説明

新規化合物V

本発明は、新規な式(I)の化合物:
【化1】


およびこれらの化合物を含む医薬組成物、ならびに体重増加に関連する病気、2型糖尿病および脂質代謝異常に対する薬剤の製造におけるレプチン受容体調節剤類似物質としてのこれらの化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新規ピリジン誘導体、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびに、体重増加に関連する病気、2型糖尿病および脂質代謝異常に対する薬剤の製造におけるレプチン受容体調節剤類似物質(mimetics)としてのこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
先進工業国では肥満症の有病率が増加している。典型的には、最初に行なわれる処置は、患者に食事の脂肪量を減らしかつ身体活動を増やす等の食事やライフスタイルのアドバイスを与えることである。しかし、患者によっては、薬物療法を受けて上述した節食やライフスタイルの変化に適応することで得られる有益な結果を維持する必要があるかも知れない。
【0003】
レプチンは、脂肪細胞内で合成されるホルモンであり、視床下部で作用して食物摂取および体重を減少させると考えられている(例えば、Bryson, J. M. (2000) Diabetes, Obesity and Metabolism 2: 83-89を参照)。
【0004】
肥満症のヒトでは、脳脊髄液中のレプチンの割合は、血中レプチンの割合に対して低いことがわかっている(Koistinen et al., (1998) Eur. J. Clin. Invest. 28: 894-897)。これは、肥満状態では脳へのレプチン輸送能力が欠乏していることを示唆している。実際、肥満症の動物モデル(NZOマウスおよびKoletskyラット)では、レプチン輸送異常によって脳レプチン濃度が減少することが示されている(Kastin, A. J. (1999) Peptides 20: 1449-1453; Banks, W. A. et al., (2002) Brain Res. 950:130-136)。食餌誘発性肥満症のげっ歯類(ヒトの肥満症に、より酷似していると考えられているげっ歯類モデル、例えば、Van Heek et al. (1997) J. Clin. Invest. 99: 385-390を参照)を使用する研究では、末梢投与された過剰なレプチンは食物摂取および体重の減少に効果がないが、脳に直接注入されたレプチンは、食物摂取および体重の減少に効果があることがわかった。また、血中レプチンが過剰な肥満症のヒトでは、信号伝達系がレプチン受容体の連続刺激に対して脱感作されることもわかっている(Mantzoros, C. S. (1999) Ann. Intern. Med. 130: 671-680)。
【0005】
Amgen社は、組み換えメチオニルヒトレプチンを用いる臨床試験を実施した。この試験結果は一定ではなく、高血漿中濃度のレプチンが存在しても、体重減少は変動的であって、試験した患者群での平均的な体重減少は比較的僅かであった(Obesity Strategic Perspective, Datamonitor, 2001)。
【0006】
レプチン遺伝子コード配列の発見以来、活性断片を見出すいくつかの試みが文献に報告されている。1つの例は、Samson et al. (1996) Endocrinol. 137: 5182-5185によるもので、N末端の活性断片(22〜56)について述べている。この配列は、脳室内に注入されると食物摂取を減少させることを示したが、C末端の配列は全く効果を有しないことを示した。レプチン断片については国際公開第WO97/46585号にも開示されている。
【0007】
配列のC末端部分について考察する他の報告書では、断片116〜130による黄体形成ホルモン産生の可能な刺激(Gonzalez et al., (1999) Neuroendocrinology 70:213-220)およびGHRH(断片126〜140)投与後のGH産生に及ぼす影響(Hanew (2003) Eur. J. Endocrin. 149: 407-412)について報告された。
【0008】
最近では、レプチンは炎症と関連づけられている。血中レプチン濃度は、細菌感染時および炎症時に上昇することが報告されている(Otero, M et al. (2005) FEBS Lett. 579: 295-301およびその中の参考文献を参照)。また、レプチンは、炎症細胞からの炎症誘発性サイトカインTNFおよびIL−6の放出を強化することによって炎症を拡大するように作用することもできる(Zarkesh-Esfahani, H. et al. (2001) J. Immunol. 167: 4593-4599)。これらの作用物質は同様に、インスリン受容体シグナル伝達の有効性を低下させることで肥満症の患者に一般に見られるインスリン抵抗性に寄与することができる(Lyon, C. J. et al. (2003) Endocrinol. 44: 2195-2200)。持続的な軽度の炎症は、(インスリン抵抗性および2型糖尿病の存在下および非存在下での)肥満症に関連していると考えられている(Browning et al. (2004) Metabolism 53: 899-903, Inflammatory markers elevated in blood of obese women; Mangge et al. (2004) Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes 112: 378-382, Juvenile obesity correlates with serum inflammatory marker C-reactive protein; Maachi et al. (2004) Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 28: 993-997, Systemic low grade inflammation in obese people)。レプチンは、マクロファージへの脂質取り込みおよび内皮機能不全を促進し、よってアテローム斑の形成を促進することによるアテローム発生のプロセスにも関与している(Lyon, C. J. et al. (2003) Endocrinol. 144: 2195-2200を参照)。
【0009】
また、レプチンは、新しい血管の形成(血管新生)、脂肪組織の成長に関わるプロセスを促進することも示されている(Bouloumie A, et al. (1998) Circ. Res. 83: 1059-1066)。血管新生は、糖尿病性網膜症にも関わっている(Suganami, E. et al. (2004) Diabetes. 53: 2443-2448)。
【0010】
また、血管新生は、異常な腫瘍細胞を供給する新しい血管の成長に関与しているとも考えられている。レプチン濃度の上昇は、複数の癌、特に、ヒトにおける乳癌、前立腺癌および消化器癌と関連づけられている(Somasundar P. et al. (2004) J. Surg. Res. 116: 337-349)。
【0011】
また、レプチン受容体アゴニストは、創傷治癒を促進するための薬剤の製造にも使用することができる(Gorden, P. and Gavrilova, O. (2003) Current Opinion in Pharmacology 3: 655-659)。
【0012】
さらに、脳内でのレプチンシグナル伝達を高めることは、うつ病性障害の処置のための手法の典型であり得ることが示されている(Lu, Xin-Yun et al. (2006) PNAS 103: 1593-1598)。
【発明の概要】
【0013】
驚くべきことに、式(I)の化合物は、げっ歯類における体重および食物摂取を減少させるのに効果的であることが見出された。理論に縛られたくはないが、式(I)の化合物によってレプチン受容体シグナル伝達経路が調節されるということが提唱されている。
【0014】
いくつかの態様では、レプチン受容体アゴニストに類似した特性を有する化合物は、レプチンシグナル伝達に関連する疾患、ならびに肥満症などの体重増加に関連する病気の処置に有用となり得る。本発明者らは、小分子CNS浸透性レプチン類似物質は脳への制限取り込み系を迂回することができるのでないかという仮説を立てた。さらに、この状況がヒトの肥満状態に酷似していると仮定して、本発明者らは、比較的作用時間の長いCNS浸透性レプチノイド(leptinoid)が肥満状態およびその付随する合併症、特に(但し、限定されないが)糖尿病に有効な治療法となると考えている。
【0015】
他の態様では、レプチン受容体拮抗薬に類似した特性を有する化合物は、炎症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性網膜症および腎症の処置に有用となり得る。
【0016】
一側面では、本開示は、式(I)の化合物:
【0017】
【化1】

