルムアプリケーター61は、下端が上仮想面Esよりも下側に付き出ないように取り付けられることが好ましい。
【0041】
以上の説明では、接着剤Gが紫外線硬化性樹脂を主成分としているとしたが、加熱により硬化するものや常温下において時間経過に応じて硬化するものでもよい。また、接着剤Gは、完全に硬化するもの以外に、ジェル状などの半硬化するもの(外力を加えることにより弾性変形をするが外力を取り除くと元に戻るもの)であってもよい。また、媒介物質が高分子物質の一形態である接着剤Gであるとして説明したが、媒介物質は半田等の金属でもよく、あるいは液晶等の半硬化するものでもよく、下部材D及び上部材Eの接合に適した物質を用いるとよい。
【0042】
以上の説明では、下部材D及び上部材Eが矩形板状に形成されているとしたが、下部材D及び/又は上部材Eは、平坦な接合面が形成されていれば、平面形状は矩形以外の円形や楕円形あるいは多角形に形成されていてもよく、接合面の裏面に所定の厚さを超える起伏を持つ凹凸が形成されていてもよい。
【0043】
以上の説明では、下部材Dとの接合に先立って上接合面Efの全面に接着剤Gを塗布してプレコーティングGpを形成するとしたが、プレコートする接着剤は下部材Dに供給されるものと異なる成分のものでもよく、例えば下部材Dに供給される接着剤Gと混ざることで硬化する成分の接着剤であってもよい。また、下部材Dとの接合に先立って上接合面Efに接着剤を塗布しなくてもよい。このとき、下接合面Dfに供給されている接着剤Gが上接合面Efに馴染みにくく接合が円滑に行われない場合は、上接合面Efを振動させたり、接着剤に対して親和性が向上する表面処理を上接合面Efに事前に施してもよい。
【0044】
また、以上の説明では、下部材Dとの接合に先立って上接合面Efの全面に接着剤Gをプレコートしておき、第1の塗布工程では下接合面Dfに接着剤Gを供給することとしたが、プレコートを下接合面Dfに対して行い、接着剤Gの供給を上接合面Efに対して行うこととしてもよい(この場合、上部材Eが第1の部材に相当し、下部材Dが第2の部材に相当することとなる。)。つまり、以上の説明では、第1の部材が下部材Dであり、第2の部材が上部材Eであるとしたが、第1の部材が上部材Eであり、第2の部材が下部材Dであってもよい(以下に述べる各変形例の適用についても同様)。また、第2の塗布工程は、下拡大面Deと上拡大面Eeとを対向させる配置工程の前に上接合面Efの全面に行う場合に限らず、上述の第1の塗布工程と同様の要領で、移動工程と同時に行うこととしてもよい。
【0045】
図6(a)に、第2の塗布工程を、第1の塗布工程と同様の要領で移動工程と同時に行う状態を示す。この場合、吐出ヘッド40とは別に、吐出ヘッド40と同様の構成の吐出ヘッド40Aが、下部材Dの下仮想面Ds側の辺に対して、長手方向が沿うように隣接して配置される。このとき、吐出ヘッド40Aの上端が上部材Eに接触しないように配置される。第2の塗布工程を移動工程と同時に行うこととすると、プロセスタイムを短縮することができるため好ましい。また、図6(b)に示すように、下接合面Df及び上接合面Efの双方に、合わせて所定の厚さTとなるような量の接着剤Gを塗布してプレコーティングGpを形成してから、両部材D、Eをスライドさせて接合することにより、接着剤Gのはみ出しを抑制して接着剤Gの無駄を削減することとしてもよい。また、図示は省略するが、下接合面Df及び上接合面Efの双方に図6(b)に示すようなプレコーティングGpを施してさらに図6(a)に示すような態様で両部材D、Eの間に接着剤Gを供給することとして接着剤Gの展延速度を速めることとしてもよい。このように、接着剤Gの塗布形態は、接合面の粗さや用いられる接着剤の成分等の状況に応じて、厚さ方向Tdで見て両部材D、Eが重なる前に接合面の全面に行うプレコートと、接合面の一部に滴下する供給とを使い分けること、あるいは両方を重畳して適用することができる。また、接着剤Gの塗布を、下部材D及び上部材Eの一方に行うか両方に行うかを状況に応じて選択することができる。しかしながら、プロセスタイムの短縮化の観点からは一方の接合面には接着剤をプレコートしておき他方の接合面には移動工程中に接着剤を供給することが好ましく、展延速度を速める観点からは両方の接合面に接着剤をプレコートしておきつつ必要に応じて一方の接合面に移動させながら接着剤を供給することが好ましい。なお、第1の塗布工程及び第2の塗布工程並びに配置工程の順序は、適宜変更してもよい。
