説明

接着補助層用樹脂組成物

【課題】本発明は無電解銅めっきとの高接着力を示す半導体パッケージの高密度化に対応可能なめっきプロセスに用いる接着補助層用樹脂組成物及びめっきプロセス用接着補助層、それを用いためっきプロセス用接着補助層付き積層板、並びにめっきプロセス用接着補助層付き多層配線板を提供する。
【解決手段】本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)ポリアミド樹脂の成分を含む樹脂組成物であり、(C)ポリアミド樹脂存在下で、(A)エポキシ樹脂、及び(B)エポキシ樹脂硬化剤を反応させた、ポリアミド変性エポキシプレポリマーを含有することを特徴とするめっきプロセス用接着補助層用樹脂組成物及びめっきプロセス用接着補助層、それを用いためっきプロセス用接着補助層付き積層板、並びにめっきプロセス用接着補助層付き多層配線板であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線板を製造する際のめっきプロセスに用いられる接着補助層用樹脂組成物及びめっきプロセスに用いられる接着補助層、それを用いた積層板、配線板、多層板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層配線板を製造するには、片面または両面に内層回路を形成した絶縁基板上に、プリプレグと呼ばれるガラス布にエポキシ樹脂を含浸し半硬化状態にした材料を銅箔と重ねて熱プレスにより積層一体化した後、ドリルで層間接続用のスルーホールと呼ばれる穴をあける。そして、スルーホール内壁と銅箔表面上に無電解めっきを行い、必要に応じ、更に電解めっきを行って回路導体として必要な厚さとした後、不要な銅を除去して多層配線板を製造するのが一般的であった。
【0003】
ところが、近年、電子機器の小型化、軽量化、多機能化が一段と進み、これに伴い、LSIやチップ部品等の高集積化が進み、その形態も多ピン化、小型化へと急速に変化している。この為、多層配線板は、電子部品の実装密度を向上するために、微細配線化の開発が進められている。これらの要求に合致する多層配線板の製造手法として、ガラスクロスを含まない絶縁樹脂をプリプレグの代わりに絶縁層として用い、ビアホールで接続しながら配線層を形成するビルドアップ方式の多層配線板が軽量化や小型化、微細化に適した手法として多く用いられるようになった。
【0004】
このようなビルドアップ方式の多層配線板は、絶縁樹脂フィルムを内層回路板にラミネートし、加熱により硬化させて後、レーザ加工によるビアホール形成する。そして、アルカリ過マンガン酸処理等によって粗化処理とスミア処理を行って無電解銅めっきして、第二の回路と層間接続可能とするビアホールを形成する(特許文献1〜3参照)。
【0005】
ここでの、樹脂と無電解銅めっきとの接着力は、樹脂表面の粗さ(アンカー効果)により確保している状況であり、その表面粗さは、Raで0.5μm以上と、表面粗さが大きい状況であった。
【0006】
このように多層配線板は、電子部品の薄型化に伴い、使用される配線板の厚みが薄くなりつつあるが、その結果ガラスクロスを含まない絶縁樹脂をプリプレグの代わりに絶縁層として用いた場合に、実装時のそりが大きくなり、接続信頼性が低下する傾向がある。そこで、ガラスクロスを含むプリプレグが再度見直されてきているが、ビルドアップ方式で用いられるセミアディティブ工法による高密度配線も必要であり、ガラスクロスを含むプリプレグで、セミアディティブ工法への対応が必要になっている。
【0007】
このような状況において、銅箔の粗化面をプリプレグに重ねてプレス成形し、銅箔をエッチングすることにより、プリプレグの表面に凹凸を形成し、アンカー効果を利用して無電解銅めっきとの接着力を確保する方法があるが、この方法では表面粗さが大きくなり、20μm以下の微細な回路はショート不良、オープン不良が発生し、歩留り良く製造することができない。一方で、粗化形状を小さくすると、無電解銅めっきとの接着力が低下し、ラインが剥離するなどの不良が発生する。
【0008】
また、粗化処理を施した5μm以下の極薄銅箔をプリプレグに重ねてプレス成形し、銅箔を給電層として用いてセミアディティブ工法で回路形成する方法もあるが、ビルドアップ方式における無電解銅めっきと比較して、給電層が厚すぎるため、15μm以下の微細な回路形成は困難であった(特許文献4参照)。一方、粗化処理を施していない平滑な銅箔をプリプレグ等に重ねて成形しただけでは、表面粗さが小さく接着力が保てない。
【0009】
このような状況において、銅との高接着力を有する樹脂組成物を平滑な銅箔に塗布乾燥することで接着補助層を作製し、既存のプリプレグに成形した後、銅箔をエッチングすることで回路を形成する方法や、銅箔を給電層として用い、セミアディティブ工法で回路を形成する方法がいくつか提案されている(特許文献5〜7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−304931号公報
【特許文献2】特開2002−3705号公報
【特許文献3】特開平11−1547号公報
【特許文献4】特開2003−101194号公報
【特許文献5】特開2009−173017号公報
【特許文献6】特開2007−1291号公報
【特許文献7】特開2008−284785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、これらの接着補助層付きの銅箔を既存のプリプレグに適用し、銅箔を全面エッチングした後、化学粗化して無電解めっき層を設けることにより回路形成を行うことを検討した。しかしながら、めっき銅との良好な接着性を示すものの、粗化後の表面粗さが0.4〜0.5μm程度であり、10μm以下の微細な配線を形成するには不十分であった。さらに、様々な液処理を行うめっきプロセスに適用するには耐薬品性が不十分であるため、部分的に脆弱層ができてしまい、めっきピール強度、耐熱性等のめっき特性にばらつきが生じてしまうことがあった。また、銅箔を利用して回路形成を行う方法をそのままめっきプロセス用に適用することが難しいことも分かった。
【0012】
そこで、本発明者らは、ビルドアップ用絶縁フィルムで用いられている樹脂組成物を、ガラスクロスに含浸させてめっきプロセス対応プリプレグを作製し、積層板にラミネートもしくはプレス成形することにより、めっき銅との高い接着性を有する多層板を作製することができた。しかしながら、このようにして作製された多層板は、基板の反りが既存の高剛性低CTE基板と比較して大きく、接続信頼性の点で劣ることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らはこのような問題を解決するために研究を進めた結果、ポリアミド樹脂存在化でエポキシ樹脂とエポキシ硬化剤を、予め反応させ、エポキシ樹脂/エポキシ硬化剤とポリアミド樹脂とをセミIPN型構造にすることで相容性を調整した樹脂組成物を調製し、さらにこの樹脂組成物を用いて接着補助層を作製し、Bステージ状態のガラスクロスを含むプリプレグ等に重ねて硬化させることにより設ければ、高剛性・低熱膨張等のプリプレグの性質を維持したまま、粗化後にRaが0.3μm以下の均一かつ微細な樹脂面で良好な接着性、高信頼性を確保できるめっきプロセス対応の積層板及び多層板を作製可能であることを見出した。
【0014】