【0018】
あるいはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物、幾何異性体、互変異性体、光学異性体またはN−酸化物に関し、式中:
Aはピリジン環であり、
Yは、O、N(R)またはCHであり、
Wは、O、N(R)またはCHであり、
各Rは、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、シアノおよびCFから独立に選択され、
各Rは、ヒドロキシおよびC1〜4アルキルから独立に選択され、
は、水素またはC1〜4アルキルであり、
は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アシル、フェニルおよびベンジルから選択され、ここで、フェニルおよびベンジルは、ハロゲン、シアノ、CF、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、フェニルおよびフェノキシから選択される1つまたは2つ以上の置換基で置換されていてもよく、
aおよびbは各々独立に0、1または2であり、
cは1または2であり、かつ
dは0、1または2であるが、
但し、該化合物は以下からなる群から選択されることはない:
N−(4−ピリジニルメチル)−4−モルホリンカルボキサミド;
4−(3−メチルフェニル)−N−(2−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−(4−フルオロフェニル)−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
N−(2−ピリジニルメチル)−4−モルホリンカルボキサミド;
4−(2−メチルフェニル)−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
N−(3−ピリジニルメチル)−4−モルホリンカルボキサミド;
(2R,5S)−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2,5−トリメチル−N−(2−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
(2R,5S)−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,5−ジメチル−N−[(3−メチル−2−ピリジニル)メチル]−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−メチルピペラジン−1−カルボン酸(2−ピリジニル)メチル;
(2R,5S)−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,5−ジメチル−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−メチルピペラジン−1−カルボン酸2−(2−ピリジニル)エチル;
4−フェニル−N−[2−(2−ピリジニル)エチル]−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−(2,3−ジメチルフェニル)−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
(2R,5S)−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,5−ジメチル−N−[2−(4−ピリジニル)エチル]−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−(4−クロロフェニル)−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペリジンカルボキサミド;
N−[2−(4−ピリジニル)エチル]−4−モルホリンカルボキサミド;
4−フェニル−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
(2R,5S)−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2,5−トリメチル−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−フェニル−N−(2−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
N−[[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]メチル]−4−モルホリンカルボキサミド;
(2R,5S)−N−[(6−クロロ−2−ピリジニル)メチル]−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,5−ジメチル−1−ピペラジンカルボキサミド;
(2R,5S)−N−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,5−ジメチル−1−ピペラジンカルボキサミド;
1−[3−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−1−オキソプロピル]−4−フェニル−ピペラジン;
1−[3−(2−ピリジル)プロピオニル]−ピペリジン;
1−メチル−4−[1−オキソ−3−(3−ピリジニル)プロピル]−ピペラジン;
1−[3−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−1−オキソプロピル]−4−メチル−ピペラジン;
4−[3−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−1−オキソプロピル]−モルホリン;
4−(2,4,6−トリメトキシベンジル)−ピペラジン−1−カルボン酸(6−メチルピリジン−2−イル)メチル;
4−(5−フルオロ−2−メトキシベンジル)−N−[2−(ピリジン−2−イル)エチル]−1−ピペラジンカルボキサミド;
N−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]−4−フェニル−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−(4−フルオロフェニル)−N−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−(2−フルオロフェニル)−N−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]−1−ピペラジンカルボキサミド;
(2R,5S)−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]−2,5−ジメチル−1−ピペラジンカルボキサミド;
1−[1−オキソ−3−(3−ピリジニル)プロピル]−ピペラジン;
4−[1−オキソ−3−(2−ピリジニル)プロピル]−モルホリン;
4−(3−クロロフェニル)−N−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−(4−メトキシフェニル)−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;および
N−[(1−オキシドピリジン−3−イル)メチル]ピペリジン−1−カルボキサミド。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】暗期および明期のそれぞれにおけるマウスの体重増加および体重減少を示す概略図である。このグラフは、24時間における比較僅かな体重の変化に対する夜間の大きな体重増加を示す。
【図2】暗期の開始から明期の開始まで(pm〜am)のマウスの体重に及ぼす実施例5の影響を示す。
【図3】暗期の開始から明期の開始まで(pm〜am)のマウスの体重に及ぼす実施例6の影響を示す。
【図4】暗期の開始から明期の開始まで(pm〜am)のマウスの体重に及ぼす実施例15の影響を示す。
【図5】暗期の開始から明期の開始まで(pm〜am)のマウスの体重に及ぼす実施例22の影響を示す。
【図6】レプチンに関するJEG−3細胞による[H]−チミジンの取込みにおける濃度依存的増加を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好ましい一態様では、Yは、OまたはN(R)である。
【0021】
は、好ましくはC1〜4アルキルであり、より好ましくはメチルである。
【0022】
は好ましくはメチルまたはヒドロキシである。
【0023】
WがN(R)である場合、Rは、好ましくは水素、メチル、エチル、アセチルおよびフェニルから選択される。
【0024】
dは、好ましくは0または1であり、最も好ましくは1である。
【0025】
本開示による具体的な好ましい化合物は、以下からなる群から選択される化合物である:
モルホリン−4−カルボン酸ピリジン−4−イルメチル;
(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸ピリジン−4−イルメチル;
(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸ピリジン−4−イルメチル;
4−エチルピペラジン−1−カルボン酸ピリジン−4−イルメチル;
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸ピリジン−4−イルメチル;
(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸2−ピリジン−4−イルエチル;
モルホリン−4−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
ピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
4−エチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
(3S)−3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
4−メチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
(2S)−2,4−ジメチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
4−アセチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸ピリジン−3−イルメチル;
モルホリン−4−カルボン酸(6−メチルピリジン−3−イル)メチル;
4−エチルピペラジン−1−カルボン酸(6−メチルピリジン−3−イル)メチル;
モルホリン−4−カルボン酸(2−メチルピリジン−3−イル)メチル;
モルホリン−4−カルボン酸(6−メチルピリジン−2−イル)メチル;
モルホリン−4−カルボン酸(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)メチル;
N−エチル−N−(ピリジン−4−イルメチル)モルホリン−4−カルボキサミド;
N−[(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル]モルホリン−4−カルボキサミド;および
N−[(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル]−N−エチルモルホリン−4−カルボキサミド。
【0026】
本開示の別の側面は、治療に使用される式(I)の化合物である。
【0027】
さらなる側面では、本発明は、本明細書に記載されている疾患または病気のいずれかの処置または予防に使用される式(I)の化合物に関する。
【0028】
なおさらなる側面では、本発明は、本明細書に記載されている疾患または病気のいずれかの処置または予防のための薬剤の製造における式(I)の化合物の使用に関する。
【0029】
いくつかの態様では、該化合物は、レプチン受容体を介する選択的作用によって予防、処置または寛解される病気の処置または予防のための薬剤の製造において使用され得る。
【0030】
いくつかの態様では、式(I)の化合物は、体重増加に関連する病気(特に、代謝性の病気)の処置または予防のために使用され得る。体重増加に関連する病気としては、肥満または太り過ぎの対象において罹患率が高い疾病、疾患または他の病気が挙げられる。例としては、リポジストロフィ、HIVリポジストロフィ、糖尿病(2型)、インスリン抵抗性、代謝症候群、高血糖症、高インスリン血症、脂質代謝異常、肝脂肪症、過食症、高血圧、高トリグリセリド血症、不妊症、体重増加に関連する皮膚疾患、黄斑変性症が挙げられる。また、いくつかの態様では、式(I)の化合物は、対象(subject)の体重減少を維持するための薬剤の製造において使用され得る。
【0031】
また、いくつかの態様では、レプチン受容体アゴニスト類似物質である式(I)の化合物は、創傷治癒を促進するために使用され得る。
【0032】
また、いくつかの態様では、レプチン受容体アゴニスト類似物質である式(I)の化合物は、血中レプチン濃度を低下させる病気、ならびにその結果として生じる免疫系および生殖器系の機能不全の処置または予防のために使用され得る。そのような病気および機能不全の例としては、体重の激減、月経困難症、無月経症、女性の不妊症、免疫不全および低テストステロン値に関連する病気が挙げられる。
【0033】
また、いくつかの態様では、レプチン受容体アゴニスト類似物質である式(I)の化合物は、レプチンの欠乏、またはレプチンもしくはレプチン受容体変異により生じる病気の処置または予防のために使用され得る。
【0034】
いくつかの態様では、レプチン受容体拮抗薬類似物質である式(I)の化合物は、炎症性の病気または疾患、肥満症および過剰な血漿レプチンに関連する軽度の炎症の処置または予防のため、アテローム性動脈硬化症などの肥満症に関連する他の合併症を減らするため、ならびに代謝症候群および糖尿病に見られるインスリン抵抗性を改善するために使用され得る。
【0035】
いくつかの態様では、レプチン受容体拮抗薬類似物質である式(I)の化合物は、癌(例えば、白血病、リンパ腫、癌腫、大腸癌、乳癌、肺癌、膵癌、肝細胞癌、腎臓癌、黒色腫、肝臓転移、肺転移、乳転移および前立腺転移など);自己免疫疾患(例えば、臓器移植による拒絶反応、紅斑性狼瘡、移植片対宿主病、同種移植片拒絶反応、多発性硬化症、関節リュウマチ、糖尿病および糖尿病による炎症に繋がる膵島の破壊を含むI型真性糖尿病);自己免疫障害(多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症など);組織灌流の低下および炎症に関連する心血管疾患(例えば、アテローム、アテローム性動脈硬化症、発作、虚血再潅流障害、跛行、脊髄損傷、鬱血性心不全、脈管炎、出血性ショック、くも膜下出血後の血管攣縮、脳血管事故後の血管攣縮、胸膜炎、心膜炎、糖尿病の心血管系合併症);虚血再潅流障害、虚血およびそれに関連する炎症、血管新生および炎症性動脈瘤後の動脈の再狭窄;てんかん、神経変性(アルツハイマー病など)、関節炎(例えば、関節リュウマチ、変形性関節炎、リウマチ性脊椎炎、痛風性関節炎)、線維症(例えば、肺、皮膚および肝臓の線維症)、多発性硬化症、敗血症、敗血性ショック、脳炎、感染性関節炎、ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応、帯状疱疹、毒素性ショック、脳マラリア、ライム病、内毒素性ショック、グラム陰性ショック、出血性ショック、(組織損傷またはウイルス感染の両方から生じる)肝炎、深部静脈血栓症、痛風;呼吸困難に関連する病気(例えば、慢性閉塞性肺疾患、気道障害および気道閉塞、気管支収縮、肺血管収縮、呼吸障害、慢性肺炎症性疾患、珪肺、肺肉腫(pulmonary sarcosis)、嚢胞性線維症、肺高血圧、肺血管収縮、気腫、気管支アレルギーおよび/または炎症、喘息、枯草熱、鼻炎、春期カタルおよび成人呼吸窮迫症候群);皮膚の炎症に関連する病気(乾癬、湿疹、潰瘍、接触皮膚炎など);腸の炎症に関連する病気(クローン病、潰瘍大腸炎および発熱(pyresis)、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患など);HIV(特にHIV感染)、脳マラリア、細菌性髄膜炎、骨粗鬆症および他の骨吸収疾患、変形性関節炎、子宮内膜症による不妊症、感染による発熱および筋肉痛、ならびに過剰な抗炎症細胞(好中球、好酸球、マクロファージおよびT−細胞など)活性に媒介される他の病気によって生じる炎症またはそれらに関連する炎症の処置または予防に使用することができる。
【0036】
いくつかの態様では、レプチン受容体拮抗薬類似物質である式(I)の化合物は、1型もしくは2型糖尿病の大血管もしくは微小血管合併症、網膜症、腎症、自律性神経障害、あるいは虚血またはアテローム性動脈硬化症によって生じる血管損傷の処置または予防のために使用され得る。
【0037】
いくつかの態様では、レプチン受容体拮抗薬類似物質である式(I)の化合物は、血管新生を阻害するために使用され得る。血管新生を阻害する化合物は、肥満症または肥満症に関連する合併症の処置または予防のために使用され得る。血管新生を阻害する化合物は、炎症、糖尿病性網膜症、あるいは特に乳癌、前立腺癌または消化器癌での腫瘍増殖に関連する合併症の処置または予防のために使用され得る。
