説明

液処理装置及び液処理方法

【課題】確実な基板保持を実現しつつ、基板表面を効率的に液処理可能な液処理装置及び液処理方法を提供する。
【解決手段】開示される液処理装置は、基板を裏面から支持する基板支持部材と、前記基板支持部材を回転する回転機構と、前記基板支持部材に支持される前記基板に処理液を供給する処理液供給部と、前記基板支持部材に支持される前記基板に対して気体を噴出し、前記基板を前記基板支持部材に押圧する気体噴出部であって、前記基板支持部材を介して前記回転機構により回転される前記基板の回転方向における前記処理液供給部の上流側に配置される当該気体噴出部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハ等の基板に対して所定の液処理を行う液処理装置及び液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやフラットパネルディスプレー(FPD)の製造工程においては、半導体ウエハやガラス基板などの基板に処理液を供給する液処理プロセスが行われる。このようなプロセスとしては、例えば、基板に付着したパーティクルやコンタミネーション等を除去する洗浄処理、フォトリソグラフィ工程における現像液供給処理、エッチング工程におけるエッチング処理などを挙げることができる。
【0003】
液処理プロセスに使用される液処理装置として、半導体ウエハ等の基板の裏面中央部をスピンチャックで保持して基板を回転し、基板の表面かつ/又は裏面に処理液を供給して基板の表面かつ/又は裏面を処理する枚葉式のものが知られている。
【0004】
また、特に基板の洗浄処理においては、基板の裏面全体を洗浄するため、基板の外周端部を複数の保持部材で押さえて基板を回転するよう構成される装置がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−176795号公報
【特許文献2】特開2009−147146号公報(段落0033、0043)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板の外周端部を複数の保持部材により保持する場合には、処理液が、基板回転中に基板表面上を外周方向へ流れ保持部材に当たって跳ね返り、基板表面に再付着するおそれがある。このため、基板の外周端部を保持する保持部材に代わって、基板の裏面を支持部材で支持しつつ、基板表面のほぼ全体に対してNガスなどのガスを噴出するとともに吸引することにより基板を保持する基板処理装置が提案されている(特許文献2)。
【0007】
この基板処理装置によれば、基板の外周端部に保持部材がないため、処理液の跳ね返りは生じず、したがって、基板表面への処理液の再付着という問題は解消される。
しかし、基板表面のほぼ全体に対してガスが噴出される場合、基板表面を流れる処理液の流れが噴出されるガスによって阻害されるおそれがある。
【0008】
本発明は、このような点を考慮して為され、ガスを噴出することにより基板を押さえつつ基板表面を洗浄する際に、基板表面上の洗浄液の流れが噴出するガスにより阻害されるのを抑制可能な液処理装置及び液処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、基板を裏面から支持する基板支持部材と、前記基板支持部材を回転する回転機構と、前記基板支持部材に支持される前記基板に処理液を供給する処理液供給部と、前記基板支持部材に支持される前記基板に対して気体を噴出し、前記基板を前記基板支持部材に押圧する気体噴出部であって、前記基板支持部材を介して前記回転機構により回転される前記基板の回転方向における前記処理液供給部の上流側に配置される当該気体噴出部とを備える液処理装置が提供される。