説明

携帯電話装置

【課題】 従来の携帯電話装置では、それぞれの機能のいずれか1つの機能しか動作しないため、情報再生出力を行っている最中に着信があった場合、携帯電話装置が使用中として処理がなされ、その結果、着信拒否が行われる。この場合、情報再生出力を継続しているために、重要な電話が着信しても応答できないという問題点があった。また、通話している最中は、所望の音楽を再生できず、使用者に不快感を与えるという問題点もあった。
【解決手段】 音楽再生時に、着信があることを認識することが可能な携帯電話装置が開示される。この携帯電話装置は、通話手段と、音楽再生手段とを備え、音楽再生手段による音楽再生中に着呼があった場合、着呼を報知する。これにより、音楽再生時に、着信があることを認識することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話装置に関し、より特定的には、通話手段と音楽再生手段とを有する携帯電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、携帯電話装置には通話機能の他に複数の機能が搭載されている。例えば、通話機能の他に、情報(音声や音楽を含む)再生出力機能や情報(テキストやイメージ)表示機能を有する携帯電話装置が知られている。
【特許文献1】特開平4−243358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の携帯電話装置では、それぞれの機能のいずれか1つの機能しか動作しないため、情報再生出力を行っている最中に着信があった場合、携帯電話装置が使用中として処理がなされ、その結果、着信拒否が行われる。この場合、情報再生出力を継続しているために、重要な電話が着信しても応答できないという問題点があった。また、通話している最中は、所望の音楽を再生できず、使用者に不快感を与えるという問題点もあった。
【0004】
この発明の一つの目的は、音楽再生時に、着信があることを認識することが可能な携帯電話装置を提供することである。
【0005】
この発明のもう一つの目的は、音楽再生を停止することなく基本機能である通話機能を確保することが可能な携帯電話装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る携帯電話装置は、通話手段と、音楽再生手段とを備え、前記通話手段による通話中に、第3者からの割り込み着呼があった場合、前記割り込み着呼に対応した音楽を前記音楽再生手段により再生し、前記再生音楽を前記通話の通話音声に重畳する。
【0007】
請求項2に係る携帯電話装置は、請求項1に記載の発明において、前記再生音楽の音量と前記通話の通話音声の音量とを制御する音量制御手段をさらに備え、前記割り込み着呼に対応する再生音楽を前記通話の通話音声に重畳する際に、前記音量制御手段により前記通話の通話音声の音量を小さくする。
【0008】
請求項3に係る携帯電話装置は、請求項1に記載の発明において、前記再生音楽の音量と前記通話の通話音声の音量とを制御する音量制御手段をさらに備え、前記第3者からの割り込み着呼に応答した場合に、通話者および待機者の3者間の接続状態が継続している間は、前記音量制御手段により前記割り込み着呼に対応する再生音楽の音量を低くして、前記通話の通話音声に重畳させる。
【発明の効果】
【0009】
この発明の一の局面による携帯電話装置では、通話手段と音楽再生手段とを備えている。そして、音楽再生手段による音楽再生中に着呼があった場合、着呼を報知する。このように構成することによって、音楽再生時に、着信があることを認識することができる。
【0010】
上記の一の局面による携帯電話装置において、好ましくは、音楽再生手段による音楽再生中に着呼があった場合、着呼を報知する音を音楽再生中の再生音楽に重畳する。このように構成すれば、音楽再生時に、着信があることを容易に認識することができる。
【0011】
上記の一の局面による携帯電話装置において、好ましくは、電話番号を記憶する電話番号記憶手段をさらに備え、音楽再生手段による音楽再生中に、電話番号記憶手段に記憶された電話番号から着呼があった場合、着呼を報知する音を音楽再生中の再生音楽に重畳する。このように構成すれば、音楽再生時に、電話番号を記憶している電話番号から着呼があった場合にのみ着呼を知らせるので、第3者からの間違い電話や迷惑電話等によって音楽再生を妨害されるという使用者の不快感を解消することができる。
【0012】
さらに、この場合、音楽再生手段による音楽再生中に、電話番号記憶手段に記憶された電話番号以外から着呼があった場合、着呼処理を行わないようにするのが好ましい。これにより、通話の必要のない人からの着呼により妨害されることなく、音楽を聞き続けることができる。
【0013】
また、上記の一の局面による携帯電話装置において、好ましくは、電話番号を記憶する電話番号記憶手段と、電話番号記憶手段に登録した電話番号のうち、着呼許可する電話番号を選択設定する着呼設定手段とをさらに備え、音楽再生手段による音楽再生中に、着呼設定手段により着呼許可された電話番号から着呼があった場合、着呼を報知する音を音楽再生中の再生音楽に重畳する。このように構成すれば、音楽再生時に、電話番号を記憶している電話番号のうち着信許可を選択した電話番号から着呼があった場合にのみ着呼を知らせるので、迷惑電話等により、音楽再生を妨害されるという使用者の不快感を解消することができる。
【0014】
さらに、この場合、音楽再生手段による音楽再生中に、着呼設定手段により着呼許可された電話番号以外から着呼があった場合、着呼処理を行わないのが好ましい。これにより、通話の必要のない人からの着呼により妨害されることなく、音楽を聞き続けることができる。
【0015】
また、上記の一の局面による携帯電話装置において、好ましくは、再生音楽の音量と前記着呼を報知する音の音量とを制御する音量制御手段をさらに備え、着呼を報知する音を音楽再生中の再生音楽に重畳する際に、音量制御手段により再生音楽の音量を時間の経過に伴って徐々に小さくする。このように構成すれば、音楽再生中に、着呼をより確実に認識することができる。
