説明

案内サーバ装置,案内方法及びその方法を実装した案内プログラム

【課題】検出した利用者の視線方向に基づく案内サービスを提供する。
【解決手段】IDを構成する各文字を方向を指示するように環状に配置した環状IDマーク1を空間に設ける。端末装置2は前記環状IDマーク上の文字を所定の順序で入力され、該文字を案内サーバ装置3に送信する。案内サーバ装置3は、前記環状IDマーク1で表現されるID,環状IDマーク1の位置情報,視線方向を示すベクトル情報を含む位置方向ID管理データを管理する手段3dと、前記端末装置2から文字に応じた信号を受信し、該文字に応じた信号に基づいてIDを構成する手段30と、前記構成されたIDに基づいて、端末装置2の位置と端末装置2の利用者の視線方向を、前記位置方向ID管理手段3dから取得し検出する手段3cと、前記端末装置2の位置と端末装置2の利用者の視線方向に基づく案内情報を前記端末装置2に送信する手段3eと、によって案内サービスを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末による案内システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯端末に搭載されたGPS(Global Position(Positioning) System)を用いて、端末の位置を取得し、周辺情報の提供や目的地までの経路指示などの案内サービスを行うシステムが実用化されている。例えば、歩行中の利用者に対しては、音声メッセージを用いた情報提供が効果的であることから、音声による案内情報を提供するシステムが開発されている。
【0003】
一方、GPSが利用できない屋内で、同様のサービスを実現するためには、携帯端末の位置を取得するための別の仕組みが必要とする。このような仕組みを有するシステムは、携帯端末が主体的に位置を検出するシステムと、ネットワークシステム側で端末位置を検出するシステムに分類できる。
【0004】
前者のシステムは、屋内各所にID(Identifier;識別子)を付与し、携帯端末側に搭載したIDリーダによって、携帯端末周囲のIDを検出して位置を特定する。
【0005】
後者のシステムは、携帯端末に周囲から読み取り可能なIDを付与し、屋内各所に配置したIDリーダによって、ネットワークシステムが該携帯端末位置を認識する。
【0006】
後者のシステムの実現には、屋内各所にIDリーダを配置し、それらを接続するネットワークを構築する必要がある。後者のシステムは一般に構築コストが高いため、前者のシステムの方が実現性に優れている。
【0007】
前者のシステムでは、携帯端末がIDリーダを有する必要がある。利用されるIDとしては、RFID(Radio Frequency Identification)、無線LAN(Local Area Network)基地局ID,カメラ画像を画像処理することによって取得可能な画像ID(ビジュアルタグ,電子透かしID,文字列認識により得られる文字列など)が挙げられる。
【0008】
しかし、既存の携帯電話は、RFIDや無線LAN基地局IDを取得するためのリーダ装置を有していない。携帯電話に内蔵されたカメラを利用して周囲に掲示された画像IDを認識することは可能である。しかし、利用者が逐次カメラを起動して認識処理を実行する必要があり利用操作が煩雑となる。また、より低コストになる方法(例えば、特許文献1参照)では、汎用性を有し、低コストに導入できるシステムとして、IDリーダを用いずにユーザが手入力したキーを用いて場所を特定するシステムも提案されている。
【0009】
しかし、いずれのIDを用いても、利用者の視線方向(行き先方向)を検出できない。利用者の視線方向は、音声案内サービスのユーザインタフェースを改善するために重要な役割を果たす。例えば、進行方向を検出可能なGPSを用いるナビゲーションシステムでは、「そのまま直進すると目的地です。(音声:ソノママチョクシンスルトモクテキチデス)」といった自然でわかりやすい音声案内ユーザインタフェースを実現できる。
【特許文献1】特開2003−140585号公報(段落[0018]〜[0026]等)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の音声案内システムのサービスを携帯端末へデータ回線を介して提供する場合、そのデータ回線の回線速度が遅い場合、データ伝送に関する遅延が問題となる。例えば、屋外でのユーザの活動をサポートする場合、遅延なく迅速に音声案内情報を提供することは特に重要である。回線交換もしくは音声通話専用のパケットトランザクションによって、前記遅延が小さく抑えられる。
【0011】
従って、一般の通話回線を用いて、上述した位置依存の音声案内サービスを実現できれば有用である。また、このような案内システムであれば、音声通話のみをサポートする携帯電話であっても利用でき、汎用性に優れる。
【0012】
本発明は、前記課題に基づいてなされたものであって、屋内各所にネットワーク端末を配置せず、構築コストを低く抑え、簡易な操作で検出した利用者の視線方向に基づく案内サービスを提供する案内サーバ装置,案内方法及びその方法を実装した案内プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題の解決を図るために、請求項1記載の発明は、IDを構成する各文字を方向を指示するように環状に配置した環状IDマークが任意空間に設けられ、通話手段を有し、利用者によって前記環状IDマーク上の文字を所定の順序で入力される端末装置に、通信回線で接続され、該端末装置から該文字を送信されて、案内情報を提供する案内サーバ装置であって、前記環状IDマークで表現されるID,環状IDマークの位置情報,視線方向を示すベクトル情報を含む位置方向ID管理データを管理する位置方向ID管理手段と、前記端末装置から文字に応じた信号を受信し、該文字に応じた信号に基づいてIDを構成するID入力手段と、前記構成されたIDに基づいて、端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向を、前記位置方向ID管理手段から取得し検出する位置方向検出手段と、前記端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向に基づく案内情報を前記端末装置に送信する案内情報提供手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、IDを構成する各文字を方向を指示するように環状に配置した環状IDマークが任意空間に設けられ、通話手段を有し、利用者によって前記環状IDマーク上の文字を所定の順序で入力される端末装置に、通信回線で接続され、該端末装置から該文字と該利用者に選択された目的地名に応じた選択肢を送信されて、案内情報を提供する案内サーバ装置であって、前記環状IDマークで表現されるID,環状IDマークの位置情報,視線方向を示すベクトル情報を含む位置方向ID管理データを管理する位置方向ID管理手段と、前記端末装置から文字に応じた信号を受信し、該文字に応じた信号に基づいてIDを構成するID入力手段と、前記構成されたIDに基づいて、端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向を、前記位置方向ID管理手段から取得し検出する位置方向検出手段と、環状IDマーク位置周辺のコンテンツ情報と前記位置情報を対応付けるコンテンツ情報管理データを管理するコンテンツ情報管理手段と、目的地名とその位置情報を対応付ける目的地管理データを管理する目的地管理手段と、前記目的地管理手段から選択された選択肢に応じた目的地名と目的地位置情報を取得し、その目的地名と目的地位置情報を経路方向決定手段に通知する目的地指定手段と、前記位置方向検出手段から受け取った位置情報と前記目的地指定手段から受け取った目的地位置情報に基づいて、目的地に辿り着くための経路方向を決定する経路方向決定手段と、前記決定された経路方向に基づいて、前記環状マーク上の文字であって、前記経路方向に対応する方向を指示する文字を含む経路方向情報を作成し、該経路方向情報の一部,全部のいずれかを含む案内情報を作成する手段と、前記端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向に基づく案内情報を前記端末装置に送信する案内情報提供手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記案内情報提供手段が、前記位置情報と対応した音声案内情報コンテンツ管理データを管理する音声案内情報コンテンツ管理手段と、前記位置方向検出手段から位置情報と視線方向を受けると、前記位置方向ID管理手段と音声案内情報コンテンツ管理手段を使って音声案内情報コンテンツ管理データを参照し、前記位置情報周辺に対応付けられた音声案内情報データを選択し、該音声案内情報データを案内情報と見做し、前記端末装置を介して再生する音声案内情報提供手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、前記ID入力手段が、通信回線を介して前記端末装置との音声通信を行う音声通信手段と、受信された音声信号から特定の文字を識別し、その文字を受信ID構成手段に通知する音声信号識別手段と、通知された文字に基づいてIDを構成する受信ID構成手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載に記載の発明において、前記受信ID構成手段が、前記受けた文字に基づいて位置方向ID管理手段を参照しつつ、既に入力された文字列から候補を絞り込み、IDが一意に決まった時点で即座に、該IDを前記位置方向検出手段に通知する受信ID予測手段、を備える、ことを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明は、IDを構成する各文字を方向を指示するように環状に配置した環状IDマークが任意空間に設けられ、通話手段を有し、利用者によって前記環状IDマーク上の文字を所定の順序で入力される端末装置から通信回線を介して前記文字を送信され、前記環状IDマークで表現されるID,環状IDマークの位置情報,視線方向を示すベクトル情報を含む位置方向ID管理データを管理する位置方向ID管理手段を備え、
