説明

消耗品管理装置、消耗品管理システム、消耗品管理方法および消耗品管理プログラム

【課題】印刷装置の消耗品の使用状態を正確に管理でき、消耗品の回収率を向上できること。
【解決手段】プリンタ102からネットワーク105を介し受信したステータス情報をトナーカートリッジ107毎に更新可能に記憶保持する管理情報DB112と、トナーカートリッジ107が回収された際に、トナーカートリッジ107の記憶素子に記憶されているステータス情報を読み取るステータス情報読取部113と、ステータス情報読取部113により読み取ったステータス情報と、管理情報DB112に記憶保持されているステータス情報とを対比してトナーカートリッジ107の回収状態を判断する消耗品情報管理部111とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遠隔地に設けられた顧客が保有する印刷装置の消耗品の使用状況を管理する消耗品管理装置、消耗品管理システム、消耗品管理方法および消耗品管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタや複写機等の印刷装置が使用する消耗品(例えば、トナーカートリッジや感光体ユニットなど)を廃棄する際には、地球環境保護のためメーカーなどにより回収が図られている。こうして回収された構成ユニットは、点検などを経て可能であれば再利用されている。このような消耗品の再利用を判断する際には、トナーカートリッジに残存しているトナーを廃棄して清掃し、トナーカートリッジの各部を点検している。そして必要に応じて部品の取り替えを行った後、任意の色のトナーを充填して再使用している。
【0003】
このトナーカートリッジには、情報を記憶保持可能なメモリ等の記憶素子を設けておき、トナーカートリッジ自体や、このトナーカートリッジを使用するプリンタ等の管理情報を記憶素子に記憶させ、内容物詰め替え時に、その記憶素子に記録された管理情報に基づいて内容物を詰め替えるようにした技術が開示されている(例えば、下記特許文献1参照。)。また、このトナー切れとなる時期を正確に予想し、交換を促す技術が開示されている(例えば、下記特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−322291号公報
【特許文献2】特開2001−228761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、消耗品であるトナーカートリッジを一意に識別するためにIDやシリアル番号を識別情報として利用しているが、これらの識別情報だけではプリンタごと(ユーザごと)の回収状況を精度よく把握することができず、回収率を向上できなかった。
【0006】
また、繰り返し再利用されるトナーカートリッジの回収率を正確に把握するためには、トナーカートリッジが外されてからそのトナーカートリッジが確実に回収されたことを確認することが必要となる。このトナーカートリッジは、必ずしも製造メーカーに返送されるとは限らず、周辺業者(サードパーティ)により回収されることがある。その際、トナーカートリッジのシリアル番号は、サードパーティにより消去・上書きされてしまうことがあるため、シリアル番号だけでトナーカートリッジを一意に識別することは困難である。
【0007】
さらに、トナーカートリッジのシリアル番号は、再利用される度に上書きされることもあるのでシリアル番号だけを識別情報として利用することはできない。このため、トナーカートリッジを一意に識別でき、精度よく回収状況を把握してトナーカートリッジの回収率を向上させて地球環境保護に寄与できる具体的な手段の提供が望まれていた。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、印刷装置の消耗品の使用状態を正確に管理でき、消耗品の回収率を向上できる消耗品管理装置、消耗品管理システム、消耗品管理方法および消耗品管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる消耗品管理装置は、印刷装置が使用する再利用可能な消耗品の回収状態を管理する消耗品管理装置において、前記印刷装置からネットワークを介して前記消耗品の使用状況を含むステータス情報を受信する受信手段と、前記ステータス情報を前記消耗品ごとに更新可能に記憶保持するステータス情報保持手段と、前記消耗品が回収された際に、当該消耗品の記憶素子に記憶されているステータス情報を読み取るステータス情報読取手段と、前記ステータス情報読取手段により読み取ったステータス情報と、前記ステータス情報保持手段に記憶保持されているステータス情報とを対比して前記消耗品の回収状態を判断する消耗品情報管理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、消耗品の記憶素子には、消耗品の使用状況を含むステータス情報が格納される。印刷装置は、消耗品が装着されている状態では、ネットワークを介してステータス情報を消耗品管理装置に送信する。消耗品管理装置は、消耗品の回収時に消耗品の記憶素子に記憶されているステータス情報と、予め格納されているステータス情報とを対比するだけで消耗品の回収状態を判断でき、回収状態を正確に管理できる。
【0011】
また、この発明の消耗品管理装置では、前記消耗品情報管理手段は、前記ステータス情報読取手段により読み取ったステータス情報と、前記ステータス情報保持手段に記憶保持されているステータス情報のそれぞれの項目の値が一致したときに正常な回収であると判断し、前記項目の値が不一致のときには正常な回収ではないと判断することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、正常な回収であれば、印刷装置から消耗品が取り外されたときのステータス情報と、ステータス情報保持手段に記憶保持されているステータス情報のそれぞれの項目の値が一致し、正常な回収であると判断することができる。一致しなければ正常な回収ではないと判断することができ、回収状態を正確に管理できる。
【0013】
また、この発明にかかる消耗品管理装置では、前記消耗品情報管理手段は、前記ステータス情報保持手段に格納された前記ステータス情報が所定期間を超えて更新されなかったときに、前記消耗品の回収を要求する処理を実行することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、印刷装置から消耗品が取り外されている期間が長いときには、消耗品の回収を要求して回収率を向上できるようになる。
【0015】