エポキシ樹脂/エポキシ硬化剤とポリアミド樹脂とをセミIPN型構造にすることの有用性は次のように考えられる。ポリアミド樹脂は銅との接着性の高いアミド基を多く有するため、めっき銅との高い接着性が得られるが、単にポリアミド樹脂をエポキシ樹脂/エポキシ硬化剤と配合した場合、ポリアミド樹脂とエポキシ樹脂は非相容系であり、単に混ぜただけでは硬化後に不均一な海島構造となり、脆弱部分ができてしまうため、安定して高い接着が得られないことに加え、ポリアミド樹脂の耐薬品性が悪いため、めっきピール強度又は耐熱性等のめっき特性が低下していた。本願発明ではポリアミド樹脂存在下でエポキシ樹脂/エポキシ硬化剤を、通常のエポキシ樹脂の硬化反応に先立ち、これらを予め反応させてセミIPN型構造を取ることで、樹脂の相容性を調整することができることから、均一な海島構造ができ、微細な凹凸が均一に分布し、安定してめっき銅との高い接着性が得られる。さらに、予め反応することにより耐薬品性が向上することで、様々な液処理を行うめっきプロセス後であっても、高耐熱性を維持したまま銅との高い接着性が安定して得られるものとなる。
【0015】
すなわち本発明は、次の発明に関する。
(1)(C)ポリアミド樹脂存在化で、(A)エポキシ樹脂(B)エポキシ硬化剤を反応させたポリアミド変性エポキシプレポリマーを含有する、めっきプロセスに用いられる、接着補助層用樹脂組成物。
(2)(1)記載の接着補助層用樹脂組成物を支持体に塗布乾燥した接着補助層ないしは接着補助層付き支持体。
(3)(2)記載の接着補助層をガラスクロス入りプリプレグ等に設けた、めっきプロセスに用いられる、接着補助層付き配線板用積層板およびその製造方法。
(4)(2)記載の接着補助層を回路加工した配線板に設けた、めっきプロセスに用いられる、接着補助層付き配線板用積層板およびその製造方法。
(5)また、前記(1)記載のめっきプロセスに用いられる接着補助層用樹脂組成物は、エポキシ樹脂が多官能エポキシ樹脂であることが望ましく、さらにビフェニルアラルキル型であることが望ましい。また、ポリアミド樹脂が分子中にポリブタジエン骨格又はダイマー酸骨格を含むことが好ましく、ポリアミド樹脂の配合割合が、全重量(固形分)中3〜30重量%の範囲であることが好ましい。さらに、ポリアミド樹脂がフェノール性水酸基含有ポリアミドであれば、予備反応を行うことによって、ワニスの状態において樹脂の相容性がより向上し、耐薬品性の低いポリアミド構造と、耐薬品性の高いエポキシ構造が微細に分離していることによって、より微細な粗化形状になる。
【0016】
なお、本発明でいうめっきプロセスに用いられる接着補助層用樹脂組成物や接着補助層とは、例えば、多層配線板を製造する際に、回路層間に積層されるプリプレグや絶縁樹脂などの表面にめっきにより導体層を形成する際に用いられるもので、プリプレグや絶縁樹脂の表面上に形成される薄い層で、この形成された薄い層の上にめっきを施すことにより、めっきにより形成された導体層のプリプレグや絶縁樹脂層に対する接着性を高め、形成された回路の信頼性を確保するために設けられる層およびそのような層を形成するための樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、平滑な樹脂表面でも無電解めっきとの高接着力を示し、微細な回路の形成が可能であり、さらに高いはんだ耐熱性を有する、めっきプロセスに用いられる接着補助層用樹脂組成物及びめっきプロセスに用いられる接着補助層、それを用いためっきプロセスに用いられる接着補助層付き配線板用積層板、並びにめっきプロセスに用いられる接着補助層付き多層配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とをポリアミド樹脂の近傍で反応させた場合の樹脂組成物の状態を示す電子顕微鏡写真であり、図中、(a)は、本発明のように、エポキシ樹脂とエポキシ硬化剤とをポリアミド樹脂の存在下で予め反応を行った場合のものを示しており、セミIPN型構造を有するポリアミド変性エポキシプレポリマーが形成されることで、樹脂組成物はミクロ相分離構造を示す均一な海島構造をとり、相容性を有しているものであることがわかる。また、(b)は、上記のような反応を行わなかった場合のものを示しており、ポリアミド変性エポキシプレポリマーが生成しておらず、樹脂組成物はミクロ相分離構造をとらず、不均一な海島構造をとり、相容性を有するものではないことがわかる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のめっきプロセスに用いられる接着補助層用樹脂組成物は、(C)ポリイミド樹脂の存在下で、(A)エポキシ樹脂と(B)エポキシ樹脂硬化剤とを予め、反応させ、セミIPN型構造を有するポリアミド変性エポキシプレポリマーを調製し、このポリアミド変性エポキシプレポリマーを含有するものである。
【0020】
そして、このポリアミド変性エポキシプレポリマーを含有する接着補助層用樹脂組成物から形成される接着補助層は、半硬化状態のプリプレグと積層され、プリプレグの表面に一体化される。したがって、(C)ポリイミド樹脂の存在下で、(A)エポキシ樹脂と(B)エポキシ樹脂硬化剤とを反応させて、ポリアミド変性エポキシプレポリマーを合成する際には、(A)エポキシ樹脂と(B)エポキシ樹脂硬化剤とを完全に反応させず、通常は未反応の(A)エポキシ樹脂と(B)エポキシ樹脂硬化剤とが若干残った状態、いわゆる半硬化の状態(Bステージ)とすることが好ましい。
【0021】
したがって、このようにして得られたポリアミド変性エポキシプレポリマーを含む接着補助層用樹脂組成物も、ポリアミド変性エポキシプレポリマーとともに、未反応の(A)エポキシ樹脂と(B)エポキシ樹脂硬化剤とを含み、いわゆる半硬化状態となっているものである。この半硬化状態となって残っている(A)エポキシ樹脂や(B)エポキシ樹脂硬化剤は、半硬化状態のプリプレグとの積層の際に反応し、一体化することになる。一方、エポキシ樹脂やエポキシ樹脂硬化剤がなくポリアミド変性エポキシプレポリマーだけであっても、半硬化状態のプリプレグと積層、一体化することができ、いずれにしても、プリプレグの上にポリアミド変性エポキシプレポリマーを主成分とするミクロ相分離した接着補助層が形成されることになる。
【0022】
本発明の接着補助用樹脂組成物に含まれるポリアミド変性エポキシプレポリマーは、(C)ポリイミド樹脂の存在下で、(A)エポキシ樹脂と(B)エポキシ樹脂硬化剤とを反応させることにより調製する。
【0023】
本発明の接着補助層用樹脂組成物に用いることができる(A)エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂や、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられる。特に(A)エポキシ樹脂として、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂を含むことが望ましい。本発明におけるアラルキルノボラック型エポキシ樹脂は(A)ビフェニル構造を有するアラルキルノボラック型エポキシ樹脂であることが好ましい。ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂であれば、樹脂の強靭化、高伸び率化により銅との接着性がさらに向上する。(A)ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂とは、分子中にビフェニル誘導体の芳香族環を含有したアラルキルノボラック型のエポキシ樹脂をいい、例えば、式(1):
【0024】
【化1】

(式中、pは、1〜5を示す)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0025】
市販品としては、日本化薬株式会社製のNC−3000(pが1.7の式(1)のエポキシ樹脂)、NC−3000−H(pが2.8の式(1)のエポキシ樹脂)が挙げられる。
【0026】
