説明

樹脂組成物および樹脂組成物を使用して作製した半導体装置

【課題】伝導性を容易に向上させ、作業性に優れる樹脂組成物および該樹脂組成物を半導体装置用接着剤(ダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料)、該半導体装置用接着剤を用いた半導体装置法を提供するものである。
【解決手段】充填材(A)、有機バインダー(B)を含む樹脂組成物であって、充填材(A)の平均粒子径が、5μm以上20μm以下であり、かつ、125℃/20時間熱水抽出したときのpHが、4.7以上6以下であることを特徴とする樹脂組成物および該樹脂組成物をダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料として用いて作製されることを特徴とする半導体装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物および樹脂組成物を使用して作製した半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製品の大容量、高速処理化および微細配線化に伴い半導体製品作動中に発生する熱の問題が顕著になってきており、半導体製品から熱を逃がす、いわゆるサーマルマネージメントがますます重要な課題となってきている。このため半導体製品にヒートスプレッダー、ヒートシンクなどの放熱部材を取り付ける方法などが一般的に採用されているが、放熱部材を接着する材料自体の熱伝導率より高いものが望まれてきている。
一方、半導体製品の形態によっては、半導体チップそのものを金属製のヒートスプレッダーに接着したり、ダイパッド部が半導体パッケージ表面に露出しており放熱板をかねたりする場合もあり、さらにはサーマルビアなどの放熱機構を有する有機基板などに接着する場合もある。この場合も同様に半導体チップを接着する材料に高熱伝導性が要求されており、これらを満たす材料の開発が望まれている。(例えば、引用文献1〜4参照。)
しかしながら、上記記載の従来技術では、以下の点で改善の余地を有していた。
半導体用接着剤の熱伝導性を容易に向上させる場合には、高い熱伝導性を有する金属粉、例えば、銀、銅、アルミニウム、ニッケルなどの金属粉を充填するが、含有される金属粉どうしの熱の接触損失や、金属粉と樹脂との熱の接触損失の少ない樹脂組成物が望まれているが、満足できるものはなかった。
【0003】
【特許文献1】特開2003−138244号公報
【特許文献2】特開2002−241587号公報
【特許文献3】特開2002−12738号公報
【特許文献4】特開2005−171170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱伝導性を容易に向上させ、作業性に優れる樹脂組成物を提供することである。
また、本発明の別の目的は、良好な熱伝導性と作業性に優れた樹脂組成物を半導体装置用接着剤(ダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料)、該半導体装置用接着剤を用いた半導体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記(1)〜(5)に記載の本発明により達成される。
(1)充填材(A)、有機バインダー(B)を含む樹脂組成物であって、充填材(A)の
平均粒子径が、5μm以上20μm以下であり、かつ、125℃/20時間熱水抽出し
たときのpHが、4.7以上6以下であることを特徴とする樹脂組成物。
(2)前記充填材(A)の表面積1m2あたりの揮発分重量が、0.01g以上0.5g
以下であることを特徴とする前記(1)記載の樹脂組成物。
(3)前記充填材(A)の1gあたりの揮発分重量が、0.001g以上0.3g以下であることを特徴とする前記(1)または(2)記載の樹脂組成物。
(4)前記充填材(A)が、銀であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の樹脂組成物をダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料として用いて作製されることを特徴とする半導体装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の樹脂組成物を用いることにより、簡易な熱伝導性向上および良好な作業性を示す樹脂組成物を得ることができ、該樹脂組成物をダイアタッチペースト材または放熱部材接着用材料として使用することで熱伝導性の良好な半導体装置の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の充填材(A)、有機バインダー(B)を含む樹脂組成物は、半導体チップまたは放熱部材を支持体に接着する樹脂組成物であり、充填材(A)を含み、平均粒子径が、5μm以上20μm以下であり、かつ、125℃/20時間熱水抽出したときのpHが、4.7以上6以下であることを特徴とする樹脂組成物であって、これを使用して作製した半導体装置は、熱伝導性に優れるものである。
ここで、支持体とは、半導体チップを接着する場合は、リードフレーム、有機基板などが挙げられ、ヒートシンク、ヒートスプレッダーなどの放熱部材を接着する場合は、半導体チップ、リードフレームなどが挙げられる。また、有機基板としては、ガラスエポキシ基板(ガラス繊維強化エポキシ樹脂基板)、BT基板(シアネートモノマーおよびそのオリゴマーとビスマレイミドとからなるBTレジン使用基板)、ポリイミドフィルムなどのフレキシブル基板などが挙げられる。
【0008】
