説明

操作制限システム

【課題】操作者用席に座っていない人が操作者用席に座っている人になりすまして受けた検査結果に基づいて、操作制限に関する設定を変更する、ということを避けることができるシステムの提供。
【解決手段】送信回路10、送信I/F11、エンジン始動ボタン21、受信ユニット40、エンジンECU51を備える。送信回路10は、人体通信の送信信号を生成する。そして、送信I/F11は、生成された送信信号を通信信号に変換して運転者に入力する。運転者に入力された通信信号は、運転者がエンジンを始動しようとしてエンジン始動ボタン21を押下すると、受信ユニット40に受信信号として受信される。始動ボタン21は、押下されると、運転者の血中アルコール濃度を検査すると共に、検査結果を示す検査信号を受信ユニット40に送信する。受信ユニット40は、受信信号と検査信号とに基づき、制御信号を生成すると共にエンジンECU51に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
人体の検査結果に基づいて、装置の操作を制限したり、その制限を解除したりするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
装置が操作者の操作を受け付ける前に、その装置の操作者用席に座っている人の人体の状態を検査して、装置の使用に相応しくない場合は操作を制限する設定にし、相応しくないとは言えない場合は操作を制限しない設定にするシステムが既に知られている。例えば、飲酒運転をさせないために、呼気検査によって運転者の血中アルコール濃度を測定して、閾値以上であれば原動機(例えば内燃機関(以下「エンジン」と言う)やモータ)が始動しないようにする装置が知られている(非特許文献1・2)。
【非特許文献1】[平成20年9月30日検索]、インターネット<URL: http://www.drivingfuture.com/car/volvo/2008/tech/080410#alcoguard/001.html>
【非特許文献2】[平成20年9月30日検索]、インターネット<URL: http://www.yomiuri.co.jp/atcars/news/20060923ve01.htm>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
先述した技術の課題は、なりすましができることである。つまり、酔っておらず運転席に座っていない人が検査を受ければ原動機を始動できる、ということである。そうすれば、酔った人が運転席に座ったまま、原動機が始動されることになる。
【0004】
なお、本発明が対象とする操作者用席は、車両の運転席に限られず、飛行機などの他の乗物の運転席、パソコン操作用の席、及び操作に危険を伴う装置(例えば、発電所の操作盤)の操作者用席なども含まれる。
【0005】
また、検査する内容は血中アルコール濃度に限られない。例えば他の方法で酩酊度を測定してもよい。また、他の検査項目として、血糖値の検査が挙げられる。血糖値が低いと、判定力が鈍って操作を誤ることがあるからである。
【0006】
本発明は先述した課題に鑑み、操作者用席に座っていない人が操作者用席に座っている人になりすまして受けた検査結果に基づいて、操作制限に関する設定を変更する、ということを避けることができる操作制限システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために発明された請求項1に記載の操作制限システムは、操作者用席に座っている所定装置の操作者の人体の状態に基づいて、所定装置を、操作を制限する制限状態に設定したり、操作を制限しない解除状態に設定したりする設定手段を備える。
【0008】
さらに、この操作制限システムは、通信手段と、検査手段とを備える。通信手段は、送信機と受信機とを有し、送信機と受信機とに近接する人体を通信媒体とする。また、検査手段は、人体の状態を検査する。そして、検査手段は、当該検査手段が備える検査器が検査対象者に近接している状態で検査を実行する。
【0009】
そして、送信機および受信機の一方は、操作者用席に座っている人体に近接するように配置されており、他方は、検査手段の検査対象者の人体が検査のために検査器に近接すると、検査対象者の人体に近接するように配置されている。
【0010】
そして、設定手段は、通信手段による通信が成立している状態での検査手段の検査結果に基づいて、所定装置の状態を設定する。
【0011】
この操作制限システムによれば、操作者用席に座っていない人が操作者用席に座っている人になりすまして受けた検査結果に基づいて、操作制限に関する設定を変更する、ということを避けることができる。なぜなら「人体通信成立時は、検査対象者⇒通信媒体(検査対象者であることが、通信媒体であることの十分条件)」であると共に「人体通信成立時は、通信媒体⇒操作者用席に座っている人」であるので「人体通信成立時は、検査対象者⇒操作者用席に座っている人」となるからである。以下に詳細を述べる。
【0012】
まず「人体通信成立時は、検査対象者⇒通信媒体」である理由を述べる。検査を受けるためには、検査対象者が検査器に近接する必要がある。そして、検査対象者が検査器に近接すると、通信手段の送信機または受信機が検査対象の人体に近接する。また、通信手段は、送信機と受信機とに近接する人体を通信媒体とする。従って、「人体通信成立時は、検査対象者⇒通信媒体」となる。
【0013】
次に「人体通信成立時は、通信媒体⇒操作者用席に座っている人」である理由を述べる。通信媒体となるためには、送信機および受信機に近接する必要がある。そして、送信機または受信機は、操作者用席に座っている人の人体に近接するように配置されている。従って、通信媒体となっているということは、操作者用席に座っているということである。つまり「人体通信成立時は、通信媒体⇒操作者用席に座っている人」となる。
【0014】
以上に述べた理由によって、人体通信が成立している時は、検査結果は操作者用席に座っている人を対象としたものであることになる。そして、操作制限に関する設定変更は、人体通信の成立時に行われるようになっている。従って、操作者用席に座っていない人が操作者用席に座っている人になりすまして受けた検査結果に基づいて操作制限に関する設定を変更する、ということを避けることができる。
【0015】
請求項2に記載の操作制限システムは、請求項1に記載の操作制限システムを前提とする。そして、設定手段は、通信手段による通信が成立していない状態の場合又は検査手段の検査結果が所定装置の操作に相応しいものでない場合は所定装置の始動操作に関して制限状態に設定する。一方、通信手段による通信が成立している状態において検査手段の検査結果が所定装置の操作に相応しいものである場合、設定手段は所定装置の始動操作に関して解除状態に設定する。
【0016】
この操作制限システムによれば、操作者用席に座っていない人が操作者用席に座っている人になりすまして受けた検査結果に基づいて操作制限が解除される、ということを避けることができる。
【0017】
なお「通信手段による通信が成立している状態」とは、必ずしも、信号の送受信が途切れなく連続であることを意味しない。例えば、所定間隔に信号が送信されるような場合には、その間隔で信号が受信されていれば、その間隔未満の時間で通信が途切れても「通信手段による通信が成立している状態」である。これは、他の請求項でも同じである。
【0018】
請求項3に記載の操作制限システムは、請求項2に記載の操作制限システムを前提とする。そして、所定装置とは車両である。また、操作者用席とは、車両の運転席である。また、検査手段は、人の酩酊度を測定するための検査を行う。また、設定手段は、通信手段による通信が成立していない状態の場合又は基準度合以上の酩酊度が検査手段によって測定された場合は車両を走行可能にするための操作の禁止をする。一方、通信手段による通信が成立している状態において基準度合未満の酩酊度が検査手段によって測定された場合、設定手段は禁止を解除する。
【0019】
この操作制限システムによれば、酔った人が車両を走行可能にするための操作をすることを防ぐことができる。なお「走行可能にするための操作の禁止」とは、原動機の始動禁止、シフトレバーをパーキングに固定すること、サイドブレーキの解除禁止、ステアリングホイールのロック等が、例えば考えられる。
【0020】
