説明

有機半導体装置の製造方法及び有機半導体装置用基板

【課題】 実際のデバイスとなる有機半導体装置を無駄にすることなく膜厚を測定でき、また、電流を流さなくても有機膜の不良を検出できる有機半導体装置の製造方法、及び有機半導体装置用基板を提供する。
【解決手段】 基板20上に有機膜60,70を備える有機半導体装置の製造方法であって、基板20上における、所定の領域と、当該所定の領域を除く部分に設定されたダミー領域3とに、有機膜60,70を製膜する製膜工程と、ダミー領域3に製膜された有機膜60,70の吸光度を測定する測定工程と、を含み、測定工程によって測定された吸光度に基づいて有機膜60,70の膜厚を求めること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体装置の製造方法及び有機半導体装置用基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス装置(以下、有機EL装置と称する。)、有機トランジスタ、太陽電池等に代表される有機半導体装置が提案されている。
このような有機半導体装置においては、湿式製膜法(塗布法)によって有機膜が製膜可能であるために、真空装置を利用する必要がなく、製造設備を比較的簡素にすることができ、有機半導体装置の製造コストを低減できるという利点を有している。
【0003】
有機半導体装置の性能は、有機膜の膜厚によって左右される。例えば有機EL装置であれば、発光層等の有機膜の膜厚によって発光特性や発光寿命が左右され、有機トランジスタであれば、有機半導体層の膜厚によってスイッチング特性が左右される。従って、有機半導体装置が所望の性能や機能を実現するためには、有機膜を所定の膜厚で管理する必要がある。有機膜の膜厚測定方法としては、接触式の段差計や、干渉を利用したエリプソメーター等を利用した膜厚測定方法が一般的に知られている。
しかしながら、段差計による方法においては、有機膜を剥離してその段差をモニターしなければならないという欠点、エリプソメーターによる方法においては、測定時間が多くかかってしまうという欠点が、各々指摘されている。更に、有機膜の膜厚を測定するためには、当該有機膜が製膜された実パネルを犠牲にして測定を行う必要があった。
そこで、最近では、有機膜に紫外光を照射して蛍光強度を検出し、スペクトル強度を求めることで、有機膜の膜厚を測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、非接触で有機膜の膜厚を測定することが可能となる。
【特許文献1】特開2003−279326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、有機半導体装置における有機膜は、紫外線等の照射光が照射されると劣化し易いという特性を有しているため、特許文献1による膜厚測定方法では、膜厚測定に伴って有機膜を劣化させてしまうという問題がある。
更に、特許文献1においては、有機膜の膜厚を測定するものの、当該有機膜が正常に機能するか否かを検出することができないという問題がある。
また、有機膜の不良検出方法は、有機半導体装置のデバイスを実際に作製した後に有機膜に電流を流して不良を検出しているため、有機膜に電流を流さなければ不良を発見することができないという問題がある。即ち、有機膜の製膜工程後に直ぐに有機膜の不良を発見することが困難であった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、実際のデバイスとなる有機半導体装置を無駄にすることなく膜厚を測定でき、また、電流を流さなくても有機膜の不良を検出できる有機半導体装置の製造方法、及び有機半導体装置用基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために、以下の手段を有する本発明を想到した。
即ち、本発明の有機半導体装置の製造方法は、基板上に有機膜を備える有機半導体装置の製造方法であって、前記基板上における、所定の領域と、当該所定の領域を除く部分に設定されたダミー領域とに、前記有機膜を製膜する製膜工程と、前記ダミー領域に製膜された前記有機膜の吸光度を測定する測定工程と、を含み、前記測定工程によって測定された吸光度に基づいて前記有機膜の膜厚を求めること、を特徴としている。
【0007】
ここで、有機半導体装置とは、有機膜を能動層として備え、例えば、有機EL装置、有機トランジスタ、及び有機太陽電池を含む、有機電子デバイスである。
また、有機膜の膜厚は、予め実験によって得られた有機膜の吸光度と膜厚の相関図やテーブルに基づいて、吸光度から膜厚を求めることが好ましい。
このようにすれば、ダミー領域における有機膜を利用して、その膜厚を測定しているので、実際の有機半導体装置の一構成要素となる有機膜の膜厚を直接測定する必要がない。また、有機膜が、紫外線等の照射光が照射されたとしても、当該有機膜はダミー領域に形成されたものであるため、所定の領域における有機膜に影響を与えることがない。従って、ダミー領域における有機膜を利用して、所定の領域に形成されている有機膜の膜厚を測定することができる。これにより、量産的に製造される半導体装置用基板の各々に対して膜厚管理を行うことができる。
【0008】
