断熱ホース及びその製造方法
【課題】 施工現場において、巻装されている長い断熱ホースを繰り出すことにより、両端に接続口部を備えてなる所望長さの断熱ホースを簡単かつ確実に得ることができるようする。
【解決手段】 一端に大径接続口部12を、他端に小径接続口部13を設けてなる長さが50cm〜1m程度の短尺合成樹脂管11を多数本、大径接続口部12に小径接続口部13を順次抜き取り可能に挿嵌させることによって長尺合成樹脂製管10を形成していると共にこの長尺合成樹脂製管10を発泡合成樹脂製断熱被覆材20によって被覆してなり、一端から所定長さ部分における大径接続口部12と小径接続口部13との接続部分を被覆している発泡合成樹脂製断熱被覆材部分を、その部分に設けている切断線21から分断し、この部分の上記大小径接続口部12、13を互いに分離させることによって所望長さの断熱ホースを得る。
【解決手段】 一端に大径接続口部12を、他端に小径接続口部13を設けてなる長さが50cm〜1m程度の短尺合成樹脂管11を多数本、大径接続口部12に小径接続口部13を順次抜き取り可能に挿嵌させることによって長尺合成樹脂製管10を形成していると共にこの長尺合成樹脂製管10を発泡合成樹脂製断熱被覆材20によって被覆してなり、一端から所定長さ部分における大径接続口部12と小径接続口部13との接続部分を被覆している発泡合成樹脂製断熱被覆材部分を、その部分に設けている切断線21から分断し、この部分の上記大小径接続口部12、13を互いに分離させることによって所望長さの断熱ホースを得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定長さ毎に接続口部を設けてなる長尺の断熱ホースとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、空調機のドレン排出口から排出されるドレンを外部に導出するには上記ドレン排出口に断熱材によって被覆している短尺のドレーンホースを接続し、この短尺のドレーンホースに断熱ホースを接続してこの断熱ホースを通じて外部にドレンを排出するように配管施工を行っているが、空調機の設置場所や建物の構造等によって断熱ホースの施工長さが異なるため、その対策として、予め、10m以上の長尺の断熱ホースを準備しておき、現場において施工長さに切断したのち施工することが行われている。
【0003】
しかしながら、この断熱ホースを上記ドレーンホースに接続するには、これらのホースの対向する開口端部間を接続する管継ぎ手を必要とするばかりでなく、この断熱ホースからさらに室外の適所まで排水ホースを通じてドレーンを排出する場合においても、この断熱ホースの開口端部に排水ホースを接続するための管継ぎ手を必要となり、施工作業が煩雑化して作業能率が低下すると共に接着不良が生じる虞れがあるといった問題点がある。
【0004】
このため、本願発明者等は、特許文献1に記載しているように、50cm程度の一定長さ毎に、接続口である口元部を形成している長尺コルゲート管を断熱パイプにより被覆していると共に、この断熱パイプにおける上記各口元部を被覆している部分にミシン目等の切断線を設けてなる断熱ホースを案出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平5−15678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように構成した断熱ホースによれば、他の管や排水口等に対する接続口となる口元部を50cm程度の長さ間隔毎に設けているので、口元部から施工長さに応じた長さに切断して使用することができるといった利点を有するが、施工時には、現場において口元部をナイフ等によって切断しなければならないために手間を要するばかりでなく、正確に切断することができない場合が生じて精度のよい接続作業が困難となる虞れがあるいった問題点がある。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、施工現場において、両端に接続口部を備え、且つ、施工長さに応じた長さ寸法に簡単且つ正確に分断することができると共に、他の管等との接続作業が能率よく且つ精度よく行い得る断熱ホースとその製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の断熱ホースは、請求項1に記載したように、一端部に大径接続口部を、他端部にこの大径接続口部に挿嵌可能な小径接続口部を設けている長さが数十cm〜1mの可撓性を有する短尺合成樹脂管を多数本、順次、大径接続口部に小径接続口部を抜き取り可能に挿嵌することによって接続してなる長尺合成樹脂管を形成してあり、この長尺合成樹脂管を全長に亘って管状の発泡合成樹脂製断熱被覆材によって被覆していると共に、隣接する短尺合成樹脂管同士を接続した大小径接続口部の嵌合部分を被覆している発泡合成樹脂製断熱被覆材部分に切断線を設けてなる構造としている。
【0009】
このように構成した断熱ホースにおいて、上記短尺合成樹脂管は、請求項2に記載したようにコルゲート管であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記断熱ホースの製造方法であって、数十cm〜1mの長さの短管部毎に大径接続口部とこの大径接続口部に挿嵌可能な小径接続口部とを連設してなる口元部を設けた可撓性合成樹脂管を製造し、この可撓性合成樹脂管における口元部の大径接続口部と小径接続口部との連設部分を順次切断することにより一端部に大径接続口部を、他端部に小径接続口部を設けた多数本の短尺合成樹脂管に分割したのち、これらの短尺合成樹脂管を順次、大径接続口部に小径接続口部を抜き取り可能に挿嵌することにより、多数本の短尺合成樹脂管が一連に接続してなる長尺合成樹脂管を作製し、この長尺合成樹脂管を、隣接する短尺合成樹脂製管同士を接続した大小径接続口部からなる口元部を被覆する部分に切断線を設けてなる発泡合成樹脂製断熱被覆材によって被覆することを特徴としている。
【0011】
