液滴吐出装置及び方法、液滴吐出装置の製造方法、並びにデバイス製造方法及びデバイス
【課題】 回路が簡易となりコストを抑えることができる液滴吐出装置及び液滴吐出方法および液滴吐出装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】 液滴を吐出する複数のノズルユニット29からなるノズルブロック28をヘッド走査方向に沿って複数個備え、該ノズルブロック28によって媒体上に液滴を塗布する液滴吐出装置において、前記各ノズルユニット29の吐出特性ランクが前記ノズルブロック28ごとに略同一に揃えられ、これら各ノズルユニット29に対して共通する一つの駆動波形を与えて該ノズルユニットを駆動させる一つの駆動波形生成回路47が設けられ、さらに、前記ノズルブロック28の吐出特性ランクは、第1のノズルブロック28Aの吐出量をA、第2のノズルブロック28Bの吐出量をB1,第3のノズルブロック28C1の吐出量をC1とおくと、2A=B1+C1という関係を満たす吐出特性ランクとなっている。
【解決手段】 液滴を吐出する複数のノズルユニット29からなるノズルブロック28をヘッド走査方向に沿って複数個備え、該ノズルブロック28によって媒体上に液滴を塗布する液滴吐出装置において、前記各ノズルユニット29の吐出特性ランクが前記ノズルブロック28ごとに略同一に揃えられ、これら各ノズルユニット29に対して共通する一つの駆動波形を与えて該ノズルユニットを駆動させる一つの駆動波形生成回路47が設けられ、さらに、前記ノズルブロック28の吐出特性ランクは、第1のノズルブロック28Aの吐出量をA、第2のノズルブロック28Bの吐出量をB1,第3のノズルブロック28C1の吐出量をC1とおくと、2A=B1+C1という関係を満たす吐出特性ランクとなっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置及び方法並びに液滴吐出装置の製造方法に関し、詳しくは、複数のノズルユニットからなるノズルブロックを複数個備え、該ノズルブロックから液滴を吐出して媒体上に塗布するための液滴吐出装置及び方法、当該装置の製造方法、並びに当該装置又は方法を用いたデバイス製造方法及び当該製造方法により製造されるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出方式(インクジェット方式)により液晶表示装置のカラーフィルタ層を製造する際には、バンクと称される隔壁で囲まれた各画素に対して顔料の液滴(インク)を連続して塗布し、カラーフィルタ層を形成している。例えば基板上にバンク (高さ1ミクロン程度、撥水性) を形成し、この中にカラーフィルタインク(以下CFインクと呼ぶ。)をインクジェット塗布(以下IJ塗布と呼ぶ。)している。
【0003】
このようなインクジェット方式の液滴吐出装置では、多数のノズルをインクヘッドに配置する「多ノズル化」のものが開発されてきており、ノズルの数を増やすことにより印刷に必要なインクヘッドの走査回数を減らすことができ、印刷速度を速めることが可能となる。しかし、単一のインクヘッドに多数のノズルを所定のノズルピッチで安定的に形成することは、ノズルピッチの誤差やノズルの不良等の歩留まりを低下させる問題があり、製造上困難である。
【0004】
そこで、いわゆる多ノズルを実現するために、複数のノズルユニット(従来の単一のインクヘッド)を主走査方向と直交する副走査方向に縦列配置してノズルブロックを構成するものが提案されている。各ノズルユニットのノズルから吐出されるインク滴により形成されるインクドットの位置合わせは、例えば特許文献1に開示されている方法により行うことが可能である。
【特許文献1】特開平5−220951号公報
【特許文献2】特開2001−38892号公報
【特許文献3】特開2002−372921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる装置においては、インクドットの形成位置を所定の位置に合わせることが可能であるとしても、ノズルブロックは複数のノズルユニットを組み合わせて構成するため、各ノズルユニット毎にインクの吐出特性が異なる場合には、各ノズルユニット毎に吐出量を同一にする補正が必要であり、ヘッド駆動のための回路規模が大きくなる問題があった。
また、特許文献2には、それぞれ複数のノズルユニットを備えたノズルブロックを複数備え、各ノズルブロックにそれぞれヘッド駆動回路を設けた印刷装置が開示されているが、当該構成では各ノズルブロックにそれぞれヘッド駆動回路が必要であり、複雑化、高コスト化となっている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、回路が簡易となりコストを抑えることができる液滴吐出装置、液滴吐出方法、および液滴吐出装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の液滴吐出装置は、液滴を吐出する複数のノズルユニットからなるノズルブロックをヘッド走査方向に沿って少なくとも3個備え、該ノズルブロックによって媒体上に液滴を塗布する液滴吐出装置において、前記各ノズルユニットの吐出特性ランクが前記ノズルブロックごとに略同一に揃えられ、前記各ノズルユニットに対して共通する一つの駆動波形を与えて該ノズルユニットを駆動させる一つの駆動波形生成回路が設けられ、前記ノズルブロックの吐出特性ランクは、第1のノズルブロックの吐出量をA、第2のノズルブロックの吐出量をB1、第3のノズルブロックの吐出量をC1とおくと、2A=B1+C1という関係を満たす吐出特性ランクであることを特徴としている。
本発明によれば、各ノズルブロックが備えるノズルユニットが、ノズルブロックごとに略同一ランクとされているから、駆動波形生成回路は一つでよく、簡易な構成とすることができる。第2及び第3のノズルブロックが備えるノズルユニットの液滴吐出量の平均は、第1のノズルブロックが備えるノズルユニットの液滴吐出量と等しいことで、第2及び第3のノズルブロックが備えるノズルユニットからそれぞれ液滴を吐出すれば、第1のノズルブロックが備えるノズルユニットから2発液滴を吐出した場合と同等の結果を得ることができる。
また、第2及び第3のノズルブロックの吐出量は第1のノズルブロックと異なるから、これらのノズルブロックを使い分けることで、異なる吐出量での塗布を行うことができる。例えば、第1のノズルブロックの吐出量を10ng、第2,第3のノズルブロックの吐出量を8ng、12ngとすると、同じ駆動波形を用いても8,10,12ngの吐出量を選択することができる。
ここで、ノズルユニットのランクは、同じ駆動波形で駆動させたときの吐出量の違いに基づいて分けられる。なお、各ノズルブロックに用いられるノズルユニットのランクは厳密に同じランクではなくてもいいのはもちろんであり、ある程度の幅を持った範囲に吐出特性が収まれば略同一とすることができる。この幅は塗布対象に応じた塗布量の許容範囲等によって実用上問題のない範囲で定めることができる。
また、2A=B1+C1という条件は、実用上問題のない範囲であれば厳格に満たす必要がないのは言うまでもない。
また、本発明の液滴吐出装置は、吐出量の和が2Aとなる吐出特性ランクのノズルブロックの対をさらに一組以上備えていることを特徴としている。
本発明によれば、例えば第4のノズルブロックの吐出量をB2,第5のノズルブロックの吐出量をC2、……とおくと、
2A=B1+C1=B2+C2=………
を満たす。したがって上記と同様に、第4及び第5のノズルブロックが備えるノズルユニットからそれぞれ液滴を吐出すれば、第1のノズルブロックが備えるノズルユニットから2発液滴を吐出した場合と同等の結果を得ることができる。
また、各ノズルブロックを使い分けることで、同じ駆動波形を用いて上記よりも広い範囲の吐出量を選択して液滴塗布を行うことができる。
また、本発明の液滴吐出装置は、前記駆動波形生成回路が、前記駆動波形の電流を増幅して前記各ノズルブロックに与える電流増幅駆動回路を各ノズルブロックにそれぞれ対応して複数備えていることを特徴としている。
本発明によれば、ブロック毎に電流増幅駆動回路を備えることでさらにスループットを上げることができる。
また、本発明の液滴吐出方法は、液滴を吐出する複数のノズルユニットからなるノズルブロックをヘッド走査方向に沿って複数個用いて媒体上に液滴を塗布する液滴吐出方法において、前記各ノズルユニットの吐出特性ランクをノズルブロックごとに略同一に揃え、前記各ノズルユニットに対して共通する一つの駆動波形を与えて前記ノズルユニットを駆動させることで塗布を行い、異なるランクのノズルブロックから互いに近接させた位置にそれぞれ1発ずつ液滴を吐出させることで、前記ランクの中間値のランクのノズルブロックから吐出された2発と同等の塗布を行うことを特徴としている。
本発明によれば、各ノズルブロックが備えるノズルユニットが略同一ランク品であるから、駆動波形生成回路は一つでよく、簡易な構成とすることができる。また、異なるランクのノズルユニットを使用することができるから、ヘッド製造の歩留まりを向上することができる。また、異なるランクのノズルブロックから吐出された液滴は、互いに近接した位置に吐出されることで、その中間ランクのノズルブロックから吐出されたものと同等の吐出品質となる。例えば、一つのノズルブロックからの吐出量が8ngであり、他のノズルブロックからの吐出量が12ngである場合、これらを近接した位置に吐出すると、10ngの液滴を二つ吐出させた場合と同等の吐出状態を得ることができる。
【0008】
本発明の液滴吐出装置の製造方法は、液滴を吐出する複数のノズルユニットからなるノズルブロックをヘッド走査方向に沿って少なくとも3個備え、該ノズルブロックによって媒体上に液滴を塗布する液滴吐出装置を製造する液滴吐出装置の製造方法において、前記各ノズルユニットの吐出特性ランクを前記ノズルブロックごとに略同一に揃え、前記各ノズルユニットに対して共通する一つの駆動波形を与えて該ノズルユニットを駆動させる一つの駆動波形生成回路を設け、前記ノズルブロックの吐出特性ランクとして、第1のノズルブロックの吐出量がA、第2のノズルブロックの吐出量がB1,第3のノズルブロックの吐出量がC1であるとき、2A=B1+C1という関係を満たすランクのノズルユニットを選択することを特徴としている。
本発明によれば、各ノズルブロックが備えるノズルユニットが、ノズルブロックごとに略同一ランクとされているから、駆動波形生成回路は一つでよく、簡易な構成とすることができる。従って、コストを抑えた液滴吐出装置を提供することができる。
第2及び第3のノズルブロックが備えるノズルユニットの液滴吐出量の平均は、第1のノズルブロックが備えるノズルユニットの液滴吐出量と等しいことで、第2及び第3のノズルブロックが備えるノズルユニットからそれぞれ1発の液滴を吐出すれば、第1のノズルブロックが備えるノズルユニットから2発液滴を吐出した場合と同等の結果を得ることができる。
また、本発明の液滴吐出装置の製造方法は、4個目以上のノズルブロックのランクについて、ノズルブロックの対ごとに吐出量の和がそれぞれ2Aとなるようにノズルユニットのランクを選択することを特徴としている。
本発明によれば、第4のノズルブロックの吐出量をB2,第5のノズルブロックの吐出量をC2、……とおくと、
2A=B1+C1=B2+C2=………
を満たすようにランクを選択する。したがって上記と同様に、第4及び第5のノズルブロックが備えるノズルユニットからそれぞれ液滴を吐出すれば、第1のノズルブロックが備えるノズルユニットから2発液滴を吐出した場合と同等の結果を得ることができる。
