流量制御弁の制御方法
【課題】検出手段の取付精度による弁開度の個体差を減少させて、高精度な流量制御を可能にした流量制御弁の制御方法を提供すること。
【解決手段】この流量制御弁1の制御方法では、ピストン22が、弁閉に到達したことをオンからオフになること又はオフからオンになることで検出する検出手段25を設け、検出手段25がオンからオフになった又はオフからオンになったときの操作信号値と基準原点に対応する操作信号値との差を個体差値とし、基準曲線を、個体差値によって補整する。
【解決手段】この流量制御弁1の制御方法では、ピストン22が、弁閉に到達したことをオンからオフになること又はオフからオンになることで検出する検出手段25を設け、検出手段25がオンからオフになった又はオフからオンになったときの操作信号値と基準原点に対応する操作信号値との差を個体差値とし、基準曲線を、個体差値によって補整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気の圧力がバネの付勢力に抗することにより、開状態へ移行する流量制御弁の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体製造装置に薬液を供給するために流量制御弁が用いられている。本出願人は、特願2001−274467において、流量調整を遠隔制御で且つ精度よく行うことができる流量制御弁を提案している。図5に、かかる流量制御弁100の断面図を示す。
流量制御弁100は、アンダーボディ27と、アンダーボディ27の上方に固設されたシリンダ23と、シリンダ23の上方に固設されたハウジング14と、ハウジング14にカバー12を介して装着されたモータ11とによって全体の外形をなしている。ここでは、モータ11として、ステッピングモータを採用している。
【0003】
アンダーボディ27には、図中左方に入力ポート51と図中右方に出力ポート52とが形成され、中央に円環形状の弁座54が形成されている。また、シリンダ23の内部には、略円柱形状のピストン22が軸方向に摺動可能かつ気密にはめ込まれている。ピストン22の下面とシリンダ23の内面とによりパイロット室55が区画され、パイロット室55には、シリンダ23に形成された操作ポート53が連通している。さらに、ピストン22の下端には、弁体としてのダイアフラム24が取り付けられ、ダイアフラム24の周縁は、アンダーボディ27とシリンダ23とに挟持されている。ダイアフラム24がピストン22の上下動に伴って移動して弁座54に密着あるいは離間することによって、入力ポート51と出力ポート52との間が遮断あるいは連通される。
【0004】
また、略円筒形状のハウジング14の内部には、ピストン22を図中下方に付勢する復帰バネ20が装着されている。さらに、当接部材であるナット19を螺装したネジ16が設けられ、ネジ16に対するナット19のスラスト方向のガタを防止するために、ナット19とピストン22との間に復帰バネ21が装着されている。そして、ネジ16は、カップリング13により軸56と連結され、ハウジング14の上部に設けられたモータ11の回転が、ギアボックス15と軸56を介してネジ16に伝えられる。さらに、流量制御弁100では、シリンダ23に形成された操作ポート53に対し、電空レギュレータ部31が取り付けられている。電空レギュレータ部31は、ノーマルクローズの吸気比例弁32とノーマルクローズの排気比例弁33とをコントロール基板35を介して操作されるものであり、手動操作のニードル弁34をも備えている。
【0005】
流量制御弁100では、パイロット室55の空気圧力が、電空レギュレータ部31によって操作ポート53を介して制御される。電空レギュレータ部31は、入力された電気信号に対応してパイロット室55の空気圧力を調整し、この空気圧力の上昇によってピストン22を復帰バネ20に抗して図中上方へ移動させる。これにより、ダイアフラム24が弁座54から離間して流量制御弁100は弁開する。そして、移動されたピストン22は、その上面がナット19に当接することによって停止されるので、ナット19の停止位置によってダイアフラム24の位置である弁開停止位置が規定される。そして、このナット19は、ネジ16に伝えられるモータ11の回動動作によって上下動される。
【0006】
従来、この流量制御弁100は、使用者によって指示される弁開停止位置と弁開操作時間とに対応して、図示されないコントローラによって、電空レギュレータ部31とモータ11とが操作される。ここで、弁開停止位置は、前述したように、ナット19によるピストン22の停止位置であり、モータ11を回動させてナット19の位置をその指定された停止位置に合わせる。モータ11をステッピングモータとしてそのステップ数によって制御することで、ナット19の停止位置を高精度に制御できる。
【0007】
また、弁開操作時間は、使用者によって指示され、弁閉状態において使用者が弁開動作を指示してから、その時間内にピストン22をナット19に当接させて弁開停止位置に到達させるものである。図示されないコントローラは、弁開操作時間内にピストン22が弁開停止位置まで移動するように、電空レギュレータ部31を操作してパイロット室55の空気圧を上昇させる。半導体製造工程等では、弁開動作が速い程良いというわけではなく、指定された弁開操作時間内で緩やかに弁開して、少しずつ流量を増大させることが望まれる。
【0008】
そのため、図示されないコントローラは、パイロット室55の空気圧を弁開操作時間終了時に最大空気圧とするように、単位時間あたり一定の割合で空気圧を上昇させる。ここで、最大空気圧とは、ネジ16の先端位置で決定される最大の弁開停止位置へピストン22を移動させるためのパイロット室55の空気圧である。弁開動作指示からの時間とパイロット室55の空気圧との関係の例を図6に示す。図6の例は、弁開操作時間が2秒で、最大空気圧が0.3MPaの場合を示している。図6に示すように、弁開操作時間の2秒間にパイロット室55の空気圧を一定の割合で上昇させ、2秒終了時に最大空気圧の0.3MPaとなるようにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、流量制御弁100では、ナット19を所定の停止位置に停止するために、図示されないコントローラは、モータ11を操作するための操作信号を出力する。このとき、モータ11あるいはナット19の基準位置である原点をセンサ等の検出手段で検出した場合、図示されないコントローラによるモータ11の操作は、その原点を基準にして行われる。従って、センサ等の取付精度にばらつきがあれば、図示されないコントローラが出力する操作信号とナット19の停止位置との関係には、個々の弁による個体差が生じることになる。しかし、組立作業上、センサの取付精度を向上させることは大変困難であるため、弁の個体差を減少させることは大変困難であるという問題点があった。
【0010】
特に、この問題点は流量制御弁100をオープンループ制御で使用した場合に重要となる。一般的な流量制御弁100の使用方法は、流量データをフィードバックして行うフィードバック制御であるが、例えば、流体の流出時間が短い場合には、応答性の問題からフィードバック制御が困難となる。このような場合には、オープンループ制御で使用することとなり、図示されないコントローラが出力する操作信号のみによってモータ11が操作される。従って、この場合には原点位置の個体差はそのままナット19の停止位置の個体差となり、弁開度の個体差に直結してしまう。そのため、特に、原点位置の個体差は小さいことが望ましいからである。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、検出手段の取付精度による弁開度の個体差を減少させて、高精度な流量制御を可能にした流量制御弁の制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、ピストンの先端に設けられた弁体がバネの付勢力により弁座に密接して閉状態となる一方、パイロット室内に供給した圧縮空気の圧力で前記ピストンを移動させることにより前記弁体が前記弁座から離間して開状態となり、さらに、モータの回転が減速変換手段によって当接部材の直線移動に変換されることにより、前記当接部材の停止位置と操作信号の関係を示す基準曲線に基づいて、前記当接部材が停止位置へ移動して停止されるように前記モータを操作し、前記ピストンが前記当接部材に突き当たることで前記弁体の弁開停止位置が決定されて流体の流量を調整する流量制御弁の制御方法において、前記ピストンが、弁閉に到達したことをオンからオフになること又はオフからオンになることで検出する検出手段を設け、前記検出手段がオンからオフになった又はオフからオンになったときの操作信号値と基準原点に対応する操作信号値との差を個体差値とし、前記基準曲線を、前記個体差値によって補整することを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載する流量制御弁の制御方法において、前記流量制御弁をオープンループ制御によって使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
すなわち、本発明の制御方法で制御される流量制御弁では、検出手段によってピストンが弁閉に到達したことが検出される。また、検出手段がオンからオフになった又はオフからオンになったときの操作信号値を、基準原点に対応する操作信号値と比較して、個体差値として得ることができる。この個体差値によって基準曲線を補整すれば、当接部材の停止位置と操作信号との関係は、この補整された基準曲線に基づいて決定される。従って、検出手段の取付位置の誤差による個体差を、個体差値によって補整することができる。これにより、流量制御弁の個体差による誤差を減少させて、高精度な流量制御が可能となる。さらに、バネのセット荷重のばらつきによる個体差についても補整することができる。流体の流出時間が短時間で、応答性の問題からフィードバック制御が困難であり、オープンループ制御を行う場合には、特に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。本実施の形態の制御方法によって制御される流量制御弁1の断面図を図1に示す。本発明の制御方法は、従来の技術の欄に記載した流量制御弁1を図示されないコントローラによって制御する方法である。流量制御弁1は、従来の技術で説明した流量制御弁100に原点スイッチ25及び調整限度点スイッチ26を取り付けたものである。その他の部分については流量制御弁100と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0015】
図1に示すように、ナット19の上面に2本の被検出子19a,19bが設けられ、ハウジング14に設けられた孔を貫通して上方へ延びている。そして、ハウジング14内には、カップリング13を挟んで両側に原点スイッチ25及び調整限度点スイッチ26が設けられる。原点スイッチ25及び調整限度点スイッチ26は、いずれも光学式スイッチであり、図2に示すように、被検出子19a,19bの先端部によって光が遮られることで、ナット19の位置が検出される。
【0016】
図示されないコントローラの記憶装置には、図7に示したような、流量制御弁1におけるパイロット室55の空気圧力とピストン22のストロークとの関係が記憶される。このグラフに表示された数値は例示であるが、復帰バネ20,21等の構成によって決定されるものであり、流量制御弁1に固有の関係であるので、図示されないコントローラの記憶装置に予め記憶させておくことができる。この流量制御弁1では、パイロット室55内の空気圧力が、0.16MPa以上となったときに、復帰バネ20,21の付勢力に抗してピストン22が移動を始める。従って、この流量制御弁1では、ピストン22が移動する直前の圧力である不動限界圧力は0.15MPaである。
【0017】
また、流量制御弁1が操作されるときには、使用者によって弁開停止位置と弁開操作時間が指示される。図示されないコントローラは、記憶装置に記憶されているパイロット室55の空気圧力とピストン22のストロークとの関係から、指示された弁開停止位置まで弁開するための最小の空気圧である弁開空気圧を算出する。さらに、安定した弁開状態とするためにこれに0.01MPaを加えた圧力を目標空気圧とする。例えば、図7に示したように、弁開停止位置1.4mmでは、弁開空気圧が0.21MPa、目標空気圧が0.22MPaとなる。また、弁開停止位置2.6mmでは、弁開空気圧0.25MPa、目標空気圧0.26MPaとなる。
【0018】
次に、図示されないコントローラは、不動限界圧力からパイロット室55の空気圧を一定割合で上昇させ、使用者によって指示された弁開操作時間内に目標空気圧に到達させるため、空気圧の増加割合を算出する。すなわち、(単位時間あたりの空気圧増加量)=(目標空気圧−不動限界圧力)/(弁開操作時間)として算出される。
【0019】
