説明

検査装置および検査方法

【課題】簡素化を図りつつ、対象物を短時間で高精度に検査することができる。
【解決手段】撮像手段11と対象物Tとの間に光軸Oに交差する方向に向けて光線Lを放射する光源12と、光源12から放射された光線Lを撮像手段11の光軸O方向に沿って対象物T側に向けて反射するハーフミラー13と、ハーフミラー13と対象物Tとの間に光軸Oと同軸に配置され、外周面14aにハーフミラー13により反射された光線Lが入射する円錐状または円錐台状の内ミラー部材14と、内ミラー部材14よりも大径の円錐台状の孔部15が光軸Oと同軸に貫設され、孔部15の内周面15aに内ミラー部材14の外周面14aにより反射された光線Lが入射する外ミラー部材16とを備え、外ミラー部材16は、内ミラー部材14の外周面14aから孔部15の内周面15aに入射した光線Lを、対象物Tの外周面T1に垂直に入射するように反射する検査装置10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に示すような、撮像手段により、該撮像手段の光軸と同軸に配置された状態で光線が照射される円錐状または円錐台状の対象物の外周面を撮像し、その撮像データに基づいて対象物を検査する検査装置が知られている。
【0003】
また、この種の検査装置として一般に、前記撮像手段に加え、対象物の外周面に、その径方向の外側から全域にわたって一様に光線を照射する光源を更に備える構成も知られている。この検査装置では、光源から放射される光線を、対象物の外周面により前記光軸方向に沿って撮像手段側に反射させて直接、撮像手段に入射させる。
そしてこの検査装置では、例えば、撮像手段から得られた撮像データ中で、予め設定されている基準の濃淡差より大きい濃淡差がある部分、およびその広さを検出すること等で、傷の有無を検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−94528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の両検査装置ではいずれも、撮像手段により撮像される対象物の外周面のうち、撮像手段の光軸方向に沿った撮像手段側に位置する部分と、その反対側に位置する部分と、の焦点を同時に合わせることが困難であり、対象物を高精度に検査し難かった。
ここでこの問題を解消するために、撮像手段と対象物とを相対的に移動させながら対象物の外周面を全域にわたって撮像することも考えられるが、この場合、撮像に時間がかかるという問題がある。またこの場合、撮像手段と対象物とを相対的に移動させる移動機構を設ける必要があるため、検査装置が複雑になってしまう。
【0006】
また、前記従来の両検査装置のうち、後者の検査装置では、光源から放射された光線のうち、前述の傷に反射した光線も撮像手段に入射し易く、撮像手段で得られた撮像データ中で、対象物の外周面のうち、前述の傷の部分と、その他の部分と、の間で濃淡の差が生じ難くなり、検査精度を確保することが困難になるおそれもある。
【0007】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡素化を図りつつ、対象物を短時間で高精度に検査することができる検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る検査装置は、撮像手段により、該撮像手段の光軸と同軸に配置された状態で光線が照射される円錐状または円錐台状の対象物の外周面を撮像し、その撮像データに基づいて前記対象物を検査する検査装置であって、前記撮像手段と前記対象物との間に、前記光軸に交差する方向に向けて光線を放射する光源と、前記撮像手段と前記対象物との間に配置され、前記光源から放射された光線を、前記撮像手段の光軸方向に沿って前記対象物側に向けて反射するハーフミラーと、該ハーフミラーと前記対象物との間に前記光軸と同軸に配置され、外周面に前記ハーフミラーにより反射された光線が入射する円錐状または円錐台状の内ミラー部材と、該内ミラー部材よりも大径の円錐台状の孔部が前記光軸と同軸に貫設され、該孔部の内周面に、前記内ミラー部材の外周面により反射された光線が入射する外ミラー部材と、を備え、該外ミラー部材は、前記内ミラー部材の外周面から前記孔部の内周面に入射した光線を、前記対象物の外周面に垂直に入射するように反射することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る検査方法は、光線が照射される円錐状または円錐台状の対象物における外周面の撮像データに基づいて、該対象物を検査する検査方法であって、前記検査装置を用いることを特徴とする。
【0010】