【0046】
以上の説明では、配置工程における下拡大面Deと上拡大面Eeとの間隔が、接合部材Cとなったときの接着剤層GLの厚さTと等しくなるとしたが、配置工程から移動工程にかけては接着剤層GLの厚さTに相当する距離とは異なる間隔としておき、移動工程が完了した後に下部材Dと上部材Eとを接近又は離間させて下接合面Dfと上接合面Efとの間隔を所定の厚さTに合わせることとしてもよい。しかしながら、配置工程の段階で下拡大面Deと上拡大面Eeとの間隔を所定の厚さTに合わせることとすると、プロセスタイムを短縮することができると共に、接着剤Gの供給を供給量及び供給タイミングの点で最適化しやすいため好ましい。なお、微視的には、移動工程の完了後に、接着剤Gが硬化する過程で、接着剤Gが膨張又は収縮して両接合面Df、Efの間隔が変化することも考えられるが、その間隔の変化が製品又は中間製品としての接合部材Cの設計寸法に対して許容される誤差範囲である場合は、両接合面Df、Efの間隔に変化がないものとして取り扱うこととする。
【0047】
以上の説明では、第1の塗布工程と移動工程とが同時に行われるとしたが、接合部材Cとなったときの接着剤層GLの体積に相当する量の接着剤Gをあらかじめ第1の塗布工程において塗布しておき、第1の塗布工程が完了した後に移動工程に移行することとしてもよい。しかしながら、第1の塗布工程と移動工程とが同時に行われることとすると、プロセスタイムを短縮することができるため好ましい。
【0048】
以上の説明では、第1の塗布工程において、スリット40sが形成された吐出ヘッド40から液状の接着剤Gが線状に吐出されることとしたが、スリット40sが形成された吐出ヘッド40に代えて接着剤Gを点状に吐出するノズルを用い、ノズルを適宜動かすことにより吐出ヘッド40を用いた場合と同様の線状あるいは多点状に塗布することとしてもよい(この場合、典型的には第1の塗布工程が完了した後に移動工程が開始される。)。接着剤Gを多点状に塗布する場合、複数のノズルを下部材Dが移動する方向に対して直交するように水平に並べることとしてもよい。
【0049】
以上の説明では、第1の塗布工程が、吐出ヘッド40から液状の接着剤Gが吐出されることにより下接合面Dfに接着剤Gが供給されることとしたが、例えばシート状の合成樹脂(媒介物質)を下接合面Dfに載置した後に熱等で融解させることで流動性を有することとなるような形態としてもよい。このように、「塗布」には、当初は流動性を有していなかった媒介物質を、厚さ方向Tdで見て下接合面Dfと上接合面Efとが重なる際に流動性を有することとなる場合も含まれる。
【0050】
以上の説明では、移動工程において、上部材Eを移動させずに下部材Dを移動させることとしたが、下部材Dを移動させずに上部材Eを移動させることとしてもよく、あるいは、下部材D及び上部材Eの双方が移動することとしてもよい。
【0051】
以上の説明では、下部材Dと上部材Eとの接合が行われる際、両接合面Df、Efが、水平となる状態で行うこととしたが、垂直等の水平以外となる状態で行うこととしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 接合部材製造装置
11 下吸着ステージ(第1の把持具)
12 上吸着ステージ(第2の把持具)
20 移動装置
40 吐出ヘッド(塗布装置)
50 制御装置
61 フィルムアプリケーター
C 接合部材
D 下部材(第1の部材)
Df 下接合面(第1の接合面)
Ds 下仮想面(第1の仮想平面)
