説明

洗浄表面を備えた部材及び汚染物を除去する方法

【課題】リソグラフィ装置内の微粒子を捕捉する際に使用する洗浄表面を備えた部材が開示される。
【解決手段】微粒子は、パターン状に配置された複数の突起によって捕捉される。センサを用いて、パターン内の汚染物微粒子を検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、洗浄表面を備えた部材及び汚染物を除去する方法に関する。
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが与えられる互いに近接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0003】
[0003] 投影システムの最終要素と基板の間の空間を充填するように、リソグラフィ投影装置内の基板を水などの比較的高い屈折率を有する液体に液浸することが提案されている。ある実施形態では、液体は例えば蒸留水でよいが、別の液体を使用することもできる。本発明の実施形態は、液体について説明されている。しかし別の流体、特に湿潤流体、非圧縮性流体及び/又は屈折率が空気より高い、望ましくは屈折率が水より高い流体が適切なこともある。気体を除く流体が特に有用である。そのポイントは、露光放射は液体中の方が波長が短いので、結像するフィーチャの小型化を可能にすることである。(液体の効果は、システムの有効開口数(NA)を大きくでき、焦点深さも大きくすることと見なすこともできる。)固体粒子(例えば石英)が懸濁している水、又はナノ粒子の懸濁(例えば最大10nmの最大寸法の粒子)がある液体などの、他の液浸液も提案されている。懸濁粒子は、これが懸濁している液体と同様の屈折率又は同じ屈折率を有していても、有していなくてもよい。適切になり得る他の液体は、芳香族などの炭化水素、フルオロハイドロカーボン、及び/又は水溶液である。
【0004】
[0004] 基板又は基板及び基板テーブルを液体の槽に浸すこと(例えば米国特許US4,509,852号参照)は、スキャン露光中に加速すべき大きい塊の液体があることでもある。これには、追加のモータ又はさらに強力なモータが必要であり、液体中の乱流が望ましくない予測不能な効果を引き起こすことがある。
【0005】
[0005] 液浸装置では、液浸流体は、流体ハンドリングシステム、構造又は装置によってハンドリングされる。ある実施形態では、流体ハンドリングシステムは、液浸流体を供給することができ、それ故、流体供給システムである。ある実施形態では、流体ハンドリングシステムは、少なくとも部分的に液浸流体を閉じ込めることができ、それにより、流体閉じ込めシステムである。ある実施形態では、流体ハンドリングシステムは、流体へのバリアを提供することができ、それにより、流体閉じ込め構造などのバリア部材である。ある実施形態では、流体ハンドリングシステムは、ガスのフローを生成又は使用して、例えば、液浸流体のフロー及び/又は位置を制御するのを助けることができる。ガスのフローは、液浸流体を閉じ込める封止を形成することができ、したがって、流体ハンドリング構造を封止部材と呼ぶこともできる。このような封止部材は、流体閉じ込め構造であってもよい。ある実施形態では、液浸液は、液浸流体として使用される。この場合、流体ハンドリングシステムは、液体ハンドリングシステムであってもよい。上記説明に関して、本節で流体に関して定義された特徴への言及は、液体に関して定義された特徴を含むと考えてもよい。
【0006】
[0006] 提案されている構成の1つは、液体供給システムが流体閉じ込め構造を使用して、基板の局所領域に、及び投影システムの最終要素と基板の間にのみ液体を提供する(基板は通常、投影システムの最終要素より大きい表面積を有する)。これを配置構成するために提案されている1つの方法が、PCT特許出願公開WO99/49504号に開示されている。図2及び図3に図示されているように、液体が少なくとも1つの入口によって基板W上に、望ましくは最終要素に対する基板Wの動作方向に沿って供給され、投影システムPSの下を通過した後に少なくとも1つの出口によって除去される。つまり、基板Wが−X方向にて要素の下でスキャンされると、液体が要素の+X側にて供給され、−X側にて取り上げられる。図2は、液体が入口を介して供給され、低圧源に接続された出口によって要素の他方側で取り上げられる構成を概略的に示したものである。図2の図では、液体が最終要素に対する基板Wの動作方向に沿って供給されるが、こうである必要はない。最終要素の周囲に配置された入口及び出口の様々な方向及び数が可能であり、一例が図3に図示され、ここでは各側に4組の入口と出口が、最終要素の周囲の規則的パターンで設けられる。液体のフローの方向は、図2及び図3に矢印で示されていることに留意されたい。
【0007】
[0007] 局所液体供給システムがある液浸リソグラフィのさらなる解決法が、図4に図示されている。液体が、投影システムPSのいずれかの側にある2つの溝入口によって供給され、入口の半径方向外側に配置された複数の別個の出口によって除去される。入口及び出口は、投影される投影ビームが通る穴が中心にある板に配置することができる。液体は、投影システムPSの一方側にある1つの溝入口によって供給され、投影システムPSの他方側にある複数の別個の出口によって除去されて、投影システムPSと基板Wの間に液体の薄膜の流れを引き起こす。どの組み合わせの入口と出口を使用するかの選択は、基板Wの動作方向によって決定することができる(他の組み合わせの入口及び出口は動作しない)。流体のフローの方向と基板Wの方向は図4に矢印で示されていることに留意されたい。
【0008】
[0008] 欧州特許出願公開EP1420300号及び米国特許出願公開2004−0136494号では、ツイン又はデュアルステージ液浸リソグラフィ装置の概念が開示されている。このような装置は、基板を支持する2つのテーブルを備える。第1の位置にあるテーブルで、液浸液がない状態でレベリング測定を実行し、液浸液が存在する第2の位置にあるテーブルで、露光を実行する。あるいは、装置は1つのテーブルのみを有する。
【0009】
