説明

構造物の特性変化検出システム、方法、プログラム及び記録媒体

【課題】 構造物の特性変化の測定から荷重算出までの過程を全自動且つリアルタイム行う構造物の特性変化検出システムを提供する。
【解決手段】 橋梁等の構造物に配置されており、構造物(11)の上を車両等の移動物体(p)が走行することによる構造物の特性変化を検出する少なくとも1個のセンサ(131〜13m、401〜40(n+1)、411〜41(n+1)を含む現場側システム(71)と、センサの出力を構造物から離れた所望の地点で受信して処理する観測地側システム(72)とを備え、観測地側システムによりセンサの出力を自動的に且つ実質的にリアルタイムで処理して、構造物の特性変化を検出するようにし、1例として、移動物体は車両であり、構造物は車両通行用の道路又は複数の車線を有する橋梁である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構造物の特性変化検出システム、方法、プログラム及び記録媒体に関し、特に橋梁等の公共構造物のひずみを自動的にしかも実質的にリアルタイムで検出するシステム、方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁等の道路構造物や舗装道路の維持管理を効果的に行う上で、交通荷重の特性を継続的に把握することは極めて重要である。例えば、各路線の交通荷重の特性が分かれば、限られた維持管理費の中でどの路線に対して優先的にその費用を投入すればよいのかを判断できる。
【0003】
さらに、より一層効果的な維持管理計画の策定をするためには、これまでの交通荷重の変動から今後の動向を予測することが重要であり、長期間継続して交通荷重をモニタリングすることが不可欠である。
【0004】
しかしながら、交通荷重に関する実態調査は、国土交通省や各公団で行われてはいるものの(非特許文献1及び2参照)、数ヶ月にわたる長期の実体調査としては、東名高速道路において実施された報告例(非特許文献3及び4参照)以外には殆どない。
【0005】
交通荷重を測定する手法として、車両が橋梁上を通過した時に生じる橋梁部材の応答から、逆解析によって車両重量を算出するWeigh-In-Motion(以下、W.I.M.と称する)が1970年代にF. Mosesによって提案されている(非特許文献5参照)。このW.I.M.は軸重計と比べると非常に簡易で、かつ安価にシステムを構築できるという利点がある。また、車両が走行している状態でその重量を測定することができるので、交通流を乱すことなく、測定に必要となるセンサは橋梁の下面に設置することから、その存在を運転者に気づかれないという利点もある。
【0006】
本発明の発明者等は、車両重量を算出するための橋梁部材の応答として主桁下フランジのひずみを利用したW.I.M.システムを構築している(非特許文献6参照)。また、非特許文献7ではRC床版下面のひび割れ開閉幅を利用しており、非特許文献8では縦桁に生じるひずみを利用し、非特許文献9では支点反力を利用して、W.I.M.システムを構築している。
【非特許文献1】建設省土木研究所:橋梁に生じる応力の実体調査研究、第23回建設省技術研究発表会、1969.
【非特許文献2】阪神高速道路公団:阪神高速道路における活荷重実体調査と荷重評価のための解析、1984.
【非特許文献3】石井忠司、藤原修二:東名高速道路の交通荷重測定と荷重特性について、土木学会論文集、No.453/V1-17, pp163-170, 1992.
【非特許文献4】井口忠司、藤原修二:東名高速道路における通行車両の進行特性、土木学会論文集、No.492/V1-23, pp29-46, 1994.
【非特許文献5】F.Moses: Weigh-In-Motion System Using Instrumented Bridge, ASCE, Vol. 105, No. 4, pp41-45.
【非特許文献6】三木千壽、村上潤、米田利博、吉村洋司、走行車両の重量測定、橋梁と基礎、Vol.21, No.4, pp41-45,1987.
【非特許文献7】松井繁之、Ahmed EL-HAKIM:RC床版のびびわれの開閉量による輪荷重の測定に関する研究、構造光学論文集、Vol. 35A, pp407-417, 19989.
【非特許文献8】小塩達也、山田健太郎、小林直人、水野良由:鋼1桁端の立て桁を用いたBridge Weigh-In-Motionシステムの開発、構造光学論文集,Vol47.A, pp1082-1091. 2001.
【非特許文献9】小塩達也、山田健太郎、若尾政克、因田智博:支点反力によるBWIMを用いた自動車軸重調査と荷重特性の分析、構造光学論文集、Vol149.A, pp743-753, 2003.
【非特許文献10】三木千壽、水の上俊雄、小林裕介:光通信網を使用した鋼橋梁の健全度評価モニタリングシステムの開発、土木学会論文集、No.686/VI−52,pp31−40,2001
【非特許文献11】西川和廣、山本悟司、鹿嶋久義:温度変化に伴う橋梁の挙動に関する計測結果の分析、土木学会第47回年次学術講演回概要集、I-449, pp.1074-1075, 1992
【非特許文献12】小林裕介、三木千壽、出野麻由子、斉藤勝晶:合成桁橋梁の健全度モニタリングを目的とした温度変形挙動の検討、構造工学論文集、Vol.48A, pp.979-985, 2002
【非特許文献13】小林裕介、古庄龍悟、三木千壽:鋼床版箱桁橋梁の温度変形挙動について、第57回年次学術講演会公演概要集第1部、57巻、pp.1443-1444, 2002.
【非特許文献14】イブ・トーマス、中村尚五:デジタル信号処理、東京電機大学出版局、1999.
【非特許文献15】大崎順彦、新・地震動のスペクトル解析入門、鹿島出版会、1994.
【非特許文献16】交通量統計表、警視庁交通部、2001.
【非特許文献17】三木千壽、舘石和雄、杉本一郎:道路橋の疲労照査のための活荷重に関する一考察、土木学会論文集、No.432/I-16, pp.63-68, 1991.