本発明の接着補助層用樹脂組成物に用いることができる(B)エポキシ硬化剤には、各種フェノール樹脂類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジット類などが使用できる。フェノール樹脂類としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などが使用でき、酸無水物類としては、無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルハイミック酸等が使用でき、アミン類として、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、グアニル尿素等が使用できる。信頼性を向上させるためには、ノボラック型フェノール樹脂であることが好ましい。
【0027】
本発明の接着補助層用樹脂組成物に用いることができる(C)ポリアミド樹脂は、特に制限されるものではないが、例えば、ジアミンとフェノール性水酸基含有のジカルボン酸とフェノール性水酸基を含有しないジカルボン酸とをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶媒中で、触媒として亜リン酸エステルとピリジン誘導体の存在下でカルボン基とアミノ基とを重縮合させることにより合成されるフェノール性水酸基含有ポリアミドが挙げられる。
【0028】
本発明において、ポリアミド樹脂の製造に使用するジアミンとしては、芳香族ジアミンでも脂肪族ジアミンでも良く、芳香族ジアミンの具体例としては、ジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、ジアミノフェノール、ジアミノジメチルベンゼン、ジアミノメシチレン、ジアミノニトロベンゼン、ジアミノジアゾベンゼン、ジアミノナフタレン、ジアミノビフェニル、ジアミノジメトキシビフェニル、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジメチルジフェニルエーテル、メチレンジアミン、メチレンビス(ジメチルアニリン)、メチレンビス(メトキシアニリン)、メチレンビス(ジメトキシアニリン)、メチレンビス(エチルアニリン)、メチレンビス(ジエチルアニリン)、メチレンビス(エトキシアニリン)、メチレンビス(ジエトキシアニリン)、イソプロピリデンジアニリン、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジメチルベンゾフェノン、ジアミノアントラキノン、ジアミノジフェニルチオエーテル、ジアミノジメチルジフェニルチオエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルスルホキシド、ジアミノフルオレン等が挙げられる。
【0029】
脂肪族ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ヒドロキシプロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘプタンジアミン、ヘキサンジアミン、ジアミノジエチルアミン、ジアミノプロピルアミン、シクロペンタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、アザペンタンジアミン、トリアザウンデカジアミンなどが挙げられる。これら芳香族及び脂肪族ジアミンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合しても良い。
【0030】
本発明において、ポリアミドの製造に使用するジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸でも脂肪族ジカルボン酸でも、両末端にカルボキシル基を有するオリゴマーでも良い。
【0031】
芳香族ジカルボン酸のうち、フェノール性水酸基を含有しないジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ダイマー酸、ビフェニルジカルボン酸、メチレン二安息香酸、チオ二安息香酸、カルボニル二安息香酸、スルホニル二安息香酸、ナフタレンジカルボン酸などが、また、フェノール性水酸基含有のジカルボン酸としては、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸、ジヒドロキシイソフタル酸、ジヒドロキシテレフタル酸等が挙げられる。
【0032】
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、りんご酸、酒石酸、(メタ)アクリロイルオキシコハク酸、ジ(メタ)アクリロイルオキシコハク酸、(メタ)アクリロイルオキシりんご酸、(メタ)アクリルアミドコハク酸や、(メタ)アクリルアミドりんご酸等が挙げられる。
【0033】
両末端にカルボキシル基を有するオリゴマーは、数平均分子量200〜10000、好ましくは数平均分子量500〜5000のオリゴマーであり、その具体例としては、両末端にカルボキシル基を持ったポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリウレタンやシリコーンゴム等が挙げられる。これら芳香族、脂肪族及び両末端にカルボキシル基を有するオリゴマーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合しても良い。
【0034】
ポリアミド樹脂がポリブタジエン共重合体又はダイマー酸共重合体であればめっき銅との接着性がさらに向上する。ただし、これらの割合が多い場合、樹脂全体のTg及び耐薬品性が低下し、耐熱性に悪影響を及ぼしてしまうため、これらが影響しない程度の割合を維持する必要がある。
【0035】
このようなポリアミド樹脂は、例えば、フェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂の市販品としては日本化薬株式会社製のBPAM−155が挙げられ、ダイマー酸変性ポリアミド樹脂の市販品としては富士化成工業社製のTPAE−826が挙げられる。
【0036】
本発明では、(C)ポリアミド樹脂存在下で、(A)エポキシ樹脂及び(B)エポキシ硬化剤を反応させ、ポリアミド変性エポキシプレポリマーを生成する。接着補助用樹脂組成物はこのポリアミド変性エポキシプレポリマーを含有することによって、接着補助層が、ミクロ相分離構造を持ち、接着強度測定時における引っ張り応力を分散させる。このミクロ相分離構造は、エポキシ樹脂とポリアミド樹脂がIPN構造となり、耐薬品性の低いポリアミド樹脂が均一に細分散し、表面粗さが小さくなる。このため、凝集破壊が起こりにくくなり、接着強度が向上する。
【0037】
以上のような(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ硬化剤、(C)ポリアミド樹脂を用いて、(C)ポリアミド樹脂存在下で、(A)エポキシ樹脂及び(B)エポキシ硬化剤とを反応させる。
【0038】
反応は、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ硬化剤、(C)ポリアミド樹脂の全量に対して(C)ポリアミド樹脂を3〜30重量%とすることが好ましい。残りは(A)エポキシ樹脂と(B)エポキシ硬化剤とを配合することになるが、このとき(B)エポキシ硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂のエポキシ基に対して0.5〜1.5当量とするのが好ましい。エポキシ硬化剤がエポキシ基に対して0.5当量未満の場合は外層のめっき銅との接着性が低下し、1.5当量を超えるとTgや絶縁性が低下する場合がある。
【0039】
