説明

液状食品加熱装置

【課題】 蒸気生成機内に残存した蒸発残留物を効果的に除去できる液状食品加熱装置を提供する。
【解決手段】 蒸気生成機15の熱交換パイプ15a内に送り込まれた水が気液混合状態で該熱交換パイプ15内を通過する温度状態(洗浄に適した温度状態)において該熱交換パイプ15a内に水を送り込んで気液混合状態の水によって熱交換パイプ15a内を洗浄する。つまり、熱交換パイプ15aの入口に送り込まれた水の一部をその通過過程で加熱気化して蒸気とし、加熱気化に至らなかった水(湯)の残部が前記加熱気化時のエネルギーによって勢いよく飛散して熱交換パイプ15aの内壁に衝突させて、該衝突を主たる要因として熱交換パイプ15内の蒸発残留物を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気生成機から送出される蒸気を利用して液状食品を加熱する液状食品加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の液状食品加熱装置は、水を加熱気化して蒸気を出口から送出する蒸気生成機と、蒸気生成機の出口に管路を介してその入口を接続された蒸気噴出ノズルとを備える。この液状食品加熱装置では、液状食品に挿入された蒸気噴出ノズルに蒸気生成機から蒸気を送り込むことにより、該蒸気噴出ノズルから液状食品内に噴出される蒸気によって該液状食品を加熱する。
【特許文献1】特開2003−70644
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の液状食品加熱装置にあって蒸気生成用の原料水にはランニングコスト面で有利な水道水が用いられており、蒸発残留物(カルシウム,マグネシウム,シリカ,ナトリウム,カリウム等の塩類及び有機物)を生じる原因となる成分は水道水を蒸気生成機の入口に送り込む前段階で浄化フィルタによって極力取り除くようにしている。
【0004】
しかし、純水生成用の大型装置を除く汎用の浄化フィルタでは前記成分を水道水から完全に取り除くことは難しいため、蒸気生成を繰り返すと蒸気生成機内に蒸発残留物が徐々に蓄積されて熱交換効率(蒸気生成能力)の低下を招来する。依って、熱交換効率の低下に伴う諸問題、例えば水の加熱気化不良や液状食品の加熱不良等を未然に防止するには蒸気生成機内に残存した蒸発残留物を任意に除去するための工夫が必要となる。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたもので、その目的とするところは、蒸気生成機内に残存した蒸発残留物を効果的に除去できる液状食品加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、加熱された熱交換パイプ内に送り込まれた水をその通過過程で加熱気化して蒸気を出口から送出する蒸気生成機を備え、該蒸気生成機から送出される蒸気を利用して液状食品を加熱する液状食品加熱装置であって、前記蒸気生成機の熱交換パイプ内に送り込まれた水が気液混合状態で該熱交換パイプ内を通過する温度状態において該熱交換パイプ内に水を送り込んで熱交換パイプ内を洗浄する洗浄手段を備える、ことをその特徴とする。
【0007】
この液状食品加熱装置によれば、蒸気生成機の熱交換パイプ内に送り込まれた水が気液混合状態で該熱交換パイプ内を通過する温度状態(洗浄に適した温度状態)において該熱交換パイプ内に水を送り込んで気液混合状態の水によって熱交換パイプ内を洗浄することができる。つまり、熱交換パイプの入口に送り込まれた水の一部をその通過過程で加熱気化して蒸気とし、加熱気化に至らなかった水(湯)の残部が前記加熱気化時のエネルギーによって勢いよく飛散して熱交換パイプの内壁に衝突させて、該衝突を主たる要因として熱交換パイプ内の蒸発残留物を効果的に除去することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蒸気生成機内に残存した蒸発残留物を効果的に除去できる液状食品加熱装置を提供することができる。
【0009】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図8は本発明の一実施形態を示す。図1は液状食品加熱装置の構成図、図2は図1に示した液状食品加熱装置の電気回路図、図3は図1に示した液状食品加熱装置で実行される蒸気生成機加熱のフローチャート、図4は図1に示した液状食品加熱装置で実行される液状食品調理のフローチャート、図5は液状食品調理に係る動作説明図、図6と図7は図1に示した液状食品加熱装置で実行される蒸気生成機洗浄のフローチャート、図8は蒸気生成機洗浄に係る動作説明図である。
【0011】
まず、図1を参照して、液状食品加熱装置のメカニズムについて説明する。
【0012】
図1中の符号11は水タンク、12は浄化フィルタ、13はシスターン、14は水供給ノズル、15は蒸気生成機、16は蒸気噴出ノズル、17は蒸気噴出ノズル用昇降機構、18〜23は材料貯蔵庫、24はカップ、25はカップ用移動機構、26は排水タンクである。
【0013】
水タンク11の出口と浄化フィルタ12の入口は第1管路P1によって結ばれていて、該第1管路P1には電磁式の第1ポンプ27が介装されている。浄化フィルタ12の出口とシスターン13の入口は第2管路P2によって結ばれていて、該第2管路P2には第1逆止弁28が介装されている。シスターン13の第1出口と水供給ノズル14の入口は第3管路P3によって結ばれていて、該第3管路P3には流量センサ29と電磁式の第2ポンプ30と第2逆止弁31が介装されている。
