説明

撮像システム、撮像装置及びレンズ装置

【課題】絞りの駆動源の種類に最適なタイミングで該駆動源への通電を停止又は通電量を減少させる撮像システムを提供する。
【解決手段】撮像システムは、絞りを有するレンズ装置111と、該レンズ装置の着脱が可能な撮像装置101とを有する。レンズ装置は、絞り118の駆動源119に応じて設定された該駆動源への通電を制御するための時間に関する情報を撮像装置に出力する。撮像装置は、絞りが目標絞り位置に動作した状態での撮像期間中において、該時間が経過したことに応じて絞りの駆動源への通電を停止させる指令をレンズ装置に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞りを有するレンズ装置と、該レンズ装置から受け取った情報に基づいて絞りの駆動源への通電を制御する撮像装置とを有する撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモータやガルバノメータ等を駆動源とした絞り(光量調節ユニット)を搭載したレンズ装置は、このレンズ装置が装着されたデジタルスチルカメラ等の撮像装置からの通電指示に応じて絞りの駆動を制御する。この場合、絞りが指示位置(目標絞り位置)に動作した後に衝撃などの外乱要因によって絞り径が変化することを防ぐために、絞りへの通電を維持することが一般的である。
【0003】
但し、撮像装置において設定されたシャッター秒時が長秒時である場合には、絞りへの通電維持時間が長くなり、その分消費電力が大きくなる。このため、特許文献1では、絞りを指示位置まで動作させた後は、絞りに対して間欠的に通電を行う所謂PWM制御を行うことで、電力消費を抑制する技術が開示されている。
【0004】
また、撮像システムには、設定した絞り値による被写界深度を確認するための絞込みプレビューという機能が通常備わっている。但し、絞込みプレビュー機能を使用する際に、絞り径を維持するために絞りに常時電力を与えていたのではやはり消費電力が大きくなる。そこで、特許文献2には、絞込みプレビュー機能によって設定値まで絞りを動作させた後は、絞りに対する電力供給を停止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開昭58−90626号公報(6頁右下欄8行〜7頁左下欄4行等)
【特許文献2】特開2002−156681号公報(段落0055〜0056、図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、絞りの駆動源となるモータには、通電を停止した状態でモータの回転位置を保持する力が強いものや弱いもの、金属ケースによりパッケージされているものや樹脂材料によりパッケージされているもの等、さまざまな種類がある。
【0006】
この場合に、特許文献1,2に開示された技術のように、絞りを設定値まで動作させた後に一律に間欠的な通電状態に移行したり通電を停止したりすると、絞り径を維持できなかったり無駄な間欠的通電により十分な消費電力の低減効果が得られなかったりする。また、樹脂材料によりパッケージされている場合のように熱に対してあまり強くないモータに長時間間欠的通電を続けると、モータからの発熱により樹脂材料に悪影響が生じるおそれもある。
【0007】
本発明は、絞りの駆動源の種類に最適なタイミングで該駆動源への通電を停止又は通電量を減少させることができるようにした撮像装置及び撮像システムを提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面としての撮像システムは、絞りを有するレンズ装置と、該レンズ装置の着脱が可能な撮像装置とを有する。レンズ装置は、絞りの駆動源に応じて設定された該駆動源への通電を制御するための時間に関する情報を撮像装置に出力する。そして、撮像装置は、絞りが目標絞り位置に動作した状態での撮像期間中において、該時間が経過したことに応じて絞りの駆動源への通電を停止させる指令をレンズ装置に出力することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の側面としての撮像システムは、絞りを有するレンズ装置と、該レンズ装置の着脱が可能な撮像装置とを有する。レンズ装置は、絞りの駆動源に応じて設定された該駆動源への通電を制御するための時間に関する情報を撮像装置に出力する。