【0038】
さらなる側面では、本開示は、有効量の式(I)の化合物を対象(例えば、それを必要としている対象、例えば、哺乳動物)に投与することを含む、本明細書に記載されている疾患または病気のいずれかを処置または予防する方法に関する。
【0039】
本明細書に詳述されている方法は、該対象を特に定められた処置を必要としているものとして特定する方法を含む。対象をそのような処置を必要としているものとして特定することは、対象または医療の専門家の判断であってもよく、主観的(例えば、所見)または客観的(例えば、試験または診断法によって測定可能)であってもよい。
【0040】
他の側面では、本明細書に記載されている方法は、処置投与に対する対象の応答を監視することをさらに含んでなる方法を含む。そのような監視は、処置計画のマーカーまたは指標として、対象の組織、体液、試験片、細胞、タンパク質、化学マーカー、遺伝物質などを周期的にサンプリングすることを含んでもよい。他の方法では、そのような処置に対する適合性の関連マーカーまたは指標を評価することによって、該対象をそのような処置を必要としているものとして事前に選別または特定する。
【0041】
一態様では、本開示は、処置の進行を監視する方法を提供する。該方法は、本明細書に詳述されている疾患またはその症状に罹患しているか罹患しやすい対象における、診断マーカー(diagnostic marker)(マーカー(Marker))(例えば、本明細書中の化合物によって調整される、本明細書に詳述されている任意の標的または細胞型)のレベルまたは診断測定値(例えば、スクリーニング、アッセイ)を測定する工程を含み、ここでは、該対象が疾病またはその症状を治療するのに十分な治療量の本明細書中の化合物が投与されている。該方法で測定されたマーカーレベルを健康な正常な対照または他の罹患患者におけるマーカーの公知のレベルと比較して該対象の病態を確定することができる。好ましい態様では、該対象におけるマーカーの第2のレベルを、第1のレベルの決定後のある時点で測定し、その2つのレベルを比較して疾病の経過または該治療の有効性を監視する。ある好ましい態様では、本発明による処置開始前に、該対象におけるマーカーの処置前レベルを測定する。次いで、このマーカーの処置前レベルを、処置開始後に該対象のマーカーレベルと比較して該処置の有効性を決定することができる。
【0042】
ある方法の態様では、対象におけるマーカーレベルまたはマーカー活性を、少なくとも1回測定する。例えば、同じ患者、別の患者または正常な対象から事前または事後に得られたマーカーレベルの別の測定値とのマーカーレベルの比較は、本開示による治療が所望の効果を有しているか否かを決定するのに有用となり得、それにより、適宜、投与量を調整することができる。マーカーレベルは、当該技術分野で知られているか本明細書に記載されている任意の好適なサンプリング/発現アッセイ法を用いて測定してもよい。好ましくは、最初に組織または体液試料を対象から採取する。好適な試料の例としては、血液、尿、組織、口または頬の細胞、および根を含む毛髪試料が挙げられる。他の好適な試料は当業者に知られている。該試料中のタンパク質レベルおよび/またはmRNAレベル(例えば、マーカーレベル)は、当該技術分野で知られている任意の好適な技術、例えば、酵素免疫測定法、ELISA、放射標識/アッセイ法、ブロット/化学発光法、リアルタイムPCRなどを用いて測定することができるが、これらに限定されない。
【0043】
いくつかの態様では、式(I)の化合物が中枢神経系(CNS)に浸透することができる場合に有利になり得る。他の態様では、式(I)の化合物がCNSに浸透できない場合に有利になり得る。一般に、レプチン受容体アゴニスト類似物質である化合物は、これらの化合物がCNSに浸透できる場合に、肥満症、インスリン抵抗性または糖尿病(特にグルコース不耐症)の処置または予防に特に有用となり得ることが予想される。当業者は、化合物がCNSに浸透できるか否かを容易に決定することができる。使用され得る好適な方法については、生物学的方法の箇所に記載されている。
【0044】
レプチン受容体応答は、任意の好適な方法で測定してもよい。インビトロでは、レプチン受容体シグナル伝達を測定することによって、この測定を行なってもよい。例えば、レプチンまたは本発明の化合物の該レプチン受容体への結合に対する応答によるAkt、STAT3、STAT5、MAPK、shp2または該レプチン受容体のリン酸化反応を測定してもよい。Akt、STAT3、STAT5、MAPK、shp2または該レプチン受容体のリン酸化反応の程度は、例えば、ウェスタンブロット法またはELISAで測定してもよい。あるいは、STATレポーターアッセイ、例えばSTAT系ルシフェラーゼ発現を使用してもよい。該レプチン受容体を発現する細胞株を、そのようなアッセイで使用してもよい。インビボでは、レプチンまたは式(I)の化合物の投与後の食物摂取および体重の減少を測定することによってレプチン受容体応答を測定してもよい。
【0045】
以下の生物学的方法は、式(I)の化合物がレプチン受容体アゴニスト類似物質またはレプチン受容体拮抗薬類似物質であるか否かを決定するために使用することができるアッセイおよび方法を説明する。
【0046】
式(I)の化合物は、他の治療薬と併用して、あるいは併用せずに投与してもよい。例えば、炎症を和らげたい場合には、化合物を、抗炎症薬(例えば、メトトレキサート、スルファサラジンおよびサイトカイン失活剤などの疾患修飾性抗リウマチ薬、ステロイド、NSAID、カンナビノイド、タキキニン調節剤またはブラジキニン調節剤)と併用投与してもよい。抗腫瘍効果を与えたい場合には、化合物を細胞毒性薬(例えば、メトトレキサート、シクロホスファミド)または別の抗腫瘍剤と併用投与してもよい。
【0047】
式(I)の化合物は、受容体置換研究または受容体画像化などのインビトロまたはインビボ用途では、(例えば、トリチウムまたは放射性ヨウ素で)放射性標識してもよい。
定義
以下の定義は、本明細書および添付の特許請求の範囲全体において適用される。
【0048】
別段の定めまたは記載がない限り、「C1〜6アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル基を表わす。前記C1〜6アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、および直鎖状および分岐鎖状のペンチルおよびヘキシルが挙げられる。「C1〜6アルキル」の範囲の一部として、C1〜5アルキル、C1〜4アルキル、C1〜3アルキル、C1〜2アルキル、C2〜6アルキル、C2〜5アルキル、C2〜4アルキル、C2〜3アルキル、C3〜6アルキル、C4〜5アルキルなどのその全ての下位群が想定される。
【0049】
別段の定めまたは記載がない限り、「C1〜6アシル」という用語は、その炭素原子を介して水素原子(すなわち、ホルミル基)または直鎖状または分岐状のC1〜5アルキル基(アルキルは上に定義されている)に結合されたカルボニル基を表わす。前記C1〜6アシルの例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、n−ブチリル、2−メチルプロピオニルおよびn−ペントイル(pentoyl)が挙げられる。「C1〜6アシル」の範囲の一部として、C1〜5アシル、C1〜4アシル、C1〜3アシル、C1〜2アシル、C2〜6アシル、C2〜5アシル、C2〜4アシル、C2〜3アシル、C3〜6アシル、C4〜5アシルなどのその全ての下位群が想定される。
【0050】
別段の定めまたは記載がない限り、「C1〜6アルコキシ」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状のアルコキシ基を表わす。前記C1〜6アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、および直鎖状および分岐鎖状のペントキシおよびヘキソキシが挙げられる。「C1〜6アルコキシ」の範囲の一部として、C1〜5アルコキシ、C1〜4アルコキシ、C1〜3アルコキシ、C1〜2アルコキシ、C2〜6アルコキシ、C2〜5アルコキシ、C2〜4アルコキシ、C2〜3アルコキシ、C3〜6アルコキシ、C4〜5アルコキシなどのその全ての下位群が想定される。
【0051】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。
【0052】
「ヒドロキシ」とは−OHラジカルを指す。
【0053】
「シアノ」とは−CNラジカルを指す。
【0054】
「随意の」または「随意に」とは、その後に記載される事象または事情が必ず生じる必要がないということ、およびその記述が事象または事情が生じる場合および生じない場合を含むということを意味する。
【0055】
「哺乳動物」という用語は、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、ヤギおよびウシ、サル、イヌ、ネコ、および好ましくはヒトなどの生物を含む。当該対象は、ヒトの対象またはヒトでない動物、特にイヌなどの家畜であってもよい。
【0056】
「医薬的に許容される」とは、一般に安全であり、毒性がなく、かつ生物学的にもそれ以外においても望ましくないものではない医薬組成物を製造する際に有用であることを意味し、獣医学的用途ならびにヒトの医薬用途で有用であることを含む。
【0057】
本明細書で使用される「処置」は、指定の疾患または病気の予防、あるいは一度確立してしまった疾患の改善または除去を含む。
【0058】
「有効量」とは、処置対象に治療効果を与える(例えば、疾病、疾患または病気あるいはその症状を治療、制御、改善、予防する、それらの発症を遅延させる、あるいはそれらの発症のリスクを低下させる)化合物の量を指す。治療効果は、客観的(すなわち、いくつかの試験またはマーカーによって測定可能)であっても、主観的(すなわち、対象が示す効果の兆候またはその感覚)であってもよい。
【0059】
「プロドラッグ」とは、生理学的条件下で、あるいは生物学的に活性な式(I)の化合物に加溶媒分解することによって変換し得る化合物を指す。プロドラッグはそれを必要としている対象に投与される際は不活性であってもよいが、インビボにおいて活性な式(I)の化合物に変換される。プロドラッグは、典型的には例えば血液中での加水分解によって急速に変換してインビボにおいて親化合物を生じさせる。当該プロドラッグ化合物は通常、哺乳類生物において、溶解度、組織適合性または遅延放出という利点を与える(Silverman, R. B., The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, 2nd Ed., Elsevier Academic Press (2004), pp. 498-549を参照)。プロドラッグは、修飾体が所定の操作またはインビボのいずれかにおいて親化合物に開裂されるように、式(I)の化合物中に存在するヒドロキシ、アミノまたはメルカプト基などの官能基を修飾することによって製造してもよい。プロドラッグの例としては、ヒドロキシ官能基の酢酸、ギ酸およびコハク酸誘導体またはアミノ官能基のカルバミン酸フェニル誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書および添付の特許請求の範囲全体において、所与の化学式または化学名は、それらの全ての塩、水和物、溶媒和物、N−酸化物およびプロドラッグ形態を包含するものである。さらに、所与の化学式または化学名は、それらの全ての互変異性体および立体異性体形態を包含するものである。立体異性体は、鏡像異性体およびジアステレオマーを含む。鏡像異性体は、純粋な形態、あるいは2つの鏡像異性体のラセミ(等量)混合物または非等量混合物で存在することができる。ジアステレオマーは、純粋な形態、あるいはジアステレオマーの混合物として存在することができる。ジアステレオマーは幾何異性体も含み、それらの純粋なシスまたはトランス形態、あるいはそれらの混合物として存在することができる。
【0061】
式(I)の化合物は、そのままで、あるいは適当であれば、その薬理学的に許容される塩(酸もしくは塩基付加塩)として使用してもよい。上記薬理学的に許容される付加塩は、当該化合物が形成することができる治療上活性な非毒性酸および塩基付加塩の形態を含むことが意図されている。塩基特性を有する化合物は、その塩基形態を適当な酸で処理することによって、それらの医薬的に許容される酸付加塩に変換させることができる。典型的な酸としては、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、リン酸などの無機酸;およびギ酸、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸、安息香酸、アスコルビン酸などの有機酸が挙げられる。典型的な塩基付加塩の形態は、ナトリウム、カリウム、カルシウム塩、および、医薬的に許容されるアミン類、例えば、アンモニア、アルキルアミン類、ベンザチン、およびアミノ酸(例えば、アルギニンおよびリシン)などとの塩である。本明細書で使用される付加塩という用語は、化合物およびその塩が形成することができる溶媒和物、例えば、水和物、アルコラートなども含む。
組成物
臨床用途では、式(I)の化合物は様々な投与方法に合わせた医薬製剤に製剤化される。当該化合物は生理学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤と併用投与され得ることが分かるであろう。当該医薬組成物は、任意の好適な経路、好ましくは経口、直腸、経鼻、局所(口腔および舌下など)、舌下、経皮、くも膜下腔、経粘膜または非経口(皮下、筋肉内、静脈および皮内など)投与によって投与され得る。
【0062】
他の製剤は、好都合なことに、単位剤形、例えば、錠剤および徐放カプセル、およびリポソームに入れて提供され得、かつ薬学分野で良く知られている任意の方法で製造され得る。医薬製剤は通常、活性物質またはその医薬的に許容される塩を、従来の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と混合することによって製造される。賦形剤の例は、水、ゼラチン、アラビアゴム、乳糖、微結晶性セルロース、澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、コロイド状二酸化ケイ素などである。そのような製剤は、他の薬理学的に活性な作用物質、および従来の添加剤、例えば、安定剤、湿潤剤、乳化剤、着香料、緩衝剤なども含んでいてもよい。通常、活性化合物の量は、非経口投与用調製物では、調製物の0.1〜95重量%、好ましくは0.2〜20重量%、経口投与用調製物では、より好ましくは1〜50重量%である。
【0063】
当該製剤は、顆粒化、圧縮、マイクロカプセル化、スプレーコーティングなどの公知の方法によってさらに製造することができる。当該製剤は、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、シロップ、懸濁液、坐薬または注射液の投与形態で、従来の方法によって製造してもよい。液体製剤は、活性物質を水または他の好適な賦形剤に溶解または懸濁させて製造してもよい。錠剤および顆粒は、従来の方法でコーティングしてもよい。長時間にわたって治療上有効な血漿濃度を維持するために、当該化合物を徐放製剤に組み込んでもよい。
【0064】
特定の化合物の投与量および投与頻度は、用いられる特定の化合物の効力、その化合物の代謝的安定性および作用長さ、患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与方法および投与時間、排泄速度、薬剤の組み合わせ、処置対象の病気の重症度、および治療中の患者などの様々な因子によって異なる。1日投与量は、例えば、体重1kgあたり約0.001mg〜約100mgの範囲であってもよく、単回または複数回投与される場合、例えば1回あたり約0.01mg〜約25mgの範囲であってもよい。通常は、そのような投与は経口で行なわれるが、非経口投与も選択することができる。
本発明の化合物の製造
上記式(I)の化合物は、従来の方法、または従来の方法に類似した方法で製造してもよい。式(I)の化合物の製造では、中央のウレタンまたは尿素結合の形成が重要な合成工程である。ウレタンまたは尿素結合の形成のために多量の活性化試薬を使用することができ、例えばホスゲンを使用してアルコール類のクロロギ酸エステルを形成したり、カルボニルジイミダゾール(CDI)を使用してイミダゾールカルボン酸エステルを形成したりすることができる。典型的には、式(I)の化合物に組み込まれるウレタン結合は、活性化剤として炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)を用いて合成されている。本発明の実施例による中間体および化合物の製造は、特に下記スキーム1および2によって説明することができる。本明細中のスキームにおける構造中の変動部分の定義は、本明細書に詳述されている式中の対応する位置の変動部分に対応している。
スキーム1:YがOである式(I)の化合物の製造
【0065】
【化2】

