説明

撮像装置、情報合成装置及びプログラム

【課題】画像処理を行なうメモリの使用領域をむやみに広げてしまうことなく、画像データ中への情報の合成を高品質に実行できる。
【解決手段】ベイヤーデータを入力するCCD制御部13と、ベイヤーデータを記憶するRAMと、RAMからの領域分割単位分のベイヤーデータをYUVデータに変換する画像処理部14と、変換したYUVデータを保持するRAM内のリングバッファと、リングバッファのYUVデータをJPEGデータに変換してRAMに記憶させるJPEG変換部16と、記憶したJPEGデータを出力するメモリ制御部12と、リングバッファが保持するYUVデータ中に情報画像データを合成する画像合成部18と、画像合成部18によりリングバッファが保持するYUVデータへの画像合成中、リングバッファからJPEG変換部16に至るYUVデータの転送動作を調整(遅延)する画像データ転送部17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像上に情報を合成する撮像装置、情報合成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
はじめに、以下文中ではベイヤー配列の画像データをベイヤーデータ、YUVフォーマットの画像データをYUVデータ、JPEG(Joint Photographic Experts Group)フォーマットの画像データをJPEGデータと称するものとする。
【0003】
従来、メモリの一部をリングバッファとして使用し、例えばベイヤーデータをYUVデータに変換する際に合わせて拡大/縮小を行なう画像処理の技術が存在する。(例えば、特許文献1)
一般にデジタルカメラに搭載された画像処理システムでは、撮影により撮像素子から得られたベイヤーデータをYUVデータに変換した後、さらに記録に適したJPEGデータに変換してデータ量を圧縮してから記録媒体となるメモリカードに記録するものとしていた。
【0004】
記録する画像中に例えば日付情報等の文字画像を重畳して記録させたい場合、従来はベイヤーデータの段階で文字画像を合成した上でリングバッファへデータを転送するものとしていた。
【0005】
しかしながら、ベイヤーデータの段階で文字画像を重畳すると、YUVデータへの変換時に、データを縮小する場合には細線が消失し、あるいはデータを拡大する場合には一部の線が太くなってしまうなど、文字画像部分が縮小/拡大に伴って変形し、正しい文字画像が得られなくなるという不具合がある。
【特許文献1】特開2003−018610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような不具合を避けるため、文字画像の合成を行なう際にはメモリをリングバッファとして使用するのを一時的に取り止め、1フレーム分の縮小/拡大後のYUVデータをメモリ上に展開した状態でソフトウェア的に文字画像を重畳(部分的に上書き)した後、そのYUVデータをJPEGデータに変換するという手法を採ることも考えられる。
【0007】
しかしながら、そうした場合、上記の画像劣化はないものの、メモリの使用領域が大幅に増えると共に、画像データの変換により多くの時間を要するという他の不具合が発生し、現実的ではない。
【0008】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、画像処理を行なうメモリの使用領域をむやみに広げることなく、画像データ中への情報の合成を高品質に実行することが可能な撮像装置、情報合成装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、被写体を撮影して全体画像データを取得する撮影手段と、記全体画像データを記憶する第1の記憶手段と、上記第1の記憶手段から所定の領域分割単位で転送されてくる画像データに対して第1の画像処理を施して部分画像データを得る第1の画像処理手段と、上記第1の画像処理手段で得た部分画像データを保持する第2の記憶手段と、上記第2の記憶手段が保持する部分画像データ中の所定箇所に情報データを合成する合成手段と、上記第2の記憶手段から転送されてくる上記部分画像データに対して第2の画像処理を施す第2の画像処理手段と、上記第1の記憶手段から上記第2の画像処理手段に至る部分画像データの転送動作を制御する転送制御手段と、上記合成手段が上記情報データの合成を行う際に、上記転送制御手段による部分画像データの転送動作を一時停止する停止制御手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記第2の画像処理手段で得た部分画像データを保持する第3の記憶手段を備え、上記転送制御手段は、上記第1の記憶手段から上記第3の記憶手段に至る部分画像データの転送動作を制御することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記第1の画像処理手段は、上記第1の記憶手段から所定の領域分割単位で転送されてくる画像データに対して拡大又は縮小の処理を含む第1の画像処理を施して部分画像データを得ることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記第1の画像処理手段は、上記第1の記憶手段から所定の領域分割単位で転送されてくる画像データに対して画像の色変換処理を含む第1の画像処理を施して部分画像データを得ることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記第2の画像処理手段は、上記第2の記憶手段から転送されてくる上記部分画像データに対して圧縮処理を含む第2の画像処理を施すことを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記領域分割単位は、上記全体画像データを所定ライン数単位で分割したものであることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記転送制御手段は、上記領域分割単位で転送動作を調整することを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記合成手段は、上記合成を、部分画像データ毎に行うことを特徴とする。
【0017】
請求項9記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記合成手段で合成する画像データ中に合成する情報データの位置と大きさとを判別する判別手段をさらに具備し、上記停止制御手段は、上記判別手段での判別結果に応じて上記部分画像データの転送動作を停止制御することを特徴とする。
【0018】
請求項10記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記合成手段は、上記合成を、所定数の部分画像データ分まとめて行うことを特徴とする。
【0019】
請求項11記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記停止制御手段は、上記第1の画像処理手段が第1の画像処理を施して部分画像データを得る前に、上記部分画像データの転送動作を停止制御するタイミングを決定しておくことを特徴とする。