本発明の有機半導体装置の製造方法においては、前記製膜工程は、前記ダミー領域において、前記基板上に第1有機膜を形成する工程と、前記第1有機膜上の少なくとも一部に第2有機膜を形成する工程と、を含むこと、を特徴としている。
このようにすれば、第1有機膜及び第2有機膜からなる有機膜をダミー領域に形成することができる。
【0009】
本発明の有機半導体装置の製造方法においては、前記製膜工程は、前記ダミー領域に、前記第1有機膜の単層部と、前記第1有機膜及び前記第2有機膜の積層部とを形成し、前記製膜工程の後に、前記測定工程は、前記単層部の吸光度と、前記積層部との吸光度を測定し、前記測定工程によって測定された吸光度に基づいて前記第1有機膜と前記第2有機膜の膜厚を求めること、を特徴としている。
【0010】
ここで、液滴吐出法によって第2有機膜を形成することが好ましい。このようにすれば、第2有機膜を所定の部分のみに吐出させて形成することができる。
このようにすれば、第2有機膜の単層の吸光度を測定しなくても、積層部の吸光度から単層部の吸光度を差し引くことで、第2有機膜の吸光度を求めることができる。そして、当該吸光度から第2有機膜の膜厚を求めることができる。
【0011】
本発明の有機半導体装置の製造方法においては、前記製膜工程に先立って、前記単層部と前記積層部とを隔離する隔壁を形成する工程を含むこと、を特徴としている。
このようにすれば、隔壁で囲まれた領域に有機膜を形成することができる。
【0012】
本発明の有機半導体装置の製造方法においては、前記測定工程は、前記ダミー領域において前記第1有機膜を形成した後に、当該第1有機膜の吸光度を測定する第1測定工程と、前記第1有機膜の全てに前記第2有機膜を積層形成した後に、前記第1有機膜及び前記第2有機膜の積層部の吸光度を測定する第2測定工程と、を含み、前記測定工程によって測定された吸光度に基づいて前記第1有機膜と前記第2有機膜の膜厚を求めること、を特徴としている。
【0013】
ここで、スピンコート法によって第2有機膜を形成することが好ましい。このようにすれば、第2有機膜を全面に塗布形成することができる。
このようにすれば、第2有機膜の単層の吸光度を測定しなくても、積層部の吸光度から単層部の吸光度を差し引くことで、第2有機膜の吸光度を求めることができる。そして、当該吸光度から第2有機膜の膜厚を求めることができる。
【0014】
本発明の有機半導体装置の製造方法においては、前記測定工程は、前記ダミー領域に製膜された前記有機膜の蛍光強度を測定すること、を特徴としている。
このようにすれば、有機膜に電流を流すことなく、当該有機膜の蛍光度を測定して有機膜の不良を検出することができる。
【0015】
本発明の有機半導体装置の製造方法においては、前記測定工程は、顕微機能を有する吸光度測定手段によって行うこと、を特徴としている。
このようにすれば、微細な領域に形成された有機膜の吸光度を測定することができる。
【0016】
また、本発明の有機半導体装置用基板は、基板上に有機膜を備える有機半導体装置用基板であって、前記基板上において、前記有機膜は、有機半導体装置が形成される領域と、当該領域を除く部分に形成されたダミー領域とに形成されていること、を特徴としている。
このような有機半導体装置用基板を用いることにより、上記の製造方法を好適に行うことができる。
従って、ダミー領域における有機膜を利用して、その膜厚を測定することで、実際の有機半導体装置の一構成要素となる有機膜の膜厚を直接測定する必要がない。また、有機膜が、紫外線等の照射光が照射されたとしても、当該有機膜はダミー領域に形成されたものであるため、有機半導体装置が形成される領域における有機膜に影響を与えることがない。従って、ダミー領域における有機膜を利用して、有機半導体装置が形成される領域に形成されている有機膜の膜厚を測定することができる。これにより、量産的に製造される半導体装置用基板の各々に対して膜厚管理を行うことができる。
【0017】
本発明の有機半導体装置用基板においては、前記ダミー領域は、前記有機半導体装置が形成される領域が備える画素と同形状であること、を特徴としている。
このようにすれば、湿式製膜法や液滴吐出法を用いて、有機半導体装置が形成される領域や、ダミー領域に有機膜を形成すると、有機半導体装置が形成される領域及びダミー領域において、有機膜の膜厚が同じになる。
従って、上記の製造方法により、ダミー領域における有機膜の膜厚を測定すると、その測定結果は、有機半導体装置が形成される領域における有機膜の膜厚として測定できる。
【0018】
本発明の有機半導体装置用基板においては、前記ダミー領域は、前記有機半導体装置が形成される領域における膜厚測定対象の画素の周辺に配置されていること、を特徴としている。
このようにすれば、基板上において、膜厚測定対象の画素とダミー領域とが隣接して配置されるので、ダミー領域における有機膜の膜厚を測定すると、その測定結果は、膜厚測定対象の画素における有機膜の膜厚として測定できる。
【0019】
本発明の有機半導体装置用基板においては、前記基板上には、配線が形成されており、 前記ダミー領域は、前記配線の非形成領域に配置されていること、を特徴としている。
ここで、配線とは、有機膜に電流を供給する配線や、薄膜トランジスタ等のスイッチング素子を駆動させる信号線、或いは、スイッチング素子の駆動状態を保持する容量配線等を意味する。
そして、本発明においては、ダミー領域が配線の非形成領域に配置されているので、配線とダミー領域とが重なることを防止できる。
