説明

液処理装置、塗布、現像装置、塗布、現像方法、及び記憶媒体

【課題】ウエハ(基板)に対して疎水化処理が正常に行われたか否かを確実に判定することのできる液処理装置を提供する。
【解決手段】疎水化処理を行った集積回路形成用のウエハにレジスト吐出ノズル67からレジスト(処理液)を供給して塗布膜を形成するレジスト塗布ユニット(液処理装置)は、ウエハを水平に保持する、回転自在な基板保持部と、この基板保持部に保持されたウエハを囲むカップ(囲み部材)と、ウエハの表面に純水(検査液)を供給する純水供給部60と、ウエハに供給された純水を撮像するカメラ(撮像部)7と、撮像した純水の画像に基づいてウエハが正常に疎水化処理されたものか否かを判定する判定プログラム(判定部)95とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水化処理を行った集積回路形成用の基板にノズルから処理液を供給して塗布膜を形成する液処理装置、及び基板にレジストを塗布し、露光後の基板に対して現像液により現像処理する塗布、現像装置、及び塗布、現像方法、並びにこの方法に用いるプログラムを格納した記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と省略する)にレジストを塗布し、露光後の基板に対して現像液により現像処理を行う塗布、現像装置には、ウエハに疎水化処理を行うユニットを設ける場合がある。この疎水化処理は、ウエハの表面に疎水化処理ガスである例えばヘキサメチルジシラザン(hexamethyldisilazane(以下、単に「HMDS」と省略する)ガスを吹き付けてウエハの表面を疎水性に変化させる処理である。この処理は、下地膜と塗布膜との密着性を向上させるものであり、一般的には、レジストの種類によっては必要な処理であるが、反射防止膜を塗布する前に行う場合もある。
【0003】
上記疎水化処理を行う装置1では、図30に示すように、先ず処理容器11内に設けた載置台12にウエハWを載置した後、ガス供給源13からキャリアガス供給管14を通してHMDS液を貯留したタンク15内に窒素ガスであるキャリアガスを通気する。これによりタンク15内のHDMSの気化が促進され、キャリアガスと共にHMDSガスが供給管16を通じて処理容器11内の処理空間11sに供給され、ウエハWの表面が疎水化処理される。
【0004】
この疎水化処理装置1においてウエハWに対して疎水化処理が正常に行われたか否かを判定する手法としては、キャリアガス供給管14に設けた流量計18によりキャリアガスの流量を計測し、この流量計測値に基づき、間接的に、処理空間11sに供給したHMDSガスの量を推定することが行われている。HMDSガスの量を直接測定しない理由は、HMDSガスは可燃性ガスであるため、熱線式である流量計を適用しにくい実情があることによる。
【0005】
しかしながら、HMDSガスの流量を間接的に判断する手法では、タンク15にHMDS液が貯留されていなかった場合、又はHMDSガス供給管16が損傷することによりHMDSガスが漏れた場合等には、これらを検出することができない問題があった。このため、ウエハに疎水化処理が正常に行われないままレジスト膜が形成され、パターンが形成されるため、そのロット全体が不良品になるといった懸念があった。なお、特許文献1の段落0004には、レジスト塗布を行う前の基板の疎水性を、基板表面に滴下した水の接触角を指標として推定することが記載されているが、具体的な説明はされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−291655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような背景の下になされたものであり、その目的は、基板に対して疎水化処理が正常に行われたか否かを確実に判定することのできる液処理装置を提供することにある。本発明の他の目的は、基板に対する疎水化処理の不具合に基づくロット不良を低減あるいは防止することができ、しかもスループットの低下が抑えられる塗布、現像装置、塗布、現像方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液処理装置は、疎水化処理を行った集積回路形成用の基板にノズルから処理液を供給して塗布膜を形成する液処理装置において、
前記基板を水平に保持する、回転自在な基板保持部と、
この基板保持部に保持された基板を囲む囲み部材と、
前記基板に検査液を供給する検査液供給部と、
前記基板に供給された検査液を撮像する撮像部と、
撮像した検査液の画像に基づいて前記基板が正常に疎水化処理されたものか否かを判定する判定部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の具体例として例えば次の構成を挙げることができる。
(1)検査液供給部は、予め設定された量の検査液を前記基板に供給する供給機構を備えている。
(2)撮像部は、例えば前記基板に供給された前記検査液の平面視又は側面視を撮像するように設けられている。
(3)前記基板を前記囲み部材よりも高い位置に保持するために、前記基板保持部が昇降自在であること及び前記基板保持部に保持された基板の裏面を突き上げて保持する昇降機構を備えていることの少なくとも一方の構成を備え、前記撮像部は、前記基板が囲み部材よりも高い位置に保持されている状態で検査液を撮像するように設けられている。
(4)前記ノズルは、移動機構により移動自在に構成され、前記撮像部は、この移動機構に設けられている。
(5)前記塗布膜は、例えばレジスト膜又は反射防止膜である。
(6)前記判定部にて基板が正常に疎水化処理されていないと判定されたときに異常を報知する異常報知部を備えている。
(7)前記検査液供給部は、基板の集積回路形成領域の外部における疎水化された表面に検査液を供給する。
(8)(7)の場合、前記検査液は水またはシンナーである。
(9)前記検査液供給部は、基板の中央部に検査液を供給する。
(10)(9)の場合、前記検査液は、前記処理液の基板に対する濡れ性を高めるために処理液の供給前に基板に供給される前処理液として兼用される。