[0009] PCT特許出願公開WO2005/064405号は、液浸液が閉じ込められないオールウェット構成を開示している。このようなシステムでは、基板の上面全体が液体で覆われる。これは、基板の上面全体が実質的に同じ状態に曝露しているので有利なことがある。これは、基板の温度制御及び処理にとって利点を有する。WO2005/064405号では、液体供給システムが投影システムの最終要素と基板の間のギャップに液体を供給する。その液体は、基板の残りの部分の上に漏れることができる。基板テーブルの縁部にあるバリアは、液体が逃げるのを防止し、したがって制御された方法で基板テーブルの上面からこれを除去することができる。このようなシステムは、基板の温度制御及び処理を改良するが、それでも液浸液の蒸発が生じることがある。その問題の軽減に役立つ1つの方法が、米国特許出願公開US2006/0119809号に記載されている。すべての位置で基板Wを覆い、液浸液を自身と基板及び/又は基板を保持する基板テーブルの上面との間に延在させるように構成された部材が提供される。
【発明の概要】
【0010】
[0010] 液浸液内の汚染物微粒子の存在は回避しなければならない。液浸液内のいかなる汚染物微粒子も、投影システムの最終要素と基板との間の液浸空間に侵入する可能性がある。液浸空間内の汚染物微粒子は、結像エラーを引き起こすことがあり、その存在は回避しなければならない。
【0011】
[0011] 例えば、汚染物微粒子を捕捉し汚染物微粒子を検出できる部材を提供することが望ましい。
【0012】
[0012] ある態様によれば、リソグラフィ装置内の微粒子を捕捉する際に使用する洗浄表面を持つ部材であって、該洗浄表面は、その間で汚染物微粒子を捕捉する複数の突起を備え、該突起は、リソグラフィ装置のセンサが洗浄表面上の汚染物微粒子を検出できるようにパターン状に配置されている、部材が提供される。
【0013】
[0013] ある態様によれば、リソグラフィ装置内に少なくとも部分的に封じ込められた流体から汚染物を除去する方法であって、洗浄表面を備えた部材を装置内にロードすること、汚染物が表面によって捕捉されるように汚染物を除去する流体の近傍に部材を移動させること、装置内のセンサを用いて洗浄表面上の汚染物微粒子を検出することを含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[0014] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【0015】
【図1】[0015]本発明のある実施形態によるリソグラフィ装置を示す図である。
【図2】[0016]リソグラフィ投影装置で使用する液体供給システムを示す図である。
【図3】[0016]リソグラフィ投影装置で使用する液体供給システムを示す図である。
【図4】[0017]リソグラフィ投影装置で使用する別の液体供給システムを示す図である。
【図5】[0018]リソグラフィ装置で使用する別の液体供給システムを示す図である。
【図6】[0019]本発明のある実施形態による洗浄表面を備えた部材の略断面図である。
【図7】[0020]本発明のある実施形態による洗浄表面の略平面図である。
【図8】[0021]本発明の別の実施形態による洗浄表面の略平面図である。
【図9】[0022]洗浄表面内で画定されたパターンの略平面図である。
【図10】[0023]本発明のある実施形態の4つの部材の使用前のデルタシフト−半径を示す線図である。
【図11】[0024]図10と同じ部材の洗浄に使用した後のデルタシフト−半径を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0025] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
− 放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
− パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
− 基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
− パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ又は複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを含む。
【0017】
[0026] 照明システムILは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0018】
[0027] 支持構造MTはパターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、パターニングデバイスMAの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスMAが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスMAを保持する。この支持構造MTは、パターニングデバイスMAを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。支持構造MTは、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造MTは、パターニングデバイスMAが例えば投影システムPSなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0019】
[0028] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0020】
[0029] パターニングデバイスMAは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0021】
[0030] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0022】
[0031] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0023】
[0032] リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のパターニングデバイステーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ又は複数の他のテーブルを露光に使用している間に1つ又は複数のテーブルで予備工程を実行することができる。