また、運転席に座っている人だけを媒体にできるのであれば、送信機および受信機の位置はどこでもよい。例えば、シートベルトが挙げられる。また、酩酊度の測定方法は、血中アルコール濃度の測定、視覚機能や運動機能からの推定、会話からの推定等が、例えば考えられる。血中アルコール濃度の測定は、呼気式や接触式等が、例えば考えられる。
【0021】
請求項4に記載の操作制限システムは、請求項3に記載の操作制限システムを前提とする。そして、検査手段は、呼気に含まれる成分に基づいて人の酩酊度を測定する。また、送信機または受信機は、呼気による検査のために検査対象者が口で咥える部位に配置されている。
【0022】
この操作制限システムによれば、呼気式の検査において、運転者を検査することができる。例えば、送信機または受信機が口で咥える部位から少し離れて配置されていると、運転者が手で送信機または受信機を持ち、運転者でない人が呼気式の検査を受けるという方法のなりすましができてしまう。この操作制限システムによれば、そういった方法のなりすましを防ぐことができる。
【0023】
請求項5に記載の操作制限システムは、請求項3又は請求項4に記載の操作制限システムを前提とする。そして、運転席に人が座っているか否かを判定する着座判定手段を備える。また、設定手段は、車両が走行可能な場合に運転席に人が座っていないと着座判定手段によって判定されたときは、車両の運転操作を制限する。
【0024】
この操作制限システムによれば、酔っていない人が車両を走行可能にするための操作をした後に、別人が始動操作をせずに運転することを防ぐことができる。なお、運転操作の制限とは、原動機の強制停止、加速操作の禁止、強制ブレーキ等が、例えば考えられる。
【0025】
請求項6に記載の操作制限システムは、請求項3又は請求項4に記載の操作制限システムを前提とする。そして、運転席に座っている人が交代したか否かを判定する交代判定手段を備える。また、設定手段は、車両が走行可能な場合に運転席に座っている人が交代したと交代判定手段によって判定されたとき、車両の運転操作を制限する。
【0026】
この操作制限システムによれば、酔っていない人が車両を走行可能にするための操作をした後に、別人が始動操作をせずに運転することを防ぐことができる。しかも、単に着座判定に基づくと不必要に運転が制限されてしまい不便であるところ、本請求項によればそういった不便さが無い。なお、不必要な制限の場合とは、例えば、車両を始動した後に運転者がいったん運転席を離れた後に、同じ人がまた運転席に座り直した場合である。
【0027】
請求項7に記載の操作制限システムは、請求項2に記載の操作制限システムを前提とする。そして、所定装置とはコンピュータである。また、検査手段は、人の酩酊度を測定するための検査を行う。そして、設定手段は、通信手段による通信が成立していない状態の場合又は基準度合未満の酩酊度が検査手段によって測定された場合は当該コンピュータのログオフ状態からログイン状態への切り替え操作の禁止をする。一方、通信手段による通信が成立している状態において基準度合未満の酩酊度が検査手段によって測定された場合、設定手段は禁止を解除する。
【0028】
この操作制限システムによれば、酔った人がコンピュータにログインすることを防ぐことができる。
【0029】
請求項8に記載の操作制限システムは、請求項7に記載の操作制限システムを前提とする。そして、操作者用席に人が座っていること、及びコンピュータに備えられたディスプレイの正面に人が位置していることの両方が満たされるか、あるいは少なくとも一方が満たされていないかを判定する着座判定手段を備える。
【0030】
また、設定手段は、コンピュータのログイン状態において、少なくとも一方が満たされていないと着座判定手段によって判定された場合、コンピュータのログオフをする。
【0031】
この操作制限システムによれば、酔っていない人がログイン操作をした後に、別人がログイン操作をせずにログイン状態のコンピュータを操作することを防ぐことができる。なぜなら、酔っていない人がログインした後に、別人が操作しようとしてもログオフされているからである。
【0032】
請求項9に記載の操作制限システムは、請求項7に記載の操作制限システムを前提とする。そして、着座判定手段と、交代判定手段とを備える。着座判定手段は、操作者用席に人が座っていること、及びコンピュータに備えられたディスプレイの正面に人が位置していることの両方が満たされるか、あるいは少なくとも一方が満たされていないかを判定する。また、交代判定手段は、少なくとも一方が満たされないと着座判定手段によって判定された後に、コンピュータの正面に位置している人が交代したか否かを判定する。
【0033】
そして、設定手段は、コンピュータのログイン状態において、コンピュータの正面に位置している人が交代したと交代判定手段によって判定された場合、コンピュータのログオフをする。
【0034】
この操作制限システムによれば、酔っていない人がログイン操作をした後に、別人がログイン操作をせずにログイン状態のコンピュータを操作することを防ぐことができる。なぜなら、酔っていない人がログインした後に、別人が操作しようとしてもログオフされているからである。
【0035】
しかも、単に着座判定等に基づくと不必要にログオフしてしまい不便であるところ、本請求項によればそういった不便さが無い。なお、不必要なログオフとは、例えば、ログインした後に操作者がいったんディスプレイ正面の操作者用席を離れた後に、同じ人がまた操作者用席に座り直した場合である。
【0036】
請求項10に記載の操作制限システムは、請求項1に記載の操作制限システムを前提とする。そして、検査器は、所定装置の接触型操作器に設けられることで、操作者が接触型操作器によって操作している時は、検査手段による検査が実行されるようになっている。
【0037】
また、設定手段は、通信手段による通信が成立している状態において検査手段の検査結果が所定装置の操作に相応しいものでない場合、所定装置を制限状態に設定する。
【0038】
この操作制限システムによれば、操作者用席に座っている人の検査結果に基づいて、操作制限に関する設定を変更できる。つまり、操作者用席に座っていない人を検査した結果に基づいて制限状態に設定する、という誤動作を防ぐことができる。
【0039】
請求項11に記載の操作制限システムは、請求項10に記載の操作制限システムを前提とする。そして、所定装置は車両である。また、操作者用席は、車両の運転席である。そして、検査器は、車両のステアリングホイールに設けられている。また、検査手段は、ステアリングホイールに接触している手を検査することで、人の酩酊度を測定する。
【0040】
そして、設定手段は、通信手段による通信が成立している状態において基準値以上の酩酊度が検査手段によって測定された場合、車両が走行可能でないときは走行可能にするための操作を禁止し、車両が走行可能なときは運転操作を制限する。
【0041】
この操作制限システムによれば、飲酒運転を防ぐことができる。接触による酩酊度の測定法は、手を透過した光や汗から血中アルコール濃度を測定する方法が、例えば考えられる。
【0042】
請求項12に記載の操作制限システムは、請求項10に記載の操作制限システムを前提とする。そして、所定装置はコンピュータである。また、このコンピュータは、通信手段による通信が成立している時だけ、接触型操作器による操作を受け付けるようになっている。また、検査手段は、接触型操作器に接触している手を検査することで、人体の酩酊度を測定する。そして、設定手段は、通信手段による通信が成立している状態で、基準値以上の酩酊度が検査手段によって測定された場合、コンピュータがログオフ状態のときはログイン状態への切り替え操作を禁止し、コンピュータが既にログイン状態のときはログオフをする。
【0043】
この操作制限システムによれば、酔った人が操作者用席に座りながらログイン状態のコンピュータを接触型操作器によって操作することを防ぐことができる。なお、コンピュータの接触型操作器とは、例えば、マウス・キーボード・テンキーなどが挙げられる。
【0044】
請求項13に記載の操作制限システムは、請求項5、請求項6又は請求項11に記載の操作制限システムを前提とする。そして、設定手段は、車両の速度が停止判定速度以下の時だけ、当該車両の運転操作を制限する。
【0045】
この操作制限システムによれば、停止判定速度より速い速度で走行中に車両操作が制限されることで生じる危険を避けることができる。なお、停止判定速度は0km/hに近いのが好ましい。
【0046】
請求項14に記載の操作制限システムは、請求項3、請求項4又は請求項11に記載の操作制限システムを前提とする。そして、車両を走行可能にするための操作は、当該車両に搭載された原動機の始動操作である。この操作制限システムによれば、飲酒運転を効果的に防ぐことができる。
