説明

治療剤を含有しているコンタクト・レンズを形成するための方法

【課題】治療剤を含有しているコンタクト・レンズを形成するための方法を提供する。
【解決手段】本発明は、(a)金型の中に、少なくとも1種類の架橋可能なプレポリマーを含有している反応性の混合物を添加する工程と、(b)その反応性の混合物を硬化させて、医療装置を形成する工程と、(c)その医療装置を、当該医療装置1個当たり約500mL以下の溶液に、接触させる工程と、(d)前記接触工程(c)の前かその間に、少なくとも1種類の治療剤を混合する工程と、を含む、方法、に関連している。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願情報〕
本特許出願は、米国特許第6,846,892号の分割である、米国特許出願第10/983,851号の部分継続出願であり、上記米国特許第6,846,892号は、2002年3月11日に出願されている米国特許出願第60/363,639号である、仮特許出願の優先権、を主張している。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、治療剤を含有しているコンタクト・レンズを形成するための方法、に関連している。
【0003】
〔発明の背景〕
コンタクト・レンズは、視力を改善するために、1950年代から、商業的に用いられている。最近のコンタクト・レンズは、少量の架橋剤の存在下に、HEMAおよびビニルピロリドン等のような、親水性のモノマーを重合させることにより形成されるヒドロゲル、により作られている。これらのモノマーの重合は、20容量%程度になる可能性のある収縮、を結果として生じる。
【0004】
PVAおよび反応性のアクリレート基の主鎖を有するプレポリマーが開示されている。この反応性のプレポリマーは水に溶解し、コンタクト・レンズを形成するために、UV光による照射により、金型の内部で架橋される。上記の硬化中の収縮は小さいが、このようにして生成されたヒドロゲルは、コンタクト・レンズの使用において、不十分であることを示す可能性のある機械的な特性、を示している。
【0005】
〔発明の概要〕
本発明は、(a)金型の中に少なくとも1種類の架橋可能なプレポリマーを含有している反応性の混合物を添加する工程と、(b)その反応性の混合物を硬化させて、医療装置を形成する工程と、(c)その医療装置を、その装置1個当たり約500mL以下の溶液に、接触させる工程と、(d)上記接触工程(c)の前かその間に、少なくとも1種類の治療剤を混合する工程と、を含む方法、に関連している。
【0006】
〔詳細な説明〕
本発明は、少なくとも1種類の治療剤を含有している医療装置の製造のための方法、に関連している。さらに具体的に言えば、本発明は、少なくとも1種類のプレポリマーを含有している反応性の混合物からの、少なくとも1種類の治療剤を含有しているコンタクト・レンズの製造、に関連している。この場合に、上記の治療剤を含有している医療装置の後硬化処理が、レンズ1個当たりに約500mLよりも少ない溶液を用いて、行なわれる場合に、そのレンズが、さらに多くの溶液が用いられる場合よりも、はるかに多くの治療剤を保持すること、が見出されている。
【0007】
本明細書において用いられる場合に、「医療装置」は、哺乳類動物の組織または流体の中またはその上において、好ましくは、人間の組織または流体の中またはその上において、用いられるように設計されているあらゆる物品、である。これらの装置の例は、カテーテル、移植片、ステント、ならびに、眼内レンズおよびコンタクト・レンズ等のような、眼用装置、を含むが、これらに限定されない。好ましい生物医用装置は、眼用装置、詳しくは、コンタクト・レンズ、最も詳しくは、シリコーン・ヒドロゲルにより作られているコンタクト・レンズ、である。
【0008】
本明細書において用いられる場合に、上記用語の「レンズ」および「眼用装置」は、目の中またはその上に存在する種々の装置、を意味する。これらの装置は、光学的な補正、傷の治療、薬物の送達、診断機能、美容の向上または作用、あるいは、これらの特性の組み合わせ、を行なうことができる。また、上記用語のレンズは、ソフト・コンタクト・レンズ、ハード・コンタクト・レンズ、眼内レンズ、オーバーレイ・レンズ、接眼インサート、光学インサート、を含むが、これらに限定されない。
【0009】
本明細書において用いられる場合に、用語のプレポリマーは、化合物であって、少なくとも約10個の反復のモノマー単位と、約3よりも小さい多分散度(Pd)と、上記化合物に対して共役結合している1個以上の架橋可能な基と、を含む、化合物、を意味する。本発明において有用なプレポリマーは、約50〜約150kDの重量平均分子量(Mw)を有することができる。また、一部の実施形態において、上記Pdは約2よりも小さくてよく、さらに、一部の場合において、約1.2〜約1.8であってもよい。
【0010】
上記プレポリマーの主鎖は、コンタクト・レンズの製造のために適しているあらゆるモノマーにより、形成できる。適当なモノマーは当業者において知られており、ビニル含有モノマー、を含むが、これらに限定されない。用語の「ビニル型」または「ビニル含有」のモノマーは、ビニル基(−CR=CR’R”、この場合に、R,R’およびR”は一価の種々の置換基である)を含むモノマー、を意味し、これらのモノマーは比較的に容易に重合することが知られている。適当なビニル含有モノマーは、2−ヒドロキシエチル・メタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate、「HEMA」)、N,N−ジメチル・アクリルアミド(N,N-dimethyl acrylamide)(DMA)、グリセロール・メタクリレート(glycerol methacrylate)(GMA)、2−ヒドロキシエチル・メタクリルアミド(2-hydroxyethyl methacrylamide)、ポリエチレングリコール・モノメタクリレート(polyethyleneglycol monomethacrylate)、メタクリル酸(methacrylic acid)(MAA)、アクリル酸(acrylic acid)、N−ビニル・ラクタム(N-vinyl lactams)(例えば、N−ビニル・ピロリドン(N-vinyl-pyrrolidone)、またはNVP)、N−ビニル−N−メチル・アセトアミド(N-vinyl-N-methyl acetamide)、N−ビニル−N−エチル・アセトアミド(N-vinyl-N-ethyl acetamide)、N−ビニル−N−エチル・ホルムアミド(N-vinyl-N-ethyl formamide)、N−ビニル・ホルムアミド(N-vinyl formamide)、ビニル・カルボネート・モノマー(vinyl carbonate monomers)、ビニル・カルバメート・モノマー(vinyl carbamate monomers)、重合可能なビニル基を伴うシロキサン含有化合物、オキサゾロン・モノマー(oxazolone monomers)、およびこれらの混合物等を含む。さらに、開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,846,892号において開示されている別のモノマーの任意のものも、使用できる。
【0011】
一般に、上記の架橋可能な基は、上記のプレポリマーから、架橋されたポリマーまたはヒドロゲル、を架橋して形成するための能力、を与える。このような架橋可能な基を与える適当な反応物質は、構造A−S−F(この場合に、Aは上記プレポリマーの主鎖に共役結合する結合基であり、Sはスペーサーであり、Fはエチレンの形態で不飽和である部分を含む官能基である)、を有している。さらに、適当な結合基Aは、ハロゲン化物、イソシアネート、酸、酸無水物、酸ハロゲン化物、エポキシド、アザラクトン(azalactones)、およびこれらの組み合わせ物等、を含む。さらに、好ましい結合基は酸無水物を含む。
【0012】
上記スペーサーは、直接的な結合、1個〜8個の炭素原子を有する、直線状、分枝状または環状の、アルキルまたはアリールの基、であってよい。また、一部の実施形態において、上記スペーサーは、1個〜4個の炭素のアルキル基、または、化学式−(CH2 −CH2 −O)n −のポリエーテル鎖、でありこの場合に、nは1〜8であり、さらに、一部の実施形態において、1〜4である。
【0013】
上記の適当な官能基はフリー・ラジカル重合可能なエチレンの形態において不飽和な部分を含んでいる。さらに、適当なエチレンの形態で不飽和な基は、以下の化学式を有しており、
−C(R10)=CR1112
この場合に、R10、R11およびR12は、それぞれ独立して、H、C1-6 アルキル、カルボニル、アリールおよびハロゲンから選択される。好ましくは、これらのR10、R11およびR12は、それぞれ独立して、H、メチル、アリールおよびカルボニルから選択され、さらに好ましくは、一部の実施形態において、Hおよびメチルから選択される。
【0014】
適当な反応剤の例は、塩化メタクリロイル(methacryloyl chloride)、2−イソシアナトエチルアクリレート(2-isocyanatoethylacrylate)、イソシアナトエチル・メタクリレート(isocyanatoethyl methacrylate)(IEM)、グリシジル・メタクリレート(glycidyl methacrylate)、塩化シンナモイル(cinnamoyl chloride)、無水メタクリル酸(methacrylic anhydride)、無水アクリル酸(acrylic anhydride)、無水マレイン酸(maleic anhydride)、および2−ビニル−4−ジメチルアザラクトン(2-vinyl-4-dimethylazalactone)、を含む。この場合に、無水メタクリル酸が好ましい。
【0015】
