説明

携帯テレビ電話

【課題】 映像および音声の無線送受信機能を有する電話機本体1と、映像情報を映像情報駆動部3から結像光学系を通して使用者の目の網膜上に虚像を形成する虚像光学表示装置2とを備える携帯テレビ電話において、使用者の目の前に、位置する虚像光学表示装置2の機器構成を必要最小限にして、携帯テレビ電話の接眼部の小型化を図る。
【解決手段】 虚像光学表示装置2の結像光学系4を、折り返し部4bを介して映像情報駆動部側光学系4aと、接眼部側光学系4cとに分離する。電話機本体1に折り畳み可能に設けられたアーム6に上記接眼部側光学系4cを装着する。アーム6を開放した際の接眼部側光学系4cとビデオカメラ部11の撮影方向とがほぼ平行方向となるように、ビデオカメラ部11を電話話機本体1に配置する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、映像および音声の無線送受信機能を有する電話機本体と、受信した映像情報を映像情報駆動部から結像光学系を通して使用者の目の網膜上に虚像を形成する虚像光学表示装置を備える携帯テレビ電話に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、携帯テレビ電話において、受信した映像情報を映像情報駆動部から結像光学系を通して使用者の目の網膜上に虚像を形成させて認識表示させるようにしたものがある。
【0003】上記従来の携帯テレビ電話における虚像光学表示装置は、使用者の目から見て、接眼部の向こうに結像光学系と映像情報駆動部が一体となって電話機本体に装着されている(米国特許第6,073,034号等参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】使用者の目の前に位置する接眼部に一体化して映像情報駆動部を配置した場合、目の前に位置する機器構成が大きくなり、全体のバランスが悪く、電話機本体の厚みも厚くする必要があった。
【0005】そこでこの発明の課題は、使用者の目の前に、位置する虚像光学表示装置の機器構成を必要最小限にして、携帯テレビ電話の接眼部の小型化を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題を解決するために、映像および音声の無線送受信機能を有する電話機本体と、映像情報を映像情報駆動部から結像光学系を通して使用者の目の網膜上に虚像を形成する虚像光学表示装置と、を備える携帯テレビ電話において、上記虚像光学表示装置の結像光学系を、折り返し部を介して映像情報駆動部側光学系と、接眼部側光学系とに分離すると共に、上記電話機本体に折り畳み可能に設けられたアームに上記接眼部側光学系が装着され、上記電話機本体内に、映像情報駆動部側光学系と映像情報駆動部とを装着し、前記アームを開放した際の接眼部側光学系とビデオカメラ部の撮影方向とが平行又はほぼ平行方向となるように、上記ビデオカメラ部が電話機本体に配置されていることを特徴とする。
【0007】上記のように、結像光学系を、折り返し部を介して映像情報駆動部側光学系と、接眼部側光学系とに分離した構成にすることにより、使用者の目の前に、接眼部側光学系のみを位置させ、映像情報駆動部を、目の側方乃至後方位置に配置することができる。
【0008】したがって、使用者の目の前に位置する機器構成を小さくすることができ、携帯テレビ電話の小型化が図れる。
【0009】アームを開いた状態において、接眼部側光学系と、ビデオカメラ部とが平行又はほぼ平行な方向となるように、電話機本体にビデオカメラ部を配置することで、接眼部光学系を使用者が観察するようにすると、使用者の目の前方に位置する箇所をビデオカメラ部が撮影することになる。このため、使用者は目で追うようにして、ビデオカメラ部で被写体を撮影することができる。
【0010】また、この発明は、上記した構成に加え、前記アームの開閉状態を検知する手段を備え、アームの開閉状態に応じて少なくとも映像情報駆動部の駆動が制御されることを特徴とする。
【0011】上記したように構成することで、消費電力の削減及び見難い形態での使用を回避することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1〜図7は、この発明に係る携帯テレビ電話の第1の実施形態を示している。