そして、撮像装置は、絞りが目標絞り位置に動作した状態での撮像期間中において、該時間が経過したことに応じて絞りの駆動源への通電量を減少させる指令をレンズ装置に出力することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の側面としての撮像装置は、絞りを有するレンズ装置から、絞りの駆動源に応じて設定された該駆動源への通電を制御するための時間に関する情報を受け取る。そして、撮像装置は、絞りが目標絞り位置に動作した状態での撮像期間中において、該時間が経過したことに応じて絞りの駆動源への通電を停止させる指令をレンズ装置に出力することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の側面としての撮像装置は、絞りを有するレンズ装置から、絞りの駆動源に応じて設定された該駆動源への通電を制御するための時間に関する情報を受け取る。そして、撮像装置は、絞りが目標絞り位置に動作した状態での撮像期間中において、該時間が経過したことに応じて絞りの駆動源への通電量を減少させる指令をレンズ装置に出力することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の側面としてのレンズ装置は、撮像装置に着脱が可能であり、絞りと、該絞りの駆動源に応じて設定された該駆動源への通電を制御するための時間に関する情報を記憶した記憶手段と、該情報を撮像装置に出力する通信手段とを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の他の側面としての撮像システムは、絞りを有し、該絞りに関する情報を出力するレンズ装置と、該レンズ装置の着脱が可能であり、該情報を受け取る撮像装置とを有する。そして、撮像装置は、絞りを目標絞り位置に動作させた状態での撮像期間中において、該情報に対応して設定された時間が経過したことに応じて絞りの駆動源への通電を停止させる指令をレンズ装置に出力することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の他の側面としての撮像システムは、絞りを有し、該絞りに関する情報を出力するレンズ装置と、該レンズ装置の着脱が可能であり、該情報を受け取る撮像装置とを有する。そして、撮像装置は、絞りを目標絞り位置に動作させた状態での撮像期間中において、該情報に対応して設定された時間が経過したことに応じて絞りの駆動源への通電量を減少させる指令をレンズ装置に出力することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の他の側面としての撮像装置は、絞りを有し、該絞りに関する情報を出力するレンズ装置の着脱が可能であり、該情報を受け取る。そして、撮像装置は、絞りを目標絞り位置に動作させた状態での撮像期間中において、該情報に対応して設定された時間が経過したことに応じて絞りの駆動源への通電を停止させる指令をレンズ装置に出力することを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の他の側面としての撮像装置は、絞りを有し、該絞りに関する情報を出力するレンズ装置の着脱が可能であり、該情報を受け取る。そして、撮像装置は、絞りを目標絞り位置に動作させた状態での撮像期間中において、該情報に対応して設定された時間が経過したことに応じて絞りの駆動源への通電量を減少させる指令をレンズ装置に出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、絞りを目標絞り位置に動作させた状態での撮像期間中に、レンズ装置に搭載された絞りの駆動源に応じて設定された通電制御時間の経過に応じて、該駆動源への通電を停止させたり通電量を減少させたりすることができる。このため、絞りの駆動源の種類に最適なタイミングで絞りへの通電を停止させたり通電量を減少させたりすることができ、様々な種類の絞り駆動源を用いるレンズ装置において、絞り位置の維持と消費電力及び発熱量の十分な低減とを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0019】
図1には、本発明の実施例である交換レンズ(レンズ装置)及び一眼レフデジタルカメラ(撮像装置)を含むカメラシステム(撮像システム)の構成を示す。
【0020】
101はカメラシステムにおけるカメラであり、111は交換レンズ(以下、単にレンズという)である。
【0021】
