説明

災害救助設備

【課題】災害時における災害救助用具の保管場所の早期の認識と、この災害救助用具の取り出しとを有効に援助できる災害救助設備の提供を目的とする。
【解決手段】開口部を有し、内側に災害救助用具が収納されたケース本体31と、当該ケース本体31の開口部を開閉する蓋部32とを有する災害救助用具収納ケース30と、前記災害救助用具収納ケース30が設置されていることを識別表示する標識24と、前記災害救助用具収納ケース30のケース本体31の少なくとも前記開口部と前記標識24とを照明する照明灯22と、蓄電池44を有し、夜間時に当該蓄電池44から前記照明灯22に電源を供給して当該照明灯22を点灯させる電源部40とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負傷者を救助するための災害救助用具が収納された災害救助用具収納ケースを備える災害救助設備に関する。
【背景技術】
【0002】
災害時には負傷者等を救助するためにバールやシャベル等の災害救助用具が必要な場合がある。これらの災害救助用具は、従来、所定のケースに収納されて所定の場所に保管されている。例えば、消防倉庫など地域の決められた建物の内部に保管されている場合が挙げられる。
【0003】
また、特許文献1には、住宅の外壁に収納ユニットが埋め込まれており、この収納ユニットに前記災害救助用具が収納されたものが開示されている。この収納ユニットは、縦長直方体の箱体であって、屋外に開口する開口部を有している。そして、その内側に、給湯器設備と前記災害救助用具が収納されており、屋外からこの災害救助用具が取り出せるよう構成されている。
【特許文献1】特許第2996437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記災害救助用具は、災害発生時にその保管場所がすぐ見つけられ、かつ、収納されているケースから迅速に取り出される必要がある。しかし、夜間に、この作業を行うのは困難である。特に、夜間に停電が発生した場合には、前記災害救助用具の保管場所の視認がさらに困難となる上、前記取り出し作業がより一層困難になる。また、災害救助用具が保管されている建物の配置等を熟知していない他人が停電下で前記作業を行うのは非常に困難であり、救助作業が遅れてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑み、災害時における災害救助用具の保管場所の早期の認識と、この災害救助用具の取り出しとを有効に援助できる災害救助設備の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための請求項1に係る発明は、開口部を有し、内側に災害救助用具が収納されたケース本体と、当該ケース本体の開口部を開閉する蓋部とを有する災害救助用具収納ケースと、前記災害救助用具収納ケースが設置されていることを識別表示する標識と、前記災害救助用具収納ケースのケース本体の少なくとも前記開口部と前記標識とを照明する照明灯と、蓄電池を有し、夜間時に当該蓄電池から前記照明灯に電源を供給して当該照明灯を点灯させる電源部とを備えることを特徴とするとものである(請求項1)。
【0007】
この設備によれば、夜間での照明が前記災害救助用具収納ケースの存在場所の認識と、この災害救助用具収納ケースからの前記災害救助用具の取り出しを容易にする。具体的には、前記蓄電池から前記照明灯への給電により、停電の有無に関わらず前記照明灯が点灯される。そして、この照明灯による前記標識の照明により前記災害救助用具収納ケースの位置が明確に示され、さらに、前記照明灯による前記ケース本体の開口部の照明が前記災害救助用具収納ケースからの前記災害救助用具の取り出しを援助する。
【0008】
また、本発明において、前記災害救助用具収納ケースの近傍に設けられて、前記標識および前記照明灯を支持する照明用支柱を備えるのが好ましい(請求項2)。
【0009】
このようにすれば、前記照明用支柱の設置により、簡素な構造で、前記標識および照明灯を適切な位置に支持することができる。
【0010】
ここで、前記照明用支柱は、前記災害救助用具収納ケースよりも上方に延びる形状を有し、前記標識および前記照明灯は、前記照明用支柱の上端付近に取り付けられるのが好ましい(請求項3)。
【0011】
このようにすれば、前記標識および照明灯のより遠方からの視認が可能となり、前記災害救助用具収納ケースの位置の把握がより一層容易になる。さらに、上方からの照明により、前記災害救助用具収納ケースからの用具の取り出しが容易になる。