【0024】
[0033] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源SOとリソグラフィ装置とは、例えば放射源SOがエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源SOはリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源SOが水銀ランプの場合は、放射源SOがリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0025】
[0034] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調節するアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータILを用いて放射ビームを調整し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。放射源SOと同様、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一部を形成すると考えてもよいし、又は考えなくてもよい。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一体化部分であってもよく、又はリソグラフィ装置とは別の構成要素であってもよい。後者の場合、リソグラフィ装置は、イルミネータILをその上に搭載できるように構成することもできる。任意選択として、イルミネータILは着脱式であり、別に提供されてもよい(例えば、リソグラフィ装置の製造業者又は別の供給業者によって)。
【0026】
[0035] 放射ビームBは、支持構造MT(例えば、マスクテーブル)上に保持されたパターニングデバイスMA(例えば、マスク)に入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPWと位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、支持構造MTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分Cの間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして周知である)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、パターニングデバイスアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0027】
[0036] 図示のリソグラフィ装置は以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
【0028】
[0037] 1.ステップモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームBに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
【0029】
[0038] 2.スキャンモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームBに与えられたパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分Cの(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分Cの(スキャン方向における)高さが決まる。
【0030】
[0039] 3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームBに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0031】
[0040] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0032】
[0041] 投影システムの最終要素と基板の間に液体を提供する構成は、少なくとも2つの一般的カテゴリに分類することができる。それは、基板の全体及び任意選択で基板テーブルの一部が液体槽に浸される槽型構成と、液体が基板の局所領域に提供されるだけである液体供給システムを使用するいわゆる局所液浸システムとである。後者のカテゴリでは、液体によって充填された空間が基板の上面より平面図で小さく、液体で充填された領域は、基板がその領域の下で移動している間、投影システムに対して実質的に静止したままである。本発明のある実施形態が狙いとする別の構成は、液体が閉じ込められていないオールウェット解決策である。この構成では、実質的に基板の上面全体、及び基板テーブルの全部又は一部が液浸液で覆われる。少なくとも基板を覆う液体の深さは浅い。液体は、基板上の液体の薄膜などの膜でよい。図2から図5の液体供給デバイスのいずれも、このようなシステムに使用できるが、その密封特徴は存在しないか、動作していないか、通常ほど効率的でないか、それ以外にも局所領域のみに液体を密封するには有効でない。図2から図5には、4つの異なるタイプの局所液体供給システムが図示されている。図2から図4に開示した液体供給システムは、以上で説明されている。
【0033】
[0042] 提案されている別の構成は、投影システムの最終要素と基板テーブルの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在する流体閉じ込め構造を液体供給システムに設ける。このような構成が図5に示されている。流体閉じ込め構造は、投影システムに対してXY面では実質的に静止しているが、Z方向(光軸の方向)には多少の相対運動があってよい。液体閉じ込めと基板の表面の間にシールが形成される。実施形態では、シールは流体閉じ込め構造と基板の表面の間に形成され、ガスシールなどの非接触シールとすることができる。このようなシステムが、米国特許出願公開US2004−0207824号に開示されている。
【0034】