また、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、弁開動作を始める前に、図示されないコントローラはモータ11を操作して、使用者によって指示された弁開停止位置へナット19を移動させる。この流量制御弁1では、モータ11はステッピングモータであるので、図示されないコントローラは、モータ11に回転ステップ数に相当するパルスを入力することによって、モータ11を精密に操作することができる。また、モータ11の回転は、ギアボックス15で減速され、軸56とカップリング13とを介してネジ16の回転として伝達される。そして、ネジ16の回転はナット19の軸方向直線移動に変換されるので、図示されないコントローラは、モータ11の回転ステップ数によってナット19の位置を操作することができる。
【0020】
ここで、ギアボックス15や、ネジ16とナット19との間等の減速変換手段にはバックラッシュがあり、モータ11を精密に操作しても、ナット19の位置にはバックラッシュによる誤差が発生する。バックラッシュはモータ11の回転方向に拘わらずほぼ同じであり、モータ11を停止する前には、いつも同じ所定の回転方向に回転させてから停止することで打ち消すことができる。そのために、指定された弁開停止位置へナット19を移動させるためのモータ11の回転方向が、その所定方向の逆方向である場合には、モータ11を余分に回転させてナット19に停止位置を通過させてから、その余分に回転したステップ数だけ所定方向へ回転させる。余分に回転させるステップ数は、バックラッシュによってモータ11を回転させてもナット19が移動しないモータ11の回転量より十分に大きく、流量制御弁1の構成によって固有の値として図示されないコントローラの記憶装置に記憶させておく。
【0021】
例えば、流量制御弁1のバックラッシュが約50ステップ分であるとすると、図示されないコントローラの記憶装置には、バックラッシュを打ち消すための回転量として100ステップを記憶させる。また、所定の回転方向としてモータ11のステップ数を増大する方向の正回転を設定する。これらから、ナット19を弁開停止位置へ移動させるための移動方向がモータ11の正回転方向であれば、図示されないコントローラは、ナット19の移動距離に応じたステップ数分のパルスをモータ11に出力する。一方、ナット19を弁開停止位置へ移動させるための移動方向がモータ11の逆回転方向であれば、図示されないコントローラは、ナット19の移動距離に応じたステップ数+バックラッシュを打ち消すための100ステップ分の逆回転方向のパルスをモータ11に出力する。そして、その後、100ステップ分の正回転方向パルスを出力する。
【0022】
例えば、モータ11のステップ数で1000ステップ位置にあるナット19を2000ステップ位置へ移動する場合は、図示されないコントローラは正回転1000ステップ分のパルスをモータ11へ出力し、モータ11は1000ステップ分の正回転をして停止する。一方、2000ステップ位置にあるナット19を1000ステップ位置へ移動する場合には、図示されないコントローラは、移動量より100ステップ分余分の逆回転1100ステップ分のパルスをモータ11へ出力する。そのため、モータ11は1100ステップ分の逆回転をするが、そのうちに約50ステップ分のバックラッシュが含まれる。その後、図示されないコントローラは、正回転100ステップ分のパルスをモータ11へ出力する。そのため、モータ11は100ステップ分の正回転をするが、そのうちに約50ステップ分のバックラッシュが含まれる。この2回の50パルス分のバックラッシュは互いに逆方向であるので打ち消される。これによって、正回転と逆回転のどちらの場合もバックラッシュによる誤差がなく、ナット19の位置の精密な制御が可能であるので、弁開停止位置が精密に制御される。
【0023】
次に、流量制御弁1の弁開動作について説明する。図3に、本発明を具体化した制御方法によって操作されたパイロット室55内の空気圧力の変化を表すグラフ図を示す。本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、図示されないコントローラは、使用者による弁開動作開始の指示とともに、電空レギュレータ部31を操作し、パイロット室55の空気圧力を不動限界圧力まで上昇させる。ここでは不動限界圧力が0.15MPaであるので、図示されないコントローラは電空レギュレータ部31に、パイロット室55の空気圧力0.15MPaに対応する電気信号を入力する。
【0024】
続いて、予め算出した単位時間あたりの空気圧増加量に相当する割合で、電空レギュレータ部31に入力する電気信号を増加させる。図3には、弁開操作時間2秒で弁開停止位置2.6mmの場合のパイロット室55の空気圧の変化を表すグラフ61と、弁開操作時間2秒で弁開停止位置1.4mmの場合のパイロット室55の空気圧の変化を表すグラフ62とを示す。図3に示すように、弁開操作時間2秒で弁開停止位置2.6mmの場合は、2秒間のうちにパイロット室55を不動限界圧力0.15MPaから目標空気圧0.26MPaまで上昇させるように、図示されないコントローラは、電空レギュレータ部31に入力する電気信号を変化させる。
【0025】
この流量制御弁1は、パイロット室55の圧力が(不動限界圧力+0.01MPa)〜弁開空気圧の範囲でピストン22が移動する。例えば、弁開停止位置2.6mmでは、0.16〜0.25MPaの範囲がピストン22の移動可能な圧力である。一方、この流量制御弁1の制御方法によれば、図3のグラフ61に示すように、パイロット室55の空気圧力をまず0.16MPaにしてから弁開操作時間でゆっくり上昇させる。従って、使用者による弁開動作開始の指示からごく短時間で、実際にピストン22が移動可能な0.16MPaとなるので、弁開動作の立ち上がりが速くなった。また、ピストン22とともにダイアフラム24が移動して制御流体の流量が変更される時間は、図3に示すように、時間TCとなる。従来は図6に示すように時間TAであったことと比べると、弁開操作時間2秒のうち実際にピストン22とダイアフラム24とが移動している時間が長くなり、制御流体の流量をより緩やかに増大させることができた。また、弁開停止位置1.4mmの場合は従来の時間TBに比較して時間TDとなり、さらに効果的である。
【0026】
さらに、本実施の形態の流量制御弁1では、ナット19の移動範囲の上下限位置である原点位置と調整限度点を検出するために、それぞれ原点スイッチ25と調整限度点スイッチ26とが設けられている(図1参照)。そして、ナット19を原点(あるいは、調整限度点)へ復帰する際には、モータ11を回転させて、この原点スイッチ25(あるいは調整限度点スイッチ26)によって検出される原点位置(あるいは、調整限度点位置)へ移動する。このとき、ナット19を弁開停止位置へ移動させる場合と同様に所定方向へ回転させることで、バックラッシュが打ち消される。またあるいは、スイッチに応差がある場合には、その応差も同時に打ち消される。
【0027】
具体的には、例えば、ナット19の原点を検出する場合について説明する。モータ11の回転の所定方向が、ナット19を原点に近づける方向である場合には、モータ11の所定方向回転によってナット19が原点に近づき、原点スイッチ25がONとなったところで停止する。一方、モータ11の回転の所定方向が、ナット19を原点から遠ざける方向である場合には、モータ11の所定方向の逆方向回転によってナット19が原点に近づき、原点スイッチ25がONとなったところでモータ11を反転させ、モータ11を所定方向に回転させて、原点スイッチ25がOFFとなったところで停止する。
【0028】
これによって、モータ11の原点(あるいは、調整限度点)を検出することができるとともに、ナット19の原点位置(あるいは、調整限度点位置)への移動時にもバックラッシュによる誤差や検出スイッチの応差が発生しない。また、流量制御弁1の使用時に、ナット19の位置が原点や調整限度点に達したことを検出したり、さらに原点や調整限度点を超えて移動するように指示された場合、図示されないコントローラは、使用者に警告を表示するとともにそれ以上の移動は行わない。
【0029】
さらに、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、モータ11としてステッピングモータを使用しており、これは通電時の発熱量が比較的大きい。そのため、ナット19を所望の停止位置に停止させた後は、図示されないコントローラは、モータ11の通電を遮断する。これによって、制御流体の液温が上昇することを防止する。
【0030】
さらに、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、モータ11を操作するために、図示されないコントローラによりパルス等の操作信号が送出される。この操作信号によってモータ11が操作され、その結果、ナット19が移動して停止する。電空レギュレータ部31によってパイロット室55の空気圧力が上昇されれば、ピストン22がナット19に当接されるので、このナット19の停止位置は弁の開度に対応する。この弁の開度とモータ11への操作信号との関係を図4に示す。
【0031】
モータ11の基準位置に相当する原点は原点スイッチ25によって検出されるものであり、原点スイッチ25の取付精度によっていくらかの個体差が生じることは避けられない。原点スイッチ25の取付位置が基準位置である場合の、操作信号と弁の開度との関係は、図4に実線で示した基準曲線L1である。それに対して、原点スイッチ25の取付位置の精度により、モータ11の原点位置がずれた場合、例えば、図4に示したサンプル曲線L2,L3のようになることがある。この各サンプル曲線L2,L3と基準曲線L1との差を、測定して個体差値k1,k2を求める。このずれは、原点スイッチ25の取付位置のずれに由来するものであり、操作信号に対する弁の開度の増加量(グラフの傾き)はどの流量制御弁1についても同じである。
【0032】
各流量制御弁1を制御する場合には、基準の操作信号に対して測定された個体差値k1,k2を加減する。サンプル曲線L2のように、原点スイッチ25の取付位置がやや上方で、基準値より小さい操作信号でも弁が開放される場合には、操作信号=(基準操作信号−個体差値k1)によって操作する。また、サンプル曲線L3のように、原点スイッチ25の取付位置がやや下方で、基準値より大きい操作信号でなければ弁が開放しない場合には、操作信号=(基準操作信号+個体差値k2)によって操作する。これらの個体差値k1,k2を符号付きで各流量制御弁1に明記しておくことにより、個体差を減少させた制御が可能となる。特に、オープンループ制御で使用する場合においても、高精度な流量制御ができる。
【0033】
以上詳細に説明したように本実施の形態の流量制御弁1の制御方法によれば、電空レギュレータ部31を操作してパイロット室55内に供給される圧縮空気の圧力でピストン22が移動されて弁開する流量制御弁1に対して、弁開動作の開始とともに、パイロット室55内へ供給される圧縮空気の圧力を調整して、パイロット室55内が不動限界圧力となるように電空レギュレータ部31を操作する。この不動限界圧力は、復帰バネ20の付勢力に抗してピストン22が移動する直前の空気圧であるので、このままではピストン22は移動しないが、さらにわずかでも空気圧が上昇されればピストン22は即座に移動を開始する。続いて、パイロット室55内の空気圧力を増加させて、所望される弁開操作時間において所望される弁開停止位置にピストン22が達するように、電空レギュレータ部31を操作する。従って、弁開動作の開始からごく短時間でピストン22及びダイアフラム24の移動が開始されるとともに、弁開操作時間の終了の直前に弁開停止位置となるようにすることができ、弁開操作時間のほとんどの部分を実際にダイアフラム24が移動している時間とすることができる。これにより、弁開動作の立ち上がりが速く、弁開操作時間のうち実際にピストン22及びダイアフラム24が移動している時間を長くすることができるので、流量制御の信頼性を向上させることができた。
【0034】
さらに、本実施の形態の制御方法で制御される流量制御弁1では、モータ11を操作してナット19を停止位置へ移動させ、ナット19にピストン22が突き当たることで弁開停止位置が決定される。そこで、ナット19を停止位置へ移動するためのモータ11の回転方向が所定方向である場合には、モータ11を所定方向へ回転させてナット19を停止位置に停止させるので、停止時にはモータは所定方向へ回転してから停止する。一方、ナット19を停止位置へ移動するためのモータの回転方向が所定方向の逆方向である場合には、モータ11を逆方向へ回転させてナット19に停止位置を通過させ、さらに、モータ11を所定方向に回転させてナット19を停止位置に停止させるので、停止時にはモータ11は所定方向に回転してから停止する。従って、いずれの場合にも、モータ11は所定方向に回転されてから停止されるので、回転方向の変化によるバックラッシュは打ち消され、バックラッシュによる誤差をなくしてナット19を精密に位置決めできる。これにより、バックラッシュの影響を減少させて、高精度な流量制御が可能となった。
【0035】