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、基板支持部材により基板を裏面から支持するステップと、前記基板支持部材に支持される前記基板に対して気体を噴出する気体噴出部から気体を噴出し、前記基板を前記基板支持部材に押圧するステップと、前記基板支持部材を回転することにより前記基板を回転するステップと、前記基板の回転方向における前記気体噴出部の下流側に配置される処理液供給部から、前記基板支持部材に支持され回転される前記基板に対して処理液を供給するステップとを含む液処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、基板回転時のずれを容易に抑制しつつ効率的に液処理を行うことができる液処理装置及び液処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による液処理装置を含む基板処理装置を示す概略上面図である。
【図2】本発明の実施形態による液処理装置を示す概略側面図である。
【図3】図2の液処理装置の複合部材とウエハとの水平方向における位置関係を示す図である。
【図4】図2の液処理装置の複合部材の機能を説明する説明図である。
【図5】本発明の実施形態による液処理装置の複合部材の変形例を説明する説明図である。
【図6】本発明の実施形態による液処理装置の複合部材の他の変形例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付図面においては、同一の又は対応する部品または部材には、同一の又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
始めに、図1を参照しながら、本発明の実施形態による液処理装置を含む基板処理装置について説明する。図1に示すとおり、基板処理装置100は、複数のウエハWを収容する複数の(図示の例では4つの)ウエハキャリアCが載置されるキャリアステーションS1と、キャリアステーションS1と後述の液処理ステーションS3との間でウエハWを受け渡す搬入出ステーションS2と、本発明の実施形態による液処理装置1が配置される液処理ステーションS3とを備える。
【0015】
搬入出ステーションS2には、ウエハキャリアCからウエハWを搬出してステージ13に載置し、また、ステージ13からウエハWを取り上げてウエハキャリアCへ搬入する搬送機構11を有している。搬送機構11は、ウエハWを保持する保持アーム11aを有している。搬送機構11は、ウエハキャリアCの配列方向(図中のX方向)に延びるガイド12に沿って移動することができる。また、搬送機構11は、X方向に垂直な方向(図中のY方向)及び上下方向に保持アーム11aを移動させることができ、水平面内で保持アーム11aを回転させることができる。
【0016】
液処理ステーションS3は、Y方向に延びる搬送室16と、搬送室16aの両側に設けられた複数の液処理装置1とを有している。搬送室16には、搬送機構14が設けられ、搬送機構14は、ウエハWを保持する保持アーム14aを有している。搬送機構14は、搬送室16に設けられY方向に延びるガイド15に沿って移動することができる。また、搬送機構14は、保持アーム14aをX方向に移動することができ、水平面内で回転させることができる。搬送機構24は、搬入出ステーションS2の受け渡しステージ13と各液処理装置1との間でウエハWを搬送する。
【0017】
以上の構成を有する基板処理装置100においては、キャリアステーションS1に載置されるウエハキャリアCから搬送機構11によってウエハWが取り出されてステージ13に載置される。ステージ13上のウエハWは、液処理ステーションS3内の搬送機構14により液処理装置1に搬入され、ウエハWの表面に対して液処理が行われる(後述)。液処理後、ウエハWは、搬入時と逆の経路(手順)によりウエハキャリアCへ戻される。また、一のウエハWに対して液処理が行われる間に、他のウエハWが他の液処理装置1へ順次搬送され、他のウエハWに対して液処理が行われる。このため、高いスループットでウエハWに対して液処理を行うことができる。
【0018】