また、この発明にかかる消耗品管理装置では、前記消耗品情報管理手段は、前記消耗品の回収状態および回収の要求を、前記消耗品を保有する顧客に対して通知することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、消耗品を保有する顧客に対して消耗品の回収状態および回収の要求を通知することができ、回収率を向上できるようになる。
【0017】
また、この発明にかかる消耗品管理システムは、プリンタと、印刷装置が使用する再利用可能な消耗品の回収状態を管理する消耗品管理装置とがネットワークを介して接続されてなる消耗品管理システムであって、前記印刷装置は、前記消耗品が取り外されるごとに前記ステータス情報をネットワークを介して送信するとともに、当該消耗品に設けられた記憶素子にステータス情報を記憶させる制御手段を備え、前記消耗品管理装置は、前記印刷装置からネットワークを介して前記消耗品の使用状況を含むステータス情報を受信する受信手段と、前記ステータス情報を前記消耗品ごとに更新可能に記憶保持するステータス情報保持手段と、前記消耗品が回収された際に、当該消耗品の記憶素子に記憶されているステータス情報を読み取るステータス情報読取手段と、前記ステータス情報読取手段により読み取ったステータス情報と、前記ステータス情報保持手段に記憶保持されているステータス情報とを対比して前記消耗品の回収状態を判断する消耗品情報管理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、消耗品の記憶素子には、消耗品の使用状況を含むステータス情報が格納される。印刷装置は、消耗品が取り外されたごとにネットワークを介してステータス情報を消耗品管理装置に送信する。消耗品管理装置は、消耗品の回収時に消耗品の記憶素子に記憶されているステータス情報と、予め格納されているステータス情報とを対比するだけで消耗品の回収状態を判断でき、回収状態を正確に管理できる。通常、印刷装置から取り外され、そのまま回収されることになるため、消耗品の記憶素子に記憶されるステータス情報と、ステータス情報保持手段に記憶保持されているステータス情報とが一致するため、正規の回収であると判断でき、不一致時には、正規以外の回収であると判断することができる。
【0019】
また、この発明にかかる消耗品管理システムでは、前記消耗品の記憶素子は、不揮発性のメモリで構成され、制御手段は、前記印刷装置が電源オフされたときには、前記記憶素子に前記ステータス情報を記憶させることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、印刷装置が電源オフされたときに印刷装置による消耗品の使用状態をステータス情報として記憶素子に記憶させることができ、印刷装置の電源オフのときに消耗品が印刷装置から取り外されてそのまま回収されたときであっても正確な回収判断を行うことができる。
【0021】
また、この発明にかかる消耗品管理システムでは、前記印刷装置の前記制御手段は、前記消耗品が装着される都度、当該消耗品の使用情報を前記ステータス情報に含ませて送信し、前記消耗品管理装置の前記消耗品管理手段は、受信した前記ステータス情報に基づいて消耗品が他の複数の前記印刷装置に装着された旨の情報を前記ステータス情報保持手段に格納することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、消耗品が複数台の印刷装置で使用されたときであっても、この使用状態を含めてステータス情報保持手段に格納することができ、消耗品の回収判断を正確に行うことができる。
【0023】
また、この発明にかかる消耗品管理方法は、印刷装置が使用する再利用可能な消耗品の回収状態を管理する、コンピュータを用いて実行する消耗品管理方法において、前記印刷装置からネットワークを介して前記消耗品の使用状況を含むステータス情報をステータス情報受信部により受信する受信工程と、前記ステータス情報の受信ごとに、前記消耗品の使用状況をステータス情報記憶部に更新可能に記憶する記憶工程と、前記消耗品が回収された際に、当該消耗品の記憶素子に記憶されているステータス情報をステータス情報読取部により読み取るステータス情報読取工程と、前記ステータス情報読取工程により読み取ったステータス情報と、前記記憶工程により記憶保持されているステータス情報とを消耗品情報管理部により対比し対比判定を行う対比判定工程と、を含むことを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、消耗品の記憶素子には、消耗品の使用状況を含むステータス情報が格納される。印刷装置からは、消耗品が装着されている状態でネットワークを介してステータス情報を受信する。消耗品の回収時には、消耗品の記憶素子に記憶されているステータス情報と、予め格納されているステータス情報とを対比するだけで消耗品の回収状態を判断でき、回収状態を正確に管理できる。
【0025】
また、この発明にかかる消耗品管理方法では、前記消耗品情報管理工程は、前記ステータス情報読取工程により読み取ったステータス情報と、記憶保持されているステータス情報のそれぞれの項目の値が一致したときに正常な回収であると判断し、前記項目の値が不一致のときには正常な回収ではないと判断することを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、正常な回収であれば、印刷装置から消耗品が取り外されたときのステータス情報と、ステータス情報保持手段に記憶保持されているステータス情報のそれぞれの項目の値が一致し、正常な回収であると判断することができる。一致しなければ正常な回収ではないと判断することができ、回収状態を正確に管理できる。
【0027】
また、この発明にかかる消耗品管理プログラムは、上述した消耗品管理方法を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、コンピュータを用いて上述した消耗品管理の方法を実行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる消耗品管理装置、消耗品管理システム、消耗品管理方法および消耗品管理プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
(実施の形態)
(消耗品管理システムの全体構成)
まず、この発明の実施の形態にかかる消耗品管理システムの全体構成について説明する。プリンタは、消耗品の消耗状態とプリンタの動作状態をステータス情報として保持している。このステータス情報を管理センタが取得して、プリンタの消耗品の管理サービスを行う例について説明する。
【0031】
