無線通信装置及び通信システム
【課題】 無線通信装置間を中継してネットワークを構築する場合、他の無線通信装置の位置情報を取得するため、データ伝送の帯域等の通信資源や電力を使用していた。
【解決手段】 この発明の無線通信装置は、他の無線通信装置の方向に電波を発射して発射した電波の反射を目標物の情報として取得し、目標物の情報から他の無線通信装置の位置情報を算出するレーダ部110を備え、レーダ部110は算出した他の位置情報をデータ変換部23に渡し、データ変換部23はレーダ部110から渡された他の位置情報を経路設計部21で使用する座標系に変換して、変換したデータを経路設計部21に渡す。
【解決手段】 この発明の無線通信装置は、他の無線通信装置の方向に電波を発射して発射した電波の反射を目標物の情報として取得し、目標物の情報から他の無線通信装置の位置情報を算出するレーダ部110を備え、レーダ部110は算出した他の位置情報をデータ変換部23に渡し、データ変換部23はレーダ部110から渡された他の位置情報を経路設計部21で使用する座標系に変換して、変換したデータを経路設計部21に渡す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、固定基地局を持たず無線通信装置間の中継によりネットワークを構築するアドホックネットワークにおいて、レーダから取得した位置情報を利用して経路設計を行なうものに関する。
【背景技術】
【0002】
移動無線装置から固定基地局を介して通信を行なう場合の最適経路を選択する際に、位置情報を利用する装置として、特開2000−224640号公報に記載された「移動無線装置」があった。
【特許文献1】特開2000−224640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特開2000−224640号公報「移動無線装置」における経路選択は、他の移動無線装置の位置情報を、その移動無線装置から取得して行っていた。ここで、ある移動無線装置が、他の移動体の位置を把握するために、レーダを具備している場合、通信経路設計を行なうための位置情報は、レーダで使用する位置情報とは別個に、他の移動無線装置から取得しており、位置情報取得のために通信資源(データ伝送を行う際に使用するデータ伝送帯域)を消費していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、移動体ネットワークの経路設計に利用する位置情報をレーダで取得し、他の移動無線装置から取得しないことを目的とする。
【発明の効果】
【0005】
この発明の無線通信装置は、他の無線通信装置の位置情報を取得する場合、レーダ部により電波の反射波を受信して他の無線通装置の位置情報を算出する。このため、従来は他の無線通信装置の位置情報を通信帯域(通信資源)を使用して受信していたが、通信資源を使用することなく他の無線通信装置の位置情報を取得することができる効果がある。また、従来は、受信するための電力を消費していたが、電力を節約できる効果がある。また、従来は、他の無線通信装置が位置情報を送信していたため、位置情報を傍受される心配があったが、他の無線装置が位置情報の送信を行わなくても、他の無線装置の位置情報を算出できるので、セキュリティを向上できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
実施の形態1.
この実施の形態では、レーダ部を備えて、他の無線通信装置の位置情報を取得するとともに、他の無線通信装置から他の無線通信装置の位置情報を取得する無線通信装置の一例を説明する。また、無線通信装置及び他の無線通信装置は移動体、例えば、車両や船舶や飛行機に搭載され、移動体間のアドホックネットワークを構築することを想定する。
【0007】
図1は、この実施の形態の無線通信装置の構成を示すブロック図である。図において、移動体1は、発明の一例である無線通信装置2を搭載する。この無線通信装置2は、通信に関係する機能を実行する無線通信部20と、レーダに関する機能を実行するレーダ部110とを備える。無線通信部20は、自己の位置情報と他の無線通信装置の位置情報とを用いてアドホックネットワークの経路設計を行う経路設計部21と、測位信号203を受信するアンテナ27と、アンテナ27が受信した測位信号203を用いて自己の位置情報を算出する自位置情報取得部24と、自位置情報取得部24が算出した自己の位置情報を保持する位置情報保持部22とを備える。また、無線通信部20は、他の無線通信装置から送信された他の無線端末装置の位置情報を受信する他位置情報取得部25と、他の無線端末装置の位置情報の座標系を経路設計部21が使用する座標系に変換するデータ変換部23とを備える。
【0008】
また、図1において、レーダ部110は、電波を発射して発射した電波が他の無線通信装置に反射して返ってきた反射波を受信して、受信した反射波から他の無線通信装置の位置情報を算出する目標情報確認部114と、目標情報確認部114が算出した他の無線通信装置の位置情報を保持する目標情報保持部112を備える。また、レーダ部110は、目標情報保持部112が保持している他の無線端末装置の位置情報に基づいて他の無線端末装置の位置をレーダに表示するレーダ指示器とを備える。また、目標情報確認部114が算出した他の無線端末装置の位置情報は、他位置情報取得部25を介してデータ変換部23に渡されて経路設計部21で使用する座標系のデータに変換されて、位置情報保持部22に保持される。
【0009】
また、図1のD1〜D4はそれぞれデータの流れを示す。自位置情報取得部24は、算出した自己の位置情報D1を他の無線通信装置に送信する。また、他位置情報取得部25は、他の無線通信装置から送信された他の無線通信装置の位置情報D2を受信する。目標情報確認部114は他の無線通信装置に反射して返ってきた反射波である目標物の情報D3を受信する。ここでは、他の無線通信装置は車両に搭載されているので、この場合の反射波は車両に反射して返ってきたものである。また、目標情報確認部114からは、目標情報確認部114が算出した他の無線端末装置の位置情報D4が他位置情報取得部25に対して送信される。なお、本発明は無線通信装置の経路設計に関するものであるので、図1中で、無線データ送受信のための変復調機等は省略されている。
【0010】
図1の無線通信装置2は、無線通信部20とレーダ部110とを備えて一体化しているが、無線通信部20とレーダ部110とは別々の装置であってもかまわない。ただし別々の装置にする場合は、レーダ部110から無線通信部20へ他の無線通信装置の位置情報D4を送信するため、有線或いは無線によって他の無線通信装置の位置情報D4を送信、受信することができるようにする。また、アドホックネットワークを構成しようとする無線通信装置を搭載した車両が複数ある場合、少なくとも一台の車両はレーダ部110を備える無線通信装置を搭載し、残りの車両はレーダ部110を備えず、無線通信部20のみを備える無線通信装置を搭載する。以下の説明では、レーダ部110を搭載している移動体は移動体1rとし、レーダ部110を備えていない移動体は移動体1sと呼ぶ。本発明の無線通信装置は、レーダからの情報を必要とするので、実施はレーダを搭載している移動体1r上に限られる。アドホックネットワークを構成する他の移動体は、レーダを搭載している必要がないので、一般的に移動体1sでかまわない。
【0011】
