説明

無電極放電灯点灯装置、無電極放電灯装置及び照明器具

【課題】無電極放電灯を調光点灯させる場合においても無電極放電灯への供給電力を一定に保つ。
【解決手段】無電極放電灯1の調光点灯時にも第1のフィードバック制御回路6が時分割調光回路4の出力をフィードバック制御することで駆動回路33におけるオンデューティを調節する。そして、常温環境と比較して低温環境及び高温環境におけるオンデューティが相対的に大きくなる。そのため、低温環境や高温環境で無電極放電灯1を調光点灯する場合であっても、無電極放電灯1のインピーダンス変動に合わせて高周波電源回路3の高周波出力を一定に保つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電極放電灯を調光点灯する無電極放電灯点灯装置、無電極放電灯装置及び照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、放電ガスが封入されたバルブに誘導コイルを近接配置してなり、誘導コイルから放電ガスに高周波電磁界を作用させることで発光する無電極放電灯を点灯させる無電極放電灯点灯装置(無電極放電灯装置)が提供されている。
【0003】
この種の無電極放電灯点灯装置として、誘導コイルに高周波電力を供給して前記高周波電磁界を発生させる高周波電源回路と、高周波電源回路の出力を制御することにより無電極放電灯を調光点灯させる時分割調光回路とを備えたものがある。
【0004】
この無電極放電灯点灯装置では、時分割調光回路において高周波電源回路の駆動周波数を切り替えることにより、誘導コイルに供給する高周波電力を無電極放電灯が点灯する大きさに設定するオン期間と点灯しない大きさに設定するオフ期間とを周期的に交互に切り替え、1周期に占めるオン期間の割合(以下、オンデューティという)を調節することで無電極放電灯の調光を行うことができる(たとえば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−353600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的な無電極放電灯は、バルブ内の放電ガスとして水銀蒸気と希ガスとの混合気体を用いており、水銀の励起発光を利用して点灯するので、外気温や点灯中に無電極放電灯から発生する熱などの影響を受けて水銀蒸気圧が変動すると、光出力が変動する。通常、バルブの周囲温度が所定温度(例えば、常温)にあるときには、無電極放電灯の光出力が所望の大きさとなるものの、バルブの周囲温度が前記所定温度から低下した時および上昇したときには、無電極放電灯の光出力は低下することとなる。
【0006】
なお、温度変化時に無電極放電灯の光出力を安定させるために、バルブ内の水銀蒸気圧を一定の範囲に制御する目的でバルブ内にアマルガムを封入する場合があるが、アマルガムを封入した無電極放電灯であっても、アマルガム自体の温度も周囲温度の影響を受けて変化するため、バルブ内の水銀蒸気圧を一定に維持することは難しく、結局、温度変化に伴って光出力が変動する可能性がある。特に、調光点灯時であって調光比が小さい場合や低温時には、アマルガムの温度が十分に上昇せずアマルガムが固体化し、無電極放電灯の点灯状態を維持できなくなる可能性もある。
【0007】
一方、アマルガムの代わりに水銀を封入した無電極放電灯においては、アマルガムを封入した無電極放電灯と比べて周囲温度によるインピーダンスの変動幅が大きいため、高周波電源回路の出力電力を一定に保つことがさらに困難になる。その結果、無電極放電灯から所定の光出力を得ることのできる周囲温度範囲が狭くなってしまう。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、無電極放電灯を調光点灯させる場合においても無電極放電灯への供給電力を一定に保つことができる無電極放電灯点灯装置、無電極放電灯装置及び照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、放電ガスを封入したバルブに誘導コイルが近接配置されてなる無電極放電灯を点灯させる無電極放電灯点灯装置であって、駆動周波数に応じて増減する高周波電力を誘導コイルに供給することで誘導コイルから放電ガスに高周波電磁界を作用させる高周波電源回路と、誘導コイルに供給される高周波電力を無電極放電灯が点灯するレベルに設定するオン期間と点灯しないレベルに設定するオフ期間とを周期的に交互に繰り返すように高周波電源回路を制御することで無電極放電灯を調光点灯させる時分割調光回路と、時分割調光回路が無電極放電灯を調光点灯させているときに高周波電源回路の出力電流又は出力電圧の少なくとも何れか一方を検出し、当該出力電流又は出力電圧の検出値を調光点灯時の目標値に一致させるように、1周期に占めるオン期間の割合であるオンデューティ又はオン期間における高周波電源回路の駆動周波数の何れか一方を調節する第1のフィードバック制御回路とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明によれば、無電極放電灯の調光点灯時においても高周波電源回路の高周波出力をほぼ一定に保つことができる。また、調光点灯時においても高周波電源回路の高周波出力をほぼ一定に保つことができるため、低温環境若しくは高温環境の少なくとも何れか一方において調光点灯時における高周波電源回路から誘導コイルに供給される高周波電力の低下を抑制することができ、その結果、無電極放電灯から所定の光出力が得られる温度範囲を拡大することができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、時分割調光回路が無電極放電灯を調光点灯させていないときに高周波電源回路の出力電流又は出力電圧の少なくとも何れか一方を検出し、当該出力電流又は出力電圧の検出値が無電極放電灯を定格点灯させるのに必要な値となるように高周波電源回路の駆動周波数を調節する第2のフィードバック制御回路を備え、第2のフィードバック制御回路は、第1のフィードバック制御回路と同一箇所において前記出力電流又は出力電圧を検出してなることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明によれば、第1のフィードバック制御回路と第2のフィードバック制御回路とで高周波電源回路の出力電流又は出力電圧を検出する構成を共用することができて回路構成の簡素化が図れる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、第1のフィードバック制御回路と第2のフィードバック制御回路が同時に動作しないように何れか一方のフィードバック制御回路の動作を択一的に禁止するマスク回路を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明によれば、無電極放電灯の定格点灯時及び調光点灯時に第1のフィードバック制御回路と第2のフィードバック制御回路の双方が動作することによる不具合を防ぐことができる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、時分割調光回路が無電極放電灯を調光点灯させていないときに高周波電源回路の出力電流又は出力電圧の少なくとも何れか一方を検出し、当該出力電流又は出力電圧の検出値が無電極放電灯を定格点灯させるのに必要な値となるように高周波電源回路の駆動周波数を調節する第2のフィードバック制御回路を備え、第2のフィードバック制御回路は、第1のフィードバック制御回路と異なる箇所において前記出力電流又は出力電圧を検出してなることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明によれば、第1のフィードバック制御回路と第2のフィードバック制御回路のそれぞれのフィードバック制御の精度向上が図れる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1項の発明において、第1のフィードバック制御回路は、オン期間における高周波電源回路の駆動周波数を、無電極放電灯を定格点灯する際の駆動周波数に固定した状態で前記オンデューティを調節することを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明によれば、無電極放電灯の定格点灯時と調光点灯時とで高周波電源回路の駆動周波数が同一であるため、高周波電源回路から発生する雑音の周波数も同一となる。その結果、定格点灯時と調光点灯時とで共通の雑音低減策を採用することができて雑音の低減が容易になる。
【0019】
