炭素ナノチューブのマトリックス構造及びその製造方法
【課題】 本発明は、少なくとも一つの一定の方向へ曲がる炭素ナノチューブのマトリックス構造及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の炭素ナノチューブのマトリックス構造は基板、該基板の表面に形成された少なくとも一つの触媒塊、及び該触媒塊に成長された炭素ナノチューブのマトリックスを含み、該触媒塊の厚さは第一端部から第二端部へ漸進的に減らし、該第一端部から該第二端部への範囲中で、ある位置の厚さが好ましい厚さに寄って、該炭素ナノチューブのマトリックスは該好ましい厚さの位置から離れた方向へ曲がる。本発明は前記炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法も提供する。
【解決手段】 本発明の炭素ナノチューブのマトリックス構造は基板、該基板の表面に形成された少なくとも一つの触媒塊、及び該触媒塊に成長された炭素ナノチューブのマトリックスを含み、該触媒塊の厚さは第一端部から第二端部へ漸進的に減らし、該第一端部から該第二端部への範囲中で、ある位置の厚さが好ましい厚さに寄って、該炭素ナノチューブのマトリックスは該好ましい厚さの位置から離れた方向へ曲がる。本発明は前記炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素ナノチューブのマトリックス構造及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭素ナノチューブは、特別な電気的性質を有し、ナノ集積回路、単分子素子など領域において広く使用されている。現在、実験室で炭素ナノチューブを用いた電界放出素子、ロジック素子及びメモリ素子などを少量的に製造でき、且つ前記素子の性質を研究している。しかし、大規模的な製造及び工業応用に対して下から上への成長方法(Bottom Up)を使用する必要がある。
【0003】
下から上への成長方法は炭素ナノチューブの成長位置、方向、寸法、及びねじり法などを制御することができ、少量、且つ経済的なステップによって必要な素子を直接に成長できる。ファン(Shoushan Fan)等による非特許文献1、及びレン(Z. F. Ren)などによる非特許文献2に開示されているように、触媒パターン(Patterned Catalyst)により炭素ナノチューブの成長位置を制御し、及びそれを基板に対して垂直させる。
【0004】
また、ウェイ(B. Q. Wei)等による非特許文献3に開示されているように、基板の形状を設計するによって三次元の基板の各表面に対して垂直された炭素ナノチューブの成長方法を提供する。
【0005】
しかし、前記成長方法による炭素ナノチューブのマトリックスは基板に対して垂直に直立し、該炭素ナノチューブのマトリックスの成長方向を制御する、或は変えることはできない。
【0006】
ツァン(Yuegang Zhang)等は電場により炭素ナノチューブの成長方向を制御する方法を提供し、電場によって炭素ナノチューブを電場方向に沿って成長させ、詳しい内容は非特許文献4に開示されている。
【0007】
しかし、前記方法中で、電場により炭素ナノチューブの成長方向を制御する方法は素子設計を複雑化、また電場本来の広域性のため、それぞれの成長方向を局部(局所)的に制御し難く、炭素ナノチューブを用いた素子設計の多様化及び実用性において限界がある。
【非特許文献1】「Self-oriented regular arrays of carbon nanotubes and their field emission properties」、Science、1999、第283巻、p. 512−514
【非特許文献2】「Synthesis of large arrays of well-aligned carbon nanotubes on glass」、Science、1998、第282巻、p. 1105〜1107
【非特許文献3】「Organized assembly of carbon nanotubes」、Nature、2002、第416巻、p. 495〜496
【非特許文献4】「Electric-field-directed growth of aligned single-walled carbon nanotubes」、Applied Physics Letters、2001、第79巻、p. 19
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、少なくとも一つの一定の方向へ曲がった炭素ナノチューブのマトリックス構造を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、少なくとも一つの一定の方向へ曲がった炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を解決するように、本発明は炭素ナノチューブのマトリックス構造を提供し、それは基板、該基板の一つの表面に形成された少なくとも一つの触媒塊、及び該触媒塊に形成された炭素ナノチューブのマトリックスを含み、該触媒塊の厚さは第一端部から第二端部へ漸進的減らし、該第一端部から該第二端部への範囲中で、ある位置の厚さが好ましい厚さに寄って、該炭素ナノチューブのマトリックスは該好ましい厚さの位置から離れた方向へ曲がる。
【0011】
前記の他の目的を解決するように、本発明は下記のステップを含む炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法を提供する。
(1)基板を提供するステップ。
(2)該基板の表面に少なくとも一つの触媒塊を堆積し、該触媒塊の厚さは第一端部から第二端部へ漸進的薄くし、該第一端部から該第二端部への範囲中で、ある位置の厚さが好ましい厚さに寄るステップ。
(3)炭素源ガスを導入し、化学気相堆積法によって該触媒塊に炭素ナノチューブのマトリックスの成長し、該炭素ナノチューブのマトリックスは該好ましい厚さの位置から離れた方向へ曲がるステップ。
【0012】
炭素ナノチューブの成長速度は触媒の厚さに相関し、一定の条件の化学気相堆積法、且つある厚さの触媒による、炭素ナノチューブの成長速度が最大で、該ある厚さは好ましい厚さとする。触媒塊は該好ましいの厚さを基準として漸進的に薄く或は厚くし、炭素ナノチューブの成長速度は全部に漸進的に小さくなる。だから、該触媒塊の厚さを第一端部から第二端部へ漸進的薄くし、且つ該第一端部から該第二端部への範囲中で、ある位置の厚さが好ましい厚さに寄って、該該触媒塊に成長された炭素ナノチューブのマトリックスは該好ましい厚さの位置から離れた方向へ曲がる。
