説明

携帯通信装置

【課題】緊急時に携帯通信装置を投げ捨てる際の心理的な壁を低減する。
【解決手段】携帯可能な本体2に対して脱着可能な通信部10と、上記本体2に設置され
、かつ、上記通信部10が上記本体2から離脱された場合に警報音を発生する警報音発生
部15と、を備える。また、通信部10は前記本体から離脱された場合に予め設定した緊急連絡先へ緊急情報を送出する緊急情報送出部する機能を備える。また、通信部は、更に、GPSモジュールを備え、前記緊急情報に位置情報を付加して送出する機能を備える。
また、所定の個人情報を記憶する個人情報記憶部を備え、個人情報記憶部は、通信部とともに本体に対して脱着可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信装置に関するものであり、特に警報音が発生可能な携帯通信装置に
関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、携帯通信装置の一つに携帯電話機がある。近年の防犯意識の高まりから
、スピーカから大音量で警報音を発生可能とすることによって携帯電話機に防犯機能を持
たせたものが提案されている。このように通常持ち歩く携帯電話機に防犯機能を持たせる
ことによって、常に防犯効果を期待することができる。
【特許文献1】特開2002−57816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、例えば、不審者が所定の目的をもって特定人物を追いかけている状況で、警
報音が聞こえた場合には、一般的に不審者は警報音が鳴る方向に向かっていくことが知ら
れている。このため、例えば、通信機能を持たない一般的な防犯ブザーでは、不審者に追
いかけられている状況で、鳴らした状態の防犯ブザーを投げ捨てる必要がある。
【0004】
同様に、警報音が発生可能な携帯電話機においても防犯上の観点から携帯電話機を投げ
捨てることが要求される場合がある。しかしながら、携帯電話機には通信機能が搭載され
ている。このため、投げ捨てられた携帯電話機を不審者に不正使用されるとの思いが心理
的な壁となり、緊急時であっても警報音を発生する携帯電話機を投げ捨てることがためら
われる虞がある。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、緊急時に携帯通信装置を投げ捨て
る際の心理的な壁を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、携帯可能な本体に対して脱着可能な通信部と、
上記本体に設置され、かつ、上記通信部が上記本体から離脱された場合に警報音を発生す
る警報音発生部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明においては、通信部は本体から離脱された場合に、予め設定した緊急連絡先へ緊急情報を送出する緊急情報送出部を備えるという構成を採用することができる。
【0008】
また、本発明においては、通信部は更にGPSモジュールを備え緊急情報に位置情報を付加して送出するという構成を採用することができる。
【0009】
また、本発明においては、上記警報音を発生可能な警報音発生可能モードと上記警報音
を発生不能な警報音発生不能モードとを前記本体に対して設定可能な制御部を備え、上記
警報音発生部が、前記本体が上記制御部によって上記警報音発生可能モードに設定され、
かつ、上記通信部が上記本体から離脱された場合に警報音を発生するという構成を採用す
ることができる。
【0010】
また、本発明においては、所定の個人情報を記憶する個人情報記憶部を備え、該個人情
報記憶部は、上記通信部とともに上記本体に対して脱着可能とされているという構成を採
用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通信機能を担う通信部が本体に対して脱着可能とされており、通信部
が本体から離脱された場合に警報音が発生される。この結果、警報音を発している本体は
通信機能を持たなくなり、不審者である第三者に不正使用される虞がなくなる。よって、
緊急時に携帯通信装置を投げ捨てる際の心理的な壁を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る携帯通信装置の一実施形態について説明する。な
お、以下の説明では、携帯通信装置の一例として携帯電話機を挙げて説明する。また、以
下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更し
ている。
【0013】
図1は、本第1実施形態の携帯電話機1の概略構成を示す斜視図である。この図に示す
ように、本実施形態の携帯電話機1は、第1筐体2(本体)と第2筐体3とを有している
。そして、第1筐体2と第2筐体3とは、ヒンジ部4を介して開閉可能に連結されている

【0014】
第1筐体2には、複数の操作キー5が配列されている。また、操作キー5の下側にはマ
イクロフォン6が設置されている。
【0015】
図2は、第1筐体2を裏側から見た斜視図である。また、図3は、第1筐体2の一部を
