説明

接着性および耐摩耗性が改善された非反射または反射コーティングで被覆された光学製品の製造方法

本発明は、非反射性または反射性を有し、かつ、少なくとも1つの主面を有する光学製品の製造方法であって、基材の1つの主面上に1層の副層を堆積する工程と、イオンボンバードメント処理によって前記副層を処理する工程と、前記副層上に、少なくとも1層の高屈折率層および少なくとも1層の低屈折率層を含む多層スタックを堆積する工程とを含む製造方法に関する。好ましい実施形態に従って、副層の堆積は、堆積する工程中に気体が供給される真空チャンバー内で行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、改善された耐摩耗性と基材に対する良好な接着性とを有する、副層を含む非反射コーティングまたは反射コーティングを備えた基材を含む光学製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼光学領域において、眼用レンズには、複数の機械的特性および/または光学特性を付与するために、従来より、種々のコーティングが備えられた。そのため、従来より、耐衝撃性コーティング層、耐摩耗性コーティング層、非反射および/または反射コーティング層などの連続する複数のコーティング層が眼用レンズに形成されている。
【0003】
以下で定義されるように、非反射コーティングとは、光学最終製品の非反射性を改善する、光学製品の表面上に堆積されたコーティングを意味する。非反射コーティングは、製品‐空気境界面領域において、可視光スペクトルの比較的大きな部分の光の反射を抑制することを可能にする。
【0004】
反射コーティングはその逆の効果を持つ、つまり、反射コーティングは光線の反射を増加させる。この種のコーティングは、例えば、サンレンズに鏡効果を付与するために利用される。
【0005】
非反射コーティングは周知であり、従来より、SiO、SiO、Al、MgF、LiF、Si、TiO、ZrO、Nb、Y、HfO、Sc、Ta、Pr、またはその混合物などの誘電材料の単層スタックまたは多層スタックを含んでいる。
【0006】
また、周知のように、非反射コーティングは、高屈折率層および低屈折率層を交互に含む多層コーティングであるのが好ましい。
【0007】
反射コーティングは、非反射コーティングと同じ性質の層で作成されているが、その屈折率値、層の数および厚みはコーティングを反射性にするものが選択されており、これらの点は当業者に周知である。
【0008】
以下の記載は非反射コーティングに関するものであるが、反射コーティングにも適用される。しかし、本発明は好ましくは非反射コーティングに関する。
【0009】
基材と非反射コーティングの高屈折率層および低屈折率層との間に1層の比較的厚い副層を挟み込んで、該コーティングの耐摩耗性および/または耐擦傷性を改善することは公知である。
【0010】
しかし、この副層を挿入することは、耐摩耗性を増加させるが、非反射性スタックを弱体化させ、基材への該スタックの接着に影響する可能性のあることが観察された。幾つかの欠陥が、特に副層/非反射性光学スタック境界面で観察された。
【0011】
本願出願人の名義による特許文献1は、着色された多層非反射コーティングで、可視領域で吸光し半化学量論的酸化チタンTiO(x<2)を主成分とする少なくとも2層の高屈折率層と、好ましくはSiO+Alの総質量に対して1〜5質量%のAlでドープされたSiOを主成分とする少なくとも1層の低屈折率層(LI)とを含むコーティングを含む製品を記載している。
【0012】
本明細書は、さらに具体的に、1層の厚さ100〜110nmのシリカ副層、1層のTiO層、1層のSiO/Al層、1層のTiO層、1層のSiO/Al層、1層のTiO層、1層のSiO/Al層および防汚性コーティングで順番に被覆された基材を記載している。
【0013】
非反射コーティングを堆積する前に、基材の表面には、副層の接着性を改善する処理が施される。この表面処理は、IPC(イオンプレ洗浄)と呼ばれ、イオン銃を使ってアルゴンイオンで基材をボンバードメント処理することによるイオンプレ洗浄からなる。
【0014】
副層に対する表面処理は提供されない。
【0015】
特許文献1の教示に従って製造される光学製品の接着性および耐摩耗性は良好だが、それでも改善の余地はある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第2005/059603号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の目的は、無機ガラスまたは有機ガラスで作成される基材および副層を備えた非反射コーティングを含む透明な光学製品、特に、眼用レンズで、利点として、従来技術の光学製品と比較して改善された耐摩耗性および接着性の両方を有する光学製品の製造方法を提供することである。
【0018】
この新規の方法は、通常の光学製品の製造プロセスに容易に統合されるものであるべきで、好ましくは、基材の加熱は一切回避されるべきである。
【0019】
処理された光学製品は優れた透明性を保持する必要があり、熱水浸漬処理と後続の表面機械変形に対して良好な耐性を有し、いかなる光学的欠陥をも持たない必要がある。
【0020】
本発明の別の目的は、そのような製品でさらに帯電防止特性を備えた製品の製造方法を提供することである。
【0021】
本発明は特に、非反射性スタックが基材に接着する際の困難を取り去るため、また、この問題解決が、前記コーティングの耐摩耗性の増加を伴って行われることを保証するために考案された。
【0022】
本発明は、非反射性または反射性を有し、かつ、基材を含む光学製品を製造する方法であって、
‐少なくとも1つの主面を有する基材を含む光学製品を提供する工程と、
‐その基材の1つの主面上に、露出した表面を有する1層の副層を堆積する工程と、
‐その副層の該露出した表面上に、少なくとも1層の高屈折率層および少なくとも1層の低屈折率層を含む非反射性多層スタックを堆積する工程と、
‐該副層および該多層スタックを含む非反射コーティングで被覆された1つの主面を有する基材を含む光学製品を回収する工程と、
を少なくとも含み、該多層スタックを堆積する前に該副層の露出した表面がイオンボンバードメント処理を施されている方法によって、前述の目的を実現しようと意図する。
【0023】
本願での用法において、光学製品が表面上に1以上のコーティングを含む場合、「製品上に層またはコーティングを堆積する」の文言は、製品の外側のコーティングの非保護表面(露出した)上に層またはコーティングを堆積することを意味する。
【0024】
本願での用法において、「製品の外側のコーティング」は基材から最も遠いコーティングを意味する。
【0025】
本願での用法において、基材「上」にあるとされる、または基材「上」に堆積されるコーティングは、(i)基材の上方に配置され、(ii)必ずしも基材と接触しておらず、つまり、基材と対象のコーティングとの間に1以上の中間コーティングが配置されていてもよく、さらに(iii)基材を完全に覆うことが好ましいが、必ずしも完全に覆っていないコーティングと定義される。
【0026】
本願での用法において、「層1が層2の下に配置される」という場合、それは、層1よりも層2の方が基材から遠いことを意味する。
【0027】
本願での用法において、「非反射性多層スタック」は非反射コーティングの副層上に堆積された非反射コーティングの多層スタックを意味する。以下の記載において、「非反射性多層スタック」を単に「多層スタック」と呼ぶ。
【0028】