【0012】
また、道路沿いに互いに所定の間隔で立設された複数の支柱と、前記道路と略平行に延びて前記支柱に連設される複数のパイプとを有する歩道柵を備え、前記照明用支柱は、前記支柱間に配置されるとともに、前記パイプの少なくとも一部が固定されるパイプ固定部を有し、前記パイプの少なくとも一部は、前記パイプ固定部に固定されることで、前記照明用支柱とこの照明用支柱に隣接する前記支柱との間で架設されるのが好ましい(請求項4)。
【0013】
このようにすれば、前記照明用支柱が前記歩道柵の一部として構成され、周囲の景観が損なわれるのが抑制されるとともに、この照明用支柱の設置のために別途場所を確保する必要がなくなる。また、前記照明用支柱が前記パイプを介して前記支柱に連設されるので、このパイプと支柱とが前記照明用支柱を安定して支持する。
【0014】
また、前記災害救助用具収納ケースの開口部の取り付け位置は特に限定されるものではないが、例えば、前記開口部が当該災害救助用具収納ケースのケース本体の上端に設けられており、前記照明灯が、前記蓋部が開口された際に前記災害救助用具収納ケースのケース本体の内側を上方から照明する位置に取り付けられていれば、前記照明灯によって前記災害救助用具収納ケースの内側が効率よく照明されるので、この災害救助用具収納ケースの内側の視認性が向上し、前記災害救助用具の取り出し作業が容易になる(請求項5)。
【0015】
また、本発明において、前記電源部は、前記蓄電池を充電する太陽電池と、前記蓄電池から前記照明灯への電力量を制御する制御部とを有し、前記制御部は、日射量に応じて昼夜を判別する昼夜判別部を備えるとともに、この昼夜判定部の判別結果に基づいて前記蓄電池から前記照明灯への電力量を決定するのが好ましい(請求項6)。
【0016】
このようにすれば、前記災害救助用具収納ケースの設置場所が限定されない。また、蓄電池を充電する作業が不要になり、設備管理が容易となる。
【0017】
また、本発明において、前記災害救助用具収納ケースは、その底部に前記蓄電池と前記制御部とを収容可能な蓄電池収容部を備え、前記電源部のうち前記蓄電池と前記制御部とは前記蓄電池収容部に収容される一方、前記太陽電池は前記照明用支柱に支持されるのが好ましい(請求項7)。
【0018】
このようにすれば、前記太陽電池に太陽光を効率よく照射することができるとともに、前記蓄電池等の管理が容易になる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、停電時においても、災害救助用具の保管場所の早期の認識と、この災害救助用具の取り出しとを有効に援助することのできる災害救助設備を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい第一の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は本発明の第一の実施形態に係る災害救助設備10の正面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1の側面図、図4は図1の概略部分拡大図である。
【0022】
本災害救助設備10は、道路R沿いに設置された歩道柵1と、災害救助用具収納ケース30と、照明用支柱20と、照明灯22と、標識パネル(標識)24と、電源部40とを有している。図1に示すように、前記災害救助用具収納ケース30は、前記歩道柵1の一部として道路R沿いに設置されており、前記照明用支柱20は、この災害救助用具収納ケース30の近傍に立設されている。また、この照明用支柱20の上端付近には、前記災害救助用具収納ケース30の上方となる位置に、前記照明灯22と標識パネル24とが取り付けられている。具体的には、照明用支柱20の上端付近にフレーム23が取り付けられており、このフレーム23に前記照明灯22、前記標識パネル24が固定されている。また、前記照明用支柱20の上端には、後述するように、前記電源部40に含まれる太陽電池パネル(太陽電池)42が取り付けられている。
【0023】
前記災害救助用具収納ケース30は、災害救助機材(災害救助用具)を収容するためのものである。この災害救助機材としては、例えば、バール、ジャッキ、大型クリッパー、モンキーレンチ、担架布等が上げられる。この災害救助用具収納ケース30は、図4に示すように、ケース本体31と蓋部32とケース側パイプ固定部33とを有している。