【0016】
この場合、音量制御手段によって、着呼を報知する音の音量を一定に維持しながら、再生音楽の音量を時間の経過に伴って徐々に小さくするのが好ましい。
【0017】
また、上記の一の局面による携帯電話装置において、好ましくは、再生音楽の音量と前記着呼を報知する音の音量とを制御する音量制御手段をさらに備え、着呼を報知する音を音楽再生中の再生音楽に重畳する際に、音量制御手段により着呼を報知する音の音量を時間の経過に伴って徐々に大きくする。このように構成すれば、音楽再生中に、着呼をより確実に認識することができる。
【0018】
この場合、音量制御手段によって、再生音楽の音量を一定に維持しながら、着呼を報知する音の音量を時間の経過に伴って徐々に大きくするのが好ましい。
【0019】
また、上記の一の局面による携帯電話装置において、着呼に応答した場合、通話手段による通話中は、再生音楽の再生を行わないようにしてもよい。
【0020】
また、上記の一の局面による携帯電話装置において、好ましくは、着呼の報知形態を設定する設定手段をさらに備え、音楽再生手段による音楽再生中に着呼があった場合、設定手段により設定された着呼の報知形態に関わらず、着呼を少なくとも振動で報知する。このように構成すれば、設定手段により設定された着呼形態に関わらず、音楽再生出力を妨げることなく、着呼を確実に認識することができる。
【0021】
この場合、設定手段により音声による報知を含む報知形態が設定されている場合、音声による報知を行わないのが好ましい。さらに、この場合、音声による報知は、少なくとも通話手段のスピーカによる報知を含んでいてもよい。
【0022】
また、上記の一の局面による携帯電話装置において、好ましくは、着呼の報知形態を設定する設定手段をさらに備え、音楽再生手段による音楽再生中に着呼があった場合、設定手段により設定された着呼の報知形態に関わらず、着呼を少なくとも振動で報知する音楽優先モードと、音楽再生手段による音楽再生中に着呼があった場合、設定手段により設定された着呼の報知形態に従って着呼を報知する設定優先モードとが、切替可能である。
【0023】
この場合、音楽優先モードでは、設定手段により音声による報知形態が設定されている場合、音声による報知を行わないのが好ましい。さらに、この場合、音声による報知は、少なくとも通話手段のスピーカによる報知を含んでいてもよい。
【0024】
この発明の他の局面による携帯電話装置は、通話手段と音楽再生手段とを備えている。そして、音楽再生手段による音楽再生中に、通話手段による通話を行う場合、通話の通話音声を音楽再生中の再生音楽に重畳する。このように構成することによって、音楽再生を停止することなく基本機能である通話機能を確保することができる。その結果、通話により音楽再生を妨害されるという使用者の不快感を解消することができる。
【0025】
上記の他の局面による携帯電話装置において、好ましくは、電話番号を記憶する電話番号記憶手段をさらに備え、音楽再生手段による音楽再生中に電話番号記憶手段に記憶されている電話番号と通話を行う場合、通話の通話音声を音楽再生中の再生音楽に重畳する。このように構成すれば、音楽再生時に、電話番号を記憶している電話番号から着呼があった場合にのみ通話を行うので、第3者からの間違い電話や迷惑電話等によって、音楽再生を妨害されるという使用者の不快感を解消することができる。
【0026】
この場合、通話の通話音声の音量と音楽再生中の再生音楽の音量とは、任意に設定可能であるのが好ましい。このように構成すれば、状況に応じて通話の通話音声の音量と音楽再生中の再生音楽の音量とを適切な音量に設定することができる。
【0027】
さらに、この場合、電話番号記憶手段に記憶されている電話番号に対応して通話の通話音声の音量と音楽再生中の再生音楽の音量とを任意に設定可能であるのが好ましい。
【0028】
この発明のもう一つの局面による携帯電話装置は、通話手段と、音楽再生手段とを備え、通話手段による通話中に、第3者からの割り込み着呼があった場合、割り込み着呼に対応した音楽を音楽再生手段により再生し、再生音楽を通話の通話音声に重畳する。このように構成することによって、使用者が通話中である場合に、通話を瞬断することなく、所望の音楽により第3者から割り込み通話があったことを認識することができる。
【0029】
上記のもう一つの局面による携帯電話装置において、好ましくは、再生音楽の音量と通話の通話音声の音量とを制御する音量制御手段をさらに備え、割り込み着呼に対応する再生音楽を通話の通話音声に重畳する際に、音量制御手段により通話の通話音声の音量を小さくする。このように構成すれば、第3者から割り込み通話があったことをより確実に認識することができる。
【0030】
また、上記のもう一つの局面による携帯電話装置において、好ましくは、再生音楽の音量と通話の通話音声の音量とを制御する音量制御手段をさらに備え、第3者からの割り込み着呼に応答した場合に、通話者および待機者の3者間の接続状態が継続している間は、音量制御手段により割り込み着呼に対応する再生音楽の音量を低くして、通話の通話音声に重畳させる。このように構成すれば、通話者は、第3者が接続状態にあることを容易に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を具現化した実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態による携帯電話装置100について説明する。この第1実施形態による携帯電話装置100は、図1に示すように、通信制御部101と、スピーカ102と、マイク103と、A/D・D/A処理部104と、キー入力部105と、バッテリ106と、電源電圧検出部107と、ディスプレイ108と、表示制御部109と、音楽情報記憶部110と、主制御部111と、ヘッドホン端子112と、音声出力制御部113とを備えている。