【0020】
本発明の有機半導体装置用基板においては、前記ダミー領域は、前記基板上において、所定の間隔で複数形成されていること、を特徴としている。
このようにすれば、ダミー領域における有機膜の膜厚を測定することで、基板上において所定間隔で測定された膜厚分布を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の有機半導体装置の製造方法、及び有機半導体装置用基板の実施形態について図を参照して説明する。
まず、有機半導体装置用基板に係る有機EL装置用基板について説明する。
図1は、有機EL装置用基板を示す平面図である。
図1に示すように、有機EL装置用基板1は、マザー基板(基板)20上に複数のチップ領域(所定の領域)2と、複数のTEG(Test Element Group、ダミー領域)3とを有して構成されている。
【0022】
ここで、マザー基板20とは、複数のチップ領域2を採取するための大型基板であり、ガラス等の光透過性基板からなる。
また、チップ領域2とは、マザー基板20上に薄膜トランジスタ等のスイッチング素子や、発光機能層(有機膜)等が形成された領域であり、当該チップ領域2の境界近傍をカッター等によってチッピング(分割)することで、各チップ領域2が有機ELパネル(有機EL装置、有機半導体装置)となるものである。本実施形態では、1枚のマザー基板20から4列4行の16個の有機ELパネルを採取することが可能となっている。
【0023】
また、TEG3とは、マザー基板20上のチップ領域2を除く部分に形成された領域であり、本実施形態では合計17箇所に形成されている。このようなTEG3は、マザー基板20上に形成される発光機能層110の膜厚を測定し、その分布を得るための領域であることから、マザー基板20の中央部や周辺部に一様な間隔で複数形成されている。
次に、チップ領域2及びTEG3の構成について詳述する。
【0024】
(チップ領域)
図2は、各チップ領域2の断面拡大図である。
図2に示すように、チップ領域2は、複数の画素を備えて構成されている。ここで、画素とは、マザー基板20上に形成された画素電極23と、当該画素電極23上に形成された発光機能層110と、当該発光機能層110上に形成された陰極50とによって構成されている。また、チップ領域2においては、隣接する画素電極23の間、換言すれば隣接する発光機能層110の間に、隔壁22を備えている。これによって、複数の画素の各々が隔壁22によって隔離された構成となる。
なお、画素電極23には、不図示のTFTが接続されており、当該TFTのスイッチング動作によって画素電極23と陰極50との間に電流が流して、発光機能層110において発光が生じるようになっている。
【0025】
画素電極23は、インジウム錫酸化物(ITO)等の透明導電膜である。これによって、発光光を基板20の側に取り出すボトムエミッション型の有機ELパネルが実現可能となる。また、画素電極23としては、透明導電膜の代わりに、Al等の光反射性金属の単層構造、或いは当該光反射性金属と透明導電膜との積層構造を採用してもよい。この場合、トップエミッション型の有機ELパネルが実現可能となる。
【0026】
発光機能層110は、画素電極23上に形成された正孔注入層(第1有機膜)70と、当該正孔注入層70上に形成された有機EL層(第2有機膜)60とが積層されて構成されている。
ここで、有機EL層60は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色で発光する有機EL層60R,60G,60Bによって構成されている。このような各色の有機EL層60が画素電極23毎に設けられていることで、一つのピクセルが赤色画素,緑色画素,及び青色画素によって構成され、フルカラー表示を行う有機ELパネルが実現可能となる。
【0027】
正孔注入層70の形成材料としては、高分子材料では特に3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液、即ち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液が好適に用いられる。
なお、正孔注入層70の形成材料としては、前記のものに限定されることなく種々のものが使用可能である。例えば、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体などを、適宜な分散媒、例えば前記のポリスチレンスルフォン酸に分散させたものなどが使用可能である。低分子材料では、銅フタロシアニン、m−MTDATA、TPD、α―NPDなど、通常の正孔注入材料を蒸着法にて用いることができる。
【0028】
有機EL層60を形成するための材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。具体的には、高分子材料としては(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。低分子材料としては、Alq3、DPVBiなどのホスト材料、これにナイルレッド、DCM、ルブレン、ぺリレン、ローダミンなどをドープして、またはホスト単独で、蒸着法にて用いることができる。
