説明

樹脂モールド装置

【課題】ワークに供給された顆粒樹脂から樹脂粉が飛散し難くハンドリング性がよくメンテナンスコストを低減させた樹脂モールド装置を提供する。
【解決手段】樹脂供給部は、ワークW上に顆粒樹脂70を供給する顆粒樹脂供給部B2を備えており、顆粒樹脂供給部B2から顆粒樹脂70を供給されたワークWをプレス部Cまで移送する風防が設けられたワーク移送機構B3が、ロボットの移動範囲(搬送エリア11)とプレス部Cとの間に併設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顆粒樹脂が供給されたワークをプレス部に搬送して樹脂モールドする樹脂モールド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを複数プレス部に対して供給して樹脂モールドする場合、各プレス部にはローダーによってワーク及びモールド樹脂(タブレット樹脂、液状樹脂、粉末・顆粒状樹脂、或いはペースト状樹脂など)をプレス部に備えたモールド金型に搬入してクランプすることで樹脂モールドされる。
モールド樹脂として顆粒樹脂を用いる場合、ディスペンサによってワーク上に顆粒樹脂が供給されたまま各プレス部まで搬送される間に、樹脂粉が飛散して装置内部のクリーン度が低下する。また、飛散した顆粒樹脂を清掃して復旧させる作業負担が大きい。
【0003】
そこで、粒体樹脂を予め供給ロールからホットプレート上に繰り出された長尺状の離型フィルムに投下して仮成形しておき、そのまま離型フィルムごとプレス部へ搬入して下型に吸着保持し、ワークを上型に吸着保持させておく。そして上型と下型を型閉じして樹脂モールドを行い、樹脂モールド後の離型フィルムは、成形品と分離されて回収ロールに巻き取られる樹脂封止装置が提案されている(特許文献1参照)。特に、WLP製品(円形状製品)の場合、ワーク上に供給する顆粒樹脂は、未充填等の成形不良の発生を防ぐため、ワークの中央部に真円状に供給する必要がある。
【0004】
尚、顆粒樹脂をワーク上に供給するのではなく、樹脂収容プレートの樹脂収容部にリニア振動フィーダーより落下させながら樹脂収容プレートを走査して厚さを均一に供給した後、開口部に離型フィルムを吸着させて樹脂収容部を閉止する。この樹脂収容プレートを反転させてインローダにより保持させ、下型のキャビティ凹部に離型フィルムを重ね合わせて樹脂収容プレートの吸着を解除して下型から吸引することで、離型フィルムが下型のキャビティ凹部を含むクランプ面に吸着保持されることで顆粒樹脂をキャビティ凹部内に一括して供給する場合には、顆粒樹脂の飛散のついての課題はあまり生じない(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−37031号公報
【特許文献2】特開2008−221622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
樹脂供給部から顆粒樹脂を供給されたワークをプレス部に搬送する間に、樹脂粉が飛散するおそれがありハンドリングが難しいという課題がある。この樹脂粉の飛散は、ロボットハンドなどの搬送機構のワーク搬送動作によって生じる場合や、クリーンルーム内の空調などの室内空気の流れなどによっても生ずる。飛散した顆粒樹脂をクリーニングするメンテナンス作業が煩雑となる。
【0007】
特許文献1のように、長尺状の離型フィルムに顆粒樹脂を投下して仮成形しておき、そのまま離型フィルムごとプレス部へ搬入して樹脂モールドする場合、仮成形した顆粒樹脂の形態が不安定に(凹凸面が形成されやすく)なり、キャビティに搬入されて加熱硬化する際に、エアーを巻き込み易くなる。また、離型フィルムの伸縮により皺が発生しやすく成形品質も低下しやすい。
【0008】
また、特許文献2のように離型フィルムが下型のキャビティ凹部を含むクランプ面に吸着保持されることで顆粒樹脂を樹脂収容部からキャビティ凹部内に一括して供給する場合には、キャビティ凹部内に離型フィルムに皺が発生することなく吸着させることが難しいうえに、ワークの供給から樹脂モールドを行なって良品のみを加熱硬化させて収納するまでの一連の作業をコンパクトな装置設計で実現することが難しい。
【0009】
本発明は上記従来技術の課題を解決し、ワークに供給された顆粒樹脂から樹脂粉が飛散し難くハンドリング性がよくメンテナンスコストを低減させた樹脂モールド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
ワークをロボットハンドに保持して各工程間を搬送する回転及び直線移動可能なロボットを備えたワーク搬送機構と、前記ワークを供給するワーク供給部と、前記ワーク供給部から取り出されたワークを樹脂モールドするための樹脂を供給する樹脂供給部と、前記樹脂供給部から供給された樹脂及び前記ワークが搬入されて樹脂モールドされるプレス部と、前記プレス部で樹脂モールドされたワークを収納するワーク収納部と、装置各部の動作を制御する制御部と、を具備し、前記ワーク搬送機構に備えたロボットの移動範囲を囲んで前記ワーク供給部、前記樹脂供給部、前記プレス部及び前記ワーク収納部が配置され、前記ワーク供給部から取り出されたワークに前記樹脂供給部においてモールド樹脂を供給し、該モールド樹脂が供給された前記ワークが風防で遮蔽された状態で前記プレス部まで搬送されることを特徴とする。
上記構成によれば、モールド樹脂が供給されたワークが風防で遮蔽された状態でプレス部まで搬送されるので、ワークから樹脂粉が飛散することはなく、ハンドリング性が向上し、メンテナンスを軽減することができる。
【0011】
また、前記樹脂供給部は、ワーク上に顆粒樹脂を供給する顆粒樹脂供給部を備えており、前記顆粒樹脂供給部から顆粒樹脂を供給されたワークを前記プレス部まで移送する風防が設けられたワーク移送機構が、前記ロボットの移動範囲と前記プレス部との間に併設されているのが好ましい。具体的には、ワーク移送機構は、トンネル状の風防フレーム内にワークを載置したまま移送する無端状のコンベアベルトを備えたコンベア装置が設けられていてもよい。
これによれば、顆粒樹脂が供給されたワークを風防が設けられたワーク移送機構(例えばコンベア装置)によって移送されるので、樹脂粉の飛散は抑えられ、クリーン度を維持したままプレス部へ移送することができる。
【0012】
また、前記風防フレーム内のワーク移送方向上流側には前記ワークに供給された顆粒樹脂を予備加熱する予備加熱部が設けられているのが好ましい。
これによれば、ワークに供給された顆粒樹脂の表面が予備加熱部の予備加熱により溶け出すため、風防フレーム内をワーク移送方向下流側へ移送しても樹脂粉が飛散し難くなるうえに、プレス部における加熱溶融時間も短くすることができる。
【0013】
また、前記風防フレームには、前記ロボットハンドからワークを受け渡す位置、前記風防フレームから前記プレス部に対してワークを受け渡す位置に各々シャッターが開閉可能に設けられているのが好ましい。
これにより、ワークの搬入搬出時以外は風防フレーム内外の空気の流れをシャッターにより遮断して、顆粒樹脂から樹脂粉の飛散を抑えることができる。
【0014】
また、前記樹脂供給部は、前記ワーク上に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部を併有していてもよい。この場合、液状樹脂供給部からプレス部の手前までは、ロボットハンドによってワークが搬送される。
これにより、ワークの種類、製品によって、ロボットハンドによって樹脂供給部を選択して樹脂供給を行ってプレス部に搬送することができる。
【0015】
前記顆粒樹脂供給部は、顆粒樹脂を貯留するホッパーと、該ホッパーから供給された顆粒樹脂をワーク上へ投下する樹脂投下部と、前記ワークを載置して前記樹脂投下部から投下された顆粒樹脂の重量を計測可能な計測部を備えたワーク載置部と、前記ワーク上に投下された顆粒樹脂に均しブレードを近接させながら回転させて投下された顆粒樹脂を均す均し機構と、を備えていてもよい。
上記構成によれば、ワーク載置部に載置されたワーク上に樹脂投下部から山盛り状に投下して供給された顆粒樹脂は、均し機構のブレードを近接させながら回転させてワーク上で真円状に凹凸なく均すことにより所定高さで供給することができ、未充填等の成形不良の発生を防ぐことができる。
【0016】
前記均しブレードは、回転軸に接続する中央部が高くなるように形成されていると、プレス部でクランプされた際に、樹脂に混入した気泡を外周側のエアベントを通じて逃げやすくすることができる。
【0017】
前記ワーク載置部に載置されたワークの周縁部に近接配置させて投下した顆粒樹脂の飛散を防ぐ飛散防止枠を備えているのが好ましい。
これにより、ワークの周縁部に飛散防止枠を近接配置するので樹脂投下部から投下した顆粒樹脂が拡散することなくワーク中央部に山盛り状に投下することができる。
【0018】
前記ワーク載置部には、前記ワークの側面を対向位置でガイドすることにより位置決めする、位置決め治具が設けられていることが望ましい。
これにより、円形のワークや矩形のワークであっても、対向位置で側面をガイドすることでワーク中央部の位置出しが容易に行える。
【0019】
樹脂供給動作時以外に前記飛散防止枠とワークとの間に進入して前記樹脂投下部から落下した顆粒樹脂がワークに付着するのを遮断する落下防止トレイが進退動可能に設けられているのが好ましい。
これにより、樹脂供給動作時以外に樹脂投下部に残留する顆粒樹脂がワーク載置部に落下するおそれはなく計量誤差の発生を防ぐことができる。
【0020】
前記樹脂投下部は、電磁フィーダーによりトラフを所定方向に振動させて顆粒樹脂を送り出し、前記ワーク載置部に備えた計測部が樹脂供給量より少ない所定重量を計測すると、前記電磁フィーダーの駆動を停止させるようにしてもよい。尚、所定重量は、電磁フィーダー停止後にトラフからワークに落下する樹脂量を見込んで設定される。
これにより、樹脂投下部よりワークに供給される顆粒樹脂の供給量を所定誤差範囲内で計測して安定供給することができる。
【発明の効果】
【0021】
