説明

放熱装置

【課題】電子装置の放熱装置において、放熱装置と発熱源との接合部分の熱疲労によるクラック発生を防止する。
【解決手段】放熱装置1は、放熱フィンなどの放熱部112を設けた放熱部材11を有し、放熱部材11の放熱部112の反対側の面に導熱部111を形成して、セラミック本体12を接続する。放熱装置1の導熱部111はセラミック本体12を介して発熱源と接合することにより、両者は熱膨張係数がほぼ等しいため、熱疲労を解消できる。
放熱部材11とセラミック本体12とは半田接合などにより直接接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱装置及びその製造方法に関し、特に、放熱部材とセラミック材料からなる部材とが直接接合されて構成されることにより、放熱装置と発熱源との接合部分に、熱疲労(thermal fatigue)によってクラック(crack)が発生する問題を解決することができる放熱装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体技術の進歩に伴い、集積回路の体積は、徐々に縮小されている。また、集積回路がさらに多くのデータを処理できるようにするために、集積回路には、従来より数倍以上の数の演算素子が積載されるようになっている。しかし、集積回路内の演算素子の数が増加することにより、演算素子が動作するときに発生する熱も多くなる。CPUを例に挙げると、最大稼動中のCPUから発生する熱は、CPU全体を焼損させるのに十分な熱量である。従って、集積回路の放熱装置は、非常に重要である。
【0003】
電子装置中のCPUユニット及びチップは、発熱源であるため、動作するとき、熱が発生する。CPUユニット及びチップの外部パッケージは、主に、セラミック材料からなる。セラミック材料は、熱膨張係数が低く、絶縁物質である上、熱膨張係数がチップに近いため、パッケージ材料及び半導体材料として大量に使用されている。
【0004】
放熱装置は、一般に、アルミニウム材料及び銅材料が放熱構造の材料とされる。また、ファン、ヒートパイプなどの放熱部材が組み合わされることにより、放熱効果が増強される。しかし、ファン及びヒートパイプを採用することにより、放熱装置全体の信頼性が低下してしまう。
【0005】
一般に、放熱装置は、全体の構造が簡素であるほど、信頼性が高くなる。また、銅の放熱能力よりも優れた材料を放熱構造の材料とすることにより、熱伝導率を直接改善することができる。
【0006】
また、放熱装置と発熱源との間の熱応力の問題は、製品の信頼性に関わるもう1つの問題である。発熱源(例えば、CPU内のチップ)の熱膨張係数は低いため、AlN(窒化アルミニウム)、SiC(炭化ケイ素)などの熱膨張係数が低いセラミック材料によってチップをパッケージすることにより、製品の信頼性を高めている。
【0007】
また、例えば、LEDの放熱に関し、アルミニウム材料及び銅材料の熱膨張係数は、サファイヤ(sapphire)よりも遥かに高い。そのため、高輝度LEDを長期間使用した場合、熱疲労により、アルミニウム材料及び銅材料とサファイヤとの接合部分にクラックが発生し、接合面の熱抵抗が上昇してしまう問題が発生しやすい。放熱境界面の熱抵抗が上昇した場合、高輝度LED製品に熱が蓄積することにより、LEDチップが損傷し、発光体が損壊する虞がある。
【0008】
従って、発熱源外部のセラミック材料と金属材料からなる放熱装置との接合部分に、熱膨張係数の相違によって発生する熱疲労により、クラックが発生する問題の早急な解決が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−95944号公報
【特許文献2】特開2009−283559号公報
【特許文献1】特表2005−510357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主な目的は、放熱装置と発熱源との接合部分に、熱疲労によってクラックが発生する問題を解決することができる放熱装置を提供することにある。
本発明のもう1つの目的は、放熱装置と発熱源との接合部分に、熱疲労によってクラックが発生する問題を解決することができる放熱装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明の放熱装置は、放熱部材を具える。
【0012】
放熱部材は、半導体装置などの発熱源に対する導熱部を有する。放熱部材の導熱部と反対側の面は、放熱フィンなどの放熱部を有する。導熱部には、発熱源に直接接合して熱を伝導するセラミック本体が接続される。
【0013】
放熱部材は、フィンを具えた放熱器、板型ヒートパイプ、ヒートパイプ又はウォータブロックである。
【0014】
セラミック本体の材料は、窒化ケイ素(Si)、酸化ジルコニウム(ZrO)又は酸化アルミニウム(Al)である。