図1は、この発明による消耗品管理システム全体を示すブロック図である。顧客には、顧客システム100としてパーソナルコンピュータ(PC)101、および印刷装置としてのプリンタ102が設置されている。PC101は、ネットワークカード(NIC)101cを介してLAN等のネットワーク104に接続されている。このPC101は、文字、画像等の印刷データをプリンタ102に出力し、プリンタ102は、この印刷データを記録紙に印刷する。この印刷には、消耗品であるインク、トナー等の記録材を用いる。
【0032】
プリンタ102としては、レーザビームプリンタやインクジェットプリンタの他に、スキャナとプリンタ機能を有する複合機等が用いられる。このプリンタ102は、ネットワークカード(NIC)103を介してLAN等のネットワーク104に接続されている。これらネットワーク104は、不図示のプロキシサーバ等を介してインターネット等の外部のネットワーク105に接続されている。
【0033】
プリンタ102内部には、消耗品である印刷用の記録材(トナーあるいはインク)を収容した記録材収容カートリッジ(以下、トナーカートリッジと称す)107が着脱自在に設けられている。このトナーカートリッジ107は、収容している記録材(トナーやインク)の残量がなくなったときに、指定されている回収先に送付する。回収先では、再度、記録材を補充して顧客(プリンタ102)あてに返送するようになっている。図示の例では、便宜上、トナーカートリッジ107を回収する回収先を管理センタ110とした。プリンタ102の動作状態と、消耗品の使用状態等は、ステータス情報としてプリンタ102が履歴を保持している。後述するが、このステータス情報は、トナーカートリッジ107に設けられた記憶素子にも記録されるようになっている。
【0034】
不図示であるが、このような顧客システム100は、顧客ごとに設けられており、図示しない複数の顧客システム100が同様にネットワーク105に接続されている。そして、各顧客システム100は、ネットワーク105を介して管理センタ110の消耗品情報管理部111に接続されている。この消耗品情報管理部111はサーバとして機能する。消耗品情報管理部111には、回収されたトナーカートリッジ107に記録されたステータス情報を読み取るステータス情報読取部113が接続されている。消耗品情報管理部111は、ステータス情報読取部113によって読み取ったステータス情報と、ネットワーク105を介して受信したステータス情報と、に基づいて各顧客システム100に設けられたプリンタ102の動作状態と、消耗品の使用状態を取得し、管理する。この消耗品情報管理部111は、管理情報データベース(DB)112を備えている。この管理情報データベース112については後述する。
【0035】
プリンタ102は、通常の印刷実行時における動作状態、例えば、プリンタの稼働時間、印刷枚数、消耗品の情報(例えばトナーの残量や回収回数等)をステータス情報として履歴を記録する。このステータス情報としては、印刷異常の発生時におけるエラー情報も含まれる。
【0036】
上記の構成例では、プリンタ102がステータス情報を管理センタ110に送信する構成としたが、これに限らず、プリンタ102が履歴として保持したステータス情報をPC101がネットワーク105を介して管理センタ110に送信する構成にもできる。
【0037】
管理センタ110に設けられる消耗品情報管理部111は、トナーカートリッジ107の回収により、あるいは、ネットワーク105を介して直接プリンタ102により、プリンタ102のステータス情報を取得する。そして、取得したステータス情報に含まれる消耗品の情報に基づいて顧客システム100のプリンタ102について、回収率の向上に関連する処理を実行する。
【0038】
(消耗品情報管理部のハードウェア構成)
次に、図1に示した消耗品情報管理部111のハードウェア構成について説明する。
【0039】
図2は、この発明の実施の形態にかかる消耗品情報管理部のハードウェア構成を示すブロック図である。図2において、消耗品情報管理部111は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、HDD(ハードディスクドライブ)204と、HD(ハードディスク)205と、FDD(フレキシブルディスクドライブ)206と、着脱可能な記録媒体の一例としてのFD(フレキシブルディスク)207と、ディスプレイ208と、I/F(インターフェース)209と、キーボード211と、マウス212と、スキャナ213と、プリンタ214と、ディスクドライブ216を備えている。また、各構成部はバス200によってそれぞれ接続されている。
【0040】
ここで、CPU201は、消耗品情報管理部111の全体の制御を司る。ROM202は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。HDD204は、CPU201の制御にしたがってHD205に対するデータのリード/ライトを制御する。HD205は、HDD204の制御で書き込まれたデータを記憶したり、HD205に記憶されたデータを消耗品情報管理部111に読み取らせたりする。
【0041】
FDD206は、CPU201の制御にしたがってFD207に対するデータのリード/ライトを制御する。FD207は、FDD206の制御で書き込まれたデータを記憶したり、FD207に記憶されたデータを消耗品情報管理部111に読み取らせたりする。
【0042】
また、着脱可能な記録媒体としては、FD207のほか、CD−ROM(CD−R、CD−RW)、MO、メモリカードなどであってもよい。ディスプレイ208は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。このディスプレイ208は、例えば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
【0043】
I/F209は、通信回線210を通じてインターネットなどのネットワーク105に接続され、このネットワーク105を介して他の装置に接続される。そして、I/F209は、ネットワーク105と内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。I/F209には、例えばモデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0044】
キーボード211は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを備え、データの入力を行う。また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。マウス212は、カーソルの移動や範囲選択、あるいはウィンドウの移動やサイズの変更などを行う。ポインティングデバイスとして同様に機能を備えるものであれば、トラックボールやジョイスティックなどであってもよい。