上記樹脂モールド装置を用いれば、ワークや樹脂の供給から樹脂モールドを行なって成形品を収納するまでの一連の作業をコンパクトな装置構成で効率よく行い、しかもワークに供給された顆粒樹脂から樹脂粉が飛散し難くハンドリング性がよくメンテナンスコストを低減させた樹脂モールド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】樹脂モールド装置の全体構成例を示す平面レイアウト図である。
【図2】多関節ロボットの側面図及びロボットハンドの説明図である。
【図3】ティーチング用ハンドの高さ方向及びX−Y方向の位置合わせ動作を示す説明図である。
【図4】ワーク供給部の説明図である。
【図5】多関節ロボットによるワーク供給部及びワーク収納部に対するワークの取り出し及び収納動作の説明図である。
【図6】液状樹脂供給部の一例を示す説明図である。
【図7】顆粒樹脂供給部一例を示す正面図及び平面図である。
【図8】顆粒樹脂供給部のトラフの斜視図である。
【図9】顆粒樹脂供給部のブレードの断面形状の説明図である。
【図10】他例に係るブレード形状と顆粒樹脂を均した後のワークの状態説明図である。
【図11】他例に係るブレード形状の説明図である。
【図12】顆粒樹脂供給部からプレス部までのワーク移送機構の一例を示す説明図である。
【図13】プレス部へのワーク搬入搬出動作を示す説明図である。
【図14】圧縮成形動作を示す断面説明図である。
【図15】他例に係る圧縮成形動作を示す断面説明図である。
【図16】冷却部とワーク検査部の説明図である。
【図17】加熱硬化部のシャッター開閉動作及びワーク収納状態を示す説明図である。
【図18】顆粒樹脂供給動作の説明図である。
【図19】図18に続く顆粒樹脂供給動作の説明図である。
【図20】他の顆粒樹脂供給の動作説明図である。
【図21】図20に続く顆粒樹脂供給動作の説明図である。
【図22】図21に続く顆粒樹脂供給動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る樹脂モールド装置の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。以下の実施形態では、プレス装置の一例として圧縮成形装置を用い、下型を可動型とし上型を固定型として説明する。
【0024】
(樹脂モールド装置の全体構成)
図1は、本発明に係る樹脂モールド装置の一実施形態である平面レイアウト図である。本実施形態の樹脂モールド装置は、ワーク搬送機構Hに備えた多関節ロボットの移動範囲を囲んでワーク供給部A、液状樹脂供給部B1、顆粒状樹脂供給部B2、ワーク移送機構B3、プレス部C、ワーク検査部D(冷却部)、加熱硬化部E及びワーク収納部Fのような各処理工程を行う処理部と、これら処理部の動作を制御する制御部Gが配置されている。プレス部Cの近傍には情報読取り部Iが設けられている。また樹脂供給部B1の近傍には、表示部J及び操作部Mが設けられている。このように多関節ロボットの移動範囲を囲んで各工程を配置したことにより、移動距離が短縮されて工程間で効率の良いワーク搬送が実現できる。以下各部の構成について具体的に説明する。
【0025】
図1において、ワークWは、半導体チップがキャリア上に保持されたものが用いられる。このワークWは、例えばE−WLP(Embedded Wafer Level Package)若しくはeWLB (embededd Wafer Lebel BGA)と呼ばれる樹脂封止方法に用いられるものである。具体的には、例えばウエハ搬送治具のような周辺装置を共用するため半導体ウエハと同じサイズとして、直径12インチ(約30cm)の丸型の金属製(SUS等)のキャリアプレートKに熱はく離性を有する粘着シート(粘着テープ)が貼着されており、該粘着シートに複数の半導体チップが行列状に粘着されたものが用いられる。各ワークWの縁部には、製品に関する情報が対応付けられた情報コード(QRコード、バーコード等)が付与されている。なお、キャリアプレートKは矩形状であってもよい。この場合、半導体チップを複数行の行列状配置する場合、半導体チップが配置できないエリアを小さくすることができ成形効率上好ましい。
【0026】
また、ワークWとしては、半導体チップがキャリアプレートK上に保持されたE−WLP(eWLB)用のワークWではなく、再配線層にボールマウントしたウエハを樹脂モールドするウエハレベルパッケージ(WLP)のワークWであってもよい。この場合、可能なときはウエハ自体に情報コードを付与してもよいし、マガジンの各スリット(収納位置)に対して個別に情報コードを付与してもよい。更に、ワークWは半導体チップが実装された樹脂基板やリードフレームであっても良い。
【0027】
(表示部L及び操作部M)
図1に示すように、表示部L及び操作部Mは一体的に配置されている。作業者は、表示部Lに表示された情報を確認しながら、必要に応じて操作部Mを操作して装置内部における各部(例えば多関節ロボット2)の動作を制御可能となっている。また、後述する各種情報の入力や変更を行なうことも可能となっている。なお、通信回線を用いることで装置から離れた位置に表示部と操作部を設けて遠隔操作する構成としてもよい。
【0028】
(ワーク搬送機構H)
図2(A)において、ワーク搬送機構Hは、ワークWをロボットハンド1に保持して各工程間を搬送する回転及び直線移動可能な多関節ロボット2を備えている。多関節ロボット2は、折りたたみ可能な垂直リンク2aによる上下動可能な垂直多関節ロボットと、水平リンク2bを水平面内で回転と移動が可能な水平多関節ロボットとの組み合わせにより構成されている。水平リンク2bの先端にはロボットハンド1が設けられている。2箇所の水平リンク2bとロボットハンド1は各々垂直軸2c,2d,2eを中心に回転可能に軸支されている。上記各リンクは、図示しないサーボモータに備えたエンコーダにより回転量が検出されてフィードバック制御が行われる。このように、多関節ロボット2を備えた構成を採用することにより、垂直リンク2aによって上下方向において任意の位置にロボットハンド1を移動させる動作と、水平リンク2bによって水平方向において任意の位置でロボットハンド1を移動させる動作とを並行して行うことができる。このため、多関節ロボット2の移動範囲を囲んで配置された各処理部の間でワークWを直線的に搬送することができ、各処理部へ搬送するのに要する時間を最短にすることができる。これにより、後述するようにワークWと液状樹脂をプレス部Cへ搬入して樹脂モールドするような次工程にワークWを迅速に搬送することができ、成形品質の向上に寄与することができる。
【0029】
また、図2(B)に示すように、ロボットハンド1は、先端が二又状に分かれることで、ワークWの中央を避けてワークWの外周付近を保持可能となっている。ロボットハンド1には、同図に示すように、先端と根元側の3箇所においてワークWの外周を吸着可能な吸着孔1aとこれに連通する吸引路1bが形成されている。ロボットハンド1は、キャリアプレートKを載置してその裏面を吸着保持するようになっている。尚、ロボットハンド1は、ワークWを吸着保持するほかに、爪で挟み込むように機械的にチャックする方式でも良い。また、ロボットハンド1は垂直軸2eを中心に回転する他に、水平軸を中心に回転することでワークWを反転可能な構成としても良い。
【0030】
また、図1において、多関節ロボット2のベース部3は、直動ガイドレール4に沿って往復移動可能に設けられている。例えば、ベース部3に設けられたナットにボールねじが連繋しており、図示しないサーボモータにより正逆回転駆動することにより、多関節ロボット2が直動ガイドレール4に沿って往復動するようになっている。
【0031】
図3(A)において、多関節ロボット2は、装置組立て時にはロボットハンド1に代えてレーザー変位計6と撮像装置(カメラ)7を備えたティーチングハンド5を用いて各工程のワーク受け渡し位置に備えたティーチング冶具8に対してX−Y−Z方向の位置決めを行なって組み付けられる。例えばティーチング治具8は所定の大きさの矩形板状に形成されたものが用いられる。具体的には、撮像装置7によって撮像される様子を表示部Lに表示しながらティーチングハンド5の概略位置を決める。次いで、レーザー変位計6よりティーチング冶具8に対してレーザー光を照射して図3(A)に示すように垂直リンク2aを上下動させてエッジを検出することで高さ位置(Z方向)を調整し、図3(B)に示すように水平リンク2bを回転させることでティーチングハンド5を左右方向に移動させてエッジを検出することでX−Y方向の位置を調整する。
【0032】
具体的には、まず、ワーク受渡し位置(図1で各部において破線で示したロボットハンド1の位置)の中心とティーチング冶具8の中心とを合わせるようにティーチング冶具8をセットする。次いで、撮像装置7によって撮像される様子を表示部Lに表示しながら操作部Mを操作して、ティーチング冶具8の手前にティーチングハンド5が位置するように多関節ロボット2を動作させ概略の位置決めを行う。この際に、ティーチングハンド5とティーチング冶具8との距離をレーザー変位計6により計測する。この距離とティーチング治具8の奥行き方向の幅とに基づき、ワーク受渡し位置の中心のティーチングハンド5に対する位置(奥行き方向)が測定される。
【0033】
続いて、ティーチングハンド5をティーチング冶具8に対して左右方向に移動させることで、ティーチング冶具8の両側における縁部の位置がレーザー変位計6の出力値のエッジとして検出される。これらの縁部の位置の中央として、ワーク受渡し位置の中心のティーチングハンド5に対する位置(左右方向)が測定される。次いで、ティーチングハンド5をティーチング冶具8に対して上下方向に移動させることで、ティーチング冶具8の上側における縁部の位置が検出される。この縁部の位置とティーチング冶具8の厚みとに基づき、ワーク受渡し位置のワークを載置する面の高さが測定される。このように、前後方向、左右方向及び上下方向の3方向においてティーチングハンド5に対する距離(位置)情報を取得することで、ワーク搬送機構Hの座標上における各部の受渡し位置の座標が測定される。