案内情報を提供する案内サーバ装置で実行する案内方法であって、前記端末装置から文字に応じた信号を受信し、該文字に応じた信号に基づいてIDを構成するID入力ステップと、前記構成されたIDに基づいて、端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向を、前記位置方向ID管理手段から取得し検出する位置方向検出ステップと、前記端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向に基づく案内情報を前記端末装置に送信する案内情報提供ステップと、を有することを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の発明は、IDを構成する各文字を方向を指示するように環状に配置した環状IDマークが任意空間に設けられ、通話手段を有し、利用者によって前記環状IDマーク上の文字を所定の順序で入力される端末装置に通信回線で接続され、該端末装置から該IDと該利用者に選択された目的地名に応じた選択肢を送信され、前記環状IDマークで表現されるID,環状IDマークの位置情報,視線方向を示すベクトル情報を含む位置方向ID管理データを管理する位置方向ID管理手段と、環状IDマーク位置周辺のコンテンツ情報と前記位置情報を対応付けるコンテンツ情報管理データを管理するコンテンツ情報管理手段と、目的地名とその位置情報を対応付ける目的地管理データを管理する目的地管理手段と、を備え、案内情報を提供する案内サーバ装置で実行する案内方法であって、前記端末装置から文字に応じた信号を受信し、該文字に応じた信号に基づいてIDを構成するID入力ステップと、前記構成されたIDに基づいて、端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向を、前記位置方向ID管理手段から取得し検出する位置方向検出ステップと、前記目的地管理手段から選択された選択肢に応じた目的地名と目的地位置情報を取得し、その目的地名と目的地位置情報を経路方向決定ステップに通知する目的地指定ステップと、前記位置方向検出ステップから受け取った位置情報と前記目的地指定ステップから受け取った目的地位置情報に基づいて、目的地に辿り着くための経路方向を決定する経路方向決定ステップと、前記決定された経路方向に基づいて、前記環状マーク上の文字であって、前記経路方向に対応する方向を指示する文字を含む経路方向情報を作成し、該経路方向情報の一部,全部のいずれかを含む案内情報を作成するステップと、前記端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向に基づく案内情報を前記端末装置に送信する案内情報提供ステップと、を有することを特徴とする。
【0020】
請求項8記載の発明は、IDを構成する各文字を方向を指示するように環状に配置した環状IDマークが任意空間に設けられ、通話手段を有し、利用者によって前記環状IDマーク上の文字を所定の順序で入力される端末装置から通信回線を介して前記文字を送信され、前記環状IDマークで表現されるID,環状IDマークの位置情報,視線方向を示すベクトル情報を含む位置方向ID管理データを管理する位置方向ID管理手段と、前記位置情報と対応した音声案内情報コンテンツ管理データを管理する音声案内情報コンテンツ管理手段と、を備え、案内情報を提供する案内サーバ装置で実行する案内方法であって、前記端末装置から文字に応じた信号を受信し、該文字に応じた信号に基づいてIDを構成するID入力ステップと、前記構成されたIDに基づいて、端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向を、前記位置方向ID管理手段から取得し検出する位置方向検出ステップと、前記位置方向検出ステップから位置情報と視線方向を受けると、前記位置方向ID管理手段と音声案内情報コンテンツ管理手段を使って音声案内情報コンテンツ管理データを参照し、前記位置情報周辺に対応付けられた音声案内情報データを選択し、該音声案内情報データを前記端末装置を介して再生する音声案内情報提供ステップと、を有することを特徴とする。
【0021】
請求項9記載の発明は、IDを構成する各文字を方向を指示するように環状に配置した環状IDマークが任意空間に設けられ、通話手段を有し、利用者によって前記環状IDマーク上の文字を所定の順序で入力される端末装置に通信回線で接続され、該端末装置から該IDと該利用者に選択された目的地名に応じた選択肢を送信され、前記環状IDマークで表現されるID,環状IDマークの位置情報,視線方向を示すベクトル情報を含む位置方向ID管理データを管理する位置方向ID管理手段と、前記位置情報と対応した音声案内情報コンテンツ管理データを管理する音声案内情報コンテンツ管理手段と、目的地名とその位置情報を対応付ける目的地管理データを管理する目的地管理手段と、を備え、案内情報を提供する案内サーバ装置で実行する案内方法であって、前記端末装置から文字に応じた信号を受信し、該文字に応じた信号に基づいてIDを構成するID入力ステップと、前記構成されたIDに基づいて、端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向を、前記位置方向ID管理手段から取得し検出する位置方向検出ステップと、前記目的地管理手段から選択された選択肢に応じた目的地名と目的地位置情報を取得し、その目的地名と目的地位置情報を経路方向決定ステップに通知する目的地指定ステップと、前記位置方向検出ステップから受け取った位置情報と前記目的地指定ステップから受け取った目的地位置情報に基づいて、目的地に辿り着くための経路方向を決定する経路方向決定ステップと、前記決定された経路方向に基づいて、前記環状マーク上の文字であって、前記経路方向に対応する方向を指示する文字を含む経路方向情報を作成し、該経路方向情報の一部,全部のいずれかを含む案内情報を作成するステップと、前記位置方向検出ステップから位置情報と視線方向を受けると、前記位置方向ID管理手段と音声案内情報コンテンツ管理手段を使って音声案内情報コンテンツ管理データを参照し、前記位置情報周辺に対応付けられた音声案内情報データを選択し、該音声案内情報データを案内情報と見做し、前記端末装置を介して再生する音声案内情報提供ステップと、を有することを特徴とする。
【0022】
請求項10記載の発明は、請求項6乃至9の何れかに記載の発明において、前記ID入力ステップが、通信回線を介して前記端末装置との音声通信を行う音声通信ステップと、受信された音声信号から特定の文字を識別し、その文字を受信ID構成ステップに通知する音声信号識別ステップと、通知された文字に基づいてIDを構成する受信ID構成ステップと、を有する、ことを特徴とする。
【0023】
請求項11記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記受信ID構成ステップが、前記受けた文字に基づいて位置方向ID管理手段を参照しつつ、既に入力された文字列から候補を絞り込み、IDが一意に決まった時点で即座に、該IDを前記位置方向検出ステップに通知する受信ID予測ステップ、を有する、ことを特徴とする。
【0024】
請求項12記載の発明は、案内プログラムであって、請求項6乃至11の何れかに記載の案内方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述したことを特徴とする。
【0025】
前記請求項1,6記載の発明は、環状IDマークを空間に配置し、ネットワーク上に案内サーバ装置を設置し構成して実現できる。環状IDマーク上の文字を方向指示記号として活用できる。利用者の視線方向が検出できる。
【0026】
前記請求項2,7記載の発明は、環状IDマークを空間に配置し、ネットワーク上に案内サーバ装置を設置し構成して実現できる。環状IDマーク上の文字を方向指示記号として活用できる。利用者の視線方向が検出できる。目的地までの経路方向を取得できる。
【0027】
前記請求項3,8,9記載の発明は、位置情報に応じた音声案内情報コンテンツを取得できる。
【0028】
前記請求項4,10記載の発明は、端末装置から音声を受信できる。
【0029】
前記請求項5,11記載の発明は、受信した1文字毎にIDを絞込み検索できる。
【0030】
前記請求項12記載の発明は、請求項5乃至9の何れかに記載の案内方法をコンピュータプログラムとして記載できる。
【発明の効果】
【0031】
以上示したように請求項1,6の発明によれば、前記構成によって、構築コストを低くできる。環状IDマークによって、実空間に関連付けられたコンテンツ情報の位置や、目的地への経路方向を、簡易な操作でわかりやすく指示できる。検出した利用者の視線方向によって、視線方向を考慮した各種案内情報を提供できる。
【0032】
請求項2,7の発明によれば、前記構成によって、構築コストを低くできる。環状IDマークによって、実空間に関連付けられたコンテンツ情報の位置や、目的地への経路方向を、簡易な操作でわかりやすく指示できる。検出した利用者の視線方向によって、視線方向を考慮した各種案内情報を提供できる。取得した経路方向を含む案内情報を提供できる。
