説明

液体収容容器および液体吐出装置

【課題】 インクジェットプリンタのインクカートリッジのインク貯留部に収容されているインクは、圧力弁の開閉動作により消費されることを利用して、圧力弁の開閉動作の回数を計数して、その計数値からインクの消費量を推測していたが、大気圧が変化することで、インク貯留部内のインクの圧力と大気圧との関係が変化することから、圧力弁の開閉動作によるインクの移送量は変動するため、インクの消費量を正確に把握できなかった。
【解決手段】 液体収容容器は、液体を内部に貯留するインクパック24と、接続した外部に前記液体を供給するインク供給部材50と、インクパック24およびインク供給部材50に連通して、周期的な動作の回数に応じて、所定量のインクパック24の液体をインク供給部材50に移送する液体移送部200と、前記回数を計数するポンプ動作検出部220と、前記計数した数値に関する情報を記憶する情報記憶部53とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容容器および液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体吐出装置であるインクジェットプリンタの液体収容容器であるインクカートリッジのインク貯留部に収容されているインクは、下記の特許文献1に記載のように、圧力弁の開閉動作により消費されることを利用して、開閉動作の回数の計数を行い、その計数値からインクの消費量を推測していた。
【0003】
【特許文献1】特開平8−11318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、大気圧が変化することで、インク貯留部内のインクの圧力と大気圧との関係が変化することから、圧力弁の開閉動作によるインクの移送量は変動するため、インクの消費量を正確に把握できないという課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、本発明の液体収容容器は、内部に液体を貯留する液体貯留部と、接続した外部に前記液体を供給する液体供給部と、前記液体貯留部および前記液体供給部に連通し、周期的な動作の回数に応じて、所定量の前記液体貯留部の前記液体を前記液体供給部に移送する液体移送手段と、前記回数を計数する計数手段と、前記計数した数値に関する情報を記憶する情報記憶部とを備えることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、液体移送手段は、周期的な動作の回数に応じた所定量の液体を、液体貯留部から液体供給部に移送するため、この動作の回数を計数手段により計数することで、液体貯留部の液体の消費量を正確に把握できる。
【0007】
本発明の液体収容容器では、前記液体収容容器は、前記液体貯留部に貯留された前記液体の残量の終了を検出する液体終了検出手段を更に備えることが好ましい。
上記構成によれば、液体終了検出手段が液体の残量の終了を検出することで、インクを吐出できなくて、印刷ミスを生じることが無く、液体供給部や液体吐出装置の破損防止をすることができる。
【0008】
本発明の液体収容容器では、前記液体収容容器は、前記液体移送手段で前記液体を移送するか否かを判定する移送判定部を更に備えることが好ましく、前記移送判定部は、前記液体供給部の近傍の前記液体の圧力から前記判定を行うことが好ましい。
上記構成によれば、液体供給部の近傍の液体の圧力を検出し、その圧力に応じて液体の供給を判定するため、液体供給部の近傍の液体の圧力が、常に一定になるように、液体を液体供給部に供給できる。
【0009】
本発明の液体収容容器では、前記液体移送手段は、一定容積吐出を周期的に繰り返すことにより、前記液体を移送するポンプを具備することが好ましい。
上記構成によれば、1回の周期で一定量の液体を移送するため、周期回数を計数することで、液体の正確な移送量を計測することができる。
【0010】
本発明の液体収容容器では、前記ポンプは、外部から供給される動力により駆動することが好ましい。
上記構成によれば、ポンプは液体収容容器の外部から与えられる動力により駆動するために、液体収容容器に動力源を保持する必要がなく、液体収容容器を小型化および軽量化できる。
本発明の液体収容容器では、前記液体収容容器は、外部から供給される電力により制御駆動されるアクチュエータを前記液体収容容器内に具備していて、前記ポンプは、当該アクチュエータで駆動されることが好ましい。
上記構成によれば、ポンプを駆動するアクチュエータの電源は、外部から供給されるた、液体収容容器に電源を保持する必要がなく、液体収容容器を小型化および軽量化できる。
