説明

携行物監視システム

【課題】携行物に装着された無線タグ、または無線タグと相互に通信する携帯端末装置の所在場所に基づいて、無線タグの監視に用いる監視距離を可変調整することにより、常時、携行物の適切な監視を実行することが可能な携行物監視システムを提供する。
【解決手段】携行物監視システム10に、所在場所判定部21、監視距離制御部22、通信状態判定部23及び通信断絶情報出力部24を備えることにより、RFIDリーダ20の所在場所に基づいて、RFIDリーダ20とRFIDタグ30との通信距離の最大値である監視距離を可変に調整して、誤報等の発生を削減したシステムを構築することができる。また、誤報等の発生が削減されることから、所在場所により携行物の監視機能を入り切りすることなく、常時、監視機能を実行することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグを利用して携行物を監視する携行物監視システムに関する。特に、携行物に装着された無線タグ、または無線タグと相互に通信する携帯端末装置の所在場所に基づいて、無線タグの監視に用いる監視距離を可変調整することにより、常時、携行物の適切な監視を実行することが可能な携行物監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが携行している携行物(例えば、傘、財布、カード等)の置忘れや、掏りや置き引き等による携行物の遺失を防止する方法やシステムが提案されている。
【0003】
特許文献1では、RFIDを鞄等の管理対象に装着することにより、RFIDとの通信断絶の発生を検出することにより管理対象の遺失を通知するとともに、小型化で、長期間連続使用することができる遺失防止装置が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、無線タグとの交信を行う無線通信機構が、所持品に付加された無線タグからの応答が無いことをユーザに報知することにより、ユーザに所持品の遺失を認識させる所持品遺失防止方法が提案されている。
【特許文献1】特開2004−185101号公報
【特許文献2】特開2006−4257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の携行物を監視する方法では、例えば、路上を移動中、人混みの中で携行物を落としたり、掏りの被害にあったりした場合に、即座にユーザへ報知することを目的としているため、セキュリティの観点から、タグリーダ機能付き無線通信端末から携行物に装着された無線タグまでの最大通信距離である監視距離が比較的短く設定されている。
【0006】
しかしながら、オフィスや自宅等においては、携行物を自席に置いたままユーザが移動する場合もあり、監視距離を短く設定しておくと、誤報が頻発してしまう。そのため、オフィスや自宅等において、ある程度の範囲内をユーザが移動するような場所においては、携行物を監視する機能を停止しておかなければならないという問題点があった。
【0007】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、携行物に装着された無線タグ、または無線タグと相互に通信する携帯端末装置の所在場所に基づいて、無線タグの監視に用いる監視距離を可変調整することにより、常時、携行物の適切な監視を実行することが可能な携行物監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した従来の問題点を解決すべく下記の発明を提供する。
【0009】
本発明の第1の態様にかかる携行物監視システムは、監視対象となる1個または複数個の携行物毎に装着された無線タグと、前記無線タグと相互に無線通信する携帯端末装置とを有した携行物監視システムであって、前記携帯端末装置または前記無線タグの少なくとも一方に、前記携帯端末装置または前記無線タグの所在場所を判定する所在場所判定手段と、前記所在場所判定手段によって判定された前記所在場所に基づいて、前記無線タグの監視に用いる監視距離を設定制御する監視距離制御手段と、を備え、前記携帯端末装置は、前記無線タグからの当該無線タグを識別する識別情報の受信状態に基づいて、当該無線タグが前記監視距離内に存在するか否かを判定する通信状態判定手段と、前記通信状態判定手段によって、前記無線タグが前記監視距離内に存在しないと判定されたときに、当該無線タグの通信断絶情報を出力する通信断絶情報出力手段と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
これにより、携帯端末装置または無線タグを装着した携行物の所在場所により、携帯端末装置から無線タグまでの監視距離を可変に調整して、誤報等の発生を削減したシステムを構築することができる。例えば、オフィスや自宅等において、ユーザが移動して、ユーザが携帯している携帯端末装置と無線タグを装着した携行物との距離が、離れてしまった場合であっても、誤報の発生を削減することができる。