また、この(C)ポリアミド樹脂の配合割合が、全重量%中の3%より少ない場合、樹脂の強靭性が低く、さらに緻密な粗化形状が得られず、めっき銅との接着力が低下するため、好ましくない。また、(C)ポリアミド樹脂の配合量が30重量%より大きい場合、耐熱性が低下するため好ましくない。
【0040】
(A)エポキシ樹脂の配合量は、溶剤を除いた接着補助層用樹脂組成物の全固形分中の割合で20〜50重量%であるのが好ましい。前記(A)成分の配合量が、20重量%未満では回路導体との接着強度が低下し、50重量%を超えるとはんだ耐熱性が低下する傾向がある。
【0041】
また、予め反応させるプレ反応では、必要に応じて硬化促進剤を使用することができる。硬化促進剤として各種イミダゾール類やホスフィン類、BF3アミン錯体が使用できる。これらは、プレ反応中にゲル化しないような硬化促進剤を用いることが好ましい。プレ反応の条件は、目的とする樹脂の分子量や溶融粘度、またはジシアンジアミドのような結晶性硬化剤の残存量を調整することで決定される。一般には、80℃から180℃の範囲で、30分から10時間程度で行うことが好ましい。
【0042】
さらにプレ反応後に、必要に応じて硬化促進剤を使用することができる。硬化促進剤としては潜在性の硬化促進剤である各種イミダゾール類やBF3アミン錯体が使用できる。さらに好ましくは、接着補助層用樹脂組成物の保存安定性やBステージ状(半硬化状)の絶縁樹脂組成物の取り扱い性及びはんだ耐熱性の点から2−フェニルイミダゾールが好ましく、その配合量はエポキシ樹脂の配合量に対して0.3〜1.5重量%が最適である。0.3重量%未満では、はんだ耐熱性が十分ではなく、1.5重量%を超えると絶縁樹脂組成物の保存安定性が低下するためである。
【0043】
反応は、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ硬化剤、および(C)ポリアミド樹脂、必要に応じて、硬化促進剤を加え、反応させ、ポリアミド変性エポキシプレポリマーを合成する。反応は、これらの混合物をそのまま撹拌しながら反応させることが好ましく、さらに、溶剤を添加し、溶解あるいは分散した状態で反応することも、エポキシ樹脂/硬化剤とポリアミド樹脂とのセミIPN型構造のポリアミド変性エポキシプレポリマーを調製できることから好ましい。撹拌せずに反応させた場合、温度差による反応性の違いから、反応が均一化せず、不均一なミクロ相分離構造となる恐れがある。
【0044】
なお、本願発明における「変性」とは、ポリアミド樹脂とエポキシ樹脂等が混ざり合うことによって、セミIPN構造を形成し、性質が変化することを言う。また、ポリアミド樹脂がエポキシ樹脂と反応しうる官能基を持つ場合、単に混ざり合うだけでなく反応していても良い。ポリアミド樹脂とエポキシ樹脂とが反応することにより、上述のように、架橋密度の向上が可能となり、耐熱性の点で好ましいものとなる。
【0045】
反応に用いることができる溶剤としては、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ硬化剤、および(C)ポリアミド樹脂を溶解または分散できる溶剤であればよく、例えば、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロピオネート、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド等が使用できる。溶剤の使用量としては、特性に影響を及ぼさない範囲において、従来用いている配合量であればよい。
【0046】
反応は、エポキシ樹脂とエポキシ硬化剤とがポリアミド樹脂の近傍で反応し、場合によっては、ポリアミド樹脂とも反応することにより、達成される。反応の程度としては、完全に硬化させた状態としてもよいが、好ましくは、いわゆる半硬化の状態、すなわち、さらに硬化が可能なプレポリマーの状態にとめることが好ましい。
【0047】
このように、半硬化の状態のいわゆるプレポリマーを調製するには、例えば、80℃〜180℃で、30分〜10時間、プレ反応中にゲル化しない程度で反応を行い、樹脂組成物の種類によって適宜調整することが好ましい。得られたポリアミド変性エポキシプレポリマーは、図1の(a)に示すようなミクロ相分離構造をとり、相容性を示す状態となる。なお、図1の(b)に示すように、エポキシ樹脂とエポキシ硬化剤とをポリアミド樹脂の存在下でプレ反応させなかった場合(例えば,プレ反応せず,単にエポキシ樹脂,エポキシ硬化剤,ポリアミド樹脂を配合した場合などが該当する)には、このようなミクロ相分離構造を形成せず、相容性に乏しいものであることもわかる。
【0048】
次いで、このようにして得られたポリアミド変性エポキシプレポリマーを用いて、接着補助層用樹脂組成物を調製する。
【0049】
接着補助層用樹脂組成物の調製は、反応で得られたポリアミド変性エポキシプレポリマーをそのまま用いてもよいが、必要に応じて、さらに、エポキシ樹脂やエポキシ硬化剤を加えることもできる。
【0050】
また、接着補助層用樹脂組成物には、各種特性向上のため、表面調整剤、架橋有機フィラーやシリカなどの充填剤など各種添加剤を配合することができる。
【0051】
表面調整剤は、接着補助層用樹脂組成物に塗工ムラ防止のため用いるもので、配合できる表面調整剤としては、変性ポリシロキサンなどがあり、例えば、BYK−310(BYKケミー社製、商品名)、であるポリエステル変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。配合量としては、0.5重量%程度である。
【0052】
さらに、樹脂の伸び性を向上させるために、架橋有機フィラー、アクリルポリマー等を添加しても良い。架橋有機フィラー等は、どのようなものでもよいが、例えばアクリロニトリルブタジエンの共重合物として、アクリロニトリルとブタジエンとを共重合した架橋NBR粒子や、アクリロニトリルとブタジエンとアクリル酸などのカルボン酸とを共重合したもの、ポリブタジエン、NBR、シリコーンゴムをコアとしアクリル酸誘導体をシェルとした、いわゆるコア−シェル型ゴム粒子も使用可能である。
【0053】
例えば、架橋有機フィラーの市販品としては、ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子であるロームアンドハース株式会社製のパラロイドEXL2655や架橋シリコーンゴム−アクリル樹脂のコアシェルゴム粒子である旭化成ワッカーシリコーン(株)製GENIOPERL P52などがあり、アクリルポリマーとしてはクラレ(株)製LA2250などがある。
【0054】
これらのポリマーは、配合量が0〜10重量%であることが好ましい。10重量%より多い場合、耐薬品性が低下し、耐熱性等のめっき特性が低下するため好ましくない。
【0055】
また、本発明の接着補助層用樹脂組成物には、微細な粗化形状を維持しつつ、プレス時のバラツキを低減するため、溶融粘度を調整し、樹脂の流動性を制御するために、平均一次粒径が1μm以下であるナノフィラーを配合してもよい。ナノフィラーの例としては、日本アエロジル(株)製のAEROSIL R972等が挙げられる。
【0056】
ナノフィラーの配合量は5重量%以下であることが好ましい。配合量が5重量%以上になると、粗化後の表面形状が形成できなくなり、めっきピール強度及び耐熱性が低下する。
【0057】
さらに、本発明における接着補助層用樹脂組成物には、通常の樹脂組成物に使用されるチキソ性付与剤、界面活性剤、カップリング剤等の各種添加剤を適宜配合できる。
【0058】