【0011】
そして、前記した液体収容容器を液体吐出噴射装置に適用することにより、吐出する液体の残量を把握しながら使用できる液体吐出装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を、液体吐出装置の1つであるインクジェットプリンタに適用した場合を例に取り、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施例は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施例に示す構成のすべてが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【実施例】
【0013】
図1は、インクジェットプリンタ100の基本構成を平面図で示したものである。図中符号1で示すキャリッジは、モータ2によって駆動されるタイミングベルト3を介し、走査ガイド部材4に案内されて紙受け部材5の長手方向、すなわち記録用紙の幅方向である主走査方向に往復移動されるように構成されている。そして、図1には示されていないが、キャリッジ1の紙受け部材5に対向する面には、後述するインクジェット式の記録ヘッド6が搭載されているのに加えて、このインクジェット式記録装置の底部には、モータ2などを駆動する電源部や、後述する各機能を制御する制御部110(図4)が配置されている。
【0014】
このキャリッジ1には、記録ヘッド6にインクを供給するためのサブタンク7a〜7dが搭載されている。これらサブタンク7a〜7dは、本実施形態においては、その内部において各インクを一時的に貯溜するために、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各インクに対応して4個具備されている。そして、これら各サブタンク7a〜7dには、装置本体に配置されたカートリッジホルダ8に装填されたインクカートリッジとしてのメインタンク9a〜9dから、可撓性材料からなるそれぞれのインク補給チューブ10とを介して、各インクが供給されるように構成されている。
【0015】
なお、前記したインクカートリッジとしての各メインタンク9a〜9dは、本実施例における液体収容容器の実施形態の1つであり、図示を略すが、その外郭形状が偏平直方体状に形成されている。そして、前記カートリッジホルダ8において、偏平状の面がそれぞれ鉛直面に対向するように、いわゆる縦置き状態で装着されている。
また、カートリッジホルダ8の一方の端部には、メインタンクインク供給部160が具備される。このメインタンクインク供給部160は、各メインタンク9a〜9dに対応したポンプ駆動モータ21a〜21dと、図示を略した歯車を有する回転伝達手段とを備え、各メインタンク9a〜9dをカートリッジホルダ8に装着した際には、各メインタンク9a〜9dの一方の端部側と当接する。加えて、各メインタンク9a〜9dの入力歯車218(図5)は、この回転伝達手段の出力歯車と噛合するように配置されている。即ち、ポンプ駆動モータ21a〜21dが回転する動力は、この回転伝達手段を介して、各メインタンク9a〜9dに伝達される。尚、各メインタンク9a〜9dの詳細は、後述する。
【0016】
一方、前記キャリッジ1の移動経路上における非印字領域(ホームポジション)には、記録ヘッド6のノズル形成面を封止することができるキャッピング部11が配置されている。さらに、このキャッピング部11の上面には、記録ヘッド6のノズル形成面を封止し得るゴム等の可撓性素材により形成されたキャップ部材11aが配置されている。そして、前記キャリッジ1がホームポジションに移動したときに、前記キャップ部材11aによって記録ヘッドのノズル形成面を封止することができるように構成されている。
【0017】
このキャップ部材11aは、記録装置の休止期間中において記録ヘッド6のノズル形成面を封止し、ノズル開口の乾燥を防止する蓋体として機能する。また、このキャップ部材11aには、吸引可能なポンプ175(図4)におけるチューブの一端が接続され、このポンプ175による負圧を記録ヘッド6に作用させて、この記録ヘッド6からインクを吸引排出させるクリーニング動作が実行されるように構成されている。そして、前記キャッピング部11の印字領域側に隣接して、ゴムなどの弾性素材によるワイピング部材12が配置され、必要に応じて記録ヘッド6のノズル形成面を払拭して清掃することができるように構成されている。
【0018】