【0020】
請求項12記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記部分画像データは、前記情報データを合成すべき部分画像データであるか否かを判断する判断手段をさらに具備し、上記停止制御手段は、上記判断手段での判断結果に応じて上記部分画像データの転送動作を停止制御することを特徴とする。
【0021】
請求項13記載の発明は、全体画像データを記憶する第1の記憶手段と、第2の記憶手段とを備える画像処理装置に搭載される情報合成装置であって、上記第1の記憶手段から所定の領域分割単位で転送されてくる画像データに対して第1の画像処理を施して部分画像データを得て、この部分画像データは上記第2の記憶手段への転送されるように構成される第1の画像処理手段と、上記第2の記憶手段が保持する部分画像データ中の所定箇所に情報データを合成する合成手段と、上記第2の記憶手段から転送されてくる上記部分画像データに対して第2の画像処理を施す第2の画像処理手段と、上記第1の記憶手段から上記第2の画像処理手段に至る部分画像データの転送動作を制御する転送制御手段と、上記合成手段が上記情報データの合成を行う際に、上記転送制御手段による部分画像データの転送動作を一時停止する停止制御手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
請求項14記載の発明は、全体画像データを記憶する第1の記憶手段と、第2の記憶手段とを備える画像処理装置に搭載される情報合成装置であって、上記第1の記憶手段から所定の領域分割単位で転送されてくる画像データに対して第1の画像処理を施して部分画像データを得て、この部分画像データは上記第2の記憶手段への転送されるように構成される第1の画像処理手段と、上記第2の記憶手段が保持する部分画像データ中の所定箇所に情報データを合成する合成手段と、上記第2の記憶手段から転送されてくる上記部分画像データに対して第2の画像処理を施す第2の画像処理手段とを備えることを特徴とする情報合成装置に、上記第1の記憶手段から上記第2の画像処理手段に至る部分画像データの転送動作を制御する転送制御手段と、上記合成手段が上記情報データの合成を行う際に、上記転送制御手段による部分画像データの転送動作を一時停止する停止制御手段とを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、画像処理を行なうメモリの使用領域をむやみに広げることなく、画像データ中への情報の合成を高品質に実行することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下本発明をデジタルカメラに適用した場合の一実施形態について図面を参照して説明する。
(構成)
図1は本実施形態全体の主要な回路構成を示すものである。1はカメラ全体の動作制御を司るシステムコントローラとしてのCPUである。このCPU1に対して、コントロールバスCB及びデータバスDBを介して画像処理IC2が接続される。
【0025】
この画像処理IC2は、後述する画像の撮影から記録に至る画像データに関する処理全般を行なう。この画像処理IC2は、メインメモリであるRAM3、及びプログラムデータや固定データを記憶したROM5と上記データバスDBを介して接続される。
【0026】
さらに画像処理IC2は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)4、上記ROM5、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)6、及びキー入力部7、メモリカードインターフェイス8と直接接続される。
【0027】
CCD4はこのカメラの撮像素子であり、原色系ベイヤー配列のカラーフィルタを有するものとする。LCD6は、カメラの背面側に設けられた、バックライト付きのカラー液晶表示パネルであり、モニタ画像や再生画像等を表示する。
【0028】
キー入力部7は、電源キーやシャッタキー、モードキー、カーソルキー、セットキー等からなり、ユーザの操作に応じたキー操作信号を画像処理IC2へ出力する。
【0029】
メモリカードインターフェイス8は、このカメラの記録媒体であり、撮影時にはこのカメラに着脱自在に装着されるメモリカード(図示せず)への画像データ等の書込み、再生時には同メモリカードからの画像データに読出しを行なう。
上記各回路に対して電源部9から必要な電力が供給される。
【0030】
図2は、上記画像処理IC2内のより詳細な機能回路構成を示すブロック図である。
同図中、11はDMA(Direct Memory Access)コントローラ(図では「DMAC」と称す)である。
【0031】
このDMAコントローラ11は、CCD4からCCD制御部13を介して画像データを取込んで上記RAM3に書込み、あるいは上記RAM3に書込まれた画像データを読出して、各種の処理後に再度RAM3に書込むなどの際のデータの入出力制御を行なう。
メモリ制御部12は、このDMAコントローラ11の制御の下に上記RAM3、ROM5、及びメモリカードインターフェイス8との間でのデータの送受を行なう。
【0032】
さらにこのDMAコントローラ11に対して、画像データ転送部17、JPEG変換部16、画像合成部18、及びLCD制御部19が接続される。
画像データ転送部17は、画像処理部14と画素数変換部15、上記JPEG変換部16、及び画像データ転送部17でのデータの転送制御を行なう。
【0033】
画像処理部14は、ベイヤーデータをYUVデータに変換して画素数変換部15へ出力する。画素数変換部15は、YUVデータの拡大処理または縮小処理を行ない、処理後のデータを画像データ転送部17へ出力する。
【0034】
JPEG変換部16は、YUVデータを所定のデータ圧縮処理によりJPEGデータに変換し、DMAコントローラ11へ出力する。画像合成部18は、画像データ中に文字画像等を合成し、合成結果をDMAコントローラ11へ出力する。
【0035】
LCD制御部19は、上記LCD6を制御して撮影時のモニタ画像他、画像の表示制御を行なう。キー入力制御部20は、上記キー入力部7から入力されたキー操作信号を受け付け、対応するキーコード情報を上記CPU1へ出力する。
【0036】
以下、指定された画像データの記録サイズが小さく、RAM3の容量に余裕がある場合の撮影時の大まかな画像処理の流れについて説明する。
撮影が指示されてCCD制御部13がCCD4から画像データ(ベイヤーデータ)を取込み、RAM3に記憶させる。このRAM3に記憶されたベイヤーデータをDMAコントローラ11が読出し、画像データ転送部17を介して画像処理部14でYUVデータに変換して画素数変換部15へ出力する。
【0037】
画素数変換部15は、画像処理部14からのYUVデータを所望の画素数サイズに変換して画像データ転送部17へ出力するもので、画像データ転送部17がこのYUVデータをRAM3へ記憶させる。
【0038】