次に、図2から図4までを参照しながら、液処理装置1について説明する。図示のとおり、液処理装置1は、ウエハWを支持するウエハ支持部材10と、ウエハ支持部材10を回転するモータMと、ウエハWをウエハ支持部材10に対して押圧するとともに、ウエハ支持部材10に支持されるウエハWに対して処理液を供給する複合部材20とを備える。また、液処理装置1には、ウエハ支持部材10の周囲を取り囲み、流体供給部材200からウエハWに供給される処理液を受け取り、排出口30dから外部へ排出するカップ部30が設けられている。液処理装置1は筐体1Cを有し、上述のウエハ支持部材10、モータM、複合部材20、及びカップ部30などが筐体1C内に収容されている。また、筐体1Cには、ウエハWを筐体1C内に搬入し、筐体1Cから搬出するための搬送口1Hが設けられ、搬送口1Hは、駆動部(図示せず)により駆動されるシャッター1Gにより開閉可能である。
【0019】
ウエハ支持部材10は、中央部に開口を有する円環形状のプレート部材10aと、プレート部材10aの裏面側において中央部の開口の開口縁に取り付けられる中空の円筒形状のベース部10bと、プレート部材10aの外周から立ち上がる円筒形状の円周部10cとを有している。円周部10cは、ウエハWの外径よりもわずかに大きい内径を有し、上部には、円周部10cから内方に延びる爪部Sが設けられている。図3に示すように、本実施形態においては、円周部10cには、12個の爪部Sが所定の間隔で設けられている。これらの爪部SはウエハWの裏面周縁部に接してウエハWを支持する。
【0020】
再び図2を参照すると、ベース部10bの内側には、筐体1の底部中央に設けられた開口に取り付けられるスリーブ34sが設けられている。また、スリーブ34sの上端には、スリーブ34sとベース部10bとの隙間から、後述する処理液供給部20Lからの液体が流れ落ちるのを防ぐため、バッフル板34bが設けられている。また、ベース部10bの上端が延在し、液体(流体)がバッフル板34bの下方を回り込むのを抑えている。
【0021】
また、モータMは、ウエハ支持部材10のベース部10bを取り囲み、ベース部10bを回転可能に保持している。これによりウエハ支持部材10とウエハ支持部材10に支持されるウエハWとを回転することができる。
【0022】
ウエハ支持部材10により支持されるウエハWの上方には複合部材20が配置されている。複合部材20は、支持部材20Sにより昇降機構20Eに接続され、昇降機構20Eにより上下に移動可能である。複合部材20は、ウエハWが筐体1C内に搬入されるとき、昇降機構20Eによって上方位置に退避し、ウエハWが搬入されてウエハ支持部材10によりウエハWが支持された後、昇降機構20Eにより下降し、ウエハWの表面から僅かに上方に配置される。また、昇降機構20Eには駆動機構20Dが設けられ、駆動機構20Dにより昇降機構20Eひいては複合部材20が水平方向に移動可能である。
【0023】
図3は、複合部材20及びウエハWの水平方向の位置関係を示す図である。図示のとおり、複合部材20は、ウエハWのほぼ中心から外縁に向かって概ね半径方向に沿って延びている。本実施形態においては、複合部材20は、ウエハWに対して処理液を供給する処理液供給部20Lと、ウエハWに対して気体、例えば窒素(N)ガスを噴出すると共に、噴出したNガスを吸引するガス噴出吸引部20Gとを有している。図示のとおり、処理液供給部20LはウエハWの半径方向に沿うように、ウエハWのほぼ中心から外縁にまで延びている。また、ガス噴出吸引部20Gは、ウエハWの回転方向RDに対する処理液供給部20Lの上流側において、処理液供給部20Lとほぼ平行に配置されている。
【0024】
処理液供給部20Lは、本実施形態においては、複合部材20の長手方向に延びる導管として形成され、導管の底部には、ウエハWに向かって開口する複数の孔2LHが所定の間隔で形成されている。また、処理液供給部20Lには、図2に示すように、開閉弁3LV、流量計3LF、及びニードル弁3LNが設けられた配管3Lを介して処理液供給源LSが接続されている。このような構成により、処理液供給源LSから供給される処理液が、処理液供給部20Lの複数の孔2LHからウエハWに向けて供給される。処理液としては、例えば洗浄処理においては脱イオン水(DIW)、アルコール(例えばイソプロピルアルコール(IPA)、SC1(NHOH+H+HO)、又はSC2(HCl+H+HO)などを用いることができる。また、現像処理においては現像液が薬液として用いられる。さらに、エッチング処理においては、フッ酸(HF)、バッファードフッ酸(BHF)、又はHNOなどを処理液として使用しても良い。