【0013】この実施形態の携帯テレビ電話は、映像および音声の無線送受信機能を有する電話機本体1と、映像情報を映像情報駆動部3から結像光学系4を通して使用者の目Eの網膜上に虚像を形成する虚像光学表示装置2と、を備える。
【0014】上記の結像光学系4は、レンズ群L1〜L5と平面ミラーM1〜M2の組み合わせからなり、図1の矢印のように、映像情報駆動部側光学系4aと、折り返し部4bと、接眼部側光学系4cとに分離されたリレー光学系を構成している。
【0015】上記電話機本体1には、少なくとも上記接眼部側光学系4cを装着するアーム6が設けられている。更に、図示しないが電話機本体1の内部にはこの電話機の送受動作や他の制御動作を行うための制御回路が設けられている。
【0016】この接眼部側光学系4cを装着するアーム6は、上記電話機本体1に対してヒンジ5により、折り畳み可能に設けられている。
【0017】この実施形態においては、図1に示すように、電話機本体1に、映像情報駆動部3、映像情報駆動部側光学系4aと折り返し部4cの一部が設けられ、アーム6に、折り返し部4cの一部と接眼部側光学系4cが設けられている。以下、アーム6に設けられる折り返し部4cの一部と接眼部側光学系4cを含めてディスプレイ接眼部6aと称する。
【0018】図2は、アーム6を起こして開いた状態、図3はアームを畳んで閉じた状態を示しており、図2のように、アーム6を開いた状態において、上記リレー光学系が形成されるようになっている。
【0019】上記リレー光学系の途中には、外部露出空間Cを設けており、この外部露出空間Cにより、リレー光学系の保持部の軽量化を図っている。
【0020】上記電話機本体1は、プッシュボタン操作部7、液晶表示部8、スピーカー部9、マイク部10を有する。
【0021】図2に示すように、接眼部側光学系4cを備えたディスプレイ接眼部6aを装着するアーム6を開いた状態で、スピーカー部9を耳に当てると、図1に示すように、使用者の目Eの前に、接眼部側光学系4cが位置し、映像情報駆動部3からの映像情報が上記リレー光学系を通して使用者の目Eの網膜上に虚像として表示される。即ち、アーム6を確実に開き、この状態でスピーカー部9を耳に当てると、接眼部側光学系4cが使用者の目Eの前に位置するように、スピーカー部9から電話機本体1のヒンジ部5迄の長さ、アーム6の長さ、アーム6と電話機本体1との角度が人間工学的に最適な条件で決定されている。
【0022】このため、使用者が、接眼部側光学系4cを含むディスプレイ接眼部6aを装着したアーム6を開いた状態で、スピーカー部9を耳に当て、映像情報を視認する際にも、疲れがなく、自然な状態で観察できるように構成されている。
【0023】また、電話機本体1のスピーカー部9とヒンジ5との間に、図示するように、丸みを帯び持ちやすいような形状に構成された保持部13が設けられている。
【0024】更に、上記電話機本体1には、送信映像を撮影するビデオカメラ部11を有し、このビデオカメラ部11は使用者に対向する被写体を撮影する状態に取付けられている。すなわち、アーム6を開いた状態において、接眼部側光学系4cと、ビデオカメラ部11とが平行又はほぼ平行な方向となるように、スピーカー部9などが設けられた面とは反対の面に配置される。従って、接眼部光学系4cを使用者が観察するようにすると、使用者の目の前方に位置する箇所をビデオカメラ部11が撮影することになる。このため、使用者は目で追うようにして、ビデオカメラ部11で被写体を撮影することができる。
【0025】そして、図5に示すように、この携帯テレビ電話は、使用状態において、スピーカー部9、保持部13、ビデオカメラ部11、ディスプレイ接眼部6aという順序で配置されるように構成されている。そして、保持部13でこの電話機本体1を使用者が掴んで保持したときに、その指先が押下しやすい位置にビデオカメラ部11のシャッタボタン12が設けられている。
【0026】上記したように、使用時にビデオカメラ部11の後方に保持部13が位置することにより、電話機を使用しているときにも指先などがビデオカメラ部11の撮影の邪魔になることがなく、使用者の目線方向にある被写体を撮影することができる。
