操作入力装置
【課題】人指のみを選択的に検出し、それによる反射光を効率よく受光素子に導き、受光量を増加し、確実な操作入力が可能となる信頼性の高い操作入力装置を提供すること。
【解決手段】複数の異なる波長を照射し、指などの反射物体による反射光を受光して、その各々の受光量と第一の閾値保持手段の出力する第一の閾値とからキースイッチ操作の有無を判別し、且つ、前記各々の受光量と第二の閾値保持手段の出力する第二の閾値とから大人と幼児の指を判別して、幼児による機器の操作禁止できるため、確実な操作入力が可能で信頼性の高い操作入力装置となる。
【解決手段】複数の異なる波長を照射し、指などの反射物体による反射光を受光して、その各々の受光量と第一の閾値保持手段の出力する第一の閾値とからキースイッチ操作の有無を判別し、且つ、前記各々の受光量と第二の閾値保持手段の出力する第二の閾値とから大人と幼児の指を判別して、幼児による機器の操作禁止できるため、確実な操作入力が可能で信頼性の高い操作入力装置となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用電化機器の光学式の操作入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器、洗濯機、クッキングヒータなどの家庭用電化機器には、これらの機器を操作するための操作スイッチが集中して取り付けられた、防滴機能を有するパネル型の操作入力装置が備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、上記特許文献1に記載された従来の調理器のスイッチ操作装置の側断面図である。図8において、調理器本体の外殻1に設けられた操作パネル装着部6に、あらかじめ防水フィルム9を表面に一体成型した操作パネル5を接着し、内部の制御回路基板4上のプッシュスイッチ2を、スイッチ操作ボタン14を介して操作ボタン部10より操作することにより、内面への水密性が確保できるとともに、表面は滑らかな質感があり、調理時の熱にも充分耐えうる構成となっている。この防水フィルム9は弾力性を有する電気絶縁材、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂性のフィルムをたわみをもたせて成形すれば、常時は中央部が弾発しており、押圧すると下方に反転し、押圧を解くと反転して元に復帰するため、プッシュスイッチ2のバネ力のみによるものより、明確なスナップ機能を有する。
【0004】
また、機械的作動部分を必要せず、操作感が軽快で、機密性をより高くした静電容量式や光学式の操作入力装置も知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0005】
また、医療用機器として、複数の波長の光または赤外線を用いて脈波に対応する電気信号を導出する脈波検出機器や、血中飽和酸素濃度の検出機器が知られている。可視光線と赤外線とを発光し、受光部でそれぞれ別個に受光すると、波長による受光強度の差に基づいて、ヘモグロビンの酸化状態を判定することができる。ヘモグロビンの酸化状態は、血液中の飽和酸素濃度に対応するので、予め標準的な酸素濃度に対応して検量線などを作成しておけば、飽和酸素濃度として算出することができるものである(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
図9は、上記特許文献2に記載された従来の加熱調理器の本体斜視図(a)と、操作部の断面図(b)である。図9において、誘導加熱式の調理部24,25を、プレート22上において使用者が調理を行う手前側左右に配置し、ヒータ加熱式の調理部26を中央奥側に配置する。これらの加熱調理部24,25及び26に対応する操作・表示部27,28及び29を加熱調理部24,25及び26の手前側に設けて、その接触部27a,28a及び29aをプレート22の表面側から使用者が接触することにより、プレート22の下方に配置された静電容量式のスイッチ43が操作可能となるように構成する。操作スイッチ43は、操作回路基板42上に銅泊で形成された平面状電極43a(図示せず)と、この平面状電極43aの周囲を取り囲むシールド用電極43b(図示せず。操作スイッチ43の接触範囲を確定するために設けられ、アースされている)とから構成されている。操作手段が存在する位置に対応する強化ガラス製のプレートの表面に直接、スイッチ機能を配することができると共に、操作子、操作釦などの突起物が無い平面状にすることができ、清掃などがより容易となるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−209849号公報
【特許文献2】特開平10−214677号公報
【特許文献3】特開2000−100287号公報
【特許文献4】特開2001−46345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の構成では、防水フィルムを一体成型した操作パネルや、抵抗被膜方式のタッチパネルでは、フィルム材料の耐熱温度の制限から、調理中に高温(炒め物時は最高350℃)となった鍋を直置きすることはできない。また、静電容量式のスイッチでは、プレート上に調味液や水がこぼされた場合にも、操作入力があったとして受け付けてしまうという課題を有していた。
【0009】
また、光学式のスイッチでは、人指以外の反射物体、例えば、布巾や紙といったものが、キースイッチ操作面に誤って置かれた場合にも、操作入力があったとして受け付けてしまうという課題を有していた。
【0010】
さらに、前記従来の健康状態監視装置をそのまま加熱調理器に応用した構成では、人指からの反射光が操作入力装置の接触部である保護フィルムやプレートを透過する間に減衰するため、受光素子での検出能力が低下し、確実な操作が行えないという課題を有していた。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、人指のみを選択的に検出し、それによる反射光を効率よく受光素子に導き、受光量を増加し、確実な操作入力が可能となる信頼性の高い操作入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、機器のキースイッチ操作面を有する透光性のプレートと、前記プレートの操作面の裏側に配置したピーク波長が異なる光を発光する発光素子と、前記発光素子からの光がプレート上の操作面の表側に触れられた指などの反射物体により反射された反射光を検出する受光素子と、前記発光素子の波長を切り換える波長選択手段と、前記波長選択手段により選択された前記発光素子からの受光量を波長別、及び前記キースイッチ別に記憶する記憶手段と、反射光の有無を判別するための第一の閾値を保持する第一の閾値保持手段と、指の大小を判別するための第二の閾値を保持する第二の閾値保持手段と、前記記憶手段の記憶する各々の受光量と第一の閾値保持手段の出力する第一の閾値とからキースイッチ操作の有無を判別し、且つ、各々の受光量と第二の閾値保持手段の出力する第二の閾値とから大人と幼児の指を判別する判別手段とを備え、幼児の操作による機器の動作を禁止することで、確実な操作入力が可能となり、安全性の高い操作入力装置となる。
【0013】
また、前記の波長選択手段が切り換える波長を、機器のキースイッチ操作面を有する透光性のプレートの光透過特性である0.5μm〜3.5μmの間で、且つ、人指の分光的特性に基づき設定することで、人指のみを選択的に検出することが可能となり、信頼性の高い操作入力装置とすることができる。
【0014】
また、前記プレートの下面に照度センサを設け、太陽光や、強い照明下では第一の閾値保持手段が保持する第一の閾値と、第二の閾値保持手段が保持する第二の閾値を、通常より大きな所定の値に補正することで、より信頼性の高い操作入力装置となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の操作入力装置は、複数の異なる波長を照射し、指などの反射物体による反射光
を受光して、その各々の受光量と第一の閾値保持手段の出力する第一の閾値とからキースイッチ操作の有無を判別し、且つ、前記各々の受光量と第二の閾値保持手段の出力する第二の閾値とから大人と幼児の指を判別して、幼児による機器の操作禁止できるため、確実な操作入力が可能で信頼性の高い操作入力装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)本発明の実施の形態1における操作入力装置の操作パネル平面図(b)本発明の実施の形態1における操作入力装置の要部断面図
【図2】本発明の実施の形態1における操作入力装置のブロック図
【図3】(a)本発明の実施の形態2における操作入力装置の要部断面図(b)本発明の実施の形態2における操作入力装置の第二の導光体の要部断面図
