散乱体内部計測装置及び散乱体内部計測方法
【課題】散乱体の内部に存在する測定対象の情報を、簡便且つ短時間で取得できる散乱体内部計測装置及び該装置を用いた計測方法を提供することを目的とする。
【解決手段】散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測装置であって、前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する照明手段と、前記照明手段により照射された光の後方散乱光を2次元画像として検出する検出手段と、前記検出手段により取得された2次元画像データにおいて前記測定対象の存在の有無を確認し、前記2次元画像上における前記照射位置と前記測定対象が確認された位置との距離から、前記散乱体における前記測定対象の深度を含めた位置情報を求める解析手段とを備え、前記照明手段と前記検出手段が前記散乱体に非接触で計測が行われることを特徴とする散乱体内部計測装置を提供する。
【解決手段】散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測装置であって、前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する照明手段と、前記照明手段により照射された光の後方散乱光を2次元画像として検出する検出手段と、前記検出手段により取得された2次元画像データにおいて前記測定対象の存在の有無を確認し、前記2次元画像上における前記照射位置と前記測定対象が確認された位置との距離から、前記散乱体における前記測定対象の深度を含めた位置情報を求める解析手段とを備え、前記照明手段と前記検出手段が前記散乱体に非接触で計測が行われることを特徴とする散乱体内部計測装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いる非侵襲方法で散乱体内部を計測する散乱体内部計測装置及び計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体等の散乱体の内部を計測するには様々な手法がある。その一つである光を用いた計測は、用いる光の波長を選択することにより特定の対象を計測できるという利点を有している。この手法では、測定対象に吸収される波長の光を散乱体に照射し、その後方散乱光強度を計測することにより、散乱体内部にある測定対象の位置と深度情報が得られる。後方散乱光は、照射位置と計測位置との距離が大きくなるほど、散乱体のより深部を通ってきた光であることが知られている。
【0003】
特許文献1には、光照射手段の位置から順次遠ざかる位置に複数の光検出手段を備えた構成を有する生体光計測装置が開示されている。また、該装置による計測結果に基づいて、生体の断層画像を再構成する手段も開示されている。
【0004】
特許文献2には、光照射部から同心円状等のような所定の間隔で配置された複数の光検出部を備えた構成を有する生体光計測装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006-200943号公報
【特許文献2】特開2007-20735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の装置では光照射手段と光検出手段が一体に構成されているために、照射位置と検出位置との距離が固定されている。従って、照射位置から任意の距離の位置で検出を行うことができないという問題がある。
【0006】
また、所望の深度での断層画像を得るためには、多くの測定点で測定を行わなければならず、断層画像を取得するのに多くの時間を要するという問題がある。
【0007】
また、より深部の情報を取得するためには照射位置と検出位置との距離をより大きくしなければならないが、上記のような従来装置でそのような構成をとると、装置のサイズが大きくなるという問題がある。
【0008】
またさらに、計測される後方散乱光は、照射位置と検出位置との間の中点の位置において最も深部を通る。即ち、観察される情報のうち最深部の情報は、照射位置と検出位置との中点の位置におけるものである。そのため、特許文献2のように検出部が光照射部から順次離れた位置に配置された装置では、計測される最深部のx、y方向の位置が、光照射部と検出部の距離が大きくなるにつれて、照射位置から遠くなってゆく。従って、ある特定の位置において、深度(z方向)を変化させた情報を得ることができないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題に鑑み、本発明は、散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測装置であって、前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する照明手段と、前記照明手段により照射された光の後方散乱光を2次元画像として検出する検出手段と、前記検出手段により取得された2次元画像データにおいて前記測定対象の存在の有無を確認し、前記2次元画像上における前記照射位置と前記測定対象が確認された位置との距離から、前記散乱体における前記測定対象の深度を含めた位置情報を求める解析手段とを備え、前記照明手段と前記検出手段が前記散乱体に非接触で計測が行われることを特徴とする散乱体内部計測装置並びに該装置を用いた計測方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、後方散乱光を2次元画像として検出することにより、照射位置から所望の距離に位置するデータを任意に解析することができる。よって、所望の位置及び深度の情報を容易に取得することができる。
さらに照射位置を移動させることにより、多くの情報を簡便且つ短時間で取得することができ、容易に断層画像を作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の散乱体内部計測装置について説明する。本発明において、散乱体とは、散乱媒質で構成される任意のものを意味し、その例として生体が挙げられる。本発明の散乱体内部計測装置は、散乱体内部の散乱媒質中に存在する測定対象について計測するものである。本発明における測定対象とは、例えば血管などであってよいがこれに限定されない。