次に、経路設計の対象となるネットワークのモデルについて説明する。図2は、3個の移動体でネットワークを形成している通信システムの様子を模式的に示した図である。図2において、通信システムは、1つの移動体1rと、2つの移動体1sとを備えている。移動体1rにはレーダ部110が搭載されており、2個の移動体1sにはレーダが搭載されていない。このため、移動体1rにおいて、レーダ部110が算出した他の無線通信装置の位置情報を用いて、3個の移動体間のネットワーク構築を行なう。なお、ネットワークの構成要素としての機能を強調するときは、移動体1,1s,1rをノード、移動体1,1r,1s間の接続をリンクと呼ぶ。
【0012】
次に、図1〜図3とを用いて、無線通信部20が経路設計を行なう際に、自及び他の無線通信装置の位置情報を取得する手順について述べる。図3は、この実施の形態の自ノード及び他ノードの位置情報を取得する手順を示すフローチャート図である。無線通信部20が経路設計部21にて経路設計を行なう際、ネットワーク内の各ノードの位置情報を利用すると効率的に経路設計を行なうことが可能である。自ノードの位置は、GPS (Global Positioning System)を利用したり、準天頂衛星からの測位信号を利用して、容易に取得可能である。例えば、図1では、準天頂衛星201やGPS衛星202とから構成される衛星群200から送信された測位信号203を、アンテナ27によって受信する。自位置情報取得部24はアンテナ27が受信した測位信号203を用いて自ノードの位置情報を取得(算出)する(S10)。取得(算出)した自ノード位置情報は、必要ならば、他ノードに送信する(図1のD1)。
【0013】
一方、ネットワーク内の他ノードの位置情報は、他ノードから何らかの方法で取得する必要がある。図1の他位置情報取得部25は、必要ならば、他ノードが送信した位置情報を受信する((D2),S12)。ここでいう「必要ならば」とは、目標情報確認部114により他ノードの位置情報を受信して、目標情報確認部114から他位置情報取得部25に対して他ノードの位置情報が渡される場合は不要であるものと考え、例えばレーダ部110に何らかの障害が発生して目標情報確認部114で他ノードの位置情報を算出できなかったり、他ノードの位置情報は算出したが、他位置情報取得部25へ渡すことが出来ない場合には、必要であるものと考える。他位置情報取得部25が受信した位置情報は、データ変換部23を経て、位置情報保持部22に保持し(S14)、経路設計部21が経路設計を行なう際に使用する。図4は、他ノードの位置情報D2をネットワーク経由で移動体1sに搭載された無線通信装置から移動体1rに搭載された無線通信装置へ送信する場合の通信システムの様子を示す模式図である。通信システムは、1つの移動体1rと、2つの移動体1sとを備える。
【0014】
ここで、移動体1rが搭載するノード(無線通信装置)がレーダ部110を備えている場合、レーダ部110では他ノードの位置を検出している。レーダ部110は電波を発射し、その反射波である目標物の情報(D3)を目標情報確認部114により受信することで他ノードの位置情報(D4)を算出する(S12)。算出した他ノードの位置情報(D4)は、目標情報保持部112に保持するとともに、レーダ指示器111に表示する。図1では、電波の発射機能は省略されている。無線通信装置2では、レーダ部110が目標情報保持部112に保持している他ノードの位置情報を利用する、すなわち、他位置情報取得部25に渡すことができれば、他位置情報取得部25が他ノードから位置情報を受信(D2)する必要がない。このことは、通信資源・電力を節約することができるとともに、セキュリティを向上できる。図4では、移動体1rの無線通信装置2は、他ノードの移動体1sから、位置情報D2、およびレーダの目標物の情報D3を受信しているが、図2では、他位置情報取得部25は、位置情報D2を受信せずに、レーダ部110から他ノードの位置情報D4の転送を受けている。これにより、図2の移動体1rおよび1sでは位置情報D2送受信のための処理、通信資源、電力を節約することができるとともに、移動体1sでは不要の情報発信を抑制してセキュリティの向上を図ることができる。
【0015】
次に、無線通信部20がレーダ部110から取得した他ノードの位置情報D4を経路設計部21で使用可能なデータ形式にデータ変換するデータ変換部23について説明する。はじめに、経路設計部21の使用する座標について説明する。図5は、ネットワーク内のノード位置を指定するために無線通信装置2で使用するネットワークモデルを示す図である。図5において、直交座標系120は、経路設計部21が使用する座標系である。図5ではX軸が下方向、Y軸が右方向を向き、図面上、上が北102、右が東103に対応する。X軸,Y軸のそれぞれの1目盛は1kmである。ノード位置は107a,107b,108で示す。図5では、ノード1であるノード108、ノード2であるノード107a、ノード3であるノード107bの3個のノードがある場合を示す。距離104はノード108がある原点からノード107aまでの距離を示す。角度105(方位105)は、北102、すなわちX軸のマイナス方向からノード107aまでの角度(方位)を示す。
【0016】
図6は、レーダ部110で使用する極座標系を示す。すなわち、目標情報確認部114が算出する他ノードの位置情報(D4)は、極座標系に基づくものである。図6において、極座標系100は、天頂101、北102、東103とを有する。目標であるノード107aは原点にあるノード108からの距離104、北102からの方位(角度)105、および仰角106で示す。図7は、レーダ指示器111の表示例を示す。図7に示す目標であるノード107aは、図6と同じように原点にあるノード108からの距離104、北102からの方位(角度)105、および仰角106で示す。上記したノード108は、図2,図4の移動体1rであり、ノード107aとノード107bは、図2,図4の2つの移動体1sにそれぞれ対応する。
【0017】
図8は、図5のノード108、ノード107a、ノード107bのそれぞれの位置を、図5の直交座標系120で表した場合の表である。図8から、ノード108、ノード107a、ノード107bはそれぞれ、座標(X,Y)が(0,0)、(−2,3.4)、(3,3)にあることがわかる。図9は、図5のノード108、ノード107a、ノード107bのそれぞれの位置を、図6の極座標系100で表した場合の表である。図9から、ノード108、ノード107a、ノード107bはそれぞれ、(距離104,方位105(度),仰角106(度))が、(0,0,0)、(4,60,0)、(3×√2,135,0)の位置にあることがわかる。図10は、図5のノード108、ノード107a、ノード107bのそれぞれの位置を、緯度123および経度124で表した場合の表である。但し、ノード108が北緯35度21分0秒、東経139度32分0秒にあるものとする。図10から、ノード108、ノード107a、ノード107bはそれぞれ、(北緯(緯度)123,東経(経度)124)が、(35°21′0″, 139°32′0″)、(35°22′0″, 139°34′36″)、(35°19′30″, 139°34′15″)にあることがわかる。
【0018】