【0066】
(式中、A、W、R、Rおよびa〜dは、式(I)に定義されているとおりである)。
【0067】
YがOである式(I)の化合物は、数工程のみで容易に製造することができる。第1の工程では、非プロトン性溶媒(例えば、DCM)中で、式(II)のアルコール誘導体を塩基(例えば、NMM)の存在下で炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)で活性化させて、対応する式(III)の炭酸エステルを得る。次いでその後、非プロトン性溶媒(例えば、DMF)中で、この炭酸中間体(III)を塩基(例えば、DIPEAまたはNEt)および随意に活性化剤(例えば、DMAP)の存在下で適当な式(IV)のN−複素環で処理し、それにより、所望の式(I)の化合物が形成される。
【0068】
ウレタンの形成は典型的には2段階プロセスであるが、これは、その場で活性化された中間体の形成によるワンポット反応で行なってもよい。
スキーム2:YがN(R)である式(I)の化合物の製造
【0069】
【化3】

【0070】
(式中、A、W、R〜Rおよびa〜dは、式(I)に定義されているとおりである)。
【0071】
YがN(R)である式(I)の化合物は、塩基(例えば、DIPEA)または活性化剤(例えば、DMAP)の非プロトン性溶媒(例えば、DMFまたはDCM)の存在下で、式(V)のアミノ誘導体を適当な式(VI)のN−複素環カルボニル塩化物誘導体で縮合することによって容易に製造される。
【0072】
式(I)の化合物を製造するために必要な出発物質は、市販されているものでもよく、当該技術分野で知られている方法によって製造してもよい。
【0073】
実験の箇所に記載されている以下のプロセスを行なって、遊離塩基の形態または酸付加塩としての本発明の化合物を得てもよい。医薬的に許容される酸付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を製造するための従来の手順に従って、遊離塩基を好適な有機溶媒に溶解し、その溶液を酸で処理することによって得てもよい。付加塩を形成する酸の例は上述されている。
【0074】
式(I)の化合物は、1つまたは2つ以上のキラルな炭素原子を有していてもよく、従って、光学異性体の形態で、例えば、純粋な鏡像異性体として、または鏡像異性体混合物(ラセミ体)として、あるいはジアステレオマーを含む混合物として得てもよい。純粋な鏡像異性体を得るための光学異性体混合物の分離は、当該技術分野で良く知られており、例えば、塩の光学的に活性な(キラルな)酸による分別結晶によって、あるいはキラルカラムによるクロマトグラフ分離によって達成してもよい。
【0075】
本明細書に詳述されている合成経路で使用される化学品としては、例えば、溶媒、試薬、触媒、ならびに保護基および脱保護基試薬が挙げられる。保護基の例は、t−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルおよびトリチル(トリフェニルメチル)である。また、上記方法は、本明細書に具体的に記載されている工程の前または後のいずれかに、最終的に当該化合物の合成が可能となるように好適な保護基を付加または除去するための工程をさらに含んでもよい。さらに、様々な合成工程を別の順序または順番で行なって所望の化合物を得てもよい。応用可能な化合物の合成の際に有用な合成化学変換および保護基手法(保護および脱保護)が当該技術分野で知られており、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989); T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley and Sons (1999); L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994);およびL. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)ならびにこれらの改訂版に記載されているものが挙げられる。
【0076】
以下の略語が使用されている:
aq 水溶液
Boc tert−ブトキシカルボニル
cat. 触媒量
DCM ジクロロメタン
DEAD アゾジカルボン酸ジエチル
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP N,N−ジメチルアミノピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
ES エレクトロスプレー
EtO ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
HIV ヒト免疫不全ウイルス
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
ICV 脳室内
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
M モル濃度
[MH] プロトン化分子イオン
NEt トリエチルアミン
NMM N−メチルモルホリン
RP 逆相
r.t. 室温
sat 飽和
tert 3級
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
本開示の態様は、添付の図面を参照しながら、以下の実施例に記載されている。
【0077】
本明細書中の変動部分の任意の定義における化学基の列挙についての記載は、任意の単一基または列挙された基の組み合わせとしてのその変動部分の定義を含む。本明細書中の態様についての記載は、任意の単一の態様として、あるいは任意の他の態様またはその一部との組み合わせでのその態様を含む。
【0078】
本開示を以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。以下の具体的な実施例は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなる場合も決して本開示の残りの部分を限定するものとして解釈されるべきではない。さらなる詳細を示さなくとも、当業者であれば、本明細書中の記載に基づいて本開示を最大限に利用することができると考えられる。本明細書で引用されている全ての参考文献および公開公表は、その内容全体が参照により本明細書において援用される。
実施例および中間体化合物
実験方法
別段の定めがない限り、全ての試薬は市販品であり、さらに精製することなく入手した状態のまま使用した。不活性雰囲気下で行なわれる反応には、市販の無水溶媒を使用した。別段の定めがない限り、全ての他の事例では、試薬等級溶媒を使用した。LCMS分析は、Agilent 1100 HPLC装置に接続されたWaters ZQ質量分析計を用いて行なった。HPLC分析は、Agilent 1100装置を用いて行なった。高分解能質量スペクトル(HRMS)は、Agilent 1100 HPLC装置に接続されたAgilent MSD-TOFによって得た。分析中、2つの質量によって較正を確認し、必要な場合には自動修正した。スペクトルは、正エレクトロスプレーモードで得た。得られた質量範囲はm/z100〜1100であった。質量ピークのプロファイル検出を使用した。順相クロマトグラフィーは、20gのStrata SI-1シリカギガチューブ(gigatube)を備えたFlash Master Personal装置を用いて行なった。逆相クロマトグラフィーは、Merck LiChoprep(登録商標)RP−18(40〜63μm)460×26mmカラムを備えたGilson装置を用いて行なった(30mL/分、勾配:0%〜100%メタノール/水)。分取HPLCは、Phenomenex Hydro RP 150×20mmを備えたGilson装置を用いて行なった(20mL/分、勾配:アセトニトリル/水)。当該化合物はACD6.0によって自動的に命名された。
【0079】
HPLCおよびLCMS分析データは以下の装置によって得られた:
装置A:Phenomenex Synergi Hydro RP(30×4.6mm、4μm)、勾配:5〜100%CHCN(+0.085%TFA)/HO(+0.1%TFA)、1.5mL/分、勾配時間:1.75分、200〜300nm、30℃;
装置B:Phenomenex Synergi Hydro RP(150×4.6mm、4μm)、勾配:5〜100%CHCN(+0.085%TFA)/HO(+0.1%TFA)、1.5mL/分、勾配時間:7分、200〜300nm、30℃;
装置C:Phenomenex Synergi Hydro RP(150×4.6mm、4μm)、勾配:0〜20%CHCN(+0.085%TFA)/HO(+0.1%TFA)、1.5mL/分、勾配時間:7分、200〜300nm、30℃;
装置D:Phenomenex Synergi Hydro RP(150×4.6mm、4μm)、勾配:5〜100%CHCN/HO(+0.1%HCOH)、1.0mL/分、勾配時間:8分、30℃;
装置E:Phenomenex Synergi Hydro RP(150×4.6mm、4μm)、勾配:0〜20%CHCN(+0.085%TFA)/HO(+0.1%TFA)、1.0mL/分、勾配時間:8分、30℃;
装置F:Phenomenex Synergi Hydro RP(150×4.6mm、4μm)、 勾配:5〜100%CHCN(+0.085%TFA)/HO(+0.1%TFA)、1.0mL/分、勾配時間:8分、30℃;または
装置G:Phenomenex Synergi Hydro RP(150×4.6mm、4μm)、勾配:0〜50%CHCN(+0.085%TFA)/HO(+0.1%TFA)、1.5mL/分、勾配時間:7分、200〜300nm、30℃。
中間体1
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−4−イル)メチル
【0080】
【化4】

【0081】
標記化合物をVeber et al, J. Org. Chem. 1977, 42, 3286-3288に記載されている文献手順に従って製造した。
中間体2
炭酸4−ニトロフェニル(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル
【0082】
【化5】

【0083】
(2,6−ジメチル−ピリジン−4−イル)−メタノール(9.14g、66.7mmol;Katz et. al, Synthetic Communications 1989, 19, 317-325に記載されている手順に従って製造)のDCM(40mL)懸濁液を、炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)(20.3g、66.7mmol)のDCM(200mL)溶液、次いでNMM(7.34mL)に添加した。反応混合物を一晩撹拌し、NaHCO飽和水溶液(100mL)で5回洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮して橙色の固体を得た。この固体をEtOAc(約25mL)から再結晶化して、炭酸4−ニトロフェニル(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル(11.52g)を少し色のついた白色の固体として得た。得られた濾液を濃縮し、得られた残留物を1滴のヘプタンによってEtOAc(15mL)からさらに再結晶化して、別の4.76gの生成物を少し色のついた白色の固体として得た。合計収率:16.28g(81%)。
中間体3
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−3−イル)メチル
【0084】
【化6】

【0085】
3−ピリジルメタノール(0.80g、7.34mmol)のDCM(40mL)溶液に、炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)(2.23g、7.34mmol)、次いでNMM(0.81mL、7.34mmol)を添加した。反応混合物を室温で66時間撹拌し、NaHCO飽和水溶液(20mL)で6回洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮して、炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−3−イル)メチル(1.67g、収率55%)を橙色の固体として得た。
中間体4
炭酸4−ニトロフェニル(6−メチルピリジン−3−イル)メチル
【0086】
【化7】

【0087】
6−メチルニコチン酸メチル(5.0g、33mmol)のTHF(120mL)溶液に、アルゴン下−78℃で、水素化ジイソブチルアルミニウム(1Mのヘキサン溶液、66mL、66mmol)を添加した。反応混合物を室温まで温め、4日間撹拌した。DCM(120mL)を添加した。混合物を0℃のロッシェル塩(150mL)飽和水溶液に添加した。この混合物を2つの層が形成されるまで撹拌した。これらの相を分離し、水相をDCM(150mL)で2回抽出した。一緒にした有機相を乾燥(MgSO)および真空濃縮して、(6−メチル−ピリジン−3−イル)−メタノールを黄色の油として得、これをさらに精製せずに次の工程で使用した。
LCMS分析:純度83%(装置A、保持時間=0.44分)、ES:123.9[MH]
【0088】
(6−メチル−ピリジン−3−イル)−メタノールのDCM(180mL)溶液に、炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)(10.4g、34mmol)、次いでNMM(3.75mL、34mmol)を添加した。反応混合物を室温で42時間撹拌した後、真空濃縮した。残留物をDCM(100mL)に溶解し、NaHCO飽和水溶液(100mL)で6回洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮した。粗生成物をEtOAcから再結晶化して、炭酸4−ニトロフェニルメチル(6−メチルピリジン−3−イル)(7.38g、77%)を橙色の固体として得た。
LCMS分析:(装置A、保持時間=1.74分)、ES:289.4[MH]
中間体5
炭酸4−ニトロフェニル(2−メチルピリジン−3−イル)メチル
【0089】
【化8】