【0014】
また、シスターン13の第2出口と蒸気生成機15の入口は第4管路P4によって結ばれていて、該第4管路P4には電磁式の第3ポンプ32と流量調整弁33が介装されている。蒸気生成機15の出口と蒸気噴出ノズル16の入口は第5管路P5によって結ばれていて、該第5管路P5には電磁式の第1開閉弁34(定常時は閉じている)が介装されている。第5管路P5の第1開閉弁34の上流側と排水タンク26の入口は第6管路P6によって結ばれていて、該第6管路P6には電磁式の第2開閉弁35(定常時は開いている)が介装されている。
【0015】
水タンク11は、手動補給のための補給口(図示省略)と、貯留水の水位を検出するためのフロートスイッチ等の水位センサ11aとを有し、原料水となる水道水を貯留する役目を果たす。水位センサ11aは水タンク11内の貯留水の水位を検出して報知することで水補給を促すためのものであるが、水タンク11を透明或いは半透明な材料から形成して貯留水の水位を目視できるようにすれば、水位センサ11aは必ずしも必要なものではない。また、水タンク11に電磁式開閉弁が介装された水道管を接続し、該開閉弁を水位センサ11aの検出信号に基づいて開閉させるようにすれば、水タンク11への水補給を自動的に行うこともできる。
【0016】
浄化フィルタ12は、原料水である水道水から蒸発残留物(カルシウム,マグネシウム,シリカ,ナトリウム,カリウム等の塩類及び有機物)を生じる原因となる成分を取り除くための各種濾過材、例えば、活性炭層や中空糸膜やイオン交換樹脂膜等を有する。この浄化フィルタ12では前記成分を水道水から完全に除去することは難しく、微量ではあるが前記成分は浄化フィルタ12の出口から第2管路P2を通じてシスターン13に送り込まれる。
【0017】
シスターン13は、電気分解用の陽極13a及び陰極13bと、貯留水の水位を検出するためのフロートスイッチ等の水位センサ13cとを有し、浄化フィルタ12から送り込まれた水を貯留し、且つ、電気分解により塩素濃度を高めて雑菌繁殖を抑制する役目を果たす。
【0018】
蒸気生成機15は、アルミニウム等の良伝熱性金属から成る本体ブロック(符号無し)と、本体ブロック内に埋設されたステンレス等の耐水性金属から成る螺旋状の熱交換パイプ15aと、熱源たる電熱式のヒータ15bと、本体ブロックの温度Th(以下、蒸気生成機15の温度Thまたは熱交換パイプ15aの温度Thとも言う)を検出するためのサーミスタ等の温度センサ15cとを有しており、熱交換パイプ15aの一端は蒸気生成機15の入口となっていて他端は蒸気生成機15の出口となっている。この蒸気生成機15では、ヒータ15bからの伝熱によって熱交換パイプ15aを目標温度に加熱した状態で該熱交換パイプ15aの入口に所定流量下で水を送り込むことにより、該水の全てをその通過過程で加熱気化して蒸気(過熱蒸気を含む)を生成し、生成された蒸気を熱交換パイプ15aの出口から送出することができる。
【0019】
蒸気噴出ノズル16は、ポリプロピレン等の撥水性材料から有底の円筒状に形成されており、カップ24内に挿入される下部に複数の蒸気噴出孔16aを有する。
【0020】
蒸気噴出ノズル用昇降機構17は、メインフレーム17aと、複数のガイドロッド17cを介してメインフレーム17aに設けられたサブフレーム17bと、ガイドロッド17cに沿って昇降可能なスライダ17dと、スライダ17dを上方に付勢する複数のコイルバネ17eと、メインフレーム17aに設けられた上下1対のプーリ17fと、両プーリ17fに巻き付けられた無端ベルト17gと、一方のプーリ17fを回転駆動するモータ17hと、スライダ17d(蒸気噴出ノズル16)の上昇位置を検出するマイクロスイッチ等の位置センサS11(図2参照)と、スライダ17d(蒸気噴出ノズル16)の下降位置を検出するマイクロスイッチ等の位置センサS12(図2参照)とを有する。スライダ17dはブラケット等を介して無端ベルト17gに連結されており、該スライダ17dには蒸気噴出ノズル16が縦向きに取り付けられている。
【0021】
材料貯蔵庫18〜23は、加熱前の液状食品AF、例えば具材入りスープや具材入りみそ汁等を調合する際に用いられる固形物、詳しくは粉材と具材を種別に貯蔵している。粉材は水及び湯による溶解を前提としたコンソメスープ用粉やクリームスープ用粉やみそ汁用粉等であり、具材は水及び湯による戻しを前提とした乾燥野菜や乾燥肉等である。各材料貯蔵庫18〜23は前面下部に供給口(符号無し)を有すると共に、所定量の材料を供給口から送出するための機構(図示省略)と、該機構を動作させるためのモータ(18a〜23a,図2参照)を有する。
【0022】
カップ24は紙或いはプラスチックから逆円錐台状に形成されており、後述するカップホルダ25eへの嵌め込み及び取り出しを可能としている。
【0023】