【0047】
請求項15に記載の操作制限システムは、請求項5、請求項6、請求項11又は請求項13に記載の操作制限システムを前提とする。そして、車両の運転操作の制限とは、当該車両に搭載された原動機の強制停止である。この操作制限システムによれば、飲酒運転を効果的に防ぐことができる。
【0048】
請求項16に記載の操作制限システムは、請求項7、請求項8、請求項9又は請求項12に記載の操作制限システムを前提とする。そして、設定手段は、基準度合未満かつ当該基準度合よりも低い基準である第二基準度合以上の酩酊度が検査手段によって測定された場合、コンピュータの一部の操作を制限する一部制限状態に設定する。この操作制限システムによれば、酩酊度が軽ければ、一部の操作のみを制限できる。
【0049】
請求項17に記載の操作制限システムは、請求項1〜請求項16の何れかに記載の操作制限システムを前提とする。そして、送信機は、操作者用席に座っている人体に近接するように配置されていると共に、当該送信機を示す情報を含む信号を送信するようになっている。
【0050】
また、設定手段は、当該設定手段に予め定められた割り当てられた送信機を示す情報を含む信号を受信機が受信した場合に限り、通信手段による通信が成立している状態とみなす。
【0051】
この操作制限システムによれば、操作者用席に座っていないにも関わらず、別の通信機器等を用いて人体通信を成立させることが可能な状態にある人が、操作者用席に座っている人になりすますことを防ぐことができる。
【0052】
請求項18に記載の操作制限システムは、請求項1〜請求項17の何れかに記載の操作制限システムを前提とする。そして、通信手段よって送受信される信号強度は、二人以上を媒体とする場合は通信が成立しないように設定されている。
【0053】
この操作制限システムによれば、なりすましを一段と防ぐことができる。例えば、運転席に座っている人が酔っており、助手席に座っている人が酔っていない場合を考える。この場合に二人が手を繋ぐと、助手席の人が通信媒体になることができる。この請求項によれば、そういった方法のなりすましを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明の実施例について図面と共に説明する。
【実施例1】
【0055】
実施例1で説明する操作制限システム1は、自動車に搭載されるものであり、飲酒運転を防ぐためのものである。具体的には、運転者の血中アルコール濃度を測定して、基準値以上の値が測定された場合は、エンジンの始動を禁止する。さらに、エンジン始動後に運転者が代わった場合にエンジンを停止させることで、酔った人に運転を交代することを防ぐ。以下に詳細を説明する。
【0056】
図1は操作制限システム1のブロック構成図である。操作制限システム1は、図1に示すように、送信回路10、送信I/F11、エンジン始動ボタン21、受信ユニット40、エンジンECU51、画像センサ60、及び着座センサ70を備える。
【0057】
そして、送信回路10、送信I/F11、及び着座センサ70は、運転席内部に設置されている。また、エンジン始動ボタン21、受信ユニット40、エンジンECU51、及び画像センサ60は、インストルメントパネル内部に設けられている。
【0058】
送信回路10は、人体通信の送信信号を生成する。そして、送信I/F11は、生成された送信信号を通信信号に変換して、背中付近から運転者(運転席に座っている人)に入力できるように配置されている。そして、運転者に入力された通信信号は、運転者がエンジンを始動しようとしてエンジン始動ボタン21を押下すると、受信ユニット40に受信信号として受信される構成になっている。一方、エンジン始動ボタン21が押下されることで発生する、エンジンを始動するための操作信号はエンジンECU51に送信される。
【0059】
また、エンジン始動ボタン21は、運転者によって指で押下されると、運転者の血中アルコール濃度を検査すると共に、検査結果を示す検査信号を受信ユニット40に送信する構成になっている。そして、受信ユニット40は、受信信号と検査信号とに基づき、制御信号を生成すると共にエンジンECU51に送信する。
【0060】
一方、画像センサ60は、運転席に座っている人の顔を認証して、着座者がいるか否か、着座者が交代したか否かの情報をエンジンECU51に送信する。また、着座センサ70は、運転者の臀部の下付近に配置された圧力センサであり、人が座っているか否かの情報をエンジンECU51に送信する。
【0061】
そして、エンジンECU51は、送信されてくる操作信号、制御信号、画像センサ60からの情報、及び着座センサ70からの情報に基づいて、エンジンを制御する。
【0062】
図2は、操作制限システム1の回路図である。図2を用いて、図1の内容を詳しく説明する。以下の説明は、運転者がエンジン始動ボタン21を押下している状態を前提とする。まず、送信回路10の説明から始める。図2に示すように、送信回路10は、信号発生回路101、基準発振回路103、変調回路105、フィルタ回路107、及び増幅回路109から構成される。
【0063】
信号発生回路101は、送信信号の元となる元信号を発生させる。また、基準発振回路103は、元信号によって変調される、搬送波としての基準信号を生成し出力する。
【0064】
一方、変調回路105は、信号発生回路101から入力される元信号で、基準発振回路103から入力される基準信号を変調(周波数変調や振幅変調等)することで、変調信号を生成する。そして、この変調信号は、フィルタ回路107に入力される。
【0065】
また、フィルタ回路107は、バンドパスフィルタであり、変調回路105から入力される変調信号に含まれる所定範囲の周波数成分(ノイズ成分)を減衰させる。
【0066】
そして、フィルタ回路107を通じてノイズ成分が除去された変調信号は、増幅回路109に送られる。増幅回路109は、受け取った変調信号を増幅し、送信I/F11に送信する。
【0067】
送信I/F11は、受け取った変調信号を通信信号に変換して、運転者の人体に入力する。具体的には、送信I/F11はコイルでできており、変調信号を自身の周囲に生じる磁界の形態に変換する。その磁界が運転者の人体に伝播することで、通信信号として入力される。
【0068】
なお、送信回路10は、エンジン始動ボタン21が押下されている時に動作するようになっている。また、送信I/F11が埋め込まれた座席に座っている運転者の人体表面に磁界が伝播するように、送信I/F11から出力される磁界の出力強度、送信I/F11の位置および変調信号の周波数が設計されている。
【0069】
そして、エンジン始動ボタン21を押下している運転者の人体表面に生じる磁界は、エンジン始動ボタン21押下方向の奥に設置された受信I/F220が受信すると共に、受信信号として受信ユニット40に送信される。
【0070】
ここで、受信ユニット40の説明に移る。受信ユニット40は、受信回路41及び制御信号発生回路42から構成される。受信回路41は、増幅回路401、フィルタ回路403、局部発振回路405、周波数変換回路407、増幅回路409、検波回路411、合成回路413及びコイル415から構成される。一方、制御信号発生回路42は、信号発生部421および信号I/F423から構成される。
【0071】
受信I/F220からの受信信号は、増幅回路401に入力される。増幅回路401は、受信信号が入力されると、これを増幅すると共にフィルタ回路403に送る。フィルタ回路403は、バンドパスフィルタとして構成されており、増幅回路401から入力された受信信号の所定の周波数成分(ノイズ成分)を減衰させ、その後の受信信号を、周波数変換回路407に入力する。
【0072】
一方、局部発振回路405は、局部発振信号を出力し、これを周波数変換回路407に入力する。そして、周波数変換回路407は、フィルタ回路403から入力される受信信号を、局部発振回路405から入力される局部発振信号で引くことで、受信信号を中間周波信号に変換し、この中間周波信号を、増幅回路409に入力する。増幅回路409は、入力された中間周波信号を増幅して、これを検波回路411に送る。
【0073】
検波回路411は、増幅回路409から入力される信号を復調すると共に判定回路413に送る。判定回路413は、正しく検波されたと判定すると、検波された信号を制御信号発生回路42が備える信号発生部421に入力する。
【0074】
