説明

映像記録装置および監視システム

【課題】ハードディスク装置の台数を抑制しつつ、さらにハードディスク装置を長寿命化させる。
【解決手段】映像記録装置1にCPU10、圧縮部14、2台のハードディスクドライブ(HDD)15,16および半導体メモリ17を設ける。CPU10は周期Tで第1動作モードと第2動作モードとの間で交互に切り替える。取得される録画データ9は、第1動作モードの間はHDD15にライブ録画する一方でHDD16は適宜停止させる。一方、第2動作モードの間はHDD16にライブ録画する一方でHDD15を適宜停止させる。停止中に記録された録画データ9は停止中のHDD15,16が起動されるときに他方のHDD15,16から複写される。また、動作モードにかかわらず、録画データ9は圧縮部14によってデータ圧縮され、バックアップデータ90となって半導体メモリ17にライブ録画される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象エリアを監視するために、当該監視対象エリアを撮像した録画データを記録する技術に関する。より詳しくは、録画データを記録するハードディスクを長寿命化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗や工場、マンションあるいは学校等を監視するために、建物内や周囲を監視カメラで撮像してハードディスク装置等の大容量記憶媒体にデジタルデータとして記録しておき、後に再生して映像を確認する監視システムが知られている。
【0003】
監視対象物の任意の瞬間を確認するためには、監視対象物を常時撮像しておくのが理想的である。したがって、監視システムは24時間稼働しており、その間、監視カメラからリアルタイムに取得されるデジタルデータを、常時、ハードディスク装置に書き込む必要がある。すなわち、1日24時間稼働する監視システムにおけるハードディスク装置へのアクセス時間は、ほぼ監視システムの稼働時間(1日24時間)となる。
【0004】
一方、ハードディスク装置には、累積アクセス時間に対して、耐久性能としての保証値が与えられている。したがって、監視システムでは、ハードディスク装置におけるアクセス時間の累積による故障が問題となっている。
【0005】
従来より、ハードディスク装置の故障に対応する技術が提案されている。例えば、特許文献1には3台のハードディスク装置でデジタルデータのミラーリングを行いつつ、いずれか1台のハードディスク装置を適宜停止させることにより、各ハードディスク装置のアクセス時間をシステムの稼働時間より短くする技術が記載されている。特許文献1に記載されている技術では、ハードディスク装置の寿命が1.5倍に延びることが期待されるとともに、例え、いずれかのハードディスク装置が故障したとしても、他のハードディスク装置に記録されているデータによって、データの復旧が可能である。
【0006】
【特許文献1】特開2005−250644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載されている技術では、ハードディスク装置の1台分のデータを記録するために、システム全体としては、3台のハードディスク装置が必要となるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、ハードディスク装置の台数を抑制しつつ、さらにハードディスク装置を長寿命化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、録画データを記録する映像記録装置であって、録画データを取得する取得手段と、第1動作モードと第2動作モードとを交互に切り替えて設定するモード設定手段と、前記第1動作モードの間に前記取得手段によって取得される録画データ(第1録画データ)を記憶する第1ハードディスク装置と、前記第2動作モードの間に前記取得手段によって取得される録画データ(第2録画データ)を記憶する第2ハードディスク装置と、前記第1ハードディスク装置から前記第1録画データを読み出して前記第2ハードディスク装置に書き込み、前記第2ハードディスク装置から前記第2記録データを読み出して前記第1ハードディスク装置に書き込む複写手段と、前記複写手段による前記第1録画データの読み出しの完了時刻から、前記複写手段による前記第2記録データの前記第1ハードディスク装置への書き込み開始時刻または前記切替手段による前記第2動作モードから前記第1動作モードへの切替時刻のいずれか先に到来する時刻までの間で前記第1ハードディスク装置を停止させるとともに、前記複写手段による前記第2録画データの読み出しの完了時刻から、前記複写手段による前記第1記録データの前記第2ハードディスク装置への書き込み開始時刻または前記切替手段による前記第1動作モードから前記第2動作モードへの切替時刻までのうちいずれか先に到来する時刻までの間で前記第2ハードディスク装置を停止させる停止手段と、前記取得手段によって取得される録画データのバックアップデータをバックアップ用メモリに記憶させるバックアップ手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る映像記録装置であって、前記バックアップ手段は、前記複写手段による第1録画データの読み出しの後に前記第1録画データを前記メモリから消去し、前記複写手段による第2録画データの読み出しの後に前記第2録画データを前記メモリから消去することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係る映像記録装置であって、前記取得手段により取得された録画データにデータ圧縮を行って、前記メモリに記憶されるバックアップデータを生成する圧縮手段をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明に係る映像記録装置であって、前記取得手段は、外部のデジタルカメラによって時間順次に撮像され生成された録画データを取得することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明は、前記第1ハードディスク装置への前記第1録画データの書き込みおよび前記第2ハードディスク装置への前記第2録画データの書き込みは、前記取得手段による録画データの取得に対してほぼリアルタイムに行われることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の発明は、撮像によって録画データを生成するデジタルカメラと、前記デジタルカメラによって生成された録画データを記録する映像記録装置と、少なくとも前記映像記録装置に記録された録画データを再生する映像再生装置とを備え、前記映像記録装置は、前記デジタルカメラから録画データを取得する取得手段と、第1動作モードと第2動作モードとを交互に切り替えて設定するモード設定手段と、前記第1動作モードの間に前記取得手段によって取得される録画データ(第1録画データ)を記憶する第1ハードディスク装置と、前記第2動作モードの間に前記取得手段によって取得される録画データ(第2録画データ)を記憶する第2ハードディスク装置と、前記第1ハードディスク装置から前記第1録画データを読み出して前記第2ハードディスク装置に書き込み、前記第2ハードディスク装置から前記第2記録データを読み出して前記第1ハードディスク装置に書き込む複写手段と、前記複写手段による前記第1録画データの読み出しの完了時刻から、前記複写手段による前記第2記録データの前記第1ハードディスク装置への書き込み開始時刻または前記切替手段による前記第2動作モードから前記第1動作モードへの切替時刻のいずれか先に到来する時刻までの間で前記第1ハードディスク装置を停止させるとともに、前記複写手段による前記第2録画データの読み出しの完了時刻から、前記複写手段による前記第1記録データの前記第2ハードディスク装置への書き込み開始時刻または前記切替手段による前記第1動作モードから前記第2動作モードへの切替時刻までのうちいずれか先に到来する時刻までの間で前記第2ハードディスク装置を停止させる停止手段と、前記取得手段によって取得される録画データのバックアップデータをバックアップ用メモリに記憶させるバックアップ手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明に係る監視システムであって、前記監視システムが備えるメモリの空き領域を監視し、空き領域の存在するメモリを特定する監視手段をさらに備え、前記バックアップ手段は、前記監視手段によって特定されたメモリを前記バックアップ用メモリとし、前記メモリにバックアップデータを記憶させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし7に記載の発明では、複写手段による第1録画データの読み出しの完了時刻から、複写手段による第2記録データの第1ハードディスク装置への書き込み開始時刻または切替手段による第2動作モードから第1動作モードへの切替時刻のいずれか先に到来する時刻までの間で第1ハードディスク装置を停止させるとともに、複写手段による第2録画データの読み出しの完了時刻から、複写手段による第1記録データの第2ハードディスク装置への書き込み開始時刻または切替手段による第1動作モードから第2動作モードへの切替時刻までのうちいずれか先に到来する時刻までの間で第2ハードディスク装置を停止させ、取得手段によって取得される録画データのバックアップデータをバックアップ用メモリに記憶させる。これにより、録画データの二重化を行いつつ、ハードディスク装置の長寿命化が可能である。
【0017】
請求項2に記載の発明では、複写手段による第1録画データの読み出しの後に第1録画データをメモリから消去し、複写手段による第2録画データの読み出しの後に第2録画データをメモリから消去することにより、不要になったバックアップデータを、随時、メモリから消去することができるので、メモリの容量を抑制できる。
【0018】
請求項3に記載の発明では、取得手段により取得された録画データにデータ圧縮を行って、メモリに記憶されるバックアップデータを生成する圧縮手段をさらに備えることにより、バックアップデータのデータサイズが減少するので、メモリの必要容量を抑制できる。
【0019】
請求項7に記載の発明では、監視システムが備えるメモリの空き領域を監視し、空き領域の存在するメモリを特定するとともに、特定されたメモリをバックアップ用メモリとし、メモリにバックアップデータを記憶させることにより、監視システムが備えるメモリを有効活用することができ、バックアップ用メモリの必要容量を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0021】
<1. 第1の実施の形態>
図1は、本発明に係る監視システム100を示す図である。監視システム100は、映像記録装置1、複数のデジタルカメラ2(20,21,22)および映像再生装置3から構成される。また、監視システム100は、複数のデジタルカメラ2(21,22)をネットワーク8に接続するためのハブ装置4を備えている。
【0022】
なお、ネットワーク8は、イーサネット(登録商標)等の構内LANやインターネット、公衆網等を採用することができる。また、ネットワーク8は、図1に示すように、1つに統合されている必要はなく、複数種類のネットワークが相互接続されていてもよい。すなわち、映像記録装置1とデジタルカメラ2との間のデータ通信と、映像記録装置1と映像再生装置3との間のデータ通信とが最低限確保されていれば、有線通信でなくても無線通信であってもよい。また、映像記録装置1とハブ装置4あるいは映像記録装置1と映像再生装置3とが専用ケーブルで接続される形態であってもよい。
【0023】
また、監視システム100が備えるデジタルカメラ2の台数は3台に限定されるものではなく、1台以上備えていればよい。また、映像再生装置3についても1台に限定されるものではない。
【0024】
図2は、映像記録装置1の構成を示すブロック図である。映像記録装置1は、CPU10、ROM11、RAM12、画像処理部13、圧縮部14、2つのハードディスクドライブ(HDD)15,16、半導体メモリ17および通信部18を備えている。また、映像記録装置1では、これらの構成がバス配線19によって互いに接続されている。
【0025】
CPU10は、ROM11に格納されたプログラムに従って動作し、RAM12を一時的なワーキングエリアとして使用しつつ、映像記録装置1の各構成を制御する。特に、CPU10は、映像記録装置1の動作モードを第1動作モードと第2動作モードとの間で交互に切り替える機能や、HDD15,16を停止させる機能を有するが詳細は後述する。なお、CPU10が実行するプログラムはROM11に格納されたものに限定されるものでなく、他の記憶装置に記憶され、RAM12にロードされて実行されるものであってもよい。
【0026】
画像処理部13は、画像処理専用のハードウェア(例えば、画像処理ボード)であって、映像記録装置1の内部に収納され、バス配線19に接続されている。画像処理部13は、デジタルカメラ20を接続するための図示しないインターフェース(コネクタ等)や、デジタルカメラ20から受信するデジタルデータを受信するためのバッファメモリ(半導体メモリ)を備えている。なお、画像処理部13に接続されるデジタルカメラ2の数は一台に限定されるものではない。
【0027】
画像処理部13は、当該インターフェースに接続されたデジタルカメラ20から、リアルタイムに入力されるデジタルデータをバッファメモリに格納しつつ、所定の画像処理を行ってリアルタイムに録画データ9を生成する。すなわち、画像処理部13が録画データ9を生成することにより、映像記録装置1は録画データ9を取得する。
【0028】
