説明

携帯電話装置、携帯電話装置の発信方法及びプログラム

【課題】旧アドレスへの誤発信を防止する。
【解決手段】1エントリに対して複数のアドレスを格納し、複数のアドレスをそれぞれ有効か無効かの識別子と関連付けて格納する記憶部を有し、発信前に記憶部を参照して無効なアドレスを判断し、無効なアドレスと判断されると有効なアドレスへと変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アドレス帳においてアドレス管理を行う携帯電話装置、携帯電話装置の発信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末のアドレス帳について、同一エントリに対して複数のメールアドレスが登録でき、またメール等を閲覧する場合、メールアドレスからアドレス帳に登録された名前を検索して表示することが一般的である。
【0003】
エントリのメールアドレスが変更された場合、従来ではアドレス帳の該当メールアドレスを置き換えたり、変更前のメールアドレスと変更後のメールアドレスの双方をアドレス帳に登録したりしていた。
【0004】
しかしながら、新旧のメールアドレスを置き換えた場合は、旧メールアドレスから送信されたメールアドレスについては、名前の変換ができなくなるため名前表示ができなくなってしまう。
【0005】
また、新旧共にアドレス帳に登録しておくことで、旧メールアドレスについても名前表示を行うことが可能となるが、その場合には変更前のメールアドレスもアドレス帳に登録されたままとなるため、メール作成時等に誤って使用してしまう可能性がある。
【0006】
そこで、特許文献1には、データベースに新旧のメールアドレスを登録しておくことで、旧メールアドレスに送信された電子メールをサーバが受け取り、該データベースを参照して新メールアドレスへと転送させる技術について開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、サーバにアドレスなどの情報を格納しておき、該サーバへ問い合わせることで、自身の持つアドレスが有効か否か、あるいは変更されていないかを確認可能な技術について開示されている。
【0008】
また、特許文献3には、電子メールにアドレス変更の旨を記載することによって、サーバ側で送信元のメールアドレスを変更させて送信先へと送信させる技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−088402号公報
【特許文献2】特開2007−251562号公報
【特許文献3】特開2008−199374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、旧アドレスに対して送信が行われてしまってからの処理であり、また、サーバを介すために構成が煩雑である。
【0011】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、旧アドレスへの誤発信を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明における携帯電話装置は、1エントリに対して複数のアドレスを格納し、複数のアドレスをそれぞれ有効か無効かの識別子と関連付けて格納する記憶部を有し、発信前に記憶部を参照して無効なアドレスを判断し、無効なアドレスと判断されると有効なアドレスへと変更することを特徴とする。
【0013】
また、本発明における携帯電話装置の発信方法は、発信前に1エントリに対して複数のアドレスを格納し、複数のアドレスをそれぞれ有効か無効かの識別子と関連付けて格納する記憶部を参照して無効なアドレスを判断し、無効なアドレスと判断されると有効なアドレスへと変更することを特徴とする。
【0014】
また、本発明におけるプログラムは、発信前に1エントリに対して複数のアドレスを格納し、複数のアドレスをそれぞれ有効か無効かの識別子と関連付けて格納する記憶部を参照して無効なアドレスを判断し、無効なアドレスと判断されると有効なアドレスへと変更することをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、新旧の識別を行うことで適切なメールアドレスを使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話装置の構成図である。
【図2】アドレス帳におけるエントリ構成例である。
【図3】受信メールデータの一例である。
【図4】本発明の実施形態に係るメールデータの表示例である。
【図5】本発明の実施形態に係る新規メール作成時の動作におけるフロー図である。
【図6】本発明の実施形態に係るメール返信時の動作におけるフロー図である。