【0015】
上述の課題を解決するために、本発明の放熱装置の製造方法は、以下のステップを含む。
【0016】
放熱フィンなどの放熱部及びその反対側の面に半導体装置などの発熱源に相対する導熱部を形成した放熱部材及び発熱源に直接接合されて熱を伝導するセラミック本体を準備する。
【0017】
放熱部材とセラミック本体とを接合する。
【0018】
放熱部材とセラミック本体との接合は、軟質はんだ接合、硬質はんだ接合、拡散接合、超音波溶接又は銅直接接合(Direct Bonding Copper:DBC)によって行われる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の放熱装置は、セラミック本体と放熱部材とが直接接合されて構成される。使用される際、セラミック本体と発熱源外部のセラミック外表面とが接合されることにより、放熱装置と発熱源との接合部分に、熱膨張係数の相違によって発生する熱疲労により、クラックが発生する問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態による放熱装置を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による放熱装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態による放熱装置を示す側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態による放熱装置を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態による放熱装置を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態による放熱装置を示す断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態による放熱装置を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の第4実施形態による放熱装置を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態による放熱装置の製造方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の目的、特徴および効果を示す実施形態を図面に沿って詳細に説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1〜図3を参照する。図1は、本発明の第1実施形態による放熱装置を示す分解斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態による放熱装置を示す斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態による放熱装置を示す側面図である。図1〜図3に示すように、本発明の第1実施形態による放熱装置1は、放熱部材11を具える。
【0023】
放熱部材11は、導熱部111を有する。放熱部材11の導熱部111と反対側の側面は、放熱部112を有する。導熱部111には、セラミック本体12が接続される。本実施形態中、放熱部材11は、放熱器である。また、セラミック本体12の材料は、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム又は酸化アルミニウムである。
【0024】
(第2実施形態)
図4及び図5を参照する。図4は、本発明の第2実施形態による放熱装置を示す分解斜視図である。図5は、本発明の第2実施形態による放熱装置を示す斜視図である。図4及び図5に示すように、本発明の第2実施形態による放熱装置は、第1実施形態による放熱装置と一部構造及び接続関係が同一であるため、同一部分は、ここでは繰り返して述べない。本発明の第2実施形態による放熱装置は、放熱部材11が板型ヒートパイプである点が第1実施形態と異なる。セラミック本体12は、放熱部材11の導熱部111に接合される。
【0025】
(第3実施形態)
図6を参照する。図6は、本発明の第3実施形態による放熱装置を示す断面図である。図6に示すように、本発明の第3実施形態による放熱装置は、第1実施形態による放熱装置と一部構造及び接続関係が同一であるため、同一部分は、ここでは繰り返して述べない。本発明の第3実施形態による放熱装置は、放熱部材11がヒートパイプである点が第1実施形態と異なる。セラミック本体12には、放熱部材11の導熱部111が接合される。
【0026】
(第4実施形態)