このように構成した断熱ホースの製造方法において、上記長尺の合成樹脂管は、請求項4に記載したように、コルゲート管であることを特徴とし、上記発泡合成樹脂製断熱被覆材は、請求項5に記載したように、一定厚みと可撓性合成樹脂管の外径の周長に等しい幅を有する帯状の発泡合成樹脂製断熱被覆材からなり、この帯状の発泡合成樹脂製断熱被覆材をその両側端面が互いに接合するように管状に湾曲させることによって長尺合成樹脂管を被覆すると共に互いに接合した両側端面を接着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、一端部に大径接続口部を、他端部にこの大径接続口部に挿嵌可能な小径接続口部を設けている長さが数十cm〜1mの可撓性を有する短尺合成樹脂管を多数本、順次、大径接続口部に小径接続口部を抜き取り可能に挿嵌することによって接続してなる長尺合成樹脂管を形成していると共に、この長尺合成樹脂管を被覆している管状の発泡合成樹脂製断熱被覆材には、長尺合成樹脂管を形成している多数本の短尺合成樹脂管における隣接する短尺合成樹脂製管同士を接続した大小径接続口部の嵌合部分を被覆している部分に切断線を設けているので、施工長さに応じた長さ寸法に位置する発泡合成樹脂製断熱被覆材部分を切断線から切断したのち、この切断線を介して長さ方向に隣接している発泡合成樹脂製断熱被覆材部分を互いに分離する方向に引っ張ることによって、この発泡合成樹脂製断熱被覆材部分で被覆されている隣接する短尺合成樹脂管間の大小径接続口部を簡単に分離させることができ、従って、何等の熟練を要することなく両端に大径と小径の接続口部をそれぞれ備え、且つ、施工長さに応じた長さの断熱ホースを容易に得ることができ、配管作業の能率を向上させることができると共に、精度のよい施工を可能にすることができる。
【0013】
さらに、請求項2に係る発明によれば、短尺合成樹脂管をコルゲート管から形成しているので可撓性に優れていると共に、この短尺合成樹脂管と上記発泡合成樹脂製断熱被覆材とをオレフィン系樹脂より形成しておくことにより、断熱性に優れ、且つ、可撓性と弾性に富んで施工性を向上させることができ、その上、比較的大きな耐引張強度を有しているので、この発泡合成樹脂製断熱被覆材を引っ張っても殆ど延びる虞れはなく、そのため、この発泡合成樹脂製断熱被覆材内で、隣接する短尺合成樹脂管同士を接続している大小径の接続口部が互いに離脱するのを確実に防止することができ、互いに嵌合した大小径の接続口部を介して管内を円滑に通水させることができる所望長さの断熱ホースを提供することができる。
【0014】
また、この断熱ホースの製造方法は、請求項3に記載したように、まず、数十cm〜1mの長さの短管部毎に大径接続口部とこの大径接続口部に挿嵌可能な小径接続口部とを連設してなる口元部を設けた可撓性合成樹脂管を製造し、この可撓性合成樹脂管における各口元部の大径接続口部と小径接続口部との連設部分を順次切断することにより、一端部に大径接続口部を、他端部に小径接続口部を設けた多数本の短尺合成樹脂管に分割するので、製造工場等において順次正確に且つ自動的に能率よく切断することができて一端部に大径接続口部を、他端部に小径接続口部を備えている精度のよい短尺合成樹脂管を多数本、容易に得ることができ、次いで、これらの短尺合成樹脂管を順次、大径接続口部に小径接続口部を抜き取り可能に挿嵌するものであるから、多数本の短尺合成樹脂管が一連に接続し、且つ、所望長さ部分から簡単に分割可能な長尺合成樹脂管を得ることができる。
【0015】
しかるのち、この長尺合成樹脂管を、隣接する短尺合成樹脂管同士を接続した互いに嵌合している大小径接続口部の嵌合部分を被覆する部分に切断線を設けてなる発泡合成樹脂製断熱被覆材によって被覆するものであるから、所望部位の切断線から発泡合成樹脂製断熱被覆材部分を分断したのち、この切断部分に位置する短尺合成樹脂管同士の互いに嵌合した大小径接続口部の接続を引き抜き力によって分離させる作業を行うだけで、所望長さの断熱ホースを得ることができる長尺の断熱ホースを製造することができる。
【0016】
また、請求項4に係る発明によれば、上記可撓性合成樹脂管はオレフィン系樹脂等からなる合成樹脂製コルゲート管であるから、可撓性に優れ且つ長期の使用に耐えることができる断熱ホースを製造し得ると共に、上記発泡合成樹脂製断熱被覆材は、請求項5に記載したように、一定厚みと可撓性合成樹脂管の外径の周長に等しい幅を有する帯状のオレフィン系発泡樹脂製等の発泡合成樹脂製断熱被覆材からなり、この帯状の発泡樹脂製断熱材をその両側端面が互いに接合するように管状に湾曲させることによって長尺合成樹脂管を被覆すると共に互いに接合した両側端面を接着するので、長尺の可撓性合成樹脂管を発泡合成樹脂製断熱被覆材によって簡単且つ確実に被覆することができ、所望長さの断熱ホースを能率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明断熱ホースの一部分を示す一部を断面した側面図。
【図2】互いに接続した短尺合成樹脂製管の接続部分を縦断側面図。
【図3】その縦断正面図。
【図4】所望長さの断熱ホースに分割した状態の一部を断面した簡略側面図。
【図5】その分割部分の拡大断面図。
【図6】ドレーンホースに接続した一使用状態を示す一部を省略した縦断側面図。
【図7】長尺合成樹脂管を接続口部から分断する状態を示す簡略側面図。
【図8】分断した短尺合成樹脂製管の簡略側面図。
【図9】短尺合成樹脂製管を順次接続する状態を示す簡略側面図。
【図10】接続した状態を示す簡略側面図。
【図11】長尺合成樹脂管を発泡合成樹脂製断熱被覆材によって被覆している状態を示す簡略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態を図面について説明すると、図1〜図3において、断熱ホースAは、長さが数十cm〜1mの可撓性を有する多数本の短尺合成樹脂管11、11・・・11を順次、分離可能に接続することによって形成された1本の長尺合成樹脂管10を全長に亘って管状の発泡合成樹脂製断熱被覆材20によって被覆してなるものである。詳しくは、上記短尺合成樹脂管11は、長さが50cm〜1mの可撓性を有する合成樹脂製コルゲート管からなり、その一端開口部を大径の接続口部12に形成している一方、他端開口部をこの大径接続口部12に水密的に挿嵌可能な小径接続口部13に形成している。そして、このように構成した短尺合成樹脂管11を多数本、一方の短尺合成樹脂管11の大径接続口部12に他方の短尺合成樹脂製管11の小径接続口部13を抜き取り可能に順次、挿嵌することによって十数mないし数十mの長さを有する長尺合成樹脂管10に形成してあり、この長尺合成樹脂管10を一定厚みを有する管状の発泡合成樹脂製断熱被覆材20によって被覆していると共に、互いに接続した大小径接続口部12、13の各嵌合部を被覆している発泡合成樹脂製断熱被覆材20の部分にミシン目或いは印刷等による切断線21を全周に亘って設けてなるものである。