上記のプレポリマーの主鎖に結合している架橋可能な基の適当な量は、そのプレポリマーの主鎖の中において、利用可能な結合性の基の量に基づく化学量論的な基礎に基づいて、約1〜約70%、また、一部の実施形態において、約1〜約20%、また、一部の実施形態において、約1.5〜約10%、また、一部の実施形態において、約2〜約5%、また、他の実施形態において、約1.8〜約3%、を含む。また、上記の官能性化の程度は、不飽和な基の決定等のような既知の方法によるか、官能性の反応物と上記ポリマーとの間の結合の開裂およびその後のHPLCによる放出された化合物の決定により、測定できる。
【0016】
適当なプレポリマーは、米国特許第6,846,892号、米国特許第6,407,145号および米国特許第6,106,746号において開示されている方法を用いて、作ることができる。また、適当なプレポリマーの例は、米国特許第6,846,892号、PCT国際公開第WO03/003073号および米国特許第6,407,145号において見ることができ、これらおよび本明細書において引用されている全ての他の特許および特許出願の開示は、それぞれの内容全体において、参照により本明細書に組み込まれている。
【0017】
上記プレポリマーは反応性の混合物の中に含有されている。この反応性の混合物は、上記のプレポリマーと、医療装置、眼用装置またはコンタクト・レンズ、を形成するために望まれる任意の他の成分と、を含有している。本発明による医療装置を形成する方法は、一例として、コンタクト・レンズを用いて、論じられている。しかしながら、当業者は、本特許出願の教示を用いて、別の医療装置を作成することが可能になる。また、適当な成分は、希釈剤、開始剤、紫外線吸収性化合物、反応性染料、有機および無機の顔料、染料、光互変性化合物、離型剤、抗菌性化合物、金型潤滑剤、湿潤剤、一貫した製品の仕様を維持するために望まれる他の添加物、およびこれらの組み合わせ物等、を含むが、これらに限定されない。
【0018】
希釈剤を用いる場合に、その希釈剤は、上記の反応性の混合物の全重量に基いて、約30重量%〜約60重量%のプレポリマーを、65℃またはそれ以下において、溶解できる必要がある。具体的な例は1個〜4個の炭素原子を有するアルコール、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノールおよびこれらの混合物、を含む。
【0019】
一部の実施形態において、医療装置の目的用途においても安全である希釈剤を使用することが望ましいと考えられる。それゆえ、例えば、この形成される医療装置がコンタクト・レンズである場合に、その溶媒は目の接触において安全であり、目に対して適合性を有している必要がある。このことは、使用の前に、結果として得られる物品から、除去されない、あるいは、部分的にのみ除去される、希釈剤の場合に、特に重要である。また、結果として得られる物品から、蒸発しない希釈剤は、上記の粘性溶液のTgを、ほぼ室温よりも低くする能力(好ましくは約−50℃よりも低いTg)と、低い蒸気圧(約180℃よりも高い沸点)と、を有している必要がある。このような生体適合性の希釈剤の例は、ポリエチレン・グリコール、グリセロール、プロピレン・グリコール、ジプロピレン・グリコール、およびこれらの混合物等、を含む。好ましいポリエチレン・グリコールは、約200〜600の分子量、を有している。このような生体適合性の希釈剤を使用することにより、これらの希釈剤を除去するための分離した洗浄/蒸発の工程の排除が可能になる。
【0020】
水は、全体の希釈剤の約50%よりも少なくなるような、少量で、共通の希釈剤として、用いることができる。ヒドロゲルの場合に、希釈剤は、最終のヒドロゲルの中に存在している水の量に近いか等しい量で、上記のプレポリマーに添加できる。結果として得られる反応性の混合物の約40〜約70重量%の希釈剤の量が許容可能である。
【0021】
治療剤も、上記の反応性の混合物の中に混合できる。多様な治療剤が使用可能である。適当な治療剤は、目の前後の部分を含む、目の環境の任意の部分を治療するか標的にする物質を含み、薬剤、ビタミン、栄養補助食品、およびこれらの組み合わせ物等、を含む。適当な、薬剤の化合物の種類は、抗ヒスタミン薬、抗生物質、緑内障薬、炭酸脱水酵素阻害薬、抗ウイルス剤、抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症薬、抗真菌薬、麻酔薬、縮瞳薬、散瞳薬、免疫抑制剤、駆虫薬、抗原生動物薬、およびこれらの組み合わせ物等、を含む。さらに、上記治療剤の具体的な例は、アシクロビル(acycylovir)、アドレナロン(adrenalone)、アミノカプロン酸(aminocaproic acid)、アモキシシリン(amoxicillin)、アモトリフェン(amotriphene)、アモキセカイン(amoxecaine)、アモジアキン(amodiaquin)、アンタゾリン(antazoline)、アトロフィン(atrophine)、ベタキソロール(betaxolol)、ビマトプロスト(bimatoprost)、ブピバカイン(bupivacaine)、カルバコール(carbachol)、カルテオロール(carteolol)、クロラムフェニコール(chlorampenicol)、クロルテトラサイクリン(chlortetracycline)、クレマスチン(clemastine)、コリナシン(corynathine)、クロマリン・ナトリウム(cromalyn sodium)、シクロペントレート(cyclopentolate)、デメカリウム(demecarium)、デキサメタゾン(dexamethasone)、ジクロルフェナミド(dichlorphenamide)、ジブトリン(dibutoline)、ジクロフェナク(diclophenac)、ジピベフリン(dipivefrin)、エフェドリン(ephedrine)、エリスロマイシン(erythromycin)、エタンブトール(ethambutol)、オイカトロピン(eucatropine)、フルオロメタロン(fluoromethalone)、ゲンタマイシン(gentamycin)、グラミシジン(gramicidin)、ホマトロピン(homatropine)、インドメタシン(indomethacin)、ケトチフェン(ketotifen)、レバロルファン(levallorphan)、レボブノロール(levobunolol)、レボカバスチン(levocabastine)、リドカイン(lidocaine)、リグノカイン(lignocaine)、ロメフロキサシン(lomefloxacin)、ロラチジン(loratidine)、メドリゾン(medrysone)、メピバカイン(mepivacaine)、メタゾラミド(methazolamide)、ナファゾリン(naphazoline)、ナタマイシン(natamycin)、ナタマイシン(natamycin)、ネオマイシン(neomycin)、ノルアドレナリン(noradrenaline)、オフロキサシン(ofloxacin)、オキシブプロカイン(oxybuprocaine)、オキシメタゾリン(oxymetazoline)、フェニラミン(pheniramine)、フェニレフリン(phenylephrine)、フィゾスチグミン(physostigmine)、ピロカルピン(pilocarpine)、ポリミキシンB(polymyxin B)、プレドニゾロン(prednisolone)、プロパラカイン(proparacaine)、ピリラミン(pyrilamine)、スコポラミン(scopolamine)、ソルビニル(sorbinil)、スルファセタミド(sulfacetamide)、タモキシフェン(tamoxifen)、テトラカイン(tetracaine)、テトラサイクリン(tetracycline)、テトラヒドゾリン(tetrahydozoline)、チモロール(timolol)、トリフルリジン(trifluridine)、トロピカミド(tropicamide)、ビダラビン(vidarabine)、およびこれらの塩および混合物等、を含む。さらに、別の実施形態において、上記の治療剤は、ケトチフェン・フマレート(ketotifen fumarate)、フェニラミン・マレエート(pheniramine maleate)、クレマスチン(clemastine)、ロラチジン(loratidine)、11−ジヒドロ−11(1−メチル−4−ピペリジニリデン)−5H−イミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−3−カルボキシアルデヒド(11-dihydro-11-(1-methyl-4-piperidinylidene)-5H-imidazo[2,1-b][3]benzazepine-3-carboxaldehyde)(CAS番号:147084−10−4)、オラパタジン(olapatadine)、およびこれらの混合物、から成る群から選択される。さらに別の実施形態において、上記の治療剤は、ケトチフェン・フマレート(ketotifen fumarate)、ノル・ケトチフェン・フマレート(nor ketotifen fumarate)、11−ジヒドロ−11−(1−メチル−4−ピペリジニリデン)−5H−イミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−3−カルボキシアルデヒド(11-dihydro-11-(1-methyl-4-piperidinylidene)-5H-imidazo[2,1-b][3]benzazepine-3-carboxaldehyde)(CAS番号:147084−10−4)、オラパタジン(olopatadine)、ビマトプロスト(bimatoprost)、およびこれらの混合物、を含む。栄養補助食品化合物の例は、ビタミン、および、ビタミンA、D、E等のような、サプリメント、ルテイン、ゼアキサンチン、リポ酸、フラボノイド、オメガ3およびオメガ6脂肪酸およびこれらの組み合わせ物等のような、眼用として適合性を有する脂肪酸、および薬剤化合物との組み合わせ物等、を含む。一例の実施形態において、上記の治療剤およびプレポリマーは、これらの間の化学的または物理的な相互作用または親和性が存在するように、選択される。このような相互作用は、イオン結合、水素結合、疎水性および親水性の相互作用等、を含む。一例の実施形態において、上記の治療剤は水溶性である。なお、本明細書において用いられる場合に、水溶性とは、選択された治療剤が、コンタクト・レンズを製造、滅菌および保管するために、共通の、選択された濃度において、さらに、温度およびpH値の管理にわたって、沈殿物またはゲルの粒子を、人間の目に対して、見えるようにすること、を意味する。