【非特許文献18】玉越隆史:道路橋示方書(鋼橋編)の疲労設計の考え方、第6回鋼構造と橋に関するシンポジウム論文報告集、pp.11-21, 2003.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の先行技術はいずれも実橋梁に適用してそれらの有用性を示しているが、長期にわたって継続的に交通荷重をモニタリングするためには、データの取得や解析処理、システムの安定性などに課題が残されている。
【0008】
長期間継続的に交通荷重をモニタリングする場合、膨大な数の車両についてその重量を算出するため省力化が必須であり、ひずみの測定から荷重算出までの過程を全自動とする必要があるという課題がある。また、絶え間なく通過する車両をリアルタイムに自動で処理するためには、橋梁の温度による変形の影響の検出や、車両の走行位置の検知を自動化させるアルゴリズムの開発が不可欠であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題が解決するために、本発明の第1の態様により提供されるものは、構造物に配置されており、該構造物の上を移動物体が走行することによる該構造物の特性の変化を検出する少なくとも1個のセンサを含む現場側システムと、センサの出力を構造物から離れた所望の地点で受信して処理する観測地側システムとを備え、観測地側システムによりセンサの出力を自動的に処理して、構造物の特性の変化を検出するようにしたことを特徴とする構造物の特性変化検出システムである。
【0010】
本発明の第2の態様においては、第1の態様における構造物の特性とは、構造物のひずみ、変位、温度の少なくとも一つを含む移動物体の走行に対する応答である。
【0011】
本発明の第3の態様おいては、第1又は第2の態様における移動物体は車両であり、構造物は車両通行用の道路である。
【0012】
本発明の第4の態様においては、第3の態様における道路は車両通行用の少なくとも一つの車線を有する橋梁である。
【0013】
本発明の第5の態様においては、第4の態様におけるセンサは橋梁の車両走行面以外の位置に配置された車両の重量算出用ひずみセンサを含んでおり、該重量算出用ひずみセンサは、橋梁の部材に配置されており、該部材は、橋梁を通過する車両によって生じるひずみ応答を、車線の全てに対して網羅できる位置にあり、且つ、車線内の走行位置の違いに対して、大きくひずみ応答が変化しない部材である。
【0014】
本発明の第6の態様においては、第3又は第4の態様において、センサは車両の走行方向に直交する左右の車輪を結ぶ車軸を検知するための複数の車軸検知用センサを含んでおり、複数の車軸検知用センサはそれぞれ、橋梁の部材に配置されており、該部材は、複数の車線に対応する位置にあり、車軸が通過する毎にひずみ応答が独立して生じる部材で、且つ、隣接する車線を車軸が通過してもひずみ応答が少ない部材である。
【0015】
本発明の第7の態様においては、第1から第6のいずれかの態様において、観測地側システムは、所定時間間隔毎に、センサの出力に基づいて構造物の特性値の最頻値を取得する最頻値取得手段と、該最頻値を構造物の温度変化による温度ひずみとして、構造物の特性値から温度ひずみを除去して活荷重ひずみを自動的に算出して出力する活荷重ひずみ算出手段とを備えている。
【0016】
本発明の第8の態様においては、第7の態様において、観測地側システムは、活過重算出手段の出力が所定制限値を超えている過積載車両を自動的に検出する過積載車検出手段と、時刻を計時するタイマーと、過積載車を検出した時に自動的且つ実質的にリアルタイムに橋梁上の車両のバックプレート番号をタイマーが計時した検出時の時刻とともに撮影する撮影手段と、過積載車を検出した時に自動的且つ実質的にリアルタイムで所定機関に通報する通報手段とをさらに備えている。
【0017】
本発明の第9の態様においては、第6の態様において、観測地側システムは、どの車線に対応する車軸検知用センサの出力が反応したかを判定することにより、車両がどの車線を走行しているかを自動的に判定する車線判定手段を備えている。
【0018】
本発明の第10の態様においては、第6の態様において、車軸検知用センサは、それぞれが車線に直交する方向に配列された2群のセンサ群を備えており、センサ群は互いに車線に平行な方向に所定距離だけ離れて配置されており、観測地側システムは、各車線に対応する2群のセンサ群の出力波形の相関関数が最大となるときの時間差で所定距離を割り算することにより該当車線を通過する車両の走行速度を自動的に算出する速度算出手段を備えている。
【0019】
本発明の第11の態様においては、第6の態様において、観測値側システムは、各車線に対応する車軸検知用センサの出力波形の1階微分波形の0値の前後の変化量が所定値以上である期間で、該出力波形の2階微分波形がプラスの区間及び2階微分波形の極値を検出することにより、車両の通過時刻を自動的に判定する通過時刻判定手段を備えている。
【0020】
本発明の第12の態様によれば、第6の態様において、観測地側システムはさらに、橋梁上を走行中の車両を1台ごとに検出する車両検出手段と、検出した車両の車軸間隔を算出する車軸間隔算出手段と、検出した車両の車軸数をカウントする車軸数カウント手段を備え、車軸数カウント手段は、車両が車軸検知用センサを通過する直前から直後の間で、車両の車軸数をカウントするカウンタを備えており、カウンタは、車両が車軸検知用センサを通過する前にリセットされており、車軸検知用センサの出力波形の1階微分波形の極小値と、極小値が検出された時刻以降で最初に1階微分波形が極大となる時刻における1階微分波形の極大値との差が所定値より大きいと判定された場合に車軸数に1を加算する工程を繰り返す加算手段と、検出された車両が車軸検知用センサを通過したかどうかを判定する判定手段とを備え、判定手段により車両が車軸検知用センサを通過するまでに、加算手段により加算された数を車両の車軸数と決定するようにした。
【0021】
本発明の第13の態様によれば、第4から13のいずれかの態様において、観測地側システムは、軸数及び軸間隔と車種とを関係付けて格納しているデータベースと、橋梁上を走行する車両の車種を判定する車種判定手段とを備えており、車種判定手段は、各車両毎に軸数及び軸間隔を取得する手段と、取得した軸数及び軸間隔とをデータベース内の軸数及び軸間隔と照合することにより車種を識別するようにした。
【0022】
本発明の第14の態様によれば、第7から第13のいずれかの態様において、観測地側システムはさらに、渋滞検出手段を備えており、渋滞検出手段は、重量算出用ひずみ計の出力値が所定時間内に所定値以上変化した場合に、渋滞と判定し、演算若しくは判定を中止するようにした。
【0023】
本発明の第15の態様によれば、第7から第13のいずれかの態様において、観測地側システムはさらに、渋滞検出手段を備えており、渋滞検出手段は、車線のいずれか一つに関する車軸数が0より大であり、且つ、該車線上の車両の速度が所定値より小の場合に、渋滞と判定し、演算若しくは判定を中止するようにした。
【0024】
本発明によれば、上記の構造物の特性変化検出システムの動作を実現する方法、コンピュータに実行させるプログラム、及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第1の態様によれば、観測地側システムにおいてセンサの出力を人手を介することなく全自動で処理できるので、24時間の監視体制が確立できるという効果が得られる。
【0026】
本発明の第2の態様によれば、構造物の特性の変化として移動物体の走行に対する構造物の応答の変化が検出されるという効果が得られる。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、車両通行用道路のひずみ監視を全自動で行うことが可能になるという効果が得られる。
【0028】
本発明の第4の態様によれば、橋梁のひずみ監視を全自動で行うことが可能になるという効果が得られる。
【0029】
本発明の第5の態様によれば、移動物体が走行中であっても、移動物体の重量算出用ひずみ計を橋梁の適切な場所に配置することができるという効果が得られる。
【0030】