【0033】
請求項3,8,9の発明によれば、環状IDマーク上の文字を方向指示に活用できるため、音声を用いても、実空間に関連付けられた音声案内情報コンテンツの位置や、目的地への経路方向をわかりやすく伝達できる。低コストに屋内での携帯電話向け音声案内サービスを実現できる。
【0034】
また、利用者の視線方向が検出できるので、視線方向を考慮して音声案内情報コンテンツを再生できる。
【0035】
請求項4,10の発明によれば、通話機能を有する端末装置から前記案内サーバ装置を利用できる。環状IDマーク上で所望の方向を指示する文字を端末装置から入力すれば、当該方向に関する案内情報コンテンツの提供できる。
【0036】
請求項5,11の発明によれば、IDを構成する文字全てを入力しなくても、IDを確定でき、IDを入力する際の入力ミスの発生も低減できる。
【0037】
請求項12の発明によれば、請求項5乃至9の何れかに記載の案内方法を実装したコンピュータプログラムを提供できる。
【0038】
これを以って情報サービス分野に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態における案内システムを図面等に基づいて詳細に説明する。
【0040】
本実施形態における案内システムの基本的な構成を図1に基づいて説明する。本実施形態における案内システムは、既定数の異なる文字の列をIDとし、IDを構成する各文字を環状に配置し、各文字が方向を指示するようにデザインした環状IDマーク1、携帯端末2、案内サーバ装置3を有する。なお、案内サーバ装置3としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)を搭載したサーバ用コンピュータが利用できる。
【0041】
携帯端末2は、少なくとも通話手段(例えば、電話の送話器と受話器)を有する端末装置であって、携帯電話などを含むあらゆる通話端末が利用できる。
【0042】
案内サーバ装置3は、少なくとも、通話回線100を介して音声通信を行う音声通信手段3aと、DTMF(Dial Tone Multi Frequency)などの所定の音声信号を識別し文字を受信する音声信号識別手段3bと、逐次受信される文字から、利用者が入力中のID全体を構成する受信ID構成手段3iと、を備え、IDを入力するID入力手段30,位置方向検出手段3c,位置方向ID管理テーブル3d,記憶手段3jを有する。なお、記憶手段3jは、汎用的な記憶装置(例えば、メモリやハードディスク装置)を含む手段である。
【0043】
また、該案内サーバ装置3が提供するサービスの内容に応じて、音声案内情報を提供する音声案内情報提供手段3e、音声案内情報コンテンツ管理データベース3f、目的地指定手段3g、経路方向決定手段3hの各手段を具備する。
【0044】
前記受信ID構成手段3iは、逐次受信される文字から、利用者が入力中のID全体の文字列を予測する受信ID予測手段を具備する場合もある。
【0045】
なお、本実施形態における案内サーバ装置は、上記案内システムを構成する前記案内サーバ装置3である。
【0046】
以下に、本実施形態における案内サーバ装置を含む案内システムについて詳述する。
【0047】
本実施形態における環状IDマークの構成例を図2,図3に基づいて説明する。図2,図3に示す環状IDマークの例(即ち、環状IDマーク1及び11)は、携帯電話での利用を前提にしたものであり、携帯電話のテンキー(例えば、ダイヤルキー)で入力可能な“0”,“1”,“2”,“3”,“4”,“5”,“6”,“7”,“8”,“9”,“*”,“#”の文字を使ってIDを構成するものとしている。なお、IDは構成する文字数は、環状IDマークごとによって異なっても良い。例えば、環状IDマーク1は符号1a〜1dで示される4文字“1”,“2”,“3”,“#”から構成されるIDを含む。
【0048】
環状IDマークは、IDを構成する各文字を環状に配置し、各文字が方向を指示するようにデザインされる。各文字は、特定の方向に向くよう(例えば、文字が円の中心から外側方向に沿って上に向くよう)に配置される。すなわち、環状IDマークは、特定の向きから見ることを前提したものでなく、環状IDマーク周囲のどの向きから見ても良い構成とする。
【0049】
図2は、4つの文字でIDを構成する場合の環状IDマークの一例である。図3は、8個の文字でIDを構成する場合の環状IDマークの一例である。なお、いずれの環状IDマークでも、一つのIDに同じ文字が含まれないように構成する。即ち、前記環状IDマーク上において一つの文字が一つの方向を指示するようにしている。
【0050】
上述したように、環状IDマークに提示されるIDを構成する文字数は、1文字以上であれば、何文字であってもよい。以下の説明では、IDが4文字で構成される場合について説明している。
【0051】
また、本実施形態における案内システムにおいて、4文字以外のIDを利用することも可能である。例えば、“123#”という4文字のIDは、“12”という2文字のIDや、“12345678”という8文字のIDを利用することも可能である。
【0052】
環状IDマークが指示すべき方向が、高々2つである場合には、2文字のIDを含む環状IDマークを用いる。一方、8つ方向へ分岐する地点などでは、環状IDマークを指示すべき方向が8つである。この場合、2文字のIDを含む環状IDマークを用いる。即ち、文字数はそのIDを固有化する特徴である。
【0053】
本実施形態における案内システムでは、文字数、文字を並べる順序、含まれる文字(文字種類)の3つの要素を一意に定めることによって、一つ地点を識別するためのIDが決定される。
【0054】
なお、“0”,“1”,“2”,“3”,“4”,“5”,“6”,“7”,“8”,“9”,“*”(アスタリスク),“#”(シャープ)の12文字を用いる場合、N文字のIDで識別可能な地点の数は、(12!/(12−N)!)/Nで与えられる。即ち、12文字から異なるN文字を取りだして構成される順列の種類が12!/(12−N)!となる。さらに、円周状に配置するため、N文字の順列の各文字を巡回シフトして得られるN種類の順列は同一の地点を示す。結果として、(12!/(12−N)!)/N個の異なる地点を識別するためのIDが既定できる。
【0055】
例えば、1文字のIDでは12地点、2文字では66地点、3文字では440地点、4文字では2970地点、5文字では19008地点、6文字では110880地点、7文字では570240地点、8文字では2494800地点を識別できる。
【0056】
展示ホール,博物館,美術館など各施設内に本実施形態における案内サーバ装置を設置し、案内サービスを実施する場合、施設の規模にも依存するが、設置される環状IDマークの数(すなわち、識別すべき地点数)は、多くても1000個程度であると予測される。したがって、4文字のIDでも十分に実用的である。また、3文字以下のIDを用いる場合でも、12+66+440=518地点にIDを付与でき、多くの施設をサポートできる。
【0057】
一方、本実施形態における案内システムの案内サーバ装置を一つ用いて、全国各地の複数の施設またはエリアにおける案内サービスを実現するためには、識別可能な地点数が少ない。それゆえ、本実施形態における案内サーバ装置は、ユーザの能動的な現在地エリア指示操作、もしくは、携帯端末のGPS,通信時の基地局IDを利用して、当該携帯端末が存在するエリア施設に応じた位置方向ID管理テーブル及びコンテンツ情報管理テーブルを選択する手段を備えることもできる。
【0058】
上述した環状IDマークは、床面に直接印刷する、あるいは、床面に貼り付け可能なシートに印刷され床面に添付される。さらに、環状IDマークを印刷した領域周囲に、広告情報を添付し、いわゆる床面広告と環状IDマークを組み合わせることも可能である。
【0059】
また、床面に彫刻するかたちで環状IDマークを添付しても良い。天井よりプロジェクターその他の光学デバイスを用いて床面に提示する形でも良い。例えば、天井から床面を照らす照明器具の直下に、環状IDマークに相当する影を形成するための物体またはフィルムを添付することによって、床面に環状IDマークを提示してもよい。
【0060】
なお、本実施形態では、環状IDマークを床に提示する(配置する)ことを前提にしているが、壁面、天井、テーブル上などに提示する場合も考えられる。
【0061】
次に、本実施形態における案内システムの全体構成と動作概要を図4に基づいて説明する。なお、以下の説明で図1と同じ符号のものの説明は省略する。
【0062】
案内システムでは、それぞれが異なるIDを有した前記環状IDマークを、案内の対象となるスペースに複数配置する。基本的には、図5のように通路の分岐に、環状IDマーク1上の各文字が、分岐する各通路の方向を指示するように配置する。
【0063】
利用者は、まず、携帯電話を用いて案内サーバ装置との通話回線を確立する。以降、環状IDマークが配置されている各ポイントで、環状IDマーク上の文字を、利用者の視点に基づいた所定の順序で携帯電話のテンキーを用いて入力する。例えば、利用者は、環状IDマーク上の複数の文字を、利用者から見て環状IDマークの上部に位置する文字から時計周りの順に入力する。さらに具体的には、図2に示す4つの文字を含む環状IDマーク1については、図6に示すように、利用者Uの視線方向に応じて、視線方向Aでは“123#”id1、視線方向Bでは“23#1”id2、視線方向Cでは“3#12”id3、視線方向Dでは“#123”id4のIDが入力される。なお、逆に反時計周りの順に入力するものとしても良い。
【0064】