【発明の効果】
【0013】
従来の炭素ナノチューブのマトリックスの成長方法と比べて、本発明の成長方法は他の電場を必要しない、複数の炭素ナノチューブのマトリックスが別々に複数の一定の方向へ曲がることが実現でき、得った炭素ナノチューブのマトリックス構造はナノ素子の設計の複雑化を豊富することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、図示を参照して本発明の第一の実施例を説明する。
【0015】
図1に示したように、基板10を提供し、基板10に一定の厚さの抵抗層40を形成し、抵抗層40の一端部(図示で右端部を示す)の上方に直線型触媒蒸発源20を配置して、熱蒸発法或はビーム束蒸発法により触媒層30を堆積する。触媒層30として溶液の吹付け塗り法などの方法で形成する。
【0016】
基板10として多孔シリコン片が選ばれ、仕上シリコン片、ガラス片、金属片などを選ばれる。
【0017】
直線型触媒蒸発源20は鉄、コバルト、ニッケル或はその合金のうちの一つが選ばれ、本実施形態では鉄蒸発源を使用する。蒸発源20は抵抗層40の斜上方に位置し、抵抗層40により厚さが漸進的に変化する触媒層30を堆積し形成する。直線型触媒蒸発源20を点型触媒蒸発源に代替することもできる。堆積した触媒層30の厚さは一端部から他の端部へ漸進的に減少し、より薄い端部の厚さは1〜10nmであり、より厚い端部の厚さは5〜20nmである。また、固定点触媒蒸発源を選んだ場合は、基板10を直線に沿って移動し、厚さが一端部から他の端部へ漸進的な触媒層30も堆積し形成される。
【0018】
抵抗層40は一定の高さが一定であり、該抵抗辺の高さは抵抗層40の厚さとして、蒸発源20から蒸発してきた触媒を部分的に遮断し(ブロックし)、これによって、触媒層30の厚さが一定の範囲内で漸進的に異なるようになる。抵抗層40の材料として、膜厚フォトレジスト、除去し易い物質に接着された金属或は金属酸化物、金属窒化物などが選ばれ、適当な方法により除去して触媒層30を損傷することがないように。抵抗層40として一定の厚さのステンシルマスクも選ばれ、触媒層を堆積する際、該ステンシルマスクを基板10に緊密に接着させる必要がある。
【0019】
図2に示したように、触媒層30を堆積して抵抗層40を除去し、触媒層30の好ましい厚さ線32を確定する。触媒層30の厚さは一端部から他の端部へ漸進的に減少しており、且つある位置の厚さは一定の条件下の炭素ナノチューブの成長に対して最適であり、該ある位置の厚さは好ましい厚さとする。
【0020】
該好ましい厚さは以下の実験により決定する。
【0021】
抵抗層を備えたシリコン基板に、厚さが漸進的に変化した触媒層を堆積して形成し;予定の条件下で化学気相堆積法により炭素ナノチューブのマトリックスを成長し;走査型電子顕微鏡(SEM)で成長した炭素ナノチューブの最高位置を観測し、該最高位置の触媒層の厚さは該予定の条件下で好ましい厚さである。触媒層に対して好ましい厚さの位置点を連接して好ましい厚さ線に形成する。例えば、本実施例で、シリコン基板上の鉄を触媒として、700℃でエチレンを導入して炭素ナノチューブを成長し、触媒層30の好ましい厚さが約5nmであり、厚さが約5nmである点を連接して好ましい厚さ線32を形成する。これについては、図2及び図3を参照されたい。一定の寸法の触媒に対して炭素ナノチューブの成長速度は最大であり、該寸法より大きくても小さくても炭素ナノチューブの成長速度はすべて減少し、又、触媒層の厚さは触媒の寸法を決めて、したがって、触媒層の好ましい厚さに位置している炭素ナノチューブの成長速度が最大で、該好ましい厚さを基準として漸進的に薄く或は厚くし、炭素ナノチューブの成長速度はすべて漸進的に小さくなる。
【0022】
図3に示したように、触媒層30に一定の触媒パターンを形成する。本実施例においてフォトリソグラフィ法により触媒パターンを形成する。触媒層30にフォトレジスト層を形成し、予定のパターンを有したマスクで露光して現像し、酸液で保護されない触媒層を除去し、且つ触媒層に接着したフォトレジスト層を除去し、マスクのパターンに対応した厚さがこう配に変化された触媒パターン33、34を形成する。また、触媒層30を堆積する際、一定の厚さを有したステンシルマスクを使用すれば、厚さが所望の触媒パターンを直接に堆積することができる。
【0023】
図4を参照されたい。触媒層30を接着した基板10を空気の雰囲気で300℃でアニールし、触媒層30を酸化してナノオーダーの触媒酸化31に収縮する。触媒層30に対して、厚さが好ましい厚さより小さい部分に形成された触媒酸化粒子33’の直径がより小さく、厚さが好ましい厚さより大きい部分に形成された触媒酸化粒子34’の直径がより大きい。
【0024】
図5を参照されたい。基板10を反応炉(図に示さず)に位置させ、炭素源ガスエチレンを導入し、化学気相堆積法による炭素ナノチューブのマトリックスを成長する。該炭素ナノチューブの成長の過程中において、炭素源ガスから分解した水素により触媒酸化粒子33’、34’を触媒粒子33’’、 34’’に還元し、次に、触媒粒子33’’、 34’’に炭素ナノチューブのマトリックス50、51を成長する。炭素源ガス(炭素を含むガス)として他の炭素を含まれるガスを選ばれ、例えばメタン、アルチレンなどを選ばれる。化学気相堆積法の条件が異なるに従って、触媒層の好ましい厚さが異なり、従って、炭素ナノチューブのマトリックスを成長する条件は前記好ましい厚さ線を確定する条件とは相同だのを確保する必要がある。成長時間を制御して炭素ナノチューブのマトリックス51、52の成長した長さが制御される。
【0025】
厚さが前記好ましい厚さより小さい側において、触媒塊33は好ましい厚さ線から好ましい厚さ線より離れる方向に、厚さが漸進的に小さくなっている。厚さが前記好ましい厚さより大きい側において、触媒塊33は好ましい厚さ線から好ましい厚さ線より離れる方向に、厚さが漸進的に大きくなっている。触媒層の好ましい厚さの位置において炭素ナノチューブの成長速度が最大で、該好ましい厚さを基準として漸進的薄く或は厚くすると、炭素ナノチューブの成長速度は漸進的に小さくなり、従って、触媒塊33に成長した炭素ナノチューブのマトリックス50はより厚い側からより薄い側へ曲がり、触媒塊34に成長した炭素ナノチューブのマトリックス51はより薄い側からより厚い側へ曲がり、つまり、触媒塊33、34の上の炭素ナノチューブのマトリックスは全部に好ましい厚さに近い位置から好ましい厚さから離れる方向へ曲がる。二つの触媒パターンを別々に触媒層の好ましい厚さ線の両側部に位置させ、且つ該触媒パターンに炭素ナノチューブを成長したら、成長の方向が相反する二つの炭素ナノチューブのマトリックスを得ることができる。