ここで、エンジン始動ボタン21を説明する。エンジン始動ボタン21は、光学式アルコール検出器211と起電力検出部217とを備える。光学式アルコール検出器211は、指に光を当て、その透過光から血中アルコール濃度を測定するものである(特開2008−086724参照)。そして、運転者が指でエンジン始動ボタン21を押下すると、運転者を対象にした測定ができるように配置されている。そして、測定結果に応じて起電力が発生するので、その起電力を起電力検出部217で検出する。そして、起電力検出部217は、検出結果を示す検査信号を信号発生部421に入力する。
【0075】
そして、信号発生部421は、判定回路413からの信号を受信すると、起電力検出部217からの信号の情報を含んだ制御信号を発生させると共に信号I/F423に送信する。そして、信号I/F423は、制御信号をエンジンECU51に送信する。
【0076】
また、通信信号の強度は、一人だけを媒体とする場合にしか通信が成立しないように、実験値および理論値に基づいて設定されている。
【0077】
図3は、エンジン始動制限処理を示したフローチャートである。この処理は、エンジンECU51が主体となって実行する処理であり、エンジン始動ボタン21が押下されたことを契機に実行されるものである。また、この処理は、同時に複数の処理が走らないようになっている。つまり、いったん処理が開始されてから終了するまでは、エンジン始動ボタン21が押下されたとしても、新たな処理が開始されることがない。
【0078】
まず、人体通信が成立しているかを判定する(S110)。具体的には、信号I/F423を通じて、制御信号を受信しているかを判定する。人体通信が成立していないと判定すると(S110でNo)処理を終える。つまり、エンジン始動ボタン21が押下されたにも関わらず、エンジンを始動しない。
【0079】
一方、人体通信が成立していると判定すると(S110でYes)血中アルコール濃度の検査結果が基準値未満であるかを判定する(S120)。具体的には、制御信号に含まれる検査結果を示す起電力の情報が基準値未満であるかを判定する。血中アルコール濃度の検査結果が基準値未満であると判定すると(S120でYes)エンジンを始動して(S130)この処理を終える。
【0080】
一方、血中アルコール濃度の検査結果が基準値以上であると判定すると(S120でNo)予め設定された時間、待機して(S140)この処理を終える。設定時間、待機する目的は、その時間、エンジン始動を禁止するためである。つまり、エンジンが始動されるためには再びエンジン始動制限処理を開始して、S130を実行する必要があるので、待機中にエンジン始動ボタン21が再び押下されても、エンジン始動が実行されない。
【0081】
図4は、運転者交代監視処理を示したフローチャートである。この処理は、エンジンECU51が主体となって実行する処理であり、エンジン始動を契機に実行される処理である。
【0082】
まず、運転席に人が着座しているか否かを着座センサ70からの情報に基づいて判定する(S210)。運転席に人が着座していると着座センサ70からの情報に基づいて判定すると(S210でYes)運転席に人が着座しているか否かを画像センサ60からの情報に基づいて判定する(S220)。
【0083】
運転席に人が着座していると画像センサ60からの情報に基づいて判定すると(S220でYes)エンジンが動作中かを判定する(S225)。エンジンが動作中と判定すると(S225でYes)S210に戻る。つまり、S210〜S225で全てYesと判定し続ける間は、このループを繰り返す。一方、エンジンが停止されたと判定すると(S225でNo)この処理を終える。
【0084】
一方、運転席に人が着座していないと着座センサ70又は画像センサ60からの情報に基づいて判定すると(S210でNo又はS220でNo)再び運転者が座るのを待って、運転者が交代したかを判定する(S230)。具体的には、直前まで座っていた人を画像センサ60からの情報に基づいて記憶しておき、次に人が座った時点で、新たに座った人と直前まで座っていた人とが違うかを判定する。運転者が交代していないと判定すると(S230でNo)S210に戻り、再びS210〜S225のループを繰り返す。
【0085】
一方、運転者が交代したと判定すると(S230でYes)走行速度がゼロであるか否かを車内LANから得られる速度情報に基づいて判定する(S240)。速度がゼロでないと判定すると(S240でNo)再びS240に戻る。つまり、速度がゼロになるまで待機する。そして、速度がゼロと判定すると(S240でYes)エンジンを停止させて(S250)この処理を終える。
【0086】
以上に説明した操作制限システム1によれば、飲酒運転を防ぐことができる。なぜなら、酔った人がエンジンを始動することができず、また、酔っていない人がエンジンを始動した後に別人が運転席に座ると、エンジンが停止するからである。
【0087】
また、走行中に運転者が代わるということが実際に行われる、又はそのように誤判定してしまった場合、エンジンは停止しないので、走行中に突然エンジンが停止することで生じる危険を避けることができる。
【0088】
また、通信信号の信号強度は、二人以上を媒体とする場合は通信が成立しないように設定されているので、運転席に座っている酔った人と手を繋いだ人がエンジンを始動する、ということを防ぐことができる。
【0089】
手を繋ぐことによるなりすましを防ぐ方法で信号強度の設定以外ものとしては、次のものが例えば考えられる。外に立っている人が運転席に座っている人と手を繋ぐことによるなりすましは、運転席のドア及び窓が閉じた状態でないとエンジンが始動しないようにすることで防ぐことが考えられる。
【0090】
また、助手席に座っている人が運転席に座っている人と手を繋ぐことによるなりすましは、助手席にも送信回路および送信I/Fを設置し、それらと運転席の送信回路10及び送信I/F11とによる磁界が打ち消し合うようにしたり、助手席の送信回路に特有の信号を発生させ、その信号を受信したとエンジンECUが認識した場合はエンジンを始動しないようにしたりすることで防ぐことが考えられる。
【0091】
また、エンジン始動後に運転者が席を離れた時点でエンジンを停止させてもよい。同じ人が座り直す場合でも都度エンジンを再始動する必要はあるものの、画像による人の認証を誤ったときに飲酒運転を防ぐことができない、ということを避けることができる。
【実施例2】
【0092】
実施例2で説明する操作制限システム2は、操作制限システム1と同じように、自動車に搭載されるものであり、飲酒運転を防ぐためのものである。具体的には、運転者の血中アルコール濃度を検査して、閾値以上の値が測定された場合は、エンジンの始動禁止または強制停止をする。以下に詳細を説明する。なお、実施例1で説明したものと同じ符号が付いているものは原則、実施例1と同じものなので詳しくは説明しない。
【0093】
図5は操作制限システム2のブロック構成図である。操作制限システム2は、図5に示すように、送信回路10、送信I/F11、ステアリングホイール22、受信ユニット40、及びエンジンECU52を備える。
【0094】
そして、送信回路10、及び送信I/F11は、運転席内部に設置されている。また、受信ユニット40、及びエンジンECU52は、インストルメントパネル内部に設けられている。また、ステアリングホイール22は、インストルメントパネル外部に設置されている。
【0095】
ステアリングホイール22には、実施例1で説明した光学式アルコール検出器211、起電力検出部217、及び受信I/F220が設置されている。この配置により、運転のためにステアリングホイール22を握ると、血中アルコール濃度の検査を受けることになると共に、人体通信が成立するための十分な近さに、運転者の手が受信I/F220に接近することになる。
【0096】
なお、このような機能を発揮するためには、ステアリングホイールの握ることができる位置に光学式アルコール検出器211を張り巡らせる必要がある。円形状の通常のステアリングホイールについてそのようにしてもよいし、レース用の車両に搭載されるような握れる部位が限定された形状にすることで、光学式アルコール検出器211を配置すべき領域を狭くしてもよい。
【0097】
そして、エンジンECU52は、受信ユニット40から送信されてくる制御信号に基づいてエンジンを制御する。
【0098】
図6は、操作制限システム2の回路図である。以下の説明は、運転者がステアリングホイール22を握っている状態を前提とする。送信回路10から発生した送信信号は、送信I/F11によって運転者に通信信号として入力される。そして、通信信号は、運転者および受信I/F220を介して、受信信号として受信ユニット40に入力される。