一般の携帯電話の場合、通話回線確立後に利用者Uによるテンキーの押下によって、DTMF(Dial Tone Multi Frequency)信号を発信し、その押された文字(例えば、文字コード)が案内サーバ装置3に通知される。即ち、利用者Uがテンキーを押すことによって、DTMF信号が発信され、押された文字が、案内サーバ装置3に通知される。
【0065】
そして、案内サーバ装置3の音声信号識別手段3bは、受信されたDTMF信号から識別された文字を、音声案内サービスの状態に応じて、各手段(例えば、受信ID構成手段3i)に振り分けて通知する。
【0066】
以上のように、本実施形態における案内システムでは、構築コストを低下し、かつ、簡易な操作で音声案内サービスにアクセスできるようにするため、携帯電話のテンキーで入力可能であり、音声回線を介した発信音(DTMF信号)で伝達可能な文字“0”,“1”,“2”,“3”,“4”,“5”,“6”,“7”,“8”,“9”,“*”,“#”で構成されるIDを含むマークを屋内各所の床上に配置し、これを利用して案内サービスを行う構成としている。
【0067】
特に、前記マークとして、複数の異なる文字の列をIDとし、IDを構成する各文字を環状に配置し、各文字が方向を指示するようにデザインした環状IDマークを用いることが特徴である。
【0068】
また、利用者の視点から見て環状マーク上の上部にある文字より時計回りの順で各文字を入力する場合、入力されるIDは、利用者がどの方向から環状IDマークを見るかによって異なる点を特徴としている。
【0069】
本実施形態における案内システムは、この点を利用して、利用者の視線方向を検出する。本実施形態における案内システムは、検出された視線方向を利用して音声案内情報の再生順序を決定すること、および、環状IDマーク上の文字を案内情報選択のための指示記号として利用することによって、実空間に連携された案内情報へスムーズにアクセスできる。
【0070】
前記の動作を実現するために、本実施形態における案内システムを構成する案内サーバ装置は、位置方向検出手段と、各環状IDマーク上の既定数の文字を所定の順序で並べた文字列と位置方向を対応付ける位置方向ID管理テーブル3dを具備する。
【0071】
さらに、前記の動作は次のような手順である。利用者が、携帯電話の通話回線を介して、発信音によって前記環状IDマーク上の複数の文字を前記所定の順序で送信する。
【0072】
そして、案内サーバ装置の前記位置方向検出手段3cは、受信した文字列をIDとし、位置方向ID管理テーブル3dを参照し、利用者の携帯端末の位置と視線方向を検出する。
【0073】
なお、前記位置方向ID管理テーブルは、前記環状IDマーク上の既定数の文字を所定の順序で並べた文字列と位置を対応付け、さらに、該文字列に該文字列の先頭の文字が前記環状IDマーク上において示す方向を対応付ける。例えば、任意の方向から見て環状マーク上の上部にある文字より時計回りの順に並べた文字列と位置を対応付け、さらに、該文字列に該文字列の先頭の文字が前記環状IDマーク上において示す方向を対応付けておく。この結果、利用者が、利用者の視点から見て環状マーク上の上部にある文字より時計回りの順で各文字を入力すると、入力された文字列により利用がどの方向から環状IDマークを見ているか(視線方向)が決定できる。
【0074】
本発明における案内システムの案内サーバ装置3は、利用者へ周辺情報提供サービスを実現するために、さらに、音声案内情報提供手段3eと、音声案内情報コンテンツと位置を対応付ける音声案内情報コンテンツ管理データベース3fを具備する。
【0075】
まず、位置方向検出手段が、利用者の位置と視線方向を検出した後、音声案内情報提供手段3eが、音声案内情報コンテンツ管理データベース3fを参照し、前記検出された位置周辺の音声案内情報コンテンツを検出する。次に、利用者に実空間と音声案内情報コンテンツの位置関係を把握しやすくするために、各情報の位置する方向を前記環状IDマーク上の文字を用いて通知する。そして、前記音声案内情報提供手段3eは、前記音声案内情報コンテンツを、前記検出された視線方向に基づいた順序で再生する。
【0076】
もしくは、前記音声案内情報提供手段3eは、携帯電話2から通話回線100を介し、音声信号により送信される前記環状IDマーク上の文字に基づいて、前記音声案内情報の再生順序を変更する。したがって、所望の方向に関する音声案内情報コンテンツを視聴するために、利用者は、環状IDマーク上で所望の方向を指示する文字をテンキー上で選択すれば良い。
【0077】
本発明における案内システムの案内サーバ装置3は、屋内でのナビゲーションサービスを実現するために、さらに、経路方向決定手段3hも具備する。
【0078】
位置方向検出手段3cが、利用者の位置と視線方向を検出した後、経路方向決定手段3hが、検出された利用者の位置に基づいて、該位置から予め設定された目的地に辿り着くための経路方向を所定の方法で決定する。
【0079】
次に、利用者に経路方向を把握しやすくするために、音声案内情報提供手段3eが、前記環状マーク上の文字であって、前記経路方向に対応する方向を指示する文字を含む音声案内メッセージを再生する。
【0080】
次に、周辺情報提供サービスとナビゲーションサービスを同時実現するために、前記音声案内情報提供手段3eは、経路方向を指示する音声案内メッセージに加えて、前記検出された周囲の音声案内コンテンツを再生する。
【0081】
そして、前記音声案内情報提供手段3eは、前記周囲の音声案内コンテンツを、前記決定された経路方向に基づいて構成する。
【0082】
さらに、本発明における案内システムにおける案内サーバ装置3は、利用者が、複数の文字からなるIDをテンキーで入力する負荷を低減するために、受信ID構成手段iは受信ID予測手段を具備する。そして、受信ID予測手段は、通話回線を介し、音声信号として逐次受信される環状IDマーク上の文字から、引き続き入力される文字列を予測し、該文字列の入力を待たず、IDとなる文字列を決定し、位置方向検出手段3cに通知する。
【0083】
なお、本実施形態の案内システムにおける各手段の一部もしくは全部の機能をコンピュータのプログラムで構成し、そのプログラムをコンピュータを用いて実行して本発明を実現することができること、本実施形態の案内方法における手順をコンピュータのプログラムで構成し、そのプログラムをコンピュータに実行させることができることは言うまでもない。
【0084】
以下に、具体的な音声案内サービスの実施例を挙げて、本実施形態における案内システムの案内サーバ装置の有する各手段の動作を説明する。
【0085】
[第1実施例](周辺音声案内情報コンテンツ提供サービス)
本実施形態における案内システムの案内サーバ装置3は、電話回線、VoIP(Voice over IP)通信回線などの通話回線100に接続され、音声通話端末(例えば、電話)2へ音声情報を提供するコンピュータである。即ち、音声案内サーバ3は、電話2からの問い合わせに対して自動応答を行うコールセンタ用のCTI(Computer Telephony Integration)サーバと基本的な構成を同じになっている。音声案内サーバ3装置の各手段は、当該コンピュータ上で動作する各種プログラム言語によって実装されている。
【0086】
以下、本実施形態における案内サーバ装置を用いて、利用者の携帯電話に対し、利用者位置周辺の事物に関する音声案内情報コンテンツを提供するサービスの一例を説明する。なお、以下の説明では、4文字でIDを構成し、利用者には、環状IDマーク上の4つの文字を、利用者から見て環状IDマークの上部に位置する文字から時計周りの順に入力するものとする。
【0087】
第1実施例において、案内サーバ装置3は、音声通信手段3a,音声信号識別手段3b,受信ID構成手段3iを備えるID入力手段30、位置方向検出手段3c、位置方向ID管理テーブル3d、音声案内情報提供手段3e、音声案内情報コンテンツ管理データベース3fを有する。さらに、受信ID構成手段3iは、受信ID予測手段を有する。
【0088】
また、図示省略しているが、位置方向ID管理テーブル3dを具備する場合は、位置方向ID管理テーブル3dを管理する位置方向ID管理手段、音声案内情報コンテンツ管理データベース3fを具備する場合は、音声案内情報コンテンツ管理データベース3fを管理する音声案内情報コンテンツ管理手段を備えるものとする。なお、テーブルまたはデータベースに対応する各管理手段(例えば、位置方向ID管理手段)は、テーブルまたはデータベースに対するデータ読み出しや書き込み処理を管理する手段である。
【0089】
上述した通り、利用者Uは、まず、携帯電話2を用いて案内サーバ装置3との通話回線を確立する。以降、環状IDマークが配置されている各ポイントで、環状IDマーク1上の文字を、利用者Uの視点に基づいた所定の順序(利用者Uから見て環状IDマーク1の上部に位置する文字から時計周りの順)で携帯電話2のテンキーを用いて選択する。
【0090】
そして、利用者Uが携帯電話2のテンキーを押すことによって、DTMF(Dial Tone Multi Frequency)信号が案内サーバ装置3に送信される。
【0091】
案内サーバ装置3の音声信号識別手段3bは、DTMF信号を受信すると、該当する文字コードに変換し、受信ID構成手段3iに該文字コードを送る。
【0092】
受信ID構成手段3i中の受信ID予測手段は、受けた文字コードに基づいて位置方向ID管理テーブル3dを参照しつつ、既に入力された文字列から、IDが一意に決まった時点で即座に、該IDを位置方向検出手段3cに通知する。この動作によって、利用者Uは、環状IDマーク1上の文字を全て入力する必要がなくなるため手間を省ける。さらに、長いIDを入力する際の入力ミスの発生も低減できる。
【0093】