本発明の第6の態様によれば、移動物体が走行中であっても、複数の車軸検知用センサを橋梁の適切な場所に設置することができるという効果が得られる。
【0031】
本発明の第7の態様によれば、構造物の温度ひずみを構造物のひずみ値から自動的に算出することにより、構造物のひずみをから全自動で温度ひずみ分を差し引いた移動物体による真のひずみを算出できるという効果が得られる。
【0032】
本発明の第8の態様によれば、過積載の違法走行車を自動的且つ実質的にリアルタイムで検出できるので、橋梁の安全対策に迅速に対処できるという効果が得られる。
【0033】
本発明の第9の態様によれば、車両がどの車線を走行しているかを自動的に判定できるという効果が得られる。
【0034】
本発明の第10の態様によれば、2群のセンサ群により車両の走行速度を自動的に判定できるという効果が得られる。
【0035】
本発明の第11の態様によれば、車両がセンサ上を通過した時刻を自動的に判定できるという効果が得られる。
【0036】
本発明の第12の態様によれば、橋梁上を走行している車両の車軸間隔と車軸数を検出できるので橋梁上を走行している車両の車種の判定が容易になるという効果が得られる。
【0037】
本発明の第13の態様によれば、橋梁上を走行中の車両の車軸数及び車軸間隔をデータベース内のそれらと照合することにより車種を識別できるので、違法過積載車両の車種を自動的且つリアルタイムに容易に特定できるという効果が得られる。
【0038】
本発明の第14及び15の態様によれば、渋滞が検出された場合は上記の演算若しくは判定を中止することにより、無効な演算や判定を排除できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に、本発明の実施の形態を図面によって詳述する。全図を通じて同一物には同一参照符号を付してある。なお、以下の説明では橋梁のひずみ検出を例として説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、筺体構造を有する構造体でその上を移動物体が走行することにより構造体が変形する等構造体の特性が変化するものであれば、道路、鉄道、滑走路等、他の構造物にも提供可能である。
【0040】
(A)システムの全体構成
図1は本発明の一実施例による橋梁ひずみ検出システムの現場側システムの構成例を示す概略図である。同図において、11は橋梁の上平面図、121〜12(n+1)は車線、131〜13mは重量算出用ひずみセンサ、14は重量算出用ひずみセンサ131〜13mの出力に接続された動ひずみ計、15は動ひずみ計14のアナログ出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、16はA/D変換器15の出力データを収録する収録用パーソナルコンピュータ(PC)である。重量算出用ひずみセンサ131〜13mの出力はf1(t)、f2(t)、…fm(t)である。また、BLは橋梁の長さである。
【0041】
動ひずみ計14はひずみゲージであるが、これに替えてFBG(Fiber Bragg Grating)光ファイバセンサを用いてもよい。ひずみゲージの場合は、耐久性を考慮して、センサ131〜13mの周囲を点溶接によって非測定部材に貼付する点溶接形防水式ひずみゲージが好ましい。また、センサ部は金属の箱で覆い、リード線は金属管内を通して保護する。FBG光ファイバセンサは材質がガラスであるため非腐食で、且つ測定に光を用いていることから電気的なノイズを受けないという利点がある。本発明の発明者等は、「FBG光ファイバセンサによるWeigh-In-Motionシステムの構築」という論文でFBGセンサの有用性を公表している(応用力学論文集Vol X, 2003年8月)。
【0042】
重量算出用ひずみセンサ131〜13mの設置位置は、次の条件を満たす位置であればよく、全ての車線に対応して設置する必要はない。
(1)通過する車両によって生じるひずみ応答を、全ての車線に対して網羅できる位置であること。
(2)車線内の走行位置(橋軸直角方向)の違いに対して、大きくひずみ応答が変化しない部材が配置されている位置であること。
【0043】
図2は重量算出用ひずみセンサ131〜13mの設置位置の一例を示す橋梁の一部の斜視図である。同図に示す橋梁は鈑桁橋梁と呼ばれるもので、I型の上フランジと、下フランジと、それらの間のウェブと、ウェブを保持する鉛直スティフナとで構成されている。この場合上記の条件(1)及び(2)を満たす位置は支間中央の下フランジ上である。図2には下フランジ上に配置されたセンサ131が代表的に示されている。
【0044】
図3は重量算出用ひずみセンサ131〜13mの設置位置の他の一例を示す橋梁の一部の斜視図である。同図に示す橋梁は鋼床版箱桁橋梁と呼ばれるもので、その横リブ下フランジ(橋軸直角方向)が示されている。鋼床板による上フランジ、ウェブおよび下フランジで箱形を成す構造であり、横軸方向に一定間隔に横リブが配置されている。この場合上記の条件(1)及び(2)を満たす位置はこの横リブの下縁である。図には横リブの下縁にセンサ131が代表的に示されている。
【0045】
図4は本発明の他の実施例による橋梁ひずみ検出システムの現場側システムの構成例を示す概略図である。同図において、図1と同一のものには同一の参照番号を付してあり、ここでは説明を省略する。この例では、2群の軸検知用センサ群が車線と直交する方向に配列されている。一方の軸検知用センサ群はセンサ401、402、…40l、40(n+1)からなり、他方の群の軸検知用センサ群はセンサ411、412、…41l、41(n+1)からなっている。軸検知用センサのそれぞれは車線121〜12(n+1)に対応して配置されており、各車線を通過する車両の走行による橋梁のひずみを検出する。一方の軸検知用センサ群は橋梁の左端から所定距離xbだけ離れた基準位置に配置されている。一方のセンサ群と他方のセンサ群とは車線に平行な方向に所定距離MLだけ離れて配置されている。所定距離MLは例えば数メートルである。両群のセンサの出力は動ひずみ計14に入力される。
【0046】
軸検知用ひずみセンサ401〜40(n+1)及び411〜41(n+1)の設置位置は、次の条件を満たす位置であればよい。
(1)各車線に対応する位置であること。
(2)車両の走行方向に直交する左右の車輪を結ぶ車軸が通過するごとにひずみ応答が独立して生じる部材が存在する位置であること。
(3)隣の車線を車両の車軸が通過してもひずみ応答を生じない部材が存在する位置であること。
【0047】
図5は軸検知用ひずみセンサ401〜40(n+1)及び411〜41(n+1)の設置位置の一例を示す橋梁の一部の斜視図である。同図に示す橋梁は図2に示したものと同じ鈑桁橋梁と呼ばれるものである。この場合上記の条件(1)〜(3)を満たす位置は鉛直スティフナの上フランジ側である。図には鉛直スティフナの上フランジ側にセンサ401及び411が代表的に示されている。
【0048】
図6は軸検知用ひずみセンサ401〜40(n+1)及び411〜41(n+1)の設置位置の他の一例を示す橋梁の一部の斜視図である。同図に示す橋梁は図3に示したものと同じ鋼床版箱桁橋梁と呼ばれるものである。この場合上記の条件(1)〜(3)を満たす位置はこのトラフリブの頂部である。図にはトラフリブの頂部にセンサ401及び411が代表的に示されている。
【0049】
(B)システムブロック図
図7は本発明の一実施例による構造物ひずみ検出システムの構成を示す概略ブロック図である。同図において、この実施例による構造物ひずみ検出システムは、橋梁等の構造物の上を走行することによるその構造物のひずみを検出する現場側システム71と、その構造物から離れた所望の地点に配置された観測地側システム72とを備えている。現場側システム71内の電光変換器712と観測地側システム72内の光電変換器72とは光ファイバケーブル73により接続されている。
【0050】
現場側システム71は、図1又は図4に示した収録用PC16と、収録用PC16の出力である収録データを保持し、観測地側システム72からの要求に応じて収録データを供給するサーバ用PC711と、サーバ用PC711の出力を電気信号から光信号に変換する電光変換器712とを備えている。本発明においては、収録用PC16から出力されるデータは実質的にリアルタイムでサーバ用PC711、電光変換器712及び光ファイバケーブル73を介して観測地側システム72に送信される。