【0099】
一方、光学式アルコール検出器211で発生した起電力は、起電力検出部217によって検出される。そして、検出された起電力の情報は、検査信号によって受信ユニット40に入力される。
【0100】
そして、受信ユニット40は、受信信号および検査信号に基づいて、制御信号を生成すると共にエンジンECU52に入力する。
【0101】
なお、送信回路10は、エンジンが停止している場合はエンジン始動ボタン(図示なし)が押下されている時に、また、エンジンが動作中は常に動作するように構成されている。
【0102】
そして、エンジンECU52は、制御信号に基づいて、エンジンを制御するための処理をする。次から、その処理を説明する。
【0103】
図7は、エンジン動作制限処理を示したフローチャートである。この処理は、エンジンECU52が主体となって実行する処理である。また、人体通信が成立したことを契機に開始され、人体通信が不成立になると強制終了になる処理である。
【0104】
まず、血中アルコール濃度の検査結果が基準値未満であるかを、制御信号に基づいて判定する(S310)。基準値未満であると判定すると(S310でYes)エンジンが動作中であるかを判定する(S320)。エンジンが動作中であると判定すると(S320でYes)設定時間、待機して(S330)S310に戻る。待機する目的は、処理の周期を長くするためである。あまり高頻度でこの処理を走らせる必要はないからである。
【0105】
一方、エンジンが停止中であると判定すると(S320でNo)エンジンを始動する(S350)。そして、設定時間、待機して(S330)S310に戻る。ここでエンジンを始動する理由は、先述したように、エンジンが停止中の時にこの処理が開始されるのは、エンジン始動ボタン21が押下された場合のみだからである。
【0106】
一方、血中アルコール濃度の検査結果が基準値以上であると判定すると(S310でNo)エンジンが動作中であるかを判定する(S355)。エンジンが停止中であると判定すると(S355でNo)設定時間、待機して(S380)S310に戻る。
【0107】
ここで待機する目的は、その時間エンジンの始動を禁止するためである。つまり、エンジンを始動するためには、S350を実行する必要がある。ところが一旦S355に進んでしまうと、S310に戻らない限りS350に進むことができない。従って、待機中はエンジンの始動が禁止されていることになる。なお、この目的を達成するために、人体通信がいったん不成立になった後に再び成立しても、その時間は、次の処理を開始することについても待機するようになっている。
【0108】
一方、エンジンが動作中であると判定すると(S355でYes)車両速度がゼロであるかを車内LANから取得する情報に基づいて判定する(S360)。速度がゼロでないと判定すると(S360でNo)再びS360に戻る。つまり、速度がゼロになるまで待機する。そして、速度がゼロと判定すると(S360でYes)エンジンを停止させて(S370)S310に戻る。速度がゼロでない時にエンジンを停止させない理由は、走行中に停止させると危険だからである。
【0109】
以上に説明した操作制限システム2によれば、飲酒運転を防ぐことができる。特に、運転中に飲酒し始めた場合でも、それを発見してエンジンを停止させることができる。また、運転者の交代を監視する必要がないので、ハードウェアやソフトウェアが簡潔になる。また、人体通信を活用することで、検査結果が運転者を対象としていることになるので、例えば助手席に座っている人を検査した結果に基づいてエンジンを制御することを避けることができる。
【実施例3】
【0110】
実施例3で説明する操作制限システム3は、酔った人がログイン状態のパソコンを操作することを防ぐためのものである。具体的には、操作者の血中アルコール濃度を測定して、基準値以上の値が測定された場合は、ログイン操作を禁止する。さらに、ログイン後に操作者が代わった場合にログオフすることで、酔った人に操作を交代することを防ぐ。以下に詳細を説明する。なお、実施例1・2で説明したものと同じ符号が付いているものは原則、実施例1・2と同じものなので詳しくは説明しない。
【0111】
図8は操作制限システム3のブロック構成図である。操作制限システム3は、図8に示すように、送信回路10、送信I/F11、検査ユニット23、パソコン本体33、ディスプレイ35、画像センサ63、及び着座センサ70を備える。
【0112】
そして、送信回路10、送信I/F11、及び着座センサ70は、操作者用席内部に設置されている。また、画像センサ63は、ディスプレイ35の隅に設置されている。
【0113】
検査ユニット23は、呼気を分析することで血中アルコール濃度を測定するものである。さらに検査ユニット23は、通信信号が入力された人が検査を受けると、人体通信が成立するようになっている。また、検査ユニット23は、USB(登録商標)によってパソコン本体33と接続されるものである。従って、後付けの機器として製造でき、別のパソコンにも簡単に接続できる。
【0114】
なお、実施例1と同じように、通信信号の信号強度は、二人以上を媒体とする場合は通信が成立しないように設定されている。
【0115】
一方、画像センサ63は、ディスプレイ35の正面にいる人の顔を認証して、正面に人がいるか否か、正面にいる人が交代したか否かの情報をパソコン本体33に送信する。また、着座センサ70は、実施例1と同じように、操作者用席に人が座っているか否かの情報をパソコン本体33に送信する。
【0116】
そして、パソコン本体33はCPU53を備え、送信されてくる制御信号、画像センサ63からの情報、及び着座センサ70からの情報に基づいてCPU53が後述する処理を実行することにより、ログイン・ログオフが制御される。
【0117】
図9は、操作制限システム3の回路図である。以下の説明は、操作者が血中アルコール濃度の検査を受けている状態を前提とする。送信回路10から発生した送信信号は、送信I/F11によって操作者に通信信号として入力される。
【0118】
なお、実施例3の送信回路10は、自身が備えられた席を識別可能なID(席ID)を送信信号に含ませるようになっている。
【0119】
また、実施例3の送信回路10は、少なくとも、電源投入後などのログイン要求時に動作するようになっている。そのために、ログイン要求時であることをパソコン本体33から無線通信で通知を受けるような構成(図示なし)でもよいし、常に動作するように構成でもよい。
【0120】
また、検査ユニット23は、受信I/F220、受信ユニット40、呼気式アルコール検出器213、及び起電力検出部217を備える。
【0121】
受信I/F220は、検査ユニット23内部に呼気を吹き付けるために操作者が口で咥える部位(検査ユニット23の筒状の突起の先端)に巻き付くように設置されている。従って、操作者が検査を受けようとすると、人体通信が成立するのに十分な距離に操作者の口腔が受信I/F220に近付くことになり、操作者に入力された通信信号が受信信号として受信ユニット40に入力される。
【0122】
一方、呼気式アルコール検出器213は、呼気に含まれる成分を分析することで血中アルコール濃度に応じた起電力を発生させる。そして、その起電力は、実施例1・2と同じように起電力検出部217に検出されるので、起電力検出部217は検査信号を受信ユニット40に入力する。そして、受信ユニット40は、受信信号および検査信号に基づいて、制御信号を生成すると共にCPU53に入力する。
【0123】
なお、回路のアースは、送信側は操作者の足、受信側はパソコン本体33が備える配線によって行う。
【0124】
そして、CPU53は、制御信号に基づいて、ログインを制御するための処理をする。図10は、その処理の設計思想を示したテーブルである。具体的には、人体通信の成否、血中アルコール濃度の検査結果、その検査結果を示す制御信号の電圧レベル、及びログインの可否設定・操作制限設定の関係が示されている。
【0125】
図10に示されるように、人体通信が不成立の場合は、制御信号が発生せず、ログインが禁止される。人体通信が成立している場合に血中アルコール濃度が基準値H以上であるときは、制御信号に含まれる電圧レベルがゼロとなり、ログインが禁止される。
【0126】