なお、本実施の形態における録画データ9は、一秒あたり1コマ程度の連続した静止画像を表現したデータである。一般的には、この程度の映像で充分に対象物の監視を行うことが可能だからである。ただし、録画データ9のフレームレートはこれに限定されるものではなく、必要に応じて、それ以下であってもよいし、一秒あたり30コマ程度(動画像に相当する程度)であってもよい。また、録画データ9は、白黒画像を表現したデータであってもよいし、カラー画像を表現したデータであってもよい。
【0029】
また、監視システム100における録画データ9は、デジタルカメラ20によって撮像されたデータに基づいて画像処理部13によって生成され取得されるものと、デジタルカメラ21,22によって撮像されネットワーク8を介して通信部18によって受信され取得されるものと存在する。すなわち、詳細は省略するが、録画データ9には、どのデジタルカメラ2によって撮像されたデータであるかを示す識別子が付加され管理されている。そして、以下の説明では、特に断らない限り、画像処理部13によって生成された録画データ9を例に説明するものとする。
【0030】
また、監視システム100では、映像記録装置1が画像処理部13を備えているが、画像処理部13と同等の機能を有する構成をデジタルカメラ20に設けてもよい。すなわち、デジタルカメラ20が時間順次に撮像により取得するデータ(生データ)を録画データ9に加工する処理は、デジタルカメラ20において実行されてもよい。
【0031】
圧縮部14は、画像処理部13または通信部18から転送される録画データ9に対して所定のデータ圧縮処理を行って、バックアップデータ90を作成する。圧縮部14によって生成されたバックアップデータ90は、図2に示すように、半導体メモリ17に転送され記憶される。すなわち、圧縮部14は、録画データ9に基づいてバックアップデータ90を作成し、半導体メモリ17に記憶させる機能を有する。
【0032】
圧縮部14によって録画データ9に対して実行される圧縮処理としては、従来から提案されている様々な処理を適用することができる。圧縮処理は可逆処理であってもよいし、不可逆処理であってもよい。例えば、フレームレート変換や、圧縮率変換(JPEG、MPEG等)あるいは解像度変換等の処理が考えられる。もちろんこれらの処理を重複して実行してもよい。また、圧縮処理の前段階として、録画データ9に対して画像抽出(例えば人物の顔抽出や動き抽出)処理を行ってから、抽出された画像部分以外のデータについてデータ圧縮処理を実行するようにしてもよい。
【0033】
映像記録装置1は、圧縮部14によって録画データ9を圧縮してバックアップデータ90を生成することにより、バックアップデータ90のデータ量を抑制することができる。したがって、必要となる半導体メモリ17の容量を抑制することができる。
【0034】
HDD15,16は記憶装置の一種であって、磁性体を塗布したアルミニウムやガラスのディスク(プラッタ)を回転モータ(スピンドルモータ)で高速に回転させつつ、磁気ヘッドで録画データ9を読み書き(アクセス)する構造となっている。なお、以下の説明では、HDD15,16へのアクセス時間とは、HDD15,16において、ディスクが回転し、磁気ヘッドがディスク上にロードされた状態となっている時間を指すものとする。
【0035】
HDD15,16は、比較的大容量のデータを記憶することが可能な記憶装置であり、監視システム100では録画データ9を記憶するために使用される。詳細は後述するが、特に、HDD15は、映像記録装置1の動作モードが第1動作モードの間に取得される録画データ9(第1録画データ91)をリアルタイムに記憶する。また、HDD16は、第2動作モードの間に取得される録画データ9(第2録画データ92)をリアルタイムに記憶する。
【0036】
なお、HDD15,16としては、市場に流通している一般的なハードディスクドライブを採用することが可能である。また、例えば、フラッシュメモリを搭載した、いわゆるハイブリッドHDD等を適用してもよい。また、HDD15,16を接続する規格としてはSCSIやIDE等を採用することができる。さらに、本実施の形態における映像記録装置1はHDD15,16を筐体内部に搭載しているが、HDD15,16は映像記録装置1の筐体外部に接続されていてもよい。
【0037】
半導体メモリ17は記憶装置の一種であって、本実施の形態では複数の揮発性の記憶素子からなるDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。半導体メモリ17は、圧縮部14によって生成されたバックアップデータ90を記憶する。本実施の形態における半導体メモリ17はDRAMであるため、映像記録装置1は、停電対策として図示しないバックアップ電源(バッテリ)を備えている。
【0038】
通信部18は、映像記録装置1をネットワーク8に接続するためのネットワークインターフェース機能を提供する。特に、通信部18は、デジタルカメラ21,22が撮像することにより得られる録画データ9をハブ装置4およびネットワーク8を介してリアルタイムに受信する機能を有する。通信部18によって受信された録画データ9は、CPU10の制御により、圧縮部14、HDD15,16に適宜転送される。また、通信部18は、映像再生装置3からの要求に応じて、録画データ9をネットワーク8を介して映像再生装置3に送信することも可能である。
【0039】
図2において図示していないが、映像記録装置1は、オペレータとの間のマンマシンインターフェースとして機能する操作部および表示部を備えている。操作部は、各種ボタンやキーであり、オペレータが映像記録装置1に指示を入力するために使用される。また、表示部は、各種ランプやLED、インジケータ等であり、主に映像記録装置1の状態を表示する。なお、映像記録装置1の表示部は、録画データ9を表示する機能を備えた装置(例えば液晶ディスプレイやCRT等)であってもよい。すなわち、映像記録装置1が映像を再生する機能を備えていてもよい。
【0040】
デジタルカメラ2は、CCD素子に代表される受光素子と、入射する光を受光素子に導く光学系(レンズやミラー等)と、受光素子によって生成された電気信号をデジタルデータとして一時的に格納するバッファメモリ(半導体メモリ)とを備える一般的なデジタルカメラとして構成されている。デジタルカメラ2は、一定間隔(本実施の形態では1秒につき1回)でバッファメモリに格納されたデジタルデータを映像記録装置1(画像処理部13)またはハブ装置4に転送する。
【0041】
映像再生装置3は、一般的なコンピュータとしての機能を備えた装置であり、ネットワーク8を介して録画データ9を映像記録装置1から受信することが可能であるとともに、受信した録画データ9を表示するディスプレイを備えている。すなわち、映像再生装置3は、少なくとも映像記録装置1に記録された録画データ9を再生する機能を有している。
【0042】