【0026】
触媒パターンを好ましい厚さ線のどの側に設置するかによって炭素ナノチューブのマトリックスの曲り方向が制御されるので、触媒パターンを形成する過程中でのフォトリソグラフィする際、要求に従ってマスクの位置を調整する必要がある。適当な厚さのステンシルマスクを抵抗層40として、厚さが要求に合う触媒パターンを直接に堆積し形成すると、フォトリソグラフィする必要はない。
【0027】
図6を参照されたい。前記方法による炭素ナノチューブのマトリックス1は基板10、基板10に形成された炭素ナノチューブのマトリックスの50、51、且つの炭素ナノチューブのマトリックスの50、51は相反した曲り方向を有する。
【0028】
また、触媒パターンを形成するステップを省略して、触媒層30に炭素ナノチューブのマトリックスを直接に成長させてもよい。触媒層の薄い側の端部の厚さが好ましい厚さに最も近づけば、成長した炭素ナノチューブのマトリックスはその薄い側の端部から漸進的に厚くなっていく側の反対側へ曲がる。触媒層の厚い側の端部の厚さが好ましい厚さに最も近づけば、成長した炭素ナノチューブのマトリックスはその厚い側の端部から漸進的に薄くなっていく側の反対側へ曲がる。触媒層の両端間のある位置での厚さが好ましい厚さであれば、成長された炭素ナノチューブのマトリックスはその位置から分かれて別々に両端部へ曲り、つまり、前記好ましい厚さから離れる方向へ曲がる。
【0029】
次に、図示を参照して本発明の第二の実施例を説明する。
【0030】
図7を参照されたい。偏心回り蒸着フィルム法により触媒層90を堆積する。基板70の上表面の中心位置に抵抗層80を設置され、抵抗層80として、四角形、長方形或は円柱形などの形状を選ぶことができ、本実施例で四角形を選んでいる。基板70の一側の上方に点触媒蒸発源60を配置し、熱蒸発法或はビーム蒸発法で触媒層90を堆積する。触媒層を堆積する際、基板70を水平面で図示した軸の回りに回転させるが、該軸は基板70に対して端部に位置し且つその上表面に垂直するものであり、基板70は抵抗層80と共に軸回りに回転する。炭素ナノチューブのマトリックスを各方向へ成長させるのを確保するように、基板70の最大の回転半径は触媒の点蒸発源60から軸への距離より小さい。しかし、実際応用の際、抵抗層80とする膜厚フォトレジストが除去し易いので、基板70の最大の回転半径は前記距離よりやや大きくてもよい。触媒層90は基板70の表面、及び抵抗層80の周囲に堆積され、且つ抵抗層80に近づくほど触媒層90の厚さが小さく、抵抗層80から離れるほど触媒層90の厚さが大きくなるが、抵抗層80から離れて抵抗層80が抵抗されない部分において触媒の厚さはこう配は有しない。
【0031】
図8、及び図9を参照されたい。抵抗層80を除去し、一定の条件の化学気相堆積法により触媒層90の好ましい厚さを決定し、且つ好ましい厚さ線92を確定する。好ましい厚さ線92を確定する方法は第一実施例中での好ましい厚さ線32を確定する方法と同じである。
【0032】
図10、及び図11を参照されたい。触媒パターンを形成し、少なくとも二つの触媒塊は別々に好ましい厚さ線92の両側に位置する。触媒塊94、95は好ましい厚さ線92の一側に位置され、触媒塊93、96は好ましい厚さ線92の他の側に位置される。触媒層90を堆積する際、厚薄の層を組み合わせたステンシルマスクを抵抗層80とすることにより、厚さが所望の触媒パターンを直接に堆積することができる。
【0033】
図12を参照されたい。触媒層90を接着した基板70を空気の雰囲気で300℃でアニールし、触媒層90を酸化されてナノオーダーの触媒酸化91を縮れられる。触媒層90に対して厚さは好ましい厚さより小さい部分に形成された触媒酸化粒子94’、95’の直径がより小さく、厚さは好ましい厚さより大きい部分に形成された触媒酸化粒子93’、96 ’の直径がより大きい。
【0034】
図13を参照されたい。表面に触媒粒子91を形成された基板70を反応炉(図に示さず)に位置され、炭素源ガスのエチレンを導入し、化学気相堆積法で炭素ナノチューブのマトリックスを成長する。該炭素ナノチューブの成長の過程中において、炭素源ガスから分解した水素による触媒酸化粒子93’、94’、95’、96’を触媒粒子93’’、 94’’、95’’、96’’に還元し、次に、触媒粒子93’’、 94’’、95’’、96’’に炭素ナノチューブのマトリックス100、101、102、103を成長する。厚さが前記好ましい厚さより小さい側においては、触媒層94、95に成長された炭素ナノチューブのマトリックス101、102は触媒の厚さを減らす方向へ曲がる。厚さが前記好ましい厚さより大きい側において、触媒層93、96に成長された炭素ナノチューブのマトリックス100、103は触媒の厚さが増加する方向へ曲がる。炭素ナノチューブのマトリックスは全て、前記好ましい厚さ線の位置から離れる方向へ曲がるものである。
【0035】
図14を参照されたい。前記方法による炭素ナノチューブのマトリックス2は基板70、基板70に形成された炭素ナノチューブのマトリックスの100、101、102、103を含み、且つ炭素ナノチューブのマトリックスの100、101、102、103は別々に異なった曲り方向を有する。
【0036】
前記炭素ナノチューブのマトリックス構造及びその製造方法はディスプレイ、ナノエレクトロニクス、強電流電界放出銃など装置の陰極に用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第一実施例中で触媒を堆積する概略模式図である。
【図2】本発明の第一実施例中で抵抗層を除去して好ましい厚さを決定する触媒層の概略斜視図である。
【図3】本発明の第一実施例中での触媒パターンの概略斜視図である。
【図4】本発明の第一実施例中で触媒がアニールされた概略模式図である。
【図5】本発明の第一実施例中で成長された炭素ナノチューブのマトリックスの概略模式図である。
【図6】本発明の第一実施例中での炭素ナノチューブのマトリックス構造の概略斜視図である。
【図7】本発明の第二実施例中で触媒を堆積する概略模式図である。
【図8】本発明の第二実施例中で抵抗層を除去して好ましい厚さを決定する触媒層の概略模式図である。