また、本発明の液滴吐出装置の製造方法は、前記第1のノズルブロックを、多数製造したノズルユニットの吐出特性分布の中央値近傍から選択し、吐出量の和が2Aとなるノズルブロックの対について、一方を前記分布の前記中央領域よりも吐出量が小さい領域から選択し、他方を同分布の中央領域よりも吐出量が大きい領域から選択することを特徴としている。
本発明によればノズルユニットの選択が容易となり、より広いランクのノズルユニットを使用することができる。
本発明のデバイス製造方法は、上記の液滴吐出装置若しくは方法、又は上記の液滴吐出装置の製造方法を用いて製造された液滴吐出装置を用いて、基板上に液滴を吐出し、デバイスを形成することを特徴としている。
この発明によれば、上記の液滴吐出装置又は方法を用いて液滴が基板の所定位置に精確に所定量吐出されるため、所期の機能を有するデバイスを高い歩留まりで効率よく製造することができる。
本発明のデバイスは、上記のデバイス製造方法を用いて製造されることを特徴としている。
この発明によれば、高機能であり、高い信頼性を有する電子機器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による液滴吐出装置及び方法、液滴吐出装置の製造方法、並びにデバイス製造方法及びデバイスについて詳細に説明する。
【0010】
〔液滴吐出装置及び方法、液滴吐出装置の製造方法〕
図1は、図2に概略構成を示した液滴吐出装置に用いられる駆動波形生成回路およびノズルブロックを示したものである。
まず、図2により液滴吐出装置22の概略構成を説明する。図2は、IJ塗布に用いられる液滴吐出装置22であり、液滴吐出ヘッド31と、X軸方向駆動軸34と、Y軸方向ガイド軸35と、制御装置40と、ステージ37と、クリーニング機構38と、基台39とを備えている。
ステージ37は、この液滴吐出装置22によりカラーフィルタインク(液体材料)が形成される基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0011】
液滴吐出ヘッド31は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド31の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド31の吐出ノズルからは、ステージ37に支持されている基板Pに対してカラーフィルタインクが吐出される。
【0012】
X軸方向駆動軸34には、X軸方向駆動モータ32が接続されている。X軸方向駆動モータ32はステッピングモータ等であり、制御装置40からX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸34を回転させる。X軸方向駆動軸34が回転すると、液滴吐出ヘッド31はX軸方向に移動する。
Y軸方向ガイド軸35は、基台39に対して動かないように固定されている。ステージ37は、Y軸方向駆動モータ33を備えている。Y軸方向駆動モータ33はステッピングモータ等であり、制御装置40からY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ37をY軸方向に移動する。
【0013】
制御装置40は、液滴吐出ヘッド31に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ32に液滴吐出ヘッド31のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ33にステージ7のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構38は、液滴吐出ヘッド31をクリーニングするものである。クリーニング機構38には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸35に沿って移動する。クリーニング機構38の移動も制御装置40により制御される。
【0014】
液滴吐出装置22は、液滴吐出ヘッド31と基板Pを支持するステージ37とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、X軸方向を走査方向、X軸方向と直交するY軸方向を非走査方向とする。
【0015】
図3は、液滴吐出ヘッド31におけるノズルNzの配列を示す説明図である。本例においては、液滴吐出ヘッド31はノズルブロック28を3列(28A、28B1,28C1)備え、各ノズルブロック28はノズルユニット29をそれぞれ3個備えている。ノズルノズルユニット29には、320(160個×2列)個のノズルNzが非走査方向に沿ってノズルピッチkで千鳥状に配列されている。これらのノズルユニット29は、その製造工程で吐出特性によりランク分けされており、各ノズルブロック28に設けられるノズルユニット29は、ノズルブロック28ごとに同ランクのものが選択される。
ここで、ランクとは、同じ駆動波形で駆動させたときの吐出量の違いに基づいて分けられる。具体的には、製造ラインの検査工程において、ノズルユニット29の吐出量を電子天秤を用いて測定する。(ノズルの吐出量の平均として計算する。)
【0016】
また、ノズルヘッドの数は以下のようにして決められる。
(1)液晶表示装置の必要生産量から、基板1枚当たりの描画時間が決まる。
(2)一つの画素の大きさと必要な膜厚とインク濃度から、一つの画素に必要なインク量が決まる。
(3)インク量を1滴当たりの吐出量で割って必要滴数が決まる。
(4)着弾精度やインクの濡れ広がり状態(接触角)から一つの画素のどこにインクを吐出しなければならないかが決まる。
(5)(1)、(3)、(4)から描画に必要な解像度や許される描画往復回数が決まる。
(6)(5)からノズル密度が求まり、1行に配置しなければならないヘッド数(360DPI×N)や1列方向のヘッド数が決まる。
【0017】
各ノズルブロック28は、以下の説明では符号をそれぞれ28A、28B1、28C1とする。ノズルブロック28Aは、ノズルブロック28B1,28C1に挟まれた状態で位置しており、本実施形態においては、ノズルブロック28A、28B1、28C1はノズルブロックごとに同じランクのノズルユニット29を備える。ランクは上述のように製造工程において分けられる。
なお、厳密に同じランクではなくてもいいのはもちろんであり、ある程度の幅を持った範囲に吐出特性が収まれば略同一とすることができる。この幅は塗布対象に応じた塗布量の許容範囲等によって実用上問題のない範囲で定めることができる。
【0018】
ノズルブロック28A、28B1、28C1のランクは、詳細には以下のようにして選択される。
条件(1)
ノズルブロック28Aの吐出量をA、ノズルブロック28B1の吐出量をB1,ノズルブロック28C1の吐出量をC1とするとき、
2A=B1+C1
となるようにノズルユニットのランクを選択する。換言すると、ノズルブロック28B1のランクを吐出量が低いランクとする代わりに、ノズルブロック28C1のノズルブロックを吐出量が高いランクとすることで吐出量の差を相殺させる。例えば、ノズルブロック28Aの吐出量が10ngであるとき、ノズルブロック28B1のノズルユニットを吐出量が9ngのランクのものを選択するとともに、ノズルブロック28C1のノズルユニットのランクを吐出量が11ngのランクのものとする。なお、厳密にノズルブロック28Aの吐出液滴2発がノズルブロック28B1の一発+ノズルブロック28C1の一発でなくてよいのはもちろんである。実用上問題のない範囲で定めることができる。
【0019】
好ましくは、さらに以下のようにノズルブロックを選択する。
条件(2)
多数製造されたノズルユニットの吐出特性のランクは、図4に示したような正規分布となる。ノズルブロック28Aは分布の中央値近傍から選択し、ノズルブロック28B1および28C1は、中央値に対して左右の領域、好ましくは左右対称の位置から選択する。このような方法を採用することで、選択が容易となり、より広いランクのノズルユニットを使用することができる。
【0020】
次に、各ノズルユニット29の具体的構成について説明する。各ノズルブロック28に設けられたノズルユニット29は、一体となって一つのノズルブロック28として機能するように設けられており、ノズルユニット29間の非走査方向の距離は、いわゆるインターレース印刷が可能なように、隣接するノズルユニット29の最端のノズルNz間の距離が媒体に形成されるインクドットの非走査方向の距離の整数倍になるように配置されている。
【0021】
各ノズルNzには電歪素子の一つであって応答性に優れたピエゾ素子PEが配置されている。ピエゾ素子PEは、ノズルNzまでインクを導くインク通路に接する位置に設置されている。ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、電気-機械エネルギの変換を極めて高速に行う素子である。本実施形態では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路の一側壁を変形させる。この結果、インク通路の体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが粒子となってノズルNzの先端より高速に吐出される。このインク粒子が基板Pに塗布されることでカラーフィルタ層の形成が行われる。
【0022】
次に、液滴吐出装置22の制御装置40の内部構成を説明するとともに、図3に示した複数のノズルユニット29から構成されるノズルブロック28を駆動する方法について説明する。図5は制御装置40の内部構成等を示す説明図である。図5に示すように、この制御装置40の内部には、CPU41,PROM42,RAM43の他、外部制御装置とのデータのやり取りを行うインターフェイス44と、X軸方向駆動モータ32,Y軸方向駆動モータ33などとの信号のやり取りを行う周辺入出力部(PIO)45と、計時を行うタイマ46と、ピエゾ素子の駆動電圧波形を生成する駆動波形生成回路47と、ドットデータや駆動信号をヘッド駆動回路51に送信するためのインターフェイス49などが設けられており、これらの素子および回路はバス48で相互に接続されている。駆動波形生成回路47は、D/Aコンバータ(DAC),アンプなどから構成されており、発振器50のクロック信号に同期してピエゾ素子の駆動電圧波形を生成する。
【0023】
ノズルNzを駆動させる信号がノズルブロック28に送られる様子を説明する概略説明図を図1に示した。駆動波形生成回路47で生成された駆動信号COMは、インターフェイスを介してノズルブロック28A、28B1、28C1の全てのノズルユニット29に伝送される。また、CPU41,PROM42,RAM43等の制御部からドットデータが各ノズルユニット29に個別に伝送される(不図示)。
すなわち本実施形態においては全てのノズルブロック28A、28B1、28C1のノズルユニット29が一つの駆動波形により駆動されることとなる。
【0024】
ノズルブロック28の駆動の制御は、ヘッド駆動回路51により行われる。ヘッド駆動回路51は、シフトレジスタ,ラッチ回路,レベルシフタ,スイッチ回路などから構成されている。ドットデータは、発振器50からのクロック信号に同期して、インターフェイス49を介してシフトレジスタに伝送される。このデータは、ラッチ回路に一旦保持され、レベルシフタによりスイッチ回路を動作できる電圧に増幅されて、スイッチ回路に入力される。このスイッチ回路には、インクドットを形成するか否かに関わらず、駆動波形生成回路47からの駆動信号がインターフェイス49を介して入力されている。そして、スイッチ回路の出力側にはピエゾ素子が接続されており、ドットデータを受け取っているスイッチのみがピエゾ素子に駆動信号を供給し、インク滴が吐出される。