本発明に用いる充填材(A)は、単体の熱伝導率が10W/mK以上の金属、無機材料、有機材料などからなる熱伝導性の充填材である。このような充填材(A)としては、銀粉、金粉、銅粉、アルミニウム粉、ニッケル粉、パラジウム粉などの金属粉、シリカ粉末、アルミナ粉末、チタニア粉末、アルミニウムナイトライド粉末、ボロンナイトライド粉末などのセラミック粉末が挙げられる。これらの中でも、熱伝導率の観点からより好ましいのは単体での熱伝導率が200W/mK以上の金属粉であり、特に好ましいのは、銀粉、金粉、銅粉、アルミニウム粉、ベリリウム粉からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上の充填材である。充填材(A)は、それを含む樹脂組成物を用いてノズルから吐出する場合があるので、ノズル詰まりを防ぐために平均粒子径は30μm以下が好ましく、ナトリウム、塩素などのイオン性の不純物が少ないものであることが好ましい。これら充填材のなかでも良好な熱伝導率および酸化などへの安定性の観点からもっとも好ましいものは、銀粉である。
本発明に用いる充填材(A)としては、平均粒子径が、5μm以上20μm以下であり、かつ、125℃/20時間熱水抽出したときのpHが、4.7以上6以下である。本発明で使用する充填材(A)の粒子径は、必要とする樹脂組成物の粘度により異なるが、平均粒子径は5〜20μmのものが好ましい。平均粒子径が5μm未満の場合には熱を伝達する際に粒子どうしの接触部分が増加するため、好ましくない。20μmを越えると塗布または硬化時に樹脂成分が流出しやすくなりブリードが発生するため好ましくない。
また、最大粒子径は50μm程度のものが好ましい。最大粒子径が50μm越えるとディスペンサーで樹脂組成物を塗布するときに、ニードルの出口を塞ぎ長時間の連続使用ができない。使用する充填材(A)は、ハロゲンイオン、アルカリ金属イオンなどのイオン性不純物の含有量は10ppm以下であることが好ましい。
ここで、充填材(A)のpHとは、2gの充填材(A)を125℃/20時間熱水抽出したときの抽出液のpHである。
充填材(A)の125℃/20時間熱水抽出したときのpHを、上記範囲とする理由は、電子材料で用いられる一般的な接着剤のpHと同程度であることが好ましい。より好ましくは、4.8以上5.9以下である。そのため、一般的に充填材(A)のpHが上記下限値未満である場合、充填材(A)と有機バインダー(B)との接触部分で反応が進行しやすい環境となるため、充填材(A)と有機バインダー(B)との結合が増加し、接触界面での熱の分散損失が増加する。また、pHが、上記上限値を超える場合も同様に充填材(A)と有機バインダー(B)との間で、反応が進行しやすい環境となる場合は、注意が
必要である。
【0009】
また、前記充填材(A)の表面積1m2あたりの揮発分重量が、0.01g以上0.5
g以下であることが好ましい。ここで、充填材(A)の表面積1m2あたりの揮発分重量
とは、室温25℃から450℃まで10℃/分で昇温し、その後、450℃で10分間安定化させた際に得られる重量減少量aに、充填材(A)の比表面積bを割って求めた値(a/b)である。より好ましくは、0.05〜0.4である。

表面積1m2あたりの揮発分重量が上記上限値を超える充填材(A)とは、初期段階から
充填材をとりまく化合物が多いことを意味しており、充填材(A)どうしの接触を妨げる原因となる。上記下限値よりも揮発分が少ない場合、金属粉同士の凝集が生じる可能性があり、分散性が悪化するため好ましくない。
また、前記充填材(A)の1gあたりの室温から450℃の揮発分重量が、0.001g以上0.3g以下であることが好ましい。ここで、充填材(A)の1gあたりの室温から450℃の揮発分重量とは、室温25℃から450℃まで10℃/分で昇温し、その後、450℃で10分間安定化させた際に得られる重量減少量である。より好ましくは、
0.01〜0.25である。
また、充填材(A)の1gあたりの室温から450℃の揮発分重量が上記上限値を超える充填材(A)とは、初期段階から充填材をとりまく化合物が多いことを意味しており、充填材(A)どうしの接触を妨げる原因となる。上記下限値よりも揮発分が少ない場合、金属粉同士の凝集が生じる可能性があり、分散性が悪化するため好ましくない。
充填材(A)の配合量としては、全樹脂組成物100重量部に対して、70重量部以上95重量部以下であることが好ましい。充填材(A)の割合が下限値より少ない場合には硬化物の熱伝導性が悪化し、上限値より多い場合には樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ塗布作業性が悪化するおそれがあるためである。
上記充填材としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウムなど
の金属、またはこれら金属の合金などから少なくとも1種以上を使用することができる。特に、銀粉が好ましく、導電性や熱伝導性に優れるためである。
【0010】
本発明に用いる有機バインダー(B)は、加熱により3次元的網目構造を形成し、硬化する樹脂で、樹脂、硬化剤、硬化促進剤などを含む一般的な熱硬化性樹脂であり、特に限定されるものではないが、ペーストを形成する材料であることから室温で液状であることが望ましい。樹脂としては、例えば、シアネート樹脂、エポキシ樹脂、ラジカル重合性のアクリル樹脂、マレイミド樹脂などが挙げられる。
【0011】
シアネート樹脂は、分子内に−NCO基を有するもので具体的に例示すると、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、2,7−ジシアナトナフタレン、1,3、6−トリシアナトナフタレン、4,4'−ジシアナトビ