また、赤色の有機EL層60の形成材料としては例えばMEHPPV(ポリ(3−メトキシ6−(3−エチルヘキシル)パラフェニレンビニレン)を、緑色の有機EL層60の形成材料としては例えばポリジオクチルフルオレンとF8BT(ジオクチルフルオレンとベンゾチアジアゾールの交互共重合体)の混合溶液を、青色の有機EL層60の形成材料としては例えばポリジオクチルフルオレンを用いる場合がある。また、このような有機EL層60については、特にその厚さについては制限がなく、色毎に好ましい膜厚が調整されている。
【0029】
陰極50は、有機EL層60の総面積より広い面積を備え、それを覆うように形成されたもので、有機EL層60上に設けられた低仕事関数の金属からなる第1陰極と、該第1陰極上に設けられて該第1陰極を保護する第2陰極とからなるものである。第1陰極を形成する低仕事関数の金属としては、特に仕事関数が3.0eV以下の金属であるのが好ましく、具体的にはCa(仕事関数;2.6eV)、Sr(仕事関数;2.1eV)、Ba(仕事関数;2.5eV)が好適に用いられる。第2陰極は、第1陰極を覆って酸素や水分などからこれを保護するとともに、陰極50全体の導電性を高めるために設けられたものである。かつ本発明がトップエミッション構造前提であるため透明であることが必要である。従ってこの第2陰極の形成材料としては、導電性が高く、化学的に安定でしかも透明で、製膜温度が比較的低いものに限定される。例えばITOが好適に用いられる。出光他から提供されるIZOもよろしい。他にタングステンインジウム酸化物や、インジウムガリウム酸化物でも好適なものがある。
【0030】
隔壁22は、発光機能層110を湿式製膜法で形成する際に、画素電極毎に発光機能層110を隔てる部材である。このような隔壁22は、無機材料からなる無機隔壁と、有機材料からなる有機隔壁とから構成されている。無機隔壁は、酸化シリコン膜からなり、画素電極23の側方に接触して設けられ、表面状態が親液性であるため、湿式成膜法によって形成される発光機能層110の液体材料を濡れ広がせるものである。有機隔壁は、アクリル樹脂やポリイミド樹脂等の有機物や、非感光性樹脂或いは感光性樹脂が採用される。また、有機隔壁の表面は、プラズマ処理によって撥液性が付与されている。このような隔壁22は、塗布形成される発光機能層110を、画素電極23上に受容するようになっている。
【0031】
(TEG)
図3は、各TEG3の断面拡大図である。
図3に示すように、TEG3は、チップ領域2の構成と比較すると、画素電極23や陰極50が形成されておらず、隔壁22、正孔注入層70、及び有機EL層60がマザー基板20上に形成された構成となっている。このような隔壁22、正孔注入層70、及び有機EL層60は、チップ領域2を形成する工程と同一に形成されたものである。
また、TEG3は、隔壁22によって囲まれた開口部24a,24b,24cを有している。ここで、開口部24aには、正孔注入層70と有機EL層60Rとからなる積層部25aが形成されている。また、開口部24bには、正孔注入層70のみからなる単層部26が形成されている。また、開口部24cには、正孔注入層70と有機EL層60Bとからなる積層部25bが形成されている。
本実施形態のTEG3は、3つの開口部24a,24b,24cに積層部25a,25b及び単層部26が形成されたものであるが、開口部を一つ増やして正孔注入層70と有機EL層60Gの積層部を形成した構成であってもよい。或いは、2つの開口部に積層部と単層部を各々形成した構成であってもよい。
【0032】
また、TEG3において、開口部24a,24b,24cの各々は、チップ領域2における画素と同じ平面形状となっている。これによって、チップ領域2及びTEG3に対して、インクジェット法(後述)で同じ吐出量で正孔注入層70や有機EL層60を形成すると、正孔注入層70や有機EL層60の膜厚は、チップ領域2の画素及びTEG3における開口部24a,24b,24cにおいて同じになる。これにより、後述する製造方法において、TEG3の正孔注入層70や有機EL層60の膜厚を測定すれば、その測定結果は、チップ領域2の正孔注入層70や有機EL層60の膜厚として測定可能となる。
【0033】
また、TEG3は、チップ領域2における膜厚測定対象の画素の周辺において隣接して配置されている。ここで、膜厚測定対象とは、後述する製造方法によって膜厚が測定される正孔注入層70や有機EL層60を意味する。
これにより、TEG3における正孔注入層70や有機EL層60の膜厚を測定すると、その測定結果は、膜厚測定対象の画素における正孔注入層70や有機EL層60の膜厚として測定できる。
【0034】
また、マザー基板20上には、有機EL層60に電流を供給する電源線や、薄膜トランジスタ等のスイッチング素子を駆動させる信号線、或いは、スイッチング素子の駆動状態を保持する容量配線等が形成されており、TEG3は、これら配線の非形成領域に配置されている。これにより、配線とTEG3とが重なることを防止できる。
また、TEG3は、基板上において、所定の間隔で複数形成されているので、TEG3における有機膜の膜厚を測定することで、基板上において所定間隔で測定された膜厚分布を得ることができる。
【0035】
(有機半導体装置の製造方法の第1実施形態)
次に、図4〜6を参照して、有機半導体装置の製造方法の第1実施形態について説明する。
図4は、有機半導体装置の製造方法の第1実施形態を示すフローチャート図である。図5は、発光機能層110の膜厚測定方法を示しており、図3に相当するTEG3の拡大断面図である。図6は、発光機能層の吸光度と膜厚の関係を示す図である。
