説明

油圧式走行車両の制御装置

【課題】油圧トランスミッション方式をベースとして、エネルギー効率を高めて燃費を改善する。
【解決手段】コントローラ15において、検出された車速から走行加速度を求め、この走行加速度に基づいて、相対的に走行エネルギーが小さくてよい平地走行時か、相対的に大きな走行エネルギーを要する登坂時かを判別する。平地走行時には、ノーマル制御として、エンジンの燃料噴射量を制限する指令をエンジン制御部16に指令することによって燃料消費を抑え、登坂時には平地走行時よりもエンジン回転数が高くなるパワー制御に切換えて走行エネルギーを確保するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホイールローダ等の油圧式走行車両の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の油圧式走行車両において、一般に、エンジンで駆動される油圧ポンプの吐出油によって油圧モータを回転させ、その動力を車輪に伝達する油圧トランスミッション(HST:Hydrostatic Transmission)が用いられている。
【0003】
しかし、従来のHST技術では、平地走行時のような走行エネルギーが小さくてすむ走行時(第1走行時)と、登坂時のような大きな走行エネルギーを要する走行時(第2走行時)とに関係なく、エンジン回転数を単純にアクセル操作量(アクセル開度)に応じて制御する構成をとっているため、エネルギー効率が低く、燃費が悪いという問題がある。
【0004】
一方、燃費改善策として、特許文献1に示されるように、油圧ポンプと同軸に発電機兼用電動機を設け、車両減速時のエネルギーを発電機兼用電動機の発電機作用により回収してバッテリに蓄え、加速時等に、このバッテリ電力で発電機兼用電動機を回転させてエンジンをアシストするハイブリッド方式が公知である。
【0005】
このハイブリッド方式によると、回生エネルギーを利用するため燃費改善効果がある。
【特許文献1】特開2003−264903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記ハイブリッド方式によると、発電機兼用電動機及びバッテリをシステムに追加しなければならないため、設備コストが高くて非常に高価となるとともに、重量及びスペースの増加を招くという問題があり、これが導入の大きな障害となっていた。
【0007】
そこで本発明は、油圧トランスミッション方式をベースとして、エネルギー効率を高めて燃費を改善することができる油圧式走行車両の制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、エンジンによって油圧ポンプを駆動し、この油圧ポンプからの吐出油によって走行用の油圧モータを駆動する油圧式走行車両の制御装置において、必要な走行エネルギーが相対的に小さい第1走行時と大きい第2走行時とを判別するための走行状態情報を検出する走行状態検出手段と、この走行状態検出手段からの走行状態情報に基づいてエンジン回転数を制御する制御手段とを備え、この制御手段は、第1走行時にはエンジン回転数を相対的に低くするノーマル制御、第2走行時にはエンジン回転数を相対的に高くするパワー制御をそれぞれ行うように構成されたものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、走行状態検出手段は、走行加速度と車体の傾斜角度のうち少なくとも一方を走行状態情報として検出し、制御手段は、走行加速度が設定値以上のとき、及び車体の傾斜角度が設定値以下のときの少なくともいずれか一方の成立時に、第1走行時としての平地走行時であるとしてノーマル制御を行い、不成立時に第2走行時としての登坂時であるとしてパワー制御を行うように構成されたものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の構成において、車速を検出する車速検出手段を有する一方、走行状態検出手段は走行加速度を走行状態情報として検出し、制御手段は、走行加速度の設定値を車速に応じて、高車速側で小さくなる方向に変化させるように構成されたものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの構成において、車速を検出する車速検出手段を有し、制御手段は、ノーマル制御中に車速が設定値以上になったときにパワー制御に切換えるように構成されたものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの構成において、アクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段を備え、制御手段は、ノーマル制御として、アクセル操作量に対するエンジンの燃料噴射量をパワー制御時よりも減少させるように構成されたものである。