本発明の接着補助層用樹脂組成物は、以上のようにして得られたポリアミド変性エポキシプレポリマーとともに必要に応じ、他の成分を加え、これらを充分に撹拌、混合した後、泡がなくなるまで静置して接着補助層用樹脂組成物を得ることができる。なお、接着補助層用樹脂組成物に、架橋有機フィラーを配合する際には、分散性を高める目的にニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール、ナノマイザー等既知の混練・分散方法により分散しても良い。また、ナノフィラーを配合する場合、均一に分散させるためにナノマイザーなどの分散方法を用いるのが好ましい。
【0059】
本発明における接着補助層用樹脂組成物は溶剤中で混合して希釈または分散させてワニスの形態とするのが作業性の点で好ましい。この溶剤には、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロピオネート、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド等を使用できる。これらの溶剤は、単独あるいは混合系でも良い。この溶剤の前記樹脂組成物に対する割合は、従来使用している割合でよく、接着補助層用樹脂組成物の塗膜形成の設備にあわせてその使用量を調整する。一方、分散調製した後、上記の溶剤により、接着補助層用樹脂組成物をさらに希釈または分散し、ワニスを調製することもできる。
【0060】
次いで、得られた接着補助用樹脂組成物のワニスを用いて、支持体となる銅箔や樹脂フィルム上に塗工し、乾燥することにより、接着補助層付きの銅箔や樹脂フィルムが得られ、この接着補助層を、プリプレグなどに積層することで接着補助層付き配線板用積層板や接着補助層付き多層配線板を得ることができる。そして、この接着補助層付き配線板用積層板や接着補助層付き多層配線板の接着補助層の上に無電解めっきや電解めっきによりめっき層を設け、回路を形成することで多層配線板を製造することができる。
【0061】
接着補助層用樹脂組成物ワニスをコンマコータで支持体に塗工する場合は、溶剤を除く樹脂組成物の固形分がワニス中10〜20重量%となるように溶剤の使用量を調節することが膜厚調整の点から好ましい。また、ここで使用する支持体は、銅箔、PETフィルム、PENフィルムなどが挙げられる。支持体に塗工後の乾燥は、温度200℃、時間は5分程度で行い、膜厚としては3μm以上のものが、膜厚を保持する点で好ましい。
【0062】
また、このようにして得られる接着補助層付きの銅箔や樹脂フィルムの接着補助層は、Bステージのプリプレグ等と接着させる必要があるため、半硬化の状態、いわゆるBステージ状態にあることが好ましく、この硬化度を制御することも重要である。硬化度は示差走査熱量計などでも測定できるが樹脂組成物によっても異なるため規定しにくく、樹脂の溶融粘度で規定することが好ましい。具体的には、Bステージの接着補助層の最低溶融粘度は1,000〜100,000Pa・sであることが必要である。上記範囲とすることにより、接着補助層としての特性を維持できる。
【0063】
また、本発明で使用される配線板用プリプレグは、どのようなものでもよい。一般にはエポキシ樹脂、エポキシ硬化剤、硬化促進剤、溶剤と必要に応じて無機フィラーを混合し、積層板用ガラスクロスに含浸・乾燥させて得られる。市販品としては、日立化成工業(株)製GEA−67NやGEA−679F、GEA−679GT等があるが、どのようなものでも構わない。
【0064】
本発明の接着補助層付き配線板用積層板は、上記配線板用プリプレグの上下にめっきプロセス用接着補助層を支持体が外側になるように重ね、その後鏡板を重ねてプレス成型することにより加圧加熱化で硬化させた後、樹脂フィルムや銅箔のような支持体を剥離あるいはエッチング等で除去して得ることができる。
【0065】
また、本発明の接着補助層付き多層配線板は、回路加工した内層板(内層回路板)の上下に配線板用プリプレグを配し、その外側にめっきプロセス用接着補助層を支持体が外側になるように重ね、その後鏡板を重ねてプレス成型することにより加圧加熱化で硬化させた後、樹脂フィルムや銅箔のような支持体を剥離あるいはエッチング等で除去して得ることができる。加圧積層条件は、通常0.5〜20MPaが好ましく、加熱温度は、180℃〜230℃程度である。
【0066】
さらに、本発明の接着補助層付き多層配線板は、回路加工した内層板(内層回路板)の上下に配線板用ラミネート用プリプレグ又はビルドアップ材料を配し、その外側に、例えば、PETフィルムを支持体としためっきプロセス用接着補助層をPETフィルムが外側になるように重ね、真空ラミネーターを用いて積層し、その後、PETフィルムを剥離して乾燥機で、200℃程度に加熱して得ることもできる。
【0067】
内層回路板は、例えば、第一の回路層(内層配線)が表面に形成された内層基板であり、内層基板として、通常の配線板において用いられている公知の積層板、例えば、ガラス布−エポキシ樹脂、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス紙−エポキシ樹脂等が使用でき特に制限はない。また、ビスマレイミド−トリアジン樹脂を含浸させたBT基板、さらにはポリイミドフィルムを基材として用いたポリイミドフィルム基板等も用いることができる。
【0068】
また、回路を形成するための方法についても特に制限はなく、銅箔と前記絶縁基板を張り合わせた銅張り積層板を用い、銅箔の不要な部分をエッチング除去するサブトラクティブ法や、前記絶縁基板の必要な個所に無電解めっきによって回路を形成するアディティブ法等、公知の配線板の製造方法を用いることができる。
【0069】
次に、必要に応じて回路層の表面を接着性に適した状態に表面処理する。この手法も、特に制限はなく、例えば、次亜塩素酸ナトリウムのアルカリ水溶液により回路層の表面に酸化銅の針状結晶を形成し、形成した酸化銅の針状結晶をジメチルアミンボラン水溶液に浸漬して還元するなど公知の製造方法を用いることができる。
【0070】
次いで、内層回路の上に設けられた接着補助層付き配線板用積層板または接着補助層付き多層配線板の接着補助層を用い、これらの接着補助層の上に、めっき法により外層回路を形成する。外層回路の形成では、まず、接着補助層を粗化処理するのが好ましい。粗化液としては、クロム/硫酸粗化液、アルカリ過マンガン酸粗化液、フッ化ナトリウム/クロム/硫酸粗化液、ホウフッ酸粗化液などの酸化性粗化液を用いることができる。粗化処理としては、例えば、先ず膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルとNaOHとの水溶液を70℃〜80℃に加温して積層板または多層配線板を5〜15分間浸漬処理する。次に、粗化液として、KMnOとNaOHとの水溶液を70℃〜80℃に加温して5〜25分間浸漬処理する。引き続き、中和液、例えば塩化第一錫(SnCl2)の塩酸水溶液に室温で5〜15分間浸漬処理して中和する。
【0071】
粗化処理後、パラジウムを付着させるめっき触媒付与処理を行う。めっき触媒処理は、塩化パラジウム系のめっき触媒液に浸漬して行われる。次に、無電解めっき液に浸漬して接着補助層の表面全面に厚さが0.1〜1.5μmの無電解めっき層(導体層)を析出させる。必要により、更に電気めっきを行って必要な厚さとする。無電解めっきに使用する無電解めっき液は、公知の無電解めっき液を使用することができ、特に制限はない。また、電気めっきについても公知の方法によることができ特に制限はない。これらのメッキは銅メッキであることが好ましい。さらに不要な箇所をエッチング除去して回路層を形成することができる。
以下、更に同様の工程を繰り返して層数の多い多層配線板を製造できる。
【0072】
また、本発明の接着補助層は、上述のようにして粗化処理を行った場合、表面粗さ(Ra)が0.3μm以下となり、したがって、10μm以下の微細な配線を形成することが可能であり、10μm以下の回路幅の配線板であっても、回路の密着性が高く、信頼性の優れた配線板が得られる。