【0022】
重合開始剤も添加できる。この開始剤はその処理条件において活性である任意の開始剤とすることができる。適当な開始剤は熱活性化型、光開始剤(UVおよび可視光の開始剤)等を含む。さらに、適当な熱活性化型の開始剤は、過酸化ラウリル(lauryl peroxide)、過酸化ベンゾイル(benzoyl peroxide)、過炭酸イソプロピル(isopropyl percarbonate)、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile)、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(2,2-azobis isobutyronitrile)、2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(2,2-azobis 2-methylbutyronitrile)等、を含む。また、適当な光開始剤は、芳香族アルファ・ヒドロキシケトン(aromatic alpha hydroxyketones)、または第三級アミン+ジケトン(tertiary amine plus a diketone)、を含む。光開始剤システムの代表的な例は、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル・ケトン(1-hydroxycyclohexylphenyl ketone)、2−ヒドロキシ−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(2-hydroxy-methyl-1-phenyl-propan-1-one)、ベンゾフェノン(benzophenone)、チオキサンテン−9−オン(thioxanthen-9-one)、カンファーキノン(camphorquinone)およびエチル−4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエート(ethyl-4-(N,N-dimethylamino)benzoate)またはN−メチルジエタノールアミン(N-methyldiethanolamine)の組み合わせ物、ヒドロキシシクロヘキシル・フェニル・ケトン(hydroxycyclohexyl phenyl ketone)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル・ホスフィン・オキシド(bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phenyl phosphine oxide)およびビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル・ホスフィン・オキシド(bis(2,6-dimethoxybenzoyl)-2,4,4-trimethylpentyl phosphine oxide)、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニル・ホスフィン・オキシド((2,4,6-trimethylbenzoyl)diphenyl phosphine oxide)およびこれらの組み合わせ物等、である。なお、光開始は好ましい方法であり、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル・ホスフィン・オキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル・ホスフィン・オキシドおよび2−ヒドロキシ−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンが好ましい光開始剤である。また、米国特許第5,849,841号の第16段において開示されているような、別の開始剤が当業界において知られており、この特許文献の開示は参照により本明細書に組み込まれている。
【0023】
レンズを形成する量の反応性の混合物を、最終的なコンタクト・レンズの形状を有する金型の中に、添加する。任意の金型材料が、その金型材料が反応性の混合物に対して反応しないか溶解しない限りにおいて、使用できる。この金型材料の適当な非限定の例は、ポリスチレン、ポリプロピレン、トパーズ(Topas)(登録商標)(チコナ(Ticona)から市場において入手可能な、環状オレフィンのコポリマー)等のような環状ポリオレフィン、ゼオノール(Zeonor)(登録商標)(ゼオン(Zeon)から市場において入手可能な、非晶質シクロオレフィンのポリマー)、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標)(Teflon))またはその他のフルオロポリマー、を含む。一例の実施形態において、上記の金型は、前方金型半体部分および後方金型半体部分の、二つの部分、を有している。また、別の実施形態において、上記の前方金型半体部分および後方金型半体部分のいずれかは、コンタクト・レンズのパッケージとして用いることができる。さらに、一部の実施形態において、上記の前方金型半体部分および後方金型半体部分のいずれかは、再使用可能である。また、一部の実施形態において、一方の金型半体部分はコンタクト・レンズ・パッケージとして用いられ、他方の金型半体部分は再使用可能である。
【0024】
上記の「レンズ形成する量」とは、望まれる大きさおよび厚さのレンズを製造するために十分な量を意味する。一般的に、約10〜約50μLの粘性溶液が1個のコンタクト・レンズ当たりに用いられる。一例の実施形態において、上記の添加される反応性の混合物の量は、コンタクト・レンズを形成するために必要とされる量に等しい。このような様式での正確な添加は、過剰なポリマーが重合後に残されないこと、を確実にする。また、このことは、取り扱う必要のある浪費物の量を減少させる。
【0025】
上記の反応性の混合物を入れた金型は、例えば、電子ビーム、X線、UV光または可視光、すなわち、約280nm〜約650nmの範囲内の波長を有する電磁放射線または粒子線等のような電離放射線または化学線に対する曝露等により、硬化される。さらに適当なものはUVランプ、He/Cd、アルゴン・イオンまたは窒素または金属の蒸気、または多重化した周波数を伴うNdYAGレーザー・ビーム、あるいは、発光ダイオード(LED)である。これらの放射線の供給源および開始剤の選択は当業者において知られている。また、当業者であれば、上記粘性溶液の中への上記放射線の浸透の深さおよびその架橋速度がその分子の吸収係数および選択した光開始剤の濃度に対して直接的に相関していることが認識できる。好ましい実施形態において、上記の放射線供給源は、高い強度における、UVA(約315nm〜約400nm)、UVB(約280〜約315)または可視光(約400nm〜約450nm)から選択される。本明細書において用いられる場合に、上記用語の「高い強度」とは、約100mW/cm2 〜約10,000mW/cm2 、を意味する。この硬化時間は短く、一般に約30秒よりも短く、好ましくは約10秒よりも短い。また、この硬化温度はほぼ周囲温度から約90℃の昇温された温度までの範囲にすることができる。便宜上および簡単化のために、上記の硬化はほぼ周囲温度において行なわれることが好ましい。なお、正確な条件は選択されるレンズ材料の成分により決まり、これを決定するための、当業者の技術、の範囲内である。
【0026】
上記の硬化条件は上記の架橋可能なプレポリマーによりポリマーの網状構造を形成するために十分である必要がある。この結果として得られるポリマーの網状構造は上記の希釈剤により膨潤して上記金型の空孔部の形態を有する。
【0027】
硬化が完了すると、金型が開かれる。治療剤が上記の反応性の混合物の中に含まれている場合の実施形態において、その硬化後の処理工程において用いられる溶液の累積的な量は、1個のレンズ当たりに約500mLよりも少なく、一部の場合に1個のレンズ当たりに100mLよりも少なく、別の実施形態においては、約0.005〜約100mL、さらに別の実施形態においては、1個のレンズ当たりに、約0.1〜約50mL、さらに別の実施形態においては、1個のレンズ当たりに、約0.5〜約10mL、さらに別の実施形態においては、1個のレンズ当たりに、約0.5〜約5mLである。また、本明細書において用いられる場合に、硬化後の処理工程は、レンズを硬化する工程と、レンズを収容しているレンズ・パッケージをシールする工程と、の間の工程を含み、レンズ金型からレンズを放出するために役立つ溶液にレンズを接触させる工程(レンズ放出処理(lens release))と、未重合の成分、副産物等を除去するために、溶液にレンズを接触させる工程(抽出処理(extraction))と、最終的な所望の寸法にレンズを膨潤させるために、溶液にレンズを接触させる工程(水和処理(hydration))と、を含む。一例の実施形態において、上記の接触工程において使用する溶液の量は、レンズを水和するために必要な溶液の量に限られている。レンズ・パッケージのボールの寸法と、望まれるパッキング用の溶液とにより、0.005〜0.5mLほどが上記の実施形態において使用できる。
【0028】