以下の説明では、図4のフローチャート図に沿って有機半導体装置の製造方法について説明する。
【0036】
まず、マザー基板20上に画素電極23を形成する(ステップS1)。この工程においては、図2に示すチップ領域2のみに画素電極23を形成し、図3に示すTEG3には画素電極23を形成しない。
これにより、TEG3の単層部26及び積層部25a,25bの吸光度を測定する際には、単層部26と積層部25a,25bとの各々を透過させることで、その吸光度を測定することが可能となる。
なお、TEG3に画素電極23を形成し、当該画素電極23において光を反射させて吸光度を測定することも可能であるが、当該測定方法では画素電極23の膜厚のばらつきが吸光度の測定値に影響してしまい、実際の膜厚を高精度に検出できない恐れがある。従って、TEG3に画素電極23を形成せずに、当該TEG3において透過光を利用して吸光度を測定することで、より高精度な測定結果が得られる。
【0037】
次に、マザー基板20上に隔壁22を形成する(ステップS2)。この工程を施すことにより、チップ領域2における画素電極23,23の間に隔壁22が形成される。また、TEG3においては、マザー基板20上に隔壁22が形成される。ここで、チップ領域2及びTEG3の各々に形成される隔壁22のピッチは、同一であり、チップ領域2の画素ピッチ(例えば、80〜100μm)で形成される。
【0038】
次に、正孔注入層70を形成する(ステップS3、製膜工程)。この工程を施すことにより、チップ領域2において画素電極23上に正孔注入層70が形成される。また、TEG3においては、マザー基板20上の開口部24a,24b,24cの各々に正孔注入層70が形成される。
この工程においては、インクジェット法(液滴吐出法、湿式製膜法)を利用することで、隔壁22で囲まれた領域内に正孔注入層70が形成される。更に、インクジェット法で液体材料を吐出した後には、加熱乾燥処理によって溶媒成分を除去することで、固体成分のみを、チップ領域2の画素電極23上と、TEG3のマザー基板20上に形成する。
【0039】
次に、有機EL層60を形成する(ステップS4、製膜工程)。この工程を施すことにより、チップ領域2において正孔注入層70上に有機EL層60(60R,60G,60B)が形成される。また、TEG3においては、開口部24aにおける正孔注入層70上に有機EL層60Rが形成され、開口部24cにおける正孔注入層70上に有機EL層60Bが形成される。また、開口部24bには、有機EL層60を形成しない。
このような有機EL層60(60R,60G,60B)は、ステップS3と同様にインクジェット法を利用して形成される。更に、インクジェット法で液体材料を吐出した後には、加熱乾燥処理によって溶媒成分を除去し、固体成分のみを正孔注入層70上に形成する。
この工程を施すことにより、開口部24aには、正孔注入層70と有機EL層60Rとの積層部25aが形成される。開口部24bには、正孔注入層70のみからなる単層部26が形成される。開口部24cには、正孔注入層70と有機EL層60Bとの積層部25bが形成される。
【0040】
次に、単層部26の吸光度を測定(ステップS5、測定工程)し、積層部25a,25bの吸光度を測定する(ステップS6、測定工程)。
ここで、図5を参照して、吸光度の測定方法について説明する。吸光度の測定は、分光光度計(吸光度測定手段)10を用いて行われる。分光光度計10は、光源11と、検出部12と、光量測定部13とを有して構成されている。光源11は、紫外光等の光を出射するものであり、光量測定部13は検出部12で検出された光量を測定するものである。このような構成により、分光光度計10は、光源11と検出部12との間において、測定対象が吸光する光量を測定することが可能となっている。具体的には、光源11の発光強度と、検出部12の受光強度との比率により、吸光度を測定することが可能となる。そして、受光強度が小さい程に測定対象の吸光度は大きく、受光強度が大きい程に測定対象の吸光度は小さくなる。
また、分光光度計10は、光源11及び検出部12と、測定対象とを、約10μmの解像度で相対移動させることが可能となっている。従って、光源11及び検出部12を開口部24a,24b,24cの各々に合わせることが可能となっている。
【0041】
本実施形態では、図5に示すように、TEG3におけるマザー基板20の裏面(有機EL層60の非形成面)から光源11の光を入射させて、マザー基板20の表面(有機EL層60の形成面)において検出部12が光を受光している。
そして、図5(a)に示すように、単層部26を透過する光を測定して、当該単層部26の吸光度を測定する(ステップS5)。これにより、正孔注入層70のみの吸光度Lが測定される。
また、図5(b)に示すように、積層部25aを透過する光を測定して、当該積層部25aの吸光度を測定する(ステップS6)。これにより、正孔注入層70と有機EL層60Rの吸光度Mが測定される。
また、図5(c)に示すように、積層部25bを透過する光を測定して、当該積層部25bの吸光度を測定する(ステップS6)。これにより、正孔注入層70と有機EL層60Bの吸光度Nが測定される。
【0042】