【0025】
以上説明したハードウェア構成を有する液滴吐出装置22は、X軸方向駆動モータ32,Y軸方向駆動モータ33により基板Pおよび液滴吐出ヘッド31を相対移動させつつ、同時にノズルブロック28のピエゾ素子PEを駆動して、インク滴の吐出を行う。例えば、四方をバンクで囲まれた画素部の内部に、液滴を吐出してカラーフィルタ層を形成する。
【0026】
ここで、駆動波形とインク吐出量との関係について説明する。
図6は、ピエゾ素子PEに印加する駆動信号のプロファイルとノズルNzから吐出されるインク滴(液滴)Ipとの関係を示した説明図である。図6において破線で示した駆動信号が通常のインクドットを形成する際の信号である。区間d2において、一旦ピエゾ素子PEへの印加電圧を中間電位VMより低下させると、インク通路の断面積を増大する方向にピエゾ素子PEが変形するため、図6の状態Aに示したように、メニスカスMeと呼ばれるインク界面は、ノズルNzの内側にへこんだ状態となる。一方、図6の実線で示した駆動信号を用い、区間d1に示すように印加電圧を中間電位VMより急激に低下させると、状態aで示すように、メニスカスMeは状態Aに比べて大きく内側にへこんだ状態となる。次に、ピエゾ素子PEへの印加電圧を中間電位VMよりも増加させると(区間d3)、インク通路の断面積を減少する方向にピエゾ素子PEが変形し、インク滴Ipが吐出される。この時、メニスカスMeがあまり内側へへこんでいない状態(状態A)からは状態Bおよび状態Cに示すように大きなインク滴Ipが吐出され、メニスカスMeが大きく内側にへこんだ状態(状態a)からは状態bおよび状態cに示すように小さなインク滴Ipが吐出される。
このようにインク吐出量は駆動波形の形状に依存し、また駆動電圧VHにも依存する。さらにノズルユニットのランクが異なると、駆動電圧VHに対する吐出特性(吐出量)が異なる。
【0027】
上記したように本実施形態においては各ノズルブロック28A、28B1、28C1が備えるノズルユニット29のランクはノズルブロックごとに異なる。一方、駆動波形生成回路47は全てに共通であり、駆動波形は同じである。したがって吐出量はノズルブロックによって異なる。
本実施形態においては、以下のように吐出を行うことで、吐出量が異なっていても適切な吐出品質を得ることができる。
例えば図7に示したように、画素700内に液滴を吐出する場合、ノズルブロック28Aにより領域701,702を塗布し、ノズルブロック28B1により領域703を塗布し、さらにノズルブロック28C1により領域704を塗布する。ノズルブロック28B1、28C1からは互いに近接した位置に吐出させることにより、塗布される領域703,704の合計面積は、ノズルブロック28Aにより塗布される面積701,702の合計面積と同じとなる。すなわち、ノズルブロック28B1、28C1は、互いに近接した位置に吐出を行うことで、ノズルブロック28Aを用いて二つ吐出させた場合と同等の吐出状態を得ることができる。このように、異なる吐出量であっても画素部内を均一に塗布することができる。
【0028】
以上のような手段を採用することにより、本実施形態においては駆動波形生成回路47は一つのみでよく、回路が簡易となり、コストを抑えることができる。さらに異なるランクのノズルブロックを用いることが可能となり、特定ランクのノズルブロックに限定されず、種々のランクのノズルブロックを使用することができるから、ヘッド製造歩留まりを向上することができる。
また、条件(2)のようにランクを選択するので、より広い範囲のランクのノズルユニットを容易に選択し、使用することができる。
また駆動波形は印字内微振動と吐出波形一つの組み合わせにより、高周波駆動が可能である。したがって増粘対策(印字内微振動波形設計)の自由度が向上し、吐出安定性を向上することができる。
【0029】
なお、さらにスループットを上げたい場合は、図8に示したようにブロック毎に電流増幅駆動回路47aを設けてもよい。DACより前段、電圧増幅部47bは一つでよい。この場合、電圧増幅部47bは一つであるから、一つの駆動波形を交互にノズルブロック28に与える。
【0030】
上記においては、3つのノズルブロック28を備え、各ノズルブロックのランクは2A=B1+C1という条件(1)を満たしていた。ノズルブロックを任意に増やし、図9に示したようにノズルブロック28B1の外側にノズルブロック28B2、28B3、…を設け、ノズルブロック28C1の外側にノズルブロック28C2、28C3、…を設けてもよい。この場合、ノズルブロック28B2,28B3,…の吐出量をB2,B3,…とおくと、
2A=B1+C1=B2+C2=B3+C3=…
を満たすようにランクを選択する。このように構成することで、上記と同様に、ノズルブロック28B2とノズルブロック28C2からそれぞれ液滴を吐出すれば、ノズルブロック28Aから2発液滴を吐出した場合と同等の吐出結果を得ることができる。
【0031】
また、図9に示したように、ノズルブロック28を例えば7個設け、それぞれ符号を28B3,28B2,28B1,28A、28C1,28C2,28C3とおく。各ノズルブロックのランクを、それぞれ7,8,9,10,11,12,13ngを吐出するランクとする。
ある画素内に1パスで目標インク重量70ngを吐出させる場合、ノズルブロック28Aで7発吐出させることも可能であるが、ノズルブロック28B3,28B2,28B1,28A、28C1,28C2,28C3の全てを使い、1パスで1ショットずつ吐出させることで70ngの塗布を実現することができる。これにより、ヘッドの発熱を分散できるから、熱によるデューティー制限でスループットを下げる必要がない。また、同じ駆動波形によって、7〜13ngまで、1ng単位で任意の液滴を吐出することができる。
【0032】
なお、上記の各例においては、各ノズルブロック28は、吐出量の順に配置されているが、これらの順番は特に限定されるものではない。
また、中央のノズルブロック28Aは、二列またはそれ以上であってもよい。また、ノズルブロック28の合計数も上記の例に限定されないのは言うまでもない。
また、本実施形態では液晶表示装置(LCD)のカラーフィルタ層を形成するための液滴吐出装置について示したが、インクジェット方式の吐出装置であればこれに限定されない。例えばLCDに液晶層を形成する液滴吐出装置、有機EL吐出装置、金属配線装置等に適用可能である。
【0033】
〔デバイス製造方法、電子機器〕
以上、本発明の実施形態による液滴吐出装置及び方法について説明したが、この吐出装置は膜を形成する成膜装置又はマイクロレンズアレイ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマ型表示装置、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)等のデバイス製造装置として用いることができる。図10及び図11は、それぞれ、本発明の実施形態による液滴吐出装置を用いて製造した光インタコネクション装置用のマイクロレンズアレイの説明図である。液滴吐出装置において、図10及び図11に示す透明基板からなる対象物W1の所定の位置に液滴吐出ヘッドから感光性の透明樹脂(液状粘性物)を吐出した後、紫外線硬化させて、透明基板上の所定位置に所定の大きさのマイクロレンズLを形成すれば、光インタコネクション装置用のマイクロレンズアレイ58a,58bを製造することができる。
【0034】
ここで、図10に示すマイクロレンズアレイ58aでは、マイクロレンズLがX方向及びY方向にマトリクス状に配列されている。また、図11に示すマイクロレンズアレイ58bでは、マイクロレンズLがX方向及びY方向に不規則に分散して形成されている。尚、マクロレンズアレイは、光インタコネクション装置の他、液晶パネルにも用いられているが、この液晶装置用のマイクロレンズを製造するにあたっても、本発明を適用したインクジェット式装置を用いれば、フォトリソグラフィ技術を用いる必要がないので、マイクロレンズアレイの生産効率を向上することができる。
【0035】
図12は、本発明の実施形態による液滴吐出装置を用いて製造したカラーフィルタ基板を用いた液晶装置の構成を模式的に示す断面図であり、図13(a),(b)はそれぞれ、カラーフィルタ基板における各色の配置を示す説明図である。図12において、液晶装置60では、例えば、カラーフィルタ基板61とTFTアレイ基板61とが所定の間隙を介して貼り合わされ、かつ、これらの基板間には電気光学物質としての液晶63が封入されている。TFTアレイ基板61において、透明基板64の内側の面には、画素スイッチング用のTFT(図示せず)及び画素電極65がマトリクス状に配置され、その表面に配向膜66が形成されている。これに対して、カラーフィルタ基板61において、透明基板67には、画素電極65に対向する位置にR、G、Bのカラーフィルタ層72R、72G、72Bが形成され、その表面に平坦化膜68、対向電極70、及び配向膜71が形成されている。
【0036】
カラーフィルタ基板61において、カラーフィルタ層72R、72G、72Bは、周りが1段又は段付きのバンク68で囲まれ、このバンク68の内側に形成されている。ここで、カラーフィルタ層72R、72G、72Bは、図13(a)に示すデルタ配列、又は図13(b)に示すストライプ配列等、所定のレイアウトに配置される。
【0037】
このような構成のカラーフィルタ基板61を製造するにあたっては、まず、透明基板67の表面にバンク68を形成した後、上述した実施形態で説明した液滴吐出装置を用いて、各バンク68の内側に所定色の樹脂(液状粘性物)を供給した後、紫外線硬化又は熱硬化させて、カラーフィルタ層72R、72G、72Bを形成する。従って、フォトリソグラフィ技術を用いずにカラーフィルタ層72R、72G、72Bを形成できるので、カラーフィルタ基板61の生産性を向上することができる。
【0038】
図14は、有機EL装置の構成の一例を示す断面図である。図14に示すように、有機EL装置301は、基板311、回路素子部321、画素電極331、バンク部341、発光素子351、陰極361(対向基板)、及び封止用基板371から構成された有機EL素子302に、フレキシブル基板(図示省略)の配線及び駆動IC(図示省略)を接続したものである。回路素子部321は基板311上に形成され、複数の画素電極331が回路素子部321上に整列している。そして、各画素電極331間にはバンク部341が格子状に形成されており、バンク部341により生じた凹部開口344に、発光素子351が形成されている。陰極361は、バンク部341及び発光素子351の上部全面に形成され、陰極361の上には、封止用基板371が積層されている。
【0039】
有機EL素子を含む有機EL装置301の製造プロセスは、バンク部341を形成するバンク部形成工程と、発光素子351を適切に形成するためのプラズマ処理工程と、発光素子351を形成する発光素子形成工程と、陰極361を形成する対向電極形成工程と、封止用基板371を陰極361上に積層して封止する封止工程とを備えている。
【0040】