カップ用移動機構25は、フレーム25aと、左右1対のプーリ25bと、両プーリ25bに巻き付けられた無端ベルト25cと、一方のプーリ25bを回転駆動するモータ25dと、ブラケット等を介して無端ベルト25cに連結された逆円錐台状のカップホルダ25eと、カップホルダ25eの左右位置を検知するマイクロスイッチ等の複数の位置センサS21〜S2n(図2参照)とを有する。各位置センサS21〜S2nは材料貯蔵庫18〜23と水供給ノズル14と蒸気噴出ノズル16に対応して配置されており、材料供給,水供給及び蒸気噴出(液状食品AFの加熱)を行う際のカップホルダ25e(カップ24)の停止位置を定める。
【0024】
次に、図2を参照して、図1に示した液状食品加熱装置のコントロールシステムについて説明する。
【0025】
図2中の51はコントローラ、52はシスターン用ドライバ、53は蒸気生成機用ドライバ、54はモータ用ドライバ、55は材料貯蔵庫用ドライバ、56はポンプ用ドライバ、57は開閉弁用ドライバ、58は水位センサ用ディテクタ、59は温度センサ用ディテクタ、60は位置センサ用ディテクタ、61は流量センサ用ディテクタ、62はメニュー選択器、63は洗浄スイッチである。
【0026】
コントローラ51はマイクロコンピュータを内蔵し、各ディテクタ58〜61とメニュー選択器62と洗浄スイッチ63からの信号に基づき、メモリに格納されている各種プログラムに従って各ドライバ52〜57に制御信号を送出する。
【0027】
シスターン用ドライバ52は、コントローラ51からの制御信号に基づいてシスターン13の陽極13a及び陰極13bに所定の電力を供給する。蒸気生成機用ドライバ53は、コントローラ51からの制御信号に基づいて蒸気生成機15のヒータ15aに所定の電力を供給する。モータド用ライバ54は、コントローラ51からの制御信号に基づいて蒸気噴出ノズル用昇降機構17のモータ17hとカップ用移動機構25のモータ25dのそれぞれに所定の電力を供給する。材料貯蔵庫用ドライバ55は、コントローラ51からの制御信号に基づいて各材料貯蔵庫18〜23のモータ18a〜23aに所定の電力を供給する。ポンプド用ライバ56は、コントローラ51からの制御信号に基づいて第1〜第3ポンプ27,30,32のそれぞれに所定の電力を供給する。開閉弁用ドライバ57は、コントローラ51からの制御信号に基づいて第1,第2開閉弁34,35のそれぞれに所定の電力を供給する。
【0028】
水位センサ用ディテクタ58は、水タンク11の水位センサ11aとシスターン13の水位センサ13cからの信号を変換してコントローラ51に送出する。温度センサ用ディテクタ59は、蒸気生成機15の温度センサ15cからの信号を変換してコントローラ51に送出する。位置センサ用ディテクタ60は、蒸気噴出ノズル用昇降機構17の位置センサS11,S12とカップ用移動機構25の位置センサS21〜S2nからの信号を変換してコントローラ51に送出する。流量センサ用ディテクタ61は、流量センサ29からの信号を変換してコントローラ51に送出する。
【0029】
メニュー選択器62は、液状食品のメニュー(具材入りスープや具材入りみそ汁等)を選択するためメニューボタン群と調理開始ボタンとを少なくとも有し、メニュー選択器62の操作に基づく信号(調理指令)はコントローラ51に送出される。また、各メニューに対応する材料種類や水量等の調合用データはコントローラ51のメモリに格納されている。洗浄スイッチ63は押しボタンスイッチ等から成り、該洗浄スイッチ63の操作に基づく信号はコントローラ51に送出される。
【0030】
次に、図3〜図5を参照して、図1に示した液状食品加熱装置において実行される蒸気生成機加熱に係る動作と液状食品調理に係る動作について説明する。
【0031】
液状食品加熱装置の主電源が投入されると、図示省略の検出フローに従って、水位センサ11aによって水タンク11内の貯留水の水位が検出され、水位が所定レベル以下のときには水タンク11への水補給を促すための報知、例えばランプ点滅等が行われる。
【0032】
また、液状食品加熱装置の主電源が投入されると、図示省略の検出フローに従って、水位センサ13cによって該シスターン13内の貯留水の水位が検出され、水位が所定レベル以下のときには第1ポンプ27の運転が開始されて水タンク11の貯留水が第1管路P1を通じて浄化フィルタ12に送り込まれ該浄化フィルタ12から第2管路P2及び第1逆止弁28を通じてシスターン13に送り込まれる。つまり、主電源投入後はシスターン13内の貯留水の水位に基づいて第1ポンプ27が断続的に運転され、これによりシスターン13内の貯留水の水位がほぼ一定に保たれる。
【0033】
さらに、液状食品加熱装置の主電源が投入されると、図示省略の電解フローに従って、シスターン13内の陽極13a及び陰極13bに所定の電力が所定時間供給されて該シスターン13内の貯留水の電気分解が実施される。つまり、主電源投入後は陽極13a及び陰極13bへの電力供給が断続的に実施され、これによりシスターン13内の貯留水が電気分解されてその塩素濃度が高められて安全性が向上する。
【0034】
さらにまた、液状食品加熱装置の主電源が投入されると、図3の蒸気生成機加熱フローに従って蒸気生成機15の加熱が開始される。詳しくは、主電源投入後は蒸気生成機15の温度Thが温度センサ15cによって検出され、検出温度Thが予め設定した温度(180℃)に満たないときにはヒータ15bに所定の電力が供給され、また、検出温度Thが設定温度(180℃)以上のときにはヒータ15bへの電力供給が停止される(図3のステップSS1〜SS4参照)。つまり、主電源投入後はヒータ15bへの電力供給が断続的に実施され、これにより蒸気生成機15の温度Th(熱交換パイプ15の温度Th)が蒸気生成に適した温度(約180℃)に維持される。