別の実施形態において、上記の治療剤は水和用の溶液の中に混合されていてもよい。これらの実施形態において、上記のレンズは従来の条件を用いて抽出した後に、上記のように、水和できる。
【0029】
上記の水和用の溶液は人間の目に対して適合性である必要があり、一部の実施形態において、コンタクト・レンズをパッケージして保管するために適当である必要がある。これらの例は、脱イオン水、および、ホウ酸塩緩衝液化した塩水溶液等のような、塩水溶液、を含む。
【0030】
また、別の実施形態において、上記の治療剤は、水和用の溶液の中に、含まれていてもよい。
【0031】
上記の結果として得られるレンズは、治療の有効な量の、少なくとも1種類の治療剤、を含有している。この治療の有効な量とは、望まれる有益な効果を与えるために必要な治療剤の量、を意味する。例えば、この治療剤が抗アレルゲン性の場合、治療の有効な量は、かゆい目やはれた瞼等のような、目のアレルギーの症状からの軽減、を装着者に与えるのに十分な量であろう。ただし、この治療の有効な量は、それぞれの治療剤に対して、変わる。
【0032】
上記の水和したコンタクト・レンズは、オートクレーブ処理、マイクロ波またはUV光線に対する曝露、化学的な滅菌、無菌のパッケージ化等のような、任意の手段により、滅菌できる。
【0033】
本特許出願において、全ての分子量はデンマーク国のリソ・ナショナル・ラボラトリーズ(Riso National Laboratories)のK.アルムダール(K. Almdal)(アルムダール,K.(Almdal, K.),アブソリュート・モラー・マス・ディストリビューション・ディターミネーション・バイ・サイズ・エクスクルージョン・クロマトグラフィ(Absolute Molar Mass Distribution Determination by Size Exclusion Chromatography).シンセシス・オブ・ナロー・モラー・マス・ディストリビューション・ポリマーズ(Synthesis of Narrow Molar Mass Distribution Polymers).キャラクタリゼーション・オブ・ザ・モラー・マス・デイストリビューション・オブ・ポリ(2−ヒドロキシエチル・メタクリレート)・バイ・サイズ・エクスクルージョン・クロマトグラフィ・ウィズ・カップルド・リフラクテイブ・インデクス・アンド・ロウ・アングル・レーザー・ライト・スキャッタリング・ディテクション(Characterization of the Molar Mass Distribution of Poly(2-hydroxyethyl Methacrylate) by Size Exclusion Chromatography with Coupled Refractive Index and Low Angle Laser Light Scattering Detection).リソ−M−2787(Riso-M-2787),(1巻),(1989年),p.141)により開発されている方法を用いているゲル透過クロマトグラフィ(GPC)分析(いわゆるサイズ排除クロマトグラフィ)により決定される分子量として理解される必要がある。
【0034】
上記の方法において、十分に定められている分子量をそれぞれ有する範囲のポリエチレン・グリコールおよびポリエチレン・オキシドが上記装置の較正において用いられている。これらのpHEMAに対応して用いられている標準物は、比較的に疎水性の高いポリマーに対応して開発されているこれまでの方法よりも、ピークの分子量wtおよびPdに対してより正確な値をそれぞれ与える。なお、この方法は以下において説明されている。
【0035】
分子量は以下のようにして測定できる。また、上記のSEC装置は40℃におけるカラム・オーブン、PEネルソン(PE Nelson)900A/Dを伴うPE・LC−410ポンプ、およびシリーズ200オートサンプラーを備えている。また、検出器はRIメルク(RI Merck)L7490である。
【0036】
上記のカラム組立体はトソハース(TosoHaas)からの2個のTSK−ゲル・カラム(G4000PW+G2500PW)およびガードカラムにより構成されている。
【0037】
上記の溶出物をメタノール−水(75/25(重量/重量))により作成して、50mMの塩化ナトリウム(NaCl)により調整する。
【0038】
流量は0.5mL/分である。また、注入容量は150μLであり、動作時間は60分である。
【0039】
上記の較正曲線を、標準的な基準物として、960000〜194の範囲のピーク分子量のPEGおよびPEOによる三次の回帰を伴って得る。なお、これらのポリマーの標準物はマサチューセッツ州アムヘルストのポリマー・ラボラトリーズ社から購入している(キャリブレーション・キット、PEG−10部品番号2070−0100、PEO−10部品番号2080−0101)。194のピーク分子量の標準的な基準物のPEGを加えることにより、十分に定められた位置においてフロー信号が得られ、この信号は、内部標準または固定点として、用いられる。さらに、NaClを加えることは同様に作用して第2の固定点を与える。
【0040】
ピークの積分が手動により行なわれる。この積分の開始点および終了点は全体的な基準線上の有意差から手動により決定される。この結果の記録値により、Mz、Mw、Mn、およびMピークが得られる。さらに、HEMAにおける関連の値が以下の数学的な関数により上記の標準的な記録値から計算される。
HEMA=10.1,362+0,7854*log M, PEG/PEO
【0041】
上記の注入溶液はメタノール−水(75/25(重量/重量))により調製されて、60mMNaClにより2mg/mLのポリマーの濃度に調節される。さらに、テトラエチレン・グリコールを1mg/mLの濃度において上記サンプルに加えて、ピーク流量の基準物を得る。次に、これらの溶液の注入を行なう前に0.5μmの廃棄可能なフィルターにより濾過する。
【0042】
本発明において、ポリマー・サンプルの、多分散性であるPdは、Pd=Mw /Mn として、定められている。この場合のピーク分子量Mpはその分子量の分布曲線における最も高いピーク値の分子量である。
【0043】
以下の実施例は本発明を限定しない。これらは本発明の実施の方法を示唆することだけを意図している。コンタクト・レンズの分野における見識者ならびに他の専門家は本発明を実施する他の方法を見出すことが可能である。しかしながら、これらの方法は、本発明の範囲内である、と考えられる。
【0044】
実施例1
それぞれ、1.7および1.6のPdを有する117kDおよび171kDの重量平均分子量と、3.0%の官能性の平均の程度と、を有するヒドロキシエチル・メタクリレート(HEMA)とメタクリル酸(MAA)とのプレポリマーを、以下に記載されているように、作成した。
【0045】
主鎖の重合
5Lのジャケット付きの三口フラスコに、5℃に維持されたグラハム・コンデンサと、IKA(登録商標)ユーロスター・パワー・コントロール−ビスク・オーバーヘッド・メカニカル・スターラーと、を備えた。このフラスコに、15分間にわたり、窒素の流れを流し込んだ。循環している温度制御装置を90℃に予備加熱した。次に、以下の固体を秤量して、プラスチックの漏斗を用いて、未使用の口から加えた。1.650gのAIBN(試薬級品、アルドリッチ(Aldrich))、3.000gのノルブロック(Norbloc)(登録商標)、0.036gのブルー・HEMA(米国特許第5,944,853号の実施例4において記載されているような、リアクティブ・ブルー4とHEMAとの反応生成物)。次に、以下の液体を加えた。6.300gのMAA(試薬級品、アルドリッチ(Aldrich))、300μLのTMPTMA(トリメチロールプロパン・トリメタクリレート、エステック(Esstech)から)、300.0gのHEMA(ローム(Rohm)から)。上記の試薬を秤量するために用いた2個のビーカーを、それぞれ、3×100mLの無水の試薬級品のエタノール(VWR)によりすすいだ。さらに、追加の2900mLの無水の試薬級品のエタノールを、上記の組み合わせたすすぎ液と共に、プラスチックの漏斗を用いて、上記のフラスコに添加した。その後、この混合物を、ポリエチレンのフリットを通過する窒素の一定の流れにより脱気しながら、20分間にわたり200rpmで攪拌した。20分後に、窒素の流れがコンデンサに導入され、フリット付きの窒素配管を除去して、未使用の口を49番スーバ・シールにより塞いだ。その後、鉱油バブラーを通して、窒素を継続的に放出することにより、反応を、わずかな正の窒素圧下に、維持した。次に、このフラスコを温度制御装置に接続し、この温度制御装置を速やかに70℃にリセットした。循環している液体の温度は急速に降下することが観察され、その後、徐々に70℃に上昇した。この反応を、120rpmにおいて一定の機械的な攪拌を伴って、4.5時間にわたり、70℃において維持した後に、温度制御装置を20℃にリセットすることにより、周囲温度まで冷却した。
【0046】
上記の機械的な攪拌装置を除去して、その口を59番のスーバ・シールにより塞いだ。大きなポリエチレンのビーカーを12Lのヘキサンにより充たして、120rpmの速度で、IKA(登録商標)ユーロスター(Eurostar)・パワー・コントロール−ビスク・オーバーヘッド・メカニカル・スターラーにより攪拌した。その後、この反応フラスコを、窒素により、2.07×104 パスカル(3psi)に加圧し、8×20ゲージのステンレス鋼の注射針に接続されているポリエチレンのホースを通して、攪拌されている試薬級品のヘキサン(VWR)の中に移した。この母液を、生じた沈殿物から、サイホンにより取り分けて、その固形物を3×2Lの試薬級品のヘキサン(VWR)により洗浄した。可能な限り多くの溶媒を、ポリエチレンのフリットを通して減圧により除去してから、固形物を3Lの回収用フラスコに移して、40℃のバス温度および−101.6kPA(−30インチ・Hg)の最終的な減圧において、ロータリー・エバポレータを用いて、17時間にわたり乾燥した。
【0047】