また、ナット19の停止位置として、移動可能範囲の両端に位置する原点や調整限度点が含まれ、同様の制御方法でモータ11は所定方向に回転して停止される。これにより、原点や調整限度点にナット19を停止させるときにも、同様にバックラッシュによる誤差をなくすことができる。また、原点や調整限度点を検出するために、原点スイッチ25または調整限度点スイッチ26を設ければ、当接部材がその位置に到達したことを正確に検出することができる。一方、原点スイッチ25または調整限度点スイッチ26を設けた場合、それらスイッチの応差が発生するが、この点でも、モータ11を所定方向に回転して停止することが有効となる。すなわち、それらの原点または調整限度点へのナット19の移動が、モータ11の所定方向回転であれば原点スイッチ25または調整限度点スイッチ26がナット19を検出したときにモータ11を停止する。あるいは、モータ11の所定方向の逆方向回転であれば、原点スイッチ25または調整限度点スイッチ26がナット19を検出したときにモータ11をそれまでの逆方向(すなわち所定方向)へ回転させ、原点スイッチ25または調整限度点スイッチ26がナット19を検出しなくなったときにモータ11を停止させる。このようにしてモータ11を所定方向に回転して停止することで、検出手段の応差を打ち消すことができる。また、ナット19を停止位置に停止させた後は、モータ11への通電を遮断するので、モータ11の発熱を防止し、制御流体の液温の上昇を防止することができる。
【0036】
さらに、本実施の形態の制御方法で制御される流量制御弁1では、原点スイッチ25によってナット19が原点に到達したことが検出される。また、原点スイッチ25がナット19を検出したときの操作信号値を、基準原点に対応する操作信号値と比較して、個体差値k1,k2として得ることができる。この個体差値によって基準曲線L1を補整すれば、ナット19の停止位置と操作信号との関係は、この補整された基準曲線に基づいて決定される。従って、原点スイッチ25の取付位置の誤差による個体差を、個体差値k1,k2によって補整することができる。これにより、流量制御弁1の個体差による誤差を減少させて、高精度な流量制御が可能となる。流体の流出時間が短時間で、応答性の問題からフィードバック制御が困難であり、オープンループ制御を行う場合には、特に有効である。
【0037】
また、上記とは別の実施の形態の制御方法によって制御される流量制御弁1の断面図を図8に示す。本発明の制御方法は、従来の技術の欄に記載した流量制御弁1を図示されないコントローラによって制御する方法である。流量制御弁1は、従来の技術で説明した流量制御弁100に原点スイッチ25及び調整限度点スイッチ26を取り付けたものである。その他の部分については流量制御弁100と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0038】
図8に示すように、ナット19の上面に2本の被検出子19a,19bが設けられ、ハウジング14に設けられた孔を貫通して上方へ延びている。そして、ハウジング14内には、カップリング13を挟んで両側に原点スイッチ25及び調整限度点スイッチ26が設けられる。原点スイッチ25及び調整限度点スイッチ26は、いずれも光学式スイッチであり、図9に示すように、被検出子19a,19bの先端部によって光が遮られることで、ナット19の位置が検出される。この原点スイッチ25が、請求項1に記載の検出手段に相当する。
尚、被検出子19aは、原点スイッチ25より下に離れる構造をとることはない。
【0039】
図示されないコントローラの記憶装置には、図7に示したような、流量制御弁1におけるパイロット室55の空気圧力とピストン22のストロークとの関係が記憶される。このグラフに表示された数値は例示であるが、復帰バネ20,21等の構成によって決定されるものであり、流量制御弁1に固有の関係であるので、図示されないコントローラの記憶装置に予め記憶させておくことができる。この流量制御弁1では、パイロット室55内の空気圧力が、0.16MPa以上となったときに、復帰バネ20,21の付勢力に抗してピストン22が移動を始める。従って、この流量制御弁1では、ピストン22が移動する直前の圧力である不動限界圧力は0.15MPaである。
【0040】
また、流量制御弁1が操作されるときには、使用者によって弁開停止位置と弁開操作時間が指示される。図示されないコントローラは、記憶装置に記憶されているパイロット室55の空気圧力とピストン22のストロークとの関係から、指示された弁開停止位置まで弁開するための最小の空気圧である弁開空気圧を算出する。さらに、安定した弁開状態とするためにこれに0.01MPaを加えた圧力を目標空気圧とする。例えば、図7に示したように、弁開停止位置1.4mmでは、弁開空気圧が0.21MPa、目標空気圧が0.22MPaとなる。また、弁開停止位置2.6mmでは、弁開空気圧0.25MPa、目標空気圧0.26MPaとなる。
【0041】
次に、図示されないコントローラは、不動限界圧力からパイロット室55の空気圧を一定割合で上昇させ、使用者によって指示された弁開操作時間内に目標空気圧に到達させるため、空気圧の増加割合を算出する。すなわち、(単位時間あたりの空気圧増加量)=(目標空気圧−不動限界圧力)/(弁開操作時間)として算出される。
【0042】
また、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、弁開動作を始める前に、図示されないコントローラはモータ11を操作して、使用者によって指示された弁開停止位置へナット19を移動させる。この流量制御弁1では、モータ11はステッピングモータであるので、図示されないコントローラは、モータ11に回転ステップ数に相当するパルスを入力することによって、モータ11を精密に操作することができる。また、モータ11の回転は、ギアボックス15で減速され、軸56とカップリング13とを介してネジ16の回転として伝達される。そして、ネジ16の回転はナット19の軸方向直線移動に変換されるので、図示されないコントローラは、モータ11の回転ステップ数によってナット19の位置を操作することができる。
【0043】
ここで、ギアボックス15や、ネジ16とナット19との間等の減速変換手段にはバックラッシュがあり、モータ11を精密に操作しても、ナット19の位置にはバックラッシュによる誤差が発生する。バックラッシュはモータ11の回転方向に拘わらずほぼ同じであり、モータ11を停止する前には、いつも同じ所定の回転方向に回転させてから停止することで打ち消すことができる。そのために、指定された弁開停止位置へナット19を移動させるためのモータ11の回転方向が、その所定方向の逆方向である場合には、モータ11を余分に回転させてナット19に停止位置を通過させてから、その余分に回転したステップ数だけ所定方向へ回転させる。余分に回転させるステップ数は、バックラッシュによってモータ11を回転させてもナット19が移動しないモータ11の回転量より十分に大きく、流量制御弁1の構成によって固有の値として図示されないコントローラの記憶装置に記憶させておく。
【0044】
例えば、流量制御弁1のバックラッシュが約50ステップ分であるとすると、図示されないコントローラの記憶装置には、バックラッシュを打ち消すための回転量として100ステップを記憶させる。また、所定の回転方向としてモータ11のステップ数を増大する方向の正回転を設定する。これらから、ナット19を弁開停止位置へ移動させるための移動方向がモータ11の正回転方向(ナット19を上へ移動させる方向)であれば、図示されないコントローラは、ナット19の移動距離に応じたステップ数分のパルスをモータ11に出力する。一方、ナット19を弁開停止位置へ移動させるための移動方向がモータ11の逆回転方向(ナット19を下へ移動させる方向)であれば、図示されないコントローラは、ナット19の移動距離に応じたステップ数+バックラッシュを打ち消すための100ステップ分の逆回転方向のパルスをモータ11に出力する。そして、その後、100ステップ分の正回転方向パルスを出力する。
【0045】
例えば、モータ11のステップ数で1000ステップ位置にあるナット19を2000ステップ位置へ移動する場合は、図示されないコントローラは正回転1000ステップ分のパルスをモータ11へ出力し、モータ11は1000ステップ分の正回転をして停止する。一方、2000ステップ位置にあるナット19を1000ステップ位置へ移動する場合には、図示されないコントローラは、移動量より100ステップ分余分の逆回転1100ステップ分のパルスをモータ11へ出力する。そのため、モータ11は1100ステップ分の逆回転をするが、そのうちに約50ステップ分のバックラッシュが含まれる。その後、図示されないコントローラは、正回転100ステップ分のパルスをモータ11へ出力する。そのため、モータ11は100ステップ分の正回転をするが、そのうちに約50ステップ分のバックラッシュが含まれる。この2回の50パルス分のバックラッシュは互いに逆方向であるので打ち消される。これによって、正回転と逆回転のどちらの場合もバックラッシュによる誤差がなく、ナット19の位置の精密な制御が可能であるので、弁開停止位置が精密に制御される。
【0046】
次に、流量制御弁1の弁開動作について説明する。図10に、本発明を具体化した制御方法によって操作されたパイロット室55内の空気圧力の変化を表すグラフ図を示す。本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、図示されないコントローラは、使用者による弁開動作開始の指示とともに、電空レギュレータ部31を操作し、パイロット室55の空気圧力を不動限界圧力まで上昇させる。ここでは不動限界圧力が0.15MPaであるので、図示されないコントローラは電空レギュレータ部31に、パイロット室55の空気圧力0.15MPaに対応する電気信号を入力する。
【0047】
続いて、予め算出した単位時間あたりの空気圧増加量に相当する割合で、電空レギュレータ部31に入力する電気信号を増加させる。図10には、弁開操作時間2秒で弁開停止位置2.6mmの場合のパイロット室55の空気圧の変化を表すグラフ61と、弁開操作時間2秒で弁開停止位置1.4mmの場合のパイロット室55の空気圧の変化を表すグラフ62とを示す。図10に示すように、弁開操作時間2秒で弁開停止位置2.6mmの場合は、2秒間のうちにパイロット室55を不動限界圧力0.15MPaから目標空気圧0.26MPaまで上昇させるように、図示されないコントローラは、電空レギュレータ部31に入力する電気信号を変化させる。
【0048】
この流量制御弁1は、パイロット室55の圧力が(不動限界圧力+0.01MPa)〜弁開空気圧の範囲でピストン22が移動する。例えば、弁開停止位置2.6mmでは、0.16〜0.25MPaの範囲がピストン22の移動可能な圧力である。一方、この流量制御弁1の制御方法によれば、図10のグラフ61に示すように、パイロット室55の空気圧力をまず0.16MPaにしてから弁開操作時間でゆっくり上昇させる。従って、使用者による弁開動作開始の指示からごく短時間で、実際にピストン22が移動可能な0.16MPaとなるので、弁開動作の立ち上がりが速くなった。また、ピストン22とともにダイアフラム24が移動して制御流体の流量が変更される時間は、図10に示すように、時間TCとなる。従来は図6に示すように時間TAであったことと比べると、弁開操作時間2秒のうち実際にピストン22とダイアフラム24とが移動している時間が長くなり、制御流体の流量をより緩やかに増大させることができた。また、弁開停止位置1.4mmの場合は従来の時間TBに比較して時間TDとなり、さらに効果的である。
【0049】
さらに、本実施の形態の流量制御弁1では、ナット19の移動範囲の上下限位置である原点位置と調整限度点を検出するために、それぞれ原点スイッチ25と調整限度点スイッチ26とが設けられている(図8参照)。そして、ナット19を原点(あるいは、調整限度点)へ復帰する際には、モータ11を回転させて、この原点スイッチ25(あるいは調整限度点スイッチ26)によって検出される原点位置(あるいは、調整限度点位置)へ移動する。特に、ナット19を原点に復帰させる際には、ナット19を弁開停止位置へ移動させる場合と同様に所定方向へ回転させることで、バックラッシュが打ち消される。また、スイッチに応差がある場合には、その応差も同時に打ち消される。
【0050】
具体的には、ナット19の原点を検出する場合について説明する。図15(a)に示すように、原点スイッチ25がOFFとなっている場合には、ナット19を下へ移動させる方向にモータ11を回転させ、原点スイッチ25がONとなっところで、バックラッシュを打ち消すために更に100ステップ分、ナット19を下へ移動させる方向にモータ11を回転させる。その後、ナット19を上へ移動させる方向に、モータ11を回転させ、原点スイッチ25がオフになったところで停止させる。
また、図15(b)に示すように、原点スイッチ25がONとになっている場合には、先ず、バックラッシュを打ち消すために100ステップ分、ナット19を下へ移動させる方向にモータ11を回転させる。その後、ナット19を上へ移動させる方向に、モータ11を回転させ、原点スイッチ25がオフになったところで停止させる。
また、ナット19の調整限度点を検出する場合について説明する。モータ11の回転によってナット19が調整限度点に近づき、調整限度点スイッチ26がONになったところで停止させる。
【0051】
これによって、モータ11の原点(あるいは、調整限度点)を検出することができるとともに、ナット19の原点位置への移動時にもバックラッシュによる誤差や検出スイッチの応差が発生しない。また、流量制御弁1の使用時に、ナット19の位置が原点や調整限度点に達したことを検出したり、さらに原点や調整限度点を超えて移動するように指示された場合、図示されないコントローラは、使用者に警告を表示するとともにそれ以上の移動は行わない。