【図9】本発明の第二実施例中で抵抗層を除去して好ましい厚さを確定する触媒層の概略斜視図である。
【図10】本発明の第二実施例中で形成された触媒パターンの概略斜視図である。
【図11】本発明の第二実施例中での触媒パターンの概略平面図である。
【図12】本発明の第二実施例中で触媒パターンがアニールした概略模式図である。
【図13】本発明の第二実施例中で成長された炭素ナノチューブのマトリックスの概略模式図である。
【図14】本発明の第二実施例中での炭素ナノチューブのマトリックス構造の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1、2 炭素ナノチューブのマトリックス構造
10、70 基板
20、60 触媒蒸発源
30、90 触媒層
31、91 触媒粒子
32、92 好ましい厚さ線
40、80 抵抗層
33、34、93、94、95、96 触媒塊
50、51、100、101、102、103 炭素ナノチューブのマトリックス
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素ナノチューブのマトリックス構造及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭素ナノチューブは、特別な電気的性質を有し、ナノ集積回路、単分子素子など領域において広く使用されている。現在、実験室で炭素ナノチューブを用いた電界放出素子、ロジック素子及びメモリ素子などを少量的に製造でき、且つ前記素子の性質を研究している。しかし、大規模的な製造及び工業応用に対して下から上への成長方法(Bottom Up)を使用する必要がある。
【0003】
下から上への成長方法は炭素ナノチューブの成長位置、方向、寸法、及びねじり法などを制御することができ、少量、且つ経済的なステップによって必要な素子を直接に成長できる。ファン(Shoushan Fan)等による非特許文献1、及びレン(Z. F. Ren)などによる非特許文献2に開示されているように、触媒パターン(Patterned Catalyst)により炭素ナノチューブの成長位置を制御し、及びそれを基板に対して垂直させる。
【0004】
また、ウェイ(B. Q. Wei)等による非特許文献3に開示されているように、基板の形状を設計するによって三次元の基板の各表面に対して垂直された炭素ナノチューブの成長方法を提供する。
【0005】
しかし、前記成長方法による炭素ナノチューブのマトリックスは基板に対して垂直に直立し、該炭素ナノチューブのマトリックスの成長方向を制御する、或は変えることはできない。
【0006】
ツァン(Yuegang Zhang)等は電場により炭素ナノチューブの成長方向を制御する方法を提供し、電場によって炭素ナノチューブを電場方向に沿って成長させ、詳しい内容は非特許文献4に開示されている。
【0007】
しかし、前記方法中で、電場により炭素ナノチューブの成長方向を制御する方法は素子設計を複雑化、また電場本来の広域性のため、それぞれの成長方向を局部(局所)的に制御し難く、炭素ナノチューブを用いた素子設計の多様化及び実用性において限界がある。
【非特許文献1】「Self-oriented regular arrays of carbon nanotubes and their field emission properties」、Science、1999、第283巻、p. 512−514
【非特許文献2】「Synthesis of large arrays of well-aligned carbon nanotubes on glass」、Science、1998、第282巻、p. 1105〜1107
【非特許文献3】「Organized assembly of carbon nanotubes」、Nature、2002、第416巻、p. 495〜496
【非特許文献4】「Electric-field-directed growth of aligned single-walled carbon nanotubes」、Applied Physics Letters、2001、第79巻、p. 19
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、少なくとも一つの一定の方向へ曲がった炭素ナノチューブのマトリックス構造を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、少なくとも一つの一定の方向へ曲がった炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を解決するように、本発明は炭素ナノチューブのマトリックス構造を提供し、それは基板、該基板の一つの表面に形成された少なくとも一つの触媒塊、及び該触媒塊に形成された炭素ナノチューブのマトリックスを含み、該触媒塊の厚さは第一端部から第二端部へ漸進的減らし、該第一端部から該第二端部への範囲中で、ある位置の厚さが好ましい厚さに寄って、該炭素ナノチューブのマトリックスは該好ましい厚さの位置から離れた方向へ曲がる。
【0011】
前記の他の目的を解決するように、本発明は下記のステップを含む炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法を提供する。
(1)基板を提供するステップ。
(2)該基板の表面に少なくとも一つの触媒塊を堆積し、該触媒塊の厚さは第一端部から第二端部へ漸進的薄くし、該第一端部から該第二端部への範囲中で、ある位置の厚さが好ましい厚さに寄るステップ。
(3)炭素源ガスを導入し、化学気相堆積法によって該触媒塊に炭素ナノチューブのマトリックスの成長し、該炭素ナノチューブのマトリックスは該好ましい厚さの位置から離れた方向へ曲がるステップ。
【0012】
炭素ナノチューブの成長速度は触媒の厚さに相関し、一定の条件の化学気相堆積法、且つある厚さの触媒による、炭素ナノチューブの成長速度が最大で、該ある厚さは好ましい厚さとする。触媒塊は該好ましいの厚さを基準として漸進的に薄く或は厚くし、炭素ナノチューブの成長速度は全部に漸進的に小さくなる。だから、該触媒塊の厚さを第一端部から第二端部へ漸進的薄くし、且つ該第一端部から該第二端部への範囲中で、ある位置の厚さが好ましい厚さに寄って、該該触媒塊に成長された炭素ナノチューブのマトリックスは該好ましい厚さの位置から離れた方向へ曲がる。
【発明の効果】
【0013】