【0025】
ガス噴出吸引部20Gには、図3及び図4に示すように、ウエハWに向かって開口する複数の孔2GH及び2EHが2列に形成されている。複数の孔2GHと複数の孔2EHとは、本実施形態においては、複合部材20の長手方向に沿って交互に配列されている。複数の孔2GHは、所定の導管を通して、開閉弁3GV、流量計3GF、及びニードル弁3GNが設けられた配管3Gの一端に接続されている。配管3Gの他端にはガス供給源GSが接続されている。このような構成により、ガス供給源GSから供給されるガスが、図4に矢印AGで示すように、複数の孔2GHからウエハWに向けて噴出される。
【0026】
なお、処理液供給源LSは加熱装置LShを含むことができ、処理液に応じて、常温よりも高い温度に処理液を加熱し、処理液供給部20Lへ供給しても良い。この場合、ガス供給源GSもまた加熱装置GShを含むことが好ましい。加熱装置GShにより所定の温度にガスを加熱し、ガス噴出吸引部20Gを通してウエハWへ供給すれば、ウエハWの温度ひいては処理液の温度が低下するのを抑えることができるため、洗浄効果の低減を抑制することができる。また、処理液やガスを加熱する場合には、配管3L及び配管3Gに例えばテープヒータHを巻き付けることにより、これらの配管3L,3Gを所定の温度に維持することが好ましい。
【0027】
また、複数の孔2EHは、所定の導管を通して、開閉弁3EV、流量計3EF、及びニードル弁3ENが設けられた配管3Eの一端に接続されている。配管3Eの他端には吸引装置ESが接続されている。吸引装置ESは、例えば真空ポンプであって良い。このような構成により、複合部材20とウエハWとの間の空間の雰囲気が、図4に矢印AEで示すように、複数の孔2EHから吸引装置ESによって吸引される。
【0028】
次に、これまで参照した図面を再び参照しながら、上記のように構成される液処理装置1の動作(液処理方法)を説明する。昇降機構20E(図2)により複合部材20が上方に退避し、シャッター1Gが開くと、搬送アーム(例えば搬送機構14の保持アーム14a)によりウエハWが筐体1C内へ搬入される。搬送アームからウエハ支持部材10にウエハWが受け渡され、搬送アームが筐体1Cから退出した後、昇降機構20Eにより複合部材20が下降し、ウエハWの表面の僅かに上方に配置される。続いて、複合部材20のガス噴出吸引部20GからウエハWの表面に対してガスが噴出され、モータMによりウエハ支持部材10ひいてはウエハWが回転される。次いで、複合部材20の処理液供給部20LからウエハWの表面に処理液が供給される。
【0029】
所定の時間、処理液を供給した後、処理液供給部20Lからの処理液の供給を停止し、ウエハ支持部材10の回転を停止するとともに、複合部材20のガス噴出吸引部20Gからのガスの供給を停止する。この後、筐体1C内にウエハWを搬入したときと逆の手順によりウエハWを筐体1Cから搬出し、液処理装置1における液処理が終了する。
【0030】
上記のように構成される液処理装置1によれば、複合部材20のガス噴出吸引部20Gの複数の孔2GHからウエハWに向けてガスを噴出することにより、ウエハ支持部材10の爪部SにウエハWを押しつけることができる。モータM(図2)によってウエハ支持部材10が回転すると、ウエハWが爪部12に対して滑る場合がある。このような滑りは、特に回転開始時及び回転停止時において生じやすい。しかし、本実施形態における複合部材20のガス噴出吸引部20Gによれば、ウエハWをガスにより爪部Sに押しつけることができるため、ウエハWの回転ずれを抑制してウエハWを確実に支持することができる。
【0031】
また、ガス噴出吸引部20Gは、ウエハWの回転方向RDに対し、処理液供給部20Lの上流側に位置している。処理液供給部20Lから供給される処理液は、処理液供給部20Lからウエハ回転方向下流側に向かって流れるため、ガス噴出吸引部20Gから噴出されるガスにより、処理液の流れが阻害され難く、ウエハWの表面のほぼ全体に処理液が行き渡る。したがって、ウエハWの表面を均一に処理することが可能となる。