拡大した断面図である。
【0016】
これらの図に示すように、本実施形態の携帯電話機1では、第1筐体2に対して脱着可
能な通信モジュール10を備えている。通信モジュール10は、アンテナ等を含む通信部
(図4参照)が収められたカード型のモジュールである。第1筐体2には、通信モジュー
ル10を挿入可能なスロット11が形成されており、該スロット11に挿入されることに
よって通信モジュール10が第1筐体2に対して装着される構成とされている。また、図
3に示すように、通信モジュール10は、一方側の端部12(スロット11に挿入される
端部に対向する端部)が、スロット11に挿入された場合に第1筐体2から突出するよう
な大きさに形状設定されている。そして、通信モジュール10は、端部12を把持されて
引き抜かれることによって第1筐体2から脱離される。
【0017】
第1筐体2の内部には、上記操作キー5によって押圧される複数のスイッチ(不図示)
や、携帯電話機1全体の動作を制御する制御部(図4参照)が実装された回路基板13が
収納されている。スロット11の奥部にはコネクタ14が設置されており、コネクタ14
と回路基板13とが接続されている。コネクタ14は、通信モジュール10がスロット1
1に挿入された場合に、通信モジュール10の端子と接続されるものである。そして、こ
のように通信モジュール10の接続端子とコネクタ14とが接続されることによって、通
信モジュールと回路基板13とが電気的に接続される。
【0018】
また、第1筐体2の内部には、大音量スピーカ15が設置されており、この大音量スピ
ーカ15に対向する第1筐体2の部位には、複数の放音孔16が形成されている。なお、
大音量スピーカ15は、不図示の接続部によって回路基板13と電気的に接続されている

【0019】
この他、第1筐体2の内部には、携帯電話機1に電力を供給するためのバッテリが収納
されている。また、回路基板13には、制御部等で用いられる各種ソフトウェアや個人情
報を記憶部18が実装されている。なお、ここで言う個人情報とは、携帯電話機1の所有
者自らを特定する情報の他、携帯電話機1の所有者自らが登録した他人を特定する情報(
電話番号や住所等)を含むものである。
【0020】
図1に戻り、第2筐体3には、液晶ディスプレイあるいは有機EL(Electro
Luminescence)ディスプレイや無機ELディスプレイ等の表示部7が設置さ
れている。また、表示部7の上側には、スピーカ8が設置されている。
【0021】
図4は、本実施形態の携帯電話機1の機能構成を示すブロック図である。この図に示す
ように、本実施形態の携帯電話機1は、回路基板13に実装された制御部100と、上述
した各機能部(操作キー5、マイクロフォン6、表示部7、スピーカ8、大音量スピーカ
15、記憶部18、通信部19)が電気的に接続された構成を有している。
【0022】
制御部100は、例えば、操作キー5を介して入力された指示信号に基づいて記憶部1
8から必要な情報を読み出して表示部7に表示したり、通信モジュール10に収められた
通信部19を介して外部から入力される音声信号をスピーカ8に入力するとともにマイク
ロフォン6から入力された音声信号を通信部19に入力したり等の携帯電話機1全体の動
作を制御するものである。
【0023】
また、本実施形態において、制御部100は、大音量スピーカ15から警報音が発生可
能な警報音発生可能モードと、上記警報音が発生不能な警報音発生不能モードとを設定可
能とされている。なお、このような各モードは、操作キー5を介して設定可能とされてい
る。
【0024】
また、制御部100は、上記各モードのうち警報音発生可能モードに設定された状態で
、通信モジュール10が第1筐体2から離脱された場合に大音量スピーカ15を用いて警
報音を発生する。なお、制御部100は、コネクタ14と通信モジュール10との接続状
態を確認することによって、通信モジュール10の第1筐体2に対する脱着状態を判定す
る。
【0025】
すなわち、本実施形態において、大音量スピーカ15は、制御部100によって警報音
発生可能モードが設定され、かつ、通信部を収める通信モジュール10が第1筐体2から
離脱された場合に警報音を発生する。
【0026】
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施形態の携帯電話機1における警報音発
生動作について説明する。
【0027】
まず、制御部100は、警報音発生可能モードと警報音発生不能モードとのいずれのモ
ードが設定されるかを判定する(ステップS1)。ここで、制御部100は、警報音発生
可能モードが設定されている場合には、次のステップS2に進むが、警報音発生不能モー
ドが設定される場合には、ステップS1を繰り返す。
【0028】
ステップS1において警報音発生可能モードが設定される場合には、次に制御部100
は、ステップS2において通信モジュール10の第1筐体2に対する脱着状態を判定する
。ここで、制御部100は、通信モジュール10が第1筐体2から離脱されている場合に
は、大音量スピーカ15を用いて警報音を発生する(ステップS3)。一方、制御部10