次に、無線通信装置2がレーダ部110から取得した他ノードの位置情報D4を経路設計部21で使用する座標系のデータに変換するデータ変換部23の動作を説明する。レーダ部110で受信する目標物の情報D3は図6で示す極座標系100に基づくものであって、図6および図9に示すように、受信点であるノード108がいる点からの距離104(Rとおく)、北からの方位105(θとおく)、仰角106(Aとおく)で表される。図1のデータ変換部23で行なわれる、図5のノード108、ノード107a、ノード107bの図9の(R,θ,A)から図8の(X,Y)への変換は、すなわち、極座標系に基づくデータから直交座標系に基づくデータへの変換は、「X=−RcosAcosθ、Y= RcosAsinθ」で表される。
【0019】
また、無線通信装置2が他ノードから取得した他ノード位置情報D2が、図10に示す経緯度(北緯,東経)の場合、図1のデータ変換部23で行なわれる図8の(X,Y)への変換は、すなわち、緯度経度によって表された位置情報の直交座標系に基づくデータへの変換は、以下の通りである。「X=−2×緯度差(分)、またはX=−1/30×緯度差(秒)」、「Y=3/4×経度差(分)、またはY=1/45×経度差(秒)」である。但し1度(°)=60分(′)、1分(′)=60秒(″)である。
【0020】
なお、上記の説明では、全てのノードは、移動する車両、例えば移動体1であるとした、或いは、車両に搭載された無線通信装置であるとしたが、これは、本発明の装置及びシステムが、移動により位置が変化する場合でも経路設計が可能であるという意味であり、ノードが移動しない場合でも有効である。すなわち、無線通信装置およびレーダを具備した、移動しない建造物においても利用可能である。
【0021】
また、自位置情報取得部24が算出した位置情報は、データ変換部23によって経路設計部21で使用する座標系に変換されていない。これは、図示していないが自位置情報取得部24がデータ変換部23と同様の機能を有しているためであり、内部にデータ変換部を備えている。あるいは、自己の位置情報は、経路設計部21が使用する座標系と同じ座標系に基づいて算出されるためである。または、自位置情報取得部24が算出した自己の位置情報をデータ変換部23で変換して、その変換した自己の位置情報を経路設計部21に渡すようにしてもかまわない。
【0022】
上記した無線通信部20は、図11のハードウェア構成を備える計算機システムにより実現される。図11において、計算機システムは、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)137を備えている。CPU137は、バス138を介してROM139、RAM140、通信ボード144、CRT表示装置141、K/B142、マウス143、FDD(Flexible Disk Drive)145、磁気ディスク装置146、CDD186、プリンタ装置187、スキャナ装置188と接続されている。RAMは、揮発性メモリの一例である。ROM、FDD、CDD、磁気ディスク装置、光ディスク装置は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。通信ボード144は、ファクシミリ310、電話器320等に接続されている。例えば、通信ボード144、K/B142、FDD145などは、情報入力部の一例である。また、例えば、通信ボード144、スキャナ装置188、CRT表示装置141などは、出力部の一例である。
【0023】
磁気ディスク装置146には、オペレーティングシステム(OS)147、ウィンドウシステム148、プログラム群149、ファイル群150が記憶されている。プログラム群は、CPU137、OS147、ウィンドウシステム148により実行される。
【0024】
上記プログラム群149には、無線通信装置2の説明において「〜部」として説明した機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPUにより読み出され実行される。ファイル群150には、上記した実施の形態の説明において、「〜記憶部」、「〜情報」、「〜判定結果」、[〜保持部]として説明するものが、「〜ファイル」として記憶されている。
【0025】
また、上記した実施の形態の説明において「〜部」として説明したものは、ROM39に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、ハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
【0026】
また、上記した実施の形態を実施するプログラムは、また、磁気ディスク装置、FD(Flexible Disk)、光ディスク、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(Digital Versatile Disk)等のその他の記録媒体による記録装置を用いて記憶されても構わない。
【0027】
以上のように、この実施の形態の無線通信装置、および、通信システムは、他の無線通信装置の位置情報(D2)を受信することなく、レーダ部が反射波を受信して他の無線通信装置の位置情報を算出するので、通信資源・電力を節約できる効果がある。また、他の無線通信装置は自己の位置情報を送信しなくてもいいので、自己の位置が部外者に傍受されることを防ぐことができ、セキュリティを向上できる効果がある。
【0028】
この実施の形態1では、レーダ部を具備した無線通信装置が、経路設計部により通信経路の設計を行なう際に、レーダ部で取得した位置情報を利用して、アドホックネットワークの経路設計を行なうことについて一例を説明した。また、レーダ部で取得した位置情報を利用する際に、データ変換を行なうことについて一例を説明した。
【0029】
実施の形態2.
この実施の形態では、他位置情報取得部25を備えない無線通信装置の一例を説明する。
【0030】
図12は、この実施の形態の経路設計装置の構成を示すブロック図である。図12の無線通信装置2と図1の無線通信装置2との違いは、図12の無線通信部20が他位置情報取得部25とデータ変換部23と位置情報保持部22を備えていない点である。上記した以外の構成要素は図1と同様であり、図1の要素と同じ動作を行う。
【0031】
他位置情報取得部25を備えていないということは、レーダ部110が目標物の情報D3を必ず入力するということである。また、データ変換部23を備えていないのは、レーダ部110が目標物の情報D3から算出する他無線通信装置の座標系が、経路設計部21で使用する座標系と同じであるためである。あるいは、経路設計部21がデータ変換部を備えていてもかまわない。また、位置情報保持部22を備えていないのは、自位置情報取得部24は算出した自己の位置情報がファイルに格納されること無く、経路設計部21に渡されるためである。経路設計部21が位置情報保持部22を備えて、自位置情報取得部24から渡された自己の位置情報を保持するようにしてもかまわない。また、レーダ部110は、算出した他の無線通信装置の位置情報D4をファイルに格納することなく、経路設計部21に渡すためである。経路設計部21が位置情報保持部22を備えて、レーダ部110から渡された他の無線通信装置の位置情報を保持するようにしてもかまわない。
【0032】
このように、無線通信装置2を構成する部品点数を少なくしても、経路設計部がアドホックネットワークを構築する際に使用する位置情報を提供することができる。無線通信装置を構成する部品点数を少なくすることにより、無線通信装置を安価に製造できる効果がある。
【0033】
実施の形態3.