まず、カメラ101の構成について説明する。カメラ101内には、ファインダー部106と、レンズ111からの光束をファインダー部106へ導くクイックリターンミラー107と、レンズ111からの光量を測定する測光部109が設けられている。また、カメラ101内には、レンズ111により形成された被写体像を光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子103が設けられている。
【0022】
さらに、カメラ101内には、TTL位相差検出方式によりレンズ111の焦点状態を検出する焦点検出部108と、撮像素子103を適当な時間露光するためのシャッター110とが設けられている。
【0023】
カメラ内制御マイクロコンピュータ(以下、カメラマイコンという)102は、カメラ101内及びレンズ111内の各部の制御を司る。
【0024】
カメラ内通信マイクロコンピュータ(以下、カメラ通信マイコンという)105は、カメラ101とレンズ111とのマウント部に設けられた不図示の通信接点を介したレンズ111とのシリアル通信を制御する。
【0025】
また、カメラ101内には、電源(バッテリ)104が備えられ、該電源104は、カメラ101及びレンズ111に電力を供給する。
【0026】
次に、レンズ111の構成について説明する。レンズ111内には、フォーカスレンズL1及び絞り118を含む撮影光学系が設けられている。また、レンズ111内には、絞り制御マイクロコンピュータ(以下、絞りマイコンという)115と、フォーカス制御マイクロコンピュータ(以下、フォーカスマイコンという)116とが設けられている。
【0027】
さらに、レンズ111内には、フォーカスレンズL1の位置を検出するレンズ位置検出部120と、カメラ101とのシリアル通信を制御するレンズ内通信マイクロコンピュータ(以下、レンズ通信マイコンという)113も設けられている。
【0028】
レンズ内制御マイクロコンピュータ(以下、レンズマイコンという)112は、カメラマイコン102からの指令に応じてレンズ111内の各部の動作を制御する。
【0029】
例えば、カメラマイコン112からカメラ及びレンズ通信マイコン105,113を介して絞り駆動指令を受けたレンズマイコン112は、絞り制御マイコン115に対して制御信号を出力する。絞り制御マイコン115は、該制御信号に含まれる目標絞り位置(言い換えれば、目標絞り値又は目標絞り径)に絞り118を動作させるようステッピングモータ119への通電を制御する。
【0030】
また、カメラマイコン112からカメラ及びレンズ通信マイクロコンピュータ105,113を介してフォーカス駆動指令を受けたレンズマイコン112は、フォーカスマイコン116に対して制御信号を出力する。フォーカス制御マイコン116は、レンズ位置検出部120による検出位置をモニタしながら、該制御信号に含まれる目標フォーカス位置にフォーカスレンズL1を移動させるようフォーカスモータ117を駆動する。
【0031】
また、レンズマイコン112内の不図示のメモリには、フォーカスレンズL1の敏感度情報や、フォーカスモータ117の単位回転角に対するフォーカスレンズL1の移動量情報等が記憶されている。
【0032】
さらに、レンズ111内には、該レンズ111に搭載されている絞り118に関する情報を記憶する記憶部114が設けられている。絞り118に関する情報には、絞り118の駆動源であるステッピングモータ119の種類(タイプ又は仕様)に関する情報が含まれる。ステッピングモータ119の種類は、通電を停止した状態で回転位置を保持する力の違いや、モータ119のパッケージ材料の違いによって分けられる。
【0033】
なお、この絞りに関する情報は、カメラマイコン102がカメラ101に装着されたレンズ111を識別するために用いるレンズ識別情報に含まれていてもよい。
【0034】
また、記憶部114には、撮像素子103の適正露光のために算出された又は撮影者によって設定された目標絞り位置に動作した状態での撮像期間(シャッター秒時)中にステッピングモータ119への通電を停止させる時間を示す情報も記憶されている。以下、この時間を絞り通電停止時間という。
【0035】
カメラ101に装着可能なレンズ111における絞り118のステッピングモータ119の種類(タイプ)と、これに対応した絞り通電停止時間(シャッター秒時)の対応例を図2に示す。
【0036】