【0032】
通信制御部101は、公知の携帯電話の通信処理を有し、アンテナを介して無線通信回線網との間で音声情報の送受信を行う。また、A/D・D/A処理部104は、マイク103からの使用者の音声(通話音声)をA/D変換して通信制御部101に供給し、且つ、通信制御部101からの音声情報をD/A変換して音声出力制御部113に供給する。
【0033】
キー入力部105は、使用者による電話番号入力や操作指示入力を行うテンキー等により構成される。バッテリ106は、二次電池により構成されている。電源電圧検出部107は、バッテリ106の出力電圧を検出する。また、表示制御部109は、LCD等により構成されるディスプレイ108の表示制御を行う。音楽情報記憶部110は、複数の音楽情報を記憶可能である。音声出力制御部113は、A/D・D/A処理部104から供給された通話音声と再生音楽とをミキシングしてスピーカ102またはヘッドホン端子112に供給する。主制御部111は、全てを統括制御する。
【0034】
なお、音楽情報記憶部110は、磁気ディスクやスマートメディア等の外部記憶媒体により構成され、予め音楽情報が所望の圧縮処理により複数記憶されている。
【0035】
図2を参照して、A/D・D/A処理部104から供給された通話音声は、通話音量調整部203に供給される。また、A/D・D/A処理部104から供給された再生音楽は、音楽音量調整部205に供給される。ゲインコントロール部201は、主制御部111からの指示に従い、通話音声および再生音楽を適切な音量に調整するように、通話音量調整部203および音楽音量調整部205を制御する。なお、このゲインコントロール部201が、本発明の「音量制御手段」に相当する。通話音量調整部203および音楽音量調整部205から出力された通話音声および再生音楽は、ミキサ206によりミキシングされ、スピーカ102またはヘッドホン端子112に供給される。
【0036】
次に、第1実施形態の携帯電話装置における通常の通話機能の動作について簡単に説明する。
【0037】
まず、図1を参照して、使用者は、所望の相手先電話番号をキー入力部105から入力する。それにより、主制御部111は、入力された電話番号と接続するように通信制御部101に指示する。これにより、通信制御部101は、公知の携帯電話の無線通信処理により無線公衆回線網と接続を行う。なお、携帯電話の無線通信処理は、公知の技術を用いるので、詳しい説明は省略する。
【0038】
通話時に、使用者の音声は、マイク103から入力され、A/D・D/A処理部104によりA/D変換して主制御部111に供給される。主制御部111は、デジタル化された音声データを所定の音声圧縮符号化方式により符号化して通信制御部101に供給する。そして、通信制御部101により公知の通信変調処理を施し、無線公衆回線に送信される。
【0039】
相手先の音声は、通信制御部101により無線公衆回線から受信され、公知の通信復調処理が施されて主制御部111に供給される。主制御部111は、受信した音声情報を所定の音声圧縮符号化方式に基づいて音声データに復号化するとともに、その音声データをA/D・D/A処理部104に供給する。その音声データは、A/D・D/A処理部104によりD/A変換されて、図2に示した音声出力制御部113内の通話音量調整部203に供給される。そして、その音声データは、ミキサ206を介してスピーカ102またはヘッドホン端子112に供給される。
【0040】
この場合、通話音声だけが出力されるため、ゲインコントロール部201からは、再生音楽出力を停止するように、音楽音量調整部205に対してミュート処理の指示が出力される。
【0041】
次に、第1実施形態の携帯電話装置における音楽再生機能の動作について説明する。
【0042】
まず、図1を参照して、主制御部111が、音楽情報記憶部110に記憶されている音楽の曲名の一覧を読み出し、表示制御部109を介してディスプレイ108に表示する。
【0043】
使用者は、キー入力部105により、ディスプレイ108に表示された曲名一覧から再生したい所望の音楽曲名を選択し、再生する旨の指示を入力する。なお、曲名選択および再生指示は、携帯電話装置のキー入力部105のテンキー等に対応づけられている。したがって、曲名選択および再生指示の対応するテンキーを押圧することにより、曲名選択および再生指示ができるものとする。
【0044】
主制御部111は、所望の音楽情報を音楽情報記憶部110から読み出し、それぞれに対応する伸張処理を施した後、A/D・D/A処理部104に供給する。その音楽情報がA/D・D/A処理部104によりD/A変換されて音声出力制御部113に供給されて、図2に示した音声出力制御部113内の音楽音量調整部205に供給される。そして、その音楽情報は、ミキサ206を介してスピーカ102またはヘッドホン端子112に供給される。
【0045】
この場合、再生音楽だけが出力されるため、ゲインコントロール部201からは通話音声出力を停止するよう、通話音量調整部203に対してミュート処理の指示が出力される。
【0046】
上記した通話機能または音楽再生機能の動作の間、電源電圧検出部107は、バッテリ106の出力電圧を常時監視するとともに、バッテリの出力電圧に対応する情報を主制御部111に供給する。主制御部111は、電源電圧検出部107からの情報に基づき、表示制御部109を介してディスプレイ108に視覚的なバッテリ残量を表示する。
【0047】
次に、図1および図2を参照して、第1実施形態の携帯電話装置において、音楽再生機能の動作中に電話の着呼があった場合について説明する。
【0048】