このように、監視システム100が映像再生装置3を備えているので、再生された録画データ9を確認することによってオペレータは対象物を監視することができる。なお、図1では、1つのディスプレイのみを図示しているが、映像再生装置3が備えるディスプレイの数は複数であってもよい。すなわち、各デジタルカメラ2に対応する数のディスプレイが接続されていてもよい。一方、ディスプレイの数がデジタルカメラ2の数よりも少ない場合は、ディスプレイの画面を適宜切り替えて表示するようにしてもよい。また、映像再生装置3において再生される録画データ9はリアルタイムに取得されているものであってもよいし、過去の録画データ9であってもよい。映像再生装置3がリアルタイムに取得される録画データ9を再生する場合には、デジタルカメラ21,22によって撮像された録画データ9についてはハブ装置4から取得してもよい。
【0043】
ハブ装置4は、複数のデジタルカメラ2(21,22)をネットワーク8に接続するための装置であり、図示を省略するが、複数のスロットを備えており、各スロットに画像処理ボードを収納することが可能である。各画像処理ボードは映像記録装置1における画像処理部13と同様の機能を有しており、それぞれが1台のデジタルカメラ2を接続可能であるとともに、接続されたデジタルカメラ2からのデジタルデータに基づいて録画データ9を生成する。
【0044】
なお、各画像処理ボードによって生成された録画データ9は、ハブ装置4から映像記録装置1に向けて送信される。また、ハブ装置4に収納されている各画像処理ボードに接続されるデジタルカメラ2の数は一台に限定されるものではなく、1つの画像処理ボードに複数台のデジタルカメラ2が接続される形態であってもよい。
【0045】
以上が監視システム100の構成および機能の説明である。次に、監視システム100による録画データ9の記録方法を説明する。
【0046】
図3は、第1の実施の形態における録画データ9の記録方法を示す流れ図である。また、図4は、第1の実施の形態におけるHDD15,16および半導体メモリ17の動作を示す図である。
【0047】
なお、映像記録装置1の動作モードは、CPU10によって周期Tで交互に切り替えられるものとする。本実施の形態では、周期Tは1時間とするがもちろんこれに限定されるものではない。図4に示す時刻0は記録を開始する時刻を示し、時刻T1,T2,T3,T4・・・は、いずれも動作モードを切り替える時刻(以下、「切替時刻」と称する)を示す。また、時刻t1,t2,t3,t4・・・は、いずれも複写処理を開始する時刻(以下、「複写開始時刻」と称する)を示す。
【0048】
図3に示すように、監視システム100は、運用が開始されると、まず、所定の初期設定を行う(ステップS1)。初期設定では、映像記録装置1の動作モードがCPU10によって第1動作モードに設定される。
【0049】
初期設定が終了すると、各デジタルカメラ2による撮像が開始されるとともに、映像記録装置1による記録が開始される。本実施の形態における監視システム100は3台のデジタルカメラ2を備えているため、映像記録装置1は1秒間に3コマ分の録画データ9を取得することとなる。
【0050】
映像記録装置1は、録画データ9が取得されたか(ステップS2)、モード切替を行うか(ステップS4)、および、複写処理を行うか(ステップS6)を判定しつつ、各処理を実行する。言い換えれば、映像記録装置1は、時間順次に取得する録画データ9を記憶しつつ、動作モードの切替と、複写処理とを行う。これらの処理は、適宜、並行して実行される工程を含んでいるが、図3では、図示の都合上、各工程を逐次処理的に図示する。
【0051】
新たな録画データ9が取得されると、映像記録装置1は記録処理(ステップS3)を実行する。録画データ9が取得されたか否かの判定は、CPU10が画像処理部13および通信部18を監視することにより行うことができる。すなわち、画像処理部13によって録画データ9が生成されたときや、通信部18が録画データ9を受信したときが、録画データ9を取得したときに相当する。
【0052】
図5は、記録処理を示す流れ図である。
【0053】
記録処理が開始されると、CPU10は、現在設定されている動作モードを確認する。本実施の形態では、第1動作モードであるか否かを確認する(ステップS11)。
【0054】
本実施の形態における監視システム100は、動作モードが第1動作モードである場合に取得される録画データ9を第1録画データ91と分類する。したがって、新たな録画データ9を取得したときの動作モードが第1動作モードである場合(ステップS11においてYes)、CPU10は、取得した録画データ9を第1録画データ91としてHDD15に記憶させる(ステップS12)。
【0055】
このように、第1動作モードの間はステップS12が実行されるので、HDD15は第1動作モードの間に取得される録画データ9(第1録画データ91)をほぼリアルタイムに記憶することとなる。したがって、図4に示すように、第1動作モードの間、HDD15においてリアルタイム書き込みがされる。すなわち、映像記録装置1が第1動作モードに滞在している時間は、HDD15におけるアクセス時間となる。
【0056】
一方、本実施の形態における監視システム100は、動作モードが第2動作モードである場合に取得される録画データ9を第2録画データ92と分類する。したがって、新たな録画データ9を取得したときの動作モードが第2動作モードである場合(ステップS11においてNo)、CPU10は、取得した録画データ9を第2録画データとしてHDD16に記憶させる(ステップS13)。
【0057】
このように、第2動作モードの間はステップS13が実行されるので、HDD16は第2動作モードの間に取得される録画データ9(第2録画データ92)をほぼリアルタイムに記憶することとなる。したがって、図4に示すように、第2動作モードの間、HDD16においてリアルタイム書き込みがされる。すなわち、映像記録装置1が第2動作モードに滞在している時間は、HDD16におけるアクセス時間となる。
【0058】
録画処理によって、監視システム100では、映像記録装置1の動作モードが第1モードに設定されている間はHDD15によってライブ録画がされ、映像記録装置1の動作モードが第2モードに設定されている間はHDD16によってライブ録画がされる。
【0059】
ステップS11ないしS13の処理と並行して、映像記録装置1は、バックアップデータ90の生成(ステップS14)と、バックアップデータ90の記憶(ステップS15)とを実行する。
【0060】
ステップS14は、新たに取得された録画データ9(第1録画データ91であるか第2録画データ92であるかを問わない)が圧縮部14に転送され、当該録画データ9が圧縮部14によってデータ圧縮されることにより、実行される。そして、圧縮部14によって生成されたバックアップデータ90は、半導体メモリ17に転送され、ステップS15において記憶される。
【0061】
例えば、時刻0から時刻T1の間にHDD15が故障した場合は、その間(時刻0から時刻T1の間)、半導体メモリ17に記憶されているバックアップデータ90によって映像再生装置3における監視を行うことができる。また、時刻T1から時刻T2の間にHDD16が故障した場合は、その間(時刻T1から時刻T2の間)、半導体メモリ17に記憶されているバックアップデータ90によって映像再生装置3における監視を行うことができる。