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る散乱体内部計測装置1のブロック構成図である。同図に示すように、散乱体内部計測装置1は、可動性の光照射部10、検出部11、制御/解析部12、メモリ13、表示部14、入力部15を具備している。
【0013】
光照射部10は、散乱体8内部の測定対象7とその周囲の散乱媒質6とで光学特性の異なる光を照射する照明手段である。光照射部には例えばLDなどを用いることができるがこれらに限定されない。この光照射部10から照射される光には、例えば、測定対象には吸収されるが散乱媒質には吸収されない波長の光を使用することができる。光照射部10は、制御/解析部12からの制御信号に基づいて光を散乱体8に向けて照射する。
【0014】
検出部11は、光照射部10によって照射された光が、散乱体8の散乱媒質6と測定対象7により、反射、散乱、吸収され、散乱体表面から出射された後方散乱光強度を検出するものである。本実施形態においては、検出部11に光信号を2次元画像データとして検出できる撮像素子を用いる。例えばCCDを用いることができるがこれに限定されない。検出部11は、制御/解析部12からの制御に基づいて後方散乱光を検出する。
【0015】
上記の光照射部10、検出部11、表示部14及び入力部15は、電気信号が伝送される信号回路によって制御/解析部12に接続される。
【0016】
制御/解析部12は、光照射部10、検出部11の動作を制御すると共に、検出部11によって検出された2次元画像データを解析し、測定対象7が散乱体8の内部に存在しているか否かを確認する。散乱体8の内部に測定対象7が存在している場合、2次元画像データ上での光の照射位置と測定対象7が確認された位置との距離などから、散乱体8において測定対象7が実際に存在する位置や深度が解析される。また制御/解析部12は、検出されたデータを記憶するメモリ13を備える。
【0017】
本実施形態においては検出部11として2次元画像データを取得できる撮像素子を用いるが、撮像素子の光学系の画角の観点から、検出部11が散乱体8に接触せずに離れているほうが広い領域を計測できる。そこで、本実施形態における光照射部10及び検出部11は、散乱体に接触せずに一定距離を隔てて照射及び検出を行う。これにより、検出部11は散乱体の広い領域を一度に計測することができる。この検出部11により一度に検出される領域をここでは計測領域と称する。
【0018】
次に、本実施形態に係る散乱体内部計測装置1の作用を説明する。
【0019】
図2は本発明に係る散乱体内部計測装置1の動作を表したフローチャートである。S1において、散乱体に光を照射する位置を決定する。S2において、光照射部10により散乱体に光を照射する。S3において、検出部11により、散乱体8内部の散乱媒質6により反射、散乱、吸収され、再度散乱体表面に戻ってきた後方散乱光強度を2次元画像として検出する。検出されたデータはS4においてメモリ13中に記憶される。S5において、測定が終了か否か判断し、終了でなければS1に戻って測定を続ける。終了の場合はS6へ移行する。
【0020】
S6において、制御/解析部12がメモリ13に記憶されたデータを解析する。解析結果はS7において表示部14に表示される。S8において計測を終了するか否かを判断し、終了でなければ、S1に戻って計測を続けるかS6に戻って解析を続ける。
【0021】
S6における解析は、以下のような解析手法により行われる。
一つの解析方法として、得られた2次元画像データから、測定対象の位置と深度が解析される。
図3は散乱体内部の光の伝搬の様子を表す概念図である。一般的に散乱体に照射された光は、散乱体内部で散乱を繰り返すうちに散乱の異方性が失われて等方散乱に近づく。この結果、平均的な光経路の断面はバナナ状になることが知られている。
【0022】
図3において、光の照射位置から近い位置I1では散乱体の表面近くを伝搬してきた光が多く検出される。一方、照射位置から離れた位置I2では散乱体のより深部を伝搬してきた光が多く検出される。このように、光の照射位置から検出位置までの距離に応じて、検出された光が伝播してきた深度が変化する。この性質を利用して、測定対象が散乱体内部のいずれの深度に存在するかを解析する。
【0023】
例えば、図3(a)において測定対象は検出位置I1とI2の間の表面近くにある。この場合、検出位置I1とI2における検出光には変化が見られない。一方、図3(b)において測定対象は検出位置I1とI2の間のより深い位置にある。このとき、検出位置I1における検出光には変化が見られないが、検出位置I2における検出光は減弱する。これによって、測定対象の位置と深度が決定される。
【0024】
このように、2次元画像データ上で後方散乱光強度の弱いポイントが見出された場合、そのポイントと光照射位置との距離を基に解析を行い、深度と位置を算出する。
【0025】
また他の解析方法として、得られた2次元画像データから、一定深度での断層画像が作成される。
図4に、計測領域で計測される後方散乱光の模式図を示した。光照射部10から散乱体上に光が照射された位置をバツ印で示し、検出部11によって撮像される計測領域40を点線で示した。散乱体8によって反射、散乱、吸収され、散乱体表面から出射された後方散乱光は、図に示すように照射位置を中心とする同心円状になる。ここで、図4(a)に示すように、同心円の直径が大きくなるほど、散乱体のより深部を通ってきた光である。図4(b)においては同心円領域41、42及び43は、それぞれが略同じ深度の情報を有すると見なすことができる。またその深度は照射位置からその同心円までの距離に対応するため、同心円領域41、42及び43の順に深度が深い。よって、2次元画像データから、同心円領域の画像データを抽出することにより、一定の深度における画像データを選択的に取り出すことができ、選択されたデータから該深度での断層画像を作成することができる。
【0026】
なお、上記の解析方法は、光照射部10の位置を変化させて計測を行うことにより、解析に使用できる情報を簡便により多く取得することができる。
図5は、光照射部10による照射位置を変化させて測定した様子を示す。検出部11は固定されており、計測領域50も移動しない。しかし、光照射部10によって照射する位置を変動させることにより、上述したような同心円領域が移動する。この様子を図6に示す。
【0027】
図6(a)〜(c)は、同心円領域51、52及び53のそれぞれが移動した軌跡を示す模式図である。それぞれの同心円領域は同じ深度の情報を有している。従って、複数の計測結果を図6に示すように重ね合わせることにより、その深度での断層画像を作成することができる。なお、データを重ね合わせる際に重複する部分が生じるが、重複するデータから任意のデータを選択的に用いるか、重複するデータの平均値を用いればよい。
【0028】
このように、照射位置を移動させることにより、より多くの情報を簡便に取得することができる。なお、照射位置を移動させる場合、光照射部10が可動可能なように構成される。光照射部10は、それ自体が自由に移動できる構成であってもよく、また或いは光を照射する角度を変動させて照射位置を移動させる構成であってもよい。
【0029】
光照射部10のみを移動させることにより、散乱体内部計測装置自体を移動させることなく、複数の2次元画像データを容易に取得することができ、断層画像作成に必要な検出データを効率よく取得することができる。これにより、測定時間を短縮することが出来る。
【0030】
さらに他の解析方法として、得られた2次元画像データから、所望の位置の任意の深度における情報を得ることができる。
【0031】
上述したように、光照射部10の位置を変化させて計測を行うことにより、解析に使用できる多くの情報を容易に取得することができる。さらに、検出されるデータが2次元画像であるため、画像中の所望の位置におけるデータを任意に使用することがきる。従って、上記のように得られた複数の2次元画像データ上で、所望の位置と前記照射位置との間の距離と等しい距離だけ前記所望の位置から離れた位置におけるデータを解析することにより、前記所望の位置の任意の深度における情報を簡便に得ることができる。この場合、情報を得たい深度に応じて、所望の位置と、照射位置並びに解析するデータの位置との距離が決定される。
【0032】
なお、上述した各解析方法においては、図2のデータ解析工程S6において、照射位置と検出位置との距離を求める際、検出部11の光学系の焦点距離や倍率などを考慮に入れる。さらに、内視鏡などの検出手段で用いられる撮像系の場合、歪曲収差がおこることがある。この場合は、あらかじめ格子チャートなどで歪曲収差の影響の大きさを求めておき、照射位置と検出位置との距離を求める際に考慮に入れる。
【0033】
図7〜9は、本第1の実施形態に係る散乱体内部計測装置1の変形例を表すブロック図である。図7は、スポット状の照明光を発する光照射部70が複数備えられた装置である。図8は、ライン状の照明光を発する光照射部80が備えられた装置である。図9は、ライン状の照明光を発する光照射部90が複数備えられた装置である。これらの変形例によれば、一度の測定で多くのデータを検出することができ、測定時間をより短縮することが出来る。なお、ライン状の照明光は光強度が均一であることが好ましい。或いは、光の強度に応じて補正を行う手段を備えることが好ましい。また、光照射部が複数備えられる場合、各光照射部は、それぞれの光によって得られる検出データが互いに干渉しない程度離れた位置に配置される。
【0034】
以上説明したように、本実施形態では、計測されるデータが2次元画像データであるため、照射位置から任意の距離だけ離れた位置のデータを自由に選択することが出来る。それ故、照射位置及び検出位置を設定する際の自由度が高い。また、2次元画像データであるため一度の計測でより多くの情報を取得することができる。その上、散乱体と非接触で計測を行うため、より広い領域を一度に計測することができ、深部の情報も簡便に取得できる。そのため装置を大型化する必要がない。さらに、照射位置及び検出位置の自由度が高いため、所望の位置の任意の深度における情報を容易に得ることができる。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図10は、第2の実施形態に係る散乱体内部計測装置100のブロック構成図である。本散乱体内部計測装置100においては、光照明部109が可動可能に備えられる。また、検出部101は光検出素子107を複数具備する。光検出素子107は、散乱体8の表面に沿って光照射部109から遠ざかる一方向に沿って配列されてもよく、或いは、散乱体8の表面に沿って二次元マトリックス状に配列されてもよい。
【0036】
このような第2の実施形態に係る散乱体内部計測装置100によれば、光照射部109を可動させ、所望の位置を中心として、照射位置と対称となる位置にある光検出素子107によって取得されたデータを解析することにより、所望の位置における任意の深度の情報を容易に得ることができる。
【0037】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。図11は、第3の実施形態に係る散乱体内部計測装置110のブロック構成図である。本散乱体内部計測装置110においては、光照明部119及び検出部120が可動可能に備えられる。
【0038】
このような第3の実施形態に係る散乱体内部計測装置110によれば、光照射部119と検出部120を可動させ、所望の位置を中心として、等距離となる位置にそれぞれを配置する。これにより、所望の位置における任意の深度の情報を得ることができる。得られる情報の深度は、所望の位置と光照射部119及び検出部120との距離を適宜調節することによって容易に変化させることができる。
【0039】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が可能である。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組合せることも可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1の実施形態に係る散乱体内部計測装置のブロック構成図。
