説明

携帯移動電話機及びその電話帳表示方法

【課題】携帯移動電話機を使用している現在位置情報を利用して、電話帳の検索を容易にすることが可能な携帯移動電話機及びその電話帳表示方法を提供することにある。
【解決手段】制御部111は、「場所優先」が選択されると、電話帳検索部109に指示を出し、メモリ部106に記憶した電話番号情報から所定の項目を検索させる。電話帳検索部109は、制御部111から指示を受けると、位置情報検出部105から位置情報を入手し、市区町村情報とその座標情報から現在位置との距離を計算して、制御部111に出力する。制御部111は、電話帳検索部109から距離情報を受けると、距離が近い順に上から相手先の名前と電話番号を表示し、最も近い相手先を反転表示する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、携帯移動電話機及びその電話帳表示方法に係り、更に詳しくは、基地局装置と通信して自己の現在位置を認識する携帯移動電話機及びその電話帳表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 従来の携帯電話やPHSなどの携帯移動電話機では、相手先の電話番号やその番号に対応する名前などを複数件登録できる電話帳機能を備えているものが知られている。この電話帳機能は、携帯移動電話機が備える不揮発性メモリに電話番号情報を名前などの情報と共に記憶及び蓄積し、所定の操作によって相手先情報を順次表示して発呼するものであり、中には数百件の項目を登録できるものもある。その一例として、簡単なジョグ・ダイヤルの回転操作で相手先情報を順次表示するものや、頭文字の入力で該当する項目を順次表示するものなど様々な検索方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、従来の携帯移動電話機では、電話帳検索をする場合、登録された数百件に及ぶ全項目が検索の対象となり、例えばジョグ・ダイヤルによる操作でも、この全項目に対して順次目視確認する必要があるので、操作性が悪く又検索に長時間を要するという問題点があった。
【0004】本発明は、上記の問題点を解決する為になされたものであり、使用者の現在位置に基づいて電話帳に登録された全ての電話番号情報の中から必要な項目を絞り込むことにより、電話帳の検索を容易にすることが可能な携帯移動電話機及びその電話帳表示方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】 請求項1に係る本発明の携帯移動電話機は、上記の目的を達成するために、基地局装置と通信して自己の現在位置を認識する携帯移動電話機において、電話番号情報を記憶する記憶手段と、前記現在位置に基づいて前記記憶手段が記憶する電話番号情報を選択する選択手段と、前記選択手段が選択した電話番号情報を表示する表示手段とを具備することを特徴とする。
【0006】請求項2に係る本発明の携帯移動電話機は、請求項1に記載の携帯移動電話機において、前記表示手段が表示する電話番号情報の表示順序を前記現在位置に基づいて制御する表示制御手段を具備することを特徴とする。
【0007】請求項3に係る本発明の携帯移動電話機は、請求項2に記載の携帯移動電話機において、前記表示制御手段は、前記現在位置から距離的に近い電話番号情報を他の電話番号情報に優先して表示するように表示順序を制御することを特徴とする。
【0008】請求項4に係る本発明の携帯移動電話機の電話帳表示方法は、基地局装置と通信して自己の現在位置を認識する携帯移動電話機の電話帳表示方法において、電話番号情報を記憶する第1ステップと、前記現在位置に基づいて前記記憶手段が記憶する電話番号情報を選択する第2ステップと、前記選択手段が選択した電話番号情報を表示する第3ステップとを含むことを特徴とする。
【0009】請求項5に係る本発明の携帯移動電話機の電話帳表示方法は、請求項4に記載の携帯移動電話機の電話帳表示方法において、前記表示手段が表示する電話番号情報の表示順序を前記現在位置に基づいて制御する第4ステップを含むことを特徴とする。
【0010】請求項6に係る本発明の携帯移動電話機の電話帳表示方法は、請求項5に記載の携帯移動電話機の電話帳表示方法において、前記第4ステップは、前記現在位置から距離的に近い電話番号情報を他の電話番号情報に優先して表示するように表示順序を制御する第5ステップを含むことを特徴とする。
【0011】
【実施の形態】 まず、以下の用語を定義する。
【0012】特許請求の範囲に記載した基地局装置とは、後述する従来の移動体通信システムにおける公衆基地局CSだけではなく、衛星電話システムで使用される通信衛星も含めていう。
【0013】次に、本発明の実施の形態を図面と共に詳細に説明する。
【0014】図1は、本発明に係る携帯移動電話機の回路構成を示すブロック図である。
【0015】101は、携帯移動電話機であり、公衆基地局CSを介して公衆回線Nに接続するようになっている。但し、携帯移動電話機101から公衆基地局CSを介して公衆回線Nに接続する技術は周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0016】111は、制御部であり、後述するメモリ部から動作ソフトウェアを読み込んで携帯移動電話機101の全体を制御する。
【0017】102は、無線部であり、携帯移動電話機101のアンテナを介して基地局装置CSと信号の送信及び受信を行う。