この実施の形態では、他位置情報取得部25を備えない無線通信装置の一例を説明する。
【0034】
図13は、この実施の形態の経路設計装置の構成を示すブロック図である。図13の無線通信装置2と図1の無線通信装置2との違いは、図13の無線通信部20が他位置情報取得部25と位置情報保持部22を備えていない点である。上記した以外の構成要素は図1と同様であり、図1の要素と同じ動作を行う。
【0035】
他位置情報取得部25を備えていないということは、レーダ部110が目標物の情報D3を必ず入力するということである。また、位置情報保持部22を備えていないのは、自位置情報取得部24は算出した自己の位置情報がファイルに格納されること無く、経路設計部21に渡されるためである。経路設計部21が位置情報保持部22を備えて、自位置情報取得部24から渡された自己の位置情報を保持するようにしてもかまわない。また、レーダ部110は、算出した他の無線通信装置の位置情報D4をファイルに格納することなく、経路設計部21に渡すためである。経路設計部21が位置情報保持部22を備えて、レーダ部110から渡された他の無線通信装置の位置情報を保持するようにしてもかまわない。
【0036】
このように、無線通信装置2を構成する部品点数を少なくしても、経路設計部がアドホックネットワークを構築する際に使用する位置情報を提供することができる。無線通信装置を構成する部品点数を少なくすることにより、無線通信装置を安価に製造できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施の形態1の無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】3個の移動体でネットワークを形成している様子を模式的に示す図である。
【図3】実施の形態1の自ノード及び他ノードの位置情報を取得する手順を示すフローチャート図である。
【図4】他ノードの位置情報をネットワーク経由で送信した場合の様子を示す模式図である。
【図5】ネットワーク内のノード位置を指定するために無線通信装置で使用するネットワークモデル、および直交座標系を示す図である。
【図6】レーダで使用する極座標系を示す図である。
【図7】レーダ指示器の表示を示す図である。
【図8】図3のノード1、2、3の位置を、図3の直交座標系で表した場合の表である。
【図9】図3のノード1、2、3の位置を、図4の極座標系で表した場合の表である。
【図10】図3のノード1、2、3の位置を、緯度および経度で表した場合の表である。
【図11】無線通信部を実現する計算機システムのハードウェア構成図である。
【図12】実施の形態2の経路設計装置の構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態3の経路設計装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0038】
1,1r,1s 移動体、2 無線通信装置、20 無線通信部、21 経路設計部、22 位置情報保持部、23 データ変換部、24 自位置情報取得部、25 他位置情報取得部、27 アンテナ、100 極座標系、101 天頂、102 北、103 東、104 距離、105 方位、106 仰角、107a,107b,108 ノード、110 レーダ部、111 レーダ指示器、112 目標情報保持部、114 目標情報確認部、123 緯度、124 経度、137 CPU、138 バス、139 ROM、140 RAM、141 CRT表示装置、142 K/B、143 マウス、144 通信ボード、145 FDD、146 磁気ディスク装置、147 OS、148 ウィンドウシステム、149 プログラム群、150 ファイル群、186 CDD、187 プリンタ装置、188 スキャナ装置、200 衛星群、201 準天頂衛星、202 GPS衛星、203 測位信号、310 ファクシミリ、320 電話器。
【技術分野】
【0001】
この発明は、固定基地局を持たず無線通信装置間の中継によりネットワークを構築するアドホックネットワークにおいて、レーダから取得した位置情報を利用して経路設計を行なうものに関する。
【背景技術】
【0002】
移動無線装置から固定基地局を介して通信を行なう場合の最適経路を選択する際に、位置情報を利用する装置として、特開2000−224640号公報に記載された「移動無線装置」があった。
【特許文献1】特開2000−224640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特開2000−224640号公報「移動無線装置」における経路選択は、他の移動無線装置の位置情報を、その移動無線装置から取得して行っていた。ここで、ある移動無線装置が、他の移動体の位置を把握するために、レーダを具備している場合、通信経路設計を行なうための位置情報は、レーダで使用する位置情報とは別個に、他の移動無線装置から取得しており、位置情報取得のために通信資源(データ伝送を行う際に使用するデータ伝送帯域)を消費していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、移動体ネットワークの経路設計に利用する位置情報をレーダで取得し、他の移動無線装置から取得しないことを目的とする。
【発明の効果】
【0005】
この発明の無線通信装置は、他の無線通信装置の位置情報を取得する場合、レーダ部により電波の反射波を受信して他の無線通装置の位置情報を算出する。このため、従来は他の無線通信装置の位置情報を通信帯域(通信資源)を使用して受信していたが、通信資源を使用することなく他の無線通信装置の位置情報を取得することができる効果がある。また、従来は、受信するための電力を消費していたが、電力を節約できる効果がある。また、従来は、他の無線通信装置が位置情報を送信していたため、位置情報を傍受される心配があったが、他の無線装置が位置情報の送信を行わなくても、他の無線装置の位置情報を算出できるので、セキュリティを向上できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
実施の形態1.