【図2】本発明に係る散乱体内部計測装置の動作を表したフローチャート。
【図3】散乱体内部の光の伝搬の様子を表す概念図。
【図4】第1の実施形態に係る散乱体内部計測装置により得られる2次元画像データの模式図。
【図5】照射位置を変えて測定したときの2次元画像データの模式図。
【図6】照射位置を変えて測定したときの等深度データの軌跡を示す模式図。
【図7】第1の実施形態に係る散乱体内部計測装置の変形例。
【図8】第1の実施形態に係る散乱体内部計測装置の変形例。
【図9】第1の実施形態に係る散乱体内部計測装置の変形例。
【図10】第2の実施形態に係る散乱体内部計測装置のブロック構成図。
【図11】第3の実施形態に係る散乱体内部計測装置のブロック構成図。
【符号の説明】
【0041】
1…散乱体内部計測装置、10…光照射部、11…検出部、12…制御/解析部、13…メモリ、14…表示部、15…入力部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いる非侵襲方法で散乱体内部を計測する散乱体内部計測装置及び計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体等の散乱体の内部を計測するには様々な手法がある。その一つである光を用いた計測は、用いる光の波長を選択することにより特定の対象を計測できるという利点を有している。この手法では、測定対象に吸収される波長の光を散乱体に照射し、その後方散乱光強度を計測することにより、散乱体内部にある測定対象の位置と深度情報が得られる。後方散乱光は、照射位置と計測位置との距離が大きくなるほど、散乱体のより深部を通ってきた光であることが知られている。
【0003】
特許文献1には、光照射手段の位置から順次遠ざかる位置に複数の光検出手段を備えた構成を有する生体光計測装置が開示されている。また、該装置による計測結果に基づいて、生体の断層画像を再構成する手段も開示されている。
【0004】
特許文献2には、光照射部から同心円状等のような所定の間隔で配置された複数の光検出部を備えた構成を有する生体光計測装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006-200943号公報
【特許文献2】特開2007-20735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の装置では光照射手段と光検出手段が一体に構成されているために、照射位置と検出位置との距離が固定されている。従って、照射位置から任意の距離の位置で検出を行うことができないという問題がある。
【0006】
また、所望の深度での断層画像を得るためには、多くの測定点で測定を行わなければならず、断層画像を取得するのに多くの時間を要するという問題がある。
【0007】
また、より深部の情報を取得するためには照射位置と検出位置との距離をより大きくしなければならないが、上記のような従来装置でそのような構成をとると、装置のサイズが大きくなるという問題がある。
【0008】
またさらに、計測される後方散乱光は、照射位置と検出位置との間の中点の位置において最も深部を通る。即ち、観察される情報のうち最深部の情報は、照射位置と検出位置との中点の位置におけるものである。そのため、特許文献2のように検出部が光照射部から順次離れた位置に配置された装置では、計測される最深部のx、y方向の位置が、光照射部と検出部の距離が大きくなるにつれて、照射位置から遠くなってゆく。従って、ある特定の位置において、深度(z方向)を変化させた情報を得ることができないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題に鑑み、本発明は、散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測装置であって、前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する照明手段と、前記照明手段により照射された光の後方散乱光を2次元画像として検出する検出手段と、前記検出手段により取得された2次元画像データにおいて前記測定対象の存在の有無を確認し、前記2次元画像上における前記照射位置と前記測定対象が確認された位置との距離から、前記散乱体における前記測定対象の深度を含めた位置情報を求める解析手段とを備え、前記照明手段と前記検出手段が前記散乱体に非接触で計測が行われることを特徴とする散乱体内部計測装置並びに該装置を用いた計測方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、後方散乱光を2次元画像として検出することにより、照射位置から所望の距離に位置するデータを任意に解析することができる。よって、所望の位置及び深度の情報を容易に取得することができる。
さらに照射位置を移動させることにより、多くの情報を簡便且つ短時間で取得することができ、容易に断層画像を作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の散乱体内部計測装置について説明する。本発明において、散乱体とは、散乱媒質で構成される任意のものを意味し、その例として生体が挙げられる。本発明の散乱体内部計測装置は、散乱体内部の散乱媒質中に存在する測定対象について計測するものである。本発明における測定対象とは、例えば血管などであってよいがこれに限定されない。
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る散乱体内部計測装置1のブロック構成図である。同図に示すように、散乱体内部計測装置1は、可動性の光照射部10、検出部11、制御/解析部12、メモリ13、表示部14、入力部15を具備している。
【0013】