【0024】
前記ケース本体31は、上端に開口部を有する箱状部材であり、その内側に前記災害救助機材が収納されている。このケース本体31は、その下端部が地面に埋め込まれた状態で、道路R沿いに立設されている。また、このケース本体31の正面には、前記災害救助機材が収納されていることを示す文字表示(図1における「災害救助機材格納」なる表示)がなされている。
【0025】
このケース本体31の底部には、蓄電池収容部31aが設けられている。この蓄電池収容部31aは、前記電源部40のうち後述するバッテリー(蓄電池)44と制御部50とを収容するためのものである。この蓄電池収容部31aの側面には、前記制御部50に接続された電線41を前記ケース本体31の外部に導くための配線孔31bが形成されている。そして、前記電線41は、この配線孔31bを通って前記太陽電池パネル42等へと配索されている。
【0026】
前記蓋部32は、前記ケース本体31の開口部を開閉するものである。本実施形態では、この蓋部32は、中央部分が上方に突出する形状を有しており、雨水がたまらないように、また、蓋部32の上面に空き瓶や空き缶等が放置されないように構成されている。この蓋部32は、図4に示すように、ヒンジ部32aによって前記ケース本体31に回動可能に取り付けられている。また、この蓋部32は、通常は、前記ヒンジ部32aの反対側に設けられたラッチ32bにより閉じられている。従って、前記ケース本体31から前記災害救助機材を取り出すためには、前記ラッチ32bを外して前記蓋部32を回動させる。そして、前記ケース本体31の上端の開口部から所望の災害救助機材を探し出すという作業が必要になる。
【0027】
前記ケース側パイプ固定部33は、前記ケース本体31の側面に複数設けられている。このケース側パイプ固定部33は、前記歩道柵1を構成する後述する通常パイプ4および担架布支持パイプ5を支持するためのものであり、このケース側パイプ固定部33に前記通常パイプ4および担架布支持パイプ5の一方端がそれぞれボルト等により固定される。
【0028】
前記標識24は、前記災害救助用具収納ケース30の設置場所を識別表示するためのものである。この標識24は、略長方形の形状を有する二枚の板状部材からなる。この標識24は、前記照明用支柱20の上端付近であって前記災害救助用具収納ケース30の上方となる位置に取り付けられている。具体的には、前記照明用支柱20の上端付近に取り付けられた略直方体のフレーム23の表裏に、各標識24が固定されている。本実施形態では、図1に示すように、これら標識24の表面に前記災害救助機材を示す図および文字表示がなされており、これら標識24は、この表示によって下方に災害救助機材が保管されていることを示している。
【0029】
前記照明灯22は、前記標識24と、災害救助用具収納ケース30およびその周囲とを照明するものである。この照明灯22は、主に下方に向かって光を発し、前記災害救助用具収納ケース30およびその周囲を照明する下部照明灯22aと、主に側方に向かって光を発し、前記標識24を照明する6つの標識用照明灯22bとで構成されている。これら下部照明灯22aと標識用照明灯22bとはいずれも、夜間に前記電源部40から給電されることで点灯する。また、これら下部照明灯22aと標識用照明灯22bとは、前記照明用支柱20に取り付けられた前記フレーム23のうち前記2枚の標識24に挟まれた部分に取り付けられている。より詳細には、前記下部照明灯22aは、前記フレーム23の下端部であって、前記災害救助用具収納ケース30のケース本体31の開口部の真上に設けられており、ケース本体31の開口部ひいてはケース本体31の内側に照明光が効率よく導光されるように取り付けられている。そして、前記6つの標識用照明灯22bは、前記フレーム23の上端部に互いに等間隔となるように取り付けられている。これら下部照明灯22aと標識用照明灯22bの具体的な種類は特に限定されるものではないが、例えば、LEDが挙げられる。
【0030】
前記電源部40は、前記照明灯22に給電するものである。この電源部40は、図5に示すように、太陽電池パネル42(太陽電池)と、バッテリー(蓄電池)44と、制御部50とを有している。
【0031】
