説明

検査装置及び検査方法

【課題】 検査の信頼性が向上し、欠陥有無判定の自動化ができ、更に、検査の高速化が可能な検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】 検査対象であるカム7の回転方向周表面を検査する検査装置1は、カム7の表面3次元情報を取得するセンサを備えたセンサヘッド19を有し、センサがカム7の回転に伴いカム7面に対し常に垂直となるように、Z軸上下駆動モータ16を介しセンサヘッド19が上下動できるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カムシャフトのカム面等の表面欠陥や形状の違いを検査する検査装置及び検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の検査装置としては、特許文献1に開示されているように、カムシャフトのカム面をCCD等のカメラにより走査して、カム面の表面欠陥を検査するものが提案されている。
この検査装置では、カム面に巣或いは黒皮残りといった欠陥があると、カメラの光学系の受光量変化から不良品と判定できるものとしている。
【特許文献1】特公平6−1182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、こうした検査装置では、カム面の3次元情報、即ち深さ方向の情報を加えた表面情報を取得できないことから、カム面に油や切り屑,塵等が付着していた場合にも、カメラの光学系の受光量変化として不良品と判定されてしまうため、検査結果の信頼性に欠けるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、検査の信頼性向上を目的の一つとし、また、欠陥の有無判定の自動化を目的の一つとし、更に、検査の高速化を目的の一つとするものであり、その請求項1は、回転体として形成された検査対象の回転方向周表面を検査する検査装置において、前記回転方向周表面上の検査面の深さ方向の情報を含む表面3次元情報を取得する情報取得手段と、該情報取得手段により取得された前記表面3次元情報に基づき前記検査対象に欠陥があるか否かを判定する欠陥判定手段とを備えたことである。
【0005】
また、請求項2は、前記検査対象は固定軸回りに回転し、前記情報取得手段は、該検査対象が回転することで前記回転方向周表面全周の前記表面3次元情報を取得する手段であることである。
【0006】
また、請求項3は、前記情報取得手段は、前記表面3次元情報を取得する情報取得部を有し、該情報取得部が前記検査面に対して常に垂直となるよう構成されてなることである。
【0007】
また、請求項4は、前記情報取得手段は、前記情報取得部と前記検査面との間隔が常に一定距離となるように構成されてなることである。
【0008】
また、請求項5は、前記情報取得手段は、前記深さ方向の情報として前記検査面に形成された凹部の深さ寸法を取得する手段であることである。
【0009】
また、請求項6は、前記情報取得手段は、前記検査面の磁界の変化を検出することにより前記深さ寸法を取得する手段であることである。
【0010】
また、請求項7は、前記欠陥判定手段は、前記深さ寸法が所定値以下の場合には、前記検査対象に欠陥がないと判定する手段であることである。
【0011】
また、請求項8は、前記凹部の面積を算出する面積算出手段を有し、前記欠陥判定手段は、該面積算出手段により算出された前記凹部の面積の値が第一の範囲以外の時に、前記検査対象に欠陥があると判定する手段であることである。
【0012】
また、請求項9は、前記凹部の回転方向最大寸法を算出する回転方向寸法算出手段を有し、前記欠陥判定手段は、該回転方向寸法算出手段により算出された前記回転方向最大寸法の値が第二の範囲以外の時に、前記検査対象に欠陥があると判定する手段であることである。
【0013】
また、請求項10は、前記凹部の回転方向に対して所定の角度傾斜した方向の最大寸法を算出する傾斜方向寸法算出手段を有し、前記欠陥判定手段は、該傾斜方向寸法算出手段により算出された前記回転方向に対して所定の角度傾斜した方向の最大寸法の値が第三の範囲以外の時に、前記検査対象に欠陥があると判定する手段であることである。
【0014】
また、請求項11は、前記表面3次元情報を画像処理する画像処理手段と、該画像処理された該表面3次元情報を表示する表示手段とを備えることである。
【0015】
また、請求項12は、前記画像処理手段は、前記凹部の深さの度合いに応じて色調を変える画像処理を行い、前記表示手段は、前記凹部の深さの度合いに応じて色調が変えられた前記表面3次元情報を表示する手段であることである。
【0016】
また、請求項13は、表示手段は、前記欠陥判定手段による判定結果を表示する手段であることである。
【0017】
また、請求項14は、前記検査対象は、回転軸方向に同形状同位相の第二検査対象を備え、前記情報取得手段は、該検査対象と該第二検査対象の前記表面3次元情報を同時に取得可能な手段であり、前記欠陥判定手段は、該検査対象と該第二検査対象とに欠陥があるか否かを同時に判定可能な手段であることである。
【0018】