【図7】本発明の実施形態に係る携帯電話装置のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態における携帯電話装置の構成図である。本携帯電話装置は、入力部1と、表示部2と、制御部3と、記憶部4と、を有して構成される。
【0019】
入力部1は、ユーザからのキー入力を受け付ける。キー入力は、例えば携帯電話装置に配置されているボタンを押下したり、タッチパネルを押下することにより行われる。
【0020】
表示部2は、ユーザインタフェースとして機能し、入力部1に入力された情報などに基づいて画面表示を行う。
【0021】
制御部3は、携帯電話装置全体の制御を行い、入力部1からのキー入力の処理、表示部2経由での表示内容の決定などを行う。また、記憶部4に対するアドレス帳データ、メールデータの読み書きを行う。
【0022】
記憶部4は、アドレス帳データ、メールデータなどを管理する。
【0023】
続いて、図面を参照に本実施形態における動作について詳細に説明する。
【0024】
図2は、アドレス帳の1エントリの構成例である。1エントリの構成要素としては名前、電話番号、メールアドレス等を保持している。なお、ここでの電話番号は1件だけの場合について説明するが、メールアドレスと同様に新旧の電話番号が格納される。
【0025】
メールアドレスは、新しく変更したものと変更前に使用していたもの、また、会社などで用いられるサブアドレスが登録されており、各メールアドレスに対しては更新情報フラグを有している。
【0026】
更新情報フラグとは、新旧のアドレスを識別するためのものであり、図2において、更新情報フラグが「○」となっているものは、現在有効なメールアドレスであり、一方、数字が入っているものは現在無効なメールアドレスである。
【0027】
また、数字は関連する有効なメールアドレスの番号である。すなわち、旧アドレスに対して更新した新アドレスに関連付けられた番号が記録される。
【0028】
本例では、メールアドレス1とメールアドレス3が現在有効なメールアドレスであり、メールアドレス2については、現在無効なメールアドレスで、「1」のアドレスに変更されたことを示している。
【0029】
図3は、受信メールデータの一例である。メールA、メールB、メールCはそれぞれ、Date(受信した時刻)、From(送信アドレス)、Subject(題名)、body(メールデータ本文)等を保持する。
【0030】
図4は、図3に示すメールデータを受信した場合の図2に示すエントリ構成をアドレス帳に格納する携帯電話装置の表示例である。
【0031】
このとき制御部3は、受信メールのfrom情報を基にアドレス帳を検索し、メールアドレスを関連付けられた名前へ変換し、メール送信者の「名前表示」を行う。
【0032】
本例では、図3よりメールA,B,Cのfromに含まれるメールアドレスはいずれも図2における「山田 太郎」のメールアドレスとして登録されているので、図4におけるいずれの表示例においても名前情報として「山田 太郎」を表示する。
【0033】
この際、図2アドレス帳の「更新情報フラグ」については考慮せず、すべての登録されているメールアドレスについて名前表示を行う。
【0034】
次に、新規メール作成時の動作について図5のフロー図を参照に詳細に説明する。
【0035】
メール作成を選択すると(ステップA1)、電話帳選択画面が表示される(ステップA2)。
【0036】
電話帳よりエントリ(「山田 太郎」)を選択すると(ステップA3)、該当するメールアドレスが表示される(ステップA4)。
【0037】
このとき、制御部3は、図2のアドレス帳データを参照し、「山田 太郎」に含まれるメールアドレスを取得して表示するが、「更新情報フラグ」が○のもの(現在有効なメールアドレス)のみ取得する。
【0038】
図2においては、メールアドレス1とメールアドレス3が有効であるので、ステップA4にてその2つのアドレスのみを表示し、送信先メールアドレスとして選択可能とする。なお、メールアドレス2については更新情報フラグに数字が記載され、無効なメールアドレスとして記録されているために送信先として表示されず、選択はできない。
【0039】
続いて、メール返信時の動作について図6のフロー図を参照に詳細に説明する。ここでは、メールC(旧メールアドレスからのメール)を閲覧している状態で、このメールに対する返信を行うケースを示す。
【0040】
メールCの送信元メールアドレスは図3に示すように「yamada_old@xxx.ne.jp」であり、該メールアドレスは、図2のアドレス帳における更新情報フラグが「1」である。すなわち、本メールアドレスは現在無効なメールアドレスとして格納されている。
【0041】
メールC閲覧状態において、返信処理を選択すると(ステップB1)、変更後のメールアドレスであるメールアドレス1に対してメールを返信するようにユーザに通知が行われて(ステップB2)、新アドレスが表示されたメール作成画面が表示される(ステップB3)。