以下に、上述の受信ID予測手段の動作を具体的に説明する。位置方向ID管理テーブル3dには、文字“1”から始まるIDが、“123#”、“1245”、“1256”、“1267”、“1268”、“1345”、“1456”、“1478”、“1489”、“1490”の10個存在したとする。携帯電話2より、文字“1”が受信された時点で、入力されるIDの候補は、これら10個に限定される。次に文字“3”が受信されたとすると、入力されるIDの候補は“1345”の一つに絞られる。したがって、この時点で、受信ID予測手段は、ID“1345”を、位置方向検出手段3cに通知する。一方、2番目に“2”が受信されれば、受信ID予測手段は、入力IDの候補を“123#”、“1245”、“1256”、“1267”、“1268”の5個に絞り、次に“3”が入力された時点で、ID“123#”を位置方向検出手段3cに通知する。
【0094】
また、受信ID予測手段は、後述する利用者によるコンテンツ再生対象の指示操作と、ID入力操作を混同することをさけるために、文字が入力される時間間隔が規定値より短い場合にのみ、ID入力操作と見なすよう動作しても良い。すなわち、文字が入力される時間間隔が規定値より長い場合には、特に処理は行わない。
【0095】
位置方向ID管理テーブルを図7に基づいて説明する。図7の位置方向ID管理テーブル3dは、位置方向ID管理テーブルの一例である。位置方向ID管理テーブル3dは、連番フィールドF11、IDフィールドF12、位置情報フィールドF13、方向情報フィールドF14、経路終点位置情報フィールドF15を含む位置方向ID管理データを有する。
【0096】
IDフィールドF12は、携帯端末2よって受信される可能性のある全てのIDの値を保持する。
【0097】
位置情報フィールドF13は、各IDに対応する位置を示す情報を保持する。すなわち、該IDを有する環状IDマーク1の位置を保持する。位置情報フィールドF13に格納される位置情報は、3軸から構成される整数座標値を想定している。例えば、位置情報は、(緯度,経度,高度)や(緯度,経度,フロア番号)などの要素で表現してよい。また、特定のスペースで実施する場合、そのスペースの基準座標を原点とし、所定の距離(1m(メートル),10mなど)を単位として、(x座標,y座標,z座標)といった形で表現しても良い。なお、図7中の位置情報フィールドF13は、(x座標,y座標,フロア番号)で、位置情報を示している。
【0098】
方向情報フィールドF14は、視線方向を示すためのフィールドである。位置情報フィールドF13と同じ座標系において、視線方向を示すベクトル情報を保持している。
【0099】
経路終点位置情報フィールドF15は、位置情報フィールドF13で示される環状IDマークの位置から、経路終点位置情報フィールドF15で示される位置までの経路が存在することを示す。逆に、経路が存在しない場合、経路終点位置情報フィールドは、対応する位置情報と同じ値を取るか、空欄(例えば、「Non」で示される欄)となる。
【0100】
利用者Uが案内対象となるスペース内で、環状IDマーク1を用いた案内情報提供サービスを継続的に利用可能とするために、経路終点位置情報フィールドF15に示す位置には、他の環状IDマーク1が必ず配置されるように案内システムを構成する。
【0101】
位置方向検出手段3cは、IDを受信すると位置方向ID管理テーブル3dを参照して、利用者の位置と視線方向を検出し、音声案内情報提供手段3eへ送る。例えば、位置方向検出手段3cは、IDとして“123#”を受信すると、図7の位置方向ID管理テーブル3dを参照し、“123#”が、(5,5,1)の位置情報を示し、かつ、ベクトル(0,−1,0)の方向情報が視線方向であることを確認する。そして、IDと、対応する位置情報、視線方向情報を音声案内情報提供手段3eへ送信する。
【0102】
音声案内情報コンテンツ管理データベース3fは、位置情報にリンクされた音声案内情報コンテンツを管理するデータベースである。音声案内情報コンテンツ管理データベースの構成例を図8に基づいて説明する。図8に示す音声案内情報コンテンツ管理データベース3fは、連番フィールドF21、位置情報フィールドF22、音声ファイル(即ち、音声案内情報データ)フィールドF23を含む音声案内情報コンテンツ管理データを有する。
【0103】
位置情報フィールドF22は、前述の位置方向ID管理テーブル3dと同様のフォーマットで各音声案内情報コンテンツが関連付けられた位置を保持する。
【0104】
音声ファイルフィールドF23は、該音声案内情報コンテンツの音声データ実体、もしくは、音声ファイルを示す参照子(例えば、ファイル名やURL(Uniform Resource Locator))を保持する。ファイル名が保持される場合、案内サーバ装置3は、各ファイル名で特定される音声データ実体を保持しておくファイルシステムも具備する。もしくは、音声データ実体は、前記案内サーバ装置3以外のサーバ装置やストレージデバイスに保存され、必要時にアクセスされる構成としても良い。
【0105】
ここで、図7の位置方向ID管理テーブル3dと図8の音声案内情報コンテンツ管理データベース3fを使って経路に関する音声案内情報コンテンツの音声データを導出する方法を簡単に説明する。
【0106】
例えば、図7の連番フィールドF11が連番1で、位置情報=(5,5,1)、方向情報=(0,−1,0)、終点位置情報=(5,1,1)の場合、y座標が1づつ減少する方向の終点を示す。即ち、途中座標として、(5,4,1)、(5,3,1)、(5,2,1)が存在する。そして、図8中の音声案内情報コンテンツ管理データベース3fで経路情報にマッチするものは、例えば、図8中の連番フィールドF21の連番2の(5,4,1)がマッチするものになる。
【0107】
音声案内情報提供手段3eは、位置方向検出手段3cから利用者Uの位置情報と視線方向を受信すると、位置方向ID管理テーブル3dと音声案内情報コンテンツ管理データベース3fを参照し、利用者Uの位置周辺に対応付けられた音声案内情報コンテンツを選択する。
【0108】
以下に音声案内情報コンテンツを選択する手順の一例を示す。
【0109】
まず、音声案内情報提供手段3eは、位置方向検出手段3cから“123#”のIDと、利用者Uの位置情報が(5,5,1)であることを受信すると、位置方向ID管理テーブル3dを参照し、“123#”のIDが示す位置(5,5,1)を始点として存在する経路を抽出する。すなわち、位置(5,5,1)を示す4つID、“123#”、“23#1”、“3#12”、“#123”について、それぞれの経路終点位置情報フィールドF15を確認し、(5,5,1)を始点とする4つの経路[(5,5,1),(5,1,1)]、[(5,5,1),(6,5,1)]、[(5,5,1),(5,6,1)]、[(5,5,1),(2,5,1)]を抽出する。
【0110】
次に、音声案内情報コンテンツ管理データベース3fを参照し、前記抽出された各経路との距離が、規定値以下である範囲に存在する音声案内情報コンテンツを抽出する。例えば、前記規定値を0(ゼロ)とし、図8の音声案内コンテンツ情報管理データベース3fを参照すると、連番フィールドF21の連番1〜5までのコンテンツ情報が抽出される。
【0111】
次に、音声案内情報提供手段3eは、受信された視線方向を考慮して、例えば、連番フィールドF21の連番1〜5に対応する音声案内情報コンテンツをソートする。一例としては、進行方向にある音声案内情報コンテンツから順に、右,左,後の向きにある音声案内情報コンテンツを並べる。この場合、音声案内情報コンテンツは、連番2,連番1,連番4,連番5,連番3の順にソートされる。
【0112】
そして、音声案内情報提供手段3eは、音声案内情報コンテンツを前記ソートされた順番に再生する。各方向の音声案内情報コンテンツを再生する前、環状IDマーク1上でその存在する方向を指示している文字を含む音声メッセージを付与し、方向を指示する。
【0113】
例えば、以下の順に音声を再生する(例えば、前記携帯端末を介して再生する)。
(再生開始)。
「“1”の方向の情報です。(音声:イチノホウコウノジョウホウデス)」を再生。
連番2の音声案内情報コンテンツ(ファイル名:voice_guide_file002.wav)の再生。
「“2”の方向の情報です。(音声:ニノホウコウノジョウホウデス)」を再生。
連番1の音声案内情報コンテンツ(ファイル名:voice_guide_file001.wav)の再生。
「“#”の方向の情報です。(音声:シャープノホウコウノジョウホウデス)」を再生。
連番4、5の音声案内情報コンテンツ(ファイル名:voice_guide_file004.wav,voice_guide_file005.wav)の再生。
「“3”の方向の情報です。(音声:サンノホウコウノジョウホウデス)」を再生。
連番3の音声案内情報コンテンツ(ファイル名:voice_guide_file003.wav)の再生。
(終了)。
【0114】
また、音声案内情報提供手段3eは、進行方向(“1”の方向)についてのみ音声案内情報コンテンツを再生し、再生を完了しても良い。すなわち、以下のように再生を制御しても良い。
(再生開始)。
「“1”の方向の情報です。(音声:イチノホウコウノジョウホウデス)」を再生。
連番2の音声案内情報コンテンツ(ファイル名:voice_guide_fie002.wav)の再生。
(終了)。
【0115】
また、利用者Uは、再生中に、携帯電話のボタンで所望の方向を選択し、その方向に関する音声案内情報コンテンツの再生を指示することができる。例えば、音声案内情報提供手段3eは、音声案内情報コンテンツを再生時に、前記受信されたID:“123#”を構成する文字に対応する発信音が1つだけ、携帯電話より受信されたことが通知された場合に、前記音声案内情報コンテンツの再生を途中で中止し、受信された文字に対応する音声案内情報コンテンツを再生する。