【0034】
このように、ティーチングハンド5及びティーチング冶具8を用いることで、各工程のワーク受渡し位置のX−Y−Z方向における正確な座標が取得され記憶部47に記憶され、制御部Gはこれに基づいて多関節ロボット2の動作を制御する。なお、ティーチング冶具8の形状は、X−Y−Z方向における相対的な位置関係が分かれば矩形板以外の形状でもよい。また、後述する加熱硬化部Eや冷却部Nのように1つの装置内に複数の受渡し位置を有する場合は、一部の受渡し位置について座標を取得してそれを元に全ての受渡し位置について算出してもよいし、全てについて座標を取得して受け渡し位置を各々算出してもよい。
【0035】
これによって、多関節ロボット2を組み付ける際にその周囲に設けられる各装置に対して搬入搬出する多関節ロボット2(ワークW)の高精度な位置出しが簡易な構成を用いて行えるので、樹脂モールド装置の組立自体に高い精度を求める必要がなく組立作業を簡略化し装置の立ち上げに要するコストを大幅に削減することができ、総合的には大幅なコストダウンを図ることができる。
【0036】
尚、多関節ロボット2に変えて、水平多関節ロボットや垂直多関節ロボットやその他の種類のロボットやアクチュエータ等を適宜組み合わせたロボットを用いた構成を採用しても良い。また、プレス部Cの数に応じて多関節ロボットを複数台設けることも可能である。この場合、例えば、ワーク供給部Aからプレス部Cまでを一の多関節ロボットによって搬送し、プレス部Cからワーク収納部Fまでを一の多関節ロボットによって搬送するように搬送する範囲を分けることができる。これにより、より多くのワークWを並行して成形することができ、生産性をさらに向上することができる。
【0037】
(ワーク供給部A、ワーク収納部F及び情報読取り部I)
図1において、多関節ロボット2が往復動する直動ガイドレール4の手前側には、ワーク供給部Aとワーク収納部Fが併設されている。具体的には、ワークW(被成形品)を収納した供給マガジン9と、ワークW(成形品)を収納可能な収納マガジン10が2列ずつ併設されている。尚、供給マガジン9と収納マガジン10とは構造が同様であるので、以下では供給マガジン9の構造を代表して説明するものとする。また、2列設けられた供給マガジン9は、同じ種類のワークWを収納する場合でも、異なる種類のワークWを収納する場合でもいずれでも良い。収納マガジン10についても同様である。また、供給マガジン9及び収納マガジン10を1列ずつ設ける構成としてもよく、或いはそれぞれを3列以上設ける構成としてもよい。また、供給マガジン9及び収納マガジン10としてFOUPのような密閉式の搬送容器を用いることができる。
【0038】
以下、図4を参照してワーク供給部Aの構成について説明する。多関節ロボット2が移動する搬送エリア11とワーク供給部A(ワーク収納部F)とは仕切り壁12によって遮断されている。ワークWを粉塵や熱などの影響がない環境下で保管するためである。供給マガジン9は、公知のエレベータ機構13によって昇降可能に支持されている。エレベータ機構13は、駆動源により回転する搬送手段(無端状の搬送ベルト、搬送チェーンなど)によって昇降ガイド14に沿って昇降動作するようになっている。エレベータ機構13には供給マガジン9が2段に重ねて載置されている。各供給マガジン9の両側壁にはスリット(凹溝)が対向して形成されており、該スリットにワークWのキャリアプレートKを挿入して支持している。仕切り壁12には、エレベータ機構13の上昇位置付近に取出し口12aが開口して設けられている。取出し口12aは、開閉可能なシャッター15により閉塞されている。シャッター15は、シリンダ、ソレノイドなどの駆動源により開閉するように設けられる。
【0039】
次にワーク供給部AからのワークWの取出し動作に一例について図5(A)〜(C)を参照して説明する。
図5(A)において、エレベータ機構13は昇降ガイド14の上昇位置にあるもとする。このとき、供給マガジン9は最下側のワークWが取出し口12aに対向した位置にある。多関節ロボット2を起動してロボットハンド1を仕切り壁12を隔ててシャッター15に対向する位置まで移動させる。
【0040】
次に、図5(B)に示すように、制御部Gは、駆動源を制御してシャッター15を開放して、ロボットハンド1を取出し口12aから供給マガジン9内に最下側のワークWの下方に進入させる。そして、ワークWにロボットハンド1を接触させるように若干上昇させて受け取った状態で吸着保持し、そのまま凹溝に沿って供給マガジン9から取出し口12aを経て仕切り壁12の外(搬送エリア11)へ搬出する。
【0041】
その後、図5(C)に示すようにシャッター15を閉じ、多関節ロボット2は、ワークWを図1に示すワーク移送機構B3に搬送する。また、エレベータ機構13は、次のワークWの取出しに備えて取出し口12aに対向する位置まで所定量下降して待機する。以降のワークWの取出しは同様の動作を繰り返し行われる。
尚、ワーク収納部Fにおいては、成形後のワークWを吸着保持したロボットハンド1が搬送エリア11から収納マガジン10内に凹溝沿って進入してワークWの吸着を解除することでスリットに受け渡す以外は、ワーク供給部Aと同様の動作が行われる。
【0042】
ワーク移送機構B3には、図12に示す風防フレーム71内にコード情報読取り装置16a,アライナ16bが設けられている。供給マガジン9からワークWが風防フレーム71内に搬送されると、アライナ16bを回転させることでワークWの情報コードをコード情報読取り装置16aの直下に移動させる。この際に、ワークWは一定の方向に統一される。また、コード情報読取り装置16aは、ワークWに付与された製品に関する情報コード(QRコード、バーコード等)を読み取る。この情報コードに対応して、記憶部47には、樹脂供給情報(樹脂種別、樹脂供給量、供給時間など)やモールド条件(プレス番号、プレス温度、プレス時間、成形厚など)、キュア情報(キュア温度、キュア時間など)、冷却情報(冷却時間)、などの成形条件が記憶されている。コード情報読取り装置16が読み取った情報コードに対応した成形条件情報に基づいて、搬送しているワークWに対して後述する各工程の処理を行う。多関節ロボット2は成形条件の読み取りが完了したワークWを樹脂供給部Bからワーク収納部Fに至る後の各処理工程へ順次搬送する。
【0043】
(樹脂供給部Bの構成)
図1において、装置手前側に設けられたワーク供給部Aに隣接して液状樹脂供給部B1が設けられ、ワーク搬送機構Hの移動範囲より奥側に顆粒樹脂供給部B2が各々設けられている。尚、液状樹脂供給部B1は省略されていてもよい。
先ず液状樹脂供給部B1の構成について説明する。液状樹脂供給部B1には複数のシリンジを回転可能に保持したリボルバ式のシリンジ供給部17を挟んで両側にディスペンスユニット18が2系統設けられている。なお、液状樹脂供給部B1は、樹脂の冷却と除湿のために内部の温度と湿度を調節可能となっている。また、装置側面には扉が設けられており、作業者がシリンジを交換可能となっている。
【0044】
図6において、シリンジ保持部17は、保持部本体17aに回転ホルダー17bが回転可能に支持されている。シリンジ19は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂といった熱硬化性樹脂を所定量ずつ貯留し、回転ホルダー17bの上部に設けられたフランジ部17cに周方向で6箇所に設けられた凹部17dに保持されている。また、回転ホルダー17bの下方にはシリンジ19の先端に設けられたチューブノズル19aから万一液状樹脂が漏出してもこれを受け止めるための樹脂受け部17eが設けられている。保持部本体17aの上部にはモータ20が組み付けられており、モータ20のモータ軸20aはフランジ部17cと連繋している。モータ20を起動すると、回転ホルダー17bは所定方向に回転するように設けられている。尚、回転ホルダー17bの下端部においてチューブノズル19aが位置する高さにピンチバルブ19bが設けられており、各シリンジ19のチューブノズル19aを押し挟み閉止することで液だれを防いでいる。
【0045】
次に、図6において、一方のディスペンスユニット18について説明する。なお、他方のディスペンスユニット18もシリンジ供給部17を挟んで反対側に反転した配置に同様の構成を有するため説明を省略する。ディスペンスユニット18は、シリンジ保持部17に対して接離動可能なユニット本体18aにピストン保持部18bが上下動可能に保持されている。ピストン保持部18bの上部にはピストン18cが上下動可能に設けられている。また、ピストン保持部18bには、ピストン18cより下方にシリンジ19を受け取って保持するチャック18dが設けられている。また、チャック18dより下方には、シリンジ19やチューブノズル19aの姿勢を保持するガイド部18eが設けられている。ユニット本体18aは図示しない駆動源(モータ、シリンダ等)を起動すると液材吐出位置より退避した待機位置からシリンジ保持部17へ近接してチャック18dにシリンジ19を保持する。ユニット本体18aはシリンジ19を保持したまま液材吐出位置Jへ移動してピンチバルブ19bを開放し、ピストン18cを図示しないシリンダやモータなどの駆動源により下動させてシリンジ19内に圧入することでチューブノズル19aより液状樹脂を吐出しワークWに供給する。所定量の液状樹脂をワークW上に供給したら、ピストン18cの動作を停止しピンチバルブ19bによってチューブノズル19aが閉じて、液だれによる供給樹脂量の変動や装置内の汚染を防止するようになっている。
【0046】
また、ユニット本体18aの近傍には捨て打ちカップ20が回転可能に設けられている。捨て打ちカップ21は、シリンジ19から液状樹脂を吐出する際に、チューブノズル19a先端側の比較的品質が劣化した液状樹脂を吐出するため設けられている。捨て打ちカップ21は、ワークWに液状樹脂を吐出する前に液材吐出位置Jへ回転移動して不要樹脂が捨て打ちされる。
【0047】