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1〜4のいずれかの構成において、アクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段を備え、制御手段は、ノーマル制御として、検出されたアクセル操作量に対する燃料噴射量の最大値をパワー制御時よりも制限するように構成されたものである。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1〜4のいずれかの構成において、油圧ポンプとして可変容量ポンプが用いられ、制御手段は、ノーマル制御として、上記油圧ポンプの容量をパワー制御時よりも増加させるように構成されたものである。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかの構成において、モード切換手段を備え、このモード切換手段により、第1走行時と第2走行時とに応じてノーマル制御とパワー制御の自動切換えを行う自動制御モードと、自動切換えを停止してパワー制御のみを行うパワー制御モードのうちから選択し得るように構成されたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、相対的に走行エネルギーが小さくてよい第1走行時(請求項2,3では平地走行時)には、ノーマル制御として、エンジン回転数を低下させる(その手段として請求項5,6ではエンジンの燃料噴射量を減少させ、または燃料噴射量の最大値を制限し、請求項7ではポンプ容量を増加させる)ことにより燃料消費を抑え、相対的に大きな走行エネルギーを要する第2走行時(請求項2,3では登坂時)にはエンジン回転数が高くなるパワー制御に切換えて走行エネルギーを確保するため、必要な走行性能を確保しながらエネルギー効率を高め、燃費を大幅に改善することができる。
【0017】
ところで、請求項2,3の構成において、登坂時には車体の自重が作用することで加速力が減殺されるため、走行加速度が平地走行時よりも低くなる。従って、この走行加速度を検出することによって平地走行時か登坂時かを判別することが可能である。
【0018】
但し、走行加速度は、平地走行時と登坂時とを問わず、車速に応じて変化する(高車速側で低くなる)ため、平地走行時か登坂時かの判別基準となる走行加速度を車速と無関係に一定値に固定してしまうと、車速が一定以上にならないと登坂時と判別できない(パワー制御とならない)ため、登坂時の低速域で登坂力が不足する可能性がある。
【0019】
この点、請求項3の発明によると、走行加速度の設定値を、車速に応じて、高車速側で小さくなる方向に変化させるため、この設定値を、登坂時の全車速域での加速度以上となるように定めておくことにより、登坂時には最初からパワー制御に切換えることができる。このため、十分な登坂力を確保することができる。
【0020】
また、請求項4の発明によると、ノーマル制御中に車速が設定値以上になったときにパワー制御に切換えるため、加速力が低下する高車速域での加速性を改善することができる。
【0021】
一方、請求項8の発明によると、オペレータが好みや走行状況に応じて、燃費改善を図る自動制御と、パワー優先のパワー制御モードとの間で任意に選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
第1実施形態(図1〜図5参照)
第1実施形態では、走行加速度に基づいて第1走行時としての平地走行時と第2走行時としての登坂時とを判別し、ノーマル制御とパワー制御との間で切換える構成がとられている。
【0023】
図1は油圧回路と制御系の構成を示す。
【0024】
同図に示すように、エンジン1によって駆動される油圧ポンプ2と、この油圧ポンプ2の吐出油によって駆動される可変容量型の油圧モータ3とが管路4,5により接続されて閉回路が構成され、油圧モータ3の回転力がアクスル6を介して車輪7,7に伝達される。
【0025】
8は油圧ポンプ2と同軸配置されたチャージングポンプで、管路4,5の圧力低下時に、このチャージングポンプ8によりチェック弁9,9を介して管路4,5に油が補給される。
【0026】
10,10は閉回路の圧力を設定する高圧リリーフ弁、11はチャージングポンプ8の吐出圧を設定する低圧リリーフ弁である。
【0027】
また、走行状態検出手段として、アクセルペダル12の操作量(アクセル操作量=アクセル開度)を検出するアクセル操作量検出手段としてのアクセル操作量センサ13と、車速を求めるための要素であるアクスル6の回転数を検出するアクスル回転数センサ14とが設けられ、この両センサ13,14で検出されたアクセル操作量とアクスル回転数の信号がコントローラ15に入力される。