請求項6の発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜5の何れか1項に記載の無電極放電灯点灯装置と、放電ガスを供給するための水銀がバルブ内における最冷点の位置に封入された無電極放電灯とを備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明によれば、請求項1の発明と同様に、無電極放電灯の調光点灯時においても高周波電源回路の高周波出力をほぼ一定に保つことができる。
【0021】
請求項7の発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜5の何れか1項に記載の無電極放電灯点灯装置と、当該無電極放電灯点灯装置並びに無電極放電灯を支持する器具本体とを備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項7の発明によれば、請求項1の発明と同様に、無電極放電灯の調光点灯時においても高周波電源回路の高周波出力をほぼ一定に保つことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、無電極放電灯の調光点灯時においても高周波電源回路の高周波出力をほぼ一定に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施形態1)
本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、図1に示すように商用交流電源ACから供給される交流電力を高周波電力に変換して無電極放電灯1に近接配置された誘導コイル2に供給する高周波電源回路3を備えている。
【0025】
高周波電源回路3は、力率改善用の昇圧チョッパ回路30と、昇圧チョッパ回路30の出力端間に一対のスイッチング素子Q2,Q3を直列接続してなるハーフブリッジ型のインバータ回路31と、インバータ回路31のローサイドのスイッチング素子Q3と誘導コイル2との間に挿入された共振回路32と、スイッチング素子Q2,Q3を駆動する駆動回路33とを具備している。
【0026】
昇圧チョッパ回路30は、ダイオードブリッジDB、チョークコイルL1、整流用のダイオードD1、スイッチング素子Q1、平滑コンデンサC1、スイッチング素子Q1を駆動する制御回路30aで構成される。但し、この種の昇圧チョッパ回路30は従来周知であるから詳細な説明は省略する。
【0027】
インバータ回路31は、一対のスイッチング素子Q2,Q3を駆動回路33で交互に高周波数でスイッチングすることにより、昇圧チョッパ回路30から出力される直流電力を高周波電力に変換する。共振回路32は、スイッチング素子Q2,Q3の接続点と誘導コイル2の一端の間に直列接続されたインダクタL2およびコンデンサC3と、誘導コイル2およびコンデンサC3に並列接続されたコンデンサC2とからなる。そして、駆動回路33がスイッチング素子Q2,Q3を駆動(スイッチング)する周波数(駆動周波数)を共振回路32の共振周波数に近付ければ高周波電源回路3の高周波出力(高周波電力)が増大し、共振周波数から遠ざければ高周波電源回路3の高周波出力が減少する。ここで、ローサイドのスイッチング素子Q3とグランドとの間には、スイッチング素子Q3に流れる電流(高周波電源回路3の出力電流)を検出するための検出抵抗R1とコンデンサC6の並列回路が接続されている。
【0028】
また、本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、無電極放電灯1を定格点灯しているときに高周波電源回路3から誘導コイル2に供給される電力が無電極放電灯1の定格ランプ電力と等しくなるように駆動回路33の駆動周波数を調節する第2のフィードバック制御回路5を備えている。第2のフィードバック制御回路5は、オペアンプOP2と抵抗R2〜R7及びコンデンサC6、ダイオードD2で構成される差動増幅器からなり、制御電源Vccを分圧抵抗R2,R3で分圧して得られる基準電圧が入力抵抗R4を介してオペアンプOP2の非反転入力端子に入力され、逆流防止用のダイオードD2を介してオペアンプOP2の反転入力端子に入力される検出電圧(検出抵抗R1の両端電圧)と基準電圧の差分に応じた電圧を出力する。