【図4】本発明の実施の形態2における操作入力装置のブロック図
【図5】反射物体の吸光度と波長との相関を示すグラフ
【図6】(a)本発明の実施の形態3における操作入力装置を搭載するジャー炊飯器の要部断面図(b)本発明の実施の形態3における操作入力装置を搭載するジャー炊飯器の平面図
【図7】本発明の実施の形態4における操作入力装置のブロック図
【図8】従来の防水フィルム一体型操作入力装置の要部断面図
【図9】(a)従来の加熱料理器の斜視図(b)従来の加熱料理器の要部断面図
【図10】本発明の実施の形態5における操作入力装置のブロック図
【図11】本発明の実施の形態6における操作入力装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の発明は、機器のキースイッチ操作面を有する透光性のプレートと、前記プレートの操作面の裏側に配置したピーク波長が異なる光を発光する発光素子と、前記発光素子からの光がプレート上の操作面の表側に触れられた指などの反射物体により反射された反射光を検出する受光素子と、前記発光素子の波長を切り換える波長選択手段と、前記波長選択手段により選択された前記発光素子からの受光量を波長別、及び前記キースイッチ別に記憶する記憶手段と、反射光の有無を判別するための第一の閾値を保持する第一の閾値保持手段と、指の大小を判別するための第二の閾値を保持する第二の閾値保持手段と、前記記憶手段の記憶する各々の受光量と第一の閾値保持手段の出力する第一の閾値とからキースイッチ操作の有無を判別し、且つ、各々の受光量と第二の閾値保持手段の出力する第二の閾値とから大人と幼児の指を判別する判別手段とを備え、幼児の操作による機器の動作を禁止することで、確実な操作入力が可能となり、安全性の高い操作入力装置となる。
【0018】
第2〜第4の発明は、波長選択手段が切り換える波長を、機器のキースイッチ操作面を有する透光性のプレートの光透過特性である0.5μm〜3.5μmの間で、且つ、短波長側の波長を血液中のヘモグロビンが吸収特性を示す0.65μm以下とし、長波長側の波長を水の吸収特性を示さない1.5μm未満、且つ、0.65μm以上とすることで、人指の分光的特性に基づき設定することで、人指のみを選択的に検出することが可能となり、信頼性の高い操作入力装置とすることができる。
【0019】
第5の発明は、特に第1〜4のいずれか1つの発明において、キースイッチ操作面に指の形状に楕円形の溝を設け、前記溝内に発光素子及び受光素子を配置して、操作性を向上させるとともに、外乱光による影響を低減させ、確実な操作入力が可能となる。
【0020】
第6の発明は前記プレートの下面に照度センサを設け、太陽光や、強い照明下では第一の閾値保持手段が保持する第一の閾値と、第二の閾値保持手段が保持する第二の閾値を、通常より大きな所定の値に補正することで、より信頼性の高い操作入力装置とすることができる。
【0021】
第7の発明は前記照度センサの出力に応じて、前記発光素子の発光量を所定量だけ大きくすることで、より信頼性の高い操作入力装置となる。
【0022】
第8の発明は前記照度センサの出力に応じて、前記受光素子の受光量から所定量だけ減じることで、より信頼性の高い操作入力装置となる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
図1(a)は本発明の第1の実施の形態における操作入力装置を搭載する家庭用電化機器の一例として誘導加熱調理器の平面図、図1(b)は同操作入力装置の要部断面図、図2は同操作入力装置のブロック図である。
【0025】
図1、図2において、被加熱物を載置する透光性の耐熱強化ガラスなどからなるプレート50上には、キースイッチ操作面51と、加熱電力量の表示52を有している。キースイッチ操作面51には調理器の制御内容を示す絵柄(アイコン)がキースイッチ51a〜51cとして印刷されており、使用者はこのキースイッチ51a〜51cの中の一つのアイコンを指53で触れることで調理器を操作するものである。操作回路基板54上には、キースイッチ51a〜51c毎に設けた、単一の素子で異なる複数の波長の光を照射する発光素子55a〜55cと、波長選択手段56と、指53で反射されたこの複数の波長の反射光を受光する単一の受光素子57と、この受光素子57の検出した光電流を電圧に変換するI−V変換手段58と、このI−V変換手段58の出力する各キースイッチ及び各波長毎の受光量に比例した電圧(E1a、E2a、E1b、E2b、E1c、E2c)を記憶する記憶手段59と、この記憶手段59の出力より、前記複数の波長の反射光の受光量比(E1a/E2a、E1b/E2b、E1c/E2c)と、第一の閾値保持手段61が保持する第一の閾値E3とから演算してキースイッチ51a〜51cの操作の有無を判別し、第二の閾値保持手段62が保持する第二の閾値E4と、前記の複数の波長の反射光の受光量比から演算して、大人と幼児の指を判別する判別手段60が実装してある。
【0026】
また、発光素子55a〜55cとプレート50の間、及び、プレート50と単一の受光素子57の間にV字型の導光体61が設けてある。プレート50と、照射光と指5による反射光を効率よく伝播させるため、導光体61との間は空気層を挟まないように、光学接着剤62で満たしており、発光素子55a〜55cと受光素子57は操作回路基板54に所定の角度で対向するように固定している。
【0027】
なお、導光体63はプレート50の屈折率(≒1.541)に近い値の材料で作られている。例えば、屈折率制御(低屈折率下)を行ったポリカーボネートや、エポキシ系樹脂に硫黄やフッ素を含有させ、その含有量を制御(±0.001の精度で制御可能)した樹脂、あるいは、非晶質の透明プラスチックであるポリオレフィン樹脂と複数元素との複合化した樹脂などを用いている。これにより、発光素子55a〜55cから照射された光はプレート50下面で反射することなく、ほぼ全てが指53へ照射される。さらに、導光体63の受光素子側は、指53がキースイッチ51a〜51cのどの位置に触れられても、反射光の受光素子57までの光路がほぼ等しくなるように計算した楕円放物面(x2/a2+y2/b2=2z)または双曲放物面(x2/a2−y2/b2=2z)を用いている。導光体61の屈折率をプレート50の屈折率に合わせてあるため、指53で反射された反射光は、導光体58内部を全反射あるいは直進しながら、受光素子57に大半が導かれることになり、S/N比を高く保つことが可能となる。
【0028】
以上のように構成された誘導加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0029】
使用者は誘導加熱が可能である鍋に調理物を入れ、リング絵柄で示されたプレート50上の加熱領域65に置く。電源コンセントを商用電源に挿入すると、図示していない主制御回路66からキー入力許可信号及び駆動用電圧が供給され、波長選択手段56によって選ばれた発光素子55a〜55cが順次異なるピーク波長の光を照射してキー操作可能状態となる。キースイッチ51a〜51c上に、物体が存在しない場合には、前記照射光は導光体63の端面から入射し、直進あるいは全反射を繰り返しながら導光体63内部を伝搬した後、プレート50を透過して上空へ放出される。この時、受光素子57には反射光が受光されないので、記憶手段59には波長選択手段56からのアドレス信号で指示された記憶番地に、反射光量E1a≒E2a≒E1b≒E2b≒E1c≒E2c≒0が6個記憶され、判別手段60は各々のキースイッチに相当する光量比を算出した結果、全てのキー操作がないと判別し、キー入力信号を出力しないので、加熱動作等は行われない。
【0030】
次に、指53などの反射物体がキースイッチ51b上に存在する場合は、前記照射光は指53などで拡散反射し、導光体63の受光側放物面形状の内部を直進あるいは全反射を繰り返しながら伝搬した後、受光素子57で受光され、光電効果により光電流が流れ、I−V変換手段58より反射光量に比例した電圧E1b、E2bが出力され、記憶手段59に記憶される。判別手段60はこの記憶された反射光量の比E1b/E2bと、第一の閾値E3を比較演算して、キースイッチ51bが操作されたと判別し、キー入力信号bを出力する。主制御回路66はこのキー入力信号bを入力して、電磁誘導による加熱動作を開始する。同様に、キースイッチ51a上に指53が反射物体がある時は、加熱電力を下げ、キースイッチ51c上に指53が反射物体がある時は、加熱電力を上げる動作を行う。そして、調理が終わり、使用者が再びキースイッチ51b上に指53で触れると、加熱動作を停止する。
【0031】