また、ガス噴出吸引部20Gから噴出されるガスは、処理液の流れを阻害し難いため、噴出ガス量を増加して、ウエハWをより確実に保持することが可能となる。
【0032】
しかも、ガス噴出吸引部20Gは、処理液供給部20Lの上流側においてウエハWの表面に対してガスを吹き付けるため、処理液供給部20Lから供給されてウエハWの表面をウエハ回転方向下流側に流れる処理液は、再び処理液供給部20Lの下方に至る前に、ガス噴出吸引部20Gからのガスにより吹き切られ得る。このため、ウエハWの表面を流れてきた処理液は、処理液供給部20LからウエハWの表面に供給される処理液に混ざるのを抑制することができる。したがって、ウエハWの表面に新鮮な処理液を供給することが可能となり、処理効率を向上することができる。
【0033】
さらに、ガス噴出吸引部20Gの複数の孔2GHからウエハWに向けてガスを噴出するとともに、総噴出量とほぼ同一又は僅かに少ない流量で、複数の孔2EHからガスを吸引することによっても、ウエハ支持部材10の爪部Sに支持されるウエハWを爪部Sに押しつけることができる。すなわち、これによってもウエハWを確実に支持することができる。しかも、ガスの噴出と吸引とを同時に行うことにより、ガス噴出吸引部20GとウエハWとの間の空間には(常圧よりも高い)所定の圧力を有する均一なガスの層が形成され得るため、ウエハWを押しつけるだけでなく、ウエハWの反り(撓み)を矯正することも可能となる。
【0034】
以下、複合部材20の変形例について説明する。図5は、変形例の複合部材21及びウエハWの水平方向の位置関係を示す図である。図示のとおり、複合部材21は、ウエハWの直径とほぼ同一又は僅かに長い長さを有し、概ねウエハWの直径に沿って配置されている。また、複合部材21には、処理液供給部20Lに加えて処理液供給部21Lが設けられている。この変形例においては、処理液供給部21Lは処理液供給部20Lとほぼ平行に並んで配置されている。処理液供給部21Lには、図示は省略するが、処理液供給部20Lに接続される配管3Lと同一の構成を有する配管の一端が接続され、この配管の他端には、他の処理液を供給する供給源が接続されている。また、処理液供給部21Lにも、処理液供給部20Lと同様に、ウエハWに向かって開口する複数の孔2LHが所定の間隔で形成されている。このような構成により、例えば洗浄処理において、処理液供給部20Lから例えばDIWを供給し、処理液供給部21Lから例えばIPAを供給することができる。
【0035】
複合部材21においては、ガス噴出吸引部20Gは、処理液供給部20L及び21Lが延びる方向と反対方向に延びている。この点を除き、複合部材21のガス噴出吸引部20Gは、複合部材20のガス噴出吸引部20Gと同様の構成を有している。このため、ガス噴出吸引部20Gは、ウエハWを爪部Sに押しつけることができ、これによりウエハWを確実に支持することができる。また、ガス噴出吸引部20Gの位置は、ウエハの回転方向RDにおける処理液供給部20L及び21Lの上流側に相当するため、複合部材20と同様の効果を発揮することができる。
【0036】
なお、図5では、処理液供給部20LがウエハWのほぼ中心から外縁に向かって、ほぼ半径方向に沿って配置され、処理液供給部21Lは半径方向からずれて配置されている。しかし、処理液供給部21Lから処理液を供給する場合は、図2に示した駆動機構20Dにより複合部材21を移動して、処理液供給部21LがウエハWのほぼ中心から外縁に向かって、ほぼ半径方向に沿って配置することができる。
【0037】
図6は、他の変形例の複合部材22及びウエハWの水平方向における位置関係を示す図である。図示のとおり、複合部材22は、ウエハWの直径とほぼ同一又は僅かに長い長さを有し、概ねウエハWの直径に沿って配置されている。図5に示す複合部材21と同様に、複合部材22は、互いにほぼ平行に並んで配置される処理液供給部20Lと処理液供給部21Lとを有している。これらにより、処理液供給部20L及び処理液供給部21Lに対応した洗浄液を供給することが可能となる。
【0038】