本発明に従って処理された光学製品は、有機ガラスまたは無機ガラスによって作成され、前面および裏面という複数の主面を有する基材、好ましくは透明な基材を含み、前記複数の主面の少なくとも1面が、下塗層が多層スタックで覆われた非反射コーティングを備え、好ましくは両主面が該コーティングを備えている。さらに好ましくは、多層スタックは直接副層と接触する。
【0029】
一般的に言って、本発明に従った、光学製品の非反射コーティングの副層および多層スタックは、どのような基材上に、および、好ましくは、例えば熱可塑性材料または熱硬化性材料などの有機ガラス基材上に堆積されてもよい。
【0030】
基材に好適に用い得る熱可塑性材料は、(メト)アクリル型(共)重合体、特にメチルポリ(メタクリラート)(PMMA)、チオ(メト)アクリル型(共)重合体、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリカルボナート(PC)、ポリウレタン(PU)、ポリ(チオウレタン)、ポリオールアリルカルボナート(共)重合体、エチレンおよびビニルアセタートの熱可塑性共重合体、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはポリブチレンテレフタラート(PBT)などのポリエステル、ポリエピスルフィド、ポリエポキシド、ポリカルボナートおよびポリエステルの共重合体、エチレンおよびノルボルネンまたはエチレンおよびシクロペンタジエンの共重合体などのシクロオレフィンの共重合体、およびその混合物を含む。
【0031】
本願での用法において、「(共)重合体」は共重合体または重合体を意味する。(メト)アクリラートは、アクリラートまたはメタクリラートである。
【0032】
本発明に基づく好ましい基材は、例えば、アルキル(メト)アクリラート、特にメチル(メト)アクリラートおよびエチル(メト)アクリラートなどのC〜Cアルキル(メト)アクリラート、ポリエトキシ化ビスフェノールジ(メト)アクリラートなどのポリエトキシ化芳香族(メト)アクリラート、脂肪族または芳香族、直鎖または分枝鎖ポリオールアリルカルボナートなどのアリル誘導体、チオ(メト)アクリラート、エピスルフィドならびにポリチオールおよびポリイソシアナートの前駆体混合物(ポリチオウレタンを得るためのもの)を重合することで得られる基材を含む。
【0033】
本願での用法において、「ポリカルボナート(PC)」は、ホモポリカルボナートとコポリカルボナートおよびブロックコポリカルボナートとの両方を意味する。ポリカルボナートは、例えばLEXAN(R)の商標名でゼネラル・エレクトリック株式会社から、PANLITE(R)の商標名で帝人株式会社から、BAYBLEND(R)の商標名でバイエルから、MAKROLON(R)の商標名でモベイケミカル株式会社から、CALIBRE(R)の商標名でダウケミカル株式会社から販売されている。
【0034】
ポリオールアリルカルボナート(共)重合体の好適な例として、エチレングリコールビス(アリルカルボナート)、ジエチレングリコールビス2−メチルカルボナート、ジエチレングリコースビス(アリルカルボナート)、エチレングリコールビス(2−クロロアリルカルボナート)、トリエチレングリコールビス(アリルカルボナート)、1,3−プロパンジオールビス(アリルカルボナート)、プロピレングリコールビス(2−エチルアリルカルボナート)、1,3−ブテンジオールビス(アリルカルボナート)、1,4−ブテンジオールビス(2−ブロモアリルカルボナート)、ジプロピレングリコールビス(アリルカルボナート)、トリメチレングリコールビス(2−エチルアリルカルボナート)、ペンタメチレングリコールビス(アリルカルボナート)、イソプロピレンビスフェノールAビス(アリルカルボナート)のそれぞれの(共)重合体が含まれる。
【0035】
特に推奨される基材は、ジエチレングリコールのビスアリルカルボナートを(共)重合することで得られる基材であり、例えば、CR−39(R)の商標名でPPGインダストリーズから販売されている(エシロール ORMA(R)レンズ)。
【0036】
特に推奨される基材には、チオ(メト)アクリル系モノマーを重合することで得られる仏国特許出願公開第2734827号に記載された基材などが含まれる。
【0037】
むろん、該基材は、上述のモノマーの混合物を重合させて得ることもでき、あるいは、そのような重合体および(共)重合体の混合物を含むこともある。
【0038】
一般的に言って、好ましい基材は、架橋性材料(熱硬化性材料)でできた基材、特にアリル系、(メト)アクリラート系、チオ(メト)アクリラート系またはポリ(チオ)ウレタン系の基材である。
【0039】
本発明の文脈において好ましい有機基材は、熱膨張係数の範囲が50.10−6―1〜180.10−6−1のもの、好ましくは100.10−6−1〜180.10−6−1のものである。
【0040】
本発明の一実施例によると、基材は前面と裏面とを含み、非反射コーティングがこれら二面の少なくとも一面上に堆積されてもよい。非反射コーティングは、好ましくは、基材の前面および裏面上に堆積される。
【0041】
本願の用法において、基材の「裏面」(通常は凹面)とは、製品を研磨している時に研磨者の目に最も近く配置される面を意味する。反対に、基材の「前面」(通常は凸面)とは、製品を研磨している時に研磨者の目から最も遠い面を意味する。
【0042】
例えば耐摩耗性層および/または耐擦傷性層で必要に応じて被覆された基材に副層を堆積する前に、該基材の表面は、真空下での、高エネルギー化学種、例えばイオンビーム(「イオンプレ洗浄」または「IPC」)、によるボンバードメント処理、コロナ放電、イオン破砕処理またはプラズマ処理のような、副層の接着性を増加させるための、一般的には真空で行われる処理に通常かけられる。これらの洗浄処理のおかげで基材表面の清浄度が最適化される。電離気体としてアルゴン、酸素、またはその混合物を用いた、典型的には50〜200Vの範囲の加速電圧および1A〜4Aの範囲の強度でのイオンボンバードメント処理が好ましい。
【0043】
本願での用法において、「高エネルギー化学種」は1〜150eV、好ましくは10〜150eV、より好ましくは40〜150eVの範囲のエネルギーを有すると定義された化学種である。高エネルギー化学種は、イオン、ラジカルなどの化学種、または、光子もしくは電子などの化学種であり得る。
【0044】
本発明での用法において、「イオンボンバードメント処理」は30eV以上、好ましくは40eV以上のエネルギーを有するイオンによるボンバードメント処理である。
【0045】
本発明に従って、副層は少なくとも1層の高屈折率層および少なくとも1層の低屈折率層を含む多層スタックと関連して用いられる。
【0046】
本発明の用法において、「副層」または結合(bonding)層は、本発明の多層スタックを堆積する前に(むき出しまたは被覆された)基材上に堆積されたコーティングを意味する。副層は、非反射コーティングの耐摩耗性を強化するために、十分に厚くなければならないが、視感透過率τvを大幅に減少させる光吸収が生じるほど厚くないのが好ましい。
【0047】
副層は、比較的厚いので、一般的に非反射光学活性に関与せず、基材または被覆された基材と同様の屈折率を有する場所では、特にそうである。
【0048】
副層は、好ましくはSiOを主成分とする層を含み、その厚みは、好ましくは75nm以上、より好ましくは80nm以上、さらに好ましくは100nm以上、最も好ましくは150nm以上である。該厚みは、典型的には250nm未満であり、より好ましくは200nm未満である。具体的な一実施例において、副層は上述のSiOを主成分とする層からなる。
【0049】