官能性化および精製
ある量(25.00g)の主鎖の反応からの乾燥したポリマーを、磁気攪拌棒を伴う200mLのシュレンク・フラスコの中に秤量した。このフラスコおよび固形物を1.33×10パスカル(100ミリトル)まで3回にわたりパージして窒素を流し込んでから、100mLの無水の試薬級品のピリジン(アルドリッチ(Aldrich))を、カニューレを介して添加した。この混合物を、固形物が完全に溶解して、均質な溶液が達成されるまで、60分間にわたり攪拌した。次に、再蒸留して精製したMAH(572μL、無水メタクリル酸、アルドリッチ(Aldrich)から購入)を、窒素の雰囲気下に、エッペンドルフ(Eppendorf)(登録商標)ピペットを用いて、攪拌されている溶液に、滴下により加えた。このフラスコをアルミニウム箔により被覆して、17時間にわたり攪拌して放置した。
【0048】
次に、上記の反応混合物を、300mLの無水の試薬級品のエタノール(VWR)により希釈して、そのフラスコを、3×100mLの無水の試薬級品のエタノールにより、すすいだ。これらの組み合わされた溶液およびすすぎ液を1Lのポリエチレン・フラスコの中に集めて、このフラスコを、均質な溶液が達成されるまで、振盪した。次に、上記のポリエチレン・フラスコの角部を、20ゲージのステンレス鋼注射針により、4回にわたり穴あけした。その後、エタノール溶液を、3.5Lの十分に攪拌されている試薬級品のヘキサン(VWR)の中に、上記の穴あけした穴を通してしぼり出した。この母液を、生じた沈殿物からサイホンにより、分け取り、それらの固形物を2×1Lの試薬級品のヘキサン(VWR)により洗浄した。可能な限り多くの溶媒を、ポリエチレンのフリットを通して減圧により除去してから、固形物を1Lの回収用フラスコに移して、周囲温度および101.6Pa(−30インチ・Hg)の最終的な減圧において、ロータリー・エバポレータを用いて、2時間にわたり乾燥した。
【0049】
上記の官能性化反応から得た、乾燥した未精製の固体の全体の塊を、磁石の攪拌を伴って、250mLの無水の試薬級品のエタノールの中に溶解した。その後、ダウエックス(Dowex)(登録商標)2030の無水酸イオン交換樹脂(25g)を上記の混合物に添加して、3分間にわたり攪拌した。その後、上記の溶液を、部分的な減圧を用いて、グラス・ファイバー・フィルター(VWR、1μmの粒子の保持サイズ)を通して濾過した。次に、上記のフラスコおよび樹脂を、5×50mLの試薬級品のエタノール(VWR)によりすすいでから、それらのすすぎ液を、グラス・ファイバー・フィルターを通して、さらに濾過した。これらの組み合わされた溶液およびすすぎ液を500mLのポリエチレン・フラスコの中に集めて、このフラスコを、均一な溶液が達成されるまで、浸透した後に、20ゲージのステンレス鋼注射針を用いて、一つの角部に4回にわたり穴あけした。その後、エタノール溶液を、3Lの十分に攪拌されている試薬級品のヘキサン(VWR)の中に、上記の穴あけした穴を通してしぼり出した。この母液を、生じた沈殿物からサイホンにより、分け取り、それらの固形物を2×1Lの試薬級品のヘキサン(VWR)により洗浄した。可能な限り多くの溶媒を、ポリエチレンのフリットを通して減圧により除去してから、固形物を1Lの回収用フラスコに移して、周囲温度および101.6Pa(−30インチ・Hg)の最終的な減圧において、ロータリー・エバポレータを用いて、17時間にわたり乾燥した。
【0050】
実施例2
表1における成分を注射器の中において一緒に秤量して、10グラムの全体のバッチ・サイズを得た。これらの成分を、均質な混合物が得られるまで、約5分間にわたり、攪拌した。次に、この混合物を新しい注射器の中にポンプ送給してから、約3000RPMにおいて、5分間にわたり、遠心分離した。その後、プランジャーを注射器の中に挿入して、分配のための準備をした。
【表1】

【0051】
50℃の空気を充たしたグローブ・ボックスの中において、約70mgの上記の配合したプレポリマーを、ゼオノール(Zeonor)(ゼオン・コーポレィション(Zeon, Corp.)から市場において入手可能)により作成した前方湾曲部のレンズ金型の中に添加した。同様に、ゼオノール(Zeonor)により作成した後方湾曲部のレンズ金型を、前方湾曲部のレンズ金型の上に置いて、レンズ金型キャビティを形成した。この前方湾曲部/後方湾曲部の金型組立体を、当該組立体を約70℃まで加熱しながら、約2.27kg(5ポンド)の力で密封した。次に、これらのレンズ金型の組立体を、約30mW/cm2 の強度を有するキセノン・ランプ光源を用いて、60秒間にわたり、照射した。その後、これらのレンズ金型組立体を、手により、こじ開けた。さらに、レンズの部分ではない過剰の硬化した材料を後方湾曲部と共に廃棄した。
【0052】
実施例3
実施例2からのレンズが付着している状態の5個の前方湾曲部に、レンズ1個当たりに200μLの充填用の溶液(0.185重量%のホウ酸ナトリウム、0.926重量%のホウ酸および98.89%の水)を添加した。10分後に、上記のレンズおよび充填用の溶液を、プラスチックのトゥイーザーを用いて、ガラス・バイアルの中に移した。その後、これらのレンズに、2mLの充填用の溶液を添加して、白色のシリコーン・ストッパーおよびアルミニウムのキャップにより密封し、121℃において、30分間にわたり、1回だけ、直立の状態で、オートクレーブ処理した。これらのレンズを、20mLの水中における0.1%のトリフルオロ酢酸(trifluororacetic acid)中において、個々に浸漬することにより、2時間にわたり抽出した。その後、これらの抽出物および充填用の溶液(1回の注入当たりに100μL)を、レステック・ウルトラIBD(Restek Ultra IBD)(3μm、150×4.6mm)カラムを備えたHPLC上において、UV検出器により、分析した。この場合に、移動相は、90部の水中における0.1%のTFAと10部のメタノールとの混合物であった。フェニラミンのピークに対応する積分した面積を、較正曲線に対してサンプルを定量するために用いた。この処理を、3個のサンプルに対して、繰り返した。これらの試験した3個のサンプルの充填用の溶液中において検出されたフェニラミンの平均の量は10.3±1.3μgであった。
【0053】
実施例4
実施例2からのレンズが付着している状態の5個の前方湾曲部をはずして、45±5℃において、30分間にわたり、800ppmのトゥイーン80を伴う1Lの脱イオン水中において浸出させた。次に、これらのレンズから、脱イオン水/トゥイーン80の溶液をふき取り、けばの無いペーパー・タオルにより乾かして、別々のガラス・バイアルの中に置いてから、2.2mLの充填用の溶液(0.185重量%のホウ酸ナトリウム、0.926重量%のホウ酸および98.89重量%の水)を添加し、白色のシリコーン・ストッパーおよびアルミニウムのキャップにより密封し、121℃において、30分間にわたり、1回だけ、直立の状態で、オートクレーブ処理した。次に、これらのレンズのフェニラミンの量を、実施例3におけるように、分析した。この結果、試験した3個のサンプルの充填用の溶液の中において検出されたフェニラミンの平均の量は2.4±0.1μgであった。従って、本発明に従って作成したレンズは、はずされて、大量の(約500mLよりも多い)溶液により浸出させたレンズよりも、4倍だけ多くの治療剤、を保持していた。
【0054】
実施例5
100kDの重量平均分子量と、1.7のPdと、1.9%の官能性の平均の程度と、を有するヒドロキシエチル・メタクリレート(HEMA)およびメタクリル酸(MAA)のプレポリマーを以下において記載されているように作成した。
スターラーと、温度制御装置と、冷却および加熱のためのジャケットと、を備えている5リットルのガラス反応装置に、以下の薬品の混合物を添加した。
【表2】

【0055】
反応装置の温度を68℃に上げて、2.11gの2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(2,2'-Azobis(2-Methylbutyronitrile)(AMBN)を添加した。この溶解したAMBNおよび反応装置を窒素のゆっくりとした流れの雰囲気下に置いた。このようにして、温度を20時間にわたり68℃に維持した。
【0056】
磁気攪拌棒を備えているスクリュー蓋を伴う、5個の1リットル・ジャーを用意して、未精製の生成物を、それぞれ600gずつ、ジャーの中にそそぎ入れた。この溶液を、磁気スターラーにより一定に攪拌しながら、水槽の中で60℃に加熱した。その後、48.0gのヘプタン(8%)を添加して、その溶液を60℃に再加熱した。次に、攪拌を止めて、ジャーを、60℃において、水槽の中に置いた。その後、温度を、20時間かけて、24℃まで、一定比で下げた。上相は透明の流体になり、下相は半固体であった。この上相は最も大きった(全体のジャーの約80%)が、低いポリマーの個体の含有量(約1.9〜2.2%)であった。
【0057】
それぞれのジャーの中の上相を廃棄して、下相を水性のエタノールの中に再び溶解することにより、以下により特徴付けられる2125gのポリマーの溶液を得た。12%の固体および3%の水。
【0058】
上記の溶液を、以下のパラメータにおいて、イナート・ループと、アウトレット・フィルターと、ハイ・パーフォーマンス・サイクロンと、を備えている、ミニ・スプレー・ドライヤー・B290(Mini Spray Dryer B-290)を用いて、噴霧乾燥した。
【表3】

【0059】
上記の結果として、約97%乾燥している、250gの微細な白色のふわふわした粉末を得た。この粉末を、磁気攪拌棒を備えている多数の1リットル・フラスコに、それぞれ約77グラムずつ、移した。これらのフラスコを、30ミリバールよりも低い減圧において、100〜130℃で、一晩にわたり、減圧処理することにより、材料をさらに乾燥させた。
【0060】
