説明

樹脂射出成形製の回転部材

【課題】簡便に軸部材の回転軸芯と軸部材挿入孔の軸芯とを一致させることができる樹脂射出成形製の回転部材を提供する。
【解決手段】軸部材Yを内挿する挿入孔40を備え、内挿された軸部材Yと一体回転し、或いは、軸部材Yに対して相対回転する樹脂射出成形製の回転部材Xであって、回転軸芯に沿う回転部材Xの両側に軸部材Yに当接する第1軸支部41aおよび第2軸支部41bを備えると共に、これら軸支部41a,41bの間に中間部41cを備え、回転軸芯から何れか一つの径外方向に沿った回転部材Xの内外面間の壁厚につき、中間部41cの壁厚が、第1軸支部41aに隣接する端部位置、又は、第2軸支部41bに隣接する端部位置で最小となるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸部材を内挿する挿入孔を備え、内挿された前記軸部材と一体回転し、或いは、前記軸部材に対して相対回転する樹脂射出成形製の回転部材に関する。
【背景技術】
【0002】
回転運動型の電動アクチュエータであるモータは、種々の機器に組み込まれ、数多く利用されている。車載用途においても、オイルポンプやウォーターポンプ、パワーステアリング装置、シート、ドアなどの駆動にモータが利用されている。
【0003】
当該モータを形成するロータユニットは、中心に軸部材が貫通する軸部材挿入孔が形成された円柱状のヨーク及び当該ヨークの内部に軸部材挿入孔に沿って内蔵されたマグネットを有するロータと、ロータの一端側に設けられたインペラと、を備える。軸部材挿入孔の内周面には、軸部材を支持する軸支部を有する。
【0004】
特許文献1には、ロータと軸支部とが樹脂射出成形により一体に構成されていることが記載してある。また、特許文献2には、軸部材に対するロータの軸支部が、少なくとも摺動性のある樹脂材料で形成してあることが記載してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−120373号公報
【特許文献2】特開2003−56488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2のロータでは、軸支部の内周面の略全面が軸部材の外周面と接する状態となるように、軸部材が軸支部の内部を挿通している。このように軸支部のできるだけ長い領域を軸部材が軸支することで、軸部材のガタつき等の発生を抑制しようとするものである。
【0007】
しかし、仮に軸支部の内周面に凸部が形成されるなど当該内周面の表面形状が均一でない場合、当該凸部と軸部材とが接触して軸支部の一方と軸部材とが適切に当接しなくなる虞が生じる。その結果、軸部材の回転軸芯と軸部材挿入孔の軸芯とが一致しなくなり、ロータの回転精度が悪化する。
【0008】
また、軸部材挿入孔として長尺状の孔を樹脂の射出成形によって形成する場合、各部位の冷却条件の差異等によって歪が生じることが多い。一方、これら歪の発生を除去するために、別の機械加工を行なうこととすれば、加工工数が増大し、製品コストが上昇してしまうなどの不都合が生じる。
【0009】
従って、本発明の目的は、簡便に軸部材の回転軸芯と軸部材挿入孔の軸芯とを一致させることができる樹脂射出成形製の回転部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る樹脂射出成形製回転部材の第1特徴構成は、軸部材を内挿する挿入孔を備え、内挿された前記軸部材と一体回転し、或いは、前記軸部材に対して相対回転する樹脂射出成形製の回転部材であって、回転軸芯に沿う前記回転部材の両側に前記軸部材に当接する第1軸支部および第2軸支部を備えると共に、これら軸支部の間に中間部を備え、
前記回転軸芯から何れか一つの径外方向に沿った前記回転部材の内外面間の壁厚につき、前記中間部の壁厚が、前記第1軸支部に隣接する端部位置、又は、前記第2軸支部に隣接する端部位置で最小となるように構成した点にある。
【0011】
一般に、樹脂材料の射出成形によって樹脂製品を製造する場合、樹脂材料には、硬化するに従って体積が減少する「ヒケ」が生じる。本発明の技術は、第1軸支部および第2軸支部の間の中間部に発生するヒケの量を、双方の軸支部で発生するヒケの量よりも大きくするものである。樹脂材料が硬化する際に発生するヒケの量は、樹脂材料の体積に応じた量となる。即ち、本発明では、中間部におけるヒケ量を双方の軸支部におけるヒケ量より増大させるべく、上記中間部に充填する樹脂材料の量を多く設定する。