【0116】
前記の例では、以下のように再生が制御される。なお、発信音が短い時間間隔で連続的に受信される場合は、利用者が新たにIDを入力しているものと見なして以下の制御は行わないものとする。
(再生開始)。
「“1”の方向の情報です。(音声:イチノホウコウノジョウホウデス)」を再生。
連番2の音声案内情報コンテンツ(ファイル名:voice_guide_fie002.wav)の再生。
(3の発信音が携帯電話より受信されたことが通知)。
連番2の音声案内情報コンテンツの再生中止。
「“3”の方向の情報です。(音声:サンノホウコウノジョウホウデス)」を再生。
連番3の音声案内情報コンテンツ(ファイル名:voice_guide_fie003.wav)の再生。
(終了)。
【0117】
[第2実施例](ナビゲーションサービス)
以下では、本実施形態における案内サーバ装置によって、携帯電話に対する音声ナビゲーション(道案内)サービスを実現する動作の一例を説明する。
【0118】
なお、以下の説明では、上記第1実施例と同様、4文字でIDを構成し、利用者Uには、環状IDマーク1上の4つの文字を、利用者Uから見て環状IDマーク1の上部に位置する文字から時計周りの順に入力させるものとしている。
【0119】
第2実施例において、案内サーバ装置3は、音声通信手段3a,音声信号識別手段3b,受信ID構成手段3iを備えるID入力手段30、位置方向検出手段3c、位置方向ID管理テーブル3d、案内情報通知手段3eに加えて、目的地指定手段3g、経路方向決定手段3hを有する。さらに、受信ID構成手段3iは、受信ID予測手段を有する。
【0120】
目的地指定手段3gは、選択された選択肢に応じた目的地名を導出し、該目的地名とその目的地の位置情報(以後、目的地位置情報と称する)を対応付ける目的地管理テーブル(例えば、図9の目的地管理テーブル3l)を保持し、該目的地名と目的地位置情報をID入力手段3b及び経路方向決定手段3hに通知する。
なお、目的地管理テーブル3lは、連番フィールドF41,目的地位置情報フィールドF42,目的地名フィールドF43を含む目的地管理データを有する。また、目的地位置情報フィールドF42(即ち、目的地の位置情報)のフォーマットは、前述のIDや、コンテンツ情報の位置情報を含んでも良い。なお、図示省略されているが、案内サーバ装置3は、目的地管理データを管理する目的地管理手段を備える。
【0121】
第2実施例における動作例では、まず、利用者Uが、携帯電話2により、案内サーバ装置3との通話回線を確立した時点で、案内サーバ装置3の目的地指定手段3gが起動し、目的地を指定させるための音声メッセージを再生する。
【0122】
例えば、目的地指定手段3gは、以下のような音声メッセージを再生する。
(再生開始)。
「目的地を選択してください。(音声:モクテキチヲセンタクシテクダサイ)」を再生。
「“1” 展示ブースA(音声:イチ テンジブースエー)」を再生。
「“2” 展示ブースB(音声:ニ テンジブースビー)」を再生。
「“3” 展示ブースC(音声:サン テンジブースシー)」を再生。
「“4” 展示ブースD(音声:ヨン テンジブースディー)」を再生。
「“5” 展示ブースE(音声:ゴ テンジブースイー)」を再生。
「“6” 展示ブースF(音声:ロク テンジブースエフ)」を再生。
「“7” 展示ブースG(音声:ナナ テンジブースジー)」を再生。
(終了)。
【0123】
利用者Uは、音声メッセージに従い、所望の目的地に対応する文字のボタンを押す。この際にDTMF信号によって、選択された文字(即ち、選択肢)が目的地指定手段3gへ送信される。目的地指定手段3gは、前記選択された文字に応じた目的地を記憶手段3jで管理し、目的地管理テーブル3lを参照し、該目的地に応じた目的地位置情報を取得し、該目的地位置情報を経路方向決定手段3hへ通知する。
【0124】
なお、目的地の指定を、必ずしも、目的地指定手段3gによって提示される目的地指定画面に対して指定する必要はなく、利用者U以外の利用者が他動的に設定する手段や他のアプリケーションが設定する手段を有していても良い。
【0125】
以降、環状IDマーク1が配置されている各ポイントで、環状IDマーク1上の文字を、利用者Uの視点に基づいた所定の順序(例えば、利用者Uから見て環状IDマーク1の上部に位置する文字から時計周りの順)で携帯電話2のテンキーを用いて選択する。利用者Uがテンキーを押すことによって、DTMF信号が案内サーバ装置3に送信される。
【0126】
位置方向検出手段3cは、上述の実施例と同様の手順で、IDを受信すると位置方向ID管理テーブル3dを参照して、利用者Uの位置情報と視線方向を検出する。そして、ID,位置情報,視線方向情報を経路方向決定手段3hへ送る。
【0127】
経路方向決定手段3hは、位置方向検出手段3cより受信された位置情報と、既に通知された目的地位置情報と、経路グラフとを用いて利用者が進むべき経路方向を決定する。
【0128】
この経路方向決定処理は、カーナビゲーションシステムなどで用いられている一般的な経路探索アルゴリズムを用いて行うことができる。決定された経路方向の情報は、音声案内情報提供手段3eに送信される。
【0129】
経路方向決定手段3hが経路方向を策定する手順は様々な手順が考えられる。ここで、経路方向決定手段3hが経路方向を策定する第1経路方向策定手順の一例を説明する。なお、予め、案内対象となるスペース内に配置された複数の環状IDマーク1をノードと見做し、任意の2つの環状IDマーク1の位置を直接結ぶ経路が存在する場合に、対応する2つのノード間に、前記2つの環状IDマーク1間の距離を重みとしたパスを設けた経路グラフを予め構築しておく。
【0130】
また、図7に示す位置方向ID管理テーブル3dの位置情報フィールドF13と経路終点位置情報フィールドF15に保持される情報を参照することによって、上記経路グラフは構築できる。経路方向決定手段3hは、グラフ処理の速度を向上するため、構築した経路グラフを該手段3h内部の2次元配列として管理しておく。
【0131】
まず、経路方向決定手段3hは、位置方向検出手段3cからIDを受け取ると、上記経路グラフ上において、該IDに対応するノードを現在地ノードとして設定する。
【0132】
次に、目的地の位置情報と、前記位置方向ID管理テーブル3dを参照し、目的地に最も近い位置に存在する環状IDマーク1のIDを特定する。
【0133】
次に、該IDの環状IDマーク1に対応するノードを目的地ノードとして設定する。
【0134】
次に、前記経路グラフにおいて、現在地ノードと目的地ノードを結ぶ最短経路を探索する。
【0135】
そして、現在地ノードに接続されるパスの中で、前記最短経路として選択されたパスを特定する。前記パスに対応する経路の始点の位置情報と、経路終点位置情報をキーに前記位置方向ID管理テーブル3dを参照すると、現在地ノードに対応する環状IDマークのIDの一つが選択される。さらに、該IDに対応する方向情報から、該経路が前記環状IDマーク1の位置(現在地)から見てどの方向にあるかを特定できる。この方向が、利用者が進むべき経路方向として決定される。
【0136】
上述した第1経路方向策定手順以外に経路方向を以下の第2経路方向策定手順で経路方向を策定することもできる。
【0137】
まず、目的地ごとに、現在位置情報と、経路方向を示すID、とを対応付けた目的地方向管理テーブルを案内サーバ装置3に設けておく。図10に目的地方向管理テーブル3kの一例を示す。目的地方向管理テーブル3kは、連番フィールドF31,現在位置情報を格納する現在位置情報フィールドF32,対応する目的地へ向かう経路方向を示すID(経路方向を示すID)フィールドF33,次の位置情報を管理している次の位置情報フィールドF34を含む目的地方向管理データを有する。なお、図示省略しているが、案内サーバ装置は、前記目的地方向管理データを管理する目的地方向管理手段も有する。
【0138】
次に、位置方向検出手段3cからIDを受け取ると図7に示す位置方向ID管理テーブル3dを参照して、該IDに対応する位置情報を確認する。
【0139】
次に、該位置情報を現在位置情報として、事前に設定されている目的地に対応する目的地方向管理テーブル3kを参照し、前記現在位置情報に対応する経路方向を示すIDを選択する。
【0140】
次に、再び、図7に示す位置方向ID管理テーブル3dを該IDに対応する方向情報を取得し、該方向情報の示す方向を利用者Uが進むべき経路方向として決定する。
【0141】
そして、経路方向決定手段3hは、少なくとも、前記選択されたIDを案内情報提供手段3eに送信する。
【0142】
最終的に、目的地方向管理テーブル3kに示す次の位置情報が、指定された目的地の位置情報に一致するまで、位置方向検出手段3cからIDを受け取る度に、上述の手順を繰り返すことによって目的地までの経路案内を達成する。
【0143】
なお、経路方向決定手段3hが第1及び第2経路方向策定手順をそれぞれ実装した第1及び第2経路方向策定手段を備えていても良い。
【0144】
音声案内情報提供手段3eは、経路方向決定手段3hにおいて決定された経路方向情報として前記IDを受信すると、前記IDの先頭の文字を含む音声道案内メッセージを再生する。例えば、前記IDが“123#”であれば、「“1”の方向に進んでください(音声:イチノホウコウニススンデクダサイ)」といったメッセージを再生する。なお、前記IDの先頭の文字は、前記現在地ノードに対応する環状IDマーク上にあり該経路方向に指示する文字に対応する。
【0145】
なお、第2実施例において、案内サーバ装置3は、さらに、音声案内情報コンテンツ管理データベース3fによる、道案内のための音声メッセージの提供に加えて、利用者現在地周辺に対応付けられた音声案内情報コンテンツの提供を実施できる。その音声案内情報コンテンツの提供を実施する場合、音声案内情報提供手段3eは、音声道案内メッセージの再生後、第1実施例と同様の手順で、再生すべき音声案内情報コンテンツを選択し、再生する。