0は、通信モジュール10が第1筐体2に対して装着されている場合には、ステップS1
に戻る。
【0029】
つまり、本実施形態の携帯電話機1においては、警報音発生可能モードに設定されてい
る場合には、通信モジュール10を第1筐体2から引き抜くことによって大音量スピーカ
15から警報音が発生される。すなわち、通信モジュール10が警報音を発生するための
スイッチとして機能する。
【0030】
次に、図8本発明の第3実施形態である携帯電話機30と携帯電話機31における緊急情報送出動作について説明するためのフローチャートである。また図7(a)、図7(b)本発明の第3実施形態である携帯電話機30および携帯電話機31の機能構成を示すブロック図であり、フローチャートとブロック図を参照して、本実施形態の携帯電話機1における緊急情報送出動作について説明する。なお図7において、制御部100と接続されている操作キー5、マイクロフォン6、表示部7、スピーカ8、記憶部18は図示していない。
まず、制御部100は、警報音発生可能モードと警報音発生不能モードとのいずれのモ
ードが設定されるかを判定する(ステップS10)。ここで、制御部100は、警報音発生可能モードが設定されている場合には、次のステップS20に進むが、警報音発生不能モードが設定される場合には、ステップS10を繰り返す。
【0031】
ステップS10において警報音発生可能モードが設定される場合には、次に第2制御部200は、ステップS20において通信モジュール10の第1筐体2に対する脱着状態を判定する。ここで、第2制御部200は、通信モジュール10が第1筐体2から離脱されている場合には、通信部19を用いて緊急情報を送出する(ステップS30)。一方、制御部200は、通信モジュール10が第1筐体2に対して装着されている場合には、ステップS10に戻る。
【0032】
つまり、本実施形態の携帯電話機1においては、警報音発生可能モードに設定されてい
る場合には、通信モジュール10を第1筐体2から引き抜くことによって緊急情報送出部41から予め設定した緊急連絡先へ送出される。すなわち、通信モジュール10が警報音を発生するためのスイッチとして機能すると同時に、緊急情報を送出する携帯通信装置として機能する。
【0033】
このような本実施形態の携帯電話機1によれば、警報音が、通信モジュール10が第1
筐体2から引き抜かれた場合に発生される。このため、警報音を発生する大音量スピーカ
15を備える第1筐体2(携帯電話機1の本体)は通信機能を持たなくなる。したがって
、携帯電話機1を投げ捨てた場合であっても不審者である第三者に不正使用される虞がな
くなる。よって、緊急時に携帯通信装置を投げ捨てる際の心理的な壁を低減することが可
能となる。
【0034】
また、本実施形態の携帯電話機1においては、警報音発生可能モードと警報音発生不能
モードとのいずれかを設定可能とされている。このため、通信モジュール10の交換等、
平常時における通信モジュール10の取り外しの際に、警報音が鳴ることを回避すること
が可能となる。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の説明において
、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する場合が
ある。
【0036】
図6は、本第2実施形態の携帯電話機20の機能構成を示したブロック図である。この
図に示すように、本実施形態の携帯電話機20では、通信モジュール10に通信部19の
他、第2記憶部21(個人情報記憶部)が収められている。
【0037】
この第2記憶部21は、上記第1実施形態において、記憶部18に記憶されていた個人
情報を記憶するものである。そして、第2記憶部21は、通信モジュール10に収められ
ているため、通信モジュール10を第1筐体2から離脱させた場合には、第2記憶部21
も第1筐体2から離脱される。
【0038】
よって、大音量スピーカ15から警報音が発生している状態、すなわち通信モジュール
10が第1筐体2から離脱された状態では、第1筐体2(携帯電話機20の本体)には、
個人情報が残っていない状態となる。
【0039】
つまり、本実施形態の携帯電話機20によれば、警報音が発生する携帯電話機20の本
体から通信機能及び個人情報が抜き取られた状態となる。したがって、携帯電話機1を投
げ捨てた場合であっても不審者である第三者に、通信機能を不正使用される虞、及び、個
人情報を悪用される虞がなくなる。よって、緊急時に携帯通信装置を投げ捨てる際の心理
的な壁をさらに低減することが可能となる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳説したが、具体的な構成は、上記実
施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において設計変更等が
可能である。
【0041】
例えば、上記実施形態においては、制御部100によって、警報音発生可能モードと警
報音発生不能モードとを設定可能な構成について説明した。
【0042】