[0043] 図5は、投影システムPSの最終要素と基板テーブルWT又は基板Wとの間の空間11の境界の少なくとも一部に沿って延在するバリア部材又は流体閉じ込め構造12を備えた局所液体供給システム又は流体ハンドリング構造を概略的に示す。(以下の説明で、基板Wの表面という表現は、明示的に断りのない限り、追加的に又は代替的に、基板テーブルWTの表面も指すことに留意されたい。)流体閉じ込め構造12は、投影システムPSに対してXY平面で実質的に静止しているが、Z方向(光軸方向)には相対的に多少動くことができる。ある実施形態では、流体閉じ込め構造12と基板Wの表面との間には封止が形成され、封止は、ガスシール又は流体封止などの非接触封止でよい。
【0035】
[0044] 流体閉じ込め構造12は、投影システムPSの最終要素と基板Wとの間の空間11内に少なくとも部分的に液体を封じ込める。液体が基板Wの表面と投影システムPSの最終要素との間の空間11内に閉じ込められるように、基板Wへのガスシール16などの非接触封止を投影システムPSの画像フィールドの周囲に形成することができる。空間11は、投影システムPSの最終要素の下に位置し、それを取り囲む流体閉じ込め構造12によって少なくとも部分的に形成される。液体は、投影システムPSの下の空間11、さらに液体入口13によって流体閉じ込め構造12内に流し込まれる。液体は、液体排出口13によって除去することができる。流体閉じ込め構造12は、投影システムPSの最終要素から上に少し突き出すことができる。液体のバッファが提供されるように、液面は最終要素より上に上昇する。ある実施形態では、流体閉じ込め構造12は、上端で投影システムPS又はその最終要素の形状にぴったりと一致する例えば円形の内周を有する。底部で、内周は、画像フィールドの形状、例えば矩形にぴったりと一致するが、これはそうでなくてもよい。
【0036】
[0045] 液体は、使用時に流体閉じ込め構造12の底と基板Wの表面との間に形成されるガスシール16によって空間11内に封じ込められる。ガスシール16は、ガス、例えば、空気又は合成空気によって形成されるが、ある実施形態では、N又はその他の不活性ガスによって形成される。ガスシール16内のガスは、入口15を介して流体閉じ込め構造12と基板Wとの間の空隙に加圧下で提供される。ガスは、排出口14を介して取り出される。液体を内側に閉じ込める高速のガスフローが存在するように、ガス入口15上の過剰圧力、排出口14上の真空レベル及び空隙の幾何構造が配置されている。流体閉じ込め構造12と基板Wとの間の液体上のガスの力で液体は、空間11内に封じ込められる。入口/排出口は、空間11を取り囲む環状の溝であってもよい。環状の溝は、連続的又は不連続的であってもよい。ガスの流れは、液体を空間11内に封じ込める効果がある。そのようなシステムが米国特許出願第US2004−0207824号に開示されている。
【0037】
[0046] 図5の例は、液体が任意の一時点で基板Wの上面の局所領域にのみ提供される、いわゆる局所領域構成である。例えば、米国特許出願第US2006−0038968号に開示された単相抽出器(2相モードで動作するか否かを問わず)を使用する流体ハンドリングシステムを含む他の構成も可能である。ある実施形態では、単相抽出器は、単一液相の液体抽出を可能にするためにガスから液体を分離するための多孔質の材料で覆われた入口を備えてもよい。多孔質の材料の下流にあるチャンバはわずかに圧力がかかった状態に保たれ、液体で満たされている。チャンバ内の加圧は、多孔質の材料の穴に形成されたメニスカスによって周囲ガスがチャンバ内に引き込まれない程度の大きさである。しかし、多孔質の表面が液体に接触すると、フローを制限するメニスカスは存在せず、液体はチャンバ内に自由に流入することができる。多孔質の材料は、例えば5〜50μmの範囲の直径の多数の小さい孔を有する。ある実施形態では、多孔質の材料は、少なくともわずかに親液性(例えば、親水性)であり、すなわち、水などの液浸液に対して90°未満の接触角を有する。可能な別の構成は、気体抗力原理に基づく構成である。いわゆるガス抵抗原理は、例えば、2008年5月8日出願の米国特許出願第US2008−0212046号及び米国特許出願第US61/071,621号に記載されている。そのシステムでは、抽出孔が、望ましくは、角を有する形状に配置されている。角は、ステップ及びスキャン方向に整合することができる。これによって、2つの排出口がスキャン方向に垂直に整合していた場合と比較して、ステップ又はスキャン方向の所与の速度について流体ハンドリング構造の表面の2つの開口の間のメニスカスにかかる力が低減する。本発明のある実施形態は、オールウェット液浸装置で使用される流体ハンドリング構造に適用することができる。オールウェット実施形態では、例えば、投影システムの最終要素と基板との間に液体を閉じ込める閉じ込め構造から液体を流出させることで、流体が基板テーブルの上面全体を覆うことができる。オールウェット実施形態の流体ハンドリング構造の一例は、2008年9月2日出願の米国特許出願第US61/136,380号に記載されている。
【0038】
[0047] 上記のように、リソグラフィ分野で遭遇する1つの問題が汚染である。リソグラフィ装置の一部分の汚染を低減し、可能であれば解消することが望ましい。例えば、リソグラフィ装置の要素の汚染を低減することで基板上に投影された1つ又は複数のパターン内の欠陥の数を低減することができる。パターンを基板に印加するために使用される放射の波長が低くなる一方であるという事態は、より小さい寸法の汚染物がさらなる問題になっていることを意味する。本発明のある実施形態によれば、リソグラフィ装置の一部分の汚染を低減する方法は、リソグラフィ装置から汚染物を除去するように特別に処理され、及び/又は設計された洗浄表面を備えた部材を使用することである。そのような洗浄表面をリソグラフィ装置(例えば、基板上に放射を投影する装置、コーティングモジュール、オーブン、又はリソグラフィ工程で使用される他の任意の装置)内に通してリソグラフィ装置の汚染物を低減することができる。このような洗浄部材は、液浸流体を使用するリソグラフィ装置内の汚染物の低減に特に有用である。
【0039】