【0062】
すなわち、半導体メモリ17におけるバックアップデータ90の記憶(ステップS15)は、録画データ9のバックアップとして実行される処理に相当し、図4に示すように、半導体メモリ17においては、動作モードに関係なく、常に、バックアップが実行されている。言い換えれば、半導体メモリ17において、バックアップデータ90によるライブ録画がされている。
【0063】
本実施の形態における半導体メモリ17はDRAMであるため、市販のハードディスクドライブ(HDD15,16)のようなアクセス時間に係る制限がない。したがって、監視システム100の稼働時間中、常に、データの書き込み処理が行われても深刻な問題とはならない。
【0064】
また、監視システム100において、バックアップデータ90を記憶する媒体として比較的高速にアクセス可能な半導体メモリ17を採用することにより、バックアップデータ90を作成するための時間(データ圧縮を行う時間)を稼ぐことができる。したがって、特定の画像(顔や動き)を抽出する処理といった比較的時間の要する高度な画像処理を行うことができる。
【0065】
また、監視システム100では、HDD15,16のいずれか一方と、半導体メモリ17とによって、各瞬間におけるミラーリングが行われているといえる。本実施の形態におけるバックアップデータ90は、先述のように、録画データ9にデータ圧縮を施したデータである。したがって、録画データ9とバックアップデータ90とは同一のデータではなく、あくまでもバックアップデータ90とは監視という本システムの目的を達成するために充分なデータである。
【0066】
このように、システムの目的に応じて録画データ9を圧縮してバックアップデータ90を作成することにより、比較的高価な半導体メモリ17の容量を抑制できる。もちろん、通常の情報処理のように完全に同一のデータが必要な場合は、充分な容量の半導体メモリ17を搭載して、圧縮部14によるデータ圧縮を行わずに、録画データ9をそのままバックアップデータ90として半導体メモリ17に記憶させてもよい。
【0067】
ステップS15を実行すると、映像記録装置1はステップS3の記録処理を終了して、図3に示す処理に戻る。
【0068】
監視システム100の運用中に映像記録装置1のCPU10がモード切替を行うと判定した場合(ステップS4においてYes)、映像記録装置1はモード切替処理を実行する(ステップS5)。ステップS4における判定は、切替時刻(図4に示す時刻T1,T2,T3,T4・・・)が到来しているか否かを判定することによって実現できる。例えば、前回、モード切替処理(ステップS5)を実行してから周期T(時間T)が経過したか否かで判定すればよい。
【0069】
モード切替処理では、まず、CPU10が、現在設定されている動作モードが第1動作モードであるか否かを確認する。そして、動作モードが第1動作モードに設定されている場合には第2動作モードに切り替えて新たに設定する。一方、動作モードが第2動作モードに設定されている場合には第1動作モードに切り替えて新たに設定する。すなわち、CPU10は、第1動作モードと第2動作モードとを周期Tに従って交互に切り替えて設定する機能を備えている。
【0070】
なお、本実施の形態では、現在の動作モードを確認してから切り替えると説明したが、モード切替処理では、必ずしも現在の動作モードを確認しなければならないわけではない。例えば、動作モードが第1動作モードと第2動作モードとしか定義されていない場合は、確認を行わずに、現在の動作モードを示す設定情報を単純に反転させてもよい。
【0071】
映像記録装置1のCPU10が複写処理を行うと判定した場合(ステップS6においてYes)、映像記録装置1は複写処理を実行する(ステップS7)。ステップS6における判定は、複写開始時刻(図4に示す時刻t1,t2,t3,t4・・・)が到来しているか否かを判定することによって実現できる。
【0072】
本実施の形態では、次回、動作モードが切り替えられるまでの残り時間が「t」となる時刻をそれぞれ時刻t1,t2,t3,t4・・・とする。結果として、本実施の形態では、複写処理を開始するタイミング(時刻t1,t2,t3,t4・・・)も周期Tとなる。
【0073】
図6は、複写処理を示す流れ図である。本実施の形態における複写処理とは、直前に動作モードが切り替えられてから、次回、動作モードが切り替えられるまでの間に記録される録画データ9を複写してミラーリングする処理である。
【0074】
複写処理が開始されると、CPU10は、複写先のHDDを起動する(ステップS21)。すなわち、現在設定されている動作モードが第1動作モードである場合にはHDD16を起動し、現在設定されている動作モードが第2動作モードである場合にはHDD15を起動する。
【0075】
次に、CPU10は、複写元のHDDから複写対象となるデータを読み出し(ステップS22)、複写先のHDDに当該データを書き込む(ステップS23)。そして、ステップS22,S23の処理を、全データについて終了するまで継続する(ステップS24)。
【0076】
例えば、図4に示す時刻t1に開始される複写処理では、停止状態のHDD16が複写先のHDDとしてステップS21において起動される。そして、時刻0から時刻T1までの間に第1録画データ91としてHDD15に記録された録画データ9が、ステップS22が繰り返し実行されることにより複写元のHDD15から順次に読み出され、ステップS23が繰り返し実行されることによりHDD16に書き込まれる。
【0077】
一方、例えば、図4に示す時刻t2に開始される複写処理では、停止状態のHDD15が複写先のHDDとしてステップS21において起動される。そして、時刻T1から時刻T2までの間に第2録画データ92としてHDD16に記録された録画データ9が、ステップS22が繰り返し実行されることにより複写元のHDD16から順次に読み出され、ステップS23が繰り返し実行されることによりHDD15に書き込まれる。
【0078】
すなわち、1回の複写処理において複写する対象となるデータが全て書き込まれた状態(ステップS24においてYesと判定された状態)では、各HDD15,16に記憶されている録画データ9は同一となる。ただし、厳密には、動作モードが切り替えられてから複写処理が完了するまでの間に録画データ9が記録された場合は、次回の複写処理の対象となる。
【0079】
対象となる録画データ9を全て複写した場合(ステップS24においてYes)、CPU10は、複写元のHDDを停止させる(ステップS25)。
【0080】
このように、HDD15,16は、複写処理において録画データ9の複写元となっている場合に、当該録画データ9の読み出しが完了した後に停止される。したがって、複写処理の完了が遅れると、HDD15,16の停止が遅れ、結果としてアクセス時間が長くなる。これを抑制するためには、「t」の値を大きくして、複写処理の開始時刻を早めることが有効である。