次に、JPEG変換部16がRAM3からYUVデータを読出してJPEGデータに変換し、再度RAM3に記憶させる。
【0039】
文字画像等の画像合成が必要な際には、YUVデータの段階で画像合成部18が必要な画像構成処理を行なった後に、JPEG変換部16がそれをJPEGデータに変換する。
【0040】
(第1の動作例)
以下、CCD4を用いた撮影により、図3(A)に示す横64ピクセル×縦48ピクセル(ライン)のベイヤーデータを得、これを図3(B)に示すように縦横共に2倍して横128ピクセル×縦96ピクセル(ライン)のYUVデータに変換及び拡大した後に、同サイズのJPEGデータに変換してメモリカードインターフェイス8より図示しないメモリカードに記録させる場合の第1の動作について説明する。
【0041】
この場合、必要により図3(B)に示す画像中、ピクセルによる左上端点を原点座標(0,0)として座標(80,72)の位置を基準とし、任意の矩形領域、例えば横48ピクセル×縦16ピクセル(ライン)の大きさの文字画像データCIを合成するものとし、合成後のYUVデータをJPEGデータに変換する。
【0042】
上記文字画像データCIとしては、図示するような「2007.4.1」のようなデート(日付)情報でもよいし、さらには時刻、シャッタ速度や絞り(F)値などの撮影データ、その他の文字画像データでもよく、さらには記号やシンボル等の文字以外の各種画像情報を考えることもできる。
【0043】
後述するリングバッファ動作においては、JPEG変換処理が基本的に16ライン単位でデータ処理を行なうため、これを1領域分割単位として「1ベルト」と称するものとする。
【0044】
したがって、縦横共に2倍に拡大する前のベイヤーデータでは、対応するように8ラインを1ベルトとして読出し、リングバッファに転送するものとする。
【0045】
図4は、画像撮影時に画像データ転送部17が後述する画像処理を実行するのに先立って実行しておく、各パラメータの事前設定処理を行なうためのフローチャートであり、その制御動作はCPU1の制御の下に画像処理IC2内で主としてDMAC11が行なう。
【0046】
その当初には、CCD制御部13がDMAC11化に取込んだ、画像サイズ((横)64(ピクセル),(縦)48(ピクセル))(以下座標データ形式で(64,48)のように表記)のベイヤーデータをRAM3のアドレス「0x000000000」に保存する(ステップS101)。
【0047】
次いで、DMAC11が画像処理部14にベイヤーデータからYUVデータへの変換処理設定を行なう(ステップS102)。加えて、DMAC11が画素数変換部15に「2」倍での拡大処理を行なうよう設定する(ステップS103)。
【0048】
さらに、入力画像サイズ(64,48)と出力画像サイズ(128,96)から、ベルト数「6」、ベルトライン数「16」を決定する(ステップS104)。
【0049】
以上決定した内容を含め、画像データ転送部17に
入力画像アドレス「0x000000000」、
入力画像サイズ(64,48)、
出力画像アドレス「0x100000000」、
出力画像サイズ(128,96)、
ベルト数「6」、
入力ベルトライン数「8」、及び
出力ベルトライン数「16」
を設定する(ステップS105)。
【0050】
併せてJPEG変換部16にも、
入力画像アドレス「0x100000000」、
出力画像アドレス「0x200000000」、
画像サイズ(128,96)、
ベルト数「6」、及び
ベルトライン数「16」
を設定する(ステップS106)。
【0051】
さらに、合成する文字画像データの基準座標(80,72)と合成サイズ(48,16)から、合成位置に対応する停止ベルトの位置「5,6」を決定する(ステップS107)。
【0052】
この決定結果に従い、画像合成部18に合成データの設定として
文字画像の合成位置の座標(80,72)、
合成サイズ(48,16)、及び
停止ベルト数「2」
を設定する(ステップS108)。
次いで、画像データ転送部17にも停止ベルトの位置「5,6」を設定する(ステップS109)。
【0053】
以上で、画像処理部14、画素数変換部15、画像合成部18、JPEG変換部16、及び画像データ転送部17への必要な事前設定が完了したものとして、上記各回路の動作を開始する設定を行ない(ステップS110)、以上でこの図4の処理を終了すると共に、撮影に伴う画像の記録までの本動作に移行する。
【0054】
図5は、画像データ転送部17、JPEG変換部16、及び画像合成部18で並列して実行される処理内容を示すものである。まず、ベルト位置「1」の1ベルト(8ライン)分のベイヤーデータを、より細かいデータ単位でRAM3のベイヤーデータ領域から、画像処理部14に転送して上記設定した通り16ラインのYUVデータに変換させた後に、画素数変換部15に転送して上記設定した通り「2」倍の倍率で画素数を拡大する処理を実行させて、RAM3のリングバッファ領域へ転送するように制御する(ステップS201)。
【0055】
この後、画像データ転送部17では現在画像処理部14、画素数変換部15で処理させた画像データが予め設定した停止ベルトのものであるか否かを判断する(ステップS202)。
【0056】
ここでベルト位置「1」が設定した停止ベルトではないと判断すると、そのままJPEG変換部16に転送終了ライン位置「1」と処理終了信号とを発行した後(ステップS205)、現在転送した画像データのベルト位置がベイヤーデータの最終ベルトではないことを確認した上で(ステップS206)、上記ステップS201からの処理に戻る。
【0057】
JPEG変換部16では、画像データ転送部17から転送終了ライン位置と処理終了信号とを受信するのを待機している(ステップS301)。
しかして、画像データ転送部17から処理終了信号を受信すると上記ステップS301でこれを判断し、リングバッファに保持されるベルト位置「1」の16ライン分のYUVデータをより細かいデータ単位でJPEG変換部16へ転送してJPEGデータに変換し、変換後のJPEGデータをRAM3のJPEGデータ領域内の該当領域に書込む(ステップS302)。
【0058】
その後、JPEG変換部16は変換を終えたデータが最終ベルトではないことを確認した上で(ステップS303)、上記ステップS301からの処理に戻り、画像データ転送部17から処理終了信号を受信して次のベルト分のデータの処理を行なうのを待機する。
【0059】
こうして画像データ転送部17、画像処理部14、画素数変換部15、及びJPEG変換部16での処理を繰返し実行することにより、合成すべき文字画像データがないベルト位置ではRAM3のリングバッファを用いて1ベルト分ずつ処理が実行されていく。
【0060】
図7は、RAM3内部のデータ領域区分例(リングバッファを使用する場合と使用しない場合)を示すものである。
【0061】
図7(A)では、ベイヤーデータ格納領域、YUVデータ格納領域、JPEGデータ格納領域、表示データ格納領域を設けている。ベイヤーデータ→YUVデータ→JPEGデータへの変換は、上記した1領域分割単位である「1ベルト」毎に順次行い、3つの領域を同時に利用していた。つまり、上述したすべての領域は、1画像分のデータを格納する領域としていた。