(11)(9)(10)の場合、前記検査液は、シンナーである。
(12)検査液供給部は、基板の上方に位置し、基板に検査液を供給するために開口したノズルと、前記ノズルから検査液が垂れ下がるように当該ノズルに供給する検査液の液量を制御する液量制御機構と、ノズルから垂れ下がった検査液が基板に付着するように前記ノズルを基板に向けて下降させる駆動機構と、を備える。
【0010】
本発明の塗布、現像装置は、基板にレジストを塗布し、露光後の基板に対して現像液により現像処理する塗布、現像装置において、
複数枚の基板を収納したキャリアが外部から搬入され、現像後の基板をキャリアに収納して外部に搬出するためのキャリアブロックと、
このキャリアブロックから受け渡された基板の表面を疎水化処理するための疎水化処理ユニットと、
疎水化処理された基板に対して処理液を供給し、レジストパターンを形成するための塗布膜を形成する液処理装置と、
露光後の基板に対して現像液を供給して現像処理を行う現像ユニットと、を備え
前記液処理装置は、上記の本発明の液処理装置が用いられることを特徴とする。
【0011】
本発明の塗布、現像方法は、基板にレジストを塗布し、露光後の基板に対して現像液により現像処理する塗布、現像方法において、
前記基板に対して疎水化処理ユニットにて疎水化処理を行う工程と、
疎水化処理された基板を液処理ユニットに搬入する工程と、
この液処理ユニット内にて基板に検査液を供給する工程と、
前記基板に供給された検査液を撮像部で撮像する工程と、
前記撮像部で撮像された検査液の画像に基づいて前記基板が正常に疎水化処理されたものか否かを判定部で判定する工程と、
前記基板にノズルから処理液を供給してレジストパターンを形成するための塗布膜を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明の塗布、現像方法の具体例として例えば次の構成を挙げることができる。
(13)前記基板に供給された検査液を、基板保持部により基板を回転させることで除去する工程を備える。
(14)前記検査液は、前記処理液の基板に対する濡れ性を高めるために処理液の供給前に基板に供給される前処理液として兼用され、基板保持部により基板を回転させることで、遠心力により前記検査液を基板に広げる工程を備える。
【0012】
本発明の記憶媒体は、基板に対して処理液を供給して、レジストパターンを形成するための塗布膜を形成し、露光後の基板に対して現像処理を行う塗布、現像装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは、上記の本発明に係る塗布、現像方法を実施するためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、疎水化処理が行われた基板に対して塗布膜を形成する液処理装置において、検査液を基板に供給し、当該検査液を撮像してその撮像結果に基づき接触角に対応する情報を把握しているため、基板に対して疎水化処理が正常に行われたか否かを確実に判定することができる。しかも本来処理液を扱う液処理装置内にて検査液を取り扱っていることから、装置内に液がこぼれたり、付着したりして汚れるという、他の装置であれば懸念材料となる問題が起こらない。そしてこの液処理装置を塗布、現像装置に組み込むことにより、いわばインラインで疎水化処理を判定できることから、スループットの低下を抑えながら、ロット不良を低減あるいは防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る塗布、現像装置に露光装置が接続されたレジストパターン形成システムを示す全体平面図である。
【図2】図1に示したレジストパターン形成システムの概観斜視図である。
【図3】図1に示したレジストパターン形成システムの全体側面図である。
【図4】図1に示したレジストパターン形成システムが備え、本発明に係る液処理装置を適用した第1の実施形態のレジスト塗布ユニットを示す説明図である。
【図5】図4に示したレジスト塗布ユニットの斜視図である。
【図6】図4に示したレジスト塗布ユニットの制御系を示す説明図である。
【図7】図4に示したレジスト塗布ユニットの作用を示す説明図である。
【図8】同様の図である。
【図9】本発明に係る液処理装置に使用するウエハ(基板)を示す平面図である。
【図10】ウエハに正常な疎水化処理がされたか否かを判定するために指標とする、水滴の接触角を示す説明図である。
【図11】(a)は、ウエハが正常に疎水化処理された場合における水滴を示す説明図、(b)は、ウエハが正常に疎水化処理されなかった場合における水滴を示す説明図である。
【図12】スピンコーティングによってウエハにレジスト膜を形成する際を示す説明図である。
【図13】図1に示したレジストパターン形成システムが備え、本発明に係る液処理装置を適用した第2の実施形態のレジスト塗布ユニットの要部を示す斜視図である。
【図14】図13に示したレジスト塗布ユニットの作用を示す説明図である。
【図15】同様の図である。
【図16】(a)は、ウエハが正常に疎水化処理された場合における水滴を示す説明図、(b)は、ウエハが正常に疎水化処理されなかった場合における水滴を示す説明図である。
【図17】第2の実施形態の変形例を示す説明図である。
【図18】第3の実施形態のレジスト塗布ユニットのアームの先端の斜視図である。
【図19】第3の実施形態のレジスト塗布ユニットの作用を示す側面図である。
【図20】第3の実施形態のレジスト塗布ユニットの作用を示す側面図である。
【図21】第3の実施形態のレジスト塗布ユニットの作用を示す平面図である。
【図22】第3の実施形態のレジスト塗布ユニットの作用を示す平面図である。
【図23】第3の実施形態の変形例のレジスト塗布ユニットの作用を示す側面図である。
【図24】第3の実施形態の変形例のレジスト塗布ユニットの作用を示す側面図である。
【図25】第3の実施形態の変形例のレジスト塗布ユニットの作用を示す側面図である。
【図26】第4の実施形態のレジスト塗布ユニットの作用を示す側面図である。
【図27】第4の実施形態のレジスト塗布ユニットの作用を示す側面図である。
【図28】第4の実施形態のレジスト塗布ユニットの作用を示す側面図である。