また、液材吐出位置Jには、ロボットハンド1から受け取ったワークWを載置するワーク載置部22が設けられている。ロボットハンド1で支持突起22aが挟まれる位置まで樹脂供給部B内に進入させることにより(図1,6参照)、ワークWはロボットハンド1に保持された状態でキャリアプレートKが支持突起22a上に搬送される。ワーク載置部22にはロボットハンド1に吸着保持されたワークWの吸着が解かれて載置され、ワークWはキャリアプレートKが支持突起22aに支持される。ワーク載置部22には、重量計23が設けられており、ワークWの重さとワークWに吐出される液状樹脂の重さが計量される。液状樹脂の吐出量は、製品に応じて成形条件として記憶されており、目標値に対して所定の精度(例えば±0.3g程度)で吐出される。この場合、実際に樹脂が供給された樹脂の供給情報(樹脂供給部番号、シリンジ番号、樹脂供給量、供給開始から供給終了時刻など)がこのワークWに対応する稼働情報として記憶される。
【0048】
また、樹脂供給部Bでは、ピストン18cの上下方向の位置に応じてディスペンスユニット18にセットされたシリンジ19内における液状樹脂の残量を監視しシリンジ19の交換を自動的に行う。交換が必要と判断されたときには、使用後のシリンジ19をシリンジ保持部17に戻すと共に、樹脂が充填済みの使用前のシリンジ19を自動的に受け取る構成となっている。この場合、例えばシリンジ保持部17に保持されたシリンジ19が全て使用後済みとなったときに、シリンジ保持部17に保持されたシリンジ19を交換するように表示部Jに表示して作業者に指示を出す。これにより、ディスペンスユニット18に装填されたシリンジ19から樹脂供給を継続しながらシリンジ19の交換も行うことができるため、シリンジ19交換のために装置を停止する必要がなく、装置のスループットの向上に寄与することができる。
【0049】
液状樹脂が吐出されたワークWは、ワーク載置部22よりロボットハンド1に吸着保持されてプレス部Cへ搬送される。この場合、例えば樹脂供給部Bからプレス部Cへの移動に要する時間が長くなった場合、供給した液状樹脂封が吸湿してしまったり、プレス部Cに搬入する前に加熱されてしまったりするなどの不具合が発生することがある。しかしながら、多関節ロボット2を用いてワークWを短時間で移動可能な構成にしたことにより、例えばエアシリンダー等により移動可能とした所定の搬送経路上を動作させる構成と比較して、短時間かつ均一な時間で移動することができる。
【0050】
以上のように構成された2つのディスペンスユニット18でシリンジ供給部17を併用しシリンジ19の交換を自動的に行うことができる構成とすることにより、途切れなく樹脂供給を行うことができ、コンパクトな構成で複数プレス部Cにおいて連続する樹脂モールド動作に追従することができ、生産効率の向上に寄与することができる。
【0051】
次に顆粒樹脂供給部B2の構成について図7を参照して説明する。
顆粒樹脂供給部B2は、ワークWに1回の樹脂モールド量に相当する顆粒樹脂を供給する。なお、顆粒樹脂に替えて粉末樹脂を供給してもよい。図7(A)において、顆粒樹脂はホッパー51に貯留されている。樹脂投下部52は、ホッパー51より供給された顆粒樹脂を受けるトラフ53と該トラフ53を振動させて顆粒樹脂をワークWに向って送り出す電磁フィーダー54を備えている。電磁フィーダー54は、一対の振動板を所定方向に振動させてトラフ53内で顆粒樹脂を送り出すようになっている。
【0052】
ワーク載置部55は、ワークWを載置して樹脂投下部52から投下された顆粒樹脂の重量を計測可能な電子天秤56(計測部)を備えている。電子天秤56上には、ワークWの側面を対向位置でガイドすることにより位置決めする位置決め治具57が設けられている。
位置決め治具57は、図7(B)に示すように十字状の支持台57aの対向位置にガイド爪57bが突設されており、対向する一対のガイド爪57bによってワークWの側面をガイドする。これにより、円形のワークWや矩形のワークWであっても、対向位置で側面をガイドすることでワーク中央部の位置出しが容易に行える。
【0053】
また、ワーク載置部55の上方には、均し機構58が昇降可能に設けられている。具体的には、飛散防止枠59内に高さ方向に所定幅の均しブレード60が回転可能に支持されている。均し機構58は、位置決め治具57に載置されたワークWの周縁部に飛散防止枠59を近接させて投下した顆粒樹脂の飛散を防ぐ。また、飛散防止枠59内に山盛り状に投下された顆粒樹脂に均しブレード60を近接させながら回転させて投下された顆粒樹脂を均すようになっている。
【0054】
均しブレード60は、飛散防止枠59と共にブレード駆動モータ61のモータ軸61aに吊り下げ支持されている。また、ブレード駆動モータ61は、昇降スライダー62に一体に支持されている。昇降スライダー62は、昇降用モータ63により回転駆動されるボールねじ64に連繋しており、昇降用モータ63を所定方向に回転駆動すると昇降用スライダー62が昇降するようになっている。昇降用モータ63及び昇降用スライダー62は、ブレード支持台65に一体に支持されている。
上記構成によれば、ワーク載置部55に載置されたワークW上に山盛り状に投下して供給された顆粒樹脂は、均し機構58の均しブレード60を回転させてワークW上で真円状に凹凸なく均すことにより所定高さで供給することができ、未充填等の成形不良の発生を防ぐことができる。
【0055】
また、ワーク載置部55に近傍には、落下防止トレイ66が飛散防止枠59とワークWとの間に進退動可能に設けられている。落下防止トレイ66は、樹脂供給動作時以外に樹脂投下部52(トラフ53)から落下した顆粒樹脂がワークWに付着するのを防止する。具体的には、トレイ駆動モータ67のモータ軸67aには回転アーム68が一体に組み付けられている。該回転アーム68の先端には例えば円形状の落下防止トレイ66が一体に組み付けられている。落下防止トレイ66は、図7(B)に示す退避位置からトレイ駆動モータ67を起動して回転アーム68を回転させることで飛散防止枠59とワークWとの間に進入させることができる。
これにより、樹脂供給動作時以外に樹脂投下部52に残留する顆粒樹脂がワーク載置部55に落下するおそれはなく落下防止トレイ66で受け止めて計量誤差の発生を防ぐことができる。
【0056】
図8に示すように、トラフ53は、長手方向一方側から見て、断面V字状の送り方向溝部53aが形成されている。また、顆粒樹脂を投下する下流端に平面視V字状の切欠き部53bが成形されている。
これにより、均しブレード60を回転駆動する駆動モータ61のモータ軸61aをトラフ53の下流端に形成されたV字状の切欠き部53bを通じてワークW上で中央部に配置することができ、かつトラフ53の長手方向溝部53a内に顆粒樹脂を集めて下流側へ送り出し、顆粒樹脂を拡散することなくワーク中央部に山盛り状に投下することができる。
【0057】
尚、均しブレード60の断面形状は、例えば図9(A)に示すように上端60aがくさび状に細く形成され、下端60bが平坦な形状に形成される。これは、上端60aは顆粒樹脂がトラフ53から投下された際に均しブレード60上部に顆粒樹脂を乗り上げさせることなく投下量すべてをワークW上に供給するためであり、下端60bは顆粒樹脂を押し下げることなく平坦に均すことで顆粒樹脂内に存在する半導体チップに対して圧力を加えずに均すためである。このため、例えばモータ軸61aを挟んで両側で下端60b側において均しブレード60の回転方向の面を垂直に形成すると共に、反対の面を傾斜させて下端60bの先端を薄くすることで摩擦面を小さくすることもできる。
また、図9(B)に示すように、下端60bがR面(曲面)状に形成されていてもよい。これにより、均しブレード60と顆粒樹脂の摩擦を抑制して静電気の発生を防止することができる。
或いは、図9(C)に示すように、均しブレード60の板厚をより薄くして上端60aを剣先のように先鋭に形成して顆粒樹脂の乗り上げをより確実に防止するようにしてもよい。
【0058】
また、樹脂投下部52は、電磁フィーダー54によりトラフ53を所定方向に振動させて顆粒樹脂を送り出し、ワーク載置部55に備えた電子天秤56が樹脂供給量より少ない所定重量を計測すると、電磁フィーダー54の駆動を停止させるようになっている。尚、所定重量は、電磁フィーダー54停止後にトラフ53からワークWに落下する樹脂量を見込んで設定される。
これにより、樹脂投下部52よりワークWに供給される顆粒樹脂の供給量を所定誤差範囲内で計測して安定供給することができる。
【0059】
また、図7(A)に示すように、ワーク載置部55の上方には、顆粒樹脂の飛散防止枠59及び均しブレード60への静電付着を防ぐためのイオナイザー(静電気除去器)69が設けられている。これにより、顆粒樹脂が、飛散防止枠59や均しブレード60などに静電吸着されるのを防いで、顆粒樹脂の供給量が変動するのを防ぐことができる。
【0060】
図10に示すように、均しブレード60は、モータ軸61aと連結する長手方向中央部60cが高くなるように突形状に形成されていてもよい。これにより、ワークW上に山盛り状に投下された顆粒樹脂70が均された形状もワーク中央部のみが山盛り状に高くなるように均される。これにより、ワークWがプレス部Cでクランプされた際に、溶融樹脂に混入した気泡を外周側のエアベントを通じて逃げやすくすることができる。
【0061】
また、図11に示すように、直線板状部材の中央(モータ軸61aの下端)において水平面に対して角度θだけ下方に折り曲げた均しブレード160を用いてもよい。これによれば、ワークW上に顆粒樹脂を傾斜の小さい三角錐状となるように均すことができる。溶融樹脂に混入した気泡を外周側のエアベントを通じて逃げやすくすることができるほか、上述の山盛り状に高く均す構成と比較して高さを抑えて均一に加熱することができる。
尚、上記実施形態は液状樹脂若しくは顆粒状樹脂を供給する装置構成について説明したが、他の樹脂(タブレット樹脂、ペースト状樹脂、シート状樹脂など)の供給装置をワークWの形態に応じて適宜選択可能である。
【0062】
(ワーク移送機構B3)
次に顆粒樹脂供給部B2からプレス部Cへのワーク移送機構B3の構成について図1及び図12を参照して説明する。