【0062】
これに対して、図7(B)では、YUVデータ格納領域の代わりに、リングバッファ領域を設けている。上記と同様にして1領域分割単位である「1ベルト」毎に順次データ変換を行なうとした場合に、YUV領域は、通常概略的には前記領域分割単位毎にデータが通り過ぎるだけなのでYUVデータ領域を用意しても、使用していない領域が多かった。つまりこれをリングバッファ領域に代替することで、同様の処理を、より少ない領域で処理することが可能となり、全体として、RAM3の容量をより効果的に利用することができていることを示している。
【0063】
上記では、YUVデータ→JPEGデータへの変換の処理を開示したが、この処理の流れは、YUVデータ→表示データへの変換においても同様である。
【0064】
ここで言う表示データとは、サムネイル画像のことである。
【0065】
因みに、ベイヤーデータ領域に画像データを入力する際と、JPEGデータ領域から画像を出力する際と、表示データ領域から画像を出力する際は、1領域分割単位である「1ベルト」毎に処理するのではなく、1画像毎にデータ処理を行なっている。
【0066】
下記により詳細に説明する。
【0067】
図6は、合成すべき文字画像データがない場合のベイヤーデータからYUVデータ、JPEGデータに拡大される撮影画像を例示するものである。なお、同図中では、理解を容易にするために画像データに実線の矩形フレームを付加して説明しているが、実際のデータ変換においてはそのような実線の矩形フレームは存在しない。
【0068】
図6(A)は、参考までにRAM3でリングバッファを使用せずに画像全体をベイヤーデータからYUVデータに変換し、さらにYUVデータからJPEGデータに変換した場合の変換後の画像を例示するものである。
【0069】
このようにRAM3にリングバッファを設けないで処理する場合、図7(A)に示すようにRAM3では画像に撮影に際して、撮影により得たベイヤーデータ、YUVデータ、JPEGデータ、及びLCD6で表示するための表示データの領域が必要となり、RAM3の記憶容量としてより大きなものが必要となる。
【0070】
一方で、図6(B)は図7(B)に示す如くRAM3に2ベルト分の容量のリングバッファを設けた場合のリングバッファでの画像データの処理順序を例示するものである。同リングバッファでは、拡大後のYUVデータを同図(B−1)〜(B−5)に示すように1ベルト分ずつ処理してJPEGデータに変換していくため、全6ベルト分の処理を終えた時点で1フレーム分のJPEGデータを取得することができる。
【0071】
したがって、図7(B)に示した如く1フレーム分のYUVデータと2ベルト分のリングバッファの容量の差分だけRAM3をより記憶容量の小さなもので構成可能となる。
【0072】
次に、文字画像の合成を行なう場合の上記図5での処理について説明する。
図9(A)に示すベイヤーデータからリングバッファ上でYUVデータに変換し、さらに上記図3(B)で示した5,6ベルトの位置に日付の文字画像データを合成することで図9(B)に示すような画像を得、これをJPEGデータに変換するものとする。
【0073】
図10(1)〜(3)に示すように4ベルト目までをYUVデータに変換し、さらにJPEGデータに変換するまでの処理については上記図6の場合と同様である。
【0074】
その後、画像データ転送部17でステップS301により5ベルト目のベイヤーデータをリングバッファに転送すると、続くステップS302でこのベルトのベイヤーデータが停止ベルトとして設定されていることを判断する。
【0075】
これを判断した画像データ転送部17は、画像合成部18に対して処理停止信号を発行した後(ステップS203)、その画像合成部18から画像合成処理の終了信号が送られてきたか否かを繰返し判断することで(ステップS204)、当該信号が送られてくるのを待機する。
【0076】
しかるに画像合成部18では、その当初に画像データ転送部17から処理停止信号が送られてきたか否かを繰返し判断することで(ステップS401)、当該信号が送られてくるのを待機しており、送られてきたと判断した時点で、上記RAM3のリングバッファ領域より1ベルト分(ここでは5ベルト目)のYUVデータをより細かいデータ単位でこの画像合成部18へデータ転送して,このYUVデータに対して対応する文字画像データの合成処理を実行して合成画像(YUVデータ)を生成して、再度RAM3のリングバッファ領域へ合成画像データを転送する(ステップS402)。
【0077】
なお、ここでリングバッファ領域から画像合成部18へ転送するデータは、合成処理を行なう部分のみのデータであってよい。これにより、処理速度をさらに向上することが可能となる。
【0078】
合成処理終了後、画像合成部18は画像データ転送部17に対して画像合成処理の終了信号を発行し(ステップS403)、その後に当該ベルト位置が最終ベルトではないことを確認すると(ステップS404)、再び上記ステップS401からの処理に戻って、次に画像合成処理を待機する。
【0079】
画像合成部18から画像合成処理の終了信号の発行を受けた画像データ転送部17では、ステップS204でこれを判断すると、あらためてJPEG変換部16に転送終了ライン位置「5」と処理終了信号とを発行した後(ステップS205)、現在転送した画像データのベルト位置がベイヤーデータの最終ベルトではないことを確認した上で(ステップS206)、上記ステップS201からの処理に戻る。
【0080】
JPEG変換部16では、画像データ転送部17から転送終了ライン位置と処理終了信号を受信すると上記ステップS301でこれを判断し、リングバッファに保持される画像合成後のベルト位置「5」の16ライン分のYUVデータをJPEGデータに変換してデータ圧縮し、変換後のJPEGデータをRAM3の該当領域に書込む(ステップS302)。
【0081】
その後、JPEG変換部16は変換を終えたデータが最終ベルトではないことを確認した上で(ステップS303)、上記ステップS301からの処理に戻り、画像データ転送部17から処理終了信号を受信して次のベルト分のデータの処理を行なうのを待機する。
【0082】
上記工程においてリングバッファでは、図10(4)に示すように5ベルト目の拡大したYUVデータが画素数変換部15により書込まれた後、このベルトが停止ベルトであることが画像データ転送部17により判断されて画像合成部18により文字画像の画像合成処理が実行されることで図10(5)に示すような保持内容となる。
【0083】
この画像合成後のYUVデータからJPEG変換部16によりJPEGデータが生成されてRAM3内に上記図7(B)で示したJPEGデータの一部として保持される。
【0084】
その後、画像データ転送部17でステップS301により6ベルト目のベイヤーデータをリングバッファに転送すると、続くステップS302でこのベルトのベイヤーデータが停止ベルトとして設定されていることを判断する。
【0085】