【0019】
短尺合成樹脂管11として使用している合成樹脂製のコルゲート管は、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなり、同様に、発泡合成樹脂製断熱被覆材20もオレフィン系発泡樹脂より形成されているが、その他の合成樹脂製であってもよい。さらに、短尺合成樹脂管11の一端開口部に形成している短筒形状の上記大径接続口部12の外径は、この短尺合成樹脂管11の外径に略等しく形成されてあり、短尺合成樹脂管11の他端開口部に形成している短筒形状の上記小径接続口部13の外径は上記大径接続口部12の内径に水密状に挿嵌可能な径に形成されている。
【0020】
さらに、図2に示すように、短尺合成樹脂管11における上記小径接続口部13の長さ方向の基端部に、この小径接続口部13の外周面から突出した一定高さのリング状突条部14を全周に亘って形成してあり、2本の短尺合成樹脂管11、11同士を、一方の短尺合成樹脂管11の大径接続口部12に他方の短尺合成樹脂管11の小径接続口部13を挿嵌することによって接続する際に、このリング状突条部14に大径接続口部12の先端面をリング状突条部14の基端部外周面に被嵌した円環形状のシール材15を介して当接させることにより、それ以上の嵌合を阻止してこれらの大小径接続口部12、13同士が完全に接続したことを確認できるように、且つ、シール材15を介して密封状態に接続させるように構成している。なお、互いに接続した短尺合成樹脂管11、11における大小径接続口部12、13の各嵌合部を被覆している発泡合成樹脂製断熱被覆材部分に設けられた上記切断線21は、上記リング状突条14に当接した大径接続口部12の開口端に位置している。
【0021】
また、小径接続口部13に被嵌する上記大径接続口部12における長さ方向の中間部に、内周面から外周面に向かって膨出した周溝16を形成してあり、この周溝16に小径接続口部13における長さ方向の中間部に周方向に突設した比較的高さの低い(1mm程度) の突条17を係脱可能に係合させている。なお、大径接続口部12の開口端部を開口端に向かってラッパ形状に拡開12a させている一方、小径接続口部13の開口端部の外周面を先端に向かって僅かに縮径する方向に傾斜した先細口部13a に形成して長尺合成樹脂管10を製造する際に大径接続口部12と小径接続口部13との嵌合が容易に且つ正確に行えるように構成している。
【0022】
このように構成した長尺の断熱ホースAは巻装され、施工現場において繰り出して所望長さの断熱ホース(以下、定尺断熱ホースA1という)を得る。具体的には、まず、長尺断熱ホースAの先端(自由端)から施工長さに相当する長さ寸法を存した発泡合成樹脂製断熱被覆材部分をその部分に設けられている切断線21から分断する。例えば、施工長さが4mであり、長尺の断熱ホースAの長尺合成樹脂管10を被覆している発泡合成樹脂製断熱被覆材20に上記切断線21が50cm間隔毎に設けられているとすると、長尺断熱ホースAの自由端から8個目の切断線21を有する発泡合成樹脂製断熱被覆材部分を該切断線21から分断する。なお、切断線は発泡合成樹脂製断熱被覆材20の内外周面間に貫通したミシン目によって形成しておけば、カッターなどを使用することなく正確に分断することができる。
【0023】
しかるのち、この切断線21を介して対向する発泡合成樹脂製断熱被覆材20の分断部分をそれぞれ両手で把持して互いに離間させる方向に引っ張ると、図4、図5に示すようにこの切断線21の位置に設けられている互いに接続した短尺合成樹脂管11、11の大小径接続口12、13において、大径接続口部12から小径接続口部13が引き抜かれてこれらの大小接続口12、13の嵌合が解かれ、定尺断熱ホースA1を得ることができる。
【0024】
なお、各切断線21は、小径接続口部13の外周面から突出している上記リング状突条部14に当接した大径接続口部12の開口端上における発泡合成樹脂製断熱被覆材部分に設けているので、接続線21から発泡合成樹脂製断熱被覆材20を分断すると、上記定尺断熱ホースA1における一端側に存在する大径接続口部12がその開口端まで発泡合成樹脂製断熱被覆材20によって被覆されている一方、巻装側に残る小径接続口部13は、発泡合成樹脂製断熱被覆材20の開口端(切断口)から突出させた状態となる。
【0025】
この定尺断熱ホースA1を例えば図6に示すように、空調機のドレンパン30のドレン排出用配管として施工するには、ドレンパン30のドレン排出口31にその一端を接続している短尺のドレーンホースBの他端に接続する。この際、ドレーンホースBの一端にはドレン排出口31に被嵌させて水密的に接続する大径接続口部b1が設けられていると共に他端には小径接続口部b2が設けられてあり、このドレンホーBは大径接続口部b1の開口端から小径接続口部b2の基端部に至る外周面を上記断熱ホースAと同様に発泡合成樹脂製断熱被覆材Cによって被覆されていて、小径接続口部b2はこの発泡合成樹脂製断熱被覆材Cから突出させている。
【0026】
一方、上記断熱ホースAにおける短尺合成樹脂管11、11同士を接続している大小径接続口12、13における大径接続口部12の内径は、ドレーンホースBの上記小径接続口部b2の外径に等しくしてこの小径接続口部b2に該大径接続口部12を水密的に被嵌させるように構成してあり、定尺断熱ホースA1における大径接続口部12をドレーンホースBの小径接続口部b2に被嵌させ、シール材15' を介して密着させて接続することにより施工が行われる。この際、定尺断熱ホースA1における大径接続口部12は発泡合成樹脂製断熱被覆材20によって被覆されているため、この大径接続口部12をドレーンホースBの小径接続口部b2に被嵌させると、この小径接続口部b2は発泡合成樹脂製断熱被覆材Cによって被覆されていないために、定尺断熱ホースA1の大径接続口部12を被覆している発泡合成樹脂製断熱被覆材20の端面がドレーンホースBの発泡合成樹脂製断熱被覆材Cの対向端面に突き合わせ状に接合密着して断熱被覆材を長さ方向に連続させることができる。
【0027】
このように施工された定尺断熱ホースA1の他端側に設けている小径接続口部13は、発泡合成樹脂製断熱被覆材20の端部から外部に突出しているので、この小径接続口部13に屋外に配管するホース(図示せず)の大径接続口部を接続させることによって、ドレーンを屋外に排水することができる。なお、ドレンパン30のドレン排出口31に上記短尺のドレーンホースBを介して定尺断熱ホースA1を接続することなく、この定尺断熱ホースA1をドレンパン30のドレン排出口31に直接接続させてもよい。