音楽再生の指示については、上記した動作と同様であるので、その説明を省略する。この場合、主制御部111は、所望の音楽情報を音楽情報記憶部110から読み出し、それぞれに対応する伸張処理を施した後、A/D・D/A処理部104に供給する。その音楽情報は、A/D・D/A処理部104によりD/A変換されて音声出力制御部113内の音楽音量調整部205に供給される。そして、その音楽情報は、ミキサ206を介してスピーカ102またはヘッドホン端子112に供給される。この時、再生音楽だけが出力されるため、ゲインコントロール部201からは通話音声出力を停止するよう、通話音量調整部203に対してミュート処理の指示が出力される。
【0049】
この状態で、無線通信回線網より着呼があった場合、通信制御部101を介して着呼信号は主制御部111に供給される。
【0050】
主制御部111は、着呼を使用者に報知するために、表示制御部109を介してディスプレイ108に着呼がある旨のメッセージを出力する。それと同時に、 音声出力制御部
113を介して、着呼がある旨を知らせるビープ音やコーリング音等の呼出音を所定の音量で、スピーカ102またはヘッドホン端子112により報知する。この場合、呼出音は、A/D・D/A処理部104を介して、音声出力制御部113内の通話音量調整部203に供給される。
【0051】
そして、ゲインコントロール部201から音楽音量調整部205に対し、再生音楽の音量を所定の音量となるように、低音量で出力する旨の音楽音量調整指示がなされる。そして、ミキサ206により、低音量となった再生音楽と呼出音とがミキシングされスピーカ102またはヘッドホン端子112に供給される。これにより、使用者が音楽情報記憶部110に記憶されている音楽を聞いている場合にも、着呼があったことを確実に認識することができる。
【0052】
なお、第1実施形態では、再生音楽と呼出音とをミキシングする際に、再生音楽の音量を低くしているが、再生音楽の音量を変えることなく、呼出音とミキシングしてもよい。
【0053】
また、再生音楽と呼出音とをミキシングする際に、再生音楽の音量を低くする場合、再生音楽の音量を時間の経過にともなって徐々に低くするようなミュート処理を行うようにしてもよい。このミュート処理では、ゲインコントロール部201から音楽音量調整部205に対し、再生音楽の音量を徐々に低くする旨の音楽音量調整指示が出力される。
【0054】
また、再生音楽と呼出音とをミキシングする際に、再生音楽の音量を低くせずに、着呼の音量を時間の経過にともなって徐々に大きくするようにしてもよい。この処理では、ゲインコントロール部201から着呼の音量を時間の経過にともなって徐々に大きくするように、通話音量調整部203に対して指示が出力される。
【0055】
使用者がキー入力部105等のキー操作により着呼に対して応答した場合、通話が確立される。電話の通話音声は、A/D・D/A処理部104および音声出力制御部113内の通話音量調整部203を介してミキサ206に供給される。一方、再生音楽については、A/D・D/A処理部104および音声出力制御部113内の音楽音量調整部205を介して所定の音量となった再生音楽が、ミキサ206に供給される。ミキサ206により、音量が低くなった再生音楽と電話の通話音声とがミキシングされてスピーカ102またはヘッドホン端子112に供給される。これにより、使用者が音楽情報記憶部110に記憶されている音楽を聞いている場合にも、音楽を聞きながら通話が可能となる。
【0056】
なお、第1実施形態では、使用者が着呼に対して応答した場合、再生音楽の音量を低くし、通話音声と重畳させて出力しているが、通話中は音楽を出力しないように、ゲインコントロール部201から再生音楽出力を停止するよう音楽音量調整部205に対してミュート処理の指示を出力するようにしてもよい。更に、音楽の再生処理全体を停止するようにしてもよい。
【0057】
また、使用者が着呼に対して応答しなかった場合、ゲインコントロール部201から音楽音量調整部205に対する音楽音量調整の指示が停止され、通常音量の再生音楽がミキサ206を介してスピーカ102またはヘッドホン端子112に供給される。
(第2実施形態)
次に、図2および図3を参照して、第2実施形態の携帯電話装置について説明する。この第2実施形態では、予め着呼を許可した電話番号を、主制御部111が管理する図3に示すような電話番号記憶部(メモリ)114に登録してあるものとする。なお、この電話番号記憶部(メモリ)114が、本発明の「電話番号記憶手段」に相当する。以下、第2実施形態の携帯電話装置において、音楽再生機能の動作中に電話の着呼があった場合について説明する。
【0058】
音楽再生の指示については前述した動作と同様であるので、その説明を省略する。主制御部111は、所望の音楽情報を音楽情報記憶部110から読み出し、それぞれに対応する伸張処理を施した後、A/D・D/A処理部104に供給する。その音楽情報は、A/D・D/A処理部104によってD/A変換されて、図2に示した音声出力制御部113内の音楽音量調整部205に供給される。そして、その音楽情報は、ミキサ206を介してスピーカ102またはヘッドホン端子112に供給される。この時、再生音楽だけが出力されるため、ゲインコントロール部201からは通話音声出力を停止するよう、通話音量調整部203に対してミュート処理の指示が出力される。
【0059】
この状態で、無線通信回線網より着呼があった場合、通信制御部101を介して着呼信号は主制御部111に供給される。
【0060】
主制御部111は、着呼が、電話番号記憶部(メモリ)114に記憶されている着呼を許可する電話番号からのものか否かを判断する。着呼が、電話番号記憶部(メモリ)114に記憶されている着呼を許可する電話番号からの着呼であった場合、前述の場合と同様に、主制御部111は、着呼を使用者に報知するために、表示制御部109を介してディスプレイ108に着呼がある旨のメッセージを出力する。また、それと同時に、音声出力制御部113を介して、着呼がある旨を知らせるビープ音やコーリング音等の呼出音を、所定の音量でスピーカ102またはヘッドホン端子112により報知する。
【0061】