前記太陽電池パネル42は、その表面に複数の発電素子が敷きつめられた板状部材であり、太陽光を受けて電力を発生させる。この太陽電池パネル42は、太陽光を効率よく受光できるように水平面に対して傾斜した状態で前記照明用支柱20の上端に固定されている。この太陽電池パネル42は、前記バッテリー44に接続されており、この太陽電池パネル42で発生した電力は、前記バッテリー44に蓄電される。
【0032】
前記バッテリー44は、前述のように、前記太陽電池パネル42で発生した電力を蓄電するとともに、前記下部照明灯22aと標識用照明灯22bとで構成された照明灯22に給電するものである。
【0033】
前記制御部50は、前記太陽電池パネル42から前記バッテリー44への給電状態および前記バッテリー44から前記照明灯22への給電状態を制御するためのものである。この制御部50は、図5に示すように、過充電防止制御部52と、放電許可判定部54と、DC−DCコンバータ46とを有している。また、この放電許可判定部54は、過放電防止制御部56、昼夜判定部57、消費電力制御部58とを有している。この制御部50は、前記バッテリー44に接続された状態で、このバッテリー44とともに前記蓄電池収容部31a内に収容されている。
【0034】
前記DC−DCコンバータ46は、前記バッテリー44から前記照明灯22へ供給される電圧を適切な値に変換するものである。具体的には、このDC−DCコンバータ46は、バッテリー44から供給された12Vの電圧を24Vに変換して照明灯22に供給する。
【0035】
前記過充電防止制御部52は、前記バッテリー44の過充電を防止するものである。この過充電防止制御部52は、前記バッテリー44の電圧を検出し、この電圧値が所定値以下であるかどうかを判定する。そして、この電圧が所定値以下の場合には、前記太陽電池パネル42から前記バッテリー44への給電を許可する一方、前記電圧が所定値より大きくなった場合には、前記バッテリー44が飽和状態であると判断して、前記太陽電池パネル42からバッテリー44への給電を停止する。
【0036】
前記昼夜判定部57は、日射量に基づいて昼夜を判定するものである。この昼夜判定部57は、前記太陽電池パネル42で発生した電圧値を検出し、この電圧値が所定値未満であるかどうかを判定する。そして、この電圧値が所定値未満の場合には、太陽電池パネル42への日射量が少ない、すなわち、夜間であると判断して、バッテリー44から前記照明灯22への給電を行う。一方、前記太陽電池パネル42で発生した電圧値が所定値以上の場合には、昼間であると判断して、前記照明灯22への給電を停止する。
【0037】
ここで、深夜の数時間は、周囲が暗くなることで照明灯22の光量が小さくとも十分な視認性が確保されることが分かっている。そこで、本実施形態では、前記消費電力制御部58により、深夜の数時間だけ前記バッテリー44から前記照明灯22への給電量を減少させている。すなわち、この消費電力制御部58は、タイマー等により現在時刻が前記深夜に該当するかどうかを判定する。そして、深夜であると判定した場合に、前記バッテリー44から照明灯22への給電量を予め設定された値に減少させる。
【0038】
前記過放電防止制御部56は、前記バッテリー44からの過放電を防止するものである。この過放電防止制御部56は、バッテリー44の電圧を検出し、この電圧値が所定値未満であるかどうかを判定する。そして、この電圧が所定値未満の場合には、過放電であると判断して、バッテリー44から前記照明灯22への給電量を減少させる。
【0039】
このようにして、前記過放電防止制御部56、前記昼夜判定部57および前記消費電力制御部58を有する前記放電許可判定部54は、各制御部56,58および昼夜判定部57からの信号に基づき、照明灯22への給電を許可するかどうかを決定するとともにその給電量を決定する。
【0040】
前記放電許可判定部54にて給電が許可されると、前記バッテリー44から前記DC−DCコンバータ46に電力が供給され、このDC−DCコンバータ46にて電圧変換が行われた後、前記照明灯22に電力が供給される。給電された照明灯22は、点灯し、前記標識24および前記災害救助用具収納ケース30を照明する。
【0041】
ここで、前記バッテリー44は、前記太陽電池パネル42からの電力を蓄電しており、この太陽電池パネル42からの送電の有無に関わらず、さらには、発電所からの送電の有無に関わらず、前記照明灯22に給電することができる。その結果、夜間時に前記発電所からの送電が停止し、停電が発生した場合にも前記照明灯22は点灯し続けることができる。すなわち、停電の有無に関わらず、前記照明灯22に照明された前記標識24は前記災害救助用具収納ケースの位置を明確に示すことができ、この照明灯22の照明光は、前記災害救助用具収納ケース30を照明することで、この災害救助用具収納ケース30からの前記災害救助機材の取り出しを援助することができる。