次に、このように測定された吸光度L,M,Nより、正孔注入層70及び有機EL層60R,60Bの吸光度を算出する。即ち、正孔注入層70のみの吸光度Lが測定されているので、吸光度Mと吸光度Lとの差の値が有機EL層60Rのみの吸光度として算出される。また、吸光度Nと吸光度Lとの差の値が有機EL層60Bのみの吸光度として算出される。
【0043】
次に、有機EL層60R,60Bの膜厚を算出する(ステップS7)。
ここでは、上記工程によって得られた有機EL層60R,60Bの吸光度に基づいて、当該有機EL層60R,60Bの膜厚を求める。
図6(a)は、段差式の膜厚測定装置によって予め測定した有機EL層60R,60Bの膜厚値と、分光光度計10によって測定した吸光度の相関を波長毎にプロットした結果である。図6(b)は、波長382nmの光に対する吸光度と膜厚との関係を示す図であり、図6(c)は、波長464nmの光に対する吸光度と膜厚との関係を示す図である。
図6(b)から明らかなように、有機EL層60Bの膜厚と、当該有機EL層60Bの吸光度とは、正比例の関係を有しているので、有機EL層60Bの吸光度から、当該有機EL層60Bの膜厚を求めることができる。
また、図6(c)から明らかなように、有機EL層60Rの膜厚と、当該有機EL層60Rの吸光度とは、正比例の関係を有しているので、有機EL層60Rの吸光度から、当該有機EL層60Rの膜厚を求めることができる。
【0044】
上述したように、本実施形態においては、TEG3における正孔注入層70や有機EL層60を利用して、その膜厚を測定しているので、実際の有機パネルの一構成要素となるチップ領域2における正孔注入層70や有機EL層60の膜厚を直接測定する必要がない。また、正孔注入層70や有機EL層60が、紫外線等の照射光が照射されたとしても、これらはTEG3に形成されたものであるため、チップ領域2における正孔注入層70や有機EL層60に影響を与えることがない。従って、TEG3における正孔注入層70や有機EL層60を利用して、チップ領域2に形成されている正孔注入層70や有機EL層60の膜厚を測定することができる。また、量産的に製造される有機EL装置用基板1の各々に対して膜厚管理を行うことができる。
【0045】
本実施形態においては、ステップS5とステップS6の連続した吸光度の測定によって、正孔注入層70の単層部26の吸光度と、正孔注入層70及び有機EL層60Rの積層部25の吸光度を測定し、これらの吸光度から有機EL層60Rを測定している。
従って、有機EL層60R,60Bの単層の吸光度を測定しなくても、積層部25a,25bの吸光度から単層部26の吸光度を差し引くことで、有機EL層60R,60Bの吸光度を求めることができる。そして、当該吸光度から有機EL層60R,60Bの膜厚を求めることができる。
【0046】
なお、本実施形態においては、分光光度計10によってTEG3における正孔注入層70及び有機EL層60の吸光度を測定したが、これらの蛍光強度を測定してもよい。このようにすれば、電流を流すことなく、正孔注入層70及び有機EL層60の不良判定を行うことができる。
【0047】
(有機半導体装置の製造方法の第2実施形態)
次に、有機半導体装置の製造方法の第2実施形態について説明する。
図7は、有機半導体装置の製造方法の第2実施形態を示すフローチャート図である。図8は、発光機能層110の膜厚測定方法を示しており、TEG3の拡大断面図である。図6は、発光機能層の吸光度と膜厚の関係を示す図である。
本実施形態は、正孔注入層70及び有機EL層60がスピンコート法によって形成される点が、先の第1実施形態と相違している。
以下の説明では、図7のフローチャート図に沿って有機半導体装置の製造方法について説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付して、説明を省略している。
【0048】
まず、チップ領域2のみに画素電極23を形成する(ステップS11)。
次に、チップ領域2及びTEG3に隔壁22を形成する(ステップS12)。
次に、正孔注入層70を形成する(ステップS13)。ここでは、スピンコート法(湿式製膜法)を利用して、マザー基板20上の全面に正孔注入層70を形成する。
本実施形態では、隔壁22に撥液性を付与していないため、正孔注入層70は隔壁22の表面に対しても形成される。
更に、スピンコート法で液体材料を塗布した後には、加熱乾燥処理によって溶媒成分を除去することで、固体成分のみを、チップ領域2の画素電極23上と、TEGのマザー基板20上に形成する。
【0049】
次に、正孔注入層70(単層部26)の吸光度を測定する(ステップS14、第1測定工程)。
吸光度の測定は、先述の分光光度計10を用いて行われ、正孔注入層70のみの吸光度Lが測定される。
なお、本実施形態では、開口部24bの正孔注入層70の吸光度を測定しているが、開口部24a,24b,24cのいずれか一つを測定してもよいし、3つの開口部における各正孔注入層70の吸光度を測定し、平均値を算出してもよい。
【0050】
次に、有機EL層60Rを形成する(ステップS15)。ここでは、スピンコート法(湿式製膜法)を利用して、マザー基板20上の全面において正孔注入層70に有機EL層60Rを積層形成する。
ここで、隔壁22の表面に形成された正孔注入層70に対しても、有機EL層60Rが積層形成される。