図2は、図1に示したインクジェットプリンタ100に搭載されたインク供給システムの構成を模式的に示したものであり、このインク供給システムについて、それぞれ相当する各部を同一符号で示した図1と共に説明する。
【0019】
このインク供給システムは、各メインタンク9a〜9d(図2では、代表して符号9で示す。)と、各サブタンク7a〜7d(図2では、代表して符号7で示す。)と、記録ヘッド6と、各サブタンク7a〜7dから記録ヘッド6へのインクの流れを制御するバルブ35と、これらを接続するインク補給チューブ(10,36)とを備えて構成される。
【0020】
各独立した前記メインタンク9の詳細な構成については後述するが、その概略構成は図2に示されたように、その外郭ケースの下ケース42が形成されており、その内部にはインクパック24と、このインクパック24内のインクをインク供給部材50から外部に移送する液体移送部200とが収納されている。そして、液体移送部200によりインク供給部材50の外側に移送されたインクは、液体移送部200の押圧力により、更に押し出され、インク補給チューブ10を介して、キャリッジ1に搭載された各サブタンク7内に供給されるように構成されている。
【0021】
また、各サブタンク7に供給された各インクは、それぞれのバルブ35およびインク補給チューブ36を介して記録ヘッド6に供給されるように構成されている。従って、それぞれのインクは、この記録ヘッド6のアクチェータ(図示せず)に供給され、ホストコンピュータ250(図4)から受け取った印刷データに基づいて、記録ヘッド6のノズル形成面に形成されたノズル開口6aよりインク滴13が吐出されるように作用する。
【0022】
次に、メインタンク9について説明する。図3は、メインタンク9の内部の概略構成図である。このメインタンク9は、インクパック24と、液体移送部200と、インク終了検出部60と、情報記憶部53と、インク圧検出部230と、インク供給部材50とを備えて構成される。
液体移送部200は、チューブポンプ210と、ポンプ動作検出部220とを備えて構成される。このチューブポンプ210は、本実施例における液体移送手段の実施形態の1つであり、筐体に形成された円形の空間内にロータ214が回転自在に取り付けられ、このロータ214には、円周方向に等角度間隔で離れた複数個のローラ216が、図示を略した回転軸を介して回転自在に取り付けられている。
【0023】
この略円形の空間内の内径とロータ214の直径との間には差が設けられ、ローラ216は、円形の空間の内周面に接して回転することができるように構成されている。
また、このチューブポンプ210の円形の空間に位置する円弧状の壁面とロータ214との間に第1のチューブ212が導かれている。この第1のチューブ212は、例えば、シリコンゴムのような、弾性を備える材質で形成され、一方の端部は、インクパック24と連通し、他方の端部は、インク供給部材50の内部の空間と連通している。
【0024】
更に、このチューブポンプ210の内部には、図示を略すが、ギアボックスを備えても良い。このギアボックスは、ポンプ駆動モータ21a〜21dから、前記した回転伝達手段と、入力歯車218(図5)とを介して伝わる回転力を、歯車機構により大きなトルクに変換すると供に、この変換された大きなトルクによりロータ214を、図中で右回り方向に回転させる。
このロータ214が右回りに回転することで、第1のチューブ212の内部は、回転して移動するローラ216から、ロータ214の回転に沿った方向にインクパック側では吸引力を発生させ、インク供給側では、押圧力を発生させる。従って、インクパック24のインクは、第1のチューブ212内部に吸引されると供に、吸引されたインクは、インク供給部材50の側に向かって、連続的に加圧されて移送される。このように、移送されるインクの量は、ロータ214の回転に応じて発生するため、ロータ214の回転数を検出することで、移送されたインクの量を把握できる。
【0025】
ポンプ動作検出部220は、本実施例における計数手段の実施形態の1つであり、チューブポンプ210に隣接して配置され、ロータ214の回転を検出することで、チューブポンプ210の動作を検出する。ここで、ロータ214の回転を検出する方法は、例えば、ギアボックスの歯車を光電スイッチにより検出する方法も採用できる。この光電スイッチは、図示を略すが、光を投光する投光部と、投光部からの光を受光する受光部とから成り、例えば、投光部の光が、ギアボックスの歯車に設けたスリットを通過して受光部で検出できるように、歯車の一部を挟んで配置され、この歯車の回転を検出することにより、歯車に連結されたロータ214の回転を検出する。