【0042】
前記照明用支柱20は、前述のように前記照明灯22、前記標識24および前記太陽電池パネル42を支持するものである。この照明用支柱20は、所定の方向に延びる円柱状を有している。この照明用支柱20は、その一端が地中に埋設されることで前記災害救助用具収納ケース30の近傍にこの災害救助用具収納ケース30の上方に延びるように立設されている。この照明用支柱20の上端付近には、前記フレーム23が取り付けられている。そして、この照明用支柱20は、前記フレーム23に前記照明灯22および標識24が固定されることで、このフレーム23を介して照明灯22等を支持する。ここで、前記フレーム23は、略直方体の箱状部材であり、前述のように、その内側に前記照明灯22等を収納可能な形状を有している。また、この照明用支柱20は、その上端に前記太陽電池パネル42を固定するための固定部を有しており、この固定部に前記太陽電池パネル42が固定されることで、当該太陽電池パネル42を支持する。
【0043】
また、前記照明用支柱20の内側には、前記太陽電池パネル42と前記制御部50とを接続する電線41、および、前記照明灯22と前記制御部50とを接続する電線41とが配索されている。すなわち、前記蓄電池収容部31a内に収容された前記制御部50に接続された電線41は、前記蓄電池収容部31aの側面に設けられた前記配線孔31bを通って、前記照明用支柱20の下端部にてこの照明用支柱20の内側に入り、この照明用支柱20の内側を通って前記照明灯22および前記太陽電池パネル42に接続されている。
【0044】
この照明用支柱20の長さ等は特に限定されるものではないが、図1に示す例では、この照明用支柱20は、前記災害救助用具収納ケース30の近傍に立設された状態で、その上端が地面から3m程度の高さに位置するような長さを有しており、この上端に固定された前記太陽電池パネル42に効率よく太陽光が照射するよう構成されている。また、この例では、前記照明灯22等が収容される前記フレーム23が、地面から2.5m程度の位置に設けられており、前記照明灯22および前記標識24の遠方からの視認性がより確実に確保されるよう構成されている。
【0045】
前記歩道柵1は、自動車等から歩行者等を保護するために設けられるものであって、道路R沿いに設置されている。この歩道柵1は、複数の支柱2と複数のパイプとを有している。このパイプは、複数の通常パイプ4と複数の担架布支持パイプ5とを含んでいる。前記支柱2は路面上に立設されている。そして、本実施形態では、前記災害救助用具収納ケース30は、この支柱2間に立設されている。
【0046】
前記通常パイプ4は、歩道柵に一般的に使われているパイプである。この通常パイプ4は、前記支柱2間および前記支柱2と前記災害救助用具収納ケース30との間に架設されている。具体的には、その一方端が前記支柱2に設けられた固定部に固定され、他端が前記支柱2の固定部あるいは前記災害救助用具収納ケース30の側面に設けられた前記ケース側パイプ固定部33に固定されている。
【0047】
一方、前記担架布支持パイプ5は、担架を形成するためのパイプであって、特殊な長さのパイプである。例えば、歩道柵に一般的に用いられる前記通常パイプ4が約3mであるのに対して、この担架布支持パイプ5は約2.5mのものが使用される。この担架布支持パイプ5は、前記災害救助用具収納ケース30と支柱2との間に架設されている。具体的には、この担架布支持パイプ5は、その一端が前記災害救助用具収納ケース30の側面に設けられた前記ケース側パイプ固定部33に着脱可能に固定され、他端がこの災害救助用具収納ケース30に隣接する支柱2に着脱可能に固定されている。そして、この担架布支持パイプ5は、災害時に、前記ケース側パイプ固定部33および支柱2から取り外され、前記災害救助用具収納ケース30に収容されている担架布が取り付けられることで担架として形成される。
【0048】
ここで、前述のように、前記担架布支持パイプ5は、前記災害救助用具収納ケース30のケース側パイプ固定部33に固定されており、災害救助用具収納ケース30の近傍に設置されている。そのため、この担架布支持パイプ5にも、前記照明灯22の照明光が照射される。このことは、停電の有無に関わらず、夜間の前記担架布支持パイプ5の取外し作業を容易にする。