【0051】
観測地側システム72は、光電変換器722と、光電変換器722の出力に接続されているサーバ用PC723と、サーバ用PC723に接続されている計算用PC724と、計算用PC724に接続されているデータベース725とを備えている。サーバ用PC723は光電変換器722からの出力データを保存し、計算用PC724からの要求に応じて計算用PC724に保存データを供給する。本発明においては、光電変換器722から出力されるデータは実質的にリアルタイムでサーバ用PC723を介して計算用PC724に供給される。
【0052】
データベース725には予め車軸数、車軸間隔、車種が対応付けられて格納されている。計算用PC724は、現場側システムから送られて来たデータに基づいて、後に詳述するように車軸数、車軸間隔を計算し、計算して得られた車軸数及び車軸間隔をデータベース725内の車軸数及び車軸間隔と照合することにより、橋梁を走行中の車両の車種を自動的に且つ実質的にリアルタイムで検出することができる。
【0053】
図7においては現場側システムは1つだけ示されているが、複数の現場側システムからのデータを1つの観測地側システムで自動的且つ実質的にリアルタイムで処理をすることも可能である。本システムにより、橋梁のひずみの測定から車両重量の算出までをリアルタイムで且つ全自動で処理する。W.I.Mの解析に必要となる橋梁のひずみは、各橋梁においてすべて、例えば100Hzで常時測定されている。
【0054】
(C)活荷重ひずみと温度ひずみとの分離方法
橋梁部材での測定されたひずみには、活荷重によって生じるひずみ(以下、活荷重ひずみという)と、温度変化によって橋梁が変化したために生じるひずみ(以下、温度ひずみという)との2つの成分が含まれている(非特許文献11〜13参照)。W.I.M.解析では、活荷重ひずみの変動から車両重量を算出するために、測定値から活荷重ひずみの成分だけを抽出する必要がある。
【0055】
温度ひずみは温度の日変動や季節変動に伴って変動するので、活荷重ひずみと比較すると極めて長周期的な変動である。このことから、活荷重ひずみと温度ひずみの分離にはローパスフィルターを用いることが考えられる。しかし、本発明によるシステムではリアルタイムで交通荷重をモニタリングすることを目的としているので、測定ひずみが現場側システム71から観測地側システム72に転送された後、即座に活荷重ひずみを得る必要があり、したがってリアルタイム処理ができないローパスフィルターは使えない。
そこで本発明においては、活荷重ひずみと温度ひずみを分離する手法として、測定ひずみの頻度分布における最頻値を利用することにした。
また、温度ひずみと分離された活荷重ひずみをW.I.M処理して得られた重量が所定値より大きい場合に過積載の車両が違法走行しているとみなして、直ちに車両のバックプレートの車両番号をカメラにより自動的に撮影するようにした。この撮影時には、コンピュータに内蔵のタイマー又はコンピュータの外部のクロックジェネレータ等のタイマーにより刻時されている時刻も撮影内容に含ませる。
【0056】
図8は本発明の実施例により、上記温度ひずみと活荷重ひずみの分離及び過積載の違法車を撮影するために、計算用PC724(図7)に内蔵されたシステム構成を示すブロック図であり、図9は図8に示したシステムの動作を説明するフローチャートである。
図8に示すように、計算用PC724に内蔵されたシステムは、重量算出用センサ出力受信手段81と、最頻値取得手段82と、活荷重算出手段83と、記憶装置84と、表示装置85と、過積載車検出手段86と、撮影手段87と、タイマー88とを備えている。
【0057】
次に図9により図8のシステムの動作を説明する。
ステップS90にて計算用PC724は時間間隔Δiの番号iを1に初期設定する。時間間隔Δiは例えば2分〜5分の間の所定の値である。
【0058】
次いでステップS91で重量算出用センサ出力受信手段81は、荷重算出用ひずみfP(t)(P=1,2、…又はm)を例えば100Hz単位でサーバー用PC723から取得する。荷重算出用ひずみfP(t)は図1に示した重量算出用ひずみセンサ131〜13mの出力に基づいて、後に詳述する較正を行って得られる、重量に対応する値である。
【0059】
次いでステップS92にて、時間間隔Δiが経過したかを判定し、経過するまでは荷重算出用ひずみfP(t)を取得し続ける。
【0060】
時間間隔Δiが経過すると、ステップS93にて図10の(b)の左に示したような、Δtiの間における荷重算出用ひずみfP(t)の頻度分布を作成する。
【0061】
次いでステップS94にて、最頻値取得手段82により、ステップS93で作成した頻度分布におけるひずみの最頻値fを、時刻(ti+(t+Δt))/2における温度ひずみの値として取得する。
【0062】
次いでステップS95にて,活荷重算出手段83により、その時間間隔Δtiにおける活荷重ひずみのゼロ点補正値fLを、fL=fP((ti+(ti+Δti))/2)−fとして計算用PC724の記憶装置84に格納したり表示装置85に実質的にリアルタイムで表示する。
【0063】
次いでステップS96で、活荷重ひずみのゼロ点補正値fLが所定閾値Xを超えたかを判定する。所定値Xは過積載の法的な制限値に設定する。fLが所定値Xを超えていれば、ステップS97にて撮影手段87により実質的にリアルタイムで橋梁上の車両のバックプレート番号を撮影する。このとき、タイマー88が刻時している時刻を撮影内容に含ませる。計算用PC724に内蔵されたタイマー88に替えて、計算用PC724の外部のクロックジェネレータ等のタイマーを用いてもよい。
【0064】
次いでステップS98でiをインクリメントし、ステップS99でiは最後かを判定し、最後でなければステップS91に戻って上記動作を次の時間間隔についても行い、最後であればこの処理を終了する。最後かどうかは、橋梁のひずみの測定時間によって決まる。橋梁のひずみの測定時間はひずみの測定の目的により異なり、24時間であっても1ヶ月であっても、また手動で最後を決定してもよい。
【0065】
図10は図8及び図9により説明した温度ひずみ及び最頻値を説明するグラフ図である。
図10の(a)は本発明の一実施例により得られたある1日の間に得られた橋梁の荷重算出用ひずみfP(t)の時間的変化を示す図であり、(b)の左側はその1日の間の時刻tiからti+Δtiの間の数分Δtiの間の荷重算出用ひずみ波形を示している。図において、横軸は時間tを示し縦軸は荷重算出用ひずみ量fP(t)を示している。図10の(a)から分かるように、24時間の荷重算出用ひずみ変動では、荷重算出用ひずみの最低値が温度変化により長い周期で変動しており、活荷重による荷重算出用ひずみ変動がこの長い周期の温度変動の上に重なっている。しかし、図10の(b)の左側のグラフから分かるように、2分〜5分等の数分程度の間では通常、温度変化は殆どないので、温度ひずみの変動は無視できるほど小さく温度ひずみが一定値として扱える。つまり、活荷重の変動がなければ、測定した荷重算出用ひずみは一定値となり、たとえ活荷重ひずみの変動があったとしても、それ以外の部分では一定となっているので、100Hzで測定されているひずみ値の頻度分布から図10の(b)の右側に示すように、荷重算出用ひずみの頻度xが最大の時のひずみ、即ち荷重算出用ひずみの最頻値fが得られる。
【0066】
図11は活荷重ひずみを温度ひずみから分離した後の活荷重の時間変化を示す図である。同図に示すように、活荷重ひずみのセロ点補正値fLの最低値は実測値から温度ひずみfを差し引いた結果、ほぼ0に修正されている。即ち、日射の有無にかかわらず、測定ひずみから低周波成分である温度ひずみを分離し、活荷重ひずみを算出できることが分る。
以上のような頻度分布の最頻値を利用した分離手法は、その処理過程に頻度分布の作成、最頻値の抽出しかない。このため、位相差がなく実時間処理が可能であり、リアルタイムでの処理を目的としている本発明による構造物ひずみ検出システムに非常に有効である。
【0067】
(D)過積載車両の検知
図12は本発明の実施例による大型車両の検知方法を示すグラフである。