インク終了検出部60は、本実施例における液体終了検出手段の実施形態の1つであり、一方がインクパック24と連通した第2のチューブ14の他方の端部に接続され、インクパック24内部のインクの残量の終了を検出する。このインク終了検出部60の内部は、図示を略すが、インクの減少に伴ってインクパック側に移動するインク追従体と、このインク追従体が所定の位置に移動したことを検出する検出体とで構成されても良い。または、インクパック内の圧力を監視して、インク終了時には陰圧になることを検出しても良い。
第2のチューブ14は、第1のチューブ212と同様に、シリコンゴムのような、弾性を備える材質で形成される。
【0026】
情報記憶部53は、本実施例における情報記憶部の実施形態の1つであり、メインタンク9をインクジェットプリンタ100側のカートリッジホルダ8に装着した状態において、ポンプ動作検出部220が検出したチューブポンプ210のロータ214の回転数に関する情報や、インク終了検出部60が検出したインクの残量の終了に関する情報に加えて、前記メインタンク9に封入されたインクの種類、シリアル番号および有効期限等のデータを記憶して、外部と授受できるように構成されている。また、この情報記憶部53は、不揮発性の記憶素子を有するため、カートリッジホルダ8からメインタンク9を離脱させた状態においても、記憶された情報は保持される。
インク圧検出部230は、本実施例における移送判定部の実施形態の1つであり、圧力センサを内部に備え、インク供給部材50の近傍で、第1のチューブ212に連通して配置される。この圧力センサは、例えば、ダイアフラムスイッチから成り、インク供給部材50近傍のインクの圧力を検出する。そして、検出した圧力値が所定の値を下まわった場合、インク圧検出部230は、それぞれのポンプ駆動モータ21の駆動を要求する信号を、後述する接続コネクタ54を介してインクジェットプリンタ100側に送る。
【0027】
インク供給部材50は、本実施例における液体供給部の実施形態の1つであり、例えば、ゴムのような弾性部材で形成され、一方の側の内部には、インクを貯留する空間であるインク溜り58を備え、この一方の側がメインタンク内部に対向するように、メインタンク9の下ケース42に装着される。そして、このインク溜り58は、第1のチューブ212と連通し、チューブポンプ210により移送されたインクは、このインク溜り58に貯留される。また、メインタンク9がカートリッジホルダ8に装着される際に、このインク供給部材50の他方の側には、一端がサブタンク7と連通するインク補給チューブ10の他端に取り付けられた中空針15が挿入されるため、インク供給部材50は、サブタンク7と接続される。
【0028】
インクパック24は、本実施例における液体貯留部の実施形態の1つであり、矩形状に形成された2枚の可撓性素材、例えばポリエチレンフィルムが用いられ、ガスバリア性の向上のために、例えばアルミ泊等によって表面にラミネート処理が施されている。そして、一方の短手方向の側端部におけるほぼ中央部には、前記した第1のチューブ212が取り付けられている。また、一方の長手方向の側端部には、前記した第2のチューブ14が取り付けられている。
そして、第1のチューブ212が取り付けられた側端部と、これに直交する二つの側端部との三辺が、先ず熱溶着によって接合されて袋状に形成される。そして、袋状に形成されたインクパック24における残りの一辺における開口を利用して、インクパック24内にインクが導入され、最後に残りの一辺が熱溶着によって接合されて、インクパック24内にインクが封入された状態とされる。
上記した構成により、このインクパック24は、負圧により変形しやすいため、インクパック24内のインクが消費されるに従い、変形して縮む。
【0029】
次に、インクジェットプリンタ100の機能構成について説明する。図4は、インクジェットプリンタ100の主要部を概略的に示すブロック図である。
このインクジェットプリンタ100は、主要部として、I/F部(I/F:Interface)105、制御部110、記録ヘッド6、記録ヘッド6を駆動制御するヘッド駆動部120、主走査部130、ヘッドインク供給部150、メインタンクインク供給部160、クリーニング部170および表示部180を備える。
【0030】
I/F部105は、ホストコンピュータ250のプリンタドライバが生成した印刷データなどを受け取り、制御部110に転送する。また、メインタンク9のインク圧検出部230や、情報記憶部53からの信号を入力して、制御部110に転送する。