【0052】
さらに、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、モータ11としてステッピングモータを使用しており、これは通電時の発熱量が比較的大きい。そのため、ナット19を所望の停止位置に停止させた後は、図示されないコントローラは、モータ11の通電を遮断する。これによって、制御流体の液温が上昇することを防止する。
【0053】
さらに、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、モータ11を操作するために、図示されないコントローラによりパルス等の操作信号が送出される。この操作信号によってモータ11が操作され、その結果、ナット19が移動して停止する。電空レギュレータ部31によってパイロット室55の空気圧力が上昇されれば、ピストン22がナット19に当接されるので、このナット19の停止位置は弁の開度に対応する。この弁の開度と電空レギュレータ部31への操作信号との関係を図11に示す。
【0054】
操作信号と弁の開度には、復帰バネ20の荷重のばらつき等により、いくらかの個体差が生じることは避けられない。操作信号と弁の開度との関係は、図11に実線で示した基準直線L1である。それに対して、復帰バネ20の荷重のばらつき等により、例えば、図4に示したサンプル曲線L2,L3のようになることがある。この各サンプル曲線L2,L3と基準曲線L1との差を測定して、個体差k1,k2を求める。このずれは、復帰バネ20の荷重のばらつきの影響が大きい場合が多く、操作信号に対する弁の開度の増加量(グラフの傾き)は操作信号に対する弁の開度の増加量(グラフの傾き)はどの流量制御弁1についても同じである。
【0055】
各流量制御弁1を制御する場合には、基準の操作信号に対して測定された個体差値k1,k2を加減する。サンプル曲線L2のように、復帰バネ20のセット荷重がやや小さく、基準値より小さい操作信号でも弁が開放される場合には、操作信号=(基準操作信号−個体差値k1)によって操作する。また、サンプル曲線L3のように、復帰バネ20のセット荷重がやや大きく、基準値より大きい操作信号でなければ弁が開放しない場合には、操作信号=(基準操作信号+個体差値k2)によって操作する。これらの個体差値k1,k2を符号付きで各流量制御弁1に明記しておくことにより、個体差を減少させた制御が可能となる。特に、オープンループ制御で使用する場合においても、高精度な流量制御ができる。
【0056】
以上詳細に説明したように本実施の形態の流量制御弁1の制御方法によれば、電空レギュレータ部31を操作してパイロット室55内に供給される圧縮空気の圧力でピストン22が移動されて弁開する流量制御弁1に対して、弁開動作の開始とともに、パイロット室55内へ供給される圧縮空気の圧力を調整して、パイロット室55内が不動限界圧力となるように電空レギュレータ部31を操作する。この不動限界圧力は、復帰バネ20の付勢力に抗してピストン22が移動する直前の空気圧であるので、このままではピストン22は移動しないが、さらにわずかでも空気圧が上昇されればピストン22は即座に移動を開始する。続いて、パイロット室55内の空気圧力を増加させて、所望される弁開操作時間において所望される弁開停止位置にピストン22が達するように、電空レギュレータ部31を操作する。従って、弁開動作の開始からごく短時間でピストン22及びダイアフラム24の移動が開始されるとともに、弁開操作時間の終了の直前に弁開停止位置となるようにすることができ、弁開操作時間のほとんどの部分を実際にダイアフラム24が移動している時間とすることができる。これにより、弁開動作の立ち上がりが速く、弁開操作時間のうち実際にピストン22及びダイアフラム24が移動している時間を長くすることができるので、流量制御の信頼性を向上させることができた。
【0057】
さらに、本実施の形態の制御方法で制御される流量制御弁1では、モータ11を操作してナット19を停止位置へ移動させ、ナット19にピストン22が突き当たることで弁開停止位置が決定される。そこで、ナット19を停止位置へ移動するためのモータ11の回転方向がナット19を上へ移動させる方向である場合には、モータ11を当該方向へ回転させてナット19を停止位置に停止させるので、停止時にはモータは当該方向へ回転してから停止する。一方、ナット19を停止位置へ移動するためのモータの回転方向がナット19を下へ移動させる方向である場合には、モータ11を当該方向へ回転させてナット19に停止位置を通過させ、さらに、モータ11を当該方向とは反対方向に回転させてナット19を停止位置に停止させるので、停止時にはモータ11は当該方向とは反対方向に回転してから停止する。従って、いずれの場合にも、モータ11は所定方向(ナット19を上へ移動させる方向)に回転されてから停止されるので、回転方向の変化によるバックラッシュは打ち消され、バックラッシュによる誤差をなくしてナット19を精密に位置決めできる。これにより、バックラッシュの影響を減少させて、高精度な流量制御が可能となった。
【0058】
また、ナット19の停止位置として、移動可能範囲の両端に位置する原点が含まれ、同様の制御方法でモータ11は所定方向に回転して停止される。これにより、原点にナット19を停止させるときにも、同様にバックラッシュによる誤差をなくすことができる。また、原点や調整限度点を検出するために、原点スイッチ25または調整限度点スイッチ26を設ければ、当接部材がその位置に到達したことを正確に検出することができる。一方、原点スイッチ25を設けた場合、そのスイッチの応差が発生するが、この点でも、モータ11を所定方向(ナット19を上へ移動させる方向)に回転して停止することが有効となる。すなわち、それらの原点へのナット19の移動が、モータ11の所定方向(ナット19を上へ移動させる方向)の回転であれば原点スイッチ25がナット19を検出しなくなったときにモータ11を停止する。あるいは、モータ11の所定方向(ナット19を上へ移動させる方向)の逆方向(ナット19を下へ移動させる方向)の回転であれば、原点スイッチ25がナット19を検出した後でモータ11が所定量回転したときにモータ11の回転を反転させ、原点スイッチ25がナット19を検出しなくなったときにモータ11を停止させる。このようにしてモータ11を所定方向(ナット19を上へ移動させる方向)に回転して停止することで、検出手段の応差を打ち消すことができる。また、ナット19を停止位置に停止させた後は、モータ11への通電を遮断するので、モータ11の発熱を防止し、制御流体の液温の上昇を防止することができる。
【0059】
さらに、本実施の形態の制御方法で制御される流量制御弁1では、原点スイッチ25によってナット19が原点に到達したことが検出される。また、原点スイッチ25がナット19を検出したときの操作信号値を、基準原点に対応する操作信号値と比較して、個体差値k1,k2として得ることができる。この個体差値によって基準曲線L1を補整すれば、ナット19の停止位置と操作信号との関係は、この補整された基準曲線に基づいて決定される。従って、バネのセット荷重のばらつきによる個体差を、個体差値k1,k2によって補整することができる。これにより、流量制御弁1の個体差による誤差を減少させて、高精度な流量制御が可能となる。流体の流出時間が短時間で、応答性の問題からフィードバック制御が困難であり、オープンループ制御を行う場合には、特に有効である。
【0060】
また、本実施の形態の流量制御弁1のモータ11は、2相励磁であるために、図12に示すように、2つのコイルV1,V2があり、それらのコイルV1,V2に流れる電流の向きr1,r2,r3,r4により、位相は、図13に示すように、4通りの組合せに分けることができる。すなわち、r1r3→r1r4→r2r4→r2r3→r1r3→…のように連続して位相を変えることにより、モータ11を回転させることができ、例えば、1ステップ動作させる場合には位相を1つ、2ステップ動作させる場合には位相を2つ、回転方向に応じてずらしていく。従って、図示されないコントローラは、ステップ数と位相により、ナット19の停止位置が原点に対して、どの位置にあるのかを把握することができる。この点、図示されないコントローラの記憶装置には、ステップ数と位相が記憶されており、再度電源が投入された場合でも、図14に示すように、ナット19の停止位置が原点に対して、どの位置にあるのかを把握することができる。
【0061】
また、ナット19を原点に復帰させる場合、図示されないコントローラは、モータ11を回転させる際には、ステップ数をカウントしており、カウントされたステップ数が所定値を越えた時には、使用者に警告を表示するとともに、モータ11の回転を停止させる(例えば、図15(b)のdからeが該当)。
【0062】
また、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、図示されないコントローラの記憶装置には、ステップ数と位相が記憶されており、再度電源が投入された場合でも、ナット19の停止位置が原点に対して、どの位置にあるのかを把握することができる。従って、再度電源を投入した場合でも、当該停止位置にナット19を停止させるようにモータ11を操作することができるので、移動可能範囲を超えて、ナット19ひいてはピストン22及びダイアフラム24の弁開停止位置を移動させるようなことは起こらない。また、図示されないコントローラの電源投入時の位相とモータ11の位相が同一になるため、図示されないコントローラの電源投入時の位相にまで、モータ11が動作することは起こらない。
【0063】
また、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、ナット19を原点へ復帰する際には、モータ11を回転させて、この原点スイッチ25のON・OFFによって検出される原点位置へ移動する。この点、図示されないコントローラは、モータ11を回転させる際には、ステップ数をカウントしており、カウントされたステップ数が所定値を越えた時には、使用者に警告を表示するとともに、モータ11の回転を停止させている(図15(b)のdからeが該当)。従って、原点スイッチ25が機能しなくなっても、モータ11の回転を自動的に停止させることができる。
【0064】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の流量制御弁を示した断面図である。
【図2】原点スイッチ部分を示した図である。
【図3】本発明の流量制御弁の制御方法によるパイロット室の空気圧力の変化を示したグラフ図である。
【図4】本発明の流量制御弁の制御方法による操作信号と弁の開度との関係を示したグラフ図である。
【図5】従来の流量制御弁を示した断面図である。
【図6】従来の流量制御弁の制御方法によるパイロット室の空気圧力の変化を示したグラフ図である。
【図7】流量制御弁の特性を示したグラフ図である。
【図8】本発明の流量制御弁を示した断面図である。
【図9】原点スイッチ部分を示した図である。
【図10】本発明の流量制御弁の制御方法によるパイロット室の空気圧力の変化を示したグラフ図である。
【図11】本発明の流量制御弁の制御方法による操作信号と弁の開度との関係を示したグラフ図である。
【図12】本発明の流量制御弁のモータの構成を示した概略図である。
【図13】本発明の流量制御弁のモータの位相の組合せを示した図である。
【図14】本発明の流量制御弁において、再度電源が投入された際に、ナットの停止位置が原点に対して、どの位置にあるのかを把握することを示した概念図である。
【図15】本発明の制御弁において、ナットの原点復帰の際のナットの移動(モータの回転)について説明した図である。
【符号の説明】
【0066】
1 流量制御弁
11 モータ
19 ナット
20 復帰バネ
22 ピストン
24 ダイアフラム
25 原点スイッチ
26 調整限度点スイッチ
31 電空レギュレータ部
54 弁座
55 パイロット室
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気の圧力がバネの付勢力に抗することにより、開状態へ移行する流量制御弁の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体製造装置に薬液を供給するために流量制御弁が用いられている。本出願人は、特願2001−274467において、流量調整を遠隔制御で且つ精度よく行うことができる流量制御弁を提案している。図5に、かかる流量制御弁100の断面図を示す。
流量制御弁100は、アンダーボディ27と、アンダーボディ27の上方に固設されたシリンダ23と、シリンダ23の上方に固設されたハウジング14と、ハウジング14にカバー12を介して装着されたモータ11とによって全体の外形をなしている。ここでは、モータ11として、ステッピングモータを採用している。
【0003】
アンダーボディ27には、図中左方に入力ポート51と図中右方に出力ポート52とが形成され、中央に円環形状の弁座54が形成されている。また、シリンダ23の内部には、略円柱形状のピストン22が軸方向に摺動可能かつ気密にはめ込まれている。ピストン22の下面とシリンダ23の内面とによりパイロット室55が区画され、パイロット室55には、シリンダ23に形成された操作ポート53が連通している。さらに、ピストン22の下端には、弁体としてのダイアフラム24が取り付けられ、ダイアフラム24の周縁は、アンダーボディ27とシリンダ23とに挟持されている。ダイアフラム24がピストン22の上下動に伴って移動して弁座54に密着あるいは離間することによって、入力ポート51と出力ポート52との間が遮断あるいは連通される。