図1に示すように、ワーク移送機構B3は、多関節ロボット2の移動範囲とプレス部Cとの間に併設されている。顆粒樹脂供給部B2から顆粒樹脂70を供給されたワークWを風防が設けられたワーク移送機構B3を通じてプレス部Cまで移送する。
上記構成によれば、風防が設けられたワーク移送機構B3によって、顆粒樹脂供給部B2から顆粒樹脂70を供給されたワークWをプレス部Cまで移送するので、ワークWから樹脂粉が飛散することはなく、ハンドリング性が向上し、メンテナンスを軽減することができる。
【0063】
図12において、ワーク移送機構B3は、トンネル状の風防フレーム71内にワークWを載置したまま移動するコンベア装置72が設けられている。コンベア装置72は、ローラ対に無端状のコンベアベルト73は架設されている。コンベアベルト73は、粉塵の発生しないスチールベルトを2本備え、後述するスライダー機構75が進入可能な所定間隔離して設けられている。
これにより、顆粒樹脂が供給されたワークWをコンベアベルト73に載置して風防フレーム71内を移送されるので、樹脂粉の飛散は抑えられ、クリーン度を維持したままプレス部Cへ移送することができる。また、液状樹脂を用いた成形と、顆粒樹脂を用いた成形を並行して実施することができる。
【0064】
また、風防フレーム71には、ロボットハンド1からワークWを受け渡す位置P風防フレーム71からプレス部Cに対してワークWを受け渡す位置Q1,Q2にフレームシャッター74a,74b,74cが開閉可能に設けられている。具体的には、受け渡し位置Pは、風防フレーム71の側面に、受け渡し位置Q1,Q2は、風防フレーム71の天井位置にフレームシャッター74a,74b,74cが設けられている。これにより、風防フレーム71内外の空気の流れを遮断して、顆粒樹脂から樹脂粉の飛散を防ぐことができる。例えば樹脂モールド装置内ではワークWを搬送するロボットハンド1の動作や温度調整するための装置上部へのエアーの吸い込みによって風が起こされる。このため、例えばパウダー状の微細な顆粒樹脂70では吹き飛ばされてしまう可能性がある。しかしながら、上述のように風防フレーム71によって装置内における風から顆粒樹脂70を保護することが可能となっている。
【0065】
また、風防フレーム71内の受け渡し位置Pには、スライダー機構75が設けられている。このスライダー機構75は、ロボットハンド1からワークWを受け取ると顆粒樹脂供給部B2へ移送し、ワーク載置部55の位置決め治具57にワークWを受け渡し、顆粒樹脂70が供給されたワークWを受け取って受け渡し位置Pに移送する。
【0066】
また、受け渡し位置Q1,Q2には、ワークWの通過を検知するワークセンサ(図示せず)及びコンベアベルト73によって搬送されてきたワークWを所定位置に停止させるストッパー76a,76b及びこれによってワークWが受け渡し位置Q1,Q2に移送されたことを検出する位置検出センサ76c,76dが設けられている。ワークセンサによってワークWが検出されると、コンベア装置72の駆動を停止させる。
【0067】
受け渡し位置Q1,Q2には、コンベアベルト73間に、ワーク載置部77a,77bが昇降可能に設けられている。ワーク載置部77a,77bはエアシリンダー78a,78bによりコンベアベルト73の下方から上昇させることによりワークWをコンベアベルト73より受け取って上昇する。風防フレーム71の天井位置に設けられたフレームシャッター74を開放し、プレス部Cに設けられたローダー32のローダーハンド32aに引き渡される。尚、各プレス部Cとワーク移送機構B3との境界部には、プレス側シャッター25によって仕切られている。ローダーハンド32aに引き渡されたワークWは、ローダー32によって型開きしたプレス部に搬入される。
【0068】
また、風防フレーム71内の受け渡し位置Pの上方(ワーク移送方向上流側)には、予備加熱部79が設けられている。予備加熱部79は、顆粒樹脂供給部B2で顆粒樹脂70が供給されたワークWを受け渡し位置Pで予備加熱することで顆粒樹脂70を加熱する。
これにより、プレス部Cにおける加熱溶融時間も短くすることができる。また、高温で予備加熱することで顆粒樹脂70の表面を溶融させてもよい。この場合、移送時に樹脂粉が飛散し難くなる。なお、予備加熱部79は設けられていなくてもよい。
【0069】
(プレス部C)
次に図13乃至図16を参照してプレス部Cの構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態では複数のプレス部Cが直動ガイドレール4より奥側に併設されている。一例としてプレス部Cを2台設けたが、1台であっても3台以上であっても良い。またプレス部Cは同じ製品を樹脂モールドするモールド金型を備えていても、異なる製品を樹脂モールドするモールド金型を備えていてもいずれでも良い。プレス部Cの搬送エリア11に臨む側には仕切り壁24が設けられており、該仕切り壁24には開口部24aが設けられている。開口部24は開閉可能なプレス側シャッター25によって通常は閉塞されている。シャッター25は、シリンダ、ソレノイドなどの駆動源により開閉するように設けられる。
【0070】
図13(A)において、プレス部CはワークWをクランプして樹脂モールドするモールド金型が装着された公知のプレス装置26を備えている。プレス装置26は、上型プラテン27に上型(例えば固定型)28、下型プラテン29に下型(例えば可動型)30が各々組み付けられている。下型30に搬入されたワークWを上型28とでクランプすることにより圧縮成形される。上型プラテン27と下型プラテン29は四隅をタイバー31が挿通しており、モールド金型の開閉動作をガイドしている。
【0071】
また、プレス部Cにはプレス装置26から搬送エリア11にかけて往復動可能なローダー32が設けられている。また、シャッター25により開口部24aが覆われた手前側の搬送エリア11には、ワーク載置部33が設けられている。ワーク載置部33には、ロボットハンド1に吸着保持された液状樹脂が塗布されたワークWが受け渡され、或いはプレス装置26からローダー32によって取出されたワークWが受け渡される。
【0072】
また、仕切り壁24の開口部24aにはレール34がプレス装置26内からワーク載置部33の上方を含む搬送エリア11に至る領域に敷設されている。ローダー32はレール34に沿って搬送エリア11からプレス装置26との間を往復動する。レース34は開口部24aの両側に設けられておりシャッター25の開閉動作に干渉することがない。ローダー32はワーク載置部33の上方に待機しており、ワークWをロボットハンド1から受け取って下型30へ搬入し、成形後のワークWを下型30からワーク載置部33へ取出す。
【0073】
図13(A)において、キャビティが形成されている上型28が組み付けられた上型プラテン27には、破線で示すようにフィルム供給装置35が設けられている。フィルム供給装置35は上型28のクランプ面を覆う長尺状のリリースフィルム36(図14(A)参照)をリール間で繰り出し及び巻き取りを行う装置である。リリースフィルムは上型面に公知の吸引機構により吸着保持されるようになっている。リリースフィルム36としては、モールド金型の加熱温度に耐えられる耐熱性を有するもので、金型面より容易に剥離するものであって、柔軟性、伸展性を有するフィルム材、例えば、PTFE、ETFE、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。
【0074】
ワークWのプレス部Cへの搬入搬出動作及びプレス動作について説明する。図13(A)において、プレス装置26の上型28と下型30とは型開きした状態にあり、仕切り壁24のシャッター25は開口部24aを閉塞した状態にある。ロボットハンド1に吸着保持されたワークWはワーク載置部33に載置されて吸着が解除されて受け渡される。ロボットハンド1が退避すると、図13(B)に示すようにローダー32がワーク載置部33よりワークWをハンドにより掴みシャッター25が開放した状態で開口部24aよりプレス装置26内に進入して下型30にワークWをセットする。
【0075】
下型30にワークWがセットされた状態を図14(A)に示す。ワークWをセットしたローダー32はプレス装置26から開口部24aを経て搬送エリア11に戻るとシャッター25が閉じて、プレス装置26がワークWをクランプして圧縮成形が行われる。図14(B)に示すように、下型30が上昇して上型28との間でワークWがクランプされる。上型28のキャビティ28aを含むクランプ面にはリリースフィルム36が吸着保持されている。
【0076】
また、圧縮成形が終了すると、図14(C)に示すようにプレス装置26が型開きし、ワークWはリリースフィルム36が吸着された上型28より離型し、下型30に載置されたままの状態にある。プレス側シャッター25が開放されるとローダー32が搬送エリア11からプレス装置26内に進入して下型30に載置されたワークWを掴んで搬送エリア11へ取出してワーク載置部33に受け渡す(図13(A)参照)。
【0077】
ここでプレス装置26の他例について図15を参照して説明する。
上述したプレス装置26と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。例えばE−WLP成形のようにワークWとしてキャリアプレートKに粘着テープを貼って、該粘着テープに半導体チップを粘着させたものを封止するときには、加熱により半導体チップを樹脂で封止した成形品をキャリアプレートKから取り外す処理を樹脂モールド後に行っている。このようなワークWを用いた成形では、プレス装置26の下型30に直接搬入したときから加熱によって粘着テープの粘着力の低下が始まってキャリアプレートK上を流動する樹脂によって半導体チップがキャリアプレートKの外側に向かって移動してしまう可能性がある(いわゆるフライングダイ)。
【0078】
