説明

撮像装置

【課題】監視領域を監視していない場合には利用者に監視していないことを明示することができるとともに、監視が開始された場合のレンズや監視カメラ全体の遮蔽を解除された際に絞り調整によるタイムラグが発生しない撮像装置を提供する。
【解決手段】レンズ遮蔽部105は、監視領域の映像を取込むレンズを遮蔽または開放し、照度センサ101は、レンズ遮蔽部105の外部に設置され、監視領域の照度を検知し、絞り調整部102は、照度センサ101によって検知された照度に基づいてレンズの絞りを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視領域を撮像する撮像装置に関するものであり、特に撮像時におけるタイムラグの削減に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視領域での犯罪等を監視するため、常時または必要に応じて監視領域を撮像する監視カメラが一般に知られている。このような監視カメラは、異常時にのみ監視領域を撮像するものであっても、監視領域に居る人にプライバシーが侵害されているという不安感や、監視カメラで常に監視されているという緊張感を与えてしまうという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するものとして、監視カメラのレンズを遮蔽する遮蔽手段を備える警備装置が開示されている(特許文献1参照)。かかる警備装置では、監視領域を撮像しない時にはレンズまたは監視カメラ全体をカバーで覆うことによって、監視領域内の人から見えないようにしてプライバシーを侵害していないことを明示している。
【0004】
【特許文献1】特開2006−4116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、レンズや監視カメラ全体を遮蔽した場合、内部に光が入らないため、被写体の明るさに従ってレンズの絞りを調整する機能(オートアイリス機能)を有する監視カメラが絞りを自動調整すると、外部との明るさと差異が生じてしまう。よって、異常時に監視領域を撮像するために遮蔽手段であるカバーを開くと、外部の明るさに合わせて改めて絞りが調整され、鮮明な画像を撮像するまでにタイムラグが発生するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、監視領域を監視していない場合には利用者に監視していないことを明示することができるとともに、監視が開始された場合のレンズや監視カメラ全体の遮蔽を解除された際に絞り調整によるタイムラグが発生しない撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、監視領域の映像を取込むレンズを遮蔽または開放する遮蔽手段と、前記遮蔽手段の外部に設置され、前記監視領域の照度を検知する照度センサと、前記遮蔽手段によって前記レンズを遮蔽している場合に、前記照度センサによって検知された前記照度に基づいて前記レンズの絞りを調整する絞り調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2にかかる発明は、監視領域の映像を取込むレンズを遮蔽または開放するとともに、半透明の部材を含む遮蔽手段と、前記遮蔽手段によって前記レンズを遮蔽した際に、前記半透明の部材を通過する光を検知した照度に基づいて前記レンズの絞りを調整する絞り調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3にかかる発明は、監視領域の映像を取込むレンズを遮蔽または開放するとともに、前記レンズに対向する領域を除いた領域に開口部を備える遮蔽手段と、前記遮蔽手段によって前記レンズを遮蔽した際に、前記開口部から入射する光を検知した照度に基づいて前記レンズの絞りを調整する絞り調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の撮像装置において、前記遮蔽手段は、当該遮蔽手段の内面を光の反射率の高い色にしたこと、を特徴とする。
【0011】
また、請求項5にかかる発明は、ブラインド状の複数の部材を備え、監視領域の映像を取込むレンズを前記複数の部材が前記レンズの光軸に対して所定の角度に傾くことによって遮蔽、または前記複数の部材が前記光軸に対して平行となることによって開放する遮蔽手段と、前記遮蔽手段によって前記レンズを遮蔽した際に、前記複数の部材間を通過する光を検知した照度に基づいて前記レンズの絞りを調整する絞り調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6にかかる発明は、請求項5に記載の撮像装置において、前記遮蔽手段は、1の板状部材であること、を特徴とする。
【0013】
また、請求項7にかかる発明は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の撮像装置において、前記遮蔽手段は、当該撮像装置全体を隠蔽すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、レンズ遮蔽手段によってレンズが遮蔽されている場合でも、監視領域の照度を検知し、検知した照度で絞りを調整することができるため、レンズ遮蔽手段が開放された際に絞り調整のためのタイムラグが発生することなく、監視領域を撮像することができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明によれば、レンズ遮蔽手段によってレンズが遮蔽されている場合であっても、監視領域の光量を取得することができ、取得された光量で絞りが調整されているため、レンズ遮蔽手段が開放された際に絞り調整のためのタイムラグが発生することなく、監視領域を撮像することができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明によれば、レンズ遮蔽手段の内面を光の反射率が高い色にしたため、開口部から入射した光が効率よく反射されて、監視領域の光量を取得することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる撮像装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0018】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。第1の実施の形態にかかる撮像装置は、レンズが遮蔽されている際に、遮蔽部の外部の照度を取得し、取得した外部の照度によって絞りを調整する。