【0081】
例えば、図4に示す時刻0に開始されるHDD15へのリアルタイムの書き込みは、時刻T1まで継続される。一方、時刻t1に開始される複写処理では、最後(時刻T1)にHDD15に書き込まれた第1録画データ91を、時刻T1以降にHDD15から読み出して、さらにHDD16に書き込む必要がある。図4では、時刻t1に開始される複写処理が時刻T1に完了するように図示しているが、より厳密には複写処理が次回の切替時刻までに完了することはない。すなわち、「t」の値を大きくして複写処理の開始を早めても、複写処理が完了する時刻は一定以上早くはならず、「t」の値を大きくすることによってHDD15,16のアクセス時間を短縮するには限界がある。
【0082】
一方、HDD15,16は、複写処理において録画データ9の複写先となっている場合に、当該録画データ9の複写書き込みが開始されるときにアクセスが開始される。すなわち、「t」の値を大きくして、複写開始時刻を早めると、HDD15,16のアクセス開始時刻が早まり、結果としてアクセス時間が長くなる。
【0083】
したがって、本実施の形態では、「t」の値は、次回、動作モードが切り替えられるまで(次の切替時刻が到来するまで)に、複写処理を可能な限り完了させるために充分な時間を確保する値であって、かつ、最低値(複写処理の時間が最短となる値)として設定する。「t」の値は、例えば、周期Tの値(複写処理するデータ量に影響する)や、HDD15,16の間のデータ転送時間等に応じて決定することができる。
【0084】
なお、ステップS25が実行された後は、半導体メモリ17に格納されているバックアップデータ90のうち、当該複写処理の対象となった録画データ9に由来するデータは、当該録画データ9がHDD15,16にミラーリング(二重化)された状態となるため不要となる。したがって、CPU10は、ステップS25を実行するときに、半導体メモリ17に格納されている当該バックアップデータ90を削除する。これにより半導体メモリ17の空き領域を確保することができ、半導体メモリ17の容量を抑制することができる。
【0085】
ステップS25が実行されると、映像記録装置1は複写処理を終了して、図3に示す処理に戻る。
【0086】
以上のように、本実施の形態における映像記録装置1は、第1録画データ91の読み出しの完了時刻から第2録画データ92のHDD15への書き込み開始時刻が到来するまでの間でHDD15を停止させるとともに、第2録画データ92の読み出しの完了時刻から第1録画データ91のHDD16への書き込み開始時刻が到来するまでの間でHDD16を停止させる。また、取得される録画データ9のバックアップデータ90をバックアップ用の半導体メモリ17に記憶させる。これにより、録画データ9のミラーリングを実行しつつ、書き込みを行わない間はHDD15,16を停止させることができる。したがって、2台のHDD15,16のアクセス時間がほぼ半分になるため、従来の技術に比べて、HDD15,16の長寿命化を実現できる。
【0087】
なお、本実施の形態では周期Tを1時間として説明した。一般に周期Tを短くすると、HDD15,16の駆動と停止とが頻繁に行われるため効率が低下するが、一方で、半導体メモリ17の容量を抑制できるという効果がある。周期Tの値は、これらを考慮して適宜設定することが好ましい。
【0088】
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、次回、動作モードが切り替えられるまでに複写処理を開始するように構成していた。言い換えれば、「t」の値が「0」より大きい値として設定されていた。しかし、複写処理は動作モードが切り替えられた後に開始するように構成してもよい。すなわち、「t」の値が「0」であってもよい。
【0089】
図7は、第2の実施の形態における録画データ9の記録方法を示す流れ図である。また、図8は、第2の実施の形態における映像記録装置1のHDD15,16および半導体メモリ17の動作を示す図である。
【0090】
図7におけるステップS31ないしS35の処理は、図3におけるステップS1ないしS5と同様であるため、説明を省略する。
【0091】
本実施の形態では、切替時刻(時刻T1,T2,T3,T4・・・)が到来したとき(ステップS34においてYesと判定されたとき)に、モード切替処理(ステップS35)とともに複写処理(ステップS36)が開始される。図8では、複写処理を完了する時刻(複写完了時刻)をそれぞれ時刻τ1,τ2,τ3,τ4・・・とする。
【0092】
本実施の形態における複写処理が開始されるときには、複写先のハードディスクドライブは、既に、ライブ録画(録画処理:ステップS33)のために駆動を開始している。したがって、本実施の形態における複写処理は、ステップS21に相当する工程がないことを除いて、第1の実施の形態における複写処理と同様に実行される。
【0093】
以上のように、第2の実施の形態における映像記録装置1は、第1録画データ91の読み出しの完了時刻から第2動作モードから第1動作モードへの切替時刻までの間でHDD15を停止させるとともに、第2録画データ92の読み出しの完了時刻から第1動作モードから第2動作モードへの切替時刻までの間でHDD16を停止させる。また、取得される録画データ9のバックアップデータ90をバックアップ用の半導体メモリ17に記憶させる。このように構成することによっても、第1の実施の形態における映像記録装置1と同様の効果を得ることができる。
【0094】
なお、第1の実施の形態では、「t」の値を予め適切な値として決定しておく必要があった。一般に、ハードディスクドライブにおけるデータ転送時間は稼働中の様々な要因で、毎回、変動するため、予め決定される「t」の値が結果として最適値とならない場合が生じうる。例えば、予測以上に早く複写処理が完了したときには、「t」の値が大きすぎたことになり、複写先のハードディスクドライブを駆動させるタイミングが早すぎたこととなる(すなわちアクセス時間が必要以上に長かったこととなる)。
【0095】
これに対して、第2の実施の形態では、複写先のハードディスクドライブにおいてライブ録画を開始する時刻(これ以上、アクセス開始時刻を遅らせることはできない時刻)に複写処理を開始し、複写元については読み出しが完了するとともに停止させることにより、実稼働中において、最もアクセス時間が短くなるように構成することができる。したがって、HDD15,16の長寿命化については、第1の実施の形態に比べて、第2の実施の形態の方が優れている。
【0096】
ただし、第2の実施の形態では、複写処理の完了時刻が第1の実施の形態に比べて遅くなる。半導体メモリ17に書き込んだバックアップデータ90は複写処理が完了するまで格納しておく必要がある。したがって、第2の実施の形態における映像記録装置1は、第1の実施の形態における映像記録装置1に比べて、半導体メモリ17に要する容量が多くなる。すなわち、監視システム100の状況や要求水準等に応じて、第1の実施の形態や第2の実施の形態、あるいはその中間の形態を適宜選択することが好ましい。