一方、人体通信が成立している場合に血中アルコール濃度が基準値L(<基準値H)以上かつ基準値H未満であるときは、制御信号に含まれる電圧レベルが1となり、一部操作禁止モードでログインが実行される。「一部操作」とは、削除操作に代表される、誤操作をした場合に被害が発生し得る操作のことである。一部操作禁止モードとは、このような操作を禁止するモードである。
【0127】
一方、人体通信が成立している場合に血中アルコール濃度が基準値L未満であるときは、制御信号に含まれる電圧レベルが2となり、全操作可能モードでログインが実行される。全操作可能モードとは、一部操作禁止モードとは異なり、禁止された操作がないモードであって、いわゆる通常のモードである。
【0128】
図11は、ログイン制限処理を示したフローチャートである。この処理は、図10で説明した内容を実現するための処理であり、CPU53が主体となって実行する処理である。また、ログインが要求された時に実行される処理である。ログインが要求される時とは、電源投入後、再起動後、又はログオフ後である。
【0129】
まず、人体通信が成立しているかを判定する(S410)。具体的には、制御信号を検査ユニット23から受信しているかを判定する。人体通信が成立していないと判定すると(S410でNo)再びS410を実行する。つまり、人体通信が成立するまで待つ。そして、人体通信が成立していると判定すると(S410でYes)制御信号に含まれる席IDとパソコン本体33に予め与えられたパソコンIDとが一致するかを判定する(S420)。一致しないと判定すると(S420でNo)設定時間、待機して(S425)S410に戻る。待機する目的は、その時間、ログインを禁止するためである。
【0130】
一方、席IDとパソコンIDとが一致すると判定すると(S420でYes)血中アルコール濃度の検査結果を判定する(S430)。血中アルコール濃度が基準値H以上と判定すると(S430でH以上)設定時間、待機して(S425)S410に戻る。
【0131】
一方、血中アルコール濃度の検査結果が基準値L以上かつ基準値H未満であると判定すると(S430でL〜H)一部操作禁止モードでログインする(S450)。一方、血中アルコール濃度の検査結果が基準値L未満であると判定すると(S430でL未満)全操作可能モードでログインする(S460)。
【0132】
図12は、操作者交代監視処理を示すフローチャートである。この処理は、CPU53が主体となって実行する処理であり、ログインしたことを契機に実行される処理である。
【0133】
まず、操作者用席に人が着座しているか否かを着座センサ70からの情報に基づいて判定する(S510)。操作者用席に人が着座していると着座センサ70からの情報に基づいて判定すると(S510でYes)ディスプレイ35の正面に人がいるか否かを画像センサ63からの情報に基づいて判定する(S520)。「操作者用席に座っているか否か」ではなく「正面に人がいるか否か」を判定するのは、操作者用席がディスプレイ35に対して移動し得るからである。つまり、操作者用席に座りながらでも、ディスプレイ35の正面から動けば、正面から人がいなくなったと判定される。
【0134】
ディスプレイ35の正面に人がいると画像センサ63からの情報に基づいて判定すると(S520でYes)ログイン中かを判定する(S525)。ログイン中と判定すると(S525でYes)S510に戻る。つまり、S510〜S525で全てYesと判定し続ける間は、このループを繰り返す。
【0135】
一方、ログオフされたと判定すると(S525でNo)この処理を終える。一方、操作者用席に人が着座していない又はディスプレイ35の正面に人がいないと判定すると(S510でNo又はS520でNo)再び正面に人が来るのを待って、操作者が交代したかを判定する(S530)。具体的には、直前まで正面にいた人を画像センサ63からの情報に基づいて記憶しておき、次に人が座った時点で、新たに座った人と直前まで座っていた人とが違うかを判定する。操作者が交代していないと判定すると(S530でNo)S510に戻り、再びS510〜S525のループを繰り返す。
【0136】
一方、操作者が交代したと判定すると(S530でYes)ログオフして(S550)この処理を終える。
【0137】
以上に説明した操作制限システム3によれば、ログイン状態のコンピュータを酔った人が操作することを防ぐことができる。なぜなら、酔った人がログイン操作をすることができず、また、酔っていない人がログイン操作した後に別人が操作しようとすると、ログオフされるからである。
【0138】
また、実施例1と同じように、通信信号の信号強度は、二人以上を媒体とする場合は通信が成立しないように設定されているので、操作者用席に座っている酔った人と手を繋いだ人がログイン操作をする、ということを防ぐことができる。
【0139】
また、ログイン後に操作者が操作者用席を離れた時点でログオフしてもよい。同じ人が座り直す場合でも都度ログオフする必要はあるものの、画像による人の認証を誤ったときにログイン状態のコンピュータを酔った人が操作することを防ぐことができない、ということを避けることができる。
【0140】
また、血中アルコール濃度に応じて、ログインは禁止せずに、ログイン後の一部の操作を禁止することができる。また、予め割り当てられた操作者用席に座っている人だけがログインできるので、その席に座っていない人がログイン操作することを防ぐことができる。
【0141】
また、送信回路を備えた別の操作者用席に座っている人が、ログインすることを防ぐことができる。なぜなら、各パソコンに予め割り当てられた操作者用席が備える送信回路との間で通信が成立した場合だけ、ログインの禁止が解除され得るからである。
【0142】
また、実施例1と同じように、ログイン後に操作者が席を離れた時点でログオフしてもよい。また、検査ユニット23は、パソコン本体33と一体に構成されてもよい。
【0143】
また、検査ユニット23は、USB接続ではなく無線によってパソコン本体33と通信するようにしてもよい。この場合は、人体通信を閉回路によって構成しない技術(特願2007−334675)を参考にするとよい。
【実施例4】
【0144】
実施例4で説明する操作制限システム4は、操作制限システム3と同じように、酔った人がログイン状態のパソコンを操作することを防ぐためのものである。具体的には、操作者の血中アルコール濃度を検査して、閾値以上の値が測定された場合は、ログイン操作の禁止または強制ログオフをするためのものである。以下に詳細を説明する。なお、実施例1・2・3で説明したものと同じ符号が付いているものは原則、実施例1・2・3と同じものなので詳しくは説明しない。
【0145】
図13は操作制限システム4のブロック構成図である。操作制限システム4は、図13に示すように、送信回路10、送信I/F11、マウス24、パソコン本体34、ディスプレイ35を備える。そして、送信回路10、及び送信I/F11は、操作者用席内部に設置されている。
【0146】
マウス24には、実施例1・2で説明した光学式アルコール検出器211、及び受信I/F220が設置されており、操作のためにマウス24に触れると、血中アルコール濃度の検査を受けることになると共に、人体通信が成立するための十分な近さに、操作者の手が受信I/F220に接近することになる。
【0147】
そして、パソコン本体34は、マウス24から送信されてくる受信信号および検査信号に基づいてログイン・ログオフを制御する。なお、受信信号および制御信号には、実施例3と同じように、操作者用席を識別可能なイスIDが含まれている。
【0148】
なお、実施例1・3と同じように、通信信号の信号強度は、二人以上を媒体とする場合は通信が成立しないように設定されている。
【0149】
図14は、操作制限システム4の回路図である。以下の説明は、操作者がマウス24に触れている状態を前提とする。図14に示されるように、マウス24は、操作ボタンに受信I/F220及び光学式アルコール検出器211を備える。また、パソコン本体34は、受信ユニット40、CPU54、及び起電力検出部217を備える。
【0150】
そして、他の実施例と同じように、CPU54は、制御信号に基づいてログイン・ログオフを制御する。なお、送信回路10は、少なくともパソコンの電源ONの間は常に動作するように構成されている。そのためにパソコンが動作中であることを無線通信で通知を受けるような構成(図示なし)でもよいし、常に動作するような構成でもよい。
【0151】
図15は、パソコン操作制限処理を示したフローチャートである。この処理は、CPU54が主体となって実行する処理である。また、人体通信が成立したことを契機に開始され、人体通信が不成立になると強制終了になる処理である。なお、ログイン操作はマウス24を操作するだけ(例えば1クリック)で可能なように、パソコン本体34は構成されている。