【図29】第4の実施形態のレジスト塗布ユニットの作用を示す側面図である。
【図30】従来の疎水化処理装置を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の液処理装置を適用した塗布、現像装置における第1の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の塗布、現像装置の実施の形態は、基板であるウエハに対して疎水化処理を行う疎水化処理ユニット(疎水化処理装置)と、ウエハの表面の疎水性を調べる機能を有するレジスト塗布ユニット(液処理装置)と、を備えている。レジスト塗布ユニットの詳細構造については後で詳述することとし、先ず、塗布、現像装置の全体構成について簡単に説明しておく。
【0016】
図1は塗布、現像装置101に露光装置C4が接続されたレジストパターン形成システム100の平面図を示しており、図2は同システム100の斜視図である。また、図3は塗布、現像装置101の縦断面図である。この塗布、現像装置101にはキャリアブロックC1が設けられており、その載置台102上に載置された密閉型のキャリアCから受け渡しアーム103がウエハWを取り出して処理ブロックC2に受け渡し、処理ブロックC2から受け渡しアーム103が処理済みのウエハWを受け取ってキャリアCに戻すように構成されている。
【0017】
前記処理ブロックC2は、図2に示すようにこの例では現像処理を行うための第1のブロック(DEV層)B1、レジスト膜の下層に形成される反射防止膜(塗布膜)の形成処理を行うための第2のブロック(BCT層)B2、レジストの塗布を行うための第3のブロック(COT層)B3、レジスト膜の上層に形成される反射防止膜の形成を行うための第4のブロック(ITC層)B4を、下から順に積層して構成されている。
【0018】
処理ブロックC2の各層は平面視が略同様に構成されている。第3のブロック(COT層)B3を例に挙げて説明すると、COT層B3は塗布膜としてレジスト膜を形成するためのレジスト塗布ユニット110と、このレジスト塗布ユニット110にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための加熱・冷却系の処理モジュール群を構成する棚ユニットU1〜U3と、前記レジスト塗布ユニット110と加熱・冷却系の処理モジュール群との間に設けられ、これらの間でウエハWの受け渡しを行う搬送アームA3と、により構成されている。この例ではレジスト塗布ユニット110が既述の液処理装置に相当する。また、この例では、棚ユニットU1の隣に疎水化処理ユニット1が設けられている。この疎水化処理ユニット1については背景技術の項目で図30を用いて説明しているため省略する。
【0019】
第2のブロック(BCT層)B2、及び第4のブロック(ITC層)B4には、下側反射防止膜形成ユニット及び上側反射防止膜形成ユニットが夫々設けられている。これらのユニットは、レジスト塗布ユニット110と同様の構造であり、対応する薬液がウエハWにスピンコーティングされる。また、これらのブロックB2、B4においても薬液塗布の前処理及び後処理を行うための加熱・冷却系の処理モジュール群を構成する棚ユニットが設けられている。
【0020】
第1のブロック(DEV層)B1については一つのDEV層B1内にレジスト塗布ユニット110に対応する現像ユニットが2段に積層されており、またこの現像ユニットの前処理及び後処理を行うための加熱・冷却系の処理モジュール群を構成する棚ユニットが設けられている。なお図3中A1、A2及びA4は、各ブロック間でウエハWを搬送する搬送アームである。
【0021】
更に処理ブロックC2には、図1及び図3に示すように棚ユニットU5が設けられ、棚ユニットU5の各ウエハ載置部位の間でウエハWを搬送する昇降、進退自在な受け渡しアームD1が設けられている。CPLで表示されるユニットは冷却ユニット、TRSで表示されるユニットは受け渡しユニット、BFで表示されるユニットはバッファユニットである。
【0022】
キャリアブロックC1からのウエハWは、受け渡しアームD1及び棚ユニットU5のウエハ載置部位を介して処理レシピに応じてB2〜B4層から選択される層(B2〜B4)に搬送されて塗布膜が形成され、その後、図3に示すシャトルアーム106、インターフェイスブロックC3のインターフェイスアーム107を介して露光装置C4に搬送され、露光処理が行われる。その後、ウエハWは、インターフェイスブロックC3を介して第1のブロックB1に搬送され、現像処理がされた後、受け渡しユニットTRS1を介してキャリアブロックC1に戻される。
ここで処理レシピに応じて、例えばレジストの種類に応じてウエハWに対して例えば次のような処理が行われる。
a. 疎水化処理を行った後、レジスト膜を形成する。この場合下側反射防止膜を形成しない。
b. 下側反射防止膜を形成した後、レジスト膜を形成する。この場合疎水化処理を行わない。
c. 疎水化処理を行った後、下側反射防止膜を形成し、その後レジスト膜を形成する。
従って、これらの処理モードに応じてウエハWの搬送経路が決定される。例えば処理モードaの場合には、ウエハWは、疎水化処理ユニット1→棚ユニット(U1〜U3)内の冷却ユニット→レジスト塗布ユニット110の順に搬送され、例えば処理モードcの場合には、ウエハWは、疎水化処理ユニット1→冷却ユニットCPL3→下側反射防止膜形成ユニットの順に搬送される。なお、疎水化処理ユニット1は、棚ユニットU5における、BCT層B2に対応する高さ位置に設けてもよい。
【0023】
次に、本発明の液処理装置の実施形態に相当するレジスト塗布ユニット110について説明する。このレジスト塗布ユニット110は、図4及び図5に示すように、筐体2の内部に設けてある。この筐体2の内部空間20sの上部には、清浄なダウンフローを形成するファンフィルタユニット21を設けてある。
【0024】
このレジスト塗布ユニット110は基板保持部3を備えている。基板保持部3は、真空吸着することによりウエハWを水平に保持するスピンチャック31により構成され、下方側の駆動部32により軸部30を介して昇降可能であり、かつ鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