上記の噴霧乾燥した主鎖の粉末を、秤量したフラスコの中に充填して、30ミリバールよりも低い減圧において、100〜130℃で、一晩にわたり、減圧処理した。翌朝、乾燥したアルゴンの雰囲気により、減圧を解除して、上記のフラスコを、調整された乾燥窒素の雰囲気を伴う箱に移した。その後、冷却した後に、これらのフラスコの全体の重量を決定した。
【0061】
300mLのNMP(N−メチルピロリドン・プラム・アブソリュート、フルカ(Fluka)から))を、粉末を完全に溶解するために加えて、それぞれのフラスコを、均質性について、確認した。次に、所望量のMAH(無水メタクリル酸、98%純粋)を50ccの円筒形のガラス容器の中に秤量して、50mLのNMPを、移す前の、MAHを希釈するために、添加した。さらに、別の50mLのNMPを、完全な移しを確実にするために、ガラス容器を洗い流すために用いた。その後、必要量のトリエチルアミン(ピュリス・グレード、フルカ(Fluka)から)を、フィン・ピペットを用いて、直接に加えた。蓋を締めて、テープにより密封してから、窒素の流れを止めた。その後、反応を、約40時間にわたり、自然に行なわせた。
【0062】
上記の生成したポリマーを以下のように精製した。400mLのNMPの中に溶けている約75gのポリマーを入れたフラスコの内の一つの精製において、2個の5リットルのガラス・ビーカーに、それぞれ、4リットルの脱イオン水と、30mLの発煙HCl(塩酸)と、磁気攪拌棒と、を投入した。その後、前記の反応による官能性化した生成物を、それぞれ200mLずつ、約10mL/秒の速度で、それぞれのビーカーの中に徐々にそそぎ入れた。この結果、沈殿が生じ、水性の相を除去した。次に、この残った膨潤したポリマーを、300mLのエタノールの中において、再び溶解させた。
【0063】
2個の、さらに別の、5リットルのビーカーに、それぞれ、4リットルの脱イオン水と、磁気攪拌棒を、を投入した。さらに、このポリマー/エタノールの溶液を、2個の5リットルのガラス・ビーカーの中にそそぎ入れると、沈殿が再び生じた。この水性の相を除去して、新しい脱イオン水を加えることにより、残留しているHClを、膨潤したポリマーから、さらに抽出した。約12時間後に、上記の水性の相を除去して、膨潤した高分子の材料の重量を決定した。
【0064】
上記の膨潤した高分子の材料を、13.5±0.5%の固形物の含有量を得るように、エタノール中において、再び溶解した後に、その溶液を、25mmGD/Xの0.45μmのワットマン・フィルターを通して、濾過した。さらに、この溶液を、イナート・ループと、アウトレット・フィルターと、ハイ・パーフォーマンス・サイクロンと、を備えている、ミニ・スプレー・ドライヤー・B290(Mini Spray Dryer B-290)を用いて、噴霧乾燥した。この場合に、以下のパラメータを適用した。
【表4】

【0065】
上記の結果として、約50gの微細な白色のふわふわした粉末を得た。このプレポリマーの粉末を、30ミリバールよりも低い減圧下において、室温で、一晩にわたり、乾燥させて、使用のために、その材料の準備をした。
【0066】
実施例6
以下の表5の成分を注射器の中において一緒に秤量して、11グラムの全体のバッチ・サイズを得た。これらの成分を、均質な混合物が得られるまで、約50ミリバールの減圧下において、室温で、約5分間にわたり、攪拌した。次に、この混合物を新しい注射器の中にポンプ送給してから、約3000RPMにおいて、約10分間にわたり、遠心分離した。その後、プランジャーを注射器の中に挿入して、分配のための準備をした。
【表5】

【0067】
室温において、窒素と2%未満の酸素とにより充たしたグローブ・ボックスの中において、約70mgの上記の配合したプレポリマーを、ポリスチレンにより作製した前方湾曲部のレンズ金型それぞれの中に添加した。次に、ゼオノール(Zeonor)プラスチック(ゼオン・コーポレィション(Zeon, Corp.)から市場において入手可能)により作成した後方湾曲部のレンズ金型を、前方湾曲部のレンズ金型の上に置いて、レンズ金型キャビティを形成した。この前方湾曲部/後方湾曲部の金型組立体を、室温において、約5ポンド(2.3kg)の力により密封した。次に、これらのレンズ金型の組立体を、IL1400放射計を用いてレンズ金型において測定した場合に、約5mW/cm2 の強度を有する連続波のTL−03電球を用いて、4分間にわたり、照射した。その後、これらのレンズ金型組立体を、前方湾曲部の表面の上にレンズが保持されるように、手により、こじ開けた。さらに、レンズの部分ではない過剰の硬化した材料を後方湾曲部と共に廃棄した。
【0068】
上記のレンズを、約800ppmのトゥイーン80を含有している1mLのホウ酸塩緩衝液化した塩水の溶液を用いて、上記の前方湾曲部の金型から、個々に、はずした。24時間にわたる平衡化の後に、2個のレンズからの平衡化用の溶液を、HPLCにより、ケトチフェンの濃度について、分析した。この結果、平衡化用の溶液の中のケトチフェンの平均の量は4.6μgであった。
【0069】
実施例7
上記実施例6からの2個のレンズを、穏やかに振盪させている状態の、37℃の水槽の中における、0.5mLの新しいホウ酸塩緩衝液化した塩水溶液の中に、入れた。以下の時間の間隔、すなわち、15分、30分、1時間、5時間、24時間、32時間および48時間、において、全体の溶液を取り出して、経時的にケトチフェンの放出について確認するために、HPLC分析のためのバイアルの中に、それぞれ入れた。
【0070】
レンズ中のケトチフェンの始めの含有量は、レンズを膨潤させてケトチフェンを抽出するために、一晩にわたり、3mLのメタノールの中に、2個のレンズを浸漬させることにより、確認されている。このメタノール溶液を、ケトチフェンの濃度について、HPLCにより分析した。これらの結果が、以下の、表6において、示されている。
【0071】
ケトチフェンの濃度は、以下の条件下において、アギレント(Agilent)・HPLC・システムを用いて、RP−HPLCにおいて、分析されている。
カラム:ゾルバックス(Zorbax)C18カラム、150*4.6mm
方法: KF.m
流量: 0.8mL/分
温度: 40℃
検出: UV、235nm
注入量:5μL
【表6】

【0072】
〔実施の態様〕
(1)方法において、
a.金型の中に、少なくとも1種類の架橋可能なプレポリマーを含有している反応性の混合物を添加する工程と、
b.前記反応性の混合物を硬化させて、医療装置を形成する工程と、
c.前記硬化工程(b)の後に、前記医療装置を、医療装置1個当たり500mL以下の溶液に接触させる工程と、
d.前記接触工程(c)の前かその間に、少なくとも1種類の治療剤を混合する工程と、
を含む、方法。
(2)実施態様1に記載の方法において、
前記医療装置は眼用装置である、方法。
(3)方法において、
e.金型の中に、少なくとも1種類の架橋可能なプレポリマーを含有している反応性の混合物を添加する工程と、
f.前記反応性の混合物を硬化させて、コンタクト・レンズを形成する工程と、
g.前記硬化工程(b)の後に、前記コンタクト・レンズを、コンタクト・レンズ1個当たり500mL以下の溶液に接触させる工程と、
h.前記接触工程(c)の前かその間に、少なくとも1種類の治療剤を混合する工程と、
を含む、方法。
(4)実施態様3に記載の方法において、
前記接触工程は、レンズ1個当たり0.005〜100mLの溶液を使用する、方法。
(5)実施態様3に記載の方法において、
前記接触工程は、レンズ1個当たり0.1〜50mLの溶液を使用する、方法。
【0073】
(6)実施態様3に記載の方法において、
前記接触工程は、レンズ1個当たり0.5〜10mLの溶液を使用する、方法。
(7)実施態様3に記載の方法において、
前記接触工程は、レンズ1個当たり0.5〜5mLの溶液を使用する、方法。
(8)実施態様3に記載の方法において、
前記プレポリマーは、ウレタン、メタクリレート、シリコーン、ビニル・アルコール、およびこれらの混合物から形成されている、方法。
(9)実施態様2または3に記載の方法において、
前記溶液は、水を含む、方法。
(10)実施態様2または3に記載の方法において、
前記溶液は、コンタクト・レンズのパッキング用の溶液である、方法。
【0074】
(11)実施態様2または3に記載の方法において、
前記溶液は、ホウ酸塩緩衝液化した塩水の溶液(borate buffered saline solution)である、方法。
(12)実施態様3に記載の方法において、
前記治療剤は、前記反応性の混合物の中に混合される、方法。
(13)実施態様1,2または3に記載の方法において、
前記治療剤は、前記添加工程(a)の間に、前記プレポリマーの中に混合される、方法。
(14)実施態様1,2または3に記載の方法において、
前記治療剤は、前記接触工程(c)の間に、前記プレポリマーの中に混合される、方法。
(15)実施態様1,2または3に記載の方法において、
前記治療剤は、配合により、前記反応性の混合物の中に混合される、方法。
【0075】
(16)実施態様9に記載の方法において、
前記溶液は、治療に有効な量の前記治療剤を含有している、方法。
(17)実施態様3に記載の方法において、
前記反応性の混合物は、前記溶液により置換可能である少なくとも1種類の希釈剤をさらに含有している、方法。
(18)実施態様17に記載の方法において、
前記希釈剤は、人間の目との適合性を有する、方法。
(19)実施態様17に記載の方法において、
前記治療剤は、硬化および保管の状況の間に、前記希釈剤に可溶性ある、方法。
(20)実施態様17に記載の方法において、
前記希釈剤は、水、ポリエチレン・グリコール、ポリプロピレン・グリコール、およびこれらの混合物、から成る群から選択される、方法。
【0076】
(21)実施態様3に記載の方法において、
前記金型は、前方金型半体部分(front mold half)と、後方金型半体部分(back mold half)と、を含んでおり、