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)111と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113と、PROM114とを内部に備えている。
CPU111は、印刷処理などの各種処理を実行する。EEPROM112とRAM113は不揮発性半導体メモリの一種であり、EEPROM112は、ホストコンピュータ250からI/F部105を介して入力される印刷データを、図示しないデータ格納領域に格納する。また、RAM113は、印刷処理などのアプリケーションプログラムを一時的に展開する。更に、PROM114は、不揮発性半導体メモリの一種であり、各部を制御する制御プログラム等を格納する。なお、制御部110の各構成要素は、図示しないバスを介して電気的に接続されている。
【0031】
主走査部130は、制御部110からの指示に従い、キャリッジ1を主走査方向に往復移動するモータ2を動作させる。
また、ヘッドインク供給部150は、制御部110からの指示に従い、バルブ35を開閉する。同様に、メインタンクインク供給部160は、制御部110からの指示に従い、ポンプ駆動モータ21を稼動させる。
また、クリーニング部170は、制御部110からの指示に従い、前記したヘッドのクリーニングのためのポンプ175を動作させる。
そして、表示部180は、制御部110からの指示に従い、メッセージ等をインクジェットプリンタ100の外装側に配置した液晶表示パネル185に表示させる。
なお、前記したように、メインタンク9は、インクの色に応じて4個具備されているため、ポンプ駆動モータ21およびバルブ35についても、それぞれのメインタンク9に対応して各4個具備される。従って、メインタンクインク供給部160およびヘッドインク供給部150は、それぞれのメインタンク9に対応したポンプ駆動モータ21およびバルブ35に指示を出すように構成されている。
【0032】
図5は、インクカートリッジとしてのメインタンク9の全体構成を示した斜視図である。前記したインクパック24の外郭ケースは、上ケース41および下ケース42により構成されている。このうち下ケース42は、偏平状の函型形状になされており、上面部が開放されてその内部には、前記した、インクパック24と、液体移送部200と、インク終了検出部60と、インク圧検出部230とが収納できるように構成されている。
なお、下ケース42の底面において、液体移送部200が収納されている周辺の底面には、開口部43が形成されている。この開口部43を通して、前記したメインタンクインク供給部160の回転伝達手段の出力歯車と、入力歯車218とが噛合する。
また、前記カートリッジケースの前部側面には、インクジェットプリンタ100へ装填する場合に利用される位置決め手段としての一対の開口孔51が形成されている。これら両開口孔51は、前記カートリッジケースの前記一面における長手方向に沿った二箇所に離間した状態で配置されている。これら両開口孔51により、メインタンク9は、インクジェットプリンタ100に対して、所定の相対位置精度で装着される。従って、前記した入力歯車218と、メインタンクインク供給部160の回転伝達手段の出力歯車とは、常に安定した状態で噛合する。
【0033】
また、カートリッジケースの前部側面における、両開口孔51のほぼ中間部には、前記インクパック24からインクを供給するインク供給部材50が取り付けられている。
加えて、インク供給部材50と一方の開口孔51との間には、インク圧検出部230と接続された接続コネクタ54が構成され、更に、一方の開口孔51の外側には、前記した情報記憶部53が配置されている。これらは、前記メインタンク9をインクジェットプリンタ100に装填した状態において、インクジェットプリンタ100のI/F部105を介して制御部110と接続される。
【0034】
以上の構成において、インクジェットプリンタ100が印刷を行ってインクを消費するに従い、インクを吐出した記録ヘッド6は内部に陰圧が生じる。従って、サブタンク7内のインクは、この陰圧により記録ヘッド6側に吸引されることで移送されるため、記録ヘッド6にはインクが供給される。そして、このような動作を繰り返し、インクが消費されて、サブタンク7内のインクが減少すると、サブタンク7と連通したメインタンク9のインク圧検出部230は、所定の圧力値を越えて減圧されたことを検出し、この圧力に関する情報を制御部110に伝える。そして、制御部110は、メインタンクインク供給部160に対して、ポンプ駆動モータ21の稼動を指示する。この指示により、ポンプ駆動モータ21は、回転を開始すると供に、この回転の動力をチューブポンプ210に伝達し、ロータ214が回転することで、第1のチューブ212内部のインクは、ローラ216により押圧され、インクパック24からインク供給部材50を経てサブタンク7に移送される。また、ロータ214の回転数は、ポンプ動作検出部220で計数され、計数された数値は、情報記憶部53内にその都度記憶される。