副層のSiOを主成分とする層は、SiO層であってもよく、多層スタックに直接接触することが好ましい。
【0050】
前記SiOを主成分とする層は、シリカに加えて、副層を生成するのに従来より使われている1種以上の材料、例えば上述の誘電材料から選択される1種以上の材料、を含んでもよい。そのようなSiOを主成分とする層は、好ましくはAlを含まず、より好ましくはSiO層からなる。
【0051】
本発明の副層は、好ましくは少なくとも70質量%のSiO、より好ましくは少なくとも80質量%、最も好ましくは少なくとも90質量%のSiOを含む。既に述べたとおり、本発明の最適な実施形態において副層はシリカを100質量%含む。
【0052】
単層の副層を使用することが好ましい。だが、副層は薄層を重ね合わせたものであってもよい(多層)。その場合、副層は、好ましくは厚みが75nm以上であり、好ましくはAlを含まず、好ましくは多層スタックと直接接触する、少なくとも1層のSiOを主成分とする層を含む。
【0053】
多層の副層は、Alを含まず、厚みが好ましくは75nm以上、より好ましくは80nm以上、さらに好ましくは100nm以上、最も好ましくは150nm以上である1層のSiO層、および、必要に応じて、被覆された基材とAlを含まないこのSiO層との間に挿入された3層以下、好ましくは2層以下の層を含むことが好ましい。
【0054】
特に、基材が高屈折率(すなわち、1.55以上、好ましくは1.57以上の屈折率)を有するとき、および、副層が基材上に直接被覆され、または、基材が、好ましくはエポキシシランを主成分とする、高屈折率(すなわち、1.55以上、好ましくは1.57以上の屈折率)を有する耐摩耗性および/または耐擦傷性コーティングで被覆され、副層がこの耐摩耗性および/または耐擦傷性コーティングに直接被覆されているとき、その副層は、好ましくは、前述のSiO層に加えて、高屈折率、および、80nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは30nm以下の薄い厚みを有する層を含む。
【0055】
このような高屈折率を有する層は、高屈折率基材または高屈折率耐摩耗性コーティングと直接接触する。
【0056】
あるいは、副層は、前述のSiO層および前述の高屈折率層に加えて、SiOを主成分とする、Alを含まない、または含む、低屈折率材料(つまり、1.54以下、好ましくは1.52以下、より好ましくは1.50以下)から作成され、上に高屈折率層が堆積される層を含む。
【0057】
その場合、副層は、必要に応じて1以上の機能性を有するコーティングで被覆された基材から始まって、厚さ25nmのSiO層、厚さ10nmのZrO層、厚さ160nmのSiO層の順番で堆積された各層を含むのが一般である。
【0058】
本願において、非反射コーティング(AR)の多層スタックに属する層が高屈折率層(HI)とされるのは、屈折率が1.6以上、好ましくは1.7以上、より好ましくは1.8以上、さらに好ましくは1.9以上の場合である。非反射コーティングの多層スタックに属する層が低屈折率層(LI)とされるのは、屈折率が1.54以下、好ましくは1.52以下、より好ましくは1.50以下の場合である。
【0059】
他の限定がないかぎり、本発明で参照される屈折率は、25℃で、550nmの波長について示された屈折率である。
【0060】
HI層は、当該技術分野において周知の一般的な高屈折率層である。典型的には、ジルコニア(ZrO)、酸化チタン(TiO)、五酸化タンタル(Ta)、酸化ネオジム(Nd)、酸化プラセオジム(Pr)、プラセオジムチタナート(PrTiO),La、Dy、Nb、Yなどの1種以上の酸化鉱物を限定せずに含む。高屈折率層は、シリカまたはアルミナの屈折率が、1.6以上、好ましくは1.7以上、より好ましくは1.8以上である場合に限り、必要に応じて、これらシリカまたはアルミナを含んでもよい。TiO、PrTiO、ZrOおよびその混合物が最も好ましい材料である。
【0061】
本発明の特定の実施形態においては、多層スタックのHI層のうち少なくとも1層はTiOを主成分とする層であり、その高屈折率は特に重要である。それはイオン支援堆積法(IAD)で堆積されるのが好ましく、それによって、該層の圧縮が増加し、結果的に屈折率が高くなる。
【0062】
本発明におけるもう一つの特定の実施形態においては、多層スタックのHI層の少なくとも1層はPrTiOを主成分とする層であり、その高耐熱性は特に重要である。
【0063】
LI層もまた周知であり、SiO、MgF、ZrF、AlF、白雪石(NaAl14])、氷晶石(Na[AlF])、およびその混合物、好ましくはSiOまたはアルミナでドープされたSiO、後者は非反射コーティングの熱抵抗を増加させる、を限定せずに含む。このような化合物を、必要に応じて、本明細書で前述された誘電材料から選択された1種以上の材料と混合することによって、生成された層の屈折率が上述の通り(≦1.54)となることは明らかである。
【0064】
多層スタックの低屈折率層の堆積は、真空チャンバー内で、前記堆積中に真空チャンバーに気体を供給せず、特に酸素を加えずに行うのが好ましく、言い換えれば、気圧を制御せずに行うのが好ましい。
【0065】
こうしてLI層が得られ、その密度は、気体が供給される中で堆積された副層のSiOを主成分とする層より高い。詳細は以下に記載する。
【0066】
この気体の供給は、後に説明することになる、層がイオンのような活性化学種によるビームによるボンバードメント処理を受ける、IAD処理とは異なる。
【0067】
SiOおよびAlの組み合わせを含むLI層を使用する場合、LI層は、該層におけるSiO+Alの総質量に対して、好ましくは1〜10%、より好ましくは1〜8%、さらに好ましくは1〜5質量%のAlを含む。余分なアルミナは、ARコーティングの接着性に有害となる可能性がある。
【0068】
例えば、4質量%以下のAlでドープされたSiO、または8%のAlでドープされたSiOを使用することができる。市販されたSiO/Al混合物、例えばユミコアマテリアルズ株式会社の販売するLIMA(R)(550nmで屈折率n=1.48〜1.50)またはメルク株式会社の販売するサブスタンスL5(R)(500nmで屈折率n=1.48)を使用してもよい。
【0069】
好ましい実施形態において、多層スタックのLI層のうち少なくとも1層はSiOおよびAlの混合物を含み、好ましくはSiOおよびAlの混合物からなる。別の好ましい実施形態において、多層スタックに含まれる全LI層がSiOおよびAlの混合物を含み、好ましくはSiOおよびAlの混合物からなる。後者の場合、副層がAlを含まずSiOを主成分とする層を少なくとも1層含むことが特に好ましく、該層の厚みは75nm以上であることが好ましい。
【0070】
理論に縛られるつもりはないが、出願人は、多層スタックの幾つかのまたは全てのLI層がSiOおよびAlの混合物を含む時、副層内で純粋シリカをアルミナでドープしたシリカに置き換えると、非反射コーティングの圧縮応力が全体的に増加し、一般的に、接着の問題および耐摩耗性の喪失につながると考える。
【0071】
典型的には、HI層の物理的な厚みは10〜120nmで変化し、LI層の物理的な厚みは10〜100nmで変化する。
【0072】
好ましくは、非反射コーティングの総物理的厚みは1ミクロメートル未満、より好ましくは500nm未満、さらに好ましくは250nm未満である。非反射コーティングの総物理的厚みは典型的には100nmを超え、好ましくは150nmを超える。本願において言及される厚みの値は、他の説明がないかぎり、物理的な厚みの値である。
【0073】