【0012】
回転部材が上手く軸部材に支持されるためには、中間部の全域に亘って軸部材が干渉しない構成にするのが好ましい。そのため、本発明においては、中間部の壁厚が、第1軸支部に隣接する端部位置、又は、第2軸支部に隣接する端部位置の何れかの位置で最小となるように構成してある。つまり、中間部の何れの位置においても、その壁厚を、双方の端部位置の壁厚のうち小さい方の壁厚よりも大きく設定することで、中間部の全域に亘って十分なヒケ量を確保する。これにより、回転部材は、軸部材に対して確実に第1軸支部及び第2軸支部のみにおいて支持され、軸部材に対して回転部材が完全に同一軸芯状に保持されることとなる。
【0013】
このように中間部の内径を大径に形成できるのは、樹脂材料の硬化特性に基づく。金型内に射出された樹脂は、金型と接する領域から冷却される。本発明の回転部材にあっては、注入した樹脂材料の主に外側表面から硬化が始まる。硬化に際して樹脂材料には所定の縮みが生じる。よって、後から硬化する内部の樹脂は、外側表面の既に硬化した領域に拘束され、結果的に、双方の軸支部の内径に対して中間部の内径が広がった形状となる。
【0014】
このように、所定領域への樹脂材料の注入量を調節し、ヒケの発生態様を制御することで、回転軸芯と挿入孔の軸芯とが一致し、軸部材に対して第1軸支部および第2軸支部で確実に軸支される回転部材を得ることができる。
【0015】
本発明に係る樹脂射出成形製の回転部材の第2特徴構成は、前記中間部の壁厚が最大となる位置を、前記中間部の両端部位置を除く何れかの位置に形成した点にある。
【0016】
本構成のごとく、中間部について、壁厚が最大となる位置をその長手方向の端部ではなく中程の位置に設定することで、ヒケ量の大きな箇所を回転部材のより中央側に配置することができる。よって、回転部材に軸部材を挿通したとき、第1軸支部と第2軸支部との間で回転部材と軸部材とが干渉するのをより確実に防止し、回転精度に優れた回転部材を得ることができる。
【0017】
本発明に係る樹脂射出成形製の回転部材の第3特徴構成は、前記回転部材が、モータのロータ部と、前記ロータ部と一体回転するインペラ部と、前記ロータ部と前記インペラ部とを接続するシャフト部とを備え、少なくとも前記シャフト部を前記中間部として構成した点にある。
【0018】
本発明では、中間部を形成する領域に樹脂材料を多く充填したり、或いは、特に中間部の中央領域に対する充填量を増やす必要がある。その点、本構成のシャフト部は、磁石などを備えたロータ部とインペラ部とを接続する部位であって、その外表面の形状が特に制限されるわけではない。よって、ヒケ量を調節するために、シャフト部の外形を、例えば紡錘状に形成することは容易である。また、当該シャフトの位置は、ロータ全体の中間位置でもある。よって、本構成のごとくシャフト部を中間部とし、ヒケ量を多く設定することで、回転精度に優れたモータ用のロータを得ることができる。
【0019】
本発明に係るロータユニットの製造方法の特徴構成は、モータのロータ部と、当該ロータ部と一体回転するインペラ部と、前記ロータ部と前記インペラ部とを接続するシャフト部とを備えると共に、軸部材を内挿する挿入孔を備え、前記軸部材に支持される第1軸支部および第2軸支部を前記挿入孔の両側に備える樹脂射出成形製の回転部材の作製に際し、複数に分割した金型を型締めして形成するキャビティの形状を、
前記第1軸支部と前記第2軸支部との間に位置する中間部の壁厚が、前記第1軸支部に隣接する端部位置、又は、前記第2軸支部に隣接する端部位置で最小となるように構成したのち、
前記挿入孔を形成する中子を挿通した状態で前記キャビティに溶融樹脂を注入し、
注入した樹脂の外側表面から硬化させる点にある。
【0020】
本方法は、ロータユニットを製造するに際し、中間部の壁厚につき、例えば第1軸支部或いは第2軸支部に隣接する両端部の何れかで最小となるようにキャビティを形成して樹脂を注入するものである。本方法であれば、中間部の両端部における樹脂のヒケ量に対して中間部の中ほどの位置におけるヒケ量を大きくすることができる。