これらの発明では、光源から放射されハーフミラーにより反射された光線が、円錐状または円錐台状の内ミラー部材の外周面、および円錐台状の孔部の内周面を反射して、対象物の外周面に全域にわたって入射する。このとき光線が、対象物の外周面に垂直に入射することから、この光線は、対象物の外周面に対して垂直に反射され、対象物の外周面に入射するまでに通過した経路を戻るように、孔部の内周面および内ミラー部材の外周面を反射する。そして内ミラー部材の外周面により、前記光軸方向に沿って撮像手段側に向けて反射させられた後、ハーフミラーを透過して撮像手段に入射する。
【0011】
以上のように、対象物の外周面を垂直に反射した光線が、撮像手段に前記光軸方向に沿って入射するので、撮像手段に前記光軸方向に沿って入射する光線が、対象物の外周面から撮像手段に入射するまでに通過する経路の長さを、その光線が対象物の外周面において反射した位置によらず同等にすることができる。
これにより、対象物の外周面を、全域にわたって焦点を合わせた状態で一度に撮像することが可能になり、対象物を、短時間で高精度に検査することができる。
【0012】
またこのように、対象物の外周面を、全域にわたって焦点を合わせた状態で一度に撮像することができるので、例えば、撮像手段と対象物とを相対的に移動させる移動機構を設けるとともに、該移動機構により撮像手段と対象物とを相対的に移動させながら対象物の外周面を全域にわたって撮像するといった必要がなく、当該検査装置の簡素化を図ることができる。
【0013】
さらに、対象物の外周面に対して垂直に反射された光線が、外ミラー部材および内ミラー部材を反射した後、撮像手段に前記光軸方向に沿って入射するので、対象物の外周面に付いた傷に反射して該外周面に対して垂直に反射されなかった光線を、撮像手段に入射させ難くすることが可能になり、対象物の外周面に付いている傷の形態によらず、この傷を十分に検出することができる程度に、撮像手段により確実に撮像することができる。
【0014】
また、本発明に係る検査装置では、前記内ミラー部材は、前記孔部内に配置されるとともに、前記外ミラー部材に固定部材を介して固定され、該固定部材は、光線が透過可能に形成されるとともに、前記ハーフミラーと前記内ミラー部材との間に配置されていてもよい。
【0015】
この場合、内ミラー部材が、孔部内に配置されているので、当該検査装置の小型化を図ることができる。
さらに固定部材が、ハーフミラーと内ミラー部材との間に配置されているので、固定部材を設けることによって当該検査装置が大型になるのを抑えることもできる。
【0016】
また、本発明に係る検査装置では、前記固定部材における前記光軸方向の両面は、前記光軸に直交していてもよい。
【0017】
この場合、固定部材における前記光軸方向の両面が、前記光軸に直交しているので、前記光軸方向に沿って固定部材を透過する光線が前記両面を通過する際に、該光線が屈折するのを抑えることが可能になり、対象物を確実に高精度に検査することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡素化を図りつつ、対象物を短時間で高精度に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る検査装置の縦断面図である。
【図2】図1に示す検査装置の作用を説明する縦断面図である。
【図3】図1に示す検査装置の作用を説明する要部の縦断面図である。
【図4】図1に示す検査装置の作用を説明する要部の縦断面図である。
【図5】図1に示す検査装置の構成を説明する要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る検査装置を説明する。
図1に示すように、検査装置10は、撮像手段11により、該撮像手段11の光軸Oと同軸に配置された状態で光線Lが照射される円錐状または円錐台状の対象物Tの外周面T1を撮像し、その撮像データに基づいて対象物Tを検査する。
【0021】
ここで図示の例では、撮像手段11の光軸O方向は鉛直方向に一致しており、撮像手段11および対象物Tは、撮像手段11側が上側になり、かつ対象物T側が下側になるように配置されている。また対象物Tは円錐台状とされ、当該検査装置10に備えられた図示しない被保持手段により、上方から下方に向かうに従い漸次、拡径する向きに保持されている。
【0022】
検査装置10は、撮像手段11と対象物Tとの間に、前記光軸Oに交差する方向に向けて光線Lを放射する光源12と、撮像手段11と対象物Tとの間に配置され、光源12から放射された光線Lを、鉛直方向に沿って下方に向けて反射するハーフミラー13と、ハーフミラー13と対象物Tとの間に前記光軸Oと同軸に配置され、外周面14aにハーフミラー13により反射された光線Lが入射する円錐状または円錐台状の内ミラー部材14と、内ミラー部材14よりも大径の円錐台状の孔部15が前記光軸Oと同軸に貫設され、該孔部15の内周面15aに、内ミラー部材14の外周面14aにより反射された光線Lが入射する外ミラー部材16と、光源12およびハーフミラー13を上方から覆うカバー部材17と、を備えている。