【0004】
また、略円筒形状のハウジング14の内部には、ピストン22を図中下方に付勢する復帰バネ20が装着されている。さらに、当接部材であるナット19を螺装したネジ16が設けられ、ネジ16に対するナット19のスラスト方向のガタを防止するために、ナット19とピストン22との間に復帰バネ21が装着されている。そして、ネジ16は、カップリング13により軸56と連結され、ハウジング14の上部に設けられたモータ11の回転が、ギアボックス15と軸56を介してネジ16に伝えられる。さらに、流量制御弁100では、シリンダ23に形成された操作ポート53に対し、電空レギュレータ部31が取り付けられている。電空レギュレータ部31は、ノーマルクローズの吸気比例弁32とノーマルクローズの排気比例弁33とをコントロール基板35を介して操作されるものであり、手動操作のニードル弁34をも備えている。
【0005】
流量制御弁100では、パイロット室55の空気圧力が、電空レギュレータ部31によって操作ポート53を介して制御される。電空レギュレータ部31は、入力された電気信号に対応してパイロット室55の空気圧力を調整し、この空気圧力の上昇によってピストン22を復帰バネ20に抗して図中上方へ移動させる。これにより、ダイアフラム24が弁座54から離間して流量制御弁100は弁開する。そして、移動されたピストン22は、その上面がナット19に当接することによって停止されるので、ナット19の停止位置によってダイアフラム24の位置である弁開停止位置が規定される。そして、このナット19は、ネジ16に伝えられるモータ11の回動動作によって上下動される。
【0006】
従来、この流量制御弁100は、使用者によって指示される弁開停止位置と弁開操作時間とに対応して、図示されないコントローラによって、電空レギュレータ部31とモータ11とが操作される。ここで、弁開停止位置は、前述したように、ナット19によるピストン22の停止位置であり、モータ11を回動させてナット19の位置をその指定された停止位置に合わせる。モータ11をステッピングモータとしてそのステップ数によって制御することで、ナット19の停止位置を高精度に制御できる。
【0007】
また、弁開操作時間は、使用者によって指示され、弁閉状態において使用者が弁開動作を指示してから、その時間内にピストン22をナット19に当接させて弁開停止位置に到達させるものである。図示されないコントローラは、弁開操作時間内にピストン22が弁開停止位置まで移動するように、電空レギュレータ部31を操作してパイロット室55の空気圧を上昇させる。半導体製造工程等では、弁開動作が速い程良いというわけではなく、指定された弁開操作時間内で緩やかに弁開して、少しずつ流量を増大させることが望まれる。
【0008】
そのため、図示されないコントローラは、パイロット室55の空気圧を弁開操作時間終了時に最大空気圧とするように、単位時間あたり一定の割合で空気圧を上昇させる。ここで、最大空気圧とは、ネジ16の先端位置で決定される最大の弁開停止位置へピストン22を移動させるためのパイロット室55の空気圧である。弁開動作指示からの時間とパイロット室55の空気圧との関係の例を図6に示す。図6の例は、弁開操作時間が2秒で、最大空気圧が0.3MPaの場合を示している。図6に示すように、弁開操作時間の2秒間にパイロット室55の空気圧を一定の割合で上昇させ、2秒終了時に最大空気圧の0.3MPaとなるようにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、流量制御弁100では、ナット19を所定の停止位置に停止するために、図示されないコントローラは、モータ11を操作するための操作信号を出力する。このとき、モータ11あるいはナット19の基準位置である原点をセンサ等の検出手段で検出した場合、図示されないコントローラによるモータ11の操作は、その原点を基準にして行われる。従って、センサ等の取付精度にばらつきがあれば、図示されないコントローラが出力する操作信号とナット19の停止位置との関係には、個々の弁による個体差が生じることになる。しかし、組立作業上、センサの取付精度を向上させることは大変困難であるため、弁の個体差を減少させることは大変困難であるという問題点があった。
【0010】
特に、この問題点は流量制御弁100をオープンループ制御で使用した場合に重要となる。一般的な流量制御弁100の使用方法は、流量データをフィードバックして行うフィードバック制御であるが、例えば、流体の流出時間が短い場合には、応答性の問題からフィードバック制御が困難となる。このような場合には、オープンループ制御で使用することとなり、図示されないコントローラが出力する操作信号のみによってモータ11が操作される。従って、この場合には原点位置の個体差はそのままナット19の停止位置の個体差となり、弁開度の個体差に直結してしまう。そのため、特に、原点位置の個体差は小さいことが望ましいからである。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、検出手段の取付精度による弁開度の個体差を減少させて、高精度な流量制御を可能にした流量制御弁の制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、ピストンの先端に設けられた弁体がバネの付勢力により弁座に密接して閉状態となる一方、パイロット室内に供給した圧縮空気の圧力で前記ピストンを移動させることにより前記弁体が前記弁座から離間して開状態となり、さらに、モータの回転が減速変換手段によって当接部材の直線移動に変換されることにより、前記当接部材の停止位置と操作信号の関係を示す基準曲線に基づいて、前記当接部材が停止位置へ移動して停止されるように前記モータを操作し、前記ピストンが前記当接部材に突き当たることで前記弁体の弁開停止位置が決定されて流体の流量を調整する流量制御弁の制御方法において、前記ピストンが、弁閉に到達したことをオンからオフになること又はオフからオンになることで検出する検出手段を設け、前記検出手段がオンからオフになった又はオフからオンになったときの操作信号値と基準原点に対応する操作信号値との差を個体差値とし、前記基準曲線を、前記個体差値によって補整することを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載する流量制御弁の制御方法において、前記流量制御弁をオープンループ制御によって使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
すなわち、本発明の制御方法で制御される流量制御弁では、検出手段によってピストンが弁閉に到達したことが検出される。また、検出手段がオンからオフになった又はオフからオンになったときの操作信号値を、基準原点に対応する操作信号値と比較して、個体差値として得ることができる。この個体差値によって基準曲線を補整すれば、当接部材の停止位置と操作信号との関係は、この補整された基準曲線に基づいて決定される。従って、検出手段の取付位置の誤差による個体差を、個体差値によって補整することができる。これにより、流量制御弁の個体差による誤差を減少させて、高精度な流量制御が可能となる。さらに、バネのセット荷重のばらつきによる個体差についても補整することができる。流体の流出時間が短時間で、応答性の問題からフィードバック制御が困難であり、オープンループ制御を行う場合には、特に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。本実施の形態の制御方法によって制御される流量制御弁1の断面図を図1に示す。本発明の制御方法は、従来の技術の欄に記載した流量制御弁1を図示されないコントローラによって制御する方法である。流量制御弁1は、従来の技術で説明した流量制御弁100に原点スイッチ25及び調整限度点スイッチ26を取り付けたものである。その他の部分については流量制御弁100と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0015】
図1に示すように、ナット19の上面に2本の被検出子19a,19bが設けられ、ハウジング14に設けられた孔を貫通して上方へ延びている。そして、ハウジング14内には、カップリング13を挟んで両側に原点スイッチ25及び調整限度点スイッチ26が設けられる。原点スイッチ25及び調整限度点スイッチ26は、いずれも光学式スイッチであり、図2に示すように、被検出子19a,19bの先端部によって光が遮られることで、ナット19の位置が検出される。
【0016】
図示されないコントローラの記憶装置には、図7に示したような、流量制御弁1におけるパイロット室55の空気圧力とピストン22のストロークとの関係が記憶される。このグラフに表示された数値は例示であるが、復帰バネ20,21等の構成によって決定されるものであり、流量制御弁1に固有の関係であるので、図示されないコントローラの記憶装置に予め記憶させておくことができる。この流量制御弁1では、パイロット室55内の空気圧力が、0.16MPa以上となったときに、復帰バネ20,21の付勢力に抗してピストン22が移動を始める。従って、この流量制御弁1では、ピストン22が移動する直前の圧力である不動限界圧力は0.15MPaである。
【0017】
また、流量制御弁1が操作されるときには、使用者によって弁開停止位置と弁開操作時間が指示される。図示されないコントローラは、記憶装置に記憶されているパイロット室55の空気圧力とピストン22のストロークとの関係から、指示された弁開停止位置まで弁開するための最小の空気圧である弁開空気圧を算出する。さらに、安定した弁開状態とするためにこれに0.01MPaを加えた圧力を目標空気圧とする。例えば、図7に示したように、弁開停止位置1.4mmでは、弁開空気圧が0.21MPa、目標空気圧が0.22MPaとなる。また、弁開停止位置2.6mmでは、弁開空気圧0.25MPa、目標空気圧0.26MPaとなる。
【0018】
次に、図示されないコントローラは、不動限界圧力からパイロット室55の空気圧を一定割合で上昇させ、使用者によって指示された弁開操作時間内に目標空気圧に到達させるため、空気圧の増加割合を算出する。すなわち、(単位時間あたりの空気圧増加量)=(目標空気圧−不動限界圧力)/(弁開操作時間)として算出される。
【0019】
また、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、弁開動作を始める前に、図示されないコントローラはモータ11を操作して、使用者によって指示された弁開停止位置へナット19を移動させる。この流量制御弁1では、モータ11はステッピングモータであるので、図示されないコントローラは、モータ11に回転ステップ数に相当するパルスを入力することによって、モータ11を精密に操作することができる。また、モータ11の回転は、ギアボックス15で減速され、軸56とカップリング13とを介してネジ16の回転として伝達される。そして、ネジ16の回転はナット19の軸方向直線移動に変換されるので、図示されないコントローラは、モータ11の回転ステップ数によってナット19の位置を操作することができる。
【0020】
ここで、ギアボックス15や、ネジ16とナット19との間等の減速変換手段にはバックラッシュがあり、モータ11を精密に操作しても、ナット19の位置にはバックラッシュによる誤差が発生する。バックラッシュはモータ11の回転方向に拘わらずほぼ同じであり、モータ11を停止する前には、いつも同じ所定の回転方向に回転させてから停止することで打ち消すことができる。そのために、指定された弁開停止位置へナット19を移動させるためのモータ11の回転方向が、その所定方向の逆方向である場合には、モータ11を余分に回転させてナット19に停止位置を通過させてから、その余分に回転したステップ数だけ所定方向へ回転させる。余分に回転させるステップ数は、バックラッシュによってモータ11を回転させてもナット19が移動しないモータ11の回転量より十分に大きく、流量制御弁1の構成によって固有の値として図示されないコントローラの記憶装置に記憶させておく。
【0021】
例えば、流量制御弁1のバックラッシュが約50ステップ分であるとすると、図示されないコントローラの記憶装置には、バックラッシュを打ち消すための回転量として100ステップを記憶させる。また、所定の回転方向としてモータ11のステップ数を増大する方向の正回転を設定する。これらから、ナット19を弁開停止位置へ移動させるための移動方向がモータ11の正回転方向であれば、図示されないコントローラは、ナット19の移動距離に応じたステップ数分のパルスをモータ11に出力する。一方、ナット19を弁開停止位置へ移動させるための移動方向がモータ11の逆回転方向であれば、図示されないコントローラは、ナット19の移動距離に応じたステップ数+バックラッシュを打ち消すための100ステップ分の逆回転方向のパルスをモータ11に出力する。そして、その後、100ステップ分の正回転方向パルスを出力する。
【0022】