【0028】
コントローラ15は、検出されたアクスル回転数ωaと、既知の減速比Reと車輪タイヤ径Rtを用いて車速Vを次式により求める。
【0029】
V=ωa/Re×2π・60/1000
さらに、この車速Vを時間微分することによって走行加速度を求める。
【0030】
なお、計算された走行加速度は、移動平均処理等のフィルタ処理を行ってノイズを除去するのが望ましい。
【0031】
そして、求められた走行加速度に基づいて平地走行時(第1走行時)か登坂時(第2走行時)かを判別し、平地走行時(後述するように登坂時の低車速域を含む)にはエンジン回転数を相対的に低くするノーマル制御、登坂時(高車速域)にはエンジン回転数を相対的に高くするパワー制御を行う。
【0032】
なお、各実施形態において、「パワー制御」とは、ノーマル制御を停止させ、元々、アクセル操作量に応じて設定されたエンジン回転数をそのまま得る制御をいう。
【0033】
コントローラ15の作用を含めた全体の作用を図2〜図5によって説明する。
【0034】
以下の説明において、「制御ON」とは、ノーマル制御を行うこと、「制御OFF」とはノーマル制御をOFFにすること、つまりパワー制御を行うことを意味する。
【0035】
図2は車速と走行加速度の関係を示す。
【0036】
同図に示すように、走行車両の一般的特性として、
i)登坂時には車体の自重が作用することで加速力が減殺されるため、全車速域で走行加速度が平地走行時よりも低くなる。
【0037】
ii)平地走行時及び登坂時とも、車速の増加に応じて加速度が低下する。
【0038】
コントローラ15には、これらの特性に基づき、走行加速度について、制御ON/OFFの切換えのためのしきい値(設定値)aが予め設定され、走行加速度が設定値a以上となると制御ON(ノーマル制御)、設定値a未満となると制御OFF(パワー制御)とするように構成されている。
【0039】
なお、平地走行時には全車速域で走行加速度が設定値a以上となる。一方、登坂時には、図2中のV1以上の高車速域で走行加速度が設定値a未満となる。
【0040】
図3のフローチャートにおいて、ステップS1で前ステップでの制御がOFF(パワー制御)か否かが判別され、YESとなると、ステップS2でそのときの走行加速度が設定値a以上か否かが判別される。
【0041】
ここでYES(走行加速度≧設定値a)の場合は、必要な走行エネルギーが相対的に小さい平地走行時(登坂時の車速V1未満の低車速領域を含む)であるとして、ステップS3で制御ON(ノーマル制御)に切換えられる。
【0042】
一方、ステップS1でNO(前ステップでパワー制御)の場合、ステップS4でそのときの走行加速度が設定値a未満か否かが判別され、ここでNOのときにも平地走行時であるとしてステップS3に移り、ノーマル制御に切換えられる。
【0043】
このノーマル制御が開始されると、ステップS6で、検出されるアクセル操作量に制限をかけた修正アクセル量(アクセル開度)が図4のアクセル操作量/修正アクセル量の特性に基づいて計算されるとともに、ステップS7で、図5(a)に示す修正アクセル量S2(S1は無修正アクセル量)がコントローラ15からエンジン制御部16に指令される。
【0044】
修正アクセル量S2の計算には、図4中のAのようにアクセル操作量に対してリミットをかける方法と、Bのようにアクセル操作量に対して一定のゲインをかける方法とがあり、いずれを用いてもよい。Cは無修正の場合を示す。
【0045】
そして、エンジン制御部16において、指令された修正アクセル量に基づいて燃料噴射量が決定され、エンジン回転数が制御される。
【0046】
この結果、図5(b)に示すようにエンジン回転数(燃料消費量)が、無修正の場合よりも低くなるため、燃費を改善することができる。
【0047】
一方、ステップS2でNOのときはステップS5でそれまでのパワー制御が継続され、ステップS4でYESのときはステップS5でそれまでのノーマル制御からパワー制御に切換えられる。
【0048】
このパワー制御では、図5(a)に示すように修正アクセル量がS2から無修正アクセル量S1に増加して燃料噴射量が増加するため、同図(b)に示すようにエンジン回転数が、ノーマル制御を行わない元々の設定値まで上昇する。
【0049】
これにより、エンジン出力が増加することで、登坂時における車速V1以上の高速域での加速性を良くすることができる。
【0050】
なお、上記説明では走行加速度が設定値a以上か未満かで制御を切換えるようにしたが、制御上のハンチングが生じないように、制御OFF→ONの切換えのためのしきい値(ノーマル制御開始しきい値)と、制御ON→OFFのためのしきい値(ノーマル制御開始しきい値よりも小さい値)とを設定してもよい。