フェニル、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラック樹脂とハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などが挙げられ、これらの多官能シアネート樹脂のシアネート基を三量化することによって形成されるトリアジン環を有するプレポリマーも使用できる。このプレポリマーは、上記の多官能シアネート樹脂モノマーを、例えば、鉱酸、ルイス酸などの酸、ナトリウムアルコラート、第三級アミン類などの塩基、炭酸ナトリウムなどの塩類を触媒とし
て重合させることにより得られる。
【0012】
シアネート樹脂の硬化促進剤としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトン鉄などの有機金属錯体、塩化アルミニウム、塩化錫、塩化亜鉛などの金属塩、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミンなどのアミン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの硬化促進剤は1種または2種以上混合して用いることができる。シアネート樹脂とエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、アクリル樹脂、マレイミド樹脂を併用することも可能である。
【0013】
エポキシ樹脂は、グリシジル基を分子内に1つ以上有する化合物であるが、グリシジル基は1分子に2つ以上含まれていることが好ましい。グリシジル基が1つの化合物のみでは反応させても十分な硬化物特性を示すことができないからである。グリシジル基を1分子に2つ以上含む化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノールなどのビスフェノール化合物またはこれらの誘導体、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、水素添加ビフェノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シジロヘキサンジエタノールなどの脂環構造を有するジオールまたはこれらの誘導体、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールなどの脂肪族ジオールまたはこれらの誘導体などをエポキシ化した2官能のもの、トリヒドロキシフェニルメタン骨格、アミノフェノール骨格を有する3官能のもの、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂などをエポキシ化した多官能のものなどが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。また導電性ペーストとして室温で液状である必要があるので、単独でまたは混合物として室温で液状のものが好ましい。通常行われるように反応性希釈剤を使用することも可能である。反応性希釈剤としては、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテルなどの1官能の芳香族グリシジルエーテル類、脂肪族グリシジルエーテル類などが挙げられる。エポキシ樹脂を硬化させる目的で硬化剤を使用する。
【0014】
エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、ジシアンジアミド、ジカルボン酸ジヒドラジド化合物、酸無水物、フェノール樹脂などが挙げられる。ジヒドラジド化合物としては、アジピン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、p−オキシ安息香酸ジヒドラジドなどのカルボン酸ジヒドラジドなどが挙げられ、酸無水物としてはフタル酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、無水マレイン酸とポリブタジエンの反応物、無水マレイン酸とスチレンの共重合体などが挙げられる。フェノール樹脂とは1分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物であり、1分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物の場合には架橋構造をとることができないため硬化物特性が悪化し使用できない。また1分子内のフェノール性水酸基数は2つ以上であれば使用可能であるが、好ましいフェノール性水酸基の数は2〜5である。これより多い場合には分子量が大きくなりすぎるので導電性ペーストの粘度が高くなりすぎるため好ましくない。より好ましい1分子内のフェノール性水酸基数は2つまたは3つである。このような化合物としては、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラメチルビフェノール、エチリデンビスフェノール、メチルエチリデンビス(メチルフェノール)、シクロへキシリデンビスフェノール、ビフェノールなどのビスフェノール類およびその誘導体、トリ(ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(ヒドロキシフェニル)エタンなどの3官能のフェノール類およびその誘導体、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノール類とホルムアルデヒドを反応することで得られる
化合物で2核体または3核体がメインのものおよびその誘導体などが挙げられる。
【0015】
