説明

液晶露光装置

【課題】露光装置において、基板をチャックに接触支持する方法では、基板に付着した塵埃、基板保持形状に倣った「裏面転写」が発したり、基板とチャックとの接触の順番などにより基板に皺などが発生し平坦度が損なわれて、露光不良が発生する可能性があった。
【解決手段】基板をチャック上に空気力を利用して基板を浮上させる手段を設けて、非接触で基板を保持することにより、接触状態により発生する可能性がある平坦度の棄損と皺の発生を防ぎ、露光パターンを高精度で基板に露光することができる。また、恒温(定温)手段を設けることにより、浮上させた基板の温度変化(上昇)を防ぐことができるので、基板の浮上露光による遜色はない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置に関する。例えば、液晶表示用パネルの製造装置、特にマスクに描かれたパターンをガラス基板上に露光する液晶露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板,プラズマディスプレイパネル用基板,有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われる。一般に、露光装置は、基板を真空吸着して保持するチャックを備え、チャックに保持された基板の表面へフォトマスクを透過した光を照射して露光を行う。
【0003】
チャックには、従来、基板保持面が平らなものと、基板保持面にピン形状の凸部を複数設けたものとがあった。後者は、ピン形状の凸部により複数の点で基板を支持し、ピン形状の凸部以外の部分と基板との空間を真空引きすることにより、基板を真空吸着して保持する。この様なチャックでは、大型の基板を均等に真空吸着するために、ピン形状の凸部以外の部分と基板との空間を複数の真空区画に分けて真空引きを行っていた。このため、基板保持面には、複数の真空区画を形成するための土手(ライン)が設けられていた。
【0004】
ガラス基板等の様に光が透過する基板では、露光時に基板を透過した光がチャックで反射し、再び基板を透過して基板の表面に達することにより、チャックの表面形状等が基板の表面に焼き付けられる現象が発生することがある。この現象は、「裏面転写」と呼ばれている。
【0005】
従来の基板保持面が平らなチャックでは、基板の裏面の汚れがチャックに堆積し、この汚れにより裏面転写が発生していた。これに対し、基板保持面にピン形状の凸部を設けたチャックでは、汚れの堆積による裏面転写の発生が少ない。
【0006】
しかし、真空区画の吸着力は、強くしすぎると、基板保持面の形状に倣い、「裏面転写」という現象が発生するために、吸着力を、2段階に切り替えられるようにしたものも提案されている。具体的には、最初に、強い吸着力で早く基板をチャックに保持し、次に、「裏面転写」を避けるために、弱い吸着力で基板を保持して基板の変形を小さくして、露光を行うようになっていた。ここで、吸着力を2段に切り替えるのには、真空区画に設けた、吸着孔につなぐ真空力を高真空と低真空に切り替えて実現している。
【0007】
チャックへの基板の搭載は、通常、チャックに設けた複数の突き上げピンを介して行われる。突き上げピンは、チャックの表面より上昇して、基板をロボット等のハンドリングアームから受け取った後、再び下降して、基板をチャックの表面に載せる。
【0008】
露光装置には、露光不良の低減と共に、量産性能を向上させるためにタクトタイムの短縮が求められている。タクトタイムの短縮のためには、突き上げピンの下降,上昇の速度を上げて、基板を早く、チャックに設置し、露光後は、迅速に取り外す事が有効である。
【0009】
しかし、ピンの下降速度を上げて基板をチャックに近づけると、基板とチャックの間の空気が完全に外に逃げず、空気が基板とチャックの中央部に残り、基板の中央部が膨れて、平坦度が損なわれるという問題が発生する。
【0010】
そして、この速度を上げれば上げるほど、空気が閉じ込められて中央部が大きく膨れるという問題が顕在化する。このため、露光装置のタクトタイムを短縮するためには、基板をチャックに搭載する時に、基板とチャックの間に閉じ込められる空気を、効果的に排出する必要がある。このため、チャック表面の非真空区画に、チャックの中央から左右・上下の両端に繋がる溝を設けるとともに、この溝にチャック表面側(基板取り付け側)から裏面(背面)に抜ける空気孔を設けることにより、基板とチャックに閉じ込められた空気を、前記の溝と空気孔を介して、迅速に(効果的に)、チャックの側面と背面に空気を排出するチャック構造が提案されていた。ここで、空気孔は、「裏面転写」を引き起こさないように、直径4ミリ以下に指定されている。
【0011】
前述したように、チャック表面の土手により、真空区画と非真空区画を設け、非真空区画には、基板をチャックに近接させるときに発生する両者間の空気を迅速に排出する溝と空気孔が設けられていた。また、真空区画には、ピン状の凸部と吸着孔を設け、吸気孔の真空度を高真空と低真空に切り替えることにより、基板をチャックに装着する時には、強い吸着力で基板を保持して、迅速に空気を排出してタクトタイムを短縮して高速化し、そして、露光時には、弱い吸着力で保持する事により、土手,凸部との接触による接触変形を小さくすることにより、裏面転写の少ない、つまり、不良発生の少ない露光装置が提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−180125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
文献1の公知例では、土手により区画した、真空区画をチャック全面に設け、この真空区画には「裏面転写」を防止するためには、基板を点(微小面積)接触させるために多数のピン状の凸部を設ける必要があり、また、非真空区画には、溝と小さな径の空気孔を多数設ける必要があり、チャック表面の加工が非常に複雑で生産性が悪いという課題があった。
【0014】
また、真空区画の吸着力を、高真空と低真空に切り替え可能として、露光時には、吸着力を小さくして、基板との接触部の変形を小さくして、基板の平坦性を確保しようとしているが、基板を土手で支持して吸着接触させている限りは、接触部での変形が発生するために、完全に基板の平坦性を確保する事が難しい。このため、基板保持面の形状に倣い「裏面転写」の可能性が残る。
【0015】
また、基板の大型化に伴い、チャック面も大型化しており、このため、真空区画の数が増加しているため、真空区画をつくる土手の高さを同一にする事は製作上難しく、土手と基板との接触状態の違いにより気密性の違いが発生する可能性がある。具体的には、土手の高さのばらつき,塵埃の噛みこみ等で、基板と土手とが完全に接触できず、部分的にすき間が発生した真空区画では、周囲から真空区画に空気が流入し、同一の真空力(ポンプ)で空気を引いても、全ての真空区画の真空度を同じにするのはできない。このため、各々の真空区画の吸引力に差異が発生して、それにより基板の変形が異なり、平坦度が損なわれて、マスクパターンを高精度に露光する事ができない、という可能性がある。また、基板保持面の形状に倣い、「裏面転写」が発生する可能性がある。
【0016】