[0048] 実行する工程の性質のために液浸リソグラフィでは汚染がより広がっている。例えば、図1から、流体閉じ込め構造IHが投影システムPSと基板Wとの間に少なくとも部分的に液浸流体を保持していることが分かる。流体閉じ込め構造IHとそれが保持する液浸流体によって基板Wの上面(すなわち、層のうちとりわけレジスト層を備えた基板Wの面)には圧力がかかる。この圧力によって、基板W上に付着したレジスト及び/又は他の層の一部分がゆるみ、場合によっては剥げ落ちる。その結果、流体閉じ込め構造IH及び/又は液浸流体が汚染され、これら両方の機能が損なわれることがある。
【0040】
[0049] 図6は、本発明のある実施形態による洗浄表面100を備えた部材50を示す。部材は、リソグラフィ装置内の微粒子を捕捉する際に使用される。洗浄表面100は、複数の突起110を有する。隣接する突起110の間には凹部120がある。洗浄表面100を有する部材50が装置内にロードされると、部材50は、汚染物を除去する流体の近傍に移動する。図6に汚染物微粒子150を示す。図から分かるように、洗浄表面100は微粒子150を捕捉する。微粒子は、ファンデルワールス力、重力などに引き寄せられる。これは、隣接する突起110の間の凹部120内へ移動する汚染物微粒子150の作用である。これによって、微粒子150は、凹部120内に閉じ込められる。汚染物微粒子150が捕捉される流体はガス及び/又は液体でよい。
【0041】
[0050] 突起110は、リソグラフィ装置のセンサ400が洗浄表面100上の汚染物微粒子150を検出できるようなパターンに形成されている。例えば汚染のレベル及び/又は洗浄の程度をモニタできるため、これは有利である。
【0042】
[0051] パターンのタイプとパターンが適しているセンサのタイプについて以下に説明する。洗浄表面100を備えた部材50は、リソグラフィ装置内の任意の多数の異なる物品上に提供できる。まずこれらについて説明する。
【0043】
[0052] ある実施形態では、洗浄表面100は、リソグラフィ装置によるハンドリングに適している形状と寸法の部材50上に提供されている。ある実施形態では、部材50は、リソグラフィ装置の基板テーブルWT上に置かれるのに適切な形状と寸法とを有する。例えば、部材50は、標準の基板と形状及び寸法が同様であってもよい。部材50は、図1のリソグラフィ装置によって、レジスト層で覆われパターニングされる基板と実質的に同じ幅を有する(例えば、基板は、例えば、形状が実質的に円筒形で直径が200mm又は300mmであってもよい)という点で標準的である。洗浄表面100は、基板上に画定されていてもよい。基板は、堅固な支持層の役割を果たす。部材50は、標準の基板と同じ材料で形成されていてもよく、突起110及び凹部120は、フォトリソグラフィ工程を用いてエッチングにより部材50に形成されていてもよい。部材50は、SiOで形成されていてもよい。
【0044】
[0053] 図7は、上記標準基板と同様のサイズと寸法を有する本発明のある実施形態による部材の略平面図を示す。各々が複数の突起110と凹部120とを有する複数のパターン200が、洗浄表面100に画定されている。各々のパターンは、リソグラフィ装置のセンサ400が表面上の汚染物微粒子を検出することができる程度の大きさである。ある実施形態では、センサ400は、パターン200上の汚染物の量を定量化できる。すなわち、センサ400は、どれ位の量又は数の汚染物微粒子150がパターン200内に収集されたかを決定することができる。
【0045】
[0054] パターン200は、パターニングデバイスMAと基板Wとの間のx−yアライメント用に(すなわち、洗浄表面100に実質的に平行な平面内の位置測定用に)結像する基板上で使用するパターンと同じか又は類似であってよい。代替的に又は追加的に、パターン200は、パターン付ビームPBが確実に基板Wの上面に正確に合焦する(すなわち、z位置又は洗浄表面100からのセンサの距離で、z方向は、投影システムPSの光軸に平行で、洗浄表面100に垂直である)助けになるパターンであってもよい。言い換えれば、パターン200は、リソグラフィ装置内で別の目的を有するセンサ400によって使用されてもよい。しかし、装置内で別の目的を有さない他のセンサ400も使用することができ、部材50の洗浄表面100上に適当なパターンを画定することができる(例えば、エッチングによって)。
【0046】
[0055] 結像のための標準の基板と本発明のある実施形態による部材の相違は、パターン200が部材50の上面の実質的に全体を覆っているということである。一実施形態では、部材50の上面の少なくとも20%がパターン200によって覆われる。別の実施形態では、部材50の上面の少なくとも30、50又は75%がパターン200によって覆われる。部材50は中間製品ではない。パターン200は、スクライブラインによってだけ形成されている訳ではない。ある実施形態では、部材50上に形成されるデバイスはない。ある実施形態では、部材50の位置測定に必要な数より多いパターン200が上面にある。部材50は、露光するためのものではない(すなわち、部材50は、表面にレジスト層を有さず、リソグラフィ装置の放射に反応しない)。部材50は、位置測定のための少なくとも1つの測定パターンと、位置測定のためになければならないパターンへの追加パターン200を備える。一実施形態では、追加パターン200(すなわち、複数の突起110)は、少なくとも1つの測定パターンを取り囲む。
【0047】
[0056] 図7の部材50を用いて、リソグラフィ装置内に少なくとも部分的に封じ込められた流体から汚染物を除去することができる。図7の部材50は、基板テーブルWT上の通常の基板Wのホルダ上に置かれる。次に、洗浄する流体は、部材50の洗浄表面100に接触する。有機及び無機両方の汚染物微粒子150が突起110の間の凹部120を充填する。典型的な凹部120は、幅が8〜20μm、深さが50nm〜20μm、長さが数十〜数百μm(例えば、50〜500μm)であってもよい。
【0048】
[0057] パターン200は、パターン200内の汚染物を検出する任意のセンサによって測定可能な任意のパターンであってもよい。リソグラフィ装置内のセンサは、パターン200内の汚染物のレベルを測定する以外の機能を有さなくてもよい。しかし、センサは、上記の追加の目的のためにリソグラフィ装置内で使用されることが望ましい。
【0049】