エポキシ樹脂の硬化促進剤としては、イミダゾール類、トリフェニルホスフィンまたはテトラフェニルホスフィンの塩類、ジアザビシクロウンデセンなどのアミン系化合物およびその塩類などが挙げられるが、2−メチルイミダゾール,2−エチルイミダゾール,2−フェニルイミダゾール,2−フェニル−4−メチルイミダゾール,2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール,2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール,2−C1123−イミダゾール、2−メチルイミダゾールと2,4−ジアミノ−6−ビニルトリアジンとの付加物などのイミダゾール化合物が好適に用いられる。なかでも特に好ましいのは融点が180℃以上のイミダゾール化合物である。
【0016】
ラジカル重合性のアクリル樹脂としては、例えば、不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル樹脂などがあるが、特に限定されるものではない。なかでも分子量が500〜10000のポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリブタジエン、ブタジエンアクリロニトリル共重合体で(メタ)アクリル基を有するものが好ましい。
ポリエーテルとしては、炭素数が3〜6の有機基がエーテル結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により得ることが可能である。
ポリエステルとしては、炭素数が3〜6の有機基がエステル結合を介して繰り返したも
のが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により得ることが可能である。
ポリカーボネートとしては、炭素数が3〜6の有機基がカーボネート結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリカーボネートポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により得ることが可能である。
【0017】
ポリ(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリレートとの共重合体または水酸基を有する(メタ)アクリレートと極性基を有さない(メタ)アクリレートとの共重合体などが好ましい。これら共重合体とカルボキシ基と反応する場合には水酸基を有するアクリレート、水酸基と反応する場合には(メタ)アクリル酸またはその誘導体を反応することにより得ることが可能である。
ポリブタジエンとしては、カルボキシ基を有するポリブタジエンと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応、水酸基を有するポリブタジエンと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により得ることが可能であり、また無水マレイン酸を付加したポリブタジエンと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応により得ることも可能である。
ブタジエンアクリロニトリル共重合体としては、カルボキシ基を有するブタジエンアクリロニトリル共重合体と水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応により得ることが可能である。
【0018】
マレイミド樹脂は、1分子内にマレイミド基を1つ以上含む化合物であり、例えば、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンなどのビスマレイミド樹脂が挙げられる。より好ましいマレイミド樹脂は、ダイマー酸ジアミンと無水マレイン酸の反応により得られる化合物、マレイミド酢酸、マレイミドカプロン酸などのマレイミド化アミノ酸とポリオールの反応により得られる化合物である。マレイミド化アミノ酸は、無水マレイン酸とアミノ酢酸またはアミノカプロン酸とを反応することで得られ、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオールが好ましく、芳香族環を含まないものが特に好ましい。マレイミド基は、アリル基と反応可能であるのでアリルエステル樹脂との併用も好ましい。アリルエステル樹脂として
は、脂肪族のものが好ましく、中でも特に好ましいのはシクロヘキサンジアリルエステルと脂肪族ポリオールのエステル交換により得られる化合物である。またシアネート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂との併用も好ましい。
【0019】
必要により以下に示す化合物を併用することも可能である。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートや水酸基を有する(メタ)アクリレートとジカルボン酸またはその誘導体を反応して得られるカルボキシ基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ここで使用可能なジカルボン酸としては、例えばしゅう酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸およびこれらの誘導体が挙げられる。
【0020】