【0028】
次に、上記のように構成した断熱ホースAの製造方法を説明すると、まず、公知のコルゲート管製造装置(図示せず)によって数十cm〜1mの短い一定長さのコルゲート管部10a 毎に大径接続口部12とこの大径接続口部12に挿嵌可能な小径接続口部13とを連設してなる口元部10b を設けたオレフィン系樹脂よりなる可撓性合成樹脂管10' を連続して製造し、この可撓性合成樹脂管10' における口元部10b の大径接続口部12と小径接続口部13との連設部分を図7に示すように、カッター30によって順次切断することにより、図8に示すように一端部に大径接続口部12を、他端部に小径接続口部13を設けている多数本の短尺合成樹脂管11を得る。
【0029】
この際、上記コルゲート管製造装置によって連続的に製造されてくる可撓性合成樹脂管10' をコルゲート管製造装置の下流側に配したカッタ30によって上記のように大径接続口部12と小径接続口部13との連設部分を順次、切断することによって多数本の短尺合成樹脂管11を製造してもよく、或いは、コルゲート管製造装置によって十数m〜数十mの可撓性合成樹脂管10' を製造したのち、この可撓性合成樹脂管10' をカッタ30によって大径接続口部12と小径接続口部13との連設部分を順次、切断して分割することにより、多数本の短尺合成樹脂管11を製造してもよい。
【0030】
大径接続口部12と小径接続口部13との連設部分は、図7に示すように、長さ方向の両側部がこれらの大径接続口部12と小径接続口部13に向かって縮径方向に傾斜した傾斜壁部18a 、18b に形成している断面V字状の鍔部18に形成されていると共に小径接続口部13とこの鍔部18の傾斜壁部18b との連設部分を縮径方向に断面V字状に凹入させた周溝19に形成してあり、鍔部18の頂部とこの周溝19の溝底部との2個所を、上記カッタ30、30によって切断して周溝19の溝底から鍔部18の他方の傾斜壁部18b の頂部に至る部分を切除することにより、鍔部18の一方の傾斜壁部8aによって大径接続口部12の開口端部に上記ラッパ形状の拡開部12a を形成している一方、小径接続口部13の開口端部を上記先細口部13a に形成してなる短尺合成樹脂管11を得る。
【0031】
次いで、図9、図10に示すように、これらの短尺合成樹脂管11、11・・・11を、順次、一方の短尺合成樹脂管11の大径接続口部12に他方の短尺合成樹脂管11の小径接続口部13を抜き取り可能に挿嵌することにより、多数本の短尺合成樹脂管11が長さ方向に一連に接続してなる長さが十数m〜数十mの長尺合成樹脂管10を作製する。この際、各短尺合成樹脂管11の小径接続口部13の基端部にシール材15をリング状突条部14に受止させた状態に装着しておく。
【0032】
しかるのち、この長尺合成樹脂管10を断熱材被覆装置に送り込み、その外周面を全長に亘って発泡合成樹脂製断熱被覆材20によって被覆する。具体的には、上記断熱材被覆装置は、図11に示すように、製造すべき断熱ホースAの外径に等しい内径を有する一定長さの管状成形部41と、この管状形成部41の一端開口部に連設しているラッパ形状の拡開した被覆形成部42とを備えてあり、この被覆形成部42に一定厚みと可撓性合成樹脂管10’の外径の周長に等しい幅を有する帯状の断熱被覆材20' と共にこの帯状の断熱被覆材20’上に上記長尺合成樹脂管10を沿わせた状態にして送り込むと、帯状の断熱被覆材20' が徐々に小径となる被覆形成部42の内周面によって管状に湾曲成形されながら長尺合成樹脂管10を包被し、管状成形部41に導入されて長尺合成樹脂管10を管状の発泡合成樹脂製断熱被覆材20によって被覆してなる断熱ホースAが製造される。
【0033】
この断熱ホースAの製造時において、上記帯状の断熱被覆材20' には、長尺合成樹脂管10における隣接する短尺合成樹脂管11、11同士を接続した大小径接続口部12、13からなる口元部10b を被覆する部分、具体的には、大径接続口部12の開口端(先端)を被覆する部分にミシン目或いは印刷された線等からなる切断線21を一定長さ毎に両側端面間に亘って設けている。また、この断熱被覆材20' によって長尺合成樹脂管10を被覆する際に、被覆形成部42によって管状に湾曲させられて管状形成部41に導入させられる前に、或いは、管状形成部41の通過直後に、互いに接合する両側端面の接合部をヒートシール(熱溶着)しながら断熱ホースAを連続的に製造するのである。
【符号の説明】
【0034】
A 断熱ホース
10 長尺合成樹脂管
11 短尺合成樹脂管
12 大径接続口部
13 小径接続口部
20 発泡合成樹脂製断熱被覆材
21 切断線
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定長さ毎に接続口部を設けてなる長尺の断熱ホースとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、空調機のドレン排出口から排出されるドレンを外部に導出するには上記ドレン排出口に断熱材によって被覆している短尺のドレーンホースを接続し、この短尺のドレーンホースに断熱ホースを接続してこの断熱ホースを通じて外部にドレンを排出するように配管施工を行っているが、空調機の設置場所や建物の構造等によって断熱ホースの施工長さが異なるため、その対策として、予め、10m以上の長尺の断熱ホースを準備しておき、現場において施工長さに切断したのち施工することが行われている。
【0003】
しかしながら、この断熱ホースを上記ドレーンホースに接続するには、これらのホースの対向する開口端部間を接続する管継ぎ手を必要とするばかりでなく、この断熱ホースからさらに室外の適所まで排水ホースを通じてドレーンを排出する場合においても、この断熱ホースの開口端部に排水ホースを接続するための管継ぎ手を必要となり、施工作業が煩雑化して作業能率が低下すると共に接着不良が生じる虞れがあるといった問題点がある。
【0004】