この場合、呼出音は、A/D・D/A処理部104を介して、音声出力制御部113内の通話音量調整部203に供給される。そして、ゲインコントロール部201から音楽音量調整部205に対し、再生音楽の音量を所定の音量となるように低音量で出力する旨の指示がなされる。そして、ミキサ206により、低音量となった再生音楽と呼出音とがミキシングされスピーカ102またはヘッドホン端子112に供給される。これにより、使用者が音楽情報記憶部110に記憶されている音楽を聞いている場合にも、着呼許可した相手から着呼があったことを確実に認識することができる。
【0062】
なお、この第2実施形態では、再生音楽と呼出音とをミキシングする際に、再生音楽の音量を低くしているが、再生音楽の音量を変えることなく、呼出音とミキシングしてもよい。また、再生音楽と呼出音とをミキシングする際に、再生音楽の音量を低くする場合、再生音楽の音量を時間の経過にともなって徐々に低くするようなミュート処理を行うようにしてもよい。このミュート処理では、ゲインコントロール部201から音楽音量調整部205に対し、再生音楽の音量を徐々に低くする旨の音楽音量調整指示が出力される。
【0063】
また、再生音楽と呼出音とをミキシングする際に、再生音楽の音量を低くせずに、着呼の音量を時間の経過にともなって徐々に大きくするようにしてもよい。この処理では、ゲインコントロール部201から着呼の音量を時間の経過にともなって徐々に大きくするように、通話音量調整部203に対して指示が出力される。
【0064】
また、第2実施形態では、電話番号記憶部(メモリ)114に記憶されている電話番号を着呼許可の電話番号としているが、メモリに記憶されている電話番号の中で、着呼許可する電話番号を選択するようにし、この選択された電話番号からの着呼しか許可しないようにしてもよい。なお、この選択方法は、電話番号記憶部(メモリ)114に記憶されている電話番号の一覧を読み出し、表示制御部109を介してディスプレイ108に表示し、キー入力部105により、ディスプレイ108に表示された電話番号から、着呼を許可する電話番号を選択するものとする。なお、キー入力部105が、本発明の「着呼設定手段」に相当する。
【0065】
使用者がキー入力部105等のキー操作により着呼に対して応答した場合、通話が確立される。電話の通話音声は、A/D・D/A処理部104および音声出力制御部113内の通話音量調整部203を介してミキサ206に供給される。
【0066】
一方、再生音楽については、A/D・D/A処理部104および音声出力制御部113内の音楽音量調整部205を介して所定の音量となった再生音楽が、ミキサ206に供給される。ミキサ206により、低音量の再生音楽と電話の通話音声とがミキシングされスピーカ102またはヘッドホン端子112に供給される。これにより、使用者が音楽情報記憶部110に記憶されている音楽を聞いている場合にも、音楽を聞きながら通話が可能となる。
【0067】
なお、第2実施形態では、使用者が着呼に対して応答した場合、再生音楽の音量を低くし、通話音声と重畳させて出力しているが、通話中は音楽を出力しないように、ゲインコントロール部201から再生音楽出力を停止するよう音楽音量調整部205に対してミュート処理の指示を出力するようにしてもよい。更に、音楽の再生処理全体を停止するようにしてもよい。
【0068】
また、使用者が着呼に対して応答しなかった場合、ゲインコントロール部201から音楽音量調整部205に対する音楽音量調整の指示が停止され、通常音量の再生音楽がミキサ206を介してスピーカ102またはヘッドホン端子112に供給される。
【0069】
一方、主制御部111が管理する電話番号記憶部(メモリ)114に記憶されていない(着呼を許可されていない)電話番号からの着呼であった場合、着呼に対して応答せず、現状のまま通常音量の再生音楽をミキサ206を介してスピーカ102またはヘッドホン端子112に供給する。つまり、着呼が許可されていない電話番号からの着呼の場合は、着呼を無視する。具体的には、ディスプレイ108への表示および着呼を示す旨の呼出音(ビープ音やコーリング音)のスピーカ102またはヘッドホン端子112による報知をすることなく(再生音楽と呼出音を重畳させることもなく)、通常の音楽再生を続ける。これにより、通話の必要のない人からの着呼により妨害されることなく、音楽を聞き続けることができる。
【0070】
上記した第2本実施形態では、通話音声と再生音楽とをミキシングする場合、再生音楽を所定の音量となるように音量調整しているが、通話音声と再生音楽とを使用者の任意の音量に調整できるようにしてもよい。また、第2実施形態においては、電話番号記憶部(メモリ)114に記憶されている着呼を許可する電話番号のそれぞれに対応して、通話音声と再生音楽とを使用者の任意の音量に調整できるようにしてもよい。
(第3実施形態)
次に、図1および図2を参照して、第3実施形態の携帯電話装置において、通話中の場合に、第3者からの割り込み通話の着呼があった場合について説明する。この第3実施形態では、通信事業者が提供する、第3者から割り込み通話が可能な設定となっているものとする。なお、この第3実施形態による携帯電話装置の構成は、図1および図2に示した第1実施形態による携帯電話装置の構成と同様である。
【0071】
現在、通信事業者が提供している第3者からの割込通話サービスでは、通話中に割込着呼があると、通話を瞬断させ、その間隙に短いコーリング音を出力して使用者に報知するサービスが提供されている。この場合、通話中の使用者は、通話が瞬断され、更には耳障りなコーリング音を聞くことになり、不快感を有している。
【0072】
携帯電話装置が通話中の状態にある場合、相手の通話音声は、通信制御部101および主制御部111を介して、A/D・D/A処理部104に供給される。そして、その相手の通話音声は、A/D・D/A処理部104および音声出力制御部113内の通話音量調整部203を介してミキサ206に供給される。この時、通話音声だけが出力されているため、ゲインコントロール部201からは再生音楽出力を停止するよう、音楽音量調整部205に対してミュート処理の指示が出力される。