光照射部10は、散乱体8内部の測定対象7とその周囲の散乱媒質6とで光学特性の異なる光を照射する照明手段である。光照射部には例えばLDなどを用いることができるがこれらに限定されない。この光照射部10から照射される光には、例えば、測定対象には吸収されるが散乱媒質には吸収されない波長の光を使用することができる。光照射部10は、制御/解析部12からの制御信号に基づいて光を散乱体8に向けて照射する。
【0014】
検出部11は、光照射部10によって照射された光が、散乱体8の散乱媒質6と測定対象7により、反射、散乱、吸収され、散乱体表面から出射された後方散乱光強度を検出するものである。本実施形態においては、検出部11に光信号を2次元画像データとして検出できる撮像素子を用いる。例えばCCDを用いることができるがこれに限定されない。検出部11は、制御/解析部12からの制御に基づいて後方散乱光を検出する。
【0015】
上記の光照射部10、検出部11、表示部14及び入力部15は、電気信号が伝送される信号回路によって制御/解析部12に接続される。
【0016】
制御/解析部12は、光照射部10、検出部11の動作を制御すると共に、検出部11によって検出された2次元画像データを解析し、測定対象7が散乱体8の内部に存在しているか否かを確認する。散乱体8の内部に測定対象7が存在している場合、2次元画像データ上での光の照射位置と測定対象7が確認された位置との距離などから、散乱体8において測定対象7が実際に存在する位置や深度が解析される。また制御/解析部12は、検出されたデータを記憶するメモリ13を備える。
【0017】
本実施形態においては検出部11として2次元画像データを取得できる撮像素子を用いるが、撮像素子の光学系の画角の観点から、検出部11が散乱体8に接触せずに離れているほうが広い領域を計測できる。そこで、本実施形態における光照射部10及び検出部11は、散乱体に接触せずに一定距離を隔てて照射及び検出を行う。これにより、検出部11は散乱体の広い領域を一度に計測することができる。この検出部11により一度に検出される領域をここでは計測領域と称する。
【0018】
次に、本実施形態に係る散乱体内部計測装置1の作用を説明する。
【0019】
図2は本発明に係る散乱体内部計測装置1の動作を表したフローチャートである。S1において、散乱体に光を照射する位置を決定する。S2において、光照射部10により散乱体に光を照射する。S3において、検出部11により、散乱体8内部の散乱媒質6により反射、散乱、吸収され、再度散乱体表面に戻ってきた後方散乱光強度を2次元画像として検出する。検出されたデータはS4においてメモリ13中に記憶される。S5において、測定が終了か否か判断し、終了でなければS1に戻って測定を続ける。終了の場合はS6へ移行する。
【0020】
S6において、制御/解析部12がメモリ13に記憶されたデータを解析する。解析結果はS7において表示部14に表示される。S8において計測を終了するか否かを判断し、終了でなければ、S1に戻って計測を続けるかS6に戻って解析を続ける。
【0021】
S6における解析は、以下のような解析手法により行われる。
一つの解析方法として、得られた2次元画像データから、測定対象の位置と深度が解析される。
図3は散乱体内部の光の伝搬の様子を表す概念図である。一般的に散乱体に照射された光は、散乱体内部で散乱を繰り返すうちに散乱の異方性が失われて等方散乱に近づく。この結果、平均的な光経路の断面はバナナ状になることが知られている。
【0022】
図3において、光の照射位置から近い位置I1では散乱体の表面近くを伝搬してきた光が多く検出される。一方、照射位置から離れた位置I2では散乱体のより深部を伝搬してきた光が多く検出される。このように、光の照射位置から検出位置までの距離に応じて、検出された光が伝播してきた深度が変化する。この性質を利用して、測定対象が散乱体内部のいずれの深度に存在するかを解析する。
【0023】
例えば、図3(a)において測定対象は検出位置I1とI2の間の表面近くにある。この場合、検出位置I1とI2における検出光には変化が見られない。一方、図3(b)において測定対象は検出位置I1とI2の間のより深い位置にある。このとき、検出位置I1における検出光には変化が見られないが、検出位置I2における検出光は減弱する。これによって、測定対象の位置と深度が決定される。
【0024】
このように、2次元画像データ上で後方散乱光強度の弱いポイントが見出された場合、そのポイントと光照射位置との距離を基に解析を行い、深度と位置を算出する。
【0025】
また他の解析方法として、得られた2次元画像データから、一定深度での断層画像が作成される。
図4に、計測領域で計測される後方散乱光の模式図を示した。光照射部10から散乱体上に光が照射された位置をバツ印で示し、検出部11によって撮像される計測領域40を点線で示した。散乱体8によって反射、散乱、吸収され、散乱体表面から出射された後方散乱光は、図に示すように照射位置を中心とする同心円状になる。ここで、図4(a)に示すように、同心円の直径が大きくなるほど、散乱体のより深部を通ってきた光である。図4(b)においては同心円領域41、42及び43は、それぞれが略同じ深度の情報を有すると見なすことができる。またその深度は照射位置からその同心円までの距離に対応するため、同心円領域41、42及び43の順に深度が深い。よって、2次元画像データから、同心円領域の画像データを抽出することにより、一定の深度における画像データを選択的に取り出すことができ、選択されたデータから該深度での断層画像を作成することができる。
【0026】
なお、上記の解析方法は、光照射部10の位置を変化させて計測を行うことにより、解析に使用できる情報を簡便により多く取得することができる。
図5は、光照射部10による照射位置を変化させて測定した様子を示す。検出部11は固定されており、計測領域50も移動しない。しかし、光照射部10によって照射する位置を変動させることにより、上述したような同心円領域が移動する。この様子を図6に示す。
【0027】
図6(a)〜(c)は、同心円領域51、52及び53のそれぞれが移動した軌跡を示す模式図である。それぞれの同心円領域は同じ深度の情報を有している。従って、複数の計測結果を図6に示すように重ね合わせることにより、その深度での断層画像を作成することができる。なお、データを重ね合わせる際に重複する部分が生じるが、重複するデータから任意のデータを選択的に用いるか、重複するデータの平均値を用いればよい。