【0035】
そして、サブタンク7にインクが充填され、インク圧検出部230で検出する圧力が、所定の圧力値を上回ると、このインク圧検出部230から制御部110への圧力に関する情報の伝達が休止され、メインタンクインク供給部160に対するポンプ駆動モータ21の稼動の終了を指示する。この指示に従って、チューブポンプ210のロータ214の回転が止まり、インクの移送を終了する。
そして、上記した動作を繰り返して、インクパック24内のインクが無くなり、インクパック24の交換が必要な状態に達した時に、インク終了検出部60は、インクの略終了を検出して、検出した情報を情報記憶部53に送る。そして、情報記憶部53は、インクパックのインクが略終了したことを記憶する。加えて、情報記憶部53は、インクパックのインクが略終了してから、移送可能なインクの量を予め記憶しているため、このインクの量に達するまで、チューブポンプ210の駆動を許可する。そして、情報記憶部53は、記憶されたインクの量が移送された時点で、インクの終了に関する情報を制御部110に送る。この結果、制御部110は、メインタンク9の交換を要求するメッセージを液晶表示パネル185に表示して、インクジェットプリンタ100の使用者に伝えたり、自動停止させることができる。
また、ロータ214の回転数が所定の値を越えたにも係らず、インク終了検出部60がインクの終了を検出しない場合、制御部110は、メインタンク9が故障したと判断する処理を行う。
【0036】
以上述べたような実施例によれば、次のような効果がある。
(1)情報記憶部53に記憶されたロータ214の回転数から、サブタンク7に移送されたインクの量を正確に把握できることから、インクパック24に充填されたインクの量を予め正確に求めておくことで、インクの残量を正確に知ることができる。
(2)情報記憶部53に記憶された情報は、カートリッジホルダ8からメインタンク9を離脱させた状態においても保持されるため、使用していたメインタンク9を、途中で他のインクジェットプリンタ100に装着した場合でも、インクパック24のインクの使用量は保持されて継承される。従って、他のインクジェットプリンタ100でも、これまでのインクの使用量を正確に知ることが出来る。
【0037】
(3)インク終了検出部60により、インクパック24内のインク残量の略終了を知ることが出来るため、略終了時点からの移送可能なインクの量を予め求めることで、インクパック24の製造時に充填されたインク量を正確に知ることなく、インクの終了を知ることができる。従って、インクパック24内や第1のチューブ212内にインクが無い状態で、ポンプ駆動モータ21を駆動することが無くなり、液体移送部200の動作不良や第1のチューブ212の破損を防止できる。また、サブタンクの開放穴からの空気が入り込むことが無く、印刷ミスや印刷ヘッドの破損を防止することができる。
(4)ロータ214の回転数により、インクタンク9の故障を判定できるため、故障したインクタンク9に動力を伝達することで生じるポンプ駆動モータ21やメインタンクインク供給部160の破損を防止できる。
【0038】
以上、本発明の液体の終了検出装置を図示した実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、以下の述べるような変形例も想定できる。
(1)インク圧検出部230は、メインタンク9内部に限らず、インクジェットプリンタ100に備えられても良い。
(2)メインタンク9は、密閉されたインクパック24に限らず、一方が大気に開放されたインク容器であっても良い。
(3)液体移送部200のポンプは、チューブポンプ210に限らず、クランクやカムを用いたレシプロタイプの複動型ポンプや、ダイヤフラムポンプ等の定量移送可能なポンプならば、どのようなポンプでも良い。また、駆動回転数に比例した吐出量が得られるモーノポンプやギヤポンプを用いてもよく、累積回転数でインクの使用量、ひいては、インクの残量を知ることができる。
(4)ポンプの動力は、インクジェットプリンタ100から伝達される構造に限らず、メインタンク自身に動力源を備えても良い。
(5)接続コネクタ54の変わりに無線式のデータ授受方式でもよい。
(6)インク供給チューブ10、36間のサブタンクを廃止して、アキュームレータを配置した構成でもよい。