更に、スピンコート法で液体材料を塗布した後には、加熱乾燥処理によって溶媒成分を除去することで、固体成分のみを、チップ領域2の正孔注入層70上と、TEG3の正孔注入層70上に形成する。
【0051】
次に、有機EL層60Rと正孔注入層70からなる積層部25の吸光度を測定する(ステップS16、第2測定工程)。
吸光度の測定は、先述の分光光度計10を用いて行われ、積層部25の吸光度Mが測定される。
なお、本実施形態では、開口部24bにおける積層部25の吸光度を測定しているが、開口部24a,24b,24cのいずれか一つを測定してもよいし、3つの開口部における各積層部25の吸光度を測定し、平均値を算出してもよい。
【0052】
次に、ステップS14,S16において測定された吸光度L,Mより、正孔注入層70及び有機EL層60Rの吸光度を算出する。即ち、正孔注入層70のみの吸光度Lが測定されているので、吸光度Mと吸光度Lとの差の値が有機EL層60Rのみの吸光度として算出される。
【0053】
次に、有機EL層60Rの膜厚を算出する(ステップS17)。
ここでは、上記工程によって得られた有機EL層60Rの吸光度に基づいて、その膜厚を求める。膜厚と吸光度の相関は、図6(c)によって明らかになっている。そして、有機EL層60Rの膜厚とは、当該有機EL層60Rの吸光度とは、正比例の関係を有しているので、有機EL層60Rの吸光度から、当該有機EL層60Rの膜厚を求めることができる。
【0054】
上述したように、本実施形態においては、TEG3における正孔注入層70や有機EL層60を利用して、その膜厚を測定しているので、実際の有機パネルの一構成要素となる正孔注入層70や有機EL層60の膜厚を直接測定する必要がない。また、正孔注入層70や有機EL層60が、紫外線等の照射光が照射されたとしても、これらはTEG3に形成されたものであるため、チップ領域2における正孔注入層70や有機EL層60に影響を与えることがない。従って、TEG3における正孔注入層70や有機EL層60を利用して、チップ領域2に形成されている正孔注入層70や有機EL層60の膜厚を測定することができる。また、量産的に製造される有機EL装置用基板1の各々に対して膜厚管理を行うことができる。
【0055】
本実施形態においては、ステップS14とステップS16の2回の測定を別々に行うことによって、正孔注入層70の単層部26の吸光度と、正孔注入層70及び有機EL層60Rの積層部25の吸光度を測定し、これらの吸光度から有機EL層60Rを測定している。
従って、有機EL層60Rの単層の吸光度を測定しなくても、積層部25の吸光度から単層部26の吸光度を差し引くことで、有機EL層60Rの吸光度を求めることができる。そして、当該吸光度から有機EL層60Rの膜厚を求めることができる。
【0056】
なお、以上の実施系形態においては、有機ELパネルの製造方法について説明したが、本発明は、有機トランジスタの製造方法にも適用可能である。
有機トランジスタを構成する有機半導体層の形成材料としては、特にC60やC82、さらには金属を内包した金属内包フラーレン(例えばディスプロシウム(Dy)を内包したフラーレン(以下、Dy@C82と記す))等のフラーレン(Fullerene)類が好適に用いられるが、これ以外にも、ペンタセンやオリゴチオフェン等の有機低分子、ポリチオフェン等の有機高分子、フタロシアニン等の金属錯体、及びカーボンナノチューブ類等も用いられる。
また、このような有機半導体層に対し、アンバイポーラ特性を付与する電圧制御層については、その形成材料としては有機半導体層の形成材料に応じて適宜に選択され、使用される。具体的には、有機半導体層がフラーレン(Fullerene)類からなる場合、シラン化合物が好適に用いられる。シラン化合物としては、例えば、R1(CH2)mSiR2nX3−n(mは自然数、nは1または2)の一般式で表されるシラン化合物が用いられる。このような一般式で表されるシラン化合物において、Xをハロゲンまたはアルコキシ基等とすると、ゲート絶縁膜14として好適に用いられるSiO2、Al2O3等の酸化物表面に容易に化学吸着し、緻密で強固な超薄膜(単分子膜)を形成する。また、この結果、末端基R1は電圧制御層の表面に配置され、したがってフラーレン等からなる有機半導体層との化学的親和力も高くなる。また、R2は、水素、メチル基(−CH3)等のアルキル基またはその誘導体である。
【0057】
このような電圧制御層において、特にフラーレン類からなる有機半導体層にアンバイポーラ特性を良好に付与し得るシラン化合物としては、例えば前記式においてR1がメチル基(−CH3)、あるいはトリフルオロメチル基(−CF3)であるものが好ましい。また、このような電圧制御層は、有機半導体層に対してアンバイポーラ特性を付与するのに加えて、有機薄膜トランジスタの閾値電圧を制御する作用も奏する。具体的には、R1を適宜に変えることにより、有機半導体層の閾値電圧特性を制御することができる。
【0058】
また、上記の有機ELパネルの製造方法や有機トランジスタの製造方法だけでなく、有機半導体層を有する太陽電池の製造方法にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の有機半導体装置用基板の平面図。
【図2】本発明の有機半導体装置用基板におけるチップ領域の断面拡大図。
【図3】本発明の有機半導体装置用基板におけるTEGの断面拡大図。
【図4】本発明の有機半導体装置の製造方法の第1実施形態を示すフローチャート図。