この実施の形態では、レーダ部を備えて、他の無線通信装置の位置情報を取得するとともに、他の無線通信装置から他の無線通信装置の位置情報を取得する無線通信装置の一例を説明する。また、無線通信装置及び他の無線通信装置は移動体、例えば、車両や船舶や飛行機に搭載され、移動体間のアドホックネットワークを構築することを想定する。
【0007】
図1は、この実施の形態の無線通信装置の構成を示すブロック図である。図において、移動体1は、発明の一例である無線通信装置2を搭載する。この無線通信装置2は、通信に関係する機能を実行する無線通信部20と、レーダに関する機能を実行するレーダ部110とを備える。無線通信部20は、自己の位置情報と他の無線通信装置の位置情報とを用いてアドホックネットワークの経路設計を行う経路設計部21と、測位信号203を受信するアンテナ27と、アンテナ27が受信した測位信号203を用いて自己の位置情報を算出する自位置情報取得部24と、自位置情報取得部24が算出した自己の位置情報を保持する位置情報保持部22とを備える。また、無線通信部20は、他の無線通信装置から送信された他の無線端末装置の位置情報を受信する他位置情報取得部25と、他の無線端末装置の位置情報の座標系を経路設計部21が使用する座標系に変換するデータ変換部23とを備える。
【0008】
また、図1において、レーダ部110は、電波を発射して発射した電波が他の無線通信装置に反射して返ってきた反射波を受信して、受信した反射波から他の無線通信装置の位置情報を算出する目標情報確認部114と、目標情報確認部114が算出した他の無線通信装置の位置情報を保持する目標情報保持部112を備える。また、レーダ部110は、目標情報保持部112が保持している他の無線端末装置の位置情報に基づいて他の無線端末装置の位置をレーダに表示するレーダ指示器とを備える。また、目標情報確認部114が算出した他の無線端末装置の位置情報は、他位置情報取得部25を介してデータ変換部23に渡されて経路設計部21で使用する座標系のデータに変換されて、位置情報保持部22に保持される。
【0009】
また、図1のD1〜D4はそれぞれデータの流れを示す。自位置情報取得部24は、算出した自己の位置情報D1を他の無線通信装置に送信する。また、他位置情報取得部25は、他の無線通信装置から送信された他の無線通信装置の位置情報D2を受信する。目標情報確認部114は他の無線通信装置に反射して返ってきた反射波である目標物の情報D3を受信する。ここでは、他の無線通信装置は車両に搭載されているので、この場合の反射波は車両に反射して返ってきたものである。また、目標情報確認部114からは、目標情報確認部114が算出した他の無線端末装置の位置情報D4が他位置情報取得部25に対して送信される。なお、本発明は無線通信装置の経路設計に関するものであるので、図1中で、無線データ送受信のための変復調機等は省略されている。
【0010】
図1の無線通信装置2は、無線通信部20とレーダ部110とを備えて一体化しているが、無線通信部20とレーダ部110とは別々の装置であってもかまわない。ただし別々の装置にする場合は、レーダ部110から無線通信部20へ他の無線通信装置の位置情報D4を送信するため、有線或いは無線によって他の無線通信装置の位置情報D4を送信、受信することができるようにする。また、アドホックネットワークを構成しようとする無線通信装置を搭載した車両が複数ある場合、少なくとも一台の車両はレーダ部110を備える無線通信装置を搭載し、残りの車両はレーダ部110を備えず、無線通信部20のみを備える無線通信装置を搭載する。以下の説明では、レーダ部110を搭載している移動体は移動体1rとし、レーダ部110を備えていない移動体は移動体1sと呼ぶ。本発明の無線通信装置は、レーダからの情報を必要とするので、実施はレーダを搭載している移動体1r上に限られる。アドホックネットワークを構成する他の移動体は、レーダを搭載している必要がないので、一般的に移動体1sでかまわない。
【0011】
次に、経路設計の対象となるネットワークのモデルについて説明する。図2は、3個の移動体でネットワークを形成している通信システムの様子を模式的に示した図である。図2において、通信システムは、1つの移動体1rと、2つの移動体1sとを備えている。移動体1rにはレーダ部110が搭載されており、2個の移動体1sにはレーダが搭載されていない。このため、移動体1rにおいて、レーダ部110が算出した他の無線通信装置の位置情報を用いて、3個の移動体間のネットワーク構築を行なう。なお、ネットワークの構成要素としての機能を強調するときは、移動体1,1s,1rをノード、移動体1,1r,1s間の接続をリンクと呼ぶ。
【0012】
次に、図1〜図3とを用いて、無線通信部20が経路設計を行なう際に、自及び他の無線通信装置の位置情報を取得する手順について述べる。図3は、この実施の形態の自ノード及び他ノードの位置情報を取得する手順を示すフローチャート図である。無線通信部20が経路設計部21にて経路設計を行なう際、ネットワーク内の各ノードの位置情報を利用すると効率的に経路設計を行なうことが可能である。自ノードの位置は、GPS (Global Positioning System)を利用したり、準天頂衛星からの測位信号を利用して、容易に取得可能である。例えば、図1では、準天頂衛星201やGPS衛星202とから構成される衛星群200から送信された測位信号203を、アンテナ27によって受信する。自位置情報取得部24はアンテナ27が受信した測位信号203を用いて自ノードの位置情報を取得(算出)する(S10)。取得(算出)した自ノード位置情報は、必要ならば、他ノードに送信する(図1のD1)。
【0013】
一方、ネットワーク内の他ノードの位置情報は、他ノードから何らかの方法で取得する必要がある。図1の他位置情報取得部25は、必要ならば、他ノードが送信した位置情報を受信する((D2),S12)。ここでいう「必要ならば」とは、目標情報確認部114により他ノードの位置情報を受信して、目標情報確認部114から他位置情報取得部25に対して他ノードの位置情報が渡される場合は不要であるものと考え、例えばレーダ部110に何らかの障害が発生して目標情報確認部114で他ノードの位置情報を算出できなかったり、他ノードの位置情報は算出したが、他位置情報取得部25へ渡すことが出来ない場合には、必要であるものと考える。他位置情報取得部25が受信した位置情報は、データ変換部23を経て、位置情報保持部22に保持し(S14)、経路設計部21が経路設計を行なう際に使用する。図4は、他ノードの位置情報D2をネットワーク経由で移動体1sに搭載された無線通信装置から移動体1rに搭載された無線通信装置へ送信する場合の通信システムの様子を示す模式図である。通信システムは、1つの移動体1rと、2つの移動体1sとを備える。
【0014】
ここで、移動体1rが搭載するノード(無線通信装置)がレーダ部110を備えている場合、レーダ部110では他ノードの位置を検出している。レーダ部110は電波を発射し、その反射波である目標物の情報(D3)を目標情報確認部114により受信することで他ノードの位置情報(D4)を算出する(S12)。算出した他ノードの位置情報(D4)は、目標情報保持部112に保持するとともに、レーダ指示器111に表示する。図1では、電波の発射機能は省略されている。無線通信装置2では、レーダ部110が目標情報保持部112に保持している他ノードの位置情報を利用する、すなわち、他位置情報取得部25に渡すことができれば、他位置情報取得部25が他ノードから位置情報を受信(D2)する必要がない。このことは、通信資源・電力を節約することができるとともに、セキュリティを向上できる。図4では、移動体1rの無線通信装置2は、他ノードの移動体1sから、位置情報D2、およびレーダの目標物の情報D3を受信しているが、図2では、他位置情報取得部25は、位置情報D2を受信せずに、レーダ部110から他ノードの位置情報D4の転送を受けている。これにより、図2の移動体1rおよび1sでは位置情報D2送受信のための処理、通信資源、電力を節約することができるとともに、移動体1sでは不要の情報発信を抑制してセキュリティの向上を図ることができる。
【0015】