図7及び図8を参照する。図7は、本発明の第4実施形態による放熱装置を示す分解斜視図である。図8は、本発明の第4実施形態による放熱装置を示す斜視図である。図7及び図8に示すように、本発明の第4実施形態による放熱装置は、第1実施形態による放熱装置と一部構造及び接続関係が同一であるため、同一部分は、ここでは繰り返して述べない。本発明の第4実施形態による放熱装置は、放熱部材11がウォータブロックである点が第1実施形態と異なる。セラミック本体12は、放熱部材11の導熱部111に接合される。
【0027】
図9を参照する。図9は、本発明の一実施形態による放熱装置の製造方法を示すフロー図である。図1〜図8を合わせて参照する。本発明の一実施形態による放熱装置の製造方法は、以下のステップからなる。
【0028】
S1:放熱部材及びセラミック本体を準備する。
【0029】
S1において、放熱部材11及びセラミック本体12を準備する。放熱部材11は、放熱器、板型ヒートパイプ、ヒートパイプ又はウォータブロックである。セラミック本体12の材料は、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム又は酸化アルミニウムである。
【0030】
S2:放熱部材とセラミック本体とを接合する。
【0031】
S2において、放熱部材11の導熱部111とセラミック本体12とを接合する。放熱部材11とセラミック本体12との接合は、軟質はんだ接合、硬質はんだ接合、拡散接合、超音波溶接又は銅直接接合によって行われる。
【0032】
本発明の放熱装置は、放熱部材11(例えば、放熱器、板型ヒートパイプ、ヒートパイプ、ウォータブロックなど)と発熱源との間にセラミック本体12が接合されて構成される。セラミック本体12の熱膨張係数は、発熱源の外部に封止されたセラミックパッケージの熱膨張係数に近いため、放熱装置11と発熱源との接合部分に、熱膨張係数の相違によって発生する熱疲労により、クラックが発生する問題を解決することができ、放熱部材の適用範囲を広げることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 放熱装置
11 放熱部材
111 導熱部
112 放熱部
12 セラミック本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱部材を備える放熱装置であって、
前記放熱部材は、発熱源に対する導熱部を有し、前記放熱部材の前記導熱部と反対側の面は、放熱部を有し、前記導熱部には発熱源に直接接するセラミック本体が接続されることを特徴とする放熱装置。
【請求項2】
前記放熱部材は、放熱器、板型ヒートパイプ、ヒートパイプ又はウォータブロックであることを特徴とする請求項1に記載の放熱装置。
【請求項3】
前記セラミック本体の材料は、窒化ケイ素(Si)、酸化ジルコニウム(ZrO)又は酸化アルミニウム(Al)であることを特徴とする請求項1に記載の放熱装置。
【請求項4】
前記放熱部材と前記セラミック本体との接合は、軟質はんだ接合、硬質はんだ接合、拡散接合、超音波溶接又は銅直接接合(Direct Bonding Copper:DBC)によって接合されることを特徴とする請求項1に記載の放熱装置。
【請求項5】
放熱部及び放熱部の反対面に発熱源に対する導熱部を設けた放熱部材、及び発熱源に直接接してその熱を伝導するセラミック本体を準備するステップと、
前記放熱部材と前記セラミック本体とを接合するステップと、を含むことを特徴とする放熱装置の製造方法。
【請求項6】
前記放熱部材と前記セラミック本体との接合は、軟質はんだ接合、硬質はんだ接合又は超音波溶接によって行われることを特徴とする請求項5に記載の放熱装置の製造方法。
【請求項7】
前記放熱部材と前記セラミック本体との接合は、拡散接合によって行われることを特徴とする請求項5に記載の放熱装置の製造方法。
【請求項8】
前記セラミック本体の材料は、窒化ケイ素(Si)、酸化ジルコニウム(ZrO)又は酸化アルミニウム(Al)であることを特徴とする請求項5に記載の放熱装置の製造方法。
【請求項9】
前記放熱部材と前記セラミック本体との接合は、銅直接接合(Direct Bonding Copper:DBC)によって行われることを特徴とする請求項5に記載の放熱装置の製造方法。
【請求項10】
前記放熱部材は、放熱器、板型ヒートパイプ、ヒートパイプ又はウォータブロックであることを特徴とする請求項5に記載の放熱装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−55218(P2013−55218A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192443(P2011−192443)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(504115301)奇▲こう▼科技股▲ふん▼有限公司 (82)
【Fターム(参考)】