発光素子形成工程は、凹部開口344、即ち画素電極331上に正孔注入/輸送層352及び発光層353を形成することにより発光素子351を形成するもので、正孔注入/輸送層形成工程と発光層形成工程とを有している。そして、正孔注入/輸送層形成工程は、正孔注入/輸送層352を形成するための第1組成物(機能液)を各画素電極331上に吐出する第1液滴吐出工程と、吐出された第1組成物を乾燥させて正孔注入/輸送層352を形成する第1乾燥工程とを有し、発光層形成工程は、発光層353を形成するための第2組成物(機能液)を正孔注入/輸送層352の上に吐出する第2液滴吐出工程と、吐出された第2組成物を乾燥させて発光層353を形成する第2乾燥工程とを有している。この発光素子形成工程では、液滴吐出装置を用いて上記発光素子を形成する。
【0041】
図15は、プラズマ型表示装置の構成の一部を示す分解斜視図である。図15に示す通り、プラズマ型表示装置400は、互いに対向して配置された基板401,402及びこれらの基板401,402の間に形成される放電表示部410を含んで構成される。放電表示部410は、複数の放電室416が集合されたものである。複数の放電室416のうち、赤色放電室416(R)、緑色放電室416(G)、青色放電室416(B)の3つの放電室416が対になって1画素を構成するように配置されている。
【0042】
基板401の上面には所定の間隔でストライプ状にアドレス電極411が形成され、アドレス電極411と基板401の上面とを覆うように誘電体層419が形成されている。誘電体層419上には、アドレス電極411,411間に位置し、且つ各アドレス電極411に沿うように隔壁415が形成されている。隔壁415は、アドレス電極411の幅方向左右両側に隣接する隔壁と、アドレス電極411と直交する方向に延設された隔壁とを含む。また、隔壁415によって仕切られた長方形状の領域に対応して放電室416が形成されている。また、隔壁415によって区画される長方形状の領域の内側には蛍光体417が配置されている。蛍光体417は、赤、緑、青の何れかの蛍光を発光するものであり、赤色放電室416(R)の底部には赤色蛍光体417(R)が、緑色放電室416(G)の底部には緑色蛍光体417(G)が、青色放電室416(B)の底部には青色蛍光体417(B)がそれぞれ配置されている。
【0043】
一方、基板402には、先のアドレス電極411と直交する方向に複数の表示電極412がストライプ状に所定の間隔で形成されている。更に、これらを覆うように誘電体層413、及びMgO等からなる保護膜414が形成されている。基板401と基板402とは、アドレス電極411と表示電極412とを互いに直交させるように対向させて相互に貼り合わされている。アドレス電極411及び表示電極412は、図示略の交流電源に接続されている。各電極に通電することにより、放電表示部410において蛍光体417が励起発光してカラー表示が可能となる。本発明の実施形態による液滴吐出装置は、隔壁415によって区画される長方形状の領域の内側に蛍光体417を配置するために用いられる。
【0044】
図16は、電界放出素子を備えた電界放出ディスプレイ(FED)の構成を示す図であって、(a)はFEDを構成するカソード基板とアノード基板の配置関係を概略的に示す分解斜視図であり、(b)はFEDのカソード基板に設けられる駆動回路の概略構成を示す回路図であり、(c)はカソード基板の要部を示す斜視図である。図16(a)に示す通り、FED500は、カソード基板500aとアノード基板500bとを対向配置した構成である。
【0045】
カソード基板500aは、図16(a),(b)に示す通り、ゲート線501と、エミッタ線502と、ゲート線501及びエミッタ線502に接続された電界放出素子503とからなる所謂単純マトリクス駆動回路を備えている。ゲート線501にはゲート信号V1,V2,…,Vmが供給され、エミッタ線502には、エミッタ信号W1,W2,…,Wnが供給される。また、アノード基板500bは、電子が当ることにより発光する性質を有する蛍光体を備えており、この蛍光体として赤、緑、青の何れかの蛍光を発光する蛍光体が設けられている。
【0046】
図16(c)に示す通り、電界放出素子503はエミッタ線502に接続されたエミッタ電極503aと、ゲート線501に接続されたゲート電極503bとを備えた構成である。また、エミッタ電極503aは、エミッタ電極503a側からゲート電極503bに向かって小径化するエミッタティップ505と呼ばれる突起部を備えており、このエミッタティップ505に対応した位置にはゲート電極503bに孔部504が形成されており、この孔部504内にエミッタティップ505の先端が配置されている。
【0047】
電界放出素子503に設けられたエミッタ電極503aとゲート電極503bとの間に電圧を供給すると、電界の作用によってエミッタティップ505から孔部504に向かって電子510が移動し、エミッタティップ505の先端から電子510が放出される。能出された電子510が、カソード基板500aに対向配置されたアノード基板500bの蛍光体に当たることで蛍光体が発光する。このため、ゲート線501のゲート信号V1,V2,…,Vm、及びエミッタ線502のエミッタ信号W1,W2,…,Wnを制御してFED500を駆動すれば所望の色を表示させることが可能になる。本発明の実施形態による液滴吐出装置は、アノード基板500bに蛍光体を配置するために用いられる。
【0048】
上記の液晶装置、有機EL装置、プラズマ型表示装置、FED等のデバイスは、ノート型コンピュータ及び携帯電話等の電子機器に設けられる。だだし、本発明にいう電子機器は、上記のノート型コンピュータ及び携帯電話に限られる訳ではなく、種々の電子機器に適用することができる。例えば、液晶プロジェクタ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等の電子機器に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態として示した液滴吐出装置において、ノズルを駆動させる信号がノズルブロックに送られる様子を説明する概略説明図である。
【図2】同液滴吐出装置の概略構成図である。
【図3】ノズルブロックにおけるノズルユニットおよびノズルの配置を示す説明図である。
【図4】ノズルユニットのランクの分布を示した図である。
【図5】液滴吐出装置の制御装置の内部構成を示す説明図である。
【図6】ピエゾ素子に印加する駆動波形のプロファイルとノズルから吐出されるインク滴の関係を説明する説明図である。
【図7】各ノズルブロックによって画素部を塗布した状態を示した図である。
【図8】駆動波形生成回路の変形例について示した図である。
【図9】液滴吐出装置の変形例であり、ノズルブロックの数を増した状態について示した図である。
【図10】本発明の実施形態による液滴吐出装置を用いて製造した光インタコネクション装置用のマイクロレンズアレイの説明図である。
【図11】本発明の実施形態による液滴吐出装置を用いて製造した光インタコネクション装置用のマイクロレンズアレイの説明図である。
【図12】本発明の実施形態による液滴吐出装置を用いて製造したカラーフィルタ基板を用いた液晶装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図13】カラーフィルタ基板における各色の配置を示す説明図である。
【図14】有機EL装置の構成の一例を示す断面図である。
【図15】プラズマ型表示装置の構成の一部を示す分解斜視図である。
【図16】電界放出素子を備えた電界放出ディスプレイ(FED)の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
22……液滴吐出装置
28(28A,28B1,28B2,…,28C1,28C2,…)………ノズルブロック
29……ノズルユニット
40……制御装置
41……CPU
42……プログラマブルROM(PROM)
43……RAM
44……インターフェイス
45……周辺入出力部(PIO)
46……タイマ
47……駆動波形生成回路
48……バス
49……インターフェイス
50……発振器
51……ヘッド駆動回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置及び方法並びに液滴吐出装置の製造方法に関し、詳しくは、複数のノズルユニットからなるノズルブロックを複数個備え、該ノズルブロックから液滴を吐出して媒体上に塗布するための液滴吐出装置及び方法、当該装置の製造方法、並びに当該装置又は方法を用いたデバイス製造方法及び当該製造方法により製造されるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出方式(インクジェット方式)により液晶表示装置のカラーフィルタ層を製造する際には、バンクと称される隔壁で囲まれた各画素に対して顔料の液滴(インク)を連続して塗布し、カラーフィルタ層を形成している。例えば基板上にバンク (高さ1ミクロン程度、撥水性) を形成し、この中にカラーフィルタインク(以下CFインクと呼ぶ。)をインクジェット塗布(以下IJ塗布と呼ぶ。)している。
【0003】
このようなインクジェット方式の液滴吐出装置では、多数のノズルをインクヘッドに配置する「多ノズル化」のものが開発されてきており、ノズルの数を増やすことにより印刷に必要なインクヘッドの走査回数を減らすことができ、印刷速度を速めることが可能となる。しかし、単一のインクヘッドに多数のノズルを所定のノズルピッチで安定的に形成することは、ノズルピッチの誤差やノズルの不良等の歩留まりを低下させる問題があり、製造上困難である。
【0004】
そこで、いわゆる多ノズルを実現するために、複数のノズルユニット(従来の単一のインクヘッド)を主走査方向と直交する副走査方向に縦列配置してノズルブロックを構成するものが提案されている。各ノズルユニットのノズルから吐出されるインク滴により形成されるインクドットの位置合わせは、例えば特許文献1に開示されている方法により行うことが可能である。
【特許文献1】特開平5−220951号公報
【特許文献2】特開2001−38892号公報
【特許文献3】特開2002−372921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる装置においては、インクドットの形成位置を所定の位置に合わせることが可能であるとしても、ノズルブロックは複数のノズルユニットを組み合わせて構成するため、各ノズルユニット毎にインクの吐出特性が異なる場合には、各ノズルユニット毎に吐出量を同一にする補正が必要であり、ヘッド駆動のための回路規模が大きくなる問題があった。
また、特許文献2には、それぞれ複数のノズルユニットを備えたノズルブロックを複数備え、各ノズルブロックにそれぞれヘッド駆動回路を設けた印刷装置が開示されているが、当該構成では各ノズルブロックにそれぞれヘッド駆動回路が必要であり、複雑化、高コスト化となっている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、回路が簡易となりコストを抑えることができる液滴吐出装置、液滴吐出方法、および液滴吐出装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の液滴吐出装置は、液滴を吐出する複数のノズルユニットからなるノズルブロックをヘッド走査方向に沿って少なくとも3個備え、該ノズルブロックによって媒体上に液滴を塗布する液滴吐出装置において、前記各ノズルユニットの吐出特性ランクが前記ノズルブロックごとに略同一に揃えられ、前記各ノズルユニットに対して共通する一つの駆動波形を与えて該ノズルユニットを駆動させる一つの駆動波形生成回路が設けられ、前記ノズルブロックの吐出特性ランクは、第1のノズルブロックの吐出量をA、第2のノズルブロックの吐出量をB1、第3のノズルブロックの吐出量をC1とおくと、2A=B1+C1という関係を満たす吐出特性ランクであることを特徴としている。