次に、無線通信部20がレーダ部110から取得した他ノードの位置情報D4を経路設計部21で使用可能なデータ形式にデータ変換するデータ変換部23について説明する。はじめに、経路設計部21の使用する座標について説明する。図5は、ネットワーク内のノード位置を指定するために無線通信装置2で使用するネットワークモデルを示す図である。図5において、直交座標系120は、経路設計部21が使用する座標系である。図5ではX軸が下方向、Y軸が右方向を向き、図面上、上が北102、右が東103に対応する。X軸,Y軸のそれぞれの1目盛は1kmである。ノード位置は107a,107b,108で示す。図5では、ノード1であるノード108、ノード2であるノード107a、ノード3であるノード107bの3個のノードがある場合を示す。距離104はノード108がある原点からノード107aまでの距離を示す。角度105(方位105)は、北102、すなわちX軸のマイナス方向からノード107aまでの角度(方位)を示す。
【0016】
図6は、レーダ部110で使用する極座標系を示す。すなわち、目標情報確認部114が算出する他ノードの位置情報(D4)は、極座標系に基づくものである。図6において、極座標系100は、天頂101、北102、東103とを有する。目標であるノード107aは原点にあるノード108からの距離104、北102からの方位(角度)105、および仰角106で示す。図7は、レーダ指示器111の表示例を示す。図7に示す目標であるノード107aは、図6と同じように原点にあるノード108からの距離104、北102からの方位(角度)105、および仰角106で示す。上記したノード108は、図2,図4の移動体1rであり、ノード107aとノード107bは、図2,図4の2つの移動体1sにそれぞれ対応する。
【0017】
図8は、図5のノード108、ノード107a、ノード107bのそれぞれの位置を、図5の直交座標系120で表した場合の表である。図8から、ノード108、ノード107a、ノード107bはそれぞれ、座標(X,Y)が(0,0)、(−2,3.4)、(3,3)にあることがわかる。図9は、図5のノード108、ノード107a、ノード107bのそれぞれの位置を、図6の極座標系100で表した場合の表である。図9から、ノード108、ノード107a、ノード107bはそれぞれ、(距離104,方位105(度),仰角106(度))が、(0,0,0)、(4,60,0)、(3×√2,135,0)の位置にあることがわかる。図10は、図5のノード108、ノード107a、ノード107bのそれぞれの位置を、緯度123および経度124で表した場合の表である。但し、ノード108が北緯35度21分0秒、東経139度32分0秒にあるものとする。図10から、ノード108、ノード107a、ノード107bはそれぞれ、(北緯(緯度)123,東経(経度)124)が、(35°21′0″, 139°32′0″)、(35°22′0″, 139°34′36″)、(35°19′30″, 139°34′15″)にあることがわかる。
【0018】
次に、無線通信装置2がレーダ部110から取得した他ノードの位置情報D4を経路設計部21で使用する座標系のデータに変換するデータ変換部23の動作を説明する。レーダ部110で受信する目標物の情報D3は図6で示す極座標系100に基づくものであって、図6および図9に示すように、受信点であるノード108がいる点からの距離104(Rとおく)、北からの方位105(θとおく)、仰角106(Aとおく)で表される。図1のデータ変換部23で行なわれる、図5のノード108、ノード107a、ノード107bの図9の(R,θ,A)から図8の(X,Y)への変換は、すなわち、極座標系に基づくデータから直交座標系に基づくデータへの変換は、「X=−RcosAcosθ、Y= RcosAsinθ」で表される。
【0019】
また、無線通信装置2が他ノードから取得した他ノード位置情報D2が、図10に示す経緯度(北緯,東経)の場合、図1のデータ変換部23で行なわれる図8の(X,Y)への変換は、すなわち、緯度経度によって表された位置情報の直交座標系に基づくデータへの変換は、以下の通りである。「X=−2×緯度差(分)、またはX=−1/30×緯度差(秒)」、「Y=3/4×経度差(分)、またはY=1/45×経度差(秒)」である。但し1度(°)=60分(′)、1分(′)=60秒(″)である。
【0020】
なお、上記の説明では、全てのノードは、移動する車両、例えば移動体1であるとした、或いは、車両に搭載された無線通信装置であるとしたが、これは、本発明の装置及びシステムが、移動により位置が変化する場合でも経路設計が可能であるという意味であり、ノードが移動しない場合でも有効である。すなわち、無線通信装置およびレーダを具備した、移動しない建造物においても利用可能である。
【0021】
また、自位置情報取得部24が算出した位置情報は、データ変換部23によって経路設計部21で使用する座標系に変換されていない。これは、図示していないが自位置情報取得部24がデータ変換部23と同様の機能を有しているためであり、内部にデータ変換部を備えている。あるいは、自己の位置情報は、経路設計部21が使用する座標系と同じ座標系に基づいて算出されるためである。または、自位置情報取得部24が算出した自己の位置情報をデータ変換部23で変換して、その変換した自己の位置情報を経路設計部21に渡すようにしてもかまわない。
【0022】
上記した無線通信部20は、図11のハードウェア構成を備える計算機システムにより実現される。図11において、計算機システムは、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)137を備えている。CPU137は、バス138を介してROM139、RAM140、通信ボード144、CRT表示装置141、K/B142、マウス143、FDD(Flexible Disk Drive)145、磁気ディスク装置146、CDD186、プリンタ装置187、スキャナ装置188と接続されている。RAMは、揮発性メモリの一例である。ROM、FDD、CDD、磁気ディスク装置、光ディスク装置は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。通信ボード144は、ファクシミリ310、電話器320等に接続されている。例えば、通信ボード144、K/B142、FDD145などは、情報入力部の一例である。また、例えば、通信ボード144、スキャナ装置188、CRT表示装置141などは、出力部の一例である。
【0023】
磁気ディスク装置146には、オペレーティングシステム(OS)147、ウィンドウシステム148、プログラム群149、ファイル群150が記憶されている。プログラム群は、CPU137、OS147、ウィンドウシステム148により実行される。
【0024】
上記プログラム群149には、無線通信装置2の説明において「〜部」として説明した機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPUにより読み出され実行される。ファイル群150には、上記した実施の形態の説明において、「〜記憶部」、「〜情報」、「〜判定結果」、[〜保持部]として説明するものが、「〜ファイル」として記憶されている。
【0025】
また、上記した実施の形態の説明において「〜部」として説明したものは、ROM39に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、ハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
【0026】
また、上記した実施の形態を実施するプログラムは、また、磁気ディスク装置、FD(Flexible Disk)、光ディスク、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(Digital Versatile Disk)等のその他の記録媒体による記録装置を用いて記憶されても構わない。
【0027】
以上のように、この実施の形態の無線通信装置、および、通信システムは、他の無線通信装置の位置情報(D2)を受信することなく、レーダ部が反射波を受信して他の無線通信装置の位置情報を算出するので、通信資源・電力を節約できる効果がある。また、他の無線通信装置は自己の位置情報を送信しなくてもいいので、自己の位置が部外者に傍受されることを防ぐことができ、セキュリティを向上できる効果がある。
【0028】
この実施の形態1では、レーダ部を具備した無線通信装置が、経路設計部により通信経路の設計を行なう際に、レーダ部で取得した位置情報を利用して、アドホックネットワークの経路設計を行なうことについて一例を説明した。また、レーダ部で取得した位置情報を利用する際に、データ変換を行なうことについて一例を説明した。
【0029】
実施の形態2.