【0018】103は、音声処理部であり、音声信号のデジタル−アナログの相互変換を行う。
【0019】104は、マイク・スピーカ部であり、音声処理部103に接続して音声の入出力を行う。
【0020】105は、位置情報検出部であり、基地局装置CSと無線部102との間でやりとりされる制御信号の中から必要な情報を入手して携帯移動電話機101の現在位置を認識する。通常、位置情報検出部105は、基地局装置CSから送信されてくる制御信号中の位置情報(例えば、岐阜県岐阜市を示す情報)から現在位置を認識する。但し、位置情報検出部105は、基地局装置CSから位置情報が送信されて来ない場合には、制御信号の中から基地局を特定する情報(基地局毎に与えられた番号であって以下、「基地局ID」という)と後述するメモリ部に記憶する基地局の設置位置を示す情報から現在位置を認識する。
【0021】106は、メモリ部であり、携帯移動電話機101の動作ソフトウェアを格納して動作させると共に、名前などを含む電話番号情報、各市区町村の地図上の座標情報及び基地局IDと基地局の設置位置を示す情報を対応付けて記憶及び蓄積する。
【0022】107は、操作部であり、使用者から電話番号入力などの各種入力指示を受け付ける。
【0023】109は、電話帳検索部であり、ジョグ・ダイヤルや頭文字の入力による従来の電話帳検索に加え、位置情報検出部105で検出した基地局の位置情報や基地局IDに基づいてメモリ部106に記憶した電話番号情報から所定の項目を取り出す。
【0024】108は、表示部であり、使用者による操作部107への操作に対する各種メッセージの表示や電話帳検索部109で検索した電話番号情報中の所定の項目の表示を行う。
【0025】つぎに、上述のように構成された本発明に係る携帯移動電話機の電話帳表示動作について説明する。
【0026】まず、携帯移動電話機101の使用者が、操作部107に含まれる電源スイッチを操作して電源をONにすると、制御部111はハードウェアの初期チェックを行なった後に、メモリ部106から携帯移動電話機101の全体を制御する動作ソフトウェアを読み込む。そして、制御部111は、無線部102に指示を出し、最も電波状態の良い基地局装置CSと通信を行なって位置登録を行なう。
【0027】またこのとき、位置情報検出部105は、基地局装置CSから送信されてくる制御信号中の位置情報(説明の為、岐阜県岐阜市を示す情報と仮定する)から現在位置を認識する。但し、位置情報検出部105は、制御信号の中の基地局ID(例えば、ID=CS001)とメモリ部106に記憶する基地局の設置位置を示す情報(例えば、ID=CS001の基地局の所在地は岐阜県岐阜市という情報)から現在位置を認識することも可能である。
【0028】図2は、本発明に係る携帯移動電話機の電話帳モードにおける表示状態を示す概念図である。
【0029】つぎに、携帯移動電話機101の使用者が、操作部107に含まれる電話帳キーを操作すると、制御部111は表示部108に電話帳モードにおける選択画面を表示する。ここで、使用者が番号ボタン1を押すと相手先が「あいうえお順」で表示され、番号ボタン2を押すと「友人」グループに登録された相手先が表示され、番号ボタン3を押すと「会社」グループに登録された相手先が表示されるが、本発明と直接関係しないので説明を省略すると共に、使用者が番号ボタン4を押して「場所優先」を選択したと仮定する。
【0030】図3は、本発明に係る携帯移動電話機のメモリ部が記憶する情報を示す概念図であり、図3(A)は名前などを含む電話番号情報及び図3(B)は各市区町村の地図上の座標情報である。
【0031】制御部111は、図2の状態から「場所優先」が選択されると、電話帳検索部109にメモリ部106に記憶した電話番号情報から所定の項目を取り出す様に指示を出す。
【0032】電話帳検索部109は、制御部111から上述した指示を受けると、位置情報検出部105から位置情報(この場合、岐阜県岐阜市)を入手し、登録されている全ての電話番号情報(但し、友人グループや会社グループなどの様に、所定のグループの範囲に電話番号情報を絞り込むことも可能である)中の住所に含まれる市区町村情報と各市区町村の地図上の座標情報から現在位置との距離を計算する。例えば、高橋三郎は岐阜県岐阜市であるので、現在位置からの距離は零であり、また鈴木太郎は岐阜県大垣市であるのでX座標の差(X3−X1)の二乗とY座標の差(Y3−Y1)の二乗との和を取り、開平すれば現在位置からの距離が求められる。但し、本実施例では説明の簡略化の為、位置情報として市区町村単位としているが、当然ながら更に位置情報を番地単位で細分化して管理することも可能である。
【0033】また、本実施例では、電話番号情報中に住所が含まれる場合を説明したが、電話番号情報中に住所が含まれない場合について説明する。例えば、図3(A)に示す佐藤二郎の住所は、岐阜県安八郡安八町となっているが、住所の登録がないと仮定する。
【0034】電話帳検索部109は、住所の登録がないと電話番号中の市外局番(佐藤二郎の市外局番は0584)を調査して図3(B)に示す座標情報中の市外局番に一致する番号があるかを判断し、一致すればその市区町村(この場合、岐阜県大垣市)と見做して現在位置との距離を上記の方法で計算する。
【0035】図4は、本発明に係る携帯移動電話機の電話帳モードにおける表示状態を示す概念図であり、図4(A)は現在位置が岐阜県岐阜市である場合、及び図4(B)は現在位置が岐阜県大垣市である場合を示している。