【0146】
特に、道案内と、現在地周辺の情報提供とを同時に行う場合、音声案内情報通知手段3eは、選択された音声案内情報コンテンツの再生順序を、利用者Uの進行方向(視線方向)ではなく、前記決定された経路方向から順に再生できる。
【0147】
なお、案内サーバ装置は、複数の地域における案内サービスを実施するために、地域選択手段を有してもよい。地域選択手段は、例えば、利用者の地域選択操作,通信先携帯端末の利用する無線通信基地局ID,携帯端末のGPS情報などに基づいて地域を特定し、該地域に対応する位置方向ID管理テーブル3d、音声案内情報コンテンツ管理データベース3fを選択する。この地域選択手段を具備することによって、限られた文字数のIDを用いながら、広範囲に配置した多数の環状IDマークを管理し、案内サービスを提供できる。
【0148】
また、環状IDマークが広告とともに掲示される場合、案内サーバ装置3は、環状IDマーク毎に、共に掲示された広告に関する音声情報コンテンツを管理するテーブルを具備し、音声案内情報提供手段3eは、上記周辺コンテンツ情報に加えて、該広告に関する音声情報コンテンツを携帯電話2に提供できる。
【0149】
本実施形態における案内システムは、主にGPSの利用できない屋内で、携帯電話を中心とする既存通話端末に音声案内サービスを提供するために利用することを想定している。例えば、イベント会場,博物館,美術館などへ本案内システムを導入し、利用者周辺の展示品に関する音声情報提供サービスや、施設内での音声ナビゲーションサービスなどを提供できる。
【0150】
同様に、地下街、ショッピングモールなどに導入し、利用者周囲の店舗情報の提供や、所望の店舗までのナビゲーションサービスなどを提供できる。利用者は、本案内システムから提供される音声案内情報によるガイドを聞きつつ、展示品などを見るといったことが可能になる。
【0151】
近年、公共スペースにおける新しい広告媒体として、床面広告やフロアグラフィクスが注目されている。本実施形態における案内システムは、床面広告と連携し、携帯電話により床面広告から情報を得る手段としても活用できる。
【0152】
さらに、本実施形態における案内システムでは、各環状IDマークの位置における利用者の視線方向、すなわち、移動方向が検出できるため、多数の利用者のアクセスログを分析することによって、案内対象エリアにおける人の動線を推定する用途にも活用できる可能性を有する。
【0153】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものでなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
【0154】
例えば、本実施形態及び本実施例における各テーブルを、データベース装置を用いて実現しても良い。
【0155】
携帯電話のキー(即ち、文字キー)押下時に携帯電話のスピーカーから発せられる音(以下、キー押下音という;例えば、プッシュ音)と音声案内コンテンツで提示する前記文字キーに対応する文字の音を一致させ、音声で判り易いようにもできる(例えば、押下すべきキーを判別し易くできる)。
【0156】
例えば、携帯端末と案内サーバ装置の双方において、“1”を「パー」、“2”を「ピー」、“3”を「プー」、“4”を「ペー」という音に設定する。なお、文字の読み上げ音声(例えば、“イチ”,“ニ”,“サン”,“ヨン”など)の前または後に、キー押下音を挿入しても良い。
【0157】
以下は、キー押下音を使用した音声メッセージと携帯電話動作の一例である。
案内サーバ装置から携帯端末で以下を提示しスピーカーから読み上げる。
(再生開始)。
「目的地を選択してください。(音声:モクテキチヲセンタクシテクダサイ)」を再生。
「“1” 展示ブースA(音声:パー テンジブースエー)」を再生。
「“2” 展示ブースB(音声:ピー テンジブースビー)」を再生。
「“3” 展示ブースC(音声:プー テンジブースシー)」を再生。
「“4” 展示ブースD(音声:ペー テンジブースディー)」を再生。
(終了)。
携帯端末で“1”の文字キーが押されると「パー」という音がスピーカーから流れる。
【0158】
また、キー押下に合わせて、バイブレータ(例えば、携帯電話に備えられたバイブレータ)の振動を変化させて振動させても良い。
【0159】
例えば、“1”の場合は“ブル(振動1回)”、“2”の場合は“ブルブル(振動2回)”などである。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本実施形態における案内システムの基本構成図。
【図2】環状IDマークの構成例1を示す図。
【図3】環状IDマークの構成例2を示す図。
【図4】本実施形態における案内システムの全体構成図。
【図5】環状IDマークの配置例を示す図。
【図6】環状IDマークに対する視線方向と入力IDの関係を示す図。
【図7】位置方向ID管理テーブルの例を示す図。
【図8】音声案内情報コンテンツ管理データベースの例を示す図。
【図9】目的地管理テーブルの例を示す図。
【図10】目的地方向管理テーブルの例を示す図。
【符号の説明】
【0161】
1,11…環状IDマーク
1a,1b,1c,1d…文字
2…携帯端末
3…案内サーバ装置
3a…音声通信手段
3b…音声信号識別手段
3c…位置方向検出手段
3d…位置方向ID管理テーブル
3e…音声案内情報提供手段
3f…音声案内情報コンテンツ管理データベース
3g…目的地指定手段
3h…経路方向決定手段
3i…受信ID構成手段
3j…記憶手段
3k…目的地方向管理テーブル
3l…目的地管理テーブル
30…ID入力手段
100…通話回線
200…屋内フロア
A,B,C,D…視線方向
F11…連番フィールド
F12…IDフィールド
F13…位置情報フィールド
F14…方向情報フィールド
F15…経路終点位置情報フィールド
F21…連番フィールド
F22…位置情報フィールド
F23…音声ファイルフィールド
F31…連番フィールド
F32…現在位置情報を格納する現在位置情報フィールド
F33…対応する目的地へ向かう経路方向を示すIDフィールド
F34…次の位置情報を管理している次位置情報フィールド
F41…連番フィールド
F42…目的地位置情報フィールド
F43…目的地名フィールド
U…利用者
id1,id2,id3,id4…入力ID

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IDを構成する各文字を方向を指示するように環状に配置した環状IDマークが任意空間に設けられ、
通話手段を有し、利用者によって前記環状IDマーク上の文字を所定の順序で入力される端末装置に、通信回線で接続され、
該端末装置から該文字を送信されて、案内情報を提供する案内サーバ装置であって、
前記環状IDマークで表現されるID,環状IDマークの位置情報,視線方向を示すベクトル情報を含む位置方向ID管理データを管理する位置方向ID管理手段と、
前記端末装置から文字に応じた信号を受信し、該文字に応じた信号に基づいてIDを構成するID入力手段と、
前記構成されたIDに基づいて、端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向を、前記位置方向ID管理手段から取得し検出する位置方向検出手段と、
前記端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向に基づく案内情報を前記端末装置に送信する案内情報提供手段と、
を備える、
ことを特徴とする案内サーバ装置。
【請求項2】
IDを構成する各文字を方向を指示するように環状に配置した環状IDマークが任意空間に設けられ、
通話手段を有し、利用者によって前記環状IDマーク上の文字を所定の順序で入力される端末装置に、通信回線で接続され、
該端末装置から該文字と該利用者に選択された目的地名に応じた選択肢を送信されて、
案内情報を提供する案内サーバ装置であって、
前記環状IDマークで表現されるID,環状IDマークの位置情報,視線方向を示すベクトル情報を含む位置方向ID管理データを管理する位置方向ID管理手段と、
前記端末装置から文字に応じた信号を受信し、該文字に応じた信号に基づいてIDを構成するID入力手段と、
前記構成されたIDに基づいて、端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向を、前記位置方向ID管理手段から取得し検出する位置方向検出手段と、
環状IDマーク位置周辺のコンテンツ情報と前記位置情報を対応付けるコンテンツ情報管理データを管理するコンテンツ情報管理手段と、
目的地名とその位置情報を対応付ける目的地管理データを管理する目的地管理手段と、
前記目的地管理手段から選択された選択肢に応じた目的地名と目的地位置情報を取得し、その目的地名と目的地位置情報を経路方向決定手段に通知する目的地指定手段と、
前記位置方向検出手段から受け取った位置情報と前記目的地指定手段から受け取った目的地位置情報に基づいて、目的地に辿り着くための経路方向を決定する経路方向決定手段と、
前記決定された経路方向に基づいて、前記環状マーク上の文字であって、前記経路方向に対応する方向を指示する文字を含む経路方向情報を作成し、該経路方向情報の一部,全部のいずれかを含む案内情報を作成する手段と、
前記端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向に基づく案内情報を前記端末装置に送信する案内情報提供手段と、