【0049】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。
【0050】
図6は、本第二の実施形態に係る災害救助設備110の正面図、図7は図6のB−B線断面図である。
【0051】
本災害救助設備110は、前記第一の実施形態と同様に、歩道柵1と、災害救助用具収納ケース130と、照明用支柱120と、照明灯22と、標識24と、電源部40とを有している。ここで、前記歩道柵1、照明灯22、標識24、電源部40についてはそれぞれ第一の実施形態と同様の構成を有しているので、説明を省略する。
【0052】
本実施形態では、前記災害救助用具収納ケース130のケース本体131の開口部およびこの開口部を覆う蓋部132がケース本体131の側面に設けられており、このケース本体131の内側に収納されている災害救助機材の取り出しが容易になるよう構成されている。また、この災害救助用具収納ケース130は、前記歩道柵1のパイプを固定するための固定部を有しておらず、歩道柵1の支柱2の間に通常パイプ4等が接続されない状態で立設されている。このケース本体131には、前記第一の実施形態と同様に、その下端部に前記電源部40の一部を収容するための蓄電池収容部131aが設けられている。
【0053】
前記照明用支柱120は、略U字状に折り曲げられた形状を有しており、その両端が前記災害救助用具収納ケース130を挟み込むようにして地中に埋設されている。この照明用支柱120には、路面付近に前記歩道柵1の通常パイプ4および担架布支持パイプ5を固定する支柱側パイプ固定部(パイプ固定部)120aが設けられている。そして、この照明用支柱120は、前記歩道柵1の前記支柱2間に配置されて、前記支柱側パイプ固定部120aに前記通常パイプ4および担架布支持パイプ5が固定されることで、歩道柵1の一部として構成されている。すなわち、本第二の実施形態では、前記通常パイプ4および担架布支持パイプ5がこの照明用支柱120を支持する。
【0054】
前記照明用支柱120の上端付近には、フレーム123a、照明支持フレーム123b、デザインパネル125が取り付けられている。
【0055】
前記フレーム123aは、略直方体の箱状部材であり、その表裏に前記標識24がそれぞれ固定されている。また、このフレーム123aの内側には、前記照明灯22のうち前記標識24を照明するための標識用照明灯22bが収容されている。
【0056】
前記照明支持フレーム123bは、前記照明灯22のうち前記下部照明灯22aを支持するものであり、前記フレーム123aの下方に取り付けられている。前記照明灯22は、この照明支持フレーム123bの略中央付近であって前記災害救助用具収納ケース130の真上に取り付けられている。
【0057】
前記デザインパネル125は、その地域の標章や現在位置等を表示するものであり、前記照明支持フレーム123bの下方に取り付けられている。
【0058】
そして、前記照明支持フレーム123bに取り付けられた前記照明灯22は、その上方に設けられた前記標識124を照明するとともに、その下方に設けられた前記デザインパネル125および前記災害救助用具収納ケース130を照明する。
【0059】
以上のように、本発明に係る災害救助設備10,110では、前記災害救助用具収納ケース30,130が設置されていることを識別表示する標識24と、照明灯22と、バッテリー44とが設けられており、前記照明灯22が、前記バッテリー44からの給電によって停電の有無に関わらず前記標識および前記災害救助用具収納ケースとを照明するので、前記災害救助用具収納ケース30,130の存在場所の認識が容易になるとともに、この災害救助用具収納ケース30,130からの際が救助用具の取り出しが容易になる。
【0060】
また、前記電源部40、前記標識24および前記照明灯22を支持する照明用支柱20,120が設けられていれば、この照明用支柱20,120を前記災害救助用具収納ケース30,130の近傍に設け、この照明用支柱20,120に前記電源部40等を取り付けるだけで、これら電源部40等を適切な場所に支持することができる。
【0061】