また、請求項15の検査方法は、回転体として形成された検査対象の回転方向周表面を検査する検査方法において、(a)前記回転方向周表面上の検査面の深さ方向の情報を含む表面3次元情報を取得し、(b)取得した前記表面3次元情報に基づいて、前記検査面に形成された凹部の面積と、該凹部の長さ寸法の少なくとも一つを算出し、(c)前記深さ方向の情報としての前記凹部の深さが所定値以下の場合、または前記凹部の面積および前記凹部の長さ寸法が第二所定値以下の場合には、前記検査対象に欠陥がないと判定し、該凹部の深さが所定値より大きく、且つ、前記凹部の面積と前記凹部の長さ寸法の少なくとも一つが第二所定値よりも大きい場合には、前記検査対象に欠陥があると判定することである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、回転体として形成された検査対象の回転方向周表面を検査する検査装置において、回転方向周表面上の検査面の深さ方向の情報を含む表面3次元情報を取得する情報取得手段と、情報取得手段により取得された表面3次元情報に基づき、検査対象に欠陥があるか否かを判定する欠陥判定手段とを備えることにより、回転体として形成された検査対象の回転方向周表面上の検査面の表面3次元情報を取得し、この表面3次元情報に基づいて検査対象に欠陥があるか否かの判定を行うものであるから、正確な検査結果が得られ、検査の信頼性が向上するものとなる。
また、欠陥の有無の判定を自動化することができるものとなる。
【0020】
また、検査対象は固定軸回りに回転し、情報取得手段は、検査対象が回転することで回転方向周表面全周の表面3次元情報を取得する手段であることにより、検査対象を回転させるだけで検査対象の回転方向周表面全周の表面3次元情報を取得することができるものとなる。
【0021】
また、情報取得手段は、表面3次元情報を取得する情報取得部を有し、情報取得部が検査面に対して常に垂直となるよう構成されているため、検査対象の回転位置によって情報取得の状況に差異が生じることがなく、検査面の表面3次元情報を精度よく取得することができるものとなる。
【0022】
また、情報取得手段は、情報取得部と検査面との間隔が常に一定距離となるように構成されているため、情報取得部と検査面との間隔が常に一定距離となり、検査対象の回転位置によって情報取得の状況に差異が生じることがなく、検査面の表面3次元情報を精度よく取得することができるものとなる。
【0023】
また、情報取得手段は、深さ方向の情報として検査面に形成された凹部の深さ寸法を取得する手段であることにより、深さ方向の情報として検査面に形成された凹部の深さ寸法を取得することができるものとなる。
【0024】
また、情報取得手段は、検査面の磁界の変化を検出することにより深さ寸法を取得する手段であることにより、磁界の変化を取得することにより、深さ寸法を取得することができるものとなる。
【0025】
また、欠陥判定手段は、深さ寸法が所定値以下の場合には、検査対象に欠陥がないと判定する手段であることにより、検査面に凹部が存在しても、凹部の深さ寸法が所定値以下の場合には欠陥がないと判定するため、真の欠陥のみを欠陥として判定することができるものとなる。
【0026】
また、凹部の面積を算出する面積算出手段を有し、欠陥判定手段は、面積算出手段により算出された凹部の面積の値が第一の範囲以外のときに、検査対象に欠陥があると判定する手段であることにより、検査対象の検査面に第一の範囲以外の面積を有する凹部が存在するときに欠陥があると判定するため、真の欠陥のみを欠陥として判定することができるものとなる。
【0027】
また、凹部の回転方向最大寸法を算出する回転方向寸法算出手段を有し、欠陥判定手段は、回転方向寸法算出手段により算出された回転方向最大寸法の値が第二の範囲以外のときに、検査対象に欠陥があると判定する手段であることにより、検査対象の検査面に第二の範囲以外の回転方向最大寸法を有する凹部が存在するときに欠陥があると判定するため、真の欠陥のみを欠陥として判定することができるものとなる。
【0028】
また、凹部の回転方向に対して所定の角度傾斜した方向の最大寸法を算出する傾斜方向寸法算出手段を有し、欠陥判定手段は、傾斜方向寸法算出手段により算出された回転方向に対して所定の角度傾斜した方向の最大寸法の値が第三の範囲以外のときに、検査対象に欠陥があると判定する手段であることにより、検査対象の検査面の回転方向に対して所定の角度傾斜した方向に第三の範囲以外の最大寸法を有する凹部が存在するときに欠陥があると判定するため、真の欠陥のみを欠陥として判定することができるものとなる。
【0029】
また、表面3次元情報を画像処理する画像処理手段と、画像処理された表面3次元情報を表示する表示手段とを備えることにより、検査対象の検査面の情報を視認することができるものとなる。
【0030】
また、画像処理手段は、凹部の深さの度合いに応じて色調を変える画像処理を行い、表示手段は、前記凹部の深さの度合いに応じて色調が変えられた表面3次元情報を表示する手段であることにより、凹部の形状を立体的に視認することができるものとなる。
【0031】
また、表示手段は、欠陥判定手段による判定結果を表示する手段であることにより、判定結果を視認することができるものとなる。
【0032】
また、検査対象は、回転軸方向に同形状同位相の第二検査対象を備え、情報取得手段は、検査対象と第二検査対象の表面3次元情報を同時に取得可能な手段であり、欠陥判定手段は、検査対象と第二検査対象とに欠陥があるか否かを同時に判定可能な手段であることにより、同一形状同位相に形成された検査対象の欠陥の有無を同時に判定することができるものとなり、検査の高速化が図れるものとなる。
【0033】
また検査方法は、回転体として形成された検査対象の回転方向周表面を検査する検査方法において、(a)回転方向周表面上の検査面の深さ方向の情報を含む表面3次元情報を取得し、(b)取得した表面3次元情報に基づいて、検査面に形成された凹部の面積と、凹部の長さ寸法の少なくとも一つを算出し、(c)深さ方向の情報としての凹部の深さが所定値以下の場合、または凹部の面積および凹部の長さ寸法が第二所定値以下の場合には、検査対象に欠陥がないと判定し、凹部の深さが所定値より大きく、且つ、凹部の面積と凹部の長さ寸法の少なくとも一つが、第二所定値よりも大きい場合には、検査対象に欠陥があると判定するものであるため、正確な検査結果が得られ、検査の信頼性が向上するものとなる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施例の検査装置の一例であるカムシャフトのカム面の表面状態を検査するカム面検査装置の正面概略構成図であり、図2は、図1の側面構成図であり、また図3は、主要部の配置構成を示す平面図である。