例えば、モータ11のステップ数で1000ステップ位置にあるナット19を2000ステップ位置へ移動する場合は、図示されないコントローラは正回転1000ステップ分のパルスをモータ11へ出力し、モータ11は1000ステップ分の正回転をして停止する。一方、2000ステップ位置にあるナット19を1000ステップ位置へ移動する場合には、図示されないコントローラは、移動量より100ステップ分余分の逆回転1100ステップ分のパルスをモータ11へ出力する。そのため、モータ11は1100ステップ分の逆回転をするが、そのうちに約50ステップ分のバックラッシュが含まれる。その後、図示されないコントローラは、正回転100ステップ分のパルスをモータ11へ出力する。そのため、モータ11は100ステップ分の正回転をするが、そのうちに約50ステップ分のバックラッシュが含まれる。この2回の50パルス分のバックラッシュは互いに逆方向であるので打ち消される。これによって、正回転と逆回転のどちらの場合もバックラッシュによる誤差がなく、ナット19の位置の精密な制御が可能であるので、弁開停止位置が精密に制御される。
【0023】
次に、流量制御弁1の弁開動作について説明する。図3に、本発明を具体化した制御方法によって操作されたパイロット室55内の空気圧力の変化を表すグラフ図を示す。本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、図示されないコントローラは、使用者による弁開動作開始の指示とともに、電空レギュレータ部31を操作し、パイロット室55の空気圧力を不動限界圧力まで上昇させる。ここでは不動限界圧力が0.15MPaであるので、図示されないコントローラは電空レギュレータ部31に、パイロット室55の空気圧力0.15MPaに対応する電気信号を入力する。
【0024】
続いて、予め算出した単位時間あたりの空気圧増加量に相当する割合で、電空レギュレータ部31に入力する電気信号を増加させる。図3には、弁開操作時間2秒で弁開停止位置2.6mmの場合のパイロット室55の空気圧の変化を表すグラフ61と、弁開操作時間2秒で弁開停止位置1.4mmの場合のパイロット室55の空気圧の変化を表すグラフ62とを示す。図3に示すように、弁開操作時間2秒で弁開停止位置2.6mmの場合は、2秒間のうちにパイロット室55を不動限界圧力0.15MPaから目標空気圧0.26MPaまで上昇させるように、図示されないコントローラは、電空レギュレータ部31に入力する電気信号を変化させる。
【0025】
この流量制御弁1は、パイロット室55の圧力が(不動限界圧力+0.01MPa)〜弁開空気圧の範囲でピストン22が移動する。例えば、弁開停止位置2.6mmでは、0.16〜0.25MPaの範囲がピストン22の移動可能な圧力である。一方、この流量制御弁1の制御方法によれば、図3のグラフ61に示すように、パイロット室55の空気圧力をまず0.16MPaにしてから弁開操作時間でゆっくり上昇させる。従って、使用者による弁開動作開始の指示からごく短時間で、実際にピストン22が移動可能な0.16MPaとなるので、弁開動作の立ち上がりが速くなった。また、ピストン22とともにダイアフラム24が移動して制御流体の流量が変更される時間は、図3に示すように、時間TCとなる。従来は図6に示すように時間TAであったことと比べると、弁開操作時間2秒のうち実際にピストン22とダイアフラム24とが移動している時間が長くなり、制御流体の流量をより緩やかに増大させることができた。また、弁開停止位置1.4mmの場合は従来の時間TBに比較して時間TDとなり、さらに効果的である。
【0026】
さらに、本実施の形態の流量制御弁1では、ナット19の移動範囲の上下限位置である原点位置と調整限度点を検出するために、それぞれ原点スイッチ25と調整限度点スイッチ26とが設けられている(図1参照)。そして、ナット19を原点(あるいは、調整限度点)へ復帰する際には、モータ11を回転させて、この原点スイッチ25(あるいは調整限度点スイッチ26)によって検出される原点位置(あるいは、調整限度点位置)へ移動する。このとき、ナット19を弁開停止位置へ移動させる場合と同様に所定方向へ回転させることで、バックラッシュが打ち消される。またあるいは、スイッチに応差がある場合には、その応差も同時に打ち消される。
【0027】
具体的には、例えば、ナット19の原点を検出する場合について説明する。モータ11の回転の所定方向が、ナット19を原点に近づける方向である場合には、モータ11の所定方向回転によってナット19が原点に近づき、原点スイッチ25がONとなったところで停止する。一方、モータ11の回転の所定方向が、ナット19を原点から遠ざける方向である場合には、モータ11の所定方向の逆方向回転によってナット19が原点に近づき、原点スイッチ25がONとなったところでモータ11を反転させ、モータ11を所定方向に回転させて、原点スイッチ25がOFFとなったところで停止する。
【0028】
これによって、モータ11の原点(あるいは、調整限度点)を検出することができるとともに、ナット19の原点位置(あるいは、調整限度点位置)への移動時にもバックラッシュによる誤差や検出スイッチの応差が発生しない。また、流量制御弁1の使用時に、ナット19の位置が原点や調整限度点に達したことを検出したり、さらに原点や調整限度点を超えて移動するように指示された場合、図示されないコントローラは、使用者に警告を表示するとともにそれ以上の移動は行わない。
【0029】
さらに、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、モータ11としてステッピングモータを使用しており、これは通電時の発熱量が比較的大きい。そのため、ナット19を所望の停止位置に停止させた後は、図示されないコントローラは、モータ11の通電を遮断する。これによって、制御流体の液温が上昇することを防止する。
【0030】
さらに、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、モータ11を操作するために、図示されないコントローラによりパルス等の操作信号が送出される。この操作信号によってモータ11が操作され、その結果、ナット19が移動して停止する。電空レギュレータ部31によってパイロット室55の空気圧力が上昇されれば、ピストン22がナット19に当接されるので、このナット19の停止位置は弁の開度に対応する。この弁の開度とモータ11への操作信号との関係を図4に示す。
【0031】
モータ11の基準位置に相当する原点は原点スイッチ25によって検出されるものであり、原点スイッチ25の取付精度によっていくらかの個体差が生じることは避けられない。原点スイッチ25の取付位置が基準位置である場合の、操作信号と弁の開度との関係は、図4に実線で示した基準曲線L1である。それに対して、原点スイッチ25の取付位置の精度により、モータ11の原点位置がずれた場合、例えば、図4に示したサンプル曲線L2,L3のようになることがある。この各サンプル曲線L2,L3と基準曲線L1との差を、測定して個体差値k1,k2を求める。このずれは、原点スイッチ25の取付位置のずれに由来するものであり、操作信号に対する弁の開度の増加量(グラフの傾き)はどの流量制御弁1についても同じである。
【0032】
各流量制御弁1を制御する場合には、基準の操作信号に対して測定された個体差値k1,k2を加減する。サンプル曲線L2のように、原点スイッチ25の取付位置がやや上方で、基準値より小さい操作信号でも弁が開放される場合には、操作信号=(基準操作信号−個体差値k1)によって操作する。また、サンプル曲線L3のように、原点スイッチ25の取付位置がやや下方で、基準値より大きい操作信号でなければ弁が開放しない場合には、操作信号=(基準操作信号+個体差値k2)によって操作する。これらの個体差値k1,k2を符号付きで各流量制御弁1に明記しておくことにより、個体差を減少させた制御が可能となる。特に、オープンループ制御で使用する場合においても、高精度な流量制御ができる。
【0033】
以上詳細に説明したように本実施の形態の流量制御弁1の制御方法によれば、電空レギュレータ部31を操作してパイロット室55内に供給される圧縮空気の圧力でピストン22が移動されて弁開する流量制御弁1に対して、弁開動作の開始とともに、パイロット室55内へ供給される圧縮空気の圧力を調整して、パイロット室55内が不動限界圧力となるように電空レギュレータ部31を操作する。この不動限界圧力は、復帰バネ20の付勢力に抗してピストン22が移動する直前の空気圧であるので、このままではピストン22は移動しないが、さらにわずかでも空気圧が上昇されればピストン22は即座に移動を開始する。続いて、パイロット室55内の空気圧力を増加させて、所望される弁開操作時間において所望される弁開停止位置にピストン22が達するように、電空レギュレータ部31を操作する。従って、弁開動作の開始からごく短時間でピストン22及びダイアフラム24の移動が開始されるとともに、弁開操作時間の終了の直前に弁開停止位置となるようにすることができ、弁開操作時間のほとんどの部分を実際にダイアフラム24が移動している時間とすることができる。これにより、弁開動作の立ち上がりが速く、弁開操作時間のうち実際にピストン22及びダイアフラム24が移動している時間を長くすることができるので、流量制御の信頼性を向上させることができた。
【0034】
さらに、本実施の形態の制御方法で制御される流量制御弁1では、モータ11を操作してナット19を停止位置へ移動させ、ナット19にピストン22が突き当たることで弁開停止位置が決定される。そこで、ナット19を停止位置へ移動するためのモータ11の回転方向が所定方向である場合には、モータ11を所定方向へ回転させてナット19を停止位置に停止させるので、停止時にはモータは所定方向へ回転してから停止する。一方、ナット19を停止位置へ移動するためのモータの回転方向が所定方向の逆方向である場合には、モータ11を逆方向へ回転させてナット19に停止位置を通過させ、さらに、モータ11を所定方向に回転させてナット19を停止位置に停止させるので、停止時にはモータ11は所定方向に回転してから停止する。従って、いずれの場合にも、モータ11は所定方向に回転されてから停止されるので、回転方向の変化によるバックラッシュは打ち消され、バックラッシュによる誤差をなくしてナット19を精密に位置決めできる。これにより、バックラッシュの影響を減少させて、高精度な流量制御が可能となった。
【0035】
また、ナット19の停止位置として、移動可能範囲の両端に位置する原点や調整限度点が含まれ、同様の制御方法でモータ11は所定方向に回転して停止される。これにより、原点や調整限度点にナット19を停止させるときにも、同様にバックラッシュによる誤差をなくすことができる。また、原点や調整限度点を検出するために、原点スイッチ25または調整限度点スイッチ26を設ければ、当接部材がその位置に到達したことを正確に検出することができる。一方、原点スイッチ25または調整限度点スイッチ26を設けた場合、それらスイッチの応差が発生するが、この点でも、モータ11を所定方向に回転して停止することが有効となる。すなわち、それらの原点または調整限度点へのナット19の移動が、モータ11の所定方向回転であれば原点スイッチ25または調整限度点スイッチ26がナット19を検出したときにモータ11を停止する。あるいは、モータ11の所定方向の逆方向回転であれば、原点スイッチ25または調整限度点スイッチ26がナット19を検出したときにモータ11をそれまでの逆方向(すなわち所定方向)へ回転させ、原点スイッチ25または調整限度点スイッチ26がナット19を検出しなくなったときにモータ11を停止させる。このようにしてモータ11を所定方向に回転して停止することで、検出手段の応差を打ち消すことができる。また、ナット19を停止位置に停止させた後は、モータ11への通電を遮断するので、モータ11の発熱を防止し、制御流体の液温の上昇を防止することができる。
【0036】
さらに、本実施の形態の制御方法で制御される流量制御弁1では、原点スイッチ25によってナット19が原点に到達したことが検出される。また、原点スイッチ25がナット19を検出したときの操作信号値を、基準原点に対応する操作信号値と比較して、個体差値k1,k2として得ることができる。この個体差値によって基準曲線L1を補整すれば、ナット19の停止位置と操作信号との関係は、この補整された基準曲線に基づいて決定される。従って、原点スイッチ25の取付位置の誤差による個体差を、個体差値k1,k2によって補整することができる。これにより、流量制御弁1の個体差による誤差を減少させて、高精度な流量制御が可能となる。流体の流出時間が短時間で、応答性の問題からフィードバック制御が困難であり、オープンループ制御を行う場合には、特に有効である。
【0037】
また、上記とは別の実施の形態の制御方法によって制御される流量制御弁1の断面図を図8に示す。本発明の制御方法は、従来の技術の欄に記載した流量制御弁1を図示されないコントローラによって制御する方法である。流量制御弁1は、従来の技術で説明した流量制御弁100に原点スイッチ25及び調整限度点スイッチ26を取り付けたものである。その他の部分については流量制御弁100と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0038】