オペアンプOP2の出力端子は出力抵抗R7を介して駆動回路33の周波数制御端子に接続されている。この駆動回路33は、周波数制御端子から流れ出る電流の大きさに応じて発振周波数(駆動周波数)が変化するものである。従って、検出電圧が基準電圧よりも高ければオペアンプOP2の出力電圧も相対的に高くなるから、周波数制御端子から流れ出る電流が減少して駆動回路33の駆動周波数が上昇し、反対に検出電圧が基準電圧よりも低ければオペアンプOP2の出力電圧も相対的に低くなるから、周波数制御端子から流れ出る電流が増加して駆動回路33の駆動周波数が下降する。ここで、駆動回路33では共振回路32の共振周波数よりも高い周波数範囲で駆動周波数を変化させているので、駆動周波数が上昇すれば高周波電源回路3の高周波出力が減少し、駆動周波数が下降すれば高周波電源回路3の高周波出力が増大することになる。故に、上述した第2のフィードバック制御回路5のフィードバック制御により、定格点灯時に無電極放電灯1(誘導コイル2)に供給される高周波電力をほぼ一定に保つことができる。
【0029】
また、本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、無電極放電灯1を調光点灯させる時分割調光回路4を備えている。時分割調光回路4は、誘導コイル2に供給される高周波電力を無電極放電灯1が点灯するレベル(点灯レベル)に設定するオン期間Tonと点灯しないレベル(不点灯レベル)に設定するオフ期間Toffとを周期的に交互に繰り返すように高周波電源回路3(駆動回路33)を制御するものである。本実施形態における時分割調光回路4は、駆動回路33に対して図2に例示するようにオンとオフとの2種類の出力を周期的に交互に繰り返すものであって、デッドタイムコントロール端子とグランド端子の間に入力される信号電圧の大きさに応じて出力のオンデューティ(図2におけるTon/(Ton+Toff))を変化させる集積回路(たとえば、NECエレクトロニクス社製のμPC494)からなる。ここで、時分割調光回路4の入力電圧(調光制御信号の信号電圧)と出力のオンデューティとの間の関係は、図3に示すように入力電圧が低くなるほどオンデューティが大きくなる特性を持つ。
【0030】
駆動回路33は、時分割調光回路4の出力に応じてスイッチング素子Q2,Q3のスイッチング周波数(駆動周波数)を切り替えるように動作する。すなわち、駆動回路33は時分割調光回路4の出力がオン(ハイレベル)のときに定格点灯時と同一の駆動周波数(例えば、135キロヘルツ)でスイッチング素子Q2,Q3を駆動することで無電極放電灯1を点灯状態とし、時分割調光回路4の出力がオフ(ローレベル)のときに定格点灯時よりも充分に高い駆動周波数(例えば、200キロヘルツ)でスイッチング素子Q2,Q3を駆動することで無電極放電灯1を不点灯状態とする。
【0031】
このように、本実施形態では時分割調光回路4の出力のオンオフが交互に繰り返されることで、無電極放電灯1が点灯するオン期間と点灯しないオフ期間とが交互に繰り返されることになる。ここで、時分割調光回路4の出力のオンオフ周波数は、使用者に無電極放電灯1の点滅によるちらつきを感じさせないようにたとえば100ヘルツ以上に設定される。このとき、調光制御信号の大きさ(信号電圧レベル)を変化させて1周期に占めるオン期間の割合であるオンデューティを変化させることで無電極放電灯1の調光比を調節することができ、無電極放電灯1の点灯時に所望の光出力となるようにオンデューティが設定される。
【0032】
ところで、本実施形態においては時分割調光回路4のグランド端子が制御端子T2と接続され、時分割調光回路4の入力端子(デッドタイムコントロール端子)と制御端子T1、T2との間に第1のフィードバック制御回路6が挿入されている。尚、調光点灯時の調光レベルを決める調光制御信号が制御端子T1,T2間に入力される。
【0033】