【0073】
この通話中の状態において、第3者からの割り込み通話の着呼があった場合、通信制御部101を介して割込着呼信号が主制御部111に供給される。
【0074】
主制御部111は、第3者からの割込着呼を使用者に報知するために、表示制御部109を介してディスプレイ108に割込着呼がある旨のメッセージを出力する。また、それと同時に、割込着呼が続いている間、音声出力制御部113を介して、第3者からの割込着呼がある旨を、音楽情報記憶部110に記憶されている所望の音楽を割込着呼音として、所定の音量でスピーカ102またはヘッドホン端子112により報知する。
【0075】
この場合、音楽の割込着呼音は、A/D・D/A処理部104を介して、音声出力制御部113内の音楽音量調整部205に供給される。そして、ゲインコントロール部201から通話音量調整部203に対し、通話音声の音量を所定の音量となるように低音量で出力する旨の指示がなされる。そして、ミキサ206により、低音量となった通話音声と音楽の割込着呼音とがミキシングされてスピーカ102またはヘッドホン端子112に供給される。これにより、使用者が通話中にある場合に、通話を瞬断することなく、更には耳障りなコーリング音を聞くことなく、所望の音楽により、第3者からの割り込み通話の着呼があったことを認識することができる。
【0076】
なお、割込着呼音として用いる音楽は、予め、音楽情報記憶部110に記憶されている音楽の曲名の一覧を読み出し、表示制御部109を介してディスプレイ108に表示し、キー入力部105により、ディスプレイ108に表示された曲名一覧から所望の音楽曲名を選択しておく。また、第3実施形態では、通話音声と音楽の割込着呼音とをミキシングする際に、通話音声の音量を低くしているが、通話音声の音量を変えることなく、音楽の割込着呼音とミキシングしてもよい。
【0077】
使用者がキー入力部105等のキー操作により第3者からの割り込み着呼に対して応答した場合、第3者との通話が確立され、主制御部111は、音楽の割込着呼音を出力しないように、ゲインコントロール部201からは音楽の割込着呼音の出力を停止するするよう、音楽音量調整部205に対してミュート処理の指示が出力される。
【0078】
なお、第3者からの割り込み着呼に応答した場合には、一時的に割込者との二者間での通話となるが、前に通話していたもう一人の話者は待機中となるため、実質的に3者が接続状態となっている。この3者の接続状態が続いている間は、音楽の割込着呼音を低音量にして、通話音声に重畳させるようにしてもよい。これにより、通話者は、3者が接続状態にあることを容易に認識することができる。
【0079】
また、使用者が第3者からの割込着呼に対して応答しなかった場合、ゲインコントロール部201から通話音量調整部203に対する通話音声出力の音量調整の指示が停止され、通常音量の通話音声がミキサ206を介してスピーカ102またはヘッドホン端子112に供給される。
【0080】
なお、上記第1〜第3実施形態では、図1および図3において、音声出力制御部113をD/A・A/D処理部104と、スピーカ102およびヘッドホン端子112の間に設けアナログ処理するように説明したが、D/A・A/D処理部104と主制御部11との間に音声出力制御部113を設け、デジタル処理を行うことができることはいうまでもない。
(第4実施形態)
次に、図4および図5を参照して、本発明の第4実施形態による携帯電話装置300について説明する。この第4実施形態による携帯電話装置300は、図1に示した第1実施形態の携帯電話装置100と同様、図4に示すように、通信制御部101と、スピーカ102と、マイク103と、A/D・D/A処理部104と、キー入力部105と、バッテリ106と、電源電圧検出部107と、ディスプレイ108と、表示制御部109と、音楽情報記憶部110と、主制御部111と、ヘッドホン端子112と、音声出力制御部313とを備えている。この通信制御部101、スピーカ102、マイク103、A/D・D/A処理部104、キー入力部105、バッテリ106、電源電圧検出部107、ディスプレイ108、表示制御部109、音楽情報記憶部110、主制御部111およびヘッドホン端子112の構成および機能は、第1実施形態と同様である。
【0081】
さらに、この第4実施形態の携帯電話装置300は、第1実施形態と異なり、振動制御部314と、バイブレータ315とを備えている。振動制御部314は、回転軸に偏心重りを装着したモータなどにより構成されるバイブレータ315の振動制御を行う。なお、ヘッドホン端子112には、ヘッドホン301が装着可能である。
【0082】
図5を参照して、A/D・D/A処理部104から供給された通話音声は、スピーカ出力切替部401の入出力端子401aと、ヘッドホン出力切替部402の入出力端子402aとに供給される。また、A/D・D/A処理部104から供給された再生音楽は、スピーカ出力切替部401の入出力端子401bと、ヘッドホン出力切替部402の入出力端子402bとに供給される。
【0083】
スピーカ出力切替部401は、主制御部111からの指示に従い、入出力端子401aまたは401bのいずれかを出力端子に接続するように切り替える。また、ヘッドホン出力切替部402は、主制御部111からの指示に従い、入出力端子402aまたは402bのいずれかを出力端子に接続するように切り替える。
これにより、通話音声および再生音楽は、スピーカ出力切替部401およびヘッドホン出力切替部402のそれぞれの切替位置に応じて、スピーカ102またはヘッドホン端子112のいずれにも供給可能となる。なお、通話音声および再生音楽を、スピーカ102またはヘッドホン端子112のいずれから出力させるかは、キー入力部105を操作することにより設定される。
【0084】
次に、第4実施形態の携帯電話装置における通常の通話機能の動作について簡単に説明する。