【0090】
2−メチルニコチン酸メチル(5.9g、39mmol)のDCM(100mL)溶液に、アルゴン下−78℃で、水素化ジイソブチルアルミニウム(1Mのヘキサン溶液、97mL、97mmol)を添加した。反応混合物を4時間撹拌した後、0℃のロッシェル塩(200mL)飽和水溶液に添加した。混合物を2つの層が形成されるまで撹拌した。これらの相を分離し、水相をDCM(150mL)で2回抽出した。一緒にした有機相を乾燥(MgSO)および真空濃縮して、(2−メチル−ピリジン−3−イル)−メタノール(3.64g、76%)を黄色の油として得た。
LCMS分析:(装置A、保持時間=0.44分)、ES:123.9[MH]
【0091】
(2−メチル−ピリジン−3−イル)−メタノール(3.64g、29.6mmol)のDCM(150mL)溶液に、炭酸ビス−4−ニトロフェニル(9.0g、29.6mmol)、次いでNMM(3.2mL、29.6mmol)を添加した。反応混合物を、室温で68時間撹拌し、NaHCO飽和水溶液(100mL)で6回洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮して、炭酸4−ニトロフェニル(2−メチルピリジン−3−イル)メチル(8.39g、98%)を黄色の固体として得た。
LCMS分析:(装置A、保持時間=1.74分)、ES:289.4[MH]
中間体6
炭酸4−ニトロフェニル(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)メチル
【0092】
【化9】

【0093】
2,4−ジメチルピリジン−3−カルボン酸エチル(5.35g、30mmol)のDCM(150mL)溶液に、アルゴン下−78℃で、水素化ジイソブチルアルミニウム(1Mのヘキサン溶液、100mL、100mmol)を添加した。反応混合物を24時間撹拌した後、0℃のロッシェル塩飽和水溶液(200mL)に添加した。混合物を2つの層が形成されるまで撹拌した。これらの相を分離し、水相をDCM(150mL)で2回抽出した。一緒にした有機相を乾燥(MgSO)および真空濃縮した。残留物をEtOAcから再結晶化して、(2,4−ジメチル−ピリジン−3−イル)−メタノール(2.76g、67%)を淡黄色の固体として得た。
LCMS分析:(装置A、保持時間=0.46分)、ES:138.0[MH]
【0094】
(2,4−ジメチル−ピリジン−3−イル)−メタノール(2.44g、17.8mmol)のDCM(100mL)溶液に、炭酸ビス−(4−ニトロフェニル)(5.41g、17.8mmol)、次いでNMM(1.95mL、17.8mmol)を添加した。反応混合物を室温で66時間撹拌し、NaHCO飽和水溶液(100mL)で6回洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮して赤色の油を得た。この油は放置すると固化し、これをEtOAcから再結晶化して、炭酸4−ニトロフェニル(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)メチル(3.36g、63%)を赤色の固体として得た。
LCMS分析:(装置A、保持時間=1.82分)、ES:303.5[MH]
中間体7
(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メタンアミンの二塩酸塩
【0095】
【化10】

【0096】
4−(ヒドロキシメチル)−2,6−ジメチルピリジン(10.1g、73.6mmol)、フタルイミド(11.9g、80.9mmol)およびトリフェニルホスフィン(21.2g、80.9mmol)のTHF(100mL)溶液に、DEAD(15.4g、88.3mmol)を5分かけて添加した。反応混合物を60時間撹拌した。EtOAc(300mL)および1MのHCl水溶液(100mL)を添加し、有機層を1MのHCl水溶液(100mL)で3回抽出した。酸性の水層を一緒にし、pHが7.5〜8になるまで塩基性化した。沈殿物を濾過によって回収し、真空乾燥して、2−((2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン(17.23g、88%)を白色の粉末として得た。
HPLC分析:純度99%(装置G、保持時間=3.86分)。
【0097】
2−((2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン(17.55g、65.9mmol)を、氷酢酸(80mL)、濃塩酸(80mL)および水(80mL)の混合物に添加した。反応混合物を96時間加熱還流した後、室温までゆっくりと冷却した。懸濁液を濾過によって除去し、濾液を真空濃縮した。残留物を水(200mL)に溶解し、EtOAc(100mL)で3回洗浄し、水層を真空濃縮して、(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メタンアミンの塩酸塩(5.4g、39%)を白色の粉末として得た。
HPLC分析:純度99.7%(装置G、保持時間=1.28分);LCMS分析:(装置A、保持時間=0.46分)、ES:137[MH]
中間体8
(4−メチル−N−エチルアミン)−2、6−ジメチルピリジン
【0098】
【化11】

【0099】
2,6−ジメチルピリジルメチルアルコール(5.0g、36.4mmol)およびNEt(12.7mL、91.1mmol)のDCM(100mL)溶液に、塩化メタンスルホニル(5.62mL、72.9mmol)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌した後、真空濃縮した。残留物をEtOAc(100mL)に溶解し、NaHCO飽和水溶液(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮して、メタンスルホン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチルおよび4−(クロロメチル)−2,6−ジメチルピリジン(4.86g)の混合物を得た。この混合物の一部(2.0g)をDMF(4mL)に溶解し、N−エチルアミン(1.79mL、32.2mmol)を添加し、混合物を通常の吸収で170℃のBiotage Initiatorマイクロ波で20分間加熱した。反応混合物を真空濃縮し、残留物を逆相クロマトグラフィーで精製して、(4−メチル−N−エチルアミン)−2、6−ジメチルピリジン(702mg、28%)を無色の油として得た。
実施例1
モルホリン−4−カルボン酸ピリジン−4−イルメチルの塩酸塩
【0100】
【化12】

【0101】
中間体1(274mg、1.00mmol)のDMF(5mL)溶液に、DIPEA(0.35mL、2.00mmol)およびモルホリン(91.8μL、1.05mmol)、次いでDMAP(30mg、触媒量)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、真空濃縮した。残留物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜5%MeOH/DCM)で精製した。得られた残留物をMeOH(1.0mL)に溶解し、2MのHClのEtO溶液(0.50mL、1.00mmol)を添加した。この溶液を10分間撹拌し、真空濃縮して、モルホリン−4−カルボン酸ピリジン−4−イルメチルの塩酸塩(187mg、72%)を白色の固体として得た。
HPLC分析:純度100%(装置B、保持時間=2.84分);LCMS分析:純度100%(装置D、保持時間=3.44分)、ES:222.9[MH];C1114についてのHRMS計算値:222.1004、実測値:222.1008。
実施例2
(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸ピリジン−4−イルメチル
【0102】
【化13】

【0103】
(R)−3−ヒドロキシピロリジン(87mg、1mmol)、中間体1(274mg、1.0mmol)、DIPEA(354μL、2.0mmol)およびDMAP(10mg、触媒量)をDMF(5mL)に溶解した。反応混合物を室温で16時間撹拌した後、真空濃縮した。粗生成物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜5%メタノール/DCM)、次いで分取HPLC(勾配溶離液:5%〜95%アセトニトリル/水)で精製して、(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸ピリジン−4−イルメチル(65mg、29%)を無色の油として得た。
HPLC分析:純度100%(装置B、保持時間=2.63分);LCMS分析:純度100%(装置D、保持時間=3.21分)、ES:222.8[MH]
実施例3
(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸ピリジン−4−イルメチルの塩酸塩
【0104】
【化14】

【0105】
中間体1(1.02g、3.72mmol)のDMF(6mL)溶液に、DIPEA(0.8mL、4.6mmol)、DMAP(10mg、触媒量)およびシス−2,6−ジメチルモルホリン(0.5mL、4.1mmol)を添加した。反応混合物を室温で7日間撹拌した後、真空濃縮した。残留物をEtOAc(50mL)に溶解し、1MのNaCO水溶液(50mL)で4回洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮した。残留物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0〜5%メタノール/DCM)で精製して白色の固体を得た。この固体をEtOに溶解し、2MのHClのEtO溶液を過剰に添加した。得られた沈殿物を濾過によって回収し、EtOで洗浄し、真空乾燥して、(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸ピリジン−4−イルメチルの塩酸塩(782mg、73%)を白色の粉末として得た。
HPLC分析:純度99.2%(装置B、保持時間=3.30分);LCMS分析:純度100%(装置D、保持時間=3.30分)、ES:251.4[MH];C1318についてのHRMS計算値:250.1317、実測値:250.1322。
実施例4
4−エチルピペラジン−1−カルボン酸ピリジン−4−イルメチルのギ酸塩
【0106】
【化15】

【0107】
中間体1(1.25g、4.67mmol)のDMF(25mL)溶液に、DIPEA(1mL、5.7mmol)、DMAP(20mg、触媒量)および1−エチルピペラジン(0.7mL、5.5mmol)を添加した。反応混合物を室温で48時間撹拌し、真空濃縮した。残留物をEtOAc(50mL)に溶解し、1MのNaCO水溶液(50mL)で4回洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(勾配溶離液:各溶媒に1%のギ酸を含むMeOH/水)で精製して、4−エチルピペラジン−1−カルボン酸ピリジン−4−イルメチルのギ酸塩(358mg、26%)を無色の油として得た。
HPLC分析:純度99.2%(装置C、保持時間=5.61分);LCMS分析:純度100%(装置E、保持時間=5.72分)、ES:250.4[MH];C1319についてのHRMS計算値:249.1477、実測値:249.1484。
実施例5
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸ピリジン−4−イルメチルの二塩酸塩
【0108】
【化16】

【0109】
中間体1(1.63g、5.95mmol)のDMF(20mL)溶液に、トリエチルアミン(1.0mL、7.2mmol)、DMAP(20mg、触媒量)および1−フェニルピペラジン(0.91mL、5.95mmol)を添加した。反応混合物を室温で7日間撹拌した後、真空濃縮した。残留物をEtOAc(50mL)に溶解し、1MのNaCO水溶液(50mL)で4回洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮した。残留物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜2%MeOH/DCM)、次いで逆相クロマトグラフィーで精製した。生成物をDCM(10mL)に溶解し、2MのHClのEtO溶液(5mL、10mmol)で処理し、真空濃縮して、4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸ピリジン−4−イルメチルの二塩酸塩(621mg、28%)を薄桃色の固体として得た。
HPLC分析:純度99.5%(装置B、保持時間=3.76分);LCMS分析:純度100%(装置F、保持時間=5.52分)、ES:298.4[MH];C1719についてのHRMS計算値:297.1477、実測値:297.1485。
実施例6
(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸2−ピリジン−4−イルエチル
【0110】
【化17】