(7)ポンプ駆動検出装置220をメインタンクに持たせなくて、インクジェットプリンタ100側のポンプ駆動モータ21の回転数を監視してもよい。
(8)インク圧力検出装置230は、をメインタンクに持たせなくて、インクジェットプリンタ100側に持たせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】インクジェットプリンタの基本構成を示す平面図。
【図2】インク供給システムの構成を模式的に示した図。
【図3】メインタンク内部の概略構成図。
【図4】インクジェットプリンタの主要部を概略的に示すブロック図。
【図5】メインタンクの外観構成を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1…キャリッジ、2…モータ、3…タイミングベルト、4…走査ガイド部材、5…紙受け部材、6…記録ヘッド、7…サブタンク、8…カートリッジホルダ、9…メインタンク、10…インク補給チューブ、11…キャッピング部、12…ワイピング部材、13…インク滴、14…第2のチューブ、15…中空針、21…ポンプ駆動モータ、24…インクパック、35…バルブ、36…インク補給チューブ、41…上ケース、42…下ケース、50…インク供給部材、51…開口孔、53…情報記憶部、60…インク終了部、100…インクジェットプリンタ、105…I/F部、110…制御部、111…CPU、112…EEPROM、113…RAM、114…PROM、120…ヘッド駆動部、130…主走査部、150…ヘッドインク供給部、160…メインタンクインク供給部、170…クリーニング部、175…ポンプ、180…表示部、185…液晶表示パネル、200…液体移送部、210…チューブポンプ、212…チューブ、214…ロータ、216…ローラ、218…入力歯車、220…ポンプ動作検出部、230…インク圧検出部、250…ホストコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を貯留する液体貯留部と、
接続した外部に前記液体を供給する液体供給部と、
前記液体貯留部および前記液体供給部に連通し、
周期的な動作の回数に応じて、所定量の前記液体貯留部の前記液体を前記液体供給部に移送する液体移送手段と、
前記回数を計数する計数手段と、
前記計数した数値に関する情報を記憶する情報記憶部とを備えることを特徴とする液体収容容器。
【請求項2】
請求項1に記載の液体収容容器において、
前記液体収容容器は、前記液体貯留部に貯留された前記液体の残量の終了を検出する液体終了検出手段を更に備えることを特徴とする液体収容容器。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載の液体収容容器において、
前記液体収容容器は、前記液体移送手段で前記液体を移送するか否かを判定する移送判定部を更に備えることを特徴とする液体収容容器。
【請求項4】
請求項3に記載の液体収容容器において、
前記移送判定部は、前記液体供給部の近傍の前記液体の圧力から前記判定を行うことを特徴とする液体収容容器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体収容容器において、
前記液体移送手段は、一定容積吐出を周期的に繰り返すことにより、前記液体を移送するポンプを具備することを特徴とする液体収容容器。
【請求項6】
請求項5に記載の液体収容容器において、
前記ポンプは、外部から供給される動力により駆動することを特徴とする液体収容容器。
【請求項7】
請求項5に記載の液体収容容器において、
前記液体収容容器は、外部から供給される電力により制御駆動されるアクチュエータを前記液体収容容器内に具備していて、前記ポンプは、当該アクチュエータで駆動されることを特徴とする液体収容容器。
【請求項8】
往復移動して液体を吐出する液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置であって、
前記液体吐出装置は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液体収容容器を備えることを特徴とする液体吐出装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−35482(P2006−35482A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215322(P2004−215322)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】