従来の炭素ナノチューブのマトリックスの成長方法と比べて、本発明の成長方法は他の電場を必要しない、複数の炭素ナノチューブのマトリックスが別々に複数の一定の方向へ曲がることが実現でき、得った炭素ナノチューブのマトリックス構造はナノ素子の設計の複雑化を豊富することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、図示を参照して本発明の第一の実施例を説明する。
【0015】
図1に示したように、基板10を提供し、基板10に一定の厚さの抵抗層40を形成し、抵抗層40の一端部(図示で右端部を示す)の上方に直線型触媒蒸発源20を配置して、熱蒸発法或はビーム束蒸発法により触媒層30を堆積する。触媒層30として溶液の吹付け塗り法などの方法で形成する。
【0016】
基板10として多孔シリコン片が選ばれ、仕上シリコン片、ガラス片、金属片などを選ばれる。
【0017】
直線型触媒蒸発源20は鉄、コバルト、ニッケル或はその合金のうちの一つが選ばれ、本実施形態では鉄蒸発源を使用する。蒸発源20は抵抗層40の斜上方に位置し、抵抗層40により厚さが漸進的に変化する触媒層30を堆積し形成する。直線型触媒蒸発源20を点型触媒蒸発源に代替することもできる。堆積した触媒層30の厚さは一端部から他の端部へ漸進的に減少し、より薄い端部の厚さは1〜10nmであり、より厚い端部の厚さは5〜20nmである。また、固定点触媒蒸発源を選んだ場合は、基板10を直線に沿って移動し、厚さが一端部から他の端部へ漸進的な触媒層30も堆積し形成される。
【0018】
抵抗層40は一定の高さが一定であり、該抵抗辺の高さは抵抗層40の厚さとして、蒸発源20から蒸発してきた触媒を部分的に遮断し(ブロックし)、これによって、触媒層30の厚さが一定の範囲内で漸進的に異なるようになる。抵抗層40の材料として、膜厚フォトレジスト、除去し易い物質に接着された金属或は金属酸化物、金属窒化物などが選ばれ、適当な方法により除去して触媒層30を損傷することがないように。抵抗層40として一定の厚さのステンシルマスクも選ばれ、触媒層を堆積する際、該ステンシルマスクを基板10に緊密に接着させる必要がある。
【0019】
図2に示したように、触媒層30を堆積して抵抗層40を除去し、触媒層30の好ましい厚さ線32を確定する。触媒層30の厚さは一端部から他の端部へ漸進的に減少しており、且つある位置の厚さは一定の条件下の炭素ナノチューブの成長に対して最適であり、該ある位置の厚さは好ましい厚さとする。
【0020】
該好ましい厚さは以下の実験により決定する。
【0021】
抵抗層を備えたシリコン基板に、厚さが漸進的に変化した触媒層を堆積して形成し;予定の条件下で化学気相堆積法により炭素ナノチューブのマトリックスを成長し;走査型電子顕微鏡(SEM)で成長した炭素ナノチューブの最高位置を観測し、該最高位置の触媒層の厚さは該予定の条件下で好ましい厚さである。触媒層に対して好ましい厚さの位置点を連接して好ましい厚さ線に形成する。例えば、本実施例で、シリコン基板上の鉄を触媒として、700℃でエチレンを導入して炭素ナノチューブを成長し、触媒層30の好ましい厚さが約5nmであり、厚さが約5nmである点を連接して好ましい厚さ線32を形成する。これについては、図2及び図3を参照されたい。一定の寸法の触媒に対して炭素ナノチューブの成長速度は最大であり、該寸法より大きくても小さくても炭素ナノチューブの成長速度はすべて減少し、又、触媒層の厚さは触媒の寸法を決めて、したがって、触媒層の好ましい厚さに位置している炭素ナノチューブの成長速度が最大で、該好ましい厚さを基準として漸進的に薄く或は厚くし、炭素ナノチューブの成長速度はすべて漸進的に小さくなる。
【0022】
図3に示したように、触媒層30に一定の触媒パターンを形成する。本実施例においてフォトリソグラフィ法により触媒パターンを形成する。触媒層30にフォトレジスト層を形成し、予定のパターンを有したマスクで露光して現像し、酸液で保護されない触媒層を除去し、且つ触媒層に接着したフォトレジスト層を除去し、マスクのパターンに対応した厚さがこう配に変化された触媒パターン33、34を形成する。また、触媒層30を堆積する際、一定の厚さを有したステンシルマスクを使用すれば、厚さが所望の触媒パターンを直接に堆積することができる。
【0023】
図4を参照されたい。触媒層30を接着した基板10を空気の雰囲気で300℃でアニールし、触媒層30を酸化してナノオーダーの触媒酸化31に収縮する。触媒層30に対して、厚さが好ましい厚さより小さい部分に形成された触媒酸化粒子33’の直径がより小さく、厚さが好ましい厚さより大きい部分に形成された触媒酸化粒子34’の直径がより大きい。
【0024】
図5を参照されたい。基板10を反応炉(図に示さず)に位置させ、炭素源ガスエチレンを導入し、化学気相堆積法による炭素ナノチューブのマトリックスを成長する。該炭素ナノチューブの成長の過程中において、炭素源ガスから分解した水素により触媒酸化粒子33’、34’を触媒粒子33’’、 34’’に還元し、次に、触媒粒子33’’、 34’’に炭素ナノチューブのマトリックス50、51を成長する。炭素源ガス(炭素を含むガス)として他の炭素を含まれるガスを選ばれ、例えばメタン、アルチレンなどを選ばれる。化学気相堆積法の条件が異なるに従って、触媒層の好ましい厚さが異なり、従って、炭素ナノチューブのマトリックスを成長する条件は前記好ましい厚さ線を確定する条件とは相同だのを確保する必要がある。成長時間を制御して炭素ナノチューブのマトリックス51、52の成長した長さが制御される。
【0025】
厚さが前記好ましい厚さより小さい側において、触媒塊33は好ましい厚さ線から好ましい厚さ線より離れる方向に、厚さが漸進的に小さくなっている。厚さが前記好ましい厚さより大きい側において、触媒塊33は好ましい厚さ線から好ましい厚さ線より離れる方向に、厚さが漸進的に大きくなっている。触媒層の好ましい厚さの位置において炭素ナノチューブの成長速度が最大で、該好ましい厚さを基準として漸進的薄く或は厚くすると、炭素ナノチューブの成長速度は漸進的に小さくなり、従って、触媒塊33に成長した炭素ナノチューブのマトリックス50はより厚い側からより薄い側へ曲がり、触媒塊34に成長した炭素ナノチューブのマトリックス51はより薄い側からより厚い側へ曲がり、つまり、触媒塊33、34の上の炭素ナノチューブのマトリックスは全部に好ましい厚さに近い位置から好ましい厚さから離れる方向へ曲がる。二つの触媒パターンを別々に触媒層の好ましい厚さ線の両側部に位置させ、且つ該触媒パターンに炭素ナノチューブを成長したら、成長の方向が相反する二つの炭素ナノチューブのマトリックスを得ることができる。