【0027】このビデオカメラ部11で撮影した映像は、映像情報駆動部3に映像情報として与えられ、上記リレー光学系4を通して使用者の目Eの網膜上に虚像として表示することにより、ビデオカメラ部11で撮影している映像を使用者がモニタリングすることができる。このため、使用者は、現在撮影されている実際の映像を確認しながら、相手側にその映像を送信することができる。
【0028】勿論、映像情報駆動部3に、相手先からの映像情報を与えられることにより、上記リレー光学系4を通して使用者の目Eの網膜上に送信されてきた映像を虚像として表示することもできる。
【0029】ところで、使用者は、使用状態においては、ある程度上下方向にビデオカメラ部11の撮影方向を変化させ、撮影状態を変化させたい場合もある。ビデオカメラ部11は固定のままでは、顔を上下させるなどして、対応する必要がある。そこで、図6に示すように、ビデオカメラ部11を電話機本体1に対して、回転軸11aを介して回転可能に取り付け、ビデオカメラ部11を所定の角度を回転可能なように構成してもよい。
【0030】このように構成することにより、ビデオカメラ部11を指先などで回転させ、ディスプレイ接眼部6aを介して与えられる虚像を確認しながら所望の角度位置にビデオカメラ部11の位置を決めれば、使用者が一番好ましい使用状態で電話機本体1及びビデオカメラ部11を操作することができる。
【0031】上記映像情報駆動部3は、透過型又は反射型の液晶パネルとLED等からなる光源とによって構成されている。
【0032】なお、上記映像情報駆動部3は、EL等の自発光型表示装置を使用することもできる。
【0033】上記した実施形態では、リレー光学系を構成する結像光学系4を、レンズ群L1〜L5と平面ミラーM1〜M2の組み合わせによって構成したが、リレー光学系は、レンズ群と曲面ミラーの組み合わせ、曲面ミラーの組み合わせによって構成してもよい。
【0034】ところで、上記した携帯テレビ電話においては、電池にて駆動されるので、使用時間などを考慮すれば、使用電力はなるべく少なくする方が好ましい。このため、電源スイッチをオンにすると、映像情報駆動部3も常にオンにすると、使用者が映像を見る必要がない場合においても映像情報駆動部3による電力を使用することになるので、好ましくはない。
【0035】そこで、この実施形態においては、アーム6の開閉状態、プッシュボタン操作部7による設定などにより、映像情報駆動部3などの電力制御を行うように制御している。
【0036】図7は、上記した携帯テレビ電話の回路構成を示すブロック図である。図1においては、図示していないが、アーム6と電話機本体1を繋ぐヒンジ5部分にアームセンサスイッチ108が設けられており、アーム6の開閉の度合いが検知可能に構成されている。
【0037】このアームセンサスイッチ108からの信号がコントローラ100に与えられ、コントローラ100はこのアームセンサスイッチ108からの信号に基づき、各種モジュール回路の制御を行う。携帯テレビ電話を使用する場合には、アーム6を完全に開いて、結像光学系4が所定の光路を構成する必要がある。このため、アーム6を開けた状態が不完全な状態であれば、使用者の網膜に虚像を結像することができない。そのような状態においては、使用者にアーム6の開放状態が不完全であることを知らせると共に、その間の映像情報駆動部6への電力の消費を少なくするために、アーム6の開閉状態をアームセンサスイッチ108からの信号に基づきコントローラ100が判断し、各種モジュール回路を制御するものである。このように構成することで、消費電力の削減及び見難い形態での使用を回避することができる。具体的な制御については、後述する。
【0038】リチウムイオン蓄電池などの2次電池101からの電力は電源管理回路102を介して各モジュール回路に与えられる。この電源管理回路102はコントローラ100により制御される。
【0039】RF回路107は、アンテナからの受信信号を周波数変換、A/D変換して、受信したデジタル信号をコントローラ100に与えると共に、コントローラ100より与えられる送信データをD/A変換、周波数変換してアンテナより出力する。
【0040】このコントローラ100は、携帯電話のベースバンドの信号処理、通常電話の音声コーデック及び全体のコントロールを行う。