このため、本願発明者等は、特許文献1に記載しているように、50cm程度の一定長さ毎に、接続口である口元部を形成している長尺コルゲート管を断熱パイプにより被覆していると共に、この断熱パイプにおける上記各口元部を被覆している部分にミシン目等の切断線を設けてなる断熱ホースを案出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平5−15678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように構成した断熱ホースによれば、他の管や排水口等に対する接続口となる口元部を50cm程度の長さ間隔毎に設けているので、口元部から施工長さに応じた長さに切断して使用することができるといった利点を有するが、施工時には、現場において口元部をナイフ等によって切断しなければならないために手間を要するばかりでなく、正確に切断することができない場合が生じて精度のよい接続作業が困難となる虞れがあるいった問題点がある。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、施工現場において、両端に接続口部を備え、且つ、施工長さに応じた長さ寸法に簡単且つ正確に分断することができると共に、他の管等との接続作業が能率よく且つ精度よく行い得る断熱ホースとその製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の断熱ホースは、請求項1に記載したように、一端部に大径接続口部を、他端部にこの大径接続口部に挿嵌可能な小径接続口部を設けている長さが数十cm〜1mの可撓性を有する短尺合成樹脂管を多数本、順次、大径接続口部に小径接続口部を抜き取り可能に挿嵌することによって接続してなる長尺合成樹脂管を形成してあり、この長尺合成樹脂管を全長に亘って管状の発泡合成樹脂製断熱被覆材によって被覆していると共に、隣接する短尺合成樹脂管同士を接続した大小径接続口部の嵌合部分を被覆している発泡合成樹脂製断熱被覆材部分に切断線を設けてなる構造としている。
【0009】
このように構成した断熱ホースにおいて、上記短尺合成樹脂管は、請求項2に記載したようにコルゲート管であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記断熱ホースの製造方法であって、数十cm〜1mの長さの短管部毎に大径接続口部とこの大径接続口部に挿嵌可能な小径接続口部とを連設してなる口元部を設けた可撓性合成樹脂管を製造し、この可撓性合成樹脂管における口元部の大径接続口部と小径接続口部との連設部分を順次切断することにより一端部に大径接続口部を、他端部に小径接続口部を設けた多数本の短尺合成樹脂管に分割したのち、これらの短尺合成樹脂管を順次、大径接続口部に小径接続口部を抜き取り可能に挿嵌することにより、多数本の短尺合成樹脂管が一連に接続してなる長尺合成樹脂管を作製し、この長尺合成樹脂管を、隣接する短尺合成樹脂製管同士を接続した大小径接続口部からなる口元部を被覆する部分に切断線を設けてなる発泡合成樹脂製断熱被覆材によって被覆することを特徴としている。
【0011】
このように構成した断熱ホースの製造方法において、上記長尺の合成樹脂管は、請求項4に記載したように、コルゲート管であることを特徴とし、上記発泡合成樹脂製断熱被覆材は、請求項5に記載したように、一定厚みと可撓性合成樹脂管の外径の周長に等しい幅を有する帯状の発泡合成樹脂製断熱被覆材からなり、この帯状の発泡合成樹脂製断熱被覆材をその両側端面が互いに接合するように管状に湾曲させることによって長尺合成樹脂管を被覆すると共に互いに接合した両側端面を接着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、一端部に大径接続口部を、他端部にこの大径接続口部に挿嵌可能な小径接続口部を設けている長さが数十cm〜1mの可撓性を有する短尺合成樹脂管を多数本、順次、大径接続口部に小径接続口部を抜き取り可能に挿嵌することによって接続してなる長尺合成樹脂管を形成していると共に、この長尺合成樹脂管を被覆している管状の発泡合成樹脂製断熱被覆材には、長尺合成樹脂管を形成している多数本の短尺合成樹脂管における隣接する短尺合成樹脂製管同士を接続した大小径接続口部の嵌合部分を被覆している部分に切断線を設けているので、施工長さに応じた長さ寸法に位置する発泡合成樹脂製断熱被覆材部分を切断線から切断したのち、この切断線を介して長さ方向に隣接している発泡合成樹脂製断熱被覆材部分を互いに分離する方向に引っ張ることによって、この発泡合成樹脂製断熱被覆材部分で被覆されている隣接する短尺合成樹脂管間の大小径接続口部を簡単に分離させることができ、従って、何等の熟練を要することなく両端に大径と小径の接続口部をそれぞれ備え、且つ、施工長さに応じた長さの断熱ホースを容易に得ることができ、配管作業の能率を向上させることができると共に、精度のよい施工を可能にすることができる。
【0013】
さらに、請求項2に係る発明によれば、短尺合成樹脂管をコルゲート管から形成しているので可撓性に優れていると共に、この短尺合成樹脂管と上記発泡合成樹脂製断熱被覆材とをオレフィン系樹脂より形成しておくことにより、断熱性に優れ、且つ、可撓性と弾性に富んで施工性を向上させることができ、その上、比較的大きな耐引張強度を有しているので、この発泡合成樹脂製断熱被覆材を引っ張っても殆ど延びる虞れはなく、そのため、この発泡合成樹脂製断熱被覆材内で、隣接する短尺合成樹脂管同士を接続している大小径の接続口部が互いに離脱するのを確実に防止することができ、互いに嵌合した大小径の接続口部を介して管内を円滑に通水させることができる所望長さの断熱ホースを提供することができる。
【0014】
また、この断熱ホースの製造方法は、請求項3に記載したように、まず、数十cm〜1mの長さの短管部毎に大径接続口部とこの大径接続口部に挿嵌可能な小径接続口部とを連設してなる口元部を設けた可撓性合成樹脂管を製造し、この可撓性合成樹脂管における各口元部の大径接続口部と小径接続口部との連設部分を順次切断することにより、一端部に大径接続口部を、他端部に小径接続口部を設けた多数本の短尺合成樹脂管に分割するので、製造工場等において順次正確に且つ自動的に能率よく切断することができて一端部に大径接続口部を、他端部に小径接続口部を備えている精度のよい短尺合成樹脂管を多数本、容易に得ることができ、次いで、これらの短尺合成樹脂管を順次、大径接続口部に小径接続口部を抜き取り可能に挿嵌するものであるから、多数本の短尺合成樹脂管が一連に接続し、且つ、所望長さ部分から簡単に分割可能な長尺合成樹脂管を得ることができる。
【0015】