【0036】電話帳検索部109は、図4(A)の現在位置が岐阜県岐阜市である場合、図2の状態から「場所優先」が選択され、上述のようにして現在位置からの距離を計算すると、その情報を制御部111に送信する。
【0037】制御部111は、電話帳検索部109から上述した距離情報を受けると、距離が近い順に上から相手先の名前と電話番号を表示し、最も近い相手先を反転表示する。この状態で使用者が下矢印キーを操作すると、反転表示も下に移動して選択されている相手先を変更することができ、更にダイアルキーを押すと、その相手先に発呼することができる。
【0038】また制御部111は、使用者が岐阜県大垣市に移動して電話帳モードにおいて「場所優先」を選択した場合には、現在位置からの距離を電話帳検索部109から入手して、図4(B)に示す様に、鈴木太郎を最上段に反転表示し、高橋三郎を3番目に移動させる。
【0039】図5は、本発明に係る電話帳表示方法の場所優先表示処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0040】携帯移動電話機101の制御部111は、電話帳モードにおいて「場所優先」が選択されると、電話帳検索部109に指示を出し、ステップ200で位置情報検出部105から現在位置情報を入手させ、ステップ201で登録されている全ての電話番号情報中の市区町村情報とその地図上の座標情報から現在位置との距離を計算させる。
【0041】そして、制御部111は、電話帳検索部109から距離情報を入手して、ステップ202で距離が近い順に上から相手先の名前と電話番号を表示し、最も近い相手先を反転表示して、場所優先表示処理ルーチンを終了する。
【0042】
【発明の効果】 以上説明した様に、本発明に係る携帯移動電話機及び電話帳表示方法によれば、使用者が携帯移動電話機を使用している現在位置に基づいて、電話番号を表示するので、例えば使用者が目的地の近隣に到着した場合に電話帳検索で場所優先表示を選択することにより、簡単に目的地の電話番号を検索することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る携帯移動電話機の回路構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明に係る携帯移動電話機の電話帳モードにおける表示状態を示す概念図である。
【図3】 本発明に係る携帯移動電話機のメモリ部が記憶する情報を示す概念図である。
【図4】 本発明に係る携帯移動電話機の電話帳モードにおける表示状態を示す概念図である。
【図5】 本発明に係る電話帳表示方法の場所優先表示処理ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
101 携帯移動電話機
102 無線部
103 音声処理部
104 マイク・スピーカ部
105 位置情報検出部
106 メモリ部
107 操作部
108 表示部
109 電話帳検索部
111 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基地局装置と通信して自己の現在位置を認識する携帯移動電話機において、電話番号情報を記憶する記憶手段と、前記現在位置に基づいて前記記憶手段が記憶する電話番号情報を選択する選択手段と、前記選択手段が選択した電話番号情報を表示する表示手段と、を具備することを特徴とする携帯移動電話機。
【請求項2】 請求項1に記載の携帯移動電話機において、前記表示手段が表示する電話番号情報の表示順序を前記現在位置に基づいて制御する表示制御手段、を具備することを特徴とする携帯移動電話機。
【請求項3】 請求項2に記載の携帯移動電話機において、前記表示制御手段は、前記現在位置から距離的に近い電話番号情報を他の電話番号情報に優先して表示するように表示順序を制御すること、を特徴とする携帯移動電話機。
【請求項4】 基地局装置と通信して自己の現在位置を認識する携帯移動電話機の電話帳表示方法において、電話番号情報を記憶する第1ステップと、前記現在位置に基づいて前記記憶手段が記憶する電話番号情報を選択する第2ステップと、前記選択手段が選択した電話番号情報を表示する第3ステップと、を含むことを特徴とする携帯移動電話機の電話帳表示方法。
【請求項5】 請求項4に記載の携帯移動電話機の電話帳表示方法において、前記表示手段が表示する電話番号情報の表示順序を前記現在位置に基づいて制御する第4ステップ、を含むことを特徴とする携帯移動電話機の電話帳表示方法。
【請求項6】 請求項5に記載の携帯移動電話機の電話帳表示方法において、前記第4ステップは、前記現在位置から距離的に近い電話番号情報を他の電話番号情報に優先して表示するように表示順序を制御する第5ステップ、を含むことを特徴とする携帯移動電話機の電話帳表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−165501(P2000−165501A)
【公開日】平成12年6月16日(2000.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−340510
【出願日】平成10年11月30日(1998.11.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】