レンズ111に搭載されているステッピングモータ119がタイプIの場合は、記憶部114には、データコード「1」が記憶されている。そして、このタイプに対して設定された絞り通電停止時間は1/2秒である。以下同様に、タイプIIの場合は、データコードは「2」で絞り通電停止時間は1秒、タイプIIIの場合は、データコードは「3」で絞り通電停止時間は2秒である。また、タイプIVの場合は、データコードは「4」で絞り通電停止時間は4秒である。ステッピングモータ119の種類に関する情報としては、実際は上記データコードがカメラマイコン102に送られる。
【0037】
各タイプの絞り通電停止時間は、絞り118が目標絞り位置に動作して撮像が開始された後にステッピングモータ119への通電を停止した場合に、仮に絞り位置が変化しても撮像結果にほとんど影響のない時間として設定されている。
【0038】
例えば、タイプIIの絞り通電停止時間の情報を受けたカメラマイコン102は、撮像素子103の適正露光のために設定されたシャッター秒時が1秒より長い場合は、1秒が経過したことに応じて絞り通電停止指令をレンズマイコン112に送信する。絞り通電停止指令を受けたレンズマイコン112は、絞りマイコン115を介してステッピングモータ119への通電を停止させる。
【0039】
カメラマイコン102が他のタイプの絞り通電停止時間の情報を受けた場合も同様である。
【0040】
次に、本実施例のカメラシステムにおける動作を図3のフローチャートを用いて説明する。この動作は、カメラマイコン102及びレンズマイコン112により、それらの内部に格納されたコンピュータプログラムに従って実行される。
【0041】
S(ステップ)001では、カメラマイコン102は、カメラの電源スイッチのON操作に応じて又はレンズ111がカメラ101に装着されることに応じて、各種データの初期化を行う。
【0042】
S002では、レンズマイコン112は、レンズ識別情報をカメラマイコン102に送信する。カメラマイコン102は、レンズ識別情報に含まれる開放絞り値、絞り段数、焦点距離等、レンズ制御に必要な情報を読み取る。
【0043】
S003では、カメラマイコン102は、レンズマイコン112から送信された上述したステッピングモータ119のタイプ情報(データコード)及び絞り通電停止時間の情報を読み取る。
【0044】
S004では、カメラマイコン102は、カメラ101に設けられた不図示のレリーズスイッチが半押し操作(図では、SW1 ONと記す)されたか否かを判別する。半押し操作された場合は、S005に進み、撮影者によって設定された絞り値(目標絞り位置:以下、設定絞り値という)を読み込む。
【0045】
次に、S006では、該絞り値と測光部109からの測光情報に基づいて、撮像素子103の適正露光が得られるシャッター秒時(撮像期間)を演算し、S007で演算されたシャッター秒時を設定する。
【0046】
次に、S008では、焦点検出部108からのデフォーカス量を取得し、S009で該デフォーカス量に基づいて合焦位置までのフォーカスレンズL1の駆動量を演算する。そして、S010で、合焦位置までフォーカスレンズL1を移動させる。
【0047】
さらに、S011では、カメラマイコン102は、レリーズスイッチが全押し操作(図では、SW2 ONと記す)が行われたか否かを判別する。全押し操作がなされた場合は、S012に進み、クイックリターンミラー107をアップ動作させて撮影光路外に退避させる。
【0048】
そして、S013では、カメラマイコン102は、S007で設定されたシャッター秒時とS003で読み込まれた絞り通電停止時間とを比較する。設定されたシャッター秒時が絞り通電停止時間よりも短い場合は、S014に進み、S005で読み込まれた絞り値まで絞り118を動作させるようレンズマイコン112に絞り駆動指令を送る。これにより、レンズマイコン112は、絞りマイコン115を介してステッピングモータ119に通電する。そして、S017に進む。
【0049】
S017では、カメラマイコン102は、シャッター110を開動作させる。このとき、シャッター開時間のカウントも開始する。そして、S018で、撮像素子103による画像の取得を開始し、S019に進む。
【0050】
一方、S013において、設定されたシャッター秒時が絞り通電停止時間よりも長い場合は、S015に進み、S005で読み込まれた設定絞り値まで絞り118を動作させるようレンズマイコン112に絞り駆動指令を送る。これにより、レンズマイコン112は、絞りマイコン115を介してステッピングモータ119に通電する。そして、S016に進む。