また、大きな基板では、基板中心から外側に向かって順次、チャックに接触させていくことが難しく、もし、最初に、基板の外側からチャックに接触して、次に、内側が接触した場合には、チャックと基板に残った空気を空気孔,真空区画で排除しても、基板外側とチャックとの接触摩擦により、基板の皺が伸びて、平行になる事はない。これは、例えば、大きな絨毯を敷いた場合、一度何らかの理由で、中央部にふくらみができると、絨毯と床との接触摩擦により、絨毯が平坦になる事は無いことから、容易に理解できる。
【0017】
つまり、凸部,土手からなる真空区画をチャック全面に設けて、基板を接触支持(保持)する方法では、もし、図15(1)に示すように、基板が大きくなると、基板の中央に空気が残り易くなる。これは、基板への下降速度が速くなるほど顕著になる。空気などにより中央部が膨れた形状で基板をチャックに設置した場合には、たとえ、真空区画により両者の空気を真空力200で排出したとしても、基板の周辺部と真空区画との接触摩擦により、基板が平坦にならないので、図15(2)に示すように基板に皺201が残る可能性があった。
【0018】
本発明は、以下の事項のうち少なくとも1つ以上を達成することを目的とする。なお、以下の事項はそれぞれ独立して達成される場合もあれば、複数が同時に達成される場合もある。
(1)「裏面転写」を防止すること。
(2)基板のチャック搭載時間を短縮してタクトタイムを短縮すること。
(3)基板をチャックへ平坦に保持する事によりマスクの露光パターン(形状)を正確に露光可能な、つまり、歪(変形)の無い高精度露光を実現できること。
(4)チャックの製造が簡単な露光装置の提供を可能とすること。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は上記目的を達成するために以下の特徴を備える。なお、本発明は以下の特徴をそれぞれ独立して備える場合もあれば、複数の特徴を同時に備える場合もある。
【0020】
本発明の第1の特徴は、基板をチャック上に空気膜(ベアリング)で浮上させる浮上手段を設けることにある。具体的には、チャックの表面に圧縮空気を吐出する吐出口を設け、吐出孔からの高圧空気により基板をチャック表面に浮上させて、非接触で基板を保持する機構とする。
【0021】
本発明の第2の特徴は、基板を吸着保持する吸着保持手段を設けることにある。基板を浮上させた場合には、基板とチャックとの間の接触抵抗がなくなり、基板が平面方向に自由に移動するため、これを防ぎ基板の位置(回転角度・姿勢)をチャックに対して一定に保持するためである。
【0022】
この吸着保持手段の、一つとしては、(a)突き上げピンの先端に、吸着孔を設けた、吸着孔付き突き上げピンである。この吸着孔付き突き上げピンにより、搬入時における基板のチャックに対する位置(回転角度・姿勢)が、露光から排出されるまで保持される(このために、基板の位置(姿勢)をロボットにより搬入する前に測定しておけば、そのデータをチャックの位置(姿勢)制御データとして用いることができる。)。
【0023】
また、前記の吸着保持手段の、別の例としては、(b)チャックに、吸着孔と土手とから形成される真空区画を設ける。そして、この土手の高さを露光時の基板浮上量と略同じ高さに設定している。そして、これらの吸着保持手段は、基板のチャック対向面側(マスク対向面とは反対側)を保持する。これにより、マスクを、基板に近接する事が可能となり、所謂、プロキシミティ(近接)露光が可能となる。
【0024】
本発明の第3の特徴は、基板の温度を一定に保つため(恒温化するため)の恒温化手段を設ける。恒温手段としては、例えば、チャックに恒温装置を設置するもの、基板とチャックの間の空気を、基板の冷却性能に優れた、気体に変える。
【0025】
また、本発明はその他の特徴として以下の特徴を有する。
【0026】
本発明の第4の特徴は前記基板を搭載する第1の搭載部を有し、前記第1の搭載部は、前記基板を前記第1の搭載部に対して浮上させる第1の基板浮上部を有することにある。
【0027】
本発明の第5の特徴は、前記第1の基板浮上部は、前記基板へ媒体を供給する供給部を有することにある。
【0028】
本発明の第6の特徴は、前記供給部は、第1の媒体と、前記第1の媒体よりも低い圧力の媒体を前記基板へ供給し、前記第1の媒体の供給量と、前記第2の媒体の供給量を制御することにある。
【0029】
本発明の第7の特徴は、前記第1の搭載部は、前記基板を載せる第1の上下移動部を有することにある。
【0030】
本発明の第8の特徴は、前記第1の上下移動機構は、前記基板を吸着する基板吸着部を有することを特徴とする露光装置。
【0031】
本発明の第9の特徴は、前記第1の搭載部は、前記基板を載せる第2の上下移動部を有し、前記第1の上下移動部と、前記第2の上下移動部とは同期して動くことにある。
【0032】
本発明の第10の特徴は、前記第1の搭載部は、前記第1の搭載部上の気圧よりも低い低気圧区画を有することにある。
【0033】
本発明の第11の特徴は、前記低気圧区画は前記第1の搭載部上の空間の一部を囲う土手と、前記土手内に配置された排気部を有することにある。
【0034】
本発明の第12の特徴は、請求項に記載の露光装置において、前記低気圧区画は前記第1の搭載部の隅にあることにある。
【0035】
本発明の第13の特徴は、前記第1の搭載部は、前記基板と前記第1の搭載部との間の空気を吸気する吸気部を有することにある。
【0036】
本発明の第14の特徴は、前記供給部は、吐出孔を有し、前記吸気部は、吸気孔を有し、前記吐出孔、及び前記吸気孔は、前記第1の搭載部上に交互に配置されていることにある。
【0037】
本発明の第15の特徴は、前記搭載部は、前記基板と前記第1の搭載部との間の温度を制御する温度制御部を有することにある。
【0038】
本発明の第16の特徴は、前記基板の浮上量を測定する浮上量測定部を有し、前記浮上部は、前記浮上量測定部の測定結果に基づき前記浮上量を制御することにある。
【0039】
本発明の第17の特徴は、第2の搭載部を有し、前記第2の搭載部は、前記第1の搭載部へ前記基板を搬送する搬送部と、前記基板を第2の搭載部に対して浮上させる第2の基板浮上部を有することにある。
【発明の効果】
【0040】
本発明は以下の効果を奏する。なお、以下の効果はそれぞれ独立して奏される場合もあれば、複数が同時に奏される場合もある。
【0041】
(1)基板をチャック面に浮上させる手段を設ける事により、基板とチャックが接触しなくなり、従来の基板とチャックが接触することにより発生していた、「裏面転写」の不良を少なくする事が可能となる。
【0042】
基板の平坦度を確保できるので歪(変形)のない高い露光精度を実現できる。
【0043】
(2)タクトタイムの短縮をする事が可能となる。
【0044】
(3)浮上手段を設けることにより、基板をチャック上に浮上できるので、基板に付着した塵埃、或いは、真空区画の強い吸着力により、基板保持面の形状に倣い発生する可能性のある、「裏面転写」を防ぐ事ができる。
【0045】
(4)従来の方法では、基板と真空区画との接触の順番などにより、基板に皺が発生すると、両者の接触摩擦により、基板の皺が解放される事は無いが、本発明のように、空気浮上させることにより、接触部を無くする事ができるので、皺になる事が無く、基板の平坦性を容易に確保できる。