図において、検査装置1は、機台2上に、チャック3を備えたカムシャフト押え4と、カムシャフト押え4と対向状に固定軸5が配置されて、チャック3と固定軸5間でカムシャフト6を回転可能に支持することができるように構成されており、カムシャフト6には、幅14mmの同一位相のカム7,7が隣り合って配置されている。
【0035】
カムシャフト押え4は、カム押さえシリンダ8の作動により、カム押さえスライド9を介して横方向に移動でき、また、固定軸5は、シリンダ11の作動により、スライド12を介して横方向に移動できて、カムシャフト6を着脱可能に支持できるように構成されている。
また、カムシャフト押え4には、θ軸回転モータ10が備えられており、θ軸回転モータ10を介してカムシャフト6を回転させることができるように構成されている。
また、スライドベース13上には、所定間隔をおいてカム面の表面状態を測定するためのカム面測定機構14,14,14が配設されており、スライドベース13は、X軸移動モータ24によりX軸スライド15を介してX軸方向に移動できるように構成されている。
【0036】
各カム面の表面状態を測定するためのカム面測定機構14は、図2のように、カム7に対し左右にそれぞれ配置されており、上面側にはZ軸上下駆動モータ16が立設されており、このZ軸上下駆動モータ16が回転されることにより、ボールネジ17が回転されて、このボールネジ17の回転に伴って、Z軸スライド18を介して、センサヘッド19がZ軸方向に上下動できるように構成されている。
【0037】
図4は、センサヘッド19を模式的に表した模式図、図5は、センサ19aの詳細を表した詳細図である。
図4に示すように、センサヘッド19には、カム7のカム面の表面状態としてカム7における表面の深さ方向寸法を検出できるセンサ19aがカム7側に配置されている。
センサ19aは、図5に示すように、実施例では、1.3mm×1.3mmのハウジング19bの略中央に0.1mm×0.1mmのホール素子19cを貼り付けたものを、0.1mm間隔で横一列に10個配置するものとした。
したがって、カムシャフト6が1回転するごとに、カム7の表面の深さ方向寸法をカム7の周方向の線データとして10個(1.4mm間隔)取得することができる。
本実施例のようにカム7が幅14mmで形成されている場合には、センサヘッド19をカム7の幅方向(X軸方向)に0.1mmずつ13回移動、即ち、カムシャフト6を14回転させることでカム7の表面の深さ方向寸法を面データとして取得することができる。
【0038】
なお、ハウジング19bのセンサヘッド19への取り付けやホール素子19cのハウジング19bへの貼り付けの際に発生する傾きや間隔のばらつきを考慮して、センサヘッド19をX軸方向に0.1mmずつ13回以上移動するものとしても良い。
このようにデータを重複して取得することで、より正確な面データを取得することができる。
【0039】
また、各カム面の表面状態を測定するためのカム面測定機構14の側方には、Y軸倣い機構21が連結されており、このY軸倣い機構21がY軸スライドベース20を介してスライドベース13上に固定されたものとなっている。
このY軸倣い機構21は、カム7に当接して、カムシャフト6の回転と共にカム7が回転されたときに、カム7に押されてY軸スライドベース20を介してY軸方向へ移動できるように構成されており、これにより、センサ19aとカム面との距離を常に一定に保持可能に構成されている。Y軸倣い機構21は、実施例では、円柱状のローラー21aで構成するものとした。
【0040】
このように、Y軸倣い機構21を円柱状のローラー21aで構成することにより、図6に拡大して示すように、カム7との接触形態が点接触となるため、カム7における回転フリクションを極力押えることができるとともに、カム7との接触部が摩耗したときには、ローラー21aを回転させることで容易に対応できるものとなる。
【0041】
図8および図9は、ローラー21aに代えて球体21bを使用したY軸倣い機構21の一例を模式的に表した模式図である。
図7に示すような凹形状を有するカム7について正確に倣うことができるようにする場合には、図8に示すように、Y軸倣い機構21とセンサヘッド19とをベース25に一体的に固定し、この一体的に固定した構造体26がY軸スライドベース20を介してY軸方向へ移動できるように構成すれば良い。
【0042】
また、図7に示すような凹形状を有するカム7については倣うことはできないが、図9に示すように、球体21bをセンサヘッド19に一体的に形成する構造とすることもできる。この構造によれば、カムシャフト6に同一位相のカム7,7,7が隣り合って配置されていない場合であっても、カム面7aとセンサ19aとの距離を常に一定に保持することができる。
【0043】
図10は、平板を使用したY軸倣い機構を模式的に表した模式図である。ローラー21aや球体21bに比べ、上述した機能において多少劣るものの、図10に示すように、Y軸倣い機構21を平板21cで構成するものとしても構わない。
【0044】
なお、前述した如く、Z軸上下駆動モータ16を備えてセンサヘッド19をZ軸方向に上下動可能としたのは、図11或いは図12の作用説明図で示すように、カム7のカム面7aの測定時に、カム曲面の法線上にセンサ19aが位置していることが好ましく、カム面7aの検査面に対し常にセンサ19aが垂直となるように、カム7の回転位置によってセンサ19aを上下動させる必要があるからである。
【0045】
なお、図3に示すように、隣り合う同一位相の一対のカム7,7に対して、隣のカム7を倣い基準として計測を行えるように左右のカム面の表面状態を測定するためのカム面測定機構14及びY軸倣い機構21が配置されており、隣り合うカム7,7を相互に倣い基準として、一度に同一位相の一対のカム7,7の計測が可能なように構成されている。