【0045】
スキャナ213は、画像を光学的に読み取り、消耗品情報管理部111内に画像データを取り込む。なお、スキャナ213は、OCR機能を持たせてもよい。また、プリンタ214は、画像データや文書データを印刷する。プリンタ214には、例えば、レーザプリンタやインクジェットプリンタを採用することができる。ディスクドライブ216は、CPU201の制御にしたがって、着脱可能な記録媒体であるCD/DVDディスク215に対するデータのリードを制御する。
【0046】
(プリンタの構成について)
図3は、プリンタの構成を示すブロック図である。プリンタ102は、主として制御手段(コントローラ)301、操作パネル305、可動接続部309と、トナーカートリッジ107を備えている。コントローラ301は、周知のCPU312,ROM313,RAM314などを備えている。操作パネル305は、各種情報をディスプレイに表示する表示部316と、ボタン操作またはパネルタッチにより各種情報をコントローラ301に入力可能な操作部317とを備えたパネルである。
【0047】
可動接続部309は、トナーカートリッジ107に一体化された記憶素子320と電気的に接続される位置と、電気的に接続されない位置のいずれかに位置決めされる。プリンタ102内部にトナーカートリッジ107が収容され、トナーカートリッジ107の可動接続部309が記憶素子320と電気的に接続される位置にあるとき、コントローラ301は可動接続部309を介して記憶素子320にアクセス可能となっている。
【0048】
図4は、記録材収容カートリッジを示す斜視図である。このトナーカートリッジ107の側面には、記憶素子320が設けられている。この記憶素子320は、図示のように収納部401内部に設けられるものであり、例えば電源供給がない状態でも記憶内容を保持可能な不揮発性メモリ等により構成されている。トナーカートリッジ107は、プリンタ102に対して装着あるいは取り外し可能である。
【0049】
図5は、プリンタのコントローラの内部構成を示すブロック図である。図3に記載したコントローラ301に設けられたCPU312が実行する機能を記載している。トナーカートリッジ107は、可動接続部309を介してコントローラ301に電気的に接続される。装着検出部501は、トナーカートリッジ107の装着状態を検出する。この装着検出部501は、トナーカートリッジ107が装着されたときには、トナーカートリッジ107の記憶素子320に記憶されているステータス情報を読み出し、ステータス情報収集部502に出力する。また、装着検出部501がトナーカートリッジ107の取り外しを検出したときには、取り外されたことを示す情報をステータス情報収集部502に出力する。
【0050】
ステータス情報収集部502は、トナーカートリッジ107の装着時には、入力されるステータス情報をRAM314に書き込み保持する。トナーカートリッジ107の取り外し時、およびプリンタ102の電源オフ時には、RAM314に保持されているステータス情報をトナーカートリッジ107の記憶素子320に書き込む。ステータス情報書込部503は、トナーカートリッジ107が取り外されたとき、可動接続部309がトナーカートリッジ107に電気的に接続している期間内にステータス情報を記憶素子320に書き込む処理を行う。なお、プリンタ102に設けられている不図示の電源部は、プリンタ102の電源がオフになっても、ステータス情報を記憶素子320に書き込む時間相当は、この書き込みを継続させるために電源供給を維持する構成となっている。
【0051】
ステータス情報収集部502は、トナーカートリッジ107が装着、あるいは取り外されるごとにRAM314に保持されているステータス情報を送信部510に出力する。送信部510は、NIC103(図1参照)およびネットワーク104,105を介してステータス情報を管理センタ110に送信する。
【0052】
図6−1は、トナーカートリッジの記憶素子に記憶されるステータス情報を示す図表である。プリンタ102のコントローラ301は、プリンタ102の動作状態や、トナーカートリッジ107の装着状態を監視して、以下に示すステータス情報600の各情報を生成する。記憶素子320に記憶されるステータス情報600は、プリンタ情報601と、トナー情報602と、装着履歴情報603等からなる。このステータス情報600は、プリンタ102のRAM314に保持されているが、上述したように、トナーカートリッジ107の記憶素子320にも同じ内容が記憶されるようになっている。
【0053】
図6−2は、ステータス情報の詳細を示す図表である。図6−1に示すステータス情報600のうち、プリンタ情報601は、トナーカートリッジ107が装着されるプリンタ102の本体情報(例えばシリアルNo)601aと、プリンタ102による累積印刷ページ数601bと、プリンタ102の稼働中に生じた各種のエラーメッセージ601c等からなる。エラーメッセージ601cは、最新分の固定数(例えば10個)が格納されるようになっている。
【0054】
トナー情報602は、トナーカートリッジ107自身の情報である。収容されているトナー色602aと、トナー充填時におけるトナーの充填量である初期トナー量602bと、現在のトナー残量602cと、このトナーカートリッジ107の使用時間602dと、プリンタ102が各色に使用した累計のトナー本数であるトナーカートリッジの使用本数602eと、トナーカートリッジ107の製造時に設定される固有識別コード602f等からなる。
【0055】
装着履歴情報603は、このトナーカートリッジ107がプリンタ102に装着された回数(装着回数か取り外し回数、あるいは装着および取り外された合計の回数)603aと、プリンタ102に最初に装着された日時603bと、最後に取り外された日時603c等からなる。
【0056】
(管理センタの構成について)
図7は、管理センタの内部構成を示すブロック図である。プリンタ102からネットワーク105を経由して送信されたステータス情報600は、受信部701を介して受信され消耗品情報管理部111に出力される。また、回収されたトナーカートリッジ107の記憶素子320に記憶されているステータス情報600は、ステータス情報読取部113によって読み取られ、消耗品情報管理部111に出力される。
【0057】