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、平常時において通信
モジュール10を第1筐体2から脱離させる可能性がない場合には、警報音発生可能モー
ドと警報音発生不能モードとを設定可能な構成とせず、通信モジュール10を第1筐体2
から脱離させた場合に必ず警報音が発生する構成としても良い。
【0043】
また、上記実施形態においては、携帯電話機1の構成が第1筐体2と第2筐体3とがヒ
ンジ部4を介して開閉可能に連結されたいわゆる折り畳み型の携帯電話機について説明し
た。
【0044】
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、単一の筐体のみを有
するストレート型の携帯電話機であっても構わない。
【0045】
また、例えば、通信モジュール10の端部12をリング上に形成しても良い。これによ
って、通信モジュール10を把持しやすくなるとともに、リングに紐を通すことによって
携帯電話機1を首からぶら下げることも可能となる。
【0046】
例えば、上記実施形態においては、本発明の携帯通信装置の一例として携帯電話機を挙
げて説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、携帯電話機以外
の携帯通信装置(例えばPDA(Personal Digitel Assistan
t)等)に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施形態である携帯電話機1の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態である携帯電話機1が備える第1筐体を裏側から見た斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態である携帯電話機が備える第1筐体の一部を示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態である携帯電話機1の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態である携帯電話機1における警報音発生動作について説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態である携帯電話機20の機能構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3実施形態である携帯電話機30,携帯電話機31の機能構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3実施形態である携帯電話機30,携帯電話機31における緊急情報送出動作について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1,20,30,31……携帯電話機(携帯通信装置)
2……第1筐体(本体)
10……通信モジュール
15……大音量スピーカ
18……記憶部
19……通信部
21……第2記憶部(個人情報記憶部)
41……緊急情報送出部
51……電源部(通信モジュールの電源部)
61……GPSモジュール
100……制御部
200……第2制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な本体に対して脱着可能な通信部と、
前記本体に設置され、かつ、前記通信部が前記本体から離脱された場合に警報音を発生
する警報音発生部と、
を備えることを特徴とする携帯通信装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記本体から離脱された場合に、予め設定した緊急連絡先へ緊急情報を送出する緊急情報送出部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の携帯通信装置。
【請求項3】
前記通信部は、更に、GPSモジュールを備え、前記緊急情報に位置情報を付加して送出することを特徴とする請求項2記載の携帯通信装置。
【請求項4】
前記警報音を発生可能な警報音発生可能モードと前記警報音を発生不能な警報音発生不能
モードとを前記本体に対して設定可能な制御部を備え、
前記警報音発生部は、前記本体が前記制御部によって前記警報音発生可能モードに設定
され、かつ、前記通信部が前記本体から離脱された場合に警報音を発生することを特徴と
する請求項1〜3記載の携帯通信装置。
【請求項5】
所定の個人情報を記憶する個人情報記憶部を備え、該個人情報記憶部は、前記通信部とと
もに前記本体に対して脱着可能とされていることを特徴とする請求項1〜4記載の携
帯通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−54309(P2008−54309A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196314(P2007−196314)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】