このように配置すれば、同一形状同位相に形成されたカム7,7の欠陥の有無や形状の違いを同時に判定することができ、高速化が図れるものとなる。
【0046】
なお、図1に示すように、制御装置22は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、図示しない入出力ポートを備える。
制御装置22からは、X軸移動モータ24,Z軸上下駆動モータ16,θ軸回転モータ10への駆動制御信号やチャック3,シリンダ11への駆動制御信号、表示器23への画像表示信号などが出力されている。
【0047】
次に、こうして構成された実施例のカム面検査装置の動作について説明する。
図13は、実施例の制御装置22により実行されるカム面7aの表面深さ寸法測定処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、カム面7aの表面状態を測定するためにカムシャフト6の回転が開始されたときに所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0048】
表面深さ寸法測定処理が実行されると、制御装置22のCPUは、先ず、カム回転角θおよびカム回転数Nを読込み(ステップS20)、カム回転数Nが値14であるか否かの判定を行なう処理を実行する(ステップS21)。これは、カム7の表面深さ方向寸法Dを面データとして取得できたか否かを判断する為であり、前述したように、カム7が14回転することでカム7の表面深さ方向寸法Dを面データとして取得することができるからである。
カム回転数Nが値14でないときには、カム回転角θが360°であるか否かの判定を行なう(ステップS22)。カム回転角θが360°でないと判定されたときには、センサヘッド19のZ軸方向移動位置として座標Zsを設定し(ステップS23)、センサヘッド19の位置が座標Zsとなるようモータを制御する(ステップS24)。
【0049】
Z軸方向移動位置としての座標Zsの設定は、実施例では、カム7の回転角θとZ軸座標との関係を予め求めてZ軸方向移動位置設定マップとしてROMに記憶しておき、カム7の回転角θが与えられたときにZ軸方向移動位置設定マップから対応するZ軸座標を設定するものとした。そして、座標Zsにおけるカム7の表面深さ方向寸法Dを測定して(ステップS25)、本処理を終了する。カム7の表面深さ方向寸法Dの測定は、実施例では、ホール素子19cからの電圧値を読み込むことで行なうものとした。
また、実施例では、ホール素子19cの大きさ(0.1mm×0.1mm)に合わせて座標Xsを値0.1だけインクリメントするものとしたが、ホール素子19cの大きさや必要とされる測定精度に合わせて座標Xsをインクリメントする値は変更しても良い。
【0050】
ステップS21でカム回転数Nが値14であると判定されたとき、即ち、カム7の表面深さ方向寸法Dを面データとして取得できたときには、カム回転数Nを値0に設定し(ステップS26)、センサヘッド19のX軸方向移動位置である座標Xsを値0に設定するとともに(ステップS27)、センサヘッド19のZ軸方向移動位置として座標Zsを設定して(ステップS23)、センサヘッド19の位置が座標Xs,座標Zsとなるようモータを制御する(ステップS24)。そして、座標Xs,座標Zsにおけるカム7の表面深さ方向寸法Dを測定して(ステップS25)、本処理を終了する。
【0051】
一方、ステップS22でカム回転角θが360°であると判定されたとき、即ち、カムシャフト6が一回転したと判定されたときには、カム回転数Nを値1だけインクリメントし(ステップS28)、センサヘッド19のX軸方向移動位置である座標Xsを値0.1だけインクリメントするとともに(ステップS29)、センサヘッド19のZ軸方向移動位置に座標Zsを設定して(ステップS23)、センサヘッド19の位置が座標Xs,座標Zsとなるようモータを制御する(ステップS24)。そして、座標Xs,座標Zsにおけるカム7の表面深さ方向寸法Dを測定して(ステップS25)、本処理を終了する。
【0052】
そして、制御装置のCPUは、このようにして測定されたカム7の表面深さ方向寸法Dをデジタル値に変換し、さらに対応する階調を付与して、カム面データとしてRAMの所定領域に設定されたカム面データ格納エリアに記憶する。ここで、階調の付与は、実施例では、カム7の表面において凹凸がない平面での値(正確にはAD変換後のデジタル値)を階調0とし、ホール電圧測定アンプの上限値を階調255とし、上限値と平面での値との電圧差を256で除することで行なうものとした。
【0053】
こうしてカム面深さ寸法処理が実施されて、カム7の表面状態を表すカム面データが取得されると、制御装置によりカム7に欠陥があるか否かの判定処理が実施されることになる。カム7の表面に欠陥があるか否かの判定は、図14に例示する欠陥判定処理により行なわれる。
【0054】
以下、図14の欠陥判定処理について説明する。
欠陥判定処理が実行されると、制御装置のCPUは、先ず、カム面データを読込み(ステップS30)、読み込んだカム面データにおいてカム7の表面深さ方向寸法Dが閾値Dref以上(例えば、1mm以上)である部分を探査し(ステップS31)、カム7の表面深さ方向寸法Dが閾値Dref以上である部分があるか否かの判定を行なう処理を実行する(ステップS32)。ここで、閾値Drefは、カム7の表面欠陥として管理される表面深さ方向寸法値として設定されるものであり、カム7の使用用途等により定められる。