本発明によれば、各ノズルブロックが備えるノズルユニットが、ノズルブロックごとに略同一ランクとされているから、駆動波形生成回路は一つでよく、簡易な構成とすることができる。第2及び第3のノズルブロックが備えるノズルユニットの液滴吐出量の平均は、第1のノズルブロックが備えるノズルユニットの液滴吐出量と等しいことで、第2及び第3のノズルブロックが備えるノズルユニットからそれぞれ液滴を吐出すれば、第1のノズルブロックが備えるノズルユニットから2発液滴を吐出した場合と同等の結果を得ることができる。
また、第2及び第3のノズルブロックの吐出量は第1のノズルブロックと異なるから、これらのノズルブロックを使い分けることで、異なる吐出量での塗布を行うことができる。例えば、第1のノズルブロックの吐出量を10ng、第2,第3のノズルブロックの吐出量を8ng、12ngとすると、同じ駆動波形を用いても8,10,12ngの吐出量を選択することができる。
ここで、ノズルユニットのランクは、同じ駆動波形で駆動させたときの吐出量の違いに基づいて分けられる。なお、各ノズルブロックに用いられるノズルユニットのランクは厳密に同じランクではなくてもいいのはもちろんであり、ある程度の幅を持った範囲に吐出特性が収まれば略同一とすることができる。この幅は塗布対象に応じた塗布量の許容範囲等によって実用上問題のない範囲で定めることができる。
また、2A=B1+C1という条件は、実用上問題のない範囲であれば厳格に満たす必要がないのは言うまでもない。
また、本発明の液滴吐出装置は、吐出量の和が2Aとなる吐出特性ランクのノズルブロックの対をさらに一組以上備えていることを特徴としている。
本発明によれば、例えば第4のノズルブロックの吐出量をB2,第5のノズルブロックの吐出量をC2、……とおくと、
2A=B1+C1=B2+C2=………
を満たす。したがって上記と同様に、第4及び第5のノズルブロックが備えるノズルユニットからそれぞれ液滴を吐出すれば、第1のノズルブロックが備えるノズルユニットから2発液滴を吐出した場合と同等の結果を得ることができる。
また、各ノズルブロックを使い分けることで、同じ駆動波形を用いて上記よりも広い範囲の吐出量を選択して液滴塗布を行うことができる。
また、本発明の液滴吐出装置は、前記駆動波形生成回路が、前記駆動波形の電流を増幅して前記各ノズルブロックに与える電流増幅駆動回路を各ノズルブロックにそれぞれ対応して複数備えていることを特徴としている。
本発明によれば、ブロック毎に電流増幅駆動回路を備えることでさらにスループットを上げることができる。
また、本発明の液滴吐出方法は、液滴を吐出する複数のノズルユニットからなるノズルブロックをヘッド走査方向に沿って複数個用いて媒体上に液滴を塗布する液滴吐出方法において、前記各ノズルユニットの吐出特性ランクをノズルブロックごとに略同一に揃え、前記各ノズルユニットに対して共通する一つの駆動波形を与えて前記ノズルユニットを駆動させることで塗布を行い、異なるランクのノズルブロックから互いに近接させた位置にそれぞれ1発ずつ液滴を吐出させることで、前記ランクの中間値のランクのノズルブロックから吐出された2発と同等の塗布を行うことを特徴としている。
本発明によれば、各ノズルブロックが備えるノズルユニットが略同一ランク品であるから、駆動波形生成回路は一つでよく、簡易な構成とすることができる。また、異なるランクのノズルユニットを使用することができるから、ヘッド製造の歩留まりを向上することができる。また、異なるランクのノズルブロックから吐出された液滴は、互いに近接した位置に吐出されることで、その中間ランクのノズルブロックから吐出されたものと同等の吐出品質となる。例えば、一つのノズルブロックからの吐出量が8ngであり、他のノズルブロックからの吐出量が12ngである場合、これらを近接した位置に吐出すると、10ngの液滴を二つ吐出させた場合と同等の吐出状態を得ることができる。
【0008】
本発明の液滴吐出装置の製造方法は、液滴を吐出する複数のノズルユニットからなるノズルブロックをヘッド走査方向に沿って少なくとも3個備え、該ノズルブロックによって媒体上に液滴を塗布する液滴吐出装置を製造する液滴吐出装置の製造方法において、前記各ノズルユニットの吐出特性ランクを前記ノズルブロックごとに略同一に揃え、前記各ノズルユニットに対して共通する一つの駆動波形を与えて該ノズルユニットを駆動させる一つの駆動波形生成回路を設け、前記ノズルブロックの吐出特性ランクとして、第1のノズルブロックの吐出量がA、第2のノズルブロックの吐出量がB1,第3のノズルブロックの吐出量がC1であるとき、2A=B1+C1という関係を満たすランクのノズルユニットを選択することを特徴としている。
本発明によれば、各ノズルブロックが備えるノズルユニットが、ノズルブロックごとに略同一ランクとされているから、駆動波形生成回路は一つでよく、簡易な構成とすることができる。従って、コストを抑えた液滴吐出装置を提供することができる。
第2及び第3のノズルブロックが備えるノズルユニットの液滴吐出量の平均は、第1のノズルブロックが備えるノズルユニットの液滴吐出量と等しいことで、第2及び第3のノズルブロックが備えるノズルユニットからそれぞれ1発の液滴を吐出すれば、第1のノズルブロックが備えるノズルユニットから2発液滴を吐出した場合と同等の結果を得ることができる。
また、本発明の液滴吐出装置の製造方法は、4個目以上のノズルブロックのランクについて、ノズルブロックの対ごとに吐出量の和がそれぞれ2Aとなるようにノズルユニットのランクを選択することを特徴としている。
本発明によれば、第4のノズルブロックの吐出量をB2,第5のノズルブロックの吐出量をC2、……とおくと、
2A=B1+C1=B2+C2=………
を満たすようにランクを選択する。したがって上記と同様に、第4及び第5のノズルブロックが備えるノズルユニットからそれぞれ液滴を吐出すれば、第1のノズルブロックが備えるノズルユニットから2発液滴を吐出した場合と同等の結果を得ることができる。
また、本発明の液滴吐出装置の製造方法は、前記第1のノズルブロックを、多数製造したノズルユニットの吐出特性分布の中央値近傍から選択し、吐出量の和が2Aとなるノズルブロックの対について、一方を前記分布の前記中央領域よりも吐出量が小さい領域から選択し、他方を同分布の中央領域よりも吐出量が大きい領域から選択することを特徴としている。
本発明によればノズルユニットの選択が容易となり、より広いランクのノズルユニットを使用することができる。
本発明のデバイス製造方法は、上記の液滴吐出装置若しくは方法、又は上記の液滴吐出装置の製造方法を用いて製造された液滴吐出装置を用いて、基板上に液滴を吐出し、デバイスを形成することを特徴としている。
この発明によれば、上記の液滴吐出装置又は方法を用いて液滴が基板の所定位置に精確に所定量吐出されるため、所期の機能を有するデバイスを高い歩留まりで効率よく製造することができる。
本発明のデバイスは、上記のデバイス製造方法を用いて製造されることを特徴としている。
この発明によれば、高機能であり、高い信頼性を有する電子機器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による液滴吐出装置及び方法、液滴吐出装置の製造方法、並びにデバイス製造方法及びデバイスについて詳細に説明する。
【0010】
〔液滴吐出装置及び方法、液滴吐出装置の製造方法〕
図1は、図2に概略構成を示した液滴吐出装置に用いられる駆動波形生成回路およびノズルブロックを示したものである。
まず、図2により液滴吐出装置22の概略構成を説明する。図2は、IJ塗布に用いられる液滴吐出装置22であり、液滴吐出ヘッド31と、X軸方向駆動軸34と、Y軸方向ガイド軸35と、制御装置40と、ステージ37と、クリーニング機構38と、基台39とを備えている。
ステージ37は、この液滴吐出装置22によりカラーフィルタインク(液体材料)が形成される基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0011】
液滴吐出ヘッド31は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド31の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド31の吐出ノズルからは、ステージ37に支持されている基板Pに対してカラーフィルタインクが吐出される。
【0012】
X軸方向駆動軸34には、X軸方向駆動モータ32が接続されている。X軸方向駆動モータ32はステッピングモータ等であり、制御装置40からX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸34を回転させる。X軸方向駆動軸34が回転すると、液滴吐出ヘッド31はX軸方向に移動する。
Y軸方向ガイド軸35は、基台39に対して動かないように固定されている。ステージ37は、Y軸方向駆動モータ33を備えている。Y軸方向駆動モータ33はステッピングモータ等であり、制御装置40からY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ37をY軸方向に移動する。
【0013】
制御装置40は、液滴吐出ヘッド31に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ32に液滴吐出ヘッド31のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ33にステージ7のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構38は、液滴吐出ヘッド31をクリーニングするものである。クリーニング機構38には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸35に沿って移動する。クリーニング機構38の移動も制御装置40により制御される。
【0014】
液滴吐出装置22は、液滴吐出ヘッド31と基板Pを支持するステージ37とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、X軸方向を走査方向、X軸方向と直交するY軸方向を非走査方向とする。
【0015】
図3は、液滴吐出ヘッド31におけるノズルNzの配列を示す説明図である。本例においては、液滴吐出ヘッド31はノズルブロック28を3列(28A、28B1,28C1)備え、各ノズルブロック28はノズルユニット29をそれぞれ3個備えている。ノズルノズルユニット29には、320(160個×2列)個のノズルNzが非走査方向に沿ってノズルピッチkで千鳥状に配列されている。これらのノズルユニット29は、その製造工程で吐出特性によりランク分けされており、各ノズルブロック28に設けられるノズルユニット29は、ノズルブロック28ごとに同ランクのものが選択される。