そこで、図15(A)において、下型30にフロートピン37を設けてワークWが直接下型面に触れないようにしても良い。フロートピン37は、下型30より内蔵されたコイルばね38等によりピン先端が上型面に向けて突出するように常時付勢されている。コイルばね38はワークWを載置した状態で、フロートピン37が下型30内に完全に退避しない(ワークWと下型面との間にクリアランスが生じる)程度のばね係数のあるものが好ましい。尚、ワークWがフロートピン37により下型面よりフローティング支持されると、ローダー32(図13(A)参照)のハンドと下型30との干渉を防いでかつワークWを掴み易くなるという利点がある。この場合、ワークWを下型30に吸着する吸着機構を備えているのが好ましい。これにより、型開きの際に下型30側に吸着しておくことで、封止されたワークWが上型28に貼り付いた状態となることを防止することができる。
【0079】
図15(A)は型開きしたプレス装置26にワークWが搬入された状態を示す。ワークWは、フロートピン37を押し下げながらも下型面より離間した状態でフローティング支持されている。これにより、粘着テープの加熱を遅らせることができる。
【0080】
図15(B)は、プレス装置26が型閉じした状態を示す。ワークWは上型28と下型30とでクランプされており、フロートピン37はコイルばね38を圧縮して下型30内へ退避した状態にある。
【0081】
圧縮成形が完了するとプレス装置26が型開きする。図15(C)に示すように、下型30が下動すると、ワークWはモールド面がリリースフィルム36に覆われた上型28より離型し、かつ下型30のフロートピン37がコイルばね38の弾性力によって突出するため、下型30よりフローティング支持される。この状態で搬送エリア11に待機する前述したローダー32によりワークWがワーク載置部33へ搬出される。また、制御部Gは、例えば成形したプレス部Cの番号、金型温度曲線、クランプ圧力曲線、成形厚、フィルム使用量等の実際の成形条件を稼働情報として記憶部47に記憶する。

【0082】
(ワーク検査部D)
次にワーク検査部Dの構成について図16を参照して説明する。図16において、ベース部39には直動レール39aが設けられている。この直動レール39aには可動ステージ40がレール長手方向に往復動可能に設けられている。可動ステージ40は例えば公知の駆動機構、ナット部がボールねじに連繋し、該ボールねじをモータにより正逆回転駆動することにより直動レール39a上を往復動するようになっている。
【0083】
可動ステージ40は直動レール39の一端側であるワーク受取位置に待機している。この可動ステージ40に、プレス部Cで圧縮成形されたワークWがロボットハンド1によって載置され吸着を解除されて受け渡される。受け渡し位置にある可動ステージ40のワーク搬送機構H側には、レーザー変位計41がワークWの上下一対で設けられており、ロボットハンド1によってワークWが可動ステージ40に載置される前に該レーザー変位計41によってレーザー光を照射してワークWの厚みが計測される。制御部Gは、測定した厚みを稼働情報として記憶部47に記憶する。この場合、ワークWの厚みからキャリアプレートKの厚みを差し引くことで成形品の厚みを算出可能である。また、可動ステージ40は、直動レール39の一端側より他端側に移動する。この直動レール39の他端側の上方には外観検査部42が設けられている。外観検査部42では、成形品を一括或いは分割して撮像して外観観察によって未充填、フローマークまたはフライングダイのような成形不良がないか否かが検査される。成形の良否と不良がある場合には不良の種類や撮像画像を稼働情報として記憶部47に記憶する。検査が終了すると、ワークWを載置した可動ステージ40が受け渡し位置へ戻って、ロボットハンド1に受け渡されて、加熱硬化部Eへ搬送される。
尚、異常(想定を上回る未充填など)が検出されたときには表示部Jにその旨を通知し、装置全体の動作を止めてメンテナンスすることで、不良品が連続生産されるのを防ぐことができる。
【0084】
(加熱硬化部E)
次に加熱硬化部Eの構成について図17(A)(B)を参照して説明する。加熱硬化部Eにはキュア炉43が設けられており、検査後のワークWをロボットハンド1によりキュア炉43に収納してモールド樹脂を120℃から150℃程度で加熱硬化(ポストキュア)することで加熱硬化を完了させる。図17(A)において、キュア炉43内には、対向配置されたスリット43aが高さ方向に所定ピッチで形成されこのピッチでワークWが保持されるようになっている。ワークWをキュア炉43に収納するときには、いずれかに形成されたスリット43aに沿ってワークWを挿入して保持するようになっている。
【0085】
図1においてキュア炉43の搬送エリア11を囲む側には内扉44が設けられており、装置外面側には外扉45が開閉可能に設けられている。図17(A)に示すように、内扉44には2段分のスリット43a位置に対応して開口部44aが設けられている。内扉44の内方には開閉扉46が各開口部44aを常時遮断するように個別に開閉可能に設けられている。また、同図及び図1に示すように、12段のスリット43aを平面視で2列備えることで、総数で24枚のワークWを並行してポストキュアすることが可能となっている。
【0086】
この場合、プレス部Cで樹脂モールドしてからポストキュアを開始するまでの時間が長くなった場合、樹脂モールド部分に反りが発生してしまうことがある。しかしながら、多関節ロボット2を用いて高さ方向にもワークWをスムーズに移動可能な構成にしたことにより、高さの異なる所望のスリット43aに対していずれも短時間で移動可能となっている。このように、搬送に要する時間が成形品質に影響のあるモールド装置では多関節ロボット2による搬送時間の短縮の効果は特に大きい。
【0087】
図17(B)において、一つの開閉扉46を開放すると2枚分のワークWをロボットハンド1によって上下2段のスリット43aに各々挿入して保持させることができる。このように開閉扉46を個別に開閉することで開閉面積を小さくしてワークWを収納取出しすることができるので、炉内の温度の低下を防ぎ、かつ搬送エリア11側への放熱を抑制することができる。
【0088】
ワーク検査部Dにおいて検査されたワークWはロボットハンド1に吸着保持されてキュア炉43へ搬送される。図17(A)に示すようにキュア炉43は開閉扉46が閉塞されて所定温度に加熱されている。例えば最上位置のスリット43aにワークWを挿入するときは、ロボットハンド1が内扉44に近づくと制御部Gが図示しない駆動機構を制御して図13(B)に示すように最上位置のスリット43aに対向する開閉扉46が開放し、ロボットハンド1が炉内に進入してワークWをスリット43aに沿って挿入する。そして、ロボットハンド1の吸着を解いてワークWをキュア炉43に受け渡してからロボットハンド1がキュア炉43から退避する。ロボットハンド1が内扉44より離れると開閉扉46を閉塞する。以上の動作が繰り返し行われる。ワークWをキュア炉43に収納してから所定時間経過すると、再度ロボットハンド1がキュア炉43内に進入して、ワークWを吸着保持したままキュア炉43より搬出し冷却部へ搬送するようになっている。
【0089】
(冷却部N)
図16に示すように冷却部Nは、ワーク検査部Dの上方における空間に、冷却用マガジン48が設けられている。冷却用マガジン48内の両側壁には、対向配置されたスリット48aが高さ方向に所定ピッチで形成されておりこのピッチでワークWを保持可能に構成されている。この場合、ロボットハンド1を任意の高さに移動可能な多関節ロボット2によって、所定のスリット48aに対してワークWを受渡し可能となっている。成形品の加熱硬化が完了したワークWはロボットハンド1により吸着保持されたまま冷却部Nのスリット48a(受け渡し位置)へ搬送されて吸着を解除されて受け渡される。この状態で所定時間放置することでワークWが自然冷却される。尚、冷却部は、ワーク検査部Dとは別個に設けることも可能であるが、ワーク検査部D上の空いているエリアを利用することで装置をコンパクトに構成することができる。
【0090】
(ワーク収納部F)
ワーク収納部Dの構成は前述したようにワーク供給部Aの構成と同様である。ロボットハンド1は、冷却部で冷却されたワークWを可動ステージ40より受け取って隣接する収納マガジン10へ搬送して収納する。
【0091】
(制御部G)
図1において、制御部Gは、CPU(中央演算処理装置)やROM、RAMなどの記憶部47を備え、前述した装置各部の動作を制御する。記憶部47には各種制御プログラムが記憶されているほかに、ワーク搬送対象候補リストや搬送順序情報やワークWに付されたコード情報が記憶されている。CPUは、ROMより必要なプログラムをRAMに読み出して実行させ、RAMを用いて入力情報を一次的に記憶させたり入力情報に応じた演算処理を行ったりして制御プログラムに基づいてコマンドを出力する。
【0092】
制御部Gには、ワーク供給部Aの稼働情報(受け渡し済みの供給マガジンスリット番号)、コード情報読取り装置16の稼働情報(レシピ情報;樹脂条件、モールド条件、キュア条件、冷却条件)、樹脂供給部Bの情報(シリンジ番号;(樹脂の種類、樹脂の解凍時刻、収容総量)、使用料(供給毎/総量)、供給開始/完了時刻)、プレス部Cの稼働情報(金型温度曲線、クランプ圧力曲線、成形厚、フィルム使用量)、キュア炉43の稼働情報(炉内温度)、ワーク検査部Dの稼働情報(フライングダイ、成形厚)、ワーク収納部Fの情報(受取済みスリットの位置)などの情報が随時入力され、各部に必要なコマンドを出力する。制御部Gは、このような稼働情報や上述した成形条件などをワークWに紐付けして記憶する。これにより、成形後のワークWについての実際の製造条件等を確認することができる。例えば成形後のワークWのキャリアプレートKの情報コードを読取ることで、成形条件と稼働情報とを確認することができ、実際の成形品と関連する情報を容易に閲覧可能としたことにより、成形条件の最適化に利用可能となっている。
尚、制御部Gはワーク搬送機構Hを囲むように配置されているが、例えばコントローラのように有線若しくは無線により遠隔操作できるものであっても良い。
【0093】
次に、顆粒樹脂供給部B3に搬入されたワークWへの顆粒樹脂供給動作の一例について図18及び図19を参照して説明する。