また、前記照明用支柱20,120が前記災害救助用具収納ケース30,130よりも上方に延びる形状であって、前記標識24および前記照明灯22がこの照明用支柱20,120の上端付近に取り付けられていれば、前記標識24および前記照明灯22のより遠方からの視認が可能となり、前記災害救助用具収納ケース30,130の位置の把握が一層容易になる。さらに、前記災害救助用具収納ケース30,130が上方から照明されることで、この災害救助用具収納ケース30,130からの前記災害救助機材の取り出しが一層容易になる。
【0062】
また、前記第二の実施形態のように、前記照明用支柱120が歩道柵1の支柱2間に配置され、この照明用支柱120に歩道柵1の通常パイプ4および担架布支持パイプ5を固定する支柱側パイプ固定部120aが設けられていれば、この照明用支柱120が歩道柵1の一部として構成されるので、周囲の景観が損なわれるのが抑制される。また、この照明用支柱120の設置のために別途場所を確保する必要がなくなるとともに、照明用支柱120が前記パイプ4および担架布支持パイプ5によって安定して支持される。さらに、前記照明灯22に街路灯としての機能をもたせることが可能となり、防犯にも役立つ。
【0063】
また、前記第一の実施形態のように、前記災害救助用具収納ケース30の開口部が、前記ケース本体31の上端に設けられており、前記照明灯22がこのケース本体31の内側を上方から照明する位置に取り付けられていれば、雨水等のケース本体31への侵入が抑制されるとともに、ケース本体31の内側の視認性が向上する。
【0064】
また、前記電源部40が、前記太陽電池パネル42と、前記昼夜判定部44を含む制御部50とを有し、この太陽電池パネル42で発生した電力により前記バッテリー44が充電されれば、発電所からの送電がない場所であっても、この災害救助設備10,110ひいては前記災害救助用具収納ケース30,130の設置が可能になる。また、前記バッテリー44を充電する作業が不要になり、設備管理が容易になる。
【0065】
また、本実施形態では、前記災害救助設備10,110が道路沿いに歩道柵1の一部として配置された場合について示したが、この災害救助設備10,110の設置場所はこれに限らない。
【0066】
また、照明灯22の形状や取り付け位置は前記に限らず、前記照明灯22が少なくとも前記標識24と前記災害救助用具収納ケース30,130のケース本体31,131の開口部を照明するよう構成されていればよい。ここで、ケース本体31,131の開口部とは、前記蓋部32が開口された状態における前記ケース本体31,131の開口部であり、前記蓋部32が閉じた状態では、この蓋部32のうち前記ケース本体31,131を覆う部分になる。
【0067】
また、図8に示すように、照明用支柱20の上端に、垂直方向の断面積が台形であって下方に向かうほど水平方向の断面積が小さくなる箱状のフレーム223を取り付け、このフレーム223に、下方に向かうほど水平方向の断面積が小さくなる下部照明灯222aを取り付けるようにしてもよい。このようにすれば、下部照明灯222aの照明光が効率よく下方に照射され、前記災害救助用具収納ケース30を効率よく照明できる。
【0068】
さらに、前記フレームとしては、図9に示すように、その上端が、内側に向かうほど上方に突出するような傾斜部323aで構成されたものでもよい。このフレーム323によれば、前記傾斜部323aがフレーム323の上面に雪を積もってしまうのを抑制するので、この雪によるフレーム323の破損等が抑止される。
【0069】
また、前記標識24を主に照明する標識用照明灯22bと、前記災害救助用具収納ケース30,130を主に照明する下部照明灯22aとを個別に設けることなく、特定の照明灯22によって、前記標識24と前記災害救助用具収納ケース30,130を同時に照明するようにしてもよい。
【0070】
また、前記標識24や前記災害救助用具収納ケース30,130の形状は前記に限らない。また、前記照明用支柱20,120は省略可能である。例えば、建物の壁面に前記照明灯22等が固定されていてもよい。
【0071】
また、前記バッテリー44の充電方法は前記に限らず、前記太陽電池パネル42およびDC−DCコンバータ46等は省略可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る災害救助設備の正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】図1の部分拡大図である。
【図5】図1に示す電源部のブロック図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係る災害救助設備の正面図である。