【0051】
第2実施形態(図6参照)
走行加速度は、図2に示すように、平地走行時と登坂時とを問わず、車速に応じて変化する(高車速側で低くなる)。
【0052】
このため、第1実施形態のように平地走行時か登坂時かの判別基準となる走行加速度を車速と無関係に一定値aに固定してしまうと、車速が一定値a以上にならないと登坂時と判別できない(パワー制御とならない)ため、低車速域で登坂力が不足する可能性がある。
【0053】
そこで第2実施形態では、走行加速度の設定値bを、車速に応じて、高車速側で小さくなる方向に変化させるようにしている。
【0054】
この場合、図3のフローチャートにおいて、ステップS2,S4での加速度の比較対象が第1実施形態の設定値aから設定値bに変わるだけで他の制御内容は同じでよい。
【0055】
この構成によると、設定値bを、登坂時の全車速域での加速度以上となるように定めておくことにより、登坂時に車速と無関係に最初からパワー制御に切換えることができる。このため、十分な登坂力を確保することができる。
【0056】
第3実施形態(図7参照)
第1実施形態では、ノーマル制御でエンジン1の燃料噴射量を減少させる構成をとったのに対し、第3実施形態では、図1中に破線で示すように油圧ポンプ2として可変容量ポンプを用い、ノーマル制御で同ポンプ2のポンプ容量を増加させるようにしている。
【0057】
ポンプ吐出量Qpはエンジン回転数ωe、ポンプ容量qpから、
Qp=ωe×qp
によって求められる。
【0058】
従って、車速を維持するのに必要な吐出量Qpを確保しながらエンジン回転数ωeを低下させるためには、ポンプ容量qpを増加させればよい。
【0059】
そこで第3実施形態では、第1実施形態同様、走行加速度に基づいて平地走行時であると判別した場合に、図1のコントローラ15から油圧ポンプ2(正確にはポンプレギュレータ)に容量指令信号を送り、図7(a)に示すようにポンプ容量をエンジン回転数との関係において登坂時よりも増加させる制御を行うように構成されている。
【0060】
これにより、同図(b)(c)に示すように、車速を維持するのに必要なエンジン回転数が平地走行時には低くなってエンジン出力(燃料消費量)が低下するため、第1実施形態と同様に燃費を改善することができる。
【0061】
逆に、登坂時には、ポンプ容量を減少させることにより、エンジン回転数を上げてエンジン出力を高め、必要な登坂力を確保することができる。
【0062】
第4実施形態(図8参照)
第4実施形態では、切換スイッチ等の制御モード切換手段を設け、オペレータによるこの制御モード切換手段の切換操作によって制御モードを、「自動制御モード」と「パワー制御モード」のうちから任意に選択できるようにしている。
【0063】
図8はこのモード切換作用をフローチャートとして示し、ステップS100でモード切換手段の操作によって選択されたモードが判定され、判定された制御モードに応じて制御モードが自動制御モードとパワーモードのうちから選択される(ステップS101、ステップS102)。
【0064】
そして、自動制御モードが選択されたときには、自動制御がONとなり、図3のフローチャートに従って走行加速度に応じたノーマル制御とパワー制御の自動切換えが行われる。一方、パワー制御モードが選択されたときは、自動制御がOFFとなり、常時、パワー制御が行われる。
【0065】
こうすれば、オペレータが好みや走行状況に応じて、燃費とパワーの両立を図る自動制御と、パワー優先のパワー制御モードとの間で任意に選択することができる。
【0066】
他の実施形態
上記実施形態では、走行加速度に基づいて平地走行時か登坂時かを判別する構成をとったが、車体傾斜角度を検出し、この車体傾斜角度が設定値以上となったときに登坂時、それ以外は平地走行時と判別する構成をとってもよい。
【0067】
この場合、図3のフローチャートにおいて、ステップS2,S4で車体傾斜角度の検出値と設定値を比較することとなる。
【0068】
あるいは、走行加速度と車体傾斜角度の双方を検出し、車体の傾斜角度が設定値以下のとき、及び走行加速度が設定値以上のときの少なくともいずれか一方の成立時に平地走行時であると判別する構成をとってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施形態における油圧回路と制御系の構成を示す図である。
【図2】平地走行時と登坂時における車速と加速度の関係を示す図である。
【図3】第1実施形態の作用を説明するためのフローチャートである。
【図4】同実施形態のアクセル操作量と修正アクセル量の関係を示す図である。