図18(A)において、ワーク載置部55の位置決め治具57に位置決めされたワークWに、飛散防止枠59を近接させる。飛散防止枠59は、モータ軸61aを介して昇降スライダー62に支持されている(図7参照)。昇降用モータ63を起動して昇降用スライダー62を下降させると飛散防止枠59をワークWに近接配置させることができる。
【0094】
次に、図18(B)に示すように、電磁フィーダー54を作動させて、ホッパー51からトラフ53に供給された顆粒樹脂70を当該トラフ53内の送り方向溝部53a内を下流端に向けて送り出し、下流端である切欠き部53bからワークWへ順次投下させる。このとき、顆粒樹脂70はモータ軸61aの周囲を落下し均しブレード60の両側を通過してワークWの中央付近に山盛り状に投下される。顆粒樹脂70は、ワークW上に落下した際に跳ね飛ばされても飛散防止枠59に堰き止められるため、ワークWよりこぼれ出すことはない。尚、電磁フィーダー54は、電子天秤56の計測値が所定値に到達すると、顆粒樹脂70の投下を停止する。
【0095】
次に図18(C)に示すように、飛散防止枠59の高さ位置はそのままで、昇降用モータ63を起動して昇降用スライダー62を下降させてブレード駆動モータ61を起動して均しブレード60を回転させながら飛散防止枠59内に下降させる。これにより、ワークWの中央部山盛り状に投下された顆粒樹脂70が徐々に周辺部に向って均されてゆく。この際に、均しブレード60の回転方向前方に積みあがった顆粒樹脂70は均しブレード60の高さを越えたときにはこれを乗り越えて後方に脱落するが、均しブレード60によって繰り返し均されるために最終的には顆粒樹脂70は平らに均される。なお、均しブレード60の上端形状が上述したように凸状になっているため、顆粒樹脂70が均しブレード60上に乗り上がったままになることはない。また、顆粒樹脂70を均す際に顆粒樹脂70が乗り越えられるように均しブレード60を所定幅とすることにより、均しブレード60の前方に積みあがった顆粒樹脂70の量を適切に制御できる。このため、積みあがった顆粒樹脂70を均しブレード60で押していくことにより発生するワークW側(下側)への分力を小さくして半導体チップに対する荷重を極力小さくすることもできる。
【0096】
図19(A)は、図18(C)より顆粒樹脂70の均しが進んだ状態を示す。次いで図19(B)に示すように、顆粒樹脂70が飛散防止枠59の近傍まで広げることにより顆粒樹脂70の高さ方向の厚みは均一に均された状態となり、均し動作が完了する。尚、顆粒樹脂70は、飛散防止枠59によりワークW上で仕切りが形成されていること、ワークW上に半導体チップが実装されており、凹凸面が形成されているため、ワークWの外周縁よりはみ出すことはない。
【0097】
次に、図19(C)に示すように、昇降用モータ63を起動して昇降用スライダー62を上昇させて飛散防止枠59及び均しブレード60を上昇させる。次に、トレイ駆動モータ67を起動して回転アーム68を回転させて、飛散防止枠59とワークWとの隙間に落下防止トレイ66を進入させてワークW上に顆粒樹脂70や樹脂粉などが落下するのを防ぐ。
【0098】
ワークWはスライダー装置75(図12参照)によって、風防フレーム71内の受け渡し位置Pに送られて、コンベアベルト73に受け渡される。コンベアベルト73に載置されたワークWは必要に応じて予備加熱部79で予備加熱された後、プレス部Cへ移送されてプレス側のローダー32に受け渡される。例えば顆粒樹脂70やワークWの厚みのためにプレス部Cでの加熱時間が長くなりすぎてしまう場合には予備加熱することが特に有効である。
【0099】
尚、液状樹脂供給部B1からワークWに供給されたワークWはロボットハンド1によって風防フレーム71のフレームシャッター74b,74cを開放して上昇したワーク載置部77a,77bへ受け渡された後、プレス部C側のローダー32のローダーハンド32aに受け渡される。
【0100】
上記樹脂モールド装置を用いれば、ワークWや樹脂の供給から樹脂モールドを行なって成形品を検査しポストキュアを行って収納するまでの一連の作業をコンパクトな装置構成で効率よくしかも製品に応じた仕様で樹脂モールドが行える樹脂モールド装置を提供することができる。また、異なる製品に対して液状樹脂と顆粒樹脂を使い分けて供給して樹脂モールドすることができる。また、複数プレス部Cに対して成形後のワーク搬出動作と次のワークの搬入動作が連続するように多関節ロボット2による搬送動作を制御することで各プレス部Cにおいて連続して樹脂モールドを行うことができる。
【0101】
上述した樹脂モールド装置は、ワーク搬送機構Hに備えた多関節ロボット2も1台に限らず複数台設けて、搬送エリアを分担させてワークWの搬送を行うことも可能である。
また、プレス装置26は圧縮成形装置に限らずトランスファモールド装置であってもよく、減圧空間を形成してモールドを行っても良い。
また、成形前後のワークWを1つのマガジンに収容することで、ワーク供給部Aとワーク収納部Fとを共用してもよい。この場合、樹脂モールド後のワークWによって樹脂モールド前のワークWが加熱されることを防止するために、樹脂モールド後に冷却してから収納するのが好ましい。
【0102】
なお、上述した樹脂モールド装置において、必要に応じて直動ガイドレール4及びコンベア装置72を延長することで既存構造を残しながらプレス部Cを初めとする装置各部の設置数を増やすことができる。この場合、直動ガイドレール4上における多関節ロボット2の移動と多関節ロボット2によるロボットハンド1の駆動とを並行して行うことによりワークWを迅速に搬送できるため、プレス部C等が増加して装置の全長が長くなったとしても速度をほとんど下げることなく樹脂モールド可能である。
【0103】
なお、均しブレード60を用いた顆粒樹脂供給部B2に替えて、点状または線状に描画するように顆粒樹脂を投下することで供給するライティング形式の顆粒樹脂供給部B20を用いてもよい。顆粒樹脂供給部B20は、図20〜図22に示すように、正方形のワークWに対して矩形に顆粒樹脂を供給することができる。ただし、ライティング形式での供給であるため、上述したような円形のワークWであっても例えば径の異なる同心円を描画するように供給する動作を繰り返すことで所望の位置に顆粒樹脂を円形に供給することも可能である。
【0104】
また、短冊状(矩形状)、三角形状や六多角形等の多角形、または、多角形等を組み合わせた異形形状といった任意形状のワークWであっても外部装置で設定した形状に投下位置を移動させるように制御することで供給することができる。このため、装置変更などを伴わずに多種のワークWに簡易に対応できる。また、ワークW中心とほぼ同心の放射線状に供給する動作を所定の角度毎に繰り返してに供給することもできる。また、ライティング形式での供給を行うため、任意の位置に任意の分量の顆粒樹脂を供給することもできる。例えば、半導体チップ129が搭載された位置に対する供給量よりもそれ以外の位置(基板128が露出する位置)に対する供給量を増加させることで、供給された顆粒樹脂の上面の高さを一致させる(凹凸を減らす)こともできる。これによれば、モールドする際の樹脂の流れを減らしてワイヤーフローを防止することができる。
【0105】
また、顆粒樹脂供給部B20は、ワークWを保持可能なステージ131と、ステージ131をXYZ方向に移動可能に支持するXYZ駆動機構133と、ワークWの重量(ワークWに供給された顆粒樹脂の重量を含む)を測定する重量計(重量センサ)157とを有している。ステージ131は、ワークW外周を保持する部分を除いた中央部分を貫通する貫通孔131aが形成されている。ステージ131は、外周部でワークWを吸着保持する。なお、ステージ131は、爪部材によってワークWの外周で保持してもよい。重量センサ157は、ステージ131の貫通孔131aを貫通した状態でワークWの重量を測定する。
【0106】
XYZ駆動機構133では、図示しない駆動源により、X軸レール134上でX軸スライダー135がX方向にスライドし、Y軸レールが取り付けられたX軸スライダー135上でY軸スライダー136がY方向にスライドする。このY軸スライダー136上にはさらにZ軸レール155が設けられており、Z軸レール155上でZ軸スライダー156がZ方向にスライドする。
【0107】
また、顆粒樹脂供給部B20は、ワークWに顆粒樹脂を先端から投下する樹脂投下部132(例えばシュータ)を有している。この顆粒樹脂供給部B20は、例えば上述の顆粒樹脂供給部B2における顆粒樹脂投下のための構成と同等の顆粒樹脂投下用の構成を有し、トラフ53から顆粒樹脂を投下させシュータを介してワークWへ投下する。この場合、シュータを用いて樹脂投下部132の先端を小径にし、ワークWの水平面内へ所定の供給量を所定の位置に顆粒樹脂をより正確に供給(ライティング)することができる。このため、供給位置をより精密に調整することができる。また、下方に延出したシュータをワークWに近づけて供給するため、前述した飛散防止枠59(図7(A)(B)参照)を用いずに、顆粒樹脂の飛散を防止することができる。また、図20(A)に破線で示すように、シュータ(樹脂投下部132)内の下端部近傍において段状に縮径して、顆粒樹脂の落下位置に積み上がり防止のため顆粒樹脂の安息角より大きい傾斜を有する傾斜部を設けてもよい。この場合、トラフ53から落下してきた顆粒樹脂をこの傾斜部に衝突させることで速度を低下させた後にワークWに投下することで、顆粒樹脂がワークW上に投下する際の運動エネルギーを小さくすることができ、微細なワイヤによって半導体チップがワイヤボンドされたワークWであってもダメージを与えることなく樹脂を供給することができる。
【0108】