【0025】
また、レジスト塗布ユニット110はカップ(囲み部材)4を備えている。カップ4は、基板保持部3によって保持されたウエハWの周縁を囲み、内部に液処理空間4sを有するよう構成してあり、ウエハWに供給されたレジスト等の処理液が飛散することを防止するものである。さらに、カップ4は、下部側に凹部状をなす液受け部41が、ウエハWの周縁下方側に、全周に亘って外側領域と内側領域とに区画された態様で設けられ、外側領域の底部には貯留した塗布液などのドレンを排出するための廃液口42が設けてあり、内側領域の底部には2つの排気口43、44が設けてある。また、カップ4の内部には、塗布液を外側領域にガイドする円板部材45を設けてある。この円板部材45は、軸部30を貫通させる貫通孔45aが中央に形成され、周縁部には山形状のガイド部45bを設けてある。
【0026】
また、レジスト塗布ユニット110は昇降機構5を備えている。昇降機構5は、昇降用モータ50、本体51、3本の昇降ピン52等で構成してある。この昇降機構5は、案内部材45を貫通する態様で3本の昇降ピン52を設け、昇降用モータ50を駆動することで本体51及び昇降ピン52を上下方向に移動させ、昇降ピン52の先端がウエハWの裏面に当接することでウエハWを上下方向に昇降し、これによりウエハWを液処理空間4sから挿脱するものである。
【0027】
また、レジスト塗布ユニット110は、図6に示すように純水供給ノズル63、レジスト供給ノズル67、溶剤供給ノズル69を備えている。各ノズル63、67、69は、各々対応する液の供給源、バルブ及び定量ポンプを含む図4では不図示の供給系に接続されている。なお、図6では、これらの供給系を純水供給系61、レジスト供給系65、及び溶剤供給系68aとして示してある。
【0028】
また、レジスト塗布ユニット110は撮像部であるカメラ7を備えている。カメラ7は、図4及び図5に示すように、下方の画像を撮像するため視野が下方側を向くようにノズル移動機構8に設けてあり、後述する撮像位置に配置された場合、純水供給部60によりウエハWに供給された純水を撮像するものである。この例では、カメラ7は、ウエハWに供給された純水の平面視を撮像する。
【0029】
また、レジスト塗布ユニット110は、ノズル移動機構8、84を備えている。ノズル移動機構8は、ノズル63、69及びカメラ7を移動するものであり、ノズル移動機構84は、ノズル67を移動するものであるが、同様に構成してあるため、代表してノズル移動機構8を説明する。ノズル移動機構8は、ノズル63、69及びカメラ7を取り付けるアーム80と、アーム80を介してノズル63、69及びカメラ7を、図5に示す上下方向であるZ軸方向、及び水平方向であるX軸方向にそれぞれ移動させるアーム駆動部81とを備えている。アーム駆動部81は、アーム80をZ軸方向に昇降するZ軸移動機構82と、アーム80を、X軸方向に延在するガイドレール83に沿って移動するX軸移動機構等で構成してある。また、このレジスト塗布ユニット110には、待機位置に置かれたノズル63、69からの廃液を受ける廃液収容部89を設けてある。
【0030】
また、レジスト塗布ユニット110はエッジリムーバ130を備えている。エッジリムーバ130は、図5に示すように、図4に示すノズル131が先端部に取り付けられた旋回、昇降自在なアーム132を備えている。このエッジリムーバ130は、レジスト塗布後に、集積回路形成領域W1の外側である周縁部のレジスト膜を、膜剥れを防止するために溶剤により除去するものである。
【0031】
次に、上記塗布、現像装置101の制御装置であり、かつレジスト塗布ユニット110の制御装置について図6を参照しながら説明する。図6において、符号90はバスであり、このバスに、CPU(Central Processing Unit)91、メモリ92、プログラム格納部93を接続してある。プログラム格納部93には、画像処理プログラム94、判定プログラム(判定部)95、及び処理レシピ96等が格納してある。記憶媒体としては、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等が存在する。
【0032】
画像処理プログラム94は、カメラ7で撮像した画像に対して画像処理を行うものである。判定プログラム95は、画像処理されたデータに基づいて水滴mの面積を求め、この面積が予め設定した閾値を超えるか否かを判定するものであり、水滴mの面積が閾値を超える場合には、ウエハWが正常に疎水化処理されていないと判定する一方、水滴mの面積が閾値を超えない場合には、ウエハWが正常に疎水化処理されていると判定する。処理レシピ96は、上記判定プログラム95の判定結果に基づいて、次の処理を行うものである。具体的には、処理レシピ96は、判定プログラム95がウエハWに正常な疎水化処理がされていると判定した場合には、一連のレジスト膜形成処理を続行する一方、ウエハWに正常な疎水化処理がされていないと判断した場合には、異常報知部である例えばアラーム97によって異常を報知するようにステップが組まれている。アラーム97としては、例えば警告を画面に表示するディスプレイでも良いし、警告音を発するブサーでも良い。
【0033】
次に、このように構成されたレジスト塗布ユニット110の作用を説明する。先ず、搬送アームA3によってウエハWがスピンチャック31の上方に搬送され、搬送アームA3と昇降ピン52との協働作用によりスピンチャック31上にウエハWを載置する。次に、ウエハWが正常に疎水化処理されているか否かを判定する判定処理を次のようにして行う。先ず、図7(a)(b)に示すように、純水供給ノズル63を供給位置に移動させ、図9に示すように、純水供給系61によって純水供給ノズル63から予め設定された量だけウエハWの表面における集積回路形成領域W1の外である周縁部に純水を供給する。ウエハWに供給された純水は、表面張力によって水滴mとなる。
【0034】
次に、図8(b)に示すように駆動部32によりウエハWを回転して、カメラ7の移動経路の真下に水滴mを移動させ、かつアーム80を、図8(b)において一点鎖線で示す純水供給位置から、図8(b)において実線で示す、水滴mの上方位置である撮像位置にカメラ7を配置する。その後、図8(a)に示すように、カメラ7によって水滴mを撮像する。