橋梁を通過する車両には、橋梁の保護のために、トラックでは25トン、トレーラでは43トンといった法的な重量制限がある。これ以上の過積載車は違法であり、本来は分割して制限重量内で走行しなければならないが、現実には過積載の違法車の走行が野放し状態になっていて社会問題化している。
【0068】
本発明の実施例では、図1に示した重量算出用センサ131〜3mにより常時測定されているひずみから、大型車が通過した時の波形を抽出するために、図8のブロック図における過積載車検出手段86により図9のステップS96の判定をする。実際には、違法過積載車が連続して通行した場合にもそれらによって生じた荷重算出用ひずみfLを検出できるように、図12に示すように、W.I.Mの重量算出のために、荷重算出用ひずみfLが閾値Xを超える数秒前のfL(1台の場合は固定値)から、荷重算出用ひずみfLが閾値Xを下回ってから数秒後のfL(1台の場合は固定値)までを抽出している。
【0069】
(E)車線の判定
図13は本発明の実施例により計算用PC724(図7)に内蔵された、橋梁上を通過中の車両の走行車線の判定システムのブロック図である。同図において、図7に示した計算用PC724は、軸検知用ひずみセンサ401〜40(n+1)又は411〜41(n+1)の出力をサーバ用PC723から受信する軸検知用ひずみセンサ出力受信手段131と、車線判定手段132とを備えている。
【0070】
図14は図13に示したシステムの動作を説明するフローチャートである。同図において、ステップS141にて各車線に対応する軸検知用ひずみセンサの出力gP(t)を軸検知用ひずみセンサ出力受信手段131が所定時間毎に取得する。
【0071】
次いでステップS142にて各車両が、どの車線に対応した軸検知用ひずみセンサで反応しているかを判定する。そして、その判定の結果、ステップS143にて各時刻においてp番目の車線を車両が走行していることが自動的且つ実質的にリアルタイムで分る。走行車線の自動判定は、上記過積載車両の検出と合わせて行うことにより違法過積載車両がどの車線を走行しているかを自動的且つリアルタイムで検出できる。また、後に述べる走行速度、走行位置の検出にも利用できる。
【0072】
図15は隣接する2つの車線に対応する軸検知用ひずみセンサの出力波形の一例を示す図である。図において横軸は時間、縦軸はセンサ出力を示している。図5の(a)からは時刻t1で車線Pを車両が通過したことが分り、図5の(b)からは時刻t2で車線(P+1)を車両が通過したことが分る。車線Pに対応するセンサ出力は2つのピークがあることから2軸の車両が通過したことが分り、車線(P+1)に対応するセンサ出力は3つのピークがあることから3軸の車両が通過したことが分る。なお、図5の(a)に示されるプラス方向のセンサ出力は、隣の車両(P+1)を走行した車両により車線(P+1)がひずんだことの反作用で車線Pが盛り上がったことを示している。
【0073】
(F)車両走行速度の検知
図16は本発明の実施例により計算用PC724(図7)に内蔵された、橋梁上を通過中の車両の走行速度算出システムのブロック図である。同図において、図7に示した計算用PC724は、軸検知用ひずみセンサ401〜40(n+1)又は411〜41(n+1)の出力をサーバ用PC723から受信する軸検知用ひずみセンサ出力受信手段161と、自己相関関数算出手段162と、測定区間MLの間の走行時間算出手段163と、速度算出手段164とを備えている。
【0074】
図17は図16に示した車両走行速度算出システムの動作を説明するフローチャートである。同図において、ステップS171にて車線Pに対応する軸検知用ひずみセンサ40Pの出力gP1と41Pの出力gP2を軸検知用ひずみセンサ出力受信手段161が取得する。
【0075】
次いでステップS172にて自己相関関数算出手段162は自己相関関数
【数1】

を算出する。この自己相関関数を算出する意義は、計算用PC724に軸検知用ひずみセンサ40Pの出力gP1と41Pの出力gP2のピーク値の時間差を自動認識させるためである。オフラインで軸検知用ひずみセンサ40Pの出力gP1と41Pの出力gP2のピーク値の時間差を測定することは人間が波形の形状を見て迷うことなく行うことが可能であるが、自動的に両者のピーク値の時間差をコンピュータに認識させる処理は簡単ではない。
【0076】
本発明においては、軸検知用ひずみセンサ40Pの出力gP1と41Pの出力gP2の波形が類似していると仮定して上記自己相関関数
【数2】

が最大となる時のτ=τMLが、2つの波形の時間的なずれ量となることに着目した。
【0077】
そこで、ステップS173にて、
【数3】

が最大となる時のτを算出し、これを測定区間MLを走行するに要した時間とする。この演算はML走行時間算出手段163にて行う。
【0078】
次いでステップS174にてML/τMLを車線P上のk番目の車両の速度vPkとする。次いでステップS175にて車線P上のすべての車両について速度を検出したかを判定し、車線P上のすべての車両について速度を検出するまでステップS172〜ステップS175を繰り返す。車両間の区別の方法は後に詳述する。車線P上のすべての車両の速度の検出が終わると、ステップS176にてこれらの速度vPk(k=1,2、…)を計算用PC724内の記憶装置(例えば図8に示した記憶装置84)に格納する。他の車線を走行する車両の速度も同様にして検出し格納する。こうして得られた車両の速度は、スピード違反車のリアルタイムの検出や前述の違法過積載車の情報と組み合わせて違反車の取締りに利用可能である。
【0079】
図18の(a)は軸検知用ひずみセンサ40Pの出力gP1と41Pの出力gP2の波形を示し、図18の(b)はこれら2つのひずみ波形から算出した自己相関関数
【数4】

の波形を示す。C(τ)の最大値C(τ)maxにより、2箇所の測定点を通過した時間差τMLが得られる。
【0080】
(G)車軸通過時刻の検知
図19は本発明の実施例による橋梁上の基準位置を車軸が通過した時刻を自動的且つ実質的にリアルタイムで算出する計算用PC724(図7)に内蔵された時刻算出システムの概略ブロック図である。同図において、時刻算出システムは、第1の群中の軸検知用ひずみセンサ40P(P=1,2、…又はn)による車線12Pのk番目の車両によるひずみ出力gP1(t)(下添字の1は第1の群のセンサ出力であることを示す。以下同じ)をサーバ用PC723から受信する軸検知用ひずみセンサ出力受信手段191と、gP1(t)の一次微分gP1’(t)及び二次微分gP1”(t)を算出する微分算出手段192と、gP1’の極小値gP1’(t1min i)を算出する極小値算出手段193と、gP1’(t)の極大値gP1’(t1max i)を算出する極大値算出手段194と、極大値と極小値との差が設定値より大きいかを判定する判定手段195と、判定結果に基づき、車線Pを通過した各車両の通過時刻tPkを決定する時刻決定手段とを備えている。
【0081】
図20は図19に示したシステムの動作を説明するフローチャートである。同図において、ステップS201で軸検知用ひずみセンサ出力受信手段191は軸検知用ひずみセンサ40Pによる車線12Pのk番目の車両によるひずみ出力gP1(t)をサーバ用PC723から受信する。図面中には車線Pの基準位置xbをk番目の車軸が通過した時のセンサ出力のみを記載しているが、実際には車線12P上の測定区間MLを所定の測定時間内に通過する全ての車両の全ての車軸に応答するセンサ出力について、以下の処理を行う。
【0082】
ステップS202ひずみ出力gP1(t)の1次微分gP1’(t)及び2次微分gP1”(t)を算出する。
【0083】
次いでステップS203で、2次微分gP1”(t)=0の時の1次微分gP1’(t)の極小値gP1’(t1min i)を算出する。
【0084】
次いでステップS204で、ステップS203で算出した1次微分gP1’(t)の極小値のそれぞれについて、その極小点以降で最初に極大となる点の1次微分gP1’(t1max i)の値を算出する。
【0085】
次いでステップS205で各車両について、極大値と極小値との差が設定値より大きいかを判定する。上記差が設定値より大きければ、ステップS206にてその時のt1min i<t<t1max iにおいてg’P1(t)=0となる時刻を、車線Pに所定測定時間内のk番目の軸が基準位置xbを通過した時刻tPkとする。