また、注入した樹脂の冷却に際して外側表面から冷却することで、溶融した樹脂の硬化順序を外側を先に、内側を後に設定することができる。よって、ロータユニットのうち軸部材を挿通する孔の内径が、両端部の軸支部では小径となり、その間の中間部では大径となる。この結果、得られたロータユニットは、軸部材によって安定確実に軸支されることとなる。しかも、軸部材の回転軸芯と挿入孔の軸芯とが一致して回転時に軸部材のガタつき等が発生せず、回転精度の優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の回転部材を示す斜視概略図である。
【図2】本発明の回転部材を示す断面図である。
【図3】本発明の回転部材の製造過程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の樹脂射出成形製の回転部材は、軸部材を内挿する軸部材挿入孔を備え、内挿された軸部材と一体回転し、或いは、軸部材に対して相対回転するものである。本実施形態では、軸部材と一体回転する回転部材として、車載のウォーターポンプに用いられるインナーロータ型モータのロータユニットを例示する。このロータユニットは、ロータにウォーターポンプのインペラが一体化されたものである。
【0023】
図1,図2に示すように、本発明の回転部材Xは、ヨーク11及びマグネット12を有するロータ部10と、ロータ部と一体回転するインペラ部20と有する。ロータ部10とインペラ部20とはシャフト部30によって接続され、これらは樹脂材料によって一体成形されている。当該樹脂材料は、軸部材挿入孔40が軸部材Yと摺動することから、例えば高い耐熱性と剛性とを有する難燃性樹脂であるPPS(Polyphenylene Sulfide)にガラスファイバー(GF)を混入した材料などが用いられる。PPSおよびGFの混合物において、GFの割合は、例えば15〜45%程度とすることができる。ただし、これらの配合比率はこれに限られるものではない。このように樹脂材料の成分比率を変更することで、当該樹脂材料が硬化する際に発生するヒケ量を変更することができる。
【0024】
ヨーク11は、後述する中央貫通孔11a、マグネット挿入孔11bなどが形成された円板状の抜板を積層して、中心に軸部材Yが貫通する軸部材挿入孔40が形成された円柱状に構成される。当該マグネット挿入孔11bには平板状のマグネット12が挿入される。
【0025】
インペラ部20は、ロータ部10の一端側にロータ部10よりも小径のシャフト部30を介して設けられる。インペラ部20は、ロータ部10と一体となって回転し、羽21がウォーターポンプの水に作用する。インペラ部20には、圧力バランス孔22等が備えられている。
【0026】
軸部材挿入孔40は、中央貫通孔11aのさらに径方向の内側に樹脂材料により形成される。軸部材挿入孔40は、ロータ部10からシャフト部30を介してインペラ部20までを貫通するように回転部材Xの回転軸芯上に形成される。軸部材挿入孔40には軸部材Yが挿入される。回転部材Xの両側には第1軸支部41aと第2軸支部41bとが形成してある。軸部材Yは、軸部材挿入孔40に挿入された状態では、第1軸支部41aおよび第2軸支部41bにのみ当接する。つまり、軸部材Yは、第1軸支部41aと第2軸支部41bとの中間部として形成したシャフト部30の内面には当接しない。
【0027】
本実施形態では、第1軸支部41aは、軸部材挿入孔40においてその外周にロータ部10が構成される位置に対応した部位に形成され、第2軸支部41bは、軸部材挿入孔40においてその外周にインペラ部20が構成される位置に対応した部位に形成される。
中間部41cはこれら軸支部41a,41bの間に形成される。
【0028】
本発明の回転部材Xは、回転軸芯Zから何れか一つの径外方向に沿った回転部材Xの内外面間の壁厚につき、第1軸支部41aと中間部41cとの境界における中間部41cの側の第1壁厚t1、および、第2軸支部41bと中間部41cとの境界における中間部41cの側の第2壁厚t2のうち何れか薄い方の壁厚に対し、中間部41cのうち何れの位置においてもその第3壁厚t3が同じ若しくは大きくなるように構成してある。
本実施形態では第1壁厚t1および第2壁厚t2は同等の厚みに設定してあるが、第1壁厚t1および第2壁厚t2の厚みは異なる態様であってもよい。
【0029】