【0011】
また、誤報等の発生が削減されることから、所在場所により携行物の監視機能を入り切りすることなく、常時、監視機能を実行することができる。
【0012】
本発明の第2の態様にかかる携行物監視システムは、上述した本発明の第1の態様にかかる携行物監視システムにおいて、前記所在場所判定手段によって判定された前記携帯端末装置または前記無線タグの所在場所が、所定の監視距離変更場所の領域内であるときの前記監視距離を距離Aとし、所定の監視距離変更場所の領域外であるときの前記監視距離を距離Bとしたとき、前記監視距離制御手段は、前記距離Bに比較して前記距離Aが長くなるように、前記監視距離を設定制御することを特徴とする。
【0013】
これにより、例えば、オフィスや自宅等を、監視距離を変更する監視距離変更場所にすることにより、ユーザが移動して、ユーザが携帯している携帯端末装置と無線タグを装着した携行物との距離が、離れてしまった場合であっても、誤報の発生を削減することができる。ここで、オフィスや自宅等の所定の監視距離変更場所を予め設定しておき、監視距離変更場所ごとに監視距離を調整することも、全ての監視距離変更場所を同じ監視距離にすることもできる。また、公道や公共交通機関等の監視距離変更場所の領域外の監視距離を初期値として、短い距離に設定しておく。
【0014】
本発明の第3の態様にかかる携行物監視システムは、上述した本発明の第2の態様にかかる携行物監視システムにおいて、前記通信状態判定手段は、前記無線タグから前記識別情報を受信しない状態が所定の設定時間続いたときに、当該無線タグが前記監視距離内に存在しないと判定し、前記所在場所が前記監視距離変更場所の領域外のときの前記設定時間を、前記監視距離変更場所の領域内のときの前記設定時間より長い時間とすることを特徴とする。
【0015】
これにより、短時間の通信障害等による誤報の発生を削減することができる。
【0016】
本発明の第4の態様にかかる携行物監視システムは、上述した本発明の第1から3のいずれか1つの態様にかかる携行物監視システムにおいて、前記所在場所判定手段は前記携帯端末装置に備えられ、所定の監視距離変更場所の領域内に設置された、前記無線タグとは異なる所在場所用無線タグを、更に備え、前記所在場所判定手段は、前記所在場所用無線タグより、当該所在場所用無線タグを識別する所在識別情報を受信しているか否かによって、前記所在場所を判定することを特徴とする。
【0017】
これにより、所在場所用無線タグと携帯端末装置との通信状況だけで、監視距離を変更する監視距離変更場所であるか否かを判定することができる。また、誤報等の発生を削減するために、監視距離変更場所の領域外内で、携行物の監視機能を入り切りすることなく、常時、監視機能を実行することができる。
【0018】
本発明の第5の態様にかかる携行物監視システムは、上述した本発明の第1から4のいずれか1つの態様にかかる携行物監視システムにおいて、前記監視距離制御手段は前記携帯端末装置に備えられ、前記監視距離制御手段は、当該携帯端末装置の受信感度または前記無線タグへの送信出力を制御して、前記監視距離を調整することを特徴とする。
【0019】
これにより、無線タグへの送信出力を大きくすることで、容易に監視距離を長く調整することができる。また、無線タグからの受信感度を大きくすることで、容易に監視距離を長く調整することができる。
【0020】
本発明の第6の態様にかかる携行物監視システムは、上述した本発明の第1から4のいずれか1つの態様にかかる携行物監視システムにおいて、前記監視距離制御手段は前記無線タグ毎に備えられ、前記監視距離制御手段は、当該無線タグの受信感度または前記携帯端末装置への送信出力を制御して、前記監視距離を調整することを特徴とする。
【0021】
これにより、携帯端末装置への送信出力を大きくすることで、容易に監視距離を長く調整することができる。また、携帯端末装置からの受信感度を大きくすることで、容易に監視距離を長く調整することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、携帯端末装置または無線タグを装着した携行物の所在場所により、携帯端末装置から無線タグまでの監視距離を可変に調整して、誤報等の発生を削減したシステムを構築することができる。また、例えば、オフィスや自宅等を、監視距離を変更する監視距離変更場所にすることにより、オフィスや自宅等でユーザが移動して、ユーザが携帯している携帯端末装置と無線タグを装着した携行物との距離が、離れてしまった場合であっても、誤報の発生を削減することができる。
【0023】
また、誤報等の発生が削減されることから、所在場所により携行物の監視機能を入り切りすることなく、常時、監視機能を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