【0051】
S016では、カメラマイコン102は、絞り118が設定絞り値に動作した後の絞り通電時間のカウントを開始する。そして、S025に進む。
【0052】
S025では、カメラマイコン102は、シャッター110を開動作させる。このとき、シャッター開時間のカウントも開始する。そして、S026で、撮像素子103による画像の取得を開始する。
【0053】
S027では、S016でカウントが開始された絞り通電時間が、S003で読み込まれた絞り通電停止時間に達したか否かを判別する。まだ達していない場合はS027を繰り返し、達した場合はS028に進む。
【0054】
S028では、カメラマイコン102は、レンズマイコン112に対して、ステッピングモータ119への通電を停止させる指令を送信する。これを受けたレンズマイコン112は、絞りマイコン115を介してステッピングモータ119への通電を停止する。そして、S019に進む。
【0055】
S019では、S017でカウントが開始されたシャッター開時間が、S007で設定されたシャッター秒時に達したか否かを判別する。まだ達していない場合はS019を繰り返し、達した場合はS020に進む。
【0056】
S020では、カメラマイコン102は、シャッター110を閉動作させる。さらに、S021では、レンズマイコン112に対して、絞り118を開放位置に駆動するよう指令を送る。これを受けたレンズマイコン112は、絞りマイコン115を介してステッピングモータ119に通電し、絞り118を開放駆動する。そして、S022に進む。
【0057】
S022では、カメラマイコン102は、クイックリターンミラー107を撮影光路内に進入させるよう下降させる。これにより、一連の動作が終了する。
【0058】
図4には、絞り118を目標絞り位置まで動作させた状態の撮像期間中において、絞り通電時間が絞り通電停止時間に達したときにステッピングモータ119への通電を停止させる場合におけるステッピングモータ119への通電状態の変化を示す。
【0059】
時刻T0において、絞り118を目標絞り位置に動作させるためのステッピングモータ119への通電(電圧V1)が開始される。時刻T1において、絞り118の目標絞り位置への動作が完了し、撮像が開始される。撮像期間(シャッター開時間)をTPで示す。この後、絞り通電停止時間TSが経過するまで(時刻T2)は、ステッピングモータ119への通電が維持される。
【0060】
そして、絞り通電停止時間TSが経過した後は、撮像期間TPが終了する時刻T3までステッピングモータ119への通電が停止される(通電量が0になる)。撮像期間TPが終了すると、絞り118を開放駆動するためにステッピングモータ119への通電(電圧V1)が行われる。
【0061】
以上のように、本実施例によれば、絞り118を目標絞り位置まで動作させた状態の撮像期間中において、絞り通電時間がステッピングモータ119の種類に応じて設定された絞り通電停止時間に達するとステッピングモータ119への通電を停止させる。これにより、ステッピングモータ119の種類に応じた最適なタイミングで通電を停止させることができ、様々な種類のステッピングモータに対して、絞り位置の維持と消費電力及び発熱量の十分な低減とを図ることができる。
【実施例2】
【0062】
図5には、本発明の実施例2であるカメラシステムの動作フローチャートを示す。上記実施例1では、絞り118を目標絞り位置まで動作させた状態の撮像期間中において、絞り通電時間が絞り通電停止時間に達したときにステッピングモータ119への通電を停止させる場合について説明した。これに対し、本実施例では、ステッピングモータ119への通電量を減少させる。
【0063】
本実施例のカメラシステムの構成は、実施例1で説明したものと同じであり、共通する構成要素には実施例1と同符号を付す。
【0064】
図5において、S001〜S012及びS017〜S022は、実施例1と同じである。但し、本実施例では、S003においてレンズマイコン112から送られてきた時間を、絞り通電減少時間という。絞り通電減少時間は、図2に示した絞り通電停止時間と同様に設定される。
【0065】
S013′では、カメラマイコン102は、S007で設定されたシャッター秒時とS003で読み込まれた絞り通電減少時間とを比較する。設定されたシャッター秒時が絞り通電減少時間よりも短い場合は、S014に進み、S005で読み込まれた絞り値まで絞り118を動作させるようレンズマイコン112に絞り駆動指令を送る。これにより、レンズマイコン112は、絞りマイコン115を介してステッピングモータ119に通電する。そして、S017に進む。