【0035】
ここで、ウエハWの表面の疎水性の指標としては、図10に示すように、水の接触角θ(水滴mの頂部とウエハW表面上の水滴mの外縁とを結ぶ線がウエハW表面に対してなす角を2倍した角度)が挙げられ、一例として図11(a)に示すウエハW表面の方が図11(b)のそれより疎水性が高いことが分かる。ウエハWが正常に疎水化処理されている場合には、ウエハWの表面の水酸基が、HDMS分子によりトリメチルシラノール基に置換される。このためウエハWの表面が疎水化され、水滴mがウエハWの表面で弾かれ、図11(a)に示すように、水滴mの直径R1が相対的に小さくなり、これにより水滴mの面積が相対的に小さくなる。一方、ウエハWが正常に疎水化処理されていない場合には、ウエハW表面の水酸基の存在によりウエハWの表面が親水性であるため、水滴mがウエハWの表面に馴染み、図11(b)に示すように、水滴mの直径R2が相対的に大きくなり、これにより水滴mの面積が相対的に大きくなる。
【0036】
そこで、この塗布、現像装置101は、カメラ7で撮像した画像をメモリ92に格納し、画像データに基づいて水滴mの面積を求め、既述のようにこの面積と閾値とを比較する。閾値より水滴mの面積が小さければウエハWが正常に疎水化処理されたものと判定し、一連のレジスト膜形成処理を続行する一方、閾値より水滴mの面積が大きければウエハWが正常に疎水化処理されていないと判定し、アラーム97に警告を出力する。一連のレジスト膜形成処理を続行する場合、次に、駆動部32によりウエハWを回転させて、遠心力でウエハWから水滴mを除去し、次いで、溶剤供給ノズルによりウエハWの中心部に溶剤を供給すると共にウエハWを回転させ、溶剤によりウエハW表面全体をプリウェットする。なお、水滴mのウエハWからの振り切り除去は、上記のように単独の処理によることなく、このプリウェット工程に兼用させてもよい。次いで、例えばウエハWを回転させたままレジスト供給ノズル67からウエハWの中心部にレジストを供給し、レジスト膜(塗布膜)をウエハWの表面全体にスピンコーティングする。なお、以上の一連のレジスト膜形成処理において、CPU91は、メモリ92やプログラム格納部93に格納されているデータやプログラムを読み出し、その読み出したプログラムに基づいて既述のカメラ7、ノズル移動機構8、83、駆動部32、モータ50、供給系61、65、68a、アラーム97等を駆動するための制御信号を出力することにより実行される。
【0037】
本発明にかかるレジスト塗布ユニット110の一形態によれば、純水をウエハWに供給し、純水の水滴mを撮像してその撮像結果に基づき接触角θに対応する情報を把握しているため、ウエハWに対して疎水化処理が正常に行われたか否かを確実に判定することができる。しかも本来レジストを扱うレジスト塗布ユニット110にて純水を取り扱っていることから、当該ユニット110内に純水がこぼれたり、付着したりして汚れるという、他のユニットであれば懸念材料となる問題が起こらない。そしてこのユニット110を塗布、現像装置101に組み込むことにより、いわばインラインで疎水化処理を判定できることから、スループットの低下を抑えながら、ロット不良を低減あるいは防止することができる。
【0038】
本発明は、疎水化処理されたウエハWの表面に検査液(純水)を供給する手法であるが、検査液の供給のタイミングとしては、ウエハWの表面にレジスト膜を形成する前に限られるものではなく、レジスト膜形成後にエッジリムーバ130から吐出した溶剤によりウエハWの周縁部のレジスト膜を除去した後であってもよい。この場合には、水滴mをカメラ7で撮像して既述の判定を行った後、ウエハWを回転させてウエハW上から水滴mを振り切って除去する。
なお、上述したレジスト塗布ユニット110では、水滴mの面積に限らず、水滴mの直径、又は周の長さに基づきウエハWが正常に疎水化処理されているか否かを判定しても良い。即ち接触角θに対応するパラメータであれば、そのパラメータに基づいて疎水化について評価することができる。また、ウエハWの複数の箇所に純水を供給し、各箇所の水滴mを複数のカメラでそれぞれ撮像し、各水滴mの画像に基づいて判定するようにしてもよい。この場合、少なくとも一つの水滴mの面積が閾値を越えていれば、疎水化処理が正常に行われていないといった判定手法を採用でき、より一層確実な判定ができる。さらに、疎水化処理の判定は、ウエハWの全数検査でもよいが、ロットの中から選択された例えば1枚について疎水化処理の検査を行うようにしてもよい。検査液としては純水に限らず、例えば溶剤を使用してもよい。また、ウエハWが正常に疎水化処理されていないと判定した場合、アラーム97によって異常を報知するとともに、一連のレジスト膜形成処理を停止する処理レシピをプログラム格納部93に設けても良い。
【0039】
本発明の液処理装置は、レジスト塗布ユニット110に限らず、例えば疎水化処理→反射防止膜形成→レジスト膜形成のステップをとるプロセスを行う場合には、反射防止膜形成ユニットに適用してもよい。また、本発明において、純水等の検査液を供給するタイミングや、検査液を撮像するタイミングは、外部からウエハWを搬入する搬送アームA3にウエハWを載せた状態であっても良いし、搬送アームA3から昇降ピン52にウエハWが受け渡された状態であっても良い。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係るレジスト塗布ユニットの他の実施形態を説明する。この実施形態において、第1の実施形態と同一構成のものには同一の符号を付して説明を省略し、第1の実施形態との差異点を中心に説明する。 図13は、第2の実施形態におけるレジスト塗布ユニット120の要部を示す説明図である。このレジスト塗布ユニット120は、上記昇降機構5の昇降ピン52によって、ウエハWをカップ4よりも高い位置に保持された状態において、ウエハWに供給された純水の水滴mの側面視を撮像するものである。 このレジスト塗布ユニット120のカメラ70は、視野が側方を向くように補助部材85を介してアーム80に取り付けてある。
【0041】