この発明の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施態様は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なもので置換した実施態様を採用することが可能であるが、これらの実施態様も本発明の範囲に含まれる。
【0025】
図1は、本発明を適用可能な携行物監視システムの構成図の一例を示した図である。図1に示すように、携行物監視システム10は、カード、財布等の携行物に貼付された無線タグであるRFID(Radio Frequency Identification)タグ30と、RFIDタグ30と通信する携帯端末装置であるRFIDリーダ20、オフィスや自宅等の監視距離を変更する監視距離変更場所に設置されている所在場所用無線タグであるRFIDタグ40から構成されている。
【0026】
RFIDリーダ20は、所在場所判定部21、監視距離制御部22、通信状態判定部23、通信断絶情報出力部24、所在位置用タグ情報記憶部25及び携行物タグ情報記憶部26を備えている。RFIDリーダ20はアンテナ(図示せず)を介して、所定の送信出力で外部に質問波を出力し、これに対してRFIDタグ30、40から発信された応答波(RFIDタグの識別情報)を受信する。
【0027】
所在場所判定部21は、RFIDタグ40から受信した識別情報と所在位置用タグ情報記憶部25に記憶されているRFIDタグ40の所在位置情報とに基づいて、RFIDリーダ20自身の所在場所が、予め設定した監視距離変更場所の領域内であるか否かを判定する。
【0028】
例えば、所在位置用タグ情報記憶部25には、RFIDタグ40の識別情報が記憶され、RFIDタグ40との通信ができているときに、現在の所在場所が監視距離変更場所の領域内であると判定し、RFIDタグ40との通信が断絶しているときに、監視距離変更場所の領域外であると判定する。
【0029】
ここで、監視距離変更場所の領域内とは、ユーザが領域内を移動して、ユーザが携帯しているRFIDリーダ20とRFIDタグ30を装着した携行物との距離が、離れてしまうような場所(例えば、オフィス、自宅等)であって、携行物の監視距離を初期状態に比較して長く設定する場所である。
【0030】
監視距離制御部22は、所在場所判定部21によって、判定されたRFIDリーダ20自身の所在場所により、携行物の監視距離を設定制御する。例えば、所在場所が監視距離変更場所の領域内であると判定されたときに、監視距離を長く設定し、監視距離変更場所の領域外であると判定されたときに、監視距離を初期状態に戻す。
【0031】
ここで、監視距離は、RFIDリーダ20とRFIDタグ30とが通信可能な距離の最大値であり、RFIDリーダ20による質問波の送信出力の強度を大きくすることで監視距離を延ばすことができる。そこで、監視距離制御部22は、監視距離変更場所の領域外のときよりも領域内のときの送信出力の強度が大きくなるように制御する。
【0032】
通信状態判定部23は、アンテナ(図示せず)を介して、RFIDタグ30との無線通信し、RFIDタグ30から受信した識別情報と携行物用タグ情報記憶部26に記憶されているRFIDタグ30の携行物情報に基づいて、RFIDタグ30が監視距離内に存在するか否かを判定する。予め設定された時間継続して識別情報を受信できないRFIDタグ30については、監視距離内に存在しないと判定する。
【0033】
通信断絶情報出力部24は、通信状態判定部23によって、監視距離内に存在しないと判定されたRFIDタグ30について、そのRFIDタグ30を貼付した携行物が遺失したことをユーザに認識させるための情報を出力する。例えば、音声出力であったり、ブザー音であったり、表示出力であったり、振動であったり、外部との無線通信による通報であったりする。
【0034】
RFIDタグ30は、通信部31、制御部32及び記憶部33を備えている。制御部32は、動作制御を行い、記憶部33に記憶されているRFIDタグ30自身の識別情報を取得する。通信部31は、アンテナ(図示せず)を介して、RFIDリーダ20が発信した質問波を受信すると、制御部32によって取得した識別情報を含む応答波をRFIDリーダ20へ送信する。
【0035】
RFIDタグ40は、通信部41、制御部42及び記憶部43を備えている。通信部41、制御部42及び記憶部4はそれぞれ、上述したRFIDタグ30の通信部31、制御部32及び記憶部33と同様の機能である。ここで、所在場所用無線タグであるRFIDタグ40は、携行物に貼付した監視用の無線タグであるRFIDタグ30より、遠距離からRFIDリーダ20と通信可能であることが望まれる。従って、RFIDタグ40は、RFIDタグ30に比べて、アンテナを大きくする等して、受信感度、及び送信強度を大きくするものとする。
【0036】