【図7】図7のB−B線断面図である。
【図8】図1に示すフレームの変形例の概略斜視図である。
【図9】図1に示すフレームの変形例の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
1 歩道柵
2 支柱
10 災害救助設備(第一の実施形態)
20 照明用支柱
22 照明灯
22a 下部照明灯
22b 標識用照明灯
23 フレーム
24 標識
30 災害救助用具収納ケース
31 ケース本体
32 蓋部
40 電源部
42 太陽電池パネル(太陽電池)
44 バッテリー(蓄電池)
50 制御部
57 昼夜判定部
110 災害救助設備(第二の実施形態)
120 照明用支柱
120a 支柱側パイプ固定部(パイプ固定部)
122 照明灯
130 災害救助用具収納ケース
223 フレーム(他の実施形態)
323 フレーム(他の実施形態)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し、内側に災害救助用具が収納されたケース本体と、当該ケース本体の開口部を開閉する蓋部とを有する災害救助用具収納ケースと、
前記災害救助用具収納ケースが設置されていることを識別表示する標識と、
前記災害救助用具収納ケースのケース本体の少なくとも前記開口部と前記標識とを照明する照明灯と、
蓄電池を有し、夜間時に当該蓄電池から前記照明灯に電源を供給して当該照明灯を点灯させる電源部とを備えることを特徴とする災害救助設備。
【請求項2】
請求項1に記載の災害救助設備において、
前記災害救助用具収納ケースの近傍に設けられて、前記標識および前記照明灯を支持する照明用支柱を備えることを特徴とする災害救助設備。
【請求項3】
請求項2に記載の災害救助設備において、
前記照明用支柱は、前記災害救助用具収納ケースよりも上方に延びる形状を有し、
前記標識および前記照明灯は、前記照明用支柱の上端付近に取り付けられることを特徴とする災害救助設備。
【請求項4】
請求項2または3に記載の災害救助設備において、
道路沿いに互いに所定の間隔で立設された複数の支柱と、前記道路と略平行に延びて前記支柱に連設される複数のパイプとを有する歩道柵を備え、
前記照明用支柱は、前記支柱間に配置されるとともに、前記パイプの少なくとも一部が固定されるパイプ固定部を有し、
前記パイプの少なくとも一部は、前記パイプ固定部に固定されることで、前記照明用支柱とこの照明用支柱に隣接する前記支柱との間で架設されることを特徴とする災害救助設備。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の災害救助設備において、
前記災害救助用具収納ケースの開口部は、当該災害救助用具収納ケースのケース本体の上端に設けられており、
前記照明灯は、前記蓋部が開口された際に前記災害救助用具収納ケースのケース本体の内側を上方から照明する位置に取り付けられることを特徴とする災害救助設備。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の災害救助設備において、
前記電源部は、前記蓄電池を充電する太陽電池と、前記蓄電池から前記照明灯への電力量を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、日射量に基づいて昼夜を判別する昼夜判別部を備えるとともに、この昼夜判定部の判別結果に基づいて前記蓄電池から前記照明灯への電力量を決定することを特徴とする災害救助設備。
【請求項7】
請求項6に記載の災害救助設備において、
前記災害救助用具収納ケースのケース本体は、その底部に前記蓄電池と前記制御部とを収容可能な蓄電池収容部を備え、
前記電源部のうち前記蓄電池と前記制御部とは前記蓄電池収容部に収容される一方、前記太陽電池は前記照明用支柱に支持されることを特徴とする災害救助設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−4195(P2009−4195A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163171(P2007−163171)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000192615)神鋼建材工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】