を備えることを特徴とする案内サーバ装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の案内サーバ装置であって、
前記案内情報提供手段が、
前記位置情報と対応した音声案内情報コンテンツ管理データを管理する音声案内情報コンテンツ管理手段と、
前記位置方向検出手段から位置情報と視線方向を受けると、前記位置方向ID管理手段と音声案内情報コンテンツ管理手段を使って音声案内情報コンテンツ管理データを参照し、前記位置情報周辺に対応付けられた音声案内情報データを選択し、該音声案内情報データを案内情報と見做し、前記端末装置を介して再生する音声案内情報提供手段と、
を備える、
ことを特徴とする案内サーバ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の案内サーバ装置であって、
前記ID入力手段が、
通信回線を介して前記端末装置との音声通信を行う音声通信手段と、
受信された音声信号から特定の文字を識別し、その文字を受信ID構成手段に通知する音声信号識別手段と、
通知された文字に基づいてIDを構成する受信ID構成手段と、
を備える、
ことを特徴とする案内サーバ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の案内サーバ装置であって、
前記受信ID構成手段が、
前記受けた文字に基づいて位置方向ID管理手段を参照しつつ、既に入力された文字列から候補を絞り込み、IDが一意に決まった時点で即座に、該IDを前記位置方向検出手段に通知する受信ID予測手段、
を備える、
ことを特徴とする案内サーバ装置。
【請求項6】
IDを構成する各文字を方向を指示するように環状に配置した環状IDマークが任意空間に設けられ、
通話手段を有し、利用者によって前記環状IDマーク上の文字を所定の順序で入力される端末装置から通信回線を介して前記文字を送信され、
前記環状IDマークで表現されるID,環状IDマークの位置情報,視線方向を示すベクトル情報を含む位置方向ID管理データを管理する位置方向ID管理手段を備え、
案内情報を提供する案内サーバ装置で実行する案内方法であって、
前記端末装置から文字に応じた信号を受信し、該文字に応じた信号に基づいてIDを構成するID入力ステップと、
前記構成されたIDに基づいて、端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向を、前記位置方向ID管理手段から取得し検出する位置方向検出ステップと、
前記端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向に基づく案内情報を前記端末装置に送信する案内情報提供ステップと、
を有することを特徴とする案内方法。
【請求項7】
IDを構成する各文字を方向を指示するように環状に配置した環状IDマークが任意空間に設けられ、
通話手段を有し、利用者によって前記環状IDマーク上の文字を所定の順序で入力される端末装置に通信回線で接続され、
該端末装置から該IDと該利用者に選択された目的地名に応じた選択肢を送信され、
前記環状IDマークで表現されるID,環状IDマークの位置情報,視線方向を示すベクトル情報を含む位置方向ID管理データを管理する位置方向ID管理手段と、
環状IDマーク位置周辺のコンテンツ情報と前記位置情報を対応付けるコンテンツ情報管理データを管理するコンテンツ情報管理手段と、
目的地名とその位置情報を対応付ける目的地管理データを管理する目的地管理手段と、
を備え、
案内情報を提供する案内サーバ装置で実行する案内方法であって、
前記端末装置から文字に応じた信号を受信し、該文字に応じた信号に基づいてIDを構成するID入力ステップと、
前記構成されたIDに基づいて、端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向を、前記位置方向ID管理手段から取得し検出する位置方向検出ステップと、
前記目的地管理手段から選択された選択肢に応じた目的地名と目的地位置情報を取得し、その目的地名と目的地位置情報を経路方向決定ステップに通知する目的地指定ステップと、
前記位置方向検出ステップから受け取った位置情報と前記目的地指定ステップから受け取った目的地位置情報に基づいて、目的地に辿り着くための経路方向を決定する経路方向決定ステップと、
前記決定された経路方向に基づいて、前記環状マーク上の文字であって、前記経路方向に対応する方向を指示する文字を含む経路方向情報を作成し、該経路方向情報の一部,全部のいずれかを含む案内情報を作成するステップと、
前記端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向に基づく案内情報を前記端末装置に送信する案内情報提供ステップと、
を有することを特徴とする案内方法。
【請求項8】
IDを構成する各文字を方向を指示するように環状に配置した環状IDマークが任意空間に設けられ、
通話手段を有し、利用者によって前記環状IDマーク上の文字を所定の順序で入力される端末装置から通信回線を介して前記文字を送信され、
前記環状IDマークで表現されるID,環状IDマークの位置情報,視線方向を示すベクトル情報を含む位置方向ID管理データを管理する位置方向ID管理手段と、
前記位置情報と対応した音声案内情報コンテンツ管理データを管理する音声案内情報コンテンツ管理手段と、
を備え、
案内情報を提供する案内サーバ装置で実行する案内方法であって、
前記端末装置から文字に応じた信号を受信し、該文字に応じた信号に基づいてIDを構成するID入力ステップと、
前記構成されたIDに基づいて、端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向を、前記位置方向ID管理手段から取得し検出する位置方向検出ステップと、
前記位置方向検出ステップから位置情報と視線方向を受けると、前記位置方向ID管理手段と音声案内情報コンテンツ管理手段を使って音声案内情報コンテンツ管理データを参照し、前記位置情報周辺に対応付けられた音声案内情報データを選択し、該音声案内情報データを前記端末装置を介して再生する音声案内情報提供ステップと、
を有することを特徴とする案内方法。
【請求項9】
IDを構成する各文字を方向を指示するように環状に配置した環状IDマークが任意空間に設けられ、
通話手段を有し、利用者によって前記環状IDマーク上の文字を所定の順序で入力される端末装置に通信回線で接続され、
該端末装置から該IDと該利用者に選択された目的地名に応じた選択肢を送信され、
前記環状IDマークで表現されるID,環状IDマークの位置情報,視線方向を示すベクトル情報を含む位置方向ID管理データを管理する位置方向ID管理手段と、
前記位置情報と対応した音声案内情報コンテンツ管理データを管理する音声案内情報コンテンツ管理手段と、
目的地名とその位置情報を対応付ける目的地管理データを管理する目的地管理手段と、
を備え、
案内情報を提供する案内サーバ装置で実行する案内方法であって、
前記端末装置から文字に応じた信号を受信し、該文字に応じた信号に基づいてIDを構成するID入力ステップと、
前記構成されたIDに基づいて、端末装置の位置と端末装置の利用者の視線方向を、前記位置方向ID管理手段から取得し検出する位置方向検出ステップと、
前記目的地管理手段から選択された選択肢に応じた目的地名と目的地位置情報を取得し、その目的地名と目的地位置情報を経路方向決定ステップに通知する目的地指定ステップと、
前記位置方向検出ステップから受け取った位置情報と前記目的地指定ステップから受け取った目的地位置情報に基づいて、目的地に辿り着くための経路方向を決定する経路方向決定ステップと、
前記決定された経路方向に基づいて、前記環状マーク上の文字であって、前記経路方向に対応する方向を指示する文字を含む経路方向情報を作成し、該経路方向情報の一部,全部のいずれかを含む案内情報を作成するステップと、
前記位置方向検出ステップから位置情報と視線方向を受けると、前記位置方向ID管理手段と音声案内情報コンテンツ管理手段を使って音声案内情報コンテンツ管理データを参照し、前記位置情報周辺に対応付けられた音声案内情報データを選択し、該音声案内情報データを案内情報と見做し、前記端末装置を介して再生する音声案内情報提供ステップと、
を有することを特徴とする案内方法。
【請求項10】
請求項6乃至9の何れかに記載の案内方法であって、
前記ID入力ステップが、
通信回線を介して前記端末装置との音声通信を行う音声通信ステップと、
受信された音声信号から特定の文字を識別し、その文字を受信ID構成ステップに通知する音声信号識別ステップと、
通知された文字に基づいてIDを構成する受信ID構成ステップと、
を有する、
ことを特徴とする案内方法。
【請求項11】
請求項10に記載の案内方法であって、
前記受信ID構成ステップが、
前記受けた文字に基づいて位置方向ID管理手段を参照しつつ、既に入力された文字列から候補を絞り込み、IDが一意に決まった時点で即座に、該IDを前記位置方向検出ステップに通知する受信ID予測ステップ、
を有する、
ことを特徴とする案内方法。
【請求項12】
請求項6乃至11の何れかに記載の案内方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述したことを特徴とする案内プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−96263(P2008−96263A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277867(P2006−277867)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】