【図5】本発明の有機半導体装置の製造方法の第1実施形態を説明する図。
【図6】吸光度と膜厚の相関関係を示す図。
【図7】本発明の有機半導体装置の製造方法の第2実施形態を示すフローチャート図。
【図8】本発明の有機半導体装置の製造方法の第2実施形態を説明する図。
【符号の説明】
【0060】
1 有機EL装置用基板(有機半導体装置用基板)、 2 チップ領域(所定の領域)、 3 TEG(ダミー領域)、 20 マザー基板(基板)、 10 分光光度計(吸光度測定手段)、 22 隔壁、 25,25a,25b 積層部、 26 単層部、 60,60R,60G,60B 有機EL層(有機膜、第2有機膜)、 70 正孔注入層(有機膜、第1有機膜)、 110 発光機能層(有機膜)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に有機膜を備える有機半導体装置の製造方法であって、
前記基板上における、所定の領域と、当該所定の領域を除く部分に設定されたダミー領域とに、前記有機膜を製膜する製膜工程と、
前記ダミー領域に製膜された前記有機膜の吸光度を測定する測定工程と、
を含み、
前記測定工程によって測定された吸光度に基づいて前記有機膜の膜厚を求めること、
を特徴とする有機半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記製膜工程は、
前記ダミー領域において、前記基板上に第1有機膜を形成する工程と、前記第1有機膜上の少なくとも一部に第2有機膜を形成する工程と、
を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の有機半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記製膜工程は、前記ダミー領域に、前記第1有機膜の単層部と、前記第1有機膜及び前記第2有機膜の積層部とを形成し、
前記製膜工程の後に、前記測定工程は、前記単層部の吸光度と、前記積層部との吸光度を測定し、
前記測定工程によって測定された吸光度に基づいて前記第1有機膜と前記第2有機膜の膜厚を求めること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記製膜工程に先立って、前記単層部と前記積層部とを隔離する隔壁を形成する工程を含むこと、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の有機半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記測定工程は、
前記ダミー領域において前記第1有機膜を形成した後に、当該第1有機膜の吸光度を測定する第1測定工程と、
前記第1有機膜の全てに前記第2有機膜を積層形成した後に、前記第1有機膜及び前記第2有機膜の積層部の吸光度を測定する第2測定工程と、
を含み、
前記測定工程によって測定された吸光度に基づいて前記第1有機膜と前記第2有機膜の膜厚を求めること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記測定工程は、
前記ダミー領域に製膜された前記有機膜の蛍光強度を測定すること、
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の有機半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記測定工程は、
顕微機能を有する吸光度測定手段によって行うこと、
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の有機半導体装置の製造方法。
【請求項8】
基板上に有機膜を備える有機半導体装置用基板であって、
前記基板上において、前記有機膜は、有機半導体装置が形成される領域と、当該領域を除く部分に形成されたダミー領域とに形成されていること、
を特徴とする有機半導体装置用基板。
【請求項9】
前記ダミー領域は、前記有機半導体装置が形成される領域が備える画素と同形状であること、
を特徴とする請求項8に記載の有機半導体装置用基板。
【請求項10】
前記ダミー領域は、前記有機半導体装置が形成される領域における膜厚測定対象の画素の周辺に配置されていること、
を特徴とする請求項8又は請求項9に記載の有機半導体装置用基板。
【請求項11】
前記基板上には、配線が形成されており、
前記ダミー領域は、前記配線の非形成領域に配置されていること、
を特徴とする請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の有機半導体装置用基板。
【請求項12】
前記ダミー領域は、前記基板上において、所定の間隔で複数形成されていること、
を特徴とする請求項8から請求項11のいずれか一項に記載の有機半導体装置用基板。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−88127(P2007−88127A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273406(P2005−273406)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】