【0086】
ステップS206で行った演算を所定時間間隔内橋梁上の基準位置xbを通過する全ての車両により得られる全てのひずみ出力についても行う。
【0087】
ステップS207では所定測定時間内に基準位置xbを通過した全ての軸による全てのひずみ出力gP1(t)について、t1min i<t<t1max iにおいてgP1”(t)=0となる時刻を獲得したかを判定し、未だであればステップS205〜ステップS207を繰り返す。
【0088】
ステップS207の判定で所定測定時間内に基準位置xbを通過した全ての軸の通過時刻tmi(i=1,2、…)を自動的且つリアルタイムで、記憶手段197に格納したり、表示手段198に表示したりする。
【0089】
図21は図20におけるステップS201〜ステップS206を説明するグラフ図である。同図において、(a)はステップS201で取得したセンサ出力gP1(t)の時間対ひずみの関係を示すグラフ図、(b)はステップS202で算出したgP1’(t)の時間対ひずみの関係を示すグラフ図、(c)はステップS202で算出したgP1”(t)の時間対ひずみの関係を示すグラフ図である。(c)に示すgP1”(t)が最初に0になる時の(b)に示すgP1’(t)がその極小値値gP1’(t1min i)であり、その極小値の次の極値が極大値gP1’(t1max i)である。極大値gP1’(t1max i)と極小値値gP1’(t1min i)との差が所定設定値Xを超えた時のgP1’(t)=0の時の時刻tmkが、測定時間内に測定区間XLに進入してきた車両のk番目の軸が車線Pの下の軸検知用ひずみセンサを通過した時刻となる。同様に、時刻tP(k+1)は、測定時間内に測定区間XLに進入してきた車両の(k+1)番目の軸が車線Pの下の軸検知用ひずみセンサを通過した時刻となる。
【0090】
図19〜21の説明では第1の群中の軸検知用ひずみセンサ40Pによるひずみ検出を行ったが、第2の群中の軸検知用ひずみセンサ41Pを用いてもよく、この場合は符号gP1(t)、gP1’(t)、gP1”(t)、gP1’(t1max i)、gP1’(t1min i)中のサフィックス1は2になる。
【0091】
(H)車軸数の検出
図22は本発明の実施例により計算用PC724(図7)に内蔵された、各車両の車軸数の検出システムを示すブロック図である。同図において、図7に示した計算用PC724は、軸検知用ひずみセンサ401〜40(n+1)又は411〜41(n+1)の出力をサーバ用PC723から受信する軸検知用ひずみセンサ出力受信手段221と、測定区間MLに侵入してきた車両を車両毎に検出する車両検出手段222と、検出された各車両の車軸数をカウントする車軸数カウント手段223と、検出された各車両の車軸間隔を算出する車軸間隔算出手段224と図7に示したデータベース725と、カウントされた車軸数とデータベース725内の車軸数とを照合して車種を判定する照合手段225と、照合結果を記憶する記憶手段226と、照合結果を表示する表示手段227とを備えている。
【0092】
図23は図22に示したシステムの動作を説明するフローチャートである。同図において、ステップS231で1車両を検出する前に車軸数nPを0に初期設定する。
【0093】
ステップS232〜ステップS236までは図20により説明したステップS201〜ステップS205と同じなのでここでは説明を省略する。
【0094】
ステップS236の判定結果がイエスであればステップS237に進み軸数nPをインクリメントしてステップS238に進む。ステップS236の判定結果がノーであればnPをインクリメントすることなしにステップS238に進む。
【0095】
ステップS238では所定測定時間内に基準位置xbを通過した全ての軸による全てのひずみ出力gP1(t)について、t1min i<t<t1max iにおいて車軸数をカウントしたかを判定し、未だであればステップS236〜ステップS238を繰り返す。
【0096】
ステップS238の判定でイエスであればステップS239で所定測定時間内に基準位置xbを通過した全ての車両の全ての軸数nPを車両毎に自動的且つリアルタイムで、記憶手段25に格納したり、表示手段226に表示したりする。尚、車両間の区別の仕方は後述する。
【0097】
車軸通過時刻は(G)にて説明したようにして各車両毎に得られるので、各車両毎の車軸間隔は車軸通過時刻の差と車速vPk(図17のステップS174)に基づいて自動的且つ実質的にリアルタイムで算出することが出来る。この演算は車軸間隔算出手段224により行われる。
【0098】
図24は本発明の実施例により、測定区間MLにおける渋滞の発生を検出する方法を説明するフローチャートである。同図において、ステップS241にて荷重算出用ひずみ計の出力の時刻{ti+(ti+Δti))}/2における温度ひずみf(図9のステップS94参照)、測定区間MLのける測定時間内の車線P上のk番目の車両の速度vPk(図17のステップS174参照)、及び車線P上の測定時間内での車軸数nP(図23のステップS239を参照)を取得する。
【0099】
次いでステップS242で温度ひずみfがある時間に設定値以上変化した場合、もしくはnP>0且つvPk<設定値の時、ステップS243にて渋滞が発生したと判定する。渋滞が発生した場合は、温度ひずみf、車両数nP、車両の速度vPkを算出するステップ及びステップS242とS243を除くすべての判定および演算を停止する。
【0100】
(I)車両間隔,車軸間隔、車種の自動検出
図25は本発明の実施例により車両と車両の間を自動的に検出する動作を説明するフローチャート、図26はその動作を概略的に説明する図である。
図25において、ステップS251で測定時間に車線Pにおけるk番目の車軸が基準位置xbを通過した時刻tPk(図20のステップS209参照)およびその車両の速度vPk(図17のステップS176参照)を取得する。
【0101】
次にステップS252にて、車軸の通過時間群の中で、軸と軸の通過時間差tP(k+1)−tPkが設定値より大きい場合を車両と車両の区切れとして、1台ごとの車軸の通過時間差を算出する。なお、この車両と車両の区切れの検出は図23におけるステップS231の初期設定に利用される。
【0102】
次にステップS253で軸と軸の通過時間差tP(k+1)−tPkに速度を乗じることによって各車両の軸間隔wpqを算出する。この演算は図22の車軸間隔測定手段224によって行われる。
【0103】
次にステップS254で1つの車両の軸間隔wriri(i=1,2、…)を、軸間隔データベース(図7のデータベース725)と照合して車種を特定する。
【0104】
次にステップS255で測定時間内のすべての車両rについて照合が完了したかを判定し、未完了であればステップS253からステップS255を繰り返し、完了であればステップS256にて車種を決定して自動的且つリアルタイムに記憶装置に格納したり表示装置に表示したり過積載車両や速度違反車両の場合には所定機関に通報する等の適切な処置をとる。
【0105】
図25により説明した車両と車両の区切れは図26により一層よく理解できる。図においては、車両1の車軸が基準位置を通過した時刻tP1、tP2、tP3が示されており、車両rの軸の通過時刻tPk、車両r+1の軸の通過実施例記憶tP(k+1)、tP(k+2)が示されており、車両rの軸間隔はwp1、wp2、wp3、wp4であることが示されている。これらの軸間隔をデータベース725にあらかじめ格納してある軸間隔と車種との関係と照合することにより、橋梁を通過している車両の車種を自動的且つ実質的にリアルタイムに検出し、必要な場合には警察に通報するなどの対処を実質的にリアルタイムで行うことができる。
【0106】
(J)複数センサ出力の自動処理
図1に示した重量算出用ひずみセンサ131〜13m及び図2に示した軸検知用センサ群はセンサ401、402、…40l、40(n+1)、411、412、…41l、41(n+1)の出力は隣接する車線からの影響を受けるので複雑な波形となっている。本発明の実施例ではこの複雑な波形から注目する車線に対応するセンサにより検出される車両の速度や荷重を抽出する。これを図27及び28により説明する。
【0107】