【0026】
触媒パターンを好ましい厚さ線のどの側に設置するかによって炭素ナノチューブのマトリックスの曲り方向が制御されるので、触媒パターンを形成する過程中でのフォトリソグラフィする際、要求に従ってマスクの位置を調整する必要がある。適当な厚さのステンシルマスクを抵抗層40として、厚さが要求に合う触媒パターンを直接に堆積し形成すると、フォトリソグラフィする必要はない。
【0027】
図6を参照されたい。前記方法による炭素ナノチューブのマトリックス1は基板10、基板10に形成された炭素ナノチューブのマトリックスの50、51、且つの炭素ナノチューブのマトリックスの50、51は相反した曲り方向を有する。
【0028】
また、触媒パターンを形成するステップを省略して、触媒層30に炭素ナノチューブのマトリックスを直接に成長させてもよい。触媒層の薄い側の端部の厚さが好ましい厚さに最も近づけば、成長した炭素ナノチューブのマトリックスはその薄い側の端部から漸進的に厚くなっていく側の反対側へ曲がる。触媒層の厚い側の端部の厚さが好ましい厚さに最も近づけば、成長した炭素ナノチューブのマトリックスはその厚い側の端部から漸進的に薄くなっていく側の反対側へ曲がる。触媒層の両端間のある位置での厚さが好ましい厚さであれば、成長された炭素ナノチューブのマトリックスはその位置から分かれて別々に両端部へ曲り、つまり、前記好ましい厚さから離れる方向へ曲がる。
【0029】
次に、図示を参照して本発明の第二の実施例を説明する。
【0030】
図7を参照されたい。偏心回り蒸着フィルム法により触媒層90を堆積する。基板70の上表面の中心位置に抵抗層80を設置され、抵抗層80として、四角形、長方形或は円柱形などの形状を選ぶことができ、本実施例で四角形を選んでいる。基板70の一側の上方に点触媒蒸発源60を配置し、熱蒸発法或はビーム蒸発法で触媒層90を堆積する。触媒層を堆積する際、基板70を水平面で図示した軸の回りに回転させるが、該軸は基板70に対して端部に位置し且つその上表面に垂直するものであり、基板70は抵抗層80と共に軸回りに回転する。炭素ナノチューブのマトリックスを各方向へ成長させるのを確保するように、基板70の最大の回転半径は触媒の点蒸発源60から軸への距離より小さい。しかし、実際応用の際、抵抗層80とする膜厚フォトレジストが除去し易いので、基板70の最大の回転半径は前記距離よりやや大きくてもよい。触媒層90は基板70の表面、及び抵抗層80の周囲に堆積され、且つ抵抗層80に近づくほど触媒層90の厚さが小さく、抵抗層80から離れるほど触媒層90の厚さが大きくなるが、抵抗層80から離れて抵抗層80が抵抗されない部分において触媒の厚さはこう配は有しない。
【0031】
図8、及び図9を参照されたい。抵抗層80を除去し、一定の条件の化学気相堆積法により触媒層90の好ましい厚さを決定し、且つ好ましい厚さ線92を確定する。好ましい厚さ線92を確定する方法は第一実施例中での好ましい厚さ線32を確定する方法と同じである。
【0032】
図10、及び図11を参照されたい。触媒パターンを形成し、少なくとも二つの触媒塊は別々に好ましい厚さ線92の両側に位置する。触媒塊94、95は好ましい厚さ線92の一側に位置され、触媒塊93、96は好ましい厚さ線92の他の側に位置される。触媒層90を堆積する際、厚薄の層を組み合わせたステンシルマスクを抵抗層80とすることにより、厚さが所望の触媒パターンを直接に堆積することができる。
【0033】
図12を参照されたい。触媒層90を接着した基板70を空気の雰囲気で300℃でアニールし、触媒層90を酸化されてナノオーダーの触媒酸化91を縮れられる。触媒層90に対して厚さは好ましい厚さより小さい部分に形成された触媒酸化粒子94’、95’の直径がより小さく、厚さは好ましい厚さより大きい部分に形成された触媒酸化粒子93’、96 ’の直径がより大きい。
【0034】
図13を参照されたい。表面に触媒粒子91を形成された基板70を反応炉(図に示さず)に位置され、炭素源ガスのエチレンを導入し、化学気相堆積法で炭素ナノチューブのマトリックスを成長する。該炭素ナノチューブの成長の過程中において、炭素源ガスから分解した水素による触媒酸化粒子93’、94’、95’、96’を触媒粒子93’’、 94’’、95’’、96’’に還元し、次に、触媒粒子93’’、 94’’、95’’、96’’に炭素ナノチューブのマトリックス100、101、102、103を成長する。厚さが前記好ましい厚さより小さい側においては、触媒層94、95に成長された炭素ナノチューブのマトリックス101、102は触媒の厚さを減らす方向へ曲がる。厚さが前記好ましい厚さより大きい側において、触媒層93、96に成長された炭素ナノチューブのマトリックス100、103は触媒の厚さが増加する方向へ曲がる。炭素ナノチューブのマトリックスは全て、前記好ましい厚さ線の位置から離れる方向へ曲がるものである。
【0035】
図14を参照されたい。前記方法による炭素ナノチューブのマトリックス2は基板70、基板70に形成された炭素ナノチューブのマトリックスの100、101、102、103を含み、且つ炭素ナノチューブのマトリックスの100、101、102、103は別々に異なった曲り方向を有する。
【0036】
前記炭素ナノチューブのマトリックス構造及びその製造方法はディスプレイ、ナノエレクトロニクス、強電流電界放出銃など装置の陰極に用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第一実施例中で触媒を堆積する概略模式図である。
【図2】本発明の第一実施例中で抵抗層を除去して好ましい厚さを決定する触媒層の概略斜視図である。
【図3】本発明の第一実施例中での触媒パターンの概略斜視図である。
【図4】本発明の第一実施例中で触媒がアニールされた概略模式図である。
【図5】本発明の第一実施例中で成長された炭素ナノチューブのマトリックスの概略模式図である。
【図6】本発明の第一実施例中での炭素ナノチューブのマトリックス構造の概略斜視図である。
【図7】本発明の第二実施例中で触媒を堆積する概略模式図である。
【図8】本発明の第二実施例中で抵抗層を除去して好ましい厚さを決定する触媒層の概略模式図である。
【図9】本発明の第二実施例中で抵抗層を除去して好ましい厚さを確定する触媒層の概略斜視図である。
【図10】本発明の第二実施例中で形成された触媒パターンの概略斜視図である。