【0028】
このように、照射位置を移動させることにより、より多くの情報を簡便に取得することができる。なお、照射位置を移動させる場合、光照射部10が可動可能なように構成される。光照射部10は、それ自体が自由に移動できる構成であってもよく、また或いは光を照射する角度を変動させて照射位置を移動させる構成であってもよい。
【0029】
光照射部10のみを移動させることにより、散乱体内部計測装置自体を移動させることなく、複数の2次元画像データを容易に取得することができ、断層画像作成に必要な検出データを効率よく取得することができる。これにより、測定時間を短縮することが出来る。
【0030】
さらに他の解析方法として、得られた2次元画像データから、所望の位置の任意の深度における情報を得ることができる。
【0031】
上述したように、光照射部10の位置を変化させて計測を行うことにより、解析に使用できる多くの情報を容易に取得することができる。さらに、検出されるデータが2次元画像であるため、画像中の所望の位置におけるデータを任意に使用することがきる。従って、上記のように得られた複数の2次元画像データ上で、所望の位置と前記照射位置との間の距離と等しい距離だけ前記所望の位置から離れた位置におけるデータを解析することにより、前記所望の位置の任意の深度における情報を簡便に得ることができる。この場合、情報を得たい深度に応じて、所望の位置と、照射位置並びに解析するデータの位置との距離が決定される。
【0032】
なお、上述した各解析方法においては、図2のデータ解析工程S6において、照射位置と検出位置との距離を求める際、検出部11の光学系の焦点距離や倍率などを考慮に入れる。さらに、内視鏡などの検出手段で用いられる撮像系の場合、歪曲収差がおこることがある。この場合は、あらかじめ格子チャートなどで歪曲収差の影響の大きさを求めておき、照射位置と検出位置との距離を求める際に考慮に入れる。
【0033】
図7〜9は、本第1の実施形態に係る散乱体内部計測装置1の変形例を表すブロック図である。図7は、スポット状の照明光を発する光照射部70が複数備えられた装置である。図8は、ライン状の照明光を発する光照射部80が備えられた装置である。図9は、ライン状の照明光を発する光照射部90が複数備えられた装置である。これらの変形例によれば、一度の測定で多くのデータを検出することができ、測定時間をより短縮することが出来る。なお、ライン状の照明光は光強度が均一であることが好ましい。或いは、光の強度に応じて補正を行う手段を備えることが好ましい。また、光照射部が複数備えられる場合、各光照射部は、それぞれの光によって得られる検出データが互いに干渉しない程度離れた位置に配置される。
【0034】
以上説明したように、本実施形態では、計測されるデータが2次元画像データであるため、照射位置から任意の距離だけ離れた位置のデータを自由に選択することが出来る。それ故、照射位置及び検出位置を設定する際の自由度が高い。また、2次元画像データであるため一度の計測でより多くの情報を取得することができる。その上、散乱体と非接触で計測を行うため、より広い領域を一度に計測することができ、深部の情報も簡便に取得できる。そのため装置を大型化する必要がない。さらに、照射位置及び検出位置の自由度が高いため、所望の位置の任意の深度における情報を容易に得ることができる。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図10は、第2の実施形態に係る散乱体内部計測装置100のブロック構成図である。本散乱体内部計測装置100においては、光照明部109が可動可能に備えられる。また、検出部101は光検出素子107を複数具備する。光検出素子107は、散乱体8の表面に沿って光照射部109から遠ざかる一方向に沿って配列されてもよく、或いは、散乱体8の表面に沿って二次元マトリックス状に配列されてもよい。
【0036】
このような第2の実施形態に係る散乱体内部計測装置100によれば、光照射部109を可動させ、所望の位置を中心として、照射位置と対称となる位置にある光検出素子107によって取得されたデータを解析することにより、所望の位置における任意の深度の情報を容易に得ることができる。
【0037】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。図11は、第3の実施形態に係る散乱体内部計測装置110のブロック構成図である。本散乱体内部計測装置110においては、光照明部119及び検出部120が可動可能に備えられる。
【0038】
このような第3の実施形態に係る散乱体内部計測装置110によれば、光照射部119と検出部120を可動させ、所望の位置を中心として、等距離となる位置にそれぞれを配置する。これにより、所望の位置における任意の深度の情報を得ることができる。得られる情報の深度は、所望の位置と光照射部119及び検出部120との距離を適宜調節することによって容易に変化させることができる。
【0039】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が可能である。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組合せることも可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1の実施形態に係る散乱体内部計測装置のブロック構成図。
【図2】本発明に係る散乱体内部計測装置の動作を表したフローチャート。
【図3】散乱体内部の光の伝搬の様子を表す概念図。
【図4】第1の実施形態に係る散乱体内部計測装置により得られる2次元画像データの模式図。
【図5】照射位置を変えて測定したときの2次元画像データの模式図。
【図6】照射位置を変えて測定したときの等深度データの軌跡を示す模式図。
【図7】第1の実施形態に係る散乱体内部計測装置の変形例。
【図8】第1の実施形態に係る散乱体内部計測装置の変形例。