【0019】
まず、本発明が適用される撮像装置の構成例について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる撮像装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかる撮像装置100は、照度センサ101と、絞り調整部102と、レンズ103と、照度取得部104と、レンズ遮蔽部105とを備えている。
【0020】
照度センサ101は、レンズ遮蔽部105の外部に設置され、撮像装置100が撮像する監視領域の明るさ、すなわち照度を検知する。なお、照度センサには、フォトトランジスタやフォトダイオード等を用いたものがある。照度取得部104は、照度センサ101によって検知された照度を取得する。絞り調整部102は、照度取得部104によって取得された照度に応じて、絞りを調整する。
【0021】
レンズ103は、監視領域の映像を取込む。ここで、取込まれた監視領域の映像は、図示しないCCD(Charg Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子によって電気信号に変換され、画像情報として入力される。入力された画像情報は、記憶部に記憶されたり、警備装置200を介して図示しない監視センタに送信される。
【0022】
レンズ遮蔽部105は、レンズ103または撮像装置100全体を覆うように設置されている。レンズ遮蔽部105は、警備装置200とネットワークを介して接続されている。レンズ遮蔽部105は、警備装置200の制御によって利用者から目視できないように遮蔽され、撮像装置100が監視領域を撮像できるように開放される。
【0023】
次に、上述したように構成されている撮像装置100による絞り調整処理について説明する。図2は、照度取得部、絞り調整部が行う絞り調整処理手順を示すフローチャートである。なお、撮像装置100は、レンズ遮蔽部105によって遮蔽されていても、レンズ遮蔽部105が開放されていても、監視領域を撮像しているものとする。
【0024】
まず、照度取得部104は、照度センサ101が検知した照度を取得する(ステップS201)。これにより、レンズ遮蔽部105の外部、すなわち監視領域の照度を取得することができるため、レンズ遮蔽部105が遮蔽されている場合も、開放されている場合も、撮像装置100が撮像する監視領域の照度を得ることができる。
【0025】
絞り調整部102は、取得された照度に応じて絞りを調整する(ステップS202)。これにより、レンズ遮蔽部105が警備装置200の制御によってどのようなタイミングで開放されても、レンズの絞りは、既に監視領域の明るさで調整されているため、レンズ遮蔽部105が開放された時に絞りを調整するタイムラグが発生しない。なお、通常撮像対象の明るさが大きく変化した場合に自動絞り調整機能を用いて絞りを調整するためのタイムラグは、1秒程度である。しかしながら、異常の検知等によって撮像を開始した直後には、犯人等の重要な画像が撮像されることも多く、タイムラグの削減は警備上の重要な課題である。
【0026】
なお、上述した説明では、レンズ遮蔽部105がレンズを遮蔽している場合およびレンズ遮蔽部105が開放されている場合のいずれにおいても、レンズ遮蔽部105の外部に設置された照度センサ101によって検知された照度を用いた処理について説明したが、レンズ遮蔽部105が遮蔽されている場合にのみ、照度センサ101が検知した照度を用い、レンズ遮蔽部105が開放されている場合は、照度センサ101が検知した照度を用いず、撮像装置100に内蔵された自動絞り調整機能によって絞りを調整するようにしてもよい。
【0027】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。第2の実施の形態にかかる撮像装置は、レンズ遮蔽部が遮蔽されている場合においても、レンズ遮蔽部の内部で監視領域の明るさを検知する。
【0028】
本発明が適用される撮像装置の構成例について、第1の実施の形態と異なる部分を説明する。他の部分については第1の実施の形態と同様であるので、上述した説明を参照し、ここでの説明を省略する。図3は、第2の実施の形態にかかる撮像装置の構成を示すブロック図である。
【0029】
本実施の形態の撮像装置300は、絞り調整部302と、レンズ103と、レンズ遮蔽部305とを備えている。ここで、レンズ103の構成、機能は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0030】
絞り調整部302は、監視領域の照度を検知し、検知した照度に応じて、レンズの絞りを調整する。絞り調整部302は、上述した照度センサ101と照度取得部104と絞り調整部102の機能を備えている。なお、絞り調整部302は、通常の監視カメラに備えられた自動絞り機能であってもよい。
【0031】
レンズ遮蔽部305は、上述した機能、構成を備え、レンズ103または撮像装置100全体を覆うように設置されている。図4は、遮蔽時または非遮蔽時のレンズ遮蔽部の一例を示す平面図である。図4に示すように、撮像装置300のレンズ103は、レンズ遮蔽部305に覆われている。レンズ遮蔽部305は、半透明であるため、遮蔽されている場合は、利用者はレンズ遮蔽部305の内部のレンズ103を目視することはできない。しかし、半透明のレンズ遮蔽部305は、監視領域の光を内部に透過するため、絞り調整部302によって照度が検知され、監視領域の照度で絞り調整をすることができる。これにより、非遮蔽時に示すように、レンズ遮蔽部305が開放された場合に、監視領域の照度で絞りが調整されているため、絞り調整のためのタイムラグを生じることなく、監視領域を撮像することができる。なお、レンズ遮蔽部305は、レンズ103に対向する部材のみが半透明であってもよい。