ここで、ランクとは、同じ駆動波形で駆動させたときの吐出量の違いに基づいて分けられる。具体的には、製造ラインの検査工程において、ノズルユニット29の吐出量を電子天秤を用いて測定する。(ノズルの吐出量の平均として計算する。)
【0016】
また、ノズルヘッドの数は以下のようにして決められる。
(1)液晶表示装置の必要生産量から、基板1枚当たりの描画時間が決まる。
(2)一つの画素の大きさと必要な膜厚とインク濃度から、一つの画素に必要なインク量が決まる。
(3)インク量を1滴当たりの吐出量で割って必要滴数が決まる。
(4)着弾精度やインクの濡れ広がり状態(接触角)から一つの画素のどこにインクを吐出しなければならないかが決まる。
(5)(1)、(3)、(4)から描画に必要な解像度や許される描画往復回数が決まる。
(6)(5)からノズル密度が求まり、1行に配置しなければならないヘッド数(360DPI×N)や1列方向のヘッド数が決まる。
【0017】
各ノズルブロック28は、以下の説明では符号をそれぞれ28A、28B1、28C1とする。ノズルブロック28Aは、ノズルブロック28B1,28C1に挟まれた状態で位置しており、本実施形態においては、ノズルブロック28A、28B1、28C1はノズルブロックごとに同じランクのノズルユニット29を備える。ランクは上述のように製造工程において分けられる。
なお、厳密に同じランクではなくてもいいのはもちろんであり、ある程度の幅を持った範囲に吐出特性が収まれば略同一とすることができる。この幅は塗布対象に応じた塗布量の許容範囲等によって実用上問題のない範囲で定めることができる。
【0018】
ノズルブロック28A、28B1、28C1のランクは、詳細には以下のようにして選択される。
条件(1)
ノズルブロック28Aの吐出量をA、ノズルブロック28B1の吐出量をB1,ノズルブロック28C1の吐出量をC1とするとき、
2A=B1+C1
となるようにノズルユニットのランクを選択する。換言すると、ノズルブロック28B1のランクを吐出量が低いランクとする代わりに、ノズルブロック28C1のノズルブロックを吐出量が高いランクとすることで吐出量の差を相殺させる。例えば、ノズルブロック28Aの吐出量が10ngであるとき、ノズルブロック28B1のノズルユニットを吐出量が9ngのランクのものを選択するとともに、ノズルブロック28C1のノズルユニットのランクを吐出量が11ngのランクのものとする。なお、厳密にノズルブロック28Aの吐出液滴2発がノズルブロック28B1の一発+ノズルブロック28C1の一発でなくてよいのはもちろんである。実用上問題のない範囲で定めることができる。
【0019】
好ましくは、さらに以下のようにノズルブロックを選択する。
条件(2)
多数製造されたノズルユニットの吐出特性のランクは、図4に示したような正規分布となる。ノズルブロック28Aは分布の中央値近傍から選択し、ノズルブロック28B1および28C1は、中央値に対して左右の領域、好ましくは左右対称の位置から選択する。このような方法を採用することで、選択が容易となり、より広いランクのノズルユニットを使用することができる。
【0020】
次に、各ノズルユニット29の具体的構成について説明する。各ノズルブロック28に設けられたノズルユニット29は、一体となって一つのノズルブロック28として機能するように設けられており、ノズルユニット29間の非走査方向の距離は、いわゆるインターレース印刷が可能なように、隣接するノズルユニット29の最端のノズルNz間の距離が媒体に形成されるインクドットの非走査方向の距離の整数倍になるように配置されている。
【0021】
各ノズルNzには電歪素子の一つであって応答性に優れたピエゾ素子PEが配置されている。ピエゾ素子PEは、ノズルNzまでインクを導くインク通路に接する位置に設置されている。ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、電気-機械エネルギの変換を極めて高速に行う素子である。本実施形態では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路の一側壁を変形させる。この結果、インク通路の体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが粒子となってノズルNzの先端より高速に吐出される。このインク粒子が基板Pに塗布されることでカラーフィルタ層の形成が行われる。
【0022】
次に、液滴吐出装置22の制御装置40の内部構成を説明するとともに、図3に示した複数のノズルユニット29から構成されるノズルブロック28を駆動する方法について説明する。図5は制御装置40の内部構成等を示す説明図である。図5に示すように、この制御装置40の内部には、CPU41,PROM42,RAM43の他、外部制御装置とのデータのやり取りを行うインターフェイス44と、X軸方向駆動モータ32,Y軸方向駆動モータ33などとの信号のやり取りを行う周辺入出力部(PIO)45と、計時を行うタイマ46と、ピエゾ素子の駆動電圧波形を生成する駆動波形生成回路47と、ドットデータや駆動信号をヘッド駆動回路51に送信するためのインターフェイス49などが設けられており、これらの素子および回路はバス48で相互に接続されている。駆動波形生成回路47は、D/Aコンバータ(DAC),アンプなどから構成されており、発振器50のクロック信号に同期してピエゾ素子の駆動電圧波形を生成する。
【0023】
ノズルNzを駆動させる信号がノズルブロック28に送られる様子を説明する概略説明図を図1に示した。駆動波形生成回路47で生成された駆動信号COMは、インターフェイスを介してノズルブロック28A、28B1、28C1の全てのノズルユニット29に伝送される。また、CPU41,PROM42,RAM43等の制御部からドットデータが各ノズルユニット29に個別に伝送される(不図示)。
すなわち本実施形態においては全てのノズルブロック28A、28B1、28C1のノズルユニット29が一つの駆動波形により駆動されることとなる。
【0024】
ノズルブロック28の駆動の制御は、ヘッド駆動回路51により行われる。ヘッド駆動回路51は、シフトレジスタ,ラッチ回路,レベルシフタ,スイッチ回路などから構成されている。ドットデータは、発振器50からのクロック信号に同期して、インターフェイス49を介してシフトレジスタに伝送される。このデータは、ラッチ回路に一旦保持され、レベルシフタによりスイッチ回路を動作できる電圧に増幅されて、スイッチ回路に入力される。このスイッチ回路には、インクドットを形成するか否かに関わらず、駆動波形生成回路47からの駆動信号がインターフェイス49を介して入力されている。そして、スイッチ回路の出力側にはピエゾ素子が接続されており、ドットデータを受け取っているスイッチのみがピエゾ素子に駆動信号を供給し、インク滴が吐出される。
【0025】
以上説明したハードウェア構成を有する液滴吐出装置22は、X軸方向駆動モータ32,Y軸方向駆動モータ33により基板Pおよび液滴吐出ヘッド31を相対移動させつつ、同時にノズルブロック28のピエゾ素子PEを駆動して、インク滴の吐出を行う。例えば、四方をバンクで囲まれた画素部の内部に、液滴を吐出してカラーフィルタ層を形成する。
【0026】
ここで、駆動波形とインク吐出量との関係について説明する。
図6は、ピエゾ素子PEに印加する駆動信号のプロファイルとノズルNzから吐出されるインク滴(液滴)Ipとの関係を示した説明図である。図6において破線で示した駆動信号が通常のインクドットを形成する際の信号である。区間d2において、一旦ピエゾ素子PEへの印加電圧を中間電位VMより低下させると、インク通路の断面積を増大する方向にピエゾ素子PEが変形するため、図6の状態Aに示したように、メニスカスMeと呼ばれるインク界面は、ノズルNzの内側にへこんだ状態となる。一方、図6の実線で示した駆動信号を用い、区間d1に示すように印加電圧を中間電位VMより急激に低下させると、状態aで示すように、メニスカスMeは状態Aに比べて大きく内側にへこんだ状態となる。次に、ピエゾ素子PEへの印加電圧を中間電位VMよりも増加させると(区間d3)、インク通路の断面積を減少する方向にピエゾ素子PEが変形し、インク滴Ipが吐出される。この時、メニスカスMeがあまり内側へへこんでいない状態(状態A)からは状態Bおよび状態Cに示すように大きなインク滴Ipが吐出され、メニスカスMeが大きく内側にへこんだ状態(状態a)からは状態bおよび状態cに示すように小さなインク滴Ipが吐出される。
このようにインク吐出量は駆動波形の形状に依存し、また駆動電圧VHにも依存する。さらにノズルユニットのランクが異なると、駆動電圧VHに対する吐出特性(吐出量)が異なる。
【0027】
上記したように本実施形態においては各ノズルブロック28A、28B1、28C1が備えるノズルユニット29のランクはノズルブロックごとに異なる。一方、駆動波形生成回路47は全てに共通であり、駆動波形は同じである。したがって吐出量はノズルブロックによって異なる。
本実施形態においては、以下のように吐出を行うことで、吐出量が異なっていても適切な吐出品質を得ることができる。
例えば図7に示したように、画素700内に液滴を吐出する場合、ノズルブロック28Aにより領域701,702を塗布し、ノズルブロック28B1により領域703を塗布し、さらにノズルブロック28C1により領域704を塗布する。ノズルブロック28B1、28C1からは互いに近接した位置に吐出させることにより、塗布される領域703,704の合計面積は、ノズルブロック28Aにより塗布される面積701,702の合計面積と同じとなる。すなわち、ノズルブロック28B1、28C1は、互いに近接した位置に吐出を行うことで、ノズルブロック28Aを用いて二つ吐出させた場合と同等の吐出状態を得ることができる。このように、異なる吐出量であっても画素部内を均一に塗布することができる。
【0028】
以上のような手段を採用することにより、本実施形態においては駆動波形生成回路47は一つのみでよく、回路が簡易となり、コストを抑えることができる。さらに異なるランクのノズルブロックを用いることが可能となり、特定ランクのノズルブロックに限定されず、種々のランクのノズルブロックを使用することができるから、ヘッド製造歩留まりを向上することができる。
また、条件(2)のようにランクを選択するので、より広い範囲のランクのノズルユニットを容易に選択し、使用することができる。
また駆動波形は印字内微振動と吐出波形一つの組み合わせにより、高周波駆動が可能である。したがって増粘対策(印字内微振動波形設計)の自由度が向上し、吐出安定性を向上することができる。
【0029】
なお、さらにスループットを上げたい場合は、図8に示したようにブロック毎に電流増幅駆動回路47aを設けてもよい。DACより前段、電圧増幅部47bは一つでよい。この場合、電圧増幅部47bは一つであるから、一つの駆動波形を交互にノズルブロック28に与える。
【0030】
上記においては、3つのノズルブロック28を備え、各ノズルブロックのランクは2A=B1+C1という条件(1)を満たしていた。ノズルブロックを任意に増やし、図9に示したようにノズルブロック28B1の外側にノズルブロック28B2、28B3、…を設け、ノズルブロック28C1の外側にノズルブロック28C2、28C3、…を設けてもよい。この場合、ノズルブロック28B2,28B3,…の吐出量をB2,B3,…とおくと、
2A=B1+C1=B2+C2=B3+C3=…