【0042】
なお、ステップB3にて有効として設定されているアドレスが複数ある場合には、その全てを表示して、送信先として変更されるアドレスをユーザ自身が選択するよう構成しても良い。
【0043】
本実施形態によれば、メールアドレス2はメールアドレス1に変更されたことが分かるので、メールアドレス2に対して返信することはなく、メール作成画面において自動で新アドレスを表示するため、旧アドレス(メールアドレス2)に対して、新アドレス(メールアドレス1)へと返信が行える。
【0044】
図7は、本発明の実施形態における携帯電話装置のフローチャート図である。本携帯電話装置の処理について図7を参照に詳細に説明する。
【0045】
ユーザにより発信動作が行われると(ステップC1)、制御部3は、発信に用いられるアドレス(電話番号)が無効アドレスか否かを記憶部4に格納されている更新情報フラグを参照して判断する(ステップC2)。
【0046】
有効なアドレスであれば、アドレスを変更することなく、そのまま発信処理へと移行する(ステップC3)。
【0047】
一方、ステップC2の判断において、無効アドレスと判断されればユーザへその旨(更新後のアドレスへ変更する旨)を通知し(ステップC4)、有効なアドレスへと変更してから発信処理へと移行する(ステップC5)。
【0048】
次に本発明の他の実施形態について説明する。
【0049】
先の実施形態においては、メールアドレスについて、更新情報を管理して使用シーンに応じて適切なメールアドレスを使用するようにしているが、それだけでなく電話番号についても同様に更新情報を管理することができる。
【0050】
この場合、着信履歴やリダイヤルを表示する場合は現在無効な電話番号についても関連する名前を表示するが、その人に対して再発信する場合は、関連付けられた有効な電話番号に自動的に変換してから発信することで現在無効な電話番号に発信することがないようにすることが可能である。
【0051】
以上、実施の形態を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら実施の形態や具体例に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 入力部
2 表示部
3 制御部
4 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1エントリに対して複数のアドレスを格納し、前記複数のアドレスをそれぞれ有効か無効かの識別子と関連付けて格納する記憶部を有し、
発信前に前記記憶部を参照して無効なアドレスを判断し、無効なアドレスと判断されると有効なアドレスへと変更することを特徴とする携帯電話装置。
【請求項2】
無効であることを示す前記識別子は、対応先の有効なアドレスを示す識別子であることを特徴とする請求項1記載の携帯電話装置。
【請求項3】
前記無効なアドレスを対応する有効なアドレスに変更することを特徴とする請求項2記載の携帯電話装置。
【請求項4】
有効なアドレスを全て表示して、選択されたアドレスへ変更することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯電話装置。
【請求項5】
有効/無効の識別子に係わらず関連付けられた同一のエントリを表示することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯電話装置。
【請求項6】
アドレス変更時に変更する旨を表示することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯電話装置。
【請求項7】
発信前に1エントリに対して複数のアドレスを格納し、前記複数のアドレスをそれぞれ有効か無効かの識別子と関連付けて格納する記憶部を参照して無効なアドレスを判断し、無効なアドレスと判断されると有効なアドレスへと変更することを特徴とする携帯電話装置の発信方法。
【請求項8】
発信前に1エントリに対して複数のアドレスを格納し、前記複数のアドレスをそれぞれ有効か無効かの識別子と関連付けて格納する記憶部を参照して無効なアドレスを判断し、無効なアドレスと判断されると有効なアドレスへと変更することをコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−178132(P2010−178132A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19497(P2009−19497)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】