【図9】第1の実施形態に係る散乱体内部計測装置の変形例。
【図10】第2の実施形態に係る散乱体内部計測装置のブロック構成図。
【図11】第3の実施形態に係る散乱体内部計測装置のブロック構成図。
【符号の説明】
【0041】
1…散乱体内部計測装置、10…光照射部、11…検出部、12…制御/解析部、13…メモリ、14…表示部、15…入力部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測装置であって、
前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する照明手段と、
前記照明手段により照射された光の後方散乱光を2次元画像として検出する検出手段と、
前記検出手段により取得された2次元画像データにおいて前記測定対象の存在の有無を確認し、前記2次元画像上における前記照射位置と前記測定対象が確認された位置との距離から、前記散乱体における前記測定対象の深度を含めた位置情報を求める解析手段とを備え、
前記照明手段と前記検出手段が、前記散乱体に非接触で計測が行われることを特徴とする、散乱体内部計測装置。
【請求項2】
複数の照射位置において取得された複数の2次元画像データを記憶する記憶手段と、
前記解析手段による解析結果を表示する表示手段をさらに具備し、
前記解析手段が、前記記憶手段により記憶された複数の2次元画像データを基に、所望の深度における断層画像を作成することを特徴とする、請求項1に記載の散乱体内部計測装置。
【請求項3】
前記照明手段が、一以上の点状又は線状の光を照射する手段である、請求項1又は2に記載の散乱体内部計測装置。
【請求項4】
前記解析手段が、前記記憶手段により記憶された複数の2次元画像データ上で、所望の位置と前記照射位置との間の距離と等しい距離だけ前記所望の位置から離れた位置におけるデータを解析することにより、前記所望の位置の任意の深度における情報を得ることを特徴とする、請求項2又は3に記載の散乱体内部計測装置。
【請求項5】
散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測装置であって、
前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する可動可能な照明手段と、
前記照明手段により照射された光の後方散乱光を検出する複数の検出手段と、
深度情報を得たい所望の位置を中心として、前記照射位置と対称となる位置にある検出手段によって取得されたデータを解析することにより、前記所望の位置の任意の深度における情報を得る解析手段とを備えることを特徴とする、散乱体内部計測装置。
【請求項6】
散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測装置であって、
前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する照明手段と、
前記照明手段により照射された光の後方散乱光を検出する検出手段と、
前記検出手段により取得された後方散乱光強度のデータから、所望の位置の任意の深度における情報を得る解析手段とを備え、
前記照明手段と前記検出手段とが、前記所望の位置を中心として等距離に配置されることを特徴とする、散乱体内部計測装置。
【請求項7】
散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測方法であって、
前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する工程と、
前記照射された光の後方散乱光を2次元画像として検出する工程と、
前記検出された2次元画像データにおいて前記測定対象の存在の有無を確認し、前記2次元画像上における前記照射位置と前記測定対象が確認された位置との距離から、前記散乱体における前記測定対象の深度を含めた位置情報を求める工程とを含み、
前記光の照射と検出は、前記散乱体に接触せずに行うことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記散乱体に複数の異なる位置で光を照射し、各照射位置について検出された複数の2次元画像データを記憶する工程と、
前記記憶された複数の2次元画像データから、前記散乱体内部の所望の深度における断層画像を作成する工程とをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記散乱体に複数の異なる位置で光を照射し、各照射位置について検出された複数の2次元画像データを記憶する工程と、
前記記憶された複数の2次元画像データ上で、所望の位置と前記照射位置との間の距離と等しい距離だけ前記所望の位置から離れた位置におけるデータを解析することにより、前記所望の位置の任意の深度における情報を得る工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測方法であって、
前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する工程と、
前記照射された光の後方散乱光を複数の検出手段を用いて検出する工程と、
深度情報を得たい所望の位置を中心として、前記照明位置と対称となる位置にある検出手段によって取得されたデータを解析することにより、前記所望の位置の任意の深度における情報を得る工程を含み、
前記照明位置が情報を得たい深度に基づいて決定されることを特徴とする方法。
【請求項11】
散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測方法であって、
前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する工程と、
前記照射された光の後方散乱光を検出する工程と、
前記検出された後方散乱光強度のデータから、所望の位置の任意の深度における情報を得る工程とを含み、
前記照射と前記検出とが、前記所望の位置を中心として等距離で行われ、その中心からの距離が情報を得たい深度に基づいて決定されることを特徴とする方法。
【請求項1】