消耗品情報管理部111は、プリンタ検出部711と、消耗品情報検出部712と、トナー使用状態判別部713と、回収処理部714とを備えている。管理情報データベース(DB)112には、プリンタ102ごとのステータス情報600が消耗品情報800(図8参照)の一部として格納されるようになっている。そして、この消耗品情報管理部111は、管理情報データベース(DB)112にアクセスして、入力されたステータス情報600に対応するプリンタ102の消耗品情報800を更新し、必要に応じて回収の指示を行う。消耗品とは上記トナーカートリッジ107を指している。
【0058】
プリンタ検出部711は、プリンタ102ごとに入力されたステータス情報600に該当するプリンタ102を管理情報データベース(DB)112の消耗品情報800から検出する。新たなプリンタ102のステータス情報600が入力されたときには、新たなプリンタ102の消耗品情報800のフィールドを作成する。消耗品情報検出部712は、プリンタ検出部711によって検出されたプリンタ102に関して、消耗品情報800のなかからトナーの消耗状態に関する情報を検出する。トナー使用状態判別部713は、消耗品情報検出部712によって検出された情報のなかからトナーの使用状態を判別し、判別結果を回収処理部714に出力する。回収処理部714は、トナー使用状態判別部713による判別結果に応じた処理、例えば、回収結果や、回収依頼等の通知処理を行う。回収処理部714は、これら通知処理のデータを、通信部721およびネットワーク105を介してプリンタ102を保有する顧客のメールアドレスあてに送信する。これに限らず、不図示のプリンタにより通知処理のデータを印刷出力し、プリンタ102を保有する顧客の住所に郵送で通知する構成にもできる。
【0059】
図8は、管理情報データベースに記憶される消耗品情報を示す図表である。図示のように、消耗品情報800は、消耗品であるトナーカートリッジ107ごとの情報801a〜801nとして格納されるようになっている。あるトナーカートリッジA(107)の情報801aは、トナーカートリッジA(107)を保有する顧客の顧客情報811と、プリンタ情報821と、トナー情報822と、装着履歴情報823と、回収情報831からなる。
【0060】
顧客情報811は、プリンタ102を保有する顧客の個人情報、例えば、住所、氏名、電話番号、メールアドレス等からなり、回収処理部714による通知処理を行うための情報として用いられる。プリンタ情報821と、トナー情報822と、装着履歴情報823は、それぞれ図6−2に示したステータス情報600を格納して構成されている。便宜上、各項目は、図6−2に示した符号番号と同一の符号番号を附してある。回収情報831は、トナーカートリッジA(107)の回収状態、例えば正常に回収されれば正常回収済み、トナーカートリッジA(107)の異常時等には回収不能、と記録される。また、回収メッセージの送信の有無および送信内容別の識別子が格納される。
【0061】
管理情報データベース112に格納されるプリンタ情報821と、トナー情報822と、装着履歴情報823は、ネットワーク105を介して新たなステータス情報600を受信したとき、およびトナーカートリッジ107が回収されて、トナーカートリッジ107のステータス情報600がステータス情報読取部113により読み取られたとき、にそれぞれ更新される。
【0062】
図9は、ステータス情報の更新例を示すタイミングチャートである。トナーカートリッジ107は、単一のプリンタ102において使用されるに限らず、トナー切れとなった他のプリンタ102に装着される等して、他のプリンタ102で使用されることもある。図9では、トナーカートリッジA(107)を2台のプリンタ(プリンタA,プリンタB)で使用したときに各プリンタが実行するステータス情報600の送信タイミング例を記載してある。
【0063】
まず、新しいトナーカートリッジA(107)がプリンタAに初めて装着されると(ステップS901)、プリンタA(102)はトナーカートリッジA(107)を用いた印刷が実行可能となる。印刷の実行に伴い、プリンタA(102)のコントローラ301(図3参照)は、ステータス情報600の履歴を記録する(ステップS902)。このステータス情報600の履歴はRAM314に格納される。なお、RAM314に格納されたステータス情報600は、プリンタA(102)の電源がオフになる都度、トナーカートリッジA(107)の記憶素子320に記憶されるようになっている。
【0064】
この後、プリンタA(102)からトナーカートリッジA(107)の取り外しが行われると、装着検出部501(図5参照)は、トナーカートリッジA(107)の取り外しを検出する(ステップS903)。この取り外しの検出により、プリンタA(102)のコントローラ301は、RAM314に格納されたステータス情報600を記憶素子320に書き込む(ステップS904)。また、コントローラ301は、ステータス情報600をネットワーク105を介して管理センタ110に送信する(ステップS905)。管理センタ110は、管理情報データベース(DB)112におけるトナーカートリッジA(107)の情報801a内にプリンタA(102)のプリンタ情報821を生成する。取り外しの検出は、プリンタA(102)に設けられたトナーカートリッジA(107)のカバーが開けられたときに行うとしてもよい。この場合、カバーが開けられてからトナーカートリッジA(107)が取り外されるまでの期間に、ステータス情報600を記憶素子320に書き込むことができる。
【0065】
この後、プリンタA(102)から取り外されたトナーカートリッジA(107)がプリンタB(102)に装着されると(ステップS911)、プリンタB(102)はトナーカートリッジA(107)を用いた印刷が実行可能となる。印刷の実行に伴い、プリンタB(102)のコントローラ301(図3参照)は、ステータス情報600の履歴を記録する(ステップS912)。このステータス情報600の履歴はRAM314に格納される。なお、RAM314に格納されたステータス情報600は、プリンタB(102)の電源がオフになる都度、トナーカートリッジA(107)の記憶素子320に記憶されるようになっている。
【0066】
この後、プリンタB(102)からトナーカートリッジA(107)の取り外しが行われると、装着検出部501(図5参照)は、トナーカートリッジA(107)の取り外しを検出する(ステップS913)。この取り外しの検出により、プリンタB(102)のコントローラ301は、RAM314に格納されたステータス情報600を記憶素子320に書き込む(ステップS914)。また、コントローラ301は、ステータス情報600をネットワーク105を介して管理センタ110に送信する(ステップS915)。管理センタ110は、管理情報データベース(DB)112におけるトナーカートリッジA(107)の情報801a内にプリンタB(102)のプリンタ情報821を新たに生成する。