第1のフィードバック制御回路6は、オペアンプOP1と抵抗R8〜R11及びコンデンサC7、ダイオードD3で構成される差動増幅器からなり、制御端子T1,T2間に印加される電圧(調光制御信号の信号電圧)を分圧抵抗R8,R9で分圧して得られる基準電圧がオペアンプOP1の非反転入力端子に入力され、逆流防止用のダイオードD3を介してオペアンプOP1の反転入力端子に入力される検出電圧(検出抵抗R1の両端電圧)と基準電圧の差分に応じた電圧(制御電圧)を時分割調光回路4の入力端子(デッドタイムコントロール端子)に与えている。ここで、既に説明したように、時分割調光回路4の入力電圧(第1のフィードバック制御回路6の出力電圧)と出力のオンデューティとの間には、図3に示すような逆比例の関係がある。従って、無電極放電灯1を調光点灯しているときに、高周波電源回路3の高周波出力が減少して検出電圧が低下すると第1のフィードバック制御回路6の出力電圧も低下するので、時分割調光回路4の出力のオンデューティが大きくなる。一方、無電極放電灯1を調光点灯しているときに、高周波電源回路3の高周波出力が増大して検出電圧が上昇すると第1のフィードバック制御回路6の出力電圧も上昇するので、時分割調光回路4の出力のオンデューティが小さくなる。
【0034】
ここで、従来技術で説明したように、常温よりも低い低温環境若しくは常温よりも高い高温環境で無電極放電灯1を調光点灯する場合、常温環境で調光点灯する場合と比較して、無電極放電灯1のインピーダンス変動が大きいために高周波電源回路3の高周波出力を一定に保つことが難しい。しかしながら本実施形態では、上述のように無電極放電灯1の調光点灯時にも第1のフィードバック制御回路6が時分割調光回路4の出力をフィードバック制御することで駆動回路33におけるオンデューティを調節し、図4に示すように常温環境と比較して低温環境及び高温環境におけるオンデューティが相対的に大きくなるようにしている。そのため、低温環境や高温環境で無電極放電灯1を調光点灯する場合であっても、無電極放電灯1のインピーダンス変動に合わせて高周波電源回路3の高周波出力を一定に保つことができる。また、調光点灯時においても高周波電源回路3の高周波出力をほぼ一定に保つことができるため、低温環境若しくは高温環境の少なくとも何れか一方において調光点灯時における高周波電源回路3から誘導コイル2に供給される高周波電力の低下を抑制することができ、その結果、無電極放電灯1から所定の光出力が得られる温度範囲を拡大することができる。特に、放電ガスを供給するための水銀(亜鉛水銀又は生水銀)がバルブ内における最冷点の位置に封入された無電極放電灯や、あるいは相対的にインピーダンス変動が大きい高出力(定格ランプ電力が数百ワット程度)の無電極放電灯などを調光点灯する場合に有効である。
【0035】
ところで、本実施形態では調光点灯時に動作する第1のフィードバック制御回路6と、定格点灯時に動作する第2のフィードバック制御回路5とで高周波電源回路3の出力電流を検出するための回路構成(検出抵抗R1およびコンデンサC6)を共用しているため、それぞれのフィードバック制御回路6,5で別々の回路を用いて検出する場合と比較して回路構成を簡素化することができる。また、無電極放電灯1の定格点灯時に第1のフィードバック制御回路6が動作したり、あるいは、無電極放電灯1の調光点灯時に第2のフィードバック制御回路5が動作すると、高周波電源回路3の高周波出力を一定に保つことができなくなる虞がある。故に、無電極放電灯1の定格点灯時には第1のフィードバック制御回路6の動作を禁止するとともに、無電極放電灯1の調光点灯時には第2のフィードバック制御回路5の動作を禁止するマスク回路7を設けている。
【0036】
このマスク回路7は、図5に示すようにダイオードD10,D11、コンデンサC10、比較器CPで構成される。ダイオードD10のカソードが第2のフィードバック制御回路5の出力抵抗R7に接続され、ダイオードD10のアノードが駆動回路33の周波数制御端子に接続されている。ダイオードD11のアノードが時分割調光回路4の出力端子に接続され、ダイオードD11のカソードが比較器CPの反転入力端子に接続されている。コンデンサC10はダイオードD11のカソードとグランドの間に挿入されている。比較器CPは、オンデューティを制御する時分割調光回路4の出力をダイオードD11とコンデンサC10で整流平滑した電圧(比較電圧)と、調光点灯時において当該比較電圧が最も低くなる調光下限時の電圧レベルよりも低く且つグランドレベルよりも高い基準電圧Vrとを比較する。すなわち、調光点灯時には時分割調光回路4の出力を整流平滑した電圧が基準電圧Vrを上回り、比較器CPの出力がローレベルとなって駆動回路33の周波数制御端子から第2のフィードバック制御回路5へ電流が流れなくなるため、第2のフィードバック制御回路5の動作が禁止されることになる。