より好ましくは、多層スタックは少なくとも2層の低屈折率層(LI)および少なくとも2層の高屈折率層(HI)を含む。多層スタックの総層数は8以下であることが好ましく、6以下だとより好ましい。
【0074】
HI層とLI層とは必ずしもスタック内で互い違いになるわけではないが、本発明の一実施形態においては互い違いになる。2層(またはそれ以上)のHI層を互いの上に堆積してもよく、2層(またはそれ以上)のLI層を互いの上に堆積してもよい。したがって、例えばZrOのHI層とTiOのHI層とを互いに積み重ねることは、これら隣接する2層のHI層の代わりにTiO層を1層用いるよりも、耐摩耗性の観点からも、また光学的な観点からも重要である。
【0075】
好ましくは、副層は、多層スタックの高屈折率層(HI)に隣接している。
【0076】
別の好ましい特徴において、多層スタックの外側層、つまり、基材から最も遠いコーティングは、二酸化ケイ素および酸化アルミニウムの混合物を含む層である。
【0077】
多層スタックを形成する、「光学層」と呼ばれる多様な層と副層とは、以下の方法のいずれかに従って真空蒸着によって堆積されるのが好ましい。以下の方法とは、i)蒸発、必要に応じてイオンビームアシストを伴う、ii)イオンビームスパッタリング、iii)陰極スパッタリング、iv)プラズマアシスト化学蒸着である。これらの異なる方法は「Thin Film Processes」および「Thin Film Processes II」、Vossen&Kern、Ed.、Academic Press、1978および1991のそれぞれに記載されている。前記真空での蒸発は、特に推奨される方法である。
【0078】
全ての非反射コーティング層は、真空での蒸発により堆積されるのが好ましい。このような方法の利点は基材の加熱を回避できる点であり、これは有機ガラスおいては特に重要である。
【0079】
前述の高エネルギー化学種、特にイオンを用いて処理工程を実施しながら、それに付随して、好ましくは副層のSiOを主成分とする層を除く、非反射コーティングの異なる層を1層以上堆積することは、可能である。多層スタックおよび副層の1層以上の堆積は特にイオン支援(「IAD法」=イオン支援堆積法)の下で実施できるが、副層のSiOを主成分とする層は、好ましくはイオン支援を伴わずに堆積されるSiO層である。イオン支援法は、前記層を形成する際に前記層を重イオンで圧縮してその密度を高めることからなる。高密度化に加えて、この処理は堆積された層の接着性を向上させるとともに、それらの屈折率を上げる。
【0080】
本発明に従った方法の重要な特徴によって、副層の露出した表面に多層スタックを堆積する前に、外表面にイオンボンバードメント処理を行った。多層の副層の場合、上述の処理にかけられる表面は、当然ながら、最終光学製品で本発明の多層スタックと接触する表面である。
【0081】
この処理は、一般的には、例えばイオン銃で生成されたアルゴンイオンビームを用いて、真空下で行われる。本発明の発明者は、該処理によって、一方では、非反射コーティングの耐摩耗性を改善しながら、他方では、その接着性、特に多層スタックの副層に対する接着性を増加させることができるという驚くべき事実を観察した。
【0082】
これらの耐摩耗性は、実験の部に記載するバイエルテストを用いて評価することができる。基材に対する非反射コーティング層の接着性は、同じく実験の部に記載した、一般的に「n×10ブロー」と呼ばれるテストを用いて評価することができる。最終光学製品を熱水に入れて浸漬処理し、続いて表面機械変形することからなるテストは、非反射コーティングの他の部分に対する多層スタックの外側層の接着性を評価するために使用し得る。多層スタック(つまり、非反射コーティング)の外側層は、接着性の問題を経験する可能性が最も高い光学製品層である。
【0083】
しかし、副層の存在は、時として、非反射コーティングの幾つかの層に、その耐摩耗性の改善とは裏腹に、接着性の喪失をもたらす可能性があることが観察された。
【0084】
驚くべきことに、本発明の発明者は、真空チャンバー内における副層の堆積工程中に気体を供給することで、この接着性の問題が解けることを発見した。具体的には、副層の堆積中に、例えばアルゴン、クリプトン、キセノン、ネオンといった希ガスなどのガス、酸素、窒素などのガス、またはこれらのうちの2種類以上のガスの混合物が、1種類または複数種類、真空チャンバーに挿入される。好ましくは、この工程で用いられる気体は、活性気体ではなく、より好ましくは電離気体ではない。
【0085】
この気体の供給は気圧の制御を可能にするもので、イオン支援などのイオンボンバードメント処理とは異なる。
【0086】
副層の堆積において、イオン支援など、いかなるイオンボンバードメント処理も適用されない。副層の堆積において、プラズマを30eV以上のエネルギーを有する化学種のものとした、いかなるプラズマによる処理も適用されないのが好ましい。副層の堆積において、いかなるプラズマ処理も適用されないのが、より好ましい。副層の堆積において、30eV以下のエネルギーを有するイオンによるいかなる処理も適用されないのが、さらに好ましい。
【0087】
典型的には、1種類以上の気体供給中の気圧は5.10−5〜2.10−4mbar、好ましくは8.10−5〜2.10−4mbar、より好ましくは8.10−5〜1,5.10−4mbarで変化する。
【0088】
堆積方法(副層を堆積中の気体の供給)を変更することにより、接着性、特に副層と多層スタックとの境界面の接着性および外側層と多層スタックとの接着性を改善することが可能となる。
【0089】
特定の理論に縛られずに、本発明の発明者は、気体の供給なく副層を堆積することはより高密度な層をもたらし、その結果、非反射コーティングの応力(圧縮)が過剰となり、接着性の減損につながる可能性があると考える。気体の圧力制御下で、すなわち、付随的に堆積チャンバーに気体を供給しながら、副層を堆積することは、圧縮応力の増加を制限し、非反射コーティングの構造的な弱体化の回避を可能にする。このような手順は、結果的に、より多孔性で応力の生成が抑制された副層をもたらすと予想される。
【0090】
基材および/または副層のIADおよびイオン処理による表面処理作業は、イオン銃(例えばCommonwealth Mark II型)で行い得る。ここで、イオンとは、1以上の電子が抜き出された気体原子からなる粒子である。これらの作業は、好ましくは、活性化された表面に対して10〜100μA/cmの範囲の電流密度のアルゴンイオン(Ar)で処理対象表面をボンバードメント処理することからなり、真空チャンバー内の残圧を典型的には8.10−5mbar〜5.10−4mbar、好ましくは8.10−5〜2.10−4mbarとして行われる。
【0091】
光学製品は、特に乾燥条件下で、布、合成発泡体またはポリエステルの一片で表面をこすられて清潔になると、静電気を帯電することは周知である。該光学製品は、続いて、ほこりなどの周辺の細かい粒子を引き寄せて固定することができ、この状態は該製品が帯電している間中、続く。製品はその表面に導電層が存在することにより帯電防止特性を得られるという事実は、当該技術水準において周知である。この方法は国際公開第01/55752号および欧州特許第0834092号で適用された。
【0092】
製品は、かなりの程度の静電荷を維持および/または発生させない能力を保持する場合に「帯電防止」であるとされる。製品は典型的には、好適な布でいずれかの表面をこすられた後にほこりと小さな粒子を引き寄せて固定しなければ、受け入れ可能な帯電防止特性を有すると考えられる。
【0093】
製品の帯電防止特性を定量化する方法は多様に存在する。
【0094】