上記以外にもメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャルブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、その他のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャルブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジンクモノ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフロロブチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
ステアロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,2−ジ(メタ)アクリルアミドエチレングリコール、ジ(メタ)アクリロイロキシメチルトリシクロデカン、N−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイミド、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N−(メタ)アクリロイロキシエチルフタルイミド、n−ビニル−2−ピロリドン、スチレン誘導体、α−メチルスチレン誘導体などを使用することも可能である。
【0021】
さらに重合開始剤として熱ラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。通常熱ラジカル重合開始剤として用いられるものであれば特に限定しないが、望ましいものとしては、急速加熱試験(試料1gを電熱板の上にのせ、4℃/分で昇温した時の分解開始温度)における分解温度が40〜140℃となるものが好ましい。分解温度が40℃未満だと、導電性ペーストの常温における保存性が悪くなり、140℃を越えると硬化時間が極端に長くなるため好ましくない。これを満たす熱ラジカル重合開始剤の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、P−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、桂皮酸パーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、α、α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチ−ルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、
t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられるが、これらは単独または硬化性を制御するため2種類以上を混合して用いることもできる。
【0022】
本発明の樹脂組成物としては、さらにエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシランなどのシランカップリング剤や、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アルミニウム/ジルコニウムカップリング剤などのカップリング剤を用いることが好ましい。
【0023】
また、本発明の樹脂組成物は、硬化物としたときの充填材(A)と有機バインダー(B)に影響を与えない範囲で有機化合物を必要により添加することが可能である。例として、ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、オクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、デカン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、ブチルベンゼン、p−シメン、ジエチルベンゼン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、シクロヘキセン、α−ピネン、ジペンテン、デカリン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、アビエチノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、アセタール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メシチルオキシド、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、吉草酸、イソ吉草酸、2−エチル酪酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、酢酸sec−ヘキシル、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソペンチル、イソ酪酸イソブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸イソペンチル、安息香酸メチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、エチレングリコールモノアセタート、二酢酸エチレン、モノアセチン、炭酸ジエチル、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジプロピルア
ミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピロール、ピペリジン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、2−メトキシメタノール、2−エトキシメタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(シオペンチルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、モルホリン、N−エチルモルホリン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸ペンチル、2−メトキシエチルアセタート、2−エトキシエチルアセタート、2−ブトキシエチルアセタート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルなどが挙げられる。これらは特に限定されず利用でき、2種以上併用してもよい。