【0111】
4−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン(0.25mL、2.2mmol)のDCM(10mL)溶液に、炭酸ビス−(p−ニトロフェニル)(0.67g、2.2mmol)およびNMM(0.24mL、2.2mmol)を添加した。反応混合物を室温で2日間撹拌した後、真空濃縮して橙色の油を得た。この油をEtOAc(30mL)に溶解し、NaHCO飽和水溶液(20mL)で3回洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮して、炭酸4−ニトロフェニル2−(ピリジン−4−イル)エチルを油として得、これをさらに精製せずに次の工程で使用した。
【0112】
炭酸4−ニトロフェニル2−(ピリジン−4−イル)エチル(約2.2mmol)のDMF(10mL)溶液に、DIPEA(0.383mL、2.2mmol)およびシス−2,6−ジメチルモルホリン(0.27mL、2.2mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、真空濃縮した。残留物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜2%MeOH/DCM)、次いで逆相クロマトグラフィーで精製して、(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸2−ピリジン−4−イルエチル(128mg、22%)を淡黄色の油として得た。
HPLC分析:純度99.6%(装置B、保持時間=3.44分);LCMS分析:純度100%(装置F、保持時間=5.18分)、ES:265.6[MH];C1420についてのHRMS計算値:264.1474、実測値:264.1480。
実施例7
モルホリン−4−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチルの塩酸塩
【0113】
【化18】

【0114】
炭酸4−ニトロフェニル(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル(中間体2;440mg、1.46mmol)のDMF(6mL)溶液に、DIPEA(320μL、2.3mmol)、モルホリン(130μL、1.5mmol)およびDMAP(10mg、触媒量)を添加した。反応混合物を5日間撹拌した後、真空濃縮した。残留物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜10%MeOH/DCM)、次いで逆相クロマトグラフィーで精製して無色の油を得た。この油をEtO(5mL)に溶解し、2MのHClのEtO溶液(1.0mL、2.0mmol)で処理し、真空濃縮して、モルホリン−4−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチルの塩酸塩(226mg、54%)を白色の固体として得た。
HPLC分析:純度99.7%(装置B、保持時間=3.44分);LCMS分析:純度100%(装置D、保持時間=4.18分)、ES:251.3[MH];C1318についてのHRMS計算値:250.1317、実測値:250.1327。
実施例8
(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチルの塩酸塩
【0115】
【化19】

【0116】
炭酸4−ニトロフェニル(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル(中間体2;572mg、1.89mmol)のDMF(15mL)溶液に、シス−2,6−ジメチルモルホリン(250μL、2.0mmol)、NEt(400μL、2.9mmol)およびDMAP(10mg、触媒量)を添加した。反応混合物を一晩撹拌した後、真空濃縮した。残留物をEtOAc(50mL)に溶解し、1MのNaCO水溶液(50mL)で3回洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮した。粗生成物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0〜5%MeOH/DCM)、次いで逆相クロマトグラフィー(勾配溶離液:各溶媒に1%のギ酸を含むMeOH/水)で精製して無色のゴムを得た。このゴムをDCM(5mL)に溶解し、2MのHClのEtO溶液(1mL)で処理し、真空濃縮して、(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチルの塩酸塩(301mg、51%)を白色の粉末として得た。
HPLC分析:純度99.6%(装置B、保持時間=3.79分);LCMS分析:純度100%(装置D、保持時間=5.21分)、ES:279.4[MH];C1522についてのHRMS計算値:278.1630、実測値:278.1641。
実施例9
ピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチルの二塩酸塩
【0117】
【化20】

【0118】
ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(5.58g、30mmol)、炭酸4−ニトロフェニル(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル(中間体2;9.06g、30mmol)およびDIPEA(10.4mL、60mmol)をDMF(50mL)に溶解した。反応混合物を室温で16時間撹拌した後、真空濃縮した。残留物をEtOAc(200mL)に溶解し、1MのNaCO水溶液で洗浄し、真空濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(勾配溶離液:各溶媒に1%のギ酸を含む10%〜100%MeOH/水)で精製した。残留物をDCM(50mL)に溶解し、2MのHClのEtO溶液を過剰に添加した。混合物を16時間撹拌し、沈殿物を濾過によって回収し、真空乾燥して、ピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチルの二塩酸塩(7.04g、73%)を無色の固体として得た。
HPLC分析:純度100%(装置C、保持時間=6.35分);LCMS分析:純度100%(装置E、保持時間=6.29分)、ES:250.4[MH];C1319についてのHRMS計算値:249.1477、実測値:249.1484。
実施例10
4−エチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチルの二塩酸塩
【0119】
【化21】

【0120】
炭酸4−ニトロフェニル(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル(中間体2;9.07g、30mmol)のDMF(100mL)溶液に、1−エチルピペラジン(3.43g、30mmol)、トリエチルアミン(3.03g、30mmol)およびDMAP(10mg、触媒量)を添加した。反応混合物を一晩撹拌した後、真空濃縮した。残留物をEtOAc(200mL)に溶解し、NaCO飽和水溶液(200mL)で約8回洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜50%MeOH/水)で精製した。残留物をDCMに溶解し、濾過し、濾液を真空で蒸発乾固して、4−エチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル(4.83g、58%)を無色の油として得た。
【0121】
4−エチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル(1.8g、6.5mmol)のDCM溶液を2MのHClのEtO溶液(8mL、16mmol)で処理することによって、この二塩酸塩を製造した。溶媒を真空除去して、4−エチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチルの二塩酸塩(2.28g、100%)を白色の発泡体として得た。
HPLC分析:純度100%(装置B、保持時間=2.54分);LCMS分析:純度100%(装置F、保持時間=4.22分)、ES:278.5[MH];C1523についてのHRMS計算値:277.1790、実測値:277.1800。
実施例11
(3S)−3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル
【0122】
【化22】

【0123】
(S)−3−ヒドロキシピペリジンの塩酸塩(0.50g、3.6mmol)およびDIPEA(1.25mL、7.2mmol)のDMF(15mL)撹拌溶液に、DMAP(44mg、0.36mmol)および炭酸4−ニトロフェニル(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル(中間体2;1.01g、3.6mmol)を添加した。反応混合物を一晩撹拌した後、真空濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0〜40%MeOH/水)で精製した後、10gのSCXカラム(溶離液:MeOH、次いで1%アンモニア/MeOH)を用いて精製した。残留物をDCMに溶解し、活性炭で処理し、濾過および真空乾燥して、(3S)−3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル(450mg、47%)を白色の結晶性固体として得た。
HPLC分析:純度100%(装置B、保持時間=3.11分);LCMS分析:純度100%(装置F、保持時間=4.74分)、ES:265.4[MH];C1420についてのHRMS計算値:264.1474、実測値:264.1482。
実施例12
4−メチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル
【0124】
【化23】

【0125】
炭酸4−ニトロフェニル(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル(中間体2;0.604g、2.0mmol)のDMF(10mL)溶液に、DIPEA(0.520mL、3.0mmol)およびN−メチルピペラジン(0.222mL、3.0mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、真空濃縮した。残留物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜5%MeOH/DCM)、次いで逆相クロマトグラフィーで精製して、4−メチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル(226mg、42%)を白色の固体として得た。
HPLC分析:純度100%(装置B、保持時間=2.45分);LCMS分析:純度97.4%(装置F、保持時間=4.07分)、ES:264.4[MH];C1421についてのHRMS計算値:263.1634、実測値:263.1647。
実施例13
(2S)−2,4−ジメチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチルの二塩酸塩
【0126】
【化24】

【0127】
炭酸4−ニトロフェニル(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル(中間体2;870mg、2.89mmol)のDMF(20mL)溶液に、NEt(0.80mL、5.70mmol)および3−メチルピペラジン−1−カルボン酸(S)−tert−ブチル(670mg、3.35mmol)を添加した。反応混合物を室温で13日間撹拌した後、真空濃縮した。残留物をEtOAc(50mL)に溶解し、1MのNaCO水溶液(50mL)で5回洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮した。残留物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜2%MeOH/DCM)で精製して、(S)−4−tert−ブチル=2−メチルピペラジン−1,4−ジカルボン酸1−(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチルを黄色の油として得た。これを、TFA(10mL)およびDCM(15mL)の混合物に溶解し、5時間撹拌した後、真空濃縮して、2−メチルピペラジン−1−カルボン酸(S)−(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル=ビストリフルオロ酢酸(1.43g、100%)を薄茶色の油として得た。
【0128】
2−メチルピペラジン−1−カルボン酸(S)−(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル=ビストリフルオロ酢酸(347mg、0.71mmol)の一部を、ギ酸および37%ホルムアルデヒド水溶液の1:1混合物(15mL)に溶解し、2時間還流した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、週末の間放置した後、1MのNaCO水溶液(100mL)に慎重に入れた。得られた溶液を固体のKOHによってpH12まで塩基性化し、EtOAc(100mL)で3回抽出した。一緒にした有機層を乾燥(MgSO)および真空濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(勾配溶離液:各溶媒に1%のギ酸を含む0%〜100%MeOH/水)で精製して無色の油を得た。この油をDCMに溶解し、過剰な2MのHClのEtO溶液で処理し、真空乾燥して、(2S)−2,4−ジメチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチルの二塩酸塩(82mg、33%)を白色の粉末として得た。
HPLC分析:純度99.8%(装置B、保持時間=2.57分);LCMS分析:純度97.4%(装置F、保持時間=4.25分)、ES:278.5[MH];C1523についてのHRMS計算値:277.1790、実測値:277.1802。
実施例14
4−アセチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチルの塩酸塩
【0129】
【化25】

【0130】
炭酸4−ニトロフェニル(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル(中間体2;1.05g、3.5mmol)のDMF(25mL)溶液に、トリエチルアミン(0.60mL、4.3mmol)および1−アセチルピペラジン(0.56g、4.4mmol)を添加した。反応混合物を室温で8日間撹拌した後、真空濃縮した。残留物をEtOAc(50mL)に溶解し、1MのNaCO水溶液(50mL)で5回洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮した。粗生成物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜5%MeOH/DCM)で精製した。残留物をDCM(10mL)に溶解し、2MのHClのEtO溶液(2.0mL、4.0mmol)で処理し、真空乾燥して、4−アセチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチルの塩酸塩(212mg、38%)を白色の固体として得た。
HPLC分析:純度98.1%(装置B、保持時間=2.96分);LCMS分析:純度100%(装置F、保持時間=4.72分)、ES:292.5[MH];C1521についてのHRMS計算値:291.1583、実測値:291.1590。
実施例15
(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸ピリジン−3−イルメチルの塩酸塩
【0131】
【化26】

【0132】
炭酸4−ニトロフェニル(ピリジン−3−イル)メチル(中間体3;350mg、1.28mmol)のDMF(10mL)溶液に、DIPEA(0.22mL、1.28mmol)、DMAP(10mg)およびシス−2,6−ジメチルモルホリン(0.16mL、1.28mmol)を添加した。反応混合物を室温で17時間撹拌した後、真空濃縮した。残留物をEtOAc(15mL)に溶解し、1MのNaHCO水溶液で洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮した。残留物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜2%MeOH/DCM)、次いで逆相クロマトグラフィーで精製した。得られた無色の油をMeOH(4mL)に溶解し、2MのHClのEtO溶液(0.5mL、1.0mmol)で処理し、真空乾燥して、(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸ピリジン−3−イルメチルの塩酸塩(120mg、25%)を白色の固体として得た。
HPLC分析:純度98.9%(装置B、保持時間=3.42分);LCMS分析:純度100%(装置F、保持時間=5.04分)、ES:251.4[MH];C1318についてのHRMS計算値:250.1317、実測値:250.1327。
実施例16
モルホリン−4−カルボン酸(6−メチルピリジン−3−イル)メチル
【0133】
【化27】