散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測装置であって、
前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する照明手段と、
前記照明手段により照射された光の後方散乱光を2次元画像として検出する検出手段と、
前記検出手段により取得された2次元画像データにおいて前記測定対象の存在の有無を確認し、前記2次元画像上における前記照射位置と前記測定対象が確認された位置との距離から、前記散乱体における前記測定対象の深度を含めた位置情報を求める解析手段とを備え、
前記照明手段と前記検出手段が、前記散乱体に非接触で計測が行われることを特徴とする、散乱体内部計測装置。
【請求項2】
複数の照射位置において取得された複数の2次元画像データを記憶する記憶手段と、
前記解析手段による解析結果を表示する表示手段をさらに具備し、
前記解析手段が、前記記憶手段により記憶された複数の2次元画像データを基に、所望の深度における断層画像を作成することを特徴とする、請求項1に記載の散乱体内部計測装置。
【請求項3】
前記照明手段が、一以上の点状又は線状の光を照射する手段である、請求項1又は2に記載の散乱体内部計測装置。
【請求項4】
前記解析手段が、前記記憶手段により記憶された複数の2次元画像データ上で、所望の位置と前記照射位置との間の距離と等しい距離だけ前記所望の位置から離れた位置におけるデータを解析することにより、前記所望の位置の任意の深度における情報を得ることを特徴とする、請求項2又は3に記載の散乱体内部計測装置。
【請求項5】
散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測装置であって、
前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する可動可能な照明手段と、
前記照明手段により照射された光の後方散乱光を検出する複数の検出手段と、
深度情報を得たい所望の位置を中心として、前記照射位置と対称となる位置にある検出手段によって取得されたデータを解析することにより、前記所望の位置の任意の深度における情報を得る解析手段とを備えることを特徴とする、散乱体内部計測装置。
【請求項6】
散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測装置であって、
前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する照明手段と、
前記照明手段により照射された光の後方散乱光を検出する検出手段と、
前記検出手段により取得された後方散乱光強度のデータから、所望の位置の任意の深度における情報を得る解析手段とを備え、
前記照明手段と前記検出手段とが、前記所望の位置を中心として等距離に配置されることを特徴とする、散乱体内部計測装置。
【請求項7】
散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測方法であって、
前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する工程と、
前記照射された光の後方散乱光を2次元画像として検出する工程と、
前記検出された2次元画像データにおいて前記測定対象の存在の有無を確認し、前記2次元画像上における前記照射位置と前記測定対象が確認された位置との距離から、前記散乱体における前記測定対象の深度を含めた位置情報を求める工程とを含み、
前記光の照射と検出は、前記散乱体に接触せずに行うことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記散乱体に複数の異なる位置で光を照射し、各照射位置について検出された複数の2次元画像データを記憶する工程と、
前記記憶された複数の2次元画像データから、前記散乱体内部の所望の深度における断層画像を作成する工程とをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記散乱体に複数の異なる位置で光を照射し、各照射位置について検出された複数の2次元画像データを記憶する工程と、
前記記憶された複数の2次元画像データ上で、所望の位置と前記照射位置との間の距離と等しい距離だけ前記所望の位置から離れた位置におけるデータを解析することにより、前記所望の位置の任意の深度における情報を得る工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測方法であって、
前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する工程と、
前記照射された光の後方散乱光を複数の検出手段を用いて検出する工程と、
深度情報を得たい所望の位置を中心として、前記照明位置と対称となる位置にある検出手段によって取得されたデータを解析することにより、前記所望の位置の任意の深度における情報を得る工程を含み、
前記照明位置が情報を得たい深度に基づいて決定されることを特徴とする方法。
【請求項11】
散乱体内部の測定対象の情報を取得する散乱体内部計測方法であって、
前記測定対象と前記散乱体とで光学特性の異なる光を前記散乱体に照射する工程と、
前記照射された光の後方散乱光を検出する工程と、
前記検出された後方散乱光強度のデータから、所望の位置の任意の深度における情報を得る工程とを含み、
前記照射と前記検出とが、前記所望の位置を中心として等距離で行われ、その中心からの距離が情報を得たい深度に基づいて決定されることを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−8286(P2010−8286A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169459(P2008−169459)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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