説明

携帯電話機用通話制御装置

【課題】最近では、周囲へのマナー的配慮の点から、携帯電話機の通話が規制されていたり、自粛が求められていたりする。このような場合には、ユーザーが発声して応答することができないので従来の留守番機能を使用することになるが、留守番機能を使用すると、後で電話を掛け直しする手間が掛かる。
【解決手段】受話音声経路25と送話音声経路27を有し、携帯電話機のイヤホンマイクコネクタ5と接続されるハンズフリー通話手段と、ユーザーにより操作される応答スイッチ17と、応答スイッチの操作により、音声を合成し送話音声経路27を利用して音声応答する音声応答手段29と、応答スイッチの操作により、ユーザー発声応答と音声合成応答とを切替える応答モード切替え手段31と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常のハンズフリー通話だけでなく、合成音声の代理応答による通話も可能とする携帯電話機用通話制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機には、通話できない場合に、発信者が携帯電話機にメッセージを残すことができる留守番機能が備えられている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−210136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、周囲へのマナー的配慮の点から、電車/新幹線の車内、レストラン、ホテルのロビーなどでは携帯電話機の通話が規制されていたり、自粛が求められていたりする。
このような場合には、ユーザーが発声して応答することができないので従来の留守番機能を使用することになるが、留守番機能を使用すると、後で電話を掛け直しする手間が掛かる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、ユーザーが発声しなくとも通話を可能とする携帯電話機用通話制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、携帯電話機に接続され、前記携帯電話機のハンズフリー通話を制御する機能を持つ携帯電話機用通話制御装置において、受話音声経路と送話音声経路を有し、携帯電話機のイヤホンマイクコネクタと接続されるハンズフリー通話手段と、ユーザーにより操作される応答スイッチと、前記応答スイッチの操作により、音声を合成し前記送話音声経路を利用して音声応答する音声応答手段と、前記応答スイッチの操作により、ユーザー発声応答と音声合成応答とを切替える応答モード切替え手段と、を備えることを特徴とする携帯電話機用通話制御装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した携帯電話機用通話制御装置において、さらに、応答スイッチの操作により着信応答が選択されると、着信応答信号としての擬似応答信号をハンズフリー通話手段の受話音声経路を利用して携帯電話機に送出する着信応答手段を備えることを特徴とする携帯電話機用通話制御装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した携帯電話機用通話制御装置において、さらに、接続された携帯電話機への着信をリンギングトーンとして検出するリンギングトーン検出手段を備えることを特徴とする携帯電話機用通話制御装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の通話制御装置を携帯電話機に接続すれば、ユーザーの代わりに合成音声で発信者に応答するので、通話が規制されたり自粛が求められていたりする場所でも周囲の人に気づかれずに会話することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、発明の実施の形態に係る携帯電話機用通話制御装置1のブロック図である。この通話制御装置1は携帯電話機3に接続されて使用される。
符号7は本体を示し、この本体7のイヤホン・マイク用ジャック9が携帯電話機3のハンズフリー通話用イヤホンマイクコネクタ5に差し込まれて接続される。このジャック9は市販の携帯電話機に適合するよう設定されている。
符号13は付属品を示し、この付属品13ではイヤホン15と、応答スイッチ17と、マイク19とが一体に構成されており、その接続端子21が本体7のコネクタ11に接続される。
【0011】
以下に、本体7の構成を説明する。
符号23はこの通話制御装置1の心臓部であるCPU(制御部)を示し、この通話制御装置1の全ての動作を制御している。
イヤホン・マイク用ジャック9は、携帯電話機3からの受話音声信号(アナログ信号)を受信する受信部としての機能と、送話音声信号(アナログ信号)を送信する送信部としての機能を担っており、コネクタ11とイヤホン・マイク用ジャック9との間を受話音声経路(アナログ信号経路)25と送話音声経路27(アナログ信号経路)が連絡している。それぞれの経路25,27には増幅器26,28が設けられている。
イヤホン15とマイク19を含む付属品13と、本体7の上記構成により通常のハンズフリー通話手段が構成されている。
【0012】
符号29は音声合成IC(マスクROM内蔵)を示し、CPU23からの音声合成指令を受けて音声を合成し、増幅器30を経て、受話音声経路25と送話音声回路27に送出する。音声合成IC29のマスクROMには所定の音声メッセージデータが格納されており、音声合成指令を受けると、所定の音声合成プログラムに従って発信者やユーザーへの音声アナウンス用の発声(音声信号)を作成する。この音声合成IC29と送話音声回路27が接続されて、音声応答手段が構成されている。