【0041】また、テレビ電話通信時のMPEG4などの規格に基づく画像圧縮・伸張並びに音声信号の圧縮・伸張の処理は、マルチメディアプロセッサ106で行われ、このマルチメディアプロセッサ106は、コントローラ100により制御される。
【0042】メモリ105は、主としてマルチメディア処理時に必要な画像などを記憶する。このメモリ105は、コントローラ100により書き込み、読み出し等が制御される。
【0043】表示コントローラ113は、映像情報駆動部3に対するインターフェース並びにその制御を行うものであり、コントローラ100により制御される。
【0044】ビデオカメラ部11は、カメラコントローラ104により制御され、ビデオカメラ部11から入力された映像データは、カメラコントローラ104によりデジタル信号に変換され、メモリ105、マルチメディアプロセッサ106、表示コントローラ113に画像データが与えられる。
【0045】マイク回路110は、入力された、音声データをデジタル変換し、コントローラ100に与える。そして、コントローラ100にて音声コーデックされ、RF回路107を介してアンテナから相手先に送信される。
【0046】スピーカー部109は、コントローラ100から与えられる相手側からの音声データを復調し、音声として出力する。
【0047】プッシュボタン操作部7は、テンキー、電源キー、ファクションキーなどで構成され、使用者が押下したキー情報がコントローラ100に与えられる。コントローラ100は、プッシュボタン操作部7から与えられたキー情報に基づき、各種動作を行う。
【0048】ディスプレイコントローラ114は、キーパッドより入力されたデータ、送受信動作等を表示するための液晶表示部8を制御する。
【0049】次に、この発明にかかる携帯テレビ電話の送受信動作等につき説明する。基本的な動作は、テレビ電話の受信データは、RF回路107からコントローラ100に与えられ、コントローラ100からマルチメディアプロセッサ106に与えられる。マルチメディアプロセッサ106にて、音声、画像をデコードし、画像データが表示コントローラ113に送られ、表示コントローラ113は与えられた画像データに基づき、映像情報駆動部3を駆動し、映像情報駆動部3からの映像データがディスプレイ接眼部6から使用者の目Eに与えられ、虚像として認識される。
【0050】また、テレビ電話の送信データは、ビデオカメラ部11で撮影した被写体の画像データがカメラコントローラ104からマルチメディアプロセッサ106に与えられ、マルチメディアプロセッサ106にて画像圧縮され、コントローラ100からRF回路107に与えられて送信される。ビデオカメラ部11からの画像データは表示コントローラ113にも与えられ、映像情報駆動部3からビデオカメラ部11で撮像された映像データをディスプレイ接眼部6から使用者の目Eに与え、モニタリングできる。また、テレビ電話の音声データはマイク回路110からマルチメディアプロセッサ106に与えられ、マルチメディアプロセッサ106にて音声圧縮され、コントローラ100からRF回路107に与えられて送信される。
【0051】この発明にかかる携帯テレビ電話の基本的な動作は、上記のように行われるが、電力消費を少なくするために、この発明においては、テレビ電話として使用する場合には、アーム6を完全に解放した状態にて行うものとし、電源スイッチがオンにされてもアーム6が完全に開放されていない限り、画像処理を行う回路に電源を与えないように、電源管理回路102を制御して、電力の消費を抑制している。
【0052】このため、コントローラ100は、アームセンサスイッチ108からの信号に基づき、アーム6が完全に開放されたことを検知すると、映像情報駆動部3、表示コントローラ113、ビデオカメラ部11、カメラコントローラ104、マルチメディアプロセッサ106などに電源を与えるるように制御する。なお、ファンクションキーなどの設定により、上記した全てのモジュール回路に電源を与えるのではなく、最低限のモジュール回路に電源を与えるように設定できるように構成してもよい。例えば、相手先に画像を送信するだけの場合には、電力を多く必要とする映像情報駆動部3には、電力を与えずに、電力消費を抑制するなど、色々な設定が考えられる。