そのような方法の一つでは、製品の静電気電位を加味している。製品の静電気電位(製品がまだ帯電していないときに測定されたもの)が0KV+/−0.1KV(絶対値)であるとき、製品は帯電防止特性を有するとされ、反対に静電気電位が0KV+/−0.1KV(絶対値)と異なるとき、製品は静電気を有するとされる。
【0095】
他の方法においては、ガラスを布でこするか、静電荷(コロナを印加した電荷)を生成する他の適切な方法によって、静電荷を放電する能力は、該電荷の散逸時間を測定することで定量化し得る。したがって、帯電防止ガラスは、約100ミリ秒の放電時間を有し、静電ガラスの放電時間はだいたい何十秒かである。
【0096】
本発明の製品は、多層スタックに少なくとも1層の導電層を組み入れることで帯電防止にすることができる。導電層は、その非反射性が減損しない限り、非反射コーティングのあらゆる位置に配置してよい。たとえば、本発明の副層上に堆積し、多層スタックの第1層を形成することができる。該導電層は、多層スタックの低屈折率層の下に配置されると好い。
【0097】
導電層は非反射コーティングの透過性を減損させないほど薄くなくてはならない。典型的には、その厚みは0.1〜150nm、その性質次第で、より好ましくは0.1〜50nmの間で変化する。0.1nm未満の厚みの場合、十分な導電性を得られないのが一般的であり、反対に、150nmを超える厚みだと、必要な透過性および低吸光特性を得られないのが一般的である。
【0098】
導電層は好ましくは導電性かつ高透過性の材料で作成されている。その場合、その厚みは、好ましくは0.1〜30nm、より好ましくは1〜20nm、さらに好ましくは1〜10nmの間で変化する。導電層は、好ましくは、酸化インジウム、酸化スズ、および酸化亜鉛およびその混合物から選択される金属酸化物を含む。酸化インジウムスズ(In:Sn、すなわち、スズでドープされた酸化インジウム)および酸化スズ(In)が好ましい。最適な実施形態に従って、導電性かつ光透過性の層は酸化インジウムスズ層であり、ITO層と呼ばれる。
【0099】
典型的には、導電層は、非反射コーティングが非反射特性を得て高屈折率層を形成するのに貢献する。そうなるのは、ITO層など、導電性かつ高透過性の材料で層が作成される場合である。
【0100】
導電層は、典型的には1nm未満の厚み、より好ましくは0.5nm未満の厚みの、極めて薄い貴金属から作成される層であってもよい。
【0101】
特に有利な点として、非反射コーティング多層スタックが、誘電層を少なくとも4層、好ましくは4または5層、および、必要に応じて、製品に帯電防止特性を付与する導電層1層を含む点が挙げられる。
【0102】
好ましい実施形態において、好ましくは75nm以上の厚みのSiO副層、典型的には10〜40nm、好ましくは15〜35nmの範囲の厚みのZrO層、典型的には10〜40nm、好ましくは15〜35nmの範囲のSiO層またはSiO/Al層、好ましくはSiO/Al層、典型的には40〜150nm、好ましくは50〜120nmの範囲の厚みのTiO層、典型的には8〜30nm、好ましくは10〜25nmの範囲の厚みのZrO層、必要に応じて、典型的には0.1〜30nm、好ましくは1〜20nmの範囲の厚みのITO層であることが好ましい導電層、および典型的には40〜150nm、好ましくは50〜100nmの範囲のSiO層またはSiO/Al層、好ましくはSiO/Al層が、基材表面から開始して順番に堆積される。
【0103】
本発明の多層スタックは、導電層を含むことが好ましく、本発明の製品が、TiO/ZrO/導電層のスタックで、最初に挙げた層が基材に最も近いスタックを含むとより好ましい。
【0104】
特に好ましい実施形態において、120nm以上の厚みのSiO副層、20〜30nmの範囲の厚みのZrO層、20〜40nmの範囲の厚みのSiO/Al層、75〜110nmの範囲の厚みのTiO層、8〜20nmの範囲の厚みのZrO層、2〜20nmの範囲の厚みのITO層、および60〜90nmの範囲の厚みのSiO/Al層が、基材表面から開始して順番に堆積される。
【0105】
導電層、つまり典型的には非反射性スタックの高屈折率層は、任意の好適な方法、例えば真空蒸着、蒸発、好ましくはイオンビーム支援堆積(IAD)、または陰極スパッタリングもしくはイオンビーム法によって堆積される。
【0106】
連続するTiO/ZrO/導電層(好ましくはITO)の3層は、存在していれば、全てイオン支援(IAD)の下で堆積される。
【0107】
副層および多層スタックは、むき出しの基材に直接堆積することができる。一部の適用形態では、基材の主面が、耐衝撃性プライマー層で、耐摩耗性および/または耐擦傷性層で、または最初に耐衝撃性プライマー層、次に耐摩耗性および/または耐擦傷性層の順番で被覆されることが好ましい。光学分野において従来より用いられている他のコーティング、例えば偏光コーティング、光互換性コーティングまたは着色コーティングを採用してもよい。
【0108】
副層および多層スタックは、耐摩耗性および/または耐擦傷性コーティング上に堆積されることが好ましい。耐摩耗性および/または耐擦傷性コーティングは眼用レンズの技術分野で耐摩耗性および/または耐擦傷性コーティングとして従来より用いられるどの層でもよい。
【0109】
耐摩耗性および/または耐擦傷性コーティングは、ポリ(メト)アクリラートまたはシランを主成分とするハードコートであることが好ましい。
【0110】
硬質な耐摩耗性および/または耐擦傷性コーティングは、例えば塩酸溶液との加水分解により得られる少なくとも1種のアルコキシシランおよび/または1種のアルコキシシラン加水分解物を含む組成物から製造されることが好ましい。継続時間が典型的には2〜24時間、好ましくは2〜6時間の範囲である加水分解工程の後、必要に応じて、触媒を添加してもよい。堆積の光学的な性質を最適化するために、界面活性剤化合物を添加することも好ましい。
【0111】
本発明に従って推奨するコーティングは、仏国特許第2702486号(欧州特許第0614957号)、米国特許第4211823号および米国特許第5015523号に記載されたエポキシシラン加水分解物を主成分とするコーティングを含む。
【0112】
好ましい耐摩耗性および/または耐擦傷性コーティング組成物は、本願出願人の名義による仏国特許第2702486号で開示された組成物である。該組成物は、エポキシトリアルコキシシランおよびジアルキルジアルコキシシランの加水分解物、コロイダルシリカ、ならびに触媒作用量のアルミニウムアセチルアセトナートなどのアルミニウムを主成分とする硬化触媒を含み、その残りの大部分は、従来より、そのような組成物を製剤するために用いられている溶媒である。用いられた加水分解物は、好ましくは、γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)加水分解物およびジメチルジエトキシシラン(DMDES)加水分解物である。
【0113】
耐摩耗性および/または耐擦傷性コーティング組成物は、浸漬またはスピンコーティングにより基材の主面に堆積される。該組成物は、続いて、適切な方法(好ましくは熱または紫外線による方法)に従って硬化される。
【0114】
耐摩耗性および/または耐擦傷性コーティングは、典型的には2〜10μm、好ましくは3〜5μmの間で変化する。
【0115】
耐摩耗性および/または耐擦傷性コーティングを堆積する前に、プライマーコーティングを基材に堆積して、最終製品における後続の層の耐衝撃性および/接着性を改善することができる。
【0116】
このコーティングは、透過性ポリマー材料で作成される眼用レンズなどの製品で従来より使用されている耐衝撃性プライマー層のどれでもよい。