他方、幼児が誤って機器の操作を行おうとした場合は、受光素子57で受光され、I−V変換手段58で変換され、記憶手段59に記憶される電圧E1b’、E2b’、E3b’は指53の大きさが、大人に比べて小さく、第二の閾値E4より小さいため、判別手段60はキーロック信号を出力し、主制御回路66はキースイッチの操作がないとして扱し、大人が操作した加熱入/切、及び加熱量の変更を行わない。
【0032】
以上のように、本実施の形態では発光素子と操作面であるプレート50間に設けた導光体61の屈折率をプレート50と等しくしたことにより、指52等の反射物体で反射された反射光は導光体61の受光側放物面形状により受光素子57に導かれるため、受光量が安定し、プレート50を介しても確実な操作入力が可能となる。また、発光素子55a〜55cから波長の異なる2種類の光を照射し、その反射光の受光量の比を演算するため、外乱光や、発光素子の経時変化等に対して、影響が少なくなり、信頼性の高い操作入力装置とすることができ、さらに、第二の閾値保持手段が保持するとから大人と子供の指を判別する判別手段とを備え、子供の操作による機器の動作を禁止できるため、安全性を高めることが可能となる。
【0033】
また、本実施の形態の光学式操作入力手段は、光学式のため作動力不要(指を近づけるだけで、触れることなく、スイッチ操作することも可能)で、デザイン面でも差別化ができ、動作寿命が半永久的で、防塵・防水構造が可能という特徴を持ち、複数の波長による反射光の受光量の比を演算するため、操作部の汚れに対しても強く、信頼性の高いものである。
【0034】
なお、発光素子は2色(RG、RB、BG)発光LEDや、3色(フルカラー)LEDで、複数の異なる波長で順次発光させても良い。
【0035】
また、ゲーム機器等のような高速なキースイッチ応答は要求されず、むしろ確実な操作入力が要求されるため、キースイッチ個数×複数の波長×パルス幅=総入力時間と、従来の入力装置よりも入力時間が長くなっても問題は生じない。
【0036】
また、波長選択手段、記憶手段、判別手段は、ROM、RAM、I/O、A/Dをワンチップに集積した小ピン数で安価なマイクロコンピュータで実現しても良い。
【0037】
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態における操作入力装置の要部断面図、図4は、同操作入力装置のブロック図、図5は、人指に含まれる酸化ヘモグロビンや、水分の吸収特性を示したグラフ図である。なお、上記第1の実施の形態における加熱調理器の操作入力装置と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0038】
図3、図4において、操作回路基板54上には、キースイッチ51a〜51c毎に設けた第一の波長の光を発光する発光素子65a〜65cと、第二波長の光を発光する発光素子66a〜66cと、波長選択手段67と、指53で反射されたこの複数の波長の反射光を受光する単一の受光素子68 と、この受光素子68の検出した光電流を電圧に変換するI−V変換手段58と、このI−V変換手段58の出力する各キースイッチ及び各波長毎の受光量に比例した電圧(E1a、E2a、E1b、E2b、E1c、E2c)を記憶する記憶手段59と、この記憶手段59の出力より、前記複数の波長の反射光の受光量比(E1a/E2a、E1b/E2b、E1c/E2c)を演算し、第一の閾値保持手段61の出力する第一の閾値E3と比較して、キースイッチ操作の有無を判別し、且つ、第二の閾値保持手段62の出力する第二の閾値E4と、反射光の受光量比とを比較して、大人と子供の指を判別する判別手段60が実装してある。
【0039】
また、第一の発光素子65a〜65c及び第二の発光素子66a〜66cと、プレート50との間に透光性の第一の導光体69aが、プレート50と受光素子68間に透光性の第二の導光体69bが設けてある。第一の導光体69aと、第二の導光体69bは一体成形により形成し、構成材料(屈折率=1.541)と空気(屈折率=1)との屈折率差による全反射などを利用して、光を効率よく操作面および受光素子25へ導く板状のもので、例えば、自動車のスピードメータでは、針やスケールの部分や、液晶ディスプレイではバックライト部に用いられている。なお、本実施の形態では、第一の導光体69a(発光素子側)のプレート50と接する部分70の屈折率を、光学接着剤や塗料の塗布、樹脂シートの張り付け、屈折率の高い別の材料を線状に埋め込み加工するなどで小さくし、プレート50下面からの反射光が生じないようにしてある。すなわち、各々の透過率の大小関係が、プレート50の透過率<プレート50と接する部分70の透過率<第1の導光体69aの透過率となるように設計してある。これにより、発光素子65a〜65c、及び第二の発光素子66a〜66cから照射された光は第1の導光体69aからプレート50へ反射光を殆ど生じることなく導かれる。他方、指などの反射物体53で反射された光は、全反射条件が成立するため第一の導光体69a側には戻らず、その大部分は第二の導光体69bにより受光素子68に導かれることになり、S/N比(反射光と外乱光の比、キー操作ありと操作なしの比)を高く保つことが可能となる。
【0040】
次に、指53などの反射物体がキースイッチ51a〜51c上に存在する場合は、前記照射光は指53などで拡散反射し、第二の導光体69bの受光側放物面形状の内部を直進あるいは全反射を繰り返しながら伝搬した後、受光素子57で受光され、光電効果により光電流が流れ、I−V変換手段58より反射光量に比例した電圧E1a〜E1c(第一の発光素子による反射光量)、E2a〜E2c(第二の発光素子による反射光量)が出力され、記憶手段59に記憶される。判別手段60はこの記憶された反射光量の比E1a/E
2a、E1b/E2b、E1c/E2cと、第一の閾値E3を比較して、キースイッチ51a〜51cが操作されたと判別し、キー入力信号a〜cを出力する。
【0041】
他方、幼児が誤って機器の操作を行おうとした場合は、受光素子57で受光され、I−V変換手段58で変換され、記憶手段59に記憶される電圧E1b’、E2b’、E3b’は指53の大きさが、大人に比べて小さく、第二の閾値E4より小さいため、判別手段60はキーロック信号を出力し、主制御回路66はキースイッチの操作がないとして扱い、大人が操作した加熱入/切、及び加熱量の変更を行わない。
【0042】
また、図5のグラフ図に示すように、酸化ヘモグロビンは650nm以下の可視光領域で吸収される度合いが強く、水分は1100nmを越える領域で吸収される度合いが強い。ヒトの組織の約7割は水分で占められており、生体において可視域〜赤外域の光が吸収されるのが主に水分と酸化ヘモグロビンである事を考えれば650nm超〜1200nm未満の波長域の光(近赤外光)が人体の非検出に適している。一方、誘導加熱調理器の天板(トッププレート)に用いられる強化ガラスは耐熱性を有しながら強度を高めるため特殊組成のガラスを再加熱してガラス中に微細結晶を析出させた結晶化ガラスが用いられているおり、0.5μm〜2.6μmの波長の光は80%以上透過し、3〜4μmの波長の光は30%程度透過し、4μmよりも長い波長、及び、0.5μmよりも短い波長の光はほとんど通さないので、第一の発光素子として、波長563nm(純緑色)か、波長591nm(黄色)のLEDを、第二の発光素子として波長1100nm程度のレーザーダイオードを用いることができる。受光素子としてはPIN−PD等を用いることができる。
【0043】
また、キー操作の有無を検出する対象物の反射特性は下記のように整理される。
1.人の指(血液中の酸化ヘモグロビン、水分)
酸化ヘモグロビンの吸収スペクトル(650nm以下)と、水分の吸収スペクトル(1200nm以上)の両方を示す
2.プレート50のキースイッチ操作面上に零れた水や、調理液体
水の吸収スペクトル(1200nm以上)を示す
3.プレートの50キースイッチ操作面上にずらして置かれた鍋(金属、陶器)
吸収スペクトルが存在しない
従って、第一の発光素子を照射した時に反射光が少なく、第二の発光素子を照射した時に、反射光があるのは人指53と判定できる。
【0044】
以上のように、本実施の形態では0.5μm〜3.5μmの波長の光のうち、短波長側(図5のλ1)の光を発光する第1の発光素子に650nm以下波長の素子を、長波長側(図5のλ2)の光を発光する第2の発光素子に1500nm未満(且つ、650nm以上)の素子を用い、順次点灯させ、前記単一の受光素子による受光量の比を演算することにより、人指にのみ感応する信頼性の高い操作入力装置とすることができる。
【0045】