【0073】
なお、粗化処理の基本となる処理条件および測定条件は、次のとおりである。
処理条件:
膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル 200ml/L、NaOH 5g/Lの水溶液を作製し、70℃に加温して5分間浸漬処理する。次に、粗化液として、KMnO4 60g/L、NaOH 40g/Lの水溶液を作製し、80℃に加温して10分間浸漬処理をする。引き続き、中和液(SnCl2 30g/L、HCl 300ml/L)の水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和する。
測定方法:
次いで、水洗・乾燥して、接着補助層表面を菱化システム社製マイクロマップMN5000型を用い、表面粗さRaを測定する。
【実施例】
【0074】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0075】
[ポリアミドの合成]
(合成例1)
ポリアミドAの合成
まず、ディーンスターク還流冷却器、温度計、撹拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、イソフタル酸22g(132ミリモル)、3,4′−オキシジアニリン26.4g(132ミリモル)、塩化リチウム3.9g、塩化カルシウム12.1g、N−メチル−2−ピロリドン240ml、ピリジン54mlを入れ、攪拌溶解させた後、亜リン酸トリフェニル74gを加えて、90℃で4時間反応させて、ポリアミド樹脂の生成溶液を得た。この反応溶液をメタノール20Lに投入してポリアミド樹脂を析出させ、ポリアミドAを得た。
【0076】
(合成例2)
ポリアミドBの合成
まず、ディーンスターク還流冷却器、温度計、撹拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、イソフタル酸20g(120ミリモル)、3,4′−オキシジアニリン26.4g(132ミリモル)、5−ヒドロキシイソフタル酸3.7g(20ミリモル)、塩化リチウム3.9g、塩化カルシウム12.1g、N−メチル−2−ピロリドン240ml、ピリジン54mlを入れ、攪拌溶解させた後、亜リン酸トリフェニル74gを加えて、90℃で4時間反応させて、フェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂の生成溶液を得た。この反応溶液をメタノール20Lに投入してポリアミド樹脂を析出させ、ポリアミドBを得た。
【0077】
[ポリアミド変性エポキシプレポリマーの調製]
(調製例1)
(C)成分である合成例1で得られたポリアミドA16.3gに、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を146.9g配合し、溶解させた後、温度計、還流冷却器、撹拌装置を備えた1リットルのセパラブルフラスコ内に、(A)成分であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂(N―770、DIC社製、商品名)40.0g、(B)成分であるクレゾールノボラック型フェノール樹脂(KA1165、DIC社製、商品名)25.2gと共に加え、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP、東京化成工業社製)0.03g添加し、更にDMAcを4.7g追加した後、フラスコ内の温度を100℃に設定し、1時間撹拌し、ポリアミド変性エポキシプレポリマーAを得た。
【0078】
(調製例2)
(C)成分である合成例2で得られたポリアミドB15.4gに、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を138.3g配合し、溶解させた後、温度計、還流冷却器、撹拌装置を備えた1リットルのセパラブルフラスコ内に、(A)成分であるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000H、日本化薬社製、商品名)45.0g、(B)成分であるフェノールノボラック型フェノール樹脂(TD2090、DIC社製、商品名)16.4gと共に加え、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール(2PZ、四国化成工業社製、商品名)0.14g添加し、更にDMAcを4.4g追加した後、フラスコ内の温度を130℃に設定し、1時間撹拌し、ポリアミド変性エポキシプレポリマーBを得た。
【0079】
(調製例3)
(C)成分であるフェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性ポリアミド(BPAM−155、日本化薬社製、商品名)15.9gに、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を143.26g配合し、溶解させた後、温度計、還流冷却器、撹拌装置を備えた1リットルのセパラブルフラスコ内で(A)成分であるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000H、日本化薬社製、商品名)45.0g、(B)成分であるクレゾールノボラック型フェノール樹脂(KA1165、DIC社製、商品名)18.5gを加え、更に硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP、東京化成工業社製)0.14g添加した後、フラスコ内の温度を130℃に設定し、1時間撹拌し、ポリアミド変性エポキシプレポリマーCを得た。
【0080】
(比較調製例1)
温度計、還流冷却器、撹拌装置を備えた1リットルのセパラブルフラスコ内で(A)成分であるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000H、日本化薬社製、商品名)45.0g、(B)成分であるクレゾールノボラック型フェノール樹脂(KA1165、DIC社製、商品名)18.5gを加え、溶剤としてMEK/シクロヘキサノン混合溶剤を63.7g加え、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP、東京化成工業社製)0.14g添加し、更にMEKを4.6g追加した後、フラスコ内の温度を130℃に設定し、1時間撹拌し、エポキシプレポリマーを得た。
【0081】
[接着補助層用樹脂ワニスの配合]
(配合例1)
調製例1で得られたポリアミド変性エポキシプレポリマーA33gに表面調整剤(BYK−310、BYKケミー社製、商品名)0.41g加え、更に硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール(2PZ、四国化成工業社製、商品名)0.025gを添加した後、DMAc及びメチルエチルケトンからなる混合溶剤で希釈し、分散機(ナノマイザー、商品名、吉田機械興業株式会社製)を用いて均一な接着補助層用樹脂ワニス(固形分濃度約25質量%)を得た。
【0082】
(配合例2)
調製例2で得られたポリアミド変性エポキシプレポリマーB30.7gに表面調整剤(BYK−310、BYKケミー社製)0.35g、架橋有機フィラー(EXL−2655、ローム&ハース社製、商品名)0.47g、酸化防止剤(ヨシノックスBB、エーピーアイコーポレーション社製、商品名)0.038g加え、更に硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール(2PZ、四国化成工業社製、商品名)0.025gを添加し、DMAc及びメチルエチルケトンからなる混合溶剤で希釈した後、ナノフィラー(AEROSIL R972、日本アエロジル社製、商品名)0.54gを加え、分散機(ナノマイザー、商品名、吉田機械興業株式会社製)を用いて均一な接着補助層用樹脂ワニス(固形分濃度約25質量%)を得た。