【0046】
(5)基板がチャックに浮上しているために、従来の接触方式で問題となっていた、基板とチャックの間に空気が残り、それが、平坦度を悪くすることはない。
【0047】
(6)従来の方式では、この基板とチャックの間に残った空気を取り除くために、真空区画、空気孔を設けていた。しかし、本発明では基板を浮上させることにより、両者の間には、必ず空気の通路(流路)ができるので、空気が残り、それにより、基板の平坦度が悪くなるということはない。
【0048】
(7)本発明では、基板の浮上手段と共に、吸着保持手段を設けることにより、基板をチャック上に浮上させても、従来と同様に、基板をチャック上に一定に位置決め(保持)できる。このため、チャックを精密ステージでマスク下に移動させ、高精度位置決めする事により、基板もマスクに対して高精度位置決めできる。このため、基板より小さいマスクの場合、或いは、マスクより大きな基板の場合にも、基板の位置を変えて、基板の全面に露光する事ができる。
【0049】
(8)マスクを基板に近接して露光し、その後、マスクを基板から離して、位置を変えて露光するこの方法は、一般にステップ露光と言われている。
【0050】
ここで、吸着保持手段は、従来の突き上げピンの先端部、或いはチャック面上に、真空孔と土手とから形成される真空区画を設けたものでよい。また、吸着保持手段は、基板のチャック対向面を保持する事により、基板のマスク対向面は平坦なままとなる。このため、マスクを、ガラス基板表面に、数百μmまで近接させて露光する、プロキシミティ露光が可能となり、マスクパターンを高精度に基板に露光する事が可能となる。
【0051】
(9)本発明では、露光時の熱膨張による基板の伸びを小さく抑えられるので、不良が少なく、精度の高い露光を可能とする事ができる。さらに具体的に述べると、基板の温度は、露光時の光、また、それにより加熱されマスクにより加熱されるため、その熱膨張による露光誤差を防ぐために、23±0.2℃で管理されている。従来の、基板をチャックに接触支持する方法では、基板が加熱されても、チャックとの接触伝導により、基板はチャックにより、恒温化されていた。しかし、本発明のように、基板を浮上保持する場合には、空気層を介しての保持となるために、基板はチャックにより、冷却(恒温化)され難くなる可能性がある。このため、基板の恒温化手段を設けることにより、温度上昇による、露光精度の悪化を防ぎ、高速・高精度の露光を実現する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施例の形態による露光装置の概略構成を示す図。
【図2】本発明の一実施例の形態による露光装置のチャックの上面図。
【図3】図2のA−A断面図。
【図4】図2のB−B断面図。
【図5】図2のC−C断面図。
【図6】図2のD−D断面図。
【図7】本発明の一実施例の形態による基板搬送・保持手段の説明図。
【図8】本発明の第2実施例の形態によるチャック恒温構造の説明図。
【図9】本発明の第2実施例の形態の効果説明図。
【図10】本発明の第3実施例の形態による基板保持手段の説明図。
【図11】本発明の第3実施例の形態による基板保持メカニズムの説明図。
【図12】本発明の第4実施例の形態による基板保持手段の説明図。
【図13】本発明の第4実施例の形態による基板保持メカニズムの説明図。
【図14】本発明の第5実施例の形態による基板運搬メカニズムの説明図。
【図15】従来技術課題の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の実施の形態について、図示する実施例を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0054】
本発明の第一実施例を図1から図7を用いて説明する。
【0055】
図1は、本発明の一実施の形態による露光装置の概略構成を示す図である。本実施の形態は、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式の露光装置の例を示している。露光装置は、ベース3,Xガイド4,Xステージ5,Yガイド6,Yステージ7,θステージ8,Z−チルト機構9,チャック10、及びマスクホルダ20を含んで構成されている。なお、露光装置は、これらの他に、露光用光源,チャック10へ基板1を供給する供給ユニット,チャック10から基板1を回収する回収ユニット,装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
【0056】
図1において、チャック10は、基板1の受け渡しを行う受け渡し位置にある。受け渡し位置において、図示しない供給ユニットによって基板1がチャック10へ供給され、また図示しない回収ユニットによって基板1がチャック10から回収される。チャック10への基板1の搭載は、チャック10に設けた複数の突き上げピンを介して行われる。突き上げピンは、チャック10の表面より上昇して、基板1を供給ユニットのハンドリングアームから受け取った後、再び下降して、基板1をチャック10の基板保持面に載せる。基板1の露光を行う露光位置の上空には、マスクホルダ20によってマスク2が保持されている。また、マスクホルダ20は、Z−チルト機構9により支持されている。
【0057】
チャック10は、θステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に沿ってX方向(図面横方向)へ移動する。Xステージ5のX方向への移動によって、チャック10は、受け渡し位置と露光位置との間を移動する。なお、駆動手段としてはリニアモータ等が用いられるが、図示は省略する。Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に沿ってY方向(図面奥行き方向)へ移動する。θステージ8は、チャック10をθ方向(図面縦方向軸周り)へ回転する。また、Z−チルト機構9は、マスクホルダをZ方向(図面縦方向)へ移動及びチルトする。
【0058】
露光位置において、Xステージ5のX方向への移動,Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転によって、露光時の基板1の位置決めが行われる。また、Z−チルト機構9のZ方向への移動及びチルトによって、マスク2と基板1とのギャップ制御が行われる。
【0059】
なお、チャック10の下に設けられた、θステージ8等、全ての機構は、マスクホルダ20に取り付けても良い。また、逆に、Z−チルト機構9は、チャック10の下に設けても良い。
【0060】
図2は、チャックの基板取り付け面を示している。チャックには、基板搬送ロボット(図示せず)から送られてきた基板を受け取って吸着保持し、チャック面の上下方向(図面飛び出し・奥行き方向)に移動する吸気孔付き突き上げピン11、また、吸着孔付きピンと同様に、基板搬送ロボット(図示せず)から送られてきた基板を受け取って保持し、チャック面の上下方向(図面飛び出し・奥行き方向)に移動する突き上げピン12、また、高圧空気を吐出する吐出孔13、そして、吸気孔14と土手15から形成される真空区画が設けられている。
【0061】