【図11】本発明の第二実施例中での触媒パターンの概略平面図である。
【図12】本発明の第二実施例中で触媒パターンがアニールした概略模式図である。
【図13】本発明の第二実施例中で成長された炭素ナノチューブのマトリックスの概略模式図である。
【図14】本発明の第二実施例中での炭素ナノチューブのマトリックス構造の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1、2 炭素ナノチューブのマトリックス構造
10、70 基板
20、60 触媒蒸発源
30、90 触媒層
31、91 触媒粒子
32、92 好ましい厚さ線
40、80 抵抗層
33、34、93、94、95、96 触媒塊
50、51、100、101、102、103 炭素ナノチューブのマトリックス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、該基板の表面に形成された少なくとも一つの触媒塊、及び該触媒塊に成長された炭素ナノチューブのマトリックスを含み、該触媒塊の厚さは第一端部から第二端部へ漸進的に減少し、該第一端部から該第二端部への範囲中で、ある位置での厚さが好ましい厚さとされ、炭素ナノチューブのマトリックスは該好ましい厚さの位置から離れる方向へ曲がっていることを特徴とする炭素ナノチューブのマトリックス構造。
【請求項2】
前記基板として多孔シリコン、ポリッシュウェハ、ガラス或は金属を選ばれることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造。
【請求項3】
前記触媒として鉄、コバルト、ニッケル或はその合金の一つを選ばれることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造。
【請求項4】
前記好ましい厚さは触媒に対して炭素ナノチューブの成長速度が最も大きいの位置の厚さであることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造。
【請求項5】
下記のステップを含む炭素ナノチューブの製造方法であって、
基板を準備するステップと、
該基板の表面に少なくとも一つの触媒塊を堆積し、ここで、該触媒塊の厚さは第一端部から第二端部へ漸進的に減少し、該第一端部から該第二端部への範囲内において、カーボンナノチューブを成長させるための最適な厚さを有するステップと、
炭化水素ガスを導入し、化学気相堆積法により該触媒塊に炭素ナノチューブのマトリックスの成長し、該炭素ナノチューブのマトリックスは該好ましい厚さの位置から離れる方向へ曲がるステップと、
を含むことを特徴とする炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項6】
前記触媒を空気雰囲気でアニールさせ、触媒塊をナノオーダーの触媒粒子に酸化して収縮することを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項7】
前記触媒として鉄、コバルト、ニッケル或はその合金の一つを選ばれることを特徴とする請求項6、或は7のいずれか一項に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項8】
前記触媒塊は薄い側の端部の厚さが1〜10nmであり、厚い側の端部の厚さが5〜20nmであることを特徴とする請求項5、6或は7のいずれか一項に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項9】
前記基板として多孔シリコン、ポリッシュウェハ、ガラス或は金属が選ばれることを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項10】
前記触媒塊は熱蒸発法、或はビーム蒸発法で前記基板に堆積することを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項11】
前記触媒蒸発源は直線型蒸発源であることを特徴とする請求項10に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項12】
前記触媒蒸発源は点蒸発源であり、触媒塊を堆積する際、点蒸発源と基板との少なくとも一方は他方に対して直線に移動して触媒を該基板に堆積させることを特徴とする請求項10に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項13】
前記触媒蒸発源は固定点蒸発源であり、基板を偏心した軸の回りに回転させて触媒を該基板に堆積させることを特徴とする請求項10に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項14】
前記触媒を堆積する際、一定の厚さの抵抗層を用いて触媒塊を第一端部から第二端部へ漸進的に薄くすることを特徴とする請求項10、11、12或は13のいずれか一項に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項15】
前記触媒を堆積する際、一定の厚さのステンシルマスクを用いて複数の触媒塊を形成して触媒塊を第一端部から第二端部へ漸進的に薄くすることを特徴とする請求項10、11或は12のいずれか一項に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項16】
前記触媒を堆積する際、厚薄の層を組み合わせたステンシル抵抗層を合せて触媒塊を第一端部から第二端部へ漸進的に薄くすることを特徴とする請求項10、11或は12のいずれか一項に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項17】
下記のステップを含む前記好ましい厚さの確定方法であって、
抵抗層を用いてシリコン基板に触媒を堆積し、厚さが漸進的に変化した触媒層を形成されるステップと、
所定の条件下で化学気相堆積法により炭素ナノチューブのマトリックスを成長するステップと、
走査型電子顕微鏡で成長した炭素ナノチューブの最高な位置を観測し、該最高な位置の触媒層の厚さを該予定の条件下での好ましい厚さと決定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項18】
前記触媒塊に触媒パターンを形成することを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項19】