【0035】
液状食品加熱装置の主電源が投入された後に、所期の液状食品調理を行うときには、カップ用移動機構25のカップホルダ25eに空のカップ24が嵌め込むと共に、メニュー選択器62のメニューボタン群を選択的に押して調理開始ボタンを押す。このボタン操作によって選択メニューの内容を含む調理指令がメニュー選択器62からコントローラ51に入力される(図4のステップST1参照)。
【0036】
ちなみに、図4のステップST2,ST3に示すように、調理指令が入力されたとしても、蒸気生成機15の温度Th(熱交換パイプ15の温度Th)が180℃に満たないとき、または、後述する洗浄中であるときには、ステップST4には移行しない。
【0037】
調理指令が入力された後は、選択メニューの内容(後述する液状食品AFの調合に必要な材料及び水量)に基づいて蒸気噴出時間thsが決定される(図4のステップST4参照)。この蒸気噴出時間thsは、シスターン13内の貯留水を蒸気生成機15に送り込むための第3ポンプ32の運転時間として用いられる。
【0038】
蒸気噴出時間thsが決定された後は、図5に示すように、材料貯蔵庫(18〜23)から選択メニューの内容に応じた所定量の固形物(粉材のみ或いは粉材及び具材)がカップ24内に投入され、続いて、シスターン12から選択メニューの内容に応じた所定量の水が水供給ノズル14を通じてカップ24内に投入され、以上によりカップ24内で加熱前の液状食品AFが調合される(図4のステップST5参照)。
【0039】
カップ24内への固形物の投入は、カップ用移動機構25のカップホルダ25eが所定の材料貯蔵庫(18〜23)の供給口の下側に移動して停止するように位置センサ(S21〜S2n)の検出信号に基づいてモータ25dを動作させ、各停止位置で材料貯蔵庫(18〜23)の材料供給機構のモータ(18a〜23a)を動作させることによって行われる。また、カップ24内への水投入は、カップ用移動機構25のカップホルダ25eが水供給ノズル14の下側に移動して停止するように位置センサ(S21〜S2n)の検出信号に基づいてモータ25dを動作させ、該停止位置で流量センサ29の検出信号に基づいて第2ポンプ30を所定時間運転させることによって行われる。
【0040】
液状食品AFの調合が完了した後は、図5に示すように、蒸気噴出ノズル16の下部がカップ24内の液状食品AFに挿入される(図4のステップST6,ST7参照)。
【0041】
液状食品AFへの蒸気噴出ノズル16の下部の挿入は、カップ用移動機構25のカップホルダ25eが蒸気噴出ノズル16の下側に移動して停止するように位置センサ(S21〜S2n)の検出信号に基づいてモータ25dを動作させ、該停止位置で蒸気噴出ノズル用昇降機構17のスライダ17dが下降して停止するように位置センサS12の検出信号に基づいてモータ17hを動作させることによって行われる。
【0042】
蒸気噴出ノズル16の液状食品AFへの挿入が完了した後は、図5に示すように、第1開閉弁34が開けられ、且つ、第2開閉弁35が閉じられると共に、第3ポンプ32の運転が開始されて蒸気噴出ノズル16から液状食品AF内への蒸気噴出が開始される(図4のステップST8〜ST10参照)。
【0043】
蒸気噴出ノズル16から液状食品AF内への蒸気噴出は、第3ポンプ32の運転によってシスターン13内の貯留水を流量調整弁33で定められた流量下で蒸気生成機15の入口に送り込むことによって行われる。先に述べたように蒸気生成機15は蒸気生成に適した温度(約180℃)に維持されているので、蒸気生成機15の入口に送り込まれた水の全てはその通過過程で加熱気化して蒸気(過熱蒸気を含む)となり、生成された蒸気が出口から第5管路P5及び第1開閉弁34を通じて蒸気噴出ノズル16に送り込まれる。
【0044】
蒸気噴出ノズル16に送り込まれた蒸気はその下部に設けられた複数の蒸気噴出孔17aから液状食品AF内に噴出されるため、噴出に伴う撹拌作用によって液状食品AFに含まれる粉材の溶解と具材の戻しが効果的に行われると共に全体が均一に加熱される。また、液状食品AF内への蒸気噴出は前記ステップST4で決定された蒸気噴出時間thsだけ継続して行われるため、液状食品AFの温度は飲用に適した温度(約80℃)に達する。
【0045】
蒸気噴出が開始されてから蒸気噴出時間thsが経過した後は、換言すれば第3ポンプ32の運転が開始されてから同時間thsが経過した後は、第3ポンプ32の運転が停止される(図4のステップST11,ST12参照)。
【0046】
第3ポンプ32の運転を停止しても蒸気生成機15の熱交換パイプ15a内と第5管路P5内と第1開閉弁34内と蒸気噴出ノズル16内には未だ蒸気が残存していてその内圧が高く、該状態で蒸気噴出ノズル16を加熱後の液状食品AFから引き抜くときと該蒸気噴出ノズル16から残存蒸気が噴き出して該噴出圧力によって加熱後の液状食品AFが飛散してカップ24や周囲機器等を汚してしまうため、ここでは第3ポンプ32の運転を停止した後に第2開閉弁35を開いて前記の残存蒸気を第6管路P6を通じて排水タンク26に逃がす処理が行われる(図4のステップST13参照)。この処理によって内圧は低下するが該内圧は大気圧よりも低くなることはないため、後述のノズル引き抜き時に蒸気噴出ノズル16内に加熱後の液状食品AFが吸い込まれることはない。