【0067】
以上のように、トナーカートリッジ107が複数のプリンタ102間で使用されたときには、トナーカートリッジ107を使用したプリンタ102がそれぞれステータス情報600を管理センタ110に送信するようになっている。管理センタ110は、トナーカートリッジ107が他のプリンタ107で使用される都度、管理情報データベース(DB)112において新たなプリンタ102でトナーカートリッジ107が使用された旨を記録していく。
【0068】
(管理センタにおける消耗品管理処理について)
図10は、管理センタがステータス情報を受信したときの処理を示すフローチャートである。上述したように、プリンタ102は、装着されているカートリッジ107が取り外されたり、プリンタ102の電源がオフされた都度、ネットワーク105を介してステータス情報600を管理センタ110に送信する。
【0069】
管理センタ110(図7参照)は、ネットワーク105を介してプリンタ102からのステータス情報600の受信を待機する(ステップS1001:Noのループ)。ここで、プリンタ102からネットワーク105を経由して受信したステータス情報600をステータス情報aとする。ステータス情報aを受信すると(ステップS1001:Yes)、受信したステータス情報aを、管理情報データベース(DB)112を構成している消耗品情報800の情報の一部として格納する(ステップS1002)。
【0070】
この後、管理センタ110の消耗品情報管理部111は、トナーカートリッジ107の使用状態を検出し、トナーカートリッジ107が回収される以前の時期において必要な各種処理を以下のように実行する。
【0071】
例えば、トナー使用状態判別部713は、ステータス情報aに含まれるトナー残量602c(図6−2参照)を検出して、トナー残量が少ないか判断する(ステップS1003)。トナー使用状態判別部713は、トナー残量602cを、予め設定されたトナー残量の閾値と比較する。トナー残量602cが閾値を下回るときには、トナーの残量が少ないと判断する(ステップS1003:Yes)。この場合、回収処理部714は、トナーカートリッジ107(プリンタ102)の顧客に対して回収メッセージを通知する(ステップS1004)。トナー残量602cが閾値を上回るときには、トナーの残量が十分と判断し(ステップS1003:No)、ステップS1004を実行せずステップS1005に移行する。
【0072】
また、プリンタ検出部711は、トナーカートリッジ107が新しいプリンタ102へ装着されたかを検出する(ステップS1005)。トナーカートリッジ107が新しいプリンタ102へ装着されたときには(ステップS1005:Yes)、上述したように、管理情報データベース(DB)112に、新たなプリンタ102でトナーカートリッジ107が装着された旨を記録し(ステップS1006)、処理を終了する。
【0073】
また、トナー使用状態判別部713は、トナーカートリッジ107が新しいプリンタ102へ装着されておらず(ステップS1005:No)、かつ、予め設定された設定期間を超えてもトナーカートリッジ107が回収されていないときには(ステップS1007:Yes)、トナーカートリッジ107の回収メッセージを通知する(ステップS1008)。なお、予め設定された設定期間内にトナーカートリッジ107が回収されたときには(ステップS1007:No)、ステップS1008を実行せず、処理を終了する。
【0074】
ステップS1004およびステップS1008における回収メッセージの通知は、回収処理部714が実行する。回収処理部714は、上述したように、通信部721およびネットワーク105を介してプリンタ102を保有する顧客のメールアドレスあてに送信する。また、不図示のプリンタにより通知処理のデータを印刷出力し、プリンタ102を保有する顧客の住所に郵送で通知することもできる。
【0075】
消耗品情報管理部111は、ステップS1007における設定期間として、トナーカートリッジ107がプリンタ102から最後に取り外された日時603c(図8参照)に、トナーカートリッジ107の回収に要する日数の平均の値を加えた期間を用いることができる。この場合、トナーカートリッジ107が取り外された後は、トナーカートリッジ107の回収に要する日数が経過すると、回収メッセージが通知されることになる。
【0076】
また、消耗品情報管理部111は、ステップS1007における設定期間を予測する構成にもできる。トナー使用状態判別部713は、新たなトナーカートリッジ107がプリンタ102に装着されてからトナー残量がなくなるまでの期間および日時を予測する残量予測を行う構成にもできる。具体的には、消耗品情報800(図8参照)の装着履歴情報603における最初に装着された日時603bを基準として累積印刷ページ数601bをトナー使用量に換算して行う。トナー使用量の推移によってトナー残量がなくなる日時を予測することができる。この予測は、トナーカートリッジ107が取り外されている期間を除くことにより予測精度を向上させることができる。プリンタ102は、トナーカートリッジ107が装着される都度、装着回数603aを回数加算し、最後に取り外された日時603c以降、装着回数603aが加算されるまでの期間は、トナー使用量の変化を停止させる処理を行えばよい。
【0077】
また、1台のプリンタ102が予備のトナーカートリッジ107を有しており、2個以上のトナーカートリッジ107を交互に使用する形態も考えられる。この場合、図8に示したプリンタ情報821のプリンタ本体情報601aが複数生成されることになる。トナー使用状態判別部713は、プリンタ本体情報601aが複数あるときには、プリンタ本体情報601aの生成個数に対応した期間を加えた値を設定期間にすることができる。
【0078】
図11は、トナーカートリッジの回収メッセージの通知内容を示す図である。図10に示したステップS1004およびステップS1008における回収メッセージの具体例を示した。回収処理部714は、図11に示す回収メッセージ1101をトナーカートリッジ107(プリンタ102)の顧客に通知する。図示の例は、電子メールの本文に記載する回収メッセージ1101である。なお、ステップS1004における回収メッセージの通知は、トナー残量が少ないもののまだトナー残量があり、トナーカートリッジ107が使用できる状態であるため、「もうじきトナーがなくなります」等のメッセージを添えてもよい。
【0079】