しかるのち、この長尺合成樹脂管を、隣接する短尺合成樹脂管同士を接続した互いに嵌合している大小径接続口部の嵌合部分を被覆する部分に切断線を設けてなる発泡合成樹脂製断熱被覆材によって被覆するものであるから、所望部位の切断線から発泡合成樹脂製断熱被覆材部分を分断したのち、この切断部分に位置する短尺合成樹脂管同士の互いに嵌合した大小径接続口部の接続を引き抜き力によって分離させる作業を行うだけで、所望長さの断熱ホースを得ることができる長尺の断熱ホースを製造することができる。
【0016】
また、請求項4に係る発明によれば、上記可撓性合成樹脂管はオレフィン系樹脂等からなる合成樹脂製コルゲート管であるから、可撓性に優れ且つ長期の使用に耐えることができる断熱ホースを製造し得ると共に、上記発泡合成樹脂製断熱被覆材は、請求項5に記載したように、一定厚みと可撓性合成樹脂管の外径の周長に等しい幅を有する帯状のオレフィン系発泡樹脂製等の発泡合成樹脂製断熱被覆材からなり、この帯状の発泡樹脂製断熱材をその両側端面が互いに接合するように管状に湾曲させることによって長尺合成樹脂管を被覆すると共に互いに接合した両側端面を接着するので、長尺の可撓性合成樹脂管を発泡合成樹脂製断熱被覆材によって簡単且つ確実に被覆することができ、所望長さの断熱ホースを能率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明断熱ホースの一部分を示す一部を断面した側面図。
【図2】互いに接続した短尺合成樹脂製管の接続部分を縦断側面図。
【図3】その縦断正面図。
【図4】所望長さの断熱ホースに分割した状態の一部を断面した簡略側面図。
【図5】その分割部分の拡大断面図。
【図6】ドレーンホースに接続した一使用状態を示す一部を省略した縦断側面図。
【図7】長尺合成樹脂管を接続口部から分断する状態を示す簡略側面図。
【図8】分断した短尺合成樹脂製管の簡略側面図。
【図9】短尺合成樹脂製管を順次接続する状態を示す簡略側面図。
【図10】接続した状態を示す簡略側面図。
【図11】長尺合成樹脂管を発泡合成樹脂製断熱被覆材によって被覆している状態を示す簡略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態を図面について説明すると、図1〜図3において、断熱ホースAは、長さが数十cm〜1mの可撓性を有する多数本の短尺合成樹脂管11、11・・・11を順次、分離可能に接続することによって形成された1本の長尺合成樹脂管10を全長に亘って管状の発泡合成樹脂製断熱被覆材20によって被覆してなるものである。詳しくは、上記短尺合成樹脂管11は、長さが50cm〜1mの可撓性を有する合成樹脂製コルゲート管からなり、その一端開口部を大径の接続口部12に形成している一方、他端開口部をこの大径接続口部12に水密的に挿嵌可能な小径接続口部13に形成している。そして、このように構成した短尺合成樹脂管11を多数本、一方の短尺合成樹脂管11の大径接続口部12に他方の短尺合成樹脂製管11の小径接続口部13を抜き取り可能に順次、挿嵌することによって十数mないし数十mの長さを有する長尺合成樹脂管10に形成してあり、この長尺合成樹脂管10を一定厚みを有する管状の発泡合成樹脂製断熱被覆材20によって被覆していると共に、互いに接続した大小径接続口部12、13の各嵌合部を被覆している発泡合成樹脂製断熱被覆材20の部分にミシン目或いは印刷等による切断線21を全周に亘って設けてなるものである。
【0019】
短尺合成樹脂管11として使用している合成樹脂製のコルゲート管は、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなり、同様に、発泡合成樹脂製断熱被覆材20もオレフィン系発泡樹脂より形成されているが、その他の合成樹脂製であってもよい。さらに、短尺合成樹脂管11の一端開口部に形成している短筒形状の上記大径接続口部12の外径は、この短尺合成樹脂管11の外径に略等しく形成されてあり、短尺合成樹脂管11の他端開口部に形成している短筒形状の上記小径接続口部13の外径は上記大径接続口部12の内径に水密状に挿嵌可能な径に形成されている。
【0020】
さらに、図2に示すように、短尺合成樹脂管11における上記小径接続口部13の長さ方向の基端部に、この小径接続口部13の外周面から突出した一定高さのリング状突条部14を全周に亘って形成してあり、2本の短尺合成樹脂管11、11同士を、一方の短尺合成樹脂管11の大径接続口部12に他方の短尺合成樹脂管11の小径接続口部13を挿嵌することによって接続する際に、このリング状突条部14に大径接続口部12の先端面をリング状突条部14の基端部外周面に被嵌した円環形状のシール材15を介して当接させることにより、それ以上の嵌合を阻止してこれらの大小径接続口部12、13同士が完全に接続したことを確認できるように、且つ、シール材15を介して密封状態に接続させるように構成している。なお、互いに接続した短尺合成樹脂管11、11における大小径接続口部12、13の各嵌合部を被覆している発泡合成樹脂製断熱被覆材部分に設けられた上記切断線21は、上記リング状突条14に当接した大径接続口部12の開口端に位置している。
【0021】
また、小径接続口部13に被嵌する上記大径接続口部12における長さ方向の中間部に、内周面から外周面に向かって膨出した周溝16を形成してあり、この周溝16に小径接続口部13における長さ方向の中間部に周方向に突設した比較的高さの低い(1mm程度) の突条17を係脱可能に係合させている。なお、大径接続口部12の開口端部を開口端に向かってラッパ形状に拡開12a させている一方、小径接続口部13の開口端部の外周面を先端に向かって僅かに縮径する方向に傾斜した先細口部13a に形成して長尺合成樹脂管10を製造する際に大径接続口部12と小径接続口部13との嵌合が容易に且つ正確に行えるように構成している。
【0022】
このように構成した長尺の断熱ホースAは巻装され、施工現場において繰り出して所望長さの断熱ホース(以下、定尺断熱ホースA1という)を得る。具体的には、まず、長尺断熱ホースAの先端(自由端)から施工長さに相当する長さ寸法を存した発泡合成樹脂製断熱被覆材部分をその部分に設けられている切断線21から分断する。例えば、施工長さが4mであり、長尺の断熱ホースAの長尺合成樹脂管10を被覆している発泡合成樹脂製断熱被覆材20に上記切断線21が50cm間隔毎に設けられているとすると、長尺断熱ホースAの自由端から8個目の切断線21を有する発泡合成樹脂製断熱被覆材部分を該切断線21から分断する。なお、切断線は発泡合成樹脂製断熱被覆材20の内外周面間に貫通したミシン目によって形成しておけば、カッターなどを使用することなく正確に分断することができる。
【0023】