【0032】
また、図5は、遮蔽時または非遮蔽時のレンズ遮蔽部の一例を示す側面図である。図5に示すような撮像装置300においても、レンズ遮蔽部305は半透明であるため、遮蔽時には利用者が目視することはできず、監視領域の照度を検知することができ、非遮蔽時には絞り調整のタイムラグを生じることなく、監視領域を撮像することができる。
【0033】
他の例として、開口部を有するレンズ遮蔽部305について説明する。図6は、遮蔽時または非遮蔽時のレンズ遮蔽部の一例を示す平面図である。図6に示すレンズ遮蔽部305は、レンズ103に対向しない位置に開口部を設けている。これにより、レンズ遮蔽部305は、遮蔽時には利用者がレンズ103を目視することはできないが、開口部から入射する光によって、監視領域の照度を検知することができる。また、レンズ遮蔽部305の裏面は白色にすることにより、監視領域の照度をより正確に検知することができる。
【0034】
また、図7は、遮蔽時または非遮蔽時のレンズ遮蔽部の一例を示す側面図である。図7に示す場合も同様に、レンズ遮蔽部305の開口部から入射する光により照度を検知することができ、非遮蔽時には絞り調整のタイムラグを生じることなく、監視領域を撮像することができる。
【0035】
さらに、他の例として、ブラインド状のレンズ遮蔽部305について説明する。図8は、遮蔽時または非遮蔽時のレンズ遮蔽部の一例を示す側面図である。図8に示すレンズ遮蔽部305は、ブラインド状の複数の板の角度を変化させることによって、レンズ遮蔽部305を遮蔽または開放する。レンズ遮蔽部305は、遮蔽時にはブラインド状の板を所定の角度、例えばレンズの光軸に対して45°傾けることにより、利用者がレンズ部103を目視することはできないが、ブラインド状の板の間から入射する光により照度を感知することができる。
【0036】
また、レンズ遮蔽部305を複数の板状部材ではなく、1枚の板状部材で構成しても同様の効果が得られる。
【0037】
以上、本発明を第1および第2の実施の形態を用いて説明してきたが、上述した実施の形態に多様な変更または改良を加えることができる。また、上述した第1の実施の形態、第2の実施の形態において説明した構成や機能は、自由に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1の実施の形態にかかる撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】照度取得部、絞り調整部が行う絞り調整処理手順を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態にかかる撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図4】遮蔽時または非遮蔽時のレンズ遮蔽部の一例を示す平面図である。
【図5】遮蔽時または非遮蔽時のレンズ遮蔽部の一例を示す側面図である。
【図6】遮蔽時または非遮蔽時のレンズ遮蔽部の一例を示す平面図である。
【図7】遮蔽時または非遮蔽時のレンズ遮蔽部の一例を示す側面図である。
【図8】遮蔽時または非遮蔽時のレンズ遮蔽部の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0039】
100 300 撮像装置
101 照度センサ
102 302 絞り調整部
103 レンズ
104 照度取得部
105 305 レンズ遮蔽部
200 警備装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域の映像を取込むレンズを遮蔽または開放する遮蔽手段と、
前記遮蔽手段の外部に設置され、前記監視領域の照度を検知する照度センサと、
前記遮蔽手段によって前記レンズを遮蔽している場合に、前記照度センサによって検知された前記照度に基づいて前記レンズの絞りを調整する絞り調整手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
監視領域の映像を取込むレンズを遮蔽または開放するとともに、半透明の部材を含む遮蔽手段と、
前記遮蔽手段によって前記レンズを遮蔽した際に、前記半透明の部材を通過する光を検知した照度に基づいて前記レンズの絞りを調整する絞り調整手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
監視領域の映像を取込むレンズを遮蔽または開放するとともに、前記レンズに対向する領域を除いた領域に開口部を備える遮蔽手段と、
前記遮蔽手段によって前記レンズを遮蔽した際に、前記開口部から入射する光を検知した照度に基づいて前記レンズの絞りを調整する絞り調整手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
前記遮蔽手段は、当該遮蔽手段の内面を光の反射率の高い色にしたこと、を特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
ブラインド状の複数の部材を備え、監視領域の映像を取込むレンズを前記複数の部材が前記レンズの光軸に対して所定の角度に傾くことによって遮蔽、または前記複数の部材が前記光軸に対して平行となることによって開放する遮蔽手段と、
前記遮蔽手段によって前記レンズを遮蔽した際に、前記複数の部材間を通過する光を検知した照度に基づいて前記レンズの絞りを調整する絞り調整手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
前記遮蔽手段は、1の板状部材であること、を特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記遮蔽手段は、当該撮像装置全体を隠蔽すること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−85572(P2008−85572A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262455(P2006−262455)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】