また、ステップS1008における回収メッセージの通知は、設定期間を超えてもまだ回収されない状態であるため、トナーカートリッジ107が放置されているか、あるいは正規の回収先(管理センタ110)以外の業者に回収された可能性があるため、「不要なトナーカートリッジは無料で回収します」、「放置されたトナーカートリッジはありませんか?」、「トナーカートリッジは正規の回収先に返送して下さるようお願いします」等のメッセージを添えてもよい。
【0080】
図12は、管理センタがトナーカートリッジを回収したときの処理を示すフローチャートである。図7に示す管理センタ110がトナーカートリッジ107を回収する。これにより、ステータス情報読取部113は、トナーカートリッジ107の記憶素子320に記憶されているステータス情報600を読み取る(ステップS1201)。ここで、回収したトナーカートリッジ107から読み取ったステータス情報600をステータス情報bとする。このステータス情報bは、プリンタ情報601と、トナー情報602と、装着履歴情報603を構成している各項目からなる(図6−2参照)。
【0081】
次に、消耗品情報管理部111は、回収したトナーカートリッジ107について、回収前に管理情報データベース(DB)112に格納されている消耗品情報800のなかから対応するステータス情報aを読み出す(ステップS1202)。このステータス情報aは、ステータス情報bと同一の項目であり、プリンタ情報800の一部を構成しているプリンタ情報821と、トナー情報822と、装着履歴情報823を構成している各項目からなる(図8参照)。
【0082】
そして、トナー使用状態判別部713は、ステータス情報aと、ステータス情報bの値の一致(a=b)を判断する(ステップS1203)。ステータス情報aと、ステータス情報bの値が一致すれば(ステップS1203:Yes)、トナーカートリッジ107が正常に回収されたものと判断し、正常回収時処理を実行し(ステップS1204)、処理を終了する。一方、ステータス情報aと、ステータス情報bの値が不一致であれば(ステップS1203:No)、トナーカートリッジ107の回収が異常であるものと判断し、異常回収時処理を実行し(ステップS1205)、処理を終了する。
【0083】
通常であれば、トナー残量がなくなったトナーカートリッジ107は、プリンタ102から取り外された後、そのままの状態で管理センタ110に回収されることになる。この場合、トナーカートリッジ107の記憶素子320に記憶されているステータス情報aは、プリンタ102からトナーカートリッジ107を取り外したときの値が格納されている。したがって、そのままこのトナーカートリッジ107を回収して記憶素子320から読み取ったステータス情報bの値は、ステータス情報aの値と全ての項目が一致する。したがって、ステップS1204における正常回収時処理では、トナーカートリッジ107が正常に(正規に)回収できたものと判断する。対応して回収情報831(図8参照)に「正常回収済み」と記録する。
【0084】
一方、プリンタ102からトナーカートリッジ107を取り外した後に、正規以外の他の回収業者にこのトナーカートリッジ107が回収されたときには、ステータス情報aの内容が書き換えられることになる。例えば、ステータス情報aの全ての項目の値が消去されたり、一部の項目の値が書き換えられたりする。少なくともトナーの再充填によってトナー残量602cが書き換えられる。印刷装置102は、トナー残量602cの値に基づいて印刷動作を実行するためである。したがって、ステップS1203の判断では、ステータス情報aの値と、ステータス情報bの値は、一部の項目に不一致が生じる。ステップS1205における異常回収時処理では、トナーカートリッジ107が異常(不正な)回収処理が施されたものと判断する。対応して回収情報831(図8参照)に「異常回収」と記録する。
【0085】
なお、同一のプリンタ102で複数のトナーカートリッジ107を使用したときには、ステータス情報600の各項目は、複数のトナーカートリッジ107で同一の情報が保持されることになる。しかし、プリンタ本体情報601aと、トナーカートリッジ使用本数602eの組み合わせを用いれば、トナーカートリッジ107を一意に識別することができる。
【0086】
図13−1は、トナーカートリッジの正常回収時における通知メッセージを示す図である。正常回収時には、図示のように、正規の回収を推奨する通知メッセージ1301とともに、割引等の優待内容を記載した回収メッセージを顧客あてに通知する。この通知メッセージ1301は、回収処理部714(図7参照)が電子メールあるいは郵送等で顧客に通知する。これにより、顧客に対して正規の回収による利便性を通知できるようになる。
【0087】
図13−2は、トナーカートリッジの異常回収時における通知メッセージを示す図である。サードパーティ等の回収業者によって回収されたトナーカートリッジ107は、再充填されたトナーが純正品ではないため、プリンタ102の故障等の不具合を発生させる恐れがある。ステップS1205における異常回収時処理では、図示のように、純正品のトナーカートリッジ107の使用を通知するメッセージや、正規の回収先にトナーカートリッジ107を回収依頼することを促すメッセージを顧客あてに通知する。これにより、純正品以外の使用に対する注意喚起を通知できるようになる。
【0088】
なお、これら図13−1に示した通知メッセージ1301、および図13−2に示した通知メッセージ1302は、回収処理部714(図7参照)が電子メールあるいは郵送等で顧客に通知する。同時に、回収情報831(図8参照)には、実際に通知した各通知メッセージに該当する識別子が記録される。
【0089】
以上説明した実施の形態によれば、プリンタ102の消耗品であるトナーカートリッジ107がプリンタ102から取り外されるごとに、ステータス情報を管理センタ110に送信し、管理情報データベース112に記憶保持される。トナーカートリッジ107の回収時、管理センタ110のステータス情報読取部113が読み取るステータス情報は、プリンタ102からトナーカートリッジ107を取り外した状態のときに送信したステータス情報と同じことになるため、相互を対比させるだけで回収状態を正確に判断することができる。一方、相互の対比結果が不一致のときには、正常な回収ではないと判断できるようになる。例えば、不良トナーであると判断できるようになる。このように、トナーカートリッジ107の取り外し時や回収時等の時期のステータス情報を用いてトナーカートリッジ107の消耗状態や、回収状態を正確に判断できるようになる。これにより、トナーカートリッジ107の回収率を向上させることができるようになる。
【0090】
なお、上記の各実施の形態で説明した消耗品管理にかかる方法は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】消耗品管理システム全体を示すブロック図。