図27は本発明の実施例によりセンサ出力の複雑な波形から注目する車線に対応するセンサにより検出される車両による橋梁の応答を抽出する方法を説明するフローチャートである。
最初にステップS271に示すように、活荷重算出用ひずみセンサ13Pから算出した活荷重ひずみfloadP(t)、車線Pにおけるk番目の車軸が基準位置xbを通過した時刻tPk、車線P上のk番目の車両の速度vPk、車両が走行中の車線sPを前述した手法で取得する。
【0108】
図28の(a)は重量算出用ひずみセンサ131〜13mの一つである活荷重算出用ひずみセンサ13mから算出した活荷重ひずみfloadm(t)の時間的変化を示すグラフ図である。図示のように、活荷重ひずみセンサ13mの出力波形は複数の車線からの影響を主とする様々な影響を受けて乱れた波形となっている。
【0109】
図28の(b)は活荷重算出用ひずみ13mに対する車線Pの影響線と車線(P+1)の影響線を示すグラフ図である。影響線とは較正用の曲線である。この影響線は橋梁の長さBL全体にわたって、例えば深夜等他の車両が通行しない時に予め分っている重量の試験車両(例えば10トンの水を搭載した給水車)を走行させて橋梁のひずみを測定して得られる。図において横軸は橋梁の長さ方向BLの位置xを示し、縦軸は活荷重算出用ひずみセンサ13mに対する車線Pの荷重の影響線ImP(x)及び車線(P+1)の荷重の影響Im(P+1)を示している。
【0110】
図28の(c)は図1に示した活荷重ひずみfloadm(t)のピーク時tPk、つまり車線Pにおけるk番目の車軸が基準位置xbを通過した時刻に、影響線ImP(x)のピークを合わせた図である。即ち、図27のステップS272に示すように、時刻tPkによって、floadm(t)の時間軸上における影響線ImPk(x)の位置を特定しており、時刻t(P+1)kによって、floadm(t)の時間軸上における影響線Im(P+1)k(x)の位置を特定している。
【0111】
図28の(d)は図17のステップS174で取得した車線P上のk番目の車両の速度vPkで図28(c)に示した影響線上の活荷重ひずみfloadm(t)を割り算することによって、図27のステップS273に示すように、影響線ImP(x)を影響線ImP(t)に変換し、Im(P+1)(x)をIm(P+1)(t)に変換している。
【0112】
図28の(e)は、図27のステップS274に示すような演算による最小二乗法によって車線P上のk番目の軸重PPkを算出することを説明する図である。即ち、基準線である影響線ImPk(t)及びIm(P+1)kにこのようにして算出された軸重PPkを掛け算することにより影響線は活荷重ひずみfloadm(t)の曲線にほぼ重なる。
【0113】
こうして自動的且つ実質的にリアルタイムで得られた車線P上のk番目の軸重PPkは計算用PC724(図7)内の記憶手段に格納されるか表示手段に表示される等、目的に応じて利用される。
【0114】
本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、例えば、現場側システム71と観測値側システム72との接続を光ファイバーケーブル73に替えて、無線で行っても電気的な接続を行うようにしてもよい。
又、構造物は橋梁に限定されず、固体であって上面が移動物体により特性が変化する物であれば、道路、鉄道、滑走路でもよい。滑走路の場合は、移動物体は航空機でもよい。構造物の特性の変化としては、構造物のひずみ以外に、構造物の変形、温度変化、等がある。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明により、構造物、特に橋梁の上を走行する車両等の移動物体による構造物の特性変化とその特性変化に基づく様々な数値を自動的且つ実質的にリアルタイムで取得することができるので、構造物の安全対策を迅速に行う事ができる。
特に、橋梁の上を走行する車両の重量を演算して過積載の違法車両を自動的且つ実質的にリアルタイムで検出することができるので、橋梁の保護及び安全の確保のための行動を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の一実施例による橋梁ひずみ検出システムの現場側システムの構成例を示す概略図である。
【図2】重量算出用ひずみセンサ131〜13mの設置位置の一例を示す橋梁の一部の斜視図である。
【図3】重量算出用ひずみセンサ131〜13mの設置位置の他の一例を示す橋梁の一部の斜視図である。
【図4】本発明の他の実施例による橋梁ひずみ検出システムの現場側システムの構成例を示す概略図である。
【図5】軸検知用ひずみセンサ401〜40(l+1)及び411〜41(l+1)の設置位置の一例を示す橋梁の一部の斜視図である。
【図6】軸検知用ひずみセンサ401〜40(l+1)及び411〜41(l+1)の設置位置の他の一例を示す橋梁の一部の斜視図である。
【図7】本発明の一実施例による構造物ひずみ検出システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図8】本発明の実施例により、上記温度ひずみと活荷重ひずみの分離及び過積載の違法車を撮影するために、計算用PC724(図7)に内蔵されたシステム構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示したシステムの動作を説明するフローチャートである。
【図10】図8及び図9により説明した温度ひずみ及び最頻値を説明するグラフ図である。
【図11】活荷重ひずみを温度ひずみから分離した後の活荷重の時間変化を示す図である。
【図12】本発明の実施例による大型車両の検知方法を示すグラフである。
【図13】本発明の実施例により計算用PC724(図7)に内蔵された、橋梁上を通過中の車両の走行車線の判定システムのブロック図である。
【図14】図13に示したシステムの動作を説明するフローチャートである。
【図15】隣接する2つの車線に対応する軸検知用ひずみセンサの出力波形の一例を示す図である。
【図16】図16に示した車両走行速度算出システムの動作を説明するフローチャートである。
【図17】図16に示した車両走行速度算出システムの動作を説明するフローチャートである。
【図18】a)は軸検知用ひずみセンサ40mの出力gm1と41mの出力gm2の波形を示すグラフ図、(b)はこれら2つのひずみ波形から算出した自己相関関数C(τ)=∫gm1(t−τ)・gm2(t)dtの波形を示すグラフ図である。
【図19】本発明の実施例による橋梁上の基準位置の通過時刻を自動的且つ実質的にリアルタイムで算出する計算用PC724(図7)に内蔵された時刻算出システムの概略ブロック図である。
【図20】図19に示したシステムの動作を説明するフローチャートである。
【図21】図20におけるステップS201〜ステップS206を説明するグラフ図である。
【図22】本発明の実施例により計算用PC724(図7)に内蔵された、各車両の車軸数の検出システムを示すブロック図である。
【図23】図22に示したシステムの動作を説明するフローチャートである。
【図24】本発明の実施例により、測定区間MLにおける渋滞の発生を検出する方法を説明するフローチャートである。
【図25】本発明の実施例により車両と車両の間を自動的に検出する動作を説明するフローチャートである。
【図26】図25で説明した動作を概略的に説明する図である。
【図27】本発明の実施例によりセンサ出力の複雑な波形から注目する車線に対応するセンサにより検出される車両の速度や荷重を抽出する方法を説明するフローチャートである。
【図28】図27にて説明した方法を説明するグラフ図である。
【符号の説明】
【0117】
11 橋梁
121〜12(n+1) 車線
131〜13m 重量算出用ひずみセンサ
14 動ひずみ計
15 A/D変換器
16 収録用PC
401〜40(n+1) 第1の群の車軸検知用センサ
411〜41(n+1) 第2の群の車軸検知用センサ
71 現場側システム
72 観測地側システム
724 計算用PC
725 データベース
82 最頻値取得手段
83 活荷重算出手段
86 過積載車検出手段
87 撮影手段
88 タイマー
89 通報手段
132 車線判定手段
164 速度算出手段
196 通過時刻判定手段
222 車両検出手段
223 車軸数カウント手段