少なくとも一方の金型半体部分(mold half)は、コンタクト・レンズ・パッケージの少なくとも一部を形成するために、用いられる、
方法。
(22)実施態様3に記載の方法において、
前記金型は、前方金型半体部分と、後方金型半体部分と、を含んでおり、
少なくとも一方の金型半体部分は、再使用可能である、
方法。
(23)実施態様1,2または3に記載の方法において、
前記混合工程(d)の後に、前記医療装置のレンズを滅菌する工程(e)、
をさらに含む、方法。
(24)実施態様23に記載の方法において、
前記滅菌工程は、オートクレーブ処理、マイクロ波の照射、UV光線の照射、化学的な滅菌処理、無菌のパッケージ化、またはこれらの組み合わせにより、行なわれる、方法。
(25)実施態様3に記載の方法において、
前記治療剤は、薬剤、栄養補助食品、およびこれらの組み合わせ物等、から成る群から選択される、方法。
【0077】
(26)実施態様3に記載の方法において、
前記治療剤は、抗ヒスタミン薬、抗生物質、緑内障薬、炭酸脱水酵素阻害薬、抗ウイルス剤、抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症薬、抗真菌薬、麻酔薬、縮瞳薬、散瞳薬、免疫抑制剤、駆虫薬、抗原生動物薬、およびこれらの組み合わせ物、から成る群から選択される、少なくとも1種類の薬剤を含む、方法。
(27)実施態様3に記載の方法において、
前記治療剤は、アシクロビル(acycylovir)、アドレナロン(adrenalone)、アミノカプロン酸(aminocaproic acid)、アモキシシリン(amoxicillin)、アモトリフェン(amotriphene)、アモキセカイン(amoxecaine)、アモジアキン(amodiaquin)、アンタゾリン(antazoline)、アトロフィン(atrophine)、ベタキソロール(betaxolol)、ブピバカイン(bupivacaine)、カルバコール(carbachol)、カルテオロール(carteolol)、クロラムフェニコール(chlorampenicol)、クロルテトラサイクリン(chlortetracycline)、クレマスチン(clemastine)、コリナシン(corynathine)、クロマリン・ナトリウム(cromalyn sodium)、シクロペントレート(cyclopentolate)、デメカリウム(demecarium)、デキサメタゾン(dexamethasone)、ジクロルフェナミド(dichlorphenamide)、ジブトリン(dibutoline)、ジクロフェナク(diclophenac)、ジピベフリン(dipivefrin)、エフェドリン(ephedrine)、エリスロマイシン(erythromycin)、エタンブトール(ethambutol)、オイカトロピン(eucatropine)、フルオロメタロン(fluoromethalone)、ゲンタマイシン(gentamycin)、グラミシジン(gramicidin)、ホマトロピン(homatropine)、インドメタシン(indomethacin)、ケトチフェン(ketotifen)、レバロルファン(levallorphan)、レボブノロール(levobunolol)、レボカバスチン(levocabastine)、リドカイン(lidocaine)、リグノカイン(lignocaine)、ロメフロキサシン(lomefloxacin)、ロラチジン(loratidine)、メドリゾン(medrysone)、メピバカイン(mepivacaine)、メタゾラミド(methazolamide)、ナファゾリン(naphazoline)、ナタマイシン(natamycin)、ナタマイシン(natamycin)、ネオマイシン(neomycin)、ノルアドレナリン(noradrenaline)、オフロキサシン(ofloxacin)、オキシブプロカイン(oxybuprocaine)、オキシメタゾリン(oxymetazoline)、フェニラミン(pheniramine)、フェニレフリン(phenylephrine)、フィゾスチグミン(physostigmine)、ピロカルピン(pilocarpine)、ポリミキシンB(polymyxin B)、プレドニゾロン(prednisolone)、プロパラカイン(proparacaine)、ピリラミン(pyrilamine)、スコポラミン(scopolamine)、ソルビニル(sorbinil)、スルファセタミド(sulfacetamide)、タモキシフェン(tamoxifen)、テトラカイン(tetracaine)、テトラサイクリン(tetracycline)、テトラヒドゾリン(tetrahydozoline)、チモロール(timolol)、トリフルリジン(trifluridine)、トロピカミド(tropicamide)、ビダラビン(vidarabine)、およびこれらの塩および混合物、から成る群から選択される、少なくとも1種類の薬剤を含む、方法。さらに、別の実施形態において、前記OIOCは、ケトチフェン・フマレート(ketotifen fumarate)、ノルケトチフェン・フマレート(nor ketotifen fumarate)、11−ジヒドロ−11(1−メチル−4−ピペリジニリデン)−5H−イミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−3−カルボキシアルデヒド(11-dihydro-11-(1-methyl-4-piperidinylidene)-5H-imidazo[2,1-b][3]benzazepine-3-carboxaldehyde)(CAS番号:147084−10−4)、オラパタジン(olopatadine)、およびこれらの混合物から選択される、少なくとも1種類の治療剤を含む。
(28)実施態様3に記載の方法において、
前記治療剤は、ケトチフェン・フマレート(ketotifen fumarate)、フェニラミン・マレエート(pheniramine maleate)、クレマスチン(clemastine)、ロラチジン(loratidine)、11−ジヒドロ−11(1−メチル−4−ピペリジニリデン)−5H−イミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−3−カルボキシアルデヒド(11-dihydro-11-(1-methyl-4-piperidinylidene)-5H-imidazo[2,1-b][3]benzazepine-3-carboxaldehyde)(CAS番号:147084−10−4)、オラパタジン(olapatadine)、およびこれらの混合物、から成る群から選択される、方法。
(29)実施態様25に記載の方法において、
前記治療剤は、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ルテイン、ゼアキサンチン、リポ酸、フラボノイド、目に適合性のある脂肪酸、およびこれらの組み合わせ物、から成る群から選択される、少なくとも1種類の栄養補助食品を含む、方法。
(30)実施態様3に記載の方法において、
前記方法は、抽出工程を伴わずに、行なわれる、方法。
【0078】
(31)実施態様3に記載の方法において、
前記接触工程(c)は、前記金型から前記レンズをはずす工程と、前記レンズから未反応の成分を抽出する工程と、前記レンズを水和させる工程と、これらの工程の組み合わせと、から成る群から選択される、少なくとも一つの工程を含む、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法において、
a.金型の中に、少なくとも1種類の架橋可能なプレポリマーを含有している反応性の混合物を添加する工程と、
b.前記反応性の混合物を硬化させて、医療装置を形成する工程と、
c.前記硬化工程(b)の後に、前記医療装置を、医療装置1個当たり500mL以下の溶液に接触させる工程と、
d.前記接触工程(c)の前かその間に、少なくとも1種類の治療剤を混合する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記医療装置は眼用装置である、方法。
【請求項3】
方法において、
e.金型の中に、少なくとも1種類の架橋可能なプレポリマーを含有している反応性の混合物を添加する工程と、
f.前記反応性の混合物を硬化させて、コンタクト・レンズを形成する工程と、
g.前記硬化工程(b)の後に、前記コンタクト・レンズを、コンタクト・レンズ1個当たり500mL以下の溶液に接触させる工程と、
h.前記接触工程(c)の前かその間に、少なくとも1種類の治療剤を混合する工程と、
を含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記接触工程は、レンズ1個当たり0.005〜100mLの溶液を使用する、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、
前記接触工程は、レンズ1個当たり0.1〜50mLの溶液を使用する、方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法において、
前記接触工程は、レンズ1個当たり0.5〜10mLの溶液を使用する、方法。
【請求項7】
請求項3に記載の方法において、
前記接触工程は、レンズ1個当たり0.5〜5mLの溶液を使用する、方法。
【請求項8】
請求項3に記載の方法において、
前記プレポリマーは、ウレタン、メタクリレート、シリコーン、ビニル・アルコール、およびこれらの混合物から形成されている、方法。
【請求項9】
請求項2または3に記載の方法において、
前記溶液は、水を含む、方法。
【請求項10】
請求項2または3に記載の方法において、
前記溶液は、コンタクト・レンズのパッキング用の溶液である、方法。
【請求項11】
請求項2または3に記載の方法において、
前記溶液は、ホウ酸塩緩衝液化した塩水の溶液である、方法。
【請求項12】
請求項3に記載の方法において、