一方、定格点灯時には時分割調光回路4の出力がゼロ(グランドレベル)となって基準電圧Vrを下回り、比較器CPの出力がハイレベルとなって駆動回路33の周波数制御端子から第2のフィードバック制御回路5へ電流が流れるようになるため、第2のフィードバック制御回路5の動作が許可されることになる。尚、マスク回路7の構成は上述したものに限定されない。例えば、第2のフィードバック制御回路5のフィードバック制御の時定数を、時分割調光回路4の出力信号の周期(Ton+Toff)よりも充分に長く設定すれば、時分割調光回路4が動作しているときに第2のフィードバック制御回路5の動作(フィードバック制御)が実質的に禁止されることになる。
【0037】
尚、本実施形態における第1のフィードバック制御回路6は、オン期間における高周波電源回路3の駆動周波数を、無電極放電灯1を定格点灯する際の駆動周波数に固定した状態でオンデューティを調節するようにしている。このように、無電極放電灯1の定格点灯時と調光点灯時とで高周波電源回路3の駆動周波数を同一とすれば、高周波電源回路3から発生する雑音の周波数も同一となり、定格点灯時と調光点灯時とで共通の雑音低減策を採用することができて雑音の低減が容易になるという利点がある。
【0038】
(実施形態2)
本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、調光点灯時のオン期間Tonにおける駆動周波数を調節することで高周波電源回路3の高周波出力を一定に保つ点に特徴がある。但し、本実施形態の無電極放電灯点灯装置の基本構成は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
実施形態1では第1のフィードバック制御回路6の出力を時分割調光回路4の入力端子(デッドタイムコントロール端子)に与えていたが、本実施形態では、図6に示すように第1のフィードバック制御回路6の出力を駆動回路33に与えている。
【0040】
ここで、無電極放電灯1を調光点灯しているときに、高周波電源回路3の高周波出力が減少して検出電圧が低下すると第1のフィードバック制御回路6の出力電圧も低下する。第1のフィードバック制御回路6の出力電圧が低下すると、駆動回路33が駆動周波数を低下させて共振回路32の共振周波数に近付けることで高周波電源回路3の高周波出力が増大する。一方、無電極放電灯1を調光点灯しているときに、高周波電源回路3の高周波出力が増大して検出電圧が上昇すると第1のフィードバック制御回路6の出力電圧も上昇する。第1のフィードバック制御回路6の出力電圧が上昇すると、駆動回路33が駆動周波数を上昇させて共振回路32の共振周波数から遠ざけることで高周波電源回路3の高周波出力が減少する。
【0041】
上述のように本実施形態では、無電極放電灯1の調光点灯時にも第1のフィードバック制御回路6がオン期間Tonにおける駆動回路33の駆動周波数をフィードバック制御し、図7に示すように常温環境と比較して低温環境及び高温環境におけるオン期間Tonの駆動周波数が相対的に低くなる(共振回路32の共振周波数に近付く)ようにしている。そのため、低温環境や高温環境で無電極放電灯1を調光点灯する場合であっても、無電極放電灯1のインピーダンス変動に合わせて高周波電源回路3の高周波出力を一定に保つことができる。また、調光点灯時においても高周波電源回路3の高周波出力をほぼ一定に保つことができるため、低温環境若しくは高温環境の少なくとも何れか一方において調光点灯時における高周波電源回路3から誘導コイル2に供給される高周波電力の低下を抑制することができ、その結果、無電極放電灯1から所定の光出力が得られる温度範囲を拡大することができる。尚、本実施形態においても、無電極放電灯1の定格点灯時に第1のフィードバック制御回路6の動作を禁止するとともに、無電極放電灯1の調光点灯時に第2のフィードバック制御回路5の動作を禁止するマスク回路(図示せず)を設ける必要がある。
【0042】
(実施形態3)
実施形態1及び実施形態2の無電極放電灯点灯装置は、無電極放電灯1を調光点灯する際に調光制御信号に応じて調光レベルを調整できるものである。これに対して本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、調光点灯時の調光レベルが固定されており、調光制御信号によって定格点灯と調光点灯が切り換えられるようにしたものである。