を満たすようにランクを選択する。このように構成することで、上記と同様に、ノズルブロック28B2とノズルブロック28C2からそれぞれ液滴を吐出すれば、ノズルブロック28Aから2発液滴を吐出した場合と同等の吐出結果を得ることができる。
【0031】
また、図9に示したように、ノズルブロック28を例えば7個設け、それぞれ符号を28B3,28B2,28B1,28A、28C1,28C2,28C3とおく。各ノズルブロックのランクを、それぞれ7,8,9,10,11,12,13ngを吐出するランクとする。
ある画素内に1パスで目標インク重量70ngを吐出させる場合、ノズルブロック28Aで7発吐出させることも可能であるが、ノズルブロック28B3,28B2,28B1,28A、28C1,28C2,28C3の全てを使い、1パスで1ショットずつ吐出させることで70ngの塗布を実現することができる。これにより、ヘッドの発熱を分散できるから、熱によるデューティー制限でスループットを下げる必要がない。また、同じ駆動波形によって、7〜13ngまで、1ng単位で任意の液滴を吐出することができる。
【0032】
なお、上記の各例においては、各ノズルブロック28は、吐出量の順に配置されているが、これらの順番は特に限定されるものではない。
また、中央のノズルブロック28Aは、二列またはそれ以上であってもよい。また、ノズルブロック28の合計数も上記の例に限定されないのは言うまでもない。
また、本実施形態では液晶表示装置(LCD)のカラーフィルタ層を形成するための液滴吐出装置について示したが、インクジェット方式の吐出装置であればこれに限定されない。例えばLCDに液晶層を形成する液滴吐出装置、有機EL吐出装置、金属配線装置等に適用可能である。
【0033】
〔デバイス製造方法、電子機器〕
以上、本発明の実施形態による液滴吐出装置及び方法について説明したが、この吐出装置は膜を形成する成膜装置又はマイクロレンズアレイ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマ型表示装置、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)等のデバイス製造装置として用いることができる。図10及び図11は、それぞれ、本発明の実施形態による液滴吐出装置を用いて製造した光インタコネクション装置用のマイクロレンズアレイの説明図である。液滴吐出装置において、図10及び図11に示す透明基板からなる対象物W1の所定の位置に液滴吐出ヘッドから感光性の透明樹脂(液状粘性物)を吐出した後、紫外線硬化させて、透明基板上の所定位置に所定の大きさのマイクロレンズLを形成すれば、光インタコネクション装置用のマイクロレンズアレイ58a,58bを製造することができる。
【0034】
ここで、図10に示すマイクロレンズアレイ58aでは、マイクロレンズLがX方向及びY方向にマトリクス状に配列されている。また、図11に示すマイクロレンズアレイ58bでは、マイクロレンズLがX方向及びY方向に不規則に分散して形成されている。尚、マクロレンズアレイは、光インタコネクション装置の他、液晶パネルにも用いられているが、この液晶装置用のマイクロレンズを製造するにあたっても、本発明を適用したインクジェット式装置を用いれば、フォトリソグラフィ技術を用いる必要がないので、マイクロレンズアレイの生産効率を向上することができる。
【0035】
図12は、本発明の実施形態による液滴吐出装置を用いて製造したカラーフィルタ基板を用いた液晶装置の構成を模式的に示す断面図であり、図13(a),(b)はそれぞれ、カラーフィルタ基板における各色の配置を示す説明図である。図12において、液晶装置60では、例えば、カラーフィルタ基板61とTFTアレイ基板61とが所定の間隙を介して貼り合わされ、かつ、これらの基板間には電気光学物質としての液晶63が封入されている。TFTアレイ基板61において、透明基板64の内側の面には、画素スイッチング用のTFT(図示せず)及び画素電極65がマトリクス状に配置され、その表面に配向膜66が形成されている。これに対して、カラーフィルタ基板61において、透明基板67には、画素電極65に対向する位置にR、G、Bのカラーフィルタ層72R、72G、72Bが形成され、その表面に平坦化膜68、対向電極70、及び配向膜71が形成されている。
【0036】
カラーフィルタ基板61において、カラーフィルタ層72R、72G、72Bは、周りが1段又は段付きのバンク68で囲まれ、このバンク68の内側に形成されている。ここで、カラーフィルタ層72R、72G、72Bは、図13(a)に示すデルタ配列、又は図13(b)に示すストライプ配列等、所定のレイアウトに配置される。
【0037】
このような構成のカラーフィルタ基板61を製造するにあたっては、まず、透明基板67の表面にバンク68を形成した後、上述した実施形態で説明した液滴吐出装置を用いて、各バンク68の内側に所定色の樹脂(液状粘性物)を供給した後、紫外線硬化又は熱硬化させて、カラーフィルタ層72R、72G、72Bを形成する。従って、フォトリソグラフィ技術を用いずにカラーフィルタ層72R、72G、72Bを形成できるので、カラーフィルタ基板61の生産性を向上することができる。
【0038】
図14は、有機EL装置の構成の一例を示す断面図である。図14に示すように、有機EL装置301は、基板311、回路素子部321、画素電極331、バンク部341、発光素子351、陰極361(対向基板)、及び封止用基板371から構成された有機EL素子302に、フレキシブル基板(図示省略)の配線及び駆動IC(図示省略)を接続したものである。回路素子部321は基板311上に形成され、複数の画素電極331が回路素子部321上に整列している。そして、各画素電極331間にはバンク部341が格子状に形成されており、バンク部341により生じた凹部開口344に、発光素子351が形成されている。陰極361は、バンク部341及び発光素子351の上部全面に形成され、陰極361の上には、封止用基板371が積層されている。
【0039】
有機EL素子を含む有機EL装置301の製造プロセスは、バンク部341を形成するバンク部形成工程と、発光素子351を適切に形成するためのプラズマ処理工程と、発光素子351を形成する発光素子形成工程と、陰極361を形成する対向電極形成工程と、封止用基板371を陰極361上に積層して封止する封止工程とを備えている。
【0040】
発光素子形成工程は、凹部開口344、即ち画素電極331上に正孔注入/輸送層352及び発光層353を形成することにより発光素子351を形成するもので、正孔注入/輸送層形成工程と発光層形成工程とを有している。そして、正孔注入/輸送層形成工程は、正孔注入/輸送層352を形成するための第1組成物(機能液)を各画素電極331上に吐出する第1液滴吐出工程と、吐出された第1組成物を乾燥させて正孔注入/輸送層352を形成する第1乾燥工程とを有し、発光層形成工程は、発光層353を形成するための第2組成物(機能液)を正孔注入/輸送層352の上に吐出する第2液滴吐出工程と、吐出された第2組成物を乾燥させて発光層353を形成する第2乾燥工程とを有している。この発光素子形成工程では、液滴吐出装置を用いて上記発光素子を形成する。
【0041】
図15は、プラズマ型表示装置の構成の一部を示す分解斜視図である。図15に示す通り、プラズマ型表示装置400は、互いに対向して配置された基板401,402及びこれらの基板401,402の間に形成される放電表示部410を含んで構成される。放電表示部410は、複数の放電室416が集合されたものである。複数の放電室416のうち、赤色放電室416(R)、緑色放電室416(G)、青色放電室416(B)の3つの放電室416が対になって1画素を構成するように配置されている。
【0042】
基板401の上面には所定の間隔でストライプ状にアドレス電極411が形成され、アドレス電極411と基板401の上面とを覆うように誘電体層419が形成されている。誘電体層419上には、アドレス電極411,411間に位置し、且つ各アドレス電極411に沿うように隔壁415が形成されている。隔壁415は、アドレス電極411の幅方向左右両側に隣接する隔壁と、アドレス電極411と直交する方向に延設された隔壁とを含む。また、隔壁415によって仕切られた長方形状の領域に対応して放電室416が形成されている。また、隔壁415によって区画される長方形状の領域の内側には蛍光体417が配置されている。蛍光体417は、赤、緑、青の何れかの蛍光を発光するものであり、赤色放電室416(R)の底部には赤色蛍光体417(R)が、緑色放電室416(G)の底部には緑色蛍光体417(G)が、青色放電室416(B)の底部には青色蛍光体417(B)がそれぞれ配置されている。
【0043】
一方、基板402には、先のアドレス電極411と直交する方向に複数の表示電極412がストライプ状に所定の間隔で形成されている。更に、これらを覆うように誘電体層413、及びMgO等からなる保護膜414が形成されている。基板401と基板402とは、アドレス電極411と表示電極412とを互いに直交させるように対向させて相互に貼り合わされている。アドレス電極411及び表示電極412は、図示略の交流電源に接続されている。各電極に通電することにより、放電表示部410において蛍光体417が励起発光してカラー表示が可能となる。本発明の実施形態による液滴吐出装置は、隔壁415によって区画される長方形状の領域の内側に蛍光体417を配置するために用いられる。
【0044】
図16は、電界放出素子を備えた電界放出ディスプレイ(FED)の構成を示す図であって、(a)はFEDを構成するカソード基板とアノード基板の配置関係を概略的に示す分解斜視図であり、(b)はFEDのカソード基板に設けられる駆動回路の概略構成を示す回路図であり、(c)はカソード基板の要部を示す斜視図である。図16(a)に示す通り、FED500は、カソード基板500aとアノード基板500bとを対向配置した構成である。
【0045】
カソード基板500aは、図16(a),(b)に示す通り、ゲート線501と、エミッタ線502と、ゲート線501及びエミッタ線502に接続された電界放出素子503とからなる所謂単純マトリクス駆動回路を備えている。ゲート線501にはゲート信号V1,V2,…,Vmが供給され、エミッタ線502には、エミッタ信号W1,W2,…,Wnが供給される。また、アノード基板500bは、電子が当ることにより発光する性質を有する蛍光体を備えており、この蛍光体として赤、緑、青の何れかの蛍光を発光する蛍光体が設けられている。
【0046】
図16(c)に示す通り、電界放出素子503はエミッタ線502に接続されたエミッタ電極503aと、ゲート線501に接続されたゲート電極503bとを備えた構成である。また、エミッタ電極503aは、エミッタ電極503a側からゲート電極503bに向かって小径化するエミッタティップ505と呼ばれる突起部を備えており、このエミッタティップ505に対応した位置にはゲート電極503bに孔部504が形成されており、この孔部504内にエミッタティップ505の先端が配置されている。
【0047】
電界放出素子503に設けられたエミッタ電極503aとゲート電極503bとの間に電圧を供給すると、電界の作用によってエミッタティップ505から孔部504に向かって電子510が移動し、エミッタティップ505の先端から電子510が放出される。能出された電子510が、カソード基板500aに対向配置されたアノード基板500bの蛍光体に当たることで蛍光体が発光する。このため、ゲート線501のゲート信号V1,V2,…,Vm、及びエミッタ線502のエミッタ信号W1,W2,…,Wnを制御してFED500を駆動すれば所望の色を表示させることが可能になる。本発明の実施形態による液滴吐出装置は、アノード基板500bに蛍光体を配置するために用いられる。