De 下拡大面(第1の拡大平面)
E 上部材(第2の部材)
Ef 上接合面(第2の接合面)
Es 上仮想面(第2の仮想平面)
Ee 上拡大面(第2の拡大平面)
G 接着剤(媒介物質)
GL 接着剤層(媒介物質(流動性喪失))
T 所定の厚さ
Td 厚さの方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な第1の接合面が形成された第1の部材と、平坦な第2の接合面が形成された第2の部材と、が流動性を失った媒介物質を所定の厚さで介して接合された接合部材を製造する方法であって;
前記第1の接合面及び前記第1の接合面と同一平面上に存在する第1の仮想平面を含む第1の拡大平面と、前記第2の接合面及び前記第2の接合面と同一平面上に存在する第2の仮想平面を含む第2の拡大平面と、を互いに平行になるように対向させつつ、前記厚さの方向に見て前記第1の接合面と前記第2の接合面とが重なる範囲が所定の範囲以下となるように配置する配置工程と;
前記第1の接合面に流動性を有する前記媒介物質を塗布する第1の塗布工程と;
前記媒介物質が塗布された前記第1の部材を、前記第1の拡大平面と前記第2の拡大平面との間隔を維持しながら、前記厚さの方向に見て前記第1の接合面と前記第2の接合面とが重なる範囲が次第に大きくなるように、前記第2の部材に対して相対的に移動させる移動工程とを備える;
接合部材の製造方法。
【請求項2】
前記移動工程に先立って又は前記移動工程と並行して、前記第2の接合面に前記媒介物質を塗布する第2の塗布工程を備える;
請求項1に記載の接合部材の製造方法。
【請求項3】
前記第1の塗布工程が、前記移動工程と並行して行われる;
請求項1又は請求項2に記載の接合部材の製造方法。
【請求項4】
前記第1の塗布工程中に、前記第1の接合面を振動させる;
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接合部材の製造方法。
【請求項5】
前記移動工程において、前記第1の塗布工程で塗布された前記媒介物質の厚みを整えるフィルムアプリケーターが用いられる;
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の接合部材の製造方法。
【請求項6】
平坦な第1の接合面が形成された第1の部材と、平坦な第2の接合面が形成された第2の部材と、を媒介物質を所定の厚さで介して接合する装置であって;
前記第1の部材を把持する第1の把持具と;
前記第2の部材を把持する第2の把持具と;
前記第1の接合面に流動性を有する前記媒介物質を塗布する塗布装置と;
前記第1の把持具及び前記第2の把持具の少なくとも一方を移動させる移動装置と;
前記第1の接合面及び前記第1の接合面と同一平面上に存在する第1の仮想平面を含む第1の拡大平面と、前記第2の接合面及び前記第2の接合面と同一平面上に存在する第2の仮想平面を含む第2の拡大平面と、を互いに平行になるように対向させつつ、前記厚さの方向に見て前記第1の接合面と前記第2の接合面とが重なる範囲が所定の範囲以下となるように配置した後に、前記第1の拡大平面と前記第2の拡大平面との間隔を維持しながら、前記厚さの方向に見て前記第1の接合面と前記第2の接合面とが重なる範囲が次第に大きくなる方向へ、前記第1の部材を前記第2の部材に対して相対的に移動させるように、前記第1の把持具及び前記第2の把持具並びに前記移動装置を制御する制御装置とを備える;
接合部材製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−206664(P2011−206664A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76277(P2010−76277)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000103976)オリジン電気株式会社 (223)
【Fターム(参考)】