[0058] 図8は、本発明の別の実施形態を示す。図8で、各々が複数の突起110を有するパターン200が基板テーブルWTの上面に形成されている。パターン200は、基板テーブルWTの上面のセンサ250の周囲に形成されている。基板テーブルWTの上面は、図7に示すような基板又は部材を置ける凹部260を備える。
【0050】
[0059] リソグラフィ装置の通常の使用中は、センサ250(例えば、透過イメージセンサ(transmission image sensor: TIS)、スポットセンサなど)は、例えば投影ビームの特性を測定するために投影システムPSの下を移動できる。流体閉じ込めシステムIHによって、液浸流体が投影システムPSの最終要素とセンサ250の間に確実に存在できる。汚染物微粒子150がある場合、それらはセンサ250の読み取りに影響することがある。したがって、パターン200は、センサ250に隣接して、望ましくはセンサ250を囲んでいてもよい。パターン200は、図6及び図7に示すパターンと同じである。したがって、パターン200は、汚染物微粒子150を捕捉し、それによりそれらがセンサ250に到達することを防止するのを助けることができる。以下に説明するように、リソグラフィ装置内のセンサを用いてパターン200内の汚染レベルも測定できる。その情報をインラインで使用して装置全体、特にセンサ250の汚染レベルを推定することができるため、これは有利である。それ故、パターニングデバイスMAのパターンで結像する基板W上のパターン200を位置合わせするために普通使用されるセンサなどのセンサを用いて、基板テーブルWTの上面のパターン200の汚染の程度を決定することができる。このタイプのパターン200は、普通、基板テーブルWTの上面には存在しない。パターン200は、エッチングによって基板テーブルWTの上面内に形成することができ、又は、例えば、接着によってもしくはその他の締結手段を用いて基板テーブルWTに付着させることができる。
【0051】
[0060] ある実施形態では、パターン200は、液体閉じ込め構造IHの上及び/又は投影システムPSの縁部、例えば、液浸流体に接触する縁部上に画定することができる。ある実施形態では、パターン200は、液浸リソグラフィ装置ではないリソグラフィ装置内の同じ又は別の要素上に形成することができる。そのような実施形態では、パターン200は、汚染物微粒子150を捕捉するのにまだ有効である。
【0052】
[0061] 図9は、本発明のある実施形態で使用することができるパターン200の平面図を示す。これは、パターンの一実施形態に過ぎず、汚染物微粒子が検出できる別の任意のタイプのパターンも使用することができる。図9のパターンは、複数の突起110と凹部120からなる。突起は、図9の白い領域又は黒い領域のいずれかでよい。
【0053】
[0062] 図9のパターン200は、パターニングデバイスMAに対する基板WのアライメントのためのパターニングデバイスMAの類似のパターンと併用することができる。それ故、図9のパターンをパターニングデバイスMAに対する基板Wのx−y位置決め(投影システムPSの光軸に垂直な平面内での)に使用することができる。
【0054】
[0063] 図9のパターン200は、クォータから構成されている。互いに斜めに向き合った第1及び第3のクォータは、y方向の線を有する。同様に互いに斜めに向き合った他の2つのクォータ(第2及び第4の)はx方向の線を有する。x−y平面は、紙の平面内にある。y方向の線は、第1のクォータ内の第1の一定のパラメータと第3のクォータの第3の一定のパラメータだけ離間する。第1のパラメータは、第3のパラメータより小さい。第1のクォータ内の第1のパラメータは、例えば16μmである。第3のクォータ内の第3のパラメータは、例えば17.6μmである。同様に、線がx方向に整列している第2及び第4のクォータ内の間隔は、類似の一定のパラメータを有する。すなわち、第1及び第4のパラメータは等しく、第2及び第3のパラメータは等しい。
【0055】
[0064] 図9のパターンの凹部内の汚染物は、センサ及びそれに関連する電子回路によって測定されたパラメータに影響を与える。したがって、センサ400によって測定されたパラメータを用いて、図9のパターンの凹部内の汚染物の存在を決定することができる。別の方法としては、上記パラメータを用いて、図9の凹部内の汚染物を定量化できる。この情報は、洗浄頻度の決定、汚染物の存在の程度や洗浄を実行する必要があるか否かの決定などに有用である。
【0056】
[0065] 測定可能な1つのパラメータは、いわゆる重相関係数である。図9のパターンを使用するアライメントシステムのセンサ400は、受信信号に正弦波を適合させようとする。重相関係数は、データがどれだけよく正弦波に適合するかに関連する。重相関係数によって反映される完璧な適合からの偏りが汚染物の量に関連する。
【0057】
[0066] 測定可能な別のパラメータは、いわゆるデルタシフトリーディング(delta shift reading)である。パターンの位置合わせされた位置で特定の方向の線の第1及び第2のクォータの第1及び第2のパラメータは、正確には一致しない。これは、基本的に2つのクォータ間の光路が異なる結果である。残りの差異は、デルタシフトである。デルタシフトリーディングは、マークの非対称変形の測定と考えられる。
【0058】
[0067] 図10は、リソグラフィ装置の洗浄に使用する前の4つの部材のさまざまな半径のデルタシフトを示す線図である。各部材は、図7に示すような複数のパターンを有する。図11は、洗浄後の同じ部材のデルタシフトの測定値を示す。図11で、部材を用いた洗浄後に汚染された部材は、より大きいデルタシフトを示す。デルタシフト読み取りは、汚染物の存在に対して感応性が最も高い。したがって、デルタシフト測定値を参照することで、パターン200上の汚染物の存在及び/又はレベルを決定することができる。
【0059】
[0068] したがって、図から分かるように、第1の機能として汚染物の検出とは別の機能を有するセンサで測定されたパラメータを用いてパターン200上の汚染物微粒子のレベルを決定することができる。
【0060】