なお、操作方法が指先なので加熱調理機内に内蔵した送風ファンが生じさせる吸気により十分に冷却された操作面の温度範囲は0〜40℃に保たれており、この操作面部分のプレート50自身が放射する赤外線エネルギーはステファン・ボルツマンの法則により波長3.5μm〜65μmに集約される。また、調理時の調理容器の温度は約30℃〜350℃であり、この温度の物体が放射する赤外線のピーク波長はプランクの放射法則により5μm〜10μmであり、全エネルギー放射はステファン・ボルツマンの法則により1.8μm〜65μmに集約される。この内、プレート50を透過して1.8μm〜4μmの赤外光が調理器本体の外郭内に侵入するが、受光素子58に直接入らないように遮光材(図示せず)を設けてある。
【0046】
なお、誘導加熱は商用電源からダイオードブリッジを経て、第1の平滑コンデンサへ並
列接続され、この直流電圧をインバータ回路で高周波電流に変換した後、被加熱物32と対向して所定のギャップをおいて配置されている加熱コイルに供給することにより、高周波磁界を発生させ、調理容器を誘導加熱している。このため、加熱コイルに供給される高周波電流や、DC電源のスイッチングノイズなどの電磁誘導ノイズが多いため、光電流の検出にはノイズ除去処理(遅延)時間を設け、誤動作しないようにするのが一般的であるが、加熱調理器ではゲーム機器等のような高速なキースイッチ応答は要求されず、むしろ確実な操作入力が要求されるため、キースイッチ個数×複数の波長×パルス幅=総入力時間と、従来の入力装置よりも入力時間が長くなっても問題は生じない。
【0047】
(実施の形態3)
図6(a)は本発明の第3の実施の形態における操作入力装置を搭載するジャー炊飯器の要部断面図、図6(b)は同炊飯器の平面図である(省略、以下、実施の形態1の記載方法と同様とする)。
【0048】
図6において、80はボディ、81は米と水を入れる鍋、82はこの鍋の温度を検知する温度センサ、84は操作基板、85は第3の実施の形態における光学式の操作スイッチ、86は誘導加熱する加熱制御回路基板、87は防水フィルム式のプッシュスイッチである。
【0049】
光学式の操作スイッチ85a、85bの操作面には、指の形状に楕円形の溝を設け、この溝内に発光素子及び受光素子を配置することにより、操作感を向上させるとともに、外乱光による影響を低減させ、確実な操作入力を可能としている。
【0050】
なお、ジャー炊飯器における主要な操作は、「炊飯開始/停止」と、「保温/切」であるので、この二つを光学式操作スイッチに割り当て、残りの時刻設定キーや、コース選択キーは従来の防水フィルム式のプッシュスイッチとして、コストを抑えることにより、ジャー炊飯器のような低価格の商品でも本発明の操作入力装置を搭載することが可能となる。
【0051】
(実施の形態4)
図7は、本発明の第4の実施の形態における操作入力装置のブロック図である。なお、上記第1の実施の形態における加熱調理器の操作入力装置と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図7において、前記プレート50の下面に照度センサ90を設け、その出力を判別手段60に入力している。判別手段60は、照度センサ90の出力が所定値より大きい場合は、太陽光や、強い照明下であると検知し、第一の閾値保持手段61が保持する第一の閾値E3と、第二の閾値保持手段62が保持する第二の閾値E4に、所定の補正値を加算してから、キースイッチ51a〜51cの操作の有無の判別、及び、大人と幼児の指を判別を行うことで、より信頼性の高い操作入力装置とすることができる。
【0053】
(実施の形態5)
図10は、本発明の第5の実施の形態における操作入力装置のブロック図である。なお、上記第1の実施の形態における加熱調理器の操作入力装置と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】
図10において、主制御回路66(図示せず)の駆動用電圧と別に、前記発光素子55a〜55cに所定の電流を供給する定電流電源91を設け、その出力電流値は前記照度センサ90の出力に応じて可変させる。
【0055】
その動作、作用としては、照度センサ90の出力が周囲光判定値より大きい時は、定電流電源91から供給する電流値を大きくすることで、太陽光や、強い照明下であってもキースイッチ51a〜51cの操作の有無の判別するに足る出力が受光素子57から出力され、より信頼性の高い操作入力装置とすることができる。
【0056】
(実施の形態6)
図11は、本発明の第6の実施の形態における操作入力装置のブロック図である。なお、上記第1の実施の形態における加熱調理器の操作入力装置と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図11において、減算手段92を設け、前記照度センサの出力に応じて、前記I−V変換手段58の出力(受光素子57の受光量に等しい)から所定量だけ減じた値を記憶手段59へ出力している。
【0058】
その動作、作用としては、前記照度センサ90の出力が周囲光判定値以下の時はゼロを減じる、他方、前記照度センサ90の出力が周囲光判定値より大きい時は、その出力に所定の係数を掛けた値を前記I−V変換手段58の出力から減じる。こうすることで、太陽光や、強い照明下であってもキースイッチ51a〜51cの操作の有無の判別することが可能となり、より信頼性の高い操作入力装置とすることができる。
【0059】
なお、発光素子55a〜55cから光を照射していない時のI−V変換手段58の出力を第二の記憶手段で記憶し、その値を減じるように構成しても同じ効果が得られることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明にかかる操作入力装置は、機器をプレート等の透光性の部材越しに操作できるため、防塵・防水構造が容易に実現できる。また、光学式で機械的な可動部分を持たないため、押圧操作といった作動力不要で、動作寿命が半永久的とすることが可能となるので、家庭用電化機器のみならず様々な産業用機器にも搭載することができる。
【符号の説明】
【0061】
50 トッププレート
51 キースイッチ
55a〜55c 発光素子
57 受光素子
58 I−V変換手段
59 記憶手段
60 判別手段
61 第一の閾値保持手段
62 第二の閾値保持手段
63 導光体
64 光学接着剤
65a〜65c 第一の発光素子
66a〜66c 第二の発光素子
68 受光素子
69a、69b 導光体
80 ボディ
81 鍋
82 温度センサ
83 フタ
84 操作回路基板
85 光学式操作スイッチ
86 加熱制御回路基板
87 防水式プッシュスイッチ
90 照度センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用電化機器の光学式の操作入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器、洗濯機、クッキングヒータなどの家庭用電化機器には、これらの機器を操作するための操作スイッチが集中して取り付けられた、防滴機能を有するパネル型の操作入力装置が備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、上記特許文献1に記載された従来の調理器のスイッチ操作装置の側断面図である。図8において、調理器本体の外殻1に設けられた操作パネル装着部6に、あらかじめ防水フィルム9を表面に一体成型した操作パネル5を接着し、内部の制御回路基板4上のプッシュスイッチ2を、スイッチ操作ボタン14を介して操作ボタン部10より操作することにより、内面への水密性が確保できるとともに、表面は滑らかな質感があり、調理時の熱にも充分耐えうる構成となっている。この防水フィルム9は弾力性を有する電気絶縁材、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂性のフィルムをたわみをもたせて成形すれば、常時は中央部が弾発しており、押圧すると下方に反転し、押圧を解くと反転して元に復帰するため、プッシュスイッチ2のバネ力のみによるものより、明確なスナップ機能を有する。
【0004】
また、機械的作動部分を必要せず、操作感が軽快で、機密性をより高くした静電容量式や光学式の操作入力装置も知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0005】
また、医療用機器として、複数の波長の光または赤外線を用いて脈波に対応する電気信号を導出する脈波検出機器や、血中飽和酸素濃度の検出機器が知られている。可視光線と赤外線とを発光し、受光部でそれぞれ別個に受光すると、波長による受光強度の差に基づいて、ヘモグロビンの酸化状態を判定することができる。ヘモグロビンの酸化状態は、血液中の飽和酸素濃度に対応するので、予め標準的な酸素濃度に対応して検量線などを作成しておけば、飽和酸素濃度として算出することができるものである(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