【0047】
第2開閉弁35を開いた後は、蒸気噴出ノズル16がカップ24内の加熱後の液状食品AFから引き抜かれる(図4のステップST14参照)。この蒸気噴出ノズル16の引き抜きは、蒸気噴出ノズル用昇降機構18のスライダ18dが上昇して停止するように位置センサS11の検出信号に基づいてモータ18hを動作させることによって行われる。
【0048】
加熱後の液状食品AFからの蒸気噴出ノズル16の引き抜きが完了した後は、第1開閉弁34が閉じられて、一連の加熱調理動作が終了する(図4のステップST15,ST16参照)。
【0049】
次に、図6〜図8を参照して、図1に示した液状食品加熱装置において実行される蒸気生成機洗浄に係る動作について説明する。
【0050】
図6(A)の蒸気生成機洗浄フローは主電源投入直後に自動的に所期の洗浄動作を行うためのものである。図3を参照して先に説明したように液状食品加熱装置の主電源が投入されると蒸気生成機15の加熱が開始され、蒸気生成機15の温度Th(熱交換パイプ15aの温度Th)は常温から徐々に上昇するため、図6(A)の蒸気生成機洗浄フローではこの昇温途中で熱交換パイプ15aの温度Thが105℃≦Th≦140℃の範囲内となる温度状態(洗浄に適した温度状態)を検出する(図6(A)のステップSE1〜SE3参照)。
【0051】
熱交換パイプ15aの温度Thがその昇温途中で105℃≦Th≦140℃の範囲内になったときには、検出された熱交換パイプ15aの温度Thに基づいて洗浄時間twsが決定される(図6(A)のステップSE4参照)。この洗浄時間twsは検出された熱交換パイプ15aの温度Thが低い場合に短く、高い場合に長くなるように設定され、具体的には検出温度Thが105℃或いはこれに近い温度のときには例えば30秒が洗浄時間として設定され、検出温度Thが140℃或いはこれに近い温度のときには例えば90秒が洗浄時間として設定される。
【0052】
洗浄時間twsが決定された後は、図8に示すように、第3ポンプ32の運転が開始されてシスターン13内の貯留水が所定流量下で蒸気生成機15の入口(熱交換パイプ15aの入口)に送り込まれる(図6(A)のステップSE5参照)。
【0053】
熱交換パイプ15aの温度Thは洗浄に適した温度状態にあるため、熱交換パイプ15aの入口に送り込まれた水はその一部がその通過過程で加熱気化して蒸気(過熱蒸気を含む)となり、加熱気化に至らなかった水(湯)の残部が前記加熱気化時のエネルギーによって勢いよく飛散して熱交換パイプ15aの内壁に衝突し、該衝突を主たる要因として熱交換パイプ15内の蒸発残留物が効果的に除去される。
【0054】
要するに、熱交換パイプ15a内の蒸発残留物を効果的に除去するには、熱交換パイプ15a内に送り込まれた水が前記のように気液混合状態で該熱交換パイプ15a内を通過するような温度状態が必要であり、熱交換パイプ15aに送り込んだ水が全て加熱気化されてしまうような温度状態や熱交換パイプ15aに送り込んだ水が全く気化されずに液体状態のまま通過する温度状態では前記のような蒸発残留物の除去がうまく行えないことは実験によっても確認されている。
【0055】
除去された蒸発残留物を含む気液混合状態の水(以下、洗浄後水と言う)は蒸気生成機15の出口(熱交換パイプ15aの出口)から送出されるが、主電源が投入された後の状態では第1開閉弁34が閉じられ、且つ、第2開閉弁35が開けられているので、浄後後水は第5管路P5の途中から第6管路P6に流れ込み、該第6管路P6を通じて排水タンク26に導かれて回収される。尚、洗浄後水は第5管路P5を通じて排水して別途用意した排水タンクで回収することも可能であり、この場合には蒸気噴出ノズル16を第5管路P6から外すと共に第1開閉弁34を開けて、且つ、第2開閉弁35を閉じておけばよい。
【0056】
洗浄が開始されてから洗浄時間twsが経過した後は、換言すれば第3ポンプ32の運転が開始されてから同時間twsが経過した後は、第3ポンプ32の運転が停止されて一連の洗浄動作が終了する(図6(A)のステップSE6,SE7参照)。
【0057】
図6(B)は図6(A)に示した蒸気生成機洗浄フローの変形例を示す。図6(B)の蒸気生成機洗浄フローが図6(A)に示した蒸気生成機洗浄フローと異なるところは、ステップSE3〜SE7の代わりにステップSE3’〜SE6’を採用した点にある。
【0058】
つまり、熱交換パイプ15aの温度Thがその昇温途中でTh≧105℃となったときに第3ポンプ32の運転が開始されてシスターン13内の貯留水が所定流量下で蒸気生成機15の入口(熱交換パイプ15aの入口)に送り込まれる(図6(B)のステップSE3’,SE4’参照)。
【0059】
熱交換パイプ15aの温度Thは洗浄に適した温度状態にあるため、熱交換パイプ15aの入口に送り込まれた水はその一部がその通過過程で加熱気化して蒸気(過熱蒸気を含む)となり、加熱気化に至らなかった水(湯)の残部が前記加熱気化時のエネルギーによって勢いよく飛散して熱交換パイプ15aの内壁に衝突し、該衝突を主たる要因として熱交換パイプ15内の蒸発残留物が効果的に除去される。
【0060】