【0066】
一方、S013′において、設定されたシャッター秒時が絞り通電減少時間よりも長い場合は、S015に進み、S005で読み込まれた設定絞り値まで絞り118を動作させるようレンズマイコン112に絞り駆動指令を送る。これにより、レンズマイコン112は、絞りマイコン115を介してステッピングモータ119に通電する。そして、S016に進む。
【0067】
S016では、カメラマイコン102は、絞り118が設定絞り値に動作した後の絞り通電時間のカウントを開始する。そして、S025に進む。
【0068】
S025では、カメラマイコン102は、シャッター110を開動作させる。このとき、シャッター開時間のカウントも開始する。そして、S026で、撮像素子103による画像の取得を開始する。
【0069】
S027′では、S016でカウントが開始された絞り通電時間が、S003で読み込まれた絞り通電減少時間に達したか否かを判別する。まだ達していない場合はS027′を繰り返し、達した場合はS028に進む。
【0070】
S028′では、カメラマイコン102は、レンズマイコン112に対して、ステッピングモータ119への通電量を減少させる指令を送信する。これを受けたレンズマイコン112は、絞りマイコン115を介してステッピングモータ119への通電量を減少させる。そして、S019に進む。
【0071】
図6には、絞り118を目標絞り位置まで動作させた状態の撮像期間中において、絞り通電時間が絞り通電減少時間に達したときにステッピングモータ119への通電量を減少させる場合におけるステッピングモータ119への通電状態の変化を示す。
【0072】
時刻T0において、絞り118を目標絞り位置に動作させるためのステッピングモータ119への通電(電圧V1)が開始される。時刻T1において、絞り118の目標絞り位置への動作が完了し、撮像が開始される。撮像期間(シャッター開時間)をTPで示す。この後、絞り通電減少時間TRが経過するまで(時刻T2)は、ステッピングモータ119への通電(電圧V1)が維持される。
【0073】
そして、絞り通電減少時間TRが経過した後は、撮像期間TPが終了する時刻T3までステッピングモータ119への通電量が電圧V2に減少される。電圧V2は、ステッピングモータ119の回転位置、つまりは絞り位置を保持するのに必要かつ十分な電圧値であり、例えばV1の1/2以下の電圧値である。
【0074】
撮像期間TPが終了すると、絞り118を開放駆動するためにステッピングモータ119への電圧V1での通電が行われる。
【0075】
以上のように、本実施例によれば、絞り118を目標絞り位置まで動作させた状態の撮像期間中において、絞り通電時間がステッピングモータ119の種類に応じて設定された絞り通電減少時間に達するとステッピングモータ119への通電量を減少させる。これにより、ステッピングモータ119の種類に応じた最適なタイミングで通電量を減少させることができ、様々な種類のステッピングモータに対して、絞り位置の維持と消費電力及び発熱量の十分な低減とを図ることができる。
【実施例3】
【0076】
図7には、本発明の実施例である交換レンズ111′及び一眼レフデジタルカメラ101′を含むカメラシステム(撮像システム)の構成を示す。なお、本実施例において、実施例1と共通する構成要素には、実施例1と同符号を付す。
【0077】
本実施例のレンズ111′における記憶部114′には、実施例1と同様に、該レンズ111′に搭載されている絞り118の駆動源であるステッピングモータ119の種類に関する情報が記憶されている。但し、実施例1のように、絞り通電停止時間の情報は記憶されていない。
【0078】
一方、カメラマイコン102′に設けられた記憶部102aには、図2に示したようなステッピングモータ119の種類に応じた絞り通電停止時間の情報が記憶されている。
【0079】
例えば、レンズ111′から記憶部114′に記憶されたデータコード「2」の絞り通電停止時間の情報を受けたカメラマイコン102′は、記憶部102aに記憶された絞り通電停止時間の中から該データコードに対応する「1秒」を選択する。この場合に、撮像素子103の適正露光のために設定されたシャッター秒時が1秒より長い場合は、1秒が経過したことに応じて絞り通電停止指令をレンズマイコン112に送信する。絞り通電停止指令を受けたレンズマイコン112は、絞りマイコン115を介してステッピングモータ119への通電を停止させる。