突き上げピンは12は、チャックの全面に、複数設けられており、ロボットから搬送されてきた基板を受け取り、基板を全ての突き上げピンが、前記吸着孔付き突き上げピン11と同時に上下することで、基板全体を平行に保って(平坦にして)、チャック表面に対して基板を上下させる。
【0062】
吐出孔13は、基板の表面の全面に複数設けられており、ここから吐出される圧縮空気により、基板をチャック面に対して、非接触で、均一の高さになるように浮上させる。
【0063】
真空区画は、本実施例では、吸着孔付き突き上げピンの両側のチャックの角部に2つ設けられている。真空区画16は、吸気孔14とそれを囲む土手15から形成され、真空区画16の中は真空に保たれている。この2つの真空区画の土手15の高さ,形状,吸気孔14の径は同じである。これらの、真空区画は、基板を浮上させた時に、吸着孔付き突き上げピンと共に、基板をチャック10に、保持・位置決めするために使われる。また、基板が大きくなり、マスク(図示せず)が、基板上の位置を変えながら、複数回の露光で、基板の全体を露光する場合には、マスクが基板に近接する時に、マスクと基板の間に発生する正圧力(圧力上昇による押しつけ力)により、基板がチャック表面に近接(接触)することを防ぎ、また、マスクが基板から離れる時には、両者の間に発生する負圧力(圧力低下による吸着力)により、基板がチャック表面から引き離される事を防ぐ機能がある。
【0064】
図3は、図2のA−A断面を示している。吸気孔付き突き上げピン11は、円筒状の外周部とその一端に吸着孔51を持つ底部からなる吸着パッド部50と、吸着パッド部50に接合するシリンダ部52と、それに接合する管継手54と、上下駆動モータ56から構成されている。シリンダ部52には、吸着孔51に接合する空気流路53が設けられており、管継手54を介して真空の配管55に接続されている。この真空の配管の先には、真空ポンプ等の真空源が繋がれているが、図示していない。
【0065】
この吸気孔付き突き上げピン11は、チャック10の表面と裏面を貫通する吸気孔付き突き上げピン用孔58の中に設置されており、前記上下駆動モータ56により、吸気孔付き突き上げピン11をチャック10の面に対し垂直方向となる吸気孔付き突き上げピン移動方向57に移動させる。吸着パッド部50は、下降した場合には、吸気孔付き突き上げピン用孔58の中に入り、チャック表面よりも低い位置(裏面に近い位置)まで、移動する事が可能である。
【0066】
この吸気孔付き突き上げピン11の動作は、基板搬送ロボット(図示せず)から渡された基板を、通常の(吸着孔を持たない)突き上げピン12と共に基板1を運搬すると共に、その機能に加えて、吸着孔付き突き上げピンは、基板1の位置・姿勢を一定に保持する機能がある。具体的には、吸着孔51により、基板1を吸着パッド部50で真空吸着するので、突き上げピン12のように、基板1の自重による接触摩擦力だけで、基板1を保持している物に比べ、より強く、基板1の位置・姿勢を保持する事ができる。なお、各々の突き上げピンの動作と機能については、図7の第一実施例の基板搬送・保持手段の説明図にて詳細に説明する。
【0067】
また、チャック10には、複数の吐出孔13が設けられており、吐出孔13の他端には管継手30が設けられており、これを介して配管31に連接しており、この配管31は、高圧縮空気と低圧縮空気の供給源に繋がっており、高圧縮空気と低圧縮空気の切り替えは、電磁弁32,33により行われている。つまり、低圧縮空気が必要な時には、低圧縮空気用電磁弁33が開き、高圧縮空気用電磁弁32は閉じる。逆に、高圧縮空気が必要な場合には、高圧縮空気用電磁弁32が開き、低圧縮空気用電磁弁33が閉じる。
【0068】
基板をチャック10の表面から高く浮上させたい場合には、高圧縮空気を用い、低く浮上させたい場合に低圧縮空気を、吐出孔13から噴射させて、基板1の浮上量を調整する。
【0069】
また、チャック10には、真空区画16が設けられており、これは、土手15と吸気孔14により構成されている。吸気孔14の他端には、管継手40が設けられており、これを介して、真空源(例えば、真空ポンプ)に繋がる配管41に接合されている。この真空区画16は、吸気孔付き突き上げピン11により保持されている基板の位置・浮上量を、吸気孔付き突き上げピン11と共に保持する。また、ここで、土手15の高さを、基板を露光する時の浮上高さに設定(製作)しておく事により、マスクが基板に近接、或いは、離れる時に発生する圧力により、基板がチャック表面に押されて近接したり、引っ張られて離れたりすることが無く、チャック10からの浮上高さを一定に保持できる。これにより、マスクと基板の間隔を一定に保つ事が可能となり、安定した、狭ギャップ露光が可能となる。また、基板が、チャック10表面に接触する事が無くなるので、チャック表面に堆積している塵埃が、基板に付着(接触)する事などが無く、裏面転写が起こりにくい。
【0070】
図4に図2のB−B断面を示す。この図は、図2の吐出孔13の断面を示している。ここで、吐出孔13は、同一形状であるため、図3のA−A断面の吐出孔13と同じ構成になっている。このため、繰り返しになるが、吐出孔13の他端には管継手30が設けられており、これを介して配管31に連接しており、この配管は、高圧縮空気と低圧縮空気の供給源に繋がっており、高圧縮空気と低圧縮空気の切り替えは、電磁弁32,33により行われている。これらの電磁弁を使い、基板をチャック10の表面から高く浮上させたい場合には、高圧縮空気を用い、低く浮上させたい場合に低圧縮空気を、吐出孔13から噴射させて、浮上量を調整する。
【0071】
図5に図2のC−C断面を示す。突き上げピン12の他端には、突き上げピン12をチャック10の表面に対して突き上げピン移動方向61(垂直,上下方向)に駆動させるモータ60が取り付けられている。そしてこの突き上げピン12は、チャック10に設けられた、貫通孔59の中に納められている。本実施例では、これらの突き上げピン12の各々に、モータ60が設けられているが、突き上げピン12のモータ60側の端部を連結して、一つのモータで、突き上げピンを一度(同時)に、上下させる機構としてもよい。本実施例のように、一つの突き上げピン12に一つのモータ60を設ける構造にすると、一つのモータが何らかの理由で故障して動かなくなった場合にも、残りのモータで突き上げピン12を上下動させる事が可能なので、装置の信頼性を向上させることができる。一方、一つのモータで、全ての突き上げピンを上下動させる方法は、モータ60の使用個数を減らす事ができるので、価格面からすぐれている。
【0072】
突き上げピン12の先端は、チャック10面からの高さが同じになるように設定されており、基板を平坦に保持し、チャック10面に対して、平行に上下させる事ができる。また、これらの突き上げピン12は、吸気孔付き突き上げピン11と同期して、同じ高さと速度で上下する事が可能である。これらの動作の説明は、図7で行う。
【0073】
図6に図2のD−D断面を示す。図3との違いは、吸気孔付き突き上げピン11が無いことと、真空区画16の位置が、異なる点である。真空区画16,吐出孔13の構成,機能は、前述したとおりである。このため、ここでは、説明は省略する。
【0074】