カム7の表面深さ方向寸法Dが閾値Dref以上である部分があるか否かの判定は、例えば、カム面データに閾値Dref以上に該当する階調があるか否かを判定することで行なうことができ、実施例では、閾値Dref以上の箇所の階調を全て値256に、閾値Dref未満の箇所の階調を全て値0に置き換える、周知の画像処理で行なわれる所謂フィルター処理を行い、階調が値256の箇所があるか否かを判定することで行なうものとした。
【0055】
そして、カム7の表面深さ方向寸法Dが閾値Dref以上である部分が有ると判定したときには、閾値Dref以上の箇所の面積S,回転方向の最大長さLc,回転方向に直角方向の最大長さLrをそれぞれ算出し(ステップS33)、面積S,最大長さLcおよび最大長さLrを閾値Sref,閾値Lcrefおよび閾値Lrrefと比較する(ステップS34〜S36)。ここで、閾値Sref,閾値Lcrefおよび閾値Lrrefは、表面欠陥として管理される面積,回転方向長さおよび回転方向に直角方向の長さとして設定されるものであり、カム7の使用用途等により定められる。
したがって、面積S,最大長さLcおよび最大長さLrと閾値Sref,閾値Lcrefおよび閾値Lrrefとの比較は、面積Sが閾値Sref以上であるときや長さLcが閾値Lcref以上であるとき、あるいは、長さLrが閾値Lrref以上であるときには、カム7の表面に欠陥があることを意味し、面積Sが閾値Spef未満で最大長さLcが閾値Lcref未満、かつ、最大長さLrが閾値Lrref未満であるときには、カム7の表面に欠陥がないことを意味する。
【0056】
なお、図15に例示する表示器に表示された欠陥部分の表示状態図のように、カム7の表面に複数の欠陥が存在する場合には、それぞれ別の欠陥として面積S,最大長さLcおよび最大長さLrを算出する。
それぞれが別の欠陥であるか否かの判断は、例えば、階調として値256が付与されたピクセルP(図中の黒色部分)が繋がっているか否かを判断することで行なうことができる。即ち、階調として値256が付与されたピクセルPの周りの8つのピクセルPの何れかに値256が付与されたピクセルPがあれば、値256が付与されたピクセルPが繋がっているものとして別の欠陥ではないと判断し、周りの8つのピクセルPの何れにも値256が付与されたピクセルPがなければ、値256が付与されたピクセルPは繋がっていないものとして別の欠陥として判断する。
【0057】
こうして、面積S,最大長さLcおよび最大長さLrに基づいて、カム7の表面に欠陥があると判定されたときには、表示器23に「欠陥あり」を表示して(ステップS38)、本処理を終了する。
【0058】
一方、面積S,最大長さLcおよび最大長さLrに基づいて、カム7の表面に欠陥がないと判定されたときには、表示器23に「欠陥なし」を表示して(ステップS37)、本処理を終了する。
【0059】
以上説明した実施例のカム面検査装置によれば、カム面の表面深さ方向寸法Dを測定し、測定した表面深さ方向寸法Dが閾値Dref以上である箇所の面積Sやカム7の回転方向の最大長さLcや回転方向に直角方向の最大長さLrに基づいて欠陥があるか否かの判断を行なうから、欠陥の有無判定を自動で行なうことができるとともに、カム面に付着した油や切り屑,塵等を欠陥と判断することがないから、検査の信頼性を向上することができる。
しかも、Y軸倣いポスト21によりセンサ19aとカム7の検査面との距離を常に一定に保持するとともに、Z軸上下駆動モータ16によりセンサヘッド19をZ軸方向に移動することでセンサ19aをカム面に対して常に垂直となるように構成したから、カム面の表面深さ方向寸法Dをより正確に測定することができる。
また、欠陥があるか無いかを表示器23に表示するものとしたから、作業者が判定結果を確認できる。
【0060】
実施例のカム面検査装置では、カムシャフト6を回転させてカム7を回転することでカム7全周の表面深方向寸法Dを測定するものとしたが、カム面測定機構14をカム7の周りに回転させることでカム7全周の表面深方向寸法Dを測定するものとしても差し支えない。
【0061】
実施例のカム面検査装置では、センサ19aとカム面との距離を常に一定に保持するとともに、センサ19aがカム面に対して垂直となるよう構成するものとしたが、カム7の表面深さ方向寸法Dを正確に測定できれば、センサ19aとカム面との距離を常に一定に保持しなくても構わないし、センサ19aがカム7の検査面に対して垂直になるよう構成しなくても構わない。
【0062】
実施例のカム面検査装置では、センサ19aとして磁束密度の変化を検出することができるホール素子19cを使用するものとしたが、磁気抵抗素子や渦電流を用いたものであっても良い。
また、磁界の変化を検出するものに限定されるものではなく、カム7の表面深さ方向寸法Dを測定できれば、例えば、レーザー等を使用したものであっても構わない。
【0063】
実施例のカム面検査装置では、センサ19aとして1.3mm×1.3mmのハウジング19bの略中央に0.1mm×0.1mmのホール素子19cを貼り付けたものを、0.1mm間隔で横一列に10個配置するものとしたが、図16に示すようにホール素子19cを貼り付けたハウジング19bをセンサヘッド19に一個配置したものや、図17に示すように、ハウジング19bを使用せずに、ウエハーから切り出した一列のホール素子19cをセンサヘッド19に直接貼り付けたもの等、ハウジング19bおよびホール素子19cの寸法や間隔や配置個数や配置場所は如何なる形態であっても構わない。
【0064】
実施例のカム面検査装置では、カム7の回転方向に直角方向の最大長さLrを算出するものとしたが、カム7の回転方向に対して所定角度(例えば、30°や45°等)傾斜した方向の最大長さを算出するものとしたり、これらの組み合わせで複数の最大長さを算出するものとしても良い。
【0065】
実施例のカム面検査装置では、カム7の表面深さ方向寸法Dが閾値Dref以上である箇所の面積S,回転方向の最大長さLc,回転方向に直角方向の最大長さLrを算出するものとしたが、これらの内の何れか一つ、あるいは、二つしか算出しないものであっても構わない