本実施形態では、軸部材Yの回転軸芯Zと軸部材挿入孔40の軸芯とを一致させるため、回転部材Xの両端部に軸部材Yを軸支する第1軸支部41aおよび第2軸支部41bを形成している。
また、中間部41cにおいて確実にヒケを発生させるため、中間部41cの中央部の外形を紡錘状に形成し、中央部の壁厚を両端部における壁厚よりも大きく設定してある。
【0030】
通常、樹脂材料の硬化は、図3に示したように成形時に使用する金型M1〜M4と接する領域から始まる。さらに、樹脂材料の硬化速度は、金型の一部である中子M3aに接する軸部材挿入孔40の側よりも、冷却され易い回転部材Xの外表面の側のほうが早い。即ち、シャフト部30が形成される領域においては、注入した樹脂材料の外側表面から樹脂材料の硬化が始まり、ヒケ部42は、既に硬化した外側表面側の樹脂材料よりも、緩やかに硬化する軸部材挿入孔40の側に確実に形成される。即ち、当該ヒケ部42は、軸部材挿入孔40における径方向の外方に向って凹入するように形成される。
【0031】
このように中間部41cにおいてヒケ部42を軸部材挿入孔40における径方向の外方に向かわせることにより、軸部材挿入孔40の内表面に凸部が形成されるのを確実に防止することができる。これにより、軸部材Yを回転部材Xの両端部に位置する第1軸支部41aおよび第2軸支部41bによって確実に軸支することができるため、軸部材Yの回転軸芯Zと軸部材挿入孔40の軸芯とが確実に一致する。そのため、回転時に軸部材Yのガタつき等が発生するのを防止することができる。
【0032】
具体的には、中間部41cにおける樹脂材料の注入量を、第1軸支部41aと中間部41cとの境界位置における中間部41cの側に注入する樹脂量、および、第2軸支部41bと中間部41cとの境界位置における中間部41cの側に注入する樹脂量よりも多くする。注入量が多いことで、その部分の冷却速度が緩和され、結果的に、注入量の少ない箇所に比べてヒケ量が増大する。
【0033】
中間部41cにおける樹脂材料の注入量が、その両側の第1軸支部41aおよび第2軸支部41bに対する注入量よりも多くなるほど、硬化後の中間部41cでのヒケ量が増大する。その結果、中間部41cにおける軸部材Yとの接触をより確実に防止することができる。
【0034】
本実施形態では、中間部41cは、軸部材挿入孔40においてシャフト部30を構成する位置に対応した部位に形成している。上述したように、本発明では、中間部41cを形成する領域に充填する樹脂材料の注入量を多くする必要があるが、シャフト部30の形状は特に制限を受けない。よって、樹脂材料の充填態様を任意に設定することができる。
【0035】
<回転部材の製造方法>
本発明の樹脂射出成形製の回転部材Xは、例えば図3に示したように、複数の金型Mを用いて製造される。
【0036】
当該金型Mは、四つに分割した金型M1〜M4を型締めして形成するキャビティの形状を、第1軸支部41aと第2軸支部41bとの間に位置する中間部41cの壁厚tが、第1軸支部41aの側における中間部41cの端部の壁厚t1と、第2軸支部41bの側における中間部41cの端部の壁厚t2とのうち何れか一方において最も薄くなるように形成する。この場合、本実施形態のように、壁厚t1と壁厚t2とが等しくなるように構成してもよい。
【0037】
金型Mは、上下左右(符号M1〜M4)に4分割されている。回転部材Xは、軸部材挿入孔40を形成する中子M3aを挿通した状態で、金型M3に設けられたゲートaからキャビティに溶融樹脂材料Rを注入して一体成形される(樹脂注入工程)。
【0038】
金型Mの内部に挿入されたヨーク11は、円板状の抜板に形成されたピン孔11cにおいて側面支持用のピンb1によって支持される。この時、下部の金型M1がヨーク11及びマグネット12の被押し当て部50に接触して、ヨーク11及びマグネット12を下方から支持する。被押当部50は、第1被押当部51と第2被押当部52と第3被押当部53とからなる。
【0039】
第1被押し当て部51は、金型M1に設けられた支持部d1によって支持される。このように支持部d1でマグネット12をマグネット挿入孔11bの内部で支持すれば、成形によってマグネット12を適切な位置に精度良く固定することができる。第2被押当部52は、金型M1に設けられたピン孔cを介して貫通されるピンb2によって支持される。第3押当部53は、ヨーク11の外周側においてヨーク11が環状に支持される箇所である。第3被押当部53は、金型M1の環状の支持部d2によって支持される。