【0080】
カメラマイコン102′が他のタイプのデータコードを受けた場合も同様である。
【0081】
図8には、本実施例のカメラシステムの動作フローチャートを示す。図8において、実施例1の図3に示したフローチャートとは、S003′のみが異なる。
【0082】
S003′では、カメラマイコン102は、レンズマイコン112から送信された上述したステッピングモータ119のタイプ情報(データコード)を読み取り、該データコードに対応する絞り通電停止時間を記憶部102a内から読み出す(選択する)。
【0083】
これにより、実施例1と同様に、絞り118を目標絞り位置まで動作させた状態の撮像期間中において、絞り通電時間がステッピングモータ119の種類に応じて設定された絞り通電停止時間に達するとステッピングモータ119への通電が停止される。これにより、ステッピングモータ119の種類に応じた最適なタイミングで通電を停止させることができ、様々な種類のステッピングモータに対して、絞り位置の維持と消費電力及び発熱量の十分な低減とを図ることができる。
【0084】
本実施例におけるステッピングモータ119への通電状態の変化は、図4と同じである。
【0085】
なお、本実施例では、ステッピングモータ119への通電を停止させる場合について説明したが、実施例2と同様に、ステッピングモータ119への通電量を減少させるようにしてもよい。この場合におけるステッピングモータ119への通電状態の変化は、図6と同じである。
【0086】
また、実施例1〜3の図3,5,8のフローチャートは、撮影者が絞り値を任意に設定し、該絞り値に対して適正露光が得られるようにカメラマイコン102がシャッター秒時を演算する、いわゆる絞り優先AEの場合について説明したものである。但し、本発明は、撮影者がシャッター秒時を決定する、いわゆるシャッター優先AEや、測光部109からの測光情報によりカメラマイコン102が絞り値とシャッター秒時とを決定する、いわゆるプログラムAEの場合でも適用することができる。
【0087】
さらに、実施例1〜3では、ステッピングモータ119への通電(V1,V2)を連続的な通電とした場合について説明したが、これを間欠的な通電としてもよい。また、絞りを目標絞り位置まで動作させる際と絞り通電減少時間に達した後のいずれも間欠的な通電を行う場合に、電圧を変えずに絞り通電減少時間に達した後の通電デューティを目標絞り位置まで動作させる際の通電デューティより小さくしてもよい。この場合も、平均の通電量は、絞りを目標絞り位置まで動作させる際に比べて絞り通電減少時間に達した後は減少する。
【0088】
また、上記各実施例では、絞りの駆動源としてステッピングモータを用いる場合について説明したが、本発明は、ステッピングモータ以外のアクチュエータを絞り駆動源とする場合にも適用することができる。
【0089】
さらに、上記各実施例では、一眼レフカメラシステムについて説明したが、本発明は、レンズ交換型のビデオカメラにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施例1であるカメラシステムの構成を示すブロック図。
【図2】実施例1における絞り駆動源と絞り通電停止時間との対応例を示す図。
【図3】実施例1のカメラシステムの動作フローチャート。
【図4】実施例1のカメラシステムにおける絞り駆動源の通電状態の変化を示す図。
【図5】本発明の実施例2であるカメラシステムの動作フローチャート。
【図6】実施例2のカメラシステムにおける絞り駆動源の通電状態の変化を示す図。
【図7】本発明の実施例3であるカメラシステムの構成を示すブロック図。
【図8】実施例3のカメラシステムの動作フローチャート。
【符号の説明】
【0091】
101,101′ カメラ
102,102′ カメラ内制御マイクロコンピュータ
103 撮像素子
111,111′ 交換レンズ
112 レンズ内制御マイクロコンピュータ
114,102a 記憶部
118 絞り
119 ステッピングモータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
絞りを有するレンズ装置と、
該レンズ装置の着脱が可能な撮像装置とを有し、
前記レンズ装置は、前記絞りの駆動源に応じて設定された該駆動源への通電を制御するための時間に関する情報を前記撮像装置に出力し、