洗浄は予め定めた洗浄時間tws’、例えば30秒だけ継続され、洗浄が開始されてから洗浄時間tws’が経過した後は、換言すれば第3ポンプ32の運転が開始されてから同時間tws’が経過した後は、第3ポンプ32の運転が停止されて一連の洗浄動作が終了する(図6(B)のステップSE5’,SE6’参照)。
【0061】
尚、図6(B)の蒸気生成機洗浄フローのステップSE5’は熱交換パイプ15aの温度Thが前記温度範囲の上限である140℃に上昇したか否かを判別する処理に変更してもよく、この場合には洗浄が開始されてから(第3ポンプ32の運転が開始されてから)熱交換パイプ15aの温度Thが140℃に上昇したところで第3ポンプ32の運転が停止されて一連の洗浄動作が終了する。
【0062】
一方、図7(A)の蒸気生成機洗浄フローは主電源投入後の調理と調理の間等で選択的に所期の洗浄動作を行うためのものである。図3を参照して先に説明したように蒸気生成機15の温度Th(熱交換パイプ15aの温度Th)は蒸気生成に適した温度(約180℃)に維持されているので、図7(A)の蒸気生成機洗浄フローでは洗浄スイッチ63が押されたタイミングが調理中でないときにはヒータ15bへの電力供給を一時的に中断して蒸気生成機15の温度Th(熱交換パイプ15aの温度Th)を約180℃から徐々に下降させ、この降温途中で熱交換パイプ15aの温度Thが105℃≦Th≦140℃の範囲内となる温度状態(洗浄に適した温度状態)を検出する(図7(A)のステップSP1〜SP5参照)。
【0063】
熱交換パイプ15aの温度Thがその降温途中で105℃≦Th≦140℃の範囲内になったときには、検出された熱交換パイプ15aの温度Thに基づいて洗浄時間twsを決定する(図7(A)のステップSP6参照)。この洗浄時間twsは検出された熱交換パイプ15aの温度Thが低い場合に短く、高い場合に長くなるように設定され、具体的には検出温度Thが105℃或いはこれに近い温度のときには例えば30秒が洗浄時間として設定され、検出温度Thが140℃或いはこれに近い温度のときには例えば90秒が洗浄時間として設定される。
【0064】
洗浄時間twsが決定された後は、図8に示すように、第3ポンプ32の運転が開始されてシスターン13内の貯留水が所定流量下で蒸気生成機15の入口(熱交換パイプ15aの入口)に送り込まれる(図7(A)のステップSP7参照)。
【0065】
熱交換パイプ15aの温度は洗浄に適した温度状態にあるため、熱交換パイプ15aの入口に送り込まれた水はその一部がその通過過程で加熱気化して蒸気(過熱蒸気を含む)となり、加熱気化に至らなかった水(湯)の残部が前記加熱気化時のエネルギーによって勢いよく飛散して熱交換パイプ15aの内壁に衝突し、該衝突を主たる要因として熱交換パイプ15内の蒸発残留物が効果的に除去される。
【0066】
要するに、熱交換パイプ15a内の蒸発残留物を除去するには、熱交換パイプ15a内に送り込まれた水が前記のように気液混合状態で該熱交換パイプ15a内を通過するような温度状態が必要であり、熱交換パイプ15aに送り込んだ水が全て加熱気化されてしまうような温度状態や熱交換パイプ15aに送り込んだ水が全く気化されずに液体状態のまま通過する温度状態では前記のような蒸発残留物の除去がうまく行えないことは実験によっても確認されている。
【0067】
除去された蒸発残留物を含む洗浄後水は蒸気生成機15の出口(熱交換パイプ15aの出口)から送出されるが、主電源が投入された後の状態では第1開閉弁34が閉じられ、且つ、第2開閉弁35が開けられているので、浄後後水は第5管路P5の途中から第6管路P6に流れ込み、該第6管路P6を通じて排水タンク26に導かれて回収される。尚、洗浄後水は第5管路P5を通じて排水して別途用意した排水タンクで回収することも可能であり、この場合には蒸気噴出ノズル16を第5管路P6から外すと共に第1開閉弁34を開けて、且つ、第2開閉弁35を閉じておけばよい。
【0068】
洗浄が開始されてから洗浄時間twsが経過した後は、換言すれば第3ポンプ32の運転が開始されてから同時間twsが経過した後は、第3ポンプ32の運転が停止されて一連の洗浄動作が終了する(図7(A)のステップSP8,SP9参照)。
【0069】
図7(B)は図7(A)に示した蒸気生成機洗浄フローの変形例を示す。図7(B)の蒸気生成機洗浄フローが図7(A)に示した蒸気生成機洗浄フローと異なるところは、ステップSP5〜SP9の代わりにステップSP5’〜SP8’を採用した点にある。
【0070】
つまり、熱交換パイプ15aの温度Thがその降温途中でTh≦140℃となったときに第3ポンプ32の運転が開始されてシスターン13内の貯留水が所定流量下で蒸気生成機15の入口(熱交換パイプ15aの入口)に送り込まれる(図7(B)のステップSP5’,SP6’参照)。
【0071】
熱交換パイプ15aの温度Thは洗浄に適した温度状態にあるため、熱交換パイプ15aの入口に送り込まれた水はその一部がその通過過程で加熱気化して蒸気(過熱蒸気を含む)となり、加熱気化に至らなかった水(湯)の残部が前記加熱気化時のエネルギーによって勢いよく飛散して熱交換パイプ15aの内壁に衝突し、該衝突を主たる要因として熱交換パイプ15内の蒸発残留物が効果的に除去される。
【0072】