図7を用いて、基板1が搬送ロボットのアーム70から、吸気孔付き突き上げピン11,突き上げピン12を介してチャック10に渡され、チャック10上に基板1が装着されるまでの基板1の動きと、突き上げピン11,12,吐出孔13,真空区画16の各々の動き(機能)を説明する。
【0075】
図7(1)は、基板搬送ロボットのアーム70に搭載された基板1が、チャック10の上部に挿入された状態を示している。アーム70が挿入された時には、吸気孔付き突き上げピン11,突き上げピン12は、基板1の下に、非接触となる状態で待機している。また、チャック10に設けられた真空区画16と基板1とは、非接触で、その間隔はギャップG90である。
【0076】
基板1が挿入されると、図7(2)に示すように、吸気孔付き突き上げピン11,突き上げピン12が上昇して、基板1を接触支持する。特に吸気孔付き突き上げピン11は、その先端に設けた吸着パット部50により基板1を吸着保持し、基板1が動かないように保持する。突き上げピン12は、基板1の全面に複数配置されており、基板1を支えている。これらの突き上げピン11,12が、基板1を保持(支持)すると、アーム70は、下に(チャック10表面に近接する方向)下がり、チャック10の外に退避する。
【0077】
次に、図7(3)に示すように、基板1を受け取った、吸気孔付き突き上げピン11と突き上げピン12は、基板1を保持しながら、つまり、アーム70から受け取った時の基板1の位置・姿勢を保持しながら、基板1を、吐出孔13(図示せず)から噴き出す高圧縮空気80による高浮上力で基板が保持される高さH1まで近接させる。ここで、H1は、基板1とチャック10の表面の間の間隔(距離)である。この状態では、吐出孔13からの高圧縮空気80が、基板1の重さを殆ど支えているため、基板1と突き上げピン12との接触力が小さくなり、基板1が動きやすい状況であるが、吸気孔付き突き上げピン11により、基板1は吸着保持されているので、基板1がチャック表面に対し平行に動きだすことはない。また、基板1と負圧区画とのギャップG90は、図7(1)と比較して小さくなっているが、この時点では、まだ、基板1と真空区画は接触していない。
【0078】
次に、図7(4)に示すように、突き上げピン12が、基板1から離れ、チャック10の中に収納される。突き上げピン12が基板1から離れても、高圧縮空気80が基板1を高さH1で支持しているので、この時の浮上高さH1,ギャップGの大きさは、図7(3)と同じである。
【0079】
ここで、基板1は、空気により浮上しているので、チャックとの接触抵抗が無く、チャック10表面に対して平行方向に自由に伸縮して、基板1の皺,変形が無くなるので、高い平坦度を実現する事ができる。詳細に説明すると、アーム70からの基板の受け渡し時に、複数の突き上げピン12による基板1との接触状態の違いから、基板1に皺,変形が発生した場合にも、基板1を空気浮上させることにより、接触(接触力)が無くなり、これにより発生していた皺,変形がなくなり(解放され)、基板1の高い平坦度が実現できる。また、吸気孔付き突き上げピン11で基板1を保持しているために、基板1がチャック10の表面に平行方向に自由に動く事はなく、アーム70で搬送されてきた基板1の位置(回転角)が保持される。
【0080】
次に、図7(5)に示すように、吸気孔付き突き上げピン11が、露光時の所定の高さになるまで下がり、基板1は、吐出孔13からの圧縮空気81により保持される。また、基板1の端部は、真空区画16と接触し、真空区画16に設けられた、吸気孔14(図示せず)からの真空力により、真空区画16に保持される。このため、ここではギャップGがゼロとなる(無くなる)。図7(4)の段階で、基板1の平坦度が確保された後に、真空区画16で保持されるので、平坦度が確保された状態で、基板1の両端が保持されている。
【0081】
また、基板1はチャック10上に、H2の浮上高さで保持されており、この高さH2は真空区画16の土手の高さ15と同じである。図7(5)に示すように、基板1は、吸気孔付き突き上げピン11と2つの真空区画16により、H2の浮上量で、チャック10に平坦に保持される。
【0082】
つまり、基板1は、チャック10の表面には非接触であるために、従来の装置では課題となっていた、チャック表面に付着(接触)した塵埃により発生する、また、吸着力を大きくすると基板保持面の形状に倣って発生する、「裏面転写」を防ぐ事ができる。また、基板1を空気浮上させることにより、従来の接触支持の方法では、基板とチャックの接触の順番,状態、また、基板と接触面の間に溜まった空気により発生する可能性の有った皺,変形を無くするが可能となり、さらに、たとえ、何らかの理由で皺が発生した場合にも、チャック10から浮上させる事により皺,変形が無くなり(解放され)、基板1の平坦度が確保される。これにより、精度の高い(マスクのパターン形状に近い)露光を行う事ができる。
【0083】
さらに、詳細に説明すると、凸部,吸気孔と土手とからなる真空区画を多数設ける方法では、土手の高さの不均一性から、真空区画毎に、その真空度が異なり、その結果として、土手と基板の接触の強さ(状態)が変わり、基板保持面の形状に倣った「裏面転写」が発生する可能性があった。また、基板1をチャック10に、高速で設置した時に、空気が完全に排出されず残っていた等の、何らかの理由により、基板の中央が膨れた(高くなった)状態で、基板1の周辺部から先に真空区画16に接触した場合には、残った空気を真空区画,空気孔で排気しても、基板1の周辺部とチャック10との接触摩擦により、基板1がチャック10表面を滑って、皺(変形)が解放される事は無く、基板の平坦性が失われる可能性が有った。
【0084】
しかし、基板を浮上させる本方式では、基板とチャックの間は非接触で有るために、接触による(基板保持面の形状に倣った)、「裏面転写」は発生しない。また、ロボットアームから突き上げピンで支持する時などに、何らかの理由により基板に変形(皺)等が発生しても、基板1は、チャック10の上に、一度、浮上保持されるので(図7(4))、その時に、変形(皺)が解放されて(無くなって)、高い平坦度が実現される。
【0085】
また、基板を空気浮上させるために、基板を高速でチャックに下降しても、空気が流出する流路が有るために、基板の中央部に膨らみが残る事はない。
【0086】
また、従来技術では、必須であった、基板を支える多数の微小な凸部、また、基板をチャックに乗せた時に発生する空気を抜くための空気孔を設ける必要が無くなり、製作を容易に行う事が可能となる。
【0087】
さらに、基板1の一つの端面が、吸気孔付き突き上げピン11で、また、2つの端面が真空区画16で保持されているので、マスクが基板に近接する時に、両者の間に発生する圧縮(高圧)空気により基板がチャックに押しつけられた時にも、また、マスクが基板から離れる時に発生する真空圧により基板がチャックから引き剥がされそうになった場合にも、基板1の位置が、チャック10からずれる事は無い。
【0088】
さらに、吸気孔付き突き上げピン11のチャック10面からの高さと、真空区画16の土手の高さは、この時の浮上量H2と同じ高さに設定されているので、均一な浮上量を実現する事ができる。
【0089】