【0117】
好ましいプライマー組成物は、特開昭63−141001号および特開昭63−87223号に記載されたものなどの熱可塑性ポリウレタンを主成分とする組成物、米国特許第5015523号に記載されたものなどのポリ(メト)アクリル種のプライマー組成物、欧州特許第0404111号に記載されたものなどの熱硬化性ポリウレタンを主成分とする組成物、ならびに米国特許第5316791号および欧州特許第0680492号に記載されたものなどのポリ(メト)アクリル系ラテックスまたはポリウレタン系ラテックスを主成分とする組成物を含む。
【0118】
好ましいプライマー組成物は、ポリウレタンを主成分とする組成物およびラテックスを主成分とする組成物であり、特にポリウレタン系ラテックスである。
【0119】
ポリ(メト)アクリル系ラテックスは、例えば、エチル(メト)アクリラート、ブチル(メト)アクリラート、メトキシエチル(メト)アクリラートまたはエトキシエチル(メト)アクリラートなどの(メト)アクリラートを主成分とし、典型的に少量の、例えばスチレンなどのコモノマーを少なくとももう一種類含む共重合体ラテックスである。
【0120】
好ましいポリ(メト)アクリル系ラテックスは、アクリラート−スチレン共重合体を主成分とするラテックスである。そのようなアクリラート−スチレン共重合体のラテックスは、NEOCRYL(R)の商標名でゼネカレシン(Zeneca Resins)から市販されている。
【0121】
ポリウレタン系ラテックスもまた公知であり、市販されている。例えば、ポリエステル単位を持つポリウレタン系ラテックスは適切である。そのようなラテックスは、NEOREZ(R)の商標名でゼネカレシンから、およびWITCOBOND(R)の商標名でバクセンデンケミカル(Baxenden Chemicals)から販売されている。
【0122】
これらのラテックスの混合物をプライマー組成物、特にポリウレタン系ラテックスおよびポリ(メト)アクリル系ラテックスで使用することもできる。
【0123】
これらのプライマー組成物を、浸漬またはスピンコーティングによって製品の各面に堆積し、次に、少なくとも70℃かつ100℃以下、好ましくは約90℃の温度で、2分〜2時間の範囲、典型的には約15分間の時間、乾燥させて、硬化後の厚みが0.2〜2.5μm、好ましくは0.5〜1.5μmの範囲のプライマー層を形成することができる。
【0124】
むろん、本発明に従った光学製品は、非反射コーティング上に形成され、該製品の表面特性を変更し得る、疎水性コーティングおよび/または疎油性コーティング(防汚性トップコート)をも含み得る。これらのコーティングは、好ましくは、非反射コーティングの外側層上に堆積される。その厚みは一般的に10nm以下で、好ましくは1〜10nm、より好ましくは1〜5nmの範囲である。
【0125】
これらのコーティングは、一般的に、フルオロシラン種またはフルオロシラザン種のコーティングである。これらを得るには、一般的に、一分子につき少なくとも2つの加水分解可能基を含むフルオロシラン前駆物質またはフルオロシラザン前駆物質を堆積する。フルオロシラン前駆物質は、好ましくはフルオロポリエーテル部分、より好ましくはペルフルオロポリエーテル部分を有する。これらのフルオロシランは周知であり、特に、米国特許第5081192号、米国特許第5763061号、米国特許第6183872号、米国特許第5739639号、米国特許第5922787号、米国特許第6337235号、米国特許第6277485号および欧州特許第0933377号に記載されている。
【0126】
典型的には、本発明に従って得られた光学製品は、耐衝撃性プライマー層1層、耐摩耗性および/または耐擦傷性層1層、本発明の副層1層、本発明の多層スタック1つおよび疎水性および/または疎油性コーティング1つで順番に被覆された基材を含む。本発明の製品は好ましくは光学レンズ、より好ましくは眼鏡用の眼用レンズ、または光学もしくは眼用レンズブランクである。レンズは偏光レンズまたは光互換性レンズまたは着色レンズであり得る。
【0127】
着色は、可視領域で吸光する着色層を堆積することを通した含浸によって、レンズの塊に顔料を組み入れることで得られる。
【0128】
特に、本発明の方法に従って得られた1つ以上の非反射コーティング層、例えば本願出願人の名義による国際公開第2005/059603号に記載されたものなどの半化学量論的酸化チタンTiO(x<2)を主成分とする層、は吸光性であり得る。
【0129】
好ましくは、本発明の方法に従って得られた光学製品は、可視領域で吸光しないか、僅かに吸収するのみであり、それは、本願の文脈において、可視視感透過率とも呼ばれる可視光透過率τvは、90%より高く、より好ましくは95%より高く、さらに好ましくは96%より高く、最も好ましくは97%より高いことを意味する。
【0130】
透過率τvは、国際規格による定義(ISO規格 13666:1998)を持ち、ISO規格 8980−3に従って測定される。該透過率τvは、波長380〜780nmの範囲内で定義される。
【0131】
好ましくは、本発明の被覆された製品の吸光率は1%以下である。
【0132】
より好ましくは、Rと表記される、本発明の非反射コーティングで被覆された製品の可視領域(400〜700nm)における平均反射率は、製品の一面につき2.5%未満であり、より好ましくは製品の一面につき2%未満であり、さらに好ましくは製品の一面につき1%未満である。最適な実施形態において、二つの主面が本発明に従った非反射コーティングで被覆され、Rの総計(二つの面による累計反射値)が1%より低く、好ましくは0.7〜0.8%である基材を含む。このようなR値を取得するための方法は当業者に周知である。
【0133】
本願において、「平均反射率」は、ISO規格13666:1998で定義され、ISO規格8980−4に従って測定されたものであり、言い換えれば、400〜700nmの間の可視光スペクトル全域のスペクトル反射平均である。
【発明を実施するための形態】
【0134】
以下の実施例は本発明をより詳細に説明するが、限定するものではない。
【実施例】
【0135】
〈1.一般的な手順〉
実施例で採用される光学製品は、−2.00ジオプターの倍率および1.2mmの厚みを有する直径65mmのORMA(R) ESSILORレンズ基材で、その両面は、GLYMOおよびDMDES、コロイダルシリカおよびアルミニウムアセチルアセトナートの加水分解物を主成分とする、欧州特許第0614957号の実施例3に開示された耐衝撃性および/または耐擦傷性コーティング(ハードコート)(屈折率1.50)、非反射コーティング、最後に防汚性コーティングで被覆されている。
【0136】
耐摩耗性コーティングは、質量で、224部のGLYMO、80.5部のHCl 0.1N、120部のDMDES、メタノール中の30質量%コロイダルシリカ 718部、15部のアルミニウムアセチルアセトナートおよび44部のエチルセロソルブを含む組成物を堆積および硬化することによって得られた。組成物は、また、組成物の総質量に対して0.1質量%の界面活性剤FLUORADTM FC−430(R)(3M)も含む。この耐摩耗性コーティングは基材上に直接堆積された。
【0137】
副層および非反射コーティングの多層スタックは、レンズの両面(凸面および凹面)に、真空下での蒸発によって基材を加熱せずに堆積された。蒸発は、記載された箇所では必要に応じてイオンビームアシストで行われた(蒸発源:電子銃)。
【0138】
一部の実施形態で用いられたSiO/Al混合物はメルク株式会社の販売するサブスタンスL5(R)である。蒸発に用いられたシリカ(SiO)はオプトロンにより供給される粒径1〜2mmの粒状体である。