このように構成される顆粒樹脂供給部B20において、まず、ステージ131でワークWを受け取って、図20(A)に示すように、ステージ131を下降させることで重量計(重量センサ)157に載置しワークWの重量を測定する。次いで、スライダー156をZ軸方向に上昇させ、ワークWを重量計157からステージ131に受け渡す。次いで、樹脂供給情報(樹脂供給量)に基づいてワークW上に顆粒樹脂を供給(投下)する。顆粒樹脂供給部B20では、第1供給工程として、ワークWへの顆粒樹脂の全供給量のうちの大半(例えば90%程度)を供給する。この第1供給工程では、樹脂投下部132の先端からワークWに顆粒樹脂を投下して供給しながら(図20(B)参照)、ステージ131をワークWの水平面内でXY方向につづら折り状(ハッチング状)に移動させて(図21参照)、ワークW上に下地樹脂部127aを形成する(図20(C)参照)。
【0109】
次いで、顆粒樹脂供給部B20では、第2供給工程として、ワークWへの顆粒樹脂の全供給量から1回目の樹脂投下量を差し引いた残量(例えば10%)を供給する。この第2供給工程では、図22に示すように、樹脂投下部132の先端からワークWの中央に顆粒樹脂を投下することで供給して、下地樹脂部127a上に中高樹脂部127bを形成する。
【0110】
このように、ワークW上に顆粒樹脂を規定量供給した後、ステージ131を所定の位置に移動させて、再度重量計157で顆粒樹脂が供給された状態のワークWの重量を測定する。この測定値が実際の顆粒樹脂の供給量として記録される。なお、上述の動作で供給したときに重量計157での2度目の測定の結果供給量が若干少なめになったときには、残りの供給量をさらに供給することもできる。なお、要求される供給精度によっては上述の第1供給工程において供給量の全量を供給してもよい。
【0111】
また、風防フレーム71においてワークWを移送構成について説明したが本発明はこれに限定されない。例えば、図2に二点鎖線で示すように、ロボットハンド1のワークWの保持位置を囲う箱状の風防を設け、モールド樹脂を供給したワークWを風防で遮蔽された状態でプレス部Cまで搬送してもよい。これによれば、顆粒樹脂の飛散を防止することができる。なお、風防を設けたロボットハンド1とこれを設けていないロボットハンド1とを備える多関節ロボットを用いて、顆粒樹脂供給部B2,B20からプレス部Cへの搬送のみに風防を設けたロボットハンド1を用いるように使い分けることもできる。
【0112】
また、ワークWはプレス部Cから取り出した後、任意の時点で反転させてモールドされた面が下面に向けられるように搬送して各部での処理を行い収納することもできる。この場合、モールド樹脂への塵等の付着を効果的に防止することができる。
【0113】
また、均しブレード60と同様の均しブレードを直線的に移動させることで均してもよい。例えばワーク中央部に山盛り状に投下した顆粒樹脂70上において均しブレードをXY平面における厚み方向において前後に移動させることで均してもよい。この場合、キャビティサイズよりも十分に小さい孔が開けられた枠を配置してこの中ですり切るように拡げてもよい。また、顆粒樹脂70はワークW上において線状に投下した後に、投下された顆粒樹脂70の短手方向に均しブレードを移動させて均すこともできる。これによれば、顆粒樹脂70を矩形に供給する構成及び工程を簡易化できる。
【符号の説明】
【0114】
A ワーク供給部 B1 液状樹脂供給部 B2,B20 顆粒状樹脂供給部 B3 ワーク移送機構 C プレス部 D ワーク検査部 E 加熱硬化部 F ワーク収納部 G 制御部 H ワーク搬送機構 I 情報読取り部 N 冷却部 W ワーク K キャリアプレート 1 ロボットハンド 2 多関節ロボット 3,39 ベース部 4 直動ガイドレール 5 ティーチングハンド 6 レーザー変位計 7 撮像装置 8 ティーチング冶具 9,9a,9b 供給マガジン 10,10a,10b収納マガジン 11 搬送エリア 12,24 仕切り壁 13 エレベータ機構 14 昇降ガイド 15,25 シャッター 16 コード情報読取り装置 17 シリンジ供給部 18,18f,18g ディスペンスユニット 19 シリンジ 20 モータ 20a,61a,67a モータ軸 21 捨て打ちカップ 22,33,55,77a,77b ワーク載置部 23 重量計 26,26a,26b プレス装置 27 上型プラテン 28 上型 28a,30a キャビティ 28b 爪部 29 下型プラテン 30 下型 31 タイバー 32 ローダー 32a ローダーハンド 34 レール 35 フィルム供給装置 36 リリースフィルム 37 フロートピン 38 コイルばね 39a 直動レール 40 可動ステージ 41 レーザー変位計 42 外観検査部 43 キュア炉 43a,48a スリット 44 内扉 45 外扉 46 開閉扉 47 記憶部 48 冷却用マガジン 51 ホッパー 52 樹脂投下部 53 トラフ 53a 送り方向溝部 53b 切欠き部 54 電磁フィーダー 56 電子天秤 57 位置決め治具 57a 支持台 57b ガイド爪 58 均し機構 59 飛散防止枠 60 均しブレード 61 ブレード駆動モータ 62 昇降スライダー 63 昇降用モータ 64 ボールねじ 65 ブレード支持台 66 落下防止トレイ 67 トレイ駆動モータ 68 回転アーム 69 イオナイザー 70 顆粒樹脂 71 風防フレーム 72 コンベア装置 73 コンベアベルト 74a,74b,74c フレームシャッター 75 スライダー装置 76a,76b ストッパー 76c,76d 位置検出センサ 78a,78b エアシリンダー 79 予備加熱部 127a 下地樹脂部 127b 中高樹脂部 128 基板 129 半導体チップ 131 ステージ 131a 貫通孔 132 樹脂投下部 133 XYZ駆動機構 134 X軸レール 135 X軸スライダー 136 Y軸スライダー 155 Z軸レール 156 Z軸スライダー 157 重量計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークをロボットハンドに保持して各工程間を搬送する回転及び直線移動可能なロボットを備えたワーク搬送機構と、
前記ワークを供給するワーク供給部と、
前記ワーク供給部から取り出されたワークを樹脂モールドするための樹脂を供給する樹脂供給部と、
前記樹脂供給部から供給された樹脂及び前記ワークが搬入されて樹脂モールドされるプレス部と、
前記プレス部で樹脂モールドされたワークを収納するワーク収納部と、
装置各部の動作を制御する制御部と、を具備し、
前記ワーク搬送機構に備えたロボットの移動範囲を囲んで前記ワーク供給部、前記樹脂供給部、前記プレス部及び前記ワーク収納部が配置され、
前記ワーク供給部から取り出されたワークに前記樹脂供給部においてモールド樹脂を供給し、該モールド樹脂が供給された前記ワークが風防で遮蔽された状態で前記プレス部まで搬送されることを特徴とする樹脂モールド装置。
【請求項2】
前記樹脂供給部は、ワーク上に顆粒樹脂を供給する顆粒樹脂供給部を備えており、
前記顆粒樹脂供給部から顆粒樹脂を供給されたワークを前記プレス部まで移送する風防が設けられたワーク移送機構が、前記ロボットの移動範囲と前記プレス部との間に併設されている請求項1記載の樹脂モールド装置。
【請求項3】
前記ワーク移送機構は、トンネル状の風防フレーム内にワークを載置したまま移送する無端状のコンベアベルトを備えたコンベア装置が設けられている請求項2記載の樹脂モールド装置。
【請求項4】
前記風防フレーム内のワーク移送方向上流側には前記ワークに供給された顆粒樹脂を予備加熱する予備加熱部が設けられている請求項2又は請求項3記載の樹脂モールド装置。
【請求項5】
前記風防フレームには、前記ロボットハンドからワークを受け渡す位置、前記風防フレームから前記プレス部に対してワークを受け渡す位置に各々シャッターが開閉可能に設けられている請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の樹脂モールド装置。
【請求項6】
前記樹脂供給部は、前記ワーク上に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部を併有している請求項2乃至請求項5のいずれか1項記載の樹脂モールド装置。
【請求項7】
前記顆粒樹脂供給部は、顆粒樹脂を貯留するホッパーと、該ホッパーから供給された顆粒樹脂をワーク上へ投下する樹脂投下部と、前記ワークを載置して前記樹脂投下部から投下された顆粒樹脂の重量を計測可能な計測部を備えたワーク載置部と、前記ワーク上に投下された顆粒樹脂に均しブレードを近接させながら回転させて投下された顆粒樹脂を均す均し機構と、を備えている請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の樹脂モールド装置。
【請求項8】
前記均しブレードは、回転軸に接続する中央部が高くなるように形成されている請求項7記載の樹脂モールド装置。
【請求項9】
前記ワーク載置部に載置されたワークの周縁部に近接配置させて投下した顆粒樹脂の飛散を防ぐ飛散防止枠を備えている請求項7記載の樹脂モールド装置。
【請求項10】
前記ワーク載置部には、前記ワークの側面を対向位置でガイドすることにより位置決めする位置決め治具が設けられている請求項7記載の樹脂モールド装置。
【請求項11】
樹脂供給動作時以外に前記飛散防止枠とワークとの間に進入して前記樹脂投下部から落下した顆粒樹脂がワークに付着するのを遮断する落下防止トレイが進退動可能に設けられている請求項7記載の樹脂モールド装置。
【請求項12】
前記樹脂投下部は、電磁フィーダーによりトラフを所定方向に振動させて顆粒樹脂を送り出し、前記ワーク載置部に備えた計測部が樹脂供給量より少ない所定重量を計測すると、前記電磁フィーダーの駆動を停止させる請求項7記載の樹脂モールド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−42017(P2013−42017A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178592(P2011−178592)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000144821)アピックヤマダ株式会社 (194)
【Fターム(参考)】