[0069] その他のセンサも使用することができる。例えば、焦点センサを使用することができる。焦点センサは、基板Wをz方向に有効に位置決めしてパターン付ビームPBが基板Wの上面に確実に合焦する助けとなる。焦点センサのために使用されるパターンを図9のパターンの代わりに使用することができる。焦点センサ及びそれに関連する電子回路によって測定されたパラメータは、汚染物微粒子の存在及び/又は量を示すことができる。したがって、センサを清浄度センサとして使用することができる。例えば、汚染物の層がパターン200上にある場合、センサは、汚染物の方がセンサよりもパターンに近いと決定する。したがって、ある時間間隔で得た2つの測定値を比較することで汚染のレベルに関する情報が提供できる。
【0061】
[0070] ある実施形態では、洗浄表面上のパターンの清浄度を測定する以外の機能がない専用の清浄度センサが提供される。そのような清浄度センサは、上記のアライメント又は焦点センサとは別の原理で動作することができる。パターン200は、アライメントセンサ又は焦点センサが使用するパターンと同じ又は異なるパターンであってもよい。
【0062】
[0071] ある実施形態では、センサは、パターニングデバイスMAに対する基板Wのアライメントを測定する機能又はビームの焦点を測定する機能とは別の機能を有していてもよい。
【0063】
[0072] ある態様では、リソグラフィ装置内の微粒子を捕捉する際に使用する洗浄表面を持つ部材であって、該洗浄表面は、その間で汚染物微粒子を捕捉する複数の突起を備え、該突起は、リソグラフィ装置のセンサが洗浄表面上の汚染物微粒子を検出できるようにパターン状に配置されている、部材が提供される。望ましくは、突起は、部材の全表面の少なくとも20%を覆う。望ましくは、パターン状に配置された複数の突起は位置測定には不要である。望ましくは、部材は、位置測定のための測定パターンをさらに有する。望ましくは、パターン状に配置された突起は、測定パターンを取り囲む。望ましくは、突起はセンサに隣接している。望ましくは、突起はセンサを実質的に取り囲む。望ましくは、リソグラフィ装置の使用時に、センサは液体で覆われる。望ましくは、部材は、リソグラフィ装置によるハンドリングに適している形状と寸法とを有する。望ましくは、部材は、基板の代わりにリソグラフィ装置の基板テーブル上に置くことができる形状と寸法とを有する。望ましくは、洗浄表面は、リソグラフィ装置の放射に反応しない。望ましくは、部材は、(i)基板テーブルと、(ii)投影システムとリソグラフィ装置の基板との間に液体を閉じ込める流体閉じ込め構造と、(iii)リソグラフィ装置の投影システムとのうちの1つを含むか又はその一部分である。望ましくは、パターン状に配置された突起は、部材の材料にエッチングされている。望ましくは、パターン状に配置された突起は、センサを用いた位置測定に適している。望ましくは、パターン状に配置された突起は、洗浄表面に実質的に平行な平面内の位置測定に適している。望ましくは、パターン状に配置された突起は、洗浄表面から垂直の方向のセンサの洗浄表面からの距離を測定するのに適している。望ましくは、パターンは、センサがパターンによって捕捉された汚染物の量を決定できるようにする。
【0064】
[0073] ある態様では、リソグラフィ装置内の微粒子を捕捉する部材の使用が開示される。
【0065】
[0074] ある態様では、リソグラフィ装置内に少なくとも部分的に封じ込められた流体から汚染物を除去する方法であって、洗浄表面を備えた部材を装置内にロードすること、汚染物が表面によって捕捉されるように汚染物を除去する流体の近傍に部材を移動させること、装置内のセンサを用いて洗浄表面上の汚染物微粒子を検出することを含む方法が提供される。望ましくは、センサは、パターニングデバイス又は投影システムに対する基板又は基板テーブルの位置を測定するためにリソグラフィ装置で使用する位置センサである。望ましくは、リソグラフィ装置は、リソグラフィ投影装置である。望ましくは、洗浄表面は、複数の突起を有し、突起は、センサが洗浄表面上の汚染物微粒子を検出できるパターン状に配置されている。望ましくは、突起は、部材の全表面の少なくとも20%を覆う。望ましくは、パターン状に配置された複数の突起は、位置測定には不要である。望ましくは、部材は、位置測定のための測定パターンをさらに含む。望ましくは、パターン状に配置された突起は、測定パターンを取り囲む。望ましくは、突起はセンサに隣接している。望ましくは、突起はセンサを実質的に取り囲む。望ましくは、リソグラフィ装置の使用時に、センサは液体で覆われる。望ましくは、パターン状に配置された突起は、部材の材料にエッチングされている。望ましくは、パターン状に配置された突起は、センサを用いた位置測定に適している。望ましくは、パターン状に配置された突起は、洗浄表面に実質的に平行な平面内の位置測定に適している。望ましくは、パターン状に配置された突起は、洗浄表面から垂直の方向のセンサの洗浄表面からの距離を測定するのに適している。望ましくは、パターンは、センサがパターンによって捕捉された汚染物の量を決定できるようにする。望ましくは、部材は、リソグラフィ装置によるハンドリングに適している形状と寸法とを有する。望ましくは、部材は、基板の代わりにリソグラフィ装置の基板テーブル上に置くことができる形状と寸法とを有する。望ましくは、洗浄表面は、リソグラフィ装置の放射に反応しない。望ましくは、部材は、(i)基板テーブルと、(ii)投影システムとリソグラフィ装置の基板との間に液体を閉じ込める流体閉じ込め構造と、(iii)リソグラフィ装置の投影システムとのうちの1つを備えるか又はその一部分である。
【0066】
[0075] 理解されるように、上記特徴のいずれも他のいずれの特徴とも併用することができ、本願で対象になる範囲は上記の明示的組合せに限定されない。
【0067】
[0076] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0068】
[0077] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電気光学部品を含む様々なタイプの光学部品のいずれか1つ、又はその組合せを指すことができる。
【0069】
[0078] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明の実施形態は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。さらに機械読み取り式命令は、2つ以上のコンピュータプログラムで実現することができる。2つ以上のコンピュータプログラムを、1つ又は複数の異なるメモリ及び/又はデータ記憶媒体に記憶することができる。