【図5】(a)は同実施形態による修正アクセル量の変化状況、(b)はエンジン回転数及び燃料消費量の変化状況をそれぞれ示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態を示す図2相当図である。
【図7】本発明の第3実施形態を説明するための図であって、(a)はエンジン回転数とポンプ容量の関係、(b)は車速とエンジン回転数の関係、(c)は車速とエンジン出力(燃料消費量)の関係をそれぞれ示す図である。
【図8】本発明の第4実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1 エンジン
2 油圧ポンプ
3 油圧モータ
12 アクセルペダル
13 走行状態検出手段としてのアクセル操作量センサ
14 同、アクスル回転数センサ
15 制御手段としてのコントローラ
16 同エンジン制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンによって油圧ポンプを駆動し、この油圧ポンプからの吐出油によって走行用の油圧モータを駆動する油圧式走行車両の制御装置において、必要な走行エネルギーが相対的に小さい第1走行時と大きい第2走行時とを判別するための走行状態情報を検出する走行状態検出手段と、この走行状態検出手段からの走行状態情報に基づいてエンジン回転数を制御する制御手段とを備え、この制御手段は、第1走行時にはエンジン回転数を相対的に低くするノーマル制御、第2走行時にはエンジン回転数を相対的に高くするパワー制御をそれぞれ行うように構成されたことを特徴とする油圧式走行車両の制御装置。
【請求項2】
走行状態検出手段は、走行加速度と車体の傾斜角度のうち少なくとも一方を走行状態情報として検出し、制御手段は、走行加速度が設定値以上のとき、及び車体の傾斜角度が設定値以下のときの少なくともいずれか一方の成立時に、第1走行時としての平地走行時であるとしてノーマル制御を行い、不成立時に第2走行時としての登坂時であるとしてパワー制御を行うように構成されたことを特徴とする請求項1記載の油圧式走行車両の制御装置。
【請求項3】
車速を検出する車速検出手段を有する一方、走行状態検出手段は走行加速度を走行状態情報として検出し、制御手段は、走行加速度の設定値を車速に応じて、高車速側で小さくなる方向に変化させるように構成されたことを特徴とする請求項2記載の油圧式走行車両の制御装置。
【請求項4】
車速を検出する車速検出手段を有し、制御手段は、ノーマル制御中に車速が設定値以上になったときにパワー制御に切換えるように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の油圧式走行車両の制御装置。
【請求項5】
アクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段を備え、制御手段は、ノーマル制御として、アクセル操作量に対するエンジンの燃料噴射量をパワー制御時よりも減少させるように構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の油圧式走行車両の制御装置。
【請求項6】
アクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段を備え、制御手段は、ノーマル制御として、検出されたアクセル操作量に対する燃料噴射量の最大値をパワー制御時よりも制限するように構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の油圧式走行車両の制御装置。
【請求項7】
油圧ポンプとして可変容量ポンプが用いられ、制御手段は、ノーマル制御として、上記油圧ポンプの容量をパワー制御時よりも増加させるように構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の油圧式走行車両の制御装置。
【請求項8】
モード切換手段を備え、このモード切換手段により、第1走行時と第2走行時とに応じてノーマル制御とパワー制御の自動切換えを行う自動制御モードと、自動切換えを停止してパワー制御のみを行うパワー制御モードのうちから選択し得るように構成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の油圧式走行車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−275783(P2009−275783A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126366(P2008−126366)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】