224 車軸間隔算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に配置されており、該構造物の上を移動物体が走行することによる該構造物の特性の変化を検出する少なくとも1個のセンサを含む現場側システムと、
前記センサの出力を前記構造物から離れた所望の地点で受信して処理する観測地側システムとを備え、
前記観測地側システムにより前記センサの出力を自動的に処理して、前記構造物の特性の変化を検出するようにしたことを特徴とする構造物の特性変化検出システム。
【請求項2】
前記構造物の特性は、前記構造物のひずみ、変位、温度の少なくとも一つを含む前記移動物体の走行に対する応答である、請求項1に記載の構造物の特性変化検出システム。
【請求項3】
前記移動物体は車両であり、前記構造物は車両通行用の道路である、請求項1又は2に記載の構造物の特性変化検出システム。
【請求項4】
前記道路は車両通行用の少なくとも一つの車線を有する橋梁である、請求項3に記載の構造物の特性変化検出システム。
【請求項5】
前記センサは前記橋梁の前記車両の走行面以外の位置に配置された前記車両の重量算出用ひずみセンサを含んでおり、該重量算出用ひずみセンサは、前記橋梁の部材に配置されており、該部材は、前記橋梁を通過する車両によって生じるひずみ応答を、前記車線の全てに対して網羅できる位置にあり、且つ、前記車線内の走行位置の違いに対して、大きくひずみ応答が変化しない部材である、請求項4に記載の構造物の特性変化検出システム。
【請求項6】
前記センサは前記車両の走行方向に直交する左右の車輪を結ぶ車軸を検知するための複数の車軸検知用センサを含んでおり、前記複数の車軸検知用センサはそれぞれ、前記橋梁の前記車両走行面以外の位置に配置されている部材に配置されており、該部材は、前記複数の車線に対応する位置にあり、前記車軸が通過する毎にひずみ応答が独立して生じる部材で、且つ、隣接する車線を前記車軸が通過してもひずみ応答が少ない部材である、請求項4又は5に記載の構造物の特性変化検出システム。
【請求項7】
前記観測地側システムは、所定時間間隔毎に、前記センサの出力に基づいて前記構造物の特性値の最頻値を取得する最頻値取得手段と、該最頻値を前記構造物の温度変化による温度ひずみとして、前記構造物の特性値から前記温度ひずみを除去して活荷重ひずみを自動的に算出して出力する活荷重ひずみ算出手段とを備えている、請求項1から6のいずれか一項に記載の構造物の特性変化検出システム。
【請求項8】
前記観測地側システムは、前記活過重ひずみ算出手段の出力が所定制限値を超えている過積載車両を自動的に検出する過積載車検出手段と、時刻を計時するタイマーと、過積載車を検出した時に自動的且つ実質的にリアルタイムに前記橋梁上の車両のバックプレート番号を前記タイマーが計時した検出時の時刻とともに撮影する撮影手段と、過積載車を検出した時に自動的且つ実質的にリアルタイムで所定機関に通報する通報手段とをさらに備えている、請求項7に記載の構造物の特性変化検出システム。
【請求項9】
前記観測地側システムは、どの車線に対応する前記車軸検知用センサの出力が反応したかを判定することにより、前記車両がどの車線を走行しているかを自動的に判定する車線判定手段を備えている、請求項6に記載の構造物の特性変化検出システム。
【請求項10】
前記車軸検知用センサは、それぞれが前記車線に直交する方向に配列された2群のセンサ群を備えており、前記センサ群は互いに前記車線に平行な方向に所定距離だけ離れて配置されており、前記観測地側システムは、各車線に対応する前記2群のセンサ群の出力波形の相関関数が最大となるときの時間差で前記所定距離を割り算することにより該当車線を通過する車両の走行速度を自動的に算出する速度算出手段を備えている、請求項6に記載の構造物の特性変化判定システム。
【請求項11】
前記観測値側システムは、各車線に対応する前記車軸検知用センサの出力波形の1階微分波形の0値の前後の変化量が所定値以上である期間で、該出力波形の2階微分波形がプラスの区間及び該2階微分波形の極値を検出することにより、車両の通過時刻を自動的に判定する通過時刻判定手段を備えている、請求項6に記載の構造物の特性変化検出システム。
【請求項12】
前記観測地側システムはさらに、前記橋梁上を走行中の車両を1台ごとに検出する車両検出手段と、検出した車両の車軸間隔を算出する車軸間隔算出手段と、検出した車両の車軸数をカウントする車軸数カウント手段を備え、前記車軸数カウント手段は、車両が前記車軸検知用センサを通過する直前から直後の間で、前記車両の車軸数をカウントするカウンタを備えており、前記カウンタは、前記車両が前記車軸検知用センサを通過する前にリセットされており、前記車軸検知用センサの出力波形の1階微分波形の極小値と、前記極小値が検出された時刻以降で最初に前記1階微分波形が極大となる時刻における前記1階微分波形の極大値との差が所定値より大きいと判定された場合に車軸数に1を加算する工程を繰り返す加算手段と、前記検出された車両が前記車軸検知用センサを通過したかどうかを判定する判定手段とを備え、前記判定手段により前記車両が前記車軸検知用センサを通過するまでに、前記加算手段により加算された数を前記車両の車軸数と決定するようにした、請求項6に記載の構造物の特性変化検出システム。
【請求項13】
前記観測地側システムは、軸数及び軸間隔と車種とを関係付けて格納しているデータベースと、前記橋梁上を走行する車両の車種を判定する車種判定手段とを備えており、前記車種判定手段は、各車両毎に軸数及び軸間隔を取得する手段と、取得した軸数及び軸間隔とを前記データベース内の軸数及び軸間隔と照合することにより車種を識別するようにした、請求項4から13のいずれか一項に記載の構造物の特性変化検出システム。
【請求項14】
前記観測地側システムはさらに、渋滞検出手段を備えており、前記渋滞検出手段は、前記重量算出用ひずみ計の出力値が所定時間内に所定値以上変化した場合に、渋滞と判定し、演算若しくは判定を中止するようにした、請求項7から13のいずれか一項に記載の構造物の特性変化検出システム。
【請求項15】
前記観測地側システムはさらに、渋滞検出手段を備えており、前記渋滞検出手段は、前記車線のいずれか一つに関する前記車軸数が0より大であり、且つ、該車線上の車両の速度が所定値より小の場合に、渋滞と判定し、演算若しくは判定を中止するようにした、請求項7から13のいずれか一項に記載の構造物の特性変化検出システム。
【請求項16】
構造物に配置されており、該構造物の上を移動物体が走行することによる該構造物の特性の変化を少なくとも1個のセンサにより検出するステップと、
前記センサの出力を前記構造物から離れた所望の地点の観測地システムで受信して処理するステップとを備え、
前記観測地側システムにより前記センサの出力を自動的に処理して、前記構造物の特性の変化を検出することを特徴とする構造物の特性変化検出方法。
【請求項17】
コンピュータに、構造物に配置されており、該構造物の上を移動物体が走行することによる該構造物の特性の変化を検出する少なくとも1個のセンサにより検出された出力を前記構造物から離れた所望の地点の観測地システムで受信して処理するステップと、
前記観測地側システムにより前記センサの出力を自動的に処理して、前記構造物の特性の変化を検出するステップとを実行させることを特徴とする構造物の特性変化検出プログラム。
【請求項18】
コンピュータに、構造物に配置されており、該構造物の上を移動物体が走行することによる該構造物の特性の変化を検出する少なくとも1個のセンサにより検出された出力を前記構造物から離れた所望の地点の観測地システムで受信して処理するステップと、
前記観測地側システムにより前記センサの出力を自動的に処理して、前記構造物の特性の変化を検出するステップとを実行させるための構造物の特性変化検出プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2006−84404(P2006−84404A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271451(P2004−271451)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】