基板1の保持手段として、基板の両面を機械的,電気的、或いは、吸着力等で把持する方法では、マスク2を基板1に近づけて露光するプロキシミティ露光では、マスク2が保持手段に接触するために、基板に近接する事ができなくなる。このために、本実施例では、吸気孔付き突き上げピン11を、基板1のチャック10対向面を吸着支持する構造としており、これにより、マスク2を露光のために基板1に、数百μmの距離に近接する事が可能となっている。
【0090】
上述したように、本発明によれば、基板1をチャック10に対して浮上保持するために、非接触で平坦に保持する事が可能となり、「裏面転写」がなく、また、マスクパターンを正確に(高精度に)基板に露光(焼き付ける)できる。また、基板1は、吸気孔付き突き上げピン,真空区画により、吸着保持されるので、露光中にチャックに対する基板の位置が変化することなく、一度、位置決めをすれば、基板の露光位置を変えて露光する場合にも、再度位置決めをする必要がなくなり、位置決めに要する時間を短縮できる。
【0091】
また、搬送ロボットのアーム70に搭載される前の基板の位置(回転角の状態など)を(例えば、クーリングプレートに置いている時に)、事前に測定しておけば、この位置情報を基にチャック10の位置(姿勢)を粗動で合わせておき、その後に、吸着孔付き突き上げピンで基板を保持した後に、基板の位置(姿勢)を正確に測定し・位置決めすれば、高速・高精度に位置決めできる。
【0092】
ここで、吸気孔付き突き上げピンの吸着部と真空区画の土手は、基板に接触しているが、その接触部の幅を狭くすれば、接触時による「裏面転写」が起こらない。この幅の目安として、4mm以下にすればよい。
【0093】
また、これらの部分は、基板の縁側に設置されており、また、接触面積も小さく、このため、基板全体に対してこれらの接触面積は十分に小さく、たとえ、裏面転写が発生してもそれは、極めて小さい範囲で、実用上問題にならないレベルである。
【0094】
また、露光が終了した基板1については、図7の逆の手順を実行することにより、基板1をチャック10から、基板搬送ロボットに受け渡して、搬出できる。
【0095】
本発明の第2実施例を、図8を用いて説明する。第1実施例との違いは、基板1を一定温度化するための冷却手段を設けた点である。これは、露光装置では、光源からの光が直接に基板1へ当たる事、また、連続露光により光で加熱されたマスク2を、プロキシミティ露光では、基板1に近接して露光するため、マスク2からの熱により基板1が温められ熱膨張する可能性があるため、これを、一定温度化する必要があるためである。具体的には、基板1が加熱されて熱膨張した状態でマスクパターンが露光されると、冷却した時に基板が縮み、マスクパターンが歪み、正確なマスクパターンが得られず、露光不良となるためである。本実施例では、一定温度化の方法として、チャック10に恒温手段を設け、基板1を空気層(膜)を介して冷却している。しかし、定温化の方法としては、この方法に捕らわれるものではなく、所定の温度の空気流(ガス)を直接基板に当てる方法など、どのような方法であってもよい。
【0096】
以下に、恒温手段100をチャック10に設けた例を説明する。具体的には、チャック10の本体に、熱交換器101により一定温度に調整された水を配管102で循環させることにより、チャック10の温度を一定に保つことができるようになっている。これは、繰り返しになるが、基板1を一定温度に保持して、基板の熱膨張(収縮)による、マスクパターンの変形を防ぐためである。基板1を浮上露光させる方法では、従来の基板1をチャック10に接触させる方法に比べると、空気膜を介して浮上させている分、基板1を恒温化(冷却)する能力が低下する可能性が有る。このために、チャック10に恒温手段を設けることにより、チャック10の基板を恒温化(冷却)する能力を向上させることが可能となり、第1実施例と同様に、浮上による高い平坦性を確保しながら、基板の熱膨張を防ぎ、マスクパターンを正確に露光する事が可能となる。
【0097】
図9は、図8に示す第2の実施例において、基板1の浮上量Hと、露光時の基板1の温度上昇の計算結果を概念的に示したものである。基板1の温度上昇の上限を、熱膨張の許容範囲の上限から、例えば23.2℃とすると、恒温手段100がない場合には、基板1の浮上量HをHa以下にする必要があるが、恒温手段100が有る場合には、浮上量はHb以下であればよい。つまり、恒温手段100があれば、基板の浮上量が高くても(Ha<Hb)、基板の熱膨張の影響は小さい。ここで、基板1の露光時の浮上量Hを高くすればするほど、大きな塵埃がチャック表面に付着している場合でも塵埃の影響を受けにくく、「裏面転写」を防止できる。また、基板1をチャック10に近づける必要がなく、高い浮上量で露光できるので、基板1のハンドリング(設定)時間を短縮できるという利点もある。
【0098】
さらに、基板1の温度を管理するセンサー(図示せず)を設けて、基板1の温度が、所定の温度以上になったら、露光を中断し、温度が許容範囲になったら露光を再開するような、モニターシステムを設けても良い。また、浮上している基板1とチャック10との熱交換を促進するように、伝熱性に優れたガス等、例えばヘリウム、を添加してもよい。
【0099】
上述したように、本実施例では、基板1の恒温手段を設けることにより、基板の温度変動による露光不良を低減する事ができると共に、基板1の浮上量を高くできるので、「裏面転写」の影響が少なく、また、基板1のチャック10への設定時間を短縮できるという利点がある。また、本実施例においても、基板1を浮上して保持する事により、第1の実施例と同様に、「裏面転写」を減少させ、不良が少なく、高品質の露光を実現する事ができる。
【0100】
本発明の第3の実施例を図10,図11を用いて説明する。図10は、チャック10表面の形状、図11は、その動作説明図を示している。本実施例と第1実施例の違いは、チャック10の4隅に真空区画16を設け、吸気孔付き突き上げピン11を真空区画16の近傍に設けた点である。吸気孔付き突き上げピン11は、本実施例では真空区画16の前に1つ設けているが、その場所は、特に制約はない。本実施例における各部の動作は、第1実施例の図7(1)から図7(4)までは、同じ動作である。つまり、図11(1)は、図7(4)の状態と同じで、基板1が高圧縮空気80により浮上量H1で浮上している。また、基板1の一端は、吸気孔付き突き上げピン11で保持されており、基板1が所定の位置(姿勢に)保持されている。また、チャック10の両端には、真空区画16が設けられている。図11(1)では、まだ基板1の浮上量がH1と高いので、真空区画16と基板1とは間隔Gで離れている。このように、基板1を空気浮上させることにより、基板とチャックが接触する事により発生する、基板の皺,接触部の変形を無くし、第1の実施例と同様な効果を得ることができる。
【0101】