【0066】
実施例のカム面検査装置では、カム7の表面深さ方向寸法Dが閾値Dref以上である箇所の面積S,回転方向の最大長さLc,回転方向に直角方向の最大長さLrの何れかが閾値Sref,閾値Lcref,閾値Lrref以上であれば欠陥があると判定するものとしたが、全てが閾値Sref,閾値Lcref,閾値Lrref以上の場合に欠陥があると判定するものとしたり、何れかの二つが閾値Sref,閾値Lcref,閾値Lrref以上の場合に欠陥があると判定するものとしても構わない。
【0067】
実施例のカム面検査装置では、欠陥の有無のみを表示器23に表示するものとしたが、これに加え、図15に示すようなカム7のカム面データを表示するものとしても構わない。
【0068】
実施例のカム面検査装置では、隣り合うカム7,7が同一形状同一位相に形成された一対のカム7,7のカム面を検査するものとして説明したが、隣り合うカム7,7が異形状異位相に形成されたカム7,7のカム面を検査するものであっても良い。
この場合、カム面検査装置の変形例の一例を示す図18のように、検査するカム7,7と同一形状同一位相に形成されたカム7,7を有するカムシャフト6(マスターワークでも可)を、検査するカム7,7が形成されたカムシャフト6に平行に配置し、検査するカム7,7側にセンサヘッド19を、平行配置されたカムシャフト6(マスターワーク)側にY軸倣い機構21を配置すれば良い。
【0069】
実施例のカム面検査装置では、センサ19aとカム面との距離を常に一定に保持するためにY軸倣い機構21を有する構成としたが、センサ19aとカム面との距離を常に一定に保持できればY軸倣い機構21は無くても構わない。
この場合、図13に例示する表面深さ寸法測定処理に代えて、図19に例示する表面深さ寸法測定処理が実行される。
【0070】
図19の表面深さ寸法測定処理は、図13に例示する表面深さ寸法測定処理に対して、ステップS23,24が異なるだけであり、その他は、図13の表面深さ寸法測定処理と同様であるので、ここでは、異なる箇所の説明のみを行うものとする。
図19の表面深さ寸法測定処理では、センサヘッド19のZ軸方向移動位置として座標Zsに加えて、センサヘッド19のY軸方向移動位置としての座標Ysを設定し(ステップS43)、センサヘッド19の位置が座標Xs,座標Ys,座標Zsとなるようモータを制御する処理を行なう(ステップS44)。
Y軸方向移動位置としての座標YsおよびZ軸方向移動位置としての座標Zsの設定は、例えば、カム7の回転角θとY軸座標およびZ軸座標との関係を予め求めて移動位置設定マップとしてROMに記憶しておき、カム7の回転角θが与えられたときに移動位置設定マップから対応するY軸座標およびZ軸座標を設定すれば良い。
【0071】
実施例のカム面検査装置では、センサ19aがカム面7aの検査面に対して常に垂直となるようにカム7の回転角θとZ軸座標との関係を予め求めてZ軸方向移動位置設定マップとしてROMに記憶しておくものとしたが、カム面7aの表面状態の測定を行なう際に、先ず、センサ19aとカム面7aの検査面が常に垂直となるZ軸座標の測定を行うものとしても良い。
この場合、図20に例示する測定前設定処理が実行される。この処理は、カム面7aの表面状態を測定する前、即ち、図13の表面深さ寸法測定処理が実行される前に実行される。
【0072】
図20の測定前設定処理が実行されると、制御装置のCPUは、図21に例示するカム回転処理(ステップS100)、図22に例示するセンサヘッド移動処理(ステップS102)、図23に例示するデータ格納処理(ステップS104)を実行し、その後、カム回転角θが360°となったか否かの判定を行い(ステップS106)、カム回転角θが360°となったと判定されたらカム回転角θを0°に設定して(ステップS108)、本処理を終了する。
【0073】
このように、カム回転角θが360°となるまで、カム回転処理(ステップS100)、センサヘッド移動処理(ステップS102)、データ格納処理(ステップS104)を繰り返し実行することで、センサ19aとカム面7aの検査面が常に垂直となるZ軸座標をカム7の全周において測定することができる。なお、測定前設定処理は、本変形例では、図24に例示するようにセンサヘッド19を初期位置Z(カム7の最下端位置)から上限値Zmaxまで移動させることで行なうものとした。
【0074】
[カム回転処理]
カム回転処理では、図21に示すように、制御装置のCPUは、フラグf1を読み込む処理を実行し(ステップS200)、フラグf1が値1であるか否かを判定する(ステップS202)。ここで、フラグf1は、後に詳細を説明するデータ格納処理において、カム回転角θおよびセンサ19aのZ軸移動位置としての座標Zsが記憶エリアに格納されたか否かを示すものであり、カム回転角θおよび座標Zsが記憶エリアに格納された場合には値1が、格納されていない場合には値0が設定される。
【0075】
はじめてカム回転処理が実行される場合は、フラグf1は値0が設定されているので何も処理されずに、そのまま本処理を終了する。カム回転角θおよび座標Zsが記憶エリアに格納されるとフラグf1に値1が設定されるので、カム回転角θを値1°だけインクリメントするとともに(ステップS204)、フラグf1を値0に設定し(ステップS206)、カム回転角θとなるようモータ10を制御して(ステップS208)、本処理を終了する。本変形例では、カム回転角θを値1°ずつインクリメントするものとしたが、より精密な測定を有する場合等には1°より小さい値であっても良く、また、測定時間短縮が要求される場合等には1°より大きい値であっても良い。
【0076】
[センサヘッド移動処理]