【0083】
(配合例3)
調製例3で得られたポリアミド変性エポキシプレポリマーC29.4gに表面調整剤(BYK−310、BYKケミー社製)0.35gを加え、更に硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール(2PZ、四国化成工業社製、商品名)0.025gを添加し、DMAc及びメチルエチルケトンからなる混合溶剤で希釈した後、ナノフィラー(AEROSIL R972、日本アエロジル社製、商品名)0.51gを加え、分散機(ナノマイザー、商品名、吉田機械興業株式会社製)を用いて均一な接着補助層用樹脂ワニス(固形分濃度約25質量%)を得た。
【0084】
(比較配合例1)
(C)成分である合成例1で得られたポリアミドA1.8gに、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を15.9g配合した後、続いて(A)成分であるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000H、日本化薬社製、商品名)5.0g、(B)成分であるフェノールノボラック型フェノール樹脂(TD2090、DIC社製、商品名)2.1gを加え、更に硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール(2PZ、四国化成工業社製、商品名)0.025gを添加した後、DMAc及びメチルエチルケトンからなる混合溶剤で希釈し、分散機(ナノマイザー、商品名、吉田機械興業株式会社製)を用いて均一な接着補助層用樹脂ワニス(固形分濃度約25質量%)を得た。
【0085】
(比較配合例2)
比較配合例1のポリアミドの代わりに、ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子(EXL−2655、ローム&ハース社製、商品名)を1.8g配合した以外は、比較配合例1と同様とした。
【0086】
(比較配合例3)
(C)成分である合成例2で得られたポリアミドB1.8gに、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を15.9g配合した後、(A)成分であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂(Nー770、DIC社製、商品名)5.0g、(B)成分であるクレゾールノボラック型フェノール樹脂(KA1165、DIC社製、商品名)2.1g、ナノフィラー(AEROSIL R972、商品名、日本アエロジル社製)0.51g、更に硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール(2PZ、四国化成工業社製、商品名)0.025gを添加した後、DMAc及びメチルエチルケトンからなる混合溶剤で希釈し、分散機(ナノマイザー、商品名、吉田機械興業株式会社製)を用いて均一な接着補助層用樹脂ワニス(固形分濃度約25質量%)を得た。
【0087】
(比較配合例4)
(C)成分であるフェノール性水酸基含有ポリアミド(BPAM−155、日本化薬社製、商品名)1.8gに、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を15.9g配合した後、表面調整剤(BYK−310、BYKケミー社製)0.35g、架橋有機フィラー(EXL−2655、ローム&ハース社製、商品名)0.47g、比較調製例1で得られたエポキシプレポリマー20.2g、酸化防止剤(ヨシノックスBB、エーピーアイコーポレーション社製、商品名)0.038g加え、更に硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール(2PZ、四国化成工業社製、商品名)0.025gを添加し、DMAc及びメチルエチルケトンからなる混合溶剤で希釈した後、ナノフィラー(AEROSIL R972、日本アエロジル社製、商品名)0.54gを加え、分散機(ナノマイザー、商品名、吉田機械興業株式会社製)を用いて均一な接着補助層用樹脂ワニス(固形分濃度約25質量%)を得た。
【0088】
(実施例1)
配合例1で得られた接着補助層用樹脂ワニスを銅箔(YGP−12、日本電解社製、商品名)の光沢面に、乾燥後5μmになるように塗布し、185℃で5分間乾燥させ、接着補助層付銅箔を得た。
次いで、接着補助層付き配線板用積層板は次のようにして製造した。日立化成工業(株)製ガラス−エポキシ系のプリプレグGEA−679FG(R)の0.10mm厚4枚を重ね、その上下に上記接着補助層付銅箔を銅箔が外側になるように重ね、さらに鏡板と、クッション紙を重ねて、プレス機を用いて、4.0MPa、185℃で1時間加熱硬化させた。冷却後、銅箔をエッチングして、本発明の接着補助層付き配線板用積層板を得た。
【0089】
また、多層配線板は次のようにして製造した。この接着補助層付き配線板用積層板を化学粗化するために、膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:200ml/L、NaOH:5g/Lの水溶液を作製し、70℃に加温して5分間浸漬処理した。次に、粗化液として、KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液を作製し、80℃に加温して10分間浸漬処理した。引き続き、中和液(SnCl2:30g/L、HCl:300ml/L)の水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和した。
接着補助層付き配線板用積層板に回路層を形成するために、まず、PdCl2を含む無電解めっき用触媒であるアクチベーターネオガント834(アトテック・ジャパン社製、商品名)を35℃に加温して5分間浸漬処理し、無電解銅めっき用であるめっき液プリントガントMSK−DK(アトテック・ジャパン社製、商品名)に室温−15分間浸漬し、さらに硫酸銅電解めっきを行った。その後、アニールを180℃−60分間行い厚さ20μmの導体層を形成した。
【0090】
(実施例2)
実施例1の配合例1のワニスの代わりに配合例2を用いた以外は、実施例1と同様とした。
【0091】
(実施例3)
実施例1の配合例1のワニスの代わりに配合例3を用いた以外は、実施例1と同様とした。
【0092】
(実施例4)
接着補助層として配合例3で作製したワニスを両面光沢箔(FO−WS−18、古川サーキットフォイル社製、商品名)に乾燥後5μmになるように塗布し、185℃で5分間乾燥させた以外、実施例1と同様にして行った。
【0093】
(実施例5)
接着補助層として配合例3で作製したワニスを離型処理したPENフィルム(帝人社製)に乾燥後5μmになるように塗布し、185℃で5分間乾燥させた以外、実施例1と同様にして行った。
【0094】
(比較例1)
実施例1において、接着補助層を形成していない単独の銅箔粗化面を用いた以外、実施例1と同様にして行った。
【0095】
(比較例2)
接着補助層として比較配合例1で作製した樹脂ワニスを用いた以外、実施例1と同様にして行った。
【0096】
(比較例3)
接着補助層として比較配合例2で作製した樹脂ワニスを用いた以外、実施例1と同様にして行った。
【0097】
(比較例4)
接着補助層として比較配合例3で作製した樹脂ワニスを用いた以外、実施例1と同様にして行った。
【0098】
(比較例5)
接着補助層として比較配合例4で作製した樹脂ワニスを用いた以外、実施例1と同様にして行った。