【0040】
本発明のように、軸部材挿入孔40にヒケ部42を形成するには、注入した溶融樹脂材料Rの外側表面から優先的に硬化させるとよい(樹脂硬化工程)。当該硬化は、例えば、金型Mに中に溶融樹脂材料Rを充填した状態で所定温度の風を送風するなどの手法により行なう。
【0041】
これにより、例えばシャフト部30が形成される領域においては、注入した樹脂材料Rの外側表面から硬化が始まり、ヒケ部42は、既に硬化した外側表面側の樹脂材料Rよりも、緩やかに硬化する軸部材挿入孔40の側に確実に形成することができる。
【0042】
ヨーク11及びマグネット12は樹脂材料の圧力に抗ってピンb1,b2や支持部d1,d2によって所定位置に保持された状態である。従って、樹脂材料Rが硬化した後もそれらの位置が変動することなく、精度よく回転部材Xが一体成形される。
【0043】
被押当部52を支持するピンb2は、出退可能な押し出しピン(押し出し手段)でもある。成形時には引退位置にあってヨーク11を支持するが、成形後にはインペラ部20の方向へ突出することによって、一体成形後の回転部材Xを金型から押し出す(押し出し工程)。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の樹脂射出成形製の回転部材は、車載のウォーターポンプに用いられるインナーロータ型モータのロータユニットなどに利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
X 回転部材
Y 軸部材
Z 回転軸芯
t1 第1壁厚
t2 第2壁厚
t3 第3壁厚
M 金型
R 溶融樹脂
10 ロータ部
20 インペラ部
30 シャフト部
40 挿入孔
41a 第1軸支部
41b 第2軸支部
41c 中間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部材を内挿する挿入孔を備え、内挿された前記軸部材と一体回転し、或いは、前記軸部材に対して相対回転する樹脂射出成形製の回転部材であって、
回転軸芯に沿う前記回転部材の両側に前記軸部材に当接する第1軸支部および第2軸支部を備えると共に、これら軸支部の間に中間部を備え、
前記回転軸芯から何れか一つの径外方向に沿った前記回転部材の内外面間の壁厚につき、
前記中間部の壁厚が、前記第1軸支部に隣接する端部位置、又は、前記第2軸支部に隣接する端部位置で最小となるように構成してある樹脂射出成形製の回転部材。
【請求項2】
前記中間部の壁厚が最大となる位置が、前記中間部の両端部位置を除く何れかの位置に形成してある請求項1に記載の樹脂射出成形製の回転部材。
【請求項3】
前記回転部材が、モータのロータ部と、前記ロータ部と一体回転するインペラ部と、前記ロータ部と前記インペラ部とを接続するシャフト部とを備え、少なくとも前記シャフト部が前記中間部として構成してある請求項1又は2に記載の樹脂射出成形製の回転部材。
【請求項4】
モータのロータ部と、当該ロータ部と一体回転するインペラ部と、前記ロータ部と前記インペラ部とを接続するシャフト部とを備えると共に、軸部材を内挿する挿入孔を備え、前記軸部材に支持される第1軸支部および第2軸支部を前記挿入孔の両側に備える樹脂射出成形製の回転部材の作製に際し、
複数に分割した金型を型締めして形成するキャビティの形状を、
前記第1軸支部と前記第2軸支部との間に位置する中間部の壁厚が、前記第1軸支部に隣接する端部位置、又は、前記第2軸支部に隣接する端部位置で最小となるように構成したのち、
前記挿入孔を形成する中子を挿通した状態で前記キャビティに溶融樹脂を注入し、
注入した樹脂の外側表面から硬化させる樹脂射出成形製の回転部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−247376(P2011−247376A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122882(P2010−122882)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】