この実施の形態においても、先の実施の形態と同様にして、図14(a)及び(b)に示すように、ウエハWの表面に純水を供給する。ウエハWに供給された純水は水滴mとなる。 次に、アーム80を上方に移動し、ウエハWから純水供給ノズル63を離間させる。 次いで、昇降用モータ50を駆動することにより、図15(a)及び(b)に示すように、基板保持部3に保持されたウエハWの裏面を昇降ピン52で突き上げてウエハWをカップ4よりも高い位置に保持する。 次に、ウエハWを回転して水滴mを移動させ、かつアーム駆動部81を駆動することによって、図15(b)において一点鎖線で示す位置から、図15(b)において実線で示し、水滴mの側方位置である撮像位置にカメラ70を配置した後、カメラ70によって水滴mの側面視を撮像する。
【0042】
ウエハWが正常に疎水化処理されたものか否かの判定については、図16(a)に示すように、閾値より水滴mの高さH1が高ければウエハWが正常に疎水化処理されたものと判定する一方、図16(b)に示すように、閾値より水滴mの高さH2が低ければウエハWが正常に疎水化処理されていないと判定する。即ち、純水の吐出量が定量ポンプ等によって一定であることから、接触角θと水滴mの高さとは対応関係にあり、そのためこの例では水滴mの高さを評価要素としているが、水滴mの円周線の長さや曲率を評価要素としてもよい。この実施の形態2に係るレジスト塗布ユニット120においても、実施の形態1で説明したレジスト塗布ユニット110と同様の作用・効果を奏することができる。
【0043】
また、ウエハWをカップ4よりも高い位置に保持してカメラ7で撮像する場合、基板保持部3を昇降することによってウエハWをカップ4よりも高い位置に保持しても良い。さらに、上述した実施の形態には、カメラ70をノズル移動機構8に設けるもので説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、図17に示すように、不図示の支持部材を介してカップ4にカメラ71を取り付ける一方、カップ4に形成した開口46を透明部材47で塞ぎ、この透明部材47を透して水滴mをカメラ7で撮像しても良い。
【0044】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係るレジスト塗布ユニットの第3の実施形態を、第1の実施形態との差異点を中心に説明する。この第3の実施形態では純水の代わりに、プリウェットに用いる溶剤であるシンナーのウエハW表面における広がり具合に基づいて、疎水化処理の適否を判定する。図18に示すように、第3の実施形態のレジスト塗布ユニットではアーム80の先端にカメラ7及び溶剤供給ノズル69が設けられている。カメラ7はウエハWの中心上に位置し、ウエハWの中心部を撮像することができる。
【0045】
この第3の実施形態のレジスト塗布ユニット110における処理手順について、ウエハWの側面図である図19〜図20及びウエハWの平面図である図21〜図22を参照しながら説明する。第1の実施形態と同様にスピンチャック31にウエハWが受け渡されると、溶剤供給ノズル69がウエハWの中心部上に位置して、ウエハWの中心部に例えば3mL〜5mLの範囲内の予め設定された量のシンナーT(前処理液)を供給し(図19)、シンナーTの液だまり121を形成する(図20)。なお、このシンナーTの供給量はウエハWごとに一定である。シンナーTの供給後、アーム80が移動し、溶剤供給ノズル69に代りカメラ7がウエハWの中心部上に位置して、この液だまり121を撮像する。そして、液だまり121の画像がメモリ92に格納される(図21)。
【0046】
このシンナーの液だまり121は、第1の実施形態の水滴mと同様にウエハWの表面の疎水性が高いほど、その面積が相対的に小さくなる。そこで、判定プログラム95は、格納された画像から液だまり121の面積を求め、求めた面積を予め設定された閾値と比較する。そして、判定プログラム95は、前記面積が閾値以下であれば正常に疎水化処理が行われたと判定し、前記面積が閾値より大きければウエハWが正常に疎水化処理されていないと判定する。正常に疎水化処理が行われたと判定された場合は、スピンチャック31によりウエハWが回転する。それによって、液だまり121を構成するシンナーTが遠心力によりウエハWの周縁部へと行き渡り(図22)、ウエハWがプリウェットされ、レジストのウエハW表面に対する濡れ性が向上する。以降は第1の実施形態と同様にレジストの塗布が行われる。正常に疎水化処理が行われていないと判定された場合は、第1の実施形態と同様にアラーム97が異常を報知する。
【0047】
この第3の実施形態も第1の実施形態と同様の効果を有する。さらにこの例ではプリウェットに用いるシンナーを検査液として疎水化処理の適否を判定しているので、検査液の無駄を防ぎ、プリウェットに使用するシンナーの他に別途検査液をウエハWに供給する必要が無いので、検査に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0048】
(第3の実施形態の変形例)
水滴mと同様に前記シンナーの液だまり121もウエハWの疎水性が高いほど、その高さが大きくなるので、液だまり121の高さに基づいて疎水化処理の適否を判定することができる。この第3の実施形態の変形例では、そのように液だまり121の高さに基づいて疎水化処理の適否を判定することを除いて、第2の実施形態と略同様の検査が行われる。また、この例では第2の実施形態で説明したレジスト塗布ユニット120が用いられる。
【0049】
具体的に検査手順を説明すると、各実施形態と同様にスピンチャック31にウエハWが受け渡された後、第3の実施形態で説明したように、ウエハW中央部にシンナーTが供給されて液だまり121が形成される(図23)。液だまり121の形成後、昇降ピン52によってウエハWがカップ4の上方へ持ち上げられ、カメラ70により液だまり121の側面が撮像される。図24、図25は、夫々この撮像時におけるウエハWの側面、平面を示している。
【0050】