【0097】
<3. 第3の実施の形態>
上記実施の形態では、バックアップデータ90を記憶する構成(バックアップ用半導体メモリ)として、映像記録装置1に専用に設けられた半導体メモリ17のみ使用する例を説明した。しかし、一般に、監視システムに採用される機器には、様々な目的で設けられた半導体メモリが多数存在しており、これらの半導体メモリの空き領域をバックアップデータの格納先として利用することも可能である。
【0098】
図9は、第3の実施の形態における監視システム101を示す図である。図9では、上記実施の形態における監視システム100において図示を省略していた画像処理ボード40,41や、各機器が備える半導体メモリ(バッファ130,200,210,220,400,410)を図示している。また、第2の実施の形態における監視システム101の映像記録装置1aは、半導体メモリ17の代わりに、半導体メモリ17よりも小容量の半導体メモリ17aを備えている。
【0099】
なお、図9において、第1および第2の実施の形態と同様の構成については、適宜、同一の符号を付し、説明を省略する。また、図9では、監視システム101が備える映像再生装置3を省略している。
【0100】
バッファ130は、映像記録装置1の画像処理部13が備える半導体メモリであり、主に、デジタルカメラ20から伝達されるデジタルデータを受信するための受信バッファとして、あるいは画像処理を行う際の一時的なデータの退避場所等に使用される。
【0101】
バッファ200,210,220は、それぞれデジタルカメラ20,21,22が備える半導体メモリであり、主に、受光素子からのデータの読み出しや、映像記録装置1あるいはハブ装置4への転送前のデータの保持等に使用される。
【0102】
バッファ400,410は、ハブ装置4に搭載される画像処理ボード40,41がそれぞれ備える半導体メモリであり、主に、デジタルカメラ21,22から伝達されるデジタルデータを受信するための受信バッファとして、あるいは画像処理を行う際の一時的なデータの退避場所等に使用される。
【0103】
本実施の形態における映像記録装置1のCPU10は、監視システム101が備える半導体メモリ(半導体メモリ17aおよびバッファ130,200,210,220,400,410)の空き領域を常に監視しており、その中から、最も大きな空き領域の存在する半導体メモリを特定する機能を有している。また、そのようにして特定した半導体メモリをバックアップ用メモリとし、当該半導体メモリにバックアップデータ90を記憶させる。
【0104】
図10は、第3の実施の形態における監視システム101が備える各半導体メモリの動作を例示する図である。
【0105】
半導体メモリ17aは、先述の複写処理が完了した時点でバックアップデータ90が削除され、かつ、バックアップデータ90を格納するための専用の半導体メモリとして構成されている。したがって、本実施の形態では、図10に示すように、切替時刻(時刻T1,T2)の直後において、優先的に半導体メモリ17aにバックアップデータ90の書き込みが行われる。そして、その後、半導体メモリ17aの空き領域が減少すると、CPU10によってバッファ130,200,210,220,400,410の中から、適宜、バックアップデータ90の格納先が選択される。
【0106】
これにより、監視システム101全体では、上記実施の形態における監視システム100と同様に、常に、バックアップデータ90のライブ記録が行われる。なお、本実施の形態においても、複写処理が完了した時点で、すべての半導体メモリからバックアップデータ90が削除される。したがって、一旦、バックアップデータ90の格納場所として特定された半導体メモリも、複写処理が完了すれば開放される。
【0107】
このように、監視システム101が備える半導体メモリを有効活用することにより、バックアップ用の専用の半導体メモリ17aの必要容量を、第1および第2の実施の形態における半導体メモリ17に比べて抑制できる。
【0108】
なお、本実施の形態では、映像再生装置3が備える半導体メモリや、映像記録装置1のRAM12については触れていないが、これらの半導体メモリをバックアップデータ90の格納場所としてもよい。
【0109】
また、図10では、半導体メモリ17a以外の半導体メモリは、それぞれ同じ時間だけライブ記録を行うように図示しているが、より詳しくは各半導体メモリの空き領域の広さに応じて、記録時間は異なる。また、1の動作モードにおいて、必ずしも全ての半導体メモリが使用されるわけではない。
【0110】
また、本実施の形態における監視システム101はバックアップデータ90を格納する専用の半導体メモリ17aを備えているが、監視システム101全体として充分な半導体メモリが用意できる場合には、このような専用の半導体メモリ17aを備えない構成とすることも可能である。一般に、デジタルカメラ2や画像処理ボード40,41は、随時、必要に応じて半導体メモリを追加できる構造のハードウェアとして提供されている場合が多い。したがって、映像記録装置1に半導体メモリ17a用のスロットを設けることなく(既存のハードウェアを変更することなく)、デジタルカメラ2や画像処理ボード40,41に充分な半導体メモリを追加することによって本発明の効果を得るように構成することも可能である。
【0111】
<4. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0112】
例えば、半導体メモリ17はDRAMに限定されるものではなく、例えば、不揮発性の記憶素子から構成されるフラッシュメモリを半導体メモリ17として採用してもよい。フラッシュメモリは不揮発性であるためバッテリによるバックアップを必要とせず、DRAMに比べて安価であるという利点がある。一方で、フラッシュメモリには、データの書き換え回数に制限があるため、フラッシュメモリを採用してシステムを設計する際には、この制限がボトルネックにならないように考慮する必要がある。すなわち、システムの使用状況や要求水準等に応じて、半導体メモリ17としてDRAMを採用するか、フラッシュメモリを採用するかを、適宜選択すればよい。さらに、記憶素子に半導体ではなく、磁性体を使用した、いわゆるMRAM等を半導体メモリ17の代わりに用いてもよい。
【0113】
また、上記実施の形態に示した各工程は、あくまでも例示であって、これに限定されるものではない。すなわち、同じ効果を得られるのであれば、各工程における処理の内容、あるいは順序は適宜変更されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明に係る監視システムを示す図である。