前記撮像装置は、前記絞りが目標絞り位置に動作した状態での撮像期間中において、前記時間が経過したことに応じて前記駆動源への通電を停止させる指令を前記レンズ装置に出力することを特徴とする撮像システム。
【請求項2】
絞りを有するレンズ装置と、
該レンズ装置の着脱が可能な撮像装置とを有し、
前記レンズ装置は、前記絞りの駆動源に応じて設定された該駆動源への通電を制御するための時間に関する情報を前記撮像装置に出力し、
前記撮像装置は、前記絞りが目標絞り位置に動作した状態での撮像期間中において、前記時間が経過したことに応じて前記駆動源への通電量を減少させる指令を前記レンズ装置に出力することを特徴とする撮像システム。
【請求項3】
絞りを有するレンズ装置の着脱が可能な撮像装置であって、
該撮像装置は、前記レンズ装置から、前記絞りの駆動源に応じて設定された該駆動源への通電を制御するための時間に関する情報を受け取り、
前記絞りが目標絞り位置に動作した状態での撮像期間中において、前記時間が経過したことに応じて前記駆動源への通電を停止させる指令を前記レンズ装置に出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
絞りを有するレンズ装置の着脱が可能な撮像装置であって、
該撮像装置は、前記レンズ装置から、前記絞りの駆動源に応じて設定された該駆動源への通電を制御するための時間に関する情報を受け取り、
前記絞りが目標絞り位置に動作した状態での撮像期間中において、前記時間が経過したことに応じて前記駆動源への通電量を減少させる指令を前記レンズ装置に出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
撮像装置に着脱が可能なレンズ装置であって、
絞りと、
前記絞りの駆動源に応じて設定された該駆動源への通電を制御するための時間に関する情報を記憶した記憶手段と、
該情報を前記撮像装置に出力する通信手段とを有することを特徴とするレンズ装置。
【請求項6】
絞りを有し、該絞りに関する情報を出力するレンズ装置と、
該レンズ装置の着脱が可能であり、前記情報を受け取る撮像装置とを有し、
前記撮像装置は、前記絞りを目標絞り位置に動作させた状態での撮像期間中において、前記情報に対応して設定された時間が経過したことに応じて前記絞りの駆動源への通電を停止させる指令を前記レンズ装置に出力することを特徴とする撮像システム。
【請求項7】
絞りを有し、該絞りに関する情報を出力するレンズ装置と、
該レンズ装置の着脱が可能であり、前記情報を受け取る撮像装置とを有し、
前記撮像装置は、前記絞りを目標絞り位置に動作させた状態での撮像期間中において、前記情報に対応して設定された時間が経過したことに応じて前記絞りの駆動源への通電量を減少させる指令を前記レンズ装置に出力することを特徴とする撮像システム。
【請求項8】
前記情報は、前記絞りの駆動源に関する情報であることを特徴とする請求項6又は7に記載の撮像システム。
【請求項9】
絞りを有し、該絞りに関する情報を出力するレンズ装置の着脱が可能であり、前記情報を受け取る撮像装置であって、
前記撮像装置は、前記絞りを目標絞り位置に動作させた状態での撮像期間中において、前記情報に対応して設定された時間が経過したことに応じて前記絞りの駆動源への通電を停止させる指令を前記レンズ装置に出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
絞りを有し、該絞りに関する情報を出力するレンズ装置の着脱が可能であり、前記情報を受け取る撮像装置であって、
前記撮像装置は、前記絞りを目標絞り位置に動作させた状態での撮像期間中において、前記情報に対応して設定された時間が経過したことに応じて前記絞りの駆動源への通電量を減少させる指令を前記レンズ装置に出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
前記情報は、前記絞りの駆動源に関する情報であることを特徴とする請求項9又は10に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−76704(P2008−76704A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255262(P2006−255262)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】