【0053】以下、制御例につき説明する。例えば、音声回線のみにて通話しているときに、アーム6を開き、アームセンサスイッチ108からの信号により、コントローラ100がアーム6が完全に開かれたと判断すると、コントローラ100は、映像情報駆動部3、表示コントローラ113、マルチメディアプロセッサ106、ビデオカメラ部11、カメラコントローラ104及びメモリ105を起動するように、電源管理回路102と各モジュール回路に指示する。
【0054】なお、音声回線ではテレビ電話は利用できないため、通常、一度音声回線を切断し、改めてテレビ電話のための回線を確立する(かけ直す)必要がある。しかしながら、複数の回線を同時に接続できる機能があれば,以下の手順により途切れなく音声電話からテレビ電話に移行することが可能になる。
【0055】コントローラ100は、ビデオカメラ部11で撮影した送信映像を映像情報駆動部3に与え、使用者の目Eの網膜上に虚像を表示すると共に、テレビ電話のための回線接続を行い、片方向のビデオ送信と双方向の音声送受信を実現し、その後、最初の音声回線を切断するように、各モジュール回路を制御する。
【0056】また、例えば、テレビ電話通信時で且つ画像を受信していないとき、即ち、画像送信のみ行っているときに、アーム6が閉じられ、アームセンサスイッチ108からの信号により、コントローラ100がアーム6が閉じられたと判断すると、音声のための回線接続を行い、双方向の音声送受信を実現し、その後、これまでのテレビ電話用回線を切断する。そして、コントローラ100は、映像情報駆動部3、表示コントローラ113、マルチメディアプロセッサ106、ビデオカメラ部11、カメラコントローラ104及びメモリ105を停止するように、電源管理回路102と各モジュール回路に指示する。
【0057】また、例えば、音声のみで通話しているときで、且つ同じ相手からの画像データ受信(呼出)があるときに、アーム6を開き、アームセンサスイッチ108からの信号により、コントローラ100がアーム6が完全に開かれたと判断すると、コントローラ100は、映像情報駆動部3、表示コントローラ113、マルチメディアプロセッサ106、ビデオカメラ部11、カメラコントローラ104及びメモリ105を起動するように、電源管理回路102と各モジュール回路に指示する。
【0058】そして、コントローラ100は、テレビ電話のための回線接続を行い、片方向のビデオ受信と双方向の音声送受信を実現すると同時に,相手から送られてきた受信映像を映像情報駆動部3で表示し、その後、最初の音声回線を切断するように、各モジュール回路を制御する。
【0059】なお、アーム6が開かれた状態においてもテレビ電話を使用しない場合には、プッシュボタン操作部7からのボタン操作により、テレビ電話に関するモジュール回路を停止するようにコントローラ100が制御するように構成できる。このとき、テレビ電話の動作を開始するときには、プッシュボタン操作部7からのボタン操作によりテレビ電話に関するモジュール回路を起動するように構成すればよい。
【0060】また、テレビ電話通信時で且つ画像を送信していないとき、即ち、画像を受信しているとき、アーム6が閉じられ、アームセンサスイッチ108からの信号により、コントローラ100がアーム6が閉じられたと判断すると、音声のための回線接続を行い、双方向の音声送受信を実現し、その後、これまでのテレビ電話用回線を切断する。そして、コントローラ100は、映像情報駆動部3、表示コントローラ113、マルチメディアプロセッサ106、ビデオカメラ部11、カメラコントローラ104及びメモリ105を停止するように、電源管理回路102と各モジュール回路に指示する。
【0061】上記したように、アーム6の開閉に応じて、テレビ電話の動作を制御するように構成すれば、使用する機能以外のモジュール回路への電源供給を停止又は抑制することができ、消費電力を低減することができる。
【0062】上記したように、この発明にかかる携帯テレビ電話においては、アーム6を確実に開き、この状態でスピーカー部9を耳に当てると、接眼光学系4cが使用者の目Eの前に位置するように、スピーカー部9から電話機本体1のヒンジ部5迄の長さ、アーム6の長さ、アーム6と電話機本体1との角度が人間工学的に最適な条件で決定されている。次に、この各種寸法等の決定方法につき、図8を参照して説明する。