【0099】
以上のようにして作製した樹脂組成物及び多層配線板について、外層回路との接着強度、絶縁樹脂の表面粗さの測定、265℃はんだ耐熱性試験、配線形成性の評価を実施した。その結果を表1および表2に示す。なお、測定方法は次のとおりである。
【0100】
[外層回路との接着強度]
各実施例及び比較例で得た積層板の導体層にエッチング処理によって、幅10mm、長さ100mmの部分を形成し、この一端を回路層/樹脂界面で剥がしてつかみ具でつかみ、垂直方向に引張り速度約50mm/分、室温中で引き剥がした時の荷重を測定した。
【0101】
[絶縁樹脂の表面粗さ]
各実施例及び比較例で得た積層板の導体層の一部のエッチング処理によって得た絶縁樹脂表面を菱化システム社製マイクロマップMN5000型を用い、表面粗さRaを測定した。
【0102】
[265℃はんだ耐熱性]
各実施例及び比較例で作製した多層配線板を25mm角に切断し、265±2℃に調整したはんだ浴に浮かべ、ふくれが発生するまでの時間を調べた。
【0103】
[配線形成性]
接着補助層付き配線板用積層板にL/S=10/10μmの回路を形成するために、上記の方法と同様に無電解めっき層を形成し、さらに、厚さ15μmのめっきレジスト(RD−1215:商品名、日立化成工業株式会社製)をラミネートし、ネガマスクと405nmの光源を用いて120mJ/cm2の条件で露光し、1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像し、硫酸銅電解めっきで厚さ8μmのめっきをした。その後、3%水酸化ナトリウム水溶液を用いてレジストを剥離後、アニールを180℃−60分間行い,硫酸−過酸化水素水溶液を用いて不要な給電層(無電解めっき層)をエッチング除去し、L/S=10/10μmの回路を形成した。
各実施例及び比較例で得たL/S=10/10μmの回路を形成した接着補助層付き配線板用積層板を、オリンパス社製半導体検査顕微鏡MX−50を用い、倍率200倍で配線の状態を観察し、配線形成性を次の基準により評価した。
○:ライン幅が8〜10μmである。
△:ライン幅が8μm未満である。
×:ラインに欠け等がある。
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】

【0106】
表1および表2から、本発明のめっきプロセス用の接着補助層付き積層板並びに多層配線板の特性としては、実施例1〜5に示したように、Raが0.2μm以下の平滑な樹脂表面上においても、無電解銅めっきとの高接着力を示し、さらに、265℃はんだ耐熱性にも優れていることが分かった。また、L/S=10/10μmの微細な回路であっても、良好な回路形成性を示すことが確認された。一方、本発明の絶縁樹脂組成物を必須成分として含んでいない比較例1〜5に示す多層配線板は、表面粗さが大きいか,もしくははんだ耐熱性が低いことが確認できた。また、L/S=10/10μmの回路を形成した際に,配線が欠けてしまう等の不具合が発生するものも確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっきプロセスに用いられる接着補助層用樹脂組成物であって、(C)ポリアミド樹脂存在下で、(A)エポキシ樹脂と(B)エポキシ硬化剤を反応させたポリアミド変性エポキシプレポリマーを含有することを特徴とする接着補助層用樹脂組成物。
【請求項2】
(A)エポキシ樹脂が、多官能エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の接着補助層用樹脂組成物。
【請求項3】
(A)エポキシ樹脂が、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の接着補助層用樹脂組成物。
【請求項4】
(B)エポキシ硬化剤が、フェノール系硬化剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着補助層用樹脂組成物。
【請求項5】
(B)エポキシ硬化剤が、ジシアンジアミド又はノボラック型硬化剤、もしくはその両方を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着補助層用樹脂組成物。
【請求項6】
(C)ポリアミド樹脂が、ポリブタジエン共重合体、又はダイマー酸共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着補助層用樹脂組成物。
【請求項7】
(C)ポリアミド樹脂の配合割合が、全重量%中の3〜30重量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着補助層用樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着補助層用樹脂組成物を含むワニス。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着補助層用樹脂組成物を、支持体に塗布乾燥した後の厚みが1〜10μmである接着補助層。
【請求項10】
請求項9に記載の接着補助層の支持体として、銅箔を用いた接着補助層付き銅箔。
【請求項11】
請求項9に記載の接着補助層の支持体として、PETフィルムを用いた接着補助層付き樹脂フィルム。
【請求項12】
請求項9に記載の接着補助層の支持体として、PENフィルムを用いた接着補助層付き樹脂フィルム。
【請求項13】
請求項9に記載の接着補助層の支持体として、PPSフィルムを用いた接着補助層付き樹脂フィルム。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか一項に記載の接着補助層の支持体に離型処理が施してある接着補助層付き樹脂フィルム。
【請求項15】
配線板用プリプレグの両面または片面に、請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着補助層用樹脂組成物により形成された接着補助層が設けられている接着補助層付き積層板。
【請求項16】
粗化後のRaがRa<0.3μmである請求項15記載の接着補助層付き積層板。
【請求項17】
配線板用プリプレグの両面または片面に、請求項10に記載の接着補助層付き銅箔または請求項11〜14記載の接着補助層付き樹脂フィルムを重ね、さらに鏡板を重ねて加熱・加圧するプレス成型して作製する接着補助層付き配線板用積層板の製造方法。
【請求項18】
回路加工した配線板の両面または片面に、配線板用プリプレグと、請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着補助層用樹脂組成物により形成された接着補助層とが順に積層されている接着補助層付き多層配線板。
【請求項19】
回路加工した配線板の両面または片面に、配線板用プリプレグと請求項10に記載の接着補助層付き銅箔または請求項11〜14のいずれか一項に記載の接着補助層付き樹脂フィルムを重ね、さらに鏡板を重ねて加熱・加圧するプレス成型して作製する接着補助層付き多層配線板の製造方法。
【請求項20】
接着補助層付き多層配線板を粗化し、粗化後の表面粗さ(Ra)が0.3μm以下である請求項19に記載の接着補助層付き多層配線板の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−233101(P2012−233101A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103201(P2011−103201)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】