しかるのち、この切断線21を介して対向する発泡合成樹脂製断熱被覆材20の分断部分をそれぞれ両手で把持して互いに離間させる方向に引っ張ると、図4、図5に示すようにこの切断線21の位置に設けられている互いに接続した短尺合成樹脂管11、11の大小径接続口12、13において、大径接続口部12から小径接続口部13が引き抜かれてこれらの大小接続口12、13の嵌合が解かれ、定尺断熱ホースA1を得ることができる。
【0024】
なお、各切断線21は、小径接続口部13の外周面から突出している上記リング状突条部14に当接した大径接続口部12の開口端上における発泡合成樹脂製断熱被覆材部分に設けているので、接続線21から発泡合成樹脂製断熱被覆材20を分断すると、上記定尺断熱ホースA1における一端側に存在する大径接続口部12がその開口端まで発泡合成樹脂製断熱被覆材20によって被覆されている一方、巻装側に残る小径接続口部13は、発泡合成樹脂製断熱被覆材20の開口端(切断口)から突出させた状態となる。
【0025】
この定尺断熱ホースA1を例えば図6に示すように、空調機のドレンパン30のドレン排出用配管として施工するには、ドレンパン30のドレン排出口31にその一端を接続している短尺のドレーンホースBの他端に接続する。この際、ドレーンホースBの一端にはドレン排出口31に被嵌させて水密的に接続する大径接続口部b1が設けられていると共に他端には小径接続口部b2が設けられてあり、このドレンホーBは大径接続口部b1の開口端から小径接続口部b2の基端部に至る外周面を上記断熱ホースAと同様に発泡合成樹脂製断熱被覆材Cによって被覆されていて、小径接続口部b2はこの発泡合成樹脂製断熱被覆材Cから突出させている。
【0026】
一方、上記断熱ホースAにおける短尺合成樹脂管11、11同士を接続している大小径接続口12、13における大径接続口部12の内径は、ドレーンホースBの上記小径接続口部b2の外径に等しくしてこの小径接続口部b2に該大径接続口部12を水密的に被嵌させるように構成してあり、定尺断熱ホースA1における大径接続口部12をドレーンホースBの小径接続口部b2に被嵌させ、シール材15' を介して密着させて接続することにより施工が行われる。この際、定尺断熱ホースA1における大径接続口部12は発泡合成樹脂製断熱被覆材20によって被覆されているため、この大径接続口部12をドレーンホースBの小径接続口部b2に被嵌させると、この小径接続口部b2は発泡合成樹脂製断熱被覆材Cによって被覆されていないために、定尺断熱ホースA1の大径接続口部12を被覆している発泡合成樹脂製断熱被覆材20の端面がドレーンホースBの発泡合成樹脂製断熱被覆材Cの対向端面に突き合わせ状に接合密着して断熱被覆材を長さ方向に連続させることができる。
【0027】
このように施工された定尺断熱ホースA1の他端側に設けている小径接続口部13は、発泡合成樹脂製断熱被覆材20の端部から外部に突出しているので、この小径接続口部13に屋外に配管するホース(図示せず)の大径接続口部を接続させることによって、ドレーンを屋外に排水することができる。なお、ドレンパン30のドレン排出口31に上記短尺のドレーンホースBを介して定尺断熱ホースA1を接続することなく、この定尺断熱ホースA1をドレンパン30のドレン排出口31に直接接続させてもよい。
【0028】
次に、上記のように構成した断熱ホースAの製造方法を説明すると、まず、公知のコルゲート管製造装置(図示せず)によって数十cm〜1mの短い一定長さのコルゲート管部10a 毎に大径接続口部12とこの大径接続口部12に挿嵌可能な小径接続口部13とを連設してなる口元部10b を設けたオレフィン系樹脂よりなる可撓性合成樹脂管10' を連続して製造し、この可撓性合成樹脂管10' における口元部10b の大径接続口部12と小径接続口部13との連設部分を図7に示すように、カッター30によって順次切断することにより、図8に示すように一端部に大径接続口部12を、他端部に小径接続口部13を設けている多数本の短尺合成樹脂管11を得る。
【0029】
この際、上記コルゲート管製造装置によって連続的に製造されてくる可撓性合成樹脂管10' をコルゲート管製造装置の下流側に配したカッタ30によって上記のように大径接続口部12と小径接続口部13との連設部分を順次、切断することによって多数本の短尺合成樹脂管11を製造してもよく、或いは、コルゲート管製造装置によって十数m〜数十mの可撓性合成樹脂管10' を製造したのち、この可撓性合成樹脂管10' をカッタ30によって大径接続口部12と小径接続口部13との連設部分を順次、切断して分割することにより、多数本の短尺合成樹脂管11を製造してもよい。
【0030】
大径接続口部12と小径接続口部13との連設部分は、図7に示すように、長さ方向の両側部がこれらの大径接続口部12と小径接続口部13に向かって縮径方向に傾斜した傾斜壁部18a 、18b に形成している断面V字状の鍔部18に形成されていると共に小径接続口部13とこの鍔部18の傾斜壁部18b との連設部分を縮径方向に断面V字状に凹入させた周溝19に形成してあり、鍔部18の頂部とこの周溝19の溝底部との2個所を、上記カッタ30、30によって切断して周溝19の溝底から鍔部18の他方の傾斜壁部18b の頂部に至る部分を切除することにより、鍔部18の一方の傾斜壁部8aによって大径接続口部12の開口端部に上記ラッパ形状の拡開部12a を形成している一方、小径接続口部13の開口端部を上記先細口部13a に形成してなる短尺合成樹脂管11を得る。
【0031】
次いで、図9、図10に示すように、これらの短尺合成樹脂管11、11・・・11を、順次、一方の短尺合成樹脂管11の大径接続口部12に他方の短尺合成樹脂管11の小径接続口部13を抜き取り可能に挿嵌することにより、多数本の短尺合成樹脂管11が長さ方向に一連に接続してなる長さが十数m〜数十mの長尺合成樹脂管10を作製する。この際、各短尺合成樹脂管11の小径接続口部13の基端部にシール材15をリング状突条部14に受止させた状態に装着しておく。
【0032】