【0023】
外ミラー部材16は、表裏面が前記光軸Oに直交する水平方向に沿う板状に形成されるとともに、前記光軸Oに対して水平方向にずらされて(図1に示す例では、紙面左側にずらされて)配置されている。また、外ミラー部材16において上方を向く表面には、前記光軸Oと同軸に配置された取付け孔18が形成されており、前記孔部15は、該取付け孔18を通して外ミラー部材16の表面に開口している。
【0024】
孔部15は、取付け孔18よりも大径であるとともに、上方から下方に向かうに従い漸次、拡径しており、外ミラー部材16において下方を向く裏面に開口している。孔部15の内周面15aの母線g1の長さは、対象物Tの外周面T1の母線g2の長さよりも長くなっている。
【0025】
内ミラー部材14は、上方から下方に向かうに従い漸次、拡径する円錐台状に形成されており、内ミラー部材14の外周面14aの母線g3の長さは、対象物Tの外周面T1の母線g2の長さよりも長くなっている。また、前記光軸Oに沿った縦断面視において、前記光軸Oに対する内ミラー部材14の外周面14aの母線g3の傾斜角度xは、例えば約45度程度となっており、内ミラー部材14の外周面14aにより反射された光線Lは、水平方向に沿って前記孔部15の内周面15aに向かう。
【0026】
また内ミラー部材14は、孔部15内に配置されるとともに、外ミラー部材16に固定部材19を介して固定されている。
固定部材19は、光線Lが透過可能に形成されるとともに、ハーフミラー13と内ミラー部材14との間に配置されており、固定部材19において鉛直方向の両側を向く表裏面(両面)が、前記光軸Oに直交している。本実施形態では、固定部材19は、前記取付け孔18内に嵌合された板状ガラスにより構成されるとともに前記光軸Oと同軸に配置されており、固定部材19において下方を向く裏面に、内ミラー部材14の上端縁が固定されている。なお図示の例では、内ミラー部材14の下端縁は、孔部15の下端開口面上に位置している。
【0027】
カバー部材17は、下面部が全域にわたって下方に向けて開口する中空直方体状に形成され、前記光軸Oに対して、前記外ミラー部材16が該光軸Oに対してずらされた方向である一方側にずらされて配置されるとともに下方から外ミラー部材16により閉塞されており、カバー部材17と外ミラー部材16との間には、前記光源12および前記ハーフミラー13が配置された配置空間Sが形成されている。
【0028】
また、カバー部材17の上面部には、前記光軸Oと同軸に配置された通過孔20が貫設されており、該通過孔20内には、例えば板状ガラス等により構成され光線Lが透過可能な透過部材21が嵌合されている。透過部材21において鉛直方向の両側を向く表裏面は、前記光軸Oに直交している。
なお透過部材21の表裏面、および前記固定部材19の表裏面には、無反射コーティングが施されていてもよい。
【0029】
ハーフミラー13は、前記光軸O上に配置されるとともに、前記一方側から、前記光軸Oを挟んで水平方向に沿った他方側に向かうに従い漸次、上方から下方に向かうように、前記光軸Oに対して傾斜しており、図示の例では、前記光軸Oに対するハーフミラー13の傾斜角度aは、例えば約45度程度となっている。
【0030】
光源12は、前記配置空間Sのうち、前記一方側の端部内に配置されており、当該光源12において前記他方側を向き水平方向に直交する放射面12aから光線Lを放射する。なお光源12としては、例えばLED光源やハロゲン光源、メタハラ光源などを採用することが可能であり、光源12の発光色も、対象物Tに応じて適宜変更することができる。
【0031】
また光源12とハーフミラー13との間には、偏光フィルタ22が配設されている。偏光フィルタ22は、光源12の放射面12aを全面にわたって前記他方側から覆うとともに、光源12から放射される光線Lの散乱を規制しており、光源12の放射面12aから放射され偏光フィルタ22を通過した光線Lは、水平方向に沿って前記光軸Oに向かう。
【0032】
撮像手段11は、例えばエリアカメラ等により構成されるとともに、撮像手段11が得る撮像データは、明視野像となっている。
また撮像手段11には、図示しない処理部が接続されており、該処理部は、例えば、撮像手段11から得られた撮像データ中で、予め設定されている基準の濃淡差より大きい濃淡差がある部分、およびその広さを検出すること等で、傷の有無を検査する。
【0033】
そして本実施形態では、外ミラー部材16は、内ミラー部材14の外周面14aから前記孔部15の内周面15aに入射した光線Lを、対象物Tの外周面T1に垂直に入射するように反射する。図示の例では、外ミラー部材16における孔部15の内周面15aに反射された光線Lは、対象物Tの外周面T1のうち、鉛直方向における中央に位置する部分に、該外周面T1に対して90度の角度をなして入射する。
【0034】