前記治療剤は、前記反応性の混合物の中に混合される、方法。
【請求項13】
請求項1,2または3に記載の方法において、
前記治療剤は、前記添加工程(a)の間に、前記プレポリマーの中に混合される、方法。
【請求項14】
請求項1,2または3に記載の方法において、
前記治療剤は、前記接触工程(c)の間に、前記プレポリマーの中に混合される、方法。
【請求項15】
請求項1,2または3に記載の方法において、
前記治療剤は、配合により、前記反応性の混合物の中に混合される、方法。
【請求項16】
請求項9に記載の方法において、
前記溶液は、治療に有効な量の前記治療剤を含有している、方法。
【請求項17】
請求項3に記載の方法において、
前記反応性の混合物は、前記溶液により置換可能である少なくとも1種類の希釈剤をさらに含有している、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記希釈剤は、人間の目との適合性を有する、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、
前記治療剤は、硬化および保管の状況の間に、前記希釈剤に可溶である、方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法において、
前記希釈剤は、水、ポリエチレン・グリコール、ポリプロピレン・グリコール、およびこれらの混合物、から成る群から選択される、方法。
【請求項21】
請求項3に記載の方法において、
前記金型は、前方金型半体部分と、後方金型半体部分と、を含んでおり、
少なくとも一方の金型半体部分は、コンタクト・レンズ・パッケージの少なくとも一部を形成するために、用いられる、
方法。
【請求項22】
請求項3に記載の方法において、
前記金型は、前方金型半体部分と、後方金型半体部分と、を含んでおり、
少なくとも一方の金型半体部分は、再使用可能である、
方法。
【請求項23】
請求項1,2または3に記載の方法において、
前記混合工程(d)の後に、前記医療装置のレンズを滅菌する工程(e)、
をさらに含む、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、
前記滅菌工程は、オートクレーブ処理、マイクロ波の照射、UV光線の照射、化学的な滅菌処理、無菌のパッケージ化、またはこれらの組み合わせにより、行なわれる、方法。
【請求項25】
請求項3に記載の方法において、
前記治療剤は、薬剤、栄養補助食品、およびこれらの組み合わせ物等、から成る群から選択される、方法。
【請求項26】
請求項3に記載の方法において、
前記治療剤は、抗ヒスタミン薬、抗生物質、緑内障薬、炭酸脱水酵素阻害薬、抗ウイルス剤、抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症薬、抗真菌薬、麻酔薬、縮瞳薬、散瞳薬、免疫抑制剤、駆虫薬、抗原生動物薬、およびこれらの組み合わせ物、から成る群から選択される、少なくとも1種類の薬剤を含む、方法。
【請求項27】
請求項3に記載の方法において、
前記治療剤は、アシクロビル(acycylovir)、アドレナロン(adrenalone)、アミノカプロン酸(aminocaproic acid)、アモキシシリン(amoxicillin)、アモトリフェン(amotriphene)、アモキセカイン(amoxecaine)、アモジアキン(amodiaquin)、アンタゾリン(antazoline)、アトロフィン(atrophine)、ベタキソロール(betaxolol)、ブピバカイン(bupivacaine)、カルバコール(carbachol)、カルテオロール(carteolol)、クロラムフェニコール(chlorampenicol)、クロルテトラサイクリン(chlortetracycline)、クレマスチン(clemastine)、コリナシン(corynathine)、クロマリン・ナトリウム(cromalyn sodium)、シクロペントレート(cyclopentolate)、デメカリウム(demecarium)、デキサメタゾン(dexamethasone)、ジクロルフェナミド(dichlorphenamide)、ジブトリン(dibutoline)、ジクロフェナク(diclophenac)、ジピベフリン(dipivefrin)、エフェドリン(ephedrine)、エリスロマイシン(erythromycin)、エタンブトール(ethambutol)、オイカトロピン(eucatropine)、フルオロメタロン(fluoromethalone)、ゲンタマイシン(gentamycin)、グラミシジン(gramicidin)、ホマトロピン(homatropine)、インドメタシン(indomethacin)、ケトチフェン(ketotifen)、レバロルファン(levallorphan)、レボブノロール(levobunolol)、レボカバスチン(levocabastine)、リドカイン(lidocaine)、リグノカイン(lignocaine)、ロメフロキサシン(lomefloxacin)、ロラチジン(loratidine)、メドリゾン(medrysone)、メピバカイン(mepivacaine)、メタゾラミド(methazolamide)、ナファゾリン(naphazoline)、ナタマイシン(natamycin)、ナタマイシン(natamycin)、ネオマイシン(neomycin)、ノルアドレナリン(noradrenaline)、オフロキサシン(ofloxacin)、オキシブプロカイン(oxybuprocaine)、オキシメタゾリン(oxymetazoline)、フェニラミン(pheniramine)、フェニレフリン(phenylephrine)、フィゾスチグミン(physostigmine)、ピロカルピン(pilocarpine)、ポリミキシンB(polymyxin B)、プレドニゾロン(prednisolone)、プロパラカイン(proparacaine)、ピリラミン(pyrilamine)、スコポラミン(scopolamine)、ソルビニル(sorbinil)、スルファセタミド(sulfacetamide)、タモキシフェン(tamoxifen)、テトラカイン(tetracaine)、テトラサイクリン(tetracycline)、テトラヒドゾリン(tetrahydozoline)、チモロール(timolol)、トリフルリジン(trifluridine)、トロピカミド(tropicamide)、ビダラビン(vidarabine)、およびこれらの塩および混合物、から成る群から選択される、少なくとも1種類の薬剤を含む、方法。さらに、別の実施形態において、前記OIOCは、ケトチフェン・フマレート(ketotifen fumarate)、ノルケトチフェン・フマレート(nor ketotifen fumarate)、11−ジヒドロ−11(1−メチル−4−ピペリジニリデン)−5H−イミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−3−カルボキシアルデヒド(11-dihydro-11-(1-methyl-4-piperidinylidene)-5H-imidazo[2,1-b][3]benzazepine-3-carboxaldehyde)(CAS番号:147084−10−4)、オラパタジン(olopatadine)、およびこれらの混合物から選択される、少なくとも1種類の治療剤を含む。
【請求項28】
請求項3に記載の方法において、
前記治療剤は、ケトチフェン・フマレート(ketotifen fumarate)、フェニラミン・マレエート(pheniramine maleate)、クレマスチン(clemastine)、ロラチジン(loratidine)、11−ジヒドロ−11(1−メチル−4−ピペリジニリデン)−5H−イミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−3−カルボキシアルデヒド(11-dihydro-11-(1-methyl-4-piperidinylidene)-5H-imidazo[2,1-b][3]benzazepine-3-carboxaldehyde)(CAS番号:147084−10−4)、オラパタジン(olapatadine)、およびこれらの混合物、から成る群から選択される、方法。
【請求項29】
請求項25に記載の方法において、
前記治療剤は、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ルテイン、ゼアキサンチン、リポ酸、フラボノイド、目に適合性のある脂肪酸、およびこれらの組み合わせ物、から成る群から選択される、少なくとも1種類の栄養補助食品を含む、方法。
【請求項30】
請求項3に記載の方法において、
前記方法は、抽出工程を伴わずに、行なわれる、方法。
【請求項31】
請求項3に記載の方法において、
前記接触工程(c)は、前記金型から前記レンズをはずす工程と、前記レンズから未反応の成分を抽出する工程と、前記レンズを水和させる工程と、これらの工程の組み合わせと、から成る群から選択される、少なくとも一つの工程を含む、方法。

【公開番号】特開2007−289641(P2007−289641A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−275427(P2006−275427)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(500092561)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (153)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway−Suite 100, Jacksonville, Florida 32256, U.S.A.
【Fターム(参考)】