【図2】消耗品情報管理部のハードウェア構成を示すブロック図。
【図3】プリンタの構成を示すブロック図。
【図4】記録材収容カートリッジを示す斜視図。
【図5】プリンタのコントローラの内部構成を示すブロック図。
【図6−1】トナーカートリッジの記憶素子のステータス情報を示す図表。
【図6−2】ステータス情報の詳細を示す図表。
【図7】管理センタの内部構成を示すブロック図。
【図8】管理情報データベースに記憶される消耗品情報を示す図表。
【図9】ステータス情報の更新例を示すタイミングチャート。
【図10】管理センタがステータス情報を受信して行う処理のフローチャート。
【図11】トナーカートリッジの回収メッセージの通知内容を示す図。
【図12】管理センタがトナーカートリッジを回収して行う処理フローチャート。
【図13−1】トナーカートリッジの正常回収時における通知メッセージの図。
【図13−2】トナーカートリッジの異常回収時における通知メッセージの図。
【符号の説明】
【0092】
100 顧客システム、101パーソナルコンピュータ(PC)、101c,103 ネットワークカード(NIC)、102 プリンタ、104,105 ネットワーク、107 記録材収容カートリッジ(トナーカートリッジ)、110 管理センタ、111 消耗品情報管理部、112 管理情報データベース(DB)、113 ステータス情報読取部、301 コントローラ、320 記憶素子、600 ステータス情報、800 消耗品情報


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置が使用する再利用可能な消耗品の回収状態を管理する消耗品管理装置において、
前記印刷装置からネットワークを介して前記消耗品の使用状況を含むステータス情報を受信する受信手段と、
前記ステータス情報を前記消耗品ごとに更新可能に記憶保持するステータス情報保持手段と、
前記消耗品が回収された際に、当該消耗品の記憶素子に記憶されているステータス情報を読み取るステータス情報読取手段と、
前記ステータス情報読取手段により読み取ったステータス情報と、前記ステータス情報保持手段に記憶保持されているステータス情報とを対比して前記消耗品の回収状態を判断する消耗品情報管理手段と、
を備えたことを特徴とする消耗品管理装置。
【請求項2】
前記消耗品情報管理手段は、前記ステータス情報読取手段により読み取ったステータス情報と、前記ステータス情報保持手段に記憶保持されているステータス情報のそれぞれの項目の値が一致したときに正常な回収であると判断し、前記項目の値が不一致のときには正常な回収ではないと判断することを特徴とする請求項1に記載の消耗品管理装置。
【請求項3】
前記消耗品情報管理手段は、前記ステータス情報保持手段に格納された前記ステータス情報が所定期間を超えて更新されなかったときに、前記消耗品の回収を要求する処理を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の消耗品管理装置。
【請求項4】
前記消耗品情報管理手段は、前記消耗品の回収状態および回収の要求を、前記消耗品を保有する顧客に対して通知することを特徴とする請求項3に記載の消耗品管理装置。
【請求項5】
プリンタと、印刷装置が使用する再利用可能な消耗品の回収状態を管理する消耗品管理装置とがネットワークを介して接続されてなる消耗品管理システムであって、
前記印刷装置は、前記消耗品が取り外されるごとに前記ステータス情報をネットワークを介して送信するとともに、当該消耗品に設けられた記憶素子にステータス情報を記憶させる制御手段を備え、
前記消耗品管理装置は、前記印刷装置からネットワークを介して前記消耗品の使用状況を含むステータス情報を受信する受信手段と、
前記ステータス情報を前記消耗品ごとに更新可能に記憶保持するステータス情報保持手段と、
前記消耗品が回収された際に、当該消耗品の記憶素子に記憶されているステータス情報を読み取るステータス情報読取手段と、
前記ステータス情報読取手段により読み取ったステータス情報と、前記ステータス情報保持手段に記憶保持されているステータス情報とを対比して前記消耗品の回収状態を判断する消耗品情報管理手段と、
を備えたことを特徴とする消耗品管理システム。
【請求項6】
前記消耗品の記憶素子は、不揮発性のメモリで構成され、
制御手段は、前記印刷装置が電源オフされたときには、前記記憶素子に前記ステータス情報を記憶させることを特徴とする請求項5に記載の消耗品管理システム。
【請求項7】
前記印刷装置の前記制御手段は、前記消耗品が装着される都度、当該消耗品の使用情報を前記ステータス情報に含ませて送信し、
前記消耗品管理装置の前記消耗品管理手段は、受信した前記ステータス情報に基づいて消耗品が他の複数の前記印刷装置に装着された旨の情報を前記ステータス情報保持手段に格納することを特徴とする請求項5に記載の消耗品管理システム。
【請求項8】
印刷装置が使用する再利用可能な消耗品の回収状態を管理する、コンピュータを用いて実行する消耗品管理方法において、
前記印刷装置からネットワークを介して前記消耗品の使用状況を含むステータス情報をステータス情報受信部により受信する受信工程と、
前記ステータス情報の受信ごとに、前記消耗品の使用状況をステータス情報記憶部に更新可能に記憶する記憶工程と、
前記消耗品が回収された際に、当該消耗品の記憶素子に記憶されているステータス情報をステータス情報読取部により読み取るステータス情報読取工程と、
前記ステータス情報読取工程により読み取ったステータス情報と、前記記憶工程により記憶保持されているステータス情報とを消耗品情報管理部により対比し対比判定を行う対比判定工程と、
を含むことを特徴とする消耗品管理方法。
【請求項9】
前記消耗品情報管理工程は、前記ステータス情報読取工程により読み取ったステータス情報と、記憶保持されているステータス情報のそれぞれの項目の値が一致したときに正常な回収であると判断し、前記項目の値が不一致のときには正常な回収ではないと判断することを特徴とする請求項8に記載の消耗品管理方法。
【請求項10】
前記請求項8または9に記載の方法をコンピュータに実行させることを特徴とする消耗品管理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【公開番号】特開2006−39244(P2006−39244A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−219643(P2004−219643)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】