図9は、上記特許文献2に記載された従来の加熱調理器の本体斜視図(a)と、操作部の断面図(b)である。図9において、誘導加熱式の調理部24,25を、プレート22上において使用者が調理を行う手前側左右に配置し、ヒータ加熱式の調理部26を中央奥側に配置する。これらの加熱調理部24,25及び26に対応する操作・表示部27,28及び29を加熱調理部24,25及び26の手前側に設けて、その接触部27a,28a及び29aをプレート22の表面側から使用者が接触することにより、プレート22の下方に配置された静電容量式のスイッチ43が操作可能となるように構成する。操作スイッチ43は、操作回路基板42上に銅泊で形成された平面状電極43a(図示せず)と、この平面状電極43aの周囲を取り囲むシールド用電極43b(図示せず。操作スイッチ43の接触範囲を確定するために設けられ、アースされている)とから構成されている。操作手段が存在する位置に対応する強化ガラス製のプレートの表面に直接、スイッチ機能を配することができると共に、操作子、操作釦などの突起物が無い平面状にすることができ、清掃などがより容易となるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−209849号公報
【特許文献2】特開平10−214677号公報
【特許文献3】特開2000−100287号公報
【特許文献4】特開2001−46345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の構成では、防水フィルムを一体成型した操作パネルや、抵抗被膜方式のタッチパネルでは、フィルム材料の耐熱温度の制限から、調理中に高温(炒め物時は最高350℃)となった鍋を直置きすることはできない。また、静電容量式のスイッチでは、プレート上に調味液や水がこぼされた場合にも、操作入力があったとして受け付けてしまうという課題を有していた。
【0009】
また、光学式のスイッチでは、人指以外の反射物体、例えば、布巾や紙といったものが、キースイッチ操作面に誤って置かれた場合にも、操作入力があったとして受け付けてしまうという課題を有していた。
【0010】
さらに、前記従来の健康状態監視装置をそのまま加熱調理器に応用した構成では、人指からの反射光が操作入力装置の接触部である保護フィルムやプレートを透過する間に減衰するため、受光素子での検出能力が低下し、確実な操作が行えないという課題を有していた。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、人指のみを選択的に検出し、それによる反射光を効率よく受光素子に導き、受光量を増加し、確実な操作入力が可能となる信頼性の高い操作入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、機器のキースイッチ操作面を有する透光性のプレートと、前記プレートの操作面の裏側に配置したピーク波長が異なる光を発光する発光素子と、前記発光素子からの光がプレート上の操作面の表側に触れられた指などの反射物体により反射された反射光を検出する受光素子と、前記発光素子の波長を切り換える波長選択手段と、前記波長選択手段により選択された前記発光素子からの受光量を波長別、及び前記キースイッチ別に記憶する記憶手段と、反射光の有無を判別するための第一の閾値を保持する第一の閾値保持手段と、指の大小を判別するための第二の閾値を保持する第二の閾値保持手段と、前記記憶手段の記憶する各々の受光量と第一の閾値保持手段の出力する第一の閾値とからキースイッチ操作の有無を判別し、且つ、各々の受光量と第二の閾値保持手段の出力する第二の閾値とから大人と幼児の指を判別する判別手段とを備え、幼児の操作による機器の動作を禁止することで、確実な操作入力が可能となり、安全性の高い操作入力装置となる。
【0013】
また、前記の波長選択手段が切り換える波長を、機器のキースイッチ操作面を有する透光性のプレートの光透過特性である0.5μm〜3.5μmの間で、且つ、人指の分光的特性に基づき設定することで、人指のみを選択的に検出することが可能となり、信頼性の高い操作入力装置とすることができる。
【0014】
また、前記プレートの下面に照度センサを設け、太陽光や、強い照明下では第一の閾値保持手段が保持する第一の閾値と、第二の閾値保持手段が保持する第二の閾値を、通常より大きな所定の値に補正することで、より信頼性の高い操作入力装置となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の操作入力装置は、複数の異なる波長を照射し、指などの反射物体による反射光
を受光して、その各々の受光量と第一の閾値保持手段の出力する第一の閾値とからキースイッチ操作の有無を判別し、且つ、前記各々の受光量と第二の閾値保持手段の出力する第二の閾値とから大人と幼児の指を判別して、幼児による機器の操作禁止できるため、確実な操作入力が可能で信頼性の高い操作入力装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)本発明の実施の形態1における操作入力装置の操作パネル平面図(b)本発明の実施の形態1における操作入力装置の要部断面図
【図2】本発明の実施の形態1における操作入力装置のブロック図
【図3】(a)本発明の実施の形態2における操作入力装置の要部断面図(b)本発明の実施の形態2における操作入力装置の第二の導光体の要部断面図
【図4】本発明の実施の形態2における操作入力装置のブロック図
【図5】反射物体の吸光度と波長との相関を示すグラフ
【図6】(a)本発明の実施の形態3における操作入力装置を搭載するジャー炊飯器の要部断面図(b)本発明の実施の形態3における操作入力装置を搭載するジャー炊飯器の平面図
【図7】本発明の実施の形態4における操作入力装置のブロック図
【図8】従来の防水フィルム一体型操作入力装置の要部断面図
【図9】(a)従来の加熱料理器の斜視図(b)従来の加熱料理器の要部断面図
【図10】本発明の実施の形態5における操作入力装置のブロック図
【図11】本発明の実施の形態6における操作入力装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の発明は、機器のキースイッチ操作面を有する透光性のプレートと、前記プレートの操作面の裏側に配置したピーク波長が異なる光を発光する発光素子と、前記発光素子からの光がプレート上の操作面の表側に触れられた指などの反射物体により反射された反射光を検出する受光素子と、前記発光素子の波長を切り換える波長選択手段と、前記波長選択手段により選択された前記発光素子からの受光量を波長別、及び前記キースイッチ別に記憶する記憶手段と、反射光の有無を判別するための第一の閾値を保持する第一の閾値保持手段と、指の大小を判別するための第二の閾値を保持する第二の閾値保持手段と、前記記憶手段の記憶する各々の受光量と第一の閾値保持手段の出力する第一の閾値とからキースイッチ操作の有無を判別し、且つ、各々の受光量と第二の閾値保持手段の出力する第二の閾値とから大人と幼児の指を判別する判別手段とを備え、幼児の操作による機器の動作を禁止することで、確実な操作入力が可能となり、安全性の高い操作入力装置となる。
【0018】
第2〜第4の発明は、波長選択手段が切り換える波長を、機器のキースイッチ操作面を有する透光性のプレートの光透過特性である0.5μm〜3.5μmの間で、且つ、短波長側の波長を血液中のヘモグロビンが吸収特性を示す0.65μm以下とし、長波長側の波長を水の吸収特性を示さない1.5μm未満、且つ、0.65μm以上とすることで、人指の分光的特性に基づき設定することで、人指のみを選択的に検出することが可能となり、信頼性の高い操作入力装置とすることができる。
【0019】
第5の発明は、特に第1〜4のいずれか1つの発明において、キースイッチ操作面に指の形状に楕円形の溝を設け、前記溝内に発光素子及び受光素子を配置して、操作性を向上させるとともに、外乱光による影響を低減させ、確実な操作入力が可能となる。
【0020】
第6の発明は前記プレートの下面に照度センサを設け、太陽光や、強い照明下では第一の閾値保持手段が保持する第一の閾値と、第二の閾値保持手段が保持する第二の閾値を、通常より大きな所定の値に補正することで、より信頼性の高い操作入力装置とすることができる。
【0021】
第7の発明は前記照度センサの出力に応じて、前記発光素子の発光量を所定量だけ大きくすることで、より信頼性の高い操作入力装置となる。
【0022】
第8の発明は前記照度センサの出力に応じて、前記受光素子の受光量から所定量だけ減じることで、より信頼性の高い操作入力装置となる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
図1(a)は本発明の第1の実施の形態における操作入力装置を搭載する家庭用電化機器の一例として誘導加熱調理器の平面図、図1(b)は同操作入力装置の要部断面図、図2は同操作入力装置のブロック図である。