図8に示すように、ナット19の上面に2本の被検出子19a,19bが設けられ、ハウジング14に設けられた孔を貫通して上方へ延びている。そして、ハウジング14内には、カップリング13を挟んで両側に原点スイッチ25及び調整限度点スイッチ26が設けられる。原点スイッチ25及び調整限度点スイッチ26は、いずれも光学式スイッチであり、図9に示すように、被検出子19a,19bの先端部によって光が遮られることで、ナット19の位置が検出される。この原点スイッチ25が、請求項1に記載の検出手段に相当する。
尚、被検出子19aは、原点スイッチ25より下に離れる構造をとることはない。
【0039】
図示されないコントローラの記憶装置には、図7に示したような、流量制御弁1におけるパイロット室55の空気圧力とピストン22のストロークとの関係が記憶される。このグラフに表示された数値は例示であるが、復帰バネ20,21等の構成によって決定されるものであり、流量制御弁1に固有の関係であるので、図示されないコントローラの記憶装置に予め記憶させておくことができる。この流量制御弁1では、パイロット室55内の空気圧力が、0.16MPa以上となったときに、復帰バネ20,21の付勢力に抗してピストン22が移動を始める。従って、この流量制御弁1では、ピストン22が移動する直前の圧力である不動限界圧力は0.15MPaである。
【0040】
また、流量制御弁1が操作されるときには、使用者によって弁開停止位置と弁開操作時間が指示される。図示されないコントローラは、記憶装置に記憶されているパイロット室55の空気圧力とピストン22のストロークとの関係から、指示された弁開停止位置まで弁開するための最小の空気圧である弁開空気圧を算出する。さらに、安定した弁開状態とするためにこれに0.01MPaを加えた圧力を目標空気圧とする。例えば、図7に示したように、弁開停止位置1.4mmでは、弁開空気圧が0.21MPa、目標空気圧が0.22MPaとなる。また、弁開停止位置2.6mmでは、弁開空気圧0.25MPa、目標空気圧0.26MPaとなる。
【0041】
次に、図示されないコントローラは、不動限界圧力からパイロット室55の空気圧を一定割合で上昇させ、使用者によって指示された弁開操作時間内に目標空気圧に到達させるため、空気圧の増加割合を算出する。すなわち、(単位時間あたりの空気圧増加量)=(目標空気圧−不動限界圧力)/(弁開操作時間)として算出される。
【0042】
また、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、弁開動作を始める前に、図示されないコントローラはモータ11を操作して、使用者によって指示された弁開停止位置へナット19を移動させる。この流量制御弁1では、モータ11はステッピングモータであるので、図示されないコントローラは、モータ11に回転ステップ数に相当するパルスを入力することによって、モータ11を精密に操作することができる。また、モータ11の回転は、ギアボックス15で減速され、軸56とカップリング13とを介してネジ16の回転として伝達される。そして、ネジ16の回転はナット19の軸方向直線移動に変換されるので、図示されないコントローラは、モータ11の回転ステップ数によってナット19の位置を操作することができる。
【0043】
ここで、ギアボックス15や、ネジ16とナット19との間等の減速変換手段にはバックラッシュがあり、モータ11を精密に操作しても、ナット19の位置にはバックラッシュによる誤差が発生する。バックラッシュはモータ11の回転方向に拘わらずほぼ同じであり、モータ11を停止する前には、いつも同じ所定の回転方向に回転させてから停止することで打ち消すことができる。そのために、指定された弁開停止位置へナット19を移動させるためのモータ11の回転方向が、その所定方向の逆方向である場合には、モータ11を余分に回転させてナット19に停止位置を通過させてから、その余分に回転したステップ数だけ所定方向へ回転させる。余分に回転させるステップ数は、バックラッシュによってモータ11を回転させてもナット19が移動しないモータ11の回転量より十分に大きく、流量制御弁1の構成によって固有の値として図示されないコントローラの記憶装置に記憶させておく。
【0044】
例えば、流量制御弁1のバックラッシュが約50ステップ分であるとすると、図示されないコントローラの記憶装置には、バックラッシュを打ち消すための回転量として100ステップを記憶させる。また、所定の回転方向としてモータ11のステップ数を増大する方向の正回転を設定する。これらから、ナット19を弁開停止位置へ移動させるための移動方向がモータ11の正回転方向(ナット19を上へ移動させる方向)であれば、図示されないコントローラは、ナット19の移動距離に応じたステップ数分のパルスをモータ11に出力する。一方、ナット19を弁開停止位置へ移動させるための移動方向がモータ11の逆回転方向(ナット19を下へ移動させる方向)であれば、図示されないコントローラは、ナット19の移動距離に応じたステップ数+バックラッシュを打ち消すための100ステップ分の逆回転方向のパルスをモータ11に出力する。そして、その後、100ステップ分の正回転方向パルスを出力する。
【0045】
例えば、モータ11のステップ数で1000ステップ位置にあるナット19を2000ステップ位置へ移動する場合は、図示されないコントローラは正回転1000ステップ分のパルスをモータ11へ出力し、モータ11は1000ステップ分の正回転をして停止する。一方、2000ステップ位置にあるナット19を1000ステップ位置へ移動する場合には、図示されないコントローラは、移動量より100ステップ分余分の逆回転1100ステップ分のパルスをモータ11へ出力する。そのため、モータ11は1100ステップ分の逆回転をするが、そのうちに約50ステップ分のバックラッシュが含まれる。その後、図示されないコントローラは、正回転100ステップ分のパルスをモータ11へ出力する。そのため、モータ11は100ステップ分の正回転をするが、そのうちに約50ステップ分のバックラッシュが含まれる。この2回の50パルス分のバックラッシュは互いに逆方向であるので打ち消される。これによって、正回転と逆回転のどちらの場合もバックラッシュによる誤差がなく、ナット19の位置の精密な制御が可能であるので、弁開停止位置が精密に制御される。
【0046】
次に、流量制御弁1の弁開動作について説明する。図10に、本発明を具体化した制御方法によって操作されたパイロット室55内の空気圧力の変化を表すグラフ図を示す。本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、図示されないコントローラは、使用者による弁開動作開始の指示とともに、電空レギュレータ部31を操作し、パイロット室55の空気圧力を不動限界圧力まで上昇させる。ここでは不動限界圧力が0.15MPaであるので、図示されないコントローラは電空レギュレータ部31に、パイロット室55の空気圧力0.15MPaに対応する電気信号を入力する。
【0047】
続いて、予め算出した単位時間あたりの空気圧増加量に相当する割合で、電空レギュレータ部31に入力する電気信号を増加させる。図10には、弁開操作時間2秒で弁開停止位置2.6mmの場合のパイロット室55の空気圧の変化を表すグラフ61と、弁開操作時間2秒で弁開停止位置1.4mmの場合のパイロット室55の空気圧の変化を表すグラフ62とを示す。図10に示すように、弁開操作時間2秒で弁開停止位置2.6mmの場合は、2秒間のうちにパイロット室55を不動限界圧力0.15MPaから目標空気圧0.26MPaまで上昇させるように、図示されないコントローラは、電空レギュレータ部31に入力する電気信号を変化させる。
【0048】
この流量制御弁1は、パイロット室55の圧力が(不動限界圧力+0.01MPa)〜弁開空気圧の範囲でピストン22が移動する。例えば、弁開停止位置2.6mmでは、0.16〜0.25MPaの範囲がピストン22の移動可能な圧力である。一方、この流量制御弁1の制御方法によれば、図10のグラフ61に示すように、パイロット室55の空気圧力をまず0.16MPaにしてから弁開操作時間でゆっくり上昇させる。従って、使用者による弁開動作開始の指示からごく短時間で、実際にピストン22が移動可能な0.16MPaとなるので、弁開動作の立ち上がりが速くなった。また、ピストン22とともにダイアフラム24が移動して制御流体の流量が変更される時間は、図10に示すように、時間TCとなる。従来は図6に示すように時間TAであったことと比べると、弁開操作時間2秒のうち実際にピストン22とダイアフラム24とが移動している時間が長くなり、制御流体の流量をより緩やかに増大させることができた。また、弁開停止位置1.4mmの場合は従来の時間TBに比較して時間TDとなり、さらに効果的である。
【0049】
さらに、本実施の形態の流量制御弁1では、ナット19の移動範囲の上下限位置である原点位置と調整限度点を検出するために、それぞれ原点スイッチ25と調整限度点スイッチ26とが設けられている(図8参照)。そして、ナット19を原点(あるいは、調整限度点)へ復帰する際には、モータ11を回転させて、この原点スイッチ25(あるいは調整限度点スイッチ26)によって検出される原点位置(あるいは、調整限度点位置)へ移動する。特に、ナット19を原点に復帰させる際には、ナット19を弁開停止位置へ移動させる場合と同様に所定方向へ回転させることで、バックラッシュが打ち消される。また、スイッチに応差がある場合には、その応差も同時に打ち消される。
【0050】
具体的には、ナット19の原点を検出する場合について説明する。図15(a)に示すように、原点スイッチ25がOFFとなっている場合には、ナット19を下へ移動させる方向にモータ11を回転させ、原点スイッチ25がONとなっところで、バックラッシュを打ち消すために更に100ステップ分、ナット19を下へ移動させる方向にモータ11を回転させる。その後、ナット19を上へ移動させる方向に、モータ11を回転させ、原点スイッチ25がオフになったところで停止させる。
また、図15(b)に示すように、原点スイッチ25がONとになっている場合には、先ず、バックラッシュを打ち消すために100ステップ分、ナット19を下へ移動させる方向にモータ11を回転させる。その後、ナット19を上へ移動させる方向に、モータ11を回転させ、原点スイッチ25がオフになったところで停止させる。
また、ナット19の調整限度点を検出する場合について説明する。モータ11の回転によってナット19が調整限度点に近づき、調整限度点スイッチ26がONになったところで停止させる。
【0051】
これによって、モータ11の原点(あるいは、調整限度点)を検出することができるとともに、ナット19の原点位置への移動時にもバックラッシュによる誤差や検出スイッチの応差が発生しない。また、流量制御弁1の使用時に、ナット19の位置が原点や調整限度点に達したことを検出したり、さらに原点や調整限度点を超えて移動するように指示された場合、図示されないコントローラは、使用者に警告を表示するとともにそれ以上の移動は行わない。
【0052】
さらに、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、モータ11としてステッピングモータを使用しており、これは通電時の発熱量が比較的大きい。そのため、ナット19を所望の停止位置に停止させた後は、図示されないコントローラは、モータ11の通電を遮断する。これによって、制御流体の液温が上昇することを防止する。
【0053】
さらに、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、モータ11を操作するために、図示されないコントローラによりパルス等の操作信号が送出される。この操作信号によってモータ11が操作され、その結果、ナット19が移動して停止する。電空レギュレータ部31によってパイロット室55の空気圧力が上昇されれば、ピストン22がナット19に当接されるので、このナット19の停止位置は弁の開度に対応する。この弁の開度と電空レギュレータ部31への操作信号との関係を図11に示す。
【0054】
操作信号と弁の開度には、復帰バネ20の荷重のばらつき等により、いくらかの個体差が生じることは避けられない。操作信号と弁の開度との関係は、図11に実線で示した基準直線L1である。それに対して、復帰バネ20の荷重のばらつき等により、例えば、図4に示したサンプル曲線L2,L3のようになることがある。この各サンプル曲線L2,L3と基準曲線L1との差を測定して、個体差k1,k2を求める。このずれは、復帰バネ20の荷重のばらつきの影響が大きい場合が多く、操作信号に対する弁の開度の増加量(グラフの傾き)は操作信号に対する弁の開度の増加量(グラフの傾き)はどの流量制御弁1についても同じである。
【0055】
各流量制御弁1を制御する場合には、基準の操作信号に対して測定された個体差値k1,k2を加減する。サンプル曲線L2のように、復帰バネ20のセット荷重がやや小さく、基準値より小さい操作信号でも弁が開放される場合には、操作信号=(基準操作信号−個体差値k1)によって操作する。また、サンプル曲線L3のように、復帰バネ20のセット荷重がやや大きく、基準値より大きい操作信号でなければ弁が開放しない場合には、操作信号=(基準操作信号+個体差値k2)によって操作する。これらの個体差値k1,k2を符号付きで各流量制御弁1に明記しておくことにより、個体差を減少させた制御が可能となる。特に、オープンループ制御で使用する場合においても、高精度な流量制御ができる。