複合部材22のガス噴出吸引部20Gは、複合部材22の一端側から他端側まで延びている。換言すると、このガス噴出吸引部20Gは、処理液供給部20L及び処理液供給部21Lとほぼ平行な部分と、処理液供給部20L及び処理液供給部21Lが延びる方向と反対方向に沿って延びる部分とを有している。この点を除き、ガス噴出吸引部20Gは、複合部材20及び21のガス噴出吸引部20Gと同様の構成を有している。このような構成によれば、複合部材22は広い範囲でウエハWを押圧することができるため、ウエハWをより確実に支持することが可能となる。また、複合部材22のガス噴出吸引部20Gは、処理液供給部20L及び21Lに対して、ウエハWの回転方向の上流側に配置されているため、上述の複合部材20及び21と同様の効果を発揮することができる。
【0039】
なお、処理液供給部20L及び21LをウエハWに対して位置合わせするために、駆動機構20Dにより複合部材22を水平方向に移動して良いことは、先に説明した複合部材21と同様である。
【0040】
以上、幾つかの実施形態及び変形例を参照しながら本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態及び変形例に限定されることなく、添付の特許請求の範囲に照らし、種々に変形又は変更が可能である。
【0041】
例えば、上記の実施形態及び変形例において、ガス噴出吸引部20Gと処理液供給部20Lとは複合部材20に一体に設けられていたが、ウエハの回転方向における処理液供給部20Lの上流側にガス噴出吸引部20Gが配置される限り、ガス噴出吸引部20Gと処理液供給部20Lとを別体で構成しても良い。
また、ガス噴出吸引部20Gは図示の形状に限らない。また、ガス噴出吸引部20Gの大きさ(面積)、複数の孔2GHの数、複数の孔2EHの数、並びに複数の孔2GH及び2EHの列の数は、図示のものに限定されることなく、例えばウエハWのサイズや、ガス噴出吸引部20Gから噴出されるガスの噴出量及び噴出圧力等を考慮し、ウエハWを確実に押圧できるよう決定することが好ましい。
また、上記の実施形態及び変形例においては、ウエハ支持部材10は爪部Sを有し、爪部SによりウエハWの裏面周縁部が支持されるが、これに限らず、ウエハWの裏面周縁部より内側においてウエハWを支持しても良い。
【0042】
ガス噴出吸引部20Gから噴出されるガスは、Nガスに限らず、例えば清浄空気であっても良い。
また、図2から図4を参照しながら説明した複合部材20に、図5を参照しながら説明した複合部材21における処理液供給部21Lを設けても良い。逆に、複合部材21及び22において、処理液供給部20L及び21Lのいずれか一方を設けても良い。
【0043】
さらに、複合部材20,21,22は、細長い棒状の形状でなく、例えば扇状の形状を有しても良い。
また、図2に示す加熱装置LShは、処理液供給源LSから独立して設けても良く、加熱装置GShは、ガス供給源GSから独立して設けても良い。
【0044】
また、処理液供給部20L又は21Lは、2種類以上の処理液を切り替えて供給できるように構成されても良い。例えば、処理液供給部20Lに接続される配管3Lに三方弁を設け、三方弁の一端に、他の処理液の供給源と接続される他の配管を接続し、三方弁を切り替えることにより、供給する処理液を切り替えても良い。他の配管に、開閉弁、流量計、及びニードル弁を設けてよいことは勿論である。
また、ウエハWは半導体ウエハに限らず、FPD用のガラス基板であっても良い。
【符号の説明】
【0045】
1・・・液処理装置、1C・・・筐体、1G・・・シャッター、1H・・・搬送口、10・・・ウエハ支持部材、10a・・・プレート部材、10b・・・ベース部、10c・・・円周部、S・・・爪部、20・・・複合部材、20D・・・駆動機構、20E・・・昇降機構、20S・・・支持部材、20G・・・ガス噴出吸引部、20L・・・処理液供給部、2LH,2GH,2EH・・・孔、LS・・・処理液供給源、GS・・・ガス供給源、ES・・・吸引装置、M・・・モータ、W・・・ウエハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を裏面から支持する基板支持部材と、