【図2】映像記録装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態における録画データの記録方法を示す流れ図である。
【図4】第1の実施の形態におけるハードディスクドライブおよび半導体メモリの動作を示す図である。
【図5】記録処理を示す流れ図である。
【図6】複写処理を示す流れ図である。
【図7】第2の実施の形態における録画データの記録方法を示す流れ図である。
【図8】第2の実施の形態におけるハードディスクドライブおよび半導体メモリの動作を示す図である。
【図9】第3の実施の形態における監視システムを示す図である。
【図10】第3の実施の形態における監視システムが備える各半導体メモリの動作を例示する図である。
【符号の説明】
【0115】
1,1a 映像記録装置
10 CPU
100,101 監視システム
13 画像処理部
130,200,210,220,400,410 バッファ
14 圧縮部
15,16 ハードディスクドライブ(HDD)
17,17a 半導体メモリ
18 通信部
19 バス配線
2 デジタルカメラ
3 映像再生装置
4 ハブ装置
40,41 画像処理ボード
8 ネットワーク
9 録画データ
90 バックアップデータ
91 第1録画データ
92 第2録画データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
録画データを記録する映像記録装置であって、
録画データを取得する取得手段と、
第1動作モードと第2動作モードとを交互に切り替えて設定するモード設定手段と、
前記第1動作モードの間に前記取得手段によって取得される録画データ(第1録画データ)を記憶する第1ハードディスク装置と、
前記第2動作モードの間に前記取得手段によって取得される録画データ(第2録画データ)を記憶する第2ハードディスク装置と、
前記第1ハードディスク装置から前記第1録画データを読み出して前記第2ハードディスク装置に書き込み、前記第2ハードディスク装置から前記第2記録データを読み出して前記第1ハードディスク装置に書き込む複写手段と、
前記複写手段による前記第1録画データの読み出しの完了時刻から、前記複写手段による前記第2記録データの前記第1ハードディスク装置への書き込み開始時刻または前記切替手段による前記第2動作モードから前記第1動作モードへの切替時刻のいずれか先に到来する時刻までの間で前記第1ハードディスク装置を停止させるとともに、前記複写手段による前記第2録画データの読み出しの完了時刻から、前記複写手段による前記第1記録データの前記第2ハードディスク装置への書き込み開始時刻または前記切替手段による前記第1動作モードから前記第2動作モードへの切替時刻までのうちいずれか先に到来する時刻までの間で前記第2ハードディスク装置を停止させる停止手段と、
前記取得手段によって取得される録画データのバックアップデータをバックアップ用メモリに記憶させるバックアップ手段と、
を備えることを特徴とする映像記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像記録装置であって、
前記バックアップ手段は、前記複写手段による第1録画データの読み出しの後に前記第1録画データを前記メモリから消去し、前記複写手段による第2録画データの読み出しの後に前記第2録画データを前記メモリから消去することを特徴とする映像記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の映像記録装置であって、
前記取得手段により取得された録画データにデータ圧縮を行って、前記メモリに記憶されるバックアップデータを生成する圧縮手段をさらに備えることを特徴とする映像記録装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の映像記録装置であって、
前記取得手段は、外部のデジタルカメラによって時間順次に撮像され生成された録画データを取得することを特徴とする映像記録装置。
【請求項5】
前記第1ハードディスク装置への前記第1録画データの書き込みおよび前記第2ハードディスク装置への前記第2録画データの書き込みは、前記取得手段による録画データの取得に対してほぼリアルタイムに行われることを特徴とする映像記録装置。
【請求項6】
撮像によって録画データを生成するデジタルカメラと、
前記デジタルカメラによって生成された録画データを記録する映像記録装置と、
少なくとも前記映像記録装置に記録された録画データを再生する映像再生装置と、
を備え、
前記映像記録装置は、
前記デジタルカメラから録画データを取得する取得手段と、
第1動作モードと第2動作モードとを交互に切り替えて設定するモード設定手段と、
前記第1動作モードの間に前記取得手段によって取得される録画データ(第1録画データ)を記憶する第1ハードディスク装置と、
前記第2動作モードの間に前記取得手段によって取得される録画データ(第2録画データ)を記憶する第2ハードディスク装置と、
前記第1ハードディスク装置から前記第1録画データを読み出して前記第2ハードディスク装置に書き込み、前記第2ハードディスク装置から前記第2記録データを読み出して前記第1ハードディスク装置に書き込む複写手段と、
前記複写手段による前記第1録画データの読み出しの完了時刻から、前記複写手段による前記第2記録データの前記第1ハードディスク装置への書き込み開始時刻または前記切替手段による前記第2動作モードから前記第1動作モードへの切替時刻のいずれか先に到来する時刻までの間で前記第1ハードディスク装置を停止させるとともに、前記複写手段による前記第2録画データの読み出しの完了時刻から、前記複写手段による前記第1記録データの前記第2ハードディスク装置への書き込み開始時刻または前記切替手段による前記第1動作モードから前記第2動作モードへの切替時刻までのうちいずれか先に到来する時刻までの間で前記第2ハードディスク装置を停止させる停止手段と、
前記取得手段によって取得される録画データのバックアップデータをバックアップ用メモリに記憶させるバックアップ手段と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項7】
請求項6に記載の監視システムであって、
前記監視システムが備えるメモリの空き領域を監視し、空き領域の存在するメモリを特定する監視手段をさらに備え、
前記バックアップ手段は、前記監視手段によって特定されたメモリを前記バックアップ用メモリとし、前記メモリにバックアップデータを記憶させることを特徴とする監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−140233(P2009−140233A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315950(P2007−315950)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】