そして、判定プログラム95は、液だまり121の画像から液だまり121の高さH3を検出して、予め設定された閾値と比較し、前記液だまり121の高さH3が閾値以上でればウエハWが正常に疎水化処理されたと判定し、高さH3が閾値より低ければウエハWが正常に疎水化処理されていないと判定する。正常に疎水化処理が行われたと判定された場合には昇降ピン52が下降してウエハWが再びスピンチャック31に受け渡され、第3の実施形態と同様にプリウェットが行われる。正常に疎水化処理が行われていないと判定された場合にはアラーム97により異常が報知される。この変形例は第3の実施形態と同様の効果を奏する。
【0051】
この第3の実施形態及びその変形例において、液だまり121の形成前に溶剤供給ノズル69からウエハWの任意の場所に一滴シンナーを滴下した後、カメラ7またはカメラ70で液滴の表面または側面を撮像し、得られた画像に基づいてその液滴の面積あるいは高さを閾値と比較することで疎水化処理の適否を検査してもよい。疎水化処理が正常に行われていると判定された場合には、溶剤供給ノズル69からシンナーが供給されてプリウェットが行われ、疎水化処理が正常に行われていないと判定された場合にはアラームが出力されて、処理が停止する。このようにすれば、プリウェットに用いるシンナーを無駄に使用することを防ぐことができる。
【0052】
(第4の実施形態)
この第4の実施形態では、第2の実施形態の一例として説明したようにカップ4にカメラ71が取り付けられており、透明部材47を透してカメラ71によりウエハWの表面が側方から撮像される。この第4の実施形態では、ウエハWへの検査液の滴下方法について既述の各実施形態と差異がある。具体的に説明すると、ウエハWがスピンチャック31に載置されると、純水供給ノズル63がウエハWの集積回路形成領域W1の外部の上方に移動し、その下端がカメラ71の視野に収まるように下降する(図26)。
【0053】
純水供給系61により比較的緩やかな流量で純水供給ノズル63に純水が供給され、当該純水供給ノズル63の下端に液滴Lが垂れ下がる。この液滴Lはカメラ71により撮像され、判定プログラム95は、例えば図27に示すように純水供給ノズル63の下端と液滴Lの下端との距離L1の大きさを検出する。純水の供給が続けられ、液滴Lが成長して前記距離L1が予め設定された大きさになると、純水供給ノズル63への純水の供給が停止し、液滴Lの成長が停止する。
【0054】
続いて、アーム駆動部81により純水供給ノズル63が下降する。この下降中に純水供給ノズル63の下端の撮像が続けられ、液滴Lの下端とウエハWの表面との距離L2が判定プログラム95により検出される。そして、距離L2がゼロになる、即ち液滴LがウエハWに接すると、純水供給ノズル63の下降が停止する(図28)。その後、純水供給ノズル63が上昇し、液滴Lは表面張力と重力とにより純水供給ノズル63から離れる(図29)。以降は第2の実施形態と同様にこの液滴Lの高さが検出され、検出された高さに基づいて疎水化処理の適否が判定される。
【0055】
この第4の実施形態では、純水供給ノズル63に付着する液滴を当該純水供給ノズル63を下降させることでウエハWに接触させているため、他の実施形態で説明したようにウエハWをノズルから滴下させることに比べて、液滴を小さくし、当該液滴が落下中に空気抵抗を受けて飛散することを抑えることができる。従って、ウエハWの予め設定された位置に、所定の液量により構成される液滴をより確実に付着させることができるので、より確実に疎水化処理の適否の検査を行うことができ、さらに液滴が集積回路形成領域W1に付着することを防ぐことができるので、ウォーターマークの形成などの不具合が抑えられるという利点がある。
【0056】
上記の例では純水供給ノズル63から垂れ下がった液滴とウエハW表面との距離L2を測定し、その測定結果に基づいて純水供給ノズル63の位置を制御しているが、液滴をウエハWに付着させるための純水供給ノズル63の下降位置を予め設定しておき、前記ノズル63の下端と液滴の下端との距離L1が所定の大きさになったら、純水供給ノズル63を前記下降位置に下降させて、ウエハWに液滴を付着させてもよい。なお、予め純水供給ノズル63をウエハW表面に近接させた状態で、所定の量の純水を供給ノズル63に供給し、純水供給ノズル63から垂れ下がる液滴をウエハWに付着させ、然る後純水供給ノズル63を上昇させてもよい。純水供給ノズル63を上昇させた後は、ウエハWに付着した液滴を撮像して、その面積または高さを測定し、疎水化処理の適否を判定する。
【0057】
この第4の実施形態では、純水供給ノズル63の代わりに溶剤供給ノズル69を用い、シンナーの液滴をウエハWに付着させてもよい。そのように検査液がシンナーである場合には、ウエハWの中央部に液滴を付着させてもよい。また、他の実施形態にこの第4の実施形態を適用し、ノズルを昇降させて液滴をウエハWに付着させてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 疎水化処理ユニット
3 基板保持部
31 スピンチャック
32 駆動部
4 カップ(囲み部材)
5 昇降機構
52 昇降ピン
6 ノズル
60 純水供給部(検査液供給部)
61 純水供給系(供給機構)
63 純水供給ノズル
64 レジスト供給部
67 レジスト吐出ノズル
7、70、71 カメラ(撮像部)
8 ノズル移動機構(移動機構)
91 CPU
93 プログラム格納部(記憶媒体)
94 画像処理プログラム
95 判定プログラム(判定部)
96 処理レシピ
97 アラーム(異常報知部)
101 塗布、現像装置
110、120 レジスト塗布ユニット(液処理装置)
C キャリア
C1 キャリアブロック
W ウエハ(基板)
W1 集積回路形成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水化処理を行った集積回路形成用の基板にノズルから処理液を供給して塗布膜を形成する液処理装置において、
前記基板を水平に保持する、回転自在な基板保持部と、
この基板保持部に保持された基板を囲む囲み部材と、
前記基板に検査液を供給する検査液供給部と、
前記基板に供給された検査液を撮像する撮像部と、
撮像した検査液の画像に基づいて前記基板が正常に疎水化処理されたものか否かを判定する判定部と、を備えたことを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