洗浄は予め定めた洗浄時間tws’、例えば30秒だけ継続され、洗浄が開始されてから洗浄時間tws’が経過した後は、換言すれば第3ポンプ32の運転が開始されてから同時間tws’が経過した後は、第3ポンプ32の運転が停止されて一連の洗浄動作が終了する(図7(B)のステップSP7’,SP8’参照)。
【0073】
尚、図7(B)の蒸気生成機洗浄フローのステップSP7’は熱交換パイプ15aの温度Thが前記温度範囲の下限である105℃に下降したか否かを判別する処理に変更してもよく、この場合には洗浄が開始されてから(第3ポンプ32の運転が開始されてから)熱交換パイプ15aの温度Thが105℃に下降したところで第3ポンプ32の運転が停止されて一連の洗浄動作が終了する。
【0074】
前述の液状食品加熱装置によれば、蒸気生成機15の熱交換パイプ15a内に送り込まれた水が気液混合状態で該熱交換パイプ15内を通過する温度状態(洗浄に適した温度状態)において該熱交換パイプ15a内に水を送り込んで気液混合状態の水によって熱交換パイプ15a内を洗浄することができる。つまり、熱交換パイプ15aの入口に送り込まれた水の一部をその通過過程で加熱気化して蒸気とし、加熱気化に至らなかった水(湯)の残部が前記加熱気化時のエネルギーによって勢いよく飛散して熱交換パイプ15aの内壁に衝突させて、該衝突を主たる要因として熱交換パイプ15内の蒸発残留物を効果的に除去することができる。
【0075】
また、前述の液状食品加熱装置によれば、前記温度状態(洗浄に適した温度状態)を前記熱交換パイプ15aの温度Thが105℃〜140℃の範囲内にある温度状態としているので、該温度状態において熱交換パイプ15a内に水を送り込むことによって気液混合状態の水による熱交換パイプ15a内の蒸発残留物の除去を的確に行うことができる。
【0076】
さらに、主電源投入直後に蒸気生成機15の熱交換パイプ15aが昇温する途中で前記温度状態を検出しているので、前記温度状態(洗浄に適した温度状態)を確実に得ることできると共に熱交換パイプ15a内の蒸発残留物の除去を該温度状態においてタイムリーに実施することができる。この場合の洗浄は主電源投入の度に自動的に開始されるので、営業時間に合わせて液状食品加熱装置の主電源をオンオフする状況下では、洗浄に際して特定のスイッチ操作等が不要であることから洗浄を忘れずに実施できると共に、熱交換パイプ15a内が洗浄された後の状態で所期の液状食品調理を行うことができる。
【0077】
さらにまた、主電源投入後の調理と調理の間等で洗浄スイッチ63が押されたときには、ヒータ15bへの電力供給を一時的に中断して蒸気生成機15の熱交換パイプ15aの温度Thを下降させて該降温途中で前記温度状態を検出しているので、前記温度状態(洗浄に適した温度状態)を確実に得ることできると共に熱交換パイプ15a内の蒸発残留物の除去を該温度状態においてタイムリーに実施することができる。この場合の洗浄は洗浄スイッチ63の操作に基づくものであるので、液状食品調理の頻度に応じて任意に熱交換パイプ15a内の洗浄を行えると共に、24時間営業のために液状食品加熱装置の主電源をオンオフする機会がない状況下であっても簡単な操作によって熱交換パイプ15a内の洗浄を行うことができる。
【0078】
図9は図7(A)及び図7(B)を参照して説明した蒸気生成機洗浄のフローチャートの代替案を示す。図9の蒸気生成機洗浄フローは主電源投入後の調理と調理の間等で選択的に所期の洗浄動作を行うためのものである。図3を参照して先に説明したように蒸気生成機15の温度Th(熱交換パイプ15aの温度Th)は蒸気生成に適した温度(約180℃)に維持されているので、図9の蒸気生成機洗浄フローでは洗浄スイッチ63が押されたタイミングが調理中でないときには第3ポンプ32の運転を開始してシスターン13内の貯留水を所定流量下で蒸気生成機15の入口(熱交換パイプ15aの入口)に送り込んで、該水の継続的な送り込みによって蒸気生成機15の温度Th(熱交換パイプ15aの温度Th)を約180℃から徐々に下降させ、この降温途中で熱交換パイプ15aの温度Thが105℃≦Th≦140℃の範囲内となる温度状態(洗浄に適した温度状態)を生成する(図9のステップSU1〜SU3参照)。
【0079】
熱交換パイプ15aの温度がその降温途中で105℃≦Th≦140℃の範囲内になったときに熱交換パイプ15aの入口に送り込まれた水はその一部がその通過過程で加熱気化して蒸気(過熱蒸気を含む)となり、加熱気化に至らなかった水(湯)の残部が前記加熱気化時のエネルギーによって勢いよく飛散して熱交換パイプ15aの内壁に衝突し、該衝突を主たる要因として熱交換パイプ15内の蒸発残留物が効果的に除去される。
【0080】
水の継続的な送り込みによって熱交換パイプ15aの温度Thが105℃よりも低い温度になると、先に述べた洗浄効果が得にくくなるため、このときには第3ポンプ32の運転が停止されて一連の洗浄動作が終了する(図9のステップSU4〜SU6参照)。
【0081】
図10は図1に示した液状食品加熱装置に蒸発残留物捕獲用フィルタを設けた例を示す。この液状食品加熱装置が図1に示した液状食品加熱装置と異なるところは、蒸発残留物捕獲用フィルタ36を設けて、該蒸発残留物捕獲用フィルタ36の出口に第5管路P5の端を接続し、該蒸発残留物捕獲用フィルタ36の入口と蒸気生成機15の出口を第7管路P6で接続した点にある。
【0082】