【0043】
図8に示すように、本実施形態における第1のフィードバック制御回路6は、制御電源Vccを分圧抵抗R8,R9で分圧して得られる基準電圧がオペアンプOP1の非反転入力端子に入力され、逆流防止用のダイオードD3を介してオペアンプOP1の反転入力端子に入力される検出電圧(誘導コイル2の両端電圧)と基準電圧の差分に応じた電圧(制御電圧)を時分割調光回路4の入力端子(デッドタイムコントロール端子)に与えている。
【0044】
時分割調光回路4は、制御端子T1、T2間に調光制御信号が入力されているときにだけ動作する。また、時分割調光回路4は、実施形態1と同様に第1のフィードバック制御回路6から入力端子(デッドタイムコントロール端子)に入力される信号電圧レベルに応じてオンデューティが増減する(図3参照)。すなわち、無電極放電灯1を調光点灯しているときに、高周波電源回路3の高周波出力が減少して検出電圧が低下すると第1のフィードバック制御回路6の出力電圧も低下するので、時分割調光回路4の出力のオンデューティが大きくなる。一方、無電極放電灯1を調光点灯しているときに、高周波電源回路3の高周波出力が増大して検出電圧が上昇すると第1のフィードバック制御回路6の出力電圧も上昇するので、時分割調光回路4の出力のオンデューティが小さくなる。
【0045】
上述のように無電極放電灯1の調光点灯時にも第1のフィードバック制御回路6が時分割調光回路4の出力をフィードバック制御することで駆動回路33におけるオンデューティを調節しているので、低温環境や高温環境で無電極放電灯1を調光点灯する場合であっても、無電極放電灯1のインピーダンス変動に合わせて高周波電源回路3の高周波出力を一定に保つことができる。また、調光点灯時においても高周波電源回路3の高周波出力をほぼ一定に保つことができるため、低温環境若しくは高温環境の少なくとも何れか一方において調光点灯時における高周波電源回路3から誘導コイル2に供給される高周波電力の低下を抑制することができ、その結果、無電極放電灯1から所定の光出力が得られる温度範囲を拡大することができる。
【0046】
ここで、本実施形態の無電極放電灯点灯装置では、第1のフィードバック制御回路6が高周波電源回路3の高周波出力(出力電圧)を検出する検出位置(誘導コイル2の一端)と、第2のフィードバック制御回路5が高周波電源回路3の高周波出力(出力電流)を検出する検出位置(検出抵抗R1の両端)とが異なっている。このため、第1及び第2のフィードバック制御回路6,5の検出位置が同一である実施形態1と比較して、それぞれのフィードバック制御回路6,5によるフィードバック制御の精度向上が図れるという利点がある。
【0047】
ところで、上記各実施形態の無電極放電灯点灯装置を用いた照明器具の例として、図9および図10に示すような照明器具Aが考えられる。図9に示す照明器具Aの筐体11は内部に無電極放電灯点灯装置(図示せず)および無電極放電灯1を支持し、内部空間を密閉することにより防水性能が付与されたものであって、街路灯として屋外で使用される。また、図10に示す照明器具Aの筐体11も内部空間を密閉することで防水性能が付与されたものであって、電柱12等に取り付けられ防犯灯として屋外で使用される。このように低温環境や高温環境になりやすい屋外で使用される照明器具Aにあっては、無電極放電灯1の低温環境又は高温環境での調光点灯時の光出力の低下を抑制できる本発明の無電極放電灯点灯装置を採用することは特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る無電極放電灯点灯装置の実施形態1を示す回路構成図である。
【図2】同上における時分割調光回路の出力波形を示す説明図である。
【図3】同上における時分割調光回路の特性を示す説明図である。
【図4】同上におけるオンデューティの温度特性を示す説明図である。
【図5】同上におけるマスク回路の回路構成図である。
【図6】本発明に係る無電極放電灯点灯装置の実施形態2を示す回路構成図である。
【図7】同上における駆動周波数の温度特性を示す説明図である。
【図8】本発明に係る無電極放電灯点灯装置の実施形態3を示す回路構成図である。
【図9】本発明に係る照明器具の実施形態を示す一部破断した側面図である。