【0048】
上記の液晶装置、有機EL装置、プラズマ型表示装置、FED等のデバイスは、ノート型コンピュータ及び携帯電話等の電子機器に設けられる。だだし、本発明にいう電子機器は、上記のノート型コンピュータ及び携帯電話に限られる訳ではなく、種々の電子機器に適用することができる。例えば、液晶プロジェクタ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等の電子機器に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態として示した液滴吐出装置において、ノズルを駆動させる信号がノズルブロックに送られる様子を説明する概略説明図である。
【図2】同液滴吐出装置の概略構成図である。
【図3】ノズルブロックにおけるノズルユニットおよびノズルの配置を示す説明図である。
【図4】ノズルユニットのランクの分布を示した図である。
【図5】液滴吐出装置の制御装置の内部構成を示す説明図である。
【図6】ピエゾ素子に印加する駆動波形のプロファイルとノズルから吐出されるインク滴の関係を説明する説明図である。
【図7】各ノズルブロックによって画素部を塗布した状態を示した図である。
【図8】駆動波形生成回路の変形例について示した図である。
【図9】液滴吐出装置の変形例であり、ノズルブロックの数を増した状態について示した図である。
【図10】本発明の実施形態による液滴吐出装置を用いて製造した光インタコネクション装置用のマイクロレンズアレイの説明図である。
【図11】本発明の実施形態による液滴吐出装置を用いて製造した光インタコネクション装置用のマイクロレンズアレイの説明図である。
【図12】本発明の実施形態による液滴吐出装置を用いて製造したカラーフィルタ基板を用いた液晶装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図13】カラーフィルタ基板における各色の配置を示す説明図である。
【図14】有機EL装置の構成の一例を示す断面図である。
【図15】プラズマ型表示装置の構成の一部を示す分解斜視図である。
【図16】電界放出素子を備えた電界放出ディスプレイ(FED)の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
22……液滴吐出装置
28(28A,28B1,28B2,…,28C1,28C2,…)………ノズルブロック
29……ノズルユニット
40……制御装置
41……CPU
42……プログラマブルROM(PROM)
43……RAM
44……インターフェイス
45……周辺入出力部(PIO)
46……タイマ
47……駆動波形生成回路
48……バス
49……インターフェイス
50……発振器
51……ヘッド駆動回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルユニットからなるノズルブロックをヘッド走査方向に沿って少なくとも3個備え、該ノズルブロックによって媒体上に液滴を塗布する液滴吐出装置において、
前記各ノズルユニットの吐出特性ランクが前記ノズルブロックごとに略同一に揃えられ、前記各ノズルユニットに対して共通する一つの駆動波形を与えて該ノズルユニットを駆動させる一つの駆動波形生成回路が設けられ、
前記ノズルブロックの吐出特性ランクは、第1のノズルブロックの吐出量をA、第2のノズルブロックの吐出量をB1,第3のノズルブロックの吐出量をC1とおくと、2A=B1+C1という関係を満たす吐出特性ランクであることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
吐出量の和が2Aとなる吐出特性ランクのノズルブロックの対をさらに一組以上備えていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記駆動波形生成回路は、前記駆動波形の電流を増幅して前記各ノズルブロックに与える電流増幅駆動回路を各ノズルブロックにそれぞれ対応して複数備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
液滴を吐出する複数のノズルユニットからなるノズルブロックをヘッド走査方向に沿って複数個用いて媒体上に液滴を塗布する液滴吐出方法において、
前記各ノズルユニットの吐出特性ランクをノズルブロックごとに略同一に揃え、前記各ノズルユニットに対して共通する一つの駆動波形を与えて前記ノズルユニットを駆動させることで塗布を行い、
異なるランクのノズルブロックから互いに近接させた位置にそれぞれ1発ずつ液滴を吐出させることで、前記ランクの中間値のランクのノズルブロックから吐出された2発と同等の塗布を行うことを特徴とする液滴吐出方法。
【請求項5】
液滴を吐出する複数のノズルユニットからなるノズルブロックをヘッド走査方向に沿って少なくとも3個備え、該ノズルブロックによって媒体上に液滴を塗布する液滴吐出装置を製造する液滴吐出装置の製造方法において、
前記各ノズルユニットの吐出特性ランクを前記ノズルブロックごとに略同一に揃え、前記各ノズルユニットに対して共通する一つの駆動波形を与えて該ノズルユニットを駆動させる一つの駆動波形生成回路を設け、
前記ノズルブロックの吐出特性ランクとして、第1のノズルブロックの吐出量がA、第2のノズルブロックの吐出量がB1,第3のノズルブロックの吐出量がC1であるとき、2A=B1+C1という関係を満たすランクのノズルユニットを選択することを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
【請求項6】
4個目以上のノズルブロックのランクについて、ノズルブロックの対ごとに吐出量の和がそれぞれ2Aとなるようにノズルユニットのランクを選択することを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1のノズルブロックを、多数製造したノズルユニットの吐出特性分布の中央値近傍から選択し、吐出量の和が2Aとなるノズルブロックの対について、一方を前記分布の前記中央領域よりも吐出量が小さい領域から選択し、他方を同分布の中央領域よりも吐出量が大きい領域から選択することを特徴とする請求項5または6に記載の液滴吐出装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液滴吐出装置、請求項4記載の液滴吐出方法、又は請求項5から請求項7の何れか一項に記載の液滴吐出装置の製造方法により製造された液滴吐出装置を用いて、基板上に液滴を吐出し、デバイスを形成することを特徴とするデバイス製造方法。
【請求項9】
請求項8記載のデバイス製造方法を用いて製造されることを特徴とするデバイス。
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルユニットからなるノズルブロックをヘッド走査方向に沿って少なくとも3個備え、該ノズルブロックによって媒体上に液滴を塗布する液滴吐出装置において、
前記各ノズルユニットの吐出特性ランクが前記ノズルブロックごとに略同一に揃えられ、前記各ノズルユニットに対して共通する一つの駆動波形を与えて該ノズルユニットを駆動させる一つの駆動波形生成回路が設けられ、
前記ノズルブロックの吐出特性ランクは、第1のノズルブロックの吐出量をA、第2のノズルブロックの吐出量をB1,第3のノズルブロックの吐出量をC1とおくと、2A=B1+C1という関係を満たす吐出特性ランクであることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
吐出量の和が2Aとなる吐出特性ランクのノズルブロックの対をさらに一組以上備えていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記駆動波形生成回路は、前記駆動波形の電流を増幅して前記各ノズルブロックに与える電流増幅駆動回路を各ノズルブロックにそれぞれ対応して複数備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
液滴を吐出する複数のノズルユニットからなるノズルブロックをヘッド走査方向に沿って複数個用いて媒体上に液滴を塗布する液滴吐出方法において、
前記各ノズルユニットの吐出特性ランクをノズルブロックごとに略同一に揃え、前記各ノズルユニットに対して共通する一つの駆動波形を与えて前記ノズルユニットを駆動させることで塗布を行い、
異なるランクのノズルブロックから互いに近接させた位置にそれぞれ1発ずつ液滴を吐出させることで、前記ランクの中間値のランクのノズルブロックから吐出された2発と同等の塗布を行うことを特徴とする液滴吐出方法。
【請求項5】
液滴を吐出する複数のノズルユニットからなるノズルブロックをヘッド走査方向に沿って少なくとも3個備え、該ノズルブロックによって媒体上に液滴を塗布する液滴吐出装置を製造する液滴吐出装置の製造方法において、
前記各ノズルユニットの吐出特性ランクを前記ノズルブロックごとに略同一に揃え、前記各ノズルユニットに対して共通する一つの駆動波形を与えて該ノズルユニットを駆動させる一つの駆動波形生成回路を設け、
前記ノズルブロックの吐出特性ランクとして、第1のノズルブロックの吐出量がA、第2のノズルブロックの吐出量がB1,第3のノズルブロックの吐出量がC1であるとき、2A=B1+C1という関係を満たすランクのノズルユニットを選択することを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
【請求項6】
4個目以上のノズルブロックのランクについて、ノズルブロックの対ごとに吐出量の和がそれぞれ2Aとなるようにノズルユニットのランクを選択することを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1のノズルブロックを、多数製造したノズルユニットの吐出特性分布の中央値近傍から選択し、吐出量の和が2Aとなるノズルブロックの対について、一方を前記分布の前記中央領域よりも吐出量が小さい領域から選択し、他方を同分布の中央領域よりも吐出量が大きい領域から選択することを特徴とする請求項5または6に記載の液滴吐出装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液滴吐出装置、請求項4記載の液滴吐出方法、又は請求項5から請求項7の何れか一項に記載の液滴吐出装置の製造方法により製造された液滴吐出装置を用いて、基板上に液滴を吐出し、デバイスを形成することを特徴とするデバイス製造方法。
【請求項9】
請求項8記載のデバイス製造方法を用いて製造されることを特徴とするデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−82047(P2006−82047A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271513(P2004−271513)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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