蒸発残留物捕獲用フィルタ36は通常使用時(非洗浄時)で蒸気生成機15の出口から排出された蒸発残留物を捕獲するための濾過材を有する。この蒸発残留物捕獲用フィルタ36には通常使用時において蒸気が通過することになるため、通過する蒸気から熱を奪い難い材料、例えばプラスチックから濾過材及び筐体等が形成されている。
【0083】
この液状食品加熱装置によれば、通常使用時(非洗浄時)に不意に蒸気生成機15の出口から蒸発残留物が排出された場合でも該蒸発残留物を蒸発残留物捕獲用フィルタ36で捕獲して、下流側の管路P5や第1開閉弁34内や蒸気噴出ノズル16内に入り込んで蒸気噴出の障害になることや、加熱後の液状食品AFに混入して品質を低下させることを未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態を示す液状食品加熱装置の構成図である。
【図2】図1に示した液状食品加熱装置の電気回路図である。
【図3】図1に示した液状食品加熱装置で実行される蒸気生成機加熱のフローチャートである。
【図4】図1に示した液状食品加熱装置で実行される液状食品調理のフローチャートである。
【図5】液状食品調理に係る動作説明図である。
【図6】図1に示した液状食品加熱装置で実行される蒸気生成機洗浄のフローチャート並びにその変形例を示すフローチャートである。
【図7】図1に示した液状食品加熱装置で実行される蒸気生成機洗浄のフローチャート並びにその変形例を示すフローチャートである。
【図8】蒸気生成機洗浄に係る動作説明図である。
【図9】図7に示した蒸気生成機洗浄のフローチャートの代替フローを示す図である。
【図10】図1に示した液状食品加熱装置に蒸発残留物捕獲用フィルタを設けた例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
11…水タンク、12…浄化フィルタ、13…シスターン、15…蒸気生成機、15a…熱交換パイプ、15b…ヒータ、16…蒸気噴出ノズル、24…カップ、26…排水タンク、32…第3ポンプ、33…流量調整弁、34…第1開閉弁、35…第2開閉弁、36…蒸発残留物捕獲用フィルタ、P1…第1管路、P2…第2管路、P3…第3管路、P4…第4管路、P5…第5管路、P6…第6管路、51…コントローラ、56…ポンプ用ドライバ、57…開閉弁用ドライバ、59…温度センサ用ディテクタ、63…洗浄スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱された熱交換パイプ内に送り込まれた水をその通過過程で加熱気化して蒸気を出口から送出する蒸気生成機を備え、該蒸気生成機から送出される蒸気を利用して液状食品を加熱する液状食品加熱装置であって、
前記蒸気生成機の熱交換パイプ内に送り込まれた水が気液混合状態で該熱交換パイプ内を通過する温度状態において該熱交換パイプ内に水を送り込んで熱交換パイプ内を洗浄する洗浄手段を備える、
ことを特徴とする液状食品加熱装置。
【請求項2】
前記温度状態は、前記熱交換パイプの温度が105℃〜140℃の範囲内にある温度状態を指す、
ことを特徴とする請求項1に記載の液状食品加熱装置。
【請求項3】
前記洗浄手段は、加熱開始によって前記熱交換パイプが前記温度状態よりも低い温度から昇温する途中で洗浄を行う、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液状食品加熱装置。
【請求項4】
前記洗浄手段は、加熱停止によって前記熱交換パイプが前記温度状態よりも高い温度から降温する途中で洗浄を行う、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液状食品加熱装置。
【請求項5】
前記洗浄手段は、前記温度状態を検出する温度状態検出手段を含む、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の液状食品加熱装置。
【請求項6】
前記洗浄手段は、前記熱交換パイプ内に水を送り込むことによって前記温度状態を生成する温度状態生成手段を含む、
ことを特徴とする1または2に記載の液状食品加熱装置。
【請求項7】
前記洗浄手段は、前記熱交換パイプが前記温度状態よりも低い温度に降温したときに前記熱交換パイプ内への水の送り込みを停止する洗浄停止手段を含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の液状食品加熱装置。
【請求項8】
前記洗浄手段は、前記蒸気生成機から送出された洗浄後水を排水側管路に導く管路切換手段を含む、
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の液状食品加熱装置。
【請求項9】
前記蒸気生成機の出口側管路に介装された蒸発残留物捕獲用フィルタを備える、
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の液状食品加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−119186(P2008−119186A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305311(P2006−305311)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】