【0139】
防汚性コーティングは、ダイキン工業株式会社から販売されたOptool DSX(R)化合物の真空下での蒸発によって得られた(厚み:2〜5nm)。
【0140】
堆積フレームは、酸化物を蒸発させるための電子銃ESV14(8kV)と、トップコートを堆積するためのジュール効果ポットと、イオン支援(IAD)の下で層を堆積するためだけではなく、アルゴンイオンで基材表面および副層を処理する(IPC)ための、前段階用のイオン銃(Commonwealth Mark II)とを備えたLeybold 1104装置だった(実施例6を除く)。実施例6では、堆積フレームはWeeco MarkIIイオン銃を備えたSATIS1200DLF装置だった。
【0141】
層の厚みは水晶微量天秤で制御される。
【0142】
ガラスを通じての光透過測定は、ガラスを処理した1時間後に、ツァイス(Zeiss)から販売された分光高度計を使用して行われた。その1週間後に2回目の測定を行ってτvの値が安定していることを確認した。
【0143】
〈2.手順〉
(実施例1〜6)
光学製品を製造する方法は、耐摩耗性コーティングを備えた基材を真空堆積チャンバーに導入すること、高度の真空が生成されるまで排気工程を行い、続いて、気圧2.10−4mBarの下でアルゴンイオンビーム(IPC)によるボンバードメント処理を用いて基材表面活性化工程を行うこと(イオン銃は3,0A−150Vに設定)、イオン照射を止めること、必要な数の非反射コーティング層を順番に蒸発させること、しみ防止コーティング(トップコート)を0.1〜0.2nm/秒の範囲の速度で堆積すること、および最後に換気することからなる。
【0144】
非反射コーティングの形成は、1nm/秒の速度(例外は実施例6:1.2nm/秒)で、(指示された箇所では)必要に応じて1.10−4mBar(例外は実施例6:1.3.10−4mBar)の気圧のO雰囲気下で、SiO副層を堆積する工程と、1.7.10−4mBarの気圧で30秒間アルゴンイオンビームを用いた副層の表面活性工程(すでに基材に直接行われたIPCと同じ処理)と、イオン照射を止めることと、第1のHI層(ZrO)を0.3nm/秒の速度で、(実施例6のみ)必要に応じて6.10−5mBarの気圧のO下で、堆積することと、第1のLI層(SiOまたはSiO/Al)を0.7nm/秒の速度で堆積することと、第2のHI層(ZrOまたはTiO)を1.10−4mBar(例外は実施例6:6.10−5mBarの気圧のO)の気圧で0.3〜0.5nm/秒の範囲の速度で、3,5A−140Vに対応した酸素イオン支援を伴って(例外は実施例6:イオン支援を伴わない)堆積することと、第3のHI層(ZrO)を0.3nm/秒の速度で堆積することと(実施例5のみ)、0.3〜0.5nm/秒の範囲の速度で3,5A−140V(例外は実施例6:2.0A−120V)に対応した酸素イオン支援を伴ってITO層を堆積することと、最後に第2のLI層(SiOまたはSiO/Al)を1nm/秒の速度で堆積することとを含む。
【0145】
LI層を堆積する工程中に、チャンバーに気体を供給することによる気圧の制御はなく、特に酸素がなかった。
【0146】
(比較例C1〜C5)
比較例でも同様の手順を用いた。比較例1および2(実施例C1およびC2)の製品は副層を含まなかった。比較例3〜5(実施例C3〜C5)の製品の副層は酸素雰囲気下で堆積されたが、多層スタックを堆積する前にいかなるイオンプレ洗浄工程も経なかった。
【0147】
〈3.特徴〉
《a.耐摩耗性の特徴》
耐摩耗性の評価は、副層(例えば、実施例C1およびC2を除く)および多層スタックを備えた基材上のバイエル値を決定することによって行った。
【0148】
バイエル砂テスト
そのようなバイエル値の決定は、ASTM規格F735.81に従って行われた。バイエルテスト値が高くなればなるほど、耐摩耗性が強くなる。
【0149】
このテストは、規定粒子サイズの研磨性粉末(砂)を含有するタンク内で、100回転/分の回数で2分間、動作を切り替えながらガラスサンプルおよびガラス試料を同時に攪拌することからなる。ガラスサンプルの「事前/事後」のH拡散測定をガラス試料(ここではバイエル値を1に固定したCR−39(R)を主成分とするむき出しのガラス)のものと比較した。バイエル砂値はR=Hガラス試料/Hガラスサンプルに対応する。
【0150】
ISTMバイエルテスト(バイエルアルミナ)
このようなバイエル値の決定を、以下の変更を加えたASTM規格F735−81に従って行った。
【0151】
回転数を300として、砂の代わりにセラミックグレーン(Ceramic Grains)(元ノルトンマテリアル(Norton Materials),New Bond Street,PO Box 15137 Worcester,Mass.01615−00137)によって提供される約500gのアルミナ(酸化アルミニウム Al)ZF 152412を用いて研磨を行った。拡散を測定するのに、パシフィックサイエンテフィック製のHazeguard System Model XL−211を用いた。
【0152】
ASTMバイエル値(バイエル砂)は、Rが3.4以上で4.5未満であれば適切だとされる。ISTMバイエル値は、Rが3以上で4.5未満であれば適切だとされる。バイエル砂値またはISTM値は、4.5以上だと優良だとされる。
【0153】
〈b.基材上の非反射性スタックの接着性の特徴(n×10ブローテスト)〉
「n×10ブロー」テストとして知られる定性テストによって、基材上に堆積された膜の接着性、特に眼用レンズの基材に対する非反射コーティングの接着性を評価することができる。それは、国際公開第99/49097号に記載された手順に従って変形度50でレンズの凸面に対して行われる。
【0154】
応力(または回転)は消しゴムを前後に10回動かすことからなる。オペレータは観察したレンズの条件を3応力ごとに12応力まで、続いて、20応力、30応力、40応力および50応力ごとに視覚的に確認した。評価は、欠陥が現れるまでにレンズが耐え得る応力の回数に依存する。したがって、n×10ブローテストで得られる値が高くなればなるほど、基材に対する非反射コーティングの接着性が強くなる。
【0155】
〈4.結果〉
実施例1〜5および比較例1〜5で得られた光学製品の組成は、後続ページの表1において詳述されている。この表はまた接着性、透過性および耐摩耗性の測定結果をも含む。
【0156】
比較例1および2のレンズは副層を1層も有さなかった。それらのレンズの耐摩耗性は低かった。
【0157】
比較例C3は、多層スタックを堆積する前にいかなるイオンボンバードメント処理も受けなかった副層を有する製品に関する。
【0158】
副層を有した比較例4および5の製品に関して、「n×10ブロー」テストで得られた接着性値は限られていた。
【0159】
実施例C3と2、C4と4またはC5と5において、取得されたバイエル値を比較すると、耐摩耗性の観点から、多層スタック堆積前に副層の表面へイオンボンバードメント処理を行うことの好ましい効果が明らかになる。
【0160】
このような処理は本発明の副層と多層スタックとの間の凝着を典型的に増加させる。
【0161】
気圧制御下で副層の表面へのイオンボンバードメント処理によってシリカ副層を堆積された実施例2、4、5および6のレンズは、「n×10ブロー」テストで得られるISTMバイエル値および接着性値が優れていた。
【0162】
実施例1および6または2および3で得られた結果を比較することで、真空チャンバー内で行われ、堆積中に気体が供給された副層の堆積は、非反射性スタックの機械的特性(接着性および/または耐摩耗性)を改善することを確認することができる。