【0025】
図1、図2において、被加熱物を載置する透光性の耐熱強化ガラスなどからなるプレート50上には、キースイッチ操作面51と、加熱電力量の表示52を有している。キースイッチ操作面51には調理器の制御内容を示す絵柄(アイコン)がキースイッチ51a〜51cとして印刷されており、使用者はこのキースイッチ51a〜51cの中の一つのアイコンを指53で触れることで調理器を操作するものである。操作回路基板54上には、キースイッチ51a〜51c毎に設けた、単一の素子で異なる複数の波長の光を照射する発光素子55a〜55cと、波長選択手段56と、指53で反射されたこの複数の波長の反射光を受光する単一の受光素子57と、この受光素子57の検出した光電流を電圧に変換するI−V変換手段58と、このI−V変換手段58の出力する各キースイッチ及び各波長毎の受光量に比例した電圧(E1a、E2a、E1b、E2b、E1c、E2c)を記憶する記憶手段59と、この記憶手段59の出力より、前記複数の波長の反射光の受光量比(E1a/E2a、E1b/E2b、E1c/E2c)と、第一の閾値保持手段61が保持する第一の閾値E3とから演算してキースイッチ51a〜51cの操作の有無を判別し、第二の閾値保持手段62が保持する第二の閾値E4と、前記の複数の波長の反射光の受光量比から演算して、大人と幼児の指を判別する判別手段60が実装してある。
【0026】
また、発光素子55a〜55cとプレート50の間、及び、プレート50と単一の受光素子57の間にV字型の導光体61が設けてある。プレート50と、照射光と指5による反射光を効率よく伝播させるため、導光体61との間は空気層を挟まないように、光学接着剤62で満たしており、発光素子55a〜55cと受光素子57は操作回路基板54に所定の角度で対向するように固定している。
【0027】
なお、導光体63はプレート50の屈折率(≒1.541)に近い値の材料で作られている。例えば、屈折率制御(低屈折率下)を行ったポリカーボネートや、エポキシ系樹脂に硫黄やフッ素を含有させ、その含有量を制御(±0.001の精度で制御可能)した樹脂、あるいは、非晶質の透明プラスチックであるポリオレフィン樹脂と複数元素との複合化した樹脂などを用いている。これにより、発光素子55a〜55cから照射された光はプレート50下面で反射することなく、ほぼ全てが指53へ照射される。さらに、導光体63の受光素子側は、指53がキースイッチ51a〜51cのどの位置に触れられても、反射光の受光素子57までの光路がほぼ等しくなるように計算した楕円放物面(x2/a2+y2/b2=2z)または双曲放物面(x2/a2−y2/b2=2z)を用いている。導光体61の屈折率をプレート50の屈折率に合わせてあるため、指53で反射された反射光は、導光体58内部を全反射あるいは直進しながら、受光素子57に大半が導かれることになり、S/N比を高く保つことが可能となる。
【0028】
以上のように構成された誘導加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0029】
使用者は誘導加熱が可能である鍋に調理物を入れ、リング絵柄で示されたプレート50上の加熱領域65に置く。電源コンセントを商用電源に挿入すると、図示していない主制御回路66からキー入力許可信号及び駆動用電圧が供給され、波長選択手段56によって選ばれた発光素子55a〜55cが順次異なるピーク波長の光を照射してキー操作可能状態となる。キースイッチ51a〜51c上に、物体が存在しない場合には、前記照射光は導光体63の端面から入射し、直進あるいは全反射を繰り返しながら導光体63内部を伝搬した後、プレート50を透過して上空へ放出される。この時、受光素子57には反射光が受光されないので、記憶手段59には波長選択手段56からのアドレス信号で指示された記憶番地に、反射光量E1a≒E2a≒E1b≒E2b≒E1c≒E2c≒0が6個記憶され、判別手段60は各々のキースイッチに相当する光量比を算出した結果、全てのキー操作がないと判別し、キー入力信号を出力しないので、加熱動作等は行われない。
【0030】
次に、指53などの反射物体がキースイッチ51b上に存在する場合は、前記照射光は指53などで拡散反射し、導光体63の受光側放物面形状の内部を直進あるいは全反射を繰り返しながら伝搬した後、受光素子57で受光され、光電効果により光電流が流れ、I−V変換手段58より反射光量に比例した電圧E1b、E2bが出力され、記憶手段59に記憶される。判別手段60はこの記憶された反射光量の比E1b/E2bと、第一の閾値E3を比較演算して、キースイッチ51bが操作されたと判別し、キー入力信号bを出力する。主制御回路66はこのキー入力信号bを入力して、電磁誘導による加熱動作を開始する。同様に、キースイッチ51a上に指53が反射物体がある時は、加熱電力を下げ、キースイッチ51c上に指53が反射物体がある時は、加熱電力を上げる動作を行う。そして、調理が終わり、使用者が再びキースイッチ51b上に指53で触れると、加熱動作を停止する。
【0031】
他方、幼児が誤って機器の操作を行おうとした場合は、受光素子57で受光され、I−V変換手段58で変換され、記憶手段59に記憶される電圧E1b’、E2b’、E3b’は指53の大きさが、大人に比べて小さく、第二の閾値E4より小さいため、判別手段60はキーロック信号を出力し、主制御回路66はキースイッチの操作がないとして扱し、大人が操作した加熱入/切、及び加熱量の変更を行わない。
【0032】
以上のように、本実施の形態では発光素子と操作面であるプレート50間に設けた導光体61の屈折率をプレート50と等しくしたことにより、指52等の反射物体で反射された反射光は導光体61の受光側放物面形状により受光素子57に導かれるため、受光量が安定し、プレート50を介しても確実な操作入力が可能となる。また、発光素子55a〜55cから波長の異なる2種類の光を照射し、その反射光の受光量の比を演算するため、外乱光や、発光素子の経時変化等に対して、影響が少なくなり、信頼性の高い操作入力装置とすることができ、さらに、第二の閾値保持手段が保持するとから大人と子供の指を判別する判別手段とを備え、子供の操作による機器の動作を禁止できるため、安全性を高めることが可能となる。
【0033】
また、本実施の形態の光学式操作入力手段は、光学式のため作動力不要(指を近づけるだけで、触れることなく、スイッチ操作することも可能)で、デザイン面でも差別化ができ、動作寿命が半永久的で、防塵・防水構造が可能という特徴を持ち、複数の波長による反射光の受光量の比を演算するため、操作部の汚れに対しても強く、信頼性の高いものである。
【0034】
なお、発光素子は2色(RG、RB、BG)発光LEDや、3色(フルカラー)LEDで、複数の異なる波長で順次発光させても良い。
【0035】
また、ゲーム機器等のような高速なキースイッチ応答は要求されず、むしろ確実な操作入力が要求されるため、キースイッチ個数×複数の波長×パルス幅=総入力時間と、従来の入力装置よりも入力時間が長くなっても問題は生じない。
【0036】
また、波長選択手段、記憶手段、判別手段は、ROM、RAM、I/O、A/Dをワンチップに集積した小ピン数で安価なマイクロコンピュータで実現しても良い。
【0037】
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態における操作入力装置の要部断面図、図4は、同操作入力装置のブロック図、図5は、人指に含まれる酸化ヘモグロビンや、水分の吸収特性を示したグラフ図である。なお、上記第1の実施の形態における加熱調理器の操作入力装置と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0038】
図3、図4において、操作回路基板54上には、キースイッチ51a〜51c毎に設けた第一の波長の光を発光する発光素子65a〜65cと、第二波長の光を発光する発光素子66a〜66cと、波長選択手段67と、指53で反射されたこの複数の波長の反射光を受光する単一の受光素子68 と、この受光素子68の検出した光電流を電圧に変換するI−V変換手段58と、このI−V変換手段58の出力する各キースイッチ及び各波長毎の受光量に比例した電圧(E1a、E2a、E1b、E2b、E1c、E2c)を記憶する記憶手段59と、この記憶手段59の出力より、前記複数の波長の反射光の受光量比(E1a/E2a、E1b/E2b、E1c/E2c)を演算し、第一の閾値保持手段61の出力する第一の閾値E3と比較して、キースイッチ操作の有無を判別し、且つ、第二の閾値保持手段62の出力する第二の閾値E4と、反射光の受光量比とを比較して、大人と子供の指を判別する判別手段60が実装してある。