【0070】
[0079] 1つ又は複数のコンピュータプログラムがリソグラフィ装置の少なくとも1つのコンポーネント内にある1つ又は複数のコンピュータプロセッサによって読み出される時に、本明細書に記載するコントローラは各々、又は組み合わせて動作可能になる。コントローラは各々、又は組み合わせて、信号を受信、処理、送信するのに適した任意の構成を有する。1つ又は複数のプロセッサは、コントローラの少なくとも1つと通信するように構成されている。例えば、各コントローラは、上記方法のための機械読み取り可能命令を含むコンピュータプログラムを実行する1つ又は複数のプロセッサを含むことができる。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを格納するデータ記憶媒体及び/又はそのような媒体を収容するハードウェアを含むことができる。したがって、コントローラは、1つ又は複数のコンピュータプログラムの機械読み取り可能命令に従って動作することができる。
【0071】
[0080] 本発明の1つ又は複数の実施形態は、任意の液浸リソグラフィ装置に、特に液浸液が浴槽の形態で提供されるか、基板の局所的な表面領域のみに提供されるか、基板及び/又は基板テーブル上に閉じ込められないかにかかわらず、上述したタイプに適用することができるが、これに限定されない。閉じ込められない構成では、液浸液は基板及び/又は基板テーブルの表面上に流れることができ、したがって実質的に基板テーブル及び/又は基板の覆われていない表面全体が濡れる。このように閉じ込められていない液浸システムでは、液体供給システムが液浸液を閉じ込めることができないか、又はある割合の液浸液閉じ込めを提供することができるが、実質的に液浸液の閉じ込めを完成しない。
【0072】
[0081] 本明細書で想定するような液体供給システムは、広義に解釈されたい。特定の実施形態では、これは、液体を投影システムと基板及び/又は基板テーブルの間の空間に提供する機構又は構造の組合せでよい。これは、1つ又は複数の構造、1つ又は複数の液体入口、1つ又は複数の気体入口、1つ又は複数の気体出口、及び/又は液体を空間に提供する1つ又は複数の液体出口の組合せを備えてよい。実施形態では、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの一部でよいか、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの表面を完全に覆ってよいか、又は空間が基板及び/又は基板テーブルを囲んでよい。液体供給システムは、任意選択で、液体の位置、量、品質、形状、流量又は任意の他の特徴を制御する1つ又は複数の要素をさらに含むことができる。
【0073】
[0082] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。それ故、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置内の微粒子を捕捉する際に使用する洗浄表面を持つ部材であって、該洗浄表面は、その間で汚染物微粒子を捕捉する複数の突起を備え、該突起は、リソグラフィ装置のセンサが前記洗浄表面上の汚染物微粒子を検出できるようにパターン状に配置されている、部材。
【請求項2】
前記突起が、前記部材の全表面の少なくとも20%を覆う、請求項1に記載の部材。
【請求項3】
位置測定のための測定パターンをさらに有する、前記請求項のいずれか1項に記載の部材。
【請求項4】
パターン状に配置された前記突起が、前記測定パターンを取り囲む、請求項3に記載の部材。
【請求項5】
前記突起が、センサに隣接している、前記請求項のいずれか1項に記載の部材。
【請求項6】
基板の代わりにリソグラフィ装置の基板テーブル上に置くことができる形状と寸法とを有する、前記請求項のいずれか1項に記載の部材。
【請求項7】
前記部材が、
基板テーブルと、
投影システムとリソグラフィ装置の基板との間に液体を閉じ込める流体閉じ込め構造と、
リソグラフィ装置の投影システムと
のうちの1つを備えるか又はその一部分である、前記請求項のいずれか1項に記載の部材。
【請求項8】
パターン状に配置された前記突起が、前記部材の材料にエッチングされる、前記請求項のいずれか1項に記載の部材。
【請求項9】
パターン状に配置された前記突起が、前記センサを用いた位置測定に適している、前記請求項のいずれか1項に記載の部材。
【請求項10】
前記パターンは、センサが前記パターンによって捕捉された汚染物の量を決定できるようにする、前記請求項のいずれか1項に記載の部材。
【請求項11】
リソグラフィ装置内の微粒子を捕捉する、前記請求項のいずれか1項に記載の部材の使用方法。
【請求項12】
リソグラフィ装置内に少なくとも部分的に封じ込められた流体から汚染物を除去する方法であって、
洗浄表面を備えた部材を前記装置内にロードすること、
汚染物が前記表面によって捕捉されるように、汚染物を除去する流体の近傍に前記部材を移動させること、
前記装置内のセンサを用いて、前記洗浄表面上の汚染物微粒子を検出することを含む方法。
【請求項13】
前記センサが、パターニングデバイス又は投影システムに対する基板又は基板テーブルの位置を測定するために、前記装置で使用する位置センサである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記部材が、
基板テーブルと、
投影システムとリソグラフィ装置の基板との間に液体を閉じ込める流体閉じ込め構造と、
リソグラフィ装置の投影システムと
のうちの1つを備えるか又はその一部分である、請求項12又は13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−135788(P2010−135788A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−270949(P2009−270949)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】