図2は、本発明を適用可能な携行物監視システム10の使用状況を説明するための図である。ここで、RFIDリーダ20との距離がL1であるRFIDタグ30をRFIDタグ30a、RFIDリーダ20との距離がL2であるRFIDタグ30をRFIDタグ30b、RFIDリーダ20との距離がL3であるRFIDタグ30をRFIDタグ30cとする。また、監視距離変更場所の領域外の監視距離をS0(初期状態のときの設定値)とし、監視距離変更場所の領域内の監視距離をS1(>S0)とする。
【0037】
図2に示したように、RFIDリーダ20、RFIDタグ30a、RFIDタグ30b、及びRFIDタグ30cの距離関係が(1)L1、L2、L3<S0の状態から(2)L1<S0<L2<S1<L3の状態に変化したとき、所在場所が路上や電車の車内等の監視距離変更場所の領域外である場合には、携行物監視システム10は、監視距離S0より遠くに存在するためにRFIDリーダ20と通信できなくなった、RFIDタグ30b、及びRFIDタグ30cが貼付された携行物の遺失をユーザに報知する。また、所在場所がオフィスや自宅等の監視距離変更場所の領域内である場合には、携行物監視システム10は、監視距離S1より遠くに存在するためにRFIDリーダ20と通信できなくなった、RFIDタグ30cが貼付された携行物の遺失をユーザに報知する。
【0038】
次に、図3及び図4を参照して、携行物監視システム10の動作手順を説明する。図3は、監視距離設定処理の手順を示すフローチャート図の一例である。
【0039】
図3に示すように、まず、RFIDリーダ20は、周囲に存在するRFIDタグに対して識別情報の送信要求を、定期的に送信する(S101)。RFIDタグ40は、RFIDリーダ20からの識別情報の送信要求を受信すると、記憶部43に記憶されているRFIDタグ40自身の識別情報を取得し、RFIDリーダ20へ取得した識別情報を送信し、次の送信要求受信のために待機する(S102)。
【0040】
RFIDリーダ20は、RFIDタグ40から識別情報を受信した場合、この識別情報と所在位置用タグ情報記憶部25に記憶されているRFIDタグ40の識別情報とに基づいて、RFIDリーダ20自身の所在位置がRFIDタグ40の設置された監視距離変更場所の領域内であるか否かを判定する(S103)。
【0041】
今回判定した所在位置がRFIDタグ40の設置された監視距離変更場所の領域内である場合(S103;Yes)は、前回判定した所在位置が、RFIDタグ40の設置された監視距離変更場所の領域内であるか否かを判定する(S104)。前回判定した所在位置がRFIDタグ40の設置された監視距離変更場所の領域内である場合(S104;Yes)は、監視距離を変更する必要がない。よって、ステップS101に移行し、RFIDタグ40への識別情報の送信要求タイミングまで待機する。
【0042】
一方、前回判定した所在位置がRFIDタグ40の設置された監視距離変更場所の領域外である場合(S104;No)は、監視距離を長く変更する必要がある。よって、監視距離をRFIDタグ40の設置された監視距離変更場所に基づいた監視距離に調整して設定し(S105)、ステップS101に移行し、RFIDタグ40への識別情報の送信要求タイミングまで待機する。
【0043】
今回判定した所在位置がRFIDタグ40の設置された監視距離変更場所の領域外である場合(S103;No)は、前回判定した所在位置が、RFIDタグ40の設置された監視距離変更場所の領域内であるか否かを判定する(S106)。前回判定した所在位置がRFIDタグ40の設置された監視距離変更場所の領域内である場合(S106;Yes)は、監視距離を短く変更する必要がある。よって、監視距離を監視距離変更場所の領域外の監視距離(初期状態の設定値)に調整して設定し(S107)、ステップS101に移行し、RFIDタグ40への識別情報の送信要求タイミングまで待機する。
【0044】
一方、前回判定した所在位置がRFIDタグ40の設置された監視距離変更場所の領域外である場合(S106;No)は、監視距離を変更する必要がない。よって、ステップS101に移行し、RFIDタグ40への識別情報の送信要求タイミングまで待機する。
【0045】
図4は、携行物の監視処理の手順を示すフローチャート図の一例である。
【0046】
図4に示すように、まず、RFIDリーダ20は、周囲に存在するRFIDタグに対して識別情報の送信要求を定期的に送信する(S201)。この処理は、図3のステップS101の処理と兼ねられ、一つの処理として実行される。RFIDタグ30は、RFIDリーダ20からの識別情報の送信要求を受信すると、記憶部33に記憶されているRFIDタグ30自身の識別情報を取得し、RFIDリーダ20へ取得した識別情報を送信し、次の送信要求受信のために待機する(S202)。
【0047】