【0024】
本発明の樹脂組成物を用いて半導体装置を作製する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、市販のダイボンダーを用いて、リードフレームの所定の部位に樹脂組成物をディスペンス塗布した後、半導体チップをマウントし、加熱硬化する。その後、ワイヤーボンディングして、エポキシ樹脂を用いてトランスファー成形することによって半導体装置を作製する。またはフリップチップ接合後アンダーフィル材で封止したフリップチップBGA(Ball Grid Array)などの半導体チップ裏面に樹脂組成物をディスペンスしヒートスプレッダー、リッドなどの放熱部品を搭載し加熱硬化するなどである。
【実施例】
【0025】
以下、本発明に関して具体的に実施例を示すが、これらに限定されるものではない。
[実施例1]
充填材(A)として、平均粒子径8μm、最大粒子径30μmの芋状銀粉(以下銀粉)、有機バインダー(B)として、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応により得られるジグリシジルビスフェノールA(エポキシ当量180、室温で液体、以下化合物1)を、エポキシ樹脂の硬化剤としてビスフェノールF(大日本インキ工業(株)製、DIC−BPF、水酸基当量100、以下以下化合物2)を、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル(SBT−H:日本化薬(株)製、以下化合物3)を、ジシアンジアミド(以下化合物4)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(キュアゾール2P4MHZ:四国化成工業(株)製、以下化合物5)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(ダイソー(株)製、CABRUS4、以下化合物6)を、表1のように配合し、3本ロールを用いて混練し脱泡することで樹脂組成物を得、以下の評価方法にて、充填材、樹脂組成物、半導体装置の評価を行った結果を表1に示す。なお配合割合は重量部である。
【0026】
[評価方法]
・pH、揮発分重量の測定
pHは、使用した充填材(A)2gを125℃/20時間熱水抽出したときの抽出液のpHを測定した。
充填材(A)の表面積1m2あたりの揮発分重量と充填材1gあたりの揮発分重量をそ
れぞれ表1に示した。
表面積1m2あたりの揮発分重量の算出にあたり、揮発分重量の測定は、TG−DTA
(SII熱分析システム TG/DTA220)で行った。充填材(A)の表面積1m2
あたりの揮発分重量とは、室温25℃から450℃まで10℃/分で昇温し、その後、4
50℃で10分間安定化させた際に得られる重量減少量aに、充填材(A)の比表面積bを割って求めた値(a/b)である。
比表面積bは、気体吸着法にて求めた。流動式比表面積自動測定装置フローソーブ2300型を用い、粉末表面に窒素ガスを吸着させ、その窒素ガスの吸脱量により表面積を求めた。比表面積b(m2/g)=(表面積(m2))/(粉末質量(g))である。
充填材1gあたりの揮発分重量の測定は、TG−DTA(SII熱分析システム TG/DTA220)で行った。
・粘度:E型粘度計(3°コーン)を用い25℃、2.5rpmでの値を樹脂組成物作製直後に測定した。作製直後の粘度が5〜50Pa・sの範囲内の場合を合格とした。
・熱伝導率:表1に示す熱伝導性樹脂組成物を用いて直径2cm、厚さ1mmのディスク状の試験片を作製した。(硬化条件は175℃×2時間。ただし175℃までは室温から30分間かけて昇温した。)レーザーフラッシュ法(t1/2法)にて測定した熱拡散係数(α)、DSC法により測定した比熱(Cp)、JIS−K−6911準拠で測定した密度(ρ)より次式を用いて熱伝導率を算出した。熱伝導率の単位はW/mKである。熱伝導率が1W/mK以上のものを熱伝導性が良好として合格とした。
熱伝導率=α×Cp×ρ
【0027】
・接着強度:表1に示す樹脂組成物を用いて、6×6mmのシリコンチップをAgめっきした銅フレームにマウントし、175℃オーブン中60分(昇温時間30分含む)硬化した。硬化後および吸湿処理(85℃、85%、72時間)後に自動接着力測定装置を用い260℃での熱時ダイシェア強度を測定した。260℃熱時のダイシェア強度が30N/チップ以上の場合を合格とした。接着強度の単位は30N/チップである。
・温度サイクル性:表1に示す樹脂組成物を用いて、6×6×0.350mmのシリコンチップをAgメッキした銅フレームにマウントし、175℃オーブン中60分(昇温時間30分含む)硬化した。硬化後および温度サイクル処理後(−65℃←→150℃、100サイクル)後の剥離の様子を超音波探傷装置(透過型)にて測定した。剥離面積が10%以下のものを合格とした。
【0028】
・リフロー性:表1に示す樹脂組成物を用いて、下記のリードフレームとシリコンチップを175℃/60分(昇温時間30分含む)間硬化し接着した。さらに、封止材料(スミコンEME−7026、住友ベークライト(株)製)を用い封止し、半導体装置を作製した。この半導体装置を用いて、30℃、相対湿度60%、168時間吸湿処理した後、IRリフロー処理(260℃、10秒、3回リフロー)を行った。処理後の半導体装置を超音波探傷装置(透過型)により剥離の程度を測定した。ダイアタッチ部の剥離面積が10%未満の場合を合格とした。合格を○としている。