【0039】
また、第一の発光素子65a〜65c及び第二の発光素子66a〜66cと、プレート50との間に透光性の第一の導光体69aが、プレート50と受光素子68間に透光性の第二の導光体69bが設けてある。第一の導光体69aと、第二の導光体69bは一体成形により形成し、構成材料(屈折率=1.541)と空気(屈折率=1)との屈折率差による全反射などを利用して、光を効率よく操作面および受光素子25へ導く板状のもので、例えば、自動車のスピードメータでは、針やスケールの部分や、液晶ディスプレイではバックライト部に用いられている。なお、本実施の形態では、第一の導光体69a(発光素子側)のプレート50と接する部分70の屈折率を、光学接着剤や塗料の塗布、樹脂シートの張り付け、屈折率の高い別の材料を線状に埋め込み加工するなどで小さくし、プレート50下面からの反射光が生じないようにしてある。すなわち、各々の透過率の大小関係が、プレート50の透過率<プレート50と接する部分70の透過率<第1の導光体69aの透過率となるように設計してある。これにより、発光素子65a〜65c、及び第二の発光素子66a〜66cから照射された光は第1の導光体69aからプレート50へ反射光を殆ど生じることなく導かれる。他方、指などの反射物体53で反射された光は、全反射条件が成立するため第一の導光体69a側には戻らず、その大部分は第二の導光体69bにより受光素子68に導かれることになり、S/N比(反射光と外乱光の比、キー操作ありと操作なしの比)を高く保つことが可能となる。
【0040】
次に、指53などの反射物体がキースイッチ51a〜51c上に存在する場合は、前記照射光は指53などで拡散反射し、第二の導光体69bの受光側放物面形状の内部を直進あるいは全反射を繰り返しながら伝搬した後、受光素子57で受光され、光電効果により光電流が流れ、I−V変換手段58より反射光量に比例した電圧E1a〜E1c(第一の発光素子による反射光量)、E2a〜E2c(第二の発光素子による反射光量)が出力され、記憶手段59に記憶される。判別手段60はこの記憶された反射光量の比E1a/E
2a、E1b/E2b、E1c/E2cと、第一の閾値E3を比較して、キースイッチ51a〜51cが操作されたと判別し、キー入力信号a〜cを出力する。
【0041】
他方、幼児が誤って機器の操作を行おうとした場合は、受光素子57で受光され、I−V変換手段58で変換され、記憶手段59に記憶される電圧E1b’、E2b’、E3b’は指53の大きさが、大人に比べて小さく、第二の閾値E4より小さいため、判別手段60はキーロック信号を出力し、主制御回路66はキースイッチの操作がないとして扱い、大人が操作した加熱入/切、及び加熱量の変更を行わない。
【0042】
また、図5のグラフ図に示すように、酸化ヘモグロビンは650nm以下の可視光領域で吸収される度合いが強く、水分は1100nmを越える領域で吸収される度合いが強い。ヒトの組織の約7割は水分で占められており、生体において可視域〜赤外域の光が吸収されるのが主に水分と酸化ヘモグロビンである事を考えれば650nm超〜1200nm未満の波長域の光(近赤外光)が人体の非検出に適している。一方、誘導加熱調理器の天板(トッププレート)に用いられる強化ガラスは耐熱性を有しながら強度を高めるため特殊組成のガラスを再加熱してガラス中に微細結晶を析出させた結晶化ガラスが用いられているおり、0.5μm〜2.6μmの波長の光は80%以上透過し、3〜4μmの波長の光は30%程度透過し、4μmよりも長い波長、及び、0.5μmよりも短い波長の光はほとんど通さないので、第一の発光素子として、波長563nm(純緑色)か、波長591nm(黄色)のLEDを、第二の発光素子として波長1100nm程度のレーザーダイオードを用いることができる。受光素子としてはPIN−PD等を用いることができる。
【0043】
また、キー操作の有無を検出する対象物の反射特性は下記のように整理される。
1.人の指(血液中の酸化ヘモグロビン、水分)
酸化ヘモグロビンの吸収スペクトル(650nm以下)と、水分の吸収スペクトル(1200nm以上)の両方を示す
2.プレート50のキースイッチ操作面上に零れた水や、調理液体
水の吸収スペクトル(1200nm以上)を示す
3.プレートの50キースイッチ操作面上にずらして置かれた鍋(金属、陶器)
吸収スペクトルが存在しない
従って、第一の発光素子を照射した時に反射光が少なく、第二の発光素子を照射した時に、反射光があるのは人指53と判定できる。
【0044】
以上のように、本実施の形態では0.5μm〜3.5μmの波長の光のうち、短波長側(図5のλ1)の光を発光する第1の発光素子に650nm以下波長の素子を、長波長側(図5のλ2)の光を発光する第2の発光素子に1500nm未満(且つ、650nm以上)の素子を用い、順次点灯させ、前記単一の受光素子による受光量の比を演算することにより、人指にのみ感応する信頼性の高い操作入力装置とすることができる。
【0045】
なお、操作方法が指先なので加熱調理機内に内蔵した送風ファンが生じさせる吸気により十分に冷却された操作面の温度範囲は0〜40℃に保たれており、この操作面部分のプレート50自身が放射する赤外線エネルギーはステファン・ボルツマンの法則により波長3.5μm〜65μmに集約される。また、調理時の調理容器の温度は約30℃〜350℃であり、この温度の物体が放射する赤外線のピーク波長はプランクの放射法則により5μm〜10μmであり、全エネルギー放射はステファン・ボルツマンの法則により1.8μm〜65μmに集約される。この内、プレート50を透過して1.8μm〜4μmの赤外光が調理器本体の外郭内に侵入するが、受光素子58に直接入らないように遮光材(図示せず)を設けてある。
【0046】
なお、誘導加熱は商用電源からダイオードブリッジを経て、第1の平滑コンデンサへ並
列接続され、この直流電圧をインバータ回路で高周波電流に変換した後、被加熱物32と対向して所定のギャップをおいて配置されている加熱コイルに供給することにより、高周波磁界を発生させ、調理容器を誘導加熱している。このため、加熱コイルに供給される高周波電流や、DC電源のスイッチングノイズなどの電磁誘導ノイズが多いため、光電流の検出にはノイズ除去処理(遅延)時間を設け、誤動作しないようにするのが一般的であるが、加熱調理器ではゲーム機器等のような高速なキースイッチ応答は要求されず、むしろ確実な操作入力が要求されるため、キースイッチ個数×複数の波長×パルス幅=総入力時間と、従来の入力装置よりも入力時間が長くなっても問題は生じない。
【0047】
(実施の形態3)
図6(a)は本発明の第3の実施の形態における操作入力装置を搭載するジャー炊飯器の要部断面図、図6(b)は同炊飯器の平面図である(省略、以下、実施の形態1の記載方法と同様とする)。
【0048】
図6において、80はボディ、81は米と水を入れる鍋、82はこの鍋の温度を検知する温度センサ、84は操作基板、85は第3の実施の形態における光学式の操作スイッチ、86は誘導加熱する加熱制御回路基板、87は防水フィルム式のプッシュスイッチである。
【0049】
光学式の操作スイッチ85a、85bの操作面には、指の形状に楕円形の溝を設け、この溝内に発光素子及び受光素子を配置することにより、操作感を向上させるとともに、外乱光による影響を低減させ、確実な操作入力を可能としている。
【0050】
なお、ジャー炊飯器における主要な操作は、「炊飯開始/停止」と、「保温/切」であるので、この二つを光学式操作スイッチに割り当て、残りの時刻設定キーや、コース選択キーは従来の防水フィルム式のプッシュスイッチとして、コストを抑えることにより、ジャー炊飯器のような低価格の商品でも本発明の操作入力装置を搭載することが可能となる。
【0051】
(実施の形態4)
図7は、本発明の第4の実施の形態における操作入力装置のブロック図である。なお、上記第1の実施の形態における加熱調理器の操作入力装置と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図7において、前記プレート50の下面に照度センサ90を設け、その出力を判別手段60に入力している。判別手段60は、照度センサ90の出力が所定値より大きい場合は、太陽光や、強い照明下であると検知し、第一の閾値保持手段61が保持する第一の閾値E3と、第二の閾値保持手段62が保持する第二の閾値E4に、所定の補正値を加算してから、キースイッチ51a〜51cの操作の有無の判別、及び、大人と幼児の指を判別を行うことで、より信頼性の高い操作入力装置とすることができる。
【0053】
(実施の形態5)
図10は、本発明の第5の実施の形態における操作入力装置のブロック図である。なお、上記第1の実施の形態における加熱調理器の操作入力装置と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】