【0085】
まず、図4を参照して、使用者は、所望の相手先電話番号をキー入力部105から入力する。それにより、主制御部111は、入力された電話番号と接続するように通信制御部101に指示する。これにより、通信制御部101は、公知の携帯電話の無線通信処理により無線公衆回線網と接続を行う。なお、携帯電話の無線通信処理は、公知の技術を用いるので、詳しい説明は省略する。
【0086】
通話時に、使用者の音声は、マイク103から入力され、A/D・D/A処理部104によりA/D変換して主制御部111に供給される。主制御部111は、デジタル化された音声データを所定の音声圧縮符号化方式により符号化して通信制御部101に供給する。そして、通信制御部101により公知の通信変調処理を施し、無線公衆回線に送信される。
【0087】
相手先の音声は、通信制御部101により無線公衆回線から受信され、公知の通信復調処理が施されて主制御部111に供給される。主制御部111は、受信した音声情報を所定の音声圧縮符号化方式に基づいて音声データに復号化するとともに、その音声データをA/D・D/A処理部104に供給する。その音声データは、A/D・D/A処理部104によりD/A変換されて、図5に示した音声出力制御部313内におけるスピーカ出力切替部401の入出力端子401aと、ヘッドホン出力切替部402の入出力端子402aとに供給される。
【0088】
このとき、予め使用者がキー入力部105を操作して、スピーカ102による通話音声の出力を主制御部111に指示している場合には、スピーカ出力切替部401が入出力端子401a側に接続される。また、予め使用者がキー入力部105を操作して、ヘッドホン301による通話音声の出力を主制御部111に指示している場合には、ヘッドホン出力切替部402が入出力端子402a側に接続される。
【0089】
次に、第4実施形態の携帯電話装置における音楽再生機能の動作について説明する。
【0090】
まず、図4を参照して、主制御部111が、音楽情報記憶部110に記憶されている音楽の曲名の一覧を読み出し、表示制御部109を介してディスプレイ108に表示する。
【0091】
使用者は、キー入力部105により、ディスプレイ108に表示された曲名一覧から再生したい所望の音楽曲名を選択し、再生する旨の指示を入力する。なお、曲名選択および再生指示は、携帯電話装置のキー入力部105のテンキー等に対応づけられている。したがって、曲名選択および再生指示の対応するテンキーを押圧することにより、曲名選択および再生指示ができるものとする。
【0092】
主制御部111は、所望の音楽情報を音楽情報記憶部110から読み出し、それぞれに対応する伸張処理を施した後、A/D・D/A処理部104に供給する。その音楽情報がA/D・D/A処理部104によりD/A変換されて音声出力制御部113に供給されて、図5に示した音声出力制御部313内のスピーカ出力切替部401の入出力端子401bと、ヘッドホン出力切替部402の入出力端子402bとに供給される。そして、その音楽情報は、主制御部111からの指示に従い、スピーカ102またはヘッドホン端子112を介してヘッドホン301に供給される。
【0093】
このとき、予め使用者がキー入力部105を操作して、スピーカ102による音楽再生を主制御部111に指示している場合には、スピーカ出力切替部401が入出力端子401b側に接続される。また、予め使用者がキー入力部105を操作して、ヘッドホン301による音楽再生を主制御部111に指示している場合には、ヘッドホン出力切替部402が入出力端子402b側に接続される。
【0094】
上記した通話機能または音楽再生機能の動作の間、電源電圧検出部107は、バッテリ106の出力電圧を常時監視するとともに、バッテリの出力電圧に対応する情報を主制御部111に供給する。主制御部111は、電源電圧検出部107からの情報に基づき、表示制御部109を介してディスプレイ108に視覚的なバッテリ残量を表示する。
【0095】
次に、図4および図5を参照して、第4実施形態の携帯電話装置において、音楽再生機能の動作中に電話の着呼があった場合の音楽優先モードと設定優先モードの動作について説明する。
【0096】
なお、着呼の報知形態としては、スピーカ102またはヘッドホン301による音声報知と、バイブレータ315による振動報知と、両者を組み合わせた音声・振動報知とがある。この着呼の報知形態は、キー入力部105の操作により設定される。
【0097】
音楽再生の指示については、上記した動作と同様であるので、その説明を省略する。この場合、主制御部111は、所望の音楽情報を音楽情報記憶部110から読み出し、それぞれに対応する伸張処理を施した後、A/D・D/A処理部104に供給する。その音楽情報は、A/D・D/A処理部104によりD/A変換されて音声出力制御部313内におけるスピーカ出力切替部401の入出力端子401bと、ヘッドホン出力切替部402の入出力端子402bとに供給される。
【0098】
使用者が予めキー入力部105を操作して、スピーカ102による音楽再生を主制御部111に指示している場合には、スピーカ出力切替部401が入出力端子401b側に接続されている。また、予め使用者がキー入力部105を操作して、ヘッドホン301による音楽再生を主制御部111に指示している場合には、ヘッドホン出力切替部402が入出力端子402b側に接続されている。これにより、再生音楽がヘッドホン端子112を介してヘッドホン301、またはスピーカ102に供給される。
【0099】
この時、再生音楽だけが出力されるため、主制御部111は、A/D・D/A処理部104に対する通話音声の出力を停止している。
【0100】
この状態で、無線通信回線網より着呼があった場合、通信制御部101を介して着呼信号は主制御部111に供給される。
【0101】