【0063】図8に示すように、耳と携帯テレビ電話との接触点Paが決まる。この接触点は、携帯テレビ電話のスピーカー部9の位置に使用者の耳を当てた点になる。
【0064】次に、ディスプレイ接眼部6aの接眼レンズ部分の中心位置Pbを以下のようにして決定する。
【0065】人間光学的に見やすいディスプレイ接眼部6aの接眼レンズ部分の中心位置Pbは、光軸がまっすぐ前方かそれより内向きになる方向にある。図8においては、光軸がまっすぐ前方になるようにした。目とディスプレイ接眼部6aの接眼レンズ部分との距離は眼鏡をかけた使用者であっても、眼鏡が接触しないことを考慮して3.5cm程度する。
【0066】携帯テレビ電話のスピーカー部9と耳とを接触点Paで接触させつつ、携帯テレビ電話が顔に接触するまで、Paを中心に垂直軸回りに回転させる。この接触点の顔側をPc、携帯テレビ電話側をPdとする。
【0067】接眼レンズの中心位置Pbを通り、水平で且つ光軸に垂直な直線をLaとし、この直線Laと直線Pa−Pdとの交点をPeとする。両耳間を結ぶ直線とPa−Peとのなす角をαとすると、Pc=Pdのとき、これが使用中のαの最小角度α1となる。日本人の人体計測データの平均値(20〜24歳の男性)から算出すると、α1は約80度となる
【0068】α=90度の場合、距離Pb−Peは{(耳間距離)−(瞳孔間距離)}/2となる。日本人の人体計測データの平均値(20〜24歳の男性)から算出すると、40.3mmとなるが、眼鏡や人間光学的な使い易さを考慮し、αを以下のように決定する。
【0069】眼鏡と干渉しないことを考慮したαをα2とすると、使用中はα≧α2となる。上記した日本人の人体計測データに基づくと、α2は約85度となる。
【0070】接眼部の長さを長くすることにより、αは大きくすることも可能であるが、人間工学的に肘を閉じた姿勢の方がカメラ撮影などが安定し、持ちやすいため、αの上限値α3とすると、α3=90度が上限値と設定する。よって、α1≦α≦α3の範囲になるようにαを選択すればよい。
【0071】距離Pa−Peは、α=90度の場合、日本人の人体計測データの平均値における(耳と目の間の距離)に目と接眼レンズまでの距離35mmを加算した値となる。従って、α=90度の場合、距離Pa−Peは139mmとなる。
【0072】α=α2=85度の場合、距離Pb−Pe=40.3−139/tanαとなり、距離Pb−Pe=40.3−139/11.43≒28.1(mm)となる。
【0073】距離Pa−Pe=139/sinα=139/0.996=139.5mmとなる。
【0074】ヒンジ5の位置は、アーム6の開閉角度、アーム6を閉じたときの本体のディスプレイ接眼部6aの格納部分の大きさに影響する。例えば、ヒンジ5をスピーカー部9に近づければ、アーム6を閉じたときの本体の長さを短くすることができるが、回転角度が大きくなり、閉じたときのディスプレイ接眼部6aの先がスピーカー部9に近づくことになる。逆に、ヒンジ5をスピーカー部9から遠ざければ、アーム6を閉じたときの本体の長さが長くなり、閉じたときのディスプレイ接眼部6aの先がスピーカー部9から遠ざかる。
【0075】この実施形態においては、電話機本体1には、アーム6を閉じたときにもプッシュボタン操作部7が使えるだけのスペースを設ける方が使用勝手が良い。また、電話機本体1はできるだけ短くする方が小型化が図れる。
【0076】また、ヒンジ5の位置は、閉じた時の小型化を考慮すると、接眼部の光軸からの距離の最小値がPb−Pe+βで、かつ、スピーカー部9の位置Paからの距離の最小値がPaからめがね折り曲げ部までの距離になる。
【0077】なお、βはPeから本体表面までの距離と本体表面からヒンジ5までの距離の和で、本体厚さに関係する。ここでは,約11.9mmとし、接眼部の光軸からヒンジ5までの距離の最小値は、40mm、スピーカー部9の位置Paからヒンジ5までの距離の最小値は、標準的めがねの寸法から約120mmとする。
【0078】また、上記距離のそれぞれの最大値を、接眼部の光軸からヒンジ5までの距離の最大値を本体の厚さを考慮して60mmに、スピーカー部9の位置Paからヒンジ5までの距離の最大値を接眼部の厚さを考慮して150mmとした。
【0079】従って、電話機のスピーカー部9の位置からヒンジ5の位置までの長さと接眼部の光軸からヒンジ5までの長さの比は、2:1から15:4の範囲となる。