【0152】
まず、制御信号に含まれるイスIDとパソコン本体34のパソコンIDとが一致するかを判定する(S610)。一致しないと判定すると(S610でNo)ログイン中であるかを判定する(S620)。ログイン中であると判定すると(S620でYes)「30秒後にパソコンをログオフします」というメッセージをディスプレイ35に表示する(S630)。そして、30秒後にログオフし(S640)S610に戻る。
【0153】
一方、ログオフ中であると判定すると(S620でNo)設定時間、待機して(S650)S610に戻る。待機するのは、その時間、ログイン操作を禁止するためである。
【0154】
一方、制御信号に含まれるイスIDとパソコン本体34のパソコンIDとが一致すると判定すると(S610でYes)血中アルコール濃度の検査結果が基準値H以上であるかを判定する(S660)。基準値H以上であると判定すると(S660でYes)S620に進む。一方、基準値H未満であると判定すると(S660でNo)一部制限処理を実行し(S6700)S610に戻る。
【0155】
ここで図16に移り、一部制限処理を説明する。図16は、一部制限処理を示したフローチャートである。まず、血中アルコール濃度の検査結果が基準値L未満であるかを判定する(S6710)。基準値L未満であると判定すると(S6710でYes)ログイン中であるかを判定する(S6720)。ログオフ中であると判定すると(S6720でNo)マウス24を通じてログイン操作が実行されたかを判定する(S6730)。ログイン操作が実行されていないと判定すると(S6730でNo)この処理を終えて、パソコン操作制限処理に戻る。
【0156】
一方、ログイン操作が実行されたと判定すると(S6730でYes)ログインを実行し(S6735)実施例3で説明した全操作可能モードに設定する(S6740)。そして、この処理を終え、パソコン操作制限処理に戻る。
【0157】
一方、ログイン中であると判定すると(S6720でYes)全操作可能モードに設定されているかを判定する(S6750)。全操作可能モードに設定されていると判定すると(S6750でYes)この処理を終えて、パソコン操作制限処理に戻る。一方、全操作可能モードに設定されていないと判定すると(S6750でNo)「全操作可能モードに移行します」というメッセージをディスプレイ35に表示する(S6760)。そして、全操作可能モードに設定し(S6740)この処理を終えて、パソコン操作制限処理に戻る。
【0158】
一方、血中アルコール濃度の検査結果が基準値L以上であると判定すると(S6710でNo)ログイン中であるかを判定する(S6770)。ログオフ中であると判定すると(S6770でNo)マウス24を通じてログイン操作が実行されたかを判定する(S6775)。ログイン操作が実行されていないと判定すると(S6775でNo)この処理を終えて、パソコン操作制限処理に戻る。
【0159】
一方、ログイン操作が実行されたと判定すると(S6775でYes)ログインを実行し(S6780)実施例3で説明した一部操作禁止モードに設定する(S6785)。そして、この処理を終え、パソコン操作制限処理に戻る。
【0160】
一方、ログイン中であると判定すると(S6770でYes)一部操作禁止モードに設定されているかを判定する(S6790)。一部操作禁止モードに設定されていると判定すると(S6790でYes)この処理を終えて、パソコン操作制限処理に戻る。
【0161】
一方、一部操作禁止モードに設定されていないと判定すると(S6790でNo)「一部操作禁止モードに移行します」というメッセージをディスプレイ35に表示する(S6795)。そして、一部操作禁止モードに設定し(S6785)この処理を終えて、パソコン操作制限処理に戻る。
【0162】
以上に説明した操作制限システム4によれば、ログイン状態のパソコンを酔った人が操作するのを防ぐことができる。特に、ログイン後に飲酒し始めた場合でも、それを発見してログオフすることができる。また、操作者の交代を監視する必要がないので、ハードウェアやソフトウェアが簡潔になる。
【0163】
また、人体通信を活用することで、検査結果が操作者を対象としていることになるので、操作者でない人を検査した結果に基づいてログイン・ログオフを制御することを避けることができる。また、酩酊度に応じて、ログインは禁止せずに、ログイン後の一部の操作を禁止することができる。
【0164】
また、CPU54は、人体通信が成立している時だけ、マウス24を通じた操作を受け付けるような構成でもよい。このようにすれば、操作者用席に座っていないと操作できないので、例えば横に立っている人が故意や過失で誤操作する、ということも防ぐことができる。
【0165】
また、実施例1〜4において、送受信を逆にしてもよい。例えば、実施例1において、通信信号がエンジン始動ボタン21から送信されて運転席内部で受信されるように、送信機10及び受信ユニット40が配置されてもよい。
【0166】
また、実施例3・4において、席IDは、人体通信ではなく、無線で送信されてもよい。また、送信側のアースは、操作者用席の接地部によって行ってもよい。また、送信I/Fや受信I/Fは、電極でもよい。また、伝播は、磁界でなくても電界や電磁界でもよく、励振方法は限定されない。
【0167】
ここで、特許請求の範囲と実施例との対応関係を補足説明する。まず、設定手段について説明する。エンジン始動制限処理は請求項3、運転者交代監視処理は請求項6、S240及びS360は請求項13、実施例1の最後に記載した変形例は請求項5、エンジン動作制限処理は請求項11、ログイン制限処理は請求項7、席IDは請求項17、S450及び一部制限処理は請求項16、操作者交代監視処理は請求項9、実施例3の最後に記載した変形例は請求項8、パソコン操作制限処理は請求項12に記載された設定手段にそれぞれ対応する。
【0168】
また、光学式アルコール検出器211及び呼気式アルコール検出器213は検査手段、送信回路10・送信I/F11・受信I/F220・受信回路40は通信手段、着座センサ70は着座判定手段、画像センサ60/63・着座センサ70は交代判定手段にそれぞれ対応する。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】実施例1の操作制限システムのブロック構成図。
【図2】実施例1の操作制限システムの回路図。
【図3】エンジン始動制限処理を示したフローチャート。
【図4】運転者交代監視処理を示したフローチャート。
【図5】実施例2の操作制限システムのブロック構成図。
【図6】実施例2の操作制限システムの回路図。
【図7】エンジン動作制限処理を示したフローチャート。
【図8】実施例3の操作制限システムのブロック構成図。
【図9】実施例3の操作制限システムの回路図。
【図10】ログインの可否設定・操作制限設定の関係を示したテーブル。
【図11】ログイン制限処理を示したフローチャート。
【図12】操作者交代監視処理を示すフローチャート。
【図13】実施例4の操作制限システムのブロック構成図。
【図14】実施例4の操作制限システムの回路図。
【図15】パソコン操作制限処理を示したフローチャート。
【図16】一部制限処理を示したフローチャート。
【符号の説明】
【0170】
1〜4…操作制限システム、10…送信回路、11…送信I/F、21…エンジン始動ボタン、22…ステアリングホイール、23…検査ユニット、24…マウス、33・34…パソコン本体、35…ディスプレイ、40…受信ユニット、41…受信回路、42…制御信号発生回路、51・52…エンジンECU、53・54…CPU、60・63…画像センサ、70…着座センサ、101…信号発生回路、103…基準発振回路、105…変調回路、107…フィルタ回路、109…増幅回路、211…光学式アルコール検出器、213…呼気式アルコール検出器、217…起電力検出部、220…受信I/F、401・409…増幅回路、403…フィルタ回路、405…局部発振回路、407…周波数変換回路、411…検波回路、413…判定回路、421…信号発生部、423…信号I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者用席に座っている所定装置の操作者の人体の状態に基づいて、前記所定装置を、操作を制限する制限状態に設定したり、操作を制限しない解除状態に設定したりする設定手段を備える操作制限システムであって、