ここで、設定優先モードが選択されている場合、主制御部111は、設定されている報知形態に従って、使用者に着呼を報知するように制御を行う。すなわち、音楽再生を行っていない場合と同様の報知形態で、使用者に着呼を報知する。
【0102】
したがって、着呼の報知形態としてスピーカ102による音声報知が選択されている場合、主制御部111は、通話音声と同様に、着呼を報知するための音声情報をA/D・D/A処理部104を介して音声出力制御部313に供給する。このため、スピーカ102から再生音楽が出力中であったとしても、それを中断して着呼の音声報知がスピーカ102により行われる。また、ヘッドホン301から再生音楽が出力中である場合は、それを継続しながら着呼の音声報知がスピーカ102により行われる。
【0103】
一方、音楽優先モードが選択されている場合、主制御部111は、設定されている報知形態に関わらず、使用者に着呼を報知するために、振動制御部314に駆動信号を出力して、バイブレータ315を振動させる。それと同時に、主制御部111は、表示制御部109を介してディスプレイ108に着呼がある旨のメッセージを出力する。
【0104】
これにより、音楽優先モードにおいては、音楽情報記憶部110に記憶されている音楽を聞いている場合にも、その音楽の再生を妨げることなく、着呼があったことを使用者が確実に認識することができる。
【0105】
また、キー入力部により音声報知が設定されている場合にも、その音声報知が行われないので、ヘッドホン301による音楽再生中にスピーカ102から着呼の音声報知が行われた場合に使用者がその着呼に気づかずに周囲に不快感を与えるという不都合を防止することができる。
【0106】
なお、音楽優先モードと設定優先モードとは、使用者がキー入力部105を操作することにより、いずれか一方が設定される。これにより、音楽再生中における着呼の報知形態が使用者の好みで自由に設定することができる。その結果、より使い易い携帯電話装置を提供することが可能となる。
【0107】
また、上記第4実施形態では、再生音楽による出力をスピーカ102またはヘッドホン301のどちらで行うかを使用者がキー入力部105を操作して設定する場合について説明したが、図6に示した第4実施形態の変形例のように構成してもよい。
【0108】
具体的には、図6に示した第4実施形態の変形例では、音声出力制御部313内に、ヘッドホン301のヘッドホン端子112への装着を検出するヘッドホン検出部403を設ける。そして、このヘッドホン検出部403の検出結果に基づいて、再生音楽および通話音声の出力をスピーカ102またはヘッドホン301のいずれで行うかを自動的に設定するように構成してもよい。
【0109】
この場合、ヘッドホン301がヘッドホン端子112に装着されると、それがヘッドホン検出部403によって検出されて主制御部111に入力される。これに応答して、主制御部111は、再生音楽および通話音声の出力をヘッドホン301から行うように制御する。これにより、キー入力部105による操作を行うことなく、自動的に再生音楽および通話音声の出力形態が決定される。その結果、操作が簡単になり、より使い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1および第3実施形態による携帯電話装置を示した機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1〜第3実施形態による携帯電話装置の音声出力制御部を示した機能ブロック図である。
【図3】本発明の第2実施形態による携帯電話装置を示した機能ブロック図である。
【図4】本発明の第4実施形態による携帯電話装置を示した機能ブロック図である。
【図5】本発明の第4実施形態による携帯電話装置の音声出力制御部を示した機能ブロック図である。
【図6】本発明の第4実施形態の変形例による携帯電話装置の音声出力制御部を示した機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0111】
100・・・携帯電話装置、102・・・スピーカ、101・・・通信制御部、110・・・音楽情報記憶部、111・・・主制御部、113・・・音声出力制御部、313・・・音声出力制御部、314・・・振動制御部、315・・・バイブレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話手段と、
音楽再生手段とを備え、
前記通話手段による通話中に、第3者からの割り込み着呼があった場合、前記割り込み着呼に対応した音楽を前記音楽再生手段により再生し、前記再生音楽を前記通話の通話音声に重畳する、携帯電話装置。
【請求項2】
前記再生音楽の音量と前記通話の通話音声の音量とを制御する音量制御手段をさらに備え、
前記割り込み着呼に対応する再生音楽を前記通話の通話音声に重畳する際に、前記音量制御手段により前記通話の通話音声の音量を小さくする、請求項1に記載の携帯電話装置。
【請求項3】
前記再生音楽の音量と前記通話の通話音声の音量とを制御する音量制御手段をさらに備え、
前記第3者からの割り込み着呼に応答した場合に、通話者および待機者の3者間の接続状態が継続している間は、前記音量制御手段により前記割り込み着呼に対応する再生音楽の音量を低くして、前記通話の通話音声に重畳させる、請求項1に記載の携帯電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−306592(P2007−306592A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157252(P2007−157252)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【分割の表示】特願2006−32519(P2006−32519)の分割
【原出願日】平成12年4月10日(2000.4.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】