【0134】
炭酸4−ニトロフェニル(6−メチルピリジン−3−イル)メチル(中間体4;864mg、3.0mmol)のDMF(40mL)溶液に、DIPEA(1.04mL、6.0mmol)、DMAP(10mg、触媒量)およびモルホリン(0.26mL、3.0mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、真空濃縮した。残留物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜1%MeOH/DCM)、次いで逆相クロマトグラフィーで精製した。得られた黄色の油を、EtOAc(70mL)に溶解し、1MのNaCO水溶液で洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮した。得られた白色の結晶性固体を逆相クロマトグラフィーで精製し、真空乾燥して、モルホリン−4−カルボン酸(6−メチルピリジン−3−イル)メチル(185mg、26%)を白色の固体として得た。
HPLC分析:純度99.4%(装置B、保持時間=2.90分);LCMS分析:純度100%(装置F、保持時間=4.64分)、ES:237.4[MH];C1216についてのHRMS計算値:236.1161、実測値:236.1169。
実施例17
4−エチルピペラジン−1−カルボン酸(6−メチルピリジン−3−イル)メチル
【0135】
【化28】

【0136】
炭酸4−ニトロフェニル(6−メチルピリジン−3−イル)メチル(中間体4;576mg、2.0mmol)のDMF(10mL)溶液に、DIPEA(0.52mL、2.0mmol)、DMAP(10mg、触媒量)およびN−エチルピペラジン(254μL、2.0mmol)を添加した。反応混合物を室温で67時間撹拌した後、真空濃縮した。粗生成物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜2%MeOH/DCM)、次いで逆相クロマトグラフィーで精製し、真空乾燥して、4−エチルピペラジン−1−カルボン酸(6−メチルピリジン−3−イル)メチル(90mg、17%)を黄色の油として得た。
HPLC分析:純度99.1%(装置B、保持時間=2.38分);LCMS分析:純度100%(装置F、保持時間=3.99分)、ES:264.4[MH];C1421についてのHRMS計算値:263.1634、実測値:263.1633。
実施例18
モルホリン−4−カルボン酸(2−メチルピリジン−3−イル)メチル
【0137】
【化29】

【0138】
炭酸4−ニトロフェニル(2−メチルピリジン−3−イル)メチル(中間体5;1.28g、3.0mmol)のDMF(40ml)溶液に、DIPEA(1.04mL、6.0mmol)、DMAP(10mg、触媒量)およびモルホリン(0.26ml、3.0mmol)を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した後、真空濃縮した。粗生成物を順相カラムクロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜1%MeOH/DCM)、次いで逆相クロマトグラフィーで精製した。得られた黄色の油をEtOAc(70mL)に溶解し、1MのNaCO水溶液で洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮して、モルホリン−4−カルボン酸(2−メチルピリジン−3−イル)メチル(413mg、58%)を黄色の油として得た。
HPLC分析:純度100%(装置B、保持時間=2.89分);LCMS分析:純度100%(装置F、保持時間=4.61分)、ES:237.4[MH];C1216についてのHRMS計算値:236.1161、実測値:236.1168。
実施例19
モルホリン−4−カルボン酸(6−メチルピリジン−2−イル)メチルの塩酸塩
【0139】
【化30】

【0140】
(6−メチルピリジン−2−イル)メタノール(369mg、3.0mmol)のTHF(10mL)溶液を、水素化ナトリウム(60%鉱油溶液、150mg、3.75mol)のTHF(10mL)懸濁液に滴下した。反応混合物を2分間撹拌した後、塩化4−モルホリンカルボニル(385μL、3.3mmol)のTHF(10mL)溶液を滴下した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、氷の添加によって失活させ、真空濃縮した。残留物をEtOAc(50mL)に溶解し、水(20mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィーで精製した。生成物をDCMに溶解し、2MのHClのEtO(過剰)溶液で処理し、真空乾燥して、モルホリン−4−カルボン酸(6−メチルピリジン−2−イル)メチルの塩酸塩(752mg、74%)を淡黄色の油として得た。
HPLC分析:純度97.0%(装置B、保持時間=2.93分);LCMS分析:純度99.2%(装置F、保持時間=4.66分)、ES:237.4[MH];C1216についてのHRMS計算値:236.1161、実測値:236.1165。
実施例20
モルホリン−4−カルボン酸(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)メチル
【0141】
【化31】

【0142】
炭酸4−ニトロフェニル(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)メチル(中間体6;906mg、3.0mmol)のDMF(40mL)溶液に、DIPEA(1.04mL、6.0mmol)、DMAP(10mg、触媒量)およびモルホリン(0.261mL、3.0mmol)を添加した。反応混合物を室温で3.5時間撹拌した後、真空濃縮した。残留物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜2%MeOH/DCM)、次いで逆相クロマトグラフィーで精製した。得られた黄色の油をEtOAc(70mL)に溶解し、1MのNaCO水溶液で洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮して、モルホリン−4−カルボン酸(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)メチル(277mg、37%)を白色の固体として得た。
HPLC分析:純度99.8%(装置B、保持時間=3.09分);LCMS分析:純度100%(装置F、保持時間=4.83分)、ES:251.4[MH];C1318についてのHRMS計算値:250.1317、実測値:250.1326。
実施例21
N−エチル−N−(ピリジン−4−イルメチル)モルホリン−4−カルボキサミドの塩酸塩
【0143】
【化32】

【0144】
塩化4−モルホリンカルボニル(8.17ml、70mmol)を、PS−DMAP樹脂(21.5g、1.63mmol/g、35mmol、Argonaut社製)のDCM(100mL)懸濁液に添加し、反応混合物を室温で4時間振盪した。この樹脂を濾過し、DCM(100mL)で5回洗浄した。この樹脂をDCM(150mL)に懸濁させ、4−(エチルアミノメチル)ピリジン(4.77g、35mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩振盪した。この樹脂を濾過し、DCM(200mL)で5回洗浄した。一緒にした濾液を真空濃縮した。残留物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜2%MeOH/DCM)で精製した。残留物を水(20mL)に溶解し、活性炭で処理し、濾過および真空乾燥して、N−エチル−N−(ピリジン−4−イルメチル)モルホリン−4−カルボキサミドの塩酸塩(640mg、7%)を無色の液体として得た。
HPLC分析:純度99.7%(装置B、保持時間=2.93分);LCMS分析:純度100%(装置D、保持時間=4.68分)、ES:250.4[MH];C1319についてのHRMS計算値:249.1477、実測値:249.1480
実施例22
N−[(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル]モルホリン−4−カルボキサミドの塩酸塩
【0145】
【化33】

【0146】
(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メタンアミンの二塩酸塩(中間体7;418mg、2.0mmol)のDMF懸濁液に、DIPEA(696μL、6.0mmol)および塩化4−モルホリンカルボニル(230μL、2.0mmol)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌した後、真空濃縮した。残留物を順相クロマトグラフィー(勾配溶離液:0%〜5%MeOH/DCM)、次いで分取HPLC(溶離液:水)で精製した。残留物をDCM(1.5mL)に溶解し、2MのHClのEtO溶液(数滴)で処理し、真空乾燥して、N−[(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル]−モルホリン−4−カルボキサミドの塩酸塩(63mg、11%)を白色の結晶性固体として得た。
HPLC分析:純度100%(装置B、保持時間=2.63分);LCMS分析:純度100%(装置F、保持時間=4.42分)、ES:250.4[MH];C1319についてのHRMS計算値:249.1477、実測値:249.1482。
実施例23
N−[(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル]−N−エチルモルホリン−4−カルボキサミド
【0147】
【化34】

【0148】
(4−メチル−N−エチルアミン)−2,6ジメチルピリジン(中間体8;679mg、4.13mmol)およびDIPEA(1.44mL、8.27mmol)のDMF(30mL)溶液に、塩化4−モルホリンカルボニル(475μL、4.13mmol)を添加した。混合物を室温で72時間撹拌した後、真空濃縮した。残留物をDCM(100mL)に溶解し、NaHCO飽和水溶液(25mL)で3回洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィー(溶離液:各溶媒に1%のギ酸を含む0%〜100%MeOH/水)で精製した。生成物をEtOAc(100mL)に溶解し、NaHCO飽和水溶液(25mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)および真空濃縮して、N−[(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル]−N−エチルモルホリン−4−カルボキサミド(48mg、4%)を無色の油として得た。
HPLC分析:純度99.3%(装置B、保持時間=4.12分);LCMS分析:純度98%(装置D、保持時間=6.13分)、ES:278.5[MH]
生物学的試験
雄のC57 bl/6マウスにおける一晩の体重の変化の測定
このモデルは、有効範囲(effective window)を最大にするために、pm〜amの期間における体重増加に及ぼす化合物の影響を研究する。図1に示すように、当該マウスは典型的には、暗期に体重が約1g増加し、次いで、明期にこの体重増加の大部分が元に戻る。どの24時間における体重の差異も非常に僅かであるが、暗期の開始から明期の開始まで(pm〜am)の体重の差異は最大である。
【0149】
暗期における体重の変化を測定することが重要である。マウスに2日間連続して活性化合物を投与し、1回目の投与の48時間後に体重の変化を記録しても、著しい効果は全く観察されない。しかし、暗期のみの体重の変化を考察すると、著しくかつ確実な効果が見られる。これは、マウスが暗期における体重増加の不足を補うために明期においてリバウンドするからである。非常に活性な長時間持続する化合物であれば、このリバウンドを低下させ、48時間にわたって体重を減少させる可能性もある。
雄のC57 bl/6マウスにおける連日にわたる体重の変化:
暗期の開始から明期の開始まで(pm〜am)の体重の差異は、連続する2日間のpm〜pmに測定した体重の差異よりも大きい。従って、有効範囲を最大にするために、pm〜amの差異に及ぼす化合物の影響を研究した。
【0150】
C57 b1/6マウスをグループ化し(1ケージにつき5匹)、順化のために5日間放置した。暗期の直前に、単回腹腔内(ip)投与(60mg/kg)を行なった。化合物は水溶性のもの、または3%以下のクレモフォールに溶解したもの(この場合、賦形剤もクレモフォールを含んでいた)であった。pHを、化合物の性質に応じて最低5.5〜最高8に調整した。
【0151】
図2〜図5に示すように、式(I)の化合物は、マウスの体重を減少させるのに有用である。
非組み換え系におけるレプチンアッセイ
レプチンによってSTAT3リン酸化反応における極めて著しい増加が誘発される組み換え系(例えば、ObRb形質移入HEK293細胞)では特徴が明確となるが、これらの系では、レプチン受容体に対する試験化合物の活性についての正確な測定が得られないことが多い。受容体の過剰発現(ならびに、異なる薬剤が、レプチンの受容体との結合によって引き起こされるシグナル伝達経路の異なる部分に作用する可能性)によって、大抵の場合、試験される薬剤の活性が停止してしまうと思われる。
【0152】
非組み換え系でのレプチン受容体発現は変動的であることが多く、信号安定性が実験の範囲内にとどまる系を同定するように注意を払わなければならない。そのような系を用いて、レプチン受容体拮抗薬類似物質を、レプチンに対するそれらの作用を評価することによって同定することができる(以下を参照)。
【0153】
レプチンは主に脂肪細胞で産生されるが、ヒトでは、レプチンをコードするmRNAは胎盤にも存在する。ここでは、レプチンは、微小血管系において重要な増殖に関する役割を担っている場合もある。天然の細胞株にこの仮説を用いることができるか否かを評価した。
JEG−3プロトコル
JEG−3細胞(絨毛癌細胞株)では、レプチンは、最大3倍まで増殖を刺激することができる(Biol. Reprod. (2007) 76: 203-10)。レプチンは、JEG−3細胞での[H]−チミジンの取込みにおいて濃度依存的増加も引き起こす(図6、100nM(EC50=2.1nM)での最大効果)。細胞によって取込まれる放射能は、増殖活性の指標であり、液体シンチレーションβカウンターを用いてカウント毎分(CPM)で測定する。
【0154】
この調査結果は、化合物が細胞増殖に及ぼすレプチンの影響を再現する(レプチン受容体アゴニスト類似物質)(すなわち、所与の化合物は、細胞によって取込まれる[H]−チミジンの増加を引き起こす)、あるいは[H]−チミジンの取込みにおけるレプチン媒介性増加を阻止することによってレプチンの効果を阻害する(拮抗薬の効果)ことができるか否かに関わらず、試験に応用することができる。
【0155】
この手法は、非組み換え系を用いるという利点を有し、かつ妥当な再現性および確実性を有する。
脳透過性の測定
試験種(げっ歯類)に、通常は静脈(IV)または経口(PO)投与によって、調査中の基質のボーラス投与を行なった。適当な時点で、血液試料を採取し、得られた血漿を抽出し、基質濃度および、適当な場合には代謝産物濃度を分析する。同様の時点で、別のグループの動物を屠殺し、脳を分離し、その脳の表面を除去する。次いで、脳試料を均質化および抽出し、基質濃度および、適当な場合には代謝産物濃度を分析する。あるいは、試験種の1つまたは2つ以上の脳の領域に微小透析プローブを埋め込み、後の分析のために、試料を適当な時点で採取した。この方法は、細胞外基質濃度のみを測定するという利点を有する。次いで、血漿および脳濃度を比較し、個々の時点での平均濃度の比較、または濃度−時間プロットの濃度曲線下面積(AUC)の計算のいずれかによって比率を計算する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

あるいはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物、幾何異性体、互変異性体、光学異性体またはN−酸化物であって、式中:
Aはピリジン環であり、
Yは、O、N(R)またはCHであり、
Wは、O、N(R)またはCHであり、
各Rは、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、シアノおよびCFから独立に選択され、
各Rは、ヒドロキシおよびC1〜4アルキルから独立に選択され、
は、水素またはC1〜4アルキルであり、
は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アシル、フェニルおよびベンジルから選択され、ここで、フェニルおよびベンジルは、ハロゲン、シアノ、CF、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、フェニルおよびフェノキシから選択される1つまたは2つ以上の置換基で置換されていてもよく、
aおよびbは各々独立に0、1または2であり、
cは1または2であり、かつ
dは0、1または2であるが、
但し、該化合物は、以下からなる群から選択されることはない:
N−(4−ピリジニルメチル)−4−モルホリンカルボキサミド;
4−(3−メチルフェニル)−N−(2−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−(4−フルオロフェニル)−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
N−(2−ピリジニルメチル)−4−モルホリンカルボキサミド;
4−(2−メチルフェニル)−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
N−(3−ピリジニルメチル)−4−モルホリンカルボキサミド;
(2R,5S)−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2,5−トリメチル−N−(2−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
(2R,5S)−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,5−ジメチル−N−[(3−メチル−2−ピリジニル)メチル]−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−メチルピペラジン−1−カルボン酸(2−ピリジニル)メチル;
(2R,5S)−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,5−ジメチル−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−メチルピペラジン−1−カルボン酸2−(2−ピリジニル)エチル;
4−フェニル−N−[2−(2−ピリジニル)エチル]−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−(2,3−ジメチルフェニル)−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
(2R,5S)−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,5−ジメチル−N−[2−(4−ピリジニル)エチル]−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−(4−クロロフェニル)−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペリジンカルボキサミド;
N−[2−(4−ピリジニル)エチル]−4−モルホリンカルボキサミド;
4−フェニル−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
(2R,5S)−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N,2,5−トリメチル−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−フェニル−N−(2−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;
N−[[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]メチル]−4−モルホリンカルボキサミド;
(2R,5S)−N−[(6−クロロ−2−ピリジニル)メチル]−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,5−ジメチル−1−ピペラジンカルボキサミド;
(2R,5S)−N−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2,5−ジメチル−1−ピペラジンカルボキサミド;
1−[3−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−1−オキソプロピル]−4−フェニル−ピペラジン;
1−[3−(2−ピリジル)プロピオニル]−ピペリジン;
1−メチル−4−[1−オキソ−3−(3−ピリジニル)プロピル]−ピペラジン;
1−[3−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−1−オキソプロピル]−4−メチル−ピペラジン;
4−[3−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−1−オキソプロピル]−モルホリン;
4−(2,4,6−トリメトキシベンジル)−ピペラジン−1−カルボン酸(6−メチルピリジン−2−イル)メチル;
4−(5−フルオロ−2−メトキシベンジル)−N−[2−(ピリジン−2−イル)エチル]−1−ピペラジンカルボキサミド;
N−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]−4−フェニル−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−(4−フルオロフェニル)−N−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−(2−フルオロフェニル)−N−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]−1−ピペラジンカルボキサミド;
(2R,5S)−4−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]−2,5−ジメチル−1−ピペラジンカルボキサミド;
1−[1−オキソ−3−(3−ピリジニル)プロピル]−ピペラジン;
4−[1−オキソ−3−(2−ピリジニル)プロピル]−モルホリン;
4−(3−クロロフェニル)−N−[(6−メトキシ−3−ピリジニル)メチル]−1−ピペラジンカルボキサミド;
4−(4−メトキシフェニル)−N−(3−ピリジニルメチル)−1−ピペラジンカルボキサミド;および
N−[(1−オキシドピリジン−3−イル)メチル]ピペリジン−1−カルボキサミド。
【請求項2】
YがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
YがN(R)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
以下から選択される、請求項1に記載の化合物:
モルホリン−4−カルボン酸ピリジン−4−イルメチル;
(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸ピリジン−4−イルメチル;
(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸ピリジン−4−イルメチル;
4−エチルピペラジン−1−カルボン酸ピリジン−4−イルメチル;
4−フェニルピペラジン−1−カルボン酸ピリジン−4−イルメチル;
(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸2−ピリジン−4−イルエチル;
モルホリン−4−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
ピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
4−エチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
(3S)−3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
4−メチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
(2S)−2,4−ジメチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
4−アセチルピペラジン−1−カルボン酸(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル;
(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−カルボン酸ピリジン−3−イルメチル;
モルホリン−4−カルボン酸(6−メチルピリジン−3−イル)メチル;
4−エチルピペラジン−1−カルボン酸(6−メチルピリジン−3−イル)メチル;
モルホリン−4−カルボン酸(2−メチルピリジン−3−イル)メチル;
モルホリン−4−カルボン酸(6−メチルピリジン−2−イル)メチル;
モルホリン−4−カルボン酸(2,4−ジメチルピリジン−3−イル)メチル;
N−エチル−N−(ピリジン−4−イルメチル)モルホリン−4−カルボキサミド;
N−[(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル]モルホリン−4−カルボキサミド;および
N−[(2,6−ジメチルピリジン−4−イル)メチル]−N−エチルモルホリン−4−カルボキサミド。
【請求項5】
医薬的に許容される希釈剤または担体と共に、有効成分として請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬製剤。
【請求項6】
治療に使用される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
体重増加に関連する病気または疾患の処置または予防に使用される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
該病気または疾患が、肥満症、2型糖尿病、リポジストロフィ、インスリン抵抗性、代謝症候群、高血糖症、高インスリン血症、脂質代謝異常、肝脂肪症、過食症、高血圧、高トリグリセリド血症、不妊症、体重増加に関連する皮膚疾患、または黄斑変性症である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
体重の激減、月経困難症、無月経症、女性の不妊症または免疫不全の処置または予防、あるいは創傷治癒の処置に使用される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
炎症性の病気または疾患、肥満症および過剰な血漿レプチンに関連する軽度の炎症、アテローム性動脈硬化症、1型もしくは2型糖尿病の大血管もしくは微小血管合併症、網膜症、腎症、自律性神経障害、あるいは虚血またはアテローム性動脈硬化症によって生じる血管損傷の処置または予防に使用される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
血管新生の阻害に使用される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
体重増加に関連する病気または疾患の処置または予防のための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
該病気または疾患が、肥満症、2型糖尿病、リポジストロフィ、インスリン抵抗性、代謝症候群、高血糖症、高インスリン血症、脂質代謝異常、肝脂肪症、過食症、高血圧、高トリグリセリド血症、不妊症、体重増加に関連する皮膚疾患、または黄斑変性症である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
体重の激減、月経困難症、無月経症、女性の不妊症または免疫不全の処置または予防、あるいは創傷治癒の処置のための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
炎症性の病気または疾患、肥満症および過剰な血漿レプチンに関連する軽度の炎症、アテローム性動脈硬化症、1型もしくは2型糖尿病の大血管もしくは微小血管合併症、網膜症、腎症、自律性神経障害、あるいは虚血またはアテローム性動脈硬化症によって生じる血管損傷の処置または予防のための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項16】
血管新生の阻害のための薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項17】
体重増加に関連する病気または疾患の処置または予防方法であって、そのような処置を必要としているヒトを含む哺乳動物に、有効量の請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項18】
該病気または疾患が、肥満症、2型糖尿病、リポジストロフィ、インスリン抵抗性、代謝症候群、高血糖症、高インスリン血症、脂質代謝異常、肝脂肪症、過食症、高血圧、高トリグリセリド血症、不妊症、体重増加に関連する皮膚疾患、または黄斑変性症である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
体重の激減、月経困難症、無月経症、女性の不妊症または免疫不全の処置または予防方法、あるいは創傷治癒の処置方法であって、そのような処置を必要としているヒトを含む哺乳動物に、有効量の請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項20】
炎症性の病気または疾患、肥満症および過剰な血漿レプチンに関連する軽度の炎症、アテローム性動脈硬化症、1型もしくは2型糖尿病の大血管もしくは微小血管合併症、網膜症、腎症、自律性神経障害、あるいは虚血またはアテローム性動脈硬化症によって生じる血管損傷の処置または予防方法であって、そのような処置を必要としているヒトを含む哺乳動物に、有効量の請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項21】
血管新生の阻害方法であって、そのような処置を必要としているヒトを含む哺乳動物に、有効量の請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2011−522006(P2011−522006A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512127(P2011−512127)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056877
【国際公開番号】WO2009/147211
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】