前記基板支持部材を回転する回転機構と、
前記基板支持部材に支持される前記基板の外縁から前記基板の中心方向に向って延び、当該基板に処理液を供給する処理液供給部と、
前記基板支持部材に支持される前記基板に対して気体を噴出し、前記基板を前記基板支持部材に押圧する気体噴出部であって、前記基板支持部材を介して前記回転機構により回転される前記基板の回転方向における前記処理液供給部の上流側に配置される当該気体噴出部と
を備える液処理装置。
【請求項2】
前記気体噴出部が前記処理液供給部と並置される、請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記基板の外縁から前記基板の中心方向に向かって前記処理液供給部が延びる方向と反対方向に前記気体噴出部が延びる、請求項1に記載の液処理装置。
【請求項4】
前記気体噴出部と前記処理液供給部とが一の部材に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項5】
前記気体噴出部から噴出される気体を吸引可能な気体吸引部を更に備え、
前記気体噴出部と前記気体吸引部とにより、前記基板を前記基板支持部材に押圧可能な気体噴出吸引部が構成される、請求項1に記載の液処理装置。
【請求項6】
前記気体噴出吸引部が前記処理液供給部と並置される、請求項5に記載の液処理装置。
【請求項7】
前記基板の外縁から前記基板の中心方向に向って前記処理液供給部が延びる方向と反対方向に前記気体噴出吸引部が延びる、請求項5に記載の液処理装置。
【請求項8】
前記気体噴出吸引部と前記処理液供給部とが一の部材に配置される、請求項5から7のいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項9】
前記基板支持部材に支持される前記基板に他の処理液を供給する他の処理液供給部を更に備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項10】
前記処理液供給部及び前記他の処理液供給部の一方を、前記基板の中心から前記基板の外縁にまで延びるように配置させる移動機構を更に備える、請求項9に記載の液処理装置。
【請求項11】
前記液処理供給部に対して供給される前記処理液を加熱する第1の加熱装置を更に備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項12】
前記気体噴出部に対して供給される前記気体を加熱する第2の加熱部を更に備える、請求項11に記載の液処理装置。
【請求項13】
基板支持部材により基板を裏面から支持するステップと、
前記基板支持部材に支持される前記基板に対して気体を噴出する気体噴出部から気体を噴出し、前記基板を前記基板支持部材に押圧するステップと、
前記基板支持部材を回転することにより前記基板を回転するステップと、
前記基板の回転方向における前記気体噴出部の下流側に配置される処理液供給部から、前記基板支持部材に支持され回転される前記基板に対して処理液を供給するステップと
を含む液処理方法。
【請求項14】
前記押圧するステップが、前記気体噴出部から噴出される気体を吸引可能な気体吸引部により前記気体を吸引しつつ前記基板を前記基板支持部材に押圧するステップである、請求項13に記載の液処理方法。
【請求項15】
前記基板支持部材に支持される前記基板に他の処理液を供給する他の処理液供給部から、前記他の処理液を供給するステップを更に含む、請求項13又は14に記載の液処理方法。
【請求項16】
前記処理液供給部及び前記他の処理液供給部のいずれかを、前記基板の中心の上方に位置するよう移動させるステップを更に含む、請求項15に記載の液処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−169504(P2012−169504A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30265(P2011−30265)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】