この実施の形態では、他位置情報取得部25を備えない無線通信装置の一例を説明する。
【0030】
図12は、この実施の形態の経路設計装置の構成を示すブロック図である。図12の無線通信装置2と図1の無線通信装置2との違いは、図12の無線通信部20が他位置情報取得部25とデータ変換部23と位置情報保持部22を備えていない点である。上記した以外の構成要素は図1と同様であり、図1の要素と同じ動作を行う。
【0031】
他位置情報取得部25を備えていないということは、レーダ部110が目標物の情報D3を必ず入力するということである。また、データ変換部23を備えていないのは、レーダ部110が目標物の情報D3から算出する他無線通信装置の座標系が、経路設計部21で使用する座標系と同じであるためである。あるいは、経路設計部21がデータ変換部を備えていてもかまわない。また、位置情報保持部22を備えていないのは、自位置情報取得部24は算出した自己の位置情報がファイルに格納されること無く、経路設計部21に渡されるためである。経路設計部21が位置情報保持部22を備えて、自位置情報取得部24から渡された自己の位置情報を保持するようにしてもかまわない。また、レーダ部110は、算出した他の無線通信装置の位置情報D4をファイルに格納することなく、経路設計部21に渡すためである。経路設計部21が位置情報保持部22を備えて、レーダ部110から渡された他の無線通信装置の位置情報を保持するようにしてもかまわない。
【0032】
このように、無線通信装置2を構成する部品点数を少なくしても、経路設計部がアドホックネットワークを構築する際に使用する位置情報を提供することができる。無線通信装置を構成する部品点数を少なくすることにより、無線通信装置を安価に製造できる効果がある。
【0033】
実施の形態3.
この実施の形態では、他位置情報取得部25を備えない無線通信装置の一例を説明する。
【0034】
図13は、この実施の形態の経路設計装置の構成を示すブロック図である。図13の無線通信装置2と図1の無線通信装置2との違いは、図13の無線通信部20が他位置情報取得部25と位置情報保持部22を備えていない点である。上記した以外の構成要素は図1と同様であり、図1の要素と同じ動作を行う。
【0035】
他位置情報取得部25を備えていないということは、レーダ部110が目標物の情報D3を必ず入力するということである。また、位置情報保持部22を備えていないのは、自位置情報取得部24は算出した自己の位置情報がファイルに格納されること無く、経路設計部21に渡されるためである。経路設計部21が位置情報保持部22を備えて、自位置情報取得部24から渡された自己の位置情報を保持するようにしてもかまわない。また、レーダ部110は、算出した他の無線通信装置の位置情報D4をファイルに格納することなく、経路設計部21に渡すためである。経路設計部21が位置情報保持部22を備えて、レーダ部110から渡された他の無線通信装置の位置情報を保持するようにしてもかまわない。
【0036】
このように、無線通信装置2を構成する部品点数を少なくしても、経路設計部がアドホックネットワークを構築する際に使用する位置情報を提供することができる。無線通信装置を構成する部品点数を少なくすることにより、無線通信装置を安価に製造できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施の形態1の無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】3個の移動体でネットワークを形成している様子を模式的に示す図である。
【図3】実施の形態1の自ノード及び他ノードの位置情報を取得する手順を示すフローチャート図である。
【図4】他ノードの位置情報をネットワーク経由で送信した場合の様子を示す模式図である。
【図5】ネットワーク内のノード位置を指定するために無線通信装置で使用するネットワークモデル、および直交座標系を示す図である。
【図6】レーダで使用する極座標系を示す図である。
【図7】レーダ指示器の表示を示す図である。
【図8】図3のノード1、2、3の位置を、図3の直交座標系で表した場合の表である。
【図9】図3のノード1、2、3の位置を、図4の極座標系で表した場合の表である。
【図10】図3のノード1、2、3の位置を、緯度および経度で表した場合の表である。
【図11】無線通信部を実現する計算機システムのハードウェア構成図である。
【図12】実施の形態2の経路設計装置の構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態3の経路設計装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0038】
1,1r,1s 移動体、2 無線通信装置、20 無線通信部、21 経路設計部、22 位置情報保持部、23 データ変換部、24 自位置情報取得部、25 他位置情報取得部、27 アンテナ、100 極座標系、101 天頂、102 北、103 東、104 距離、105 方位、106 仰角、107a,107b,108 ノード、110 レーダ部、111 レーダ指示器、112 目標情報保持部、114 目標情報確認部、123 緯度、124 経度、137 CPU、138 バス、139 ROM、140 RAM、141 CRT表示装置、142 K/B、143 マウス、144 通信ボード、145 FDD、146 磁気ディスク装置、147 OS、148 ウィンドウシステム、149 プログラム群、150 ファイル群、186 CDD、187 プリンタ装置、188 スキャナ装置、200 衛星群、201 準天頂衛星、202 GPS衛星、203 測位信号、310 ファクシミリ、320 電話器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の無線通信装置の位置情報と自己の位置情報とを用いて、自己と他の無線通信装置との間にネットワークを構築する経路設計部を備える無線通信装置において、
上記他の無線通信装置の位置情報を、電波を発射して発射した電波の反射波を受信して、受信した反射波から算出して、上記経路設計部に出力するレーダ部を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
他の無線通信装置の位置情報と自己の位置情報とを用いて、自己と他の無線通信装置との間にネットワークを構築する経路設計部を備える無線通信装置において、
上記経路設計部は、第1の座標系に基づく位置情報を用いて上記ネットワークを構築し、
上記無線通信装置は、
電波を発射して発射した電波の反射波を受信して、受信した反射波から上記他の無線通信装置の位置情報を、上記第1の座標系とは異なる第2の座標系に基いて算出して上記経路設計部に出力するレーダ部と、
上記レーダ部が出力した第2の座標系に基づく位置情報を入力して、入力した第2の座標系に基づく位置情報を上記第1の座標系に基づく位置情報に変換して、上記経路設計部に出力するデータ変換部と
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