フォトリソグラフィ法により触媒パターンを形成することを特徴とする請求項18に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項1】
基板、該基板の表面に形成された少なくとも一つの触媒塊、及び該触媒塊に成長された炭素ナノチューブのマトリックスを含み、該触媒塊の厚さは第一端部から第二端部へ漸進的に減少し、該第一端部から該第二端部への範囲中で、ある位置での厚さが好ましい厚さとされ、炭素ナノチューブのマトリックスは該好ましい厚さの位置から離れる方向へ曲がっていることを特徴とする炭素ナノチューブのマトリックス構造。
【請求項2】
前記基板として多孔シリコン、ポリッシュウェハ、ガラス或は金属を選ばれることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造。
【請求項3】
前記触媒として鉄、コバルト、ニッケル或はその合金の一つを選ばれることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造。
【請求項4】
前記好ましい厚さは触媒に対して炭素ナノチューブの成長速度が最も大きいの位置の厚さであることを特徴とする請求項1に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造。
【請求項5】
下記のステップを含む炭素ナノチューブの製造方法であって、
基板を準備するステップと、
該基板の表面に少なくとも一つの触媒塊を堆積し、ここで、該触媒塊の厚さは第一端部から第二端部へ漸進的に減少し、該第一端部から該第二端部への範囲内において、カーボンナノチューブを成長させるための最適な厚さを有するステップと、
炭化水素ガスを導入し、化学気相堆積法により該触媒塊に炭素ナノチューブのマトリックスの成長し、該炭素ナノチューブのマトリックスは該好ましい厚さの位置から離れる方向へ曲がるステップと、
を含むことを特徴とする炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項6】
前記触媒を空気雰囲気でアニールさせ、触媒塊をナノオーダーの触媒粒子に酸化して収縮することを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項7】
前記触媒として鉄、コバルト、ニッケル或はその合金の一つを選ばれることを特徴とする請求項6、或は7のいずれか一項に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項8】
前記触媒塊は薄い側の端部の厚さが1〜10nmであり、厚い側の端部の厚さが5〜20nmであることを特徴とする請求項5、6或は7のいずれか一項に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項9】
前記基板として多孔シリコン、ポリッシュウェハ、ガラス或は金属が選ばれることを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項10】
前記触媒塊は熱蒸発法、或はビーム蒸発法で前記基板に堆積することを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項11】
前記触媒蒸発源は直線型蒸発源であることを特徴とする請求項10に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項12】
前記触媒蒸発源は点蒸発源であり、触媒塊を堆積する際、点蒸発源と基板との少なくとも一方は他方に対して直線に移動して触媒を該基板に堆積させることを特徴とする請求項10に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項13】
前記触媒蒸発源は固定点蒸発源であり、基板を偏心した軸の回りに回転させて触媒を該基板に堆積させることを特徴とする請求項10に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項14】
前記触媒を堆積する際、一定の厚さの抵抗層を用いて触媒塊を第一端部から第二端部へ漸進的に薄くすることを特徴とする請求項10、11、12或は13のいずれか一項に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項15】
前記触媒を堆積する際、一定の厚さのステンシルマスクを用いて複数の触媒塊を形成して触媒塊を第一端部から第二端部へ漸進的に薄くすることを特徴とする請求項10、11或は12のいずれか一項に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項16】
前記触媒を堆積する際、厚薄の層を組み合わせたステンシル抵抗層を合せて触媒塊を第一端部から第二端部へ漸進的に薄くすることを特徴とする請求項10、11或は12のいずれか一項に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項17】
下記のステップを含む前記好ましい厚さの確定方法であって、
抵抗層を用いてシリコン基板に触媒を堆積し、厚さが漸進的に変化した触媒層を形成されるステップと、
所定の条件下で化学気相堆積法により炭素ナノチューブのマトリックスを成長するステップと、
走査型電子顕微鏡で成長した炭素ナノチューブの最高な位置を観測し、該最高な位置の触媒層の厚さを該予定の条件下での好ましい厚さと決定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項18】
前記触媒塊に触媒パターンを形成することを特徴とする請求項5に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【請求項19】
フォトリソグラフィ法により触媒パターンを形成することを特徴とする請求項18に記載の炭素ナノチューブのマトリックス構造の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−52122(P2006−52122A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24316(P2005−24316)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【Fターム(参考)】
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