【0080】この実施形態では、電話機のスピーカー部9の位置からヒンジ5の位置までの長さを135mmと接眼部の光軸からヒンジ5までの長さを52mmに設定している。
【0081】上記した各部位の寸法は、日本人の人体計測データの平均値(20〜24歳の男性)から算出したものであり、女性専用や欧米人用には、それぞれの平均値から電話機本体部1の長さを設定し、この長さに基づき、上記した比率によりアーム6の長さ及びヒンジ5の位置を設定すればよい。
【0082】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、結像光学系を、折り返し部を介して映像情報駆動部側光学系と、接眼部側光学系とに分離した構成にすることにより、使用者の目の前に、接眼部側光学系のみを位置させ、映像情報駆動部を、目の側方乃至後方位置に配置することができるので、使用者の目の前の機器構成を小さくすることができ、携帯テレビ電話の接眼部の小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る携帯テレビ電話の第1の実施形態を示す断面構成図である。
【図2】この発明に係る携帯テレビ電話の第1の実施形態を示すアームを開いた状態の斜視図である。
【図3】この発明に係る携帯テレビ電話の第1の実施形態を示すアームを閉じた状態の正面図である。
【図4】この発明に係る携帯テレビ電話の第1の実施形態を示す背面図である。
【図5】この発明に係る携帯テレビ電話の第1の実施形態を示すアームを開いた状態の側面図である。
【図6】この発明に係る携帯テレビ電話のビデオカメラ部の取付状態を示す模式的断面図である。
【図7】この発明に係る携帯テレビ電話のブロック回路図である。
【図8】この発明に係る携帯テレビ電話の使用者と機器との関係を示す上面図である。
【符号の説明】
1 電話機本体
2 虚像光学表示装置
3 映像情報駆動部
4 結像光学系
4a 映像情報駆動部側光学系
4b 折り返し部
4c 接眼部側光学系
5 ヒンジ
6 アーム
6a ディスプレイ接眼部
7 プッシュボタン操作部
8 液晶表示部
9 スピーカー部
10 マイク部
11 ビデオカメラ部
E 目
L1〜L5 レンズ群
C 外部露出空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】 映像および音声の無線送受信機能を有する電話機本体と、映像情報を映像情報駆動部から結像光学系を通して使用者の目の網膜上に虚像を形成する虚像光学表示装置と、を備える携帯テレビ電話において、上記虚像光学表示装置の結像光学系を、折り返し部を介して映像情報駆動部側光学系と、接眼部側光学系とに分離すると共に、上記電話機本体に折り畳み可能に設けられたアームに上記接眼部側光学系が装着され、上記電話機本体内に、映像情報駆動部側光学系と映像情報駆動部とを装着し、前記アームを開放した際の接眼部側光学系とビデオカメラ部の撮影方向とが平行又はほぼ平行方向となるように、上記ビデオカメラ部が電話機本体に配置されていることを特徴とする携帯テレビ電話。
【請求項2】 前記ビデオカメラ部が電話機本体に対して回転可能に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の携帯テレビ電話。
【請求項3】 前記アームの開閉状態を検知する手段を備え、アームの開閉状態に応じて少なくとも映像情報駆動部の駆動が制御されることを特徴とする請求項1に記載の携帯テレビ電話。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図6】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【公開番号】特開2002−152626(P2002−152626A)
【公開日】平成14年5月24日(2002.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−343361(P2000−343361)
【出願日】平成12年11月10日(2000.11.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】