他の無線通信装置の位置情報と自己の位置情報とを用いて、自己と他の無線通信装置との間にネットワークを構築する経路設計部を備える無線通信装置において、
上記経路設計部は、第1の座標系に基づく位置情報を用いて上記ネットワークを構築し、
上記無線通信装置は、
電波を発射して発射した電波の反射波を受信して、受信した反射波から上記他の無線通信装置の位置情報を、上記第1の座標系とは異なる第2の座標系に基いて算出して上記経路設計部に出力するレーダ部と、
上記他の無線通信装置が送信した、上記第1の座標系と上記第2の座標系とは異なる第3の座標系に基づく上記他の無線通信装置の位置情報を入力する他位置情報取得部と、
上記レーダ部が出力した第2の座標系に基づく位置情報を入力して、入力した第2の座標系に基づく位置情報を上記第2の座標系に基づく位置情報に変換するとともに、上記他位置情報取得部から上記第3の座標系に基づく他の無線通信装置の位置情報を入力して、入力した第3の座標系に基づく位置情報を上記第1の座標系に基づく位置情報に変換して上記経路設計部に出力するデータ変換部と
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
上記第1の座標系は、直交座標系であることを特徴とする請求項2又は3記載の無線通信装置。
【請求項5】
上記第2の座標系は、極座標系であることを特徴とする請求項2又は3記載の無線通信装置。
【請求項6】
上記第3の座標系は、緯度情報と経度情報とを有して上記他の無線通信装置の位置を示すことを特徴とする請求項3記載の無線通信装置。
【請求項7】
上記経路設計部が構築するネットワークは、アドホックネットワークであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項8】
第1の無線通信装置と第2の無線通信装置とを備え、第1の無線通信装置の第1の位置情報と第2の無線通信装置の第2の位置情報とを用いて、第1と第2の無線通信装置との間にネットワークを構築する通信システムにおいて、
上記第1の無線通信装置は、電波を発射して上記第2の無線通信装置に反射した反射波を受信して、受信した反射波から上記第2の位置情報を算出するレーダ部と、
測位信号を受信して上記第1の位置情報を算出する自位置情報取得部と、
上記レーダ部が算出した第2の位置情報と、上記自位置情報取得部が算出した第1の位置情報とを入力して、上記第1と第2の無線通信装置との間にアドホックネットワークを構築する経路設計部と
を備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項1】
他の無線通信装置の位置情報と自己の位置情報とを用いて、自己と他の無線通信装置との間にネットワークを構築する経路設計部を備える無線通信装置において、
上記他の無線通信装置の位置情報を、電波を発射して発射した電波の反射波を受信して、受信した反射波から算出して、上記経路設計部に出力するレーダ部を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
他の無線通信装置の位置情報と自己の位置情報とを用いて、自己と他の無線通信装置との間にネットワークを構築する経路設計部を備える無線通信装置において、
上記経路設計部は、第1の座標系に基づく位置情報を用いて上記ネットワークを構築し、
上記無線通信装置は、
電波を発射して発射した電波の反射波を受信して、受信した反射波から上記他の無線通信装置の位置情報を、上記第1の座標系とは異なる第2の座標系に基いて算出して上記経路設計部に出力するレーダ部と、
上記レーダ部が出力した第2の座標系に基づく位置情報を入力して、入力した第2の座標系に基づく位置情報を上記第1の座標系に基づく位置情報に変換して、上記経路設計部に出力するデータ変換部と
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
他の無線通信装置の位置情報と自己の位置情報とを用いて、自己と他の無線通信装置との間にネットワークを構築する経路設計部を備える無線通信装置において、
上記経路設計部は、第1の座標系に基づく位置情報を用いて上記ネットワークを構築し、
上記無線通信装置は、
電波を発射して発射した電波の反射波を受信して、受信した反射波から上記他の無線通信装置の位置情報を、上記第1の座標系とは異なる第2の座標系に基いて算出して上記経路設計部に出力するレーダ部と、
上記他の無線通信装置が送信した、上記第1の座標系と上記第2の座標系とは異なる第3の座標系に基づく上記他の無線通信装置の位置情報を入力する他位置情報取得部と、
上記レーダ部が出力した第2の座標系に基づく位置情報を入力して、入力した第2の座標系に基づく位置情報を上記第2の座標系に基づく位置情報に変換するとともに、上記他位置情報取得部から上記第3の座標系に基づく他の無線通信装置の位置情報を入力して、入力した第3の座標系に基づく位置情報を上記第1の座標系に基づく位置情報に変換して上記経路設計部に出力するデータ変換部と
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
上記第1の座標系は、直交座標系であることを特徴とする請求項2又は3記載の無線通信装置。
【請求項5】
上記第2の座標系は、極座標系であることを特徴とする請求項2又は3記載の無線通信装置。
【請求項6】
上記第3の座標系は、緯度情報と経度情報とを有して上記他の無線通信装置の位置を示すことを特徴とする請求項3記載の無線通信装置。
【請求項7】
上記経路設計部が構築するネットワークは、アドホックネットワークであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項8】
第1の無線通信装置と第2の無線通信装置とを備え、第1の無線通信装置の第1の位置情報と第2の無線通信装置の第2の位置情報とを用いて、第1と第2の無線通信装置との間にネットワークを構築する通信システムにおいて、
上記第1の無線通信装置は、電波を発射して上記第2の無線通信装置に反射した反射波を受信して、受信した反射波から上記第2の位置情報を算出するレーダ部と、
測位信号を受信して上記第1の位置情報を算出する自位置情報取得部と、
上記レーダ部が算出した第2の位置情報と、上記自位置情報取得部が算出した第1の位置情報とを入力して、上記第1と第2の無線通信装置との間にアドホックネットワークを構築する経路設計部と
を備えたことを特徴とする通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−58096(P2006−58096A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238993(P2004−238993)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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