RFIDリーダ20は、RFIDタグ30から識別情報を受信した場合、この識別情報と携行物用タグ情報記憶部26に記憶されているRFIDタグ30の携行物情報とに基づいて、RFIDリーダ20とRFIDタグ30との間の通信状態が通信断絶であるか否か、即ち、RFIDタグ30が監視領域から外れたか否かを判定する(S203)。この判定は、予め定めた設定時間、継続して通信できないことをもって為される。
【0048】
判定したRFIDリーダ20とRFIDタグ30との間の通信状態が通信断絶である場合(S203;Yes)は、RFIDタグ30を貼付した携行物が遺失したことをユーザに認識させるための情報を出力し(S204)、ステップS201に移行し、RFIDタグ30への識別情報の送信要求タイミングまで待機する。
【0049】
一方、判定したRFIDリーダ20とRFIDタグ30との間の通信状態が通信断絶でない場合(S203;No)は、ステップS201に移行し、RFIDタグ30への識別情報の送信要求タイミングまで待機する。
【0050】
上述した携行物監視システム10は本発明の携行物監視システムに対応し、所在場所判定部21は本発明の所在場所判定手段に対応し、監視距離制御部22は本発明の監視距離制御手段に対応し、通信状態判定部23は本発明の通信状態判定手段に対応し、通信断絶情報出力部24は本発明の通信断絶情報出力手段に対応する。
【0051】
上述したように、携行物監視システム10に、所在場所判定部21、監視距離制御部22、通信状態判定部23及び通信断絶情報出力部24を備えることにより、RFIDリーダ20の所在場所に基づいて、RFIDリーダ20とRFIDタグ30との通信距離の最大値である監視距離を可変に調整して、誤報等の発生を削減したシステムを構築することができる。また、誤報等の発生が削減されることから、所在場所により携行物の監視機能を入り切りすることなく、常時、監視機能を実行することができる。
【0052】
また、上述した所在場所判定部21は、RFIDリーダ20とRFIDタグ40との通信が行われているときに、RFIDリーダ20の所在位置を監視距離変更場所の領域内であると判定するようにしているが、RFIDタグ40を監視距離変更場所の出入り口近傍に設置し、RFIDリーダ20をRFIDタグ40近傍に接近させる度または接触させる度に、RFIDリーダ20の所在位置が監視距離変更場所の領域内または領域外であることを交互に切り替えるようにしても良い。
【0053】
また、上述した携行物監視システム10のRFIDタグ40の替わりに、RFIDリーダ20にGPS(Global Positioning System)機能を持たせ、RFIDリーダ20の所在場所判定部21において、GPS機能を実行させて位置情報を取得し、RFIDリーダ20の所在位置が監視距離変更場所の領域内であるか否かと判定するようにしても良い。この場合、所在位置用タグ情報記憶部25には、監視距離変更場所の領域を示す位置情報を記憶させておく。
【0054】
また、上述した携行物監視システム10のRFIDタグ40の替わりに無線通信用の基地局を設け、RFIDリーダ20の所在場所判定部21において、RFIDタグ40との通信の替わり、基地局との通信を行って、RFIDリーダ20の所在位置を監視距離変更場所の領域内であると判定するようにしても良い。
【0055】
また、上述した携行物監視システム10において、監視距離制御部22は、送信強度を調整して監視距離を制御するのに替えて、受信感度を調整して監視距離を制御するようにしても良い。この場合、送信強度は、最も監視距離を長くしたときに、RFIDタグ30と通信可能な強度を用いる。
【0056】
また、上述した携行物監視システム10において、本発明の監視距離制御手段をRFIDリーダ20に備えているが、RFIDタグ30に備えるようにしても良い。このとき、例えば、RFIDリーダ20の所在位置が監視距離変更場所の領域内であるとき、監視距離を長くするために、RFIDタグ30の送信出力を大きくしたり、RFIDタグ30の受信感度を大きくしたりする。この場合、RFIDリーダ20の所在位置が監視距離変更場所の領域内から領域外に変化した情報、及び、監視距離変更場所の領域外から領域内に変化した情報を、RFIDリーダ20からRFIDタグ30へ通知する機能をRFIDリーダ20にもたせ、RFIDタグ30は、上述の通知を受信したときに、監視距離制御手段において、受信した情報に基づいて受信強度または送信強度を調整し、監視距離を変更するようにする。
【0057】
また、上述した携行物監視システム10において、本発明の所在場所判定手段をRFIDリーダ20に備えているが、RFIDタグ30に備えるようにしても良い。この場合、遠距離監視を指示する信号を定期的に送信するアンテナを、RFIDタグ40の替わりに監視距離変更場所に設け、RFIDタグ30の所在場所判定手段が監視距離変更場所に設置したアンテナからの信号を受信しているとき、RFIDタグ30の所在位置が監視距離変更場所の領域内であると判定するようにしても良い。この場合は、本発明の監視距離制御手段をRFIDタグ30に持たせる構成とすることが望ましい。