これを判断した画像データ転送部17は、画像合成部18に対して処理停止信号を発行した後(ステップS203)、その画像合成部18から画像合成処理の終了信号が送られてきたか否かを繰返し判断することで(ステップS204)、当該信号が送られてくるのを待機する。
【0086】
画像合成部18では、画像データ転送部17から処理停止信号が送られてくるのを待機しており(ステップS401)、送られてきたと判断した時点で、1ベルト分(ここでは6ベルト目)のYUVデータに対して対応する文字画像データの合成処理を実行する(ステップS402)。
【0087】
合成処理終了後、画像合成部18は画像データ転送部17に対して画像合成処理の終了信号を発行し(ステップS403)、その後に当該ベルト位置が最終ベルトであると判断すると(ステップS404)、以上で当該撮影画像に対する画像合成処理を終えたものとして処理を終了する。
【0088】
画像合成部18から画像合成処理の終了信号の発行を受けた画像データ転送部17では、ステップS204でこれを判断すると、あらためてJPEG変換部16に転送終了ライン位置「6」と処理終了信号とを発行した後(ステップS205)、現在転送した画像データのベルト位置がベイヤーデータの最終ベルトであることを判断し(ステップS206)、これも以上で当該撮影画像に対する画像の転送に関する処理を終えたものとして処理を終了する。
【0089】
図8はこのときの画像データ転送部17での処理を説明するものである。6ベルト目のYUVデータが停止ベルトでなければ、本来図8(2)に示すようにJPEG変換部16への処理終了信号が発行されるタイミングで、実際には6ベルト目のYUVデータが停止ベルトであるために処理終了信号が発行されずに一時的に停止し、その後画像合成部18からの終了信号を受けるのを待って処理終了信号を発行するものとなる。
【0090】
JPEG変換部16では、画像データ転送部17から転送終了ライン位置と処理終了信号を受信すると上記ステップS301でこれを判断し、リングバッファに保持される画像合成後のベルト位置「6」の16ライン分のYUVデータをJPEGデータに変換してデータ圧縮し、変換後のJPEGデータをRAM3の該当領域に書込む(ステップS302)。
【0091】
その後、JPEG変換部16は変換を終えたデータが最終ベルトであることを判断し(ステップS303)、以上で当該撮影画像に対するJPEGデータへの変換処理を終えたものとして処理を終了する。
【0092】
上記工程中にリングバッファでは、図10(6)に示すように6ベルト目の拡大したYUVデータが画素数変換部15により書込まれた後、このベルトが停止ベルトであることが画像データ転送部17により判断されて画像合成部18により文字画像の画像合成処理が実行されることで図10(7)に示すような保持内容となる。
【0093】
この画像合成後のYUVデータからJPEG変換部16によりJPEGデータが生成されてRAM3内に上記図7(B)で示したJPEGデータの一部として保持される。
【0094】
その後、最終ベルトのJPEG変換を終えたことが画像データ転送部17、画像合成部18、及びJPEG変換部16でそれぞれ認識され、図5における処理はすべて完了したものとなり、あらためてRAM3に保持される1フレーム分のJPEGデータがメモリカードインターフェイス8を介して記録媒体であるメモリカードに記録される。
【0095】
このように本動作例では、RAM3の使用領域をむやみに広げてしまうことなく、画像データ中への文字画像データの合成を高品質且つ高速に実行することが可能となる。
【0096】
また、上記実施形態において画像処理部14及び画素数変換部15では、ベイヤーデータをYUVデータに変換する際に画像サイズの拡大を行なうものとしたが、必要に応じた拡大ではなく縮小を行なう場合でも、上記図4に示した事前設定の処理でその内容を設定することで同様の本処理を行なうことが可能となる。
【0097】
この場合、ベイヤーデータからYUVデータに変換する過程では画像サイズの拡大または縮小を併せて行ない、その後にYUVデータに対して文字画像の合成処理を施すものとしたことにより、文字画像が変形するなどの不具合を確実に回避することができる。
【0098】
この点は、上記画像サイズの拡大または縮小に止まらず、カラー画像データに対する各種の色処理を施す場合も同様であり、文字画像の一部が他の部分と異なった色となってしまうような不具合を確実に回避することができる。
【0099】
また、上記動作例では、JPEG変換部16で取扱う基本画素ブロックに併せて所定のライン数、例えば8ラインあるいは16ライン単位で画像データ転送部17での転送動作を調整するものとした。
【0100】
これにより、文字画像合成後に即時JPEG変換部16の処理を実行することができ、合成する文字画像の大きさに影響されることなく、画像処理IC2内の画像転送に係る制御動作を単純化することができる。
【0101】
(第2の動作例)
以下、CCD4を用いた撮影により、図3(A)に示す横64ピクセル×縦48ピクセル(ライン)のベイヤーデータを得、これを図3(B)に示すように縦横共に2倍して横128ピクセル×縦96ピクセル(ライン)のYUVデータに変換及び拡大した後に、同サイズのJPEGデータに変換してメモリカードインターフェイス8より図示しないメモリカードに記録させる場合の第2の動作について説明する。
【0102】
この場合、必要により図3(B)に示す画像中、ピクセルによる左上端点を原点座標(0,0)として座標(80,72)の位置を基準とし、任意の矩形領域、例えば横48ピクセル×縦16ピクセル(ライン)の大きさの文字画像データCIを合成するものとし、合成後のYUVデータをJPEGデータに変換する。
【0103】
上記文字画像データCIとしては、図示するような「2007.4.1」のようなデート(日付)情報でもよいし、さらには時刻、シャッタ速度や絞り(F)値などの撮影データ、その他の文字画像データでもよく、さらには記号やシンボル等の文字以外の各種画像情報を考えることもできる。
【0104】
後述するリングバッファ動作においては、JPEG変換処理が基本的に16ライン単位でデータ処理を行なうため、これを1領域分割単位として「1ベルト」と称するものとする。
【0105】
したがって、縦横共に2倍に拡大する前のベイヤーデータでは、対応するように半分の8ラインを1ベルトとして読出し、リングバッファに転送するものとする。
【0106】
なお、画像撮影時に画像データ転送部17が後述する画像処理を実行するのに先立って実行しておく、各パラメータの事前設定処理については、上記第1の動作例で図3により実行した内容と基本的に同様であるものとし、その図示と説明は省略するものとする。
【0107】
しかして、画像処理部14、画素数変換部15、画像合成部18、JPEG変換部16、及び画像データ転送部17への必要な事前設定が完了したものとして、撮影に伴う画像の記録までの本動作に移行する。
【0108】
図11は、画像データ転送部17、JPEG変換部16、及び画像合成部18で並列して実行される処理内容を示すものである。まず、ベルト位置「1」の1ベルト(8ライン)分のベイヤーデータを、より細かいデータ単位でRAM3のベイヤーデータ領域から、画像処理部14に転送して上記設定した通り16ラインのYUVデータに変換させた後に、画素数変換部15に転送して上記設定した通り「2」倍の倍率で画素数を拡大する処理を実行させて、RAM3のリングバッファ領域へ転送するように制御する(ステップS501)。