第1実施例と本実施例の違いは、本実施例では、図11(2)のように、吸気孔付き突き上げピン11が、真空区画16の高さH2よりも低くなる。そして、吸気孔付き突き上げピン11が、真空区画16と同じ高さにまで低下したら、基板の吸着保持を中止し、そのまま低下してチャック10の中に収納される。ここで、浮上量がH2に達すると、真空区画16の高さがH2に設定されているので、基板1は、真空区画16に保持される。このため、基板は、吸気孔付き突き上げピン11が無くても、第1実施例と同様に、チャック10に対して一定の位置(姿勢)で保持される。また、吸気孔付き突き上げピン11の代りに真空区画16を用いることで、簡単な構造で、正確に、基板1の浮上量を所定の浮上量H2で保持できる。換言すれば、吸気孔付き突き上げピン11は、モータで上下させるので、その高さを正確に制御・維持するため機構が複雑になるが、本発明の実施例のようにすれば、真空区画の土手の高さを所定の高さに加工しておけば良いので、単純な構造でありながら、高い精度で基板1を一定の浮上量で保持する事が可能となる。本実施例では、チャック10の4隅に設けた真空区画16で保持されている。このため、実施例1の3点に比べて、より強い力で、基板1がチャック10に保持されている。なお、この真空区画16の数は、必要に応じて、変えれば良い事は言うまでもない。
【0102】
上述したように、本実施例では、吸気孔付き突き上げピン11の位置決め精度を緩和して、装置の生産性を向上できると共に、第1の実施例と同様な効果が得られる。
【0103】
本発明の第4の実施例を図12,図13を用いて説明する。本実施例と第1実施例の違いは、本実施例では、真空区画16を無くして、新たに、複数の吸気孔14を吐出孔13の近傍に、交互に、配置した点である。本実施例では、吐出孔13と吸気孔14を組み合わせて設けることにより、空気力のばね効果により基板を所定の浮上高さ(チャック表面からの基板の高さ)に強く保持することができる。具体的には、基板1をチャック10に近づける方向に力が加わると、吐出孔13からの圧縮空気81により、基板1をチャック10から遠ざける方向の反発力が発生し、また、逆に、基板1をチャック10から遠ざける方向に力が加わると、吸気孔14からの吸引(減圧)空気82により、引き戻す方向に反発力が働く(これは、ベルヌーイの原理を用いたチャック機構として知られている)。
上記のように、吐出孔13と吸気孔14を組み合わせて設けることにより、第1の実施例で設けた真空区画16を設けなくとも、基板1を所定の浮上量に保持することができる。
このため、第1の実施例と同様に、基板1を平坦にチャック10上に保持することが可能となり、第一実施例と同様の効果を得ることができる。また、真空区画16と基板との接触により発生する可能性のある「裏面転写」を無くすることが可能となる。さらに、本実施例では、基板の全面に吐出孔13と吸気孔14を設けることにより、基板1の全体に、空気ばねを設けた効果が期待され、基板1を強固に所定の浮上量に保持することが可能となり、マスクの基板1への離接による圧力変動による外乱(外力)の影響を受けにくく、マスクと基板の距離を安定して一定に保持できるので、精度の高いマスクパターンを基板1に露光することが可能となる。
【0104】
また、吐出孔13から吐出される圧縮空気81は、吸気孔14から吸引空気82として、基板1とチャック10の間から排出されるため、吐出孔13からの圧縮空気が、基板1とチャック10の間に溜まって(排出され難くなり)、基板1の中央を膨らませ、基板1平坦度を棄損する事を防ぐ事ができる。
【0105】
もちろん、このような課題は、例えば、第1実施例では、吐出孔13の周りに、溝をもうけて、この溝を介して、圧縮空気81を基板1とチャック10の間から外に放出する事が可能である。
【0106】
さらに、本実施例では、基板1の浮上量Hをモニターするための、浮上量計測手段83を設けている。これは、例えば、レーザ測長器のようなもので良く、浮上量Hがゼロの時を初期値として、そこからの差分を浮上量とすれば良い。この浮上量計測手段83からの、浮上量Hの値を基に、吐出孔13,吸気孔14の強さを調整する事により、正確に浮上量Hを管理する事ができる。また、浮上量Hが低下して、基板1がチャック10に接触すること、また、浮上量Hが増加して、基板1の温度が規定の温度以上に変動する事を防ぐ事が可能となる。これにより、露光不良の発生頻度を下げる事が可能となる。
【0107】
本発明の第5の実施例を、図14を用いて説明する。本実施例と第3実施例の違いは、本実施例では、図14(1)に示すように、チャック10には、第3実施例では設けられていた、吸気孔付き突き上げピン11と突き上げピン12がなく、また、チャック10に切欠き21を設けている点と、この切欠き21に挿入される凸部23を持つサブチャック17が設けられている点である。
【0108】
このサブチャック17には、基板1を吸着保持し、それをチャック10に運搬するための移動式吸着パッド18と、それの移動をガイドするためのガイドレール19と基板1を空気浮上させるための圧縮空気を吐出させる吐出孔13から構成されている。サブチャック17には、全面に吐出孔13が設けられており、サブチャック17に、コンベア(図示せず)などで、生産ラインの上流から運搬されてきた基板1を、これらの吐出孔13からの高圧縮空気80により、図14(2)のように、浮上支持する。この時の浮上量は、基板1を搬送するための浮上高さであり、例えば、第1実施例の図7(4)の、突き上げピンによる保持から空気浮上に移るための浮上量H1と同じ高さであり、露光時の浮上量H2よりも高い。また、移動式吸着パッド18はサブチャック17の中に(表面から下に)格納されているが、基板1がコンベア(図示せず)などからサブチャック17に搬送されてくると、サブチャック17の中から上昇して、図14(2)のように、基板1の端部を吸着保持した後に、ガイドレール19に従い、矢印22のように、基板1をチャック10に搬送する。なお、サブチャック17には、コンベアから搬送された基板が、落ちないように周囲にはストッパーが設けられている(図示せず)。このため、移動式吸着パッド18が基板1を保持する前に、サブステージから落ちる事はない。
【0109】
サブチャック17には、凸部23が設けられており、この凸部23は、チャック10の切欠き21の中に挿入されている。また、ガイドレール19は、前記凸部の先端まで設置されているために、このガイドレール19に従って移動式吸着パッド18を移動させることにより、基板1をサブチャック17からチャック10に運ぶことが可能である。サブチャック17から、移動式吸着パッド18により基板1が運ばれる時には、図14(2)に示すように、サブチャック17とチャック10の吐出孔13から高圧縮空気80が吐出されており、基板1を搬送用の浮上量H2で浮上させて運搬する。図中の破線の基板1と移動式吸着パッド18は、サブチャック17からチャック10に基板1が搬送される途中の状態を概念的に示したものである。移動式吸着パッド18が、ガイドレール19の左端に移動すると、つまり、基板1をサブチャック17からチャック10に搬送すると、移動式吸着パッド18は、チャック10の表面方向に降下し、また、同時に、吐出孔13からの高圧縮空気80の空気圧は小さくなり、基板1の浮上量が搬送時の浮上量H2から、露光用浮上量H1に低下する。チャック10には、第1,第3の実施例と同様に、真空区画16が設けられており、この高さは、露光用の浮上量H1と同じ高さに設定されているので、基板1は、この真空区画16により、面内方向に動かないように保持される。また、前述したように、圧縮空気により、チャック10の上に、浮上保持される。この状態で、基板1が露光される。基板1の浮上量が低下して、真空区画16で保持されると、移動式吸着パッド18は、吸着動作を停止して、基板1を離して、さらに下に降下して、基板1が露光されるまで待機する。