【0013】
符号31は切替え(アナログ)スイッチを示し、この切替えスイッチ31は送話音声経路27とコネクタ11との間に設けられている。切替えスイッチ31はCPU23からの音声ミュートの制御信号により動作して、コネクタ11と送話音声経路27とを接続する状態、即ちユーザーの発声を発信者が聞き取れる状態から、遮断(音声ミュート)状態、即ちユーザーの発声を発信者が聞き取れない状態に切替えるか、その逆に後者の状態から前者の状態に切替える。
遮断(音声ミュート)状態では、ユーザーの発声に代わって、CPU23の指令により音声合成IC29が発声し、その音声を発信者とユーザーが聞き取れる状態になる。
上記構成により、応答モード切替え手段が構成されている。
【0014】
符号33は応答スイッチ17の押下操作の検出部を示し、この検出部33で検出されるとCPU23に報告される。
符号35はリンギングトーン検出回路を示す。このリンギングトーン検出回路35は、携帯電話機3に着信があったときに受話音声信号として送出されてくるリンギングトーン(着信音)を検出(抽出)し、CPU23に報告する。即ち、携帯電話機3に着信があると、CPU23はリンギングトーン検出手段から携帯電話機3が着信中であることが報告される。上記構成により、リンギングトーン検出手段が構成されている。
【0015】
符号37は擬似応答スイッチを示す。CPU23は着信応答を選択する場合には、この擬似応答スイッチ37から着信応答信号(ワンパルス出力)を携帯電話機3に送出する。上記構成により、着信応答手段が構成されている。
なお、擬似応答スイッチ37は同様に終話信号を携帯電話機3に送出する。
通話制御装置1では、擬似応答スイッチ37を設けることで、受話音声経路25の兼用、即ちイヤホン出力と携帯電話機3への信号の送出を可能としている。
【0016】
なお、携帯電話機3には、イヤホン・マイク用ジャック9の接続状態を判断し、接続されているとハンズフリー通話をONとするハンズフリー通話設定手段が内蔵されており、ジャック9が携帯電話機3に接続されると、携帯電話機3は自動的にハンズフリー通話ON状態に設定する仕様のものである。
【0017】
以下に、通話制御装置1の動作シーケンスを、図面に従って説明する。
先ず、通話制御装置1を携帯電話機3(電源ON)に接続して使用可能な状態に設置しておく。
図2に示すように、携帯電話機1に着信があると、着信音がイヤホン15から出力される(ステップS1)。また、この着信音はリンギングトーン検出回路35で検出されてCPU23に報告される。
着信応答しない場合には、ユーザーは応答スイッチ17を操作せず、そのまま放置する(ステップS2)。
【0018】
ユーザーは、着信に応答する場合には、応答スイッチ17を押下操作していずれかの通話モードを選択する(ステップS3)。
通話モードは、ユーザーの応答スイッチ17の押下操作の種類に応じて、以下のように振りけられる。
【0019】
(通常通話モードの場合)(図3)
CPU23はリンギングトーンの検出中に、即ち着信中に応答スイッチ17がシングルクリックされると(ステップS1)、初めて通信処理を開始し、ユーザーが通常通話モードでの応答を選択したと判断し、着信応答信号を受話音声経路25を利用して携帯電話機3に送出する(ステップS2)。携帯電話機3は、その信号を受け取ると、通話回線を確立して通話中となる(ステップS3)。
通話中は、マイク19(コネクタ11)と送話音声経路27とが接続されており、ユーザーが発声して発信者と直接通話する。
応答スイッチ17が4回クリックされると、CPU23は通話の終了と判断し(ステップS4)、終話信号を受話音声経路25を利用して携帯電話機3に送出して通話回線を遮断して(ステップS5)、上記動作シーケンスを終了する。
【0020】
(アンサリング通話モードの場合)(図4)
CPU23はリンギングトーンの検出中に、即ち着信中に応答スイッチ17がダブルクリックされると(ステップS1)、初めて通信処理を開始し、ユーザーがアンサリング通話モードでの応答を選択したと判断し、音声ミュートの制御信号を切替えスイッチ31に送り、マイク19(コネクタ11)と送話音声経路27とを遮断(マイクミュート)する(ステップS2)。また、着信応答信号を受話音声経路25を利用して携帯電話機3に送出する(ステップS3)。携帯電話機3は、その信号を受け取ると、通話回線を確立して通話中となる(ステップS4)。
【0021】
通話中は、マイク19(コネクタ11)と送話音声経路27とは遮断され、代わって音声合成IC29を含む音声応答手段と送話音声経路27とが接続されており、音声合成IC29で作成された発声、即ち合成音声で発信者と通話する。なお、この合成音声は受話送信経路27を利用してイヤホン出力されるので、ユーザーもその内容を聞き取ることができる。
先ず、発信者とユーザーに予め登録されたアンサリング開始用の音声メッセージ(例:「はいXXです。ただいまお話できません。聞いておりますのでそのままお話ください。」)が伝えられる(ステップS5)。
【0022】
そして、発信者のメッセージ内容に応じて、途中の代理会話は以下のように行われる(ステップS7)。
即ち、応答スイッチ17がクリックされると、CPU23は応答信号と判断し、クリック回数に応じて所定の音声メッセージを音声合成IC29により音声合成する。この音声メッセージも上記したアンサリング開始用の音声メッセージと同様にして発信者とユーザーに伝えられる。