以上のように構成された検査装置10を用いて対象物Tを検査する検査方法では、光源12から放射されハーフミラー13により反射された光線Lが、固定部材19を透過した後、円錐台状の内ミラー部材14の外周面14a、および円錐台状の孔部15の内周面15aを反射して、対象物Tの外周面T1に全域にわたって入射する。このとき光線Lが、対象物Tの外周面T1に垂直に入射することから、図2に示すように、この光線Lは、対象物Tの外周面T1に対して垂直に反射され、対象物Tの外周面T1に入射するまでに通過した経路を戻るように、孔部15の内周面15aおよび内ミラー部材14の外周面14aを反射する。そして内ミラー部材14の外周面14aにより、鉛直方向に沿って上方に向けて反射させられた後、固定部材19、ハーフミラー13および透過部材21を透過して、撮像手段11の図示しないレンズ部に入射する。
【0035】
すなわち本実施形態では、図3および図4に示すように、孔部15の内周面15aに写る対象物Tの外周面T1の虚像を第1虚像V1とすると、撮像手段11は、内ミラー部材14の外周面14aに映る第1虚像V1の虚像である第2虚像V2を撮像することとなる。ここで前述のように光線Lが、対象物Tの外周面T1に垂直に入射することから、第2虚像V2は、前記光軸Oに直交する図示しない直交面上に位置することとなり、第2虚像V2と、前記レンズ部のレンズ中心と、の間の鉛直方向に沿った距離は、第2虚像V2の全域にわたって同等となる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る検査装置10および検査方法によれば、対象物Tの外周面T1を垂直に反射した光線Lが、撮像手段11に鉛直方向に沿って入射するので、撮像手段11に鉛直方向に沿って入射する光線Lが、対象物Tの外周面T1から撮像手段11に入射するまでに通過する経路の長さを、その光線Lが対象物Tの外周面T1において反射した位置によらず同等にすることができる。
これにより、対象物Tの外周面T1を、全域にわたって焦点を合わせた状態で一度に撮像することが可能になり、対象物Tを、短時間で高精度に検査することができる。例えば本実施形態のように、撮像データ中で濃淡差を検出して傷の有無を検査する場合には、対象物Tの外周面T1における鉛直方向の位置によらず、前記濃淡差に基づいて高精度に傷の有無を検査することができる。
【0037】
またこのように、対象物Tの外周面T1を、全域にわたって焦点を合わせた状態で一度に撮像することができるので、例えば、撮像手段11と対象物Tとを相対的に移動させる移動機構を設けるとともに、該移動機構により撮像手段11と対象物Tとを相対的に移動させながら対象物Tの外周面T1を全域にわたって撮像するといった必要がなく、当該検査装置10の簡素化を図ることができる。
【0038】
また、対象物Tの外周面T1に対して垂直に反射された光線Lが、外ミラー部材16および内ミラー部材14を反射した後、撮像手段11に鉛直方向に沿って入射するので、対象物Tの外周面T1に付いた傷に反射して該外周面T1に対して垂直に反射されなかった光線Lを、撮像手段11に入射させ難くすることが可能になり、対象物Tの外周面T1に付いている傷の形態によらず、この傷を十分に検出することができる程度に、撮像手段11により確実に撮像することができる。
【0039】
また図1に示すように、水平方向に直交する光源12の放射面12aから、水平方向に沿って放射された光線Lが、ハーフミラー13に入射するので、光源12から放射された光線Lが、ハーフミラー13、内ミラー部材14および外ミラー部材16を反射して、対象物Tの外周面T1に到達するまでに通過する経路の長さを、その光線Lが対象物Tの外周面T1において入射する位置によらず同等にすることができる。
これにより、対象物Tの外周面T1を全域にわたって同等の照明条件で照射することが可能になり、検査精度を確保し易くすることができる。
【0040】
また内ミラー部材14が、孔部15内に配置されているので、当該検査装置10の小型化を図ることができる。
さらに固定部材19が、ハーフミラー13と内ミラー部材14との間に配置されているので、固定部材19を設けることによって当該検査装置10が大型になるのを抑えることもできる。
さらにまた、固定部材19の表裏面が、前記光軸Oに直交しているので、鉛直方向に沿って固定部材19を透過する光線Lが前記表裏面を通過する際に、該光線Lが屈折するのを抑えることが可能になり、対象物Tを確実に高精度に検査することができる。
【0041】
また、通過孔20内に透過部材21が嵌合されているので、例えば、ハーフミラー13に埃やミストが付着するのを抑制すること等が可能になり、検査精度を一層確保し易くすることができる。