送信機と受信機とを有し、前記送信機と前記受信機とに近接する人体を通信媒体とする通信手段と、
人体の状態を検査する検査手段とを備え、
前記検査手段は、当該検査手段が備える検査器が検査対象者に近接している状態で前記検査を実行し、
前記送信機および前記受信機の一方は、前記操作者用席に座っている人体に近接するように配置されており、他方は、前記検査手段の検査対象者の人体が前記検査のために前記検査器に近接すると、前記検査対象者の人体に近接するように配置されており、
前記設定手段は、前記通信手段による通信が成立している状態での前記検査手段の検査結果に基づいて、前記所定装置の状態を設定する
ことを特徴とする操作制限システム。
【請求項2】
前記設定手段は、前記通信手段による通信が成立していない状態の場合又は前記検査手段の検査結果が前記所定装置の操作に相応しいものでない場合は前記所定装置の始動操作に関して前記制限状態に設定し、一方、前記通信手段による通信が成立している状態において前記検査手段の検査結果が前記所定装置の操作に相応しいものである場合は前記所定装置の始動操作に関して前記解除状態に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の操作制限システム。
【請求項3】
前記所定装置は車両であり、
前記操作者用席は、前記車両の運転席であり、
前記検査手段は、人の酩酊度を測定するための検査を行い、
前記設定手段は、前記通信手段による通信が成立していない状態の場合又は基準度合以上の酩酊度が前記検査手段によって測定された場合は前記車両を走行可能にするための操作の禁止をし、前記通信手段による通信が成立している状態において前記基準度合未満の酩酊度が前記検査手段によって測定された場合は前記禁止を解除する
ことを特徴とする請求項2に記載の操作制限システム。
【請求項4】
前記検査手段は、呼気に含まれる成分に基づいて人の酩酊度を測定し、
前記送信機または前記受信機は、前記呼気による検査を受けるために検査対象者が口で咥える部位に配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の操作制限システム。
【請求項5】
前記運転席に人が座っているか否かを判定する着座判定手段を備え、
前記設定手段は、前記車両が走行可能な場合に前記運転席に人が座っていないと前記着座判定手段によって判定されたときは、前記車両の運転操作を制限する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の操作制限システム。
【請求項6】
前記運転席に座っている人が交代したか否かを判定する交代判定手段を備え、
前記設定手段は、前記車両が走行可能な場合に前記運転席に座っている人が交代したと前記交代判定手段によって判定されたとき、前記車両の運転操作を制限する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の操作制限システム。
【請求項7】
前記所定装置はコンピュータであり、
前記検査手段は、人の酩酊度を測定するための検査を行い、
前記設定手段は、前記通信手段による通信が成立していない状態の場合又は基準度合未満の酩酊度が前記検査手段によって測定された場合は当該コンピュータのログオフ状態からログイン状態への切り替え操作の禁止をし、一方、前記通信手段による通信が成立している状態において基準度合未満の酩酊度が前記検査手段によって測定された場合は前記禁止を解除する
ことを特徴とする請求項2に記載の操作制限システム。
【請求項8】
前記操作者用席に人が座っていること、及び前記コンピュータに備えられたディスプレイの正面に人が位置していることの両方が満たされるか、あるいは少なくとも一方が満たされていないかを判定する着座判定手段を備え、
前記設定手段は、前記コンピュータのログイン状態において、前記少なくとも一方が満たされていないと前記着座判定手段によって判定された場合、前記コンピュータのログオフをする
ことを特徴とする請求項7に記載の操作制限システム。
【請求項9】
前記操作者用席に人が座っていること、及び前記コンピュータに備えられたディスプレイの正面に人が位置していることの両方が満たされるか、あるいは少なくとも一方が満たされていないかを判定する着座判定手段と、
前記少なくとも一方が満たされないと前記着座判定手段によって判定された後に、前記コンピュータの正面に位置している人が交代したか否かを判定する交代判定手段とを備え、
前記設定手段は、前記コンピュータのログイン状態において、前記コンピュータの正面に位置している人が交代したと前記交代判定手段によって判定された場合、前記コンピュータのログオフをする
ことを特徴とする請求項7に記載の操作制限システム。
【請求項10】
前記検査器は、前記所定装置の接触型操作器に設けられることで、前記操作者が前記接触型操作器によって操作している時は、前記検査手段による検査が実行されるようになっており、
前記設定手段は、前記通信手段による通信が成立している状態において前記検査手段の検査結果が前記所定装置の操作に相応しいものでない場合、前記所定装置を前記制限状態に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の操作制限システム。
【請求項11】
前記所定装置は車両であり、
前記操作者用席は、前記車両の運転席であり、
前記検査器は、前記車両のステアリングホイールに設けられており、
前記検査手段は、前記ステアリングホイールに接触している手を検査することで、人の酩酊度を測定し、
前記設定手段は、前記通信手段による通信が成立している状態において基準値以上の酩酊度が前記検査手段によって測定された場合、前記車両が走行可能でないときは走行可能にするための操作を禁止し、前記車両が走行可能なときは運転操作を制限する
ことを特徴とする請求項10に記載の操作制限システム。
【請求項12】
前記所定装置はコンピュータであり、
前記検査手段は、前記接触型操作器に接触している手を検査することで、人体の酩酊度を測定し、
前記設定手段は、前記通信手段による通信が成立している状態で、基準値以上の酩酊度が前記検査手段によって測定された場合、前記コンピュータがログオフ状態のときはログイン状態への切り替え操作を禁止し、前記コンピュータが既にログイン状態のときはログオフをする
ことを特徴とする請求項10に記載の操作制限システム。
【請求項13】
前記設定手段は、前記車両の速度が停止判定速度以下の時だけ、当該車両の運転操作を制限する
ことを特徴とする請求項5、請求項6又は請求項11に記載の操作制限システム。
【請求項14】
前記車両を走行可能にするための操作は、当該車両に搭載された原動機の始動操作である
ことを特徴とする請求項3、請求項4又は請求項11に記載の操作制限システム。
【請求項15】
前記車両の運転操作の制限とは、当該車両に搭載された原動機の強制停止である
ことを特徴とする請求項5、請求項6、請求項11又は請求項13に記載の操作制限システム。
【請求項16】
前記設定手段は、前記基準度合未満かつ当該基準度合よりも低い基準である第二基準度合以上の酩酊度が前記検査手段によって測定された場合、前記コンピュータの一部の操作を制限する一部制限状態に設定する
ことを特徴とする請求項7、請求項8、請求項9又は請求項12に記載の操作制限システム。
【請求項17】
前記送信機は、前記操作者用席に座っている人体に近接するように配置されていると共に、当該送信機を示す情報を含む信号を送信するようになっており、
前記設定手段は、当該設定手段に予め定められた割り当てられた送信機を示す情報を含む信号を前記受信機が受信した場合に限り、前記通信手段による通信が成立している状態とみなす
ことを特徴とする請求項1〜請求項16の何れかに記載の操作制限システム。
【請求項18】
前記通信手段よって送受信される信号強度は、二人以上を媒体とする場合は通信が成立しないように設定されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項17の何れかに記載の操作制限システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−113581(P2010−113581A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286475(P2008−286475)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】