【0058】
また、上述した携行物監視システム10の通信状態判定部23において、監視距離を長く設定している間は、判定に用いる設定時間を通常より長い時間に変更するようにしても良い。
【0059】
また、上述した携行物監視システム10において、監視距離変更場所を複数とし、場所に応じて、監視距離の長さを異ならせるようにしても良い。
【0060】
また、上述した携行物監視システム10のRFIDタグ30及びRFIDタグ40は、パッシブ型のタグを利用するようにしているが、アクティブ型のタグを利用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明を適用可能な携行物監視システムの構成図の一例を示した図である。
【図2】本発明を適用可能な携行物監視システム10の使用状況を説明するための図である。
【図3】監視距離設定処理の手順を示すフローチャート図の一例である。
【図4】携行物の監視処理の手順を示すフローチャート図の一例である。
【符号の説明】
【0062】
10 携行物監視システム
20 RFIDリーダ
21 所在場所判定部
22 監視距離制御部
23 通信状態判定部
24 通信断絶情報出力部
25 所在位置用タグ情報記憶部
26 携行物タグ情報記憶部
30、40 RFIDタグ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象となる1個または複数個の携行物毎に装着された無線タグと、前記無線タグと相互に無線通信する携帯端末装置とを有した携行物監視システムであって、
前記携帯端末装置または前記無線タグの少なくとも一方に、
前記携帯端末装置または前記無線タグの所在場所を判定する所在場所判定手段と、
前記所在場所判定手段によって判定された前記所在場所に基づいて、前記無線タグの監視に用いる監視距離を設定制御する監視距離制御手段と、
を備え、
前記携帯端末装置は、
前記無線タグからの当該無線タグを識別する識別情報の受信状態に基づいて、当該無線タグが前記監視距離内に存在するか否かを判定する通信状態判定手段と、
前記通信状態判定手段によって、前記無線タグが前記監視距離内に存在しないと判定されたときに、当該無線タグの通信断絶情報を出力する通信断絶情報出力手段と、
を備えていることを特徴とする携行物監視システム。
【請求項2】
前記所在場所判定手段によって判定された前記携帯端末装置または前記無線タグの所在場所が、所定の監視距離変更場所の領域内であるときの前記監視距離を距離Aとし、所定の監視距離変更場所の領域外であるときの前記監視距離を距離Bとしたとき、
前記監視距離制御手段は、前記距離Bに比較して前記距離Aが長くなるように、前記監視距離を設定制御することを特徴とする請求項1に記載の携行物監視システム。
【請求項3】
前記通信状態判定手段は、前記無線タグから前記識別情報を受信しない状態が所定の設定時間続いたときに、当該無線タグが前記監視距離内に存在しないと判定し、前記所在場所が前記監視距離変更場所の領域外のときの前記設定時間を、前記監視距離変更場所の領域内のときの前記設定時間より長い時間とすることを特徴とする請求項2に記載の携行物監視システム。
【請求項4】
前記所在場所判定手段は前記携帯端末装置に備えられ、
所定の監視距離変更場所の領域内に設置された、前記無線タグとは異なる所在場所用無線タグを、更に備え、
前記所在場所判定手段は、前記所在場所用無線タグより、当該所在場所用無線タグを識別する所在識別情報を受信しているか否かによって、前記所在場所を判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の携行物監視システム。
【請求項5】
前記監視距離制御手段は前記携帯端末装置に備えられ、
前記監視距離制御手段は、当該携帯端末装置の受信感度または前記無線タグへの送信出力を制御して、前記監視距離を調整することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携行物監視システム。
【請求項6】
前記監視距離制御手段は前記無線タグ毎に備えられ、
前記監視距離制御手段は、当該無線タグの受信感度または前記携帯端末装置への送信出力を制御して、前記監視距離を調整することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携行物監視システム。





【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−210248(P2008−210248A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47542(P2007−47542)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】