【0110】
露光が終了すると、移動式吸着パッド18は、露光用浮上量H2まで上昇して、基板1を吸着保持すると、吐出孔13からの圧縮空気の空気圧が強くなり、基板1を運搬用の浮上量H1まで上昇させる。基板1の上昇に伴って移動式吸着パッド18もH1まで上昇する。ここで、基板1の露光が終了して、露光浮上量H2から、運搬用の浮上量H1にする時には、真空区画16の真空を停止することにより、基板1を速やかに、上昇させる事が可能となる。露光した基板1を保持してH1まで上昇した移動式吸着パッド18は、前記凸部23から、ガイドレール19に従い移動して、その後に、吸着を解除し、サブチャック17の中に収納される。露光された基板1は、サブチャック17から、生産ラインの下流のベルトコンベア等の搬送手段に引き渡される(搬送手段は、図示しない)。なお、ここで、移動式吸着パッド18の吸着機構、また、上下機構については、例えば、第1の実施例の吸気孔付き突き上げピン11と同様に、真空ポンプによる吸着力(真空力),モータによる上下機構を利用すれば実現できるので、ここでは、図示しない。また、吐出孔13からの圧縮空気の強さの切り替えも、第1実施例のように、高圧縮と低圧縮空気を電磁弁などで切り替えれば、実現できるので、図示しない。
【0111】
本実施例によれば、コンベアなどから運ばれた基板1を、サブチャック17で、空気浮上させて受け取る事により、基板搬送用のロボットを無くすること、また、前記ロボットのアームから基板を受け取るための、突き上げピンをチャック10から無くす事ができるので、装置の構成を簡略化できて、装置の生産性を向上させる事が可能となる。
【0112】
また、本実施例においても、基板1を平坦にして露光する事が可能となるので、第1,第3の実施例と同様に露光不良を低減して、高精度の露光が可能となる。
【0113】
本発明の露光装置又は露光方法を用いて基板の露光を行うことにより、基板のチャックへの搭載に要する時間を短縮し、かつ基板の歪み及び裏面転写による不良を少なくすることができる。従って、表示用パネル基板を短いタクトタイムで歩留まり良く製造することができる。
【0114】
なお、上述した実施例では、区画を有するピンチャックを中心に説明したが、本実施例に開示される内容は区画を有さないいわゆるベタチャックにも適用することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 基板
2 マスク
3 ベース
4 Xガイド
5 Xステージ
6 Yガイド
7 Yステージ
8 θステージ
9 Z−チルト機構
10 チャック
11 吸気孔付き突き上げピン
12 突き上げピン
13 吐出孔
14 吸気孔
15 土手
16 真空区画
17 サブチャック
18 移動式吸着パッド
19 ガイドレール
20 マスクホルダ
21 切欠き
22 移動方向
23 凸部
30,40,54 管継手
31,41,55 配管
32 高圧縮空気用電磁弁
33 低圧縮空気用電磁弁
50 吸着パッド部
51 吸着孔
52 シリンダ部
53 空気流路
56 上下駆動モータ
57 吸気孔付き突き上げピン移動方向
58 吸気孔付き突き上げピン用孔
60 モータ
61 突き上げピン移動方向
70 アーム
80 高圧縮空気
81 圧縮空気
82 吸引空気
83 浮上量計測手段
90 ギャップG(基板と真空区画の間隔)
91 浮上量H(基板とチャック表面の間隔)
100 恒温手段
101 熱交換器
102 配管
200 真空力
201 皺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板にパターンを露光する露光装置において、
前記基板を搭載する第1の搭載部を有し、
前記第1の搭載部は、
前記基板を前記第1の搭載部に対して浮上させる第1の基板浮上部を有することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の露光装置において、
前記第1の基板浮上部は、
前記基板へ媒体を供給する供給部を有することを特徴とする露光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の露光装置において、
前記供給部は、
第1の媒体と、前記第1の媒体よりも低い圧力の第2の媒体を前記基板へ供給し、
前記第1の媒体の供給量と、前記第2の媒体の供給量を制御することを特徴とする露光装置。
【請求項4】
請求項1に記載の露光装置において、
前記第1の搭載部は、
前記基板を載せる第1の上下移動部を有することを特徴とする露光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の露光装置において、
前記第1の上下移動機構は、前記基板を吸着する基板吸着部を有することを特徴とする露光装置。
【請求項6】
請求項4に記載の露光装置において、
前記第1の搭載部は、
前記基板を載せる第2の上下移動部を有し、
前記第1の上下移動部と、前記第2の上下移動部とは同期して動くことを特徴とする露光装置。
【請求項7】
請求項1に記載の露光装置において、
前記第1の搭載部は、
前記第1の搭載部上の気圧よりも低い低気圧区画を有することを特徴とする露光装置。
【請求項8】
請求項7に記載の露光装置において、
前記低気圧区画は
前記第1の搭載部上の空間の一部を囲う土手と、
前記土手内に配置された排気部を有することを特徴とする露光装置。
【請求項9】
請求項7に記載の露光装置において、
前記低気圧区画は前記第1の搭載部の隅にあることを特徴とする露光装置。
【請求項10】
請求項2に記載の露光装置において、
前記第1の搭載部は、
前記基板と前記第1の搭載部との間の空気を吸気する吸気部を有することを特徴とする露光装置。
【請求項11】
請求項10に記載の露光装置において、
前記供給部は、吐出孔を有し、
前記吸気部は、吸気孔を有し、
前記吐出孔、及び前記吸気孔は、前記第1の搭載部上に交互に配置されていることを特徴とする露光装置。
【請求項12】
請求項1に記載の露光装置において、
前記搭載部は、
前記基板と前記第1の搭載部との間の温度を制御する温度制御部を有することを特徴とする露光装置。
【請求項13】
請求項1に記載の露光装置において、
前記基板の浮上量を測定する浮上量測定部を有し、
前記浮上部は、
前記浮上量測定部の測定結果に基づき前記浮上量を制御することを特徴とする露光装置。
【請求項14】
請求項1に記載の露光装置において、
第2の搭載部を有し、
前記第2の搭載部は、
前記第1の搭載部へ前記基板を搬送する搬送部と、
前記基板を第2の搭載部に対して浮上させる第2の基板浮上部を有することを特徴とする露光装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−38874(P2012−38874A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176900(P2010−176900)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】