図10において、主制御回路66(図示せず)の駆動用電圧と別に、前記発光素子55a〜55cに所定の電流を供給する定電流電源91を設け、その出力電流値は前記照度センサ90の出力に応じて可変させる。
【0055】
その動作、作用としては、照度センサ90の出力が周囲光判定値より大きい時は、定電流電源91から供給する電流値を大きくすることで、太陽光や、強い照明下であってもキースイッチ51a〜51cの操作の有無の判別するに足る出力が受光素子57から出力され、より信頼性の高い操作入力装置とすることができる。
【0056】
(実施の形態6)
図11は、本発明の第6の実施の形態における操作入力装置のブロック図である。なお、上記第1の実施の形態における加熱調理器の操作入力装置と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図11において、減算手段92を設け、前記照度センサの出力に応じて、前記I−V変換手段58の出力(受光素子57の受光量に等しい)から所定量だけ減じた値を記憶手段59へ出力している。
【0058】
その動作、作用としては、前記照度センサ90の出力が周囲光判定値以下の時はゼロを減じる、他方、前記照度センサ90の出力が周囲光判定値より大きい時は、その出力に所定の係数を掛けた値を前記I−V変換手段58の出力から減じる。こうすることで、太陽光や、強い照明下であってもキースイッチ51a〜51cの操作の有無の判別することが可能となり、より信頼性の高い操作入力装置とすることができる。
【0059】
なお、発光素子55a〜55cから光を照射していない時のI−V変換手段58の出力を第二の記憶手段で記憶し、その値を減じるように構成しても同じ効果が得られることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明にかかる操作入力装置は、機器をプレート等の透光性の部材越しに操作できるため、防塵・防水構造が容易に実現できる。また、光学式で機械的な可動部分を持たないため、押圧操作といった作動力不要で、動作寿命が半永久的とすることが可能となるので、家庭用電化機器のみならず様々な産業用機器にも搭載することができる。
【符号の説明】
【0061】
50 トッププレート
51 キースイッチ
55a〜55c 発光素子
57 受光素子
58 I−V変換手段
59 記憶手段
60 判別手段
61 第一の閾値保持手段
62 第二の閾値保持手段
63 導光体
64 光学接着剤
65a〜65c 第一の発光素子
66a〜66c 第二の発光素子
68 受光素子
69a、69b 導光体
80 ボディ
81 鍋
82 温度センサ
83 フタ
84 操作回路基板
85 光学式操作スイッチ
86 加熱制御回路基板
87 防水式プッシュスイッチ
90 照度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のキースイッチ操作面を有する透光性のプレートと、前記プレートの操作面の裏側に配置したピーク波長が異なる光を発光する発光素子と、前記発光素子からの光がプレート上の操作面の表側に触れられた指などの反射物体により反射された反射光を検出する受光素子と、前記発光素子の波長を切り換える波長選択手段と、前記波長選択手段により選択された前記発光素子からの受光量を波長別、及び前記キースイッチ別に記憶する記憶手段と、反射光の有無を判別するための第一の閾値を保持する第一の閾値保持手段と、指の大小を判別するための第二の閾値を保持する第二の閾値保持手段と、前記記憶手段の記憶する各々の受光量と第一の閾値保持手段の出力する第一の閾値とからキースイッチ操作の有無を判別し、且つ、各々の受光量と第二の閾値保持手段の出力する第二の閾値とから大人と幼児の指を判別する判別手段とを備え、幼児の操作による機器の動作を禁止できることを特徴とした操作入力装置。
【請求項2】
波長選択手段が切り換える波長を、機器のキースイッチ操作面を有する透光性のプレートの光透過特性である、0.5μm〜3.5μmとした請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項3】
前記短波長側の波長を血液中のヘモグロビンが吸収特性を示す0.65μm以下とした請求項2に記載の操作入力装置。
【請求項4】
前記長波長側の波長を水の吸収特性を示さない1.5μm未満、且つ、0.65μm以上とした請求項2または3に記載の操作入力装置。
【請求項5】
キースイッチ操作面に指の形状に楕円形の溝を設け、前記溝内に発光素子及び受光素子を配置して、操作性を向上させるとともに、外乱光による影響を低減させ、確実な操作入力を可能とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の操作入力装置。
【請求項6】
前記プレートの下面に照度センサを設け、太陽光や、強い照明下では第一の閾値保持手段が保持する第一の閾値と、第二の閾値保持手段が保持する第二の閾値を、通常より大きな所定の値に補正することを特徴とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の操作入力装置。
【請求項7】
前記照度センサの出力に応じて、前記発光素子の発光量を所定量だけ大きくすることを特徴とした請求項6に記載の操作入力装置。
【請求項8】
前記照度センサの出力に応じて、前記受光素子の受光量から所定量だけ減じることを特徴とした請求項6に記載の操作入力装置。
【請求項1】
機器のキースイッチ操作面を有する透光性のプレートと、前記プレートの操作面の裏側に配置したピーク波長が異なる光を発光する発光素子と、前記発光素子からの光がプレート上の操作面の表側に触れられた指などの反射物体により反射された反射光を検出する受光素子と、前記発光素子の波長を切り換える波長選択手段と、前記波長選択手段により選択された前記発光素子からの受光量を波長別、及び前記キースイッチ別に記憶する記憶手段と、反射光の有無を判別するための第一の閾値を保持する第一の閾値保持手段と、指の大小を判別するための第二の閾値を保持する第二の閾値保持手段と、前記記憶手段の記憶する各々の受光量と第一の閾値保持手段の出力する第一の閾値とからキースイッチ操作の有無を判別し、且つ、各々の受光量と第二の閾値保持手段の出力する第二の閾値とから大人と幼児の指を判別する判別手段とを備え、幼児の操作による機器の動作を禁止できることを特徴とした操作入力装置。
【請求項2】
波長選択手段が切り換える波長を、機器のキースイッチ操作面を有する透光性のプレートの光透過特性である、0.5μm〜3.5μmとした請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項3】
前記短波長側の波長を血液中のヘモグロビンが吸収特性を示す0.65μm以下とした請求項2に記載の操作入力装置。
【請求項4】
前記長波長側の波長を水の吸収特性を示さない1.5μm未満、且つ、0.65μm以上とした請求項2または3に記載の操作入力装置。
【請求項5】
キースイッチ操作面に指の形状に楕円形の溝を設け、前記溝内に発光素子及び受光素子を配置して、操作性を向上させるとともに、外乱光による影響を低減させ、確実な操作入力を可能とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の操作入力装置。
【請求項6】
前記プレートの下面に照度センサを設け、太陽光や、強い照明下では第一の閾値保持手段が保持する第一の閾値と、第二の閾値保持手段が保持する第二の閾値を、通常より大きな所定の値に補正することを特徴とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の操作入力装置。
【請求項7】
前記照度センサの出力に応じて、前記発光素子の発光量を所定量だけ大きくすることを特徴とした請求項6に記載の操作入力装置。
【請求項8】
前記照度センサの出力に応じて、前記受光素子の受光量から所定量だけ減じることを特徴とした請求項6に記載の操作入力装置。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図6】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図6】
【公開番号】特開2010−152860(P2010−152860A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129885(P2009−129885)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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