しかるのち、この長尺合成樹脂管10を断熱材被覆装置に送り込み、その外周面を全長に亘って発泡合成樹脂製断熱被覆材20によって被覆する。具体的には、上記断熱材被覆装置は、図11に示すように、製造すべき断熱ホースAの外径に等しい内径を有する一定長さの管状成形部41と、この管状形成部41の一端開口部に連設しているラッパ形状の拡開した被覆形成部42とを備えてあり、この被覆形成部42に一定厚みと可撓性合成樹脂管10’の外径の周長に等しい幅を有する帯状の断熱被覆材20' と共にこの帯状の断熱被覆材20’上に上記長尺合成樹脂管10を沿わせた状態にして送り込むと、帯状の断熱被覆材20' が徐々に小径となる被覆形成部42の内周面によって管状に湾曲成形されながら長尺合成樹脂管10を包被し、管状成形部41に導入されて長尺合成樹脂管10を管状の発泡合成樹脂製断熱被覆材20によって被覆してなる断熱ホースAが製造される。
【0033】
この断熱ホースAの製造時において、上記帯状の断熱被覆材20' には、長尺合成樹脂管10における隣接する短尺合成樹脂管11、11同士を接続した大小径接続口部12、13からなる口元部10b を被覆する部分、具体的には、大径接続口部12の開口端(先端)を被覆する部分にミシン目或いは印刷された線等からなる切断線21を一定長さ毎に両側端面間に亘って設けている。また、この断熱被覆材20' によって長尺合成樹脂管10を被覆する際に、被覆形成部42によって管状に湾曲させられて管状形成部41に導入させられる前に、或いは、管状形成部41の通過直後に、互いに接合する両側端面の接合部をヒートシール(熱溶着)しながら断熱ホースAを連続的に製造するのである。
【符号の説明】
【0034】
A 断熱ホース
10 長尺合成樹脂管
11 短尺合成樹脂管
12 大径接続口部
13 小径接続口部
20 発泡合成樹脂製断熱被覆材
21 切断線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に大径接続口部を、他端部にこの大径接続口部に挿嵌可能な小径接続口部を設けている長さが数十cm〜1mの可撓性を有する短尺合成樹脂管を多数本、順次、大径接続口部に小径接続口部を抜き取り可能に挿嵌することによって接続してなる長尺合成樹脂管を形成してあり、この長尺合成樹脂管を全長に亘って管状の発泡合成樹脂製断熱被覆材によって被覆していると共に、隣接する短尺合成樹脂管同士を接続した大小径接続口部の嵌合部分を被覆している発泡合成樹脂製断熱被覆材部分に切断線を設けてなることを特徴とする断熱ホース。
【請求項2】
短尺合成樹脂管はコルゲート管であることを特徴とする請求項1に記載の断熱ホース。
【請求項3】
数十cm〜1mの長さの短管部毎に大径接続口部とこの大径接続口部に挿嵌可能な小径接続口部とを連設してなる口元部を設けた可撓性合成樹脂管を製造し、この可撓性合成樹脂管における口元部の大径接続口部と小径接続口部との連設部分を順次切断することにより一端部に大径接続口部を、他端部に小径接続口部を設けた多数本の短尺合成樹脂管に分割したのち、これらの短尺合成樹脂管を順次、大径接続口部に小径接続口部を抜き取り可能に挿嵌することにより、多数本の短尺合成樹脂管が一連に接続してなる長尺合成樹脂管を作製し、この長尺合成樹脂管を、隣接する短尺合成樹脂製管同士を接続した大小径接続口部からなる口元部を被覆する部分に切断線を設けてなる発泡合成樹脂製断熱被覆材によって被覆することを特徴とする断熱ホースの製造方法。
【請求項4】
可撓製合成樹脂管はコルゲート管であることを特徴とする請求項3に記載の断熱ホースの製造方法。
【請求項5】
発泡合成樹脂製断熱被覆材は、一定厚みと可撓性合成樹脂管の外径の周長に等しい幅を有する帯状の発泡合成樹脂製断熱被覆材からなり、この帯状の発泡合成樹脂製断熱被覆材をその両側端面が互いに接合するように管状に湾曲させることによって長尺合成樹脂管を被覆すると共に互いに接合した両側端面を接着することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の断熱ホースの製造方法。
【請求項1】
一端部に大径接続口部を、他端部にこの大径接続口部に挿嵌可能な小径接続口部を設けている長さが数十cm〜1mの可撓性を有する短尺合成樹脂管を多数本、順次、大径接続口部に小径接続口部を抜き取り可能に挿嵌することによって接続してなる長尺合成樹脂管を形成してあり、この長尺合成樹脂管を全長に亘って管状の発泡合成樹脂製断熱被覆材によって被覆していると共に、隣接する短尺合成樹脂管同士を接続した大小径接続口部の嵌合部分を被覆している発泡合成樹脂製断熱被覆材部分に切断線を設けてなることを特徴とする断熱ホース。
【請求項2】
短尺合成樹脂管はコルゲート管であることを特徴とする請求項1に記載の断熱ホース。
【請求項3】
数十cm〜1mの長さの短管部毎に大径接続口部とこの大径接続口部に挿嵌可能な小径接続口部とを連設してなる口元部を設けた可撓性合成樹脂管を製造し、この可撓性合成樹脂管における口元部の大径接続口部と小径接続口部との連設部分を順次切断することにより一端部に大径接続口部を、他端部に小径接続口部を設けた多数本の短尺合成樹脂管に分割したのち、これらの短尺合成樹脂管を順次、大径接続口部に小径接続口部を抜き取り可能に挿嵌することにより、多数本の短尺合成樹脂管が一連に接続してなる長尺合成樹脂管を作製し、この長尺合成樹脂管を、隣接する短尺合成樹脂製管同士を接続した大小径接続口部からなる口元部を被覆する部分に切断線を設けてなる発泡合成樹脂製断熱被覆材によって被覆することを特徴とする断熱ホースの製造方法。
【請求項4】
可撓製合成樹脂管はコルゲート管であることを特徴とする請求項3に記載の断熱ホースの製造方法。
【請求項5】
発泡合成樹脂製断熱被覆材は、一定厚みと可撓性合成樹脂管の外径の周長に等しい幅を有する帯状の発泡合成樹脂製断熱被覆材からなり、この帯状の発泡合成樹脂製断熱被覆材をその両側端面が互いに接合するように管状に湾曲させることによって長尺合成樹脂管を被覆すると共に互いに接合した両側端面を接着することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の断熱ホースの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−38604(P2011−38604A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187138(P2009−187138)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(000114994)エバック株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(000114994)エバック株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]