センサヘッド移動処理では、図22に示すように、制御装置のCPUは、フラグf2を読み込み(ステップS300)、フラグf2が値1であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS302)。ここで、フラグf2は、センサヘッド19のZ軸方向移動位置としての座標Zsが上限値Zmaxに到達したか否かを示すものであり、座標Zsが上限値Zmaxに到達したときにはフラグf2が値1に設定され、到達していないときにはフラグf2が値0に設定されるものである。
【0077】
フラグf2が値1であると判定されたときには、座標Zsを値0.1だけインクリメントし(ステップS304)、センサヘッド19のZ軸方向移動位置が座標ZsとなるようモータM1を制御して(ステップS306)、本処理を終了する。本変形例では、座標Zsを値0.1ずつインクリメントするものとしたが、より精密な測定を有する場合等には値0.1より小さい値であっても良く、また、測定時間短縮が要求される場合等には値0.1より大きい値であっても良い。
【0078】
フラグf2が値1であると判定されたときには、座標Zsを値0に設定するとともに(ステップS308)、フラグf2を値0に設定して(ステップS310)、センサヘッド19のZ軸方向移動位置が座標Zs(値0)となるようモータM1を制御して(ステップS306)、本処理を終了する。
【0079】
[データ格納処理]
データ格納処理では、図23に示すように、制御装置のCPUは、カム回転角θ,センサヘッド19のZ軸方向移動位置としての座標Zs,座標Zsにおけるホール電圧Ehを読み込む処理を実行する(ステップS400)。次に、読み込んだホール電圧Ehと前回記憶したホール電圧Eh*とを比較し(ステップS402)、今回読み込んだホール電圧Ehの値が前回記憶したホール電圧Eh*の値より大きいか否かの判定を行なう(ステップS404)。
【0080】
大きいと判定された場合は、前回記憶したホール電圧Eh*及びこのホール電圧Eh*を測定した座標Zs*に代えて、今回のホール電圧Eh及びこのホール電圧Ehを測定した座標Zsを記憶する(ステップS406)。ここで、ホール電圧Eh及び座標Zsの記憶は、本変形例では、RAMの所定領域に設定した仮格納エリアに格納することで行なうものとした。
【0081】
続いて、読み込んだ座標Zsの値が上限値Zmaxであるか否かの判定を行なう処理を実行する(ステップS408)。座標Zsが上限値Zmaxであると判定されたときには、読み込んだカム回転角θと仮格納エリアに格納されている座標ZsとをRAMの所定領域に設定したZ軸方向移動位置格納エリアに記憶し(ステップS410)、フラグf1およびフラグf2を値1に設定して(ステップS412)、本処理を終了する。
【0082】
この変形例のカム面検査装置では、カム7の表面状態を測定する前に、センサ19aとカム面7aの検査面とが常に垂直となるセンサヘッド19の座標Zsをカム回転角θ毎に測定するものとしたから、予めZ軸方向移動位置設定マップが設定されていないカム7でも表面状態を測定することができる。
【0083】
変形例のカム面検査装置では、カム7の表面状態を測定する前に、センサ19aとカム面7aの検査面とが常に垂直となるセンサヘッド19の座標Zsをカム回転角θ毎に測定するものとしたが、座標Zsに加えて、センサ19aとカム面7aの検査面とが常に一定の距離を保持するようセンサヘッド19の座標Ysをカム回転角θ毎に測定するものとしても良い。
【0084】
変形例のカム面検査装置では、図24に示すように、センサヘッド19をカム7の最下端位置である初期位置Zから上限値Zmaxまで移動させるものとしたが、センサヘッド19を上限値Zmaxから初期位置Zまで移動させるものや、カム7の中央位置Zcentをセンサヘッド19の初期位置とするもの等、センサヘッド19の移動形態は、如何なるものであっても構わない。
【0085】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】カムシャフトのカム面を検査する検査装置の正面概略構成図である。
【図2】図1の側面構成図である。
【図3】カムシャフトに対するセンサヘッドとY軸倣い機構の配置状態を示す平面概略構成図である。
【図4】複数のセンサを所定間隔で横方向に配置したセンサヘッドの斜視構成図である。
【図5】図4のセンサの詳細を表した詳細図である。
【図6】Y軸倣い機構を円柱状のローラーで構成した場合の拡大図である。
【図7】凹形状を有するカムの構成図である。
【図8】Y軸倣い機構にローラーを設けてカムに接触させる場合の要部拡大構成図である。
【図9】球体をセンサヘッドに一体的に形成する構造の構成図である。
【図10】平面状のY軸倣い機構にカムを接触させる場合の要部拡大構成図である。
【図11】カムの回転角とセンサの最適測定位置を示す作用説明図である。
【図12】カムの回転角とセンサの最適測定位置を示す作用説明図である。
【図13】制御装置により実行されるカム面の表面深さ寸法測定処理の一例を示すフローチャート図である。
【図14】欠陥判定処理についてのフローチャート図である。
【図15】表示器に表示された欠陥部分の表示状態図である。
【図16】一個のセンサを配置したセンサヘッドの斜視構成図である。
【図17】ウエハーから切り出した一列のホール素子をセンサヘッドに直接貼り付けた場合のセンサヘッドの斜視構成図である。
【図18】カムシャフトを2本平行に配置し、平行な隣のカムシャフトのカムを倣い基準とする場合の図3の変更例を示す平面概略構成図である。
【図19】Y軸倣い機構が無い場合の表面深さ寸法測定処理のフローチャート図である。
【図20】図13の表面深さ寸法測定処理が実行される前に実行される測定前設定処理のフローチャート図である。
【図21】図20の測定前設定処理におけるカム回転処理のフローチャート図である。
【図22】図20の測定前設定処理におけるセンサヘッド移動処理のフローチャート図である。