【0109】
この後、画像データ転送部17では現在画像処理部14、画素数変換部15で処理させた画像データが予め設定した停止ベルトの範囲内であるか否かを判断する(ステップS502)。
【0110】
ここでベルト位置「1」が設定した停止ベルトの範囲内ではないと判断すると、そのままJPEG変換部16に転送終了ライン位置「1」と処理終了信号とを発行した後(ステップS506)、現在転送した画像データのベルト位置がベイヤーデータの最終ベルトではないことを確認した上で(ステップS507)、上記ステップS501からの処理に戻る。
【0111】
JPEG変換部16では、画像データ転送部17から転送終了ライン位置と処理終了信号とを受信するのを待機している(ステップS601)。
しかして、画像データ転送部17から処理終了信号を受信すると上記ステップS601でこれを判断し、リングバッファに保持されるベルト位置「1」の16ライン分のYUVデータをより細かいデータ単位でJPEG変換部16へ転送してJPEGデータに変換し、変換後のJPEGデータをRAM3のJPEGデータ領域内の該当領域に書込む(ステップS602)。
【0112】
その後、JPEG変換部16は変換を終えたデータが最終ベルトではないことを確認した上で(ステップS603)、上記ステップS601からの処理に戻り、画像データ転送部17から処理終了信号を受信して次のベルト分のデータの処理を行なうのを待機する。
【0113】
こうして画像データ転送部17、画像処理部14、画素数変換部15、及びJPEG変換部16での処理を繰返し実行することにより、合成すべき文字画像データがないベルト位置ではRAM3のリングバッファを用いて1ベルト分ずつ処理が実行されていく。
【0114】
以下同様の処理を繰返し実行し、図13(1)〜(3)に示すように4ベルト目までをYUVデータに変換し、さらにJPEGデータに変換する。
【0115】
その後、画像データ転送部17でステップS501により5ベルト目のベイヤーデータをリングバッファに転送すると、続くステップS502でこのベルトのベイヤーデータが停止ベルトの範囲内として設定されていることを判断する。
【0116】
これを判断した画像データ転送部17は、次いでそのベルトが停止ベルトの範囲内中の最終ベルトであるか否かを判断する(ステップS503)。
【0117】
ここで5ベルト目は停止ベルトの範囲内であるが、その範囲内での最終ベルトは6ベルトであるため、停止最終ベルトではないものと判断して、再び上記ステップS501からの処理に戻る。
【0118】
しかして、画像データ転送部17でステップS601により6ベルト目のベイヤーデータをリングバッファに転送すると、続くステップS602でこのベルトのベイヤーデータが停止ベルトの範囲として設定されていることを判断する。
【0119】
これを判断した画像データ転送部17が、続くステップS503でそのベルトが停止ベルトの範囲内中の最終ベルトであると判断すると、画像合成部18に対して処理停止信号を発行した後(ステップS504)、その画像合成部18から画像合成処理の終了信号が送られてきたか否かを繰返し判断することで(ステップS505)、当該信号が送られてくるのを待機する。
【0120】
画像合成部18では、画像データ転送部17から処理停止信号が送られてくるのを待機しており(ステップS701)、送られてきたと判断した時点で、上記RAM3のリングバッファ領域より停止範囲ベルト分(ここでは5,6ベルトの2ベルト分)のYUVデータをより細かいデータ単位でこの画像合成部18へデータ転送して,このYUVデータに対して対応する文字画像データの合成処理を一括して実行して合成画像(YUVデータ)を生成して、再度RAM3のリングバッファ領域へ合成画像データを転送する(ステップS702)。
【0121】
なお、ここでリングバッファ領域から画像合成部18へ転送するデータは、合成処理を行なう部分のみのデータであってよい。
これにより、処理速度をさらに向上することが可能となる。
【0122】
合成処理終了後、画像合成部18は画像データ転送部17に対して画像合成処理の終了信号を発行し(ステップS703)、以上で当該撮影画像に対する画像合成処理を終えたものとして処理を終了する。
【0123】
画像合成部18から画像合成処理の終了信号の発行を受けた画像データ転送部17では、ステップS505でこれを判断すると、あらためてJPEG変換部16に転送終了ライン位置「6」と処理終了信号とを発行した後(ステップS506)、現在転送した画像データのベルト位置がベイヤーデータの最終ベルトであることを判断し(ステップS507)、これも以上で当該撮影画像に対する画像の転送に関する処理を終えたものとして処理を終了する。
【0124】
図12はこのときの画像データ転送部17での処理を説明するものである。5ベルト目、及び6ベルト目のYUVデータが共に停止ベルトでなければ、本来図12(2)に示すようにJPEG変換部16への処理終了信号が発行されるタイミングで、実際には5ベルト目及び6ベルト目の2ベルト分の終了信号を一時的に出力せずにJPEG変換部16での変換処理を停止させ、その後画像合成部18からの複数ベルト分の合成処理に関する終了信号を受けるのを待って処理終了信号を発行するものとなる。
【0125】
JPEG変換部16では、画像データ転送部17から転送終了ライン位置と処理終了信号を受信すると上記ステップS601でこれを判断し、リングバッファに保持される画像合成後のベルト位置「5」及び「6」の2ベルト分のYUVデータをJPEGデータに変換してデータ圧縮し、変換後のJPEGデータをRAM3の該当領域に書込む(ステップS602)。
【0126】
その後、JPEG変換部16は変換を終えたデータが最終ベルトであることを判断し(ステップS603)、以上で当該撮影画像に対するJPEGデータへの変換処理を終えたものとして処理を終了する。
【0127】
上記工程中にリングバッファでは、図13(4)に示すように5ベルト目の拡大したYUVデータが画素数変換部15により書込まれ、さらに図13(5)に示すように6ベルト目の拡大したYUVデータが画素数変換部15により書込まれた後、このベルトが停止ベルト範囲内の最終ベルトであることが画像データ転送部17により判断されて画像合成部18により複数ベルト分の文字画像の一括画像合成処理が実行されることで図10(6)に示すような保持内容となる。
【0128】
この画像合成後のYUVデータからJPEG変換部16によりJPEGデータが生成されてRAM3内にJPEGデータの一部として保持される。
【0129】
その後、最終ベルトのJPEG変換を終えたことが画像データ転送部17、画像合成部18、及びJPEG変換部16でそれぞれ認識され、図11における処理はすべて完了したものとなり、あらためてRAM3に保持される1フレーム分のJPEGデータがメモリカードインターフェイス8を介して記録媒体であるメモリカードに記録される。