【0042】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、前記縦断面視において、前記光軸Oに対する内ミラー部材14の外周面14aの母線g3の傾斜角度xは、例えば約45度程度となっているものとしたが、外ミラー部材16が、内ミラー部材14の外周面14aから孔部15の内周面15aに入射した光線Lを、対象物Tの外周面T1に垂直に入射するように反射する構成であれば、これに限られるものではない。例えば図5に示すように、前記縦断面視において、前記傾斜角度x(度)と、内ミラー部材14の外周面14aを反射した光線Lが孔部15の内周面15aに入射する入射角度y(度)と、前記光軸Oに対する対象物Tの外周面T1の母線g2の傾斜角度θ(度)と、が、下記(1)式を満たすような構成を採用することができる。
2x+2y−θ=90 ・・・ (1)
すなわち前記縦断面視において、内ミラー部材14の外周面14aから孔部15の内周面15aに入射する光線Lが、その入射点を通りかつ鉛直方向に沿って延在する仮想線Vとなす角度をα(度)とし、この光線Lの反射光が前記仮想線Vとなす角度をβ(度)とすると、
α+β+2y=180 ・・・ (2)
α=2x ・・・ (3)
β=180−90−θ=90−θ ・・・ (4)
となることから、これらの(2)〜(4)式より、前記(1)式の関係が求められる。
【0043】
また透過部材21、カバー部材17、偏光フィルタ22、固定部材19はなくてもよい。
さらに内ミラー部材14は、孔部15内に配置されていなくてもよい。
【0044】
また、前記実施形態では、前記光軸Oに対するハーフミラー13の傾斜角度aが、例えば約45度程度となっているものとしたが、これに限られるものではなく、例えば、光源12から放射される光線Lが、前記光軸Oに直交する直交面に対して傾斜する方向に放射される場合などには、ハーフミラー13が、光源12から放射された光線Lを、鉛直方向に沿って下方に向けて反射するように、前記傾斜角度aを適宜変更することができる。
【0045】
また前記実施形態では、撮像手段11および対象物Tが、撮像手段11側が上側になり、かつ対象物T側が下側になるように配置されているものとしたが、上下が逆転していてもよい。
さらに前記実施形態では、撮像手段11の光軸O方向が鉛直方向に一致しているものとしたが、これに限られず、例えば水平方向など他の方向に一致していてもよい。
【0046】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 検査装置
11 撮像手段
12 光源
13 ハーフミラー
14 内ミラー部材
14a 外周面
15 孔部
15a 内周面
16 外ミラー部材
L 光線
O 光軸
T 対象物
T1 外周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段により、該撮像手段の光軸と同軸に配置された状態で光線が照射される円錐状または円錐台状の対象物の外周面を撮像し、その撮像データに基づいて前記対象物を検査する検査装置であって、
前記撮像手段と前記対象物との間に、前記光軸に交差する方向に向けて光線を放射する光源と、
前記撮像手段と前記対象物との間に配置され、前記光源から放射された光線を、前記撮像手段の光軸方向に沿って前記対象物側に向けて反射するハーフミラーと、
該ハーフミラーと前記対象物との間に前記光軸と同軸に配置され、外周面に前記ハーフミラーにより反射された光線が入射する円錐状または円錐台状の内ミラー部材と、
該内ミラー部材よりも大径の円錐台状の孔部が前記光軸と同軸に貫設され、該孔部の内周面に、前記内ミラー部材の外周面により反射された光線が入射する外ミラー部材と、を備え、
該外ミラー部材は、前記内ミラー部材の外周面から前記孔部の内周面に入射した光線を、前記対象物の外周面に垂直に入射するように反射することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の検査装置であって、
前記内ミラー部材は、前記孔部内に配置されるとともに、前記外ミラー部材に固定部材を介して固定され、
該固定部材は、光線が透過可能に形成されるとともに、前記ハーフミラーと前記内ミラー部材との間に配置されていることを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項2記載の検査装置であって、
前記固定部材における前記光軸方向の両面は、前記光軸に直交していることを特徴とする検査装置。
【請求項4】
光線が照射される円錐状または円錐台状の対象物における外周面の撮像データに基づいて、該対象物を検査する検査方法であって、
請求項1記載の検査装置を用いることを特徴とする検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−7717(P2013−7717A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142024(P2011−142024)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】