半導体装置 :QFP(14×20×2.0mm)
リードフレーム:SPOT/Agめっきした銅フレーム
チップサイズ :6×6mm
樹脂組成物の硬化条件:オーブン中175℃/60分(昇温時間30分)
【0029】
[実施例2〜4]
実施例2では、充填材(A)として平均粒子径7.2、最大粒子径30μmのフレーク状銀粉(以下銀粉2)を使用し、表1に示す割合で配合し、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、実施例1と同様に評価した。
実施例3では、充填材(A)として平均粒子径6.3μm、最大粒子径30μmの芋状銀粉(銀粉3)を使用し、表1に示す割合で配合し、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、実施例1と同様に評価した。
実施例4では、充填材(A)として実施例1と同様の銀粉1を使用し、有機バインダー(B)として、ポリエーテル系ビスマレイミド酢酸エステル(大日本インキ工業(株)製、ルミキュアMIA−200、マレイミド化グリシンとポリテトラメチレングリコールジ
オールの反応物、化合物7)と、シクロヘキサンジカルボン酸のジアリルエステルとポリプロピレングリコールとの反応により得られたジアリルエステル化合物(分子量1000、ただし原料として用いたシクロヘキサンジカルボン酸のジアリルエステルを約15%含む、化合物8)を使用した。また、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル1、6HX、化合物9)、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成(株)製、CHDMMA、化合物10)を使用した。
その他の成分として、グリシジル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBM−403E、化合物11)、化合物6、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド(化薬アクゾ(株)製、パーカドックスBC、急速加熱試験における分解温度:126℃、以下重合開始剤、以下化合物12)を使用し、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、実施例1と同様に評価した。
[実施例5]
実施例5では、充填材(A)として平均粒子径6.2、最大粒子径30μmのフレーク状銀粉(以下銀粉5)を使用し、この銀粉を100℃5分で熱処理し、表1に示す割合で配合し、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、実施例1と同様に評価した。
【0030】
[比較例1]
充填材(A)として、平均粒子径2.1μm、最大粒子径15μmのフレーク状の銀粉(銀粉4)を使用し、表1に示す割合で配合し、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、実施例1と同様に評価した。
[比較例2]
充填材(A)として、平均粒子径1.6μm、最大粒子径15μmのフレーク状の銀粉(銀粉6)を使用し、表1に示す割合で配合し、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、実施例1と同様に評価した。
【0031】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明において、充填材の平均粒子径が、5μm以上20μm以下であり、かつ、125℃/20時間熱水抽出したときのpHが、4.7以上6以下であり、表面積1m2あた
りの揮発分重量が、0.01g以上0.5g以下である充填材を利用することで、半導体用ダイアタッチペースト材料または放熱部材接着用材料として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材(A)、有機バインダー(B)を含む樹脂組成物であって、
充填材(A)の平均粒子径が、5μm以上20μm以下であり、かつ、125℃/20時間熱水抽出したときのpHが、4.7以上6以下であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記充填材(A)の表面積1m2あたりの揮発分重量が、0.01g以上0.5g以下
であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記充填材(A)1gあたりの室温から450℃の揮発分重量が、0.001g以上0.3g以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記充填材(A)が、銀であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物をダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料として用いて作製されることを特徴とする半導体装置。

【公開番号】特開2010−138335(P2010−138335A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317977(P2008−317977)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】