【図10】本発明に係る照明器具の別の実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 無電極放電灯
2 誘導コイル
3 高周波電源回路
4 時分割調光回路
5 第2のフィードバック制御回路
6 第1のフィードバック制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ガスを封入したバルブに誘導コイルが近接配置されてなる無電極放電灯を点灯させる無電極放電灯点灯装置であって、駆動周波数に応じて増減する高周波電力を誘導コイルに供給することで誘導コイルから放電ガスに高周波電磁界を作用させる高周波電源回路と、誘導コイルに供給される高周波電力を無電極放電灯が点灯するレベルに設定するオン期間と点灯しないレベルに設定するオフ期間とを周期的に交互に繰り返すように高周波電源回路を制御することで無電極放電灯を調光点灯させる時分割調光回路と、時分割調光回路が無電極放電灯を調光点灯させているときに高周波電源回路の出力電流又は出力電圧の少なくとも何れか一方を検出し、当該出力電流又は出力電圧の検出値を調光点灯時の目標値に一致させるように、1周期に占めるオン期間の割合であるオンデューティ又はオン期間における高周波電源回路の駆動周波数の何れか一方を調節する第1のフィードバック制御回路とを備えたことを特徴とする無電極放電灯点灯装置。
【請求項2】
時分割調光回路が無電極放電灯を調光点灯させていないときに高周波電源回路の出力電流又は出力電圧の少なくとも何れか一方を検出し、当該出力電流又は出力電圧の検出値が無電極放電灯を定格点灯させるのに必要な値となるように高周波電源回路の駆動周波数を調節する第2のフィードバック制御回路を備え、第2のフィードバック制御回路は、第1のフィードバック制御回路と同一箇所において前記出力電流又は出力電圧を検出してなることを特徴とする請求項1記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項3】
第1のフィードバック制御回路と第2のフィードバック制御回路が同時に動作しないように何れか一方のフィードバック制御回路の動作を択一的に禁止するマスク回路を備えたことを特徴とする請求項2記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項4】
時分割調光回路が無電極放電灯を調光点灯させていないときに高周波電源回路の出力電流又は出力電圧の少なくとも何れか一方を検出し、当該出力電流又は出力電圧の検出値が無電極放電灯を定格点灯させるのに必要な値となるように高周波電源回路の駆動周波数を調節する第2のフィードバック制御回路を備え、第2のフィードバック制御回路は、第1のフィードバック制御回路と異なる箇所において前記出力電流又は出力電圧を検出してなることを特徴とする請求項1記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項5】
第1のフィードバック制御回路は、オン期間における高周波電源回路の駆動周波数を、無電極放電灯を定格点灯する際の駆動周波数に固定した状態で前記オンデューティを調節することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の無電極放電灯点灯装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の無電極放電灯点灯装置と、放電ガスを供給するための水銀がバルブ内における最冷点の位置に封入された無電極放電灯とを備えたことを特徴とする無電極放電灯装置。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか1項に記載の無電極放電灯点灯装置と、当該無電極放電灯点灯装置並びに無電極放電灯を支持する器具本体とを備えたことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−9776(P2010−9776A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164677(P2008−164677)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】