【0056】
以上詳細に説明したように本実施の形態の流量制御弁1の制御方法によれば、電空レギュレータ部31を操作してパイロット室55内に供給される圧縮空気の圧力でピストン22が移動されて弁開する流量制御弁1に対して、弁開動作の開始とともに、パイロット室55内へ供給される圧縮空気の圧力を調整して、パイロット室55内が不動限界圧力となるように電空レギュレータ部31を操作する。この不動限界圧力は、復帰バネ20の付勢力に抗してピストン22が移動する直前の空気圧であるので、このままではピストン22は移動しないが、さらにわずかでも空気圧が上昇されればピストン22は即座に移動を開始する。続いて、パイロット室55内の空気圧力を増加させて、所望される弁開操作時間において所望される弁開停止位置にピストン22が達するように、電空レギュレータ部31を操作する。従って、弁開動作の開始からごく短時間でピストン22及びダイアフラム24の移動が開始されるとともに、弁開操作時間の終了の直前に弁開停止位置となるようにすることができ、弁開操作時間のほとんどの部分を実際にダイアフラム24が移動している時間とすることができる。これにより、弁開動作の立ち上がりが速く、弁開操作時間のうち実際にピストン22及びダイアフラム24が移動している時間を長くすることができるので、流量制御の信頼性を向上させることができた。
【0057】
さらに、本実施の形態の制御方法で制御される流量制御弁1では、モータ11を操作してナット19を停止位置へ移動させ、ナット19にピストン22が突き当たることで弁開停止位置が決定される。そこで、ナット19を停止位置へ移動するためのモータ11の回転方向がナット19を上へ移動させる方向である場合には、モータ11を当該方向へ回転させてナット19を停止位置に停止させるので、停止時にはモータは当該方向へ回転してから停止する。一方、ナット19を停止位置へ移動するためのモータの回転方向がナット19を下へ移動させる方向である場合には、モータ11を当該方向へ回転させてナット19に停止位置を通過させ、さらに、モータ11を当該方向とは反対方向に回転させてナット19を停止位置に停止させるので、停止時にはモータ11は当該方向とは反対方向に回転してから停止する。従って、いずれの場合にも、モータ11は所定方向(ナット19を上へ移動させる方向)に回転されてから停止されるので、回転方向の変化によるバックラッシュは打ち消され、バックラッシュによる誤差をなくしてナット19を精密に位置決めできる。これにより、バックラッシュの影響を減少させて、高精度な流量制御が可能となった。
【0058】
また、ナット19の停止位置として、移動可能範囲の両端に位置する原点が含まれ、同様の制御方法でモータ11は所定方向に回転して停止される。これにより、原点にナット19を停止させるときにも、同様にバックラッシュによる誤差をなくすことができる。また、原点や調整限度点を検出するために、原点スイッチ25または調整限度点スイッチ26を設ければ、当接部材がその位置に到達したことを正確に検出することができる。一方、原点スイッチ25を設けた場合、そのスイッチの応差が発生するが、この点でも、モータ11を所定方向(ナット19を上へ移動させる方向)に回転して停止することが有効となる。すなわち、それらの原点へのナット19の移動が、モータ11の所定方向(ナット19を上へ移動させる方向)の回転であれば原点スイッチ25がナット19を検出しなくなったときにモータ11を停止する。あるいは、モータ11の所定方向(ナット19を上へ移動させる方向)の逆方向(ナット19を下へ移動させる方向)の回転であれば、原点スイッチ25がナット19を検出した後でモータ11が所定量回転したときにモータ11の回転を反転させ、原点スイッチ25がナット19を検出しなくなったときにモータ11を停止させる。このようにしてモータ11を所定方向(ナット19を上へ移動させる方向)に回転して停止することで、検出手段の応差を打ち消すことができる。また、ナット19を停止位置に停止させた後は、モータ11への通電を遮断するので、モータ11の発熱を防止し、制御流体の液温の上昇を防止することができる。
【0059】
さらに、本実施の形態の制御方法で制御される流量制御弁1では、原点スイッチ25によってナット19が原点に到達したことが検出される。また、原点スイッチ25がナット19を検出したときの操作信号値を、基準原点に対応する操作信号値と比較して、個体差値k1,k2として得ることができる。この個体差値によって基準曲線L1を補整すれば、ナット19の停止位置と操作信号との関係は、この補整された基準曲線に基づいて決定される。従って、バネのセット荷重のばらつきによる個体差を、個体差値k1,k2によって補整することができる。これにより、流量制御弁1の個体差による誤差を減少させて、高精度な流量制御が可能となる。流体の流出時間が短時間で、応答性の問題からフィードバック制御が困難であり、オープンループ制御を行う場合には、特に有効である。
【0060】
また、本実施の形態の流量制御弁1のモータ11は、2相励磁であるために、図12に示すように、2つのコイルV1,V2があり、それらのコイルV1,V2に流れる電流の向きr1,r2,r3,r4により、位相は、図13に示すように、4通りの組合せに分けることができる。すなわち、r1r3→r1r4→r2r4→r2r3→r1r3→…のように連続して位相を変えることにより、モータ11を回転させることができ、例えば、1ステップ動作させる場合には位相を1つ、2ステップ動作させる場合には位相を2つ、回転方向に応じてずらしていく。従って、図示されないコントローラは、ステップ数と位相により、ナット19の停止位置が原点に対して、どの位置にあるのかを把握することができる。この点、図示されないコントローラの記憶装置には、ステップ数と位相が記憶されており、再度電源が投入された場合でも、図14に示すように、ナット19の停止位置が原点に対して、どの位置にあるのかを把握することができる。
【0061】
また、ナット19を原点に復帰させる場合、図示されないコントローラは、モータ11を回転させる際には、ステップ数をカウントしており、カウントされたステップ数が所定値を越えた時には、使用者に警告を表示するとともに、モータ11の回転を停止させる(例えば、図15(b)のdからeが該当)。
【0062】
また、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、図示されないコントローラの記憶装置には、ステップ数と位相が記憶されており、再度電源が投入された場合でも、ナット19の停止位置が原点に対して、どの位置にあるのかを把握することができる。従って、再度電源を投入した場合でも、当該停止位置にナット19を停止させるようにモータ11を操作することができるので、移動可能範囲を超えて、ナット19ひいてはピストン22及びダイアフラム24の弁開停止位置を移動させるようなことは起こらない。また、図示されないコントローラの電源投入時の位相とモータ11の位相が同一になるため、図示されないコントローラの電源投入時の位相にまで、モータ11が動作することは起こらない。
【0063】
また、本実施の形態の流量制御弁1の制御方法では、ナット19を原点へ復帰する際には、モータ11を回転させて、この原点スイッチ25のON・OFFによって検出される原点位置へ移動する。この点、図示されないコントローラは、モータ11を回転させる際には、ステップ数をカウントしており、カウントされたステップ数が所定値を越えた時には、使用者に警告を表示するとともに、モータ11の回転を停止させている(図15(b)のdからeが該当)。従って、原点スイッチ25が機能しなくなっても、モータ11の回転を自動的に停止させることができる。
【0064】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の流量制御弁を示した断面図である。
【図2】原点スイッチ部分を示した図である。
【図3】本発明の流量制御弁の制御方法によるパイロット室の空気圧力の変化を示したグラフ図である。
【図4】本発明の流量制御弁の制御方法による操作信号と弁の開度との関係を示したグラフ図である。
【図5】従来の流量制御弁を示した断面図である。
【図6】従来の流量制御弁の制御方法によるパイロット室の空気圧力の変化を示したグラフ図である。
【図7】流量制御弁の特性を示したグラフ図である。
【図8】本発明の流量制御弁を示した断面図である。
【図9】原点スイッチ部分を示した図である。
【図10】本発明の流量制御弁の制御方法によるパイロット室の空気圧力の変化を示したグラフ図である。
【図11】本発明の流量制御弁の制御方法による操作信号と弁の開度との関係を示したグラフ図である。
【図12】本発明の流量制御弁のモータの構成を示した概略図である。
【図13】本発明の流量制御弁のモータの位相の組合せを示した図である。
【図14】本発明の流量制御弁において、再度電源が投入された際に、ナットの停止位置が原点に対して、どの位置にあるのかを把握することを示した概念図である。
【図15】本発明の制御弁において、ナットの原点復帰の際のナットの移動(モータの回転)について説明した図である。
【符号の説明】
【0066】
1 流量制御弁
11 モータ
19 ナット
20 復帰バネ
22 ピストン
24 ダイアフラム
25 原点スイッチ
26 調整限度点スイッチ
31 電空レギュレータ部
54 弁座
55 パイロット室
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンの先端に設けられた弁体がバネの付勢力により弁座に密接して閉状態となる一方、パイロット室内に供給した圧縮空気の圧力で前記ピストンを移動させることにより前記弁体が前記弁座から離間して開状態となり、さらに、モータの回転が減速変換手段によって当接部材の直線移動に変換されることにより、前記当接部材の停止位置と操作信号の関係を示す基準曲線に基づいて、前記当接部材が停止位置へ移動して停止されるように前記モータを操作し、前記ピストンが前記当接部材に突き当たることで前記弁体の弁開停止位置が決定されて流体の流量を調整する流量制御弁の制御方法において、
前記ピストンが、弁閉に到達したことをオンからオフになること又はオフからオンになることで検出する検出手段を設け、
前記検出手段がオンからオフになった又はオフからオンになったときの操作信号値と基準原点に対応する操作信号値との差を個体差値とし、
前記基準曲線を、前記個体差値によって補整することを特徴とする流量制御弁の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載する流量制御弁の制御方法において、
前記流量制御弁をオープンループ制御によって使用することを特徴とする流量制御弁の制御方法。
【請求項1】
ピストンの先端に設けられた弁体がバネの付勢力により弁座に密接して閉状態となる一方、パイロット室内に供給した圧縮空気の圧力で前記ピストンを移動させることにより前記弁体が前記弁座から離間して開状態となり、さらに、モータの回転が減速変換手段によって当接部材の直線移動に変換されることにより、前記当接部材の停止位置と操作信号の関係を示す基準曲線に基づいて、前記当接部材が停止位置へ移動して停止されるように前記モータを操作し、前記ピストンが前記当接部材に突き当たることで前記弁体の弁開停止位置が決定されて流体の流量を調整する流量制御弁の制御方法において、
前記ピストンが、弁閉に到達したことをオンからオフになること又はオフからオンになることで検出する検出手段を設け、
前記検出手段がオンからオフになった又はオフからオンになったときの操作信号値と基準原点に対応する操作信号値との差を個体差値とし、
前記基準曲線を、前記個体差値によって補整することを特徴とする流量制御弁の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載する流量制御弁の制御方法において、
前記流量制御弁をオープンループ制御によって使用することを特徴とする流量制御弁の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−278514(P2007−278514A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150286(P2007−150286)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【分割の表示】特願2002−371211(P2002−371211)の分割
【原出願日】平成14年12月24日(2002.12.24)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【分割の表示】特願2002−371211(P2002−371211)の分割
【原出願日】平成14年12月24日(2002.12.24)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
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