【0130】
このように本動作例では、合成する文字画像側のサイズに合わせてJPEG変換部16での変換処理を一時的に遅延させるものとした。
【0131】
このように、複数ベルトに渡った画像合成を一括して処理し、その間、後段での変換処理を一時的に遅延させるものとしたので、複数のベルトに跨った文字画像の合成に際して合成後の文字画像の整合が取り易く、効率的に処理を実行することができる。
【0132】
なお、上記実施形態では、上述した如く合成する文字画像に関してその位置や大きさ等を任意に設定できるものとした。
【0133】
これにより、本実施形態の如く単に日付情報を合成するのみならず、ユーザが任意に設定したメッセージやメモの情報等を任意に設定しておくことで、単なる画像の撮影に止まらず、ユーザに必要な情報を容易に記録しておくことができる。
【0134】
また、上記図3に示した如く、画像合成に関する各種設定は事前に設定しておくことで、実際に画像を撮影してからその画像データに必要な文字画像を合成して記録するまでの処理を大幅に簡略化することができ、画像処理IC2内での制御動作を司るDMAC11、及びカメラ内で全体の制御動作を司るCPU1の負担を軽減できると共に、次の撮影に移行するまでの時間を短縮して、連射性能を向上することができる。
【0135】
なお、上記実施形態では、1枚の撮影画像中に文字画像を1箇所だけ合成する場合について説明したが、本発明はこれに限ることなく、複数箇所に合成することも同様に可能である。
【0136】
なお、画像データに情報画像データを合成するに際し、情報画像データのライン数に基づいて画像データの領域分割単位のライン数を決定しても良い。
【0137】
さらにその場合、情報画像データのライン数と、領域分割単位のライン数を同じにして、領域分割を行った際に、情報画像の合成位置を領域分割された領域に収まるように合成位置を設定して合成するようにしても良い。
これにより、画像合成をより効率的に行なうことが可能となる。
【0138】
なお、上記実施形態では、ベイヤーデータを取り込んでYUVデータに変換して出力することと、画像を合成することを画像合成部で行い、YUVデータを取り込んでJPEGデータに変換して出力することをJPEG変換部で行なっていた。つまり、コンピュータのソフトウェアではなくハードウェア回路で画像変換を行なっていた。
【0139】
しかしこれに限る必要はなく、データはRAM3上に置いたままで、ハードウェアではなくソフトウェアで、ベイヤーデータ→YUVデータ→JPEGデータへと変換するように構成しても良い。
【0140】
なお、上記実施形態では、ステップS201及びS501において、画像合成するベルトの1ベルト(8ライン)分のベイヤーデータを、より細かいデータ単位でRAM3のベイヤーデータ領域から、画像処理部14に転送して上記設定した通り16ラインのYUVデータに変換させた後に、画素数変換部15に転送して上記設定した通り「2」倍の倍率で画素数を拡大する処理を実行させて、RAM3のリングバッファ領域へ転送するように制御していると共に、ステップS402及びS702において、上記RAM3のリングバッファ領域より所定ベルト分のYUVデータをより細かいデータ単位でこの画像合成部18へデータ転送して,このYUVデータに対して対応する文字画像データの合成処理を実行して合成画像(YUVデータ)を生成して、再度RAM3のリングバッファ領域へ合成画像データを転送するように構成しているが、このようではなくとも構わない。
【0141】
例えば、画像合成するベルトの1ベルト(8ライン)分のベイヤーデータを、より細かいデータ単位でRAM3のベイヤーデータ領域から、画像処理部14に転送して上記設定した通り16ラインのYUVデータに変換させた後に、画素数変換部15に転送して上記設定した通り「2」倍の倍率で画素数を拡大する処理を実行させた後、リングバッファ領域へ画像を転送せずに、画像合成部18へデータ転送して,このYUVデータに対して対応する文字画像データの合成処理を実行して合成画像(YUVデータ)を生成して、RAM3のリングバッファ領域へ合成画像データを転送するように構成しても構わない。
これにより、処理速度を向上することが可能となる。
【0142】
なお、上記実施形態ではベイヤーデータからJPEGデータを生成する過程について詳細に説明しているが、ベイヤーデータから表示データを生成する過程については詳細に記載していないが、表示データとは、ここではいわゆるサムネイル画像のことを言っているので、基本的な処理の流れはベイヤーデータからJPEGデータを生成する流れと同様であるので詳細の記載を省略する。
【0143】
JPEGデータと表示データとの生成過程で違う点は、ベイヤデータよりYUVデータを生成する時に、画素数変換部15で拡大処理を行なうのか、縮小処理を行なうかの違いがある。また、JPEG変換部16でJPEGデータに変換したデータを、JPEGデータ領域に保存するのか、表示データ領域に保存するか、の違いがある。しかしその他の点に関しては同一であって良い。
【0144】
なお、本実施形態においては、リングバッファを用いることで、ベイヤーデータからYUVデータへの変換処理を32ビットで実行し、YUVデータからJPEGデータへの変換処理を16ビットで実行することが出来る。YUVデータからJPEGデータへの変換処理は、16ビット又は8ビットに限定されているため、リングバッファを有することで、その前後工程の処理速度を変更できるので、リングバッファを用いない場合と比較して高速で処理できるというメリットがある。
【0145】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件により適宜の組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタルカメラの電子回路の主要構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態に係る図1の画像処理IC内の回路構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態に係る画像記録に先立つ事前設定時に画像処理チップ内で実行される処理内容を示すフローチャート。
【図4】同実施形態に係るベイヤーデータとYUVデータの画像データサイズを説明する図。
【図5】同実施形態に係る第1の動作例で画像記録時に画像処理チップ内で実行される処理内容を示すフローチャート。
【図6】同実施形態に係る第1の動作例で文字画像データを合成しない場合の画像処理の順序を例示する図。
【図7】同実施形態に係るRAMの使用領域をリングバッファを使用しない場合と比較して示す図。
【図8】同実施形態に係る第1の動作例で文字画像データを合成する場合の画像処理の制御内容を示すタイミングチャート。
【図9】同実施形態に係る第1の動作例で文字画像データを合成する場合の合成前後の画像を例示する図。
【図10】同実施形態に係る第1の動作例で文字画像データを合成する場合の画像処理の順序を例示する図。
【図11】同実施形態に係る第2の動作例で画像記録時に画像処理チップ内で実行される処理内容を示すフローチャート。