【図23】図20の測定前設定処理におけるデータ格納処理のフローチャート図である。
【図24】センサヘッドの移動形態の説明図である。
【符号の説明】
【0087】
1 検査装置
2 機台
3 チャック
4 カムシャフト押え
5 固定軸
6 カムシャフト
7 カム
7a カム面
8 カム押さえシリンダ
9 カム押さえスライド
10 θ軸回転モータ
11 シリンダ
12 スライド
13 スライドベース
14 カム面測定機構
15 X軸スライド
16 Z軸上下駆動モータ
17 ボールネジ
18 Z軸スライド
19 センサヘッド
19a センサ
19c ホール素子
20 Y軸スライドベース
21 Y軸倣い機構
21a ローラー
21b 球体
21c 平板
22 制御装置
23 表示器
24 X軸移動モータ
25 ベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体として形成された検査対象の回転方向周表面を検査する検査装置において、前記回転方向周表面上の検査面の深さ方向の情報を含む表面3次元情報を取得する情報取得手段と、該情報取得手段により取得された前記表面3次元情報に基づき、前記検査対象に欠陥があるか否かを判定する欠陥判定手段とを備える検査装置。
【請求項2】
前記検査対象は固定軸回りに回転し、前記情報取得手段は、該検査対象が回転することで前記回転方向周表面全周の前記表面3次元情報を取得する手段である請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記情報取得手段は、前記表面3次元情報を取得する情報取得部を有し、該情報取得部が前記検査面に対して常に垂直となるよう構成されてなる請求項1または請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記情報取得手段は、前記情報取得部と前記検査面との間隔が常に一定距離となるように構成されてなる請求項1乃至請求項3何れかに記載の検査装置。
【請求項5】
前記情報取得手段は、前記深さ方向の情報として前記検査面に形成された凹部の深さ寸法を取得する手段である請求項1乃至請求項4何れかに記載の検査装置。
【請求項6】
前記情報取得手段は、前記検査面の磁界の変化を検出することにより、前記深さ寸法を取得する手段である請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記欠陥判定手段は、前記深さ寸法が所定値以下の場合には、前記検査対象に欠陥がないと判定する手段である請求項5または請求項6に記載の検査手段。
【請求項8】
前記凹部の面積を算出する面積算出手段を有し、前記欠陥判定手段は、該面積算出手段により算出された前記凹部の面積の値が第一の範囲以外の時に、前記検査対象に欠陥があると判定する手段である請求項5乃至請求項7何れかに記載の検査装置。
【請求項9】
前記凹部の回転方向最大寸法を算出する回転方向寸法算出手段を有し、前記欠陥判定手段は、該回転方向寸法算出手段により算出された前記回転方向最大寸法の値が第二の範囲以外の時に、前記検査対象に欠陥があると判定する手段である請求項5乃至請求項8何れかに記載の検査装置。
【請求項10】
前記凹部の回転方向に対して所定の角度傾斜した方向の最大寸法を算出する傾斜方向寸法算出手段を有し、前記欠陥判定手段は、該傾斜方向寸法算出手段により算出された前記回転方向に対して所定の角度傾斜した方向の最大寸法の値が第三の範囲以外の時に、前記検査対象に欠陥があると判定する手段である請求項5乃至請求項9何れかに記載の検査装置。
【請求項11】
前記表面3次元情報を画像処理する画像処理手段と、該画像処理された該表面3次元情報を表示する表示手段とを備える請求項1乃至請求項10何れかに記載の検査装置。
【請求項12】
前記画像処理手段は、前記凹部の深さの度合いに応じて色調を変える画像処理を行い、前記表示手段は、前記凹部の深さの度合いに応じて色調が変えられた前記表面3次元情報を表示する手段である請求項5乃至請求項10に係る請求項11に記載の検査装置。
【請求項13】
前記表示手段は、前記欠陥判定手段による判定結果を表示する手段である請求項11または請求項12に記載の検査装置。
【請求項14】
前記検査対象は、回転軸方向に同形状同位相の第二検査対象を備え、前記情報取得手段は、該検査対象と該第二検査対象の前記表面3次元情報を同時に取得可能な手段であり、前記欠陥判定手段は、該検査対象と該第二検査対象とに欠陥があるか否かを同時に判定可能な手段である請求項1乃至請求項14何れかに記載の検査装置。
【請求項15】
回転体として形成された検査対象の回転方向周表面を検査する検査方法において、
(a)前記回転方向周表面上の検査面の深さ方向の情報を含む表面3次元情報を取得し、
(b)取得した前記表面3次元情報に基づいて、前記検査面に形成された凹部の面積と、該凹部の長さ寸法の少なくとも一つを算出し、
(c)前記深さ方向の情報としての前記凹部の深さが所定値以下の場合、または前記凹部の面積および前記凹部の長さ寸法が第二所定値以下の場合には、前記検査対象に欠陥がないと判定し、該凹部の深さが所定値より大きく、且つ、前記凹部の面積と前記凹部の長さ寸法の少なくとも一つが第二所定値よりも大きい場合には、前記検査対象に欠陥があると判定する検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2006−242838(P2006−242838A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−60857(P2005−60857)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(390009896)愛知機械工業株式会社 (190)
【出願人】(599009019)株式会社マグネグラフ (8)
【Fターム(参考)】