この実施の形態では、音声メッセージは、1回(シングル)クリックの場合には「はい」、2回(ダブル)クリックの場合には「いいえ」、3回クリックの場合には「後程、こちらから電話をいたします」である。
【0023】
発信者が「はい」または「いいえ」の回答を求めているような場合にはそのような音声メッセージを発信者に伝えることで、ユーザーが発声しなくともリアルタイム応答でき、後から電話を掛け直したりする手間がない。
このように応答スイッチ17の押下操作により周囲の人に気づかれずに会話をすることができる。即ち秘話を可能とする。
【0024】
通話中に、応答スイッチ17が長押し(2秒程度)されると、即ち通話モードの切替信号を受けると(ステップS8)、CPU23は音声ミュートを解除すると共にその旨の音声メッセージ(例:「通話に切替えます。」)を発信者とユーザーの両方に伝えて(ステップS9)、図3の通常通話モードに移行する。
【0025】
通話中、応答スイッチ17が4回クリックされると、CPU23は通話の終了と判断し(ステップS6)、通常通話モードの場合と同様に終話信号を携帯電話機3に送出して(ステップS10)通話回線を遮断すると共に、マイクミュートを解除して(ステップS11)、上記動作シーケンスを終了する。
【0026】
この通話制御装置1では、アンサリング通話モードでは、合成音声をユーザーも聞き取ることができ、応答スイッチ17の操作ミスがあっても容易に気づく。
また、非通話中は、CPU23はストップしており、消費電流を数10μA程度に低減できる。
【0027】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の具体的構成が上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨から外れない範囲での設計変更があっても本発明に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、コンパクトな構成とするため、通話制御装置は携帯電話機のイヤホンマイクコネクタ5とだけ接続されているが、携帯電話機の制御コネクタとも接続させてもよい。その場合には、携帯電話機とデータの送受信が可能となるので、電話番号をキーとした発信者のデータを取り込み、着信が有った場合には、その発信者の氏名を音声アナウンスする構成にすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の携帯電話機用通話制御装置を使用すれば、携帯電話機の通話が規制されたり自粛が求められている場所でも、周囲の人に気づかれずに通話が可能となり、後で掛け直したりする必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る制御装置の本体のブロック図である。
【図2】図1の携帯着信時の動作シーケンスである。
【図3】通常通話モードの場合の動作シーケンスである。
【図4】アンサリング通話モードの場合の動作シーケンスである。
【符号の説明】
【0030】
1‥‥携帯電話機用通話制御装置
3‥‥携帯電話機 5‥‥イヤホンマイクコネクタ
7‥‥本体 9‥‥イヤホン・マイク用ジャック
11‥‥コネクタ 13‥‥付属品
15‥‥イヤホン 17‥‥応答スイッチ
19‥‥マイク 21‥‥接続端子
23‥‥CPU(制御部)
25‥‥受話音声経路 27‥‥送話音声経路
29‥‥音声合成IC(マスクROM内蔵)
31‥‥切替えスイッチ
33‥‥応答スイッチ検出部 35‥‥リンギングトーン検出回路
37‥‥擬似応答スイッチ(本体内)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機に接続され、前記携帯電話機のハンズフリー通話を制御する機能を持つ携帯電話機用通話制御装置において、
受話音声経路と送話音声経路を有し、携帯電話機のイヤホンマイクコネクタと接続されるハンズフリー通話手段と、
ユーザーにより操作される応答スイッチと、
前記応答スイッチの操作により、音声を合成し前記送話音声経路を利用して音声応答する音声応答手段と、
前記応答スイッチの操作により、ユーザー発声応答と音声合成応答とを切替える応答モード切替え手段と、
を備えることを特徴とする携帯電話機用通話制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載した携帯電話機用通話制御装置において、さらに、応答スイッチの操作により着信応答が選択されると、着信応答信号としての擬似応答信号をハンズフリー通話手段の受話音声経路を利用して携帯電話機に送出する着信応答手段を備えることを特徴とする携帯電話機用通話制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した携帯電話機用通話制御装置において、さらに、接続された携帯電話機への着信をリンギングトーンとして検出するリンギングトーン検出手段を備えることを特徴とする携帯電話機用通話制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−72425(P2008−72425A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248994(P2006−248994)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(304050244)株式会社インターファンクス (5)
【Fターム(参考)】