【図12】同実施形態に係る第2の動作例で文字画像データを合成する場合の画像処理の制御内容を示すタイミングチャート。
【図13】同実施形態に係る第2の動作例で文字画像データを合成する場合の画像処理の順序を例示する図。
【符号の説明】
【0147】
1…CPU、2…画像処理IC、3…RAM、4…CCD、5…ROM、6…LCD、7…キー入力部、8…メモリカードインターフェイス(I/F)、9…電源部、11…DMAコントローラ(DMAC)、12…メモリ制御部、13…CCD制御部、14…画像処理部、15…画素数変換部、16…JPEG変換部、17…画像データ転送部、18…画像合成部、19…LCD制御部、20…キー入力制御部、CB…コントロールバス、DB…データバス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影して全体画像データを取得する撮影手段と、
上記全体画像データを記憶する第1の記憶手段と、
上記第1の記憶手段から所定の領域分割単位で転送されてくる画像データに対して第1の画像処理を施して部分画像データを得る第1の画像処理手段と、
上記第1の画像処理手段で得た部分画像データを保持する第2の記憶手段と、
上記第2の記憶手段が保持する部分画像データ中の所定箇所に情報データを合成する合成手段と、
上記第2の記憶手段から転送されてくる上記部分画像データに対して第2の画像処理を施す第2の画像処理手段と、
上記第1の記憶手段から上記第2の画像処理手段に至る部分画像データの転送動作を制御する転送制御手段と、
上記合成手段が上記情報データの合成を行う際に、上記転送制御手段による部分画像データの転送動作を一時停止する停止制御手段と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記第2の画像処理手段で得た部分画像データを保持する第3の記憶手段を備え、
上記転送制御手段は、上記第1の記憶手段から上記第3の記憶手段に至る部分画像データの転送動作を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
上記第1の画像処理手段は、上記第1の記憶手段から所定の領域分割単位で転送されてくる画像データに対して拡大又は縮小の処理を含む第1の画像処理を施して部分画像データを得ることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
上記第1の画像処理手段は、上記第1の記憶手段から所定の領域分割単位で転送されてくる画像データに対して画像の色変換処理を含む第1の画像処理を施して部分画像データを得ることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
上記第2の画像処理手段は、上記第2の記憶手段から転送されてくる上記部分画像データに対して圧縮処理を含む第2の画像処理を施すことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
上記領域分割単位は、上記全体画像データを所定ライン数単位で分割したものであることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
上記転送制御手段は、上記領域分割単位で転送動作を調整することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項8】
上記合成手段は、上記合成を、部分画像データ毎に行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項9】
上記合成手段で合成する画像データ中に合成する情報データの位置と大きさとを判別する判別手段をさらに具備し、
上記停止制御手段は、上記判別手段での判別結果に応じて上記部分画像データの転送動作を停止制御する
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項10】
上記合成手段は、上記合成を、所定数の部分画像データ分まとめて行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項11】
上記停止制御手段は、上記第1の画像処理手段が第1の画像処理を施して部分画像データを得る前に、上記部分画像データの転送動作を停止制御するタイミングを決定しておくことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項12】
上記部分画像データは、前記情報データを合成すべき部分画像データであるか否かを判断する判断手段をさらに具備し、
上記停止制御手段は、上記判断手段での判断結果に応じて上記部分画像データの転送動作を停止制御する
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項13】
全体画像データを記憶する第1の記憶手段と、第2の記憶手段とを備える画像処理装置に搭載される情報合成装置であって、
上記第1の記憶手段から所定の領域分割単位で転送されてくる画像データに対して第1の画像処理を施して部分画像データを得て、この部分画像データは上記第2の記憶手段への転送されるように構成される第1の画像処理手段と、
上記第2の記憶手段が保持する部分画像データ中の所定箇所に情報データを合成する合成手段と、
上記第2の記憶手段から転送されてくる上記部分画像データに対して第2の画像処理を施す第2の画像処理手段と、
上記第1の記憶手段から上記第2の画像処理手段に至る部分画像データの転送動作を制御する転送制御手段と、
上記合成手段が上記情報データの合成を行う際に、上記転送制御手段による部分画像データの転送動作を一時停止する停止制御手段と
を備えることを特徴とする情報合成装置。
【請求項14】
全体画像データを記憶する第1の記憶手段と、第2の記憶手段とを備える画像処理装置に搭載される情報合成装置であって、
上記第1の記憶手段から所定の領域分割単位で転送されてくる画像データに対して第1の画像処理を施して部分画像データを得て、この部分画像データは上記第2の記憶手段への転送されるように構成される第1の画像処理手段と、
上記第2の記憶手段が保持する部分画像データ中の所定箇所に情報データを合成する合成手段と、
上記第2の記憶手段から転送されてくる上記部分画像データに対して第2の画像処理を施す第2の画像処理手段と
を備えることを特徴とする情報合成装置に、
上記第1の記憶手段から上記第2の画像処理手段に至る部分画像データの転送動作を制御する転送制御手段と、
上記合成手段が上記情報データの合成を行う際に、上記転送制御手段による部分画像データの転送動作を一時停止する停止制御手段と
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−100029(P2009−100029A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266727(P2007−266727)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】