【0163】
さらに、実施例4と5の間の比較によって、単一のTiO層よりも2つ並置されたTiO/ZrOのHI層を用いることが耐摩耗性を改善することが明らかになった。
【0164】
【表1】

【0165】
副層はグレーで示した。
(a)次の層を堆積する前のイオンボンバードメント処理
(b)堆積中の酸素の供給
【0166】
【表2】

【0167】
副層はグレーで示した。
(a)次の層を堆積する前のイオンボンバードメント処理
(b)堆積中の酸素の供給

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非反射性または反射性を有する光学製品の製造方法であって、
‐少なくとも一つの主面を有する基材を含む光学製品を提供する工程と、
‐該基材の一つの主面上に、露出した表面を有する1層の副層を堆積する工程と、
‐該副層の該露出した表面上に、少なくとも1層の高屈折率層および少なくとも1層の低屈折率層を含む非反射性または反射性の多層スタックを堆積する工程と、
‐該副層および該多層スタックを含む、非反射コーティングまたは反射コーティングで被覆された1つの主面を有する基材を含む光学製品を回収する工程と、
を少なくとも含み、
該多層スタックを堆積する前に、該副層の露出した表面がイオンボンバードメント処理をされていて、該副層の堆積が、該堆積中に気体が供給される真空チャンバーで行われる製造方法。
【請求項2】
前記光学製品が非反射性を有する製品である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記気体が、アルゴン、クリプトン、キセノン、ネオン、酸素、窒素およびそれらの混合物から選択される、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記基材の表面が、前記副層を堆積する前に、真空下で行われる高エネルギー化学種のボンバードメント処理、コロナ放電処理、イオン破砕またはプラズマ処理から選択される、副層の接着性を増加させるための処理を施される、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記副層の接着性を増加させるための処理がイオンボンバードメント処理である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記副層が、厚みが好ましくは75nm以上、より好ましくは80nm以上、さらに好ましくは100nm以上、いっそう好ましくは150nm以上である、SiOを主成分とする層を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記副層が前記SiOを主成分とする層からなる、好ましくはSiO層からなる、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記SiOを主成分とする層がAlを含まない、請求項6または7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記副層が、厚みが75nm以上でAlを含まないSiO層と、基材とこのAlを含まないSiO層との間に挿入された3層以下の層と、を含む請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
前記副層のSiOを主成分とする層またはSiO層が多層スタックと直接接触する、請求項6〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記副層のSiOを主成分とする層またはSiO層の堆積が、高エネルギー化学種による処理を付随せずに、好ましくはいかなるイオン支援も伴わずに、行われる請求項6〜10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
高エネルギー化学種による処理工程が、非反射コーティングまたは反射コーティングの多様な層を1層以上堆積するのに付随して行われる請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
多層スタックの低屈折率層の堆積が、真空チャンバー内で、該堆積中真空チャンバー内に気体を供給しないで行われる、請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記多層スタックのすべての低屈折率層がSiOおよびAlの混合物を含む、好ましくはSiOおよびAlの混合物からなる、請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
前記SiOおよびAlの混合物を含む層が、これらの層中のSiO+Alの総質量に対して、1〜10質量%の、好ましくは1〜5質量%の、Alを含む、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
すべての非反射性または反射コーティング層が真空蒸着によって堆積される、請求項1〜15のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
前記多層スタックの高屈折率層が、TiO、PrTiO、ZrOおよびその混合物から選択される少なくとも一の材料を含む、請求項1〜16のいずれかに記載の製造方法。
【請求項18】
前記多層スタックが少なくとも一層の導電層を含む、請求項1〜17のいずれかに記載の製造方法。
【請求項19】
前記導電層が、酸化インジウム、酸化スズまたは酸化亜鉛およびその混合物から選択される金属酸化物、好ましくは酸化インジウムスズ、を含む、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記基材が有機または無機ガラスである、請求項1〜19のいずれかに記載の製造方法。
【請求項21】
前記基材が架橋性材料でできた基材である、請求項1〜20のいずれかに記載の製造方法。
【請求項22】
前記基材が、アリル系、(メト)アクリラート系、チオ(メト)アクリラート系またはポリ(チオ)ウレタン系の基材である、請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
前記基材の主面が、耐衝撃性プライマー層、耐摩耗性および/もしくは耐擦傷性層で、または、耐摩耗性および/もしくは耐擦傷性層で被覆された耐衝撃性プライマー層で、被覆される、請求項1〜22のいずれかに記載の製造方法。
【請求項24】
前記光学製品が光学レンズ、好ましくは眼鏡用レンズである、請求項1〜23のいずれかに記載の製造方法。
【請求項25】
前記多層スタックが副層に直接接触する、請求項1〜24のいずれかに記載の製造方法。

【公表番号】特表2010−519586(P2010−519586A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550725(P2009−550725)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052212
【国際公開番号】WO2008/107325
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(594116183)エシロール アテルナジオナール カンパニー ジェネラーレ デ オプティック (69)
【氏名又は名称原語表記】ESSILOR INTERNATIONAL COMPAGNIE GENERALE D’ OPTIQUE
【Fターム(参考)】