前記検査液供給部は、予め設定された量の検査液を前記基板に供給する供給機構を備えることを特徴とする請求項1記載の液処理装置。
【請求項3】
前記撮像部は、前記基板に供給された前記検査液の平面視を撮像するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の液処理装置。
【請求項4】
前記撮像部は、前記基板に供給された前記検査液の側面視を撮像するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の液処理装置。
【請求項5】
前記基板を前記囲み部材よりも高い位置に保持するために、前記基板保持部が昇降自在であること及び前記基板保持部に保持された基板の裏面を突き上げて保持する昇降機構を備えていることの少なくとも一方の構成を備え、
前記撮像部は、前記基板が囲み部材よりも高い位置に保持されている状態で検査液を撮像するように設けられていることを特徴とする請求項4記載の液処理装置。
【請求項6】
前記ノズルは、移動機構により移動自在に構成され、
前記撮像部は、この移動機構に設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項記載の液処理装置。
【請求項7】
前記塗布膜は、レジスト膜であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項記載の液処理装置。
【請求項8】
前記塗布膜は、反射防止膜であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項記載の液処理装置。
【請求項9】
前記判定部にて基板が正常に疎水化処理されていないと判定されたときに異常を報知する異常報知部を備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項記載の液処理装置。
【請求項10】
前記検査液供給部は、基板の集積回路形成領域の外部における疎水化された表面に検査液を供給することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項記載の液処理装置。
【請求項11】
前記検査液は水またはシンナーであることを特徴とする請求項10記載の液処理装置。
【請求項12】
前記検査液供給部は、基板の中央部に検査液を供給することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項記載の液処理装置。
【請求項13】
前記検査液は、前記処理液の基板に対する濡れ性を高めるために処理液の供給前に基板に供給される前処理液として兼用されることを特徴とする請求項12記載の液処理装置。
【請求項14】
前記検査液は、シンナーであることを特徴とする請求項12または13記載の液処理装置。
【請求項15】
検査液供給部は、基板の上方に位置し、基板に検査液を供給するために開口したノズルと、
前記ノズルから検査液が垂れ下がるように当該ノズルに供給する検査液の液量を制御する液量制御機構と、
ノズルから垂れ下がった検査液が基板に付着するように前記ノズルを基板に向けて下降させる駆動機構と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項記載の液処理装置。
【請求項16】
基板にレジストを塗布し、露光後の基板に対して現像液により現像処理する塗布、現像装置において、
複数枚の基板を収納したキャリアが外部から搬入され、現像後の基板をキャリアに収納して外部に搬出するためのキャリアブロックと、
このキャリアブロックから受け渡された基板の表面を疎水化処理するための疎水化処理ユニットと、
疎水化処理された基板に対して処理液を供給し、レジストパターンを形成するための塗布膜を形成する液処理装置と、
露光後の基板に対して現像液を供給して現像処理を行う現像ユニットと、を備え
前記液処理装置は、請求項1ないし15のいずれか一項記載の液処理装置が用いられることを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項17】
基板にレジストを塗布し、露光後の基板に対して現像液により現像処理する塗布、現像方法において、
前記基板に対して疎水化処理ユニットにて疎水化処理を行う工程と、
疎水化処理された基板を液処理ユニットに搬入する工程と、
この液処理ユニット内にて基板に検査液を供給する工程と、
前記基板に供給された検査液を撮像部で撮像する工程と、
前記撮像部で撮像された検査液の画像に基づいて前記基板が正常に疎水化処理されたものか否かを判定部で判定する工程と、
前記基板にノズルから処理液を供給してレジストパターンを形成するための塗布膜を形成する工程と、を備えたことを特徴とする塗布、現像方法。
【請求項18】
前記基板に供給された検査液を、基板保持部により基板を回転させることで除去する工程を備えたことを特徴とする請求項17記載の塗布、現像方法。
【請求項19】
前記検査液は、前記処理液の基板に対する濡れ性を高めるために処理液の供給前に基板に供給される前処理液として兼用され、基板保持部により基板を回転させることで、遠心力により前記検査液を基板に広げる工程を備えたことを特徴とする請求項17記載の塗布、現像方法。
【請求項20】
基板に対して処理液を供給して、レジストパターンを形成するための塗布膜を形成し、露光後の基板に対して現像処理を行う塗布、現像装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項17ないし19のいずれか一項に記載の塗布、現像方法を実施するためのものであることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−146683(P2011−146683A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237808(P2010−237808)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】